(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180081
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】発光装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20241219BHJP
H01L 33/42 20100101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/42
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099522
(22)【出願日】2023-06-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)本願は、令和2年度、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)、研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)「高臨場感VR/ARディスプレイのための高輝度フルカラーモノリシックLEDの開発」委託研究の成果である、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】599002043
【氏名又は名称】学校法人 名城大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】上田 吉裕
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 素顕
(72)【発明者】
【氏名】末広 好伸
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 竜成
(72)【発明者】
【氏名】井村 慧悟
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA14
5F241CA05
5F241CA13
5F241CA40
5F241CA65
5F241CA74
5F241CA88
5F241CB11
5F241CB27
5F241CB36
(57)【要約】
【課題】従来とは異なる手法によって発光装置における迷光を低減する。
【解決手段】発光装置(10V)は、複数の発光素子(DV)を備えている。発光素子(DV)は、アノード(AN)およびカソード(CA)と、光吸収体(HK)と、を有しており、複数の発光素子(DV)のうち、互いに隣接している2つの発光素子(例:第1発光素子DV1および第2発光素子DV2)は、電気的に絶縁されている。光吸収体(HK)は、(i)発光装置(10V)の光取出側から見た場合に、アノード(AN)よりも下方に位置しているアノード側光吸収体(HKA)、および、(ii)当該光取出側から見た場合に、カソード(CA)よりも下方に位置しているカソード側光吸収体(HKC)、の少なくとも一方を含んでいる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を備えた発光装置であって、
前記発光素子は、アノードおよびカソードと、光吸収体と、を有しており、
複数の前記発光素子のうち、互いに隣接している2つの発光素子は、電気的に絶縁されており、
前記光吸収体は、(i)前記発光装置の光取出側から見た場合に、前記アノードよりも下方に位置しているアノード側光吸収体、および、(ii)前記光取出側から見た場合に、前記カソードよりも下方に位置しているカソード側光吸収体、の少なくとも一方を含んでいる、発光装置。
【請求項2】
前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一方は、光透過性を有している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一方は、材料として、ITO、FTO、IGZO、ZnO、シリサイド、およびSiCのうちの少なくとも1つを含んでいる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光吸収体の屈折率と前記発光素子を構成する半導体材料の屈折率との差は、±0.5以内である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記光吸収体の消衰係数は、5以上である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項6】
前記光吸収体の厚さは、0.5μm以上かつ5μm以下である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記光吸収体は、導電性を有している、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記光吸収体は、IV族半導体、窒化物を除くIII-V族半導体、C、または金属硫化物を含んでいる、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
前記光吸収体は、(i)Cを主成分として含むグラファイトである、または、(ii)CおよびHを含むDLCである、請求項1に記載の発光装置。
【請求項10】
複数の前記発光素子は、第1発光素子と第2発光素子とを含んでおり、
前記第1発光素子は、第1色光を発する第1発光層を有しており、
前記第2発光素子は、前記第1色光とは異なる色を有する第2色光を発する第2発光層を有しており、
前記発光装置の光取出面から前記第1発光層までの距離は、前記光取出面から前記第2発光層までの距離とは異なっている、請求項1に記載の発光装置。
【請求項11】
前記光取出面から前記第1発光素子の前記光吸収体までの距離は、前記光取出面から前記第2発光素子の前記光吸収体までの距離とは異なっている、請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
複数の前記発光素子は、第1発光素子と第2発光素子とを含んでおり、
前記第1発光素子および前記第2発光素子はそれぞれ、第1色光を発する第1発光層を有しており、
前記発光装置の光取出面から前記第1発光素子の前記第1発光層までの距離は、前記光取出面から前記第2発光素子の前記第1発光層までの距離と等しい、請求項1に記載の発光装置。
【請求項13】
前記光取出面から前記第1発光素子の前記光吸収体までの距離は、前記光取出面から前記第2発光素子の前記光吸収体までの距離と等しい、請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
請求項1に記載の発光装置を備えている、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、迷光を低減することを一目的とした発光装置の構成例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の一態様の目的は、従来とは異なる手法によって発光装置における迷光を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る表示装置は、複数の発光素子を備えた発光装置であって、前記発光素子は、アノードおよびカソードと、光吸収体と、を有しており、複数の前記発光素子のうち、互いに隣接している2つの発光素子は、電気的に絶縁されており、前記光吸収体は、(i)前記発光装置の光取出側から見た場合に、前記アノードよりも下方に位置しているアノード側光吸収体、および、(ii)前記光取出側から見た場合に、前記カソードよりも下方に位置しているカソード側光吸収体、の少なくとも一方を含んでいる。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、従来とは異なる手法によって発光装置における迷光を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1に係る発光装置の製造方法の例を示すフローチャートである。
【
図2】実施形態1に係る製造方法の例を示す断面図である。
【
図3】実施形態1に係る製造方法の例を示す断面図である。
【
図4】実施形態1に係る製造方法の例を示す断面図である。
【
図5】実施形態1に係る製造方法の例を示す断面図である。
【
図6】実施形態1に係る表示装置の構成例を示す断面図である。
【
図7】実施形態2に係る発光装置の構成を概略的に示す。
【
図8】実施形態2に係る発光装置についての模式的な断面図を示す。
【
図9】発明者らによって実際に製造された複数の発光素子を表す画像の例を示す。
【
図10】本開示の一態様に係る発光装置における迷光の発生要因について説明するための図である。
【
図11】シミュレーションにおける光強度の測定方向を示す。
【
図12】シミュレーションによって導出された、第1モデルおよび第2モデルのそれぞれにおける光強度の分布の例を示す。
【
図13】第1モデルにおいて生じる迷光を模式的に表す。
【
図14】第2モデルにおいて生じる迷光を模式的に表す。
【
図15】実施形態2に係る発光装置の別の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
実施形態1について以下に説明する。説明の便宜上、実施形態1にて説明したコンポーネント(構成要素)と同じ機能を有するコンポーネントについては、以降の各実施形態では同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。簡潔化のため、公知の技術事項についても説明を適宜省略する。
【0009】
本明細書において述べる各コンポーネント、各材料、および各数値はいずれも、内容上矛盾のない限り、単なる例示である。それゆえ、内容上矛盾のない限り、例えば各コンポーネントの位置関係および接続関係は各図の例に限定されない。また、各図は必ずしもスケール通りに図示されていない。本明細書では、特に矛盾のない限り、2つの数AおよびBについての表記「A~B」は、「A以上かつB以下」を表す。
【0010】
(発光装置10)
図1は、実施形態1に係る発光装置10の製造方法の例を示すフローチャートである。
図2~
図5は、発光装置10の製造方法の例を示す断面図である。
図1~
図5に示すように、ステップS20では、成長用基板SK(例えば、C面サファイア基板)上に半導体結晶SLを、MOCVD装置等を用いてエピタキシャル成長させる。半導体結晶SLは窒化物半導体結晶であってよい。窒化物半導体としては、GaN系半導体のほか、AlN(窒化アルミニウム)およびInN(窒化インジウム)等を挙げることができる。
【0011】
ステップS20は、バッファ層BA、下地層U1、カソードコンタクト層C1、第1発光層E1、中間層G1、p型層H1、トンネルジャンクション層T1、およびアノードコンタクト層F1をこの順に形成するステップ20aと、下地層U2、カソードコンタクト層C2、第2発光層E2、中間層G2、p型層H2、トンネルジャンクション層T2、およびアノードコンタクト層F2をこの順に形成するステップ20bと、下地層U3、カソードコンタクト層C3、第3発光層E3、中間層G3、p型層H3、トンネルジャンクション層T3、およびアノードコンタクト層F3をこの順に形成するステップ20cとを含む。ステップ20a~20cは、例えばMOCVD装置内においてシーケンシャルに行うことができる。
【0012】
バッファ層BAは、低温(例えば600℃以下)形成の窒化ガリウム結晶(例えば厚さ40〔nm〕)であってよい。下地層U1・U2・U3は、ノンドープの窒化ガリウム結晶(例えば厚さ2〔μm〕)であってよい。カソードコンタクト層C1・C2・C3は、n型の窒化ガリウム結晶(例えば厚さ2〔μm〕)であってよい。第1発光層E1、第2発光層E2および第3発光層E3は、MQW(多重量子井戸)構造の活性層であってよい。例えば、波長450〔nm〕程度の青色光を発する第1発光層E1として、厚さ50〔nm〕であってIn(インジウム)の組成比が20%の窒化インジウムガリウム(InとGaの原子比が1:4の混晶)を用いることができる。例えば、波長550〔nm〕程度の緑色光を発する第2発光層E2として、Inの組成比が25%の窒化インジウムガリウム(混晶)を用いることができる。例えば、波長630〔nm〕程度の赤色光を発する第3発光層E3として、Inの組成比が30%の窒化インジウムガリウム(混晶)を用いることができる。中間層G1・G2・G3は、p型の窒化アルミニウムガリウム結晶(例えば厚さ20〔nm〕)であってよい。p型層H1・H2・H3は、p型の窒化ガリウム結晶(例えば厚さ120〔nm〕)であってよい。トンネルジャンクション層T1・T2・T3は、ノンドープ型の窒化ガリウム結晶(例えば厚さ25〔nm〕)であってよい。アノードコンタクト層F1・F2・F3は、n型の窒化ガリウム結晶(例えば厚さ400〔nm〕)であってよい。
【0013】
ステップS22では、半導体結晶SLをドライエッチングによってパターニングし、カソードコンタクト層C1・C2・C3を露出させる。ステップS22のエッチングマスクとして、レジストあるいはリフトオフ法でパターニングした無機膜(酸化シリコン膜、ニッケル膜等)を用いることができる。ドライエッチングには、塩素またはフッ素等のハロゲンを用いた反応性イオンエッチング(RIE)法を適用することができる。エッチングマスクは、リムーバ、酸性溶液等によって除去する。
【0014】
ステップS24では、アノードコンタクト層F1・F2・F3上にアノードA1・A2・A3を形成すると同時に、カソードコンタクト層C1・C2・C3上にカソードK1・K2・K3を形成する。具体的には、レジストをマスクとして蒸着した電極材(例えば、アルミニウムとチタンの積層膜)をリフトオフ法でパターニングした。
【0015】
ステップS26では、半導体結晶SLをドライエッチングによってパターニングし、第1半導体層11、第2半導体層12および第3半導体層13を形成した。ここでは、素子分離する領域以外をレジストで保護し、例えばハロゲン系RIE法によって、素子間に成長用基板SKが露出するように、半導体結晶SLのうち素子間の部分を完全に除去した。成長用基板SK自体をエッチングして、成長用基板SKに凹凸を形成してもよい。電気的な素子分離は、第1発光層E1、第2発光層E2および第3発光層E3の直下でエッチングを停止すれば足りるが、光学的な素子分離のために、成長用基板SKの表面が露出するようにエッチングを行ってもよい。
【0016】
ステップS28では、第1半導体層11に含まれる第1側壁W1と、第2半導体層12に含まれる第2側壁W2および第4側壁W4と、第3半導体層13に含まれる第3側壁W3とを覆う保護膜PFを形成し、第1発光素子D1、第2発光素子D2および第3発光素子D3を得る。ここでは、アノードA1・A2・A3およびカソードK1・K2・K3を覆うマスクをフォトリソグラフィ法等により形成した後に電子ビーム蒸着によって第1~第4側壁W1~W4を覆う酸化シリコンを形成し、保護膜PFとした。保護膜PFは、素子間の短絡防止および酸化防止の機能がある。
【0017】
ステップS30では、第1発光素子D1、第2発光素子D2および第3発光素子D3を、導電層JCを介して駆動基板DKに実装し、発光装置10を得る。導電層JCには、半田あるいは異方導電性接着材を用いることができる。
【0018】
発光装置10は、アノードA1・A2・A3の正孔を、n型半導体層であるカソードコンタクト層C1・C2・C3およびトンネルジャンクション層T1・T2・T3を介してp型層H1・H2・H3にトンネル注入する構成である。これにより、アノードA1・A2・A3およびカソードK1・K2・K3を同材料を用いて同時形成することができ、アノードおよびカソードを異なるプロセス、異なる材料で形成する一般的な手法と比較して工程の簡略化が図れる。また、ドライエッチングおよび機械研磨によって高抵抗化しやすいp型(半導体)層を露出させなくて済み、発光素子の電気特性が安定化するというメリットもある。
図1~
図5では第1~第3発光素子D1~D3を成長用基板SK上にモノリシック形成しているが、これに限定されない。個別に形成した第1~第3発光素子D1~D3を駆動基板DKに実装してもよい。また、駆動基板DKへの実装後に、レーザリフトオフ法等により成長用基板SKを剥離してもよい。
【0019】
(表示装置50)
図6は、実施形態1に係る表示装置50の構成例を示す断面図である。表示装置50は、本開示の一態様に係る発光装置を備える。実施形態1の例では、表示装置50は、発光装置10を備える。表示装置50は複数の画素PXを有し、画素PXは、例えば第1~第3発光素子D1~D3を含む。画素PXからの光は、そのまま人間の目あるいはセンサ等に入射してもよいし、投影物80を介して入射してもよい。表示装置50を含むウェアラブル装置60を構成し、外界90と表示装置50の映像とを重ね合わせることもできる。
【0020】
〔実施形態2〕
(発光装置10V)
図7は、実施形態2に係る発光装置10Vの構成を概略的に示す。発光装置10Vは、複数の発光素子DVを有する。
図7の例では、2つの発光素子DVとして、第1発光素子DV1と第2発光素子DV2とが図示されている。
図7の例における第2発光素子DV2は、第1発光素子DVと隣り合う発光素子である。
【0021】
図7では、説明の平明化のために、第1発光素子DV1と第2発光素子DV2とが同等の構造を有する場合が例示されている。したがって、
図7の例における1つの発光素子DVに関する説明は、第1発光素子DV1と第2発光素子DV2との両方に当てはまる。
【0022】
ただし、実施形態1の説明からも明らかである通り、第2発光素子DV2は、第1発光素子DV1とは異なる構成を有していてよい。したがって、例えば、第2発光素子DV2における各部の位置は、第2発光素子DV2における対応する各部の位置とは異なっていてもよい。一例として、第2発光素子DV2の発光色が第1発光素子DVの発光色とは異なる場合、発光装置10Vの高さ方向において、第2発光素子DV2における発光層ELの位置は、第1発光素子DV1における発光層ELの位置とは異なりうる(後掲の
図15も参照)。
【0023】
発光素子DVは、アノードANおよびカソードCAと発光層ELとを有する。加えて、実施形態1とは異なり、発光素子DVは、光吸収体HKをさらに有する。
図7の例では、成長用基板SKは光透過性を有しているものとする。したがって、
図7の例における光取出方向は、
図7の紙面内において駆動基板DKの側から成長用基板SKの側に向かう方向である。
【0024】
図7に関する説明では、光取出方向を上方向と称する。その一方、上方向とは反対の方向(すなわち、
図7の紙面内において成長用基板SKの側から駆動基板DKの側に向かう方向)を下方向と称する。したがって、
図7に関する説明では、成長用基板SKの上面が光取出面であるものとする。このことは、内容上矛盾のない限り、
図7に対応する以降の各図の例についても当てはまる。
【0025】
実施形態2においても、複数の発光素子DVのそれぞれは電気的に素子分離されているものとする。したがって、第1発光素子DV1と第2発光素子DV2とは、電気的に絶縁されている。このことから、
図7の例における第1発光素子DV1と第2発光素子DV2とは、間隙を介して隣り合っている。
【0026】
後述の通り、発光層ELから発せられた光の一部は、迷光となる。そこで、発光装置10Vでは、迷光を低減するために光吸収体HKが設けられている。光吸収体HKは、発光層ELから発せられる光の周波数帯において、比較的良好な光吸収特性を有していればよい。
【0027】
発光素子DVは、光吸収体HKとして、アノード側光吸収体HKAおよびカソード側光吸収体HKCの少なくとも一方を有してよい。
図7の例では、発光素子DVは、アノード側光吸収体HKAとカソード側光吸収体HKCとの両方を有している。
【0028】
アノード側光吸収体HKAは、発光装置10Vの光取出側から見た場合に、アノードANよりも下方に位置していればよい。アノード側光吸収体HKAは、アノードANから離間していてもよいし、あるいはアノードANの下面と接触していてもよい。したがって、一例として、アノード側光吸収体HKAはアノードANの下面の少なくとも一部を覆っていてよい。
【0029】
同様に、カソード側光吸収体HKCは、発光装置10Vの光取出側から見た場合に、カソードCAよりも下方に位置していればよい。カソード側光吸収体HKCは、カソードCAから離間していてもよいし、あるいはカソードCAの下面と接触していてもよい。したがって、一例として、カソード側光吸収体HKCはカソードCAの下面の少なくとも一部を覆っていてよい。
【0030】
上述の通り、アノードANおよびカソードCAの少なくとも一方は、光吸収体HKよりも上側に位置しうる、したがって、アノードANおよびカソードCAの少なくとも一方は、光透過性を有してよい。好ましくは、アノードANとカソードCAとの両方が光透過性を有してよい。
【0031】
一例として、アノードANおよびカソードCAの少なくとも一方は、材料として、ITO、FTO、IGZO(登録商標)、ZnO、シリサイド、およびSiCのうちの少なくとも1つを含んでいてよい。したがって、例えば、アノードANおよびカソードCAの少なくとも一方は、上述の2つ以上の材料の積層構造を含んでいてもよい。
【0032】
発光装置10Vにおいてどのような迷光が生じるかは、例えば発光装置10Vの各部の屈折率に依存しうる。本願の発明者ら(以下、「発明者ら」と略称)は、光学シミュレーションを通じて、光吸収体HKの屈折率nHKおよび発光素子DVを構成する半導体材料の屈折率nSCと迷光との関係について検討した。以下の説明では、光学シミュレーションをシミュレーションと略称する。
【0033】
シミュレーションの結果、発明者らは、nHKがnSCに近い場合に、迷光が効果的に低減されうることを見出した。具体的には、発明者らは、nHKとnSCとの差が±0.5以内である場合に、迷光が効果的に低減されうることを見出した。以上の通り、発光素子DVでは、
|nHK-nSC|≦0.5
であることが好ましい。一例として、nSCは、発光層ELの材料(例:MQWの材料)の屈折率であってよい。
【0034】
一般的に、光吸収体HKの消衰係数が大きいほど、光吸収体HKの光吸収性能は高い。シミュレーションの結果、発明者らは、光吸収体HKの消衰係数が5以上である場合にも、迷光が効果的に低減されうることを見出した。
【0035】
また、光吸収体HKの光吸収性能は、光吸収体HKの厚さにも依存しうる。シミュレーションの結果、発明者らは、光吸収体HKの厚さが0.5μm~5μm以下である場合にも、迷光が効果的に低減されうることを見出した。
【0036】
本開示の一態様に係る発光素子において、発光層を発光させる場合には、例えば、
駆動回路→アノード→発光層→カソード→駆動回路
という電流経路に沿って電流が流れる。そして、
図7に示す通り、光吸収体HKは、駆動回路DKとアノードANとの間に介在しうる。また、光吸収体HKは、駆動回路DKとカソードCAとの間にも介在しうる。
【0037】
このため、光吸収体HKは、導電性を有していることが好ましい。この場合、光吸収体HKによって上記電流経路における電流の低減が生じるおそれを低減できる。
【0038】
したがって、例えば、光吸収体HKは、IV族半導体、窒化物を除くIII-V族半導体、C、または金属硫化物を含んでいてよい。このことから、一例として、光吸収体HKは、Cを主成分として含むグラファイトであってよい。別の例として、光吸収体HKは、CおよびHを含むDLC(Diamond-like Carbon)であってもよい。
【0039】
図8は、発光装置10Vについての模式的な断面図を示す。
図8において、符号810は発光素子DVの長辺(後掲の
図11も参照)に平行な断面における模式的な断面図を示し、符号820は発光素子DVの短辺に平行な断面における模式的な断面図を示す。
図8では、
図7の例とは異なり、駆動回路DKに実装される前の発光素子DVが示されている。
図9は、発明者らによって実際に製造された複数の発光素子DVを表す画像の例を示す。
【0040】
(迷光の発生要因に関する説明)
続いて、
図10を参照し、本開示の一態様に係る発光装置における迷光の発生要因の例について述べる。
図10の例における光の出射角θは、発光層ELの主面から発せられた出射光の光軸と発光層ELの主面の法線とが成す角度である。
図10の例における当該法線の方向は、光取出方向と一致しているものとする。
【0041】
図10の例における出射光は、ランバーシアン配光である。すなわち、
図10の例における出射光強度は、cosθに比例する。θ≒0°の場合には、出射光が向かう方向は光取出方向にほぼ一致している。したがって、θ≒0°の出射光成分は、主発光成分であり、迷光にほぼ影響しない。
【0042】
その一方、θ≒0°でない場合には、出射光が向かう方向は光取出方向にあまり一致していない。以下の説明では、
図10の紙面内において発光層ELの主面に平行な方向を、横方向と称する。θ≒0°でない場合、横方向成分を有する出射光が迷光の要因となると考えられる。具体的には、概ね|θ|>5°の出射光成分が、迷光の要因となると考えられる。
【0043】
横方向成分を有する出射光は、例えば発光素子内に金属電極が存在している場合、当該金属電極によって反射される。そして、金属電極による反射によって生じた反射光は、発光装置内において横方向に伝搬しうる。したがって、例えば、発光素子から大気へと向かう反射光は、発光素子と大気との界面において屈折しうる。同様に、大気から発光素子へと向かう反射光も、同界面において屈折しうる。また、発光素子から実装基板へと向かう反射光は、発光素子と実装基板との界面において屈折しうる。このように、様々な界面における反射光の屈折に伴い、反射光の伝搬方向が変化しうる。このような反射光の伝搬方向の多様性が、迷光の発生要因となる。
【0044】
発光装置において、発光素子の屈折率と大気との屈折率との差は、比較的大きいと考えられる。したがって、発光素子と大気との界面において光の反射が顕著に生じると考えられる。このことから、迷光強度は、発光素子の配列および間隔に対応した周期的な分布を有しうる。以上の通り、本開示の一態様に係る発光装置では、横方向成分を有する出射光に起因して、例えば周期的なスパイク状の迷光ピークが生じうる。スパイク状の迷光ピークの位置は、例えば発光素子の側壁の位置に対応しうる。
【0045】
(迷光低減に関する検討)
発光装置における迷光は、当該発光装置を備えた表示装置における表示品位の低下を招きうる。そこで、発明者らは、光吸収体HKがどのように迷光低減に寄与するかを、シミュレーションによって検討した。まず、発明者らは、シミュレーションのモデルとして、第1モデルおよび第2モデルをそれぞれ構築した。第1モデルは、光吸収体HKを有する発光素子を備えた発光装置(例:発光装置10V)を模擬している。その一方、第2モデルは、光吸収体HKを有しない発光素子を備えた発光装置(例:発光装置10)を模擬している。
【0046】
図11に示す通り、発明者らは、第1モデルおよび第2モデルのそれぞれにおいて、発光素子の短辺方向を光強度の測定方向として設定した。そして、発明者らは、シミュレーションによって、第1モデルおよび第2モデルのそれぞれについて、当該測定方向における光強度の分布を導出した。
図12は、シミュレーションによって導出された、第1モデルおよび第2モデルのそれぞれにおける光強度の分布の例を示す。
図12のグラフにおいて、横軸は測定方向の位置を示し、縦軸は光強度を示す。
【0047】
図12に示す通り、光吸収体HKを設けることにより迷光を効果的に低減できることが、シミュレーションによって裏付けられた。具体的には、光吸収体HKがある場合には、光吸収体HKがない場合に比べて、迷光強度の最大値を1/10程度まで低減できることが確認された。また、光吸収体HKを設けることにより、周期的なスパイク状の迷光ピークを低減できることも確認された。
【0048】
図13は第1モデルにおいて生じる迷光を模式的に表し、
図14は第2モデルにおいて生じる迷光を模式的に表す。
図13の符号1310および
図14の符号1410では、3つの発光素子のうち、紙面内において最も左側の発光素子のみが発光している場合が例示されている。
【0049】
図13の符号1320には、第1モデルにおける光強度の分布の模式的な例が示されている。その一方、
図14の符号1420には、第2モデルにおける光強度の分布の模式的な例が示されている。第1モデルでは、第2モデルとは異なり、横方向成分を有する出射光に起因する反射光の多くが、光吸収体HKによって吸収されうる。このため、第1モデルでは、第2モデルに比べて、迷光強度が全般的に低下しうる。また、第1モデルでは、第2モデルに比べて、周期的なスパイク状の迷光ピークも低減しうる。
【0050】
(効果)
以上の通り、発光装置10Vによれば、従来とは異なる発光装置の構成によって迷光を低減できる。例えば、発光装置10Vによれば、特許文献1に記載の発光装置とは異なり、リフレクタを要することなく迷光を低減できる。このように、発光装置10Vは、従来技術とは異なる着想に基づき創作されている。
【0051】
発明者らの検討によれば、本開示の一態様に係る発光装置における迷光の影響は、例えば発光素子間の距離が小さくなるほど顕著となりうる。このことから、発光装置10Vは、小型の表示装置50に好適である。したがって、一例として、表示装置50は、発光装置10Vを備えていてもよい。これにより、優れた表示品位を有する表示装置50を実現できる。
【0052】
(発光装置10Vの別の構成例)
図15は、発光装置10Vの別の構成例を示す。実施形態2における発光層ELは、第1色光を発する第1発光層EL1と、第2色光を発する第2発光層EL2と、第3色光を発する第3発光層EL3と、を含んでいてよい。したがって、発光装置10Vは、第1発光層EL1を有する第1発光素子DV1と、第2発光層EL2を有する第2発光素子DV2と、第3発光層EL3を有する第3発光素子DV3と、を有していてよい。
【0053】
第2色光は、第1色光とは異なる色を有していてよい。例えば、第2色光は、第1色光よりも長波長の光であってよい。また、第3色光は、第1色光および第2色光とは異なる色を有していてよい。例えば、第2色光は、第1色光および第2色光よりも長波長の光であってよい。したがって、一例として、第1色光は青色光であってよく、第2色光は緑色光であってよく、第3色光は赤色光であってよい。第3発光素子DV3は、第2発光素子DV2と隣り合う発光素子であってよい。したがって、一例として、第1発光素子DV1、第2発光素子DV2、および第3発光素子DV3は、
図11の測定方向にこの順に位置していてよい。
【0054】
第2発光素子DV2は、第1ダミー発光層DM1を有していてもよい。第1ダミー発光層DM1は、第1発光層EL1と同じ材料によって構成されていてよい。発光装置10Vの高さ方向において、第1ダミー発光層DM1は、第1発光層EL1と同位置に存在していてよい。第2発光素子DV2における第1ダミー発光層DM1は、第2発光素子DV2の駆動時に発光しないように構成されていればよい。
【0055】
以上のことから、発光装置10Vの高さ方向において、第2発光層EL2は、第1発光層EL1とは異なる位置に存在しうる。
図15の例では、第2発光層EL2は、第1発光層EL1よりも下方に位置している。このように、発光装置10Vの光取出面から第1発光層EL1までの距離は、当該光取出面から第2発光層EL2までの距離とは異なりうる。したがって、発光装置10Vの光取出面から第1発光素子DV1の光吸収体HKまでの距離も、当該光取出面から第2発光素子DV2の光吸収体HKまでの距離とは異なりうる。
【0056】
第3発光素子DV3は、第1ダミー発光層DM1および第2ダミー発光層DM2を有していてもよい。第2ダミー発光層DM2は、第2発光層EL2と同じ材料によって構成されていてよい。発光装置10Vの高さ方向において、第2ダミー発光層DM2は、第2発光層EL2と同位置に存在していてよい。第3発光素子DV3における第1ダミー発光層DM1および第2ダミー発光層DM2は、第3発光素子DV3の駆動時に発光しないように構成されていればよい。
【0057】
以上のことから、発光装置10Vの高さ方向において、第3発光層EL3は、第1発光層EL1および第2発光層EL2とは異なる位置に存在しうる。
図15の例では、第3発光層EL3は、第2発光層EL2よりも下方に位置している。このように、発光装置10Vの光取出面から第2発光層EL2までの距離は、当該光取出面から第3発光層EL3までの距離とは異なりうる。したがって、発光装置10Vの光取出面から第2発光素子DV2の光吸収体HKまでの距離も、当該光取出面から第3発光素子DV3の光吸収体HKまでの距離とは異なりうる。
【0058】
(発光装置10Vのさらに別の構成例)
あるいは、実施形態2における発光層ELは、第1色光を発する第1発光層EL1のみであってもよい。この場合、発光装置10Vにおける各発光素子における第1発光層EL1の高さ方向の位置は、それぞれ同じ位置に設定されていてもよい(上述の
図7も参照)。
【0059】
このように、発光装置10Vの光取出面から第1発光素子DV1の第1発光層EL1までの距離は、当該光取出面から第2発光素子DV2の第1発光層EL1までの距離と等しくともよい。したがって、発光装置10Vの光取出面から第1発光素子DV1の光吸収体HKまでの距離も、当該光取出面から第2発光素子DV2の光吸収体HKまでの距離と等しくともよい。
【0060】
また、実施形態2における発光層ELが第1発光層EL1のみである場合、発光装置10Vは、第1色光を別の色の光へと変換する波長変換部材を有していてもよい。例えば、発光装置10Vは、波長変換部材として、(i)第1色光を第2色光へと変換する第1波長変換部材と、(ii)第1色光を第3色光へと変換する第2波長変換部材と、を有していてよい。第1波長変換部材は、第2発光素子DV2の第1発光層EL1に対して、光取出側に位置していてよい。また、第2波長変換部材は、第3発光素子DV3の第1発光層EL1に対して、光取出側に位置していてよい。
【0061】
上記の構成によれば、第1発光素子DV1の第1発光層EL1から発せられた第1色光は、波長変換部材によって変換されることなく、発光装置10Vの外部へと出射する。その一方、第2発光素子DV2の第1発光層EL1から発せられた第1色光は、第1波長変換部材によって第2色光へと変換される。したがって、変換された第2色光が発光装置10Vの外部へと出射する。また、第3発光素子DV3の第1発光層EL1から発せられた第1色光は、第2波長変換部材によって第3色光へと変換される。したがって、変換された第3色光が発光装置10Vの外部へと出射する。以上の通り、第1色光を発する第1発光層EL1のみを用いた場合であっても、第1色光、第2色光、および第3色光を出射する発光装置10Vを実現できる。
【0062】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る発光装置は、複数の発光素子を備えた発光装置であって、前記発光素子は、アノードおよびカソードと、光吸収体と、を有しており、複数の前記発光素子のうち、互いに隣接している2つの発光素子は、電気的に絶縁されており、前記光吸収体は、(i)前記発光装置の光取出側から見た場合に、前記アノードよりも下方に位置しているアノード側光吸収体、および、(ii)前記光取出側から見た場合に、前記カソードよりも下方に位置しているカソード側光吸収体、の少なくとも一方を含んでいる。
【0063】
本開示の態様2に係る発光装置では、前記態様1において、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一方は、光透過性を有していてよい。
【0064】
本開示の態様3に係る発光装置では、前記態様1または2において、前記アノードおよび前記カソードの少なくとも一方は、材料として、ITO、FTO、IGZO、ZnO、シリサイド、およびSiCのうちの少なくとも1つを含んでいてよい。
【0065】
本開示の態様4に係る発光装置では、前記態様1から3のいずれか1つにおいて、前記光吸収体の屈折率と前記発光素子を構成する半導体材料の屈折率との差は、±0.5以内であってよい。
【0066】
本開示の態様5に係る発光装置では、前記態様1から4のいずれか1つにおいて、前記光吸収体の消衰係数は、5以上であってよい。
【0067】
本開示の態様6に係る発光装置では、前記態様1から5のいずれか1つにおいて、前記光吸収体の厚さは、0.5μm以上かつ5μm以下であってよい。
【0068】
本開示の態様7に係る発光装置では、前記態様1から6のいずれか1つにおいて、前記光吸収体は、導電性を有していてよい。
【0069】
本開示の態様8に係る発光装置では、前記態様1から7のいずれか1つにおいて、前記光吸収体は、IV族半導体、窒化物を除くIII-V族半導体、C、または金属硫化物を含んでいてよい。
【0070】
本開示の態様9に係る発光装置では、前記態様1から8のいずれか1つにおいて、前記光吸収体は、(i)Cを主成分として含むグラファイトであってもよいし、または、(ii)CおよびHを含むDLCであってもよい。
【0071】
本開示の態様10に係る発光装置では、前記態様1から9のいずれか1つにおいて、複数の前記発光素子は、第1発光素子と第2発光素子とを含んでいてよく、前記第1発光素子は、第1色光を発する第1発光層を有していてよく、前記第2発光素子は、前記第1色光とは異なる色を有する第2色光を発する第2発光層を有していてよく、前記発光装置の光取出面から前記第1発光層までの距離は、前記光取出面から前記第2発光層までの距離とは異なっていてもよい。
【0072】
本開示の態様11に係る発光装置では、前記態様10において、前記光取出面から前記第1発光素子の前記光吸収体までの距離は、前記光取出面から前記第2発光素子の前記光吸収体までの距離とは異なっていてもよい。
【0073】
本開示の態様12に係る発光装置では、前記態様1から9のいずれか1つにおいて、複数の前記発光素子は、第1発光素子と第2発光素子とを含んでいてよく、前記第1発光素子および前記第2発光素子はそれぞれ、第1色光を発する第1発光層を有していてよく、前記発光装置の光取出面から前記第1発光素子の前記第1発光層までの距離は、前記光取出面から前記第2発光素子の前記第1発光層までの距離と等しくともよい。
【0074】
本開示の態様13に係る発光装置では、前記態様12において、前記光取出面から前記第1発光素子の前記光吸収体までの距離は、前記光取出面から前記第2発光素子の前記光吸収体までの距離と等しくともよい。
【0075】
本開示の態様14に係る表示装置は、前記態様1から11のいずれか1つに係る発光装置を備えていてよい。
【0076】
〔付記事項〕
本開示の一態様は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の一態様の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0077】
10V 発光装置
DV 発光素子
DV1 第1発光素子
DV2 第2発光素子
AN アノード
CA カソード
HK 光吸収体
HKA アノード側光吸収体
HKC カソード側光吸収体
EL 発光層
EL1 第1発光層
EL2 第2発光層
50 表示装置