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特開2024-180158ポリウレタン樹脂組成物および建材の隅部構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180158
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ポリウレタン樹脂組成物および建材の隅部構造
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/30 20060101AFI20241219BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20241219BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20241219BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20241219BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20241219BHJP
   C08K 9/00 20060101ALI20241219BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20241219BHJP
   E04F 13/14 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C08G18/30 070
C08G18/10
C08G18/08 038
C08G18/08 042
C08L75/04
C08L71/02
C08K9/00
C08K3/26
E04F13/14 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099639
(22)【出願日】2023-06-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年3月9日、16日、および23日に、株式会社サンコーキカイに販売した。 令和5年3月23日に、サンライズ株式会社に販売した。 令和5年6月7日に、ダイヤ化成株式会社に販売した。
(71)【出願人】
【識別番号】000105648
【氏名又は名称】コニシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 勇樹
【テーマコード(参考)】
2E110
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
2E110AA26
2E110AA47
2E110AA57
2E110AB04
2E110AB26
2E110BA13
2E110EA01
2E110EA09
2E110GA33W
2E110GB54Z
4J002CH022
4J002CK031
4J002CK041
4J002CK051
4J002DE238
4J002DJ017
4J002ED026
4J002ED036
4J002FB097
4J002FD017
4J002FD018
4J002FD022
4J002FD026
4J002GJ01
4J002GJ02
4J002GL00
4J034BA03
4J034CE01
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB04
4J034DB05
4J034DB07
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF02
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG14
4J034DP12
4J034DP18
4J034HA01
4J034HA04
4J034HA06
4J034HA07
4J034HB03
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC22
4J034HC45
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA01
4J034JA32
4J034JA42
4J034KB02
4J034KC17
4J034KD01
4J034KD02
4J034LB02
4J034MA04
4J034MA24
4J034QA03
4J034QB12
4J034QB14
4J034RA08
4J034RA10
(57)【要約】
【課題】端部に傾斜面を有する2つの窯業系サイディング材の傾斜面同士を貼り合わせて硬化した際の、硬化物の強度が高く、且つ硬化物を破壊した際の破壊状態が良好であるポリウレタン樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明のポリウレタン樹脂組成物は、(A)ウレタンプレポリマー、(B)親水性希釈剤、(C)表面処理シリカ、および(D)炭酸カルシウムを含み、端部に傾斜面を有し、前記傾斜面同士を貼り合わせて隅部を形成するための2つの窯業系サイディング材の前記貼り合わせ用途である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ウレタンプレポリマー、(B)親水性希釈剤、(C)表面処理シリカ、および(D)炭酸カルシウムを含み、
それぞれが端部に有する傾斜面同士を貼り合わせて隅部を形成するための2つの窯業系サイディング材の前記貼り合わせ用途である、ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
(C)表面処理シリカはトリメチルシリル基処理シリカである、請求項1に記載のポリウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
(B)親水性希釈剤はヒドロキシ基を有しないポリエーテル系溶剤である、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
(B)親水性希釈剤は下記式(1)で表される化合物である、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
1-X1-(O-R3n-O-X2-R2 (1)
[式(1)中、R1およびR2は、同一または異なって、一価の炭化水素基を示し、R3は二価の炭化水素基を示し、X1およびX2は、同一または異なって、単結合またはカルボニル基を示し、nは1以上の整数を示す。]
【請求項5】
(D)炭酸カルシウムは、粒度分布において0.5~50μmの間にピークトップを有する、請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
【請求項6】
前記2つの窯業系サイディング材と、前記2つの窯業系サイディング材の前記傾斜面同士を接着する請求項1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物の硬化物とを備え、
前記2つの窯業系サイディング材の前記傾斜面同士が突き合せられて前記隅部が形成される、建材の隅部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリウレタン樹脂組成物および建材の隅部構造に関する。より詳細には、本発明は、それぞれが端部に有する傾斜面同士を貼り合わせて隅部を形成するための2つの窯業系サイディング材の貼り合わせに用いられるポリウレタン樹脂組成物、および、当該ポリウレタン樹脂組成物により2つの窯業系サイディング材が貼り合わせられた建材の隅部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建材の隅部(コーナー部)は、端部に傾斜面を有する窯業サイディング材同士が接着剤を介して貼り合わさった構造となっている。このような窯業系サイディングの貼り合わせには、作業効率の向上を目的として、高周波誘電加熱を利用した接着方法が提案されている(例えば特許文献1~3参照)。高周波誘電加熱を利用した接着方法は、水分を含む窯業系サイディング材同士を湿気硬化型ポリウレタン樹脂系接着剤を介して密着させた後、高周波加熱を施すことで当該ポリウレタン樹脂系接着剤を硬化させ、窯業系サイディング材を接着する。
【0003】
特許文献1には、分子鎖にポリオキシエチレン基を有する高分子化合物を含む湿気硬化型ポリウレタン系接着剤によれば極めて短時間で硬化して窯業系サイディング材を接着すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-129129号公報
【特許文献2】特開2013-14676号公報
【特許文献3】特開2011-74322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記接着剤には、窯業系サイディング材が接着した状態において、衝撃を受けた場合であっても接着性に優れることが求められる。しかしながら、従来の接着剤を用いて硬化し接着させた窯業系サイディング材は、接着面に衝撃を与えて破壊させた際、窯業系サイディング材表面で破壊されており破壊状態が悪く、接着性が充分ではなかった。接着剤に希釈剤を添加することにより、接着剤の窯業系サイディング材への浸透性が向上し、破壊状態の改善を図れるが、硬化物の強度は脆弱となる。
【0006】
従って、本発明の目的は、端部に傾斜面を有する2つの窯業系サイディング材の傾斜面同士を貼り合わせて硬化した際の、硬化物の強度が高く、且つ硬化物を破壊した際の破壊状態が良好であるポリウレタン樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、硬化物の強度が高く、且つ硬化物を破壊した際の破壊状態が良好である建材の隅部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ウレタンプレポリマー、親水性希釈剤、表面処理シリカ、および炭酸カルシウムを含むポリウレタン樹脂組成物によれば、端部に傾斜面を有する2つの窯業系サイディング材の傾斜面同士を貼り合わせて硬化した際の、硬化物の強度が高く、且つ硬化物を破壊した際の破壊状態が良好であることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものに関する。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)ウレタンプレポリマー、(B)親水性希釈剤、(C)表面処理シリカ、および(D)炭酸カルシウムを含み、それぞれが端部に有する傾斜面同士を貼り合わせて隅部を形成するための2つの窯業系サイディング材の上記貼り合わせ用途である、ポリウレタン樹脂組成物を提供する。
【0009】
(C)表面処理シリカはトリメチルシリル基処理シリカであることが好ましい。
【0010】
(B)親水性希釈剤はヒドロキシ基を有しないポリエーテル系溶剤であることが好ましい。
【0011】
(B)親水性希釈剤は下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
1-X1-(O-R3n-O-X2-R2 (1)
[式(1)中、R1およびR2は、同一または異なって、一価の炭化水素基を示し、R3は二価の炭化水素基を示し、X1およびX2は、同一または異なって、単結合またはカルボニル基を示し、nは1以上の整数を示す。]
【0012】
(D)炭酸カルシウムは、粒度分布において0.5~50μmの間にピークトップを有することが好ましい。
【0013】
また、本発明は、上記2つの窯業系サイディング材と、上記2つの窯業系サイディング材の上記傾斜面同士を接着する上記ポリウレタン樹脂組成物の硬化物とを備え、
上記2つの窯業系サイディング材の上記傾斜面同士が突き合せられて上記隅部が形成される、建材の隅部構造を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のポリウレタン樹脂組成物によれば、端部に傾斜面を有する2つの窯業系サイディング材の傾斜面同士を貼り合わせて硬化した際の、硬化物の強度が高く、且つ硬化物を破壊した際の破壊状態が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[ポリウレタン樹脂組成物]
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、(A)ウレタンプレポリマー、(B)親水性希釈剤、(C)表面処理シリカ、および(D)炭酸カルシウムを少なくとも含む。
【0016】
((A)ウレタンプレポリマー)
(A)ウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオールと、必要に応じてその他の成分とを反応させて得られる、イソシアネート基を末端に有するプレポリマーである。(A)ウレタンプレポリマーは、一種のみを使用してもよく、二種以上を使用してもよい。
【0017】
上記ポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート等のイソシアネート基を2以上有する化合物が挙げられ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0018】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,7-ヘプタメチレンジイソシアネート、1,8-オクタメチレンジイソシアネート、1,9-ノナメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0019】
上記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0020】
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジメチルビフェニル(トリジンジイソシアネート(TODI))、4,4'-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート(PPDI)等の芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0021】
上記ポリイソシアネートとしては、中でも、芳香族ジイソシアネートが好ましく、より好ましくはMDIである。MDIとしては、2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックMDIなどが挙げられる。
【0022】
(A)ウレタンプレポリマーを構成するイソシアネート中の芳香族ジイソシアネート(特にMDI)の割合は、上記ポリイソシアネートの総量100モル%に対して、60モル%以上が好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。
【0023】
上記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリルポリオールなどが挙げられる。
【0024】
上記ポリオールとしては、中でも、ポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、(ポリ)オキシアルキレン基を有することが好ましい。上記(ポリ)オキシアルキレンとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリプロピレングリコールなどが挙げられる。上記ポリオキシアルキレンとしては、中でも、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコールが好ましく、より好ましくは(ポリ)プロピレングリコールである。上記(ポリ)オキシアルキレンは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0025】
上記(ポリ)オキシアルキレン基を有するポリエーテルポリオールは、例えば、ヒドロキシ基を2以上有する化合物(多価アルコール)に(ポリ)アルキレンオキシドを付加またはアルキレンオキシドを重縮合して得られる。上記多価アルコールとしては、例えば、ポリオキシプロピレントリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、グルコース、ソルビトール、スクロースなどが挙げられる。上記多価アルコールは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0026】
上記ポリオールのヒドロキシ基の数は、特に限定されないが、2~4が好ましく、より好ましくは3(すなわちトリオール)である。
【0027】
上記ポリオールの数平均分子量は、通常、500以上であり、好ましくは500~10000、より好ましくは600~6000、さらに好ましくは800~4000である。
【0028】
(A)ウレタンプレポリマーを構成するポリオール中のポリエーテルポリオールの割合は、上記ポリオールの総量100モル%に対して、60モル%以上が好ましく、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上である。
【0029】
(A)ウレタンプレポリマーは、ヒドロキシ基に対するイソシアネート基のモル比[NCO/OH]が、2.0~18.0が好ましく、より好ましくは2.2~15.0である。上記モル比が2.0以上であると、ウレタンプレポリマーが連結体を形成するのを抑制し、粘度を低く抑えることができる。上記モル比が18.0以下であると、硬化時(特に、高周波誘電過熱による硬化の際)の発泡がより起こりにくい。
【0030】
上記ウレタンプレポリマーは、上記芳香族ポリイソシアネートと上記ポリオールと、必要に応じてその他の成分とを反応させて得られる。上記反応は、公知乃至慣用の方法により行うことができる。
【0031】
((B)親水性希釈剤)
(B)親水性希釈剤は、常温で液状(液体)であり、ポリウレタン樹脂組成物に流動性を付与し、また親水性であることで被着体である窯業系サイディング材への浸透性を向上させ、窯業サイディング材同士の接着性および破壊状態を向上させる。さらに、流動性が向上することでポリウレタン樹脂組成物の取り扱いが容易であり、作業性に優れる。(B)親水性希釈剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用しもよい。
【0032】
(B)親水性希釈剤は、(A)ウレタンプレポリマーとの反応を生じない観点から、ヒドロキシ基等のイソシアネート基と反応性を有する基を有しないことが好ましい。また、(B)親水性希釈剤は、2以上のエーテル結合を有する溶剤(ポリエーテル系溶剤)が好ましい。
【0033】
(B)親水性希釈剤は下記式(1)で表される化合物であることが好ましい。
1-X1-(O-R3n-O-X2-R2 (1)
【0034】
式(1)中、R1およびR2は、同一または異なって、一価の炭化水素基を示す。上記一価の炭化水素基としては、直鎖または分岐鎖状の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などが挙げられる。上記一価の炭化水素基の炭素数は、1~10が好ましく、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4、特に好ましくは1である。
【0035】
式(1)中、R3は二価の炭化水素基を示す。上記二価の炭化水素基としては、直鎖または分岐鎖状の炭化水素基(アルケニル基、アルキニル基等)が好ましい。上記二価の炭化水素基の炭素数は、1~4が好ましく、より好ましくは2~4、さらに好ましくは2~3である。
【0036】
式(1)中、X1およびX2は、同一または異なって、単結合またはカルボニル基(-C(=O)-)を示す。X1が単結合である場合、R1と式(1)中の括弧内のOとが直接結合する。X2が単結合である場合、R2と式(1)中の括弧外のOとが直接結合する。式(1)中、nは1以上の整数を示し、好ましくは1~8、より好ましくは1~5である。
【0037】
式(1)中の(O-R3)としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールなどが挙げられる。中でも、エチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。
【0038】
式(1)で表される化合物としては、(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル、(ポリ)アルキレングリコールアセテートなどが挙げられる。(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテルなどが挙げられる。(ポリ)アルキレングリコールアセテートとしては、例えば、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテートなどが挙げられる。
【0039】
(B)親水性希釈剤としては、上記式(1)で表される化合物の他、N_メチル-2-ピロリドン(NMP)などを使用することもできる。
【0040】
(B)親水性希釈剤は、水に混合した際の水溶性が、(B)親水性希釈剤および水の総量(100質量%)に対して、20質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上である。上記水溶性の値[質量%]は、(B)親水性希釈剤を水に混合した際において相分離を生じない限界の濃度をいう。
【0041】
(B)親水性希釈剤は、引火点が40℃以上であることが好ましく、より好ましくは50℃以上である。上記引火点が40℃以上であると、高周波誘電加熱を採用することが可能である。
【0042】
((C)表面処理シリカ)
(C)表面処理シリカは、未処理シリカ(親水性シリカ)が表面処理された疎水性シリカである。(C)表面処理シリカを配合することで、硬化物の強度が高く、且つ硬化物を破壊した際の破壊状態が良好となる。(C)表面処理シリカは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用しもよい。
【0043】
(C)表面処理シリカは、表面に疎水性基を有することが好ましい。上記疎水性基としては、ケイ素元素を含む基が好ましい。上記ケイ素原子を含む基としては、例えば、シラノール基、ジメチルシリル基等のジアルキルシリル基、オクチルシリル基等のモノアルキルシリル基、トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基、ジメチルポリシロキサンを含む基などが挙げられる。上記疎水性基としては、中でも、トリアルキルシリル基、ジメチルポリシロキサンを含む基が好ましく、より好ましくはトリメチルシリル基、ジメチルポリシロキサンを含む基である。すなわち、(C)表面処理シリカはトリメチルシリル基処理シリカ、ジメチルポリシロキサン処理シリカであることが好ましい。
【0044】
(C)表面処理シリカの比表面積(表面処理前)は、例えば60~500m2/gであり、好ましくは80~300m2/gである。
【0045】
((D)炭酸カルシウム)
(D)炭酸カルシウムを配合することで、ポリウレタン樹脂組成物が窯業系サイディング材に浸透しすぎるのを抑制して窯業系サイディング材間にポリウレタン樹脂組成物を適度に残留させ、破壊状態が良好となる。また、硬化物の凝集力が向上し、強度が向上する。(D)炭酸カルシウムは、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用しもよい。
【0046】
(D)炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウムであってもよいし、軽質炭酸カルシウムであってもよい。ここで、「重質炭酸カルシウム」とは、CaCO3を主成分とする天然原料(石灰石等)を機械的に粉砕(乾式法、湿式法等)して得られる炭酸カルシウムである。「軽質炭酸カルシウム」とは、合成法(化学的沈殿反応等)により調製された炭酸カルシウムである。
【0047】
(D)炭酸カルシウムは、表面処理が施された表面処理炭酸カルシウムであってもよいし、表面処理が施されていない未処理炭酸カルシウムであってもよい。また、(D)炭酸カルシウムは、粘度上昇を抑制する観点から、加熱脱水済みのものを使用してもよい。
【0048】
(D)炭酸カルシウムは、粒度分布において0.5~50μm(好ましくは1~50μm、より好ましくは10~50μm、さらに好ましくは15~40μm)の間にピークトップを有することが好ましい。(D)炭酸カルシウムの粒子径が0.5μm以上(特に1μm以上)であると、ポリウレタン樹脂組成物の粘度を適度とし、適度な流動性とすることができる。
【0049】
(その他の成分)
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、(A)ウレタンプレポリマー、(B)親水性希釈剤、(C)表面処理シリカ、および(D)炭酸カルシウム以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、窯業系サイディング材の貼り合わせに使用される接着剤が含み得る公知乃至慣用の成分が挙げられ、例えば、(A)ウレタンプレポリマー以外の樹脂、イソシアネート化合物、ポリオール化合物、硬化剤、可塑剤、(C)表面処理シリカおよび(D)炭酸カルシウム以外の充填剤、シランカップリング剤、触媒、脱水剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、発泡剤などが挙げられる。上記その他の成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用しもよい。本発明のポリウレタン樹脂組成物中の希釈剤の総量(100質量%)に対する(B)親水性希釈剤の割合は、50質量%超が好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上であってもよい。また、本発明のポリウレタン樹脂組成物中のシリカの総量(100質量%)に対する(C)表面処理シリカの割合は、40質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%超であり、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上であってもよい。また、充填剤の総量(100質量%)に対する(C)表面処理シリカおよび(D)炭酸カルシウムの合計割合は、50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上であってもよい。
【0050】
上記イソシアネート化合物としては、上述の(A)ウレタンプレポリマーを構成するポリイソシアネートとして例示および説明されたものが挙げられる。上記イソシアネート化合物としては、中でも、芳香族ジイソシアネートが好ましく、より好ましくはMDIである。上記イソシアネート化合物と(A)ウレタンプレポリマーを構成するポリイソシアネートとは、同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0051】
本発明のポリウレタン樹脂組成物中の上記イソシアネート化合物の含有量は、(A)ウレタンプレポリマーの総量100質量部に対して、10~100質量部が好ましく、より好ましくは20~80質量部、さらに好ましくは40~60質量部である。
【0052】
(ポリウレタン樹脂組成物)
本発明のポリウレタン樹脂組成物の粘度は、常温において、200~300Pa・sが好ましく、より好ましくは220~280Pa・s、さらに好ましくは230~270Pa・sである。上記粘度は、JIS K6833の粘度測定方法に準じ、BH型粘度計20回転/分にて測定することができる。
【0053】
本発明のポリウレタン樹脂組成物の粘性(2回転/分にて測定した粘度と20回転/分で測定した粘度の比、[前者/後者])は、常温において、3以上が好ましく、より好ましいくは4以上である。
【0054】
本発明のポリウレタン樹脂組成物中の、イソシアネート成分(イソシアネート基を有する化合物)のイソシアネート基の割合(NCO%)は、NCO質量%で10~30%が好ましく、より好ましくは15~25%、さらに好ましくは18~23%である。この範囲であれば、硬化反応がよりいっそう適度に進行する。
【0055】
(A)ウレタンプレポリマーのNCO%は下記式により求められる値である。そして、本発明のポリウレタン樹脂組成物が複数のイソシアネート成分((A)ウレタンプレポリマー、上記イソシアネート化合物など)を含む場合、本発明のポリウレタン樹脂組成物中のイソシアネート基の割合は、各イソシアネート成分のNCO%の加重平均として算出される値である。
(A)ウレタンプレポリマーのNCO%=[42×(a×原料ポリイソシアネートの平均NCO%/4200-b×原料ポリオールの平均水酸基価/56100)/(a+b)]
a・・・(A)ウレタンプレポリマーを構成するポリイソシアネート(原料ポリイソシアネート)の総量(質量部)
b・・・(A)ウレタンプレポリマーを構成するポリオール(原料ポリオール)の総量(質量部)
【0056】
本発明のポリウレタン樹脂組成物は、それぞれが端部に有する傾斜面同士を貼り合わせて隅部を形成するための2つの窯業系サイディング材(窯業系サイディングコーナー材)の上記貼り合わせ用に使用される。
【0057】
本発明のポリウレタン樹脂組成物は硬化性を有することが好ましい。上記硬化としては、例えば、活性エネルギー線照射による硬化、熱による硬化(熱硬化)、湿気による硬化(湿気硬化)、二液反応型の硬化(二液反応硬化)などが挙げられる。なお、常温で硬化が進行する場合等は、活性エネルギー線照射や加熱等の硬化処理を別途行う必要はない。本発明のポリウレタン樹脂組成物は湿気硬化型(一液湿気硬化型)であることが好ましい。
【0058】
本発明のポリウレタン樹脂組成物によれば、端部に傾斜面を有する2つの窯業系サイディング材の傾斜面同士を貼り合わせて硬化した際の、硬化物の強度が高く、且つ硬化物を破壊した際の破壊状態が良好である。このため、窯業系サイディング材の接着面にプライマー層を設けなくても、接着性が高く破壊状態が良好である建材の隅部構造を作製することができる。
【0059】
[建材の隅部構造]
本発明のポリウレタン樹脂組成物を接着剤として用いて上記2つの窯業系サイディング材の傾斜面同士を貼り合わせることにより、建材の隅部構造を作製することができる。上記建材の隅部構造は、上記2つの窯業系サイディング材と、上記2つの窯業系サイディング材の上記傾斜面同士を接着する本発明のポリウレタン樹脂組成物の硬化物とを備え、上記2つの窯業系サイディング材の上記傾斜面同士が突き合せられて上記隅部が形成された構造を有する。
【0060】
上記2つの窯業系サイディング材は、それぞれ、少なくとも一方の端部に傾斜面を有する。上記傾斜面は、直方体の一端を斜めに切り落として現れる形状である。上記2つの窯業サイディング材のうちの少なくとも一方は、炭酸ガス透過性を有することが好ましい。本発明のポリウレタン樹脂組成物が湿気硬化型である場合、硬化する際に発生する炭酸ガスを透過して外部へ放出させるためである。炭酸ガス透過性を有する窯業系サイディング材としては、例えば、繊維石膏板、珪酸カルシウム板、磁器タイル、軽量発泡コンクリート、木質セメント板、複合不燃板等の各種無機質板が挙げられる。
【0061】
また、上記2つの窯業系サイディング材のうちの少なくとも一方は、水分を含有していることが好ましい。この場合、湿気硬化型のポリウレタン樹脂組成物は窯業系サイディング材中の水分により硬化する。また、高周波加熱を施す場合に湿気硬化型のポリウレタン樹脂組成物に水分を付与する必要がない。窯業系サイディング材の含水率は、3~70質量%が好ましく、より好ましくは5~20質量%、さらに好ましくは5~15質量である。
【0062】
上記建材の隅部構造は、例えば以下のようにして作製することができる。まず、貼り合わせる2つの窯業系サイディング材のうちの一方または両方の接着面(傾斜面)に本発明のポリウレタン樹脂組成物を塗布し、窯業系サイディング材の接着面同士を貼り合わせて圧着する。塗布量は100~300g/m2程度が好ましい。次いで、ポリウレタン樹脂組成物を硬化させる。硬化の方法はポリウレタン樹脂組成物の硬化性に応じて適宜選択される。また、高周波加熱を行ってもよい。高周波加熱により水分を加熱して湿気硬化を促進させることができる。高周波加熱を行う場合、あらかじめポリウレタン樹脂組成物に水分を付与してもよい。水分の付与量は、ポリウレタン樹脂組成物の質量に対して、1/10~1/2程度が好ましい。
【0063】
上記建材の隅部構造は、23℃、50%RHで1日養生したのち、20cmの高さから接着部(コーナー材頂上部)が下を向くように落下させたときの破壊が生じるまでの回数は、10回以上が好ましく、より好ましくは15回以上である。
【0064】
上記建材の隅部構造は、23℃、50%RHで1日養生したのち、接着部(コーナー材頂上部)が上を向くようへの字型に設置し、圧縮速度5mm/minで試験体の上部から圧縮したときの破壊が生じるまでの最大応力は、2500N以上が好ましく、より好ましくは3000N以上である。
【実施例0065】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0066】
実施例1
(ウレタンプレポリマーの調製)
混合容器内に、ポリオールとして、商品名「エクセノール3030」(3官能ポリエーテルポリオール、分子量3000、AGC株式会社製)300質量部、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(商品名「SBUイソシアネートG412」、住化コベストロウレタン株式会社製)441.7質量部を加え、90℃で2時間反応を行い、ウレタンプレポリマー(NCO%:18.31%)を得た(NCO/OH=11.8)。
【0067】
(ポリウレタン樹脂組成物の調製)
プラネタリーミキサー内に、上記で得られたウレタンプレポリマー300質量部、ポリメリックMDI(商品名「スミジュール44V20L」、住化コベストロウレタン株式会社製)150質量部、脱水剤としてのp-トルエンスルホニルイソシアネート10質量部、加熱脱水した重質炭酸カルシウム(商品名「NS#2300」(粒度分布のピークトップ:1.1μm)、日東粉化工業株式会社製)800質量部、親水性希釈剤としてジプロピレングリコールジメチルエーテル(商品名「プログライドDMM」、ダウ・ケミカル日本株式会社製)30質量部、触媒として錫触媒(商品名「ネオスタンU-130」、日東化成株式会社製)1.5質量部、およびヒュームドシリカ(商品名「AEROSIL RX200」、日本アエロジル株式会社製)22質量部を仕込み、減圧下、23℃で60分間混合して、1液湿気硬化型のポリウレタン樹脂組成物(NCO%:22.7%)を得た。
【0068】
実施例2~5、比較例1~3
表1に示すように各成分の種類や配合量を変更したこと以外は実施例1と同様にして1液湿気硬化型のポリウレタン樹脂組成物を調製した。なお、表中のヒュームドシリカおよび希釈剤は以下のとおりである。
<ヒュームドシリカ>
AEROSIL #200:商品名「AEROSIL #200」、未処理ヒュームドシリカ、比表面積200m2/g、日本アエロジル株式会社製
AEROSIL R974:商品名「AEROSIL R974」、ジメチルシリル処理ヒュームドシリカ、比表面積200m2/g、日本アエロジル株式会社製
AEROSIL RX200:商品名「AEROSIL RX200」、トリメチルシリル処理ヒュームドシリカ、比表面積200m2/g、日本アエロジル株式会社製
AEROSIL RX300:商品名「AEROSIL RX300」、トリメチルシリル処理ヒュームドシリカ、比表面積300m2/g、日本アエロジル株式会社製
AEROSIL RY200:商品名「AEROSIL RY200」、ジメチルポリシロキサン処理ヒュームドシリカ、比表面積200m2/g、日本アエロジル株式会社製
※比表面積は未処理時の値である。
<親水性希釈剤>
プログライドDMM:商品名「プログライドDMM」、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ダウ・ケミカル日本株式会社製
ハイソルブMPM:商品名「ハイソルブMPM」、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、平均分子量240、東邦化成工業株式会社製
<疎水性希釈剤>
アイソパーH:商品名「アイソパーH」、イソパラフィン系溶剤、エクソンモービル社製
【0069】
<評価>
実施例および比較例で得られたポリウレタン樹脂組成物について、以下の評価を行った。結果を表に示した。
【0070】
(窯業系サイディングコーナー材の貼り合わせ)
上記で得られたポリウレタン樹脂組成物をカートリッジに充填し、窯業系サイディングコーナー材(商品名「ネオロック」、ケイミュー株式会社製、長さ200mm、厚さ16mm、高さ95mm)の高さ方向の端部に設けられた傾斜面(縦23mm、横200mm)の片側に、カートリッジに充填されたポリウレタン樹脂組成物を塗布量が2.0~2.5gになるようカートリッジガンにてビード状に塗布し、ヘラで全体に均した。塗布後、窯業系サイディングコーナー材のもう片方の傾斜面をはり合わせ、直ちに高周波プレス機(商品名「YPC-5A」、山本ビニター株式会社製)に設置し、0.45A、35secの印加条件で高周波加熱を行い、ポリウレタン樹脂組成物を硬化させて接着を行い、試験体を作製した。
【0071】
(1)落下衝撃試験
貼り合わせ後、23℃、50%RHで1日養生したのち、試験体を20cmの高さから接着部(コーナー材頂上部)が下を向くように地面(コンクリート)に落下させ、破壊が生じるまでの回数とその破壊状態を評価した。破壊状態は以下の判断基準に従って評価した。
[判断基準]
○:被着体(窯業系サイディングコーナー材)の材料破壊
△:被着体の薄層材料破壊
×:接着部(ポリウレタン樹脂組成物の硬化物)の凝集破壊または被着体と接着部の界面で破壊
【0072】
(2)への字圧縮強さ試験
貼り合わせ後、23℃、50%RHで1日養生したのち、試験体を接着部(コーナー材頂上部)が上を向くようへの字型に設置し、万能試験機(商品名「オートグラフAG5000A型」、株式会社島津製作所製)を用いて圧縮速度5mm/minで試験体の上部から圧縮し、破壊が生じるまでの最大応力とその破壊状態を評価した。破壊状態は以下の判断基準に従って評価した。
[判断基準]
○:被着体(窯業系サイディングコーナー材)の材料破壊
△:被着体の薄層材料破壊
×:接着部(ポリウレタン樹脂組成物の硬化物)の凝集破壊または被着体と接着部の界面で破壊
【0073】
【表1】
【0074】
表1に示されるように、実施例のポリウレタン樹脂組成物を窯業系サイディング材の傾斜面同士の貼り合わせに使用した場合は、シリカを配合しなかった場合(比較例1)、シリカとして未処理ヒュームドシリカを用いた場合(比較例2)、および親水性希釈剤ではない希釈剤を用いた場合(比較例3)に対して、落下衝撃試験の回数が高く、またへの字圧縮強さ試験において最大応力が高く、硬化物の強度が高いと評価された。また、実施例では、比較例に対して、への字圧縮強さ試験の破壊状態が良好であり、硬化物を破壊した際の破壊状態が良好であると評価された。実施例の中でも、シリカとして、トリメチルシリル処理ヒュームドシリカやジメチルポリシロキサン処理ヒュームドシリカを使用した場合(実施例1,2,4,5)、破壊状態が特に良好であった。
【0075】
以下、本明細書に係る発明のバリエーションを記載する。
[付記1](A)ウレタンプレポリマー、(B)親水性希釈剤、(C)表面処理シリカ、および(D)炭酸カルシウムを含み、
それぞれが端部に有する傾斜面同士を貼り合わせて隅部を形成するための2つの窯業系サイディング材の前記貼り合わせ用途である、ポリウレタン樹脂組成物。
[付記2](C)表面処理シリカはトリメチルシリル基処理シリカである、付記1に記載のポリウレタン樹脂組成物。
[付記3](B)親水性希釈剤はヒドロキシ基を有しないポリエーテル系溶剤である、付記1または2に記載のポリウレタン樹脂組成物。
[付記4]B)親水性希釈剤は下記式(1)で表される化合物である、付記1~3のいずれか1つに記載のポリウレタン樹脂組成物。
1-X1-(O-R3n-O-X2-R2 (1)
[式(1)中、R1およびR2は、同一または異なって、一価の炭化水素基を示し、R3は二価の炭化水素基を示し、X1およびX2は、同一または異なって、単結合またはカルボニル基を示し、nは1以上の整数を示す。]
[付記5](D)炭酸カルシウムは、粒度分布において0.5~50μmの間にピークトップを有する、付記1~4のいずれか1つに記載のポリウレタン樹脂組成物。
[付記6]前記2つの窯業系サイディング材と、前記2つの窯業系サイディング材の前記傾斜面同士を接着する付記1~5のいずれか1つに記載のポリウレタン樹脂組成物の硬化物とを備え、
前記2つの窯業系サイディング材の前記傾斜面同士が突き合せられて前記隅部が形成される、建材の隅部構造。