特開 2024-180235 気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024180235

(43)【公開日】2024-12-26

(54)【発明の名称】気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム

(51)【国際特許分類】

   H05K 7/20 20060101AFI20241219BHJP

   H01L 23/44 20060101ALI20241219BHJP

   H01L 23/427 20060101ALI20241219BHJP

【ＦＩ】

H05K7/20 N

H01L23/44

H01L23/46 A

【審査請求】有

【請求項の数】20

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023175590

(22)【出願日】2023-10-10

(11)【特許番号】

(45)【特許公報発行日】2024-10-22

(31)【優先権主張番号】112122292

(32)【優先日】2023-06-15

(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW

(71)【出願人】

【識別番号】505326623

【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司

【氏名又は名称原語表記】ＤＥＬＴＡ ＥＬＥＣＴＲＯＮＩＣＳ， ＩＮＣ．

【住所又は居所原語表記】３１－１ Ｘｉｎｇｂａｎｇ Ｒｏａｄ， Ｇｕｉｓｈａｎ Ｉｎｄｕｓｔｒｉａｌ Ｚｏｎｅ， Ｔａｏｙｕａｎ Ｃｉｔｙ ３３３７０， Ｔａｉｗａｎ

(74)【代理人】

【識別番号】110001139

【氏名又は名称】ＳＫ弁理士法人

(74)【代理人】

【識別番号】100130328

【弁理士】

【氏名又は名称】奥野 彰彦

(74)【代理人】

【識別番号】100130672

【弁理士】

【氏名又は名称】伊藤 寛之

(72)【発明者】

【氏名】陳家興

(72)【発明者】

【氏名】李鎮修

(72)【発明者】

【氏名】劉▲シュァン▼廷

(72)【発明者】

【氏名】張秋琴

(72)【発明者】

【氏名】呉冠龍

【テーマコード（参考）】

5E322

5F136

【Ｆターム（参考）】

5E322AA09

5E322AA10

5E322AA11

5E322DA04

5E322DB12

5F136CC32

(57)【要約】      （修正有）

【課題】気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムを提供する。
【解決手段】システム１において、ボックス１０は上向きの開口部１１を有する。上部カバー２０は開口部を覆う。複数の固定部品３０ａ～はボックスに設置され、開口部の外周縁に隣接して設けられる。複数のラッチ部品は、複数の固定部品に対応して上部カバーに設置される。コネクティングロッドモジュール５０が上部カバー２０に接近するように下方に移動すると、複数のラッチ部品のスクロールホイール４３は、複数の固定部品のうちの対応するものの制限面に沿って転がり、互いに当接することで、上部カバーが開口部に密着して気密空間を形成する。また、コネクティングロッドモジュールが上部カバーから離れるように上方に移動することで、複数のラッチ部品のスクロールホイールは、複数の固定部品のうちの対応するものの制限面から離れ、その結果、上部カバーは開口部から離間する。
【選択図】図６

【特許請求の範囲】

【請求項1】

ボックスと、上部カバーと、複数の固定部品と、複数のラッチ部品と、コネクティングロッドモジュールとを含む、気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムであって、
前記ボックスは、開口部を含み、前記開口部は上向きであり、
前記上部カバーは、接続側辺、３つの係止側辺、頂面、及び底面を含み、前記接続側辺及び前記３つの係止側辺は、前記頂面と前記底面との間に接続され、前記接続側辺は前記開口部の一側に接続され、前記底面は前記開口部を覆って前記ボックスの内部に気密空間を形成し、
前記複数の固定部品は、前記上部カバーの前記３つの係止側辺と対向して前記ボックスに設置され、前記開口部の外周縁に隣接して設けられ、前記複数の固定部品のそれぞれは制限面を有し、前記底面が前記開口部を覆うとき、前記制限面の高さは前記頂面の高さよりも大きく、
前記複数のラッチ部品は、前記複数の固定部品に対応して前記上部カバーの前記頂面に設置され、前記複数のラッチ部品のそれぞれは、
前記上部カバーに設置され、前記複数の固定部品のうちの対応するものと対向しており、前記３つの係止側辺のうちの１つに隣接して設けられる、ハウジングベースと、
前記ハウジングベースにスライド可能に設置され、前端が前記複数の固定部品のうちの対応するものに面する、スライドロッドと、
前記スライドロッドの前記前端に設置される、スクロールホイールと、
ハンドルであって、前記ハウジングベースに枢接され、一端が前記スライドロッドに当接し、前記ハンドルの他端を操作して前記スライドロッドを水平方向にスライド駆動する、ハンドルとを含み、
前記コネクティングロッドモジュールは、前記上部カバーの前記頂面の上方に空間的に設置され、前記複数のラッチ部品の前記複数のハンドルに対応する複数の横棒を含み、前記複数のハンドルは、前記複数の横棒のうちの対応するものにスライド可能に接続される複数の接続端を有し、
前記コネクティングロッドモジュールが前記上部カバーの前記頂面に向かって下方に移動すると、前記複数の横棒は前記複数のハンドルを動かすと同時に、前記複数のスライドロッドを駆動して対応する前記複数の固定部品に向かって水平にスライドさせ、前記複数のスクロールホイールは、前記複数の固定部品のうちの対応するものの前記制限面に沿って転がり、互いに当接することで、前記上部カバーの前記底面は前記開口部に密着して前記気密空間を形成し、
または、前記コネクティングロッドモジュールが前記上部カバーの前記頂面から離れるように上方に移動すると、前記複数の横棒は前記複数のハンドルを動かすと同時に、前記複数のスライドロッドを駆動して対応する前記複数の固定部品から水平に離れるようにスライドさせ、前記複数のスクロールホイールは、前記複数の固定部品のうちの対応するものの前記制限面から離れ、その結果、前記上部カバーの前記底面は前記開口部から離間する、
気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項2】

前記スライドロッドは、前記ハウジングベース内に収容される第１の当接部材及び第２の当接部材を含み、前記第１の当接部材は、前記前端と前記第２の当接部材との間に位置する、請求項１に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項3】

前記ハンドルは作用端を含み、前記作用端は、前記ハウジングベース内に収容され、前記第１の当接部材と前記第２の当接部材との間に位置し、前記接続端は前記ハウジングベースの外に位置する、請求項２に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項4】

前記第１の当接部材は前記ハンドルに対して垂直な横方向円筒であり、前記ハンドルの前記作用端は、前記第１の当接部材に対応して当接する円弧面を含む、請求項３に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項5】

前記ラッチ部品は、前記スライドロッドの前記第２の当接部材と対応する前記ハウジングベースとの間に外嵌されるスプリングをさらに含む、請求項３に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項6】

前記３つの係止側辺のそれぞれに隣接して設けられる前記複数のラッチ部品の数はＮであり、Ｎは整数でＮ≧１である、請求項１に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項7】

前記３つの係止側辺は、前記接続側辺と対向して設置される対向係止側辺を有し、前記対向係止側辺に隣接して設けられる前記複数のラッチ部品の数は２Ｍ＋１であり、Ｍは整数でＭ≧１である、請求項６に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項8】

互いに対をなす前記複数の固定部品と前記複数のラッチ部品のうち、少なくとも１対は前記対向係止側辺の中段に隣接して設けられ、少なくとも他の２対は、それぞれ前記対向係止側辺の両端に隣接して設けられている、請求項７に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項9】

前記複数のラッチ部品の前記複数のハンドルのそれぞれは、前記ハンドルの前記接続端に隣接して設けられる連通開口部を有し、前記対向係止側辺に隣接して設けられる前記複数のラッチ部品は、連接棒で前記複数の連通開口部を通って互いに接続される、請求項８に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項10】

前記複数のラッチ部品のうち、前記対向係止側辺の中段に隣接して設けられるものは、連動部材を介して対応する前記横棒の楕円孔溝にスライド可能に接続される、請求項９に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項11】

前記複数のラッチ部品のうちの少なくとも３つは、対応する前記３つの係止側辺の中段にそれぞれ隣接して設けられ、連動部材を介して対応する前記複数の横棒の楕円孔溝にそれぞれスライド可能に接続される、請求項１に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項12】

前記コネクティングロッドモジュールの前記複数の横棒の数は３つであり、それぞれ前記３つの係止側辺の中段に空間的に対向しており、前記３つの横棒はＴ字状に配置されている、請求項１１に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項13】

前記コネクティングロッドモジュールは、前記複数の横棒の合流部に設置されるグリップをさらに含む、請求項１２に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項14】

前記複数のラッチ部品の前記複数のハウジングベース、前記複数のハンドル、及び前記コネクティングロッドモジュールの垂直投影は、前記上部カバーの垂直投影の範囲内に位置する、請求項１に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項15】

前記コネクティングロッドモジュールが前記上部カバーの前記頂面に向かって下方に移動すると、前記複数のラッチ部品の前記複数のスクロールホイールは、対応する前記複数の固定部品の前記複数の制限面と垂直視方向に干渉する、請求項１に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項16】

前記コネクティングロッドモジュールの前記複数の横棒のそれぞれは、楕円孔溝を有し、連動部材を介して対応する前記ハンドルの前記接続端に接続される、請求項１に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項17】

前記上部カバーの前記接続側辺と前記ボックスとが枢接部材を介して接続される、請求項１に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項18】

前記上部カバーは、前記３つの係止側辺のうち前記接続側辺から比較的遠いものに隣接して設けられる少なくとも１つの提げ手を含む、請求項１７に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項19】

前記複数の固定部品は、前記上部カバーの前記接続側辺及び前記３つの係止側辺と対向して前記ボックスに設置され、前記開口部の外周縁に隣接して設けられ、互いに対をなす前記複数の固定部品と前記複数のラッチ部品のうち、少なくとも１対が前記接続側辺に隣接して設けられ、前記上部カバーの前記接続側辺と前記ボックスを接続するように組み立てられる、請求項１に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【請求項20】

前記上部カバーは、前記底面に設置され、前記ボックスの前記開口部の外周縁と空間的に対向するシールストリップをさらに含む、請求項１に記載の気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、浸漬冷却システムに関し、特に、気密リンクラッチカバー構造のハンドルとコネクティングロッドモジュールの連動により、複数のラッチ部品の開閉が同期して動作することができ、操作の利便性を向上させるとともに、閉鎖時に気密効果を維持する、気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムに関するものである。

【背景技術】

【0002】

二相浸漬冷却システムは、発熱した電子部品を非導電性液体に直接浸漬し、作動流体の加熱及び沸騰蒸発過程における潜熱相変化を利用して熱を放散するものである。気化後の非導電性液体の飛散を避けるために、システムで使用される容器は気密性を備える必要があるとともに、使用者による電子部品の交換を可能にする必要がある。

【0003】

従来の浸漬冷却システムは、ねじ止めにより気密を実現することが多く、シール効果は良好であるが、操作が不便であり、メンテナンス工数が増加する。また、ハスプ設計（ｈａｓｐ ｄｅｓｉｇｎ）も浸漬冷却システムの気密に一般的に使用されており、操作が容易であるが、それを操作し、開閉の動作ストロークを提供するために、外部には十分な空間が必要である。

【0004】

そこで、気密リンクラッチカバー構造のハンドルとコネクティングロッドモジュールの連動により、複数のラッチ部品の開閉が同期して動作することができ、操作の利便性を向上させるとともに、閉鎖時に気密効果を維持し、従来技術の欠点を解決するための気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムを提供する必要がある。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

本発明の目的は、気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムを提供することである。気密リンクラッチカバー構造のハンドルとコネクティングロッドモジュールの連動により、複数のラッチ部品の開閉を一度の操作で同期して動作させることができ、操作の利便性を向上させるとともに、閉鎖時に気密効果を維持することで、蒸発ガスの漏れを防止し、誘電性液体の損失を低減し、コスト削減を図ることができる。

【0006】

本発明の別の目的は、気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムを提供することである。気密リンクラッチカバー構造は、コネクティングロッドモジュールと複数のラッチ部品を結合して浸漬冷却システムの上方空間に設置される。複数のラッチ部品は、上部カバーの少なくとも３つの側辺内側に隣接して設けられ、ボックスの開口部の外周縁上の複数の固定部品と空間的に対向しており、ラッチ部品と固定部品は対をなして配置されている。コネクティングロッドモジュールは、連動部材を介して、異なる係止側辺または同じ係止側辺に設けられた各ラッチ部品のハンドルを同期して操作することで、使用者は上部カバーの上方空間で密閉、係止解除、及び上部カバーを開く操作を行うだけでよい。使用者がコネクティングロッドモジュールを押し下げて複数のラッチ部品の複数のハンドルを動かすと、複数のラッチ部品のうち、スライドロッドの前端のスクロールホイールのみが上部カバーの垂直投影範囲を超えて、対応する複数の固定部品と干渉する。詳細には、スクロールホイールは、スライドロッドによって駆動されて対応する固定部品に向かって移動すると、前記固定部品の制限面に沿って転がり、制限面によって当接されて上部カバーを押し下げることで、複数のラッチ部品が上部カバーとボックスとの間のシールストリップを同期的に押し下げて、開口部をシールする効果を達成し、ボックス内の誘電性液体が蒸発して開口部から漏れるのを効果的に防止し、誘電性液体の損失を低減し、さらにはコスト削減を図る。一方、使用者がコネクティングロッドモジュールを引き上げて複数のラッチ部品の複数のハンドルを同期的に動かすと、複数のラッチ部材のスクロールホイールは、対応する固定部品と干渉することなく、制限面から離れる方向に沿ってハウジングベース内に転がり込み、コネクティングロッドモジュールと複数のラッチ部品はすべて上部カバーの垂直投影範囲内にあり、上部カバーがボックスの開口部から離間することが可能であるため、使用者がメンテナンス作業を行ったり、ボックス内の電子部品を交換したりすることができ、開閉作業を効果的に簡素化し、操作の利便性を向上させる。また、複数のラッチ部品と複数の固定部品が対になることは、上部カバーの３つの係止側辺に限定されない。上部カバーの接続側辺とボックスとの枢接も、ラッチ部品と固定部品のラッチ方式に置き換えることができ、上部カバーの係止解除と開く操作を一方向（上向きまたは下向き）に完了することができる。言い換えると、浸漬冷却システムにおいて、上部カバーが気密リンクラッチカバー構造によりボックスの開口部を密閉する場合、複数のラッチ部品の数と位置は気密の需要に応じて調整でき、それによって、操作の利便性を向上させるとともに、閉鎖時に気密効果を維持し、蒸発ガスの漏れを防止し、誘電性液体の損失を低減し、コスト削減を図る。

【課題を解決するための手段】

【0007】

上記目的を達成するために、本発明は、ボックスと、上部カバーと、複数の固定部品と、複数のラッチ部品と、コネクティングロッドモジュールとを含む、気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムを提供する。ボックスは開口部を含み、開口部は上向きである。上部カバーは、接続側辺、３つの係止側辺、頂面、及び底面を含み、接続側辺及び３つの係止側辺は、頂面と底面との間に接続され、接続側辺は開口部の一側に接続され、底面は開口部を覆ってボックスの内部に気密空間を形成する。複数の固定部品は、上部カバーの３つの係止側辺と対向してボックスに設置され、開口部の外周縁に隣接して設けられ、複数の固定部品のそれぞれは制限面を有し、底面が開口部を覆うとき、制限面の高さは頂面の高さよりも大きい。複数のラッチ部品は、複数の固定部品に対応して上部カバーの頂面に設置される。複数のラッチ部品のそれぞれは、ハウジングベース、スライドロッド、スクロールホイール、及びハンドルを含む。ハウジングベースは上部カバーに設置され、複数の固定部品のうち対応するものと対向しており、３つの係止側辺のうちの１つに隣接して設けられる。スライドロッドはハウジングベースにスライド可能に設置され、スライドロッドの前端は、複数の固定部品のうちの対応するものに面する。スクロールホイールはスライドロッドの前端に設置される。ハンドルはハウジングベースに枢接され、スライドロッドに当接し、ハンドルを操作してスライドロッドを水平方向にスライド駆動する。コネクティングロッドモジュールは、上部カバーの頂面の上方に空間的に設置され、複数のラッチ部品の複数のハンドルに対応する複数の横棒を含む。複数のハンドルの複数の接続端は、複数の横棒のうちの対応するものにスライド可能に接続される。コネクティングロッドモジュールが上部カバーの頂面に接近するように下方に移動すると、複数の横棒は複数のハンドルを動かすと同時に、複数のスライドロッドを駆動して対応する複数の固定部品に向かって水平にスライドさせ、複数のスクロールホイールは、複数の固定部品のうちの対応するものの制限面に沿って転がり、互いに当接することで、上部カバーの底面は開口部に密着して気密空間を形成する。または、コネクティングロッドモジュールが上部カバーの頂面から離れるように上方に移動すると、前記複数の横棒は複数のハンドルを動かすと同時に、複数のスライドロッドを駆動して対応する複数の固定部品から水平に離れるようにスライドさせ、複数のスクロールホイールは、複数の固定部品のうちの対応するものの制限面から離れ、その結果、上部カバーの底面は開口部から離間する。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】本発明の第１の実施形態に係る気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムの密閉状態での外観構成図を示す。

【図2】図１におけるエリアＰ１の拡大図である。

【図3】本発明の第１の実施形態に係る気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムの係止解除状態での外観構成図を示す。

【図4】図３におけるエリアＰ２の拡大図である。

【図5】本発明の第１の実施形態に係る気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムの上部カバー開放状態での外観構成図を示す。

【図6】本発明の第１の実施形態に係る気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムの密閉状態での断面図を示す。

【図7】図６におけるエリアＰ３の拡大図である。

【図8】本発明の第１の実施形態に係る気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムの係止解除状態での断面図を示す。

【図9】図８におけるエリアＰ４の拡大図である。

【図10】本発明の第２の実施形態に係る気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムの密閉状態での外観構成図を示す。

【発明を実施するための形態】

【0009】

本発明の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において詳細に記述する。本発明は異なる態様において様々な変化を有することができ、いずれも本発明の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に例示するために用いられものであり、本発明を限定する意図はないことを理解されたい。例えば、本開示の以下の内容において、第１の特徴を第２の特徴の上または上方に設置することが記述される場合、設置された上記第１の特徴が上記第２の特徴と直接接触している実施形態を含み、追加の特徴を上記第１の特徴と上記第２の特徴との間に設置することで、上記第１の特徴が上記第２の特徴と直接接触していない実施形態も含むことを示す。さらに、本開示の異なる実施形態において、重複する参照符号及び／または記号を使用可能である。これらの重複は簡潔化と明確化の目的で、各実施形態及び／または前記外観構造間の関係を制限するために使用されるものではない。また、図面における構成要素または特徴要素と他の（複数の）構成要素または（複数の）特徴要素との関係を簡易に記述するために、例えば、「上」、「下」、「頂」、「底」、及び類似する用語などの空間関連の用語を用いることができる。さらに、「第１」、「第２」、「第３」などの用語は、特許請求の範囲において異なる構成要素を記述するために用いられることができるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されるべきではなく、実施形態において記述されたこれらの構成要素は異なる構成要素記号によって示されることを理解されたい。これらの用語は、異なる構成要素を区別するためのものである。例えば、第１の構成要素は第２の構成要素と称されることができ、同様に、第２の構成要素も第１の構成要素と称されることができ、実施形態の範囲から逸脱することがない。

【0010】

図１～図９を参照し、本発明の第１の実施形態に係る気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムを示す。本発明は、ボックス１０、上部カバー２０、複数の固定部品３０ａ～３０ｅ、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅ、及びコネクティングロッドモジュール５０を含む、気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム１を提供する。浸漬冷却システム１は、例えば、電子部品の冷却に使用される。ボックス１０は開口部１１を含み、その内部に冷却用の誘電性液体や冷却対象の電子部品（図示せず）が収容される。開口部１１は、使用者が交換またはメンテナンス作業を行うように、上向きであり、例えば、Ｚ軸に面している。浸漬冷却システム１で冷却作業を行う場合には、開口部１１を閉じる必要がある。本実施形態では、上部カバー２０は、接続側辺２３ａ、３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄ、頂面２１、及び底面２２を含み、接続側辺２３ａ及び３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄは、頂面２１と底面２２との間に接続され、矩形を形成している。本実施形態では、上部カバー２０の接続側辺２３ａは、例えば、３つの枢接部材１３を介して開口部１１の一側１２ａに接続され、３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄは、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅと複数の固定部品３０ａ～３０ｅとの対により、開口部１１の他の３つの側１２ｂ～１２ｄに係止され、その結果、上部カバー２０の底面２２は開口部１１を覆ってボックス１０の内部に気密空間を形成する。もちろん、上部カバー２０の接続側辺２３ａと開口部１１の一側１２ａとの接続は、枢接や係止に限定されない。本実施形態では、複数の固定部品３０ａ～３０ｅはボックス１０に設置され、開口部１１の外周縁に隣接して設けられ、複数の固定部品３０ａ～３０ｅは、上部カバー２０の３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄと空間的に対向している。複数の固定部品３０ａ～３０ｅのそれぞれは、制限面３１を有し、底面２２が開口部１１を覆うとき、制限面３１のＺ軸方向の高さは、頂面２１のＺ軸方向の高さ（図７参照）よりも大きい。なお、複数の固定部品３０ａ～３０ｅの複数の制限面３１は、例えば、調整ねじによって固定され、制限面３１のＺ軸方向の高さは、実際の需要に応じて調整することができ、本発明はこれに限定されない。本実施形態では、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅは、複数の固定部品３０ａ～３０ｅに対応して上部カバー２０の頂面２１に設置されている。コネクティングロッドモジュール２０は、上部カバー２０の上方空間に空間的に設置され、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅに対応する複数の横棒５１ａ～５１ｃを含む。複数の横棒５１ａ～５１ｃは、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅに可動接続されている。コネクティングロッドモジュール５０が操作され、上部カバー２０の頂面２１に接近するように下方に（Ｚ軸方向に沿って）移動すると、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅが対応する複数の固定部品３０ａ～３０ｅと干渉することで、上部カバー２０の底面２２は開口部１１に密着して気密空間を形成する。また、図５に示すように、コネクティングロッドモジュール５０が操作され、上部カバー２０の頂面２１から離れるように上方に移動すると、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅと対応する複数の固定部品３０ａ～３０ｅは互いに干渉しなくなり、上部カバー２０は開口部１１から離脱することができ、使用者による部品または冷却液の交換やメンテナンス作業が容易となる。

【0011】

なお、本実施形態では、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅと複数の固定部品３０ａ～３０ｅとが対をなして配置されている。説明を容易にするために、一部の図では、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅと複数の固定部品３０ａ～３０ｅとの間の作動関係をラッチ部品４０ａと固定部品３０ａとの間の作動関係によってのみ表しているが、本発明を限定するものではない。本実施形態では、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅのそれぞれは、ハウジングベース４１、スライドロッド４２、スクロールホイール４３、及びハンドル４４を含む。ハウジングベース４１は上部カバー２０の頂面２１に設置され、複数の固定部品３０ａ～３０ｅのうちの対応するものに対向して設置され、３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄのうちの１つに隣接して設けられている。例えば、ラッチ部品４０ａのハウジングベース４１は、固定部品３０ａに対向して設置され、対向係止側辺２３ｂの中段に隣接して設けられ、接続側辺２３ａから離れている。スライドロッド４２は、ハウジングベース４１にスライド可能に設置されている。コネクティングロッドモジュール５０が下方に移動して上部カバー２０の頂面２１に接近すると、スライドロッド４２は、ＸＹ平面上で水平にスライド駆動されることができる（例えば、Ｘ方向またはＹ方向に沿って移動し、設置位置により異なる）。本実施形態では、スライドロッド４２の前端４２１は、複数の固定部品３０ａ～３０ｅのうちの対応するものに面し、例えば、ラッチ部品４０ａのスライドロッド４２の前端４２１は、固定部品３０ａに面する。スクロールホイール４３は、スライドロッド４２の前端４２１に枢設され、複数の固定部品３０ａ～３０ｅのうちの対応するものの制限面３１に空間的に対向している。ハンドル４４はハウジングベース４１に枢設されており、一端がスライドロッド４２に当接しており、ハンドル４４を操作すると、スライドロッド４２がＸＹ平面上で水平方向にスライド駆動される（例えば、Ｘ方向またはＹ方向に沿って移動し、設置位置により異なる）。

【0012】

複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅのそれぞれについて、ラッチ部品４０ａを例にとると、スライドロッド４２は、ハウジングベース４１内に収容される第１の当接部材４２２及び第２の当接部材４２３をさらに含み、第１の当接部材４２２は、前端４２１と第２の当接部材４２３との間に位置する。また、ハンドル４４は、枢接軸４４１を介してハウジングベース４１に枢設され、作用端４４２及び接続端４４３をさらに含み、作用端４４２はハウジングベース４１内に収容され、第１の当接部材４２２と第２の当接部材４２３との間に位置し、接続端４４３は、前記ハウジングベース４１の外に位置し、連動部材４５を介して対応する横棒５１ａの楕円孔溝５２にスライド可能に接続される。ハンドル４４を操作して第１の当接部材４２２に当接させると、例えば、ハンドル４４を下方に操作すると、スライドロッド４２の前端４２１を動かして、ＸＹ平面上でハウジングベース４１から突出させることができる。ハンドル４４を操作して第２の当接部材４２３に当接させると、例えば、ハンドル４４を上方に操作すると、スライドロッド４２の前端４２１を動かして、ＸＹ平面上でハウジングベース４１内に後退させることができる。本実施形態では、第１の当接部材４２２は、例えば、ハンドル４４の作用端４４２に対して垂直に配置された横方向円筒であり、対応するハンドル４４の作用端４４２は、第１の当接部材４２２の横方向円筒に対応して当接する円弧面を含むことで、ハンドル４４を操作して下方に回転させると、スライドロッド４２の前端４２１をハウジングベース４１からＸＹ平面上でスムーズに押し出すことができる。また、スライドロッド４２には、スライドロッド４２の第２の当接部材４２３と対応するハウジングベース４１との間に設けられたスプリング４７を外嵌することができ、ハンドル４４の作用端４４２は、スプリング４７の弾性力によりスライドロッド４２を押す。もちろん、ハンドル４４を操作して回転させスライドロッド４２に当接させて、スライドロッド４２を水平にスライドさせる方式は、実際の応用要求に応じて調整することができる。本発明はこれに限定されない。

【0013】

本実施形態では、コネクティングロッドモジュール５０は、上部カバー２０の頂面２１の上方に空間的に設置され、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅの複数のハンドル４４に対応する複数の横棒５１ａ～５１ｃを含む。本実施形態では、コネクティングロッドモジュール５０の複数の横棒５１ａ～５１ｃの数は３つであり、それぞれ３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄの中段に空間的に対向して設けられているため、３つの横棒５１ａ～５１ｃはＴ字状に配置されている。本実施形態では、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅのうちの少なくとも３つ、例えば、ラッチ部品４０ａ、４０ｄ、４０ｅは、それぞれ対応する３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄの中段に隣接して設けられ、ラッチ部品４０ａ、４０ｄ、４０ｅの複数のハンドル４４の複数の接続端４４３は、それぞれ連動部材４５を介して対応する複数の横棒５１ａ～５１ｃの楕円孔溝５２にスライド可能に接続される。コネクティングロッドモジュール５０を使用すると、ラッチ部品４０ａ、４０ｄ、４０ｅの複数のハンドル４４を一度の操作で同期して動かすことができる。

【0014】

また、互いに対をなす複数の固定部品３０ａ～３０ｅと複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅのうち、少なくとも１対、例えば、固定部品３０ａとラッチ部品４０ａは、対向係止側辺２３ｂの中段に隣接して設けられ、また、少なくとも他の２対、例えば、固定部品３０ｂとラッチ部品４０ｂ、及び固定部品３０ｃとラッチ部品４０ｃは、それぞれ対向係止側辺２３ｂの両端に隣接して設けられ、すなわち、係止側辺２３ｂには、少なくとも３対の固定部品３０ａ～３０ｃとラッチ部品４０ａ～４０ｃが設けられている。本実施形態では、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅの複数のハンドル４４のそれぞれは、複数のハンドル４４の接続端４４３に隣接して設けられる連通開口部４４４を有する。ラッチ部品４０ａ～４０ｃが対向係止側辺２３ｂに沿って配置されているため、対向係止側辺２３ｂに隣接して設けられた複数のラッチ部品４０ａ～４０ｃは、１本の連接棒４６で複数の連通開口部４４４を通って接続することができる。これにより、コネクティングロッドモジュール５０の横棒５１ａがラッチ部品４０ａのハンドル４４を動かすと、連接棒４６によって接続されたラッチ部品４０ｂ、４０ｃのハンドルも同期して作動する。これにより、コネクティングロッドモジュール５０は、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅのハンドル４４を動かして同期作業させることができる。

【0015】

本実施形態では、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅの複数のハンドル４４の複数の接続端４４３は、前述したように複数の横棒５１ａ～５１ｃのうちの対応するものにスライド可能に接続される。なお、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅ及びコネクティングロッドモジュール５０が上部カバー２０の頂面２１の上方空間に構築されている場合、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅの複数のハウジングベース４１と複数のハンドル４４とコネクティングロッドモジュール５０の垂直投影はすべて、上部カバー２０の垂直投影の範囲内に位置し、この設計により、浸漬冷却システム１の組み立てや操作空間を節約することができる。コネクティングロッドモジュール５０が操作されて上部カバー２０の頂面２１に接近するように下方に移動すると、複数の横棒５１ａ～５１ｃは複数のハンドル４４を動かして、複数のスライドロッド４２を一度の操作で同時に駆動して、対応する複数の固定部品３０ａ～３０ｅに向かって水平にスライドさせ、例えば、ラッチ部品４０ａ～４０ｃのスライドロッド４２は、反Ｘ軸方向に係止側辺２３ｂから水平に突出し、ラッチ部品４０ｄのスライドロッド４２は、Ｙ軸方向に係止側辺２３ｃから水平に突出し、ラッチ部品４０ｅのスライドロッド４２は、反Ｙ軸方向に係止側辺２３ｄから水平に突出している。このとき、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅの複数のスクロールホイール４３は、対応する複数の固定部品３０ａ～３０ｅの複数の制限面３１と垂直視方向（すなわち、Ｚ軸方向）に干渉し、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅの複数のスクロールホイール４３は、それぞれ複数の固定部品３０ａ～３０ｅのうちの対応するものの制限面３１に沿って転がり、互いに当接することで、上部カバー２０の底面２２が開口部１１に密着して気密空間を形成する。逆に、使用者がコネクティングロッドモジュール５０を操作して上部カバー２０の頂面２１から離れるように上方に移動させると、複数の横棒５１ａ～５１ｃは複数のハンドル４４を動かして、複数のスライドロッド４２を一度の操作で同時に駆動して、対応する複数の固定部品３０ａ～３０ｂから離れるように水平にスライドさせることができる。複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅの複数のスクロールホイール４３は、それぞれ複数の固定部品３０ａ～３０ｅのうちの対応するものの制限面３１から離れているため、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅ及びコネクティングロッドモジュール５０の垂直投影は、上部カバー２０の垂直投影の範囲内に戻る。複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅと対応する複数の固定部品３０ａ～３０ｅとが互いに干渉しないため、上部カバー２０の底面２２が開口部１１から離脱することができ、使用者による部品や冷却液の交換またはメンテナンス作業が容易になる。

【0016】

なお、対に配置された複数の固定部品３０ａ～３０ｅ及び複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅは、隣接して設けられる３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄの位置及び数を実際の応用要求に応じて調整することができる。同様に、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅとコネクティングロッドモジュール５０の複数の横棒５１ａ～５１ｃとの接続関係も、実際の応用要求に応じて調整することができる。一実施形態では、ラッチ部品３０ｂ、３０ｃが省略され、前記３つの係止側辺のそれぞれに隣接して設けられる複数のラッチ部品３０ａ、３０ｄ、３０ｅの数は等しく、複数のラッチ部品３０ａ、３０ｄ、３０ｅは、対応する３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄの中段にそれぞれ隣接して設けられ、連動部材４５を介して対応する複数の横棒５１ａ～５１ｃの楕円孔溝５２にそれぞれスライド可能に接続される。他の実施形態では、３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄのそれぞれに隣接して設けられる複数のラッチ部品の数は、例えば、すべてＮに等しくてもよく、Ｎは整数でＮ≧１である。Ｎ個のラッチ部品は、Ｎ個の横棒にスライド可能に接続されている。もちろん、本発明はこれに限定されない。また、一実施形態では、３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄは、接続側辺２３ａに対向する対向係止側辺２３ｂを有し、対向係止側辺２３ｂに隣接して設けられる複数のラッチ部品の数は３つであり、他の２つの係止側辺２３ｃ、２３ｄに配置されるものの数とは異なる。他の実施形態では、対向係止側辺２３ｂに隣接して設けられる複数のラッチ部品の数は２Ｍ＋１であり、Ｍは整数でＭ≧１である。もちろん、固定部品３０ａ～３０ｅ、ラッチ部品４０ａ～４０ｅ、及び横棒５１ａ～５１ｃの設置位置及び数は、実際の応用要求に応じて調整することができる。本発明はこれに限定されない。

【0017】

本実施形態では、コネクティングロッドモジュール５０は、グリップ５３をさらに含み、グリップ５３は複数の横棒５１ａ～５１ｃの合流部に設置されることで、使用者が力を加えてコネクティングロッドモジュール５０を上下に移動させ、前記複数の横棒５１ａ～５１ｃが複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅを動かして開閉を同期して動作させることができる。また、本実施形態では、上部カバー２０は、３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄのうち接続側辺２３ａから比較的遠いものに隣接して設けられ、すなわち、対向係止側辺２３ｂに設置される少なくとも１つの提げ手２４を含むことができ、これにより、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅが係止解除状態にあるとき、使用者が上部カバー２０をさらに開き、図５に示すように、本実施形態では、上部カバー２０には、係止側辺２３ｂの中段の対向する両側に対称に配置された２つの提げ手２４が設けられている。他の実施形態では、コネクティングロッドモジュール５０のグリップ５３または上部カバー２０の提げ手２４の設置位置及び数は、実際の応用要求に応じて調整することができ、本発明はこれに限定されない。また、上部カバー２０は、例えば、前記底面２２に設置され、ボックス１０の開口部１１と空間的に対向するシールストリップ２５をさらに含むことができる。複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅが対応する複数の固定部品３０ａ～３０ｅと干渉して上部カバー２０を押し下げると、上部カバー２０は、底面２２とボックス１０との間のシールストリップ２５をさらに押して、開口部１１のシール効果を向上させる。もちろん、本発明はこれに限定されない。

【0018】

図１０は、本発明の第２の実施形態に係る気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムの密閉状態での外観構成図を示す。本実施形態では、気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム１ａは、図１～図９に示す気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム１と類似しており、同一の符号は、同一の構成要素、構造及び機能を表し、ここでは繰り返さない。本実施形態では、気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム１ａは、複数の固定部品３０ａ～３０ｅ、３０ａ'～３０ｃ'とそれぞれ対をなし、３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄ及び接続側辺２３ａにそれぞれ隣接して設けられる複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅ、４０ａ'～４０ｃ'を含む。上部カバー２０の接続側辺２３ａとボックス１０とが枢接部材１３によって接続される前記実施形態とは異なり、本実施形態では、上部カバー２０の接続側辺２３ａとボックス１０は、さらに複数のラッチ部品４０ａ'～４０ｃ'と複数の固定部品３０ａ'～３０ｃ'の対によるラッチにより接続されている。ラッチ部品４０ａ'～４０ｃ'と固定部品３０ａ'～３０ｃ'が対をなすことは、ラッチ部品４０ａ～４０ｃと固定部品３０ａ～３０ｃが対をなすことと同様である。ラッチ部品４０ａ'～４０ｃ'が横棒５１ａ'にスライド可能に接続されることも、ラッチ部品４０ａ～４０ｅが横棒５１ａ～５１ｃにスライド可能に接続されることと同様であるため、ここでは繰り返さない。なお、上部カバー２０の３つの係止側辺２３ｂ～２３ｄ及び接続側辺２３ａとボックス１０との接続がすべて、ラッチ部品４０ａ～４０ｅ、４０ａ'～４０ｃ'と対応する固定部品３０ａ～３０ｅ、３０ａ'～３０ｃ'の対によるラッチ作用により実現される場合、上部カバー２０の係止解除と開口部１１を開く作業を一方向（すなわち、Ｚ軸方向）で完了することができる。もちろん、複数のラッチ部品４０ａ～４０ｅ、４０ａ'～４０ｃ'、複数の固定部品３０ａ～３０ｅ、３０ａ'～３０ｃ'、及び複数の横棒５１ａ～５１ｃ、５１ａ'の配置位置及び数は、例示した実施形態に限定されるものではなく、ここでは繰り返されない。

【0019】

上記のように、本発明は、気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システムを提供する。気密リンクラッチカバー構造のハンドルとコネクティングロッドモジュールの横棒の連動により、複数のラッチ部品の開閉を一度の操作で同期して動作させることができ、操作の利便性を向上させるとともに、閉鎖時に気密効果を維持し、蒸発ガスの漏れを防止し、誘電性液体の損失を低減し、コスト削減を図ることができる。気密リンクラッチカバー構造は、コネクティングロッドモジュールと複数のラッチ部品を結合して浸漬冷却システムの上方空間に設置される。複数のラッチ部品は、上部カバーの少なくとも３つの側辺内側に隣接して設けられ、ボックスの開口部の外周縁上の複数の固定部品と空間的に対向し、ラッチ部品と固定部品が対をなして配置されている。コネクティングロッドモジュールは、連動部材を介して、異なる係止側辺または同じ係止側辺に設けられた各ラッチ部品のハンドルを同期して操作することで、使用者は上部カバーの上方の空間で密閉、係止解除、及び上部カバーを開く操作を行うだけでよい。使用者がコネクティングロッドモジュールを押し下げて複数のラッチ部品の複数のハンドルを動かすと、複数のラッチ部品のうち、スライドロッドの前端のスクロールホイールのみが上部カバーの垂直投影範囲を超えて、対応する複数の固定部品と干渉する。詳細には、スクロールホイールは、スライドロッドによって駆動されて対応する固定部品に向かって移動すると、前記固定部品の制限面に沿って転がり、制限面によって当接されて上部カバーを押し下げることで、複数のラッチ部品が上部カバーとボックスとの間のシールストリップを同期的に押し下げて、開口部をシールする効果を達成し、ボックス内の誘電性液体が蒸発して開口部から漏れるのを効果的に防止し、誘電性液体の損失を低減し、さらにはコスト削減を図る。一方、使用者がコネクティングロッドモジュールを引き上げて複数のラッチ部品の複数のハンドルを同期的に動かすと、複数のラッチ部材のスクロールホイールは、対応する固定部品と干渉することなく、制限面から離れる方向に沿ってハウジングベース内に転がり込み、コネクティングロッドモジュールと複数のラッチ部品はすべて上部カバーの垂直投影範囲内にあり、上部カバーがボックスの開口部から離脱することが可能であるため、使用者がメンテナンス作業を行ったり、ボックス内の電子部品を交換したりすることができ、開閉作業を効果的に簡素化し、操作の利便性を向上させる。また、複数のラッチ部品と複数の固定部品が対になることは、上部カバーの３つの係止側辺に限定されない。上部カバーの接続側辺とボックスとの枢接は、ラッチ部品と固定部品のラッチ方式に置き換えることができ、上部カバーの係止解除と開く操作を一方向（上向きまたは下向き）に完了することができる。言い換えると、浸漬冷却システムにおいて、上部カバーが気密リンクラッチカバー構造によりボックスの開口部を密閉する場合、複数のラッチ部品の数と位置は気密の需要に応じて調整して、操作の利便性を向上させるとともに、閉鎖時に気密効果を維持し、蒸発ガスの漏れを防止し、誘電性液体の損失を低減し、コスト削減を図ることができることができる。

【0020】

本発明は、当業者なら様々な修正を加えることができるが、特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することはない。

【符号の説明】

【0021】

１、１ａ：気密リンクラッチカバー構造を備えた浸漬冷却システム
１０：ボックス
１１：開口部
１２ａ～１２ｄ：側
１３：枢接部材
２０：上部カバー
２１：頂面
２２：底面
２３ａ：接続側辺
２３ｂ～２３ｄ：係止側辺
２４：提げ手
２５：シールストリップ
３０ａ～３０ｅ、３０ａ'～３０ｃ'：固定部品
３１：制限面
４０ａ～４０ｅ、４０ａ'～４０ｃ'：ラッチ部品
４１：ハウジングベース
４２：スライドロッド
４２１：前端
４２２：第１の当接部材
４２３：第２の当接部材
４３：スクロールホイール
４４：ハンドル
４４１：枢接軸
４４２：作用端
４４３：接続端
４４４：連通開口部
４５：連動部材
４６：連接棒
４７：スプリング
５０：コネクティングロッドモジュール
５１ａ～５１ｃ、５１ａ'：横棒
５２：楕円孔溝
５３：グリップ
Ｐ１～Ｐ４：エリア
Ｘ、Ｙ、Ｚ：軸

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】