(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180190
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】被膜形成性外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20241219BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/63 20060101ALI20241219BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/81
A61K8/41
A61K8/63
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099683
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118382
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 央子
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔太
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 友紀
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB052
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC541
4C083AC542
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC642
4C083AC692
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD312
4C083AD491
4C083AD492
4C083AD532
4C083CC02
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】エタノールと水を含む外用組成物であって、実用上十分な密着性を有する被膜を皮膚表面に形成することができ、かつハンドリング性に優れたものを提供する。
【解決手段】(A)ポリビニルアルコール、(B)ポリアクリル酸又はその誘導体、(C)アルカノールアミン、(D)エタノール、及び(E)水を含む外用組成物。この外用組成物は、さらに有効成分を含むことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリビニルアルコール、(B)ポリアクリル酸又はその誘導体、(C)アルカノールアミン、(D)エタノール、及び(E)水を含む外用組成物。
【請求項2】
(A)ポリビニルアルコール、(B)ポリアクリル酸又はその誘導体、(C)アルカノールアミン、(D)エタノール、及び(E)水を含み、塗布後に被膜を形成する外用組成物。
【請求項3】
(D)成分と(E)成分の合計含有量が、外用組成物の全量に対して、70~97質量%である、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項4】
(A)成分と(B)成分の合計含有量が、外用組成物の全量に対して、2~6質量%である、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項5】
さらに、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含む、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項6】
さらに、ジフェンヒドラミン塩酸塩を含む、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項7】
さらに、イソプロピルメチルフェノールを含む、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エタノールと水を含む外用組成物であって、塗布後に体表面で被膜になる外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
塗布後に皮膚上で被膜を形成する外用組成物は、創傷などの患部を保護したり、外部からの刺激を遮断して痒みを抑えたり、皮膚の掻き壊しを防止したり、外用組成物の衣類への付着を防止したりする目的で使用されている。
一方、有効成分の種類によっては、外用組成物中に溶解させるために、エタノールや水のような溶媒を配合する必要があり、この場合、被膜が形成されなかったり、被膜の密着性が低下したりし易い。また、容器口からの吐出量を調整し難かったり、皮膚上で液ダレしたりするなど、ハンドリング性が悪い組成物となり易い。特に、エタノールは、皮膚や容器壁の表面での表面張力が低いため、組成物のハンドリング性を顕著に低下させるが、エタノールは油性成分を溶解させながらも水と相溶する点で利便性があり、場合によっては比較的多量に配合したい場合もある。
従って、エタノールと水を含む外用組成物であって、実用上十分な密着性を有する被膜を皮膚表面に形成することができ、かつハンドリング性に優れたものが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、エタノールと水を含む外用組成物であって、実用上十分な密着性を有する被膜を皮膚などの体表面に形成することができ、かつハンドリング性に優れたものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、外用組成物に、(D)エタノール、(E)水に加えて、(A)ポリビニルアルコール、(B)ポリアクリル酸又はその誘導体、及び(C)アルカノールアミンを配合すれば、皮膚などの体表面に塗布後に密着性良好な被膜を形成し、かつ、液ダレなどが生じ難い取り扱い容易な組成物になることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の〔1〕~〔2〕を提供する。
〔1〕 (A)ポリビニルアルコール、(B)ポリアクリル酸又はその誘導体、(C)アルカノールアミン、(D)エタノール、及び(E)水を含む外用組成物。
〔2〕 (A)ポリビニルアルコール、(B)ポリアクリル酸又はその誘導体、(C)アルカノールアミン、(D)エタノール、及び(E)水を含み、塗布後に被膜を形成することを特徴とする外用組成物。
【発明の効果】
【0005】
本発明の外用組成物は、エタノールと水を含むにも拘らず、皮膚などの体表面に塗布後に被膜を形成する。塗布時の使用感としては、密着感や膜感に優れ、その使用感が長時間維持される。
また、本発明の外用組成物は、エタノールと水、特に皮膚などの体表面や容器壁上での表面張力が小さいエタノールを含むにも拘らず、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸又はその誘導体、及びアルカノールアミンを組み合わせて含むことにより、皮膚などへの塗布時や塗布後に液ダレし難く、また、容器口から吐出する際にも液ダレし難く、吐出量の調整も容易である。本発明の外用組成物は、これらの点でハンドリング性が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の外用組成物は、(A)ポリビニルアルコール、(B)ポリアクリル酸又はその誘導体、(C)アルカノールアミン、(D)エタノール、及び(E)水を含む外用組成物である。
【0007】
(A)ポリビニルアルコール
ポリビニルアルコールは、ケン化していないもの、完全ケン化物、又は部分ケン化物を用いることができる。中でも、部分ケン化物が好ましい。部分ケン化ポリビニルアルコールのケン化度は、75%以上、82%以上、85%以上、又は86.5%以上とすることができ、また、95%以下、92%以下、又は89%以下とすることができる。この範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる。
【0008】
ポリビニルアルコールの濃度は、組成物の全量に対して、2質量%以上、2.5質量%以上、又は3質量%以上とすることができる。この範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる。また、ポリビニルアルコールの濃度は、組成物の全量に対して、5質量%以下、4質量%以下、又は3.5質量%以下とすることができる。この範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる。
【0009】
ポリビニルアルコールの含有量は、水1質量部に対して、0.04質量部以上、0.07質量部以上、又は0.08質量部以上とすることができる。この範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる。また、ポリビニルアルコールの含有量は、水1質量部に対して、0.1質量部以下、0.09質量部以下、又は0.087質量部以下とすることができる。この範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる。
【0010】
(B)ポリアクリル酸又はその誘導体
ポリアクリル酸又はその誘導体は、カルボン酸を含有するモノマーが重合した高分子である。 ポリアクリル酸又はその誘導体は、アルカノールアミンにより全部又は一部が中和されている。本実施形態の外用組成物中においてポリアクリル酸又はその誘導体は、エタノール又はエタノールと水を吸って膨潤している。
【0011】
ポリアクリル酸又はその誘導体は、非架橋型、架橋型の何れも使用できるが、架橋型のポリアクリル酸又はその誘導体が好ましい。架橋型ポリアクリル酸としては、カルボキシビニルポリマーが挙げられる。
ポリアクリル酸の誘導体としては、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー、アクリル酸アルキルコポリマー、アクリレーツコポリマー、アクリレーツクロスポリマー等が挙げられる。
ポリアクリル酸又はその誘導体は、1種又は2種以上を使用できる。
【0012】
ポリアクリル酸又はその誘導体の濃度は、組成物の全量に対して、0.1質量%以上、0.5質量%以上、又は0.8質量%以上とすることができる。また、3質量%以下、2質量%以下、又は1.5質量%以下とすることができる。この範囲であれば、適度な粘度の組成物が得られ、本発明の効果が十分に得られる。
【0013】
ポリアクリル酸又はその誘導体の含有量は、ポリビニルアルコール1質量部に対して、0.1質量部以上、0.2質量部以上、又は0.25質量部以上とすることができる。また、0.5質量部以下、0.4質量部以下、又は0.3質量部以下とすることができる。この範囲であれば、適度な粘度の組成物が得られ、本発明の効果が十分に得られる。
【0014】
ポリアクリル酸又はその誘導体の含有量は、エタノール1質量部に対して、0.005質量部以上、0.01質量部以上、0.015質量部以上、又は0.018質量部以上とすることができる。また、ポリアクリル酸の含有量は、エタノール1質量部に対して、0.035質量部以下、0.03質量部以下、0.025質量部以下、又は0.02質量部以下とすることができる。この範囲であれば、適度な粘度の組成物が得られ、本発明の効果が十分に得られる。
【0015】
ポリビニルアルコールとポリアクリル酸又はその誘導体の合計濃度は、組成物の全量に対して、2質量%以上、3.7質量%以上、又は4.2質量%以上とすることができる。この範囲であれば、十分な強度を有する被膜を形成することができる。また、ポリビニルアルコールとポリアクリル酸又はその誘導体の合計濃度は、組成物の全量に対して、6質量%以下、5質量%以下、4.5質量%以下とすることができる。この範囲であれば、適度な粘度の組成物が得られ、本発明の効果が十分に得られる。
【0016】
(C)アルカノールアミン
アルカノールアミンは、アミノ基とヒドロキシ基を含有するアルカンである。
アルカノールアミンとしては、モノメタノールアミン、モノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(トロメタミン)、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンのような1級アルカノールアミン;ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンのような2級アルカノールアミン;トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンのような3級アルカノールアミンなどが挙げられる。
【0017】
中でも、エタノールに溶解する点で、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミンが好ましく、トリエタノールアミンがより好ましい。
アルカノールアミンは、1種又は2種以上を使用できる。
アルカノールアミンは、組成物の粘度が所望の値になる量を添加すればよい。
【0018】
なお、本実施形態の外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、アルカノールアミン以外の塩基性成分(アルカノールアミン以外のアミンや、アミン以外の塩基性成分)を含むことができるが、含まないこともできる。アルカノールアミン以外の塩基性成分としては、例えば、無機塩基性成分、塩基性アミノ酸等が挙げられる。具体的には、外用組成物の塩基性pH調整剤として使用されるような水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア、グリシン、アルギニンなどが挙げられる。
【0019】
(D)エタノール
エタノールの濃度は、組成物の全量に対して、35質量%以上、45質量%以上、又は50質量%以上とすることができる。この範囲であれば、中和されたポリアクリル酸を膨潤させ易く、本発明の効果が十分に得られる。また、エタノールの濃度は、組成物の全量に対して、65質量%以下、58質量%以下、又は55質量%以下とすることができる。この範囲であれば、液ダレなどのハンドリング性の低下や、被膜密着性の低下が抑えられる。
【0020】
(E)水
水の濃度は、組成物の全量に対して、30質量%以上、38質量%以上、又は40.2質量%以上とすることができる。この範囲であれば、ポリビニルアルコールを溶解させ易く、本発明の効果が十分に得られる。また、水の濃度は、組成物の全量に対して、65質量%以下、52質量%以下、又は48質量%以下とすることができる。この範囲であれば、液ダレなどのハンドリング性の低下や、被膜密着性の低下が抑えられる。
水の含有量は、エタノール1質量部に対して、0.5質量部以上、0.7質量部以上、又は0.73質量部以上とすることができ、また、1.3質量部以下、1質量部以下、又は0.8質量部以下とすることができる。この範囲であれば、外用組成物中で、ポリビニルアルコールが水に溶解し、アクリル酸又はその誘導体がエタノール又はエタノールと水を吸って膨潤し、本発明の効果が十分に得られる。
【0021】
エタノールと水の合計濃度は、組成物の全量に対して、70質量%以上、85質量%以上、又は90質量%以上とすることができる。この範囲であれば、外用組成物中で、ポリビニルアルコールが水に溶解し、アクリル酸又はその誘導体がエタノール又はエタノールと水を吸って膨潤して、本発明の効果が十分に得られる。また、エタノールと水の合計濃度は、組成物の全量に対して、97質量%以下、96質量%以下、又は95.5質量%以下とすることができる。この範囲であれば、液ダレなどのハンドリング性の低下や、被膜密着性の低下が抑えられる。
【0022】
基剤・添加剤
本実施形態の外用組成物は、エタノール及び水の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、1種又は2種以上の基剤又は添加剤を含むことができる。
下記例示した基剤又は添加剤の中には、本発明の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、又は(E)成分に該当するものもあるが、これらの成分が、本発明の効果を奏する以外に、基剤又は添加剤としても機能し得ることを意味する。
【0023】
基剤又は添加剤としては、油性基剤、水性基剤、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、キレート剤、保存剤又は防腐剤、着色剤、香料などが挙げられる。
【0024】
油性基剤としては、極性油、非極性油が挙げられる。極性油としては、例えば、エステル油、油脂、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコール、フィトステロール、コレステロール等のステロール類等が挙げられる。非極性油としては、例えば、炭化水素油、シリコーン油等が挙げられる。
水性基剤としては、多価アルコールが挙げられる。多価アルコールとしては、ヒドロキシ基を2個以上有する低分子(非ポリマー)が挙げられ、例えば、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、デカンジオール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール等が挙げられる。
【0025】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコフェロール誘導体(酢酸トコフェロール等)、トコトリエノール、亜硫酸水素塩、次亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、L-システイン塩酸塩等が挙げられる。
【0026】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80等の硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンモノオレイルエーテル、グリセリンモノステリアルエーテルなどのグリセリンアルキルエーテル;オレイン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル;オレイン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-2、オレイン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10等のポリグリセリン脂肪酸エステル;ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸ポリオキシル55等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0027】
増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ベントナイト、ヒアルロン酸、アルギン酸、並びにセルロース系増粘剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロースなど)などが挙げられる。
【0028】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA-2Naなど)、カリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸等が挙げられる。中でも、エデト酸ナトリウムが好ましい。
【0029】
保存剤又は防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、チモール、イソプロピルメチルフェノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、グルコン酸クロルヘキシジン、メチルイソチアゾリン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、ピロ亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0030】
有効成分
本実施形態の外用組成物は、様々な有効成分(医薬有効成分、化粧品有効成分など)を配合することができる。有効成分としては、例えば、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗菌成分、抗真菌剤、局所麻酔剤、抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤、保湿剤、清涼化剤、紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤、ビタミン類、収斂成分などが挙げられる。
下記例示した有効成分の中には、本発明の(A)成分、(B)成分、又は(C)成分に該当するものもあるが、これらの成分が、本発明の効果を奏する以外に、例示した薬理活性又は生理活性成分としても機能し得ることを意味する。
有効成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、1種又は2種以上を使用できる。
【0031】
抗炎症剤は、非ステロイド性、ステロイド性の何れも使用できる。
非ステロイド性の抗炎症剤としては、例えば、アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、アセトアミノフェン、イプシロン-アミノカプロン酸、ベルベリン、アズレン、亜鉛、ウフェナマート、ヘパリン類似物質;甘草抽出物、セージエキス、ローズマリーエキスのような植物抽出物;フルフェナム酸、トルフェナム酸のようなフェナム酸系抗炎症剤;アセメタシン、インドメタシン、ジクロフェナクのようなアリール酢酸系抗炎症剤;アミノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェンピコノール、プラノプロフェン、ロキソプロフェンのようなプロピオン酸系抗炎症剤;ピロキシカム、メロキシカムのようなオキシカム系抗炎症剤;サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、及びこれらの塩などが挙げられる。
【0032】
塩は、薬学的又は生理学的に許容される塩であればよく、無機酸塩、有機酸塩などが挙げられる。無機酸塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。有機酸塩としては、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩のようなモノカルボン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩のような多価カルボン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩のようなオキシカルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩、ナパジシル酸塩のような有機スルホン酸塩などが挙げられる。
また、有機塩基との塩(メチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピロリジン塩、トリピリジン塩、ピコリン塩のような有機アミン塩など)、無機塩基との塩(アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;亜鉛塩、アルミニウム塩のような金属塩など)も挙げられる。
【0033】
塩である非ステロイド性の抗炎症剤としては、グリチルリチン酸ジカリウム塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム塩、インドメタシン塩酸塩、ジクロフェナクナトリウム塩、ベルベリン硫酸塩、ベルベリン塩酸塩、アズレンスルホン酸ナトリウム塩、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、ロキソプロフェンナトリウム塩などが挙げられる。
【0034】
ステロイド性抗炎症剤としては、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾンのようなステロイド化合物、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
【0035】
誘導体としては、代表的には、エステル(特に、有機酸又は無機酸とのエステル)、塩、及びエステルの塩が挙げられる。
エステルとしては、例えば、吉草酸、酢酸、コハク酸、酪酸(ブタン酸)、プロピオン酸のような有機酸とのエステル;リン酸のような無機酸とのエステルが挙げられる。また、1分子中にエステルを複数含んでいてよい。1分子中にエステルを複数含む場合、1種の酸とのエステルを複数含んでいてもよく、或いは、2種以上の酸とのエステルを含んでいてもよい。
塩としては、有機塩基との塩(メチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、ピペラジン塩、ピロリジン塩、トリピリジン塩、ピコリン塩のような有機アミン塩など)、無機塩基との塩(アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;亜鉛塩、アルミニウム塩のような金属塩など)が挙げられる。
【0036】
ステロイド化合物の誘導体の具体例としては、例えば、コルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(PVA)、プレドニゾロン酢酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル(特に、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート)、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ベタメタゾン吉草酸エステルなどが挙げられる。
【0037】
抗炎症剤の濃度は、組成物の全量に対して、0.01質量%以上、0.025質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.125質量%以上、0.2質量%以上、又は0.5質量%以上とすることができ、また、6質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.25質量%以下、又は0.125質量%以下とすることができる。
非ステロイド性抗炎症剤の濃度は、組成物の全量に対して、0.05質量%以上、0.2質量%以上、又は0.5質量%以上とすることができ、また、6質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下とすることができる。
ステロイド性抗炎症剤の濃度は、組成物の全量に対して、0.01質量%以上、0.025質量%以上、0.05質量%以上、又は0.125質量%以上とすることができ、また、6質量%以下、5質量%以下、2質量%以下、0.5質量%以下、0.25質量%以下、又は0.125質量%以下とすることができる。
【0038】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリンのようなエタノールアミン系抗ヒスタミン剤、クロルフェニラミンのようなプロピルアミン系抗ヒスタミン剤、メキタジン、プロメタジンのようなフェノチアジン系抗ヒスタミン剤、セチリジン、メクリジンのようなピペラジン系抗ヒスタミン剤、ケトチフェン、オロパタジン、フェキソフェナジン、エピナスチン、アゼラスチン、及びこれらの塩などが挙げられる。
【0039】
塩は、抗炎症剤について例示した有機酸との塩、無機酸との塩、有機塩基との塩、無機塩基との塩が挙げられる。
具体的には、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、プロメタジン塩酸塩、セチリジン塩酸塩、メクリジン塩酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、オロパタジン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、アゼラスチン塩酸塩が挙げられる。
【0040】
抗ヒスタミン剤の濃度は、組成物の全量に対して、0.1質量%以上、0.15質量%以上、又は0.2質量%以上とすることができ、また、2質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下とすることができる。
【0041】
抗菌成分としては、例えば、過酸化ベンゾイル、アダパレン、フェノール系殺菌剤(イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、フェノキシエタノールなど)、ヨウ素系殺菌剤(ポビドンヨード、ポリビニルアルコールヨード、シクロデキストリンヨードなど)、塩素系殺菌剤(次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、塩素化イソシアヌル酸など)、アルキル四級アンモニウム塩型殺菌剤(塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウムなど)、ビグアニド系殺菌剤(塩酸クロルへキシジン、グルコン酸クロルヘキシジンなど)、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、クロロブタノール、サリチル酸、クレゾールなどが挙げられる。
【0042】
抗菌成分の濃度は、組成物の全量に対して、0.01質量%以上、0.03質量%以上、又は0.05質量%以上とすることができ、また、0.5質量%以下、0.3質量%以下、又は0.1質量%以下とすることができる。
【0043】
抗真菌剤としては、例えば、ラノコナゾール、ミコナゾール、ミコナゾール及びその塩(ミコナゾール硝酸塩など)、エフィナコナゾール、ルリコナゾール、チオコナゾール、イソコナゾール、イソコナゾール及びその塩(イソコナゾール硝酸塩など)、クロトリマゾール、ビホナゾール、オキシコナゾール及びその塩(オキシコナゾール硝酸塩など)、エコナゾール及びその塩(エコナゾール硝酸塩など)のようなアゾール系抗真菌剤;テルビナフィン塩酸塩のようなアリルアミン系抗真菌剤;ブテナフィン塩酸塩のようなベンジルアミン系抗真菌剤;アモロルフィン塩酸塩のようなモルホリン系抗真菌剤などが挙げられる。
【0044】
抗真菌剤の濃度は、組成物の全量に対して、0.05質量%以上、0.1質量%以上、又は0.5質量%以上とすることができ、また、5質量%以下、3質量%以下、又は1質量%以下とすることができる。
【0045】
局所麻酔剤としては、例えば、リドカイン、ジブカイン、メピバカイン、プロカイン、メプリルカイン、アミノ安息香酸エチル、オキシポリエトキシドデカンなどが挙げられる。
【0046】
塩は、抗炎症剤について例示した有機酸との塩、無機酸との塩、有機塩基との塩、無機塩基との塩が挙げられる。
具体的には、リドカイン塩酸塩、ジブカイン塩酸塩、メピバカイン塩酸塩、プロカイン塩酸塩、メプリルカイン塩酸塩などが挙げられる。
【0047】
局所麻酔剤の濃度は、組成物の全量に対して、0.05質量%以上、0.2質量%以上、又は0.5質量%以上とすることができ、また、5質量%以下、3質量%以下、又は2質量%以下とすることができる。
【0048】
抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤としては、例えば、クロタミトンなどが挙げられる。
【0049】
抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤の濃度は、組成物の全量に対して、1質量%以上、2質量%以上、又は4質量%以上とすることができ、また、10質量%以下、8質量%以下、又は6質量%以下とすることができる。
【0050】
保湿成分としては、例えば、ヘパリン類似物質、コンドロイチン硫酸ナトリウム、尿素、ヒアルロン酸またはその塩などが挙げられる。
【0051】
保湿成分の濃度は、組成物の全量に対して、0.01質量%以上、0.1質量%以上、1質量%以上、5質量%以上、又は15質量%以上とすることができ、また、20質量%以下、10質量%以下、1質量%以下、又は0.3質量%以下とすることができる。
【0052】
紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、パラアミノ安息香酸及びその誘導体、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、ジヒドロキシベンゾフェノン、酸化チタン、及び酸化亜鉛などが挙げられる。
【0053】
清涼化剤としては、例えば、テルペノイド、精油などが挙げられる。
テルペノイドとしては、メントール、アネトール、オイゲノール、カンフル、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、リモネン、リュウノウなどが挙げられる。これらは、d体、l体、又はdl体のいずれでもよい。
精油としては、例えば、ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油、ラベンダー油等が挙げられる。
【0054】
清涼化剤の濃度は、組成物の全量に対して、0.01質量%以上、0.5質量%以上、又は1質量%以上とすることができ、また、15質量%以下、12.3質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、又は2質量%以下とすることができる。
【0055】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA油、パルミチン酸レチノール、トコフェロール、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム、ユビキノン誘導体及びその塩、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、塩酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサミン、シアノコバラミン、葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン、γ-オリザノールなどが挙げられる。
【0056】
ビタミン類の濃度は、組成物の全量に対して、0.001質量%以上、0.01質量%以上、又は0.1質量%以上とすることができ、また、5質量%以下、2質量%以下、又は1質量%以下とすることができる。
【0057】
収斂成分としては、例えば、パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、クロルヒドロキシアルムニウムなどが挙げられる。
【0058】
pH
本実施形態の外用組成物のpHは、4.5以上、4.8以上、5以上、又は5.5以上とすることができ、また、8以下、7以下、6.5以下、6以下、又は5.7以下とすることができる。この範囲であれば本発明の効果が十分に得られる。
【0059】
粘度
本実施形態の外用組成物の粘度については、回転粘度計(VISCIMETER TVB-15、東機産業社製)で測定した25℃における粘度を、15Pa・s以上、20Pa・s以上、50Pa・s以上、80Pa・s以上、100Pa・s以上、又は120Pa・s以上とすることができ、また、500Pa・s以下、300Pa・s以下、200Pa・s以下、140Pa・s以下、又は130Pa・s以下とすることができる。この範囲であれば、ハンドリング性が良く、かつ密着性良好な被膜を形成することができる。
【0060】
製剤形態
本実施形態の外用組成物の製剤形態としては、クリーム剤、軟膏剤(油溶性軟膏剤、水溶性軟膏剤)、ジェル剤(ゲル剤)、乳剤などが挙げられる。
乳剤、クリーム剤などの乳化組成物である場合は、水中油型又は油中水型の何れでもよいが、本願発明の効果を顕著に奏する点で、水中油型が好ましい。
【0061】
容器
本実施形態の外用組成物を収容する容器の材質として、例えば、外用組成物との接触面の一部又は全部、好ましくは全部が、ポリオレフィン樹脂、アクリル酸樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリイミド、セルロースアセテート、アルミニウム、及びガラスからなる群より選ばれる少なくとも1種の材料で構成されている容器が挙げられる。
【0062】
製剤の扱いやすさや成型加工のしやすさの観点から、容器の材質としては、好ましくは、アルミニウム、ポリエチレン(PE)(高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン等を含む)、ポリプロピレン(PP)(アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン等を含む)、エチレン・プロピレンコポリマー、ポリメチルペンテン、ポリブテン-1、1,2-ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂を挙げることができ、より好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。
また、容器の最内層の材質としては、好ましくは、ポリエチレン(PE)(高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、アルミニウムを挙げることができる。
【0063】
容器が蓋部又はキャップを有する場合、蓋部又はキャップの材質としては、上記容器材質として例示した材質が挙げられる。
収容する容器としては、ノズル付き容器、ポンプ付き容器、ジャー容器、チューブ容器、中栓に穴の開いたタイプの容器、ヒンジキャップ付き容器、スポンジヘッド容器、ロールオン容器等が挙げられる。
【0064】
用法用量
本実施形態の外用組成物は、医薬組成物、化粧品組成物、医薬部外品組成物などとすることができる。
本実施形態の外用組成物は、皮膚(体部の皮膚、頭皮など)、粘膜(口腔内粘膜、肛門内粘膜、膣内粘膜など)、爪などに塗布するためのものとすることができる。中でも、皮膚外用組成物であることが好ましい。
本実施形態の外用組成物は、適量を、例えば、1~5回、1~3回、1~2回、又は1回、患部に適用(塗布など)することができる。塗布して適用する剤型が、本発明の効果を顕著に発揮できる点から好ましい。
【0065】
被膜
本実施形態の外用組成物は、上記組成を有し、塗布後に被膜を形成する組成物、又は塗布後に被膜を形成させるために用いられる組成物である。本実施形態において「被膜」は、流動性のない膜である。また、触っても手に付着することがない程度に固化している膜である。本実施形態において「被膜を形成できる」ことは、室温下で1mLを前腕皮膚の5cm×5cmの面積に塗布して30分後までに、被膜を形成できることをいう。本実施形態の外用組成物の塗布により得られる皮膜は患部の保護や保湿、掻破行動からの保護に適している。また、本実施形態の外用組成物の塗布により得られる皮膜はエタノールが蒸発することによる冷感の持続に適している。また、本実施形態において「丈夫な(被膜)」とは、皮膚上に形成された被膜が破れることなく指でつまんではがすことができる程度に、被膜の強度が高いことを指す。また本実施形態において「脆い(被膜)」とは、皮膚上に形成された被膜を指でつまんではがそうとすると破れてしまう程度に被膜の強度が低いことを指す。
【0066】
用途
本実施形態の外用組成物は、場合により配合される有効成分に応じて、抗炎症、抗菌、鎮痒等の1以上の治療効果を目的の一つとした医薬品又は医薬部外品、特にこれらの外用剤として用いることができる。例えば、本実施形態の外用組成物は、かゆみ、かゆみを伴う乾燥性皮膚、かぶれ、蕁麻疹、湿疹、虫さされ、きず・やけどのあとの皮膚のしこり・つっぱり(顔面を除く)、にきび、角化症、ひび・あかぎれ、皮膚の乾燥、皮膚炎、皮膚の荒れ、しもやけ(ただれを除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛、みずむし・いんきんたむし・ぜにたむし、あせも・ただれ、傷の消毒などを効能効果とする外用組成物として好適に用いることができる。
【実施例0067】
以下、実施例を挙げて、本実施形態をより詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されない。
(1)外用組成物の調製
表1に記載の処方に従い、常法により外用組成物を調製した。即ち、ポリビニルアルコールと水を80℃に加熱してポリビニルアルコールを水に溶解させた後、冷却した。カルボキシビニルポリマーをエタノール中に分散した分散液を調製し、60℃まで冷却したポリビニルアルコール水溶液に投入した。その後、トリエタノールアミンを添加し、室温まで攪拌冷却して外用組成物を得た。
【0068】
(2)官能評価
得られた外用組成物をプラスチックチューブ容器に充填して、被膜形成性、使用感、及び扱い易さをVAS(Visual Analog Scale)法により評価に供した。即ち、専門パネル6名が、室内で、各外用組成物を前腕の5cm四方の面積に約1mL塗布し、表1に示す各評価項目について、0(左端)及び100(右端)の目盛りを付した10cmの直線に回答値を記入した。各組成物の処方はパネルには分からないようにした。
VAS評価の評価項目は、下記の通りである。
塗布直後の密着感:塗布行為終了直後の皮膚へのなじみの強さを評価した。
塗布直後のコート感:塗布行為終了直後の覆われている感覚を評価した。
塗布後30分経過時点での膜感:塗布後、外用組成物中の溶媒の蒸発により被膜形成が進行すると被膜が吸着して皮膚が引っ張られているような感触を受ける。塗布行為終了30分経過後のこの感覚の強さを評価した。
塗布直後の流動性:皮膚上に、水平となるように塗布した直後の外用組成物の皮膚上での流動の有無を評価した。すなわち、塗布行為終了直後の静止状態において自発的に外用組成物が濡れ広がり、拡散流動したものを「流動する」とした。
塗布時の垂れ:皮膚上での垂れ易さを評価した。すなわち、塗布行為終了直後に塗布面に45度の傾斜を設けて静止した状態において外用組成物の流動する程度を評価した。より多量が流動するほど「垂れる」とした。
容器口からの吐出量の調整し易さ:予定した量を吐出し易いか否かを評価した。
【0069】
【0070】
比較例1は、実施例1において、ポリビニルアルコール3.5質量%を含まず、それに代えて無水アルコールが3.5質量%多い他は、実施例1と同じ処方である。比較例2は、実施例1において、カルボキシビニルポリマー(架橋型ポリアクリル酸)1.0質量%を含まず、それに代えて無水アルコールが1.0質量%多い他は、実施例1と同じ処方である。比較例3は、実施例1において、トリエタノールアミンを含まない他は、実施例1と同じ処方である。
【0071】
ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、及びトリエタノールアミンを含む実施例1~8の組成物は、塗布時にチューブ容器口から垂れることがなく、意図した量を吐出することができた。また、皮膚上で自重で流れることがなかった。さらに、塗布30分以内に乾燥した被膜が形成され、その後は洗い流すまで被膜が維持された。
【0072】
これに対して、ポリビニルアルコールを含まない比較例1、及びトリエタノールアミンを含まない比較例3の組成物は、腕に塗布した後、固まらず被膜を形成しなかった。カルボキシビニルポリマーを含まない比較例2の組成物は、被膜を形成したが、非常に脆く、30分後までに膜がパラパラと剥離し、密着性と強度が足りなかった。
また、塗布直後の密着感、塗布直後のコート感、及び塗布30分後の膜感は、ポリビニルアルコールを含まない比較例1、カルボキシビニルポリマーを含まない比較例2より実施例1の方が高かった。塗布直後のコート感は、カルボキシビニルポリマーを含まない比較例2より実施例1の方が高かった。
そのため、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、及びトリエタノールアミンは、それぞれ、被膜形成性、密着性、被膜強度に寄与し、感覚的な膜感にも寄与していることが分かる。
【0073】
扱い易さについては、ポリビニルアルコールを含まない比較例1、カルボキシビニルポリマーを含まない比較例2、及びトリエタノールアミンを含まない比較例3は、皮膚に塗布直後に皮膚上で自重で流れた。また、比較例1~3は、実施例1に比べて、容器口からの垂れ易く、また容器口からの吐出量を調整し難かった。
ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、及びトリエタノールアミンは、それぞれ、組成物に適度な粘度や流動性を与えることでハンドリング性向上に寄与していることが分かる。
【0074】
(3)粘度測定
回転粘度計(VISCIMETER TVB-15、東機産業社製)を用いて各組成物の粘度を測定した。ロータ、回転速度、測定時間は、使用機器のマニュアルに従い、粘度に合わせて適切なものを採用した。粘度の測定条件と測定値を表2に示す。
【表2】
【0075】
製剤例
本実施形態の外用組成物の製剤処方例を以下に示す。以下の製剤例において、%は質量%を表す。また、トリエタノールアミン以外の成分の合計が100質量%となるように水を配合した。
製剤例1(pH4.8)
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル 0.15%
メントール 0.1%
ポリビニルアルコール 2.5%
カルボキシビニルポリマー 1.2%
無水エタノール 60%
水 残量
トリエタノールアミン 適量
製剤例2(pH5.6)
ジフェンヒドラミン塩酸塩 1%
クロタミトン 2%
ポリビニルアルコール 3.5%
カルボキシビニルポリマー 0.8%
無水エタノール 45%
水 残量
トリエタノールアミン 適量
製剤例3(pH5.2)
ヘパリン類似物質 0.3%
アラントイン 0.2%
ポリビニルアルコール 3%
カルボキシビニルポリマー 1%
無水エタノール 50%
水 残量
トリエタノールアミン 適量
製剤例4(pH6.0)
グリチルリチン酸二カリウム 0.05%
コレステロール 0.01%
ポリビニルアルコール 3%
カルボキシビニルポリマー 1%
無水エタノール 45%
プロピレングリコール 5%
水 残量
トリエタノールアミン 適量
製剤例5(pH5.5)
イソプロピルメチルフェノール 0.1%
ポリビニルアルコール 3%
カルボキシビニルポリマー 1%
無水エタノール 45%
ブチレングリコール 5%
水 残量
トリエタノールアミン 適量
製剤例6(pH5.0)
パラフェノールスルホン酸亜鉛 1%
塩化ベンザルコニウム 0.05%
ポリビニルアルコール 3%
カルボキシビニルポリマー 1。5%
無水エタノール 50%
水 残量
トリエタノールアミン 適量
【0076】
以上の実施形態の一部又は全部は、以下のように付記するが、以下の記載に限定されない。
[付記1]
(A)ポリビニルアルコール、(B)ポリアクリル酸又はその誘導体、(C)アルカノールアミン、(D)エタノール、及び(E)水を含む外用組成物。
[付記2]
(A)ポリビニルアルコール、(B)ポリアクリル酸又はその誘導体、(C)アルカノールアミン、(D)エタノール、及び(E)水を含み、塗布後に被膜を形成する外用組成物。
[付記3]
(D)成分と(E)成分の合計含有量が、外用組成物の全量に対して、70~97質量%である、付記1又は2に記載の外用組成物。
[付記4]
(A)成分と(B)成分の合計含有量が、外用組成物の全量に対して、2~6質量%である、付記1~3のいずれかに記載の外用組成物。
[付記5]
さらに、有効成分を含む、付記1~4のいずれかに記載の外用組成物。
[付記6]
有効成分が、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルである、付記5に記載の外用組成物。
[付記7]
有効成分が、ジフェンヒドラミン塩酸塩である、付記5又は6に記載の外用組成物。
[付記8]
有効成分が、ヘパリン類似物質である、付記5~7のいずれかに記載の外用組成物。
[付記9]
有効成分が、グリチルリチン酸二カリウムである、付記5~8のいずれかに記載の外用組成物。
[付記10]
有効成分が、イソプロピルメチルフェノールである、付記5~9のいずれかに記載の外用組成物。
[付記11]
有効成分が、パラフェノールスルホン酸亜鉛である、付記5~10のいずれかに記載の外用組成物。
本発明の外用組成物は、エタノールや水を含むにも拘らず、体表面上で、密着性と強度に優れる被膜を形成することができるため、エタノールや水に溶解する有効成分を含む被膜形成性外用組成物として好適に使用できる。また、エタノールや水を含むにも拘わらず、適度な粘度や流動性を有し、取り扱いが容易である。これらの点で、本発明の外用組成物は商品価値が高い。