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特開2024-180092流量観測システム、流量観測方法および流量観測プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180092
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】流量観測システム、流量観測方法および流量観測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20220101AFI20241219BHJP
   G01P 5/18 20060101ALI20241219BHJP
   G01F 1/002 20220101ALI20241219BHJP
【FI】
G01F1/00 H
G01P5/18 F
G01F1/002
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099537
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】溝口 博三
【テーマコード(参考)】
2F030
【Fターム(参考)】
2F030CA10
2F030CC05
2F030CE04
(57)【要約】
【課題】保守作業の負荷を抑制することが可能な流量観測システムを得ること。
【解決手段】流量観測システム100は、カメラ1により撮影された河川の表面の画像から河川の流速を算出する河川流速算出部55と、レーザー測距装置2により測定された河川の表面の点群データから河川の表面の傾きを算出する河川表面傾斜算出部56と、水位計測装置3により測定された河川の水位を示す水位データを受信する水位データ受信部47と、河川流速算出部55により算出された流速を示す河川流速情報と、河川表面傾斜算出部56により算出された傾きを示す河川表面傾斜情報と、水位データ受信部47により受信された水位データとを利用して河川の流量を算出する流量算出部48と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラにより撮影された河川の表面の画像から前記河川の流速を算出する河川流速算出部と、
レーザー測距装置により測定された前記河川の表面の点群データから前記河川の表面の傾きを算出する河川表面傾斜算出部と、
水位計測装置により測定された前記河川の水位を示す水位データを受信する水位データ受信部と、
前記河川流速算出部により算出された前記流速を示す河川流速情報と、前記河川表面傾斜算出部により算出された前記傾きを示す河川表面傾斜情報と、前記水位データ受信部により受信された前記水位データとを利用して前記河川の流量を算出する流量算出部と、
を備えることを特徴とする流量観測システム。
【請求項2】
前記カメラによる撮影範囲と前記レーザー測距装置による測定範囲とを共通とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の流量観測システム。
【請求項3】
前記水位計測装置による水位の計測位置が前記カメラによる撮影範囲に含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の流量観測システム。
【請求項4】
前記カメラの状態を判定するカメラ状態判定部と、
前記カメラ状態判定部による判定結果に基づいて前記カメラの画角を調整するカメラ制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の流量観測システム。
【請求項5】
前記流量算出部は、前記河川流速情報および前記河川表面傾斜情報を前記河川における風向および風速に基づいて補正し、補正後の前記河川流速情報および前記河川表面傾斜情報を使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の流量観測システム。
【請求項6】
前記流量算出部は、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データの取得状態に対応する流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の流量観測システム。
【請求項7】
前記流量算出部は、複数の流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出し、複数の流量算出結果それぞれが妥当であるか否かを判定用流量との比較により判定し、妥当ではない流量算出結果については除外する、
ことを特徴とする請求項1に記載の流量観測システム。
【請求項8】
前記流量算出部は、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データと、前記河川における風向および風速とに基づいて、複数の流量算出アルゴリズムの中の1つを選択し、選択した流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の流量観測システム。
【請求項9】
前記流量算出部は、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データを含む河川流量関連情報と、前記河川における風向および風速の情報を含む河川環境情報とに基づいて前記河川の流量算出で使用する流量算出アルゴリズムを推論するための学習済モデルを用いて、前記河川の流量算出で使用する流量算出アルゴリズムを選択する、
ことを特徴とする請求項8に記載の流量観測システム。
【請求項10】
カメラにより撮影された河川の表面の画像から前記河川の流速を算出する河川流速算出ステップと、
レーザー測距装置により測定された前記河川の表面の点群データから前記河川の表面の傾きを算出する河川表面傾斜算出ステップと、
水位計測装置により測定された前記河川の水位を示す水位データを受信する水位データ受信ステップと、
前記河川流速算出ステップで算出した前記流速を示す河川流速情報と、前記河川表面傾斜算出ステップで算出した前記傾きを示す河川表面傾斜情報と、前記水位データ受信ステップで受信した前記水位データとを利用して前記河川の流量を算出する流量算出ステップと、
を含むことを特徴とする流量観測方法。
【請求項11】
前記カメラによる撮影範囲と前記レーザー測距装置による測定範囲とを共通とする、
ことを特徴とする請求項10に記載の流量観測方法。
【請求項12】
前記水位計測装置による水位の計測位置が前記カメラによる撮影範囲に含まれる、
ことを特徴とする請求項10に記載の流量観測方法。
【請求項13】
前記カメラの状態を判定するカメラ状態判定ステップと、
前記カメラ状態判定ステップにおける判定結果に基づいて前記カメラの画角を調整するカメラ制御ステップと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の流量観測方法。
【請求項14】
前記流量算出ステップでは、前記河川流速情報および前記河川表面傾斜情報を前記河川における風向および風速に基づいて補正し、補正後の前記河川流速情報および前記河川表面傾斜情報を使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする請求項10から13のいずれか一つに記載の流量観測方法。
【請求項15】
前記流量算出ステップでは、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データの取得状態に対応する流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする請求項10に記載の流量観測方法。
【請求項16】
前記流量算出ステップでは、複数の流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出し、複数の流量算出結果それぞれが妥当であるか否かを判定用流量との比較により判定し、妥当ではない流量算出結果については除外する、
ことを特徴とする請求項10に記載の流量観測方法。
【請求項17】
前記流量算出ステップでは、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データと、前記河川における風向および風速とに基づいて、複数の流量算出アルゴリズムの中の1つを選択し、選択した流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする請求項10に記載の流量観測方法。
【請求項18】
前記流量算出ステップでは、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データを含む河川流量関連情報と、前記河川における風向および風速の情報を含む河川環境情報とに基づいて前記河川の流量算出で使用する流量算出アルゴリズムを推論するための学習済モデルを用いて、前記河川の流量算出で使用する流量算出アルゴリズムを選択する、
ことを特徴とする請求項17に記載の流量観測方法。
【請求項19】
カメラにより撮影された河川の表面の画像から前記河川の流速を算出する河川流速算出ステップと、
レーザー測距装置により測定された前記河川の表面の点群データから前記河川の表面の傾きを算出する河川表面傾斜算出ステップと、
水位計測装置により測定された前記河川の水位を示す水位データを受信する水位データ受信ステップと、
前記河川流速算出ステップで算出した前記流速を示す河川流速情報と、前記河川表面傾斜算出ステップで算出した前記傾きを示す河川表面傾斜情報と、前記水位データ受信ステップで受信した前記水位データとを利用して前記河川の流量を算出する流量算出ステップと、
を電子計算機に実行させることを特徴とする流量観測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、河川の流量を観測する流量観測システム、流量観測方法および流量観測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
河川においては、所定の箇所において流量の観測が行われる。例えば、特許文献1には、超音波計測装置を利用して水面下の河床形状および流速を計測し、水量を求めることが可能な河川状態計測装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-304484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の河川状態計測装置によれば、河川の状態をリアルタイムに計測して水量を特定することが可能となる。しかしながら、特許文献1に記載の河川状態計測装置は、超音波送受信器を水中に固定して使用するため、超音波送受信機の設置自体の作業負荷が大きい。また、点検、修理などを行う保守作業は、超音波送受信器を一度取り外して地上で行う、または、水中で行う必要があり、作業負荷が大きい。一度取り外した場合も再取り付け作業は水中で行う必要があり、特別なスキルや経験が必要となる。また、作業時間も大きくなることが考えられる。保守作業の負荷はできるだけ小さくすることが望まれる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、保守作業の負荷を抑制することが可能な流量観測システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる流量観測システムは、カメラにより撮影された河川の表面の画像から河川の流速を算出する河川流速算出部と、レーザー測距装置により測定された河川の表面の点群データから河川の表面の傾きを算出する河川表面傾斜算出部と、水位計測装置により測定された河川の水位を示す水位データを受信する水位データ受信部と、河川流速算出部により算出された流速を示す河川流速情報と、河川表面傾斜算出部により算出された傾きを示す河川表面傾斜情報と、水位データ受信部により受信された水位データとを利用して河川の流量を算出する流量算出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、保守作業の負荷を抑制することが可能な流量観測システムを実現できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかる流量観測システムの構成例を示す図
図2】実施の形態1にかかる流量観測システムの適用例を示す図
図3】実施の形態1にかかる流量観測システムのカメラ、レーザー測距装置、水位計測装置および流量観測装置の構成例を示す図
図4】実施の形態1にかかる流量観測装置の動作の一例を示すフローチャート
図5】実施の形態1にかかる流量観測装置の河川表面傾き算出部が河川表面の傾きを算出する方法の一例を示す図
図6】流量観測装置を実現するハードウェアの一例を示す図
図7】実施の形態3にかかる流量観測装置が備える流量算出部の構成例を示す図
図8】実施の形態3にかかる流量観測装置が備える流量算出部が河川の流量を算出する動作の一例を示すフローチャート
図9】アルゴリズム選択部を実現する学習装置の構成例を示す図
図10】ニューラルネットワークを説明するための図
図11】学習装置の動作の一例を示すフローチャート
図12】アルゴリズム選択部を実現する推論装置の構成例を示す図
図13】推論装置の動作の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の実施の形態にかかる流量観測システム、流量観測方法および流量観測プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる流量観測システム100の構成例を示す図である。流量観測システム100は、河川の水面を撮影するカメラ1と、河川の水面形状を測定するレーザー測距装置2と、河川の水位を計測する水位計測装置3と、河川の流量を算出する流量観測装置4とを含む。カメラ1は、例えばCCTV(Closed Circuit Television)カメラである。カメラ1、レーザー測距装置2および水位計測装置3は通信装置10-1に接続される。流量観測装置4は通信装置10-2に接続される。通信装置10-1および通信装置10-2は通信ネットワークを構成する。以下では、河川の水面を河川の表面、河川表面などと記載する場合がある。なお、図1では、カメラ1、レーザー測距装置2および水位計測装置3が1つの通信装置10-1に接続される例を示したがこの構成に限定されない。例えば、カメラ1、レーザー測距装置2および水位計測装置3がそれぞれ異なる通信装置に接続される構成であってもよい。
【0011】
図2は、実施の形態1にかかる流量観測システム100の適用例を示す図である。
【0012】
図2に示すように、例えば、カメラ1およびレーザー測距装置2は、河川敷に立てられた支柱に取り付けられる。カメラ1は河川90の水面の定められた範囲を上方から撮影する。レーザー測距装置2は、カメラ1による撮影範囲と共通の範囲を対象として、河川90の水面の形状を上方から測定する。水位計測装置3はカメラ1による撮影範囲内の水位が計測可能な位置に設置される。なお、カメラ1による撮影範囲の水位が計測可能であれば、撮影範囲外の近傍に水位計測装置3を設置してもよい。また、レーザー測距装置2による測定の対象範囲は、全部がカメラ1による撮影範囲と共通であることが望ましいが、一部が共通となるような設定としても構わない。
【0013】
図3は、実施の形態1にかかる流量観測システム100のカメラ1、レーザー測距装置2、水位計測装置3および流量観測装置4の構成例を示す図である。なお、図3では、図1に示す通信装置10-1および10-2の記載を省略している。
【0014】
カメラ1は、受光した映像信号をデータに変換する撮影部11と、撮影部11から出力されるデータをH.264、MPEG(Moving Picture Experts Group)2などの映像データに変換する映像データ変換部12と、映像データ変換部12から出力される映像データを流量観測装置4へ送信する映像データ送信部13と、カメラ1の向きが予め設定された画角となるように制御するカメラ制御部14とを備える。
【0015】
レーザー測距装置2は、定められた測定対象範囲にレーザーを照射し、反射した信号を受信することで、レーザーを反射した物体までの距離を計測するレーザー測距部21と、レーザー測距部21が計測した距離とレーザーを照射した方向および傾きとから3次元点群データ(以下では、3D点群データと称する場合がある)を生成する3次元点群データ生成部22と、3次元点群データ生成部22から出力される3D点群データを流量観測装置4へ送信する3次元点群データ送信部23とを備える。
【0016】
水位計測装置3は、河川の水位を計測して計測結果を出力する水位センサ31と、水位センサ31から出力される計測結果を水位データに変換する水位データ変換部32と、水位データ変換部32から出力される水位データを流量観測装置4へ送信する水位データ送信部33とを備える。
【0017】
流量観測装置4は、カメラ1の映像データ送信部13から送信された映像データを受信する映像データ受信部41と、映像データを定周期で動画ファイルに保存する画像処理部42と、画像処理部42から出力される動画ファイルに基づいて河川の流速を算出する流速算出部43とを備える。画像処理部42は、例えば、10分に1回の頻度で、河川の流速を算出するのに十分な長さ(例えば、15~30秒程度)の動画ファイルを生成する。画像処理部42および流速算出部43は河川流速算出部55を構成する。
【0018】
また、流量観測装置4は、レーザー測距装置2の3次元点群データ送信部23から送信された3D点群データを受信する3次元点群データ受信部44と、3D点群データから河川の表面に一定間隔の測線を設定して測線毎の平面上の点群データを抽出する測線データ抽出部45と、測線データ抽出部45が抽出した測線毎の平面上の点群データから水面の傾きを算出する河川表面傾き算出部46とを備える。測線データ抽出部45は、水が流れる方向すなわち河川の上流から下流に向かう方向に沿って測線を設定する。測線データ抽出部45および河川表面傾き算出部46は河川表面傾斜算出部56を構成する。
【0019】
また、流量観測装置4は、水位計測装置3の水位データ送信部33から送信された水位データを受信する水位データ受信部47と、河川の流速、水面の傾き、および水位に基づき、河川に流れる水の量(以下、河川の流量などと記載する)を算出する流量算出部48と、流量算出部48で算出された流量を含む各種データを蓄積するデータ蓄積部49と、データ蓄積部49に蓄積されているデータを表示するデータ表示部50とを備える。データ蓄積部49に蓄積されるデータには、映像データ、3D点群データ、測線毎の点群データ、河川の流速、河川の水位、河川の水面の傾き、および、河川の流量が含まれる。
【0020】
また、流量観測装置4は、カメラ1の向きなどを制御するための制御信号をカメラ1へ送信するカメラ制御信号送信部51と、カメラ1の向きが定められた画角であるか否かを判定するカメラ状態判定部52とを備える。
【0021】
つづいて、流量観測システム100の流量観測装置4の動作について説明する。図4は、実施の形態1にかかる流量観測装置4の動作の一例を示すフローチャートである。
【0022】
流量観測装置4は、定周期待ち時間が経過すると(ステップS1)、カメラ1の状態を要求する(ステップS2)。具体的には、カメラ制御信号送信部51がカメラ1のカメラ制御部14に対し、カメラ1の画角の情報を要求する。要求を受けたカメラ制御部14は、カメラ1に設定している画角の情報を流量観測装置4のカメラ状態判定部52に通知する。カメラ状態判定部52は、通知された情報が示すカメラ1の画角が適正であるか否かを判定し(ステップS3)、適正ではない場合(ステップS3:No)、カメラ制御信号送信部51がカメラ1の画角調整を行う(ステップS4)。具体的には、カメラ制御信号送信部51は、カメラ1の画角を指定する制御信号をカメラ1のカメラ制御部14へ送信し、カメラ制御部14はカメラ1の画角が指定された値となるように設定する。画角調整を行った後はステップS2に戻り、カメラ制御信号送信部51がカメラ1の状態を再度要求する。すなわち、カメラ制御信号送信部51がカメラ1のカメラ制御部14に対し、カメラ1の画角の情報を要求する。以下、カメラ1の画角が適正な状態となるまでステップS4の調整を繰り返す。なお、カメラ1の画角設定を固定とすることが可能な運用形態の場合、ステップS1~S4に記載の処理は実行しなくてもよい。ステップS1~S4に記載の処理は、例えば、カメラ1が、周辺の監視など、別の用途でも利用される場合に必要となる。
【0023】
カメラ1の画角が適正である場合(ステップS3:Yes)、流量観測装置4は、ステップS5~S12に示す流量算出動作を実行する。
【0024】
流量算出動作においては、映像データ受信部41が映像データをカメラ1から受信し(ステップS5)、画像処理部42が動画ファイルを作成する(ステップS6)。次に、流速算出部43が、動画ファイルから河川の流速を算出する(ステップS7)。流速算出部43は、例えば、STIV(Space-Time Image Velocimetry)法を用いて流速を算出する。
【0025】
また、3次元点群データ受信部44が3D点群データをレーザー測距装置2から受信し(ステップS8)、測線データ抽出部45が測線データを抽出する(ステップS9)。このステップS9において、測線データ抽出部45は、3次元点群データ受信部44が受信した3D点群データで表される河川の表面に一定間隔で複数の測線を設定し(図2参照)、測線毎の平面上に存在する点群データを3D点群データから抽出し、これを測線データとする。測線毎の平面とは、各測線のそれぞれに対応する複数の平面であり、各平面は1つの測線を含み、鉛直方向に延びているとする。測線データ抽出部45は、設定した測線それぞれについて点群データを抽出する。次に、河川表面傾き算出部46が、抽出された点群データから河川表面の傾きを算出する(ステップS10)。河川表面傾き算出部46は、図5に示すように、点群データによって表される水面の断面形状である波形から、河川表面の傾きを算出する。図5は、実施の形態1にかかる流量観測装置4の河川表面傾き算出部46が河川表面の傾きを算出する方法の一例を示す図である。河川表面傾き算出部46は、測線データ抽出部45により設定された複数の測線のそれぞれについて、河川表面の傾きを算出する。河川表面傾き算出部46は、点群データを直線近似した結果を河川表面の傾きとしてもよい。
【0026】
また、水位データ受信部47が水位データを水位計測装置3から受信する(ステップS11)。
【0027】
次に、流量算出部48が、流速算出部43で算出された河川の流速と、河川表面傾き算出部46で算出された河川表面の傾きと、水位データ受信部47が受信した水位データとに基づいて、河川の流量を算出する(ステップS12)。
【0028】
流量算出部48は、例えば、河川の流速、河川表面の傾きおよび河川の水位と、公知の流量演算方式とを用いて流量を算出する。使用する流量演算方式には、区分求積法、最大エントロピー法、DIEX(Dynamic Interpolation and EXtrapolation)法などが該当する。流量算出部48は、これらの各流量演算方式を使い分ける、または、組み合わせて使用して、流量を求める。例えば、流量算出部48は、各流量演算方式を使用して流量を計算し、得られた複数の流量の1つを選択して流量の算出結果とする。流量算出部48は、得られた複数の流量の平均値を流量の算出結果としてもよい。
【0029】
また、流量算出部48は、上記の各流量演算方式を使用して求めた流量が信頼できる値か否かを確認し、信頼性の低い流量については除外してもよい。この場合、流量算出部48は、求めた流量の中に信頼性の高い流量が存在しなければ処理を終了し、流量の算出結果を出力しない。求めた流量が信頼できるものであるか否かは、例えば、河川の水位Hと流量Qとの関係を表すHQ式を用いて導出される流量(以下、判定用流量と称する)との比較により判定する。流量算出部48は、例えば、求めた流量と判定用流量との差が定められた閾値以上の場合、求めた流量の信頼性が低い、すなわち、信頼できない流量であると判定する。
【0030】
また、上記の各流量演算方式は流量の算出で必要な情報がそれぞれ異なる。具体的には、区分求積法では区分ごとの河川の流速および水位が必要とされ、最大エントロピー法では河川の平均流速および水位が必要とされ、DIEX法では河川の流速、水位および河川表面の傾きが必要とされる。このため、流量算出部48は、河川の流速、河川表面の傾きおよび河川の水位の取得状態に基づき、使用する流量演算方式を選択してもよい。すなわち、流量算出部48は、河川の流速、河川表面の傾きおよび河川の水位の一部が何らかの理由により得られない場合、または、情報に誤りがある場合、得られた正しい情報から流量を算出可能な方式を用いて流量を算出するようにしてもよい。例えば、河川表面の傾きが得られない場合、流量算出部48は、河川表面の傾きを必要としない区分求積法または最大エントロピー法を使用して流量を算出する。情報に誤りがあるか否かの判断は、例えば、情報が示す値が既定範囲内であるか否かにより判断する。
【0031】
河川の流量算出動作が完了すると、流量観測装置4は、算出した流量および流量の算出に用いたデータをデータ蓄積部49に蓄積する(ステップS13)。データ蓄積部49は、例えば、流量と、河川の流速と、河川表面の傾きと、河川の水位とを流量算出部48から取得して蓄積する。データ蓄積部49は、流量の算出に用いた流量演算方式の情報を取得して蓄積してもよい。また、データ表示部50が、データ蓄積部49に蓄積されたデータを表示する(ステップS14)。データ表示部50は、例えば、データ蓄積部49に新たなデータが蓄積された場合に新たに蓄積されたデータを表示する。データ表示部50は、ユーザ等から要求を受けた場合に要求されたデータを表示してもよい。データ表示部50は、表示するデータの指定をユーザ等から受け付け、指定されたデータを表示するようにしてもよい。
【0032】
流量観測装置4は、ステップS14を実行後、ステップS1に戻って動作を継続する。
【0033】
つづいて、流量観測装置4のハードウェア構成について説明する。図6は、流量観測装置4を実現するハードウェアの一例を示す図である。流量観測装置4は、図6に示すプロセッサ201、メモリ202、通信回路203、表示装置204および入力装置205により実現することができる。
【0034】
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)、システムLSI(Large Scale Integration)などである。メモリ202は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク等などである。通信回路203は、通信ネットワークに接続してデータの送受信等を行うための電子回路である。表示装置204は、液晶モニタ、ディスプレイ等である。入力装置205は、マウス、キーボード、タッチパネルなどである。
【0035】
流量観測装置4の映像データ受信部41、3次元点群データ受信部44および水位データ受信部47は通信回路203により実現される。流量観測装置4のデータ蓄積部49はメモリ202により実現される。流量観測装置4のデータ表示部50は表示装置204により実現される。
【0036】
また、流量観測装置4の画像処理部42、流速算出部43、測線データ抽出部45、河川表面傾き算出部46および流量算出部48は、これらの各部として動作するためのプログラムをプロセッサ201が実行することにより実現される。画像処理部42、流速算出部43、測線データ抽出部45、河川表面傾き算出部46および流量算出部48として動作するためのプログラムはメモリ202に予め格納されている。プロセッサ201は、上記プログラムをメモリ202から読み出して実行することにより、画像処理部42、流速算出部43、測線データ抽出部45、河川表面傾き算出部46および流量算出部48として動作する。
【0037】
なお、メモリ202に格納される、画像処理部42、流速算出部43、測線データ抽出部45、河川表面傾き算出部46および流量算出部48として動作するためのプログラムは、例えば、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROMなどの記憶媒体に書き込まれた状態でユーザ等に提供される形態であってもよいし、ネットワークを介してユーザ等に提供される形態であってもよい。
【0038】
図6に示すプロセッサ201、メモリ202、通信回路203、表示装置204および入力装置205は、電子計算機を構成するハードウェアであってもよい。すなわち、流量観測装置4は、電子計算機と、電子計算機で実行されるプログラムとで実現される形態であってもよい。複数の電子計算機が連携して動作することで流量観測装置4の各機能が実現される形態であってもよい。
【0039】
以上説明したように、実施の形態1にかかる流量観測システム100において、流量観測装置4は、カメラ1が河川の水面を撮影して得られる映像データに基づいて河川の流速を算出し、また、レーザー測距装置2が河川の表面との距離を測定して得られる河川の表面形状を表す3D点群データに基づいて河川表面の傾きを算出し、河川の流速と、河川表面の傾きと、河川の水位とに基づいて河川の流量を算出する。実施の形態1にかかる流量観測システム100は、観測対象の河川の水面よりも高い位置に設けられたカメラ1およびレーザー測距装置2を用いて得られる河川の流速および表面の傾きと、水位計測装置3が取得する水位データとに基づいて河川の流量を算出するため、河川の流量算出で必要な流速データ等を取得するための機器を水中に設ける場合と比較して、保守作業の負荷増大を抑制することができる。
【0040】
なお、図3に示す流量観測装置4を構成する各処理部の一部を外部の装置に設けた形態としてもよい。例えば、画像処理部42および流速算出部43をカメラ1に設け、カメラ1で河川の流速を算出するようにしてもよい。同様に、測線データ抽出部45および河川表面傾き算出部46をレーザー測距装置2に設け、レーザー測距装置2で河川表面の傾きを算出するようにしてもよい。
【0041】
また、流量観測システム100が流量を観測する場所は、河口付近であってもよい。河口付近では水の流れが一時的に海から上流への方向となる場合があるが、このような逆流が発生する場所であっても流量の観測が可能である。ただし、観測精度維持の観点から、河川が真っ直ぐとなっている箇所での観測実施が望ましい。河川が真っ直ぐではない場合、流速の測定誤差が生じ、正確な流速を算出するのが難しくなる。
【0042】
実施の形態2.
つづいて、実施の形態2にかかる流量観測システムについて説明する。実施の形態2にかかる流量観測システムの構成は実施の形態1と同様である(図1参照)。また、流量観測システムを構成する各装置の構成も実施の形態1と同様である(図3参照)。本実施の形態では実施の形態1にかかる流量観測システム100と異なる部分について説明を行い、共通する部分については説明を省略する。
【0043】
実施の形態1においては、河川の流速、河川表面の傾き、水位から河川の流量を算出する流量観測システム100について説明した。しかし、流量の算出に用いる上記の情報は、風の影響を受けることが考えられる。例えば、流速は河川表面を撮影した動画(映像)から算出するため、上流から下流に向けて風が吹いたり、下流から上流に向けて風が吹いたりした場合、河川表面の流速と水中の流速との間に差が生じると考えられる。河川表面の流速と水中の流速との間に差が生じた場合、流量の算出結果にも誤差が生じる。このため、本実施の形態にかかる流量観測システム100の流量観測装置4では、風を考慮して流量を算出する。
【0044】
具体的には、本実施の形態にかかる流量観測装置4の流速算出部43が、河川における風向および風速に基づいて、河川の流速を補正する。すなわち、流速算出部43は、まず、画像処理部42で作成された動画ファイルから河川の流速を算出し、次に、算出した流速を風向および風速に基づいて補正し、補正後の流速を流量算出部48に出力する。流量観測装置4は、例えば、河川敷に設置された風向風速計から風向および風速の情報を取得する。風向および風速の情報を取得するタイミングは、流量観測装置4が映像データ、3D点群データおよび水位データを取得するタイミングと同様とすることが望ましい。補正処理で用いる風向および風速は、カメラ1による撮影範囲において検出される風向および風速とすることが望ましいが、カメラ1による撮影範囲の周辺で検出される風向および風速であってもよい。例えば、流量観測の実施場所周辺の風向および風速の情報をインターネットなどの外部ネットワーク経由で取得できる場合、流量観測装置4は外部ネットワーク経由で風向および風速の情報を取得してもよい。
【0045】
流速算出部43は、河川の流速補正動作では、例えば、風向および風速に基づいて、河川の上流から下流に向かう方向(以下、河川方向と称する)の風速成分を算出し、河川方向の風速成分に係数を乗じることで補正に用いる補正量を求める。流速算出部43は、動画ファイルから算出した流速に補正量を加算して流速を補正する。風向と河川方向との角度をθ、係数をkとした場合、補正後の流速は以下の式(1)で表される。なお、係数kはシミュレーションなどにより決定する。また、係数kを複数準備しておき、風の状態に応じて使い分けてもよい。例えば、河川方向の風速成分がN(m/s)未満の場合は係数k1を使用しN(m/s)以上の場合はk2を使用する、などとしてもよい。
(補正後の流速)=(流速)+k×(風速)×cosθ …(1)
【0046】
また、河川表面傾き算出部46が、河川における風向および風速に基づいて、河川表面の傾きを補正する。すなわち、河川表面傾き算出部46は、まず、測線データ抽出部45で抽出された測線データから河川表面の傾きを算出し、次に、算出した傾きを風向および風速に基づいて補正し、補正後の河川表面の傾きを流量算出部48に出力する。河川表面の傾きの補正に用いる補正量は、上記の流速の補正の用いる補正量と同様に、河川方向の風速成分と傾き補正用の補正量を求めるための係数とを掛け合わせて作成する。
【0047】
なお、河川方向の風速成分に係数を乗算して補正量を求める例を説明したが、河川方向の風速成分と補正量との対応テーブルを作成しておき、河川方向の風速成分と対応テーブルとに基づいて補正量を決定してもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態にかかる流量観測装置4は、河川の流量算出に用いる河川の流速および河川表面の傾きの算出結果を風向および風速に基づいて補正し、補正後のデータを用いて流量を算出する。これにより、流量の算出結果から風の影響を除去することができ、流量の算出精度を向上させることが可能となる。
【0049】
実施の形態3.
つづいて、実施の形態3にかかる流量観測システムについて説明する。実施の形態3にかかる流量観測システムの構成は実施の形態1,2と同様である(図1参照)。また、流量観測システムを構成する各装置の構成も実施の形態1,2と同様である(図3参照)。本実施の形態では実施の形態1にかかる流量観測システム100と異なる部分について説明を行い、共通する部分については説明を省略する。
【0050】
実施の形態1では、流量観測装置4の流量算出部48が使用する流量算出アルゴリズム(流量演算方式)を状況に応じて使い分けることについて説明したが、本実施の形態では、使用する流量算出アルゴリズムを決定する際に機械学習を利用する流量算出部48について説明する。
【0051】
図7は、実施の形態3にかかる流量観測装置4が備える流量算出部48の構成例を示す図である。
【0052】
図7に示すように、流量算出部48は、河川の流量算出で用いるデータおよび流量算出アルゴリズムの選択で用いるデータを取得するデータ取得部481と、河川の流量算出で使用する流量算出アルゴリズムを選択するアルゴリズム選択部482と、アルゴリズム選択部482で選択された流量算出アルゴリズムを用いて河川の流量を計算する流量演算部483と、河川流量の計算結果、河川の流量算出で使用したデータなどを出力する出力部484と、を備える。
【0053】
データ取得部481は、流速算出部43で算出される河川の流速と、河川表面傾き算出部46で算出される河川表面の傾きと、水位データ受信部47から出力される水位データとを取得する。河川の流速および河川表面の傾きの一方または両方は、実施の形態2で説明した補正を実施して得られる補正後のデータであってもよい。また、データ取得部481は、河川における風向および風速を取得する。河川における風向および風速は、実施の形態2と同様に、カメラ1による撮影範囲において検出される風向および風速であることが望ましいが、カメラ1による撮影範囲の周辺で検出される風向および風速であってもよい。河川の流量算出では、河川の流速、河川表面の傾き、および、河川の水位が用いられる。流量算出アルゴリズムの選択では、河川の流速、河川表面の傾き、河川の水位、風向、および、風速が用いられる。
【0054】
アルゴリズム選択部482は、後述する学習装置が機械学習を行うことで生成される学習済モデルを利用して、河川の流量算出で使用する流量算出アルゴリズムを選択する。
【0055】
図8は、実施の形態3にかかる流量観測装置4が備える流量算出部48が河川の流量を算出する動作の一例を示すフローチャートである。
【0056】
河川の流量を算出する流量算出部48においては、まず、データ取得部481が、河川の流量算出で用いるデータおよび流量算出アルゴリズムの選択で用いるデータを取得する(ステップS21)。次に、アルゴリズム選択部482が、データ取得部481で取得されたデータと、学習済モデルとに基づいて、河川の流量算出で使用する流量算出アルゴリズムを選択する(ステップS22)。次に、流量演算部483が、データ取得部481で取得されたデータと、アルゴリズム選択部482で選択された流量算出アルゴリズムとを用いて河川の流量を計算する(ステップS23)。次に、出力部484が、流量演算部483による流量の計算結果および関連データを出力する(ステップS24)。ここでの関連データとは、ステップS21でデータ取得部481が取得した各データの一部または全部である。ステップS22でアルゴリズム選択部482が選択した流量算出アルゴリズムの情報を関連データに含めてもよい。出力部484は、流量の計算結果および関連データをデータ蓄積部49に出力する。
【0057】
つづいて、アルゴリズム選択部482の詳細について説明する。アルゴリズム選択部482は、学習済モデルを生成する学習装置、および、学習済モデルを用いて推論を行う推論装置により実現される。
【0058】
まず、アルゴリズム選択部482を実現する学習装置について、図9図11を用いて説明する。図9は、アルゴリズム選択部482を実現する学習装置6の構成例を示す図である。図9に示す学習装置6は、アルゴリズム選択部482が流量算出アルゴリズムを選択する処理で利用される学習済モデルを生成する。
【0059】
学習装置6は、学習用データを取得するデータ取得部61と、学習済モデルを生成するモデル生成部62とを備える。モデル生成部62が生成する学習済モデルは学習済モデル記憶部71で保持される。なお、図9では、学習済モデル記憶部71が学習装置6の外部に設けられている例を示したが、学習済モデル記憶部71は学習装置6の内部に設けられていてもよい。
【0060】
データ取得部61は、河川の流速、河川表面の傾き、河川の水位、風向、および、風速と、流量算出アルゴリズムの情報とを学習用データとして取得する。流量算出アルゴリズムの情報が機械学習の教師データに相当する。なお、これ以降の説明では、便宜上、河川の流速、河川表面の傾き、および、河川の水位を纏めた情報を河川流量関連情報と称し、風向および風速を纏めた情報を河川環境情報と称する場合がある。河川環境情報は、風向および風速の他の情報、例えば、気温、降雨量などの情報をさらに含んでいてもよい。
【0061】
教師データとする流量算出アルゴリズムの情報は、河川流量関連情報と、使用可能な複数の流量算出アルゴリズムのそれぞれとを用いて、流量算出アルゴリズムごとに流量を算出し、得られた算出結果と、河川の実際の流量とに基づいて作成する。すなわち、河川の実際の流量に最も近い算出結果が得られた流量算出アルゴリズムの情報(以下では、流量算出アルゴリズム情報と称する場合がある)を教師データとする。使用可能な複数の流量算出アルゴリズムには、区分求積法、最大エントロピー法、DIEX法といった流量演算方式が含まれる。これら以外の流量演算方式が含まれてもよい。河川の実際の流量は、浮子、ADCP(Acoustic Doppler Current Profiler)、電磁流速計などを利用して計測する。実際の流量の計測は、河川流量関連情報および河川環境情報が計測されるタイミングとほぼ同じタイミングで行う。なお、各流量算出アルゴリズムを用いて算出した流量の中に、実際の流量に近いものが存在しない場合、例えば、算出した流量と実際の流量との差が定められた値よりも小さいものが存在しない場合、このデータを学習用データから除外してもよい。
【0062】
モデル生成部62は、データ取得部61から出力される河川流量関連情報、河川環境情報および流量算出アルゴリズム情報の組み合わせに基づいて作成される学習用データに基づいて、河川流量関連情報および河川環境情報と、流量算出アルゴリズム情報との関係を学習する。すなわち、モデル生成部62は、河川流量関連情報および河川環境情報が入力されると最適な流量算出アルゴリズムの情報を出力する学習済モデルを生成する。ここで、学習用データは、河川流量関連情報と、河川環境情報と、流量算出アルゴリズム情報とを互いに関連付けたデータである。
【0063】
なお、学習装置6は、河川流量関連情報および河川環境情報に対応する流量算出アルゴリズムを学習するために使用されるが、例えば、ネットワークを介して流量観測装置4に接続され、この流量観測装置4とは別個の装置として動作する構成であってもよい。また、学習装置6は流量観測装置4に内蔵されていてもよい。さらに、学習装置6は、クラウドサーバ上に存在していてもよい。
【0064】
モデル生成部62は、例えば、ニューラルネットワークを適用して実現される。モデル生成部62は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、河川流量関連情報および河川環境情報に対応する流量算出アルゴリズムを学習する。ここで、教師あり学習とは、入力と結果(ラベル)のデータの組を学習装置6に与えることで、それらの学習用データにある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。
【0065】
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)、及び複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層、又は2層以上でもよい。
【0066】
図10は、ニューラルネットワークを説明するための図である。例えば、図10に示すような3層のニューラルネットワークであれば、複数の入力が入力層X(X1-X3)に入力されると、その値に重みW1(w11-w16)を掛けて中間層Y(Y1-Y2)に入力され、その結果にさらに重みW2(w21-w26)を掛けて出力層Z(Z1-Z3)から出力される。この出力結果は、重みW1および重みW2の値によって変わる。
【0067】
本実施の形態にかかる学習装置6のモデル生成部62で用いるニューラルネットワークは、データ取得部61によって取得される河川流量関連情報、河川環境情報および流量算出アルゴリズム情報の組み合わせに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、河川流量関連情報および河川環境情報に対応する流量算出アルゴリズムを学習する。
【0068】
すなわち、ニューラルネットワークは、入力層に河川流量関連情報および河川環境情報を入力して出力層から出力された結果が、流量算出アルゴリズム情報に近づくように重みW1および重みW2を調整することで学習する。
【0069】
モデル生成部62は、以上のような学習を実行することで学習済モデルを生成し、出力する。
【0070】
学習済モデル記憶部71は、モデル生成部62から出力された学習済モデルを記憶する。
【0071】
次に、図11を用いて、学習装置6が学習済モデルを生成する動作について説明する。図11は、学習装置6の動作の一例を示すフローチャートである。
【0072】
学習装置6は、まず、学習用データを取得する(ステップS31)。具体的には、データ取得部61が、河川流量関連情報、河川環境情報および流量算出アルゴリズム情報を取得し、これらを関連付けて学習用データを作成する。なお、河川流量関連情報、河川環境情報および流量算出アルゴリズム情報を同時に取得するものとしたが、河川流量関連情報、河川環境情報および流量算出アルゴリズム情報を関連付けて取得できればよく、河川流量関連情報、河川環境情報および流量算出アルゴリズム情報をそれぞれ別のタイミングで取得してもよい。
【0073】
学習装置6は、次に、学習処理を行う(ステップS32)。具体的には、モデル生成部62が、データ取得部61で取得された河川流量関連情報、河川環境情報および流量算出アルゴリズム情報の組み合わせに基づいて作成される学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、河川流量関連情報および河川環境情報に対応する流量算出アルゴリズムを学習し、学習済モデルを生成する。
【0074】
学習装置6は、次に、学習済モデルを学習済モデル記憶部71に記憶させる(ステップS33)。具体的には、モデル生成部62が、ステップS32で生成した学習済モデルを出力し、学習済モデル記憶部71が学習済モデルを記憶する。
【0075】
つづいて、アルゴリズム選択部482を実現する推論装置について、図12および図13を用いて説明する。図12は、アルゴリズム選択部482を実現する推論装置8の構成例を示す図である。推論装置8は、河川流量関連情報および河川環境情報を推論用データとして取得するデータ取得部81と、河川の流量算出に適した流量算出アルゴリズムを推論する推論部82とを備える。図12に示す学習済モデル記憶部71は、図9に示す学習済モデル記憶部71に対応し、学習装置6で生成済みの学習済モデルを記憶している。なお、図12では、学習済モデル記憶部71が推論装置8の外部に設けられている例を示したが、学習済モデル記憶部71は推論装置8の内部に設けられていてもよい。
【0076】
推論部82は、学習済モデル記憶部71が記憶している学習済モデルを利用して、河川流量関連情報および河川環境情報に対応する流量算出アルゴリズムを推論する。すなわち、推論部82は、学習済モデル記憶部71が記憶している学習済モデルにデータ取得部81が取得した河川流量関連情報および河川環境情報を入力して推論を実行させ、流量算出アルゴリズム情報を推論結果として取得する。推論部82は、推論結果である流量算出アルゴリズム情報を出力する。
【0077】
なお、推論装置8は、河川流量関連情報および河川環境情報に対応する流量算出アルゴリズムを推論するために使用されるが、例えば、ネットワークを介して流量観測装置4に接続され、この流量観測装置4とは別個の装置として動作する構成であってもよい。また、推論装置8は流量観測装置4に内蔵されていてもよい。さらに、推論装置8は、クラウドサーバ上に存在していてもよい。
【0078】
また、本実施の形態では、流量観測装置4を構成する学習装置6が生成した学習済モデルを用いて、推論装置8が流量算出アルゴリズムを推論するものとして説明を行うが、推論装置8は、流量観測装置4の外部で生成された学習済モデルを取得し、この学習済モデルを用いて流量算出アルゴリズムを推論するようにしてもよい。
【0079】
次に、図13を用いて、推論装置8が流量算出アルゴリズムを推論する動作について説明する。図13は、推論装置8の動作の一例を示すフローチャートであり、実施の形態3にかかる流量観測装置4の流量算出部48が推論装置8を利用して河川の流量算出に適した流量算出アルゴリズムを推論する動作の一例を示す。
【0080】
推論装置8は、まず、流量算出アルゴリズムの推論に用いるデータを取得する(ステップS41)。具体的には、データ取得部81が、河川流量関連情報および河川環境情報を取得する。
【0081】
推論装置8は、次に、ステップS41で取得したデータを学習済モデル記憶部71が記憶している学習済モデルに入力し(ステップS42)、推論結果を得る。すなわち、推論部82が、データ取得部81が取得した河川流量関連情報および河川環境情報を、学習済モデル記憶部71が記憶している学習済モデルに入力し、これに伴い学習済モデルから出力される流量算出アルゴリズム情報を取得する。
【0082】
推論装置8は、次に、推論結果である流量算出アルゴリズム情報を出力する(ステップS43)。アルゴリズム選択部482を実現する推論装置8は、流量算出アルゴリズム情報を流量演算部483に出力する。
【0083】
これにより、河川流量関連情報および河川環境情報から、河川の流量算出に適した流量算出アルゴリズムを推論することができる。
【0084】
このように、機械学習を利用して、流量観測装置4の流量算出部48が備えるアルゴリズム選択部482を実現することが可能である。
【0085】
なお、本実施の形態では、モデル生成部62が用いる学習アルゴリズムに教師あり学習を適用した場合について説明したが、これに限られるものではない。学習アルゴリズムについては、教師あり学習以外にも、強化学習、教師なし学習、又は半教師あり学習等を適用することも可能である。
【0086】
また、モデル生成部62は、複数の流量観測装置4に対して作成される学習用データに従って、流量算出アルゴリズムを学習するようにしてもよい。なお、モデル生成部62は、異なるエリアで取得される河川流量関連情報および河川環境情報に基づき作成される学習用データを利用して流量算出アルゴリズムを学習してもよい。また、学習用データを収集する流量観測装置4を途中で対象に追加したり、対象から除去したりすることも可能である。さらに、ある流量観測装置4に関して流量算出アルゴリズムを学習した学習装置を、これとは別の流量観測装置4に適用し、当該別の流量観測装置4に関して流量算出アルゴリズムを再学習して更新するようにしてもよい。
【0087】
また、モデル生成部62に用いられる学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、深層学習(Deep Learning)を用いることもでき、他の公知の方法、例えば遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシンなどに従って機械学習を実行してもよい。
【0088】
以上説明したように、本実施の形態にかかる流量観測装置4の流量算出部48は河川流量関連情報および河川環境情報と河川の流量算出に適した流量算出アルゴリズムとの関係を学習して生成された学習済モデルを利用して、河川の流量算出に用いる流量算出アルゴリズムを選択する。これにより、河川流量関連情報に含まれる河川の流速、河川表面の傾きおよび河川の水位と、河川環境情報に含まれる風向および風速とに応じた流量算出アルゴリズムを使用して河川の流量を算出することができ、流量の算出精度の向上が期待できる。
【0089】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0090】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0091】
(付記1)
カメラにより撮影された河川の表面の画像から前記河川の流速を算出する河川流速算出部と、
レーザー測距装置により測定された前記河川の表面の点群データから前記河川の表面の傾きを算出する河川表面傾斜算出部と、
水位計測装置により測定された前記河川の水位を示す水位データを受信する水位データ受信部と、
前記河川流速算出部により算出された前記流速を示す河川流速情報と、前記河川表面傾斜算出部により算出された前記傾きを示す河川表面傾斜情報と、前記水位データ受信部により受信された前記水位データとを利用して前記河川の流量を算出する流量算出部と、
を備えることを特徴とする流量観測システム。
(付記2)
前記カメラによる撮影範囲と前記レーザー測距装置による測定範囲とを共通とする、
ことを特徴とする付記1に記載の流量観測システム。
(付記3)
前記水位計測装置による水位の計測位置が前記カメラによる撮影範囲に含まれる、
ことを特徴とする付記1または2に記載の流量観測システム。
(付記4)
前記カメラの状態を判定するカメラ状態判定部と、
前記カメラ状態判定部による判定結果に基づいて前記カメラの画角を調整するカメラ制御部と、
を備えることを特徴とする付記1から3のいずれか一つに記載の流量観測システム。
(付記5)
前記流量算出部は、前記河川流速情報および前記河川表面傾斜情報を前記河川における風向および風速に基づいて補正し、補正後の前記河川流速情報および前記河川表面傾斜情報を使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする付記1から4のいずれか一つに記載の流量観測システム。
(付記6)
前記流量算出部は、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データの取得状態に対応する流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか一つに記載の流量観測システム。
(付記7)
前記流量算出部は、複数の流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出し、複数の流量算出結果それぞれが妥当であるか否かを判定用流量との比較により判定し、妥当ではない流量算出結果については除外する、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか一つに記載の流量観測システム。
(付記8)
前記流量算出部は、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データと、前記河川における風向および風速とに基づいて、複数の流量算出アルゴリズムの中の1つを選択し、選択した流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする付記1から5のいずれか一つに記載の流量観測システム。
(付記9)
前記流量算出部は、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データを含む河川流量関連情報と、前記河川における風向および風速の情報を含む河川環境情報とに基づいて前記河川の流量算出で使用する流量算出アルゴリズムを推論するための学習済モデルを用いて、前記河川の流量算出で使用する流量算出アルゴリズムを選択する、
ことを特徴とする付記8に記載の流量観測システム。
(付記10)
カメラにより撮影された河川の表面の画像から前記河川の流速を算出する河川流速算出ステップと、
レーザー測距装置により測定された前記河川の表面の点群データから前記河川の表面の傾きを算出する河川表面傾斜算出ステップと、
水位計測装置により測定された前記河川の水位を示す水位データを受信する水位データ受信ステップと、
前記河川流速算出ステップで算出した前記流速を示す河川流速情報と、前記河川表面傾斜算出ステップで算出した前記傾きを示す河川表面傾斜情報と、前記水位データ受信ステップで受信した前記水位データとを利用して前記河川の流量を算出する流量算出ステップと、
を含むことを特徴とする流量観測方法。
(付記11)
前記カメラによる撮影範囲と前記レーザー測距装置による測定範囲とを共通とする、
ことを特徴とする付記10に記載の流量観測方法。
(付記12)
前記水位計測装置による水位の計測位置が前記カメラによる撮影範囲に含まれる、
ことを特徴とする付記10または11に記載の流量観測方法。
(付記13)
前記カメラの状態を判定するカメラ状態判定ステップと、
前記カメラ状態判定ステップにおける判定結果に基づいて前記カメラの画角を調整するカメラ制御ステップと、
を含むことを特徴とする付記10から12のいずれか一つに記載の流量観測方法。
(付記14)
前記流量算出ステップでは、前記河川流速情報および前記河川表面傾斜情報を前記河川における風向および風速に基づいて補正し、補正後の前記河川流速情報および前記河川表面傾斜情報を使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする付記10から13のいずれか一つに記載の流量観測方法。
(付記15)
前記流量算出ステップでは、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データの取得状態に対応する流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする付記10から14のいずれか一つに記載の流量観測方法。
(付記16)
前記流量算出ステップでは、複数の流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出し、複数の流量算出結果それぞれが妥当であるか否かを判定用流量との比較により判定し、妥当ではない流量算出結果については除外する、
ことを特徴とする付記10から14のいずれか一つに記載の流量観測方法。
(付記17)
前記流量算出ステップでは、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データと、前記河川における風向および風速とに基づいて、複数の流量算出アルゴリズムの中の1つを選択し、選択した流量算出アルゴリズムを使用して前記河川の流量を算出する、
ことを特徴とする付記10から14のいずれか一つに記載の流量観測方法。
(付記18)
前記流量算出ステップでは、前記河川流速情報、前記河川表面傾斜情報および前記水位データを含む河川流量関連情報と、前記河川における風向および風速の情報を含む河川環境情報とに基づいて前記河川の流量算出で使用する流量算出アルゴリズムを推論するための学習済モデルを用いて、前記河川の流量算出で使用する流量算出アルゴリズムを選択する、
ことを特徴とする付記17に記載の流量観測方法。
(付記19)
カメラにより撮影された河川の表面の画像から前記河川の流速を算出する河川流速算出ステップと、
レーザー測距装置により測定された前記河川の表面の点群データから前記河川の表面の傾きを算出する河川表面傾斜算出ステップと、
水位計測装置により測定された前記河川の水位を示す水位データを受信する水位データ受信ステップと、
前記河川流速算出ステップで算出した前記流速を示す河川流速情報と、前記河川表面傾斜算出ステップで算出した前記傾きを示す河川表面傾斜情報と、前記水位データ受信ステップで受信した前記水位データとを利用して前記河川の流量を算出する流量算出ステップと、
を電子計算機に実行させることを特徴とする流量観測プログラム。
【符号の説明】
【0092】
1 カメラ、2 レーザー測距装置、3 水位計測装置、4 流量観測装置、6 学習装置、8 推論装置、10-1,10-2 通信装置、11 撮影部、12 映像データ変換部、13 映像データ送信部、14 カメラ制御部、21 レーザー測距部、22 3次元点群データ生成部、23 3次元点群データ送信部、31 水位センサ、32 水位データ変換部、33 水位データ送信部、41 映像データ受信部、42 画像処理部、43 流速算出部、44 3次元点群データ受信部、45 測線データ抽出部、46 河川表面傾き算出部、47 水位データ受信部、48 流量算出部、49 データ蓄積部、50 データ表示部、51 カメラ制御信号送信部、52 カメラ状態判定部、55 河川流速算出部、56 河川表面傾斜算出部、61,81,481 データ取得部、62 モデル生成部、71 学習済モデル記憶部、82 推論部、90 河川、100 流量観測システム、482 アルゴリズム選択部、483 流量演算部、484 出力部。
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