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特開2024-180102現場管理システム、現場管理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180102
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】現場管理システム、現場管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099555
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】山崎 元明
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】作業現場にて作業者が着用する電動ファン付きウェアが作業現場を管理するシステムにおいて有効に利用されるようにする。
【解決手段】作業現場において使用される電動ファン付きウェアに備えられて所定の事象を検出するセンサと、前記センサが出力するセンサ情報を通信経由で取得するセンサ情報取得部と、前記センサ情報取得部が取得したセンサ情報に基づいて所定の事項に関するデータ解析を行った結果に基づいて、前記データ解析の結果の提示、所定の事項に関する報知、および所定の制御対象に対する制御の少なくともいずれか1つを実行するセンサ情報処理部とを備えて現場管理システムを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場において使用される電動ファン付きウェアに備えられて所定の事象を検出するセンサと、
前記センサが出力するセンサ情報を通信経由で取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報取得部が取得したセンサ情報に基づいて所定の事項に関するデータ解析を行った結果に基づいて、前記データ解析の結果の提示、所定の事項に関する報知、および所定の制御対象に対する制御の少なくともいずれか1つを実行するセンサ情報処理部と
を備える現場管理システム。
【請求項2】
前記センサは、周囲の温度を検出し、
前記センサ情報処理部は、前記センサ情報取得部が取得したセンサ情報が示す温度に基づいて、前記作業現場における温度を推定し、通信可能に接続された外部装置にて推定した温度が提示されるようにする
請求項1に記載の現場管理システム。
【請求項3】
前記センサは、周囲の温度を検出し、
前記センサ情報処理部は、前記電動ファン付きウェアに設けられる通信部との通信を介して、前記センサ情報取得部が取得したセンサ情報が示す温度に基づいて設定した回転速度により前記電動ファン付きウェアに設けられる電動ファンが回転するように制御する
請求項1に記載の現場管理システム。
【請求項4】
前記センサは、粉塵の量を検出し、
前記センサ情報処理部は、前記電動ファン付きウェアに設けられる通信部との通信を介して、前記センサ情報取得部が取得したセンサ情報が示す粉塵の量に基づいて設定した回転方向により前記電動ファン付きウェアに設けられる電動ファンが回転するように制御する
請求項1または2に記載の現場管理システム。
【請求項5】
前記センサ情報処理部は、前記電動ファン付きウェアに設けられる通信部との通信を介して、前記センサ情報取得部が取得したセンサ情報についてデータ解析した結果に基づく報知を前記電動ファン付きウェアに備えられる報知部にて行わせる
請求項1から3のいずれか一項に記載の現場管理システム。
【請求項6】
前記センサは、周囲の温度を検出し、
前記センサ情報処理部は、前記センサ情報取得部が取得したセンサ情報により示される温度に応じて、熱中症予防に関する報知を前記報知部にて行わせる
請求項5に記載の現場管理システム。
【請求項7】
前記センサは、自己の位置を検出し、
前記センサ情報処理部は、前記センサ情報取得部が取得したセンサ情報により示される位置が対応の作業者の作業場所に該当しない場合に警告報知を前記報知部にて行わせる
請求項5に記載の現場管理システム。
【請求項8】
現場管理システムにおける現場管理方法であって、
センサ情報取得部が、作業現場において使用される電動ファン付きウェアに備えられて所定の事象を検出するセンサが出力するセンサ情報を通信経由で取得するセンサ情報取得ステップと、
センサ情報処理部が、前記センサ情報取得ステップが取得したセンサ情報に基づいて所定の事項に関するデータ解析を行った結果に基づいて、前記データ解析の結果の提示、所定の事項に関する報知、および所定の制御対象に対する制御の少なくともいずれか1つを実行するセンサ情報処理ステップと
を備える現場管理方法。
【請求項9】
現場管理システムにおけるコンピュータを、
作業現場において使用される電動ファン付きウェアに備えられて所定の事象を検出するセンサが出力するセンサ情報を通信経由で取得するセンサ情報取得部、
前記センサ情報取得部が取得したセンサ情報に基づいて所定の事項に関するデータ解析を行った結果に基づいて、前記データ解析の結果の提示、所定の事項に関する報知、および所定の制御対象に対する制御の少なくともいずれか1つを実行するセンサ情報処理部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場管理システム、現場管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者の上着などのウェアにおいて、ウェア本体に電動ファンが取り付けられ、ウェア本体内を換気するようにされた電動ファン付きウェアが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4329118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者が作業を行う作業現場に関して、例えば作業者の安全や作業状況の把握等が適切に行われるように管理されることが好ましい。このように作業現場を管理するシステムを構築するにあたり、作業者が作業現場にて着用する電動ファン付きウェアを用いることができれば、作業者や作業現場の状況把握が効率的に実施できて好ましい。
【0005】
そこで本発明は上記した点を鑑みて、作業現場にて作業者が着用する電動ファン付きウェアが、作業現場を管理するシステムにおいて有効に利用されるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明の一態様は、作業現場において使用される電動ファン付きウェアに備えられて所定の事象を検出するセンサと、前記センサが出力するセンサ情報を通信経由で取得するセンサ情報取得部と、前記センサ情報取得部が取得したセンサ情報に基づいて所定の事項に関するデータ解析を行った結果に基づいて、前記データ解析の結果の提示、所定の事項に関する報知、および所定の制御対象に対する制御の少なくともいずれか1つを実行するセンサ情報処理部とを備える現場管理システムである。
【0007】
本発明の一態様は、現場管理システムにおける現場管理方法であって、センサ情報取得部が、作業現場において使用される電動ファン付きウェアに備えられて所定の事象を検出するセンサが出力するセンサ情報を通信経由で取得するセンサ情報取得ステップと、センサ情報処理部が、前記センサ情報取得ステップが取得したセンサ情報に基づいて所定の事項に関するデータ解析を行った結果に基づいて、前記データ解析の結果の提示、所定の事項に関する報知、および所定の制御対象に対する制御の少なくともいずれか1つを実行するセンサ情報処理ステップとを備える現場管理システムである。
【0008】
本発明の一態様は、現場管理システムにおけるコンピュータを、作業現場において使用される電動ファン付きウェアに備えられて所定の事象を検出するセンサが出力するセンサ情報を通信経由で取得するセンサ情報取得部、前記センサ情報取得部が取得したセンサ情報に基づいて所定の事項に関するデータ解析を行った結果に基づいて、前記データ解析の結果の提示、所定の事項に関する報知、および所定の制御対象に対する制御の少なくともいずれか1つを実行するセンサ情報処理部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業現場にて作業者が着用する電動ファン付きウェアが作業現場を管理するシステムにおいて有効に利用されるとの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における現場管理システムの全体的な構成例を示す図である。
図2】本実施形態における電動ファン付きウェアの一例を示す図である。
図3】本実施形態における電動ファン付きウェアに備えられる電気的構成の一例を示す図である。
図4】本実施形態におけるセンサ情報処理サーバの機能構成例を示す図である。
図5】本実施形態における現場内気温画面の一態様例を示す図である。
図6】本実施形態において、2つの作業現場の現場内気温画面をモニタリング端末にて表示させる場合の現場管理システムの全体的な構成例を示す図である。
図7図6の構成に対応する現場内気温画面の一態様例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[現場管理システムの全体的な構成例]
図1は、本実施形態における現場管理システムの全体的な構成例を示している。
本実施形態の現場管理システムに対応する作業現場STにおいては、複数の作業者WKが作業する。作業現場STに入場して作業する作業者WKは電動ファン付きウェア10を着用するようにされている。
【0012】
電動ファン付きウェア10は、ウェア本体の所定位置に電動ファン12が取り付けられている。電動ファン付きウェア10は、例えばバッテリを収容可能とされており、電動ファン12はバッテリから供給される電源により回転可能とされている。電動ファン12が回転することでウェア本体内に空気が流通し、作業者WKの身体を冷却するようにされる。
【0013】
また、電動ファン付きウェア10にはネットワーク経由で通信可能な通信機能を有する(同図では図示せず)が備えられる。通信デバイスは、ネットワーク経由でセンサ情報処理サーバ100と通信可能に接続される。具体的に、電動ファン付きウェア10の通信デバイスは、作業現場STのゲートウェイ300を中継してセンサ情報処理サーバ100と接続される。
【0014】
なお、本実施形態において、「ネットワーク」は、有線であっても無線であってもよい。また、「ネットワーク」は、LANなどのように作業現場ST内で構築されるもの、作業現場STとクラウドを接続するものを包含してよい。
【0015】
また、電動ファン付きウェア10には、所定の事象を検出するセンサが備えられる。本実施形態において、センサが検出する事象としては特に限定されない。また、電動ファン付きウェア10には、それぞれ異なる事象を検出する複数のセンサが設けられてよい。
電動ファン付きウェア10に備えられる通信デバイスは、同じ電動ファン付きウェア10にて備えられるセンサが事象の検出結果として出力する検出情報を、センサ情報処理サーバ100に送信する。
【0016】
センサ情報処理サーバ100は、電動ファン付きウェア10のセンサが出力する検出情報についてデータ解析を行い、例えばモニタリング端末200等にて解析結果が提示されるようにする。また、センサ情報処理サーバ100は、作業現場の管理に応じた情報処理、制御等を実行可能とされてもよい。
センサ情報処理サーバ100は、ゲートウェイ300の中継を介してネットワーク経由で作業現場STにおける電動ファン付きウェアの通信デバイスと通信可能に接続される。また、センサ情報処理サーバ100は、モニタリングネットワークMNW経由でモニタリング端末200と通信可能に接続される。
【0017】
モニタリング端末200は、作業現場STもしくは本社オフィス等にて作業現場STの状況把握のために使用される端末である。また、作業現場STにて現場を管理する者(現場管理者)は、モニタリング端末200を現場における管理に使用してもよい。モニタリング端末200は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等であってよい。
【0018】
[電動ファン付きウェアについて]
図2は、電動ファン付きウェア10の一例を示している。同図は、電動ファン付きウェア10の背面側を示している。同図では、電動ファン付きウェア10を作業者が着用した状態において、ウェア本体11の背面側に電動ファン12が位置するように設けられている例を示している。本実施形態において、ウェア本体11において電動ファン12が設けられる位置は特に限定されない。
また、この場合の電動ファン付きウェア10は、前面側の図示は省略しているが、例えばウェア本体11が前開きであってファスナーにより前面が開閉可能なようにされていてよい。
また、同図のウェア本体11は、長袖である場合を例に挙げているが、半袖や袖無しであってもよい。
【0019】
同図では、2つの電動ファン12がウェア本体11の背面の下側にて設けられた例が示されている。電動ファン12が設けられたウェア本体11の部位には、空気が流通するように開口部が形成されている。
電動ファン12は、ウェア本体11内に取り付けられるバッテリ(図示省略)から脅威給される電源により回転するようにされてよい。
【0020】
また、電動ファン12は、空気の流れを正逆可能なものが用いられることで、ウェア本体11内で空気を地流通させる動作を切り替え可能とされてよい。つまり、電動ファン12は、外部からウェア本体11内に空気を取り込む空気取込動作と、ウェア本体11内から外部へ空気を排出する空気排出動作とで切り替え可能とされてよい。
電動ファン12は、ファンの回転方向を反転させることにより空気取込動作と空気排出動作との切り替えを行うことができる。
空気取込動作と空気排出動作との切り替えは、例えばウェア本体11に設けられたスイッチ(図示省略)を作業者WKが操作することにより行われてもよいし、ウェア本体11に設けられた制御装置40の制御によって行われもよい。
【0021】
電動ファン付きウェア10には、センサ30と制御装置40とが備えられる。センサ30と制御装置40は、電動ファン付きウェア10に備えられるバッテリ(図示省略)から供給される電源により動作可能とされてよい。
センサ30は、所定の事象を検出するデバイスである。
制御装置40は、ネットワーク経由でセンサ情報処理サーバ100と通信する通信デバイスとしての機能を有する。制御装置40にはセンサ30が接続されることで、センサ30が出力する検出情報が入力される。制御装置40は、センサ30から入力される検出情報をセンサ情報処理サーバ100に送信する。
また、制御装置40は、作業者の操作あるいはセンサ情報処理サーバ100からの指示等に応じて、電動ファン12の回転に関する制御(回転開始、回転停止、回転方向の切り替え等)を実行可能とされてよい。
なお、センサ30と制御装置40とは一体化されてよい。
【0022】
[電気ユニットの構成例]
図3は、電動ファン付きウェア10に備えられる電気的構成(電気ユニット)の一例を示している。同図において図1図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。同図に示される電気ユニットは、電動ファン付きウェア10に備えられるバッテリ(図示省略)を電源として動作する。
同図の電気ユニットは、センサ30、電動ファン12、12、および制御装置40を備える。センサ30と制御装置40とは一体化されて構成されてよいが、同図では、分離した構成が示されている。この場合、センサ30と制御装置40とが配線により接続されてよい。
【0023】
制御装置40は、通信部41と制御部42とを備える。通信部41は、ネットワーク経由でセンサ情報処理サーバ100と通信を行う。
制御部42は、制御装置40における各種の制御を実行する。例えば、制御部42は、センサ30から入力された検出情報を通信部41によりセンサ情報処理サーバ100に送信させる制御を実行してよい。また、制御部42は、電動ファン12の回転に関する制御を行ってよい。
同図に示される制御装置40としての機能は、制御装置40としてのハードウェアが備えるCPU(Central Processing Unit)、マイクロコンピュータ等にプログラムを実行させることにより実現されてよい。
【0024】
また、電気ユニットには、報知部50が備えられてよい。報知部50は、電動ファン付きウェア10を着用している作業者WKに報知を行う。報知部50は、例えば音(音声、電子音等)の出力による報知が可能なように構成されてもよいし、振動による報知が可能なように構成されてもよいし、表示による報知が可能なように構成されてもよい。
【0025】
[センサ情報処理サーバの構成例]
図4を参照して、本実施形態のセンサ情報処理サーバ100の機能構成例について説明する。同図に示されるセンサ情報処理サーバ100としての機能は、センサ情報処理サーバ100としてのハードウェアが備えるCPUがプログラムを実行することにより実現される。
【0026】
同図のセンサ情報処理サーバ100は、通信部101、制御部102、および記憶部103を備える。
通信部101は、ネットワーク経由で制御装置40、モニタリング端末200等を通信可能に接続する。
【0027】
制御部102は、センサ情報処理サーバ100における各種の制御を実行する。制御部102は、センサ情報取得部121およびセンサ情報処理部122を備える。
センサ情報取得部121は、制御装置40から送信され、通信部101にて受信されたセンサ情報を取得する。
センサ情報処理部122は、センサ情報取得部121により取得されたセンサ情報を利用したデータ解析を実行する。センサ情報処理部122は、データ解析結果に基づくフィードバック実行する。センサ情報処理部122は、データ解析結果に基づくフィードバックとして、データ解析結果の提示、所定事項に関する報知、所定の制御対象に対する制御等を実行可能とされてよい。
【0028】
記憶部103は、センサ情報処理サーバ100に関連する各種の情報を記憶する。記憶部103は、例えば作業者WKと制御装置40を一意に示す制御装置識別子とを対応付けた作業者情報を記憶してよい。
【0029】
[現場管理システムの運用例]
以下、上記構成による本実施形態の現場管理システムの運用例について説明する。以下に説明する運用例は適宜組み合わされてよい。
〔第1運用例:現場内気温の報知〕
本運用例において、センサ30は、周囲温度を測定する温度センサである。制御装置40は、温度センサとしてのセンサ30が周囲温度を検出して出力されるセンサ情報を、センサ情報処理サーバ100に送信する。
センサ情報処理サーバ100のセンサ情報取得部121は、作業現場STの各所にて作業している作業者WKが着用する電動ファン付きウェア10の制御装置40から送信されるセンサ情報を取得する。
センサ情報処理部122は、データ解析として、センサ情報取得部121が取得したセンサ情報のそれぞれが示す周囲温度に基づいて作業現場ST内の気温(現場内気温)を推定する。推定にあたり、センサ情報処理部122は、センサ情報のそれぞれが示す周囲温度の統計として、例えば最頻値、平均値等を求めることにより現場内気温を推定してよい。
【0030】
センサ情報処理部122は、推定した現場内気温の情報をモニタリング端末200に送信してよい。モニタリング端末200は、受信した現場内気温の情報を利用して、現場内気温を表示したり、現場内気温の履歴を記憶したりしてよい。 また、センサ情報処理部122は、推定した現場内気温の情報を、制御装置40のそれぞれに送信してよい。制御装置40の制御部42は、受信した情報が示す現場内気温が報知部50にて音声や表示により報知されるように制御してよい。
【0031】
また、センサ情報処理部122は、推定した現場内気温が一定条件を満たしたことに応じて、熱中症の警告通知(警告報知)を制御装置40に送信してよい。この場合の一定条件としては、推定された現場内気温が予め定めた閾値以上となったことであってもよいし、現場内気温が予め定めた閾値を超えた時間が一定以上継続したことであってもよい。
制御装置40の制御部42は、熱中症の警告通知を受信したことに応じて、報知部50にて熱中症を警告する報知が行われるように制御してよい。
【0032】
また、例えば現場管理システムがロボットを稼働させるロボット稼働システムと連携することで、センサ情報処理部122が、現場内気温が一定条件を満たしたことに応じて、ロボット稼働システムに、熱中症防止のための飲料や冷却用の物品等を作業者WKのもとに運搬させるように指示をしてもよい。
【0033】
また、センサ情報処理部122は、推定した現場内気温に応じて、電動ファン12の回転動作が変更されるように制御してよい。例えば、センサ情報処理部122は、推定した現場内気温に応じた回転速度を指定するコマンドを制御装置40に送信してよい。制御装置40の制御部42は、受信したコマンドが指定する回転速度で電動ファン12が回転するように制御してよい。
【0034】
また、制御装置40は、自己を一意に識別する制御装置識別子を付加してセンサ情報を送信してよい。この場合、センサ情報処理サーバ100の記憶部103は、作業者情報とともに、作業者WKごとの作業スケジュール情報を記憶する。作業スケジュール情報には対応の作業者の作業者識別子が対応付けられる。作業スケジュール情報は、作業者WKが作業現場におけるどの作業エリアにてどのような作業を行うのかを時間軸に沿って示す。
【0035】
センサ情報処理サーバ100において、センサ情報処理部122は、受信したセンサ情報に付加されていた制御装置識別子に対応付けられた作業者WKの作業スケジュールを参照することで、対応の作業者WKが現在において作業している作業エリアを特定する。センサ情報処理部122は、データ解析として、特定した作業エリアごとに対応するセンサ情報を利用して、作業エリアごとに現場内気温を推定する。
センサ情報処理部122は、作業エリアごとの現場内気温の情報をモニタリング端末200に送信してよい。この場合、モニタリング端末200は、受信した作業エリアごとの現場内気温の情報を利用して、作業エリアごとに区分して現場内気温の情報を表示したり、作業エリアごとの現場内気温の履歴を記憶したりすることができる。
【0036】
〔第2運用例:電動ファンの回転速度制御〕
本運用例においても、センサ30は周囲温度を検出し、センサ情報処理部122は、現場内気温を推定する。そのうえで、センサ情報処理部122は、推定した現場内気温に応じて、電動ファン12の回転速度が変更されるように制御してよい。
この場合において、記憶部103は、現場内気温に電動ファンの回転速度を対応付けた回転速度テーブルを記憶してよい。センサ情報処理部122は、推定した現場内温度に対応付けられた回転速度を取得し、取得した回転速度を指定するコマンドを、制御装置40に送信する。制御装置40の制御部42は、受信したコマンドが指定する回転速度で電動ファン12が回転するように制御する。
【0037】
〔第3運用例:電動ファンの回転方向(空気流通動作)の切替制御〕
本実施形態の電動ファン12は、前述のように、回転方向を反転させることで、外部からウェア本体11内に空気を取り込む空気取込動作と、ウェア本体11内から外部へ空気を排出する空気排出動作とで空気流通動作を切り替えることができる。
一般に、電動ファン12は空気排出動作により回転することで冷却機能を果たすようにされている。しかしながら、粉塵の多いような環境では、空気排出動作が行われていると、ウェア本体11の襟の内側から作業者WKの顔に風が吹き付けられることになり、作業者の顔の周りに粉塵が舞うような状態となって作業に支障をきたす可能性がある。
このようなことを考慮すると、作業者WKの周囲に粉塵が多いような状況では、電動ファン12の空気流通動作を空気取り込み動作とすれば、作業者WKの顔周りの粉塵がウェア本体11に吸い込まれるようになり、粉塵の煩わしさが緩和されることになって好ましい。
【0038】
そこで、本実施形態においては、センサ30として周囲の粉塵の量を検出するものが設けられる。
制御装置40の通信部41は、センサ30が検出した周囲の粉塵の量を示すセンサ情報をセンサ情報処理サーバ100に送信する。センサ情報処理サーバ100のセンサ情報処理部122は、データ解析として、取得されたセンサ情報が示す粉塵の量に基づいて電動ファン12の空気流通動作について空気排出動作と空気取り込み動作とのいずれとするのかを判定する。この場合、センサ情報処理部122は、センサ情報が示す粉塵の量を予め定められた閾値と比較してよい。センサ情報処理部122は、センサ情報が示す粉塵の量が閾値未満であれば空気排出動作であると判定し、センサ情報が示す粉塵の量が閾値以上であれば空気取込動作であると判定してよい。
センサ情報処理部122は、判定した空気排出動作を示すコマンドを制御装置40に送信する。制御装置40において制御部42は、受信したコマンドが示す空気排出動作に対応する回転方向で電動ファン12が回転するように制御する。
このように制御が行われることで、特に作業者WKが操作を行わなくとも、周囲の粉塵の量に応じて、電動ファン12の空気流通動作が適切に切り替えられることとなる。また、作業者WKの周囲の粉塵の量は、作業現場STにおける場所や作業内容等の状況に応じて作業者WKごとに異なってくる。本運用例であれば、作業者WKが着用している電動ファン付きウェア10に備えられるセンサ30により、作業者WKの周囲における粉塵の量が高い精度で検出できることから、作業者WKごとに周囲の粉塵の状況に応じて適切に電動ファン12の空気流通動作を設定できる。
【0039】
また、センサ情報処理部122は、判定した空気排出動作を作業者WKと対応付けた情報(空気排出動作設定情報)をモニタリング端末200に送信してよい。モニタリング端末200は、受信した空気排出動作設定情報に基づいて、作業者WKごとの空気排出動作の設定状況を表示してよい。
【0040】
〔第4運用例:作業者の位置に応じた制御〕
本運用例において、センサ30は、例えばGPS(Global Positioning System)やビーコンなどの技術を用いて自己位置を測定(検出)するものが設けられる。このようなセンサ30が測定する位置は、電動ファン付きウェア10を着用している作業者WKの位置を示す。つまり、センサ30が測定する位置は、作業現場STにおける作業者WKの位置を示すものとなる。この場合、制御装置40は、制御装置識別子を付加したセンサ情報をセンサ情報処理サーバ100に送信する。
この場合のセンサ情報処理サーバ100は、作業者情報と作業者WKごとの作業スケジュール情報を記憶する。センサ情報処理部122は、制御装置40から送信されるセンサ情報が示す位置を、作業者情報を参照することで作業者WKの位置として取得する。
センサ情報処理部122は、データ解析として、取得した作業者WKの位置と、当該作業者WKのスケジュール情報が示す現時刻における作業場所とを比較する。センサ情報処理部122は、比較した結果として、取得した作業者WKの位置が現時刻における作業場所に該当するか否かを判定する。
センサ情報処理部122は、作業者WKの位置が現時刻における作業場所に該当していないと判定した場合には、対応の作業者WKの制御装置40に対して、作業者WKが対応の作業場所に存在していないことの通知(非存在通知)を送信する。
制御装置40において制御部42は、非存在通知を受信したことに応じて、作業者WKに向けて、しかるべき作業場所に存在していないことの警告報知が報知部50にて行われるように制御する。
【0041】
また、センサ情報処理部122は、作業者WKの位置を示す作業者位置情報をモニタリング端末200に送信してよい。モニタリング端末200は、受信した作業者位置情報に基づいて、作業現場STのマップ上に作業者WKごとの位置を表示してよい。
【0042】
例えば、作業者WKが自分の作業スケジュールを間違えていて、しかるべき作業場所に存在していないような場合がある。本運用例では、このような場合に作業者WK自身に対して、しかるべき作業場所に存在していないことを知らせることが可能になる。
【0043】
また、電動ファン付きウェア10において、センサ30として、自己位置を測定するものと温度を検出するものとの2つを備えることで、センサ情報処理部122は、1つの制御装置40から、温度を示すセンサ情報と位置を示すセンサ情報とを取得する。センサ情報処理部122は、データ解析として、各制御装置40から取得したセンサ情報が示す温度と位置に基づいて、作業現場STにおける現場内温度の分布を求め、求めた温度分布の情報を、各制御装置40やモニタリング端末200に送信してよい。制御装置40、モニタリング端末200は、受信した現場内温度の分布を表示してよい。
【0044】
図5は、モニタリング端末200にて表示される現場内気温画面の一態様例を示している。現場内気温画面は、作業現場STにおける現場内気温の分布を示す画面である。
同図の現場内気温画面においては、平面温度分布エリアAR1、温度対応色凡例エリアAR2、作業者位置マーク凡例エリアAR3が配置されている。
平面温度分布エリアAR1は、作業現場STにおける現場内気温の分布を示す。同図の平面温度分布エリアAR1は、作業現場STの平面方向における現場内気温の分布を示すものとされる。平面温度分布エリアAR1においては、温度コンター図により現場内気温が示される。温度コンター図は、色により温度分布を示す。温度コンター図における色と温度との対応は、温度対応色凡例エリアAR2により示されている。
また、平面温度分布エリアAR1には、作業現場における作業者WKの位置を示すマーク(作業者位置マークMK)が配置されている。作業者位置マークMKには、対応の作業者WKの名前や作業者ID等を示す作業者識別表示(「WK1」、「WK2」)と、対応の作業者の電動ファン付きウェア10のセンサにより検出された温度を示す温度表示とが付されている。
作業者識別表示に用いられる作業者WKの名前や作業者IDは、電動ファン付きウェア10の制御装置40が、センサ情報に付加してセンサ情報処理サーバ100に送信してよい。
【0045】
また、同図の例では、センサ情報処理サーバ100が作業者WKごとの電動ファン12の回転速度と回転方向の制御も行うようにされている。そのうえで、同図の現場内気温画面においては、作業者位置マークMKにて現在における電動ファン12の制御状態を示すようにされている。具体的には、作業者位置マーク凡例エリアAR3により示すように、作業者位置マークMKの形状により電動ファン12の回転速度(図では「回転数」)を示し、作業者位置マークMKに付される矢印の方向により、空気流通動作(空気排出動作、空気取込動作)を示すようにされている。現場内気温画面における電動ファン12の制御状態の示し方については、同図の例に限定されない。
【0046】
また、センサ情報処理サーバ100は、例えば作業現場STにおける複数のエリアごとの現場内気温画面、あるいは複数の作業現場STごとの現場内気温画面がモニタリング端末200にて表示されるようにしてよい。
以下に、複数の作業現場STごとの現場内気温画面をモニタリング端末200にて表示させる場合の態様例について説明する。
【0047】
図6は、2つの作業現場ST-1、ST-2の現場内気温画面をモニタリング端末200にて表示させる場合の現場管理システムの全体的な構成例を示している。同図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
作業現場ST-1にて存在する作業者WKごとの制御装置40(同図では図示せず)は、ゲートウェイ300-1の中継を介してセンサ情報処理サーバ100と接続される。作業現場ST-2にて存在する作業者WKごとの制御装置40は、ゲートウェイ300-2の中継を介してセンサ情報処理サーバ100と接続される。
このような構成のもとでは、センサ情報処理サーバ100は、作業現場ST-1、ST-2ごとに個別に現場内気温の分布を求め、作業現場ST-1、ST-2ごとの現場内気温の分布を示す現場内気温画面をモニタリング端末200にて表示させることが可能となる。
【0048】
図7は、作業現場ST-1、ST-2ごとの現場内気温の分布を示す現場内気温画面の一例を示している。 同図の現場内気温画面においては、作業現場ST-1、ST-2のそれぞれに対応する平面温度分布エリアAR1-1、AR1-2が配置されている。そのうえで、平面温度分布エリアAR1-1、AR1-2のそれぞれにおいては、図5における平面温度分布エリアAR1と同様に温度コンター図により現場内気温が示されるとともに、作業者位置マークMKにより作業者WKの位置が示される。また、作業者位置マークMKには、作業者識別表示と温度表示が付加され、作業者位置マークMKの形状により電動ファン12の回転速度が示され、作業者位置マークMKに付された矢印により空気流通動作が示される。
【0049】
また、電動ファン付きウェア10において、センサ30として、自己位置を測定するものと粉塵の量を検出するものとの2つを備えることで、センサ情報処理部122は、1つの制御装置40から、温度を示すセンサ情報と粉塵の量を示すセンサ情報とを取得する。センサ情報処理部122は、データ解析として、各制御装置40から取得したセンサ情報が示す温度と粉塵の量とに基づいて、作業現場STにおける粉塵の量の分布を求め、求めた粉塵の量の分布の情報を、各制御装置40やモニタリング端末200に送信してよい。制御装置40、モニタリング端末200は、受信した情報に基づいて、作業現場STにおける粉塵の量の分布を表示してよい。
【0050】
上記各運用例のもとでは、電動ファン付きウェア10に設けられたセンサ30と電気ユニットにより、センサ30のセンサ情報がセンサ情報処理サーバ100に送信され、センサ情報処理サーバ100は、受信したセンサ情報に基づいて、所定のデータ解析を実行し、制御装置40はモニタリング端末200等でのデータ解析結果の提示、報知、制御対象に対する制御等を実行する。
このような構成では、作業現場STのセンサ情報を得るにあたり、作業現場STにて作業者WKが着用する電動ファン付きウェア10に備えられたセンサ30と電気ユニットが利用される。このため、作業現場STにおいて新たにセンサや通信装置等の設備を設けたり、作業者WKが別途ウェアラブル端末を装着する必要がない。この結果、本実施形態においては、作業現場STの管理にあたり、作業現場STにて作業者WKが着用する電動ファン付きウェア10の有効利用が図られる。
【0051】
なお、上記の運用例において、センサ情報に基づいて電動ファン付きウェア10の報知部50にて報知させる運用については、制御装置40がセンサ情報処理部122としての機能を実行することで、制御装置40で完結して報知のための処理、制御が行われるように構成されてよい。
【0052】
なお、上述の制御装置40、センサ情報処理サーバ100、およびモニタリング端末200等の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の制御装置40、センサ情報処理サーバ100、およびモニタリング端末200としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0053】
[SDGsゴール付記]
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施形態に係る現場管理システム、現場管理方法、およびプログラムは、このSDGsの17の目標のうち、例えば「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0054】
10 電動ファン付きウェア、11 ウェア本体、12 電動ファン、30 センサ、40 制御装置、41 通信部、42 制御部、50 報知部、100 センサ情報処理サーバ、101 通信部、102 制御部、103 記憶部、121 センサ情報取得部、122 センサ情報処理部、200 モニタリング端末、300 ゲートウェイ、ST 作業現場、WK 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7