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特開2024-180226電池セル放電システム及び電池セル放電方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180226
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電池セル放電システム及び電池セル放電方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241219BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20241219BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/44 P
H01M50/204 401H
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023143325
(22)【出願日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】18/210,302
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522346431
【氏名又は名称】アセンド エレメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルソン,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジャッキー
【テーマコード(参考)】
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
5H030AA10
5H030AS18
5H030BB21
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H040AA28
5H040AA37
5H040AS07
5H040AT06
5H040NN05
(57)【要約】
【課題】 電池セル放電システム及び電池セル放電方法を提供する。
【解決手段】 リサイクルのためのLiイオン電池の強制放電は電池セルから残留電気エネルギーを抽出し、リサイクル中に残留エネルギーが突然の予期しない放出を防ぐ。電池セル格納デバイスは、1つ又は複数の電池セルへの物理的拘束を適用し、セルの正端子と負端子とを結合して電気的に接続する。冷却媒体は、放電中に発生した余分な熱の熱伝達のための格納部を流れる。電池セルに残っている残留電荷に応じて、余分な電気エネルギーが正端子及び負端子を通ってゼロ充電状態まで放電される。逆電圧によりアノードに電流を強制的に流し、電池をゼロエネルギー状態にする。逆電圧は、電池の集電体の劣化による内部短絡により、電池を安全なものにするまで継続される。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セル格納デバイスであって、
底板の上方に配置され、少なくとも1つの電池セルをその間に圧縮する上板と、
入口、出口、及び冷却剤チャネルを備え、前記上板、前記底板、又はその両方に冷却剤を循環させるように構成された冷却剤システムと、
前記圧縮された電池セルに火災抑制剤を供給するように構成された火災抑制システムと、
前記圧縮された電池セルの端子に電気接触するように配置されている電気プローブと
を備えている電池セル格納デバイス。
【請求項2】
前記圧縮された電池セルを含むキャビティを形成する、前記上板又は前記底板と接触する1つ又は複数の側板をさらに備えている、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項3】
前記側板は、前記圧縮された電池セルに接触するように調整可能である、請求項2に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項4】
前記上板は、前記圧縮された電池セルを格納するように構成されたセルキャビティを備えている、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項5】
前記上板は、前記圧縮された電池セルに接触するために調整可能な表面を備えている、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項6】
前記調整可能な表面は、複数のばねによって前記上板に取り付けられたフローティング板である、請求項5に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項7】
前記底板は、前記圧縮された電池セルを格納するように構成されたセルキャビティを備えている、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項8】
前記電気プローブは、前記底板の前記セルキャビティ内に配置されている、請求項7に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項9】
前記電気プローブは、ばね式電気接点ピンである、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項10】
前記上板及び前記底板は、前記圧縮された電池セルを格納するように構成されたセルキャビティを備えている、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項11】
前記冷却剤システムは、前記底板内の前記冷却材を前記入口から前記チャネルを介して前記出口まで循環させる、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項12】
前記冷却剤は水である、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項13】
前記火災抑制システムは、前記火災抑制剤を、前記上板、前記底板、又はその両方を通して前記圧縮された電池セルに供給する、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項14】
前記火災抑制システムは、前記火災抑制剤を、前記底板を通して供給する、請求項13に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項15】
前記火災抑制システムは、前記火災抑制剤を、前記底板の前記セルキャビティに供給する、請求項7に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項16】
前記火災抑制剤は液体窒素又は水である、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項17】
前記上板と前記底板との間で前記電池セルを圧縮するように構成されているクランプ又はヒンジをさらに備えている、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項18】
前記圧縮されたセルの温度を測定する温度監視システムをさらに備えている、請求項1に記載の電池セル格納デバイス。
【請求項19】
電池セル格納デバイス及び逆バイアス過放電デバイスを含む電池セル放電システムであって、前記電池セル格納デバイスは、
底板の上方に配置され、少なくとも1つの電池セルをその間に圧縮する上板と、
入口、出口、及び冷却剤チャネルを備え、前記上板、前記底板、又はその両方に冷却剤を循環させるように構成された冷却剤システムと、
前記圧縮された電池セルに火災抑制剤を供給するように構成された火災抑制システムと、
前記圧縮された電池セルの端子に電気接触するように配置されている電気プローブと
を備えている電池セル放電システム。
【請求項20】
電池セルを放電する方法であって:
少なくとも1つの電池セルを、
底板の上方に配置され、少なくとも1つの電池セルをその間に圧縮する上板と、
入口、出口、及び冷却剤チャネルを備え、前記上板、前記底板、又はその両方に冷却剤を循環させるように構成された冷却剤システムと、
前記圧縮された電池セルに火災抑制剤を供給するように構成された火災抑制システムと、
前記圧縮された電池セルの端子に電気接触するように配置されている電気プローブと
を備えた電池セル格納デバイス内に配置することと、
前記上板と前記底板との間で前記電池セルを圧縮することと、
前記電池セルをゼロエネルギー状態まで放電させるために逆バイアス過放電電圧を前記端子に印加することと
を含む方法。
【請求項21】
電流を前記圧縮された電池セルから配電グリッドに向けるために前記電気プローブを結合することと;
前記配電グリッドに前記電流を流す前に、AC(交流)信号を生成するインバータに前記電流を流すことと
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
電流及び電圧の測定値に基づいて、前記圧縮された電池セルがゼロ充電状態に達した時点を判断することと;
前記ゼロ充電状態に達すると、前記圧縮された電池セルに前記逆バイアス過放電電圧を印加し、前記圧縮された電池セル内の集電体の内部劣化によるゼロエネルギー状態を達成することと
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
リチウムイオン(Liイオン)電池は、電気自動車(EV)及び電動工具のような、電気モータが急加速を求められる高放電用途の二次(充)電池として好ましい化学物質である。Liイオン電池は、集電体、典型的には銅又はアルミニウムの平面シートに適用又は堆積される電荷材料、導電性粉末、及びバインダを含む。電荷材料は、アノード電荷材料(典型的には黒鉛又はカーボン)と、カソード電荷材料(所定の比率のリチウム、ニッケル、マンガン、コバルト、アルミニウム、鉄、及びリンなどの金属を含む)とを含み、Liイオンセルのいわゆる「電池化学」を定義する。Liイオン電池のリサイクルでは、大量に電荷材料金属を回収するが、これはさもなければ、典型的には採掘及び精錬の結果として管理された供給源から供給される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】米国特許第9,834,827号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
EV(電気自動車)用電池セル及びパックなどのLiイオン電池の強制放電は、電荷材料の金属であるカーボン及び黒鉛、並びにアルミニウム及び銅などの集電体を含む電池材料のリサイクルを見越して、セルの物理的な分解及び撹拌に先立ち行われる。強制放電は電池セルから残留電気エネルギーを抽出し、リサイクル中に残留エネルギーが突然予期せず放出されることを防ぐ。格納デバイスは、1つ又は複数の電池セルへの物理的拘束を適用し、電池の正端子と負端子とを結合して電気的に接続する。格納デバイスは、上下をクランプする硬質の筐体を成し、電池セルを物理的に圧縮して強制放電によるガス状生成物の発生を緩和するが、これにより電池セル内に圧力が蓄積し得る。冷却媒体は、放電中に発生した余分な熱の熱伝達のために格納デバイス内を流れる。電池セルに残っている残留電荷に応じて、余分な電気エネルギーが正端子及び負端子を通ってゼロ充電状態まで放電される。逆電圧を印加してアノードに電流を効果的に強制的に流し、それにより極性を反転させることで、電池をゼロエネルギー状態にする。逆極性は、電池の集電体の劣化による短絡を引き起こし、電池を安全なものにする。格納デバイスにある抑制ポートは、強制放電中に熱暴走又は火災が生じた場合に火災抑制剤を放出することができる。
【0004】
より詳細には、EV用Liイオン電池は、多くの場合、車両の車台に設置されている電池パック内に存在する。各電池パックは、正端子及び負端子につながるカソード材料及びアノード材料からなる構造化された配置を各々が備えた、相互に接続された多数の電池セルを含む。本明細書の構成では、Liイオンセルの電池リサイクルは、電池パックを物理的に分解して、リサイクルするためにその中の個々の電池セルを取得することを含み、これには通常、破砕、細断、及び粉砕が伴い、電池セルの内容物の粒状の塊(すなわち、黒い塊)を作り出す。
【0005】
あいにく、従来の電池セルリサイクルのアプローチには、リサイクルの流れにおける電池パックが、供与された車両、年数、及び最終使用に応じて充電状態が未知であるという欠点がある。電池パック及び/又はセルの物理的な破砕及び細断は、残留電気エネルギーの突然の放出を誘発し、爆発又は火災を起こす可能性がある。したがって、本明細書の構成は、制御しながら電池セルから残留電気エネルギーを迅速に移動させ、過剰なガス又は発熱反応を抑制し、電池セルを安全又は不活性なものにし、万が一過剰な放電が起きた場合に放水ポートを介して火災抑制を行う強制放電セル格納デバイスを提供することによって電池分解の欠点を実質的に克服する。
【0006】
さらに詳細には、本明細書の構成は、少なくとも1つの電池セルを間で圧縮するために底板の上に配置された上板と、入口、出口、及び冷却剤チャネルを備え、上板、底板、又はその両方に冷却剤を循環させるように構成された冷却剤システムとを備えた、高速で効率的な放電のための電池セル格納デバイスを提供する。したがって、熱及び圧力の上昇(ガス膨張)が緩和され、火災抑制システムは、万が一、適合しないセルが放電に不利な結果になった場合、圧縮された電池セルに火災抑制剤を供給するように構成されている。外部からアクセス可能な電気プローブは、放電電圧を印加し制御するために、圧縮された電池セルの端子に電気的に接触するように配置されている。
【0007】
図面の簡単な説明
前述の及び他の特徴は、類似の参照記号が異なる図を通して同じ部品を指し示す添付の図面に示されているように、本明細書に開示された特定の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。図面は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本明細書の構成で使用するのに適したリサイクル環境のコンテキスト図である。
図2】放電中の電池セル特性のグラフである。
図3】強制放電に使用される電池セル格納デバイスの側面図である。
図4図3の格納デバイスの構成の斜視図である。
図5図3及び図4の格納デバイスを用いた強制放電作業のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
放電、及び電池セルが予期せず有害な反応を起こした場合の保護のための格納デバイスを用いてリサイクルのために安全なレベルまで電池セルを放電させる方法が以下に示される。
【0010】
図1は、本明細書の構成で使用するのに適したリサイクル環境100のコンテキスト図である。図1を参照すると、Liイオン電池のリサイクルの流れにおいて、寿命末期の電池パック105を車両102から得る。典型的には、製造業者の仕様に従って車両102の下側に取り付けられるように成形された物理的ケースを有する電池パックは、複数の相互接続された電池セル110-1...110-N(全体として110)を含み、多くの場合、電池パック105全体での配置及び寸法を最適化するためにモジュールで配置される。典型的には、リサイクル用の材料を放出するために、電池パック105及びその中のセル110は物理的に破砕、細断、及び粉砕され、黒い塊と呼ばれることもある電池成分の粒状品120が放出される。これらの成分は、リサイクルのための貴重な電池材料を提供し、多くの場合、ニッケル、マンガン、コバルト、アルミニウム、リチウム、及びグラファイトを含むが、任意の適切な電池化学を採用することができる。効率的であるために、黒い塊の形成は、シュレッダ112、粉砕、及び/又は電池パック内の材料間のランダムな接触を引き起こす他の物理的撹拌を使用する機械的に集約されたプロセスである。Liイオン電池のエネルギー密度が高いため、このような接触は、電池セル110に残っている余分な残留電気エネルギーの突然の放出を引き起こす可能性がある。従来のプロセスでは、熱、ガス、及び炎の突然の放出は、やや予測不能であり得る。
【0011】
一旦解放されると、カソード材料、アノード材料、集電体及びケーシング材料を含む粒状品(黒い塊)120の抽出は、参照により組み込まれる(特許文献1)及びその継続出願に開示されるように、必要に応じて調整可能な比率で所望の電荷材料金属を含有する浸出溶液122を形成する。浸出溶液122は、リサイクルされるカソード材料前駆体126(pCAM、すなわち前駆カソード活物質)を回収するための共沈反応124を経て、新たにリサイクルされる電池セル用に供給される。典型的には、前駆体は、リサイクルの流れで変化し得る個々のセル及びパックの電池化学に基づいて、上記金属の水酸化物形態である。
【0012】
残留電気エネルギーが突然、又は制御されずに放出されるリスクを軽減するために、分解前に電池セルを完全に放電することが有益であろう。以下に示す強制放電方法は、電池セルに逆電位電源を適用して、電池セルを安全な状態にし、余分な残留電気エネルギー130をグリッド134に戻す。
【0013】
特定の理論に束縛されることを望むものではないが、充電状態0%未満のセルの過放電は、銅集電体の溶解を引き起こし、セルのカソード及びアノードに内部短絡を引き起こし、残留セルエネルギーを熱として放散すると考えられている。過放電プロセスは、本明細書で議論されている強制放電のアプローチを使用することによって加速することができ、このアプローチでは、逆電位電源がセルに取り付けられ、内部短絡の形成に関与していると考えられる銅のメッキを加速させ得る。
【0014】
所定の計算により、逆電位電源によって送達されるエネルギー量を推定することができる。送達中、セルの電圧及び電流が監視され、必要に応じて、電圧と電流がゼロに達するまで、及び/又は電池セルのエネルギーゼロ状態に達するまで、このプロセスが繰り返される。
【0015】
図2は、放電中の電池セル特性のグラフ200である。図1図2を参照すると、放電中の電池セル110の電圧210、電流220、及び温度230の電池セル特性が時間軸202(水平)に沿って示されている。セル放電に対する従来のアプローチでは、約3時間の過大な時間が必要である。例えば、従来のアプローチでは、温度を相殺し、電荷を排出するために導電性食塩水溶液に電池セルを浸漬するが、これは時間がかかるプロセスであり、電池セルが破裂して、食塩水を電解液で汚染すると失敗しやすい。
【0016】
リチウムイオン電池セルは通常、充電状態が100%と0%の間で循環する。個々の電池セルは、充電状態0%で約2.7ボルトの開回路電圧を有し、リサイクル作業中にセルを細断すると火花が発生し火災を起こす危険性のある十分なエネルギーを有する。本明細書の構成は、電池セル内の蓄積エネルギーを充電状態0%未満にし、さらに後述する安全なゼロエネルギー状態まで低下させる。
【0017】
図2では、例示的な放電では、矢印203で示すように、9分21秒の間に電池モジュールを26.8Vから0Vに、モジュール内の個々のセルを3.5Vから0Vへと消費させる。同時に電圧210を見ると、放電電流220が一定のままであるとき、電圧は低下し、約6分後には電圧がゼロに近づく。この実施例では、電池は約250アンペアで放電され、温度230が55.8℃まで上昇するとき、電圧は矢印204の22分41秒後にゼロまで低下した。しかし、2分後には、矢印207で示すように、電圧は5Vまで戻っている。注目すべきは、電圧が0になり、電流が10Aで横ばいになった垂直線206である。本明細書の構成では、低電圧及び適度な電流が電気エネルギーの突然の急増を緩和するため、この閾値で逆極性の強制放電電流を接続し、印加する。さらに、24分26秒(矢印205)後の放電プロセスの終了を確実にするために短絡線を設置することもでき、リバウンド電圧が潜在的に不安定な電池状態を呈することを防止する。
【0018】
この初期放電期間250の間、余剰エネルギーは、グリッド134に戻すためにインバータに導かれてもよい。区間252で、強制放電が起こり、電池セルを逆バイアスにするが、これは、区間254で、電池セルをリバウンド電圧が緩和された安全な状態にするために銅集電体の短絡を引き起こすデンドライトの形成によって、カソード集電体の破壊を誘発すると考えられている。
【0019】
図3は、本明細書に記載の強制放電プロセスと共に使用されるセル格納デバイス300の側面概略図である。図1図3を参照すると、個々のパウチセル110のゼロエネルギー状態への放電は、1つ又は複数のセル110を上板310-1と底板310-2(全体として板310、及び一括して格納固定具302)の間にクランプし、電子負荷による放電に続いて逆極性の電源312による強制放電をゼロエネルギー状態まで行うことにより、約5分間で12Cの放電電流で行うなど、迅速且つ効率的に行うことができる。板310の一方又は両方は、冷却剤システム及び火災抑制システムを備えている。クランプ又はヒンジは、上板と底板との間で電池セルを圧縮するように構成されている。例えば、クランプ305-1及び305-2は、格納固定具302に囲まれたセルのアレイを固定し、あらゆる火災を消火するために格納固定具に火災抑制剤を放出することによって、セルの火災が広がるのを防止する。欠陥のあるセルをプロセスから取り除き、別のプロセスを使用して遮断できるように、各セルを放電のために制御システムに電気的に接続し、また放電の前に制御システムによって短絡又は開放の欠陥がないか検査できるばね式の電気プローブ又は端子315-1...315-2を介してセルに電気接触する。個々の電気接点により、制御システムによってセルアレイを並列又は直列構成で接続することを可能にする。
【0020】
パウチセルをクランプして冷却することにより、EVモジュールに設置されたときの状態を再現し、拘束されてない単一のパウチセルが過熱、膨張、及び破裂して有害な電解液及びVOC(揮発性有機化合物)を放出するのを防止する。本デバイスを用いて、電池セルを迅速且つ安全に放電することができる。例えば、セルを12Cの速度で5分で放電させることができ、これはセルOEMが指定する従来の2Cのピーク放電速度よりもかなり速いが、加えて、開示されるシステムは、セル火災という稀な事象における格納を提供する。
【0021】
図4は、図3のセル格納デバイスの具体的な構成の斜視図である。図1図4を参照すると、電池セル格納固定具302は、底板310-2の上方に配置され、少なくとも1つの電池セル110をその間に圧縮する上板310-1を備えている(一例として110-1、110-2、及び110-3の3つが示されている)。格納デバイスは、入口330、出口332、及び上板310-1、底板310-2、又はその両方の中で冷却剤を循環させるように構成された冷却剤チャネル334を備えた冷却剤システムをさらに備えている。例えば、冷却剤チャネルは、底板内で冷却剤を循環させるための蛇行経路を提供してもよい。同様に、火災抑制システムは、典型的には、格納固定具302内に格納されたセルに流体アクセスするための入口340を介して、圧縮された電池セルに火災抑制剤を供給するように構成されている。冷却剤及び火災抑制剤の両方が水であってもよいが、冷却剤は、好ましくは、熱交換器又はラジエータと同様に、上板及び/又は底板を通って流れるが、火災抑制剤入口340は、抑制剤の流れを固定具の内部に導き、電池セルを浸漬させる。電気プローブ315は、圧縮された電池セルの端子に電気接触するように配置されている。
【0022】
格納デバイスは、圧縮された電池セル110を含むキャビティ313を形成するために、上板310-1及び/又は底板310-2と接触する1つ又は複数の側板311-1...311-4(全体として311)をさらに備えていてもよい。したがって、格納固定具302は、電池セル110による不安定な反応を緩和するために電池セル110を封入している。側板311は、しっかりとした封入を維持するように、圧縮された電池セルに直接接触するように調整可能/移動可能であることができる。加えて、上板310-1及び/又は底板310-2は、電池セルに接触して圧縮するように構成された固定された、又は調整可能なセルキャビティ表面をさらに備えていてもよい。例えば、調整可能な表面317は、キャビティ313を電池セルに適合させるために、複数のばね319又は他の弾性機構によって上板に取り付けられたフローティング板であってもよい。底板310-2もまた、圧縮された電池セルを格納するように構成されたセルキャビティを画定することができる。
【0023】
セル格納デバイス300の格納固定具302内から、電池セル110において端子と整列した接触パッド又は接点が、放電接続部と電気連通するために板310を通って延びている。この例示的構成では、電気プローブ315は底板のセルキャビティ313内に配置され、冷却剤ライン334、又は板310を圧縮して一緒に固定するために使用されるばね式アタッチメント若しくはクランプと干渉しないように底板310-2を通って延びている。電気プローブ315は、かなりのアンペア数が予想され得るため、電池セル110との良好な接続を形成するためにプローブにバイアスをかけるためのばね式電気接点ピンを備えることができる。上述のように、セル格納デバイス300の格納固定具302内の電池セル110との電気連通により、図2に示すように、中のセルの放電、監視、及び強制放電が可能になる。
【0024】
再び火災及び熱管理能力に目を向けると、チューブ又は容器などの冷却剤チャネル334を循環するための典型的な冷却剤は水であり、これは任意の適切なポンピング装置を介して入口330及び出口332に接続することができる。冷却剤チャネル334は、板310を、一連の平行な直線路、又は左右交互に蛇行する「S」字チャネルなど、任意の適切な方法で流れることができる。板は、セルから冷却剤への十分な熱伝達を行いながらも、圧縮力に耐えることが可能な材料で構成するのが好ましい。例えば、アルミニウム構成の板及び側面は、熱伝達及び不燃性を助けるが、銅も優れた熱的特性をもたらすだろう。冷却剤の流れが板310(及び任意で側面311)を通って流れる間、火災抑制システムは、圧縮された電池セル110の火災又は暴走反応を抑制するために、上板、底板、又はその両方を通して火災抑制剤をキャビティ313に直接供給する。つまり、本明細書に開示されたセル格納デバイスは、熱伝達のために上部及び側面の内部チャネル334を介した流体連通と、水、泡、窒素などの不活性ガス/液体、又は他の適切な火災抑制流体を使用した、火災抑制のためのキャビティ313への直接の流体連通とを行う、完全に圧縮又はクランプされた筐体を放電電池セル110の周囲に画定する。
【0025】
図5は、図3及び図4の格納デバイスを用いた強制放電作業のフローチャート500である。図1図5を参照すると、逆バイアス過放電電圧を介して電池セルを放電する方法は、ステップ502では、セル110を、キャビティ313内など、デバイスの上板と底板との間に固定し、それによってデバイスの格納固定具302内に囲う、又は封入する。格納固定具302は、外部プローブ又は接点からの電池セルとの電気連通を維持しながら、電池セル110を封入し、固定する。セルにおける端子は、ステップ504で描かれているように、プローブ315が外部接続のために板310を通って延びるように、格納デバイス内のプローブ接点と整列する。放電接続は、ステップ506で示されているように、デバイスの格納固定具の外部にあるプローブの遠位/外部端部で行われる。換言すれば、格納デバイスの外部での電気接続部は板を通過し、電池セルと接触するように延びる。
【0026】
残留電荷は、ステップ508で開示されているように、過剰な電気エネルギーを排出するために、グリッド134などに放出される。これは、ステップ510に描かれているように、インバータに接続して、放電されたDC電流をグリッドと同相のACに変換することを含む。グリッド放電中、残留エネルギーの電圧及び電流は、ステップ512で示されるように、ゼロ充電状態に達するまで監視される。ゼロ充電状態が達成されたかどうかを判断するために、ステップ514で確認が行われる。ゼロ充電状態でも、依然として、セル内にはまだかなりの、場合によっては危険な電気エネルギーが残っている。使用時、Liイオン電池は完全に放電されず、100%と0%の充電状態の間で充電されたり放電されたりする。電池及び車両の製造業者はセルパラメータに関する裁量があるが、典型的な電池セルは100%の充電状態で約4.5Vであり、0%充電状態では約2.5~2.7Vを示す。この時点でLiイオン電池を充電し、電池の寿命を延ばし、電池セルの使用期間にわたる充電サイクルの回数を最大にすべきである。
【0027】
放電と同時に、温度監視システムは、ステップ516で描かれているように、圧縮されたセル110の温度を測定し、それに応じて入口330を通る冷却剤の流れを調整する。ステップ518では、暴走温度の確認が行われ、ステップ520で描かれているように、火災抑制ポート340を介して不活性抑制流体でキャビティ313を満たすことによって火災抑制が行われる。
【0028】
ゼロ充電状態を達成すると、プローブ315の所定の電圧及び電流特性に基づいて、ステップ522で開示するように、放電接続は逆バイアス過放電電源に切り替えられる。これにより、通常の充電サイクルとは逆の極性で、高い方の電圧は電池の負端子に印加され、低い方の電圧は電池の正端子に印加される。強制放電はゼロ充電状態から始まる。逆極性の電力供給312は、ステップ524での確認に基づいて、電池セルのゼロエネルギー状態を達成するまで継続する。逆バイアス電圧/電流は、ステップ526で描かれているように、セルが集電体の内部短絡に対して安全になるまで継続される。
【0029】
本明細書で定義されるシステム及び方法は、特にその実施形態を参照して示され、記述されてきたが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更が行われてもよいことが当業者には理解されるであろう。
【符号の説明】
【0030】
100 リサイクル環境
102 車両
105 電池パック
110 電池セル
112 シュレッダ
120 粒状品
122 浸出溶液
124 共沈反応
126 カソード材料前駆体
130 残留電気エネルギー
134 グリッド
200 グラフ
202 時間軸
203 矢印
204 矢印
205 矢印
206 垂直線
207 矢印
210 電圧
220 電流
230 温度
250 初期放電期間
300 セル格納デバイス
302 格納固定具
305-1 クランプ
305-2 クランプ
310-1 上板
310-2 底板
311 側板
312 逆極性電源
313 キャビティ
315 電気プローブ
315-1 端子
315-2 端子
317 表面
319 ばね
330 入口
332 出口
334 冷却剤チャネル
340 入口
500 フローチャート
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
【外国語明細書】