(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180219
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/10 20060101AFI20241219BHJP
B60R 16/027 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B62D1/10
B60R16/027 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127661
(22)【出願日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2023097562
(32)【優先日】2023-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】広田 逸彦
(72)【発明者】
【氏名】長縄 明敏
(72)【発明者】
【氏名】小島 史泰
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼倉 弘志
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DB13
(57)【要約】
【課題】ユーザや乗員が把持部を通過した光を視認する可能性を低減することができるステアリング装置の技術の提供。
【解決手段】移動体に対して回転可能に取り付けられる回転部と、把持部と、を備え、回転部は、把持部の少なくとも一部に向かって光を射出する一つ以上の光照射部と、把持部に向かう光の光路上において、一つの光照射部と把持部との間に配置され、光の一部である通過光を通過させる一つ以上の光調整部と、を備え、把持部のうち光が照射される少なくとも一部が伸びている方向を第1方向とし、光軸の方向と、第1方向とに垂直な方向を第2方向とし、光軸と第1方向とを含む面を第1面とし、光軸と第2方向とを含む面を第2面としたとき、光調整部は、第1面内における第1角度範囲が、第2面内における第2角度範囲よりも大きくなるように光照射部から射出された光の他の部分である非通過光を遮る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられるステアリング装置であって、
移動体に対して回転可能に取り付けられる回転部と、
ユーザによって把持される把持部であって、前記回転部に接続されている把持部と、を備え、
前記回転部は、
前記把持部の少なくとも一部に向かって光を射出する一つ以上の光照射部と、
一つ以上の光調整部であって、それぞれ前記一つ以上の光照射部のうち一つの前記光照射部が射出し前記把持部に向かう前記光の光路上において、前記一つの光照射部と前記把持部と、の間に配置され、前記光の一部である通過光を通過させる一つ以上の光調整部と、を備え、
前記把持部のうち、前記光が照射される前記少なくとも一部が伸びている方向を第1方向とし、前記光照射部が射出した前記光の光軸の方向と、前記第1方向とに垂直な方向を第2方向とし、前記光軸と前記第1方向とを含む面を第1面とし、前記光軸と前記第2方向とを含む面を第2面としたとき、
前記光調整部は、前記第1面内における、前記通過光の角度範囲である第1角度範囲が、前記第2面内における、前記通過光の角度範囲である第2角度範囲よりも大きくなるように、前記光照射部から射出された前記光の他の部分である非通過光を遮る、ステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のステアリング装置であって、
前記回転部は、前記光軸の方向に見たときに、前記光照射部と、前記把持部との間において位置する孔部が形成されたパッド部を備え、
前記光調整部は、
前記孔部を覆い、前記孔部を画定する面と連続した面を構成し、
前記光軸の方向に見たときに、
前記光軸が通る部分において配され、前記光が通過可能な通過部と、
前記通過部に連続して配され、前記光を通過させない非通過部と、
を備える、ステアリング装置。
【請求項3】
請求項1に記載のステアリング装置であって、
前記光照射部は、予め定められた角度範囲で前記光を射出する発光素子と、
前記発光素子が射出する前記光の前記角度範囲を狭めるレンズと、を備え、
前記レンズは、前記光照射部が射出する前記光の前記第1面内における角度範囲である第1射出角度範囲が、前記光照射部が射出する前記光の前記第2面内における角度範囲である第2射出角度範囲よりも大きくなるように、前記発光素子が射出する前記光の前記角度範囲を狭める、ステアリング装置。
【請求項4】
請求項1に記載のステアリング装置であって、
前記一つ以上の光照射部として、第1光照射部と、第2光照射部と、を備え、
前記一つ以上の光調整部として、前記第1光照射部と前記把持部との間に配置される第1光調整部と、前記第2光照射部と前記把持部との間に配置される第2光調整部と、を備え、
前記把持部は、前記回転部の周りを囲むように配されており、
前記第1光照射部と前記第2光照射部と、のそれぞれは、
前記回転部が基準の角度位置にあるとき、通過する前記通過光の一部が、前記把持部のうち、前記回転部に対して鉛直方向の上側に位置する部分に当たるように構成され、
前記回転部が基準の角度位置にあるときであって、上側に向かう方向を0°としたときに、
前記第1光照射部は、
前記第1面内における前記光軸の角度が、0°から30°の範囲となるように配され、
前記第2光照射部は、
前記第1面内における前記光軸の角度が、0°から-30°の範囲となるように配される、ステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、車両のステアリングホイールのパッド部とスポーク部に装着されたLEDによって、ステアリングホイールに可視光を射出するステアリングホイール照明装置が開示されている。運転手がステアリングホイールに射出された光を視認することにより、車両が自動運転から手動運転に移行する際に、運転手にステアリングホイールのホイール部を把持するように促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ステアリング装置のホイール部の、車両の前後方向における寸法は、車両の左右方向における寸法よりも小さい。特許文献1の技術においては、車両の左右方向においてホイール部をある程度以上の範囲で照らすことができるLEDで、ホイール部に光を射出すると、ホイール部に当たらなかった光がホイール部の前後を通過する。ホイール部の前後を通過した光は、車両のフロントガラスや、天井に入射する可能性がある。フロントガラスに入射した光を運転手が視認した場合に、運転の妨害に繋がるおそれがあった。天井に入射した光を、運転手や車両の乗員が視認した場合、煩わしさを感じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、ステアリング装置が提供される。このステアリング装置は、移動体に設けられるステアリング装置であって、移動体に対して回転可能に取り付けられる回転部と、ユーザによって把持される把持部であって、前記回転部に接続されている把持部と、を備え、前記回転部は、前記把持部の少なくとも一部に向かって光を射出する一つ以上の光照射部と、一つ以上の光調整部であって、それぞれ前記一つ以上の光照射部のうち一つの前記光照射部が射出し前記把持部に向かう前記光の光路上において、前記一つの光照射部と前記把持部と、の間に配置され、前記光の一部である通過光を通過させる一つ以上の光調整部と、を備え、前記把持部のうち、前記光が照射される前記少なくとも一部が伸びている方向を第1方向とし、前記光照射部が射出した前記光の光軸の方向と、前記第1方向とに垂直な方向を第2方向とし、前記光軸と前記第1方向とを含む面を第1面とし、前記光軸と前記第2方向とを含む面を第2面としたとき、前記光調整部は、前記第1面内における、前記通過光の角度範囲である第1角度範囲が、前記第2面内における、前記通過光の角度範囲である第2角度範囲よりも大きくなるように、前記光照射部から射出された前記光の他の部分である非通過光を遮る。
この形態のステアリング装置によれば、第1面内における、光調整部を通過した、通過光の角度範囲である第1角度範囲が、第2面内における、光調整部を通過した、通過光の角度範囲である第2角度範囲と等しい態様と比較して、第2面内における、把持部を通り過ぎる光の量を少なくすることができる。第2面内における、光の角度範囲を、第1面内における光の角度範囲よりも小さくすることで、ユーザや乗員が把持部を通過した光を視認する可能性を低減することができる。
(2)上記形態のステアリング装置において、前記回転部は、前記光軸の方向に見たときに、前記光照射部と、前記把持部との間において位置する孔部が形成されたパッド部を備え、前記光調整部は、前記孔部を覆い、前記孔部を画定する面と連続した面を構成し、前記光軸の方向に見たときに、前記光軸が通る部分において配され、前記光が通過可能な通過部と、前記通過部に連続して配され、前記光を通過させない非通過部と、を備えていてもよい。
この形態のステアリング装置によれば、光照射部と光調整部が、パッド部と把持部の間に配される態様と比較して、ユーザの操作に起因する光照射部と光調整部の損傷を防止することができる。
(3)上記形態のステアリング装置において、前記光照射部は、予め定められた角度範囲で前記光を射出する発光素子と、前記発光素子が射出する前記光の前記角度範囲を狭めるレンズと、を備え、前記レンズは、前記光照射部が射出する前記光の前記第1面内における角度範囲である第1射出角度範囲が、前記光照射部が射出する前記光の前記第2面内における角度範囲である第2射出角度範囲よりも大きくなるように、前記発光素子が射出する前記光の前記角度範囲を狭めてもよい。
この形態のステアリング装置によれば、第1射出角度範囲と第2射出角度範囲が等しい態様と比較して、光照射部から放射される光のうち、第2射出角度範囲における光の割合を高くすることができる。そのため、光調整部によって非通過光が遮られていても、通過光における光の割合を高くすることができる。そのため、把持部に当たる光の割合を、高くすることができる。
(4)上記形態のステアリング装置において、前記一つ以上の光照射部として、第1光照射部と、第2光照射部と、を備え、前記一つ以上の光調整部として、前記第1光照射部と前記把持部との間に配置される第1光調整部と、前記第2光照射部と前記把持部との間に配置される第2光調整部と、を備え、前記把持部は、前記回転部の周りを囲むように配されており、前記第1光照射部と前記第2光照射部と、のそれぞれは、前記回転部が基準の角度位置にあるとき、通過する前記通過光の一部が、前記把持部のうち、前記回転部に対して鉛直方向の上側に位置する部分に当たるように構成され、前記回転部が基準の角度位置にあるときであって、上側に向かう方向を0°としたときに、前記第1光照射部は、前記第1面内における前記光軸の角度が、0°から30°の範囲となるように配され、前記第2光照射部は、前記第1面内における前記光軸の角度が、0°から-30°の範囲となるように配されていてもよい。
本開示は、上述したステアリング装置としての形態以外にも、例えば、ステアリング装置の製造方法や、ステアリング装置を搭載した車両などの種々の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態のステアリング装置が搭載された車両を示す説明図。
【
図4】
図2の、第1光照射部が配されている周辺を拡大した図。
【
図8】光調整部が孔部を塞いでいることを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A1.第1実施形態の構成:
図1は、第1実施形態のステアリング装置1が搭載された車両VWを示す説明図である。
図1において、車両VWは水平面上に置かれている。
図1において、互いに直行するX軸、Y軸、Z軸を示している。X軸は、車両VWの左右方向である。紙面の手前から奥側に向かう向きが、X軸の正方向である。Y軸は、後に説明する回転軸ARが伸びる方向と平行な方向である。Z軸は、X軸、Y軸と直交する方向である。また、
図1において、鉛直方向の向きがVU軸で表されている。鉛直方向の上向きが、VU軸の正方向である。
【0009】
本実施形態の車両VWは、自動運転、または車両VWのユーザである運転手DRによる手動運転が可能である。車両VWは、測距装置RFと、車両制御部VCと、ステアリング装置1と、を備えている。測距装置RFとステアリング装置1は、それぞれ車両制御部VCと電気的に接続しており、車両制御部VCとの間で信号を送受信することが可能である。
【0010】
測距装置RFは、車両VWの前方の他車両や、歩行者等の対象物との距離を取得する。測距装置RFは、取得した対象物との距離のデータを、車両制御部VCに送信する。本実施形態において、測距装置RFとして、ミリ波レーダが使用される。なお、測距装置RFとして、ソナーやLIDARセンサ等が使用されることが可能である。
【0011】
車両制御部VCは、対象物の、予め定められた時間内における車両VWに対する相対的な移動距離に基づいて、対象物の速度を算出する。車両制御部VCは、車両VWの前方に存在する対象物の速度が予め定められた速度よりも大きくなった場合に、後に説明するステアリング装置1の制御部30に、対象物である他車両が発進したことを示す信号である先行車発進信号を送信する。なお、
図1において制御部30の図示を省略している。
【0012】
また、車両制御部VCは、無線ネットワーク通信によって車両VWの現在位置と、自動運転が可能な道路の区間と、を取得する。車両VWが自動運転を行っており、運転手DRによって運転される必要がある道路の区間まで予め定められた距離となる場所に車両VWが位置した場合、車両制御部VCは、ステアリング装置1の制御部30に、車両VWの運転を、自動運転から手動運転に移行すべきであることを示す信号である、手動運転移行信号を送信する。
【0013】
図2は、ステアリング装置1を示す説明図である。
図2は、
図1のステアリング装置1を、Y軸の正方向に向かって見た図である。
図2において、ステアリング装置1を簡略化した図を示している。また、
図2において、理解を容易にするために、把持部10にハッチングを付している。
図1に示すように、ステアリング装置1は、運転手DRによって把持される。ステアリング装置1は、運転手DRによって操作されることで、車両VWの操舵を実現する装置である。
【0014】
ステアリング装置1は、車両VWのフロントFRO内部から突出する回転軸ARと接続している(
図1の回転軸AR参照)。回転軸ARを介して、ステアリング装置1は、車両VWに取り付けられている。回転軸ARは、車両VWの図示しないトルクセンサに回転を伝える。
図2に示すように、ステアリング装置1は、把持部10と、回転部20と、制御部30と、を備える。なお、
図2において、制御部30の図示を省略している。
【0015】
図1に示すように、把持部10は、車両VWのユーザである運転手DRによって把持される部位である。
図2に示すように、把持部10は、把持部10の内周側において、回転部20と接続している。把持部10は、回転軸ARの周りを囲むように配されている。なお、
図2において、回転軸ARの図示を省略している。把持部10は、回転部20をはさんで対称に構成されている。本実施形態において、把持部10は、回転部20が基準の角度位置にあるときに、Z軸に対して対称に構成されている。基準の角度位置については後に説明する。本実施形態において、把持部10は、略環状の形状を有している。把持部10は、芯金部11と、被覆部12と、を備えている。
図2において、芯金部11を破線で表している。
【0016】
芯金部11は、被覆部12に覆われている。芯金部11は、環状の形状を有している。芯金部11は、回転部20をはさんで対称に構成されている。
図2においては図示していないが、芯金部11は、芯金部11のZ軸方向における中心を通り、X軸方向に延びる部材である固定部材と接続している。固定部材は芯金部11と同じ素材で形成されている。固定部材はY軸方向に見たときに、後に説明するパッド穴部211の内側に位置する穴が形成されている。上述した回転軸ARが、固定部材の穴に接続する。被覆部12は、芯金部11を覆うことで、芯金部11を保護している。また、被覆部12は、回転部20の一部を覆っている。被覆部12は、第1被覆部121と、第2被覆部122を備えている。
図2において、第2被覆部122のみを図示し、第1被覆部121の図示を省略している。第1被覆部121は、芯金部11を覆う。また、第1被覆部121は、回転部20の一部を覆う。第1被覆部121は、第2被覆部122によって覆われている。第1被覆部121は、軟質の合成樹脂によって形成されている。本実施形態においては、合成樹脂として、発泡ポリウレタンが使用されている。第2被覆部122は、第1被覆部121を覆う。本実施形態においては、第2被覆部122の素材として、革が使用されている。運転手DRは、被覆部12を介して、芯金部11を把持することで、把持部10を操作する。
【0017】
回転部20は、車両VWに対して、回転可能に取り付けられる。具体的には、回転部20は、回転軸ARが後に説明するパッド部21のパッド穴部211に通ることで、車両VWに対して、回転可能に取り付けられる。また、回転部20は、把持部10と接続している。
図2に示すように、回転部20が運転手DRによって回転されていない状態において、回転部20は、Y軸とZ軸を含む面に対して対称である。回転部20の対称面が、鉛直方向であるVU方向を含む回転部20の位置を、「回転部20の基準の角度位置」とする。
図2において、回転部20が回転部20の基準の角度位置にある状態を表している。
図2および
図3に示すように、回転部20は、パッド部21と、保持部HPと、第1光照射部22と、第2光照射部23と、第3光照射部24と、第4光照射部25と、第1光調整部26と、第2光調整部27と、第3光調整部28と、第4光調整部29と、収容空間SPと、を備えている。以下において、第1光照射部22と、第2光照射部23と、第3光照射部24と、第4光照射部25とを区別しない場合は、「光照射部LI」と表記する。また、以下において、第1光調整部26と、第2光調整部27と、第3光調整部28と、第4光調整部29と、を区別しない場合は、「光調整部LA」と表記する。
【0018】
図3は、パッド部21を説明する図である。パッド部21は、一部が把持部10によって覆われる部分である。パッド部21は、上述した固定部材と接続している。
図3において回転軸ARと把持部10の図示を省略している。パッド部21は、把持部10の中心から離れる方向、かつ運転手DRから離れる方向であるY軸の正方向に向かって、凹んでいる。パッド部21の素材として、ウレタンが使用される。
図2および
図3に示すように、パッド部21は、パッド穴部211と、第1孔部212と、第2孔部213と、第3孔部214と、第4孔部215と、を備える。以下において、第1孔部212と、第2孔部213と、第3孔部214と、第4孔部215と、を区別しない場合は、「孔部HL」と表記する。
【0019】
パッド穴部211は、回転軸ARが通る部分である。詳細には、パッド穴部211の内側に配置されている、図示しない固定部材の穴を、回転軸ARが通る。パッド穴部211は、Y軸方向に見たときに、パッド部21の中心に形成されている。
【0020】
孔部HLに共通する構成について説明する。孔部HLは、光照射部LIから射出された光が通過する孔である。
図2に示すように、孔部HLは、光調整部LAによって覆われる。孔部HLは、光照射部LIが射出する光の光軸の方向に見たときに、光照射部LIと、把持部10との間において形成されている。
図2において、第1光照射部22から射出される光の光軸OAのみを示している。
図3に示すように、本実施形態において、孔部HLは、略直方の形状を有している。
【0021】
図2に示すように、第1孔部212は、第1光照射部22から射出された光が通過する。第1孔部212は、回転部20が基準の角度位置にあるときに、パッド部21のZ軸の正方向における端部に形成されている。第1孔部212は、第1光照射部22が射出する光の光軸OAの方向にみたときに、第1光照射部22と、把持部10との間において形成されている。第2孔部213は、第2光照射部23から射出された光が通過する。第2孔部213は、回転部20が基準の角度位置にあるときに、パッド部21のZ軸の正方向における端部、かつ、第1孔部212に対してX軸の負方向側の位置において形成されている。第2孔部213は、第2光照射部23が射出する光の光軸の方向にみたときに、第2光照射部23と、把持部10との間において形成されている。
図2において、第2光照射部23が射出する光の光軸の図示を省略している。
【0022】
第3孔部214は、第3光照射部24から射出された光が通過する。第3孔部214は、回転部20が基準の角度位置にあるときに、パッド部21の、第1孔部212に対してZ軸の負方向側の位置において形成されている。第3孔部214は、第3光照射部24が射出する光の光軸の方向にみたときに、第3光照射部24と、把持部10との間において形成されている。
図3において、第3光照射部24が射出する光の光軸の図示を省略している。第4孔部215は、第4光照射部25から射出された光が通過する。第4孔部215は、回転部20が基準の角度位置にあるときに、パッド部21の、第2孔部213に対してZ軸の負方向側の位置において形成されている。また、第4孔部215は、回転部20が基準の角度位置にあるときに、第3孔部214に対してX軸の負方向側の位置において形成されている。第4孔部215は、第4光照射部25が射出する光の光軸の方向にみたときに、第4光照射部25と、把持部10との間において形成されている。
図2において、第4光照射部25が射出する光の光軸の図示を省略している。
【0023】
図4は、
図2の、第1光照射部22が配されている周辺を拡大した図である。保持部HPは、光照射部LIを保持するための部材である。保持部HPは、パッド部21に対して、脱着可能に構成されている。
図4に示すように、保持部HPは、光照射部LIを保持した状態で、ボルトBIによってパッド部21に固定される。ボルトBIがパッド部21から取り外されることにより、容易に保持部HPがパッド部21から取り外される。これにより、光照射部LIの交換が可能である。また、保持部HPがパッド部21に固定されることにより、光照射部LIの位置ずれを防止することができる。そのため、把持部10に対する光の照射が、高精度に行われることが可能である。
図2に示すように、第1光照射部22を保持する保持部を第1保持部HP1、第2光照射部23を保持する保持部を第2保持部HP2、第3光照射部24を保持する保持部を第3保持部HP3、第4光照射部25を保持する保持部を第4保持部HP4と表記する。
【0024】
光照射部LIに共通する構成について説明する。光照射部LIは、把持部10の一部に向かって光を射出する。
図2において、第1光照射部22と第2光照射部23が射出する光の一部にハッチングを付して表している。本実施形態において、光照射部LIは、パッド部21の収容空間SPにおいて、保持部HPを介してボルトBIによってパッド部21に固定されている(
図2ないし
図4参照)。
【0025】
図5は、第1光照射部22の構成を説明する図である。
図5を用いて、第1光照射部22について説明することで、光照射部LIが共通して備える要素を説明する。第1光照射部22は、略直方の形状を有している。第1光照射部22は、ケース221と、発光素子222と、図示しない光源基板223と、レンズ224と、を備えている。ケース221は、発光素子222と、光源基板223と、レンズ224を収容する部材である。ケース221は、略直方の形状を有する。ケース221の素材として、シリコン樹脂が使用されている。
【0026】
発光素子222は、予め定められた角度範囲で光を射出する。本明細書における角度範囲とは、光軸OAを含むある面内を通過する、光の角度の範囲である。本実施形態において、発光素子222は、光軸OAを中心として、ある面内の左右方向にそれぞれ60°広がる角度範囲で、光を射出する。なお、発光素子222は、光軸OAを中心として、ある面内の左右方向にそれぞれ30°や90°等、60°以外の角度範囲で、を放出してもよい。本実施形態において、発光素子222として、発光ダイオードが使用されている。光源基板223は、発光素子222が配置される。光源基板223は、プリント基板である。
【0027】
図6は、
図2のVI-VI断面図である。
図6において、断面の一部を表している。なお、
図6は、光軸OAを含む断面図であるが、
図2において、光軸OAと区別するために、あえて断面の位置をずらして表している。また、
図6における把持部10の断面の形状は、正確ではない。レンズ224の説明にあたって、光軸OAと、光軸OAに垂直な方向を含む面について説明する。
図2に示すように、把持部10のうち、光が照射される一部が伸びている方向を、第1方向FDと表記する。第1方向FDは、光軸OAと垂直な方向である。第1光照射部22が射出する光の光軸OAと、第1方向FDとを含む面を、第1面FSと表記する。
図2において、第1面FSの一部を枠で表している。
図6に示すように、光軸OAの方向と、第1方向FDと、に垂直な方向を、第2方向SDと表記する。光軸OAと、第2方向SDと、を含む面を、第2面SSと表記する。
図6において、第2面SSの一部を枠で表している。
【0028】
以下において、光軸OAの、把持部10に向かう方向を、光軸OAの正方向、逆の向きを、光軸OAの負方向と表記する。第1方向FDの、車両VWの右方向に向かう向きを「第1方向FDの正方向」、逆の向きを「第1方向FDの負方向」と表記する。第2方向SDの、車両VWの前方に向かう向きを「第2方向SDの正方向」、逆の向きを、「第2方向SDの負方向」と表記する。
図5と
図6において、光軸OAと、第1方向FDと、第2方向SDを表す軸を表記している。
【0029】
図5に示すレンズ224は、発光素子222が射出した光を通過させる。本実施形態において、レンズ224は、発光素子222が射出する光の角度範囲を狭める。レンズ224は、レンズ部224aと、台座224bと、を備える。レンズ部224aは、発光素子222が射出する光が通過する部分である。レンズ部224aは、台座224bと接続している。レンズ部224aは、台座224bと接続する端部から、光軸OAの正方向に向かって突出する形状を有している。レンズ部224aは、レンズ部224aの頂点224aaから、光軸OAの負方向に向かって、曲面が形成されている。レンズ部224aの頂点224aaから、第1方向FDの両方向に広がる曲面は、第2方向SDの両方向に広がる曲面よりもゆるやかな局面を形成している。
【0030】
一般に、発光素子は、光軸を中心として円錐状に光を射出する性質があることが知られている。そのため、レンズ部224aの、第1方向FDと第2方向SDにおける曲率が同じである場合、発光素子222から射出された光は、光軸OAを中心として円状に、レンズ部224aを通過する。上述したように、ステアリング装置1は運転手DRによって把持される環状の部材であるため、光軸OAを中心として円状に光が射出される態様においては、X軸の方向から見たときに、Y軸方向において把持部10の周囲を通り過ぎる光の割合が大きい。
【0031】
本実施形態においては、レンズ部224aの頂点224aaから、第1方向FDの両方向に広がる曲面は、第2方向SDの両方向に広がる曲面よりもゆるやかな局面を形成しているため、レンズ部224aの第2方向SDにおける曲率が、第1方向FDの曲率よりも大きい。このため、
図2および
図6に示すように、第1光照射部22が射出する光の、第1面FS内における角度範囲である第1射出角度範囲FIAが、第1光照射部22が射出する光の第2面SS内における第2射出角度範囲SIAよりも大きい。なお、第1射出角度範囲FIAとは、光軸OAに垂直なある面と、第1面FSとが交差する直線上を通る光量が、ピークの光量の10%以上となる範囲をいう。第2射出角度範囲SIAとは、光軸OAに垂直なある面と、第2面SSとが交差する直線上を通る光量が、ピークの光量の10%以上となる範囲をいう。
【0032】
具体的には、第1射出角度範囲FIAが、40°以上かつ、70°以内となるように、発光素子222から射出された光がレンズ部224aによって絞られる。本実施形態においては、第1射出角度範囲FIAが、56°となるように、レンズ部224aが構成されている。また、第2射出角度範囲SIAが、10°以上かつ、20°以内となるように、発光素子222から射出された光がレンズ部224aによって絞られる。本実施形態においては、第2射出角度範囲SIAが、15°となるように、レンズ部224aが構成されている。なお、
図6に示す角度範囲は、説明のために誇張されて表されており、正確なものではない。本実施形態において、レンズ部224aの素材として、アクリルが使用される。
【0033】
図2に示す第1光照射部22と、第2光照射部23と、第3光照射部24と、第4光照射部25と、のそれぞれについて説明する。第1光照射部22は、第1孔部212に向かって光を射出する。本実施形態において、第1光照射部22は、回転部20が基準の角度位置にあるときに、把持部10のうち、回転部20に対して鉛直方向の上側に位置する部分に対して、光を照射するように構成されている。なお、本明細書において、「回転部20に対して鉛直方向の上側」とは、鉛直方向について回転部20が占める範囲よりも上の範囲を意味する。ある物Aが「回転部20に対して鉛直方向の上側にある」とは、回転部20の鉛直方向の直上にあることを意味しない。すなわち、鉛直方向に投影したとき、物Aの水平方向の位置は、回転部20と重複しなくてもよい。同様に、本明細書において、「回転部20に対して鉛直方向の下側」とは、鉛直方向について回転部20が占める範囲よりも下の範囲を意味する。ある物Aが「回転部20に対して鉛直方向の下側にある」とは、回転部20の鉛直方向の直下にあることを意味しない。すなわち、鉛直方向に投影したとき、物Aの水平方向の位置は、回転部20と重複しなくてもよい。第1光照射部22は、パッド部21の、Z軸の正方向における端部、かつ、収容空間SPにおいて、配置されている。第1光照射部22は、第1保持部HP1によって保持されている。本実施形態において、上側に向かう方向を0°とし、ステアリング装置1をY軸の正方向に見たときの時計回りを角度の正の向き、半時計周りを角度の負の向きとする。上側に向かう方向とは、把持部10の円環で規定されている平面内の上に向かう方向のことをいう。本実施形態において、円環で規定されている平面とは、Z軸とX軸を含む平面である。回転部20が基準の角度位置にあるときに、第1光照射部22は、第1面FS内における光軸OAの角度が、0°から30°の範囲となるように配される。本実施形態においては、第1光照射部22は、第1面FS内における光軸OAの角度が、15°となるように、パッド部21に配されている。
【0034】
第2光照射部23は、第2孔部213に向かって光を射出する。本実施形態において、第2光照射部23は、回転部20が基準の角度位置にあるときに、把持部10のうち、回転部20に対して鉛直方向の上側に位置する部分に対して、光を照射するように構成されている。第2光照射部23は、パッド部21の、Z軸の正方向における端部であって、第1光照射部22に対してX軸の負方向において配置されている。第2光照射部23は、収容空間SPに配置されている。第2光照射部23は、第2保持部HP2によって保持されている。第2光照射部23は、第2面SS内における光軸OAの角度が、0°から-30°の範囲となるように配される。本実施形態においては、第2光照射部23は、第2面SS内における光軸OAの角度が、-15°となるように、パッド部21に配されている。
【0035】
第3光照射部24は、第3孔部214に向かって光を射出する。第3光照射部24は、回転部20が基準の角度位置にあるときに、把持部10の中心よりもZ方向の下側、かつX軸の正方向に位置する部分に対して、光を照射するように構成されている。第3光照射部24は、第1光照射部22に対して、Z軸の負方向側において配置されている。第3光照射部24は、第3保持部HP3によって保持されている。第4光照射部25は、第4孔部215に向かって光を射出する。第4光照射部25は、回転部20が基準の角度位置にあるときに、把持部10の中心よりもZ方向の下側、かつX軸の負方向に位置する部分に対して、光を照射するように構成されている。第4光照射部25は、第2光照射部23に対して、Z軸の負方向側において配置されている。また、第4光照射部25は、第3光照射部24に対して、X軸の負方向側において配置されている。第4光照射部25は、第4保持部HP4によって保持されている。
【0036】
図7は、光調整部LAを説明する図である。
図7に示す各光調整部LAの相対位置が、
図2における各光調整部LAの相対位置に対応する。
図8は、光調整部LAが孔部HLを塞いでいることを説明する図である。光調整部LAに共通の構成について説明する。光調整部LAは、上述した四つの光照射部LIのうち、一つの光照射部LIが射出した光の一部を通過させ、光の他の部分を遮る。以下において、光調整部LAが通過させた光の一部を、「通過光PL」と表記する。また、光調整部LAが遮った光の他の部分を、「非通過光NPL」と表記する。
図2に示すように、本実施形態において、光調整部LAは、一つの孔部HLを覆う。より詳細には、光調整部LAは、孔部HLを塞ぐことにより、孔部HLを覆っている。そして、光調整部LAは、覆った孔部HLを画定するパッド部21の面と、連続した面を構成する。
図4に示すように、第1光調整部26の表面は、パッド部21の、第1孔部212の周囲の面と連続している。光調整部LAは、光照射部LIのうち一つの光照射部LIが射出し、把持部10に向かう光の光路上において、光照射部LIと把持部10と、の間に配される。以下において、第1光調整部26について説明することで、光調整部LAが共通して備える要素を説明する。
図7に示すように、第1光調整部26は、略直方の形状を有する。第1光調整部26は、蓋部261と、係止部262と、コーティング263と、を備えている。
【0037】
蓋部261は、第1孔部212を塞ぐ部分である。本実施形態において、蓋部261は、ガラスによって形成されている。蓋部261は、第1孔部212を画定するパッド部21の面と、連続した面を構成する。係止部262は、第1光調整部26をパッド部21に固定するための部分である。係止部262は、弾性を有している。作業者によって、第1光調整部26が第1孔部212に配置される際に、係止部262が弾性変形することでカバー部の図示しない嵌め部に係止部262が嵌る。
【0038】
コーティング263は、第1光照射部22から射出され、蓋部261に入射した光を、通過光PLと非通過光NPLに分ける役割を有する。コーティング263の機能の詳細は後に説明する。
図8に示すように、コーティング263は、蓋部261の、パッド部21の面と連続する面において、塗布されることにより配されている。本実施形態においては、コーティング263は、蓋部261の表面のうち、中心261aを含んだ略直方の範囲の両外側において、塗布されている。コーティング263の材料は、光を遮る性質を有する。本実施形態において、コーティング263の材料は、パッド部21に塗布されている材料と同じ材料である。これにより、コーティング263とパッド部21と、に一体感が生じ、コーティング263の材料がパッド部21に塗布されている材料と異なる態様と比較して、回転部20の外観の良さが向上する。なお、
図8においてコーティング263のみにハッチングが付されている。
【0039】
図6を用いて、コーティング263の機能を説明する。上述したように、第1光照射部22から射出された光は、第1孔部212に向かって進行する。つまり、第1光照射部22から射出された光は、第1孔部212を塞ぐ蓋部261に向かって進行する。
図6に示すように、第1光調整部26は、第2面SS内において、蓋部261に入射した光の一部が、コーティング263が塗布されていない部分を通過して、把持部10に入射するように構成されている。また、第1光調整部26は、第1光照射部22から射出された光の他の部分が、蓋部261のコーティング263によって遮られることにより、蓋部261を通過しないように構成されている。一方、
図2に示すように、第1面FS内においては、蓋部261に入射した光が、コーティング263に遮られることなく蓋部261を通過して、把持部10に入射している(
図2のハッチングが付された光参照)。なお、
図2においてコーティング263の図示を省略している。
【0040】
図6に示すように、蓋部261のうち、光が把持部10に向かって通過可能な部分を、「通過部PA」と表記する。通過部PAは、コーティング263が付されていない蓋部261の部分によって構成されている。
図6に示すように、通過部PAは、光軸OAの方向に見たときに、光軸OAが通る部分において配されている。蓋部261のうち、光を通過させない部分を、「非通過部NPA」と表記する。非通過部NPAは、コーティング263が付されている蓋部261の部分によって構成されている。非通過部NPAは、光軸OAの方向に見たときに、通過部PAに連続して配されている。
【0041】
図2に示す、第1面FS内における通過光PLの角度範囲を、第1角度範囲FAと表記する。
図6に示す、第2面SS内における通過光PLの角度範囲を、第2角度範囲SAと表記する。上述したように、第1面FS内においては、第1光照射部22から射出される光が非通過部NPAによって遮られることがない。そのため、
図2に示すように、第1面FSにおける第1角度範囲FAは、第1射出角度範囲FIAと同じ角度範囲となる。一方、
図6に示すように、第2面SS内においては第1光照射部22から射出された光の一部が通過部PAを通過するが、他の部分が非通過部NPAによって遮られる。そのため、第2面SS内における第2角度範囲SAは、第2射出角度範囲SIAよりも小さくなる。
【0042】
上述したように、本実施形態において、第1光照射部22が射出する光の、第1面FS内における角度範囲である第1射出角度範囲FIAが、第1光照射部22が射出する光の第2面SS内における第2射出角度範囲SIAよりも大きい。第1光照射部22から射出された光の他の部分が非通過部NPAによって遮られることで、第1射出角度範囲FIAと第2射出角度範囲SIAの角度範囲の差に対して、第1角度範囲FAと第2角度範囲SAの角度範囲の差が大きくなる。第1角度範囲FAのほうが、第2角度範囲SAよりも大きい。本実施形態においては、上述したように、第1光照射部22のレンズ部224aによって、第2射出角度範囲SIAが15°まで狭められている。さらに、第1光調整部26によって、第2角度範囲SAが13°まで狭められる。
【0043】
第1光調整部26と、第2光調整部27と、第3光調整部28と、第4光調整部29のそれぞれについて説明する。第1光調整部26は、第1光照射部22が射出した光の一部を透過させ、光の他の部分を遮る。第1光調整部26は、第1光調整部26を通過した通過光PLが、把持部10のうち、回転部20に対して鉛直方向の上側に位置する部分に当たるように構成されている。第1光調整部26は、第1孔部212に配置され、第1孔部212を覆う。
【0044】
第2光調整部27は、第2光照射部23が射出した光の一部を透過させ、光の他の部分を遮る。第2光調整部27は、第2光調整部27を通過した通過光が、把持部10のうち、回転部20に対して鉛直方向の上側に位置する部分に当たるように構成されている。第2光調整部27は第2孔部213に配置され、第2孔部213を覆う。
【0045】
第3光調整部28は、第3光照射部24が射出した光の一部を透過させ、光の他の部分を遮る。第3光調整部28は第3孔部214に配置され、第3孔部214を覆う。第4光調整部29は、第4光照射部25が射出した光の一部を透過させ、光の他の部分を遮る。第4光調整部29は第4孔部215に配置され、第4孔部215を覆う。
【0046】
図3に示す収容空間SPは、パッド部21の内側において形成される空間である。収容空間SPは、図示しないエアバックやインフレーターが収容される。また、収容空間SPには、光照射部LIが収容されている。図示はしていないが、収容空間SPは、カバーによって覆われている。カバーにより、収容空間SPに収容されている部品が、外部の衝撃から保護される。
【0047】
図9は、制御部30を示す説明図である。制御部30は、プロセッサーであるCPUと、ROMと、RAMと、を備えている。CPUが、ROMに記憶されたプログラムを、RAM上に展開することにより、以下の機能を実現する。制御部30は、光照射部LIを制御する。具体的には、制御部30は、光照射部LIの、光の射出のタイミングを制御する。制御部30は、車両制御部VCから、先行車発信信号と、手動運転移行信号を受信する。制御部30は、車両制御部VCから、先行車発信信号を受信したときに、光照射部LIに対して、光を射出させるように制御する。制御部30は、予め定められた時間、光照射部LIに、光を射出させる。これにより、把持部10からの反射光を受けた運転手DRが、車両VWの前方を見ることで、先行車が発進したことに気づくことができる。
【0048】
本実施形態において、制御部30は、手動運転移行信号を受信したときに、光照射部LIが、予め定められた時間間隔で、光を繰り返し射出するように、光照射部LIを制御する。本実施形態において、予め定められた時間間隔は、0.5秒である。上述したように、手動運転移行信号が制御部30に送信されるのは、運転手DRによって車両VWが運転される必要がある場合である。この際は、運転手DRによって気づかれるべき緊急度の高さが、先行車が発進した場合よりも高いと考えられる。光照射部LIが、予め定められた時間間隔で、繰り返し光を射出することで、把持部10において、光が点滅した状態を生じさせることができる。これにより、運転手DRが把持部10に注意を払っていない状態においても、運転手DRが光に気づく可能性が高くなる。
【0049】
本実施形態において、第1面FS内における、光調整部LAを通過した、通過光PLの角度範囲である第1角度範囲FAが、第2面SS内における、光調整部LAを通過した、通過光PLの角度範囲である第2角度範囲SAよりも大きい。そのため、第1角度範囲FAが、第2角度範囲SAと等しい態様と比較して、第2面SS内における、把持部10を通り過ぎる光の量を少なくすることができる。第2面SS内における、光の角度範囲を、第1面FS内における光の角度範囲よりも小さくすることで、ユーザや乗員が把持部10を通過した光を視認する可能性を低減することができる。
【0050】
また、光照射部LIと光調整部LAが、パッド部21と把持部10の間に配される態様と比較して、ユーザである運転手DRの操作に起因する光照射部LIと光調整部LAの損傷を防止することができる。また、光調整部LAが孔部HLを覆い、孔部HLを画定する面と連続した面を構成することで、ステアリング装置1の外観を向上させることができる。
【0051】
さらに、第1射出角度範囲FIAと第2射出角度範囲SIAが等しい態様と比較して、光照射部LIから放射される光のうち、第2射出角度範囲SIAにおける光の割合を高くすることができる。そのため、光調整部LAによって非通過光NPLが遮られていても、通過光PLにおける光の割合を高くすることができる。そのため、把持部10に当たる光の割合を、高くすることができる。
【0052】
また、光照射部LIがパッド部21に配置されているため、例えば光照射部LIが把持部10に配置され、光照射部LIから射出された直接光をユーザが視認する態様と比較して、芯金部11や被覆部12を削る必要なく、光照射部LIを組み付けることができる。把持部10の意匠を変更する必要がなく、把持部10の外観の良さを維持することができる。さらに、異なる型の把持部10と回転部20を備えるステアリング装置1に対して、同一の光照射部LIを流用することができる。
【0053】
B.第2実施形態:
第2実施形態のステアリング装置1Bは、第1光照射部22と、第2光照射部23から射出された光が重複する点で、第1実施形態と異なる。その他の構成については第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略し、同一の符号を付す。
【0054】
第2実施形態において、第2光照射部23から射出され、把持部10に入射した光の一部は、第1光照射部22から射出され、把持部10に入射した光の一部と重複する。詳細には、第1光照射部22から射出され、第1光調整部26を通過し、把持部10に入射した光の一部と、第2光照射部23から射出され、第2光調整部27を通過し、把持部10に入射した光の一部とが、重複するように、第1光照射部22と、第2光照射部23と、第1光調整部26と、第2光調整部27と、が構成されている。光が重複する把持部10の部位を、「重複部」と表記する。回転部20が基準の角度位置にあるときに、Z方向に平行かつ、回転部20の中心を通る直線が、重複部を通るように、第1光調整部26と、第2光調整部27と、が構成されている。
【0055】
第1光照射部22および第2光照射部23は、光軸OAに近い角度位置であるほど、光の強度が大きく、光軸OAから遠ざかるにつれて強度が小さくなると考えられる。光が照射される部位が重複することによって、ユーザによって光が視認されやすくなる。
【0056】
また、上述したように、第1光照射部22と第2光照射部23とは、回転部20が基準の角度位置にあるとき、通過する通過光PLの一部が、把持部10のうち、回転部20に対して鉛直方向の上側に位置する部分に当たるように構成されている。第2実施形態においては、重複部が、把持部10の最も鉛直方向の上側の部位に位置するように構成されている。第2実施形態において、重複部が、把持部10の最も鉛直方向の上側の部位に位置しない態様と比較して、ユーザによって光が視認されやすくなる。
【0057】
C.他の実施形態:
C1.他の実施形態1:
(1)上記実施形態において、ステアリング装置1は車両VWに搭載されている。なお、ステアリング装置は例えば船舶や飛行機等の、車両以外の移動体に設けられていてもよい。
【0058】
(2)上記実施形態において、把持部10の一部に向かって、光照射部LIが光を射出している。なお、光照射部が、把持部の全てに向かって光を射出してもよい。把持部の少なくとも一部に向かって、光照射部から光が射出される。
【0059】
(3)上記実施形態において、ステアリング装置1は、第1光照射部22と、第2光照射部23と、第3光照射部24と、第4光照射部25と、を備えている。なお、ステアリング装置は、四つの光照射部に限定されず、一つの光照射部を備えていてもよく、五つの光照射部を備えていてもよい。
【0060】
(4)上記実施形態において、ステアリング装置1は、第1光調整部26と、第2光調整部27と、第3光調整部28と、第4光調整部29と、を備えている。なお、例えばステアリング装置が一つの光照射部を備えている態様において、光調整部は一つであってもよい。光照射部の数に対応した数の光調整部を、ステアリング装置が備え、一つの光照射部と、把持部と、の間に、それぞれの光調整部が配置されていてもよい。
【0061】
(5)上記実施形態において、収容空間SPに、光照射部LIが収容されている。なお、収容空間の外側に、光照射部が配置されていてもよい。例えば、パッド部と、把持部と、の間に、光照射部と、光調整部と、が配されていてもよい。この態様において、回転部が、光照射部と、光調整部とを保持する構成を備えている。また、例えば第1光照射部と、第2光照射部とが、Y軸方向に並んで配置されてもよい。
【0062】
(6)上記実施形態において、把持部10は略環状を有している。なお、例えば把持部は、回転部の周りを囲む略直方の形状を有していても良い。また、把持部は、回転部が基準の角度位置にあるときに、回転部の左右側および鉛直方向の下側において、複数の棒状の部材が接続する形状を有していてもよい。また、把持部は、回転部が基準の角度位置にあるときに、回転部の左右の両方向においてそれぞれ配される2つの棒状の部材であってもよい。この態様において、光照射部と光調整部とが、回転部が基準の角度位置にあるときに、光調整部を通過する通過光の一部が、把持部のうち、回転部に対して左右方向のいずれか一方に位置する部分に当たるように構成されていてもよい。
【0063】
(7)上記実施形態において、発光素子222として、発光ダイオードを使用している。なお、発光素子として、例えばレーザーダイオードが使用されてもよい。
【0064】
(8)上記実施形態において、芯金部11の素材として、ウレタンが使用されている。なお、芯金部の素材として、例えばステンレス鋼や、マグネシウム合金等が使用されてもよい。
【0065】
(9)上記実施形態において、第1被覆部121の素材として、発泡ポリウレタンが使用されている。なお、発泡ポリウレタン以外の軟質の素材が使用されてもよい。
【0066】
(10)上記実施形態において、第2被覆部122の素材として、革が使用されている。なお、第2被覆部の素材として、例えば樹脂が使用されてもよい。
【0067】
(11)上記実施形態において、ケース221の素材として、シリコン樹脂が使用されている。なお、例えばケースの素材として、ポリウレタンやポリカーボネート等、シリコン樹脂以外が使用されてもよい。
【0068】
(12)上記実施形態において、レンズ部224aの素材として、アクリルが使用される。なお、例えばレンズ部の素材として、ガラスが使用されてもよい。
【0069】
(13)上記実施形態において、ステアリング装置1は、自動運転または運転手DRによる手動運転が可能な車両VW内に取り付けられている。なお、ステアリング装置は、手動運転のみが可能な車両に取り付けられていてもよい。
【0070】
(14)上記実施形態において、制御部30は、車両VWが自動運転から手動運転に移行するときに、光照射部LIが、予め定められた時間間隔で、光を射出するように、光照射部LIを制御する。なお、例えばステアリング装置が、手動運転のみが可能な車両に取り付けられている態様において、制御部は、光照射部が、予め定められた時間間隔で、光を射出するように、光照射部を制御しなくてもよい。また、予め定められた時間間隔は、0.1秒や1秒など、0.5秒以外であってもよい。
【0071】
(15)上記実施形態において、車両VWは、測距装置RFを備えていた。なお、例えば車両制御部によって先行車発信信号が制御部に送信されない態様において、車両が測距装置を備えていなくてもよい。また、測距装置が、対象物のX軸およびY軸方向への速度を算出してもよい。
【0072】
(16)上記実施形態において、把持部10は、回転部20をはさんで対称に構成されている。なお、把持部は、回転部をはさんで対称に構成されていなくてもよい。
【0073】
C2.他の実施形態2:
(1)上記実施形態において、光調整部LAは、孔部HLを覆い、孔部HLを画定する面と連続した面を構成する。例えば、光調整部は、孔部を画定する面を構成しなくてもよく、孔部を覆うことで、孔部を画定する面に対して膨らんだ面を構成してもよい。
【0074】
(2)上記実施形態において、光調整部LAは、蓋部261と、係止部262と、コーティング263と、を備えている。なお、光調整部は、コーティングを備えていなくてもよい。例えば光調整部の蓋部が、光を透過させる素材と、光を透過させない素材とによって形成されていてもよく、光を透過させる素材が通過部の機能を果たし、光を透過させない素材が非通過部の機能を果たしてもよい。また、光調整部は、係止部を備えていなくてもよい。
【0075】
(3)上記実施形態において、回転部20は、孔部HLを備えている。なお、例えば光調整部と光照射部とが、パッド部と把持部との間に配置される態様において、回転部は孔部を備えていなくてもよい。
【0076】
(4)上記実施形態において、本実施形態においては、コーティング263は、蓋部261の表面のうち、中心261aを含んだ略直方の範囲の両外側において、塗布されている。なお、例えばコーティングは、蓋部261の表面のうち中心261aを含んだ略直方の範囲の、第2方向の正方向においてのみ塗布されていてもよい。コーティングは、上記実施形態のように、二か所に分かれて塗布されていなくてもよく、一か所だけに塗布されていてもよい。
【0077】
(5)例えば、孔部の周囲のパッド部の部分が、非通過部の機能を果たしていてもよい。
図8のコーティングが付されている蓋部の部分までパッド部が形成されており、孔部の中心を含む部分に、コーティングが施されていない蓋部が設置されることにより、蓋部が通過部の機能を果たしていてもよい。また、コーティングが付されている蓋部の部分までパッド部が形成されている態様において、孔部に蓋が配置されていなくてもよい。
【0078】
(6)上記実施形態において、第1面FS内においては、第1光照射部22から射出される光が非通過部NPAによって遮られることがない。なお、例えば第1角度範囲が、第2角度範囲よりも大きく、かつ、第1面内において第1光照射部から射出される光が、非通過部によって遮られるように、光照射部と光調整部とが構成されていてもよい。
【0079】
(7)上記実施形態において、蓋部261は、ガラスによって形成されている。なお、例えば蓋部は、アクリル板でもよい。
【0080】
C3.他の実施形態3:
(1)上記実施形態において、光照射部LIは、発光素子222が射出する光の角度範囲を狭めるレンズ224を備えていた。なお、例えば光照射部のレンズは、発光素子が射出する光の角度範囲を狭めなくてもよい。
【0081】
(2)例えば、複数の光照射部のうち、回転部が基準の角度位置にあるときに、パッド部のZ方向の上側の端部に配置される光照射部のレンズが、発光素子が射出する光の角度範囲を狭め、パッド部のZ方向の上側の端部以外に配置される光照射部のレンズが、発光素子が射出する光の角度範囲を狭めなくてもよい。
【0082】
C4.他の実施形態4:
(1)上記実施形態において、第1光照射部22は、第1面FS内における光軸OAの角度が、15°となるように配され、第2光照射部23は、第1面FS内における光軸OAの角度が、-15°となるように配されている。なお、例えば第1光照射部は、第1面内における光軸の角度が0°よりも小さく、または30°よりも大きくなるように配されてもよく、第2光照射部は、第1面内における光軸の角度が0°よりも大きく、または-30°よりも小さくなるように配されていてもよい。
【0083】
例えば、第1光照射部が第1面内における光軸の角度が、0°から30°の範囲となるように配され、第2光照射部が、第1面内における光軸の角度が0°よりも大きく、または-30°よりも小さくなるように配されていてもよい。また、第2光照射部が、第1面内における光軸の角度が、0°から-30°の範囲となるように配され、第1光照射部が、第1面内における光軸の角度が0°よりも小さく、または30°よりも大きくなるように配されていてもよい。
【0084】
(2)例えば光照射部が一つの態様において、光照射部が、第1面内における光軸の角度が、0°となるように配されていてもよい。
【0085】
(3)上記実施形態において、ステアリング装置1をY軸の正方向に見たときの時計回りを角度の正の向き、半時計周りを角度の負の向きとしている。なお、例えばステアリング装置をY軸の負方向に見たときの半時計周りを角度の正の向き、時計回りを角度の正の向きとしてもよい。
【0086】
(4)上記第2実施形態において、第1光調整部26と第2光調整部27のそれぞれを通過した通過光PLの一部同士が、重複するように、第1光照射部22と第2光照射部23と第1光調整部26と第2光調整部27が構成されている。例えば、第1光照射部が、第1面内における光軸の角度が、0°から30°の範囲となるように配され、第2光照射部が、第1面内における光軸の角度が、0°から-30°の範囲となるように配され、かつ、第1光照射部と第2光照射部との、それぞれから射出された光のそれぞれの、第1面内における角度範囲である第1射出角度範囲が、40°以上かつ、70°以内となるように構成されていない態様において、第1光調整部と第2光調整部のそれぞれを通過した通過光の一部同士が、重複するように、第1光調整部と第2光調整部が構成されていてもよい。
【0087】
C5.他の実施形態5:
(1)上記実施形態において、光照射部LIが、それぞれから射出された光のそれぞれの、第1面FS内における角度範囲である第1射出角度範囲FIAが、56°となるように配されている。なお、例えば複数の光照射部のそれぞれ、または一部において、第1射出角度範囲が、40°よりも小さい、または70°よりも大きくなるように構成されていてもよい。
【0088】
(2)上記第2実施形態において、第1光調整部26と第2光調整部27のそれぞれを通過した通過光PLの一部同士が、重複するように、第1光調整部26と第2光調整部27が構成されている。例えば、第1光照射部が、第1面内における光軸の角度が、0°から30°の範囲となるように配されず、第2光照射部が、第1面内における光軸の角度が、0°から-30°の範囲となるように配されず、かつ、第1光照射部と第2光照射部との、それぞれから射出された光のそれぞれの、第1面内における角度範囲である第1射出角度範囲が、40°以上かつ、70°以内となるように構成されている態様において、第1光調整部と第2光調整部のそれぞれを通過した通過光の一部同士が、重複するように、第1光調整部と第2光調整部が構成されていてもよい。
【0089】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1、1B…ステアリング装置、10…把持部、11…芯金部、12…被覆部、20…回転部、21…パッド部、22…第1光照射部、23…第2光照射部、24…第3光照射部、25…第4光照射部、26…第1光調整部、27…第2光調整部、28…第3光調整部、29…第4光調整部、30…制御部、121…第1被覆部、122…第2被覆部、211…パッド穴部、212…第1孔部、213…第2孔部、214…第3孔部、215…第4孔部、221…ケース、222…発光素子、223…光源基板、224…レンズ、224a…レンズ部、224aa…レンズ部の頂点、224b…台座、261…蓋部、261a…蓋部の中心、262…係止部、263…コーティング、AR…回転軸、BI…ボルト、DL…直線、DR…運転手、FA…第1角度範囲、FD…第1方向、FIA…第1射出角度範囲、FS…第1面、HL…孔部、HP…保持部、HP1…第1保持部、HP2…第2保持部、HP3…第3保持部、HP4…第4保持部、LA…光調整部、LI…光照射部、NPA…非通過部、NPL…非通過光、OA…光軸、PA…通過部、PL…通過光、RF…測距装置、SA…第2角度範囲、SD…第2方向、SIA…第2射出角度範囲、SP…収容空間、SS…第2面、VC…車両制御部、VW…車両