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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018008
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】収穫装置
(51)【国際特許分類】
   A01D 45/26 20060101AFI20240201BHJP
   A01G 31/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A01D45/26
A01G31/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121037
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000211592
【氏名又は名称】株式会社日立産機中条エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】泉田 孝宏
【テーマコード(参考)】
2B075
2B314
【Fターム(参考)】
2B075GA06
2B314MA67
2B314NA02
2B314NA24
2B314PD69
(57)【要約】
【課題】 収穫作業を自動化する収穫装置を提供する。
【解決手段】 栽培パネルにおいて生育した収穫物を収穫する収穫装置であって、栽ネルにおける苗床から、収穫物を、切り取るカット部と、収穫物を保持および搬送する保持・搬送部と、カット部と、保持・搬送部の開閉動作を行うハンドチャック部と、ハンドチャック部と接続されたロボットとを有する収穫装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培パネルにおいて生育した収穫物を収穫する収穫装置であって、
前記栽培パネルにおける苗床から、前記収穫物を、切り取るカット部と、
前記収穫物を保持および搬送する保持・搬送部と、
前記カット部と、前記保持・搬送部の開閉動作を行うハンドチャック部と、
前記ハンドチャック部と接続されたロボットとを有する収穫装置。
【請求項2】
請求項1に記載の収穫装置において、
前記カット部は、ハサミであり、
前記保持・搬送部は、
前記ハサミの外側から前記収穫物を保持する構成である収穫装置。
【請求項3】
請求項2に記載の収穫装置において、
前記保持・搬送部は、
2本の保持部材を有し、
前記保持部材の先端部は、それぞれ、前記収穫物に対して近くなる方向に傾斜部を有する収穫装置。
【請求項4】
請求項1に記載の収穫装置において、
前記ロボットを移動させることで、
前記栽培パネルにおける収穫物を収穫し、
収穫した前記収穫物を搬送部に移動させる収穫装置。
【請求項5】
請求項1に記載の収穫装置において、
前記ハンドチャック部は、2本の直方体を有し、
それぞれの前記直方体が、開閉方向に移動することで、前記カット部と、前記保持・搬送部を、開閉動作させる収穫装置。
【請求項6】
請求項1に記載の収穫装置において、
前記カット部と前記ハンドチャック部の間に、前記カット部を支持する支持部材を有する収穫装置。
【請求項7】
請求項1に記載の収穫装置において、
前記栽培パネルは、
前記収穫物が埋められた複数の穴を有し、
前記穴は、前記栽培パネルの縦横の平面に、間隔を置いて配置されている収穫装置。
【請求項8】
請求項4に記載の収穫装置において、
制御部を有し、
前記制御部が、
前記開閉動作の制御、および前記ロボットの移動を制御する収穫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水耕栽培において、種が撒かれ発芽した苗が植えられている苗床では、苗は縦横に区分された単位苗床毎に植えられている。苗が生育して大きくなると、苗間距離を確保するために、苗は移植装置により水耕パネルへ移植される。特許文献1には、苗の移植装置として「個別苗床を把持する把持手段と、前記把持手段を苗床から水耕パネルへ移動する移動機構と、を備え、前記把持手段は、前記個別苗床を両側から把持する把持爪を有し、前記把持爪は、前記個別苗床を把持する内側の面に上下方向に伸びる複数の溝部または凸部を有する」技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-141870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物工場における野菜などの収穫作業は現状、人手により行われている。しかし、植物工場の大規模化により日々の収穫量も多くなっている。特許文献1には、良好に苗の移植ができる苗の移植装置については開示されているが、野菜などの収穫作業の自動化については、配慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、収穫作業を自動化する収穫装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一例としては、栽培パネルにおいて生育した収穫物を収穫する収穫装置であって、
前記栽培パネルにおける苗床から、前記収穫物を、切り取るカット部と、
前記収穫物を保持および搬送する保持・搬送部と、
前記カット部と、前記保持・搬送部の開閉動作を行うハンドチャック部と、
前記ハンドチャック部と接続されたロボットとを有する収穫装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、収穫作業を自動化する収穫装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の収穫装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】収穫装置が収穫する際の平面図である。
図3】収穫装置を側面から見た図である。
図4】収穫する際の収穫装置の先端部の拡大図である。
図5】保持・搬送アームの動きを説明するための図である。
図6】収穫装置を正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。なお、実施の形態を説明するための各図において、同一の構成要素には同一の名称、符号を付して、その繰り返しの説明を省略する。
【実施例0010】
図1は、本発明の実施例1である収穫装置の全体構成を示す斜視図である。本実施例の収穫装置は、収穫物を切り取るカット部としての収穫用ハサミ4と、収穫物を保持および搬送する保持・搬送アーム5と、収穫用ハサミ4と保持・搬送アーム5の開閉動作を行うハンドチャック2と、収穫用ハサミ4とハンドチャック2の間に配置され収穫用ハサミ4を支持する支持部材としてのハサミ取付金具3と、ハンドチャック2を、その先端部に接続させた多軸ロボット1とを有する。
【0011】
ハンドチャック2が行う開閉動作は、電動もしくはエアーの駆動力を利用することができる。
【0012】
収穫対象の野菜は、葉物野菜がメインとなるが、品種により栽培パネルの仕様、収穫野菜が異なるため、対応し易い多軸ロボット1を備えた収穫装置とした。収穫物の位置まで動く動作、もしくは収穫物を避ける動作、もしくは旋回する動作を必要とするので、図1では6軸ロボットの例を示すが、2軸以上の軸を備えた多軸ロボットを使うようにしてもよい。
【0013】
ハンドチャック2は、2本の直方体を有し、それぞれの直方体が、開閉方向に移動することで、収穫用ハサミ4と保持・搬送アーム5を、開閉動作させる。
【0014】
収穫用ハサミ4、保持・搬送アーム5、およびハサミ取付金具3は、ハンドチャック2の動きと連動する構造であり、ハンドチャック2の動きに合わせて開閉する。収穫用ハサミ4はハサミ取付金具3に支持される。収穫用ハサミ4を、ハサミ取付金具3に対して完全に固定しないで、ハサミ取付金具3への固定を緩めにして、少しガタツキが有るように、固定する。このような構造にすることで、野菜に収穫用ハサミ4の刃を入れた際に、収穫用ハサミ4が野菜に倣う構造となる。そのため、野菜をカットし易くなる。
【0015】
図2は、収穫装置が、栽培パネルにおいて生育した野菜を収穫する際の様子を、上側から見た平面図である。本実施例の多軸ロボット1を有する収穫装置では、多軸ロボット1が前後左右の方向に平面内を移動することで、栽培パネル6の野菜を収穫する位置まで移動した場合を示す。図示は省略したが、多軸ロボット1が、搬送部の上に搭載されて、その搬送部が、平面内を移動することで、多軸ロボット1を含む収穫装置が、野菜を収穫する位置まで移動できるような構成としてもよい。
【0016】
多軸ロボット1にテレビカメラを搭載し、栽培パネル6を撮像し、多軸ロボット1の制御部が、収穫装置と栽培パネル6との間の位置決め制御をすることができる。テレビカメラは、多軸ロボット1以外の栽培パネル6側に配置するようにしてもよい。
【0017】
栽培パネル6は、ウレタンシートなどの発泡樹脂で平板状に構成され、縦横に区分けしたそれぞれの中央部に穴が設けられ、栽培パネル6には、複数の穴がは配置されている。個別の苗床8をそれぞれの穴に挿入して、水耕栽培が行なわれる。
【0018】
図3は、収穫装置が、栽培パネルにおいて生育した野菜を収穫する際の様子を、収穫装置の側面側から見た側面図である。多軸ロボット1により収穫位置まで移動した収穫用ハサミ4は、ハンドチャック2のチャック動作により、閉じられる。そして、野菜が、収穫用ハサミ4の刃によりカットされることで、苗床と野菜とが切り分けられる。
【0019】
図2図3では、多軸ロボット1が栽培パネル6の近傍まで、収穫装置を移動した場合を示した。それに限らず、例えば、栽培パネル6を、図示を省略したコンベアなどの搬送部に搭載し、その搬送部が栽培パネル6を収穫装置の近傍まで移動させるような構成としてもよい。
【0020】
図4は、収穫装置が収穫物である野菜7を収穫する際における、収穫装置の先端部の斜視図である。ウレタンシートなどの発泡樹脂で平板状に構成される苗床8には、種が撒かれ、苗の成長に合わせて苗間距離を大きく確保するために、栽培パネル6へ移植される。図4では、収穫時を迎えた苗床8の野菜を、本実施例の収穫装置が収穫する様子を示す。ハサミ取付金具3から、収穫用ハサミ4を取り外すことができる構造としている。そのため、収穫用ハサミ4のサイズは、収穫物の種類によって、交換することが可能になり、収穫作業を効率化できる。
【0021】
図5は、保持・搬送アーム5の動きを説明するための図である。図5では、保持・搬送アーム5の内側に配置される収穫用ハサミ4は省略している。収穫用ハサミ4でカットされた野菜は、収穫箱等に移替えが必要となる。収穫用ハサミ4単体では野菜を保持出来ないため、収穫物を保持および搬送する保持・搬送アーム5が必要となる。
【0022】
ハンドチャック2のチャック動作により、保持・搬送アーム5は、開閉方向9に移動する。収穫用ハサミ4が閉じる方向に移動した際には、それと同じ方向に閉じて、野菜を保持する。収穫用ハサミ4が開く方向に移動した際には、保持・搬送アーム5は、収穫用ハサミ4と同じ方向に開いて、野菜の保持をやめて、解放する。
【0023】
野菜をカットした後の保持・搬送アーム5、多軸ロボット1の動きは、次の(1)から(4)のとおりである。収穫装置の制御部が、(1)から(4)の手順で、保持・搬送アーム5、および多軸ロボット1の動きを制御する。
(1)収穫用ハサミ4でカットした野菜を回収するため、カットした野菜を、保持・搬送アーム5が閉じて、保持する。
(2)保持・搬送アーム5に保持された野菜は、多軸ロボット1が移動することで、搬送コンベア等の搬送装置(図示は省略)まで野菜を移動させる。
(3)搬送装置へ移動した後、保持・搬送アーム5を開き、野菜を搬送装置へ投入する。
(4)搬送装置への投入が完了した多軸ロボット1は、栽培パネルにおける次に収穫する野菜のカット位置まで移動する。
【0024】
以降、(1)から(4)の動きを繰り返す。
【0025】
カットの瞬間に、野菜は、収穫用ハサミ4の先端部方向へ逃げて倒れてしまう場合がある。そのため、保持・搬送アーム5は、野菜の逃げ防止、および野菜が倒れ防止する役割を果たしている。また、保持・搬送アーム5は、カット部の余分な葉を避ける役割も果たしている。
【0026】
保持・搬送アーム5の開閉タイミングは収穫用ハサミ4とほぼ同時となる。詳細に述べると、保持・搬送アーム5は、開閉方向9の互いに離れた位置に2本の保持部材を有している。保持部材の先端部は、それぞれ、収穫物に対して近くなる方向に傾斜部を有する。そのため、収穫物を保持する際には、保持・搬送アーム5は、収穫用ハサミ4が、野菜をカットする一瞬前に、野菜を保持する。保持・搬送アーム5の長さ、開閉タイミング、開き幅については野菜品種により変更させ作業の安定化を図れる構造としている。
【0027】
保持・搬送アーム5は、ハサミ取付金具3から取り外せる構造にしておき、収穫する品種により、交換して、長さ(大きさ)を変更することができる。そうすることで、収穫物の保持もしくは解放の作業を効率化できる。
【0028】
制御部は、多軸ロボット1の動きを制御する。さらに、制御部は、ハンドチャック2のチャック動作を制御することで、収穫用ハサミ4、保持・搬送アーム5の開閉動作を制御する。
【0029】
制御部は、プロセッサーなどの処理装置、メモリなどの記録部などを有するハードウェア構成としてもよい。また、制御部は、記録部に格納したプログラムを、処理装置が読み出して、上述したような各種の制御を、実行するような構成としてもよい。
【0030】
ここでは、制御部は、多軸ロボット1の中に搭載して、多軸ロボット1などの動きを制御する構成としているが、多軸ロボット1の外のクラウドコンピュータが制御部となり、制御部は、多軸ロボット1などとは、無線で通信するような構成であってもよい。
【0031】
図6は、収穫装置の先端部を正面から見た図である。図6の左側の図は、収穫用ハサミ4、保持・搬送アーム5を、野菜に近づく方向に、閉じた際の様子を示す。図6の右側の図は、収穫用ハサミ4、保持・搬送アーム5を、野菜から離れる側に、開いた際の様子を示す。保持・搬送アーム5は、収穫用ハサミ4の上側に配置され、野菜を中心として、収穫用ハサミ4の左右の外側に配置される。そして、保持・搬送アーム5は、収穫用ハサミ4を閉じたタイミングで、野菜を左右から保持するように動作をすることがわかる。
【符号の説明】
【0032】
1 多軸ロボット、
2 ハンドチャック、
3 ハサミ取付金具、
4 収穫用ハサミ、
5 保持・搬送アーム、
6 栽培パネル、
7 収穫物(野菜)、
8 苗床、
9 開閉方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6