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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180122
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】検査支援装置及び検査支援方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G01B11/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099586
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】椛島 治樹
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA30
2F065BB01
2F065BB17
2F065CC12
2F065DD06
2F065FF46
2F065GG24
2F065HH12
2F065JJ03
2F065JJ08
2F065JJ26
2F065LL22
2F065PP22
2F065QQ03
(57)【要約】
【課題】金型に転写された付着剤の膜厚を効率良く計測することが課題。
【解決手段】検査支援装置20は、2枚の金型60を圧着させて部品のプレス成形を行う場合に、1枚の金型60に赤色の付着剤30(例えば、レッドタッチスプレー)を塗布し、金型60を開閉させる。そして、付着剤30を塗布しなかったもう1枚の金型60に転写された付着剤30に対し、光源装置24から白色光Wを照射し、金型60に転写された赤色の付着剤30の膜厚に基づいた反射光を、青色の光成分を透過させる青色透過フィルタ23bを透過させ、青色の反射光Bの画像を撮像部23aで撮像し、画像の各画素の画素値に基づいて膜厚を算定し、さらに膜厚からカラーマップ25bを参照してカラー画像を生成し、表示制御するようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の撮像部により計測対象となる金型の画像を撮像し、撮像した金型に付着した付着剤の膜厚を所定の表示部に表示制御する検査支援装置であって、
前記付着剤が付着された金型に向けて白色光を照射する光源装置と、
前記金型の表面で反射した特定の波長帯域の光を透過させるフィルタと、
前記フィルタを透過した前記特定の波長帯域の光に基づく画像を撮像する撮像装置と、
前記画像を形成する各画素の画素値に基づいて、各画素に対応する膜厚を算定する膜厚算定部と
を備えたことを特徴とする検査支援装置。
【請求項2】
前記付着剤は、
赤色の付着剤であることを特徴とする請求項1に記載の検査支援装置。
【請求項3】
前記フィルタは、
青色の波長帯域の青色光を透過させるフィルタであることを特徴とする請求項2に記載の検査支援装置。
【請求項4】
前記フィルタは、
前記付着剤の表面で反射した赤色光と、前記付着剤を透過して前記金型の表面で反射した緑色光とを遮断することを特徴とする請求項3に記載の検査支援装置。
【請求項5】
前記膜厚算定部は、
前記撮像装置で撮像された画像を形成する各画素の画素値に基づいて膜厚を算定することを特徴とする請求項1に記載の検査支援装置。
【請求項6】
前記膜厚算定部により算定された各画素に対応する膜厚に応じた色付けを行った画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部により生成された画像を所定の表示部に表示制御する表示制御部と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の検査支援装置。
【請求項7】
所定の撮像部により計測対象となる金型の画像を撮像し、撮像した金型に付着した付着剤の膜厚を所定の表示部に表示制御する検査支援装置における検査支援方法であって、
前記付着剤が付着された金型に向けて光源装置から白色光を照射する照射工程と、
前記金型の表面で反射した反射光のうちフィルタを介して透過した特定の波長帯域の光に基づく画像を撮像する撮像工程と、
前記画像を形成する各画素の画素値に基づいて、各画素に対応する膜厚を算定する膜厚算定工程と
を含むことを特徴とする検査支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型に転写された付着剤からなる膜の厚み(以下、単に「膜厚」と言う)を効率良く計測することができる検査支援装置及び検査支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のバンパー等は、金型を用いたプレス加工により金属プレートを変形して製造されることが多い。ここで、上金型と下金型との圧着面の面圧を均一にするための従来技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、金型の合わせ面上に任意厚さの高分子フィルムとその上面に粘着剤とを挿入し、金型を一旦閉じた後、開き、合わせ面同士の接触状態を、高分子フィルムの移着によって定量化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-314606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のものは、使用する高分子フィルムの厚みが適正なものでなければならない。例えば、金型の合わせ面の隙間が0.03mmである場合に、0.01mmの厚みの高分子フィルムを用いたとしても、高分子フィルムの移着が起こらず、他の厚みの高分子フィルムを用いて同様の処理を繰り返さねばならないという問題が生ずる。
【0006】
本発明は、上記従来技術による問題点(課題)を解決するためになされたものであって、金型に転写された付着剤の膜厚を効率良く計測することができる検査支援装置及び検査支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、所定の撮像部により計測対象となる金型の画像を撮像し、撮像した金型に付着した付着剤の膜厚を所定の表示部に表示制御する検査支援装置であって、前記付着剤が付着された金型に向けて白色光を照射する光源装置と、前記金型の表面で反射した特定の波長帯域の光を透過させるフィルタと、前記フィルタを透過した前記特定の波長帯域の光に基づく画像を撮像する撮像装置と、前記画像を形成する各画素の画素値に基づいて、各画素に対応する膜厚を算定する膜厚算定部とを備えた。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記付着剤は、赤色の付着剤である。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記フィルタは、青色の波長帯域の青色光を透過させるフィルタである。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記フィルタは、前記付着剤の表面で反射した赤色光と、前記付着剤を透過して前記金型の表面で反射した緑色光とを遮断する。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記膜厚算定部は、前記撮像装置で撮像された画像を形成する各画素の画素値に基づいて膜厚を算定する。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記膜厚算定部により算定された各画素に対応する膜厚に応じた色付けを行った画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された画像を所定の表示部に表示制御する表示制御部とをさらに備えた。
【0013】
また、本発明は、所定の撮像部により計測対象となる金型の画像を撮像し、撮像した金型に付着した付着剤の膜厚を所定の表示部に表示制御する検査支援装置における検査支援方法であって、前記付着剤が付着された金型に向けて光源装置から白色光を照射する照射工程と、前記金型の表面で反射した反射光のうちフィルタを介して透過した特定の波長帯域の光に基づく画像を撮像する撮像工程と、前記画像を形成する各画素の画素値に基づいて、各画素に対応する膜厚を算定する膜厚算定工程とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、金型に転写された付着剤の膜厚を効率良く計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る検査支援装置の概要を示す図である。
図2図2は、図1に示した検査支援装置の構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、膜厚に基づく画素値を説明する説明図である。
図4図4は、基準厚データの一例を示す図である。
図5図5は、カラーマップの一例を示す図である。
図6図6は、図2に示した検査支援装置の処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、図2に示した検査支援装置の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る検査支援装置及び検査支援方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
<検査支援装置20の概要>
本実施形態に係る検査支援装置20の概要について説明する。図1は、実施形態に係る検査支援装置20の概要を示す図である。本実施形態に係る検査支援装置20は、2枚の金型60を圧着させて部品のプレス成形を行う場合に、1枚の金型60に赤色の付着剤30(例えば、レッドタッチスプレー)を塗布し、金型60を開閉させる。そして、付着剤30を塗布しなかったもう1枚の金型60に転写された付着剤30の膜厚を、撮像装置23により金型60の画像を撮像し、画像を形成する各画素の画素値に基づいて膜厚を算定することにより、金型60に転写された付着剤30の膜厚を効率良く計測することができる装置である。
【0018】
図1(a)に示すように、検査支援装置20は、光源装置24から金型60に白色光を照射する(S1)。金型60には、別の金型60に付着剤30を塗布し、2枚の金型60を開閉させ転写された付着剤30が付着している。そして、検査支援装置20は、撮像装置23により金型60の画像を撮像する(S2)。なお、撮像装置23は、撮像部23aと青色の光を透過させる青色透過フィルタ23bを有し、撮像部23aは、光源装置24から照射された白色光のうち、青色透過フィルタ23bを透過した青色の波長帯域の反射光の画像を撮像することとなる。
【0019】
その後、検査支援装置20は、画像を形成する各画素の画素値から膜厚を算定する(S3)。そして、検査支援装置20は、算定された膜厚から後述するカラーマップを参照し、RGBコードを特定する(S4)。その後、検査支援装置20は、金型60に転写された付着剤30の膜厚をカラー画像として表示部に表示制御する(S5)。
【0020】
また、本実施形態に係る検査支援装置20は、図1(b)に示すように、光源装置24から白色光Wを金型60に照射するが、付着剤30は赤色であるため、白色光Wに含まれる赤色の反射光Rは、付着剤30の表面で反射されて青色透過フィルタ23bに入射される。ここで赤色の反射光Rは青色の波長帯域以外の反射光であるため、青色透過フィルタ23bで遮断される。また、白色光Wに含まれる緑色の波長帯域の照射光Gは、赤色の付着剤30の膜で吸収される。なお、ここでは、緑色の波長帯域の照射光Gは、付着剤30の膜で吸収される場合を説明したが、膜厚が薄い場合は、金型60の表面で反射し、青色透過フィルタ23bに入射するが、赤色の反射光Rと同様に、青色透過フィルタ23bにより遮断される。
【0021】
一方、白色光Wに含まれる青色の波長帯域の反射光Bも、赤色の付着剤30の膜で吸収されるが、青色の波長帯域の反射光Bの一部は、金型60の表面で反射し、青色透過フィルタ23bに入射される。ここで、青色透過フィルタ23bは、青色の波長帯域の反射光Bを透過させるため、青色透過フィルタ23bの後段に配設された撮像部23aに入力され、赤色の付着剤30が転写された金型60からの青色の波長帯域の反射光Bの画像を撮像することができる。
【0022】
このように、本発明の検査支援装置20は、2枚の金型60のうち、1枚の金型60に赤色の付着剤30を塗布し、金型60を開閉させる。そして、付着剤30を塗布しなかったもう1枚の金型60に転写された付着剤30の膜厚を、撮像装置23により金型60の画像を撮像し、画像を形成する各画素の画素値に基づいて膜厚を算定することにより、金型60に転写された付着剤30の膜厚を効率良く計測することができる。
【0023】
<検査支援装置20の構成>
次に、図1に示した検査支援装置20の構成を説明する。図2は、図1に示した検査支援装置20の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、検査支援装置20は、記憶部25と、制御部26とを有し、表示部21と、入力部22と、撮像装置23と、光源装置24とが接続されている。表示部21は、各種情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示デバイスである。入力部22は、マウスやキーボードなどの入力デバイスである。
【0024】
撮像装置23は、撮像部23a及び青色透過フィルタ23bを有する。撮像部23aは、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)などのイメージセンサを用いた可視光の複数の波長帯域の光を撮像可能なカメラである。ここでは、撮像部23aはモノクロカメラの場合について説明するが、カラーカメラであってもよい。
【0025】
青色透過フィルタ23bは、白色光の波長帯域の光のうち、青色の波長帯域の光を透過させ、それ以外の波長帯域の光を遮断する光学フィルタである。青色透過フィルタ23bは、光学ガラスや色ガラスに光学薄膜を施し実現している。
【0026】
光源装置24は、LED光源24aを有する。LED光源24aは、白色光を金型60に照射する。
【0027】
記憶部25は、ハードディスク装置や不揮発性メモリなどの記憶デバイスであり、基準厚データ25aと、カラーマップ25bと、画像データ25cとを記憶する。基準厚データ25aは、撮像部23aで撮像した画像の各画素の画素値と付着剤30の膜厚を対応付けたデータである。カラーマップ25bは、付着剤30の膜厚とRGBのカラーコードとを対応付けたデータである。画像データ25cは、LED光源24aから白色光を照射し、金型60に付着した付着剤30から反射された反射光が青色透過フィルタ23bを透過した青色の光を撮像部23aで撮像された画像データである。
【0028】
制御部26は、検査支援装置20の全体を制御する制御部であり、膜厚データ取得部26aと、光源制御部26bと、撮像処理部26cと、膜厚算定部26dと、画像生成部26eと、表示制御部26fとを有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、膜厚データ取得部26aと、光源制御部26bと、撮像処理部26cと、膜厚算定部26dと、画像生成部26eと、表示制御部26fとにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0029】
膜厚データ取得部26aは、撮像装置23を用いて付着剤30の膜厚が分かっている標準サンプルを撮像した画像から得られる各画素の画素値のデータを取得し、付着剤30の膜厚と対応付けて基準厚データ25aとして記憶部25に記憶する処理部である。
【0030】
光源制御部26bは、白色光を照射する光源装置24のLED光源24aのオン/オフ制御を行う処理部である。撮像処理部26cは、光源装置24から白色光が照射された後に、付着剤30の付着した金型60の画像を撮像装置23により撮像させられるように制御する処理部である。撮像処理部26cにより撮像された画像は、画像データ25cとして記憶部25に記憶する。
【0031】
膜厚算定部26dは、撮像処理部26cにより取得した画像データ25cの各画素の画素値と基準厚データ25aに基づいて、各画素における膜厚を算定する処理部である。画像生成部26eは、カラーマップ25bに基づいて、膜厚算定部26dにおいて算定された膜厚からRGBコードの特定を行う処理部である。表示制御部26fは、画像生成部26eで生成されたカラー画像データを所定の表示部21に表示制御する処理部である。
【0032】
<膜厚と画素値の関係について>
次に、付着剤30の膜厚と画素値の関係について説明する。図3は、膜厚に基づく画素値を説明する説明図である。なお、ここでは、付着剤30は、赤色のレッドタッチスプレーを用いた場合を例に説明する。図3(a)に示すように、金型60に白色光Wを照射すると、照射された白色光Wは、金型60に付着した付着剤30の膜で吸収される。ここで、付着剤30が赤色であるため、赤色の吸収波長の青色の波長成分は、膜厚によって、その吸収量が変化する。
【0033】
付着剤30の膜厚が大の場合には、照射された白色光Wの青色の波長成分は、付着剤30の膜の中で吸収される量が大きくなるため、青色の波長成分の光の反射光B1に基づいて撮像された画像の画素値は、小さくなる。一方、付着剤30の膜厚が小の場合には、付着剤30の膜の中で吸収される量が小さいため、青色の波長成分の光の反射光B2に基づいて撮像された画像の画素値は、大きくなる。
【0034】
したがって、付着剤30の膜厚と青色の反射光の画素値との関係は、図3(b)に示すように、画素値が小さいほど膜厚は厚く、画素値が大きいほど膜厚は薄くなる。なお、ここでは反射光に基づいて撮像された画像の画素値と膜厚との関係を階段状の関数で表現したが、かかる特性は一例であり、階段状の関数でなくともよい。
【0035】
<基準厚データ25aの一例について>
次に、基準厚データ25aについて説明する。図4は、基準厚データ25aの一例を示す図である。図4に示すように、基準厚データ25aは、画素値「225-255」では、膜厚「0.00mm」、画素値「195-225」では、膜厚「0.01mm」、画素値「165-195」では、膜厚「0.02mm」が対応付けられている。
【0036】
また、画素値「135-165」では、膜厚「0.03mm」、画素値「105-135」では、膜厚「0.04mm」、画素値「75-105」では、膜厚「0.05mm」が対応付けられている。
【0037】
また、画素値「45-75」では、膜厚「0.06mm」、画素値「0-45」では、膜厚「0.07mm」が対応付けられている。
【0038】
<カラーマップ25bの一例について>
次に、カラーマップ25bについて説明する。図5は、カラーマップ25bの一例を示す図である。図5に示すように、カラーマップ25bは、膜厚「0.00mm」では、RGBコード「0,0,255」、膜厚「0.01mm」では、RGBコード「0,255,255」、膜厚「0.02mm」では、RGBコード「154,205,50」が対応付けられている。
【0039】
また、膜厚「0.03mm」では、RGBコード「0,255,0」、膜厚「0.04mm」では、RGBコード「255,0,255」、膜厚「0.05mm」では、RGBコード「255,255,0」、膜厚「0.06mm」では、RGBコード「255,165,0」、膜厚「0.07mm」では、RGBコード「255,0,0」が対応付けられている。
【0040】
<検査支援装置20の処理手順について>
次に、検査支援装置20の処理手順について説明する。図6は、図2に示した検査支援装置20の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、検査支援装置20は、光源装置24のLED光源24aをオンにし、白色光を照射する(ステップS101)。そして、検査支援装置20は、撮像装置23により金型60の青色の波長帯域の反射光の画像を撮像する(ステップS102)。
【0041】
その後、検査支援装置20は、撮像した画像を形成する各画素の画素値に基づいて膜厚を算定する(ステップS103)。そして、検査支援装置20は、カラーマップ25bを参照し、膜厚からRGBコードを特定する(ステップS104)。その後、検査支援装置20は、所定の表示部21に画像の表示制御を行い(ステップS105)、一連の処理を終了する。
【0042】
<膜厚の表示制御>
次に、検査支援装置20の膜厚の表示制御について説明する。図7は、図2に示した検査支援装置20の表示の一例を示す図である。図7(a)に示すように、検査支援装置20は、光源装置24のLED光源24aをオンにし、白色光Wを金型60に照射し、撮像装置23は、金型60からの青色成分の反射光に基づいて画像を撮像する。
【0043】
撮像された画像は、金型60からの反射光強度に基づいて画像を撮像する。具体的には、反射光強度が高い画素の画素値は高く、反射光強度が低い画素の画素値は低くなる。そして、検査支援装置20は、基準厚データ25aを参照し、撮像された画像の各画素の画素値に基づいて膜厚を算定した後、カラーマップ25bを参照し、膜厚からカラー画像を生成し、表示制御する(図7(b))。
【0044】
上述してきたように、本実施形態では、検査支援装置20は、光源装置24から白色光Wを照射し、金型60に転写された赤色の付着剤30の膜厚に基づいた反射光に含まれる青色の波長帯域の反射光を透過させる青色透過フィルタ23bを透過した青色の波長帯域の反射光の画像を撮像部23aで撮像し、画像を形成する各画素の画素値に基づいて膜厚を算定し、さらに膜厚からカラーマップ25bを参照してカラー画像を生成し、表示制御するようにしたため、膜厚を効率よく可視化することができる。
【0045】
なお、上記実施形態では、付着剤30は赤色である場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、赤色以外の付着剤を用いてもよい。また、付着剤30が赤色以外である場合、フィルタ23bは青色以外の光を透過させるフィルタを用いてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、1枚の金型60に赤色の付着剤30を塗布し、金型60を開閉させた後に、付着剤30を塗布しなかったもう1枚の金型60に転写された付着剤30の膜厚を計測する場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、付着剤30を塗布した金型60の付着剤30の膜厚を計測してもよい。
【0047】
更に、1枚の金型60に赤色の付着剤30を塗布し、該付着剤30の膜厚を計測し、金型60を開閉させた後に、付着剤30を塗布した金型60の付着剤30の膜厚を再度計測し、金型60を開閉する前と、後との付着剤30の膜厚の差分を算出することにより転写された付着剤30の膜厚を算定してもよい。
【0048】
上記の各実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る検査支援装置及び検査支援方法は、金型に転写された付着剤の膜厚を効率良く計測する場合に適している。
【符号の説明】
【0050】
20 検査支援装置
21 表示部
22 入力部
23 撮像装置
23a 撮像部
23b 青色透過フィルタ
24 光源装置
24a LED光源
25 記憶部
25a 基準厚データ
25b カラーマップ
25c 画像データ
26 制御部
26a 膜厚データ取得部
26b 光源制御部
26c 撮像処理部
26d 膜厚算定部
26e 画像生成部
26f 表示制御部
30 付着剤
60 金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7