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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180076
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ボールねじ装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/22 20060101AFI20241219BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F16H25/22 D
F16H25/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099513
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】チハ リガ
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA25
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA16
3J062BA33
3J062CD06
3J062CD22
3J062CD27
(57)【要約】
【課題】耐熱性及び耐久性を備え、かつ、軽量化及び低コスト化が図られたボールねじ装置を提供する。
【解決手段】外周面に螺旋状のねじ溝11を有するねじ軸10と、内周面に螺旋状のねじ溝21を有し、ねじ軸10に外嵌されるナット20と、ねじ軸10及びナット20のねじ溝11,21によって形成される転動路32に収容される複数のボール30と、ナット20に設けられ、転動路32を繋いでボール30が循環可能な複数の循環路34を形成する複数の循環チューブ40と、を備え、少なくとも一つの循環チューブ40は金属製の循環チューブ40Mであり、他の循環チューブ40は樹脂製の循環チューブ40Rである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、
内周面に螺旋状のねじ溝を有し、前記ねじ軸に外嵌されるナットと、
前記ねじ軸及び前記ナットの前記ねじ溝によって形成される転動路に収容される複数のボールと、
前記ナットに設けられ、前記転動路を繋いで前記ボールが循環可能な複数の循環路を形成する複数の循環部材と、
を備え、
少なくとも一つの前記循環部材は金属製であり、他の前記循環部材が樹脂製である、
ボールねじ装置。
【請求項2】
前記ナットにおける高温となる箇所に設けられる前記循環部材が金属製であり、他の前記循環部材が樹脂製である、
請求項1に記載のボールねじ装置。
【請求項3】
前記ナットにおける高荷重となる前記循環路を構成する前記循環部材が金属製であり、他の前記循環部材が樹脂製である、
請求項1または請求項2に記載のボールねじ装置。
【請求項4】
外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、
内周面に螺旋状のねじ溝を有し、前記ねじ軸に外嵌されるナットと、
前記ねじ軸及び前記ナットの前記ねじ溝によって形成される転動路に収容される複数のボールと、
前記ナットに設けられ、前記転動路を繋いで前記ボールが循環可能な少なくとも一つの循環路を形成する循環部材と、
を備え、
少なくとも一つの前記循環部材は、長手方向に沿って二つの分割体に分割された分割構造とされ、
前記分割構造の前記循環部材は、一方の前記分割体が金属製であり、他方の前記分割体が樹脂製である、
ボールねじ装置。
【請求項5】
前記分割構造の前記循環部材は、前記ナットにおける高温側が金属製の分割体であり、前記ナットにおける低温側が樹脂製の分割体である、
請求項4に記載のボールねじ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ボールねじ装置は、ねじ軸とナットにそれぞれ設けられたねじ溝にボールを入れ、ねじ軸またはナットが回転したときにボールが自転及び公転することで回転運動を高効率に直線運動に変換する装置である。このボールねじ装置は、ねじ軸またはナットが回転運動を直線運動に変換し続けるために、ボールを転動路内で無限循環させる循環部材を備えている。
【0003】
転動路からボールを掬い上げる循環チューブからなる循環部材を備えるボールねじ装置では、循環チューブが複雑な形状となるため、循環チューブの材料として製造コストが安価な樹脂が使用される。
【0004】
例えば、特許文献1には、成形加工により低価格で大量に製作可能な樹脂製の循環部材を備えることで、全体の軽量化及び低コスト化が図られたボールねじ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-155887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、射出成型機、プレス機あるいは半導体モールディング装置等に用いられる多列の循環回路を備えるボールねじ装置では、ナットにおける設備への取り付け側が熱源から近くなり、ナットの取り付け端面に近い位置に配置される循環部材が高温に晒されることがある。また、ボールねじ装置では、内部における荷重分布により、特定の循環回路が高温高荷重になることがある。
【0007】
このため、循環部材を樹脂から成形したボールねじ装置では、高温高荷重になる循環回路部分において、劣化したり、強度が低下するおそれがある。
【0008】
そこで本発明は、耐熱性及び耐久性を備え、かつ、軽量化及び低コスト化が図られたボールねじ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は下記構成からなる。
(1) 外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、
内周面に螺旋状のねじ溝を有し、前記ねじ軸に外嵌されるナットと、
前記ねじ軸及び前記ナットの前記ねじ溝によって形成される転動路に収容される複数のボールと、
前記ナットに設けられ、前記転動路を繋いで前記ボールが循環可能な複数の循環路を形成する複数の循環部材と、
を備え、
少なくとも一つの前記循環部材は金属製であり、他の前記循環部材が樹脂製である、
ボールねじ装置。
(2) 外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、
内周面に螺旋状のねじ溝を有し、前記ねじ軸に外嵌されるナットと、
前記ねじ軸及び前記ナットの前記ねじ溝によって形成される転動路に収容される複数のボールと、
前記ナットに設けられ、前記転動路を繋いで前記ボールが循環可能な少なくとも一つの循環路を形成する循環部材と、
を備え、
少なくとも一つの前記循環部材は、長手方向に沿って二つの分割体に分割された分割構造とされ、
前記分割構造の前記循環部材は、一方の前記分割体が金属製であり、他方の前記分割体が樹脂製である、
ボールねじ装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明のボールねじ装置によれば、耐熱性及び耐久性を備え、かつ、軽量化及び低コスト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係るボールねじ装置の平面図である。
図2】第1実施形態に係るボールねじ装置の一部を断面視した側面図である。
図3】変形例1に係るボールねじ装置の平面図である。
図4】変形例1に係るボールねじ装置における温度分布を説明するグラフである。
図5】変形例2に係るボールねじ装置の平面図である。
図6】変形例2に係るボールねじ装置における荷重分布を説明するグラフである。
図7】変形例3に係るボールねじ装置の平面図である。
図8】変形例3に係るボールねじ装置における荷重分布を説明するグラフである。
図9】第2実施形態に係るボールねじ装置の平面図である。
図10A】分割構造の循環チューブの平面図である。
図10B】分割構造の循環チューブの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係るボールねじ装置を説明する。
図1は、第1実施形態に係るボールねじ装置の平面図である。図2は、第1実施形態に係るボールねじ装置の一部を断面視した側面図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係るボールねじ装置100は、ねじ軸10と、ナット20と、複数のボール30と、複数の循環チューブ(循環部材)40と、を備えて構成されている。
【0014】
ねじ軸10は、中心軸を中心とした断面円形状に形成され、その外周面に螺旋状の第1ねじ溝(ねじ溝)11を有している。
【0015】
ナット20は、略円筒状をなし、その内径はねじ軸10の外径よりも大きく形成されており、ねじ軸10に所定の隙間をもって外嵌している。ナット20の一端部には、案内対象と結合するためのフランジ25が設けられている。フランジ25は、複数のボルト(図示略)によって案内対象に締結固定され、これにより、ナット20が案内対象に固定される。
【0016】
ナット20の内周面は、ねじ軸10の第1ねじ溝11と等しいリードを有し、第1ねじ溝11と対向する第2ねじ溝(ねじ溝)21を有している。そして、ねじ軸10の第1ねじ溝11とナット20の第2ねじ溝21とによって断面略円形状の転動路32が形成され、この転動路32内には、複数のボール30が転動可能に充填配置される。
【0017】
ナット20は、外周面の一部に平面部23を有しており、この平面部23には、2つの循環チューブ40が装着されている。これらの循環チューブ40は、ナット20の平面部23にネジ止めされるブラケット41によってナット20に固定されている。
【0018】
循環チューブ40は、その両端が、ナット20に形成されて転動路32に連通する貫通孔(図示略)に接続されている。そして、ねじ軸10を回転させることにより転動路32を移動するボール30は、転動路32から貫通孔を介して循環チューブ40へ入り込み、この循環チューブ40を通って複数リード手前の転動路32へ貫通孔を介して戻される。このように、ボールねじ装置100には、転動路32の一部と循環チューブ40とによってボール30が循環される2つの無限循環路(以下、単に循環路という)34が設けられている。これにより、ナット20に対するねじ軸10の相対的な回転に伴って、複数のボール30が循環路34内を無限循環することにより、ねじ軸10とナット20が軸方向に相対的に直線運動することが可能となる。
【0019】
ボールねじ装置100に設けられた2つの循環路34は、フランジ25側から順に、第1循環路34A及び第2循環路34Bとされている。一方の循環路34である第1循環路34Aを構成する循環チューブ40は、金属製の循環チューブ40Mからなり、他方の循環路34である第2循環路34Bを構成する循環チューブ40は、樹脂製の循環チューブ40Rからなる。
【0020】
上記構成のボールねじ装置100は、フランジ25が案内対象である設備に取り付けられる。このとき、ボールねじ装置100には、設備からの熱によって、フランジ25側の循環チューブ40が温度変化の影響を受けやすくなる。
【0021】
第1実施形態に係るボールねじ装置100では、高温高荷重となる箇所に耐熱性及び耐久性を有する金属製の循環チューブ40Mを配置させ、他の箇所に軽量及び安価な樹脂製の循環チューブ40Rを配置させることにより、耐熱性及び耐久性を備え、かつ、軽量で安価なボールねじ装置100とすることができる。
【0022】
次に、第1実施形態に係るボールねじ装置100の各種の変形例について説明する。
【0023】
(変形例1)
図3は、変形例1に係るボールねじ装置の平面図である。図4は、変形例1に係るボールねじ装置における温度分布を説明するグラフである。
【0024】
図3に示すように、変形例1に係るボールねじ装置100Aでは、ナット20に、循環路34を構成する3つの循環チューブ40が設けられており、ナット20の平面部23において、ナット20の軸方向に配列されている。これらの3つの循環路34は、フランジ25側から順に、第1循環路34A、第2循環路34B、第3循環路34Cとされている。この変形例1では、ナット20のフランジ25の付近に、外部の熱源Hが配置されている。
【0025】
図4に示すように、変形例1では、ナット20のフランジ25の付近に外部の熱源Hが配置されていることで、ナット20の内部における温度分布は、第1循環路34Aで最大となり、その他の第2循環路34B及び第3循環路34Cで、第1循環路34Aよりも低くなる。具体的には、ナット20のフランジ25の位置で約100℃となる場合、第1循環路34Aで90℃以上、第2循環路34Bで80℃以上、第3循環路34Cで80℃以下となる。
【0026】
このような温度分布となる変形例1では、80℃以上となる第1循環路34A及び第2循環路34Bを金属製の循環チューブ40Mで構成し、他の第3循環路34Cを樹脂製の循環チューブ40Rで構成する。
【0027】
この変形例1に係るボールねじ装置100Aによれば、高温となる箇所に耐熱性を有する金属製の循環チューブ40Mが設けられ、他の箇所に樹脂製の循環チューブ40Rが設けられているので、優れた耐熱性を備えつつ軽量で安価なボールねじ装置100Aとすることができる。
【0028】
(変形例2)
図5は、変形例2に係るボールねじ装置の平面図である。図6は、変形例2に係るボールねじ装置における荷重分布を説明するグラフである。
【0029】
図5に示すように、変形例2に係るボールねじ装置100Bにおいても、ナット20は、軸方向に配列された3つの循環チューブ40を備え、これらの3つの循環チューブ40から構成される循環路34は、フランジ25側から順に、第1循環路34A、第2循環路34B、第3循環路34Cとされている。
【0030】
図6に示すように、変形例2では、第1循環路34A及び第2循環路34Bに対して、第3循環路34Cにおける荷重が高くなっている。そして、このような荷重分布となる変形例2では、最も荷重が高くなる第3循環路34Cを金属製の循環チューブ40Mで構成し、他の第1循環路34A及び第2循環路34Bを樹脂製の循環チューブ40Rで構成する。
【0031】
この変形例2に係るボールねじ装置100Bによれば、高荷重となる第3循環路34Cを、耐久性を有する金属製の循環チューブ40Mで形成し、他の第1循環路34A及び第2循環路34Bを樹脂製の循環チューブ40Rで形成するので、優れた耐久性を備えつつ軽量で安価なボールねじ装置100Bとすることができる。
【0032】
(変形例3)
図7は、変形例3に係るボールねじ装置の平面図である。図8は、変形例3に係るボールねじ装置における荷重分布を説明するグラフである。
【0033】
図7に示すように、変形例3に係るボールねじ装置100Cでは、ナット20は、軸方向に配列された4つの循環チューブ40を備え、これらの4つの循環チューブ40から構成される循環路34は、フランジ25側から順に、第1循環路34A、第2循環路34B、第3循環路34C、第4循環路34Dとされている。
【0034】
図8に示すように、変形例3では、中央寄りの第2循環路34B及び第3循環路34Cに対して、両側の第1循環路34A及び第4循環路34Dにおける荷重が高くなっている。そして、このような荷重分布となる変形例3では、荷重が高くなる第1循環路34A及び第4循環路34Dを金属製の循環チューブ40Mで構成し、他の第2循環路34B及び第3循環路34Cを樹脂製の循環チューブ40Rで構成する。
【0035】
この変形例3に係るボールねじ装置100Cの場合も、高荷重となる第1循環路34A及び第4循環路34Dを、耐久性を有する金属製の循環チューブ40Mで形成し、他の第2循環路34B及び第3循環路34Cを樹脂製の循環チューブ40Rで形成するので、優れた耐久性を備えつつ軽量で安価なボールねじ装置100Cとすることができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るボールねじ装置について説明する。
なお、上記第1実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。
図9は、第2実施形態に係るボールねじ装置の平面図である。
【0037】
図9に示すように、第2実施形態に係るボールねじ装置200は、2つの循環路34を構成する2つの循環チューブ40を備えており、ナット20の平面部23において、ナット20の軸方向に配列されている。これらの2つの循環路34は、フランジ25側から順に、第1循環路34A、第2循環路34Bとされている。
【0038】
ボールねじ装置200においても、設備からの熱によって、設備に固定されるフランジ25側の循環チューブ40が温度変化の影響を受けやすくなる。このようなボールねじ装置200では、フランジ25側の一方の第1循環路34Aが分割構造の循環チューブ40Sから構成され、他方の第2循環路34Bが樹脂製の循環チューブ40Rから構成されている。
【0039】
図10Aは、分割構造の循環チューブの平面図である。図10Bは、分割構造の循環チューブの斜視図である。
【0040】
図10A及び図10Bに示すように、分割構造の循環チューブ40Sは、長手方向に沿って分割され、金属製の金属分割体50Aと、樹脂製の樹脂分割体50Bとから構成されている。そして、これらの金属分割体50Aと樹脂分割体50Bとを互いに組付けることにより、循環チューブ40Sが構成される。
【0041】
金属分割体50Aと樹脂分割体50Bからなる循環チューブ40Sは、設備に取り付けられるナット20において、設備から最も近い方に金属分割体50Aが配置されるようにナット20に装着されている。これにより、この循環チューブ40Sは、ナット20における高温側が金属分割体50Aとなり、ナット20における低温側が樹脂分割体50Bとなる。
【0042】
この第2実施形態に係るボールねじ装置200によれば、ナット20の高温側に金属分割体50Aが配置され、ナット20の低温側に樹脂分割体50Bが配置されるように、分割構造の循環チューブ40Sをナット20に組付けることにより、耐熱性を備え、かつ、軽量で安価なボールねじ装置200とすることができる。
【0043】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0044】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、
内周面に螺旋状のねじ溝を有し、前記ねじ軸に外嵌されるナットと、
前記ねじ軸及び前記ナットの前記ねじ溝によって形成される転動路に収容される複数のボールと、
前記ナットに設けられ、前記転動路を繋いで前記ボールが循環可能な複数の循環路を形成する複数の循環部材と、
を備え、
少なくとも一つの前記循環部材は金属製であり、他の前記循環部材が樹脂製である、ボールねじ装置。
この構成のボールねじ装置によれば、ナットに設けられて循環路を形成する複数の循環部材の少なくとも一つの循環部材が金属製であり、他の循環部材が樹脂製である。したがって、高温高荷重となる箇所に耐熱性及び耐久性を有する金属製の循環部材を配置させ、他の箇所に軽量及び安価な樹脂製の循環部材を配置させることにより、耐熱性及び耐久性を備え、かつ、軽量で安価なボールねじ装置とすることができる。
【0045】
(2) 前記ナットにおける高温となる箇所に設けられる前記循環部材が金属製であり、他の前記循環部材が樹脂製である、(1)に記載のボールねじ装置。
この構成のボールねじ装置によれば、高温となる箇所に耐熱性を有する金属製の循環部材が設けられ、他の箇所に樹脂製の循環部材が設けられているので、優れた耐熱性を備えつつ軽量で安価なボールねじ装置とすることができる。
【0046】
(3) 前記ナットにおける高荷重となる前記循環路を構成する前記循環部材が金属製であり、他の前記循環部材が樹脂製である、(1)または(2)に記載のボールねじ装置。
この構成のボールねじ装置によれば、高荷重となる循環路を、耐久性を有する金属製の循環部材で形成し、他の循環路を樹脂製の循環部材で形成するので、優れた耐久性を備えつつ軽量で安価なボールねじ装置とすることができる。
【0047】
(4) 外周面に螺旋状のねじ溝を有するねじ軸と、
内周面に螺旋状のねじ溝を有し、前記ねじ軸に外嵌されるナットと、
前記ねじ軸及び前記ナットの前記ねじ溝によって形成される転動路に収容される複数のボールと、
前記ナットに設けられ、前記転動路を繋いで前記ボールが循環可能な少なくとも一つの循環路を形成する循環部材と、
を備え、
少なくとも一つの前記循環部材は、長手方向に沿って二つの分割体に分割された分割構造とされ、
前記分割構造の前記循環部材は、一方の前記分割体が金属製であり、他方の前記分割体が樹脂製である、ボールねじ装置。
この構成のボールねじ装置によれば、長手方向に沿って二つの分割体に分割され、一方の分割体が金属製であり、他方の分割体が樹脂製である循環部材を備える。したがって、ナットの高温となる側に金属製の分割体が配置されるように循環部材をナットに組付けることにより、耐熱性を備え、かつ、軽量で安価なボールねじ装置とすることができる。
【0048】
(5) 前記分割構造の前記循環部材は、前記ナットにおける高温側が金属製の分割体であり、前記ナットにおける低温側が樹脂製の分割体である、(4)に記載のボールねじ装置。
この構成のボールねじ装置によれば、分割構造の循環部材は、ナットにおける高温側が金属製の分割体であり、ナットにおける低温側が樹脂製の分割体である。したがって、優れた耐熱性を備えつつ軽量で安価なボールねじ装置とすることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 ねじ軸
11 第1ねじ溝(ねじ溝)
20 ナット
21 第2ねじ溝(ねじ溝)
30 ボール
32 転動路
34 循環路
34A 第1循環路(循環路)
34B 第2循環路(循環路)
34C 第3循環路(循環路)
34D 第4循環路(循環路)
40,40M,40R,40S 循環チューブ(循環部材)
50A 金属分割体(分割体)
50B 樹脂分割体(分割体)
100,100A,100B.100C,200 ボールねじ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B