IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミツミ電機株式会社の特許一覧

特開2024-180191駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置
<>
  • 特開-駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図1A
  • 特開-駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図1B
  • 特開-駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図2
  • 特開-駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図3
  • 特開-駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図4A
  • 特開-駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図4B
  • 特開-駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図5A
  • 特開-駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置 図5B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180191
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20241219BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20241219BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B30/00
G02B7/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099684
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 洋一
(72)【発明者】
【氏名】氏家 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】土屋 瞬
(72)【発明者】
【氏名】若生 文子
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044BE04
2H044BE09
2H044DB04
(57)【要約】
【課題】圧電素子を用いて駆動する際の部材同士の駆動音を低減すること。
【解決手段】駆動装置は、一対のアーム部を有し、圧電素子の振動に共振する共振部と、一対のアーム部に当接され、共振部の振動に伴い、共振部に対して相対移動する移動部と、を備え、共振部及び移動部において、互いに当接する部位は、各々セラミックからなり、一対のアーム部は、移動部に当接する部位として、セラミックからなる球体を有する。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のアーム部を有し、圧電素子の振動に共振する共振部と、
前記一対のアーム部に当接され、前記共振部の振動に伴い、前記共振部に対して相対移動する移動部と、
を備え、
前記共振部及び前記移動部において、互いに当接する部位は、各々セラミックからなり、
前記一対のアーム部は、前記移動部に当接する部位として、セラミックからなる球体を有する、
駆動装置。
【請求項2】
前記移動部は、前記移動部全体がセラミックからなる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記移動部は、前記共振部と当接する表面がセラミックからなる、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記一対のアーム部は、前記球体を収容する球体収容部を有する、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項5】
光学素子を保持可能な保持部と、
前記光学素子の光路方向に前記保持部を移動可能に収容する収容部と、
前記保持部を駆動する、請求項1から4のいずれか一項に記載の駆動装置と、
を備える、
光学素子駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光学素子駆動装置と、
前記光学素子を用いて被写体像を撮像する撮像部と、
を備える、
カメラモジュール。
【請求項7】
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
請求項6に記載のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、
を備える、
カメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやドローン等のカメラ搭載装置が搭載するカメラモジュールにおいて、光学素子を駆動する駆動装置として、圧電素子を用いた超音波モーター等の駆動装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、圧電素子を用いた屈曲変位部材、屈曲変位部材の自由端に設けられた摩擦部材、予圧機構により摩擦部材と当接する被駆動体等を備える駆動装置が開示されている。当該駆動装置では、予圧機構により摩擦部材と被駆動体とが当接しており、電圧印加により屈曲変位部材(圧電素子)を駆動し、屈曲変位部材を屈曲変位(振動)させると、被駆動体は摩擦部材との間の摩擦力によって移動するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-63349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すように、圧電素子で駆動する駆動装置では、摩擦部材と被駆動体とが摩擦接触しながら、被駆動体が移動するよう構成されている。そのため、摩擦接触する部材同士が発生する駆動音が、他の駆動装置、例えば、ボイスコイルモーター等を用いる駆動装置と比較して大きいという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、圧電素子を用いて駆動する際の部材同士の駆動音を低減可能な駆動装置、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る駆動装置は、
一対のアーム部を有し、圧電素子の振動に共振する共振部と、
前記一対のアーム部に当接され、前記共振部の振動に伴い、前記共振部に対して相対移動する移動部と、
を備え、
前記共振部及び前記移動部において、互いに当接する部位は、各々セラミックからなり、
前記一対のアーム部は、前記移動部に当接する部位として、セラミックからなる球体を有する。
【0008】
本発明に係る光学素子駆動装置は、
光学素子を保持可能な保持部と、
前記光学素子の光路方向に前記保持部を移動可能に収容する収容部と、
前記保持部を駆動する前記駆動装置と、
を備える。
【0009】
本発明に係るカメラモジュールは、
前記光学素子駆動装置と、
前記光学素子を用いて被写体像を撮像する撮像部と、
を備える。
【0010】
本発明に係るカメラ搭載装置は、
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
前記カメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、圧電素子を用いて駆動する際の部材同士の駆動音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本発明の実施の形態に係るカメラモジュールを搭載するスマートフォンを示す正面図である。
図1B図1Aに示すスマートフォンの背面図である。
図2】カメラモジュール及び撮像部を示す斜視図である。
図3】カメラモジュールの光学素子駆動装置が有する光学素子駆動装置本体の平面図である。
図4A図3に示す光学素子駆動装置本体の駆動部を説明する図である。
図4B図4Aに示す駆動部をZ方向上方側から見た図である。
図5A】車載用カメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置としての自動車を示す正面図である。
図5B図5Aに示す自動車を斜め後方側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
[スマートフォン]
図1A及び図1Bは、本実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置の一例)を示す図である。図1AはスマートフォンMの正面図であり、図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0015】
スマートフォンMは、2つの背面カメラOC1、OC2からなるデュアルカメラを有する。本実施の形態では、背面カメラOC1、OC2に、カメラモジュールAが適用されている。
【0016】
カメラモジュールAは、AF機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うことができる。なお、カメラモジュールAは、振れ補正機能(以下「OIS機能」と称する、OIS:Optical Image Stabilization)を備えていてもよい。OIS機能により、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して、像ぶれのない画像を撮影することができる。
【0017】
[カメラモジュール]
図2は、カメラモジュールA及び撮像部5を示す斜視図である。図3は、図2に示すカメラモジュールAの光学素子駆動装置1が有する光学素子駆動装置本体4の平面図である。図2及び図3に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。また、後述する図においても、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。
【0018】
カメラモジュールAは、例えば、スマートフォンMで撮影が行われる場合、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が、図2に示すレンズ部2の光軸OAの光軸方向であり、図2において、図中上側(+Z側)が光軸方向の受光側、下側(-Z側)が光軸方向の結像側である。
【0019】
なお、以降では、光軸OAを用いて説明を行うが、光軸OAの光軸方向は、光学素子の種類に応じて、光路方向、焦点方向(焦点を調整する方向)と言い換えてもよい。ここで、後述するカバー3の開口部301、後述する保持部10の開口部11、あるいは、後述する収容部20の収容開口部21によって形成される光の通り道が光路であり、この光路の延びる方向(各開口部の貫通方向)が光路方向である。
【0020】
図2及び図3に示すように、カメラモジュールAは、AF機能を実現する光学素子駆動装置1、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2及びレンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部5等を備える。すなわち、光学素子駆動装置1は、光学素子としてレンズ部2を駆動する、いわゆる、レンズ駆動装置である。
【0021】
本実施の形態の光学素子駆動装置1は、上述したカメラモジュールA等へ搭載することを考慮して、Z方向における長さが、X方向及びY方向における長さより短い構成であり、Z方向を高さ方向とすると、低背化した構成である。
【0022】
[カバー]
光学素子駆動装置1において、光学素子駆動装置本体4は、外側をカバー3で覆われている。カバー3は、Z方向から見た平面視で略矩形状の有蓋四角筒状体である。本実施の形態では、カバー3は、平面視で略正方形状を有している。カバー3は、上面に略円形の開口部301を有する。レンズ部2は、光学素子駆動装置本体4の保持部10の開口部11に収容され、カバー3の開口部301から外部に臨み、Z方向における移動に伴い、カバー3の開口面よりも受光側に突出するように構成されている。カバー3の内壁は、光学素子駆動装置本体4の収容部20(例えば、後述の底部22a)に、例えば、接着により固定され、光学素子駆動装置本体4を収容する。
【0023】
カバー3は、光学素子駆動装置1の外部やカバー3の内部からの電磁波を遮断する部材、例えば、磁性体からなるシールド部材を有している。
【0024】
[撮像部]
撮像部5は、光学素子駆動装置1の結像側に配置される。撮像部5は、例えば、イメージセンサー基板501、イメージセンサー基板501に実装される撮像素子502及び制御部503を有する。撮像素子502は、例えば、CCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成され、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。
【0025】
制御部503は、例えば、制御ICで構成され、光学素子駆動装置1全体の駆動制御を行う。光学素子駆動装置1は、イメージセンサー基板501に搭載され、機械的かつ電気的に接続される。制御部503は、イメージセンサー基板501に設けられてもよいし、カメラモジュールAが搭載されるカメラ搭載機器(本実施の形態では、スマートフォンM)に設けられてもよい。
【0026】
なお、図2では、位置が固定されたイメージセンサー基板501に対し、レンズ部2を光学素子駆動装置1でZ方向に駆動することで、被写体像を撮像素子502に結像しているが、例えば、撮像素子502をZ方向に駆動してもよい。この場合、レンズ部2をカバー3に固定し、光学素子である撮像素子502を光学素子駆動装置1でZ方向に駆動することで、被写体像を撮像素子502に結像すればよい。
【0027】
[光学素子駆動装置本体]
光学素子駆動装置本体4は、光学素子であるレンズ部2をZ方向に駆動する光学素子駆動装置1の本体部分である。なお、以降では、説明の便宜上、光学素子駆動装置1がレンズ部2を駆動することを前提に説明を行うが、上述したように、光学素子駆動装置1が撮像素子502を駆動してもよい。
【0028】
光学素子駆動装置本体4は、図3に示すように、保持部10、収容部20、支持部30A、30B、30C、駆動部40A、40B、基板部50等を有する。
【0029】
[保持部]
保持部10は、中央部に開口部11が形成された枠部12を有し、開口部11は、レンズ部2を内側に保持可能に構成されている。例えば、開口部11は、その内周面に取付溝等を形成することにより、レンズ部2を内周面に保持可能に構成されている。このように、保持部10は、レンズ部2の外周を囲んでレンズ部2を保持する。
【0030】
枠部12の外周側である外周面13は、その複数箇所(図3では、一例として、3箇所)が、Z方向に沿って延在する支持部30A、30B、30Cにより、Z方向に移動可能に支持されている。
【0031】
また、外周面13は、その複数箇所(図3では、一例として、2箇所)が、駆動部40A、40Bに保持されており、保持部10は、駆動部40A、40Bにより、Z方向に移動可能である。
【0032】
また、外周面13には、その複数箇所(図3では、一例として、2箇所)に、Z方向位置の検出用の磁石14A、14Bが設けられている。磁石14A、14Bに対向するように、後述する位置検出センサー54A、54Bがそれぞれ設けられている。
【0033】
なお、開口部11は、円筒形状のレンズ部2に対応して、円筒形状に形成されているが、レンズ部2の形状に対応して、適宜な形状に変更可能である。
【0034】
また、光学素子駆動装置1が撮像素子502を駆動する場合、保持部10に開口部11はなくてもよく、つまり、保持部10は枠部でなくてもよく、その場合、例えば、保持部10の上面(受光側の面)に撮像素子502を保持するようにすればよい。
【0035】
[収容部]
収容部20は、中央部に収容開口部21が形成された枠部22を有し、収容開口部21は、保持部10の外周を囲んで保持部10を内側に収容可能に構成されている。
【0036】
収容開口部21の内側である内周面23には、その複数箇所に支持部30A、30B、30Cが設けられている。収容部20は、支持部30A、30B、30Cにより、保持部10をZ方向に移動可能に支持する。
【0037】
また、内周面23には、その複数箇所に駆動部40A、40Bが設けられている。収容部20に設けられた駆動部40A、40Bは、保持部10をZ方向に移動する。保持部10は、駆動部40A、40Bに駆動される可動部として機能し、収容部20は、保持部10に対する固定部として機能する。
【0038】
平面視において、内周面23は、保持部10の外周面13の形状に対応して形成される。図3において、保持部10の外周面13及び収容開口部21の内周面23の形状は一例であり、例えば、支持部30A、30B、30C、駆動部40A、40Bの配置等に応じて、適宜に変更可能である。
【0039】
枠部22は、底部22a、側壁部22bを有する。底部22aには、例えば、接着により、上述したカバー3の内壁が固定される。側壁部22bの外周側である外周面24には、外周面24に沿って、基板部50が取り付けられる。
【0040】
[支持部]
支持部30A、30B、30Cは、収容部20に対して、保持部10をZ方向に移動可能に支持する。支持部30A、30B、30Cは、図3に示すように、内周面23(外周面13)において、周方向の3箇所に分散した位置にそれぞれ配置される。
【0041】
支持部30A、30B、30Cは、詳細な図示は省略するが、保持部10の外周面13に設けられた第1溝部と、収容部20の内周面23に設けられた第2溝部と、第1溝部と第2溝部との間に挟持されて転動可能な転動部材(例えば、ボール部材等)とを有する。
【0042】
支持部30A、30B、30Cにおいて、第1溝部及び第2溝部は、Z方向に延在し、互いに対向するよう配置される。このように配置された第1溝部と第2溝部との間に転動部材が転動可能に挟持される。
【0043】
転動部材は、第1溝部と第2溝部との間に1つ以上配置される。第1溝部と第2溝部との間に複数の転動部材を配置する場合には、保持部10の傾き(チルト)をより安定して抑制することができる。この場合、複数の転動部材は、Z方向に沿って並ぶよう配置され、また、互いの距離が一定に保たれると共にZ方向における位置決めができるよう、リテーナー(図示省略)に保持される。
【0044】
このように構成される支持部30A、30B、30Cにより、保持部10は、収容部20に対して、Z方向に移動可能に支持される。
【0045】
なお、第1溝部及び第2溝部には、金属材料等からなり、転動部材を転動可能なレール状部材を取り付けてもよい。保持部10や収容部20は、通常、樹脂等からなり、転動部材は、通常、セラミックや合金等の材料からなる。そのため、保持部10や収容部20よりも硬質の金属材料等からなるレール状部材を第1溝部及び第2溝部に設けることで、転動部材からの押圧力を受けても、第1溝部及び第2溝部が変形し難くなる。このような構成により支持部30A、30B、30Cは、Z方向に移動可能に安定して保持部10を支持することができる。
【0046】
[駆動部]
駆動部40A、40Bは、収容部20に対して、保持部10をZ方向に駆動する。駆動部40A、40Bは、図3に示すように、内周面23(外周面13)において、周方向の2箇所に分散した位置にそれぞれ配置される。光学素子駆動装置本体4は、上述した支持部30A、30B、30C及び駆動部40A、40Bにより、保持部10と共にレンズ部2をZ方向に駆動することができ、これにより、AF機能を実現する。
【0047】
収容部20の枠部22は、図3に示すように、4つの隅部22bA、22bB、22bC、22bDを有する。そして、図3に示す例では、支持部30Aが隅部22bAに配置されているので、駆動部40A、40Bは、隅部22bAとは異なる隅部であって、平面視において、光軸OAに点対称となるような位置の隅部22bB、22bCにそれぞれ配置される。このように配置することにより、レンズ部2等の光学素子の重量が増加しても、保持部10を安定して移動することができる。
【0048】
駆動部40A、40Bとしては、圧電素子を有するアクチュエーターである超音波モーターを用いる。
【0049】
駆動部40A、40Bについて、図4A及び図4Bを参照して説明する。図4Aは、図3に示す光学素子駆動装置本体4の駆動部40Aを説明する図である。図4Bは、図4Aに示す駆動部40AをZ方向上方側から見た図である。なお、図4A及び図4Bには、駆動部40Aを図示するが、駆動部40Bは、駆動部40Aと同等の構成であり、その詳細な図示及び説明は省略する。
【0050】
駆動部40Aは、圧電素子41、共振部42、動力伝達部43(本発明における移動部)等を有する。圧電素子41の振動に共振して共振部42で生成される駆動力は、動力伝達部43に伝達される。ここでは、図示は省略するが、動力伝達部43は、保持部10側に固定されており、共振部42による駆動力は、動力伝達部43を介して、保持部10に伝達される。駆動部40Aにおいては、共振部42が能動要素を構成し、動力伝達部43が受動要素を構成する。
【0051】
圧電素子41は、例えば、セラミック材料で形成された板状素子であり、高周波電圧を印加することにより振動、例えば、超音波領域の振動周波数の振動を発生する。共振部42の胴部42a(本発明における本体)を挟み込むように、2枚の圧電素子41が配置される。図示は省略するが、後述するFPC51に設けられた接続配線が電気的に圧電素子41に接続されて、圧電素子41に電圧を印加するよう構成されている。
【0052】
共振部42は、導電性材料の板部材から形成され、圧電素子41の振動に共振して、振動運動を直線運動に変換する。共振部42は、例えば、金属板のレーザー加工、エッチング加工又はプレス加工等により形成される。
【0053】
共振部42は、胴部42a、一対のアーム部42b、突出部42c、通電部42d等を有する。共振部42は、更に、後述する当接部材44を有する。
【0054】
胴部42aは、2枚の圧電素子41が表裏に接着される略矩形状の部分である。圧電素子41で発生する振動は、胴部42aを介して、一対のアーム部42bに伝達する。
【0055】
一対のアーム部42bは、胴部42aの両側部から、それぞれのアーム部42bの自由端となる先端部へZ方向に延在する。一対のアーム部42bは、対称的な形状を有し、圧電素子41の振動に共振して対称的に変形する。一対のアーム部42bは、それらの自由端が動力伝達部43を挟持するよう形成されている。より具体的には、一対のアーム部42bは、後述する動力伝達部43の当接面43aに対して、それらの自由端が内側方向に向かって当接するよう構成されている。本実施の形態では、後述するように、一対のアーム部42bは、当接部材44を介して、動力伝達部43の当接面43aに当接するよう構成されている。一対のアーム部42bは、それぞれ、当接部材44を収容する凹部となる部材収容部(ここでは、球体収容部42e)を有している。
【0056】
突出部42cは、胴部42aの中央部からZ方向に延在する。突出部42cには、リベット等を挿通する貫通孔が形成されている。突出部42cは、リベット等を用いて、収容部20側に固定される。
【0057】
通電部42dは、胴部42aの中央部から突出部42cとは反対側に延在する。通電部42dは、胴部42aを介して、圧電素子41への給電ラインを構成する部分であり、図示は省略するが、FPC51に設けられた接続配線が電気的に接続される。
【0058】
上述した電気的な接続により、胴部42aに厚さ方向で貼り合わされた圧電素子41に電圧が印加され、振動が発生する。共振部42は、少なくとも2つの共振周波数を有し、それぞれの共振周波数に対して、異なる挙動で変形する。言い換えると、共振部42は、2つの共振周波数に対して異なる挙動で変形するように、全体の形状が設定されている。
【0059】
ここで、異なる挙動とは、一対のアーム部42bが動力伝達部43をZ方向に前進させる挙動と、後退させる挙動である。従って、共振部42を所望の共振周波数で振動させることにより、一対のアーム部42bが動力伝達部43をZ方向に前進又は後退させることができる。
【0060】
動力伝達部43は、例えば、Z方向に所定の長さを有する直方体の形状からなり、一対のアーム部42bに対向する部位に、後述する当接部材44が当接する当接面43aを有する。一対のアーム部42bは、上述したように、当接面43aに当接するよう構成されており、動力伝達部43は、一対のアーム部42bに対して、チャッキングガイドとして機能する。動力伝達部43は、例えば、図中上側(+Z側)の端部が保持部10の枠部12の外周面13に取り付けられている。
【0061】
動力伝達部43は、少なくとも当接面43a又は動力伝達部43全体がセラミックからなる。セラミックとしては、例えば、ジルコニアやアルミナ等を使用可能である。当接面43aのみをセラミックから構成する場合、例えば、セラミックからなる板材を当接面43a(表面)として動力伝達部43に配置すればよい。
【0062】
当接部材44は、一対のアーム部42bの先端部(自由端)の球体収容部42eに固定され、動力伝達部43の当接面43aに当接される。当接部材44は、セラミックからなる。セラミックとしては、例えば、ジルコニアやアルミナ等を使用可能である。また、当接部材44は、一例として、球体形状のボール部材としている。
【0063】
従来の超音波モーターについて、図4Aを参照して説明すると、一対のアーム部42bの先端が当接面43aに当接し、圧電素子41の振動に伴い、アーム部42bの先端と当接面43aとが摩擦接触しながら、動力伝達部43が移動するよう構成されていた。
【0064】
この場合、摩擦接触するアーム部42bの先端と当接面43aとにより発生する駆動音が、例えば、ボイスコイルモーター等と比較して大きいという問題があった。これは、摩擦接触する部材同士の一方又は両方が削れてしまい、この削れが要因となって、駆動音が大きくなっていた。例えば、摩擦接触する部材同士をステンレス鋼とする場合、ステンレス鋼の一方又は両方が削れて、駆動音が大きくなっていた。
【0065】
そこで、本実施の形態では、動力伝達部43において、少なくとも当接面43a又は動力伝達部43全体を、例えば、セラミックから形成している。また、一対のアーム部42bにおいて、それらの先端に当接部材44を配置し、当接部材44を、例えば、セラミックから形成している。
【0066】
このように、共振部42及び動力伝達部43において、互いに当接する部位である当接部材44及び当接面43aをいずれも、セラミックから構成する。これにより、当接部材44及び当接面43aにおいて、硬度がそれぞれ高くなり、且つ、硬度が互いに同等となるため、部材同士の削れを抑制することができ、この結果、駆動音を低減することができる。
【0067】
本発明者らは、摩擦接触する部材である当接部材44及び当接面43aをセラミックとすることにより、従来の構成、例えば、摩擦接触する部材同士をステンレス鋼とする場合と比較して、少なくとも、5~10dBの駆動音の低減を確認できた。
【0068】
また、従来の構成では、共振部42及び動力伝達部43の加工精度や組み立て時の位置精度等により、一対のアーム部42bの先端と対応する当接面43aとの間において、当接する力がそれぞれ異なったり、当接する方向が対称的でなかったりしていた。つまり、一対のアーム部42bの先端と対応する当接面43aとの間において、当接状態にばらつきがあった。
【0069】
これに対して、本実施の形態では、当接部材44を球体形状のボール部材としている。これにより、一対のアーム部42bの先端である当接部材44と対応する当接面43aとの間において、当接する力が同等又は略同等となり、また、当接する方向が対称的又は略対称的となり、当接状態のばらつきを抑制することができる。このように、当接状態のばらつきを抑制することができるので、共振部42、動力伝達部43等の組み立ても容易となる。
【0070】
以上説明した構成により、駆動部40Aの圧電素子41に電圧を印加すると、圧電素子41が振動し、共振部42が周波数に応じた挙動で変形し、一対のアーム部42bも周波数に応じた挙動で変形する。一対のアーム部42bは、動力伝達部43を内側に押し込むように当接しており、一対のアーム部42bの変形によって生じる駆動力が動力伝達部43へ伝達され、共振部42に対し、動力伝達部43がZ方向に相対移動する。このようにして、駆動部40Aの駆動力が保持部10に伝達され、これにより、保持部10がZ方向に移動し、ピント合わせが行われることになる。
【0071】
そして、本実施の形態では、上述したように、共振部42及び動力伝達部43において、互いに当接する部位である当接部材44及び当接面43aを、硬度の高いセラミックから構成することにより、駆動音を低減することができる。
【0072】
[基板部]
基板部50は、駆動部40A、40Bを駆動する回路を有する。基板部50は、FPC(Flexible Printed Circuit;フレキシブルプリント基板)51、ドライバーIC52、位置検出センサー54A、54B等を有する。
【0073】
FPC51は、可撓性がある基板であり、樹脂フィルム等の薄い絶縁層や銅箔等の金属層が積層されて構成される。図示は省略するが、金属層は、信号線や電源線の回路として形成されており、駆動部40A、40B、ドライバーIC52、位置検出センサー54A、54B等が電気的に接続される。
【0074】
ドライバーIC52は、駆動部40A、40Bを駆動する駆動信号を制御するICである。ドライバーIC52は、例えば、位置検出センサー54A、54Bで検出した検出信号に基づいて、駆動信号を出力し、出力された駆動信号は、駆動部40A、40Bへ出力される。
【0075】
位置検出センサー54A、54Bは、例えば、ホール素子等の磁気センサーである。位置検出センサー54A、54Bは、対向して配置された磁石14A、14Bによる磁力の強さを検出することにより、Z方向における保持部10と収容部20との相対位置を取得して、検出信号として出力する。ここでは、2つの位置検出センサー54A、54Bを設けているが、位置検出センサーは1つでもよく、この場合、対向して配置される磁石も1つでよい。
【0076】
なお、図示は省略しているが、FPC51には、駆動部40A、40Bと電気的に接続される接続配線が設けられている。
【0077】
また、FPC51は、ドライバーIC52から入力された駆動信号の電圧(入力電圧)を昇圧して、駆動部40A、40Bへそれぞれ出力するインダクタを有していてもよい。
【0078】
以上説明したドライバーIC52、位置検出センサー54A、54BをFPC51上に実装するため、FPC51は、1枚の長尺な基板としている。そして、FPC51は、収容部20の枠部22の外周面24に沿って、外周面24を略一周するように配置される。
【0079】
FPC51を外周面24に沿って配置するため、例えば、隅部22bAの部分の外周面24は、平面視において、円弧状に形成されている。これにより、隅部22bAの部分の外周面24にFPC51を密着させて配置することができる。このため、FPC51の外側に配置されるカバー3のサイズを大きくする必要はなく、装置全体の小型化を図ることができ、コストダウンを図ることができる。
【0080】
[他の実施の形態]
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0081】
例えば、上記実施の形態では、スマートフォンMを例に挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部とを有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)等を含む。また、輸送機器は、例えば、自動車やドローン等を含む。
【0082】
図5A図5Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図5Aは自動車Vの正面図であり、図5Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、上記実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。図5A図5Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば、前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0083】
また、上記実施の形態では、光学素子としてレンズ部2を駆動する光学素子駆動装置1について説明したが、駆動対象となる光学素子は、ミラーやプリズム等のレンズ以外の光学素子であっても、撮像素子502のような光学素子でもよい。この場合、保持部10の開口部11は、取り付ける光学素子の形状に応じて、形状を変更したり、場合によっては、無くしたりしてもよい。
【0084】
また、上記実施の形態では、光学素子駆動装置1はAF機能を有しているが、AF機能だけでなく、ズーム機能等、レンズ部2をZ方向に移動させる機能を有するものでもよい。
【0085】
また、上記実施の形態では、AF機能を有する光学素子駆動装置1を例にとって説明したが、光学素子駆動装置1は、OIS機能を備えていてもよい。OIS機能を備える場合、光学素子駆動装置1は、OIS支持部を介して、収容部20をX方向及びY方向に移動可能に支持する基部、基部に対して、収容部20をX方向及びY方向に駆動するOIS駆動部を備えることになる。この場合、OIS駆動部として、例えば、上述した駆動部40Aを用いて、収容部20をX方向及びY方向に駆動するよう構成すればよい。
【0086】
また、上記実施の形態では、当接部材44は、球体形状のボール部材としたが、この形状に限らず、他の形状でもよい。例えば、当接部材44を円筒形状又は半円筒形状とし、湾曲した曲面が当接面43aに当接する部位とすればよい。
【0087】
また、上記実施の形態では、アーム部42bの先端に球体収容部42e、当接部材44を設けたが、球体収容部42e、当接部材44を設ける代わりに、アーム部42bの先端をセラミックでコーティングしてもよい。動力伝達部43の当接面43aも同様であり、当接面43aの表面をセラミックでコーティングしてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、共振部42の一対のアーム部42bの自由端が動力伝達部43を挟持する構成であるが、共振部42と動力伝達部43とが当接する構成であれば、このような構成に限らず、他の構成でもよい。例えば、一対のアーム部42bの外側に、それぞれに対応する動力伝達部43を配置し、一対のアーム部42bの自由端が外側方向に向かって当接するよう構成されてもよい。また、共振部42が1つのアーム部42bを有し、1つのアーム部42bの自由端と動力伝達部43とが当接するよう構成されてもよい。
【0089】
また、上記実施の形態では、共振部42を収容部20側に固定し、動力伝達部43を保持部10側に固定しているが、共振部42を保持部10側に固定し、動力伝達部43を収容部20側に固定してもよい。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は、本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明に係る光学素子駆動装置及びカメラモジュールは、例えば、スマートフォン、携帯電話機、デジタルカメラ、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、車載カメラ、ドローン等のカメラ搭載装置に搭載して、有用なものである。
【符号の説明】
【0092】
1 光学素子駆動装置
2 レンズ部
3 カバー
4 光学素子駆動装置本体
5 撮像部
10 保持部
11 開口部
12 枠部
13 外周面
14A、14B 磁石
20 収容部
21 収容開口部
22 枠部
23 内周面
24 外周面
30A、30B、30C 支持部
40A、40B 駆動部
41 圧電素子
42 共振部
42a 胴部
42b アーム部
42c 突出部
42d 通電部
42e 球体収容部
43 動力伝達部
43a 当接面
44 当接部材
50 基板部
51 FPC
52 ドライバーIC
54A、54B 位置検出センサー
301 開口部
501 イメージセンサー基板
502 撮像素子
503 制御部
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B