(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180224
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】アルミプラスチックフィルム及びアルミプラスチックフィルムに用いる基材
(51)【国際特許分類】
B32B 15/088 20060101AFI20241219BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20241219BHJP
C08L 33/04 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B32B15/088
C08L23/04
C08L33/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137223
(22)【出願日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】112122319
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】廖▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】袁敬堯
(72)【発明者】
【氏名】廖偉棠
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AB10D
4F100AK03B
4F100AK06B
4F100AK41A
4F100AK42A
4F100AK46C
4F100AK48C
4F100AK70B
4F100AK80B
4F100AL04B
4F100AL07B
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100EH20
4F100EJ38
4F100GB41
4F100JA04A
4F100JA04C
4F100JA06A
4F100JA06C
4F100JA07C
4F100JK02
4F100JK06
4F100JN01
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4J002BB03X
4J002BB07W
4J002BN05W
4J002BN05X
(57)【要約】
【課題】本発明は、アルミプラスチックフィルム及びアルミプラスチックフィルムに用いる基材を提供する。
【解決手段】
アルミプラスチックフィルム1は、ポリエステル層、複合樹脂層、ポリアミド層から成る基材2と、アルミニウム金属層3と、を含む。複合樹脂層は、ポリエステル層とポリアミド層との間に設置され、アルミニウム金属層は、ポリアミド層に設置される。ポリエステル層、複合樹脂層、及びポリアミド層から成る基材2は、共押出で一体成型されてなる。複合樹脂層は、ターポリマー及びポリオレフィン樹脂を含み、複合樹脂層の総重量を100重量%として、ターポリマーの含有量は45重量%を超え、ターポリマーはエチレン-アクリル酸ブチルの構造単位を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル層と、
ターポリマー及びポリオレフィン樹脂を含む複合樹脂と、
ポリアミド層と、
前記ポリアミド層に設置されたアルミニウム金属層と、を含む、アルミプラスチックフィルムであって、
前記複合樹脂は、前記ポリエステル層と前記ポリアミド層との間に設置され、
前記複合樹脂の総重量を100重量%として、前記ターポリマーの含有量は45重量%を超え、前記ターポリマーはエチレン-アクリル酸ブチルの構造単位を含み、
前記ポリエステル層、前記複合樹脂、及び前記ポリアミド層は、共押出で一体成型されてなることを特徴とする、アルミプラスチックフィルム。
【請求項2】
前記ターポリマーは、エチレンモノマーと、アクリル酸ブチルモノマーと、アクリルモノマーとで合成された共重合体である、請求項1に記載のアルミプラスチックフィルム。
【請求項3】
前記ターポリマーの総重量を100重量%として、前記ターポリマーでのエチレンモノマー及びアクリル酸ブチルモノマーの合計重量は14wt%~20wt%である、請求項2に記載のアルミプラスチックフィルム。
【請求項4】
前記ターポリマーに無水マレイン酸官能基がグラフトされる、請求項1に記載のアルミプラスチックフィルム。
【請求項5】
前記エチレンモノマーに無水マレイン酸官能基がグラフトされ、前記無水マレイン酸官能基の前記エチレンモノマーでのグラフト率は5wt%~15wt%である、請求項2に記載のアルミプラスチックフィルム。
【請求項6】
前記複合樹脂層での前記ターポリマー:前記ポリオレフィン樹脂(重量比)は1:1~3:1である、請求項1に記載のアルミプラスチックフィルム。
【請求項7】
前記ポリエステル層の成分は、ポリエチレンテレフタレートであり、ポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.60~0.68であり、前記ポリエチレンテレフタレートの融点は240℃~250℃である、請求項1に記載のアルミプラスチックフィルム。
【請求項8】
前記ポリアミド層を形成する材料の数平均分子量は、20000g/mol~23000g/molであり、前記ポリアミド層を形成する材料の相対粘度は2.7~2.9であり、前記ポリアミド層を形成する材料の融点は215℃~225℃である、請求項1に記載のアルミプラスチックフィルム。
【請求項9】
ポリエステル層と、
ターポリマー及びポリオレフィン樹脂を含む複合樹脂と、
ポリアミド層と、を含むアルミプラスチックフィルムに用いる基材であって、
前記複合樹脂層は、前記ポリエステル層と前記ポリアミド層との間に設置され、
前記複合樹脂層の総重量を100重量%として、前記ターポリマーの含有量は45重量%を超え、前記ターポリマーはエチレン-アクリル酸ブチルの構造単位を含み、
前記ポリエステル層、前記複合樹脂、及び前記ポリアミド層は、共押出で成型されてなることを特徴とする、アルミプラスチックフィルムに用いる基材。
【請求項10】
ヘイズ値は5%未満である、請求項9に記載のアルミプラスチックフィルムに用いる基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミプラスチックフィルム及びアルミプラスチックフィルムに用いる基材に関し、特に電池に応用するアルミプラスチックフィルム及びアルミプラスチックフィルムに用いる基材に関する。
【背景技術】
【0002】
包装材は、単一の素材で理想的な保護を実現することは困難である。したがって、市場に出回っている包装材料のほとんどは多層フィルムで構成されており、異なるフィルムの組み合わせによって理想的な保護効果を得ることができる。
【0003】
多層フィルムを製造する一般的なプロセスには、コーティングと積層プロセスが含まれている。しかしながら、様々な層の組み合わせに接着剤層が使用される必要があり、その接着剤層に必要な溶剤が環境に害を与えることがある。そのため、従来の包装材料の製造プロセスはまだ改善の余地がある。
【0004】
保護性に加えて、多層フィルム間の接着性も包装材料で重視されるべき機能である。包装の用途が異なれば、市場が期待する接着強度も異なる。
【0005】
例えば、包装材料はバッテリーパック及び電解液のパッケージとして用いる際に、包装材料は、電池のプロセスでの各種の加工工程に適用するように、ある程度の耐熱性、絶縁性、可撓性、耐電解質液性及び引張性を備える必要がある。
【0006】
故に、材料の改良により、包装材料に理想的な保護効果を与えると共に、多層のフィルムの間の接着性を向上して、各使用の用途に応じた上で、溶剤が環境に優しくないという欠点を克服することは、本事業にとって重要な課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術の課題は、従来技術の不足に対し、アルミプラスチックフィルム及びアルミプラスチックフィルムに用いる基材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、ポリエステル層と、複合樹脂層と、ポリアミド層と、アルミニウム金属層と、を含む、アルミプラスチックフィルムを提供する。複合樹脂層は、ポリエステル層とポリアミド層との間に設置され、アルミニウム金属層は、ポリアミド層に設置される。ポリエステル層、複合樹脂層、及びポリアミド層は、共押出で一体成型されてなる。複合樹脂層は、ターポリマー及びポリオレフィン樹脂を含み、複合樹脂層の総重量を100重量%として、ターポリマーの含有量は45重量%を超え、ターポリマーはエチレン-アクリル酸ブチルの構造単位を含む。
【0009】
一つの実施形態において、ターポリマーは、エチレンモノマーと、アクリル酸ブチルモノマーと、アクリルモノマーとで合成された共重合体である。
【0010】
一つの実施形態において、ターポリマーの総重量を100重量%として、ターポリマーでのエチレンモノマー及びアクリル酸ブチルモノマーの合計重量は14wt%~20wt%である。
【0011】
一つの実施形態において、ターポリマーに無水マレイン酸がグラフトされる。
【0012】
一つの実施形態において、エチレンモノマーに無水マレイン酸官能基がグラフトされ、無水マレイン酸のグラフト率は5wt%~15wt%である。
【0013】
一つの実施形態において、複合樹脂層でのターポリマー:ポリオレフィン樹脂(重量比)は1:1~3:1である。
【0014】
一つの実施形態において、ポリエステル層の成分は、ポリエチレンテレフタレートであり、ポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.60~0.68であり、ポリエチレンテレフタレートの融点は240℃~250℃である。
【0015】
一つの実施形態において、ポリアミド層を形成する材料の数平均分子量は、20000g/mol~23000g/molであり、ポリアミド層を形成する材料の相対粘度は2.7~2.9であり、ポリアミド層を形成する材料の融点は215℃~225℃である。
【0016】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用するもう一つの技術的手段はアルミプラスチックフィルムに用いる基材を提供する。アルミプラスチックフィルムに用いる基材は、ポリエステル層と、複合樹脂層と、ポリアミド層と、を含む、アルミプラスチックフィルムに用いる基材を提供する。複合樹脂層は、ポリエステル層とポリアミド層との間に設置され、ポリエステル層、複合樹脂、及びポリアミド層は、共押出で一体成型されてなる。複合樹脂は、ターポリマー及びポリオレフィン樹脂を含み、複合樹脂の総重量を100重量%として、ターポリマーの含有量は45重量%を超え、ターポリマーはエチレン-アクリル酸ブチルの構造単位を含む。
【0017】
一つの実施形態において、アルミプラスチックフィルムに用いる基材のヘイズ値は5%未満である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の有利な効果として、本発明に係るアルミプラスチックフィルム及びアルミプラスチックフィルムに用いる基材は、「複合樹脂層の総重量を100重量%として、ターポリマーの含有量は45重量%を超える」、「ターポリマーはエチレン-アクリル酸ブチルの構造単位を含む」及び「ポリエステル層、複合樹脂層、及びポリアミド層は、共押出で一体成型されてなる」といった技術的特徴によって、アルミプラスチックフィルム及びアルミプラスチックフィルムに用いる基材に透明性及び良好な接着性を与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るアルミプラスチックフィルムの側面模式図である。
【
図2】本発明に係るアルミプラスチックフィルムに用いる基材の側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照されたい。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0021】
以下、所定の具体的な実施態様に係る「アルミプラスチックフィルム及びアルミプラスチックフィルムに用いる基材」によって本発明の実施形態を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施態様によって実行又は適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。また、事前に説明するように、本発明の添付図面は、簡単な模式的説明であり、実際のサイズに基づいて描かれたものではない。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容によって本発明の保護範囲を制限することはない。また、本明細書において使用される「又は」という用語は、実際の状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つ又は複数の組み合わせを含むことがある。
【0022】
本発明に係るアルミプラスチックフィルムの側面模式図である
図1に示すように、アルミプラスチックフィルム1は、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2と、アルミニウム金属層3と、を含む。アルミニウム金属層3は、粘着の方法でアルミプラスチックフィルムに用いる基材2に設置されてもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。即ち、アルミニウム金属層3をアルミプラスチックフィルムに用いる基材2に固定できれば、固定方法が制限されるものではない。
【0023】
本発明において、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2は、共押出で一体成型されてなる。アルミプラスチックフィルムに用いる基材2を製造する際に、接着剤を塗布する必要がない。接着剤を用いていないために、溶剤系溶液を用いる必要がなく、接着剤の劣化による層の剥離が発生することがない。よって、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2は、プロセスが簡単かつ環境に優しい利点がある。
【0024】
本発明に係るアルミプラスチックフィルムに用いる基材2の側面模式図である
図2に示すように、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2は、ポリエステル層21と、複合樹脂層22と、ポリアミド層23と、を含む。
【0025】
電池の外包装材に応用する際に、ポリエステル層21が電解液と接触しているため、ポリエステル層21は良好な耐電解質液性及び耐熱性を備える必要がある。ポリアミド層23がアルミニウム金属層3と接触していることから、他の層を保護し、電池の使用の安全性を確保するために、ポリアミド層23が良好な耐貫通性を備える必要がある。一つの示範例において、アルミニウム金属層の厚みが15μm~45μmであるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0026】
材料の特性の相違によって、ポリエステル及びポリアミドは熱融着で結合されることができない。ポリエステル及びポリアミドが直接に共押出で押し出しされると、材料が分層となるため、複合フィルムを形成することができない。よって、本発明で特定の複合樹脂材料を用いることによって、ポリエステル層21とポリアミド層23との間に複合樹脂層22が形成される。複合樹脂層22は、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2に十分な剥離強度及び適切な引張強度を与えるように、ポリエステル層21及びポリアミド層23のそれぞれと接着することができる。
【0027】
また、複合樹脂層22は、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2に高い透明性及び低いヘイズ値を与えるように、高い透明性及び低いヘイズ値を備える必要がある。このように、品質管理を容易にするように、打ち抜き後のアルミプラスチックフィルム1に欠陥があるかどうかを確認し、アルミニウム金属層3でのバーコードが鮮明であるかどうかを確認するのに容易である。
【0028】
本発明において、複合樹脂層22を形成する材料は、極性を持つターポリマーを含む。ターポリマーの添加によって、ポリエステル層21、複合樹脂層22、及びポリアミド層23に良好な接着性を与えられる。
【0029】
ターポリマーは、エチレン-アクリル酸ブチルの構造単位を含む。即ち、ターポリマーを合成するためのモノマーにおいて、エチレン及びアクリル酸ブチルを含む。
【0030】
一つの示範例において、ターポリマーは、エチレンモノマーと、アクリル酸ブチルモノマーと、アクリルモノマーとで合成された共重合体であり、この3種のモノマーにより同時に共重合反応で形成される。このように、ターポリマーは極性を持ち、複合樹脂層22は、ポリエステル層21及びポリアミド層23と同時に良好な接着性を有するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0031】
接着性を向上するために、ターポリマーでのエチレンモノマ及びアクリル酸ブチルの合計含有量を制御することができる。一つの示範例において、ターポリマーの総重量を100wt%として、ターポリマーでのエチレンモノマ及びアクリル酸ブチルの合計含有量は、14wt%~20wt%である。例えば、ターポリマーを合成するためのモノマーでのアクリル酸ブチルの含有量は、15wt%、16wt%、17wt%、18wt%、又は19wt%であってもよい。
【0032】
一つの示範例において、ターポリマーのショア硬さは85A~90Aである。ターポリマーの190℃/2.16kgの条件で測定されたメルトインデックスは6.5~7.5である。
【0033】
接着性を更に向上するために、ターポリマーに無水マレイン酸セグメントがグラフトされる。一つの示範例において、無水マレイン酸セグメントがグラフトされるエチレンモノマーを用いてターポリマーを合成する。具体的に説明すると、無水マレイン酸のエチレンでのグラフト率は5wt%~15wt%である。
【0034】
複合樹脂層22において、良好な接着性を達成するために、一定量でターポリマーを含む必要がある。具体的に説明すると、複合樹脂層22の総重量を100重量%として、ターポリマーの複合樹脂層22での含有量は、45重量%以上である。
【0035】
好ましくは、ターポリマーの複合樹脂層22での含有量は50重量%以上である。例えば、ターポリマーの複合樹脂層22での含有量は、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%又は100重量%であってもよい。
【0036】
ターポリマーに加えて、複合樹脂を形成するための材料には、ポリオレフィン樹脂を更に含んでもよい。ポリオレフィン樹脂の添加によって、コストを低減すると共に、複合樹脂層22の伸び性を向上することができ、その後の延伸のプロセスに有利となる。特筆すべきことは、ターポリマーの複合樹脂層22での含有量は依然として45重量%以上である必要がある。
【0037】
一つの示範例において、ポリオレフィン樹脂は低密度ポリエチレンである。ポリオレフィン樹脂は、ターポリマーと良好な相溶性を有するため、複合樹脂層22の形成に有利となる。ここで、ポリオレフィン樹脂は低密度ポリエチレンであることが好ましい。また、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2は高い透明性及び低ヘイズ値の特性を持っている。
【0038】
一つの実施形態において、ポリエステル層21では、融点が240℃~250℃のポリエチレンテレフタレートを用い、ポリエチレンテレフタレートの固有粘度は0.60~0.68である。ポリアミド層23では、分子量が20000g/mol~23000g/molのナイロン6(ポリカプロラクタムとも呼ばれる)であり、ナイロン6の相対粘度は2.7~2.9であり、ナイロン6の融点は215℃~225℃であり、ナイロン6の過酸化物価は42±2meq/kgである。
【0039】
アルミプラスチックフィルムに用いる基材2を製造する際に、原料を乾燥する工程(工程S1)と、原材料を用いて3層の複合積層を共押出する工程(工程S2)と、前記複合積層を所望の厚さとなるように二軸延伸させる工程(工程S3)と、延伸された前記複合積層を熱固定して、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2を製造する工程(工程S4)と、冷却した後に、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2を巻き上げる工程(工程S5)と、を少なくとも含む。
【0040】
本発明の効果を説明するために、前記工程S1~工程S5に基づいて実施例1、2及び比較例1のアルミプラスチックフィルムに用いる基材2を製造し、それらの相違点及び特性結果について、表1に示す通りである。
【0041】
[実施例1]
工程S1において、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと呼ばれる)と、複合樹脂材料(形成複合樹脂層22を形成するための材料)と、ナイロン6とを、110℃~130℃の温度、かつ露点が-40℃である環境で6時間~8時間乾燥した。複合樹脂材料において、重量比が1:1のターポリマー及び低密度ポリエチレン(以下、LDPEと呼ばれる)。ターポリマー(以下、EBA-AAと呼ばれる)は、エチレンモノマーと、アクリル酸ブチルモノマーと、アクリルモノマーとの共重合してなる共重合体である。ここで、エチレンモノマーに5wt%~15wt%の無水マレイン酸がグラフトされている。本明細書において、グラフト率の定義は、(グラフトした後の重量-グラフトする前の重量)/(グラフトする前の重量)×100%である。
【0042】
工程S2において、三層共押出装置において、260℃、250℃及び250℃のスクリュー加工温度で、ポリエステル層21、複合樹脂層22及びポリアミド層23をそれぞれこの順に形成した。送りブロック(feedblock)の温度が250℃であった。ポリエステル層21、複合樹脂層22、及びポリアミド層23の三層の押出してなる厚みはそれぞれ、40μm、16μm、及び144μmであった。複合積層の総厚みが200μmであった。
【0043】
工程S3での二軸延伸を行った後に、ポリエステル層21、複合樹脂層22、及びポリアミド層23の厚みはそれぞれ、5μm、2μm、及び18μmであった。アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の総厚みは25μmであった。
【0044】
米国エックスライト社(X-Rite)製のヘイズ値及び透過率測定機(品番:X-rite color eye 7000A)を用いて、米国材料試験協会が規定した標準試験方法ASTM D1003に基づいて、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2のヘイズ値及び可視光透過率を測定した。結果によれば、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2のヘイズ値は3.7%であり、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の可視光透過率は91.6%であった。
【0045】
引張強度試験機(品番:Shimadzu AG-X)を用いて、米国材料試験協会が規定した標準試験方法ASTM D882に基づいて、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の引張強度を測定した。結果によれば、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の引張強度は9.7kg/cm2であった。
【0046】
また、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の層間接着強度を評価するために、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2を手で引き裂いて、その断面がギザギザ状を呈した。即ち、実施例1において、層間接着強度は比較的に弱かった。
【0047】
[実施例2]
実施例2で用いた原料及び操作方法は実施例1と類似するが、それらの相違点については、複合樹脂材料でのターポリマー(エチレンと、アクリル酸ブチルと、アクリルとの共重合体):低密度ポリエチレン(重量比)は、3:1であった。
【0048】
実施例2において、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の総厚みは25μmであった。測定によれば、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2のヘイズ値は1.2%であり、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の可視光透過率は91.3%であり、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の引張強度は12.4kg/cm2であった。アルミプラスチックフィルムに用いる基材2を手で引き裂いて、その断面が滑らかであった。即ち、実施例2において、層間接着強度が良好であった。
【0049】
[比較例1]
比較例1で用いた原料及び操作方法は実施例2と類似するが、それらの相違点については、複合樹脂材料にポリエチレンテレフタレートを添加してターポリマーと混合した。複合樹脂材料でのターポリマー(エチレンと、アクリル酸ブチルと、アクリルとの共重合体):ポリエチレンテレフタレート(重量比)は3:1であった。
【0050】
比較例1において、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の総厚みは25μmであった。測定によれば、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2のヘイズ値は25.7%であり、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の可視光透過率は93.5%であり、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の引張強度は13.6kg/cm2であった。アルミプラスチックフィルムに用いる基材2を手で引き裂いて、その断面に基本的に滑らかであるが少し凹凸があった。即ち、比較例1において、層間接着強度はまずまずであった。
【0051】
【0052】
実験結果によれば、複合樹脂層22でのターポリマーの含有量は45重量比%以上である場合、複合樹脂層22は共押出しによって形成され、ポリエステル層21及びポリアミド層23のそれぞれと接着すると共に良好な接着強度を持っていた。よって、本発明は、従来の複合フィルムを製造する際に、二次加工や接着層を用いる必要がある、という欠点を回避することができると共に、加工メーカー(下流の工程を担う企業など)にとって使いやすい利点を有する。
【0053】
また、複合樹脂層22の設置は、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2の可視光透過率に悪影響しない。具体的に説明すると、アルミプラスチックフィルムに用いる基材の可視光透過率は90%を超える。
【0054】
ポリオレフィン樹脂とターポリマーとを混合する際に、コストを低減するだけでなく、複合樹脂層22の伸び性を向上することができる。表1の結果によれば、実施例1、2に係るアルミプラスチックフィルムに用いる基材2の引張強度は、比較例1に係るアルミプラスチックフィルムに用いる基材2の引張強度より低いため、ポリオレフィン樹脂の添加によって、複合樹脂層22の伸び性を向上することができる。具体的に説明すると、本発明に係るアルミプラスチックフィルムに用いる基材2の引張強度は8kg/cm2~13kg/cm2であった。
【0055】
また、ポリテレフタル酸を添加することより、ポリオレフィン樹脂を添加する方が、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2に低いヘイズ値が与えられて、複数種の用途に適用することができる。具体的に説明すると、アルミプラスチックフィルムに用いる基材2のヘイズ値は5%未満であり、4%未満であることが好ましく、3%未満であることがより好ましい。
【0056】
[実施形態による有利な効果]
本発明の有利な効果として、本発明に係るアルミプラスチックフィルム及びアルミプラスチックフィルムに用いる基材は、「複合樹脂の総重量を100重量%として、ターポリマーの含有量は45重量%を超える」、「ターポリマーはエチレン-アクリル酸ブチルの構造単位を含む」及び「ポリエステル層、複合樹脂層、及びポリアミド層は、共押出で一体成型されてなる」といった技術的特徴によって、アルミプラスチックフィルム及びアルミプラスチックフィルムに用いる基材に透明性及び良好な接着性を与えられる。
【0057】
更に説明すると、本発明で用いた材料は、電池包装材に適用するものとして選択され、用いたターポリマー自体は、高い透明性及び低いヘイズ値を備えると共に、ポリエステル及びポリアミドと同時に良好な接着性を持っている。よって、本発明に係るアルミプラスチックフィルムに用いる基材は、共押出で直接に製造されることができるため、製造が簡単である利点を有する。
【0058】
接着性を向上するために、本発明において、エチレンモノマー及びアクリル酸ブチルモノマーを少なくとも含むターポリマーを用いると共に、ターポリマーを合成するためのモノマーにおけるアクリル酸ブチルの重量比を制御する。更に、ターポリマーを合成するためのモノマーとして、エチレン、アクリル酸ブチル及びアクリルを用いる場合、ターポリマーは、ポリエステル及びポリアミドの両方と良好な接着性を持っている。また、無水マレイン酸がグラフトされているターポリマーを用いてもよい。
【0059】
一方、本発明においても、層間接着強度を向上し、かつアルミプラスチックフィルムの特性(例えば、耐電解質液性、耐熱性及び耐貫通性)を向上するように、ポリエステル層及びポリアミド層の成分の特性を制御する。
【0060】
以上に開示された内容は、ただ本発明の好ましい実行可能な実施態様であり、本発明の請求の範囲はこれに制限されない。そのため、本発明の明細書及び図面内容を利用して成される全ての等価な技術変更は、いずれも本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 アルミプラスチックフィルム
2 アルミプラスチックフィルムに用いる基材
21 ポリエステル層
22 複合樹脂層
23 ポリアミド層
3 アルミニウム金属層