(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180130
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】多剤式毛髪化粧料及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/898 20060101AFI20241219BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241219BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/65
A61K8/02
A61K8/73
A61K8/41
A61K8/81
A61K8/86
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099601
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(72)【発明者】
【氏名】杉山 比奈子
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 祐希
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC242
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC582
4C083AC682
4C083AC692
4C083AC712
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD112
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD441
4C083AD442
4C083BB34
4C083CC33
4C083DD06
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
4C083FF05
(57)【要約】
【課題】優れたトリートメント作用を付与しながら、トリートメント後の毛髪の感触を従来に比べて軽くすることができる多剤式毛髪化粧料及びその使用方法を提供する。
【解決手段】本多剤式毛髪化粧料は、複数の異なる毛髪化粧料から構成された多剤式毛髪化粧料であって、前記毛髪化粧料のうちの少なくとも2種が、粘度250mPa・s以下の低粘度化粧料であることを特徴とする。本多剤式毛髪化粧料の使用方法は、上記多剤式毛髪化粧料の使用方法であって、前記低粘度化粧料を毛髪に対して連続して適用する低粘度化粧料適用工程を備えることを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なる毛髪化粧料から構成された多剤式毛髪化粧料であって、
前記毛髪化粧料のうちの少なくとも2種が、粘度250mPa・s以下の低粘度化粧料であることを特徴とする多剤式毛髪化粧料。
【請求項2】
前記低粘度化粧料を3種以上備える請求項1に記載の多剤式毛髪化粧料。
【請求項3】
前記低粘度化粧料のうちの1種がアニオン性成分を含み、
前記低粘度化粧料のうちの他の1種がカチオン性成分を含む請求項1に記載の多剤式毛髪化粧料。
【請求項4】
前記アニオン性成分が、ケラチン又はその加水分解物である請求項3に記載の多剤式毛髪化粧料。
【請求項5】
前記カチオン性成分が、カチオン化ポリマーである請求項3又は4に記載の多剤式毛髪化粧料。
【請求項6】
請求項1に記載の多剤式毛髪化粧料の使用方法であって、
前記低粘度化粧料を毛髪に対して連続して適用する低粘度化粧料適用工程を備えることを特徴とする多剤式毛髪化粧料の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多剤式毛髪化粧料及びその使用方法に関する。更に詳しくは、2種以上の低粘度化粧料を含んだ多剤式毛髪化粧料及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、毛髪に対するより高度なダメージケアへの要求が増している。毛髪ダメージは、例えば、洗毛によるダメージ、整毛によるダメージ、ヘアドライヤーによるダメージ、紫外線に曝されることによるダメージ、毛髪に対する脱色、染毛、脱染等の処理による化学処理によるダメージなど多岐にわたる。このようなダメージを受ける頻度は、昨今、増加傾向にあり、この傾向に伴いダメージケアに対する要求も高まっている。このように高度なトリートメント作用の発揮を目的として利用される毛髪化粧料は、クリーム剤型と称される剤型で利用される。即ち、粘度が高くクリーム性状とされた毛髪化粧料である。このような技術は、下記特許文献1に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、毛髪のコンディショニング効果に優れ、塗布時の伸ばしやすさが良好であり、製剤としての安定性を有するコンディショナー組成物の提供(特許文献1[0006])を目的として、(A)アミドアミン型界面活性剤、(B)モノアルキル4級アンモニウム塩型界面活性剤、(C)炭素数16~22の直鎖の高級アルコール、(D)動粘度400万mm2/s以上の高重合ジメチルシリコーン、(E)アミノ変性シリコーン、及び(F)ポリエーテル変性シリコーンを、所定範囲の質量比(A/B)、合計質量(D+E+F)、質量比[D/(E+F)]で含んだコンディショナー組成物(特許文献1[請求項1])を開示している。そして、その性状は、25℃で、1Pa・s~20Pa・sが好ましいことが記載されている(特許文献1[0048])。
【0005】
上述した毛髪のダメージケアを実現する手法としては、複数種類の毛髪化粧料を組み合わせて、高度なトリートメント作用を付与する多剤式毛髪化粧料が存在する。このような多剤式毛髪化粧料では、クリーム剤型の毛髪化粧料を複数利用すると、現在の市場の要求からすると、毛髪の感触が重くなり過ぎる傾向がある。即ち、昨今、毛髪の感触が重くならず、それでいて、高度なトリートメント作用が得られるという要求が生じている。一方で、低粘度な毛髪化粧料の利用は、トリートメント効果のなかでも、まとまり感の感触効果を付与しにくいという課題があり、昨今の市場の要求に応え得る多剤式毛髪化粧料を調製することが困難になっているという実情があった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、優れたトリートメント作用を付与しながら、トリートメント後の毛髪の感触を従来に比べて軽くすることができる多剤式毛髪化粧料及びその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明には、以下が含まれる。
[1]複数の異なる毛髪化粧料から構成された多剤式毛髪化粧料であって、
前記毛髪化粧料のうちの少なくとも2種が、粘度250mPa・s以下の低粘度化粧料であることを特徴とする多剤式毛髪化粧料。
[2]前記低粘度化粧料を3種以上備える上記[1]に記載の多剤式毛髪化粧料。
[3]前記低粘度化粧料のうちの1種がアニオン性成分を含み、
前記低粘度化粧料のうちの他の1種がカチオン性成分を含む上記[1]又は上記[2]に記載の多剤式毛髪化粧料。
[4]前記アニオン性成分が、ケラチン又はその加水分解物である上記[3]に記載の多剤式毛髪化粧料。
[5]前記カチオン性成分が、カチオン化ポリマーである上記[3]又は[4]に記載の多剤式毛髪化粧料。
[6]上記[1]乃至[5]のうちのいずれかに記載の多剤式毛髪化粧料の使用方法であって、
前記低粘度化粧料を毛髪に対して連続して適用する低粘度化粧料適用工程を備えることを特徴とする多剤式毛髪化粧料の使用方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の多剤式毛髪化粧料によれば、優れたトリートメント作用を付与しながら、トリートメント後の毛髪の感触を従来に比べて軽くすることができる。
本発明の多剤式毛髪化粧料の使用方法によれば、優れたトリートメント作用を付与しながら、トリートメント後の毛髪の感触を従来に比べて軽くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について具体的な実施形態に基づき説明する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態はあくまでも説明のために便宜的に示す例示に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらに限定されるものではなく、目的、用途に応じて本発明を種々変更することができる。また、本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
【0010】
また、本明細書では、別途に明記しない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。「~」で結ばれた数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。数値範囲について複数の上限値及び/又は複数の下限値を示す場合、明示しない場合であっても少なくとも上限規定の最大値と下限規定の最小値とを組み合わせた数値範囲の規定が直接的に記載されているものとし、更に当該上限値のうち任意の上限値と当該下限値のうち任意の下限値とを組み合わせて得られる全ての数値範囲が本発明の実施形態に含まれるものとする。
更に、一部の化合物の名称に関して、日本化粧品工業連合会成分表示名称リストに準じた名称、又は、INCI(INCI:International Nomenclature of Cosmetic Ingredient:化粧品原料国際命名法)に準じた名称を用いる。
また、一部の化合物の名称に関して、ポリオキシアルキレン鎖について、ポリオキシエチレン鎖を「POE」、ポリオキシプロピレン鎖を「POP」と略記する場合がある。また、これらの略記に続くカッコ内の数字は、各々付加モル数を表す。更に、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を表す。
【0011】
[1]多剤式毛髪化粧料
本発明の多剤式毛髪化粧料は、複数の異なる毛髪化粧料から構成された多剤式毛髪化粧料である。そして、この多剤式毛髪化粧料を構成する毛髪化粧料のうちの少なくとも2種が、粘度250mPa・s以下の低粘度化粧料であることを特徴とする。
【0012】
(1)低粘度化粧料
低粘度化粧料は、250mPa・s以下の粘度を呈する毛髪化粧料である。多剤式毛髪化粧料を構成する低粘度化粧料として、2剤以上の250mPa・s以下の毛髪化粧料を利用することにより、毛髪の感触を重くすることなく、まとまり感の感触効果を付与することができる。この粘度の上限は、更に200mPa・s以下とすることができ、更に100mPa・s以下とすることができ、更に50mPa・s以下とすることができる。一方、粘度の下限も限定されないが、0.1mPa・s以上とすることができ、0.5mPa・s以上とすることができ、更に1mPa・s以上とすることができ、更に2mPa・s以上とすることができる。これらの上下限は、適宜各々の組合せとすることができる。従って、例えば、0.1~250mPa・sとすることができ、0.5~200mPa・sとすることができ、0.5~100mPa・sとすることができ、1~50mPa・sとすることができる。更に、低粘度化粧料は、その性状は限定されず、乳化系の組成物であってもよく可溶化系の組成物であってもよいが、可溶化系の組成物であることが好ましい。尚、可溶化系の組成物とは、相分離せずに安定な一相系の状態となる液状の組成物を意味する。
この粘度は、25℃、ローターNo.2、回転数30rpmの条件で計測を開始し、当該開始から60秒後に測定される粘度である。
【0013】
低粘度化粧料は、どのような成分を含んでもよいが、低粘度化粧料のうちの1種がアニオン性成分を含み、低粘度化粧料のうちの他の1種がカチオン性成分を含むことができる。即ち、両者を分けて含むことができる。アニオン性成分とカチオン性成分とが同じ毛髪化粧料内に含まれると、コンプレックスを形成する可能性がある。この点、アニオン性成分とカチオン性成分とを異なる毛髪化粧料に含れることより、上記可能性を排除することができる。
【0014】
(2)アニオン性成分
アニオン性成分は、毛髪適用時にアニオンとして機能する成分であり、通常、毛髪化粧料内でもアニオンとして存在するが、毛髪化粧料内でのイオン性は問わない。即ち、イオン性を有さなくてもよく、イオン性を有してもよい。また、毛髪化粧料内ではカチオンとして存在し、毛髪適用時にアニオンとして機能する成分であってもよい。
一方、カチオン性成分は、毛髪適用時にカチオンとして機能する成分であり、通常、毛髪化粧料内でもカチオンとして存在するが、毛髪化粧料内でのイオン性は問わない。即ち、イオン性を有さなくてもよく、イオン性を有してもよい。また、毛髪化粧料内ではアニオンとして存在し、毛髪適用時にカチオンとして機能する成分であってもよい。
【0015】
上記のうち、アニオン性成分としては、天然由来のアニオン性成分、合成由来(化学合成物に由来する)のアニオン性成分等が挙げられる。
このうち、天然由来のアニオン性成分としては、タンパク質(アニオン性を帯びたタンパク質)、加水分解タンパク質(アニオン性を帯びた加水分解タンパク質)、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、ファーセラン、アラビアガム、ガッチガム、カラヤガム、トラガントガム、カンテン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0016】
上記のうち、タンパク質の種類は限定されず、動物性タンパク質であってもよく、植物性タンパク質であってもよい。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。このうち、動物性タンパク質としては、ケラチン、コラーゲン、シルク、コンキオリン、エラスチン、フィブロイン、カゼイン、ゼラチン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。一方、植物性タンパク質としては、大豆、小麦、大麦、カラスムギ、アーモンド(アーモンド種子等を含む)、トウモロコシ、米(米胚芽、米ヌカ等を含む)、イモ類等の植物から得られる植物性タンパク質が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0017】
また、上記のうち、加水分解物タンパク質は、タンパク質を加水分解処理したものである。加水分解方法は限定されず、酸、アルカリ、酵素等による加水分解が含まれる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、加水分解後、タンパク加水分解物は、所定のペプチド等の含有量が多くなるように、又は、少なくなるように、必要な精製(例えば、ゲルろ過による精製、分子膜による精製等)が施されていてもよいし、何らの精製が施されていなくてもよい。
【0018】
一方、合成由来のアニオン性成分としては、酸性ビニルモノマー又はその塩の重合体(単独重合体及び共重合体を含む)が挙げられる。即ち、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。酸性ビニルモノマーは、酸性基と重合可能なビニル基とを有する化合物である。このうち、酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
酸性ビニルモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、3-メタクリルプロパンスルホン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、酸性ビニルモノマー以外に、酸性ビニルモノマーと共重合可能な他のモノマーを用いることができる。他のモノマーを用いる場合、得られる重合体を構成する構成単位全体に対して50モル%以下とすることが好ましい。
【0019】
更に、アニオン性成分としては、アニオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0020】
上述のなかでも、アニオン性成分としては、本多剤式毛髪化粧料を毛髪に適用した場合に得られる感触のなかでも、軽やかさの観点からは、タンパク質又はその加水分解物が好ましく、更には、タンパク質としてケラチンが好ましく、更には、加水分解ケラチンがより好ましい。
【0021】
本多剤式毛髪化粧料を構成する毛髪化粧料として、アニオン性成分を含んだ毛髪化粧料を備える場合、当該毛髪化粧料に含まれるアニオン性成分の量は限定されないが、当該毛髪化粧料(アニオン性成分を含んだ毛髪化粧料)全体を100質量%とした場合に、その下限は、0.001質量%以上とすることができる。この範囲では、アニオン性成分による効果を得ることができる。この量は、更に0.01質量%以上とすることができ、更に0.05質量%以上とすることができ、更に0.1質量%以上とすることができ、更に0.15質量%以上とすることができ、更に0.2質量%以上とすることができる。一方、その上限は、10質量%以下とすることができ、5質量%以下とすることができ、2.質量%5以下とすることができ、1質量%以下とすることができ、0.75質量%以下とすることができ、0.5質量%以下とすることができる。これらの範囲では、アニオン性成分を毛髪化粧料内に安定に維持しつつ、毛髪への適用時に優れたトリートメント作用を得ることができ、トリートメント後の毛髪の感触はより軽くすることができる。これらの上下限は、適宜各々の組合せとすることができる。従って、例えば、0.001~10質量%とすることができ、0.01~5質量%とすることができ、0.05~2.5質量%とすることができ、0.1~1質量%とすることができ、0.15~0.75質量%とすることができ、0.2~0.5質量%とすることができる。
【0022】
また、アニオン性成分としてケラチン又はその加水分解物を含む低粘度化粧料では、可溶化剤としてどのような成分を用いてもよいが、アニオン性成分の安定性の観点からは、これにより、アニオン性成分の分散(可溶化状態)を好適に維持することができる。とりわけ、高濃度にアニオン性成分を含有させたとしても、アニオン性成分の凝集等の意図しない現象を顕著に抑制することができる。具体的には、アニオン性成分であるケラチン又はその加水分解物を、低粘度化粧料全体100質量%に対して0.2質量%以上を含有させる場合には、可溶化剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いることによる効果を顕著に得ることができる。
【0023】
(3)カチオン性成分
カチオン性成分としては、天然由来のカチオン性成分、合成由来(化学合成物に由来する)のカチオン性成分等が挙げられる。
上記のうち、天然由来のカチオン性成分は、天然由来の高分子、即ち、セルロース、デンプン、グアガム等をカチオン化した成分である。天然由来のカチオン性成分としては、カチオン化セルロース、カチオン化澱粉(塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプンなど)、カチオン化グアガム、カチオン化キトサン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、上述のうち、カチオン化セルロース又はこれをベースとするカチオン性成分としては、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-67等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記のうち、合成由来のカチオン性成分は、化学合成された高分子をカチオン化した成分、カチオン化された単量体を用いた重合体(単独重合体、共重合体を含む)等が含まれる。尚、カチオン化とは、例えば、4級アンモニウム基等のカチオン性基を導入することにより行うことができる。
【0025】
合成由来のカチオン性成分としては、各種重合体(単独重合体、共重合体を含む)の4級アンモニウム塩や、重合性4級アンモニウム塩を単量体として含んだ重合体(単独重合体、共重合体を含む)等が挙げられる。即ち、合成由来のカチオン性成分として、アミノ変性シリコーン、ポリクオタニウム類(天然由来のポリクオタニウムを除く)、シリコーンクオタニウム類等が挙げられる。尚、ポリクオタニウム類は、INCI名に「ポリクオタニウム」が含まれる成分を意味し、シリコーンクオタニウム類は、INCI名に「シリコーンクオタニウム」が含まれる成分を意味する。
【0026】
上記のうち、アミノ変性シリコーンは、ジメチルポリシロキサン(直鎖状、環状を含む)が備えるメチル基が、アミノ基又はアミノ基を有する1価の基に置換された形態を有する化合物である。即ち、ジメチルポリシロキサン(直鎖状、環状を含む)が、アミノ基又はアミノ基を有する1価の基によって変性された形態を有する化合物である。尚、上述のアミノ変性の説明は、上記の化学形態を説明するものであり、製法を特定するものではない。即ち、実際にジメチルポリシロキサンのメチル基にアミノ基等を置換して製造されているか否かを問わない。
また、アミノ変性シリコーンは、アミノ基を導入するための変性以外に、他の変性が併用されてもよい。他の変性としては、ヒドロキシ基末端変性、アルキル基変性、フェニル基変性、ポリエーテル鎖変性、アルコキシ基変性、メルカプト基変性、カルボキシ基変性、フッ素変性、ベタイン変性等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0027】
アミノ変性シリコーンとしては、アモジメチコン(アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体)、アミノプロピルジメチコン(アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体)、アミノエチルアミノプロピルジメチコン(アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体)、ビス(アミノプロピル)ジメチコン(ジメチコンの両末端にアミノプロピル基が導入された重合体)、ビス(セテアリル)アモジメチコン(アモジメチコンの両末端にセテアリル基が導入された重合体)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0028】
上記のうち、ポリクオタニウム類としては、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-52、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-54、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-57、ポリクオタニウム-61、ポリクオタニウム-64、ポリクオタニウム-65、ポリクオタニウム-68、ポリクオタニウム-92等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでも特にポリクオタニウム-10が好ましい。
【0029】
上記のうち、シリコーンクオタニウム類としては、シリコーンクオタニウム-5、シリコーンクオタニウム-7、シリコーンクオタニウム-8、シリコーンクオタニウム-10、シリコーンクオタニウム-11、シリコーンクオタニウム-12、シリコーンクオタニウム-15、シリコーンクオタニウム-17、シリコーンクオタニウム-18、シリコーンクオタニウム-20、シリコーンクオタニウム-22、シリコーンクオタニウム-26等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0030】
更に、カチオン性成分としては、カチオン性界面活性剤(但し、カチオン性成分として別記した各種成分を除く)が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩類、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩等のアミン塩類、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリウム塩等の環式4級アンモニウム塩類、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0031】
モノアルキル型4級アンモニウム塩としては、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、硫酸ドコシルトリメチルアンモニウムメチル(ベヘントリモニウムメトサルフェート)、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、臭化セチルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアリルトリモニウムクロリド)、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド)、塩化アルキル(28)トリメチルアンモニウム、塩化ジPOE(2)オレイルメチルアンモニウム、塩化ジPOEステアリルメチルアンモニウム、塩化POE(1)POP(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化POPメチルジエチルアンモニウム、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0032】
カチオン性成分としては、アミノ変性シリコーン、カチオン化セルロースが好ましく、これらのなかでも、アミノ変性シリコーンがより好ましい。更に、本多剤式毛髪化粧料が、3剤以上の低粘度化粧料を備える場合、アミノ変性シリコーンを含む低粘度化粧料と、カチオン化ポリマーを含む低粘度化粧料と、を別個に備えることが好ましい。
本多剤式毛髪化粧料を構成する毛髪化粧料として、カチオン性成分を含んだ毛髪化粧料を備える場合、当該毛髪化粧料に含まれるカチオン性成分の量は限定されないが、当該毛髪化粧料(カチオン性成分を含んだ毛髪化粧料)全体を100質量%とした場合に、その下限は、0.001質量%以上とすることができる。この範囲では、カチオン性成分による効果を得ることができる。この量は、更に0.01質量%以上とすることができ、更に0.05質量%以上とすることができ、更に0.1質量%以上とすることができ、更に0.15質量%以上とすることができ、更に0.2質量%以上とすることができる。一方、その上限は、10質量%以下とすることができ、8質量%以下とすることができ、6質量%以下とすることができ、4質量%以下とすることができ、2質量%以下とすることができ、1質量%以下とすることができる。これらの範囲では、毛髪への適用時に優れたトリートメント作用を得ることができ、トリートメント後の毛髪の感触はより軽くすることができる。これらの上下限は、適宜各々の組合せとすることができる。従って、例えば、0.001~10質量%とすることができ、0.01~8質量%とすることができ、0.05~6質量%とすることができ、0.1~4質量%とすることができ、0.15~2質量%とすることができ、0.2~1質量%とすることができる。
【0033】
(4)多剤式毛髪化粧料の構成
多剤式毛髪化粧料は、2剤以上から構成されればよく、何剤から構成されてもよいが、例えば、3剤以上とすることができる。一方、構成剤数の上限は限定されず、例えば、10剤以下とすることができ、9剤以下とすることができ、8剤以下とすることができ、7剤以下とすることができ、6剤以下とすることができる。これらの上下限は、適宜各々の組合せとすることができる。従って、例えば、2~10剤とすることができ、2~9剤とすることができ、3~8剤とすることができる。また、このうち、低粘度化粧料は、2剤以上を備えればよいが、毛髪の感触をより軽くするという観点から3剤以上を備えることが好ましい。
【0034】
上述のうち、低粘度化粧料を2剤備える場合、本多剤式毛髪化粧料は、前述の通り、第1の低粘度化粧料がアニオン性成分を含み、第2の低粘度化粧料がカチオン性成分を含むように調製することが好ましい。このうち、第1の低粘度化粧料をA剤とし、第2の低粘度化粧料をB剤とすると、A剤とB剤とを適用する順序は限定されず、いずれを先に毛髪に対して適用してもその効果には大きな差異を生じ難い。
【0035】
また、低粘度化粧料を3剤備える場合、本多剤式毛髪化粧料の構成は限定されないが、例えば、3剤のうちの2剤がアニオン性成分を含み、且つ、3剤のうちの1剤がカチオン性成分を含むように構成することができる。また、3剤のうちの1剤がアニオン性成分を含み、且つ、3剤のうちの2剤がカチオン性成分を含むように構成することができる。これらのうちでは、後者が好ましい。即ち、例えば、第1の低粘度化粧料がカチオン性成分を含み、第2の低粘度化粧料がアニオン性成分を含み、且つ、第3の低粘度化粧料がカチオン性成分を含むように調製することが好ましい。更には、第1の低粘度化粧料がカチオン性成分としてアモジメチコンを含み、第2の低粘度化粧料がアニオン性成分として加水分解ケラチンを含み、且つ、第3の低粘度化粧料がカチオン性成分としてポリクオタニウム-10を含むように調製することがとりわけ好ましい。
【0036】
また、第1の低粘度化粧料(カチオン性成分含有)をA剤とし、第2の低粘度化粧料(アニオン性成分含有)をB剤とし、第3の低粘度化粧料(カチオン性成分含有)をC剤とすると、A剤~C剤を適用する順序は限定されない。即ち、例えば、A剤→B剤→C剤、A剤→C剤→B剤、B剤→A剤→C剤、B剤→C剤→A剤、C剤→A剤→B剤、C剤→B剤→A剤などの順序で適用することができるが、これらのなかでは、優れたトリートメント作用を付与しながら、トリートメント後の毛髪の感触を軽くする観点から、A剤→B剤→C剤、C剤→B剤→A剤、A剤→C剤→B剤が好ましい。
【0037】
また、多剤式毛髪化粧料を構成する毛髪化粧料は、その全てが低粘度化粧料であってもよいが、一部のみが低粘度化粧料であってもよい。即ち、多剤式毛髪化粧料は、低粘度化粧料のみでなく、粘度250mPa・s超の非低粘度化粧料を含むことができる。
非低粘度化粧料を含む場合、多剤式毛髪化粧料を構成する毛髪化粧料のうち、非低粘度化粧料の剤数は、低粘度化粧料の剤数と同じであってもよく、非低粘度化粧料の剤数の方が低粘度化粧料の剤数よりも大きくてもよいが、毛髪の感触をより軽くするという観点から非低粘度化粧料の剤数よりも多くの剤数の低粘度化粧料を含むことが好ましい。即ち、低粘度化粧料の剤数をX1とし、非低粘度化粧料の剤数をX2とした場合、X1=X2でもよく、X1<X2でもよいが、X1>X2であることが好ましい。更に、X2は、X2≦3が好ましく、X2≦2がより好ましい。尚、本多剤式毛髪化粧料では、多剤式毛髪化粧料を構成する毛髪化粧料の剤数をX3とした場合、X1+X2=X3とすることができる。
【0038】
また、多剤式毛髪化粧料が、非低粘度化粧料を含み、X1<X3である場合、低粘度化粧料と非低粘度化粧料とを毛髪に対して適用する順序は限定されないが、軽さの観点から、低粘度化粧料を連続して適用することが好ましい。即ち、低粘度化粧料A1、低粘度化粧料A2、非低粘度化粧料Bの3種の毛髪化粧料から構成される多剤式毛髪化粧料である場合、A1→B→A2の順序で適用するより、A1→A2→B、A2→A1→B、B→A1→A2、B→A2→A1の順序で適用する方が好ましい。
【0039】
また、2剤以上の低粘度化粧料を連続して適用する場合、連続適用する2つの低粘度化粧料の粘度比は限定されないが、低粘度化粧料A1の粘度をXA1(mPa・s)、低粘度化粧料A2の粘度をXA2(mPa・s)とした場合に、これらの比(XA1/XA2)は、軽さの観点から、10以下とすることができ、5以下とすることができ、3以下とすることができる。一方、0.1以上とすることができ、0.3以上とすることができ、0.6以上とすることができる。これらの上下限は、適宜各々の組合せとすることができる。従って、例えば、0.1~10とすることができ、0.3~5とすることができ、0.6~3とすることができる。
【0040】
(5)その他の成分
本多剤式毛髪化粧料、及び、これを構成する各毛髪化粧料は、上述したアニオン性成分、カチオン性成分以外に、本発明の効果が得られる範囲において、他の成分を含有できる。他の成分としては、可溶化剤、油性成分(但し、前述したアニオン性成分、前述したカチオン性成分を除く)、界面活性剤(但し、前述したアニオン性成分、前述したカチオン性成分を除く)、高分子化合物(但し、前述したアニオン性成分、前述したカチオン性成分を除く)、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、安定剤、アミノ酸類、植物エキス等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0041】
(5-1)可溶化剤
可溶化剤としては、水、アルコール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
可溶化剤として水を配合する場合、その量は限定されず、毛髪化粧料全体を100質量%とした場合に、15質量%以上とすることができ、30質量%以上とすることができ、45質量%以上とすることができ、60質量%以上とすることができる。また、99質量%以下とすることができ、90質量%以下とすることができ、85質量%以下とすることができ80質量%以上とすることができる。これらの上下限値は任意に組み合わせることができ、例えば、15~99質量%とすることができ、30~90質量%とすることができ、45~85質量%とすることができ、60~80質量%とすることができる。
【0042】
アルコールとしては、1価アルコール、多価アルコール、エーテルアルコール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
1価アルコールとしては、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等の炭素数5以下の脂肪族アルコール;ベンジルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、フェニルプロパノール、フェニルグリコール等の芳香族アルコール;などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0043】
多価アルコールとしては、2~6価の多価アルコールが好ましく、炭素数2~6の多価アルコールが好ましい。具体的には、アルカンジオール、アルカントリオール、オキシジアルカノールが挙げられる。このうち、アルカンジオールとしては、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール等が挙げられる。更に、エタンジオールとしてはエチレングリコール等が挙げられる。プロパンジオールとしては、プロパン-1,2-ジオール(プロピレングリコール)、トリメチレングリコール等が挙げられる。ペンタンジオールとしてはイソペンチルジオール等が挙げられる。更に、アルカントリオールとしては、グリセリン、ブタントリオール、ペンタントリオール、1,3-ブチレングリコール(BG)等が挙げられる。更に、オキシジアルカノールとしては、オキシジエタノール、オキシジプロパノール等が挙げられる。その他、ジプロピレングリコール(DPG)、等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
エーテルアルコールとしては、エトキシジグリコール、メトキシジグリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。その他、ソルビトールが挙げられる。
【0044】
可溶化剤としてアルコールを配合する場合、その量は限定されず、毛髪化粧料全体を100質量%とした場合に、25質量%以下とすることができ、20質量%以下とすることができ、15質量%以下とすることができる。一方、0.1質量%以上とすることができ、1質量%以上とすることができ、2質量%以上とすることができる。これらの上下限値は任意に組み合わせることができ、例えば、0.1~25質量%とすることができ、1~20質量%とすることができ、2~15質量%とすることができる。
【0045】
(5-2)油性成分
油性成分としては、高級アルコール、炭化水素、油脂、ロウ類、高級脂肪酸、エステル類、シリコーン、フッ素油、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0046】
高級アルコールは、炭素数が6以上の炭素鎖を持つアルコールを利用できる。例えば、炭素数8以上40以下の高級アルコールが含まれる。また、その骨格は、飽和でもよく不飽和でもよく、直鎖でもよく分岐鎖でもよい。具体的には、セテアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール、フィトステロール、コレステロールなどが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0047】
炭化水素としては、流動パラフィン(ミネラルオイル)、流動イソパラフィン、パラフィン(パラフィンワックス)、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、合成スクワラン、スクアレン、スクアラン(水添スクアレン)、ポリブテン、ポリエチレン(ポリエチレンワックス)、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、オゾケライト、セレシン、リモネン、テレビン油などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0048】
油脂としては、植物性油(植物性油脂)、動物性油(動物性油脂)等が挙げられる。
植物性油としては、マカデミア種子油、メドウフォーム油、ホホバ種子油、コメ胚芽油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、ブドウ種子油、アーモンド油、杏仁油、桃仁油、パーシック油、シア脂、ローズヒップ油、ツバキ油、茶実油、サザンカ油、アルガニアスピノサ核油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、月見草油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、アボカド油、カロット油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、パーム油等が挙げられる。
動物性油としては、牛脂、ラード、ミンク油、卵黄油等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0049】
ロウ類としては、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、カポックロウ、セラックロウ等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0050】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0051】
エステル類としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸-2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸PPG-3ベンジルエーテル、パルミチン酸2-エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10-30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、カプリン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0052】
シリコーン(アミノ変性シリコーンを除く)としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650~10000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0053】
油性成分を配合する場合、その量は限定されず、毛髪化粧料全体を100質量%とした場合に、0.1質量%以上とすることができ、1質量%以上とすることができ、3質量%以上とすることができ、7質量%以上とすることができ、10質量%以上とすることができる。一方、50質量%以下とすることができ、40質量%以下とすることができ、30質量%以下とすることができ、20質量%以下とすることができ、10質量%以下とすることができる。これらの上下限値は任意に組み合わせることができ、例えば、0.1~50質量%とすることができ、1~50質量%とすることができ、3~40質量%とすることができ、7~30質量%とすることができ、10~20質量%とすることができる。更に、毛髪化粧料のなかでも、低粘度化粧料の場合は、0.1~10質量%とすることができ、好ましくは1~5質量%である。
【0054】
(5-3)界面活性剤
界面活性剤としては、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0055】
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
アミノ酸型両性界面活性剤としては、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエトキシエチル-N’-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメトキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムなどのグリシン型両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミンなどのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤;などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0056】
ベタイン型両性界面活性剤としては、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(ラウリルベタイン)、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0057】
ノニオン性界面活性剤としては、エーテル型ノニオン性界面活性剤、エステル型ノニオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記のうち、エーテル型ノニオン性界面活性剤としては、前述した油性成分のうちの油脂に対してエチレンオキシドを付加重合した成分、油脂とアルキレングリコールとのエーテル(PEG-20ソルビタンココエートなど)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記のうち、油脂としては、前述した油脂のなかでも、植物性油(植物性油脂)が好ましく、更には、ヒマシ油が好ましく、更には、その水添物(即ち、硬化ヒマシ油)が好ましい。従って、エーテルとしては、ポリオキシアルキレン水添ヒマシ油が挙げられ、更には、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油が挙げられる。
ポリオキシエチレン水添ヒマシ油としては、PEG-5水添ヒマシ油、PEG-10水添ヒマシ油、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、PEG-100水添ヒマシ油等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0058】
これらのなかでも、エチレンオキシド付加量が10超であるものが好ましい。即ち、上述のなかでは、PEG-20水添ヒマシ油、PEG-30水添ヒマシ油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-80水添ヒマシ油、PEG-100水添ヒマシ油が好ましい。更に、エチレンオキシド付加量が異なるポリオキシエチレン水添ヒマシ油を2種以上同時に用いることがより好ましい。
【0059】
ノニオン性界面活性剤としてエーテルを配合する場合、その量は限定されず、毛髪化粧料全体を100質量%とした場合に、毛髪化粧料内におけるアニオン性成分の安定性を向上させるという観点から、30質量%以下とすることができ、15質量%以下とすることができ、5質量%以下とすることができる。一方、毛髪化粧料内におけるアニオン性成分の安定性を向上させるという観点から、0.1質量%以上とすることができ、0.3質量%以上とすることができ、0.6質量%以上とすることができる。これらの上下限値は任意に組み合わせることができ、例えば、0.1~30質量%とすることができ、0.3~15質量%とすることができ、0.6~5質量%とすることができる。
【0060】
また、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン水添ヒマシ油を用いる場合であって、2種以上同時に用いる場合、エチレンオキシド付加量が最も多いポリオキシエチレン水添ヒマシ油の含有量をM1(質量%)とし、エチレンオキシド付加量が最も少ないポリオキシエチレン水添ヒマシ油の含有量をM2(質量%)と、した場合に、これらの比(M1/M2)は、毛髪化粧料内におけるアニオン性成分の安定性を向上させるという観点から、0.1以上とすることができ、0.5以上とすることができ、1以上とすることができる。一方、毛髪化粧料内におけるアニオン性成分の安定性を向上させるという観点から、10以下とすることができ、5以下とすることができ、3以下とすることができる。これらの上下限値は任意に組み合わせることができ、例えば、0.1~10とすることができ、0.5~5とすることができ、1~3とすることができる。
【0061】
更に、アニオン性成分の安定性を向上させるという観点において、特にアニオン性成分として加水分解タンパク質を用い、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレン水添ヒマシ油を用いる場合に、毛髪化粧料内における加水分解タンパク質の含有量をN1(質量%)とし、毛髪化粧料内におけるポリオキシエチレン水添ヒマシ油の含有量をN2(質量%)とすると、これらの比(N1/N2)は、0.05以上とすることができ、0.07以上とすることができ、0.1以上とすることができる。一方、1以下とすることができ、0.7以下とすることができ、0.5以下とすることができる。これらの上下限値は任意に組み合わせることができ、例えば、0.05~1とすることができ、0.07~0.7とすることができ、0.1~0.5とすることができる。
【0062】
その他、エーテル型ノニオン性界面活性剤としては、例えば、POE(5)アルキル(12~14)エーテル、POE(7)アルキル(12~14)エーテル等のPOEアルキルエーテル、POE(5.5)セチルエーテル、POE(6)セチルエーテル、POE(6)セチルエーテル、POE(7)セチルエーテル、POE(10)セチルエーテル、POE(15)セチルエーテル、POE(20)セチルエーテル、POE(23)セチルエーテル、POE(25)セチルエーテル、POE(30)セチルエーテル、POE(40)セチルエーテル、POE(2)セチルエーテル、POE(4)セチルエーテル、POE(5)セチルエーテル等のPOEセチルエーテル(セテス);POE(20)ステアリルエーテル、POE(150)ステアリルエーテル、POE(4)ステアリルエーテル、POE(5)ステアリルエーテル、POE(2)ステアリルエーテル等のPOEステアリルエーテル(ステアレス);POE(10)ベヘニルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、POE(30)ベヘニルエーテル、POE(150)ベヘニルエーテル、POE(2)ベヘニルエーテル、POE(3)ベヘニルエーテル、POE(5)ベヘニルエーテル、POE(6)ベヘニルエーテル等のPOEベヘニルエーテル(ベヘネス);POE(7)オレイルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、POE(15)オレイルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE(2)オレイルエーテル、POE(3)オレイルエーテル等のPOEオレイルエーテル(オレス);POE(4.2)ラウリルエーテル、POE(9)ラウリルエーテル、POE(10)ラウリルエーテル、POE(21)ラウリルエーテル、POE(25)ラウリルエーテル、POE(2)ラウリルエーテル、POE(3)ラウリルエーテル等のPOEラウリルエーテル(ラウレス);POE(2)ミリスチルエーテル、POE(3)ミリスチルエーテル等のPOEミリスチルエーテル;POE(2)オクチルドデシルエーテル、POE(5)オクチルドデシルエーテル等のPOEオクチルドデシルエーテル;POE(2)ヘキシルデシルエーテル、POE(4)ヘキシルデシルエーテル等のPOEヘキシルデシルエーテル;POE(5)イソステアリルエーテル等のPOEイソステアリルエーテル;POEノニルフェニルエーテル;POEオクチルフェニルエーテル;POE(10)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(4)セチルエーテル、POE(20)POP(8)セチルエーテル、POE(1)POP(4)セチルエーテル等のPOEリオキシプロピレンセチルエーテル:POE(12)POP(6)デシルテトラデシルエーテル等のPOEポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0063】
エステル型非イオン性界面活性剤としては、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン等のPOEソルビタン脂肪酸エステル;モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン等のグリセリルモノ脂肪酸エステル;テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット等のPOEソルビトール脂肪酸エステルが挙げられる。POEソルビタン脂肪酸エステル及びモノグリセリルモノ脂肪酸エステルのPOEの付加モル数は、例えば5以上である。POEソルビトール脂肪酸エステルのPOEの付加モル数は、例えば6以上である。また、これら以外のエステル型非イオン性界面活性剤としては、POE(6)POEソルビットミツロウ等のソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、POE還元ラノリン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0064】
界面活性剤を配合する場合、その量は限定されず、毛髪化粧料全体を100質量%とした場合に、0.1質量%以上とすることができ、1質量%以上とすることができ、2質量%以上とすることができる。一方、20質量%以下とすることができ、15質量%以下とすることができ、10質量%以下とすることができる。これらの上下限値は任意に組み合わせることができ、例えば、0.1~20質量%とすることができ、1~15質量%とすることができ、2~10質量%とすることができる。
【0065】
(5-4)高分子化合物
高分子化合物としては、ノニオン性高分子等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。尚、高分子化合物の重量平均分子量は限定されないが、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析による標準ポリスチレン換算で50,000以上とすることができる。
ノニオン性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ガラクタン、高重合ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドン系重合体(ポリビニルピロリドン、PVP)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0066】
高分子化合物を配合する場合、その量は限定されず、毛髪化粧料全体を100質量%とした場合に、0.01質量%以上とすることができ、0.1質量%以上とすることができ、0.5質量%以上とすることができる。一方、20質量%以下とすることができ、10質量%以下とすることができ、4質量%以下とすることができる。これらの上下限値は任意に組み合わせることができ、例えば、0.01~20質量%とすることができ、0.1~10質量%とすることができ、0.5~4質量%とすることができる。
【0067】
(5-5)pH調整剤
pH調整剤としては、酸及び/又は塩基を利用できる。
酸としては、無機酸及びその塩、有機酸及びその塩が挙げられる。
無機酸としては、リン酸、塩酸、硫酸、ホウ酸等が挙げられる。更に、無機酸の塩としては、上記無機酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。このうち、アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属種としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
有機酸としては、酒石酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、レブリン酸、グリコール酸、グルクロン酸、安息香酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)等が挙げられる。更に、有機酸の塩としては、上記有機酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。このうち、アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属種としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0068】
塩基としては、有機塩基、無機塩基及びこれらの塩が挙げられる。
有機塩基としては、有機アミン、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びそれらの塩等)、グアニジン及びその塩(炭酸グアニジン等)等が挙げられる。具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール(2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等)、アミノメチルプロパンジオール(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール等)などのアルカノールアミン、イソプロピルアミン等のアルキルアミン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
無機塩基としては、水酸化物、塩化物、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、アンモニア等が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0069】
pH調整剤を配合する場合、目的のpHに調整することや、目的のpH範囲となるように緩衝作用を付与できればよく、その配合量等は限定されない。毛髪化粧料のpHも限定されないが、例えば、3以上とすることができ、4以上とすることができ、5以上とすることができる。一方、10以下とすることができ、9以下とすることができ、8以下とすることができる。これらの上下限値は任意に組み合わせることができ、例えば、3~10とすることができ、4~9とすることができ、5~8とすることができる。更に、本多剤式毛髪化粧料を構成する毛髪化粧料のなかでも、アニオン性成分を含んだ毛髪化粧料であって、特にケラチン(加水分解ケラチン)を含んだ毛髪化粧料のpHは6~7.5とすることが好ましい。
【0070】
尚、毛髪化粧料のpHは、25℃におけるpHである。また、このpHは、通常、原液を10質量%に希釈した希釈液にて測定されるものであるが、別途、特定の使用状況が存在する場合、当該使用状況におけるpHとする。例えば、所定量の水で希釈して使用するものである場合には、当該所定量の水で希釈した希釈状態におけるpHを意味する
【0071】
(5-6)防腐剤
防腐剤としては、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、イソプロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
防腐剤を配合する場合、その量は限定されず、毛髪化粧料全体を100質量%とした場合に、0.01質量%以上とすることができ、0.1質量%以上とすることができる。また、通常、3質量%以下である。
【0072】
(5-7)酸化防止剤
酸化防止剤としては、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸)、無水亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0073】
(5-8)安定剤
安定剤としては、フェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0074】
(5-9)アミノ酸類
アミノ酸類としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、アラニン、テアニン、アルギニン、ヒスチジン、トレオニン等のアミノ酸及びこれらの塩;タウリン等のアミノ酸類似化合物:などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0075】
(5-10)植物エキス
植物エキスとしては、アボカドエキス、アマチャエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オトギリソウエキス、オレンジエキス、カイソウエキス、カミツレエキス、カモミールエキス、カンゾウエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、グレープフルーツエキス、クワエキス、コケモモエキス、ゴボウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、ゼニアオイエキス、ジオウエキス、シソエキス、シナノキエキス、シャクヤクエキス、ショウキョウエキス、シラカバエキス、スギナエキス、セージエキス、セイヨウサンザシエキス、タイムエキス、チャエキス、チョウジエキス、ドクダミエキス、ハイビスカスエキス、ハマメリスエキス、パセリエキス、ビワエキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、ユーカリエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ライチエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0076】
(5-11)更に他の成分
上記以外にも、糖類(グリコシルトレハロース、N-アセチルグルコサミンなど)、緩衝剤(リン酸ナトリウム等)、キレート化剤(エデト酸及びその塩類、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩など)、ビタミン類、香料、着色剤及び紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種等の成分を含有できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0077】
(6)剤型
多剤式毛髪化粧料を構成する各毛髪化粧料の剤型は限定されず、用途や目的に応じて適宜選択でき、例えば、固体状、液体状、水溶液状、分散液状、乳化物状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、泡状(フォーム状)等とすることができる。更に、泡状に用いる場合、エアゾール式で用いてもよいし、ノンエアゾール式で用いてもよい。また、ノンエアゾール式で用いる場合には、ポンプフォーマー式としてもよく、スクイズフォーマー式としてもよい。尚、多剤式毛髪化粧料を構成する各毛髪化粧料は、同じ剤型であってもよく異なる剤型であってもよい。
【0078】
(7)用途
本多剤式毛髪化粧料の用途は限定されず、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、ヘアリンス、シャンプー、各種前処理剤(熱ダメージ処理、酸化染毛処理、毛髪脱色処理、毛髪脱染処理、パーマネントウエーブ処理等の各種処理を行う前に利用する前処理剤)、各種後処理剤(熱ダメージ処理、酸化染毛処理、毛髪脱色処理、毛髪脱染処理、パーマネントウエーブ処理等の各種処理を行った後に利用する後処理剤)等とすることができる。
【0079】
(8)適用方法
本多剤式毛髪化粧料の適用方法は限定されず、例えば、櫛、ブラシ、ヘラ等の道具を用いて毛髪に各毛髪化粧料を塗布することができる。更に、使用者の手を用いて毛髪に塗布することができる。更には、ミスト、エアゾール、フォーム等として毛髪に噴霧して塗布することができる。その他、含浸(ディップ)、コーティング、浸透等の操作により適用することができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、本多剤式毛髪化粧料は、水や温湯で濡れた状態の毛髪に適用されてもよいし、乾いた毛髪に適用されてもよい。また、毛髪に対して適用した毛髪化粧料を洗い流したうえで次の毛髪化粧料を適用してもよいし、毛髪に対して適用した毛髪化粧料を洗い流さずに、次の毛髪化粧料を重ねて適用してもよい。更に、毛髪化粧料を適用後は、洗い流してもよいし、洗い流さなくてもよい。これらのうちでは、洗い流さないまま、次の毛髪化粧料を適用した方が、感触の軽やかさの観点からより好ましい。
【0080】
[2]多剤式毛髪化粧料の使用方法
本発明の多剤式毛髪化粧料の使用方法は、上記[1]に記載の多剤式毛髪化粧料の使用方法であって、低粘度化粧料を毛髪に対して連続して適用する低粘度化粧料適用工程を備えることを特徴とする
【0081】
前述の通り、本多剤式毛髪化粧料は、少なくとも2種の低粘度化粧料を含んでいる。これらの低粘度化粧料は、どのような順序で毛髪に対して適用してもよいが、本使用方法は、低粘度化粧料を毛髪に対して連続して適用する工程(低粘度化粧料適用工程)を備える。これにより、本使用方法によれば、優れたトリートメント作用を付与しながら、トリートメント後の毛髪の感触を従来に比べて軽くすることができるという効果を奏する。
【0082】
例えば、本多剤式毛髪化粧料が低粘度化粧料のみから構成される場合、本使用方法は、必然的に低粘度化粧料適用工程を有することになる。一方で、本多剤式毛髪化粧料が非低粘度化粧料を含む場合、例えば、第1の低粘度化粧料をA剤とし、第2の低粘度化粧料をB剤とし、非低粘度化粧料をD剤とすると、A剤→D剤→B剤という適用順序を選択することが可能である。しかしながら、本使用方法では、A剤→B剤→D剤、B剤→A剤→D剤という適用順序のいずれかを選択することにより、優れたトリートメント作用を付与しながら、トリートメント後の毛髪の感触を従来に比べて軽くすることができる。本多剤式毛髪化粧料に非低粘度化粧料が2種以上含まれる場合も同様である。
【0083】
また、低粘度化粧料を2剤備える場合、前述の通り、多剤式毛髪化粧料では、第1の低粘度化粧料がアニオン性成分を含み、第2の低粘度化粧料がカチオン性成分を含むように調製することができる。このうち、第1の低粘度化粧料をA剤とし、第2の低粘度化粧料をB剤とすると、A剤とB剤とを適用する順序は限定されず、いずれを先に毛髪に対して適用してもよいが、通常、傷んだ毛髪はアニオン性を帯びているため、カチオン性成分を含んだB剤を、A剤より前に適用することが好ましい。
【0084】
また、低粘度化粧料を3剤備える場合、多剤式毛髪化粧料の構成は限定されないが、例えば、3剤のうちの2剤がアニオン性成分を含み、且つ、3剤のうちの1剤がカチオン性成分を含むように構成することができる。また、3剤のうちの1剤がアニオン性成分を含み、且つ、3剤のうちの2剤がカチオン性成分を含むように構成することができる。これらのうちでは、後者が好ましい。即ち、例えば、第1の低粘度化粧料がカチオン性成分を含み、第2の低粘度化粧料がアニオン性成分を含み、且つ、第3の低粘度化粧料がカチオン性成分を含むように調製することが好ましい。
【0085】
このうち、第1の低粘度化粧料(カチオン性成分含有)をA剤とし、第2の低粘度化粧料(アニオン性成分含有)をB剤とし、第3の低粘度化粧料(カチオン性成分含有)をC剤とすると、A剤~C剤を適用する順序は限定されない。即ち、例えば、A剤→B剤→C剤、A剤→C剤→B剤、B剤→A剤→C剤、B剤→C剤→A剤、C剤→A剤→B剤、C剤→B剤→A剤などの順序で適用することができるが、これらのなかでは、優れたトリートメント作用を付与しながら、トリートメント後の毛髪の感触を軽くする観点から、A剤→B剤→C剤、C剤→B剤→A剤、A剤→C剤→B剤が好ましい。
【0086】
本多剤式毛髪化粧料の適用方法は限定されず、第1剤及び第2剤を各々、例えば、櫛、ブラシ、ヘラ等の道具を用いて毛髪に塗布することができる。更に、使用者の手を用いて毛髪に塗布することができる。更には、ミスト、エアゾール、フォーム等として毛髪に噴霧して塗布することができる。その他、含浸(ディップ)、コーティング、浸透等の操作により適用することができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、本多剤式毛髪化粧料は、水や温湯で濡れた状態の毛髪に適用されてもよいし、乾いた毛髪に適用されてもよい。
【0087】
また、毛髪に対して毛髪化粧料を適用した後に、当該毛髪化粧料を洗い流したうえで次の毛髪化粧料を適用してもよいし、毛髪に対して毛髪化粧料を適用した後に、当該毛髪化粧料を洗い流さずに次の毛髪化粧料を重ねて適用してもよい。これらのうちでは、洗い流さないまま次の毛髪化粧料を適用した方が、感触の軽やかさの観点からより好ましい。更に、多剤式毛髪化粧料を構成する全ての毛髪化粧料を適用後は、洗い流してもよいし、洗い流さなくてもよい。
【実施例0088】
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。
【0089】
[1]多剤式毛髪化粧料の調製(1)
(1)低粘度化粧料「A剤」の調製
下記表1に示す質量割合で混合することにより、低粘度化粧料「A剤」を得た。具体的には、防腐剤以外の各成分を容器に入れ、80℃で溶解し、40℃に冷却して混合物を得た。その後、得られた混合物に防腐剤を添加し、合計100%となるように精製水を加えて低粘度化粧料「A剤」を得た。混合機には「乳化試験器ET-SA型」(日光ケミカルズ社製)を用いた。
【0090】
【0091】
(2)低粘度化粧料「B剤」の調製
下記表2に示す質量割合で混合することにより、低粘度化粧料「B剤」を得た。具体的には、防腐剤及びアニオン性成分以外の各成分を容器に入れ、80℃で溶解し、40℃に冷却して混合物を得た。その後、得られた混合物に防腐剤及びアニオン性成分を添加し、合計100%となるように精製水を加えて低粘度化粧料「B剤」を得た。混合機には「乳化試験器ET-SA型」(日光ケミカルズ社製)を用いた。
【0092】
【0093】
(3)低粘度化粧料「C剤」の調製
下記表3に示す質量割合で混合することにより、低粘度化粧料「C剤」を得た。具体的には、防腐剤以外の各成分を容器に入れ、80℃で溶解し、40℃に冷却して混合物を得た。その後、得られた混合物に防腐剤を添加し、合計100%となるように精製水を加えて低粘度化粧料「C剤」を得た。混合機には「乳化試験器ET-SA型」(日光ケミカルズ社製)を用いた。
【0094】
【0095】
(4)非低粘度化粧料「D剤」の調製
下記表4に示す質量割合で混合することにより、クリーム性状の非低粘度化粧料「D剤」を得た。混合機には「乳化試験器ET-SA型」(日光ケミカルズ社製)を用いた。
【0096】
【0097】
(5)非低粘度化粧料「E剤」の調製
下記表5に示す質量割合で混合することにより、クリーム性状の非低粘度化粧料「E剤」を得た。混合機には「乳化試験器ET-SA型」(日光ケミカルズ社製)を用いた。
【0098】
【0099】
(6)成分について
上記表1-5に示す各成分は、日本化粧品工業連合会成分表示名称リストに準じた名称、又は、INCI(INCI:International Nomenclature of Cosmetic Ingredient:化粧品原料国際命名法)に準じた名称により示した。
【0100】
[2]多剤式毛髪化粧料の使用(1)
(1)ダメージ毛束の調製
長さ10cmの未処理の黒髪の毛束(ビューラックス社製)を用意し、この毛束に対してブリーチ剤及びパーマ剤を各2回処理してダメージ毛束を得た。
(2)適用
前述したA剤~E剤の各毛髪化粧料を表6に示す適用順序により適用した。具体的には、各毛髪化粧料の塗布量が0.04gとなるように、ダメージ毛束1g対して毛髪化粧料を塗布した。即ち、実施例7~12及び比較例4~5では、第1剤を塗布し、その後、塗布した毛髪化粧料を洗い流さず、第2剤を塗布した。また、実施例1~6、実施例13~14及び比較例1~3では、第1剤を塗布し、その後、塗布した毛髪化粧料を洗い流さず、第2剤を塗布し、その後、塗布した毛髪化粧料を洗い流さず、第3剤を塗布した。更に、実施例15では、第1剤を塗布し、その後、塗布した毛髪化粧料を洗い流さず、第2剤を塗布し、その後、塗布した毛髪化粧料を洗い流さず、第3剤を塗布し、その後、塗布した毛髪化粧料を洗い流さず、第4剤を塗布した。また、実施例16は、第1剤を塗布し、その後、塗布した毛髪化粧料を洗い流さず、第2剤を塗布し、その後、塗布した毛髪化粧料を洗い流さず、第3剤を塗布した。その後、一度洗い流しを、精製水100gを用いて、10回行った後、第4剤と第5剤との重ね塗りを行った。表6の各例に示す全ての毛髪化粧料の適用を終えた後、ダメージ毛束を、精製水各100gを用いて10回洗浄した。その後、ヘアドライヤーを用いて毛束を乾燥させて、実施例1~16及び比較例1~5の評価用毛束を得た。
【0101】
【0102】
(3)評価
(3-1)軽やかさの評価
上記[2](2)により得られた実施例1~16及び比較例1~5の評価用毛束に関して、以下の評価を行った。即ち、べたつきのない軽やかさについて5名の専門パネリストによって評価した。評価は、下記5段階の基準を用いた。具体的には、各パネリストが自身の感触に最も近い評価に対応する評点を選択し、5名のパネリストの選択した各評点の算術平均を算出し、当該算術平均値を小数点以下1桁で四捨五入した値を表6の「軽やかさ」の欄に示した。
「5」:べたつきがなく非常に軽やか
「4」:べたつきがほとんどなく軽やか
「3」:べたつきが少なくやや軽やか
「2」:べたつきがやや感じられ重い
「1」:べたつきが感じられ非常に重い
【0103】
(3-2)まとまりの評価
上記[2](2)により得られた実施例1~16及び比較例1~5の評価用毛束に関して、以下の評価を行った。即ち、髪のまとまりについて5名の専門パネリストによって評価した。評価は、下記5段階の基準を用いた。具体的には、各パネリストが自身の感触に最も近い評価に対応する評点を選択し、5名のパネリストの選択した各評点の算術平均を算出し、当該算術平均値を小数点以下1桁で四捨五入した値を表6の「まとまり」の欄に示した。
「5」:かなりまとまりがある
「4」:ややまとまりがある
「3」:ある程度まとまりがある
「2」:ややまとまりにくい
「1」:まとまりにくい
【0104】
[3]多剤式毛髪化粧料の調製(2)
(1)毛髪化粧料「A剤」のバリエーションの調製
上記表1に示す成分のうち、カチオン性成分のみを下記表7の通りに変更した以外は、上記[1](1)と同様にして、毛髪化粧料「A剤」のバリエーションを調製した。
【0105】
(2)毛髪化粧料「B剤」のバリエーションの調製
上記表2に示す成分のうち、アニオン性成分のみを下記表7の通りに変更した以外は、上記[1](2)と同様にして、毛髪化粧料「B剤」のバリエーションを調製した。
【0106】
(3)毛髪化粧料「C剤」のバリエーションの調製
上記表3に示す成分のうち、カチオン性成分のみを下記表7の通りに変更した以外は、上記[1](3)と同様にして、毛髪化粧料「C剤」のバリエーションを調製した。
【0107】
[4]多剤式毛髪化粧料の使用(2)
(1)多剤式毛髪化粧料の適用
前述したA剤~E剤の各毛髪化粧料を表7に示す適用順序(A剤→B剤→C剤→D剤→E剤)により適用した。具体的には、A剤~E剤の各塗布量が0.04gとなるようにダメージ毛束1g対してA剤を塗布した後、塗布したA剤を洗い流さず、B剤を塗布し、次いで、塗布したB剤を洗い流さず、C剤を塗布し、次いで、塗布したC剤を洗い流さず、D剤を塗布した。その後、一度洗い流しを、精製水100gを用いて、10回行った後、E剤を塗布した。全ての毛髪化粧料の適用を終えた後、ダメージ毛束を、精製水各100gを用いて10回洗浄した。その後、ヘアドライヤーを用いて毛束を乾燥させて、実施例17~27の評価用毛束を得た。
【0108】
【0109】
(2)評価
(2-1)軽やかさの評価
上記[4](1)により得られた実施例17~27の評価用毛束に関して、以下の評価を行った。即ち、べたつきのない軽やかさについて5名の専門パネリストによって評価した。評価は、下記5段階の基準を用いた。具体的には、各パネリストが自身の感触に最も近い評価に対応する評点を選択し、5名のパネリストの選択した各評点の算術平均を算出し、当該算術平均値を小数点以下1桁で四捨五入した値を表7の「軽やかさ」の欄に示した。
「5」:かなりべたつきがなく軽やか
「4」:ややべたつきがなく軽やか
「3」:ある程度軽やか
「2」:ややべたつきがあって重い
「1」:かなりべたつきがあって重い
【0110】
(2-2)まとまりの評価
上記[4](1)により得られた実施例17~27の評価用毛束に関して、以下の評価を行った。即ち、髪のまとまりについて5名の専門パネリストによって評価した。評価は、下記5段階の基準を用いた。具体的には、各パネリストが自身の感触に最も近い評価に対応する評点を選択し、5名のパネリストの選択した各評点の算術平均を算出し、当該算術平均値を小数点以下1桁で四捨五入した値を表7の「まとまり」の欄に示した。
「5」:かなりまとまりがある
「4」:ややまとまりがある
「3」:ある程度まとまりがある
「2」:ややまとまりにくい
「1」:まとまりにくい
【0111】
[5]実施例の効果
表6の比較例4~5は、低粘度化粧料とクリーム剤型の非低粘度化粧料とを重ね塗りした例である。これに対して、比較例1~3は、低粘度化粧料を適用した後に、2種のクリーム剤型の非低粘度化粧料を重ね塗りした例である。このように、クリーム剤型の毛髪化粧料を重ね塗りすると、優れたまとまりが向上されることが分かる。その一方で、毛髪の感触にべたつきを生じるとともに、重くなってしまうという問題がある。これに対して、実施例1~16では、いずれも低粘度化粧料を重ね塗りしている。その結果、いずれの例でも軽やかさの評価が飛躍的向上されていることが分かる。その一方、実施例1~16のいずれの例でも、まとまりの評価は3以上を維持しており、重くなり過ぎることなく、軽やかさをもちながらも、毛先までのまとまり感を付与できることが分かる。そのなかでも、実施例1~6のように、3剤の低粘度化粧料を重ね塗りした例では、軽やかさの点において優れた感触を有しながら、まとまりの評価を4以上に維持して、優れた毛先までのまとまり感を付与できており、とりわけ、実施例1において優れた効果を奏することが分かる。
【0112】
更に、前述の通り、比較例1~5のように、低粘度化粧料の重ね塗りがない例では、重くなってしまうという問題があるが、対して、実施例15~16のように、低粘度化粧料の重ね塗りを含んだ例では、軽やかさの評価を飛躍的に向上させることができることが分かる。そして、実施例16のように、低粘度化粧料の重ね塗り後に、非低粘度化粧料であるD及びEを利用しても、重くならず、軽やかさを維持していることが分かる。そして、実施例7では、A剤→B剤の重ね塗りで優れた軽やかさが得られるものの、まとまりについては更なる向上の余地がある。また、実施例13では、A剤→B剤→D剤の重ね塗りで優れたまとまりが得られるものの軽やかさについては更なる向上の余地を生じてしまうことが分かる。対して、実施例15~16のようにA剤→B剤→C剤の重ね塗りを含みつつ、D剤及びE剤を適用した場合には、優れた軽やかさと優れたまとまりとを両立できることが分かる。このように、低粘度化粧料をカチオン性成分→アニオン性成分→カチオン性成分の順序で適用した場合に、軽やかさとまとまりを高度に両立できることが分かる。これは、アニオン性成分、特にケラチン又はその加水分解物が低粘度化粧料内に配合されているため、アニオン性成分による作用が、非低粘度化粧料内に配合されている場合に比べて優れるのではないかと考えられる。