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特開2024-180119作業停止計画立案システム、作業停止計画立案方法、電力系統保守システムおよびそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180119
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】作業停止計画立案システム、作業停止計画立案方法、電力系統保守システムおよびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H02J3/00 170
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099582
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(71)【出願人】
【識別番号】520320446
【氏名又は名称】中部電力パワーグリッド株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 佳久
(72)【発明者】
【氏名】多田 泰之
(72)【発明者】
【氏名】西村 大貴
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 泰亮
(72)【発明者】
【氏名】荒木 寛之
(72)【発明者】
【氏名】山浦 大和
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066AA10
5G066AE03
5G066AE09
(57)【要約】
【課題】停止要請に応じて、電力系統の信頼性を維持しながら経済合理的な作業停止計画が立案可能になる、作業停止計画立案システム、作業停止計画立案方法、電力系統保守システム、およびプログラムを提供する。
【解決手段】中央処理装置10と、主記憶装置20と、を備え、中央処理装置10が主記憶装置20に記録されたプログラムを実行することにより、作業を行うために停止させる設備である停止設備を組合せた組合せ候補のそれぞれについて、停止設備と停止設備に同調して停止させる設備である停止設備とを停止させたときの、将来断面を生成し、将来断面に基づき、停止設備および同調停止設備の停止計画である作業停止計画を作成する作業停止計画立案システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリと、を備え、
前記プロセッサが前記メモリに記録されたプログラムを実行することにより、
作業を行うために停止させる設備である停止設備を組合せた組合せ候補のそれぞれについて、前記停止設備と前記停止設備に同調して停止させる設備である同調停止設備とを停止させたときの、将来断面を生成し、
前記将来断面に基づき、前記停止設備および前記同調停止設備の停止計画である作業停止計画を作成する
作業停止計画立案システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記組合せ候補のそれぞれに対し、前記将来断面の信頼度およびコストを評価し、
前記信頼度および前記コストに基づき、前記作業停止計画を作成する請求項1に記載の作業停止計画立案システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記組合せ候補のそれぞれに対し、前記信頼度が予め定められた基準を満たす前記将来断面の中から前記停止設備を停止させる期間の前記コストが最小となる前記将来断面を選択し、選択した前記将来断面を組合せることで、前記作業停止計画を作成する請求項2に記載の作業停止計画立案システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記組合せ候補を、作業のために前記停止設備を停止させる要請がある時期である停止要請時期および前記停止設備を停止させる期間を含む停止要請データに基づき決める請求項1に記載の作業停止計画立案システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記停止要請時期が重複する前記停止設備を組合せ前記組合せ候補とする請求項4に記載の作業停止計画立案システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記同調停止設備を、前記停止要請データおよび設備を停止できない期間を含む停止制約データに基づき抽出する請求項4に記載の作業停止計画立案システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記停止設備に接続する設備を順に辿り、前記停止制約データに基づき前記停止設備とともに停止させることができる設備を選択することで前記同調停止設備を抽出する請求項6に記載の作業停止計画立案システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記停止設備に接続し、前記停止設備とともに停止させることができる設備を第1のグループに属する前記同調停止設備とし、
さらに前記第1のグループに属する前記同調停止設備に接続し、ともに停止させることができる設備を第2のグループに属する前記同調停止設備とし、これを繰り返して次のグループに属する前記同調停止設備を探索することで、前記同調停止設備を抽出する請求項7に記載の作業停止計画立案システム。
【請求項9】
プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、
作業を行うために停止させる設備である停止設備を組合せた組合せ候補のそれぞれについて、前記停止設備と前記停止設備に同調して停止させる設備である同調停止設備とを停止させたときの、将来断面を生成し、
前記将来断面に基づき、前記停止設備および前記同調停止設備の停止計画である作業停止計画を作成する
作業停止計画立案方法。
【請求項10】
電力系統に含まれる設備であり、作業を行うために停止させる設備である停止設備および前記停止設備に同調して停止させる設備である同調停止設備に対する停止計画である作業停止計画を作成する作業停止立案手段と、
前記作業停止計画を出力する出力手段と、
を備え、
前記作業停止立案手段は、
プロセッサと、メモリと、を備え、
前記プロセッサが前記メモリに記録されたプログラムを実行することにより、
前記停止設備を組合せた組合せ候補のそれぞれについて、前記停止設備と前記同調停止設備とを停止させたときの、将来断面を生成し、
前記将来断面に基づき、前記作業停止計画を作成する
電力系統保守システム。
【請求項11】
前記出力手段は、前記作業停止計画を表示する表示装置である請求項10に記載の電力系統保守システム。
【請求項12】
前記作業停止立案手段は、前記作業停止計画を作成する依頼を受け付け、
前記出力手段は、前記作業停止立案手段が作成した前記作業停止計画を依頼元に対し出力する請求項10に記載の電力系統保守システム。
【請求項13】
コンピュータに、
作業を行うために停止させる設備である停止設備を組合せた組合せ候補のそれぞれについて、前記停止設備と前記停止設備に同調して停止させる設備である同調停止設備とを停止させたときの、将来断面を生成する機能と、
前記将来断面に基づき、前記停止設備および前記同調停止設備の停止計画である作業停止計画を作成する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業停止計画立案システム、作業停止計画立案方法、電力系統保守システム、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーの導入の拡大により電力系統を取り巻く環境が急速に変化している。また、電力系統の設備の老朽化により保守点検の必要性が増大している。電力系統等の設備の保守点検等を行う際には、対象となる設備を停止する必要がある。
【0003】
特許文献1には、電力系統設備の停止を伴う作業の作業工程を発生させる作業工程発生機構と、作業工程発生機構により発生させた作業工程の各断面に対し、信頼度系統を立案する信頼度系統立案機構を備えた設備停止計画自動立案装置が開示されている。この設備停止計画自動立案装置では、作業工程発生機構により、各種条件により評価関数の改善が望める作業の組合せを効率的に発生させ、発生させた作業工程の各断面に対し、信頼度系統立案機構により系統信頼度を確保した系統構成を立案する処理を繰り返し行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-10501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
設備の保守点検等を行う際には、設備の停止要請に応じ、電力系統の信頼性を維持しつつ、経済合理的な作業停止計画を立案する必要がある。
本発明は、停止要請に応じて、保守点検等の対象となる電力系統の信頼性を維持しながら経済合理的な作業停止計画が立案可能になる、作業停止計画立案システム、作業停止計画立案方法、電力系統保守システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため本発明は、プロセッサと、メモリと、を備え、プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、作業を行うために停止させる設備である停止設備を組合せた組合せ候補のそれぞれについて、停止設備と停止設備に同調して停止させる設備である同調停止設備とを停止させたときの、将来断面を生成し、将来断面に基づき、停止設備および同調停止設備の停止計画である作業停止計画を作成する作業停止計画立案システムである。
【0007】
ここで、プロセッサは、組合せ候補のそれぞれに対し、将来断面の信頼度およびコストを評価し、信頼度およびコストに基づき、作業停止計画を作成することができる。この場合、電力系統全体に対し、信頼性を確保しつつ経済合理的である作業停止計画が立案可能になる。
また、プロセッサは、組合せ候補のそれぞれに対し、信頼度が予め定められた基準を満たす将来断面の中から停止設備を停止させる期間のコストが最小となる将来断面を選択し、選択した将来断面を組合せることで、作業停止計画を作成することができる。この場合、信頼度を確保しつつ、コストがより小さくなる作業停止計画を作成することができる。
さらに、プロセッサは、組合せ候補を、作業のために停止設備を停止させる要請がある時期である停止要請時期および停止設備を停止させる期間を含む停止要請データに基づき決めることができる。この場合、停止設備の停止要請時期に合わせて作業停止計画を作成することができる。
またさらに、プロセッサは、停止要請時期が重複する停止設備を組合せ候補とすることができる。この場合、停止要請時期が重複する停止設備をともに停止させることができる。
そして、プロセッサは、同調停止設備を、停止要請データおよび設備を停止できない期間を含む停止制約データに基づき抽出することができる。この場合、停止させてはいけない設備の動作を確保しつつ、作業を行う停止設備を停止させることができる。
また、プロセッサは、停止設備に接続する設備を順に辿り、停止制約データに基づき停止設備とともに停止させることができる設備を選択することで同調停止設備を抽出することができる。同調停止設備を、より容易に抽出することができる。
さらに、プロセッサは、停止設備に接続し、停止設備とともに停止させることができる設備を第1のグループに属する同調停止設備とし、さらに第1のグループに属する同調停止設備に接続し、ともに停止させることができる設備を第2のグループに属する同調停止設備とし、これを繰り返して次のグループに属する同調停止設備を探索することで、同調停止設備を抽出することができる。この場合、同調停止設備をグループ分けしながら精度よく抽出することができる。
【0008】
また、本発明は、プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、作業を行うために停止させる設備である停止設備を組合せた組合せ候補のそれぞれについて、停止設備と停止設備に同調して停止させる設備である同調停止設備とを停止させたときの、将来断面を生成し、将来断面に基づき、停止設備および同調停止設備の停止計画である作業停止計画を作成する作業停止計画立案方法である。
【0009】
さらに、本発明は、電力系統に含まれる設備であり、作業を行うために停止させる設備である停止設備および停止設備に同調して停止させる設備である同調停止設備に対する停止計画である作業停止計画を作成する作業停止立案手段と、作業停止計画を出力する出力手段と、を備え、作業停止立案手段は、プロセッサと、メモリと、を備え、プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、停止設備を組合せた組合せ候補のそれぞれについて、停止設備と同調停止設備とを停止させたときの、将来断面を生成し、将来断面に基づき、作業停止計画を作成する電力系統保守システムである。
【0010】
ここで、出力手段は、作業停止計画を表示する表示装置とすることができる。この場合、作業者や管理者が作業停止計画を把握するのが容易になる。
また、作業停止立案手段は、作業停止計画を作成する依頼を受け付け、出力手段は、作業停止立案手段が作成した作業停止計画を依頼元に対し出力することができる。この場合、電力系統に含まれる設備の作業停止計画を作成するサービスを提供することができる。
【0011】
またさらに、本発明は、コンピュータに、作業を行うために停止させる設備である停止設備を組合せた組合せ候補のそれぞれについて、停止設備と停止設備に同調して停止させる設備である同調停止設備とを停止させたときの、将来断面を生成する機能と、将来断面に基づき、停止設備および同調停止設備の停止計画である作業停止計画を作成する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、停止要請に応じて、電力系統の信頼性を維持しながら経済合理的な作業停止計画が立案可能になる、作業停止計画立案システム、作業停止計画立案方法、電力系統保守システム、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態における電力系統保守システムの全体構成を示す図である。
図2】作業停止計画立案システムの概略動作について説明した図である。
図3】系統設備データの一例について説明した図である。
図4】保守点検の対象となる電力系統の一例を示した図である。
図5】保守点検の対象となる電力系統の他の例を示した図である。
図6】需要想定データの一例について説明した図である。
図7】停止要請データの一例について説明した図である。
図8】停止制約データの一例について説明した図である。
図9】費用単価データの一例について説明した図である。
図10】作業停止計画データの一例について説明した図である。
図11】同調停止設備抽出プログラムが抽出する同調停止設備について示した図である。
図12】同調停止設備抽出プログラムの動作を説明したフローチャートである。
図13】(a)~(b)は、同時停止候補生成プログラムが生成する組合せ候補について示した図である。
図14】同時停止候補生成プログラムの動作を説明したフローチャートである。
図15】(a)~(b)は、将来断面生成プログラムが生成する将来断面について示した図である。
図16】将来断面生成プログラムの動作を説明したフローチャートである。
図17】(a)は、信頼度解析プログラムが解析する信頼度について示した図である。(b)は、経済性評価プログラムが評価するコストについて示した図である。
図18】信頼度解析プログラムの動作を説明したフローチャートである。
図19】経済性評価プログラムの動作を説明したフローチャートである。
図20】作業停止計画生成プログラムが、作業停止計画を作成する方法を説明した図である。
図21】作業停止計画生成プログラムの動作を説明したフローチャートである。
図22】作業停止計画を出力部にて表示した画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<電力系統保守システムSの全体構成の説明>
図1は、本実施の形態における電力系統保守システムSの全体構成を示す図である。
電力系統保守システムSは、保守点検の対象となる電力系統が備える複数の設備について、この保守点検の作業を管理する。電力系統は、特に限られるものではなく、発電、変電、送電、配電の少なくとも1つを行う。電力系統が備える設備としては、例えば、発電装置、変電装置、送電線、蓄電装置、遮断器、断路器などが挙げられる。
電力系統保守システムSは、作業停止計画立案システム1と、入出力装置2と、設備管理システム3と、需給管理システム4と、作業工程管理システム5とが、ネットワーク6を介し接続されている。
【0015】
作業停止計画立案システム1は、作業停止立案手段の一例であり、設備を保守点検のために停止させる作業計画である作業停止計画の立案を行う。なお、作業停止計画立案システム1は、次に説明する入出力装置2の機能を有していてもよい。
【0016】
入出力装置2は、入力部50と、出力部60とを備える。
入力部50は、ユーザが文字等を入力する際に使用する入力デバイスであり、例えば、キーボードである。また、入力部50は、出力部60に表示されるカーソルの移動や画面のスクロールなどの際に用いられる入力デバイスであり、例えば、タッチパッドである。なお、タッチパッドの代わりにマウス、トラックボール等であってもよい。また、入力部50は、ボタンやレバーなどの装置であってもよい。
出力部60は、作業停止計画を出力する出力手段の一例である。例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescent)ディスプレイ等の出力デバイスである。この場合、出力部60には、画像その他の情報が表示される。また、出力部60を、スピーカなどとし、音声や通知音等の音を出力する装置としてもよい。また、出力部60を、通信インタフェースとし、電力系統保守システムSの外部に対し、情報を出力する装置としてもよい。
【0017】
設備管理システム3は、保守点検の対象となる電力系統が有する各設備の構成や属性に関する情報を管理する。
需給管理システム4は、電力の需要量および供給量の監視を行い、両者がバランスするように管理する。
作業工程管理システム5は、作業停止計画立案システム1が作成した作業停止計画を記憶する。また、作業工程管理システム5は、設備の保守点検の作業を行うに際し、作業工程や期間を管理する。
【0018】
ネットワーク6は、作業停止計画立案システム1、入出力装置2、設備管理システム3、需給管理システム4および作業工程管理システム5の間の情報通信に用いられる通信手段であり、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)である。情報通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、またこれらを併用してもよい。また、作業停止計画立案システム1、入出力装置2、設備管理システム3、需給管理システム4および作業工程管理システム5は、ゲートウェイ装置やルータ等の中継装置を用い、複数のネットワークや通信回線を介して接続されてもよい。
【0019】
<作業停止計画立案システム1の詳細説明>
作業停止計画立案システム1は、PCやサーバコンピュータ等のコンピュータ装置である。作業停止計画立案システム1は、中央処理装置10と、システムデータや内部データが記憶される主記憶装置20と、プログラムやデータを記憶する補助記憶装置30とを備える。そして、作業停止計画立案システム1は、中央処理装置10が主記憶装置20や補助記憶装置30に記録されたプログラムを実行することにより作業停止計画を作成する。
中央処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、プログラムの実行を通じて、作業停止計画を立案する処理を行う。
主記憶装置20は、メモリの一例であり、RAM(Random Access Memory)等である。主記憶装置20では、補助記憶装置30に記憶されたプログラムやデータがロードされ、これを中央処理装置10が実行する。
補助記憶装置30も、メモリの一例であり、プログラムやデータを記憶する。ここでは、補助記憶装置30は、プログラムとして、同調停止設備抽出プログラム101と、同時停止候補生成プログラム102と、将来断面生成プログラム103と、信頼度解析プログラム104と、経済性評価プログラム105と、作業停止計画生成プログラム106とを記憶する。また、補助記憶装置30は、データとして、系統設備データ201と、需要想定データ202と、停止要請データ203と、停止制約データ204と、費用単価データ205と、作業停止計画データ206とを記憶する。
【0020】
同調停止設備抽出プログラム101は、作業を行うために停止させる設備である停止設備に同調して停止させる設備である同調停止設備を抽出するプログラムである。つまり、「停止設備」は、保守点検の対象となる設備であり、「同調停止設備」は、停止設備を停止するときに、停止設備とともに停止させることができると、接続関係から判断できる隣接設備である。
同時停止候補生成プログラム102は、複数の停止設備を組合せた組合せ候補を生成するプログラムである。
将来断面生成プログラム103は、同時停止候補生成プログラム102で生成した組合せ候補のそれぞれについて、停止設備および同調停止設備を停止させたときの、将来断面を生成するプログラムである。
信頼度解析プログラム104は、組合せ候補のそれぞれに対し、将来断面生成プログラム103で生成した将来断面の信頼度を評価するプログラムである。
経済性評価プログラム105は、組合せ候補のそれぞれに対し、将来断面生成プログラム103で生成した将来断面のコストを評価するプログラムである。
作業停止計画生成プログラム106は、信頼度解析プログラム104で評価した信頼度、および経済性評価プログラム105で評価したコストに基づき、停止設備および同調停止設備の停止計画である作業停止計画を作成するプログラムである。詳しくは後述するが、作業停止計画生成プログラム106は、将来断面をもとに、電力系統の信頼性を確保しつつ経済性としてコストが小さくなるように組合せ候補を組合せ、作業停止計画を作成する。
【0021】
系統設備データ201は、保守点検の対象となる電力系統に含まれる設備の仕様等に関するデータである。
需要想定データ202は、それぞれの設備に印加される電力を、所定の時間毎に想定したデータである。
停止要請データ203は、電力系統に含まれる設備の中で、保守点検のために停止する必要がある時期や停止時間に関するデータである。
停止制約データ204は、電力系統に含まれる設備について、停止できない期間に関するデータである。
費用単価データ205は、電力系統に含まれる設備について、保守点検に要する費用についてのデータである。
作業停止計画データ206は、作業停止計画立案システム1で作成される作業停止計画についてのデータである。
【0022】
<作業停止計画立案システム1の概略動作の説明>
次に、作業停止計画立案システム1の概略動作について説明する。
図2は、作業停止計画立案システム1の概略動作について説明した図である。
まず、管理者が入出力装置2の入力部50を使用して、停止制約データ204、停止要請データ203および費用単価データ205をそれぞれ入力する。作業停止計画立案システム1では、これらを保存する。
一方、設備管理システム3から系統設備データ201が取得されるとともに、需給管理システム4から需要想定データ202が取得される。作業停止計画立案システム1では、これらを保存する。
次に、作業停止計画立案システム1は、同調停止設備抽出プログラム101を実行し、系統設備データ201、停止制約データ204および停止要請データ203を基に、停止設備および同調停止設備を抽出する。
また、作業停止計画立案システム1は、同時停止候補生成プログラム102を実行し、停止要請データ203を基に、複数の停止設備を組合せた組合せ候補を生成する。
【0023】
さらに、作業停止計画立案システム1は、将来断面生成プログラム103を実行し、抽出した停止設備や同調停止設備、組合せ候補、系統設備データ201、需要想定データ202を用いて、複数の組合せ候補のそれぞれの停止パターンで設備を停止させたときの、将来断面をそれぞれ生成する。
そして、作業停止計画立案システム1は、経済性評価プログラム105を実行し、費用単価データ205を基に、複数の組合せ候補のそれぞれに対し、将来断面のコストを評価する。
また、作業停止計画立案システム1は、信頼度解析プログラム104を実行し、複数の組合せ候補のそれぞれに対し、将来断面の信頼度を評価する。
さらに、作業停止計画生成プログラム106を実行し、複数の組合せ候補のそれぞれの将来断面の信頼性およびコストに基づき、停止設備および同調停止設備の停止計画である作業停止計画データ206を作成し、保存する。
そして、作業停止計画データ206は、作業工程管理システム5に送られ、設備の保守点検を行う作業工程の管理を行うのに利用される。
また、作業停止計画データ206は、入出力装置2の出力部60で表示することもできる。この場合、出力部60は、作業停止計画を表示する表示装置として機能する。
【0024】
<作業停止計画立案システム1に記憶されるデータの説明>
次に、作業停止計画立案システム1に記憶されるデータである、系統設備データ201~作業停止計画データ206の具体的な内容について説明する。
図3は、系統設備データ201の一例として系統設備データ201Aについて説明した図である。
図示する系統設備データ201Aは、設備ID201A1と、接続母線201A2と、設備仕様201A3と、導入年201A4とからなる。
設備ID201A1は、保守点検の対象となる設備のそれぞれに対し付与される固有のIDである。ここでは、保守点検の対象となる電力系統に、設備として、Bus1、Bus2、Bus3、…、Line1、Line2、Line3、…、TR1、TR2、TR3が含まれることを示している。なお、「Bus」は、母線を意味する。また、「Line」は、送電線を意味し、「TR」は、変圧器を意味する。
接続母線201A2は、それぞれの設備の間の接続関係を示す。接続母線201A2は、From母線とTo母線で示され、それぞれの設備は、この両者を接続することを表す。例えば、Line1は、Bus1とBus2とを接続することを表す。
設備仕様201A3は、定格電圧、設備容量および運用容量を含む。定格電圧は、それぞれの設備に印加できる電圧の最大値を示す。また、設備容量は、それぞれの設備に印加できる電力の最大値を示す。さらに、運用容量は、設備容量の50%の値として決められ、この運用容量の範囲内で、それぞれの設備に電力の印加を認める。なお、残りは、空き容量となる。
導入年201A4は、それぞれの設備が導入された年を示す。
【0025】
図4は、保守点検の対象となる電力系統の一例を示した図である。
図4は、系統設備データ201Aの元になる電力系統である。図示する電力系統は、設備として、Bus1~Bus13、Line1~Line16、TR1~TR3が含まれ、Bus1~Bus13は、Line1~Line16により接続される。
【0026】
図5は、保守点検の対象となる電力系統の他の例を示した図である。
図示する電力系統は、設備として、TA1~TA32、CB1~CB12、TR1~TR2が含まれる。なお、「TA」は、断路器を意味し、「CB」は、遮断器(Circuit Breaker)を意味する。
【0027】
図6は、需要想定データ202の一例として需要想定データ202Aについて説明した図である。
図示する需要想定データ202Aは、母線ID202A1と、それぞれの母線に対し、1時間毎の時間202A2における電力との関係として表わされる。
ここでは、Bus2、Bus3、…の母線IDを有するそれぞれの母線に対し、2022/4/1~2022/3/31の期間内で、電力の需要を1時間毎に予測した結果を示している。
【0028】
図7は、停止要請データ203の一例として停止要請データ203Aについて説明した図である。
図示する停止要請データ203Aは、設備ID203A1と、停止要請時期203A2と、連続停止期間203A3とを含む。そして、この停止要請データ203Aでは、設備ID203A1が、Line3、Line10、Line13、Line14である送電線について、保守点検のために停止する必要がある時期である停止要請時期203A2と、保守点検に要する期間である連続停止期間203A3とを示している。
【0029】
図8は、停止制約データ204の一例として停止制約データ204Aについて説明した図である。
図示する停止制約データ204Aは、設備ID204A1と、停止禁止時期204A2とを含む。そして、この停止制約データ204Aでは、設備ID204A1が、Line7、Line8である送電線について、停止できない時期である停止禁止時期204A2を示している。なお、「常時」は、停止できる期間がないことを示している。
【0030】
図9は、費用単価データ205の一例として費用単価データ205Aについて説明した図である。
図示する費用単価データ205Aは、停止パターン205A1と、設備保守コスト205A2とを含む。そして、この費用単価データ205Aでは、例えば、送電線であるLine3、Line10の停止パターン205A1に対し、要する費用である設備保守コスト205A2を示している。Line3、Line10の停止パターンは、この場合、Line3単体停止、Line10単体停止、Line3とLine10との同時停止の3通りが含まれる。
【0031】
図10は、作業停止計画データ206の一例として作業停止計画データ206Aについて説明した図である。
図示する作業停止計画データ206Aは、設備ID206A1と、停止計画時期206A2とを含む。そして、この作業停止計画データ206Aでは、設備ID206A1がLine3、Line10、Line13、Line14の送電線に対し、停止の計画時期である停止計画時期206A2を示している。
【0032】
<作業停止計画立案システム1で実行されるプログラムの説明>
次に、作業停止計画立案システム1で実行されるプログラムである、同調停止設備抽出プログラム101~作業停止計画生成プログラム106の具体的な動作について説明する。
図11は、同調停止設備抽出プログラム101が抽出する同調停止設備について示した図である。
ここでは、図5で挙げた電力系統を例に取り説明している。同調停止設備抽出プログラム101は、まず、停止要請データ203により、保守点検を行うために停止する設備である停止設備を特定する。ここでは、停止設備は、変圧器TR1である。図11では、これを矩形領域Ar1内の設備として示している。
そして、同調停止設備抽出プログラム101は、停止制約データ204により、停止できない設備である停止不可設備を特定する。ここでは、停止不可設備は、例えば、変圧器TR2である。即ち、この電力系統は冗長性を有し、変圧器TR1と変圧器TR2との一方が停止しても、他方を動作させることで、この電力系統の動作を維持させることができる。よって、変圧器TR1が停止設備になったとき、変圧器TR2は、停止不可設備になる。図11では、停止不可設備について、矩形領域Ar2内の設備として示している。
【0033】
そして、同調停止設備抽出プログラム101は、停止設備に接続する設備から順に辿り、停止不可設備を避けるようにして、同調停止設備を抽出していく。例えば、変圧器TR1の下流側で接続する遮断器CB5は、変圧器TR1とともに停止可能であり、同調停止設備に該当する。これを図11では、矩形領域Ar3内の同調停止設備(グループ1)として示している。さらに、同調停止設備抽出プログラム101は、遮断器CB5の下流側で接続する設備であって、遮断器CB5とともに停止可能である設備を同調停止設備として抽出する。これにより抽出された同調停止設備を、図11では、矩形領域Ar4内の同調停止設備(グループ2A)として示している。そしてさらに、同調停止設備抽出プログラム101は、この処理を繰り返す。これにより抽出された同調停止設備を、図11では、矩形領域Ar5内の同調停止設備(グループ2B)として示している。
【0034】
このように、同調停止設備抽出プログラム101は、同調停止設備を、停止要請データ203および設備を停止できない期間を含む停止制約データ204に基づき抽出する。具体的には、図11で説明したように、同調停止設備抽出プログラム101は、停止設備に接続する設備を順に辿り、停止制約データ204に基づき停止設備とともに停止させることができる設備を選択することで同調停止設備を抽出する。このとき、同調停止設備抽出プログラム101は、停止設備に接続し、停止設備とともに停止させることができる設備を第1のグループ(この場合、グループ1)に属する同調停止設備とする。同調停止設備抽出プログラム101は、さらに第1のグループに属する同調停止設備に接続し、ともに停止させることができる設備を第2のグループ(この場合、グループ2A)に属する同調停止設備とする。そして、同調停止設備抽出プログラム101は、さらにこれを繰り返して次のグループ(この場合、グループ2B)に属する同調停止設備を探索することで、同調停止設備を抽出する。
【0035】
図12は、同調停止設備抽出プログラム101の動作を説明したフローチャートである。
まず、同調停止設備抽出プログラム101は、停止要請データ203を基に、停止設備を選択する(ステップ101S1)。同調停止設備抽出プログラム101は、選択した停止設備を、(設備(1))とする。
次に、同調停止設備抽出プログラム101は、選択している設備(1)と接続する設備(2)を探索する(ステップ101S2)。選択している設備(1)は、ステップ101S1の次にステップ101S2を実行する場合、停止設備である。また、選択している設備(1)は、ステップ101S8の次にステップ101S2を実行する場合は、ステップ101S8で設備(2)としていた設備である。
そして、同調停止設備抽出プログラム101は、設備(2)が停止不可設備ではないかどうかを判断する(ステップ101S3)。
その結果、設備(2)が停止不可設備ではない場合(ステップ101S3でYES)、同調停止設備抽出プログラム101は、設備(2)が分類済みでないかどうかを判断する(ステップ101S4)。
そして、分類済みでない場合(ステップ101S4でYES)、同調停止設備抽出プログラム101は、設備(1)と設備(2)とが直列であるかどうかを判断する(ステップ101S5)。
その結果、設備(1)と設備(2)とが直列である場合(ステップ101S5でYES)、同調停止設備抽出プログラム101は、設備(1)と設備(2)とを同じグループに分類する(ステップ101S6)。これは、図11では、グループ1、グループ2A、グループ2Bで例示したグループである。
【0036】
対して、設備(1)と設備(2)とが直列ではない場合(ステップ101S5でNO)、同調停止設備抽出プログラム101は、設備(1)と設備(2)とを異なるグループに分類する(ステップ101S7)。
ステップ101S6およびステップ101S7の後は、設備(2)を選択し(ステップS101S8)、ステップ101S2に戻る。
一方、ステップ101S3で、設備(2)が停止不可設備である場合(ステップ101S3でNo)、および、ステップ101S4で、設備(2)が分類済みである場合(ステップ101S4でNo)、分類された各グループを同調停止設備として抽出し(ステップS101S9)、処理を終了する。
【0037】
図13(a)~(b)は、同時停止候補生成プログラム102が生成する組合せ候補について示した図である。
ここでは、図4で挙げた電力系統を例に取り説明している。図13(a)では、この電力系統において、停止設備が、送電線であるLine10、13、14、3であることを示している。
同時停止候補生成プログラム102は、組合せ候補を、作業のために停止設備を停止させる要請がある時期である停止要請時期および停止設備を停止させる期間を含む停止要請データ203に基づき決める。具体的には、同時停止候補生成プログラム102は、まず、複数の停止設備について、停止要請データ203を基に停止要請時期および連続停止期間を抽出する。停止要請時期は、図13(a)に示すように、例えば、Line10について4~6月、Line13について4~9月、Line14について、7~9月、Line3について7~12月となる。Line10、13、14、3は、この時期の何れかで設備を停止し、保守点検を行う必要がある。
【0038】
そして、これらを表としたものが、図13(b)であり、第1行~第4行に、Line10、13、14、3の停止要請時期が示されている。同時停止候補生成プログラム102は、停止要請時期が重複する停止設備の組合せを生成する。ここでは、これを図13(b)の表の第5行~第9行に示している。例えば、停止要請時期は、Line10については4~6月であり、Line13について4~9月である。よって、停止要請時期は、4~6月で重複し、これらは同時に停止できる停止設備である。よって、これらは、同時に停止する停止設備の組合せ候補とすることができ、図13(b)の表の第5行にLine10、13を同時に停止できる期間として4~6月を示している。同様にして、同時停止候補生成プログラム102は、図13(b)の表の第6行~第9行に示すように、Line13、14、Line13、3、Line14、3、Line13、14、3の組合せとそれぞれが同時に停止できる期間を生成する。これらは、全て7~9月となる。また、これらの組合せ候補を、以後、「停止パターン」と言うことがある。なおここで、「同時に停止(同時停止)」とは、時間的に厳密に同じ時に停止することを意味するものではなく、ともに停止するという意味である。このように、同時停止候補生成プログラム102は、停止要請時期が重複する停止設備を組合せ候補とする。
【0039】
図14は、同時停止候補生成プログラム102の動作を説明したフローチャートである。
まず、同時停止候補生成プログラム102は、停止設備の停止時期を選択する(ステップ102S1)。
次に、同時停止候補生成プログラム102は、選択している時期に同時停止させる可能性のある停止設備の組合せを抽出する(ステップ102S2)。
そして、同時停止候補生成プログラム102は、停止時期について、全期間の選択が終了したかどうかを判断する(ステップ102S3)。
その結果、全期間の選択が終了した場合(ステップ102S3でYES)、一連の処理を終了する。
対いて、全期間の選択が終了していない場合(ステップ102S3でNO)、ステップ102S1に戻る。
【0040】
図15(a)~(b)は、将来断面生成プログラム103が生成する将来断面について示した図である。
ここでは、図13(a)で示すLine10、13をともに停止させる停止パターンに対し、図13(b)で示す将来断面を生成したときの概念図を示している。即ち、将来断面生成プログラム103は、Line10、13の停止要請時期である4~6月について、系統設備データ201からわかる系統構成等を基に、所定の時間毎の系統断面を生成する。所定の時間毎は、例えば、1時間毎である。
【0041】
図16は、将来断面生成プログラム103の動作を説明したフローチャートである。
まず、将来断面生成プログラム103は、同時停止候補生成プログラム102が生成した停止パターンのうち1つを選択する(ステップ103S1)。
次に、将来断面生成プログラム103は、選択している停止パターンの停止可能期間から1つの時刻を選択する(ステップ103S2)。
さらに、将来断面生成プログラム103は、選択した停止パターンに含まれる各停止設備に対する同調停止設備を選択する(ステップ103S3)。
そして、将来断面生成プログラム103は、停止設備や同調停止設備を含む設備を停止させたときの系統断面を生成する(ステップ103S4)。
次に、将来断面生成プログラム103は、停止要請時期中の全時刻に対して選択が終了したかどうかを判断する(ステップ103S5)。
その結果、停止要請時期中の全時刻に対して選択が終了している場合(ステップ103S5でYES)、将来断面生成プログラム103は、全ての停止パターンの選択が終了しているかどうかを判断する(ステップ103S6)。
そして、全ての停止パターンの選択が終了している場合(ステップ103S6でYES)、一連の処理を終了する。
また、ステップ103S5で、停止要請時期中の全時刻に対して選択が終了していない場合(ステップ103S5でNO)、ステップ103S2に戻る。
さらに、ステップ103S6で、全ての停止パターンの選択が終了していない場合(ステップ103S6でNO)、ステップ103S1に戻る。
【0042】
図17(a)は、信頼度解析プログラム104が解析する信頼度について示した図である。
信頼度解析プログラム104は、将来断面生成プログラム103が生成した将来断面毎に、対象となる電力系統の信頼度を求める。信頼度は、例えば、設備負荷率や電圧逸脱率等により表すことができる。図17(a)は、横軸が時間を表し、縦軸が信頼度を表す。そして、図17(a)は、1つの停止パターンに対する信頼度の時間推移を示している。このとき信頼度に対し、予め定められた閾値Lを設け、この閾値Lを超えた場合、信頼度が要求する水準に達していないと判断できる。
【0043】
図17(b)は、経済性評価プログラム105が評価するコストについて示した図である。
経済性評価プログラム105は、将来断面生成プログラム103が生成した停止パターン毎に、対象となる電力系統のコストを求める。コストは、例えば、保守コストや運用コスト等により表すことができる。図17(b)は、横軸が時間を表し、縦軸がコストを表す。そして、図17(b)は、1つの停止パターンに対するコストの時間推移を示している。
【0044】
図18は、信頼度解析プログラム104の動作を説明したフローチャートである。
まず、信頼度解析プログラム104は、同時停止候補生成プログラム102が生成した停止パターンのうち1つを選択する(ステップ104S1)。
次に、信頼度解析プログラム104は、選択している停止パターンの将来断面を選択する(ステップ104S2)。
さらに、信頼度解析プログラム104は、選択している将来断面について所定の信頼度項目を評価する(ステップ104S3)。所定の信頼度項目は、例えば、上述した設備負荷率や電圧逸脱率である。
次に、信頼度解析プログラム104は、全ての将来断面に対して選択が終了したかどうかを判断する(ステップ104S4)。
その結果、全ての将来断面に対して選択が終了している場合(ステップ104S4でYES)、信頼度解析プログラム104は、全ての停止パターンの選択が終了しているかどうかを判断する(ステップ104S5)。
そして、全ての停止パターンの選択が終了している場合(ステップ104S5でYES)、一連の処理を終了する。
また、ステップ104S4で、停止要請時期中の全時刻に対して選択が終了していない場合(ステップ104S4でNO)、ステップ104S2に戻る。
さらに、ステップ104S5で、全ての停止パターンの選択が終了していない場合(ステップ104S5でNO)、ステップ104S1に戻る。
【0045】
図19は、経済性評価プログラム105の動作を説明したフローチャートである。
まず、経済性評価プログラム105は、同時停止候補生成プログラム102が生成した停止パターンのうち1つを選択する(ステップ105S1)。
次に、経済性評価プログラム105は、選択している停止パターンの将来断面を選択する(ステップ105S2)。
さらに、経済性評価プログラム105は、選択している将来断面について保守コストを評価する(ステップ105S3)。保守コストは、例えば、図9の設備保守コスト205A2である。
そして、経済性評価プログラム105は、選択している将来断面について運用コストを評価する(ステップ105S4)。運用コストは、例えば、送電損失コストや出力抑制コスト等とする。
次に、経済性評価プログラム105は、全ての将来断面に対して選択が終了したかどうかを判断する(ステップ105S5)。
その結果、全ての将来断面に対して選択が終了している場合(ステップ105S5でYES)、経済性評価プログラム105は、全ての停止パターンの選択が終了しているかどうかを判断する(ステップ105S6)。
そして、全ての停止パターンの選択が終了している場合(ステップ105S6でYES)、一連の処理を終了する。
また、ステップ105S5で、停止要請時期中の全時刻に対して選択が終了していない場合(ステップ105S5でNO)、ステップ105S2に戻る。
さらに、ステップ105S6で、全ての停止パターンの選択が終了していない場合(ステップ105S6でNO)、ステップ105S1に戻る。
【0046】
図20は、作業停止計画生成プログラム106が、作業停止計画を作成する方法を説明した図である。
ここでは、作業停止計画生成プログラム106は、まず停止パターンのそれぞれに対し、信頼度が予め定められた基準を満たす将来断面を抽出する。図20では、この基準を満たさない将来断面について、「所定の信頼度基準を充足せず設備を停止できない期間」として図示しており、作業停止計画生成プログラム106は、信頼度が予め定められた基準を満たす将来断面は、この期間以外の期間となる。
そして、作業停止計画生成プログラム106は、信頼度が予め定められた基準を満たす将来断面の中から停止設備を停止させる期間のコストが最小となる将来断面を選択する。図20では、これを、「コストが最小になる停止期間」として図示している。
さらに、作業停止計画生成プログラム106は、選択した将来断面を組合せることで、作業停止計画を作成する。図20では、「コストが最小になる停止期間」の中で、組合せの対象となった将来断面を太枠で囲った期間として図示している。この場合、Line10、13についてともに設備を停止し、5月初めを停止期間とする。また、Line14、3についてともに設備を停止し、8月下旬を停止期間とする。これにより、Line10、13、14、3についての全ての設備停止期間が決まり、作業停止計画を生成できる。なお、図示はしていないが、Line10、13、14、3のそれぞれについての同調停止設備も同様に設備を停止する。
【0047】
図21は、作業停止計画生成プログラム106の動作を説明したフローチャートである。
まず、作業停止計画生成プログラム106は、所定の信頼度を充足する将来断面を全て抽出する(ステップ106S1)。
次に、作業停止計画生成プログラム106は、停止パターン毎に停止時間分のコストが最小となる将来断面群を選択する(ステップ106S2)。
そして、作業停止計画生成プログラム106は、選択した将来断面群を組合せて作業停止計画を生成する(ステップ106S3)。
次に、作業停止計画生成プログラム106は、生成した作業停止計画が実際に実行可能かどうかを判断する(ステップ106S4)。
その結果、実行可能でない場合(ステップ106S5でNO)、選択している将来断面を母集団から除外する(ステップ106S5)。実行可能でない場合とは、例えば、作業を行う人員の調整ができない、設備の保守点検に要する部材の調達ができない、などが該当する。
対して、実行可能である場合(ステップ106S5でYES)、実行可能な作業停止計画のうちコストが最小となる作業停止計画を採用する(ステップ106S5)。
【0048】
作業停止計画生成プログラム106が作成した作業停止計画は、図2で説明したように、入出力装置2の出力部60で表示し、保守点検の対象となる電力系統の管理者等に提示することができる。
図22は、作業停止計画を出力部60にて表示した画面Gを示す図である。
図示する画面Gでは、上側に、停止設備、およびこれらの停止設備の停止要請時期や停止期間を表示している。また、画面Gでは、左下側に、対象となる電力系統の全体構成を表示するとともに、停止設備を表示する。さらに、画面Gでは、右下側に、停止設備や同時停止設備の詳細図を表示する。
【0049】
以上詳述した作業停止計画立案システム1は、例えば、電力系統を所有する管理者等から、依頼を受け、作業停止計画を立案し、これを送るような形態でも適用が可能である。例えば、作業停止計画立案システム1をクラウドサーバに実装し、クラウドサービスとして提供することもできる。この場合、作業停止計画立案システム1は、作業停止計画を作成する依頼を受け付ける。作業停止計画立案システム1は、作業停止計画を立案し、入出力装置2の出力部60は、作業停止計画立案システム1が作成した作業停止計画を依頼元に対し出力する。この場合、出力部60は、作業停止計画を出力する通信インタフェースとして機能する。
【0050】
以上詳述した作業停止計画立案システム1によれば、停止要請に応じて、電力系統の信頼性を維持しながら経済合理的な作業停止計画が立案可能になる。
【0051】
<作業停止計画立案方法の説明>
ここで、作業停止計画立案システム1が行う処理は、プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、作業を行うために停止させる設備である停止設備を組合せた組合せ候補のそれぞれについて、停止設備と停止設備に同調して停止させる設備である同調停止設備とを停止させたときの、将来断面を生成し、将来断面に基づき、停止設備および同調停止設備の停止計画である作業停止計画を作成する作業停止計画立案方法であると捉えることができる。
【0052】
<プログラムの説明>
また、以上説明を行った作業停止計画立案システム1が行う処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。即ち、作業停止計画立案システム1に設けられたコンピュータ内部の中央処理装置10が、上述した各機能を実現するプログラムを、補助記憶装置30から主記憶装置20にロードして実行し、これらの各機能を実現させる。
【0053】
よって、本実施の形態で、作業停止計画立案システム1が行う処理は、コンピュータに、作業を行うために停止させる設備である停止設備を組合せた組合せ候補のそれぞれについて、停止設備と停止設備に同調して停止させる設備である同調停止設備とを停止させたときの、将来断面を生成する機能と、将来断面に基づき、停止設備および同調停止設備の停止計画である作業停止計画を作成する機能と、を実現させるためのプログラムとして捉えることもできる。
【0054】
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0055】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0056】
1…作業停止計画立案システム、2…入出力装置、10…中央処理装置、20…主記憶装置、30…補助記憶装置、101…同調停止設備抽出プログラム、102…同時停止候補生成プログラム、103…将来断面生成プログラム、104…信頼度解析プログラム、105…経済性評価プログラム、106…作業停止計画生成プログラム、201…系統設備データ、202…需要想定データ、203…停止要請データ、204…停止制約データ、205…費用単価データ、206…作業停止計画データ、S…電力系統保守システム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22