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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180078
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/14 20060101AFI20241219BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20241219BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241219BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G21/18 117
G03G21/18 178
G03G15/08 390Z
G03G21/00 370
G03G21/00 312
G03G15/08 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099519
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】徐 帆
(72)【発明者】
【氏名】小川 航司
【テーマコード(参考)】
2H077
2H134
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB14
2H077AC02
2H077AC04
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD23
2H077DA22
2H077DA42
2H077DA47
2H077DB08
2H077EA15
2H077GA04
2H134GA01
2H134GB02
2H134HF13
2H134KH01
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA09
2H171GA11
2H171GA20
2H171HA06
2H171HA09
2H171HA22
2H171HA23
2H171HA24
2H171JA23
2H171JA24
2H171JA27
2H171JA29
2H171JA30
2H171JA35
2H171JA39
2H171JA49
2H171JA50
2H171KA04
2H171KA17
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB02
2H171QB32
2H171QB49
2H171QC03
2H171QC11
2H171QC23
2H171SA10
2H171SA14
2H171SA18
2H171SA22
2H171SA26
2H171TB01
2H171WA07
2H270KA19
2H270KA26
2H270KA39
2H270LA04
2H270LA05
2H270LA07
2H270LA26
2H270LA28
2H270LA65
2H270LA67
2H270LA71
2H270LA79
2H270LA80
2H270LB02
2H270MA01
2H270MA13
2H270MA14
2H270MC13
2H270MC29
2H270MC32
2H270MH11
2H270MH12
2H270NB02
2H270NC01
2H270RA11
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】ドラムカートリッジおよびトナーカートリッジの使用に応じて、感光体ドラム上の異物を適切に取り除く。
【解決手段】画像形成装置は、ドラムカートリッジと、トナーカートリッジと、現像ローラと、記憶部と、制御部とを備える。現像ローラは、トナーを感光体ドラムに供給し、感光体ドラム上の異物を取り除くことが可能である。記憶部は、ドラムカートリッジ情報と、トナーカートリッジ情報とを記憶する。制御部は、ドラムカートリッジ情報およびトナーカートリッジ情報に基づいて、印刷ジョブの終了後に感光体ドラムおよび現像ローラの回転を継続させる回転継続時間を決定する(S3)。制御部は、印刷ジョブで画像形成すべき最後のシートが感光体ドラムを通過した後(S9,Yes)、回転継続時間が経過するまで(S11)、感光体ドラムおよび現像ローラの回転を継続する回転継続処理を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラムカートリッジであって、感光体ドラムを有するドラムカートリッジと、
トナーカートリッジであって、トナーを収容するトナー筐体を有するトナーカートリッジと、
前記感光体ドラムの周面に接触する現像ローラであって、前記トナー筐体に収容されたトナーを前記感光体ドラムに供給し、前記感光体ドラム上の異物を取り除くことが可能な現像ローラと、
前記ドラムカートリッジを用いて印刷された累積印刷枚数であるドラム印刷枚数と、前記感光体ドラムの累積回転回数であるドラム回転回数と、のうち少なくとも一つを含むドラムカートリッジ情報と、
前記トナーカートリッジを用いて印刷された累積印刷枚数であるトナー印刷枚数と、前記現像ローラの累積回転数である現像回転回数と、前記トナーカートリッジを用いて印刷されたドット数の累積であるトナードットカウントと、のうち少なくとも一つを含むトナーカートリッジ情報と、
を記憶する記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
画像形成の実行に従って、前記記憶部に記憶されている前記ドラムカートリッジ情報および前記トナーカートリッジ情報を更新する更新処理を実行し、
前記ドラムカートリッジ情報および前記トナーカートリッジ情報に基づいて、印刷ジョブの終了後に前記感光体ドラムおよび前記現像ローラの回転を継続させる回転継続時間を決定し、
前記印刷ジョブで画像形成すべき最後のシートが前記感光体ドラムを通過した後、前記回転継続時間が経過するまで、前記感光体ドラムおよび前記現像ローラの回転を継続する回転継続処理を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、
前記感光体ドラムとの間で前記感光体ドラム上に形成されたトナー像をシートに転写する転写ローラを備え、
前記現像ローラおよび前記転写ローラとは別の前記感光体ドラムの周面をクリーニングする部材を備えていないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ドラム印刷枚数と前記トナー印刷枚数とに基づいて前記回転継続時間を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナーカートリッジは、現像ローラを有し、
前記制御部は、前記ドラム回転回数と前記現像回転回数とに基づいて前記回転継続時間を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ドラム印刷枚数または前記ドラム回転回数と、前記トナードットカウントと、に基づいて前記回転継続時間を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
印刷可能範囲における平均ドット占有率が所定値未満である場合、平均ドット占有率が所定値以上である場合よりも前記回転継続時間を長くすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
画像形成をする場合、前記感光体ドラムを第1帯電バイアスで帯電させ、
前記回転継続処理を実行する場合、前記感光体ドラムを前記第1帯電バイアスより小さい第2帯電バイアスで帯電させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
画像形成をする場合、前記現像ローラに第1現像バイアスを印加し、
前記回転継続処理を実行する場合、前記現像ローラに前記第1現像バイアスより小さい第2現像バイアスを印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記回転継続処理を実行する場合、画像形成をする場合よりも、前記感光体ドラムの回転速度と前記現像ローラの回転速度の速度差を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置は、前記感光体ドラムとの間で前記感光体ドラム上に形成されたトナー像をシートに転写する転写ローラを備え、
前記制御部は、
画像形成をする場合、前記転写ローラに第1転写バイアスを印加し、
前記回転継続処理を実行する場合、前記転写ローラに前記第1転写バイアスより絶対値の小さい第2転写バイアスを印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成装置は、温度センサと、湿度センサとをさらに備え、
前記制御部は、
温度が第1閾値より大きく、かつ、湿度が第2閾値より大きい場合、または、温度が前記第1閾値より小さい第3閾値より小さく、かつ、湿度が前記第2閾値より小さい第4閾値より小さい場合、標準環境でない非標準環境であると判定し、
前記非標準環境である場合、前記標準環境である場合よりも前記回転継続時間を長くすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記トナーカートリッジは、前記トナーカートリッジ情報を記憶する前記記憶部として、トナーメモリを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記ドラムカートリッジは、前記ドラムカートリッジ情報を記憶する前記記憶部として、ドラムメモリを有することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記画像形成装置は、装置本体を備え、
前記ドラムカートリッジおよび前記トナーカートリッジは、前記装置本体に着脱可能であり、
前記トナーカートリッジは、現像ローラを有することを特徴とする請求項1から請求項4および請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記画像形成装置は、装置本体を備え、
前記ドラムカートリッジおよび前記トナーカートリッジは、前記装置本体に着脱可能であり、
前記ドラムカートリッジは、現像ローラを有することを特徴とする請求項1から請求項4および請求項6から請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドラムカートリッジおよびトナーカートリッジを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドラムカートリッジおよびトナーカートリッジを備える画像形成装置が知られている。例えば、特許文献1には、ドラムカートリッジおよび現像カートリッジが本体ケーシングに着脱されることが記載されている。そして、ドラムカートリッジには、感光ドラム上に付着する紙粉を除去するための紙粉除去部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-267537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置によって画像形成すると、感光体ドラム上にトナーや紙粉などの異物が付着することがある。感光体ドラム上に付着する異物の付着状態は、ドラムカートリッジおよびトナーカートリッジの使用状態に応じて変化する。しかしながら、従来の画像形成装置では、ドラムカートリッジおよびトナーカートリッジの使用状態に応じて、感光体ドラム上の異物を取り除くことはできなかった。
【0005】
そこで、本開示は、ドラムカートリッジおよびトナーカートリッジの使用状態に応じて、感光体ドラム上の異物を取り除くことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本願の第1態様の画像形成装置は、ドラムカートリッジと、トナーカートリッジと、現像ローラと、記憶部と、制御部と、を備える。
ドラムカートリッジは、感光体ドラムを有する。トナーカートリッジは、トナーを収容するトナー筐体を有する。現像ローラは、感光体ドラムの周面に接触する。現像ローラは、トナー筐体に収容されたトナーを感光体ドラムに供給し、感光体ドラム上の異物を取り除くことが可能である。記憶部は、ドラムカートリッジ情報と、トナーカートリッジ情報と、を記憶する。ドラムカートリッジ情報は、ドラムカートリッジを用いて印刷された累積印刷枚数であるドラム印刷枚数と、感光体ドラムの累積回転回数であるドラム回転回数と、のうち少なくとも一つを含む。トナーカートリッジ情報は、トナーカートリッジを用いて印刷された累積印刷枚数であるトナー印刷枚数と、現像ローラの累積回転数である現像回転回数と、トナーカートリッジを用いて印刷されたドット数の累積であるトナードットカウントと、のうち少なくとも一つを含む。
制御部は、画像形成の実行に従って、記憶部に記憶されているドラムカートリッジ情報およびトナーカートリッジ情報を更新する更新処理を実行する。
制御部は、ドラムカートリッジ情報およびトナーカートリッジ情報に基づいて、印刷ジョブの終了後に感光体ドラムおよび現像ローラの回転を継続させる回転継続時間を決定する。
制御部は、印刷ジョブで画像形成すべき最後のシートが感光体ドラムを通過した後、回転継続時間が経過するまで、感光体ドラムおよび現像ローラの回転を継続する回転継続処理を実行する。
【0007】
制御部は、ドラムカートリッジ情報およびトナーカートリッジ情報に基づいて、回転継続時間を決定し、画像形成が終了してから回転継続処理を実行する。このため、ドラムカートリッジおよびトナーカートリッジの使用状態に応じて、感光体ドラム上の異物を取り除くことができる。
【0008】
また、第2態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、感光体ドラムとの間で感光体ドラム上に形成されたトナー像をシートに転写する転写ローラを備えてもよい。そして、現像ローラおよび転写ローラとは別の感光体ドラムの周面をクリーニングする部材を備えていない構成としてもよい。
【0009】
現像ローラおよび転写ローラとは別の感光体ドラムの周面をクリーニングする部材を備えていない構成であっても、回転継続処理を実行するため、感光体ドラム上の異物を適切に取り除くことができる。
【0010】
また、第3態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、制御部が、ドラム印刷枚数とトナー印刷枚数とに基づいて回転継続時間を決定してもよい。
【0011】
また、第4態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、トナーカートリッジが、現像ローラを有してもよい。そして、制御部は、ドラム回転回数と現像回転回数とに基づいて回転継続時間を決定してもよい。
【0012】
また、第5態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、制御部が、ドラム印刷枚数またはドラム回転回数と、トナードットカウントと、に基づいて回転継続時間を決定してもよい。
【0013】
また、第6態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、制御部が、印刷可能範囲における平均ドット占有率が所定値未満である場合、平均ドット占有率が所定値以上である場合よりも回転継続時間を長くしてもよい。
【0014】
平均ドット占有率が所定値未満である場合、トナーに含まれる外添剤も少なくなるため、平均ドット占有率が所定値以上である場合よりも感光体ドラム81に異物を取り除くための研磨力が低下する。この研磨力の低下を補うために、制御部は、平均ドット占有率が所定値未満である場合、所定値以上である場合よりも回転継続時間を長くすることで、感光体ドラム上の異物を適切に取り除くことができる。
【0015】
また、第7態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、制御部が、画像形成をする場合、感光体ドラムを第1帯電バイアスで帯電させてもよい。そして、制御部は、回転継続処理を実行する場合、感光体ドラムを第1帯電バイアスより小さい第2帯電バイアスで帯電させてもよい。
【0016】
制御部は、回転継続処理を実行する場合、感光体ドラムを画像形成時の第1帯電バイアスより小さい第2帯電バイアスで帯電させるため、電力消費を抑制でき、帯電器の劣化を抑制できる。
【0017】
また、第8態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、制御部が、画像形成をする場合、現像ローラに第1現像バイアスを印加してもよい。そして、制御部は、回転継続処理を実行する場合、現像ローラに第1現像バイアスより小さい第2現像バイアスを印加してもよい。
【0018】
制御部は、回転継続処理を実行する場合、現像ローラに画像形成時の第1現像バイアスより小さい第2現像バイアスを印加するため、電力消費を抑制できる。
【0019】
また、第9態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、制御部が、回転継続処理を実行する場合、画像形成をする場合よりも、感光体ドラムの回転速度と現像ローラの回転速度の速度差を大きくしてもよい。
【0020】
制御部は、回転継続処理を実行する場合、画像形成をする場合よりも、感光体ドラムの回転速度と現像ローラの回転速度の速度差を大きくするため、感光体ドラム上の異物を効率よく取り除くことができる。
【0021】
また、第10態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、感光体ドラムとの間で感光体ドラム上に形成されたトナー像をシートに転写する転写ローラを備えてもよい。そして、制御部は、画像形成をする場合、転写ローラに第1転写バイアスを印加し、回転継続処理を実行する場合、転写ローラに第1転写バイアスより絶対値の小さい第2転写バイアスを印加してもよい。
【0022】
制御部は、回転継続処理を実行する場合、転写ローラに第1転写バイアスより絶対値の小さい第2転写バイアスを印加するため、電力消費を抑制できる。
【0023】
また、第11態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、温度センサと、湿度センサとをさらに備えてもよい。そして、制御部は、温度が第1閾値より大きく、かつ、湿度が第2閾値より大きい場合、または、温度が第1閾値より小さい第3閾値より小さく、かつ、湿度が第2閾値より小さい第4閾値より小さい場合、標準環境でない非標準環境であると判定し、非標準環境である場合、標準環境である場合よりも回転継続時間を長くしてもよい。
【0024】
制御部は、非標準環境である場合、標準環境である場合よりも回転継続時間を長くするため、感光体ドラム上の異物を適切に取り除くことができる。
【0025】
また、第12態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、トナーカートリッジが、トナーカートリッジ情報を記憶する記憶部として、トナーメモリを有してもよい。
【0026】
また、第13態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、ドラムカートリッジが、ドラムカートリッジ情報を記憶する記憶部として、ドラムメモリを有してもよい。
【0027】
また、第14態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、装置本体を備えてもよい。そして、ドラムカートリッジおよびトナーカートリッジは、装置本体に着脱可能であり、トナーカートリッジは、現像ローラを有する構成であってもよい。
【0028】
また、第15態様に係る画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、装置本体を備えてもよい。そして、ドラムカートリッジおよびトナーカートリッジは、装置本体に着脱可能であり、ドラムカートリッジは、現像ローラを有する構成であってもよい。
【発明の効果】
【0029】
本開示の画像形成装置によれば、ドラムカートリッジおよびトナーカートリッジの使用に応じて、感光体ドラム上の異物を適切に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
図2】ドラムカートリッジとトナーカートリッジを示す断面図である。
図3】ドラムメモリおよびトナーメモリに記憶させる情報を示す図である。
図4】各センサ、各メモリおよび各印加回路と、制御部の電気的接続を示す図である。
図5】印刷ジョブが入力されたときの制御部の処理を示すフローチャートである。
図6】制御部が実行する回転継続処理を示すタイムチャートである。
図7】回転継続時間を算出するためのテーブルの一例である。
図8】制御部が標準環境か非標準環境かを判定する基準を示す図である。
図9】他の形態に係るドラムカートリッジとトナーカートリッジを示す断面図である。
図10】他の形態に係るドラムメモリおよびトナーメモリに記憶させる情報を示す図である。
図11】他の形態に係る回転継続時間を算出するためのテーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本開示の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置1はモノクロ用のレーザプリンタである。画像形成装置1は、装置本体2と、フィーダ部3と、画像形成部4と、制御部100と、記憶部の一例としてのドラムメモリ85およびトナーメモリ95と、を備える。
【0032】
装置本体2は、中空のケース状である。装置本体2は、側壁21R,21Lと、側壁21Rおよび側壁21Lを繋ぐ前壁22とを有している。前壁22は、本体開口22Aを有する。前壁22には、本体開口22Aを開閉するフロントカバー23が設けられている。
【0033】
フィーダ部3は、供給トレイ31と、供給機構32とを備えている。供給トレイ31は、装置本体2の下部に着脱可能に装着される。供給機構32は、供給トレイ31と、供給トレイ31内のシートSを画像形成部4に向けて給紙する。
【0034】
画像形成部4は、スキャナユニット5と、定着装置7と、ドラムカートリッジ8と、トナーカートリッジ9とを備えている。
【0035】
スキャナユニット5は、装置本体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。このスキャナユニット5では、レーザビームを、後述する感光体ドラム81の表面上に高速走査にて照射する。
【0036】
ドラムカートリッジ8は、フィーダ部3とスキャナユニット5との間に配置されている。ドラムカートリッジ8は、装置本体2に対して着脱可能である。具体的に、ドラムカートリッジ8は、装置本体2のフロントカバー23で開閉される本体開口22Aを通して、装置本体2に対して着脱可能である。
【0037】
ドラムカートリッジ8は、トナーカートリッジ9と共に使用されるものである。本実施形態では、図2に示すように、ドラムカートリッジ8は、トナーカートリッジ9が着脱可能である。トナーカートリッジ9は、ドラムカートリッジ8に組み付けられた状態で、装置本体2に着脱可能である。
【0038】
ドラムカートリッジ8は、ドラムフレーム80と、感光体ドラム81と、転写ローラ82と、帯電器83と、ドラムメモリ85とを有している。
【0039】
ドラムフレーム80は、トナーカートリッジ9を装着可能である。ドラムフレーム80は、感光体ドラム81および転写ローラ82を回転可能に支持する。感光体ドラム81は、感光体ドラム81の軸方向(以下の説明では単に「軸方向」という。)に延びる第1軸81Xについて回転する。転写ローラ82は、感光体ドラム81と向かい合って位置する。転写ローラ82は、感光体ドラム81との間で感光体ドラム81上に形成されたトナー像をシートSに転写する。
【0040】
帯電器83は、感光体ドラム81に向かい合って位置する。帯電器83は、帯電ワイヤ831と、グリッド電極832と、帯電フレーム833と、を有している。帯電器83は、帯電ワイヤ831にワイヤ電圧が印加されることでコロナ放電を発生させ、感光体ドラム81の表面を帯電させる。
【0041】
帯電ワイヤ831は、軸方向に沿って延びている。グリッド電極832は、帯電ワイヤ831と感光体ドラム81との間に位置する電極である。帯電フレーム833は、帯電器83を覆うフレームである。帯電フレーム833は、帯電ワイヤ831と、グリッド電極832とを支持している。
【0042】
ドラムメモリ85は、記憶部の一部を構成し、ドラムカートリッジ情報を記憶する。すなわち、ドラムカートリッジ8は、ドラムカートリッジ情報を記憶する記憶部として、ドラムメモリ85を有している。ドラムメモリ85は、例えば、ICチップである。図4に示すように、ドラムカートリッジ8が装置本体2に装着された状態で、制御部100は、ドラムメモリ85と電気的に接続されている。
【0043】
図3に示すように、ドラムメモリ85に記憶されているドラムカートリッジ情報は、ドラム印刷枚数と、感光体ドラム81の累積回転回数であるドラム回転回数と、のうち少なくとも一つを含む。本実施形態では、ドラムメモリ85には、ドラムカートリッジの仕様情報と、ドラム印刷枚数と、ドラム回転回数と、が記憶されている。
【0044】
ドラムカートリッジ8の仕様情報は、例えば、製造メーカ、寿命情報などのドラムカートリッジ8の仕様に関する情報である。本実施形態では、ドラムカートリッジ8の仕様情報は、ドラムカートリッジ8のシリアルナンバーであり、シリアルナンバーから製造メーカと、標準寿命タイプか高寿命タイプかの寿命情報が特定される。ドラム印刷枚数は、ドラムカートリッジ8を用いて印刷された累積印刷枚数である。ドラム回転回数は、感光体ドラム81の累積回転回数である。
【0045】
図2に戻り、トナーカートリッジ9は、トナー筐体90と、現像ローラ91と、供給ローラ92と、ブレード93と、トナーメモリ95とを有している。
【0046】
トナー筐体90は、内部にトナーを収容可能である。現像ローラ91は感光体ドラム81にトナーを供給する。
【0047】
現像ローラ91は、軸方向に延びる第2軸91Xについて回転する。図1に示すように、現像ローラ91は、感光体ドラム81の周面に接触する。現像ローラ91は、トナー筐体90に収容されたトナーを感光体ドラム81に供給する。また、現像ローラ91は、感光体ドラム81上の異物を取り除くことが可能である。具体的には、現像ローラ91は、感光体ドラム81に接触して回転することで、摩擦で、紙粉や残トナーなどの異物を擦り落としたり、異物をトナー筐体90内に回収したりすることが可能である。
【0048】
供給ローラ92は、トナー筐体90のトナーを現像ローラ91に供給する。ブレード93は、現像ローラ91に供給されたトナーの層厚を規制する。
【0049】
トナーメモリ95は、記憶部の一部を構成し、トナーカートリッジ情報を記憶する。すなわち、トナーカートリッジ9は、トナーカートリッジ情報を記憶する記憶部として、トナーメモリ95を有している。トナーメモリ95は、例えば、ICチップである。トナーカートリッジ9が装置本体2に装着された状態で、制御部100は、トナーメモリ95と電気的に接続されている。
【0050】
図3に示すように、トナーメモリ95に記憶されているトナーカートリッジ情報は、トナーカートリッジ9を用いて印刷された累積印刷枚数であるトナー印刷枚数と、現像ローラ91の累積回転数である現像回転回数と、トナーカートリッジ9を用いて印刷されたドット数の累積であるトナードットカウントと、のうち少なくとも一つを含む。本実施形態では、トナーメモリ95には、トナーカートリッジの仕様情報と、トナー印刷枚数と、現像回転回数と、トナードットカウントと、が記憶されている。
【0051】
トナーカートリッジの仕様情報は、製造メーカ、トナー容量などのトナーカートリッジ9の仕様に関する情報である。本実施形態では、トナーカートリッジ9の仕様情報は、トナーカートリッジ9のシリアルナンバーであり、シリアルナンバーから製造メーカとトナー容量が特定される。トナー印刷枚数は、トナーカートリッジ9を用いて印刷された累積印刷枚数である。現像回転回数は、現像ローラ91の累積回転数である。トナードットカウントは、トナーカートリッジ9を用いて印刷されたドット数の累積である。
【0052】
本実施形態では、現像ローラ91および転写ローラ82とは別の感光体ドラム81の周面をクリーニングする部材、例えば、感光体ドラム81に接触してクリーニングするクリーニングローラやクリーニングブレードを備えていない。すなわち、感光体ドラム81の周面に紙粉や残トナーなどの異物が付着した場合、現像ローラ91または転写ローラ82でクリーニング以外にはクリーニングすることができない。本実施形態では、感光体ドラム81の周面に紙粉や残トナーなどの異物が付着した場合、そのほとんどが現像ローラ91によって取り除かれるようになっている。本実施形態のように、現像ローラ91および転写ローラ82とは別の感光体ドラム81の周面をクリーニングする部材を備えていない画像形成装置をクリーナレスタイプの画像形成装置と呼ぶことがある。
【0053】
このドラムカートリッジ8では、回転する感光体ドラム81の表面が、帯電器83により一様に帯電された後、スキャナユニット5からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、感光体ドラム81の表面に画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0054】
次いで、回転駆動される現像ローラ91によってトナーカートリッジ9内のトナーが感光体ドラム81の静電潜像に供給されて、感光体ドラム81の表面上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム81と転写ローラ82の間でシートSが搬送されることで、感光体ドラム81の表面に担持されているトナー像がシートS上に転写される。
【0055】
定着装置7は、加熱ローラ71と、加圧ローラ72とを備えている。加圧ローラ72は、加熱ローラ71と向かい合って位置している。加圧ローラ72は、加熱ローラ71を押圧する。定着装置7は、シートS上に転写されたトナーを、シートSが加熱ローラ71と加圧ローラ72との間を通過する間に熱定着する。
【0056】
定着装置7で熱定着されたシートSは、定着装置7の下流側に位置する排紙ローラ24に搬送され、この排紙ローラ24から排紙トレイ25上に送り出される。
【0057】
制御部100は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリ、ASICおよび入出力回路などを備えている。制御部100は、印刷指令と、検出基板200から出力されてくる信号と、ROM等に記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。
【0058】
図4に示すように、画像形成装置1は、温度センサ101と、湿度センサ102と、シートセンサ103と、帯電バイアス印加回路104と、現像バイアス印加回路105と、転写バイアス印加回路106と、を備える。
【0059】
温度センサ101は、画像形成装置1の温度を検知可能である。温度センサ101が検知した温度は、制御部100に送られる。湿度センサ102は、画像形成装置1の湿度を検知可能である。湿度センサ102が検知した湿度は、制御部100に送られる。
【0060】
シートセンサ103は、フィーダ部3と画像形成部4の間に位置する(図1参照)。シートセンサ103は、フィーダ部3から搬送されたシートSを検知可能である。シートセンサ103がシートSを検知した信号は、制御部100に送られる。
【0061】
帯電バイアス印加回路104は、帯電器83の帯電ワイヤ831およびグリッド電極832に電圧を印加する回路である。現像バイアス印加回路105は、現像ローラ91にバイアスを印加する回路である。転写バイアス印加回路106は、転写ローラ82にバイアスを印加する回路である。帯電バイアス印加回路104、現像バイアス印加回路105および転写バイアス印加回路106は、制御部100からの信号により各バイアスを印加する。
【0062】
印刷ジョブが入力されると、入力された印刷ジョブに従って、制御部100は、画像形成を実行する。ここで、制御部100が画像形成する場合に実行する制御について説明する。
【0063】
制御部100は、印刷ジョブが入力された場合、ドラムメモリ85からドラムカートリッジ情報を読み込む。また、制御部100は、印刷ジョブが入力された場合、トナーメモリ95からトナーカートリッジ情報を読み込む。
【0064】
制御部100は、ドラムカートリッジ情報およびトナーカートリッジ情報に基づいて、回転継続時間TCを決定する。回転継続時間TCとは、印刷ジョブの終了後に感光体ドラム81および現像ローラ91の回転を継続させる回転継続処理の時間である。本実施形態では、制御部100は、ドラム印刷枚数とトナー印刷枚数とに基づいて回転継続時間TCを決定する。
【0065】
具体的には、回転継続時間TCは、ドラムカートリッジ8の仕様に基づく第1時間T1と、ドラム印刷枚数に基づく第2時間T2と、トナーカートリッジ9の仕様に基づく第3時間T3と、トナー印刷枚数に基づく第4時間T4と、の合計により決定される(TC=T1+T2+T3+T4)。
【0066】
第1時間T1は、ドラムカートリッジ8の仕様により決定される。図7は、第1時間T1を算出するためのテーブルの一例である。
例えば、ドラムカートリッジ8の製造メーカがX社であり、標準寿命タイプである仕様Aである場合、第1時間T1=0秒である。
例えば、ドラムカートリッジ8の製造メーカがY社であり、標準寿命タイプである仕様Bである場合、第1時間T1=0.1秒である。
例えば、ドラムカートリッジ8の製造メーカがX社であり、高寿命タイプである仕様Cである場合、第1時間T1=0.2秒である。
例えば、ドラムカートリッジ8の製造メーカがY社であり、高寿命タイプである仕様Dである場合、第1時間T1=0.3秒である。
【0067】
第2時間T2は、ドラム印刷枚数によって決定される。第2時間T2は、ドラム印刷枚数が増えるほど大きくなる。第2時間T2は、計算式によって算出してもよいし、予め作成されたテーブルによって決定してもよい。計算式によって算出する場合、ドラムカートリッジ8の仕様による係数(α)にドラム印刷枚数を乗じて算出する(T2=α×ドラム印刷枚数)。本実施形態では、図7に示すテーブルによって、第2時間T2が決定する。
【0068】
第3時間T3は、トナーカートリッジ9の仕様により決定される。図7は、第3時間T3を算出するためのテーブルの一例である。
例えば、トナーカートリッジ9の製造メーカがP社であり、標準容量タイプである仕様Aである場合、第3時間T3=0秒である。
例えば、トナーカートリッジ9の製造メーカがQ社であり、標準容量タイプである仕様Bである場合、第3時間T3=0.2秒である。
例えば、トナーカートリッジ9の製造メーカがP社であり、大容量タイプである仕様Cである場合、第3時間T3=0.4秒である。
例えば、トナーカートリッジ9の製造メーカがQ社であり、大容量タイプである仕様Dである場合、第3時間T3=0.6秒である。
【0069】
第4時間T4は、トナー印刷枚数によって決定される。第4時間T4は、トナー印刷枚数が増えるほど大きくなる。第4時間T4は、第2時間T2よりも印刷枚数ごとに増える時間が長い。第4時間T4は、計算式によって決定してもよいし、予め作成されたテーブルによって決定してもよい。計算式によって算出する場合、トナーカートリッジ9の仕様による係数(β)にドラム印刷枚数を乗じて算出する(T4=β×ドラム印刷枚数)。本実施形態では、図7に示すテーブルによって、第4時間T4が決定する。
【0070】
一例として、ドラムカートリッジ8の製造メーカがY社であり、標準寿命タイプであり、トナーカートリッジ9の製造メーカがQ社であり、標準容量タイプであり、ドラム印刷枚数が5000枚であり、トナー印刷枚数が3000枚であった場合、回転継続時間TC=0.1+1+0.2+1.4=2.7秒となる。
【0071】
制御部100は、回転継続時間TCを決定した後、帯電バイアス、現像バイアスおよび転写バイアスを印加し、感光体ドラム81、現像ローラ91および転写ローラ82を回転させ、画像形成を実行する。このとき、制御部100は、感光体ドラム81を第1帯電バイアスVg1で印加し、現像ローラ91に第1現像バイアスVb1を印加する。また、制御部100は、画像形成をする場合、転写ローラ82に第1転写バイアスD1を印加する。なお、転写バイアスは、定電流になるように制御することとし、図6においては、感光体ドラム81から転写ローラ82に向けて電流が流れる場合を「負」、転写ローラ82から感光体ドラム81に向けて電流が流れる場合を「正」で示している。
【0072】
制御部100は、画像形成の実行に従って、ドラムメモリ85およびトナーメモリ95に記憶されているドラムカートリッジ情報およびトナーカートリッジ情報を更新する更新処理を実行する。この更新処理は、1枚ごとに実行してもよく、所定枚数ごとに実行してもよい。
【0073】
制御部100は、入力された印刷ジョブで画像形成すべき最後のシートSが感光体ドラム81を通過した後、回転継続時間TCが経過するまで、回転継続処理を実行する。このとき、制御部100は、感光体ドラム81を第1帯電バイアスVg1より小さい第2帯電バイアスVg2で帯電させ、現像ローラ91に第1現像バイアスVb1より小さい第2現像バイアスVb2を印加する。また、制御部100は、転写ローラ82に第1転写バイアスD1より絶対値の小さい第2転写バイアスD2を印加する。第2転写バイアスD2は、第1転写バイアスD1に対し、逆の極性であるがよい。第2転写バイアスD2を第1転写バイアスD1の逆極性とすることで、感光体ドラム81上の異物が転写ローラ82に移動しないので、シートSの裏面に異物が付着することを防ぐことができる。
【0074】
制御部100は、最後のシートSが感光体ドラム81を通過した後、回転継続時間TCが経過した場合、帯電バイアス、現像バイアスおよび転写バイアスの印加を停止し、感光体ドラム81、現像ローラ91および転写ローラ82の回転を停止する。
【0075】
次に、図5のフローチャートおよび図6のタイムチャートを参照して、制御部100が実行する処理の一例について説明する。
【0076】
図5に示すように、制御部100は、印刷ジョブが入力されたかを判定する(S1)。ステップS1において、制御部100は、印刷ジョブが入力されたと判定しない場合(S1,No)、印刷ジョブが入力されるまで待つ。
【0077】
ステップS1において、制御部100は、印刷ジョブが入力されたと判定した場合(S1,Yes)、ドラムメモリ85からドラムカートリッジ情報を読み込み、トナーカートリッジ9からトナーカートリッジ情報を読み込む(S2)。
【0078】
ステップS2の後、制御部100は、ドラムカートリッジ情報およびトナーカートリッジ情報に基づいて、回転継続時間TCを決定する(S3)。
【0079】
ステップS3の後、制御部100は、帯電バイアス、現像バイアス、転写バイアスを印加し、感光体ドラム81、現像ローラ91、転写ローラ82を回転させる(S4)。
【0080】
ステップS4の後、制御部100は、シートSを供給して画像形成を実行する(S5)。
【0081】
ステップS5の後、制御部100は、画像形成の実行に伴い、印刷枚数、感光体ドラム81の回転回数、現像ローラ91の回転回数およびドットカウントに応じて、ドラムカートリッジ情報およびトナーカートリッジ情報を更新する(S6)。
【0082】
ステップS6の後、制御部100は、印刷ジョブの最後のシートであるかを判定する(S7)。
【0083】
ステップS7において、制御部100は、印刷ジョブの最後のシートであると判定しない場合(S7,No)、次のシートについて画像形成を継続する(S5)。一方、ステップS7において、制御部100は、印刷ジョブの最後のシートであると判定した場合(S7,Yes)、帯電バイアスおよび現像バイアスを下げる(S8)。具体的には、図6に示すように、制御部100は、グリッド電圧をVg1からVg2に下げ(時刻t1)、現像バイアスをVb1からVb2に下げる(時刻t2)。なお、制御部100は、印刷ジョブの最後のシートの後端がシートセンサ103を通過してからの時間を計測することで時刻t1および時刻t2のタイミングを決定する。
【0084】
ステップS8の後、制御部100は、画像形成すべき最後のシートSの後端が感光体ドラム81を通過したかを判定し、画像形成すべき最後のシートSの後端が感光体ドラム81を通過したと判定した場合(S9,Yes)、回転継続処理を実行する(時刻t3)。制御部100は、画像形成すべき最後のシートSの後端が感光体ドラム81を通過した後、すぐに転写バイアスの絶対値を小さくする(S10、時刻t4)。具体的には、制御部100は、転写バイアスを第1転写バイアスD1から第2転写バイアスD2にする。なお、制御部100は、印刷ジョブの最後のシートSの後端がシートセンサ103を通過してからの時間を計測することで時刻t3および時刻t4のタイミングを決定する。
【0085】
ステップS10の後、制御部100は、回転継続処理を開始してから、つまり、画像形成すべき最後のシートSの後端が感光体ドラム81を通過してから回転継続時間TCが経過したかを判定し(S11)、回転継続処理を開始してから回転継続時間TCが経過したと判定した場合(S11,Yes)、帯電バイアス、現像バイアス、転写バイアスの印加を停止し、感光体ドラム81、現像ローラ91および転写ローラ82の回転を停止する(S12、時刻t5)。
【0086】
上述した画像形成装置1によれば、次のような効果を奏することができる。
【0087】
制御部100は、ドラムカートリッジ情報およびトナーカートリッジ情報に基づいて、回転継続時間TCを決定し、画像形成が終了してから回転継続処理を実行する。本実施形態では、制御部100は、ドラム印刷枚数とトナー印刷枚数とに基づいて回転継続時間TCを決定している。このため、ドラム印刷枚数が増えるにつれて感光体ドラム81に付着する異物が増えても、それに対応して回転継続時間TCを長くするので、適切に異物を取り除くことができる。また、トナー印刷枚数が増えるにつれて感光体ドラム81に付着する異物が増えても、それに対応して回転継続時間TCを長くするので、適切に異物を取り除くことができる。また、感光体ドラム81に付着する異物を取り除くことだけを考えるのであれば、回転継続時間TCをとても長くすればよいとも思われるが、回転継続時間TCを長くすると電力を余分に消費し、各部材が劣化していくため、回転継続時間TCはなるべく短くすることが望ましいといえる。このため、本実施形態の画像形成装置1によれば、ドラムカートリッジ8およびトナーカートリッジ9の使用状態に応じて、感光体ドラム81上の異物を適切に取り除くことができる。
【0088】
また、本実施形態においては、現像ローラ91および転写ローラ82とは別の感光体ドラム81の周面をクリーニングする部材を備えていない、いわゆるクリーナレスタイプの画像形成装置である。しかし、現像ローラ91および転写ローラ82とは別の感光体ドラム81の周面をクリーニングする部材を備えていない構成であっても、画像形成装置1によれば、回転継続処理を実行することで、感光体ドラム81上の異物を適切に取り除くことができる。
【0089】
また、制御部100は、回転継続処理を実行する場合、感光体ドラム81を第1帯電バイアスVg1より小さい第2帯電バイアスVg2で帯電させるため、電力消費を抑制でき、帯電器83の劣化を抑制できる。
【0090】
また、制御部100は、回転継続処理を実行する場合、現像ローラ91に第1現像バイアスVb1より小さい第2現像バイアスVb2を印加するため、電力消費を抑制できる。
【0091】
また、制御部100は、回転継続処理を実行する場合、転写ローラ82に第1転写バイアスD1より絶対値の小さい第2転写バイアスD2を印加するため、電力消費を抑制できる。
【0092】
なお、本開示は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0093】
上述した実施形態においては、制御部100は、ドラム印刷枚数とトナー印刷枚数とに基づいて、第2時間T2および第4時間T4を決定していたが、制御部100は、ドラム回転回数と現像回転回数とに基づいて第2時間T2を決定してもよい。
第2時間T2は、ドラム回転回数が増えるほど大きくなる。第2時間T2は、計算式によって算出してもよいし、予め作成されたテーブルによって決定してもよい。計算式によって算出する場合、ドラムカートリッジ8の仕様による係数(γ)にドラム回転回数を乗じて算出する(T2=γ×ドラム回転回数)。また、図11(a)に示すテーブルによって、第2時間T2を決定してもよい。
第4時間T4は、現像回転回数が増えるほど大きくなる。第4時間T4は、計算式によって算出してもよいし、予め作成されたテーブルによって決定してもよい。計算式によって算出する場合、トナーカートリッジ9の仕様による係数(δ)に現像回転回数を乗じて算出する(T4=δ×現像回転回数)。また、図11(a)に示すテーブルによって、第4時間T4を決定してもよい。
【0094】
上述した実施形態においては、制御部100は、ドラム印刷枚数とトナー印刷枚数とに基づいて第4時間T4を決定していたが、制御部100は、ドラム印刷枚数またはドラム回転回数と、トナードットカウントと、に基づいて第4時間T4を決定してもよい。
第4時間T4は、現像回転回数が増えるほど大きくなる。第4時間T4は、計算式によって算出してもよいし、予め作成されたテーブルによって決定してもよい。計算式によって算出する場合、トナーカートリッジ9の仕様による係数(θ)にトナードットカウントを乗じて算出する(T4=θ×トナードットカウント)。また、図11(b)に示すテーブルによって、第4時間T4を決定してもよい。
【0095】
上述した実施形態においては、制御部100は、印刷可能範囲における平均ドット占有率を考慮せずに回転継続時間TCを決定していたが、制御部100は、印刷可能範囲における平均ドット占有率が所定値未満である場合、平均ドット占有率が所定値以上である場合よりも回転継続時間TCを長くしてもよい。具体的には、一例として、制御部100は、印刷可能範囲における平均ドット占有率が5%未満である場合、平均ドット占有率が5%以上である場合よりも回転継続時間TCを1.5倍に長くする。
平均ドット占有率が所定値未満である場合、トナーに含まれる外添剤も少なくなるため、平均ドット占有率が所定値以上である場合よりも感光体ドラム81に異物を取り除くための研磨力が低下する。これを補填するために、制御部100は、回転継続時間TCを長くすることで、感光体ドラム81上の異物を適切に取り除くことができる。
【0096】
上述した実施形態においては、制御部100は、画像形成をする場合と、回転継続処理をする場合と、で感光体ドラム81の回転速度と現像ローラ91の回転速度の速度差を変えていなかったが、制御部100は、回転継続処理を実行する場合、画像形成をする場合よりも、感光体ドラム81の回転速度と現像ローラ91の回転速度の速度差を大きくする構成としてもよい。
この構成によれば、回転継続処理を実行する場合、感光体ドラム81の回転速度と現像ローラ91の回転速度の速度差を大きくすることで、速度差を大きくしない場合と比べて感光体ドラム81上の異物を多く取り除くことができるようになる。
【0097】
上述した実施形態においては、温度センサ101で検知した温度および湿度センサ103で検知した湿度が変化しても回転継続時間TCを変えない構成であった。しかし、制御部100は、温度センサ101および湿度センサ102で検知した温度や湿度に基づいて画像形成装置1が設置されている環境が標準環境でない非標準環境であると判定し、非標準環境である場合、標準環境である場合よりも回転継続時間TCを長くしてもよい。図8に示すように、制御部100は、温度が第1閾値(温度K2)より大きく、かつ、湿度が第2閾値(湿度H2)より大きい場合、または、温度が第1閾値(温度K2)より小さい第3閾値(温度K1)より小さく、かつ、湿度が第2閾値(湿度H2)より小さい第4閾値(温度K1)より小さい場合、標準環境でない非標準環境であると判定する。
具体的には、温度がK2以上、かつ、湿度がH2以上であった場合、制御部100は、高温高湿環境であると判定し、非標準環境であるため、回転継続時間TCを標準環境である場合と比較して2倍の長さとする。一例としてK2=25℃、H2=60%とすることができる。
同様に、温度がK1未満、かつ、湿度がH1未満であった場合、制御部100は、低温低湿環境であると判定し、非標準環境であるため、回転継続時間TCを標準環境である場合と比較して2倍の長さとする。一例としてK1=15℃、H1=30%とすることができる。
非標準環境である場合、標準環境である場合と比べて感光体ドラム81上の異物が取り除きにくくなるため、回転継続時間TCを長くすることにより、感光体ドラム81上の異物を適切に取り除くことができる。
【0098】
上述した実施形態においては、トナーカートリッジ9が現像ローラ91を有する構成であったが、ドラムカートリッジが現像ローラを有する構成であってもよい。例えば、図9に示すドラムカートリッジ108は、現像ローラ91を有し、トナーカートリッジ109は、現像カートリッジを有していない。この場合、図10に示すように、ドラムカートリッジ108のドラムメモリ185には、ドラムカートリッジ情報として、ドラムカートリッジの仕様情報と、ドラム印刷枚数と、ドラム回転回数と、現像回転回数と、が記憶されている。トナーメモリ95には、トナーカートリッジ情報として、トナーカートリッジの仕様情報と、トナー印刷枚数と、トナードットカウントと、が記憶されている。
図9図10に示す形態であっても、制御部100は、ドラムカートリッジ情報およびトナーカートリッジ情報に基づいて、回転継続時間TCを決定し、印刷ジョブが終了してから回転継続処理を実行することで、ドラムカートリッジ108およびトナーカートリッジ109の使用状態に応じて、感光体ドラム81上の異物を適切に取り除くことができる。
【0099】
上述した実施形態においては、回転継続処理を実行する場合、画像形成時と比較して、ワイヤ電圧、現像バイアスおよび転写バイアスを小さくしていたが、回転継続処理の実行時にワイヤ電圧、現像バイアスおよび転写バイアスをOFFにして、バイアスをかけなくてもよい。バイアスをゼロとすることで、消費電力を抑制できる。
【0100】
上述した実施形態においては、回転継続処理を実行する場合の転写バイアスである第2転写バイアスD2を第1転写バイアスD1の逆極性としていたが、逆極性としなくてもよい。また、高温高湿環境の場合のみ逆極性としない構成としてもよい。
高温高湿環境においては、トナーの極性が逆極性となりやすいため、第2転写バイアスD2を逆極性としないことで、感光体ドラム81上の異物が転写ローラ82に移動することを抑制できる。
【0101】
上述した実施形態においては、ドラムカートリッジは、ドラムカートリッジ情報を記憶する記憶部として、ドラムメモリを有していたが、ドラムカートリッジがドラムメモリを有していなくてもよい。ドラムカートリッジがドラムメモリを有していない場合、ドラムカートリッジ情報は画像形成装置が有する本体メモリ(図示省略)に記憶させておけばよい。
【0102】
上述した実施形態においては、トナーカートリッジは、トナーカートリッジ情報を記憶する記憶部として、トナーメモリを有していたが、トナーカートリッジがトナーメモリを有していなくてもよい。トナーカートリッジがトナーメモリを有していない場合、トナーカートリッジ情報は画像形成装置が有する本体メモリ(図示省略)に記憶させておけばよい。
【0103】
上述した実施形態においては、トナーカートリッジ9はドラムカートリッジ8に組み付けられた状態で装置本体2に対して着脱可能であったが、トナーカートリッジおよびドラムカートリッジがそれぞれ単体で装置本体に対して装着可能であってもよい。
【0104】
上述した実施形態では、画像形成装置1がモノクロ用のレーザプリンタであったが、これに限定されず、カラープリンタ、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに適用してもよい。
【0105】
上述した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0106】
1 画像形成装置
2 装置本体
8 ドラムカートリッジ
9 トナーカートリッジ
81 感光体ドラム
82 転写ローラ
83 帯電器
85 ドラムメモリ
90 トナー筐体
91 現像ローラ
95 トナーメモリ
100 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11