(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180089
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】補助装置及び記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 19/12 20060101AFI20241219BHJP
B41J 15/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65H19/12 C
B41J15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099530
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大地 潤一
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】中村 拓真
(72)【発明者】
【氏名】柳 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】川崎 皓太
(72)【発明者】
【氏名】龍口 傑
【テーマコード(参考)】
2C060
3F064
【Fターム(参考)】
2C060AA09
3F064AA01
3F064EA04
3F064EB09
3F064EB10
3F064FA04
(57)【要約】
【課題】ロールをロール使用装置の回転軸に装着する際の位置調整の作業を簡単にするための補助装置を提供する。
【解決手段】シートが巻き回されたロールの巻き芯に挿入可能な軸部材と、軸部材が設けられ、鉛直方向に移動可能な移動部材と、移動部材を鉛直方向に移動可能に支持する支持部材と、移動部材の鉛直方向の位置を検出する検出手段と、を備え、巻き芯に軸部材が挿入された状態のロールに対する鉛直方向の位置合わせを補助する補助装置であって、移動部材の鉛直方向の位置が所定の目標位置になったことが検出手段により検出された場合に、報知を行う報知手段を備えることを特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが巻き回されたロールの巻き芯に挿入可能な軸部材と、
前記軸部材が設けられ、鉛直方向に移動可能な移動部材と、
前記移動部材を鉛直方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記移動部材の鉛直方向の位置を検出する検出手段と、
を備え、前記巻き芯に前記軸部材が挿入された状態の前記ロールに対する鉛直方向の位置合わせを補助する補助装置であって、
前記移動部材の鉛直方向の位置が所定の目標位置になったことが前記検出手段により検出された場合に、報知を行う報知手段を備えることを特徴とする補助装置。
【請求項2】
前記ロールは、ロール使用装置で使用可能であり、前記ロール使用装置は、前記巻き芯に挿入可能な回転軸を有し、前記回転軸に前記ロールが装着された状態で前記ロールを使用可能であり、
前記目標位置は、前記巻き芯の内周面と、前記回転軸の外周面と、が干渉しない状態にある前記ロールの鉛直方向の位置に対応する前記移動部材の位置である請求項1に記載の補助装置。
【請求項3】
前記報知手段は発光部材を有し、光により報知を行う請求項1又は2に記載の補助装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記発光部材により前記補助装置が設置される空間の壁面、天井又は床面に光を照射することにより報知を行う請求項3に記載の補助装置。
【請求項5】
前記発光部材は、複数の異なる色で発光可能であり、
前記報知手段は、前記移動部材の位置が前記目標位置になった場合とそれ以外の場合とで異なる色で前記発光部材を発光させることにより報知を行う請求項3に記載の補助装置。
【請求項6】
前記発光部材は、複数の異なるパターンで発光可能であり、
前記報知手段は、前記移動部材の位置が前記目標位置になった場合とそれ以外の場合とで異なるパターンで前記発光部材を発光させることにより報知を行う請求項3に記載の補助装置。
【請求項7】
前記報知手段は発音部材を有し、音により報知を行う請求項1又は2に記載の補助装置。
【請求項8】
前記軸部材は、前記巻き芯に挿入される方向に沿って外径が増加するテーパ形状を有する請求項1又は2に記載の補助装置。
【請求項9】
前記軸部材は、外径が異なる複数の部分からなる段付き形状を有する請求項1又は2に記載の補助装置。
【請求項10】
前記検出手段は、前記移動部材の位置が前記目標位置にある状態と、前記目標位置より高い位置にある状態と、前記目標位置より低い位置にある状態と、を検出可能に構成される請求項1又は2に記載の補助装置。
【請求項11】
前記検出手段は、鉛直方向の位置が異なる第1のフォトインタラプタ及び第2のフォトインタラプタを有し、
前記移動部材は、鉛直方向の位置によって前記第1のフォトインタラプタ及び前記第2
のフォトインタラプタの発光部及び受光部の間を遮蔽可能な遮蔽部を有し、
前記遮蔽部の鉛直方向の長さは、前記第1のフォトインタラプタ及び前記第2のフォトインタラプタの鉛直方向の間隔より短く、
前記移動部材の位置が前記目標位置にある状態では、前記遮蔽部は前記第1のフォトインタラプタ及び前記第2のフォトインタラプタのいずれも遮蔽せず、
前記移動部材が前記目標位置より高い位置にある状態及び前記目標位置より低い位置にある状態では、前記遮蔽部は前記第1のフォトインタラプタ及び前記第2のフォトインタラプタのいずれか一方を遮蔽するように構成されている請求項10に記載の補助装置。
【請求項12】
前記軸部材は、前記ロールを鉛直方向に移動可能な昇降装置に載置された状態の前記ロールの前記巻き芯に挿入可能に構成され、
前記補助装置は、前記昇降装置とは独立して構成される請求項1又は2に記載の補助装置。
【請求項13】
シートが巻き回されたロールの巻き芯に挿入可能な軸部材と、
前記軸部材が設けられ、鉛直方向に移動可能な移動部材と、
前記移動部材を鉛直方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記移動部材の移動に連動して移動することにより前記移動部材の鉛直方向の位置を表示する表示手段と、
を備え、前記巻き芯に前記軸部材が挿入された状態の前記ロールに対する鉛直方向の位置合わせを補助する補助装置であって、
前記表示手段は、前記移動部材の鉛直方向の位置が所定の目標位置になったことを視認可能な目印を有することを特徴とする補助装置。
【請求項14】
前記ロールは、ロール使用装置で使用可能であり、前記ロール使用装置は、前記巻き芯に挿入可能な回転軸を有し、前記回転軸に前記ロールが装着された状態で前記ロールを使用可能であり、
前記目標位置は、前記巻き芯の内周面と、前記回転軸の外周面と、が干渉しない状態にある場合の前記ロールの鉛直方向の位置に対応する前記移動部材の位置である請求項13に記載の補助装置。
【請求項15】
前記目印は、前記移動部材に設けられた第1のマークと、前記支持部材に対して相対的に移動しない第2のマークと、を有し、
前記移動部材が前記目標位置にあるとき、前記第1のマークと前記第2のマークとの位置が一致するよう構成されている請求項13又は14に記載の補助装置。
【請求項16】
前記目印は、前記移動部材における前記第1のマークより高い領域を示す、鉛直方向に延びる第3のマークと、前記第1のマークより低い領域を示す、鉛直方向に延びる第4のマークと、を有し、
前記移動部材が前記目標位置より高い位置にあるとき、前記第4のマークの範囲内に前記第2のマークが位置し、
前記移動部材が前記目標位置より低い位置にあるとき、前記第3のマークの範囲内に前記第2のマークが位置するように構成されている請求項15に記載の補助装置。
【請求項17】
前記表示手段は、前記ロールを鉛直方向に移動可能な昇降装置に載置可能な最も大きなロールが前記昇降装置によって昇降可能な最も高い位置にある状態において、前記ロールの上面の高さよりも高い位置にある請求項13又は14に記載の補助装置。
【請求項18】
前記軸部材は、前記ロールを鉛直方向に移動可能な昇降装置に載置された状態の前記ロールの前記巻き芯に挿入可能に構成され、
前記補助装置は、前記昇降装置とは独立して構成される請求項13又は14に記載の補助装置。
【請求項19】
シートが巻き回されたロールの巻き芯に挿入可能な軸部材と、
前記軸部材に設けられ、前記巻き芯に挿入された状態の前記軸部材と前記巻き芯との相対位置を検出する検出手段と、
を備え、前記巻き芯に前記軸部材が挿入された状態の前記ロールに対する鉛直方向の位置合わせを補助する補助装置であって、
前記軸部材と前記巻き芯との相対位置が所定の目標位置になったことが前記検出手段により検出された場合に、報知を行う報知手段を備えることを特徴とする補助装置。
【請求項20】
前記ロールは、ロール使用装置で使用可能であり、前記ロール使用装置は、前記巻き芯に挿入可能な回転軸を有し、前記回転軸に前記ロールが装着された状態で前記ロールを使用可能であり、
前記目標位置は、前記巻き芯の内周面と、前記回転軸の外周面と、が干渉しない状態にある場合の前記巻き芯と前記軸部材との相対位置である請求項19に記載の補助装置。
【請求項21】
シートが巻き回されたロールの巻き芯に挿入可能な回転軸を有し前記回転軸に前記ロールが装着された状態で前記ロールを使用可能なロール使用装置の前記回転軸と、前記ロールと、の鉛直方向の位置合わせを補助する補助装置であって、
前記回転軸の軸方向における第1端部は前記ロール使用装置に固定され、前記第1端部とは前記回転軸の軸方向で反対側の第2端部側から前記ロールを挿入可能であり、
前記補助装置は、
撮影手段と、
前記撮影手段による撮影画像を表示する表示手段と、
を備え、
前記撮影手段は、前記回転軸の第2端部と、前記巻き芯の軸方向の端部のうち前記回転軸に近い側の端部と、が前記撮影画像に含まれるように配置されることを特徴とする補助装置。
【請求項22】
前記撮影手段は、前記回転軸の第2端部の上面と、前記巻き芯の上端と、が前記撮影画像に含まれるように配置される請求項21に記載の補助装置。
【請求項23】
前記撮影手段は、前記回転軸の第2端部の下面と、前記巻き芯の下端と、が前記撮影画像に含まれるように配置される請求項21に記載の補助装置。
【請求項24】
前記ロール使用装置は、前記シートに記録を行う記録装置であり、
請求項2、14、20~23のいずれか1項に記載の補助装置を有することを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートが巻き回されたロールの位置調整を補助する補助装置及びシートに記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートが巻き回されたロールに対し記録を行う記録装置では、記録装置本体に一端が固定された回転軸に対し、他端側からロールの巻き芯を挿入することで、ロールが装着される。ロールを装着する際には、例えば、記録装置とは別体の昇降機能を有する積載装置にロールを積載した状態でロールを記録装置まで運び、ロールを昇降させながらロールの巻き芯と回転軸との位置合わせを行う作業が必要となる。この作業は、作業者がロールと回転軸との位置関係を目視で確認しながら行われるため、装置の形状によっては作業者がしゃがんで回転軸付近を覗き込みながら高さ調整する等の身体的負担のかかるものになる。また、積載装置がロールの外周面を支持する構成の場合、ロールの巻き径によって巻き芯の高さが異なるため、ロールを替えるたびに位置合わせ作業が必要になる。
【0003】
特許文献1では、ロールの巻き芯の軸方向の端部がロールの端部から突出するようにして、巻き芯の突出部分を支持する専用の昇降装置を使用し、センサを用いて昇降装置の所定の部分を測定することにより、ロールの巻き径によらず位置合わせを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の方法では、巻き芯をメディア幅よりも突出させなければならないこと、また専用の昇降装置が必要であるため、汎用性の点で制約がある。また、特許文献1ではロールと回転軸との軸方向に見て左右方向(水平方向)と上下方向(鉛直方向)の両方を位置合わせしているため、複雑な位置合わせ機構及び制御と比較的長い位置合わせ時間を要する。
【0006】
本発明は、ロールをロール使用装置の回転軸に装着する際の位置調整の作業を簡単にするための補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シートが巻き回されたロールの巻き芯に挿入可能な軸部材と、
前記軸部材が設けられ、鉛直方向に移動可能な移動部材と、
前記移動部材を鉛直方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記移動部材の鉛直方向の位置を検出する検出手段と、
を備え、前記巻き芯に前記軸部材が挿入された状態の前記ロールに対する鉛直方向の位置合わせを補助する補助装置であって、
前記移動部材の鉛直方向の位置が所定の目標位置になったことが前記検出手段により検出された場合に、報知を行う報知手段を備えることを特徴とする補助装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロールをロール使用装置の回転軸に装着する際の位置調整の作業を簡単にするための補助装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例の印刷装置を説明する主断面図である。
【
図2】実施例のウェブロールを説明する斜視図である。
【
図3】実施例の印刷装置の巻き出し軸を説明する斜視図である。
【
図4】実施例のウェブロール昇降装置を説明する斜視図である。
【
図5】実施例のウェブロールを昇降装置に積載した状態を説明する斜視図である。
【
図6】実施例1の補助装置を説明する斜視図である。
【
図7】実施例1の補助装置の使用方法を説明する斜視図である。
【
図8】実施例1の補助装置の巻き芯挿入部の別形状を説明する側面図である。
【
図9】実施例1のウェブロールの高さ合わせを説明する斜視図である。
【
図10】実施例1の補助装置の検知動作を説明するための側面図である。
【
図11】実施例1の補助装置の発光動作を説明するためのフローチャートである。
【
図12】実施例1の補助装置の床面照射を説明するための側面図である。
【
図13】実施例のウェブロールを印刷装置の巻き出し軸への装着動作を説明するための斜視図である。
【
図14】実施例2の補助装置を説明する斜視図である。
【
図15】実施例2の補助装置を説明する側面図である。
【
図16】実施例3の補助装置を説明する斜視図である。
【
図17】実施例3の補助装置の使用方法を説明する斜視図である。
【
図18】実施例3の補助装置の検知動作を説明するための断面図である。
【
図19】実施例3の補助装置の検知動作を説明するための断面図である。
【
図20】実施例4のウェブロール高さ又は奥行きの位置報知機構を説明する図である。
【
図21】実施例4のウェブロール高さ位置報知機構のモニタ画面の図である。
【
図22】実施例4のウェブロール奥行き位置報知機構のモニタ画面の図である。
【
図23】実施例4のウェブロール奥行き位置報知機構のモニタ画面の図である。
【
図24】実施例5のウェブロール高さ位置報知機構のモニタ画面の図である。
【
図25】実施例5のウェブロール奥行き位置報知機構のモニタ画面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
以下、図面を参照して本発明の実施例を具体的に説明する。
図1は記録装置である印刷装置1の内部構成を示す概略断面図である。
図1における左右方向をX方向、
図1の紙面に垂直の方向をY方向、上下方向をZ方向とする。X方向は、印刷装置1の正面から見て水平方向であり、
図1で右から左へ向かう方向を正とする。Y方向は、シートSの搬送方向に直交するシート幅方向であり、紙面手前から奥へ向かう方向を正とする。Z方向は、印刷装置1の上方に向かう方向を正とする。
【0011】
実施例1の印刷装置1は、ロール状に巻かれた連続シートすなわちウェブロールを巻き出し、印字後にロールに巻き取る、所謂ロールtoロール方式の高速インクジェットラインプリンタである。インクジェット方式とは、微小なインク滴をシートに飛ばし、ドットで画像を形成する方式である。なお本発明が適用可能な印刷装置としては、少なくとも巻き出しがロールからである構成であればよく、また画像形成方式はインクジェット方式に限らない。例えば電子写真方式の画像形成装置にも適用可能である。電子写真方式とは、例えばフルカラーのレーザービームプリンタであれば、Bk、C、M、Yの各色のトナー
を、感光体上に形成した静電潜像に現像したものを、転写ベルト等を介してシート転写し、定着器により熱定着させる画像形成方式である。
【0012】
印刷装置1は、アンワインダーユニット2、第1ダンサー部3、第1主搬送部4、蛇行補正部5、搬送検出部6、マークセンサ部7、記録部8、第1スキャナ部9、第1乾燥部10、第2乾燥部11、冷却部12、第2スキャナ部13、第2主搬送部14、第2ダンサー部15、ワインダーユニット16、メンテナンス部17、制御部(コントローラ)18の各ユニットを備える。シートSはウェブロールUから巻き出され、図中の実線で示したシート搬送経路に沿って搬送され、各ユニットで処理がなされたのち、巻き取ロールWで巻き取られる。制御部18は印刷装置1の各ユニットの動作を制御する。制御部18は、外部のホストコンピュータ19から印刷命令や画像データ等を受信し、それに基づいて印刷装置1を制御する。制御部18は揮発性メモリ及び不揮発性メモリを有し、各種の処理を実行するためのプログラムや外部のホストコンピュータ19から取得した画像データの記憶領域として使用する。
【0013】
アンワインダーユニット2は、ウェブロールUを保持してウェブロールUからシートSを搬送経路に供給するためのユニットである。アンワインダーユニット2は、ウェブロールUを巻き出し軸40に装着し、矢印A1の方向へモータ41(
図3参照)により回転され、シートSを引き出して搬送経路へ供給する構成となっている。なお、実施例1では印刷装置1に1つのウェブロールUが備わる構成を例示するが、ウェブロールの数は1つに限らない。印刷装置1を、複数の巻き出しロールを収納可能に構成し、複数のロールのうちから選択したいずれか一のロールからシートSを引き出して搬送経路へ供給する構成であってもよい。
【0014】
ワインダーユニット16は、記録処理されたシートSを巻き芯に巻き取るためのユニットであり、不図示のモータにより矢印A2方向に回転され、シートSを巻き取る。実施例1では印刷装置1に1つの巻き取ロールWが備わる構成を例示するが、巻き取ロールの数は1つに限らない。印刷装置1を、複数の巻き芯(巻き取ロール)を有し、複数の巻き芯のうちから選択したいずれか一の巻き芯にシートSを回収する構成であってもよい。なお、記録後の加工処理内容によっては、巻き芯に巻き取る構成ではなく、不図示のカッターを用いて連続シートを裁断し、裁断したシートSを積載する構成としてもよい。
【0015】
図2に示すように、ウェブロールUは、中空の巻き芯20にシートSを巻き回されたものである。実施例1の巻き芯20の内径21の寸法は3インチ、厚み5ミリ程度の硬質の紙製で円筒形状をなしている。巻き芯20の軸方向長さはシート幅と同一幅であり、80ミリから360ミリ程度のものが、インクジェットラインプリンタ用として一般的である。なお巻き芯20は樹脂製でもよく、内径や厚みは上記の例に限られない。またシートSの材質としては、普通紙、インクジェット専用紙、特殊紙、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルムや、それぞれに粘着層と剥離紙を貼り合わせたラベル紙等を例示できる。シートSの巻き長は、長いものでは数千メートルのものもある。直径にすると数十センチメートルから1メートル位までの物がよく用いられる。
【0016】
図3は、アンワインダーユニット2の巻き出し軸40の詳細を説明するために、駆動部分を抜き出して示した図である。なお巻き出し軸40の駆動部分と巻き取り軸の駆動部分は対称形状であり構成要素はほぼ共通のため、巻き取り軸の説明は省略する。アンワインダーユニット2は、ウェブロールUを使用するロール使用装置である印刷装置1を構成する。巻き出し軸40は、ウェブロールUの巻き芯20に挿入可能な回転軸であり、印刷装置1のアンワインダーユニット2は、巻き出し軸40にウェブロールUが装着された状態で使用可能である。
【0017】
巻き出し軸40は、チャック機能を備える金属製の軸で、一般的にはエアーシャフトと呼ばれる。巻き出し軸40の、巻き芯挿入部の軸直径48は、内径21よりも1~2ミリほど小さいので、巻き芯20の抜き差しには支障が無い。空気バルブ43から不図示のエアガン等を用いて圧縮エアを吹き込むと、ラグ又はストリップ等と呼ばれるチャック部材42が軸の周面より突出し、挿入した巻き芯20の内周面に接触して空気圧によりチャックする。巻き芯20を抜く際には空気バルブ43を操作して圧縮空気を抜けば、チャック部材42が緩むようになっている。なお空気圧の代わりに機械的構成によりチャック部材を押し出す構成でも同様の効果を得ることができる。巻き出し軸40は軸受44、軸受45により片持ちで保持されており、巻き出し軸40の軸受44、45側の端部にはプーリ46を備える。プーリ46とモータ41の間は歯付ベルト47により減速して連結されている。
【0018】
図4は、ウェブロールUの昇降装置の一例である。昇降装置は、一般的にはリフターと呼ばれることもある。昇降装置50は図の矢印に示すように、ハンドル51を時計回りに回転させると積載部52が上昇、反時計回りに回転させると下降するようになっており、ハンドル51から手を放しても位置を保持することができる。また、不図示の他の構成としては、レバーを操作すると油圧で上下させるものもある。昇降装置50は決められた耐荷重以下の重量物を簡単に持ち上げることができる。
【0019】
図5は、昇降装置50にウェブロールUを積載した状態を示す図である。昇降装置50にはキャスター53が付いているため、
図5に示すような、ウェブロールUを積載した状態で移動することができる。
【0020】
図6は、実施例1にウェブロールUの高さを検出する補助装置を示す図である。補助装置60は、巻き芯挿入部61、スライド部62、センサフラグ63、支持部材である支柱64、検出手段である上センサ65、下センサ66、報知手段である発光部材67、乾電池68、制御部98等から構成される。補助装置60は、巻き芯20に巻き芯挿入部61が挿入された状態のウェブロールUに対する作業者による鉛直方向の位置合わせを補助する。巻き芯挿入部61、スライド部62、センサフラグ63は一体的に構成されており、これを可動部材55とする。巻き芯挿入部61は、ウェブロールUの巻き芯20に挿入可能な軸部材である。スライド部62は、支柱64の溝70に沿って一体的にスライドして鉛直方向に移動可能な移動部材である。巻き芯挿入部61はスライド部62に設けられる。支柱64は、スライド部62を鉛直方向に移動可能に支持する支持部材である。上センサ65、下センサ66は、可動部材55の鉛直方向の位置を検出する検出手段である。発光部材67は、上センサ65、下センサ66による検出結果に応じて報知を行う報知手段である。実施例1では、発光部材67は、可動部材55の鉛直方向の位置が所定の目標位置になったことが上センサ65、下センサ66により検出された場合に、光により報知を行う。目標位置は、ウェブロールUの巻き芯20の内周面と、巻き出し軸40の外周面とが干渉しない状態にあるウェブロールUの鉛直方向の位置に対応する可動部材55の位置である。溝70には不図示のストッパを備え、スライド部62のスライド可能領域を必要十分な範囲で規制している。なお実施例1において、補助装置60は印刷装置1から独立して運搬できる構成としているが、例えば支柱64は印刷装置1の一部として構成されていてもよい。また上センサ65、下センサ66、発光部材67用の電源は乾電池68に限定するものではない。また上センサ65、下センサ66の外側には不図示の保護カバーを装着する。
【0021】
巻き芯挿入部61は2枚の板金を十字形状に組み合わせて構成されている。巻き芯挿入部61の平行部分の2面幅寸法69は、内径21よりも0.5~1ミリメートル程度小さく構成されている。なお、巻き芯挿入部61の材料は金属に限らず、樹脂やその他の材料で構成されていてもよい。また、形状は上記の例に限らず、円錐形状や先端にテーパを付
けた円筒形状をなしていてもよい。
【0022】
支柱64は、座面99を備えており、床面に置いたときに、支柱64を鉛直方向に自立させることができる。また座面99の下面にはキャスターを装着してもよい。座面99の幅56aは、昇降装置50のフレーム幅57(
図7参照)よりも狭いため、補助装置60をウェブロールUへ装着したときに接触することがない。
【0023】
上センサ65、下センサ66は、鉛直方向の位置が異なる第1のフォトインタラプタ及び第2のフォトインタラプタである。センサフラグ63は、巻き芯挿入部61と共にスライド部62に可動部材55として一体的に構成されているため、巻き芯挿入部61の高さが変化すれば、センサフラグ63のZ方向の位置も変化する。センサフラグ63は、上センサ65及び下センサ66の発光部と受光部の間を通過可能に構成され、鉛直方向の位置によって上センサ65又は下センサ66の発光部と受光部の間を遮蔽可能な遮蔽部である。センサフラグ63が発光部と受光部の間に存在する場合、発光部からの光がセンサフラグ63により遮られ、センサフラグ63が発光部と受光部の間に存在しない場合と比較して、受光部の出力が変化する。これにより、上センサ65及び下センサ66は、各センサの位置にセンサフラグ63が存在するか否かを検出することが可能である。
【0024】
上センサ65、下センサ66又はセンサフラグ63の位置をあらかじめ求めたい位置に調整しておくと、検出したい高さで上センサ65又は下センサ66を作動させることができる。そして上センサ65、下センサ66の検出結果は、制御部98に入力される。制御部98は、上センサ65及び下センサ66の検出結果に応じて、発光部材67を構成するLEDの発光を制御する制御手段である。発光部材67は、複数の異なる色で発光可能である。実施例1においては、発光部材67は、3個のそれぞれ発光色の異なるLEDを用いている。制御部98は、上センサ65及び下センサ66の検出結果に応じて、異なる色のLEDを発光させる。上センサ65、下センサ66、制御部98、発光部材67の電源として乾電池68を搭載しており、不図示の電源スイッチを入れてから使用する。
【0025】
図7は、補助装置60をウェブロールUへ装着した状態を示す図である。補助装置60の巻き芯挿入部61は、昇降装置50に載置された状態のウェブロールUの巻き芯20に挿入可能に構成される。
図7の例では、補助装置60は昇降装置50とは独立して構成される。昇降装置50に積載したウェブロールUの内径21(
図2参照)に、巻き芯挿入部61(
図6参照)を挿し込む。
図6で説明したように、巻き芯挿入部61を含む可動部材55はスライドして移動可能であるため、昇降装置50に積載したウェブロールUの高さに合わせて、作業者が可動部材55を持ち上げて高さを調節することで、簡単に装着することが可能である。
【0026】
巻き芯挿入部61は内径21よりもごくわずかに小さく作られていることと、先端の角部を斜めに落としたテーパ形状にしていることにより、大きなガタはなく、かつスムーズに抜き差しできる。この状態から昇降装置50のハンドル51を回してウェブロールUの高さを上下させると、補助装置60の可動部材55がウェブロールUに追従して上下する。
【0027】
図8は、補助装置60の巻き芯挿入部61の異なる実施形態を示す図である。
図8は補助装置60の巻き芯挿入部61の側面図である。巻き芯挿入部61は、巻き芯20に挿入される方向に沿って、外径が増加するテーパ形状を有していてもよい。また、巻き芯挿入部61は、外径が異なる複数の部分からなる段付き形状を有していてもよい。
図8に示す例では、巻き芯挿入部71は、段付き形状に構成される。これにより、内径寸法が異なる複数種類の巻き芯に対応することができる。
図8に例示する巻き芯挿入部71は、内径2インチの巻き芯に対応した2面幅を有する第1部分22と、内径3インチの巻き芯に対応
した2面幅を有する第2部分23と、が一体的に構成されている。これにより、1台の補助装置60で内径の異なる複数種類の巻き芯に対応可能である。
【0028】
図9は、アンワインダーユニット2の巻き出し軸40にウェブロールUを装着するために、ウェブロールUを搭載した昇降装置50をアンワインダーユニット2に近づけている様子を示す図である。
図9に示すように、アンワインダーユニット2の巻き出し軸40の高さ72は固有の寸法である。ウェブロールUを巻き出し軸40に装着するにあたり、昇降装置50と補助装置60を用いて、昇降装置50上におけるウェブロールUの中心高さ73を巻き出し軸40の高さ72に等しくなるように事前に調整しておく。これにより、ウェブロールUを巻き出し軸40に装着しやすくなる。印刷装置1から離れた場所でウェブロールUの中心高さ73を調整してから昇降装置50を印刷装置1まで運び、ウェブロールUを巻き出し軸40に挿入するようにすることで、作業効率が向上する。
【0029】
図10は、上センサ65及び下センサ66とセンサフラグ63との位置関係を示す図である。
図10は補助装置60を側面から見た図であり、ウェブロールUは断面を示す。
図10(a)はウェブロールUの位置が目標位置よりも高い状態、
図10(b)はウェブロールUが目標位置にある状態、
図10(c)はウェブロールUの位置が目標位置よりも低い状態を示す。上センサ65、下センサ66の各センサ(フォトインタラプタ)の発光部と受光部の間(検知部)をセンサフラグ63が遮蔽した場合をON、遮断していない場合をOFFとする。ウェブロールUの位置が目標位置にある
図10(b)の状態で、上センサ65、下センサ66が共にOFFになるように、上センサ65、下センサ66の位置及びセンサフラグ63の寸法を設定する。センサフラグ63の鉛直方向の長さは、上センサ65と下センサ66の鉛直方向の間隔より短い。実施例1では、上センサ65と下センサ66の間隔59は、センサフラグ63の上下方向長さ58よりも2ミリ程度広くしてあるため、ウェブロールUの高さ方向の位置は、プラスマイナス1ミリの範囲内で合わせることができる。
【0030】
ウェブロールUの位置が
図10(b)の目標位置から上下に移動すると、
図10(a)又は
図10(c)の状態へと移行する。
図10(b)の目標位置からウェブロールUが上昇し、昇降装置50がウェブロールUを持ち上げることのできる最大高さに対応する位置に至るまで、上センサ65がON、下センサ66がOFFの状態になる。昇降装置50がウェブロールUを持ち上げることのできる最大高さは昇降装置50の仕様によって決まる。そこで、
図10(b)の目標位置を超えて明らかに高すぎると判断できる位置まで、
図10(a)に示すように上センサ65がON、下センサ66がOFFになるようにセンサフラグ63の幅58を設定する。
【0031】
また、
図10(b)の目標位置からウェブロールUが下降し、ウェブロールUが昇降装置50によって下降可能な最も低い位置に至るまで、上センサ65がOFF、下センサ66がONの状態になるようにセンサフラグ63の幅58を設定する。
【0032】
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)のそれぞれの状態において、上センサ65と下センサ66の検出結果の組み合わせは、以下のようになる。
図10(a)(目標位置より高い状態)上センサ65:ON、 下センサ66:OFF
図10(b)(目標位置にある状態) 上センサ65:OFF、下センサ66:OFF
図10(c)(目標位置より低い状態)上センサ65:OFF、下センサ66:ON
【0033】
可動部材55が目標位置にある状態では、センサフラグ63は上センサ65と下センサ66のいずれも遮蔽しない。可動部材55が目標位置より高い位置にある状態及び目標位置より低い位置にある状態では、センサフラグ63は上センサ65と下センサ66のいずれか一方を遮蔽する。この場合、上センサ65と下センサ66は、可動部材55の位置が
目標位置にある状態と、目標位置より高い位置にある状態と、目標位置より低い位置にある状態と、を検出可能に構成されている。
【0034】
制御部98は、上センサ65と下センサ66の検出結果の組み合わせに応じて、発光部材67のLEDを異なる色に発光させる。つまり、発光部材67は、可動部材55の位置が目標位置になった場合と、それ以外の場合とで、異なる色で発光することにより、報知を行う。例えば、
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)のそれぞれの状態において、制御部98は発光部材67の黄色、緑色、赤色のそれぞれのLEDを発光させる。作業者はこの色を見て、ウェブロールUの高さを判断して高さ合わせを行う。発光部材67を構成するLEDは、照射光76が、補助装置60が設置される空間の床面74の照射範囲75を照らすように設置される。これにより発光部材67のLEDの発光色の視認性を高めている。
【0035】
図11は、補助装置60の制御部98による発光部材67のLEDの発光制御を示すフローチャートである。
【0036】
ステップS10において、制御部18は、上センサ65の検出結果を取得する。ここでは、制御部18は、上センサ65の検出結果がOFFか判定する。上センサ65の検出結果がOFFの場合(ステップS10:YES)、ステップS11を実行し、ONの場合(ステップS10:NO)、ステップS14を実行する。
【0037】
ステップS11において、制御部18は、下センサ66の検出結果を取得する。ここでは、制御部18は、下センサ66の検出結果がOFFか判定する。下センサ66の検出結果がOFFの場合(ステップS11:YES)、ステップS12を実行し、ONの場合(ステップS11:NO)、ステップS13を実行する。ステップS12において、制御部18は緑色のLEDを発光させる。ステップS13において、制御部18は赤色のLEDを発光させる。ステップS14において、制御部18は黄色のLEDを発光させる。
【0038】
以上の発光制御により、例えば、上センサ65、下センサ66が共にOFFの場合(
図10(b)の状態)、緑色のLEDが点灯する。上センサ65がOFFかつ下センサ66がONの場合(
図10(c)の状態)、赤色のLEDが点灯する。上センサ65がONの場合(
図10(a))、黄色のLEDが点灯する。
【0039】
なお、ステップS10、ステップS11の判定順序は上記の例に限らない。また、上センサ65及び下センサ66の判定結果の組み合わせとLEDの発光色との対応関係を定めたテーブルを参照してLEDの発光制御を行ってもよい。また、上センサ65及び下センサ66の検出結果の組み合わせに応じて単色のLEDの発光パターンを制御してもよい。すなわち、発光部材67は、複数の異なるパターンで発光可能とし、可動部材55の位置が目標位置になった場合とそれ以外の場合とで異なるパターンで発光することにより報知を行ってもよい。例えばLEDの点灯と点滅を組み合わせたり、点滅間隔を異なるようにさせたりしてもよい。
【0040】
なお、発光部材67の照射範囲75は、補助装置60が設置される空間の床面74に限らず、例えば天井や壁面等、作業環境に応じて設定できる。発光部材67のLEDが床面や天井、壁面を照射する構成は、特にウェブロールUの直径が大きい場合に効果的である。なぜならば、補助装置60が作業者とはウェブロールUを挟んで反対側に装着される場合、発光部材67がウェブロールUに隠れて直視できないことがあるためである。
【0041】
図12は、補助装置60と作業者がウェブロールUを挟んで反対側に位置する様子を示す図である。作業者視点77からは、ウェブロールUに隠れる不可視領域78が存在し、
発光部材67も含まれる。しかし発光部材67を直接見ることができなくとも、視線54に示すように床面の照射範囲75のうちの一部分79は可視領域となるため、床面に反射したLEDの発光色を見て、作業者はウェブロールUの高さを判断することができる。
【0042】
また、上センサ65と下センサ66の検出結果を作業者に報知する手段は、発光部材67に限らない。例えば、上センサ65、下センサ66の検知結果に応じて異なるブザー音やメロディを発する発音部材を用いることも好適である。発音部材により検出結果を報知する場合、作業者は聴覚のみで報知内容を認識することができるため、特に大きいウェブロールUによって視界が得られない場合に効果的である。また、音と光を組み合わせた構成でもよい。
【0043】
作業者は、昇降装置50に搭載されたウェブロールUに補助装置60をセットし、補助装置60の発光部材67により報知される高さ検出結果を確認しながら昇降装置50を操作することにより、ウェブロールUの高さを目標位置に合わせることができる。高さ合わせが完了したら、作業者は補助装置60を取り外して不図示の電源スイッチを切る。
【0044】
図13は、アンワインダーユニット2の巻き出し軸40にウェブロールUを装着するために、ウェブロールUを搭載した昇降装置50をアンワインダーユニット2に近づけている様子を示す図である。
図13に示すように、昇降装置50でウェブロールUをアンワインダーユニット2付近まで運び、巻き出し軸40に対して目視でウェブロールUの左右方向87の位置をおよそ合わせる。その状態で、矢印88で示すウェブロールUを巻き出し軸40に近づける方向に昇降装置50を押してウェブロールUを巻き出し軸40に挿入する。不図示のシート先端を引き出して印刷装置1に残っているシートSにスプライスを行い、ウェブロールUの奥行方向を調整したら、
図3に示す巻き出し軸40の空気バルブ43から圧縮空気を注入して装着完了となる。
【0045】
実施例1の補助装置60は、ウェブロールUの高さ(上下方向の位置)のみを目標位置に合わせ、左右方向の位置は
図13で説明したように作業者が目視で大まかに合わせる。このように上下方向のみ正確に巻き出し軸40に対して位置合わせすれば、十分にウェブロールUの巻き出し軸40への装着性を向上させることができる。その理由を、
図26、
図27、
図28、
図29を用いて「A.左右方向、上下方向共に位置がずれている場合」「B.左右方向の位置がずれていて、上下方向の位置は合っている場合」の2通りについて以下で説明する。なお簡略化のため、ウェブロールUの軸方向と、アンワインダーユニットの軸140の軸方向は互いに平行な位置関係にあるとする。
【0046】
図26、
図27は「A.左右方向、上下方向共に位置がずれている場合」の説明図である。
図26は巻き出し側のウェブロールUとアンワインダーユニットの軸140の位置関係を示した、ウェブロールUを軸方向に見た図である。ウェブロールUの巻き芯142の内径部143と、アンワインダーユニットの軸140の外径部141が右斜め上方向にオーバーラップしている状態を示している。
図27は、
図26の状態を左側面から見た断面図である。
図27に示すように、アンワインダーユニットの軸140の先端にテーパ形状146が形成されている。これにより、上下方向において、ウェブロールUの中心軸144が、アンワインダーユニットの軸140の中心軸145よりも低い場合でも、ウェブロールUを挿入しやすい。それにも関わらず、ウェブロールUの自重が重い場合には、テーパ形状146の接触部147を乗り上げて
図27の矢印154方向にウェブロールUを押し込むことは困難である。そのため、作業者はウェブロールUの巻き芯142の内径部143を目視しつつ、不図示の昇降装置のハンドルを操作して上下方向位置を合わせる。さらに上下方向の位置を合わせるのと同時に、左右方向の位置合わせの作業も行うことは、作業者にとって負担のかかる作業である。
【0047】
図28は「B.左右方向の位置がずれていて、上下方向の位置は合っている場合」の説明図である。
図28はウェブロールUとアンワインダーユニットの軸140の位置関係を示した、ウェブロールUを軸方向に見た図である。ウェブロールUの巻き芯142の内径部143と、アンワインダーユニットの軸140の外径部141が、水平方向(右方向)にオーバーラップしている状態を示している。
図29はウェブロールUを昇降装置150に積載した状態における、
図28の位置関係を示した上面図である。
【0048】
上面から見て、ウェブロールUの中心軸148と、アンワインダーユニットの軸140の中心軸149は相対的に水平方向にずれているものの、上下方向の中心高さは一致している。そのため、そのまま押し込めば昇降装置150に付いているキャスター153が追従するため、テーパ形状に倣いやすく、ウェブロールUは矢印151の軌跡を描いてアンワインダーユニットの軸140へと装着される。よって上下方向を事前に合わせておくだけで、ウェブロールUを簡単に装着することができるようになる。
【0049】
実施例1による補助装置60を使用することにより、作業者は立った姿勢のままウェブロールUの高さ合わせをすることができるので、作業者の身体的負担が少ない。また短時間で作業が完了することや、専用の昇降装置を用意することなく汎用品の昇降装置で高さ合わせが可能となる利点もある。さらには、前のジョブを印刷中に、次のジョブに備えて高さを事前に合わせておくことができるので、ロール交換に要する時間を短縮することができ生産性が向上するという効果もある。
【0050】
なお、補助装置60に備わる上センサ65及び下センサ66としては、フォトインタラプタに限らない。例えば、レーザー等を利用してスライド部62の高さを検出するセンサをスライド部62に一体的に取り付けるとともに、センサの検出結果を同様に報知してもよい。また、検出結果の報知方法は上記の発光部材や発音部材を用いたものに限らず、検出結果を表示する表示装置を用いてもよい。
【0051】
(実施例2)
実施例2について説明する。実施例2は、補助装置の構成が実施例1と異なる。実施例1と同様の構成については図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0052】
図14は、実施例2の補助装置80を示す図である。補助装置80は、巻き芯挿入部61、スライド部62、支柱64、表示部81等から構成される。なお実施例2において、補助装置80は印刷装置1から独立して運搬できる構成としているが、例えば支柱64は印刷装置1の一部として構成されていてもよい。補助装置80は、巻き芯20に巻き芯挿入部61が挿入された状態のウェブロールUに対する、作業者による鉛直方向の位置合わせを補助する。
【0053】
実施例1と同様にスライド部62は巻き芯挿入部61と一体的に可動部材56として構成されており、支柱64に対して溝70に沿ってスライドして移動可能である。巻き芯挿入部61は
図8に示すように、異なる内径の巻き芯に対応するために段付き形状にするのも好適である点は、実施例1と同様である。実施例2に特有の構成として、表示部81は、可動部材56の移動に連動して移動することにより、可動部材56の鉛直方向の位置を表示する表示手段である。表示部81は、可動部材56の鉛直方向の位置が所定の目標位置になったことを視認可能な目印として、赤色表示82、緑色表示83、黄色表示84及びマーキング85を有する。緑色表示83は、可動部材56に設けられた第1のマークであり、マーキング85が支持部材である支柱64に対して相対的に移動しないように設けられた第2のマークである。可動部材56が目標位置にあるとき、緑色表示83とマーキング85の位置が一致するように構成されている。赤色表示82は、可動部材56における緑色表示83より高い領域を示す、鉛直方向に延びる第3のマークであり、黄色表示8
4は、可動部材56における緑色表示83より低い領域を示す、鉛直方向に延びる第4のマークである。可動部材56が目標位置より高い位置にあるとき、第4のマークである黄色表示84の範囲内に第2のマークであるマーキング85が位置する。可動部材56が目標位置より低い位置にあるとき、第3のマークである赤色表示82の範囲内に第2のマークであるマーキング85が位置する。表示部81は可動部材56と一体的に構成されている。実施例2においては表示部81は赤色表示82、緑色表示83、黄色表示84の3色に色分け表示が可能に構成されている。
【0054】
補助装置80の使用方法は、実施例1と同様、巻き芯挿入部61をウェブロールUの巻き芯20に装着してから、昇降装置50の高さを上下させて高さ調節を行う。可動部材56が高さ方向である矢印86方向に上下すると、表示部81は支柱64に対して相対的に位置が変化する。支柱64の最上部付近にはマーキング85がされており、表示部81との位置関係でウェブロールUの高さを判断して高さ調整を行う。緑色表示83がマーキング85と同一高さになったときに、ウェブロールUの位置が目標位置になるようにしている。つまり、ウェブロールUが低すぎる場合、マーキング85に隣り合うのは赤色表示82、高すぎる場合は黄色表示84となる。
【0055】
表示部81は比較的高い位置に設置すると、作業者から目視しやすいので好適である。なぜならば、補助装置80が作業者とはウェブロールUを挟んで反対側に装着される場合、表示部81の高さが低いと、ウェブロールUに隠れて直視できないことがあるためである。
【0056】
図15は、
図12と同様、補助装置80と作業者がウェブロールUを挟んで反対側に位置する様子を示す図である。補助装置80の表示部81は、昇降装置50に載置可能な最も大きなウェブロールUが昇降装置50によって昇降可能な最も高い位置にある状態において、ウェブロールUの上面よりも高い位置にあるように構成される。実施例2では、
図15に示すように、作業者視点77からは、ウェブロールUに隠れる不可視領域78が存在する。しかし表示部81を比較的高い位置に設置することにより、作業者の視線89に示すように表示部81を直接目視することができ、ウェブロールUの高さを判断することができる。高さ合わせ完了後の操作は、実施例1と同様である。
【0057】
実施例2に示す構成においても実施例1と同様、補助装置80を使用することにより、作業者は立った姿勢のままウェブロールUの高さ合わせをすることができるので、作業者の身体的負担が少ない。また短時間で作業が完了することや、専用のリフターを用意することなく汎用品のリフターで高さ合わせが可能となる利点もある。さらには、前のジョブを印刷中に、次のジョブに備えて高さを事前に合わせておくことができるので、ロール交換に要する時間を短縮することができ生産性がアップするという効果もある。実施例1と異なり、補助装置に電池等の電源が不要なので、簡易な構成とすることができる。また電池交換等も不要である。
【0058】
(実施例3)
実施例3について説明する。実施例3は、補助装置の構成が実施例1、実施例2と異なる。実施例1、実施例2と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0059】
図16は、実施例3の補助装置90を示す図である。補助装置90は、アーム部91、支柱64、センサ92、発光部材94、乾電池68等から構成される。なお実施例3において、補助装置90は印刷装置1から独立して運搬できる構成としているが、例えば支柱64は印刷装置1の一部として構成されていてもよい。なお電源として乾電池68を搭載しており、不図示の電源スイッチを入れてから使用するが、電源は乾電池に限定するもの
ではない。
【0060】
アーム部91は、ウェブロールUの巻き芯20に挿入可能な軸部材である。センサ92は、アーム部91に設けられ、巻き芯20に挿入された状態のアーム部91と巻き芯20との相対位置を検出する検出手段である。発光部材94は、センサ92による検出結果に応じて報知を行う報知手段である。発光部材94は、アーム部91と巻き芯20との相対位置が所定の目標位置になったことがセンサ92により検出された場合に、報知を行う。
【0061】
アーム部91は巻き芯20の内径部に挿入しやすいように、巻き芯20の内径に比べて十分細い、略水平のアーム形状をしており、支柱64に固定されている。アーム部91の先端にはセンサ92が装着されており、センサ92の高さは、ウェブロールUの中心高さが巻き出し軸40の中心高さに揃ったことを検出できる位置にあらかじめ設定されている。巻き芯20の内部において、センサ92の接触検知部93が巻き芯20の内周面に接触することによって巻き芯20の高さを測定することが可能である。
【0062】
図17は、実施例3の補助装置90を、昇降装置50に搭載されたウェブロールUの巻き芯20に挿入するために近づけている様子を示す図である。
図17に示すように、ウェブロールUを昇降装置50に載せた状態で、アーム部91が巻き芯20に挿入可能な高さになるよう昇降装置50の高さをおおまかに調整してから、矢印で示すようにアーム部91を巻き芯20の内部に挿入して補助装置90を設置する。このとき、水平方向にはできるだけ巻き芯20の中央に合わせるとよい。その状態から少しずつ高さを上げていくと、巻き芯20の内周面にセンサ92の接触検知部93が接触する。
【0063】
図18は、昇降装置50に搭載されたウェブロールUの巻き芯20の内周面にセンサ92の接触検知部93が接触した状態を示す断面図である。巻き芯20の内径に接触検知部93が接触すると、センサ92は接触を検知して報知手段を作動させる。例えば発光部材94であるLEDが、赤色から緑色に発光が変化した位置が、設定したいウェブロールUの高さとなる。あるいは発光部材94が消灯している状態から点灯に切り替わった位置が、設定したいウェブロールUの高さとしてもよい。
【0064】
図19は、アーム部91に設けられるセンサの別の実施形態を示す図である。
図19の例では、非接触型のセンサ96を用いて、光線97等を利用して巻き芯20の内周面上下方向の一方又は上下両方までの距離を非接触で測定する。ウェブロールUを上下させたときにあらかじめ設定した高さを検出すると発光部材94が発光するようにしてもよい。
【0065】
実施例1と同様、発光部材94であるLEDの発光パターンを変化させるのもよいし、さらに床面74や不図示の天井、壁面を照射する構成も好ましい。これにより、照射光76による照射範囲75を作業者が視認しやすくなる。また、発光部材94の代わりとして、発音部材を用いることも好適である。センサ92やセンサ96の検知結果により、ブザー音やメロディを発する構成や、音と光を組み合わせた構成でもよい。高さ合わせ完了後の操作は、実施例1と同様である。
【0066】
実施例3に示す構成においても実施例1同様、補助装置を使用することにより、作業者は立った姿勢のままウェブロールUの高さ合わせをすることができるので、作業者の身体的負担が少ない。また短時間で作業が完了することや、専用のリフターを用意することなく汎用品のリフターで高さ合わせが可能となる利点もある。さらには、前のジョブを印刷中に、次のジョブに備えて高さを事前に合わせておくことができるので、ロール交換に要する時間を短縮することができ生産性がアップするという効果もある。実施例1と異なりスライド構成を持たないが、同様の効果を得る補助装置を構成することができる。
【0067】
(実施例4)
図20は、実施例4の補助装置の概略構成を示す図である。 アンワインダーユニット2は、シートが巻き回されたウェブロールUの巻き芯142に挿入可能な回転軸である巻き出し軸40を有する。アンワインダーユニット2は、巻き出し軸40にウェブロールUが装着された状態でウェブロールUを使用可能なロール使用装置である。補助装置100は、作業者による、巻き出し軸40とウェブロールUとの、巻き出し軸40の軸方向及び鉛直方向の位置合わせの作業を補助する。巻き出し軸40の軸方向における第1端部401は軸受44に回転可能に固定され、第1端部401とは軸方向で反対側の第2端部側(先端部206側)からウェブロールUを挿入可能である。補助装置100は、撮影手段であるカメラ200,カメラ201と、カメラ200及びカメラ201による撮影画像を表示する表示手段であるモニタ203と、を有する。
【0068】
カメラ200は、巻き出し軸40の第2端部である先端部206と、巻き芯142の軸方向の端部のうち巻き出し軸40に近い側の端部155と、が撮影画像に含まれるように配置される第1撮影部である。
図21に示す撮影画像205の例では、巻き出し軸40の先端部206の上面と、巻き芯142の上端と、が撮影画像205に含まれる。これにより、巻き出し軸40と巻き芯142との間の鉛直方向の隙間207の有無や寸法を確認できる。なお、カメラ200は、巻き出し軸40の先端部206の下面と、巻き芯142の下端と、が撮影画像205に含まれるように配置してもよい。
【0069】
カメラ201は、巻き出し軸40の外周面403と、ウェブロールUの外周面404と、が撮影画像に含まれるように配置される第2撮影部である。
図22に示す撮影画像208の例では、巻き出し軸40の軸方向の全体と、ウェブロールUの軸方向の全体と、が撮影画像208に含まれる。これにより、ウェブロールUと巻き出し軸40の先端部206との軸方向の距離や、ウェブロールUと軸受44との軸方向の距離を確認できる。なお、カメラ201は、巻き出し軸40の一部と、ウェブロールUの端部と、が撮影画像208に含まれるように配置してもよい。また、
図23に示すように、巻き出し軸40は、ウェブロールUの軸方向の目標位置を示す目印212を有してもよい。この場合、カメラ201は、目印212が撮影画像211に含まれるように配置される。
【0070】
なお、
図20の例では、撮影手段としてカメラ200、カメラ201の2台を有する構成を例示したが、カメラ200及びカメラ201のいずれか一方のカメラを有する構成でもよい。カメラ200のみを有する構成では、鉛直方向の位置合わせを補助することができ、カメラ201のみを有する構成では、軸方向の位置合わせを補助することができる。また、巻き出し軸40の第2端部(先端部206)と巻き芯142の端部155とが撮影画像に含まれ、かつ、巻き出し軸40の外周面403とウェブロールUの外周面404とが撮影画像に含まれるように撮影手段を配置してもよい。この場合、1つの撮影手段を用いて、鉛直方向及び軸方向の位置合わせを補助することができる。
【0071】
また、
図20の例では、表示手段として1つのモニタ203を有する構成を例示した。しかし、カメラ200による撮影画像を表示する第1表示部としてのモニタと、カメラ201による撮影画像を表示する第2表示部としてのモニタと、の複数のモニタを有してもよい。また、モニタ203は、フレーム202に着脱可能に設けられていてもよい。これにより、作業者の作業場所によってフレーム202に固定されたモニタ203を視認しにくい場合でも、モニタ203を取り外して作業者に視認しやすい場所に設置することができる。
【0072】
実施例4の補助装置100によれば、作業者は、カメラ200及びカメラ201による撮影画像をモニタ203で確認しながら、巻き出し軸40とウェブロールUの巻き芯142との鉛直方向及び軸方向の位置合わせをすることができる。そのため、ウェブロールU
を巻き出し軸40に装着する作業の前に、ウェブロールUの高さを巻き出し軸40に合わせる作業を補助することができる。また、ウェブロールUの巻き芯142に巻き出し軸40を挿入し始めた後、所定の目標位置までウェブロールUを押し込む作業を補助することができる。
【0073】
なお、補助装置100は、カメラ200による撮影画像に基づき巻き出し軸40とウェブロールUとの鉛直方向の相対位置を検出する検出手段を有していてもよい。また、カメラ200による撮影画像に基づきまた、巻き出し軸40とウェブロールUとの軸方向の相対位置を検出する検出手段を有していてもよい。
図20の例では、制御部101は、カメラ200,201による撮影画像を取得し、巻き出し軸40とウェブロールUとの鉛直方向及び軸方向の相対位置を検出する。例えば、制御部101は、取得した撮影画像に対し画像処理を行うことにより、ウェブロールUの位置が鉛直方向及び又は軸方向で目標位置にあるか判定するように構成してもよい。この場合、制御部101は、判定結果をモニタ203に表示するようにしてもよい。これにより、作業者は、モニタ203に表示される判定結果を確認しながら昇降装置50を操縦することができ、よりウェブロールUの位置合わせ作業が簡単になる。
【0074】
また、制御部101は、ウェブロールUが載置された状態でウェブロールUを移動可能な移動手段である昇降装置50の動作を判定結果に基づいて制御するようにしてもよい。
図20の例では、昇降装置50は、載置されたウェブロールUを昇降させる駆動源としてのモータ215を有し、制御部101はモータ215の動作を判定結果に基づいて制御する。例えば、
図21に示すように、巻き出し軸40の上面と巻き芯142の上端とが画角に入るようにカメラ200が設置されている場合に、画像処理の結果、隙間207が存在しないと判定されたとする。この場合、制御部101は、ウェブロールUの位置が低すぎると判定し、判定結果に基づき、ウェブロールUを上昇させるようにモータ215を動作させる。これにより、ウェブロールUの鉛直方向の位置合わせ作業がさらに簡単になる。なお、昇降装置50のキャスター53を駆動可能にモータ215を構成し、モータ215の駆動力でウェブロールUを軸方向に移動可能に昇降装置50を構成してもよい。この場合、ウェブロールUの軸方向の移動を、制御部101による画像処理によるウェブロールUと巻き出し軸40との相対位置の判定結果に基づき制御することができる。これにより、ウェブロールUの軸方向の位置合わせ作業がさらに簡単になる。
【0075】
また、制御部101は、撮影手段による撮影画像に基づき、ウェブロールUの残量を検出するようにしてもよい。例えば、制御部101は、
図21に示すカメラ200による撮影画像205に対し画像処理を行って、ウェブロールUの巻き径216を検出することにより、ウェブロールUの残量を判定してもよい。
【0076】
なお、実施例4において、制御部101による画像処理や昇降装置50の制御を行わない場合、カメラ200、201による撮影画像が直接、モニタ203に出力される構成としてもよい。この場合、補助装置100は、制御部101を備えない構成となる。また、昇降装置50は、作業者がハンドル等の操作部を操作することで人力でウェブロールUを昇降させる構成でもよい。この場合、昇降装置50は、モータ215を備えない構成となる。
【0077】
補助装置100は、軸受44に設置されたカメラ200、アンワインダーユニット2のフレーム202に設置されたカメラ201、作業者が昇降装置50を矢印204の方向から操作できる状態で目視できる位置にあるモニタ203を有する。補助装置100は、カメラ200及びカメラ201による撮影画像を取得し、取得した撮影画像をモニタ203へ出力する制御部101を有する。また、制御部101は、撮影画像に対する画像処理を行い、画像処理結果をモニタ203へ出力する。また、制御部101は、画像処理結果に
基づき、昇降装置50に備わる駆動源であるモータ215を制御する。
図20中のカメラ200はウェブロールの高さ方向(Z方向)の位置を撮影するためのものであり、カメラ201はウェブロールの奥行き方向(Y方向)の位置を撮影するためのものである。
【0078】
図20中において、カメラ200は軸受44に設置され、カメラ201は巻き出し軸40を上から撮影するようにフレーム202に設置されており、計2つのカメラが使用されている。しかし、後述する撮影条件を満たすならば、設置位置やカメラの個数は
図20の限りではない。
【0079】
次に撮影条件を説明する。
図21にウェブロールUの高さを確認するためのカメラ200による撮影画像205を例示する。ウェブロールUの巻き芯142を巻き出し軸40に入る高さにするには、巻き出し軸40のウェブロールU側の先端部206と、巻き芯142が、カメラ200の撮影画像205に映っている必要がある。ウェブロールUの高さを確認する撮影条件は、巻き出し軸40の先端部206と巻き芯142との垂直方向の隙間207が見える配置にカメラ200が置かれていることである。垂直方向の隙間207が規定以下であれば、巻き芯142の高さが巻き出し軸40の先端部206よりも高く、かつ、巻き出し軸40の外径が巻き芯142の内側にあるといえる。この状態であれば、ウェブロールUを巻き出し軸40に差し込むことができる。
【0080】
次に奥行きを確認するための撮影条件を説明する。奥行きを合わせるには2通りの方法がある。1つはウェブロールUと巻き出し軸40の軸方向の中心を合わせる方法。もう一つはウェブロールUの先端を巻き出し軸40の所定の目印に合わせる方法である。
【0081】
まず、ウェブロールUと巻き出し軸40の軸方向の中心を合わせる際の撮影条件を説明する。
図22はウェブロールUの奥行きの位置を見るための、
図20のカメラ201の撮影画像208の一例である。ウェブロールUの軸方向の中心を巻き出し軸40の軸方向の中心と合わせるために必要な撮影条件は、撮影画像208にウェブロールUの軸方向の両端を映すことである。そして、ウェブロールUと軸受44との距離210と、ウェブロールUと巻き出し軸40の先端部206との距離209が撮影画像208に映ることである。軸受44との距離210と先端部206との距離209が撮影画像208から視認できれば、ウェブロールUと巻き出し軸40の軸方向の中心を合わせることは可能である。
【0082】
次に、ウェブロールUの先端を巻き出し軸40の所定の目印に合わせる際の撮影条件を説明する。
図23はウェブロールUの奥行きの位置を見るための、
図20のカメラ201の撮影画像211の一例である。
【0083】
目印212は巻き出し軸40上にあり、ウェブロールUの端の設置位置を示すものである。ここでは単に黒い線で表しているが、ウェブロールUの幅に合わせて複数あってもよいし、目盛が入っていてもよい。また、目印212は軸受44側にあってもよい。
【0084】
ウェブロールUの軸方向の位置を合わせるための撮影条件は、ウェブロールUの軸方向の端どちらかと、目印212両方を映すことである。ウェブロールUの軸方向の端どちらかと、目印212との両方を視認できれば、ウェブロールUの軸方向の長さにかかわらず、所定の位置に設置することが可能である。
【0085】
(実施例5)
実施例5について説明する。実施例5は、高さ及び奥行き報知機構の構成が実施例4と異なる。実施例4と同様の構成については図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。高さと奥行き方向を合わせる手段について、まず高さを合わせる手段から説明する。
【0086】
図24は、カメラ200の撮影画像205の一例である。
図21との相違点は、カメラ200の撮影画像205に、巻き芯142の高さを合わせるための補助画像である指示線213が表示されていることである。この指示線213は撮影画像205上に表示されているだけで、物理的には存在しない。指示線213の表示位置は、ウェブロールUの高さが巻き出し軸40に合うように表示される。例えば、
図24に表すように、指示線213と巻き芯142の外周が合わさるとき、ウェブロールUの高さが合うようにすることで、作業性が容易になる。指示線213は複数あってもよいし、形状も直線である必要はない。
【0087】
次に奥行方向を合わせる方法を説明する。
図25は、カメラ201の撮影画像211の一例である。
図23との相違点は、カメラ201の撮影画像211にウェブロールUの軸方向の位置を合わせるための補助画像である指示線214が表示されていることである。この指示線214は撮影画像211上に表示されているだけで、物理的には存在しない。指示線214の表示位置は、ウェブロールUの軸方向の位置が巻き出し軸40の所定の位置に合うように表示される。例えば、
図25に表すように、指示線214とウェブロールUの端が重なるとき、ウェブロールUの軸方向の位置が合うようにすることで、作業性が容易になる。指示線214はウェブロールUの幅に合わせて複数あってもよいし、形状も直線である必要はない。
【0088】
本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)
シートが巻き回されたロールの巻き芯に挿入可能な軸部材と、
前記軸部材が設けられ、鉛直方向に移動可能な移動部材と、
前記移動部材を鉛直方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記移動部材の鉛直方向の位置を検出する検出手段と、
を備え、前記巻き芯に前記軸部材が挿入された状態の前記ロールに対する鉛直方向の位置合わせを補助する補助装置であって、
前記移動部材の鉛直方向の位置が所定の目標位置になったことが前記検出手段により検出された場合に、報知を行う報知手段を備えることを特徴とする補助装置。
(構成2)
前記ロールは、ロール使用装置で使用可能であり、前記ロール使用装置は、前記巻き芯に挿入可能な回転軸を有し、前記回転軸に前記ロールが装着された状態で前記ロールを使用可能であり、
前記目標位置は、前記巻き芯の内周面と、前記回転軸の外周面と、が干渉しない状態にある前記ロールの鉛直方向の位置に対応する前記移動部材の位置である構成1に記載の補助装置。
(構成3)
前記報知手段は発光部材を有し、光により報知を行う構成1又は2に記載の補助装置。(構成4)
前記報知手段は、前記発光部材により前記補助装置が設置される空間の壁面、天井又は床面に光を照射することにより報知を行う構成3に記載の補助装置。
(構成5)
前記発光部材は、複数の異なる色で発光可能であり、
前記報知手段は、前記移動部材の位置が前記目標位置になった場合とそれ以外の場合とで異なる色で前記発光部材を発光させることにより報知を行う構成3又は4に記載の補助装置。
(構成6)
前記発光部材は、複数の異なるパターンで発光可能であり、
前記報知手段は、前記移動部材の位置が前記目標位置になった場合とそれ以外の場合とで異なるパターンで前記発光部材を発光させることにより報知を行う構成3又は4に記載
の補助装置。
(構成7)
前記報知手段は発音部材を有し、音により報知を行う構成1~6のいずれか1項に記載の補助装置。
(構成8)
前記軸部材は、前記巻き芯に挿入される方向に沿って外径が増加するテーパ形状を有する構成1~7のいずれか1項に記載の補助装置。
(構成9)
前記軸部材は、外径が異なる複数の部分からなる段付き形状を有する構成1~7のいずれか1項に記載の補助装置。
(構成10)
前記検出手段は、前記移動部材の位置が前記目標位置にある状態と、前記目標位置より高い位置にある状態と、前記目標位置より低い位置にある状態と、を検出可能に構成される構成1~9のいずれか1項に記載の補助装置。
(構成11)
前記検出手段は、鉛直方向の位置が異なる第1のフォトインタラプタ及び第2のフォトインタラプタを有し、
前記移動部材は、鉛直方向の位置によって前記第1のフォトインタラプタ及び前記第2のフォトインタラプタの発光部及び受光部の間を遮蔽可能な遮蔽部を有し、
前記遮蔽部の鉛直方向の長さは、前記第1のフォトインタラプタ及び前記第2のフォトインタラプタの鉛直方向の間隔より短く、
前記移動部材の位置が前記目標位置にある状態では、前記遮蔽部は前記第1のフォトインタラプタ及び前記第2のフォトインタラプタのいずれも遮蔽せず、
前記移動部材が前記目標位置より高い位置にある状態及び前記目標位置より低い位置にある状態では、前記遮蔽部は前記第1のフォトインタラプタ及び前記第2のフォトインタラプタのいずれか一方を遮蔽するように構成されている構成10に記載の補助装置。
(構成12)
前記軸部材は、前記ロールを鉛直方向に移動可能な昇降装置に載置された状態の前記ロールの前記巻き芯に挿入可能に構成され、
前記補助装置は、前記昇降装置とは独立して構成される構成1~11のいずれか1項に記載の補助装置。
(構成13)
シートが巻き回されたロールの巻き芯に挿入可能な軸部材と、
前記軸部材が設けられ、鉛直方向に移動可能な移動部材と、
前記移動部材を鉛直方向に移動可能に支持する支持部材と、
前記移動部材の移動に連動して移動することにより前記移動部材の鉛直方向の位置を表示する表示手段と、
を備え、前記巻き芯に前記軸部材が挿入された状態の前記ロールに対する鉛直方向の位置合わせを補助する補助装置であって、
前記表示手段は、前記移動部材の鉛直方向の位置が所定の目標位置になったことを視認可能な目印を有することを特徴とする補助装置。
(構成14)
前記ロールは、ロール使用装置で使用可能であり、前記ロール使用装置は、前記巻き芯に挿入可能な回転軸を有し、前記回転軸に前記ロールが装着された状態で前記ロールを使用可能であり、
前記目標位置は、前記巻き芯の内周面と、前記回転軸の外周面と、が干渉しない状態にある場合の前記ロールの鉛直方向の位置に対応する前記移動部材の位置である構成13に記載の補助装置。
(構成15)
前記目印は、前記移動部材に設けられた第1のマークと、前記支持部材に対して相対的
に移動しない第2のマークと、を有し、
前記移動部材が前記目標位置にあるとき、前記第1のマークと前記第2のマークとの位置が一致するよう構成されている構成13又は14に記載の補助装置。
(構成16)
前記目印は、前記移動部材における前記第1のマークより高い領域を示す、鉛直方向に延びる第3のマークと、前記第1のマークより低い領域を示す、鉛直方向に延びる第4のマークと、を有し、
前記移動部材が前記目標位置より高い位置にあるとき、前記第4のマークの範囲内に前記第2のマークが位置し、
前記移動部材が前記目標位置より低い位置にあるとき、前記第3のマークの範囲内に前記第2のマークが位置するように構成されている構成15に記載の補助装置。
(構成17)
前記表示手段は、前記ロールを鉛直方向に移動可能な昇降装置に載置可能な最も大きなロールが前記昇降装置によって昇降可能な最も高い位置にある状態において、前記ロールの上面の高さよりも高い位置にある構成13~16のいずれか1項に記載の補助装置。
(構成18)
前記軸部材は、前記ロールを鉛直方向に移動可能な昇降装置に載置された状態の前記ロールの前記巻き芯に挿入可能に構成され、
前記補助装置は、前記昇降装置とは独立して構成される構成13~17のいずれか1項に記載の補助装置。
(構成19)
シートが巻き回されたロールの巻き芯に挿入可能な軸部材と、
前記軸部材に設けられ、前記巻き芯に挿入された状態の前記軸部材と前記巻き芯との相対位置を検出する検出手段と、
を備え、前記巻き芯に前記軸部材が挿入された状態の前記ロールに対する鉛直方向の位置合わせを補助する補助装置であって、
前記軸部材と前記巻き芯との相対位置が所定の目標位置になったことが前記検出手段により検出された場合に、報知を行う報知手段を備えることを特徴とする補助装置。
(構成20)
前記ロールは、ロール使用装置で使用可能であり、前記ロール使用装置は、前記巻き芯に挿入可能な回転軸を有し、前記回転軸に前記ロールが装着された状態で前記ロールを使用可能であり、
前記目標位置は、前記巻き芯の内周面と、前記回転軸の外周面と、が干渉しない状態にある場合の前記巻き芯と前記軸部材との相対位置である構成19に記載の補助装置。
(構成21)
シートが巻き回されたロールの巻き芯に挿入可能な回転軸を有し前記回転軸に前記ロールが装着された状態で前記ロールを使用可能なロール使用装置の前記回転軸と、前記ロールと、の鉛直方向の位置合わせを補助する補助装置であって、
前記回転軸の軸方向における第1端部は前記ロール使用装置に固定され、前記第1端部とは前記回転軸の軸方向で反対側の第2端部側から前記ロールを挿入可能であり、
前記補助装置は、
撮影手段と、
前記撮影手段による撮影画像を表示する表示手段と、
を備え、
前記撮影手段は、前記回転軸の第2端部と、前記巻き芯の軸方向の端部のうち前記回転軸に近い側の端部と、が前記撮影画像に含まれるように配置されることを特徴とする補助装置。
(構成22)
前記撮影手段は、前記回転軸の第2端部の上面と、前記巻き芯の上端と、が前記撮影画像に含まれるように配置される構成21に記載の補助装置。
(構成23)
前記撮影手段は、前記回転軸の第2端部の下面と、前記巻き芯の下端と、が前記撮影画像に含まれるように配置される構成21に記載の補助装置。
(構成24)
前記ロール使用装置は、前記シートに記録を行う記録装置であり、
構成2、14、20~23のいずれか1項に記載の補助装置を有することを特徴とする記録装置。
【符号の説明】
【0089】
60:補助装置、61:巻き芯挿入部、62:スライド部、63:センサフラグ、64:支柱、65:上センサ、66:下センサ、67:発光部材、U:ウェブロール