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特開2024-18010ブロー成形装置、及び、ブロー成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018010
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ブロー成形装置、及び、ブロー成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/78 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B29C49/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121039
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 純
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】石井 玲太
(72)【発明者】
【氏名】安中 利寛
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AG07
4F208AJ08
4F208AR14
4F208LA07
4F208LA09
4F208LD16
4F208LN04
(57)【要約】
【課題】メインブロー工程において被成形体が破裂するバースト現象の発生を防止することができるブロー成形装置2、及び、ブロー成形方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ブロー成形装置2は、金型20と、金型20に保持されているプリフォーム3の内部に第1圧力に昇圧されたブロー流体を供給できる第1配管2241Aと、第1配管2241Aに設けられたプレブローバルブ2242と、プリフォーム3の内部に第1圧力より高い第2圧力に昇圧されたブロー流体を供給できる第2配管2241Bと、第2配管2241Bに設けられたメインブローバルブ2243と、第2配管2241Bに設けられた流量調整機構2248と、を備え、流量調整機構2248は、第2配管2241Bに流れるブロー流体の流量を変更することができる。
【選択図】 図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の金型と、
前記金型に保持されている被成形体の内部に第1圧力に昇圧されたブロー流体を供給できる第1配管と、
前記第1配管に設けられたプレブローバルブと、
前記被成形体の内部に前記第1圧力より高い第2圧力に昇圧された前記ブロー流体を供給できる第2配管と、
前記第2配管に設けられたメインブローバルブと、
前記第2配管に設けられた流量調整機構と、
を備え、
前記プレブローバルブは、前記プレブローバルブの開閉動作に応じて前記第1配管から前記被成形体への前記ブロー流体の供給または停止を切り換えることができ、
前記メインブローバルブは、前記メインブローバルブの開閉動作に応じて前記第2配管から前記被成形体への前記ブロー流体の供給または停止を切り換えることができ、
前記流量調整機構は、前記第2配管に流れる前記ブロー流体の流量を変更することができる、
ブロー成形装置。
【請求項2】
前記第2配管に流れる前記ブロー流体の流量は、前記金型の種類に基づいて決定されている、
請求項1に記載のブロー成形装置。
【請求項3】
記憶部を有する制御装置を更に備え、
前記記憶部には、1つ以上の前記金型の種類に対応する前記第2配管に流れる前記ブロー流体の流量が各前記金型の種類に紐づいた第1流量として記憶されており、
前記制御装置は、現在配置されている前記金型の種類に対応する前記第1流量を前記記憶部に記憶された1つ以上の前記第1流量の中から抽出して把握し、
前記制御装置は、前記第2配管に流れる前記ブロー流体の流量が、前記把握した第1流量になるように前記流量調整機構を制御する、
請求項2に記載のブロー成形装置。
【請求項4】
前記流量調整機構は、可変流量調整弁である、
請求項1に記載のブロー成形装置。
【請求項5】
前記流量調整機構は、
複数のオリフィスと、
前記複数のオリフィスのうちのいずれか一つのオリフィスを前記第2配管に対して交換可能に配置する配置機構と、
を有しており、
前記複数のオリフィスのそれぞれは、互いに異なる断面積の流路を有している
請求項1に記載のブロー成形装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載されたブロー成形装置を用いて金型に保持されている被成形体の内部にブロー流体を供給し、中空状の成形体を成形するブロー成形を行うブロー成形方法であって、
前記流量調整機構により前記第2配管を流れるブロー流体の流量を調整する流量調整工程と、
前記メインブローバルブを開状態として、前記第2圧力に昇圧された前記ブロー流体を前記第2配管から前記被成形体内部に供給することで、前記被成形体を成形するメインブロー工程と、
を備え、
前記流量調整工程は、前記メインブロー工程の前に実施される、
ブロー成形方法。
【請求項7】
前記流量調整工程にて調整される第2配管に流れる前記ブロー流体の流量は、前記金型の種類に基づいて決定される、
請求項6に記載のブロー成形方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブロー成形装置、及び、ブロー成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金型を使用して被成形体(プリフォームやパリソン等)から成形体を成形するブロー成形装置においては、ブロー成形処理として、被成形体の内部に供給されたブロー流体によって金型内部の形状に沿って被成形体を膨張させて成形体を成形することが行われている。このブロー成形処理は、被成形体を予備的に膨張させるプレブロー工程と、その後に被成形体をさらに膨張させて成形体の最終形状まで成形するメインブロー工程とを備えている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-309050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ブロー成形処理において容量の大きな成形体を成形する場合に、メインブロー工程の最中に被成形体が破裂するバースト現象が頻繁に発生することがあった。これについて、発明者の鋭意研究の成果により、同一の容量の成形体に対しては、メインブロー工程におけるブロー流体の供給流量が大きいほどバースト現象が発生しやすいことが明らかとなった。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑み、メインブロー工程において被成形体が破裂するバースト現象の発生を防止することができるブロー成形装置、及び、ブロー成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るブロー成形装置は、1つ以上の金型と、金型に保持されている被成形体の内部に第1圧力に昇圧されたブロー流体を供給できる第1配管と、第1配管に設けられたプレブローバルブと、被成形体の内部に第1圧力より高い第2圧力に昇圧されたブロー流体を供給できる第2配管と、第2配管に設けられたメインブローバルブと、第2配管に設けられた流量調整機構と、を備え、プレブローバルブは、プレブローバルブの開閉動作に応じて第1配管から被成形体へのブロー流体の供給または停止を切り換えることができ、メインブローバルブは、メインブローバルブの開閉動作に応じて第2配管から被成形体へのブロー流体の供給または停止を切り換えることができ、流量調整機構は、第2配管に流れるブロー流体の流量を変更することができる。
【0007】
また、本開示に係るブロー成形方法は、前記ブロー成形装置を用いて金型に保持されている被成形体の内部にブロー流体を供給し、中空状の成形体を成形するブロー成形を行うものであって、前記流量調整機構により前記第2配管を流れるブロー流体の流量を調整する流量調整工程と、前記メインブローバルブを開状態として、前記第2圧力に昇圧された前記ブロー流体を前記第2配管から前記被成形体内部に供給することで、前記被成形体を成形するメインブロー工程と、を備え、前記流量調整工程は、前記メインブロー工程の前に実施されるものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示のブロー成形装置、及び、ブロー成形方法によれば、メインブロー工程において被成形体が破裂するバースト現象の発生頻度を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における容器成形システムを示す構成図である。
図2図1のブロー成形装置を示す概略図である。
図3図2の1つの成形ユニットを示す概略図である。
図4図2の制御装置の機能を示す概略図である。
図5】実施の形態1におけるブロー成形方法を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1におけるブロー成形方法を実施した時のプリフォームの内部の圧力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、図面を参照して本開示を実施するための実施の形態1について説明する。以下では、本開示の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本開示の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0011】
図1は、実施の形態1における容器成形システム1を示す構成図である。容器成形システム1は、金型20を使用して、ブロー成形により成形体4を生産する生産システムである。本実施の形態では、二軸延伸ブロー成形方法により、ポリエチレンテレフタレート(PET)を原材料とする被成形体であるプリフォーム3から、容器(PETボトル)である成形体4を生産している。
【0012】
容器成形システム1は、射出成形装置10と、プリフォーム取出装置11と、プリフォーム搬送コンベア12と、プリフォーム供給装置13と、ブロー成形装置2と、成形体取出装置14と、成形体搬送コンベア15と、排斥コンベア16とを備えている。
【0013】
射出成形装置10は、原材料である合成樹脂からプリフォーム3を成形する。プリフォーム取出装置11は、射出成形装置10で成形されたプリフォーム3を射出成形装置10から取り出し、プリフォーム搬送コンベア12に移送する。
【0014】
プリフォーム搬送コンベア12は、プリフォーム3をプリフォーム供給装置13へ移送する。プリフォーム搬送コンベア12は、プリフォーム3を移送しながら、プリフォーム3を所定の温度に加熱する。
【0015】
プリフォーム供給装置13は、プリフォーム3をブロー成形装置2に順次供給する。ブロー成形装置2は、供給されたプリフォーム3を容器の形状をした成形体4に成形する。
【0016】
成形体取出装置14は、ブロー成形装置2で成形された成形体4を、ブロー成形装置2から取り出し、成形体搬送コンベア15に移送する。成形体搬送コンベア15は、成形体4を、次の生産工程を担うそれぞれの装置に移送する。
【0017】
次の生産工程を担うそれぞれの装置は、例えば、成形体4にシュリンクフィルムやラベルを装着する装着装置、成形体4に飲料を充填する充填装置、又は成形体4に蓋体を巻き締めする巻締装置といった装置である。
【0018】
図2は、図1のブロー成形装置2を示す概略図である。ブロー成形装置2は、12個の金型20と、ロータリーユニット21と、ロータリーユニット21に配置された12個の成形ユニット22と、制御装置23とを備えている。
【0019】
ブロー成形装置2は、上述のブロー成形処理を行う装置であって、金型20に保持されたプリフォーム3にブロー流体を供給することで、プリフォーム3を金型20の内部空間に倣った形状である成形体4に成形する装置である。ブロー流体としては、空気(エア)を使用しているが、これに限られず、空気以外の任意の気体、又は液体を使用することができる。
【0020】
ロータリーユニット21は、円盤状の形状をしているロータリー支持部210と、ロータリー支持部210を所定の回転速度で回転させる回転機構部211とを有している。
【0021】
回転機構部211は、ロータリー支持部210の中心軸回りにロータリー支持部210を回転運動させることができる。ロータリー支持部210の外周上には、12個の成形ユニット22が互いに等間隔で配置されている。各成形ユニット22は、1つの金型20を支持している。
【0022】
即ち、ロータリー支持部210の外周上に配置された各金型20は、ロータリー支持部210の中心軸回りに公転運動することができる。図2には、金型20の公転運動の方向が、矢印で示されている。
【0023】
図2には、ブロー成形装置2がブロー成形処理を行うブロー成形方法において、複数の工程の進捗によって取られる8つのポジションPS1~PS8が示されている。これら複数の工程、及び、ポジションPS1~PS8については、後に説明をする。
【0024】
図3は、図2の1つの成形ユニット22を示す概略図である。各成形ユニット22は、金型支持機構部220と、シール支持部221と、ストレッチロッド222と、ストレッチロッド支持機構部223と、ブロー流体給排部224と、温調機構部225とを有している。
【0025】
金型支持機構部220は、金型20を支持している。金型支持機構部220は、金型20を開かれた状態に維持することができ、かつ金型20を閉じられた状態に維持することができる。
【0026】
金型20は、複数の分割金型20aから構成されている。金型20は、複数の分割金型20aが互いに離れた状態である開かれた状態と、複数の分割金型20aが互いに密着した状態である閉じられた状態とを取ることができる。閉じられた状態の金型20の内部空間は、容器の形状を模した形状となっている。
【0027】
シール支持部221は、金型20内に配置されているプリフォーム3の開口部を塞ぐことができる。シール支持部221には、プリフォーム3の開口部を塞いだ状態でプリフォーム3の内部と通じる貫通孔が形成されている。
【0028】
ストレッチロッド222は、棒状部材である。ストレッチロッド支持機構部223は、ストレッチロッド222をプリフォーム3の内部に進退移動可能に支持している。ストレッチロッド222は、シール支持部221の貫通孔を通って成形中のプリフォーム3の内部に挿入される。
【0029】
ブロー流体給排部224は、プリフォーム3内にブロー流体を供給することができ、かつプリフォーム3からプリフォーム3内に充填されたブロー流体を排出することができる。ブロー流体給排部224は、主配管2240と、第1配管2241Aと、第2配管2241Bと、排気配管2241Cと、プレブローバルブ2242と、メインブローバルブ2243と、排気バルブ2244と、圧力センサ2245と、流量調整機構2248と、を有している。
【0030】
主配管2240の一方の端部は、シール支持部221の貫通孔に接続されている。主配管2240の他方の端部は、分岐して、第1配管2241A、第2配管2241B、及び、排気配管2241Cに接続されている。
【0031】
第1配管2241Aは、一方の端部が主配管2240に接続されており、他方の端部が図示しない低圧ロータリージョイントに接続されている。第1配管2241Aには、低圧ロータリージョイントから第1圧力のブロー流体が供給される。第1圧力は、大気圧より高い圧力である。
【0032】
第1配管2241Aには、プレブローバルブ2242が設けられている。プレブローバルブ2242は、開閉弁である。プレブローバルブ2242を開状態とすることで、第1配管2241Aは、低圧ロータリージョイントから供給される第1圧力のブロー流体を第1配管2241Aを通して主配管2240に供給することができる。つまり、プレブローバルブは、プレブローバルブの開閉動作に応じて第1配管から被成形体へのブロー流体の供給または停止を切り換えることができるものである。
【0033】
第2配管2241Bは、一方の端部が主配管2240に接続されており、他方の端部が図示しない高圧ロータリージョイントに接続されている。第2配管2241Bには、高圧ロータリージョイントから第2圧力のブロー流体が供給される。第2圧力は、第1圧力より高い圧力である。
【0034】
第2配管2241Bには、メインブローバルブ2243が設けられている。メインブローバルブ2243は、開閉弁である。メインブローバルブ2243を開状態とすることで、第2配管2241Bは、高圧ロータリージョイントを介して供給される第2圧力のブロー流体を第2配管2241Bを通して主配管2240に供給することができる。つまり、メインブローバルブは、メインブローバルブの開閉動作に応じて第2配管から被成形体へのブロー流体の供給または停止を切り換えることができるものである。
【0035】
高圧ロータリージョイント、及び、低圧ロータリージョイントは、ロータリーユニット22に配置されている。高圧ロータリージョイント、及び、低圧ロータリージョイントといったロータリージョイントには、ロータリージョイントを中心に公転運動可能に複数の配管を接続することができる。ロータリージョイントとロータリージョイントに接続されている複数の配管のそれぞれとは、複数の配管がロータリージョイントに対して公転運動をしている状態で流体流路を形成することができる。
【0036】
本実施の形態では、高圧ロータリージョイントには、12個の成形ユニット22のそれぞれに備えられた第2配管2241Bが接続されている。各成形ユニット22がロータリー支持部210の中心軸回りに公転運動するのに伴って、12本の第2配管2241Bのそれぞれは、高圧ロータリージョイントに対して公転運動可能に接続されている。
【0037】
低圧ロータリージョイントには、12個の成形ユニット22のそれぞれに備えられた第1配管2241Aが接続されている。各成形ユニット22がロータリー支持部210の中心軸回りに公転運動するのに伴って、12本の第1配管2241Aのそれぞれは、低圧ロータリージョイントに対して公転運動可能に接続されている。
【0038】
高圧ロータリージョイントには、図示しない高圧流体供給源からブロー流体が供給されている。高圧流体供給源は、例えば、コンプレッサーである。高圧流体供給源からは、第2圧力のブロー流体が高圧ロータリージョイントに供給されている。これにより、ブロー流体は、高圧流体供給源から、高圧ロータリージョイントを介して12個の金型20のそれぞれに対応する12本の第2配管2241Bにそれぞれに供給される。
【0039】
高圧ロータリージョイントと低圧ロータリージョイントとは、図示しない配管で互いに接続されている。低圧ロータリージョイントには、レギュレーター等の図示しない降圧機構が設けられている。
【0040】
ブロー流体は、高圧流体供給源から、高圧ロータリージョイントを介して低圧ロータリージョイントに供給される。低圧ロータリージョイントに供給されたブロー流体の圧力は、降圧機構によって第1圧力に降圧される。第1圧力に降圧されたブロー流体は、低圧ロータリージョイントから12個の金型20のそれぞれに対応する12本の第1配管2241Aにそれぞれに供給される。
【0041】
これにより、ブロー流体は、低圧ロータリージョイント、及び、高圧ロータリージョイントのそれぞれを介して対応する12本の第1配管2241A、及び、12本の第2配管2241Bのそれぞれに供給される。
【0042】
第2配管2241Bには、第2流体供給源とメインブローバルブ2243との間に流量調整機構2248が設けられている。流量調整機構2248は、電磁式の流量調整弁である。電磁式の流量調整弁は、制御装置23からの指令によって流量調整弁を通る流体の流量を変更することができる。流量調整機構2248については後に説明をする。
【0043】
排気配管2241Cは、排気配管2241Cの一方の端部が大気解放されている。排気配管2241Cの他方の端部は、主配管2240に接続されている。排気配管2241Cには、排気バルブ2244が設けられている。排気バルブ2244を開状態とすることで、主配管2240からブロー流体を大気解放することができる。すなわち、排気配管2241Cと排気バルブ2244とは、排気機能を担っている。
【0044】
圧力センサ2245は、主配管2240内の圧力を検出し、その測定結果を圧力測定値として出力することができる。圧力センサ2245は、所定の間隔で圧力を測定することができる。
【0045】
温調機構部225は、図示しないヒーターを備えた温度調節モジュールである。温調機構部225は、金型20の温度を調節することができる。ヒーターには電熱ヒーター等のヒーターを使用してもよい。また、温調機構部225は、温度センサ等のセンサを更に有していてもよい。
【0046】
回転機構部211、金型支持機構部220、シール支持部221、及び、ストレッチロッド支持機構部223の具体的な構成の説明は省略する。なお、金型支持機構部220、シール支持部221、及び、ストレッチロッド支持機構部223は、例えば、動力発生機構と、動力伝達機構と、センサとを適宜組み合わせて構成することができる。
【0047】
動力発生機構としては、サーボモータ、シリンダといった動力発生用のモジュールが用いられてもよい。動力伝達機構としては、リニアガイド、ボールスクリュ、ギヤ、カム、ベルト、カップリング、軸受といった機械機構を用いてもよい。センサとしては、リニアセンサ、エンコーダセンサ、リミットセンサといったセンサを使用してもよい。
【0048】
図4は、図2の制御装置23の機能を示す概略図である。制御装置23は、ロータリーユニット21と、ロータリーユニット21に配置された12個の成形ユニット22と、に電気的に接続されている。制御装置23は、ロータリーユニット21、及び、成形ユニット22を統括的に制御する。
【0049】
制御装置23は、その主要な構成要素として、制御部230と、記憶部231と、入力部232と、出力部233と、を有している。制御装置23は、汎用又は専用のコンピュータで構成されてもよい。制御部230は、CPU、MPU、GPUといったプロセッサを有する演算処理装置で構成される。
【0050】
記憶部231には、ブロー成形装置2の動作で使用される各種のプログラム、及び、設定データが予め記憶されている。各種のプログラムは、ブロー成形装置2を動作させるためのプログラム、及び、オペレーティングシステムといったプログラムである。
【0051】
設定データは、ブロー成形装置2を動作させる際に必要なデータである。設定データは、作業者が編集可能である。設定データには、少なくとも各金型IDに紐づいた第1流量が含まれる。
【0052】
金型IDは、ブロー成形装置2に配置される金型20の種類毎に付与された固有の識別IDである。金型20は、生産する容器に応じて複数の種類が存在する。同一の容器を生産しうる金型20には、等しい金型IDが付与されている。
【0053】
第1流量とは、流量調整機構2248によって第2配管2241Bに通じた流量調整機構2248を通るブロー流体の流量を調整するときの調整後の設定目標流量である。第1流量は、金型20の種類毎、つまり、金型ID毎に決定されている。
【0054】
第1流量は、事前の作業者の試行錯誤により決定される。第1流量は、金型20で生産される容器の特徴に基づいて決定されている。より具体的には、第1流量は、金型20で生産される容器の容量が大きいほど小さな流量になるように決定される。
【0055】
制御部230は、記憶部231に記憶されたプログラムを実行し、記憶部231に記憶された各種の設定データに基づいてブロー成形装置2を制御している。制御部230は、流量調整機構2248に対して指令を送ることで、流量調整機構2248の流量を調整することができる。
【0056】
入力部232には、ブロー成形装置2の各機器からの信号、及び、図示しない操作機器からの信号といった情報が入力されている。制御部230は、入力部232に入力された情報に基づいて、ブロー成形装置2を制御している。
【0057】
作業者は、操作機器を操作することで、入力部232を介してブロー成形装置2に適宜情報を入力することができ、かつ記憶部231に記憶されている設定データを変更することができる。作業者は、制御装置23に対して操作機器を用いて金型IDを入力することができる。
【0058】
出力部233には、ブロー成形装置2の各機器、及び、図示しない通知機器が接続されている。通知機器は、例えばモニター、シグナルタワー、ブザーといった機器である。制御部230は、必要に応じて出力部233からブロー成形装置2の各機器、及び、通知機器に対して指令を出力する。ブロー成形装置2の各機器、及び、通知機器は、制御部230から出力部233を介して伝達された指令に基づいて、動作する。
【0059】
制御部230は、プリフォーム供給装置13によるプリフォーム3の供給動作と、成形体取出装置14による成形体4の取出動作とにブロー成形装置2の動作を連携させることで、各金型20で成形体4を繰り返し生産することができる。
【0060】
次に、ブロー成形装置2を用いたブロー成形方法について説明する。ブロー成形装置2は、連続して成形体4を生産することができる。
【0061】
ブロー成形装置2は、ロータリー支持部210に支持された各金型20で成形体4を成形する。複数の金型20のそれぞれは、回転機構部211により円周軌道上を1周、即ち、360°回転する間に1つの成形体4を成形する。ここでは、1つの金型20が1つの成形体4を成形する工程を、1サイクルの生産工程とする。
【0062】
ブロー成形装置2は、ロータリー支持部210を連続して回転させることで、複数の金型2のそれぞれで複数の成形体4を成形する。複数サイクルの生産工程が実施され、設定された個数の成形体4が成形された時点で、ブロー成形装置2による成形は、一旦終了する。
【0063】
作業者は、事前に生産する容器に対応する金型20をブロー成形装置2に配置する。また、作業者は、ブロー成形装置2に配置された金型20の金型IDを、制御装置23に入力する。
【0064】
その後、作業者は、生産計画に沿って容器の生産を開始する。図5は、実施の形態1におけるブロー成形方法を示すフローチャートである。図5に沿ってブロー成形方法を説明する。
【0065】
<流量調整工程>
ステップS0Aでは、流量調整工程が実施される。流量調整工程では、制御装置23は、流量調整機構2248を制御して、プリフォーム3の内部に第2配管2241Bから供給されるブロー流体の流量を第1流量に設定する。流量調整工程は、金型支持機構部220によって新たな金型20が保持された後に、1回実施されればよい。
【0066】
作業者がブロー成形装置2に対して容器の生産を開始する旨の指令を与えると、制御装置23は、流量調整工程を開始する。
【0067】
制御装置23は、記憶部231に記憶されている複数の第1流量の中から作業者によって事前に入力された金型IDに対応する第1流量を抽出し把握する。
記憶部231には、複数の金型IDのそれぞれに対応した第1流量が事前に記憶されている。
【0068】
制御部230は、流量調整機構2248を通るブロー流体の流量が第1流量となるように流量調整機構2248に指令を与える。流量調整機構2248は、制御部230からの指令に基づいて流量を調整するように動作する。これにより、流量調整機構2248を通る流量が第1流量となる。その後、処理は、ステップS0Bに進む。
【0069】
<生産工程>
ステップS0Bでは、生産工程が実施される。生産工程は、ブロー成形装置2で1つ成形体4を成形する工程である。以下に生産工程における各工程を順に説明する。まず、最初の工程としてステップS01が実施される。
【0070】
<プリフォーム準備工程>
ステップS01では、プリフォーム準備工程が実施される。プリフォーム準備工程では、プリフォーム供給装置13から供給されたプリフォーム3を金型20の内部にセットする工程である。プリフォーム準備工程は、金型20がポジションPS1に到達したときに開始される。
【0071】
プリフォーム供給装置13から供給されたプリフォーム3は、プリフォーム3の開口部にシール支持部221が挿入されるように配置され、支持される。プリフォーム準備工程では、金型20は、開かれた状態で配置されている。
【0072】
シール支持部221が挿入されたプリフォーム3は、開かれた状態の金型20の上に配置される。その後、次の工程であるステップS02へ進む。
【0073】
<金型閉じ工程>
ステップS02では、金型閉じ工程が実施される。金型閉じ工程では、金型支持機構部220によって、開かれた状態の金型20が、閉じられた状態となる。金型閉じ工程は、金型20がポジションPS2に到達したときに開始される。これにより、プリフォーム3は、閉じられた状態の金型20内に配置される。この後、次の工程であるステップS03に進む。
【0074】
<ストレッチ工程>
ステップS03では、ストレッチ工程が実施される。ストレッチ工程では、ストレッチロッド222をプリフォーム3の内部に向かって進出移動させることでプリフォーム3を延伸する。ストレッチ工程は、金型20がポジションPS3に到達したときに開始される。
【0075】
制御装置23は、ストレッチロッド支持機構部223を動作させて、ストレッチロッド222をプリフォーム3の内部に進出させる。ストレッチロッド222は、金型20内に配置されたプリフォーム3の内部に進出し、更に内部からプリフォーム3の内壁を押す。これにより、プリフォーム3が延伸する。この後、次の工程であるステップS04に進む。
【0076】
<プレブロー工程>
ステップS04では、プレブロー工程が実施される。プレブロー工程では、ブロー流体を第1配管2241Aから主配管2240を介してプリフォーム3の内部に供給する。プレブロー工程は、金型20がポジションPS4に到達したときに開始される。
【0077】
制御装置23は、プレブローバルブ2242を開状態とする。この時、メインブローバルブ2243、及び、排気バルブ2244は、閉状態である。プレブローバルブ2242が開状態となると、第1圧力に昇圧されたブロー流体が、第1配管2241Aを通り、プリフォーム3の内部に供給される。
【0078】
制御装置23は、プレブローバルブ2242を開状態に維持する。これにより、プリフォーム3は、内部に供給されたブロー流体により膨張する。一定時間が経過した後、制御装置23は、プレブローバルブ2242を開状態から閉状態に切り換える。
【0079】
これにより、第1配管2241Aからのブロー流体の供給は停止される。この時、プリフォーム3の内部には、計画された量のブロー流体が供給されている。この後、次の工程であるステップS05へ進む。
【0080】
<メインブロー工程>
ステップS05では、メインブロー工程が実施される。メインブロー工程では、ブロー流体を第2配管2241Bから主配管2240を介してプリフォーム3の内部に供給する。メインブロー工程は、金型20がポジションPS5に到達したときに開始される。
【0081】
制御装置23が、メインブローバルブ2243を開状態とすると、第2配管2241Bから第1流量にてブロー流体の流量がプリフォーム3の内部に供給される。この時、プレブローバルブ2242、及び、排気バルブ2244は、閉状態である。
【0082】
制御装置23は、メインブローバルブ2243を開状態に維持する。これにより、プリフォーム3の内部にはブロー流体が供給される。これにより、プリフォーム3は、内部に供給されたブロー流体により膨張する。所定の時間が経過すると、プリフォーム3は、金型20の内部空間の形状に倣った形状に成形される。即ち、プリフォーム3は、ブロー成形により、成形体4に成形されることになる。
【0083】
その後、制御装置23は、メインブローバルブ2243を閉状態に切り換える。これにより、プリフォーム3の内部へのブロー流体の供給は停止される。この後、次の工程であるステップS06に進む。
【0084】
<排気工程>
ステップS06では、排気工程が実施される。排気工程では、成形体4の内部からブロー流体が排気される。排気工程は、金型20がポジションPS6に到達したときに開始される。
【0085】
制御装置23は、排気バルブ2244を開状態とする。排気バルブ2244が開状態となることで、成形体4の内部のブロー流体は、主配管2240を経由して、排気配管2241Cから大気に排出される。この時、プレブローバルブ2242、及び、メインブローバルブ2243は、閉状態である。この後、次の工程であるステップS07に進む。
【0086】
<金型開き工程>
ステップS07では、金型開き工程が実施される。金型開き工程では、金型支持機構部220によって、閉じられた状態の金型20が、開かれた状態となる。金型開き工程は、金型20がポジションPS7に到達したときに開始される。
【0087】
制御装置23は、ストレッチロッド支持機構部223を動作させて、ストレッチロッド222を成形体4の内部から外部に向かって移動させる。同時に、制御装置23は、金型支持機構部220を動作させて閉じられた状態の金型20を開かれた状態とする。この時、成形体4は、金型20内に配置されている。この後、次の工程であるステップS08に進む。
【0088】
<取り出し工程>
ステップS08では、取り出し工程が実施される。取り出し工程では、開かれた状態の金型20から、成形体4が取り出される。取り出し工程は、金型20がポジションPS8に到達したときに開始される。
【0089】
制御装置23は、シール支持部221を動作させてシール支持部221が成形体4を支持している状態を解除する。これにより、成形体4がシール支持部221、及び、金型20から取り出し可能となる。この後、成形体4が金型20から取り出される。
【0090】
成形体4が金型20から取りだされた後、ロータリー支持部210に支持され各金型20は、再度、ポジションPS1に達する。これにより、1サイクルの生産工程は終了する。
【0091】
ブロー成形装置2は、必要に応じて容器の生産を継続して実施する。即ち、ブロー成形装置2は、上記した生産工程を必要なサイクルだけ継続して実施する。
【0092】
容器の生産が継続される場合には、ロータリーユニット21は、回転運動を継続し、各金型20での成形体4の成形を継続する。ポジションPS1に達すると、金型20は再度生産工程のうちの最初の工程に供され、プリフォーム準備工程が実施される。
【0093】
このように、ブロー成形装置2は、連続して稼働することで、ブロー成形処理を繰り返し実施することができる。成形体4の成形が計画数に達した場合にブロー成形は終了する。
【0094】
図6は、実施の形態1におけるブロー成形方法を実施した時のプリフォーム3の内部の圧力を示すグラフである。図6では、縦軸に沿って無次元化したプリフォーム3の内部の圧力が示され、横軸に沿って無次元化した経過時間が示されている。
【0095】
図6において、実線で示された曲線を曲線C1とし、破線で示された曲線を曲線C2とする。曲線C1は、本実施の形態におけるブロー成形方法を実施した際のプリフォーム3の内部圧力の変動を示す曲線である。曲線C2は、従来のブロー成形方法を実施した際のプリフォーム3の内部圧力の変動を示す曲線である。
【0096】
即ち、曲線C1は、第2配管2241Bから供給されるブロー流体の流量が第1流量となるように流量調整機構2248で調整したブロー成形装置2におけるプリフォーム3の内部圧力を示す曲線である。
【0097】
曲線C2は、メインブロー工程の前に、第2配管2241Bから供給されるブロー流体の流量を調整していないブロー成形装置におけるプリフォーム3の内部圧力を示す曲線である。即ち、従来のブロー成形装置のメインブロー工程での流量は、第2配管2241B、メインブローバルブ2243、及び、主配管2240といった配管部材におけるブロー流体の流量で決定される。
【0098】
図6において、時間t1~t2の間で、ステップS04のプレブロー工程が実施されている。時間t2において、曲線C1及び曲線C2は、ともに圧力P1を示している。即ち、従来と本実施の形態とのそれぞれのプレブロー工程は、プリフォーム3の内部の圧力が時間t2に圧力P1に到達する同一の条件で実施されている。
【0099】
従来と本実施の形態とのそれぞれのメインブロー工程は、時間t2~t5において実施されている。曲線C2では、時間t3にて圧力P2に達していることがわかる。一方、曲線C1は、時間t4にて圧力P2に達している。
【0100】
メインブロー工程では、曲線C1に見られるプリフォーム3の内部圧力が曲線C2に見られるプリフォーム3の内部圧力に比べて緩やかに上昇している。その後、時間t5にて、曲線C1及び曲線C2ともに、圧力が急激に降下している。即ち、時間t5で排気工程が開始されている。
【0101】
このように、メインブロー工程において、本実施の形態1のブロー成形装置2では、従来のブロー成形装置を用いた時と比べて、同じ圧力を備えつつも小さい流量である第1流量で被成形体の内部にブロー流体を供給することができる。これにより、本実施の形態1のブロー成形装置2では、従来のブロー成形装置に比べて、規定の圧力供給を満足しつつも小さな流量で時間をかけてブロー流体を供給することができるため、メインブロー工程において被成形体の急激な膨張を防ぎ、ゆっくりと被成形体を膨張させることができる。
【0102】
従って、ブロー成形方法で成形体4を成形する際に発生するバースト現象の発生頻度を抑えることができる。本実施の形態1のブロー成形装置2では、バースト現象が発生しやすい被成形体の膨張量が大きい容量の大きな容器を成形しても、容量に応じて第1流量が決定され供給されるため、バースト現象の発生頻度を抑えることができる。
【0103】
本実施の形態1によるブロー成形装置2によれば、1つ以上の金型20と、金型20に保持されているプリフォーム3の内部に第1圧力に昇圧されたブロー流体を供給できる第1配管2241Aを備えている。また、第1配管2241Aに設けられたプレブローバルブ2242と、プリフォーム3の内部に第1圧力より高い第2圧力に昇圧されたブロー流体を供給できる第2配管2241Bと、第2配管2241Bに設けられたメインブローバルブ2243と、を更に備えている。また、第2配管2241Bに設けられた流量調整機構2248を更に備えている。また、プレブローバルブ2242は、プレブローバルブ2242の開閉動作に応じて第1配管2241Aからプリフォーム3へのブロー流体の供給または停止を切り換えることができる。また、メインブローバルブ2243は、メインブローバルブ2243の開閉動作に応じて第2配管2241Bからプリフォーム3へのブロー流体の供給または停止を切り換えることができる。また流量調整機構2248は、第2配管2241Bに流れるブロー流体の流量を変更することができる。これにより、メインブロー工程におけるブロー流体のプリフォーム3内部への供給流量を調整することができる。従って、メインブロー工程においてプリフォーム3が破裂するバースト現象の発生頻度を抑えることができる。
【0104】
本実施の形態1によるブロー成形装置2によれば、第2配管2241Bに流れるブロー流体の流量は、金型20の種類に基づいて決定される。これにより、金型20で形成する最終的な容器の形状に基づいて、メインブロー工程におけるブロー流体のプリフォーム3内部への供給流量を調整することができる。従って、メインブロー工程においてプリフォーム3が破裂するバースト現象の発生頻度を抑えることができる。
【0105】
本実施の形態1によるブロー成形装置2によれば、記憶部231を有する制御装置23を更に備えている。また、記憶部231には、1つ以上の金型20の種類に対応する第2配管2241Bに流れるブロー流体の流量が各金型20の種類に紐づいた第1流量として記憶されている。また、制御装置23は、現在配置されている金型20の種類に対応する第1流量を記憶部231に記憶された1つ以上の第1流量の中から抽出して把握する。また、制御装置23は、第2配管2241Bに流れるブロー流体の流量が把握した第1流量になるように流量調整機構2248を制御する。これにより、メインブロー工程におけるブロー流体のプリフォーム3内部への供給流量を制御装置23の指令によって予め定められた第1流量に調整することができる。従って、メインブロー工程においてプリフォーム3が破裂するバースト現象の発生頻度を抑えることができる。また、これにより、メインブロー工程におけるブロー流体のプリフォーム3内部への供給流量の調整が、複数の金型20に対応することができる。従って、メインブロー工程においてプリフォーム3が破裂するバースト現象の発生頻度を抑えることができる。
【0106】
本実施の形態1によるブロー成形装置2によれば、流量調整機構2248は、可変流量調整弁である。これにより、メインブロー工程におけるブロー流体のプリフォーム3内部への供給流量を適切に調整することができる。従って、メインブロー工程においてプリフォーム3が破裂するバースト現象の発生頻度を抑えることができる。
【0107】
本実施の形態1によるブロー成形方法は、流量調整機構2248にて第2配管2241Bを流れるブロー流体の流量を調整する流量調整工程を備えている。また、本実施の形態1によるブロー成形方法は、メインブローバルブ2243を開状態として、第2圧力に昇圧されたブロー流体を第2配管2241Bから主配管2240を介してプリフォーム3内部に供給することで、プリフォーム3を成形するメインブロー工程を更に備えている。また、流量調整工程は、メインブロー工程の前に実施される。これにより、メインブロー工程では、プリフォーム3内部へ供給されるブロー流体の流量が適切に調整されている。従って、メインブロー工程においてプリフォーム3が破裂するバースト現象の発生頻度を抑えることができる。
【0108】
本実施の形態1によるブロー成形方法は、流量調整工程にて調整される第2配管2241Bに流れるブロー流体の流量は、金型20の種類に基づいて決定されている。金型20で形成する最終的な容器の形状に基づいて、メインブロー工程におけるブロー流体のプリフォーム3内部への供給流量を調整することができる。従って、メインブロー工程においてプリフォーム3が破裂するバースト現象の発生頻度を抑えることができる。
【0109】
なお、実施の形態1のブロー成形装置2では、作業者が制御装置23に金型IDを入力している。しかし、これに限られるものではない。制御装置23は、例えば、外部の生産管理システムから、金型IDを取得してもよい。また、制御装置23は、例えば、実際に配置された金型20との信号のやり取りに基づいて、金型IDを認識してもよい。
【0110】
また、実施の形態1のブロー成形装置2では、金型IDに基づいて第1流量を認識している。しかし、これに限られるものではない。例えば、作業者が操作機器から第1流量を直接入力してもよい。また、制御装置23は、外部の生産管理システムから、第1流量を直接取得してもよい。
【0111】
また、実施の形態1におけるブロー成形装置2の流量調整機構2248は、電磁式の可変流量調整弁を用いている。しかし、これに限られるものではない。例えば、流量調整機構2248に自動、及び、手動で流量を調整することができる可変流量調整弁を用いてもよい。また、例えば、流量調整機構2248として、内径の異なる複数のオリフィスを用いる機構を用いてもよい。例えば、第1オリフィスと第2オリフィスとのそれぞれを交換可能にする配置機構を、第2配管2241Bに設けてもよい。このとき、配置機構は、駆動装置によって内径の異なる複数のオリフィスを自動で交換可能とするものでもよく、また、手動によって内径の異なる複数のオリフィスを交換可能とするものでもよい。
【0112】
即ち、上記の変形例によるブロー成形装置2によれば、流量調整機構2248は、複数のオリフィスと、複数のオリフィスのうちのいずれか一つのオリフィスを第2配管2241Bに対して交換可能に配置する配置機構と、を有している。また、複数のオリフィスのそれぞれは、互いに異なる断面積の流路を有している。これにより、メインブロー工程におけるブロー流体のプリフォーム3内部への供給流量を、複数の金型20の種類に対応して調整することができる。従って、メインブロー工程においてプリフォーム3が破裂するバースト現象の発生頻度を抑えることができる。
【0113】
また、実施の形態1における流量調整機構2248は、メインブローバルブ2243の上流側に配置されている。しかし、これに限られるものではない。流量調整機構2248は、メインブローバルブ2243の下流側に配置してもよい。
【0114】
また、実施の形態1におけるブロー成形装置2によれば、12個の金型20を備えている。しかし、これに限られるものではない。金型20の個数は適宜選択することにより変更することができる。
【0115】
また、実施の形態1におけるブロー成形装置2によれば、プリフォーム3を加熱するホットパリソン型の成形方法を実施している。しかし、これに限られるものではない。加熱装置を用いないコールドパリソン型の成形方法を実施してもよい。
【0116】
また、実施の形態1におけるブロー成形方法において、各工程の開始のタイミング、及び、終了のタイミングは、適宜変更されてもよい。更に、各工程に他の動作が追加されてもよい。
【0117】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0118】
(付記1)
1つ以上の金型と、
前記金型に保持されている被成形体の内部に第1圧力に昇圧されたブロー流体を供給できる第1配管と、
前記第1配管に設けられたプレブローバルブと、
前記被成形体の内部に前記第1圧力より高い第2圧力に昇圧された前記ブロー流体を供給できる第2配管と、
前記第2配管に設けられたメインブローバルブと、
前記第2配管に設けられた流量調整機構と、
を備え、
前記プレブローバルブは、前記プレブローバルブの開閉動作に応じて前記第1配管から前記被成形体への前記ブロー流体の供給または停止を切り換えることができ、
前記メインブローバルブは、前記メインブローバルブの開閉動作に応じて前記第2配管から前記被成形体への前記ブロー流体の供給または停止を切り換えることができ、
前記流量調整機構は、前記第2配管に流れる前記ブロー流体の流量を変更することができる、
ブロー成形装置。
(付記2)
前記第2配管に流れる前記ブロー流体の流量は、前記金型の種類に基づいて決定されている、
付記1に記載のブロー成形装置。
(付記3)
記憶部を有する制御装置を更に備え、
前記記憶部には、1つ以上の前記金型の種類に対応する前記第2配管に流れる前記ブロー流体の流量が各前記金型の種類に紐づいた第1流量として記憶されており、
前記制御装置は、現在配置されている前記金型の種類に対応する前記第1流量を前記記憶部に記憶された1つ以上の前記第1流量の中から抽出して把握し、
前記制御装置は、前記第2配管に流れる前記ブロー流体の流量が、前記把握した第1流量になるように前記流量調整機構を制御する、
付記2に記載のブロー成形装置。
(付記4)
前記流量調整機構は、可変流量調整弁である、
付記1から付記3のいずれか一項に記載のブロー成形装置。
(付記5)
前記流量調整機構は、
複数のオリフィスと、
前記複数のオリフィスのうちのいずれか一つのオリフィスを前記第2配管に対して交換可能に配置する配置機構と、
を有しており、
前記複数のオリフィスのそれぞれは、互いに異なる断面積の流路を有している
付記1から付記3のいずれか一項に記載のブロー成形装置。
(付記6)
付記1から付記5のいずれか一項に記載されたブロー成形装置を用いて金型に保持されている被成形体の内部にブロー流体を供給し、中空状の成形体を成形するブロー成形を行うブロー成形方法であって、
前記流量調整機構により前記第2配管を流れるブロー流体の流量を調整する流量調整工程と
前記メインブローバルブを開状態として、前記第2圧力に昇圧された前記ブロー流体を前記第2配管から前記被成形体内部に供給することで、前記被成形体を成形するメインブロー工程と、
を備え、
前記流量調整工程は、前記メインブロー工程の前に実施される、
ブロー成形方法。
(付記7)
前記流量調整工程にて調整される第2配管に流れる前記ブロー流体の流量は、前記金型の種類に基づいて決定される、
付記6に記載のブロー成形方法。
【符号の説明】
【0119】
1 容器成形システム、2 ブロー成形装置、3 プリフォーム(被成形体)、4 成形体、10 射出成形装置、11 プリフォーム取出装置、12 プリフォーム搬送コンベア、13 プリフォーム供給装置、14 成形体取出装置、15 成形体搬送コンベア、16 排斥コンベア、20 金型、21 ロータリーユニット、22 成形ユニット、23 制御装置、210 ロータリー支持部、211 回転機構部、220 金型支持機構部、221 シール支持部、222 ストレッチロッド、223 ストレッチロッド支持機構部、224 ブロー流体給排部、225 温調機構部、230 制御部、231 記憶部、232 入力部、233 出力部、2240 主配管、2241A 第1配管、2241B 第2配管、2241C 排気配管、2242 プレブローバルブ、2243 メインブローバルブ、2244 排気バルブ、2245 圧力センサ、2248 流量調整機構。

図1
図2
図3
図4
図5
図6