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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180091
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241219BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241219BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241219BHJP
   G03G 21/02 20060101ALI20241219BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241219BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20241219BHJP
【FI】
G06Q50/10
B41J29/38 204
B41J2/01 451
G03G21/02
G03G21/00 388
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099534
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】次村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】木元 太一朗
(72)【発明者】
【氏名】瀧尻 豊
(72)【発明者】
【氏名】神谷 信行
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2H270
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB50
2C061AP01
2C061AQ05
2C061HJ08
2C061HK23
2C061HN05
2C061HQ17
2H270KA58
2H270KA59
2H270KA60
2H270KA62
2H270LA87
2H270MF17
2H270MF22
2H270NA01
2H270NC02
2H270NC07
2H270NC22
2H270ND02
2H270ND13
2H270ND36
2H270ZB01
2H270ZC03
2H270ZC04
5L049CC11
5L049CC15
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】サービス提供者から契約者に無償で消耗品を提供する契約の締結後に当該契約が解除された場合でも、サービス提供者が一方的に不利益を被るのを抑制する。
【解決手段】サーバ100は、インクをユーザに提供するサービスの契約が締結された契約締結状態、及び、サービスの契約が解除された契約解除状態、の少なくとも2つの状態の何れか1つの状態を記憶する記憶部115と、通信部140と、制御部110と、を備え、制御部110は、通信部140を介してサービスの契約の解除要求をS5で受信し、解除要求を受信した場合に、直近に提供されたインクの使用状態量と所定の第1閾値とをS20で比較し、S20での使用状態量と第1閾値との比較結果に応じて、記憶部115に記憶されている契約状態をS25で契約締結状態から契約解除状態に変更する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品をユーザに提供するサービスの契約が締結された第1状態、及び、前記サービスの契約が解除された第2状態、の少なくとも2つの状態の何れか1つの状態を記憶する記憶部と、
通信部と、
制御部と、
を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
前記通信部を介して前記サービスの契約の解除要求を受信する受信処理と、
前記解除要求を受信した場合に、直近に提供された前記消耗品の使用状態量と所定の第1閾値とを比較する第1比較処理と、
前記第1比較処理での前記使用状態量と前記第1閾値との比較結果に応じて、前記記憶部に記憶されている契約状態を前記第1状態から前記第2状態に変更する第1変更処理と、
を実行する、情報処理装置。
【請求項2】
前記使用状態量は、使用に応じて減少する前記消耗品の残量、若しくは、使用に応じて増大する前記消耗品の消費量であり、
前記第1閾値は、前記残量に対応する第1残量閾値であるか、若しくは、前記消費量に対応する第1消費量閾値であり、
前記制御部は、
前記使用状態量が前記残量の場合には前記第1比較処理で前記残量が対応する第1残量閾値を超えていた場合、前記使用状態量が前記消費量の場合には前記第1比較処理で前記消費量が対応する前記第1消費量閾値未満であった場合に、前記記憶部に記憶されている契約状態を前記第1状態のまま維持する、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第1比較処理で前記残量が前記第1残量閾値を超えていた場合、若しくは、前記第1比較処理で前記消費量が前記第1消費量閾値未満であった場合において、前記契約が締結され前記第1状態になってからの前記残量の累積値と所定の第2残量閾値とを比較するか、若しくは、前記契約が締結され前記第1状態になってからの前記消費量の累積値と所定の第2消費量閾値とを比較する、第2比較処理と、
前記第2比較処理で、前記残量の累積値が前記第2残量閾値未満であった場合、若しくは、前記消費量の累積値が前記第2消費量閾値を超えていた場合に、前記記憶部に記憶されている契約状態を前記第1状態から前記第2状態に変更する第2変更処理と、
を実行する、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、
前記第1比較処理で、前記残量が前記第1残量閾値を超えていた場合、若しくは、前記消費量が前記第1残量閾値未満であった場合に、所定の解約手数料の支払いがなされるか否かを判断する第1判断処理と、
前記第1判断処理で前記解約手数料の支払いがなされると判断された場合に、前記記憶部に記憶されている契約状態を前記第1状態から前記第2状態に変更する第3変更処理と、
を実行する、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記解約手数料は、前記使用状態量に応じて可変に設定されている、請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、さらに、
前記第1比較処理で、前記残量が前記第1残量閾値を超えていた場合、若しくは、前記消費量が前記第1残量閾値未満であった場合に、前記契約に対応しない前記消耗品の新規購入がなされたか否かを判断する第2判断処理と、
前記第2判断処理で前記消耗品の新規購入がなされたと判断された場合に、前記記憶部に記憶されている契約状態を前記第1状態から前記第2状態に変更する第4変更処理と、
を実行する、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記消耗品をそれぞれ収容した複数の収容体であって、前記消耗品の種類が互いに異なる前記複数の収容体が、画像記録装置に備えられた複数の着脱部にそれぞれ装着され、
前記制御部は、
前記第1比較処理において、前記複数の収容体の前記使用状態量の合計と、前記第1閾値に対応して定められる所定の第3閾値とを比較する、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記消耗品をそれぞれ受け入れ可能な複数の収容部であって、前記受け入れる消耗品の種類が互いに異なる複数の収容部が、画像記録装置に備えられており、
前記制御部は、
前記第1比較処理において、前記複数の収容部の前記使用状態量の合計と、前記第1閾値に対応して定められる所定の第3閾値とを比較する、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記使用状態量が前記残量の場合には前記第1比較処理で前記残量が前記第1残量閾値よりも小さな第4残量閾値未満であった場合、前記使用状態量が前記消費量の場合には前記第1比較処理で前記消費量が前記第1消費量閾値をよりも大きな第4消費量閾値を超える場合に、前記第1変更処理において、前記記憶部に記憶されている契約状態を前記第1状態から前記第2状態に変更する、請求項7記載の情報処理装置。
【請求項10】
消耗品をユーザに提供するサービスの契約が締結された第1状態、及び、前記サービスの契約が解除された第2状態、の少なくとも2つの状態の何れか1つの状態を記憶する記憶部と、
前記サービスの契約の解除要求を受信する受信部と、
前記受信部により前記解除要求が受信された場合に、直近に提供された前記消耗品の使用状態量と所定の第1閾値とを比較する比較部と、
前記比較部による前記使用状態量と前記第1閾値との比較結果に応じて、前記記憶部に記憶されている契約状態を前記第1状態から前記第2状態に変更する変更処理部と、
を有する、情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の契約締結に基づき印刷を実行可能とするサービスに係わる情報処理装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、契約期間中、一定の金額で、予め設定された枚数の印刷をプリンタに実行可能とするカートリッジの配送サービスのシステムが開示されている。この従来技術では、ユーザとメーカとが契約を締結することで、メーカから特定種類のカートリッジが無償でユーザの下へ配送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-49767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムでは、ユーザとメーカとで締結された契約の解除要求が情報管理サーバにおいて受信された場合、プリンタは、特定種類のカートリッジを使用可能な状態から使用不可能な状態へと変更される。しかしながら、契約者であるユーザからの解除要求のタイミングによっては、契約解除時点のカートリッジ内の消耗品の使用状況により、サービス提供者であるメーカが一方的に不利益を被る可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、サービス提供者から契約者に無償で消耗品を提供する契約の締結後に当該契約が解除された場合でも、サービス提供者が一方的に不利益を被るのを抑制できる、情報処理装置及び情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、消耗品をユーザに提供するサービスの契約が締結された第1状態、及び、前記サービスの契約が解除された第2状態、の少なくとも2つの状態の何れか1つの状態を記憶する記憶部と、通信部と、制御部と、を備えた情報処理装置であって、前記制御部は、前記通信部を介して前記サービスの契約の解除要求を受信する受信処理と、前記解除要求を受信した場合に、直近に提供された前記消耗品の使用状態量と所定の第1閾値とを比較する第1比較処理と、前記第1比較処理での前記使用状態量と前記第1閾値との比較結果に応じて、前記記憶部に記憶されている契約状態を前記第1状態から前記第2状態に変更する第1変更処理と、を実行する。
【0007】
本願発明では、制御部が実行する受信処理で解除要求が受信されると、直近に提供された消耗品の使用状態量すなわち消耗品の残量又は消費量と第1閾値とが比較され、第1比較処理において、使用状態量と第1閾値との大小が比較される。使用状態量と第1閾値との比較結果に応じて、第1変更処理において、契約締結状態である第1状態から、契約解除状態である第2状態へと変更される。そのため、例えば使用状態量が残量である場合にはその残量が対応する閾値以下である場合、使用状態量が消費量である場合はその消費量が対応する閾値以上である場合に、解除要求を許容し契約解除とすることが可能となる。
【0008】
本願発明によれば、サービス提供者から契約者であるユーザに対し直近の消耗品を提供後に、ユーザがある程度の量、消耗品を使用済であるならば、契約の解除が許容される。したがって、当該契約が解除された場合にサービス提供者が一方的に不利益を被るのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サービス提供者から契約者に無償で消耗品を提供する契約の締結後に当該契約が解除された場合でも、サービス提供者が一方的に不利益を被るのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る印刷管理システムの全体構成の一例を表すブロック図である。
図2】非契約モードにおける印刷管理システムの印刷の一例を表す説明図である。
図3】契約モードにおける印刷管理システムの印刷の一例を表す説明図である。
図4】サーバの制御部により実行される制御処理の流れの一例を表すフローチャートである。
図5】解約手数料の算出手法の一例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、消耗品の一例として黒色のインクを用いる、モノクロのインクジェットプリンタに本発明を適用した場合を例にとって説明する。
【0012】
<印刷管理システムの全体構成>
図1に、実施形態に係る印刷装置200を備えた印刷管理システム1の全体構成の一例を示す。図1に示すように、印刷管理システム1は、サーバ100と、印刷装置200と、端末装置300とを有する。サーバ100、印刷装置200、及び端末装置300は、ネットワークNTを介して互いに通信可能である。印刷装置200が画像記録装置の一例であり、サーバ100が情報処理装置の一例であり、印刷管理システム1が情報処理システムの一例である。
【0013】
<サーバ>
サーバ100は、例えば印刷装置200のメーカが設置及び管理するサーバである。サーバ100は1つの単体の「サーバ」で構成されてもよいし、複数のサーバによって「サーバ体」として構成されてもよい。サーバ100は、管理対象である複数の印刷装置200を管理する。サーバ100は、制御部110と、記憶部115と、通信部140等を有する。制御部110、記憶部115、及び通信部140等は、バス105を介して情報送受信可能に接続されている。
【0014】
記憶部115は、例えばRAM、ROM、EEPROM、HDD等によって構成されている。記憶部115には、各種のプログラム120と、各種のデータ130とが記憶されている。各種のデータ130には、例えば、ユーザにより購入されたチャージ枚数の累積値である累積チャージ枚数、契約締結情報、インク残量と解約手数料との相関、等が含まれる(後述)。
【0015】
制御部110は、データ処理を行う装置であり、例えばCPU等のプロセッサである。制御部110は、記憶部115に記憶された各種プログラム120を実行する。各種プログラム120には、例えば後述の図4に示すフローチャートによる制御内容を実行するプログラム等が含まれる。制御部110は、ネットワークNTに接続された印刷装置200及び端末装置300に対するデータ通信を含む各種の処理を行う。通信部140は、ネットワークNTに接続されており、印刷装置200及び端末装置300との間で通信を行う。
【0016】
<印刷装置>
印刷装置200は、例えばユーザによって保有されている。印刷装置200は、制御部210と、記憶部215と、表示部240と、操作部250と、通信部260と、印刷部270と、カートリッジホルダ280と、カートリッジセンサ290等を有する。制御部210、記憶部215、表示部240、操作部250、通信部260、及び印刷部270は、バス205を介して情報送受信可能に接続されている。
【0017】
<印刷装置の各部>
カートリッジホルダ280は、インクカートリッジであるカートリッジ285を収容可能に構成されている。カートリッジホルダ280が着脱部の一例である。印刷部270は、図示しない搬送機構により印刷用紙を搬送しつつ、印刷用紙に対して例えばインクジェット方式で画像を印刷する。印刷部270は、この例では、カートリッジホルダ280に収容されたカートリッジ285のインクを消費しながら画像の印刷を行う。カートリッジ285が収容体の一例であり、カートリッジ285に収容されたインクが消耗品の一例である。印刷装置200では、1つのカートリッジホルダ280に対しカートリッジ285を交換して収容する構成となっている。カートリッジ285は、例えば黒色等、1色のインク色のカートリッジで構成されている。
【0018】
記憶部215には、各種のプログラム220と、各種のデータ230とが記憶されている。各種のプログラム220には、例えば印刷部270による画像印刷を実行するための制御プログラム等が含まれる。各種のデータ230には、例えば、前述の累積チャージ枚数、及び、印刷可能枚数、累積使用印刷枚数、動作モード情報、契約後累積インク消費量(後述)等が含まれる。制御部210は、データ処理を行う装置であり、例えばCPU等のプロセッサである。制御部210は、記憶部215に記憶された各種プログラムを実行する。表示部240は、例えば、液晶ディスプレイであり、種々の情報を表示可能である。操作部250は、例えばキーボードやボタン等であり、ユーザによる入力操作を受け付ける。ユーザは、操作部250を操作することによって、種々の指示を印刷装置200に入力可能である。通信部260は、ネットワークNTに接続されており、サーバ100及び端末装置300との間で通信を行う。
【0019】
<配送サービス契約>
印刷装置200は、動作モードとして、「契約モード」と「非契約モード」とを切り替え可能に構成されている。
【0020】
「契約モード」は、カートリッジ285を金銭的負担なく無償でユーザの下へ配送する配送サービスの契約(以下適宜、単に「配送契約」と称する)が締結された契約締結状態に対応したモードである。契約締結状態が第1状態の一例であり、配送サービスが、消耗品をユーザに提供するサービスの一例である。契約モードでは、カートリッジとして、契約カートリッジ285Aが使用される。契約モードでは、印刷装置200は、例えば許容された印刷可能枚数の範囲内で、契約カートリッジ285A内のインクを消費して印刷を実行することができる。契約カートリッジ285Aは、後述の契約非締結状態では使用できないカートリッジである。なお、消耗品をユーザに提供するサービスは配送サービスに限られない。すなわち例えば、ユーザがサービス実行会社の指定する場所へ赴いて契約カートリッジ285Aを引き取ることで契約カートリッジ285Aの提供を受ける、等のサービス態様であってもよい。
【0021】
「非契約モード」は、上記配送契約が締結されていない契約非締結状態に対応したモードである。なお、契約非締結状態には、配送契約がまだ締結されていない未締結状態と、いったん配送契約が締結されたがその後当該契約の解約がなされた契約解除状態と、の両方が含まれる。契約解除状態が第2状態の一例である。非契約モードでは、カートリッジとして、市販カートリッジ285Bが使用される。市販カートリッジ285Bは、ユーザが自ら購入して使用するカートリッジであり、契約カートリッジ285Aとは異なる種類のカートリッジである。非契約モードでは、印刷装置200は、例えば印刷可能枚数の制限なく、市販カートリッジ285B内のインクを消費して印刷を実行することができる。市販カートリッジ285Bに収容されたインクが契約に対応しない消耗品の一例である。
【0022】
なお、カートリッジホルダ280は、契約カートリッジ285A及び市販カートリッジ285Bの各々に対応して個別に設けられてもよい。また、以下適宜、契約カートリッジ285Aと市販カートリッジ285Bとの区別をしない場合には、引き続き、単に「カートリッジ285」と称する。
【0023】
<契約締結情報と動作モード情報>
前述のサーバ100の記憶部115に記憶されるデータ130には、上記の未締結状態、契約締結状態、契約解除状態のいずれか1つの状態を表す契約締結情報(図示省略)が含まれる。なお、契約締結情報は、契約締結状態、契約解除状態のいずれか1つを表すようにしてもよい。契約締結情報が、記憶部に記憶されている契約状態の一例である。
【0024】
前述の印刷装置200の記憶部215に記憶されるデータ230には、上記非契約モード及び上記契約モードのいずれであるかを示す動作モード情報が含まれる(図示省略)。印刷装置200の制御部210は、記憶部215に記憶された動作モード情報に従い、非契約モード又は契約モードのいずれかに遷移する。
【0025】
例えば、端末装置300におけるユーザの適宜の操作に基づき、端末装置300とサーバ100との間で上記配送契約を締結する処理が実行される。契約が締結されると、サーバ100の制御部110により、記憶部115に記憶された上記契約締結情報が未締結状態から契約締結状態へと書き換えられる。印刷装置200の制御部210は、上記契約締結状態への遷移を契機に、サーバ100からの指示に基づいて、記憶部215に記憶された動作モード情報を非契約モードから契約モードに書き換える。
【0026】
例えば、端末装置300とサーバ100との間で上記のようにいったん締結された契約を解除する処理が実行されると、サーバ100の制御部110により、記憶部115に記憶された上記契約締結情報が契約締結状態から契約解除状態へと書き換えられる。印刷装置200の制御部210は、上記契約解除状態への遷移を契機に、サーバ100からの指示に基づいて、記憶部215に記憶された動作モード情報を契約モードから非契約モードに書き換える。
【0027】
なお、記憶部215に記憶される各種のデータ230には、上記のほか、例えば印刷対象の画像データ、印刷ジョブによる印刷を実行した場合にカウントアップされる累積使用印刷枚数、累積チャージ枚数、カートリッジ285内のインク残量又は消費量等が含まれる(後述)。
【0028】
<カートリッジセンサ>
カートリッジホルダ280に設けられたカートリッジセンサ290は、カートリッジホルダ280に収容されたカートリッジ285に設けられたICチップに対し、カートリッジ情報の読み取り及び書き込みを行う。例えばカートリッジセンサ290は、ICチップのカートリッジ情報を読み取ることにより、カートリッジホルダ280に収容されたカートリッジの種別、すなわち契約カートリッジ285Aであるか市販カートリッジ285Bであるかを検出する。
【0029】
またカートリッジホルダ280には、カートリッジ285内のインクの残量又は消費量を公知の手法で検出可能なインク量センサ(図示せず)が設けられている。なお、カートリッジセンサ290による上記読み取りにより、カートリッジ285内のインクの残量又は消費量を検出してもよい。インクの残量は、印刷装置200におけるカートリッジ285の使用に応じて減少する状態量であり、インクの消費量は、印刷装置200におけるカートリッジ285の使用に応じて増大する状態量である。この例では、インクの残量が、消耗品の使用状態量の一例である。検出されたインク残量又は消費量は適宜の間隔で随時制御部210により取得され、例えば取得された検出値はそれぞれ記憶部215内に履歴として蓄積される。なお、インク消費量については、例えば上記配送契約が締結された後にカートリッジホルダ280に装着された全ての契約カートリッジ285Aそれぞれについての消費量を累積した、契約後累積インク消費量の形で蓄積されていてもよい。インク残量については、例えば上記配送契約が締結された後、カートリッジホルダ280に装着された最新の契約カートリッジ285Aにおけるインク残量と、それ以前にカートリッジホルダ280に装着され使用されて取り外された契約カートリッジ285Aにおける当該取外し時のインク残量と、を合計した、契約後累積インク残量の形で蓄積されていてもよい。
【0030】
<端末装置>
端末装置300は、例えばユーザの所有するスマートフォン等の携帯端末であり、無線通信を介してネットワークNTに接続される。図示は省略するが、端末装置300は、制御部、記憶部、ネットワークNTに接続するための通信部、及び表示部、等を有する。記憶部には各種プログラムが記憶されている。制御部は、記憶部に記憶された各種のプログラムを実行する。
【0031】
端末装置300は、液晶ディスプレイとタッチパッドを一体的に組み合わせたタッチパネルにより、各種の情報の表示と、ユーザによる各種の入力操作を受け付ける。ユーザは、タッチパネルを操作することによって、種々の指示を端末装置300に入力可能である。端末装置300は、スマートフォン以外にも、例えばタブレットPC、ノート型PC、デスクトップ型PC等でもよい。
【0032】
<非契約モードでの印刷>
前述した、市販カートリッジ285B内のインクを消耗しつつ印刷を行う非契約モードによる、印刷管理システム1の印刷挙動の一例を図2示す。図2に示すように、非契約モードでは、ユーザの端末装置300から印刷ジョブを送信すると、印刷装置200は印刷可能枚数の制限なく、印刷ジョブに基づく印刷を実行する。市販カートリッジ285B内のインクが消耗した場合には、ユーザは新たな市販カートリッジ285Bを購入し、インクの消耗した市販カートリッジ285Bを新たな市販カートリッジ285Bに交換する。なお、端末装置300から印刷ジョブを受信するのに限られず、ユーザの操作に基づき印刷装置200の操作部250を介して印刷ジョブを受け付けてもよい。
【0033】
<契約モードでの印刷>
前述した、契約カートリッジ285A内のインクを消耗しつつ印刷を行う契約モードによる、印刷管理システム1の印刷挙動の一例を図3に示す。図3に示すように、ユーザは印刷を行うために、課金を負担することによりチャージ枚数を新たに購入する。すなわちユーザは、いわゆるプリペイド方式で金銭的な負担を行ってチャージ枚数の購入を行う。ユーザは、端末装置300に対して、チャージ枚数の購入を要求する操作を行うと、サーバ100に、端末装置300の識別情報とチャージ枚数の購入要求が送信される。サーバ100の制御部110は、購入要求を受け付けると、予め登録された端末装置300の識別情報に対応する印刷装置200の識別情報に基づき、識別情報により識別される印刷装置200が契約モードであるか否かを判定する。
【0034】
契約モードであると判定した場合、サーバ100は、チャージ枚数の決済処理を行うととともに、ユーザにより新たに購入されたチャージ枚数の値を、印刷装置200に対する累積チャージ枚数の値に加算する。累積チャージ枚数は、ユーザにより購入されたチャージ枚数の累積値であり、サーバ100の記憶部115のデータベースDB1に、印刷装置200又はユーザごとに記憶されている。
更新された累積チャージ枚数又は新たに購入されたチャージ枚数の値は、印刷装置200にも送信され、印刷装置200の記憶部215のデータベースDB2に記憶された累積チャージ枚数も更新される。チャージ枚数を累積チャージ枚数へ加算する処理は、印刷装置200の制御部210で実行されてもよい。
なお、サーバ100は、印刷装置200が契約モードではないと判定した場合、端末装置300に対して、チャージ枚数の購入が不可であることの通知を行う。
【0035】
印刷装置200の制御部210は、印刷ジョブをユーザの端末装置300から受信すると、サーバ100に印刷可能枚数を問合せて取得する。印刷装置200の印刷可能枚数は、累積チャージ枚数から後述する累積使用印刷枚数を差し引いた値である。印刷可能枚数は、サーバ100の制御部110により算出されてもよいし、印刷装置200の制御部210により算出されてもよい。
印刷装置200の制御部210は、印刷可能枚数が1以上である場合には印刷可能枚数が0となるまでの範囲で印刷を実行する。印刷装置200の制御部210は、印刷を実行した印刷枚数だけ累積使用印刷枚数をカウントアップする。累積使用印刷枚数は、印刷装置200で印刷が実行された場合に累積される印刷枚数であり、印刷装置200の記憶部215のデータベースDB3に記憶されている。
【0036】
印刷装置200の制御部210は、予め定められた送信タイミングで、累積使用印刷枚数の値を定期的にサーバ100に送信する。印刷装置200の制御部210は、印刷ジョブを受信した場合には印刷可能枚数を消費して印刷を実行する。
サーバ100の制御部110は、予め定められた所定タイミングで定期的に、累積使用印刷枚数の値に基づいて端末装置300に対してユーザが負担すべき課金を課す課金処理を実行する。サーバ100からの指示に基づいて、サーバ100とは別の取引サーバが課金処理を実行してもよい。
【0037】
なお、以上はカートリッジホルダ280に契約カートリッジ285Aが装着されている場合の印刷動作である。印刷装置200が契約モードの場合でも、カートリッジホルダ280に市販カートリッジ285Bが装着されている場合には、ユーザが自ら購入したカートリッジの使用となるため、課金対象とはならない。この場合には、累積使用印刷枚数はカウントアップされない。
【0038】
<本実施形態の特徴>
上記配送契約が締結された契約締結状態で印刷装置200が契約モードとなっている場合に、ユーザが何らかの理由で配送契約の解除、すなわち解約を希望する場合があり得る。前述のように契約締結状態においてはユーザの金銭的負担なく契約カートリッジ285Aが無償で配送される。そのため、契約解除のタイミングにおける契約カートリッジ285A内のインクの使用状況によっては、サービス提供者、例えばメーカが、一方的に不利益を被る可能性がある。
【0039】
本実施形態の特徴は、上記不利益を回避するためのサーバ100での処理にある。以下、その処理の詳細を図について説明する。
【0040】
<制御手順>
図4にサーバ100の制御部110が実行する制御手順の一例を示す。図4において、前述の契約締結情報が契約締結状態を表している状態でこのフローが開始される。
【0041】
まずS5で、端末装置300におけるユーザの適宜の操作により上記解約の要求がなされ、対応する契約解除要求が制御部110において受信されたか否かが判定される。契約解除要求が受信されたらYes判定され、処理がS10へと移される。このS5で制御部110において契約解除要求が受信される処理が受信処理の一例であり、S5を実行する制御部110が受信部の一例である。
【0042】
S10では、解約条件を表示するための表示信号が端末装置300へと出力され、対応する表示が端末装置300の表示部において行われる。具体的には、詳細を後述するように、以下のいずれか1つの条件が満たされることである。すなわち、直近に配送された最新のカートリッジ285Aのインク残量が所定値以下であること、契約後累積インク消費量が所定値以上であること、所定の解約手数料が支払われること、新たに市販カートリッジ285Bを装着したこと、の各条件が表示される。
【0043】
S15では、制御部110において、契約締結状態で適宜のタイミングで実行することになっている、契約カートリッジ285Aのユーザへの発送手配設定をいったん仮停止する処理がなされる。
【0044】
S20で、制御部110において印刷装置200にアクセスが行われ、この時点で、直近に当該ユーザへ向けて発送済の契約カートリッジ285A内のインク残量が取得される。発送済の当該契約カートリッジ285Aがユーザによりカートリッジホルダ280に装着されていれば、当該契約カートリッジ285A内のインク残量が前述の手法で検出されるため、当該検出値が取得される。一方、発送済の契約カートリッジ285Aはまだカートリッジホルダ280に装着されていない場合は、前述の手法による検出結果に係わらず、S20で取得されるインク残量は契約カートリッジ285Aの未使用状態、言い換えればインクの満量状態とみなされる。発送済の契約カートリッジ285Aの個体と、カートリッジホルダ280に装着されている契約カートリッジ285Aの個体とは、例えば前述のカートリッジセンサ290の検出結果に基づき同一であるか異なるものであるか、が識別される。
【0045】
取得されたインク残量は、制御部110により、予め定められた閾値と比較される。なお、インク残量はカートリッジセンサ290等による前述の手法にて検出される。上記閾値が、第1残量閾値の一例であり、第1閾値の一例でもある。制御部110が実行するこの比較が、第1比較処理の一例であり、この処理を実行する制御部110が比較部の一例である。さらに制御部110において、上記インク残量が上記第1残量閾値以下であるか否かが判定される。インク残量が第1残量閾値以下であればYes判定され、処理がS25へ移される。
【0046】
S25では、端末装置300との間で上記配送契約を解除する処理、すなわち解約処理が実行される。具体的には、前述のように、制御部110により、記憶部115に記憶された契約締結情報が契約締結状態から契約解除状態へと書き換えられる。また、制御部110により、印刷装置200の制御部210に対し指示信号が発せられ、指示信号を受信した制御部210により記憶部215に記憶された動作モード情報が契約モードから非契約モードへ書き換えられる。S25で制御部110により実行されるこの処理が第1変更処理の一例であり、S25を実行する制御部110が変更処理部の一例である。
【0047】
一方、S20にてインク残量が第1閾値を超えていればS20がNo判定され、処理がS35へ移される。この場合、制御部110により、記憶部115に記憶された契約締結情報は上記のように契約解除状態へと書き換えられることなく、契約締結状態のまま維持される。
【0048】
S35では、制御部110において、印刷装置200にアクセスが行われて前述の契約後累積インク消費量が取得され、その取得結果に基づき、当該取得された契約後累積インク消費量が、予め定められた閾値と比較される。上記閾値が、第2消費量閾値の一例である。制御部110が実行するこの比較が、第2比較処理の一例である。さらに制御部110において、上記契約後累積インク消費量が上記第2消費量閾値を超えているか否かが判定される。契約後累積インク消費量が第2消費量閾値を超えていればYes判定され、処理は前述のS25へ移される。S35において契約後累積インク消費量が第2消費量閾値以下であればNo判定され、処理はS40へ移される。
なお、S35において、制御部110において、印刷装置200にアクセスが行われて前述の契約後累積インク残量が取得され、その取得結果に基づき、当該取得された契約後累積インク残量が、予め定められた閾値と比較されてもよい。この場合の閾値は、第2残量閾値の一例であり、制御部110が実行するこの比較が第2比較処理の一例である。この場合、S35では、さらに制御部110において、上記契約後累積インク残量が上記第2残量閾値未満であるか否かが判定される。契約後累積インク残量が第2残量閾値未満であればYes判定され、処理が前述のS25へ移される。契約後累積インク残量が第2残量閾値以上であればNo判定され、処理はS40へ移される。
【0049】
上記いずれの場合も、S25に移行した場合は前述のように記憶部115に記憶された契約締結情報が契約締結状態から契約解除状態へと書き換えられ、記憶部215の動作モード情報が契約モードから非契約モードへ書き換えられる。制御部110により実行されるこの処理が第2変更処理の一例である。
【0050】
S40では、制御部110において、S20で取得された契約カートリッジ285A内のインク残量に応じて、上記配送契約を解約するための解約手数料が可変に算出される。算出手法の一例を図5(a)に示す。図示のように、この例では、
解約手数料=カートリッジの市場価格×インク残量[%]相当で算出される。但しインク残量20%以下では解約手数料は免除される。
【0051】
例えば、カートリッジ285の市場価格が5000円の場合には、図5(b)に示すように、インク残量0%以上20%以下では解約手数料0円、インク残量20%を超えて30%以下(図示では便宜的に「21%~30%」と略示。以下同様)では解約手数料1500円となる。以下同様に、インク残量30%を超え40%以下では2000円、インク残量40%を超え50%以下では2500円、インク残量50%を超え60%以下では3000円、インク残量60%を超え70%以下では3500円、インク残量70%を超え80%以下では4000円、インク残量80%を超え90%以下では4500円、インク残量90%を超え100%以下では5000円、と設定されている。なお、図5(b)に示すテーブルは、例えばサーバ100の記憶部115に記憶されている。
このようにして算出された解約手数料の金額はユーザの端末装置300へと送信され、端末装置300の表示部において表示される。
【0052】
S45では、制御部110により、上記表示された解約手数料に対し端末装置300におけるユーザの適宜の操作により支払いの承諾がなされたか否かが判定される。制御部110によるこの処理が第1判断処理の一例である。端末装置300におけるユーザの適宜の操作により解約手数料の支払が承諾されればYes判定され、処理が前述のS25へ移される。S25に移行した場合は前述のように記憶部115に記憶された契約締結情報が契約締結状態から契約解除状態へと書き換えられ、記憶部215の動作モード情報が契約モードから非契約モードへ書き換えられる。制御部110により実行されるこの処理が第3変更処理の一例である。S45において解約手数料の支払が承諾されなければNo判定され、処理はS50へ移される。
【0053】
S50では、制御部110において、印刷装置200にアクセスが行われてカートリッジセンサ190の検出結果が取得され、新たに購入された市販カートリッジ285Bがカートリッジホルダ280に装着されているかどうかが判定される。制御部110によるこの処理が第2判断処理の一例である。市販カートリッジ285Bが装着されている場合はYes判定され、処理が前述のS25へ移される。S25に移行した場合は前述のように記憶部115に記憶された契約締結情報が契約締結状態から契約解除状態へと書き換えられ、記憶部215の動作モード情報が契約モードから非契約モードへ書き換えられる。制御部110により実行されるこの処理が第4変更処理の一例である。
【0054】
上記のS25が終了した後は、S30にて、上記S15において仮停止していた、契約カートリッジ285Aのユーザへの発送手配設定を不可逆的に停止する、本停止処理がなされる。
【0055】
S30の後は、S70で、制御部110において、解約された配送契約が、解約時に印刷装置200の返却が必要な契約であったか否かが判定される。返却が必要な契約であればYes判定され、S75で、制御部110により端末装置300に対し印刷装置200の返却依頼が送信され、このフローの処理が終了する。S70において印刷装置200の返却が必要な契約でなければNo判定され、そのままこのフローの処理が終了する。
【0056】
一方、S50において市販カートリッジ285Bが装着されていない場合はS50がNo判定され、処理はS55へ移される。
【0057】
S55では、端末装置300へ表示信号が出力され、現状のままでは解約することができない旨の表示と、上記S10と同様の解約条件の表示とが、再度端末装置300の表示部において行われる。
【0058】
S60では、端末装置300におけるユーザの適宜の操作により上記解約要求のキャンセルがなされ、対応するキャンセル操作信号が制御部110において受信されたか否かが判定される。キャンセル操作信号が受信されない場合はNo判定され、処理が前述のS20へと戻されて同様の手順が繰り返される。キャンセル操作信号が受信された場合はYes判定され、処理がS65へと移される。
【0059】
S65では、前述のS15で実行された仮停止処理が解除され、契約カートリッジ285Aのユーザへの発送手配設定を復活させる処理がなされる。その後、このフローの処理が終了する。
【0060】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、図4におけるS5で端末装置300からの契約解除要求が受信されると、S20において、直近に発送された契約カートリッジ285Aのインクの残量と第1閾値とが比較される。その比較結果に応じて、S25において、契約締結状態から契約解除状態へと変更される。そのため、例えば残量が第1閾値以下である場合には解除要求を許容し、契約解除を実行することが可能となる。
本実施形態によれば、サービス提供者から契約者であるユーザに対し直近の契約カートリッジ285Aを発送後に、ユーザがある程度の量、契約カートリッジ285Aのインクを使用済であるならば、契約の解除が許容される。したがって、当該契約が解除された場合にサービス提供者が一方的に不利益を被るのを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では特に、S20で、契約カートリッジ285A内のインクの残量が第1残量閾値を超えていた場合、契約締結状態のまま維持される。
本実施形態によれば、ユーザが直近発送の契約カートリッジ285Aのインクをあまり使用せずに契約解除を希望した場合には、契約の解除が許容されずに契約締結状態が維持される。したがって、サービス提供者が一方的に不利益を被るのを確実に抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態では特に、直近に配送された契約カートリッジ285A内のインクの残量が第1残量閾値を超えていた場合に、S35で、契約締結状態になってからの消費量の累積値と第2消費量閾値とが比較される。消費量の累積値が第2消費量閾値を超えていれば、S25において契約締結状態から契約解除状態へと変更される。
本実施形態によれば、ユーザが直近配送の契約カートリッジ285Aをあまり使用せずに契約解除を希望した場合も、契約締結後契約解除を希望した時までで見て契約カートリッジ285Aのインクを十分使用していた場合は、実質的にサービス提供者の不利益は回避されるため、例外的に契約解除を許容することができる。
【0063】
また、本実施形態では特に、直近に配送された契約カートリッジ285A内のインクの残量が第1残量閾値を超えていた場合に、S45で、ユーザによる所定の解約手数料の支払いがなされるか否かが判断される。解約手数料の支払いがなされる場合には、S25において契約締結状態から契約解除状態へと変更される。
本実施形態によれば、ユーザが、直近配送の契約カートリッジ285Aをあまり使用せずに契約解除を希望した場合でも、解約手数料を支払うことでサービス提供者の不利益が補填されるため、例外的に契約解除を許容することができる。
【0064】
また、本実施形態では特に、配送契約を解約するために必要な上記の解約手数料は、契約カートリッジ285Aにおけるインクの残量又は消費量に応じて可変に設定されている。本実施形態においては、直近に配送された契約カートリッジ285A内のインクの残量又は消費量の大小に応じて、例えばより多くのインクを消費したユーザは解約手数料を安めにし、あまり多くのインクを消費していないユーザは解約手数料を高めに設定可能となる。本実施形態によれば、きめ細かな解約手数料設定により、サービス提供者の不利益を確実に補填し、サービス提供者の一方的な不利益を確実に抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では特に、直近に配送された契約カートリッジ285A内のインクの残量が第1残量閾値を超えていた場合に、S50で、契約に対応していない、市場において誰でも一般的に入手可能な市販カートリッジ285Bの新規購入がなされたか否かが判断される。当該市販カートリッジ285Bの新規購入がなされてカートリッジホルダ280に装着されている場合には、S25において契約締結状態から契約解除状態へと変更される。
本実施形態によれば、ユーザが直近配送の契約カートリッジ285Aをあまり使用せずに契約解除を希望した場合でも、新たに市販カートリッジ285Bを購入していた場合はサービス提供者の不利益が実質的に補填されることから、例外的に契約解除を許容することができる。
【0066】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を、順を追って説明する。
【0067】
(1)使用状態量として消費量を用いる場合
上記実施形態では使用状態量の一例としてカートリッジ285内のインク残量を用いたが、これに代えて、前述のようにして検出したインクの消費量を用いてもよい。この場合、インクの消費量が、消耗品の使用状態量の一例となる。
【0068】
本変形例では、例えば前述の図4のS10,S55で表示される解約条件では、上記実施形態における、直近に配送された最新のカートリッジ285Aのインク残量が所定値以下であることに代え、直近に配送された最新のカートリッジ285Aにおけるインク消費量が所定値以上であること、になる。
【0069】
またS20では、この時点で、直近に当該ユーザへ向けて発送済の契約カートリッジ285A内のインク消費量が取得される。発送済の当該契約カートリッジ285Aがユーザによりカートリッジホルダ280に装着されていれば、当該契約カートリッジ285A内のインク消費量が前述の手法で検出されて取得される。一方、発送済の契約カートリッジ285Aはまだカートリッジホルダ280に装着されていない場合は、前述の手法による検出結果に係わらず、S20で取得されるインク消費量は0とみなされる。
【0070】
取得されたインク消費量は、制御部110により、予め定められた閾値と比較される。なお、インク消費量はカートリッジセンサ290等による前述の手法にて検出される。上記閾値が、第1消費量閾値の一例であり、第1閾値の一例でもある。制御部110が実行するこの比較もまた、第1比較処理の一例であり、この処理を実行する制御部110が比較部の一例である。さらに制御部110において、上記インク消費量が上記第1消費量閾値以上であるか否かが判定される。インク消費量が第1閾値以上であればYes判定され、処理がS25へ移される。
一方、S20にてインク消費量が第1閾値未満であればS20がNo判定され、処理がS35へ移される。この場合、制御部110により契約締結状態のまま維持される。
【0071】
またS40において参照される、図5(b)に一例を示したインク残量と解約手数料との相関は、インク消費量と解約手数料との相関として記憶部115に記憶されている(図示省略)。その相関では、
解約手数料=カートリッジの市場価格×(100-インク消費量)[%]相当で算出される。但しインク消費量80%以上では解約手数料は免除される。
すなわち、インク消費量80%以上100%以下が図5(b)のインク残量0%以上20%以下に相当し、インク消費量70%以上80%未満がインク残量20%を超えて30%以下に相当し、インク消費量60%以上70%未満がインク残量30%を超え40%以下に相当し、インク消費量50%以上60%未満がインク残量40%を超え50%以下に相当し、インク消費量40%以上50%未満がインク残量50%を超え60%以下に相当し、インク消費量30%以上40%未満がインク残量60%を超え70%以下に相当し、インク残量20%を超え30%以下がインク残量70%を超え80%以下に相当し、インク残量10%を超え20%以下がインク残量80%を超え90%以下に相当し、インク消費量10%未満がインク残量90%を超え100%以下に相当している。
【0072】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0073】
(2)カラーインクジェットプリンタを用いる場合(その1)
すなわち、上記実施形態のように印刷装置200としてモノクロプリンタを用いるのではなく、カラープリンタを用いる場合である。この場合、カートリッジ285は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等、複数のインク色のカートリッジで構成されている。カートリッジホルダ280は、複数のインク色のカートリッジ285に対応して複数設けられている。
【0074】
本変形例においては、前述の使用状態量としての残量又は消費量は、互いにインク色が異なる複数の契約カートリッジ285Aそれぞれの残量又は消費量の合計値が用いられる。例えばS20においては、複数の契約カートリッジ285Aそれぞれについて取得されたインク残量又はインク消費量の合計値が、制御部110により、別途定められた閾値と比較される。このときの閾値は、前述の第1残量閾値又は第1消費量閾値に対応して定められる第3残量閾値又は第3消費量閾値の一例であり、それらはともに第3閾値の一例である。制御部110が実行するこの比較もまた第1比較処理の一例であり、この処理を実行する制御部110もまた比較部の一例である。
なおこの場合も、前述同様、複数のカートリッジ285それぞれが収容体の一例であり、各カートリッジ285に収容されたインクが消耗品の一例である。
【0075】
本変形例においては、互いに異なるインクをそれぞれ収容した複数の契約カートリッジ285Aが用いられる場合に、それら複数の契約カートリッジ285A全体で前述の手法が適用される。上記したように、S20において、複数の契約カートリッジ285Aにおけるインク残量又はインク消費量の合計と、第1残量閾値又は第1消費量閾値に対応して定められる第3残量閾値又は第3消費量閾値とが比較される。そして複数の契約カートリッジ285A全体のインク残量が上記第3残量閾値以下である場合、若しくは、複数の契約カートリッジ285A全体のインク消費量が対応する第3消費量閾値以上である場合に、S25において解除要求を許容し契約解除とすることが可能となる。
【0076】
本変形例によれば、複数の契約カートリッジ285A全体で前述の手法を適用することで、サービス提供者が一方的に不利益を被るのを抑制することができる。
【0077】
(3)カラーインクジェットプリンタを用いる場合(その2)
カラープリンタの場合に、上記変形例(2)のように、上記S20において、複数色の契約カートリッジ285Aの残量又は消費量の合計値を用いて比較を行い判断するのに限られない。例えば、複数色の契約カートリッジ285Aのうちいずれか1つの契約カートリッジ285Aのインクがほぼ使い切った状態であるか否かを判断してもよい。
【0078】
この場合、S20においては、複数の契約カートリッジ285Aのうちいずれか1つについて取得されたインク残量が、制御部110により、上記第1残量閾値よりも小さな適宜の第4残量閾値と比較される。あるいは、複数の契約カートリッジ285Aのうちいずれか1つについて取得されたインク消費量が、制御部110により、上記第1消費量閾値よりも大きな適宜の第4消費量閾値と比較される。それら第4残量閾値及び第4消費量閾値はともに第4閾値の一例であり、制御部110が実行するこの比較もまた第1比較処理の一例であり、この処理を実行する制御部110もまた比較部の一例である。
【0079】
上記取得されたインク残量が第4残量閾値未満であった場合、若しくは、上記取得されたインク消費量が第4消費量閾値を超えていた場合、当該契約カートリッジ285A内のインクは十分に消費され、当該契約カートリッジ285Aはほぼ使い切ったとみなされる。この結果、制御部110によりS20はYes判定されてS25以降の処理が行われる。
【0080】
本変形例によれば、ユーザが複数色の契約カートリッジ285Aのうち1つでも十分に使い切っていた場合は、サービス提供者の不利益は回避されるとみなし、S25において契約解除を許容することができる。
【0081】
(4)ボトルタイプの印刷装置に適用する場合
上記実施形態では、消耗品がカートリッジ285内のインクで且つカートリッジ285が着脱部としてのカートリッジホルダ280に装着される場合について説明したが、これに限らない。例えば、発送されたボトルを受け取ったユーザがボトルを手動で傾けボトル内のインクをインクタンクに注入し、インクタンクが注がれたインクを受け入れるタイプの印刷装置にも本発明は適用できる。この場合には、消耗品はボトル内のインクであり、インクタンクが収容部の一例となる。
【0082】
本変形例では、例えばS20においてはインクタンクにおけるのインク残量又はインク消費量が公知の手法で取得され、制御部110により、別途定められた閾値と比較される。このときの閾値もまた前述の第1閾値の一例であり、制御部110が実行するこの比較もまた第1比較処理の一例であり、この処理を実行する制御部110もまた比較部の一例である。
【0083】
さらにこの場合に、上記変形例(2)のように印刷装置がカラープリンタである場合には、複数色それぞれのボトル内のインクが対応するインクタンクにそれぞれ注入されて用いられる。その際、例えばS20においては、複数のインクボトルそれぞれについて取得されたインク残量又はインク消費量の合計値が、制御部110により、別途定められた閾値と比較される。このときの閾値もまた第3閾値の一例であり、制御部110が実行するこの比較もまた第1比較処理の一例であり、この処理を実行する制御部110もまた比較部の一例である。
【0084】
(5)その他
また印刷装置200はインクジェットプリンタに限られず、レーザプリンタであってもよい。この場合には、消耗品はトナーカートリッジ内のトナーであり、着脱部はトナー装着部となる。
【0085】
また、上記カートリッジやボトル以外にも、例えば印刷用紙、現像ローラ、定着ローラ、搬送ローラ、印字ヘッド、その他のプリンタ部品等が配送される契約を締結している場合には、それらが消耗品の一例となる。
【0086】
さらに、上記実施形態では、消耗品を使用する装置が、印刷処理を実行する印刷装置である場合を一例として説明したが、これに限らない。すなわち例えば、画像の送受信処理を実行するFAX、画像読取処理を実行するスキャナ等の各種OA機器であってもよい。またOA機器以外に、例えばエンジンオイルを消耗品の一例としてエンジンにて走行する自動車車両、バッテリを消耗品の一例とする各種電子機器やEV車両、電子タバコ用カートリッジを消耗品の一例とする電子タバコ等でもよい。
【0087】
また、以上において、図4に示すフローチャートは本発明を上記フローチャートに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0088】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0089】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0090】
1 印刷管理システム(情報処理システムの一例)
100 サーバ(情報処理装置の一例)
110 制御部
115 記憶部
140 通信部
200 印刷装置(画像記録装置の一例)
280 カートリッジホルダ(着脱部の一例)
285 カートリッジ(収容体の一例)
285A 契約カートリッジ
285B 市販カートリッジ
300 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5