(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180250
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】有機発光表示パネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/19 20230101AFI20241219BHJP
H10K 50/13 20230101ALI20241219BHJP
H10K 50/155 20230101ALI20241219BHJP
H10K 50/165 20230101ALI20241219BHJP
H10K 85/00 20230101ALI20241219BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241219BHJP
H10K 101/40 20230101ALN20241219BHJP
H10K 101/30 20230101ALN20241219BHJP
【FI】
H10K50/19
H10K50/13
H10K50/155
H10K50/165
H10K85/00
H10K59/10
H10K101:40
H10K101:30
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023202430
(22)【出願日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】202310704479.6
(32)【優先日】2023-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】シー チャオヤン
(72)【発明者】
【氏名】チャン シューレン
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107DD50
3K107DD52
3K107DD73
3K107DD76
3K107DD78
3K107FF15
3K107FF20
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】有機発光表示パネルは、アノード10、カソード30、アノードとカソードとの間に積層して設けられる複数の量子井戸ユニット20、及び電荷生成層40を含む。各量子井戸ユニットは、発光層21及び発光層の両側に設けられるバリア層22を含む。電荷生成層は、複数の量子井戸ユニットのうちの2つの隣接する量子井戸ユニットの間に設けられ、電荷生成層の一方側に位置する少なくとも一部の量子井戸ユニットの発光層への電子注入、及び電荷生成層の他方側に位置する少なくとも一部の量子井戸ユニットの発光層への正孔注入に用いられる。
【効果】アノードとカソードにおける正孔と電子は各量子井戸ユニットの発光層に輸送する必要がないため、正孔と電子のトラップ輸送の難易度が低下し、デバイスの駆動電流が低下し、キャリアのバランスの維持に有利であり、デバイスの効率が向上し、有機発光表示パネルの耐用年数が長くなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードと、
前記アノードと対向配置されるカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に積層して設けられる複数の量子井戸ユニットであって、各前記量子井戸ユニットが発光層及び前記発光層の両側に設けられるバリア層を含む複数の量子井戸ユニットと、
前記複数の量子井戸ユニットのうちの2つの隣接する前記量子井戸ユニットの間に設けられる電荷生成層であって、前記電荷生成層の一方側に位置する少なくとも一部の前記量子井戸ユニットの前記発光層への電子注入、及び前記電荷生成層の他方側に位置する少なくとも一部の前記量子井戸ユニットの前記発光層への正孔注入に用いられる電荷生成層と、を含むことを特徴とする、有機発光表示パネル。
【請求項2】
前記複数の量子井戸ユニットのうち、前記電荷生成層に隣接し且つ前記アノードに近接する前記量子井戸ユニット内の前記バリア層は第1電子輸送層を含み、前記複数の量子井戸ユニットのうち、前記電荷生成層に隣接し且つ前記カソードに近接する前記量子井戸ユニット内の前記バリア層は第1正孔輸送層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示パネル。
【請求項3】
前記電荷生成層は、積層して設けられたn型電荷生成層及びp型電荷生成層を含み、
前記n型電荷生成層が前記第1電子輸送層と前記p型電荷生成層との間に設けられ、前記p型電荷生成層が前記n型電荷生成層と前記第1正孔輸送層との間に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の有機発光表示パネル。
【請求項4】
前記バリア層中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位と前記発光層中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きく、且つ、
前記バリア層中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位と前記発光層中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示パネル。
【請求項5】
前記バリア層中のホスト材料の最高占有分子軌道エネルギー準位と前記発光層中のホスト材料の最高占有分子軌道エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きく、且つ、
前記バリア層中のホスト材料の最低占有分子軌道エネルギー準位と前記発光層中のホスト材料の最低占有分子軌道エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きいことを特徴とする、請求項4に記載の有機発光表示パネル。
【請求項6】
前記バリア層中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位範囲は2.5eV~6.0eVであり、前記発光層中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位間のエネルギー準位範囲は2.0eV~5.0eVであり、
前記バリア層中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位範囲は2.5eV~6.0eVであり、前記発光層中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位間のエネルギー準位範囲は2.0eV~5.0eVであることを特徴とする、請求項4に記載の有機発光表示パネル。
【請求項7】
前記複数の量子井戸ユニットは偶数個の前記量子井戸ユニットを含み、前記電荷生成層の前記アノードに近接する側に位置する前記量子井戸ユニットの数と、前記電荷生成層の前記カソードに近接する側に位置する前記量子井戸ユニットの数とが等しいことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示パネル。
【請求項8】
前記アノードの前記カソードに近接する側に設けられる第2正孔輸送層をさらに含み、
前記複数の量子井戸ユニットのうち、前記アノードに隣接して設けられる前記量子井戸ユニット内の前記バリア層は第3正孔輸送層を含み、前記複数の量子井戸ユニットのうち、前記カソードに隣接して設けられる前記量子井戸ユニット内の前記バリア層は第2電子輸送層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示パネル。
【請求項9】
前記バリア層の厚みは2nm以上、且つ20nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光表示パネル。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の有機発光表示パネルを含むことを特徴とする、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイの技術分野に関し、特に有機発光表示パネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示パネルにおける量子ドット発光ダイオードは、正孔と電子はそれぞれアノードとカソードから注入されて輸送され、正孔輸送層及び電子輸送層を経て発光層に到達して複合発光する。関連技術においては、積層して設けられた複数の量子井戸ユニットを設けることによって正孔及び電子を発光層内に完全に制限していたが、量子井戸ユニットの数の増加によって、デバイスの輸送障壁が増加し、正孔及び電子が徐々にトラップされて輸送がますます困難になり、その結果、キャリアのバランスが崩れ、デバイスの効率が低下する。
【0003】
従って、上記の技術的課題を解決するための有機発光表示パネル及び表示装置の提供が早急に求められている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、従来の有機発光表示パネル及び表示装置において、量子井戸ユニットの数の増加によってキャリアのバランスが崩れるという技術的課題を解決するために、有機発光表示パネル及び表示装置を提供する。
【0005】
上記課題を解決するために、本発明で提供される技術的解決手段は以下のとおりである。
【0006】
本発明は、
アノードと、
前記アノードと対向配置されるカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に積層して設けられる複数の量子井戸ユニットであって、各前記量子井戸ユニットが発光層及び前記発光層の両側に設けられるバリア層を含む複数の量子井戸ユニットと、
前記複数の量子井戸ユニットのうちの2つの隣接する前記量子井戸ユニットの間に設けられる電荷生成層であって、前記電荷生成層の一方側に位置する少なくとも一部の前記量子井戸ユニットの前記発光層への電子注入、及び前記電荷生成層の他方側に位置する少なくとも一部の前記量子井戸ユニットの前記発光層への正孔注入に用いられる電荷生成層と、を含む、有機発光表示パネルを提供する。
【0007】
本発明で提供される有機発光表示パネルによれば、前記複数の量子井戸ユニットのうち、前記電荷生成層に隣接し且つ前記アノードに近接する前記量子井戸ユニット内の前記バリア層は第1電子輸送層を含み、前記複数の量子井戸ユニットのうち、前記電荷生成層に隣接し且つ前記カソードに近接する前記量子井戸ユニット内の前記バリア層は第1正孔輸送層を含む。
【0008】
本発明で提供される有機発光表示パネルによれば、前記電荷生成層は、積層して設けられたn型電荷生成層及びp型電荷生成層を含み、
前記n型電荷生成層が前記第1電子輸送層と前記p型電荷生成層との間に設けられ、前記p型電荷生成層が前記n型電荷生成層と前記第1正孔輸送層との間に設けられる。
【0009】
本発明で提供される有機発光表示パネルによれば、前記バリア層中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位と前記発光層中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きく、且つ、
前記バリア層中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位と前記発光層中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きい。
【0010】
本発明で提供される有機発光表示パネルによれば、前記バリア層中のホスト材料の最高占有分子軌道エネルギー準位と前記発光層中のホスト材料の最高占有分子軌道エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きく、且つ、
前記バリア層中のホスト材料の最低占有分子軌道エネルギー準位と前記発光層中のホスト材料の最低占有分子軌道エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きい。
【0011】
本発明で提供される有機発光表示パネルによれば、前記バリア層中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位範囲は2.5eV~6.0eVであり、前記発光層中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位間のエネルギー準位範囲は2.0eV~5.0eVであり、
前記バリア層中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位範囲は2.5eV~6.0eVであり、前記発光層中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位間のエネルギー準位範囲は2.0eV~5.0eVである。
【0012】
本発明で提供される有機発光表示パネルによれば、前記複数の量子井戸ユニットは偶数個の前記量子井戸ユニットを含み、前記電荷生成層の前記アノードに近接する側に位置する前記量子井戸ユニットの数と、前記電荷生成層の前記カソードに近接する側に位置する前記量子井戸ユニットの数とが等しい。
【0013】
本発明で提供される有機発光表示パネルによれば、
前記アノードの前記カソードに近接する側に設けられる第2正孔輸送層をさらに含み、
前記複数の量子井戸ユニットのうち、前記アノードに隣接して設けられる前記量子井戸ユニット内の前記バリア層は第3正孔輸送層を含み、前記複数の量子井戸ユニットのうち、前記カソードに隣接して設けられる前記量子井戸ユニット内の前記バリア層は第2電子輸送層を含む。
【0014】
本発明で提供される有機発光表示パネルによれば、前記バリア層の厚みは2nm以上20nm以下である。
【0015】
本発明は、上記の有機発光表示パネルを含む表示装置を提供する。
【0016】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明で提供される有機発光表示パネル及び表示装置は、有機発光表示パネルが、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間に積層して設けられる複数の量子井戸ユニットを含み、各量子井戸ユニットが発光層及び発光層の両側に設けられるバリア層を含む。本発明は、複数の量子井戸ユニットのうちの2つの隣接する量子井戸ユニットの間に電荷生成層を設けることで、電荷生成層が印加電界の作用により電子と正孔を分離し、電荷生成層の一方側に位置する少なくとも一部の量子井戸ユニットの発光層への電子注入、及び電荷生成層の他方側に位置する少なくとも一部の量子井戸ユニットの発光層への正孔注入に用いられる。これにより、アノードとカソードにおける正孔と電子は各量子井戸ユニットの発光層に輸送する必要がないため、正孔と電子のトラップ輸送の難易度が低下し、デバイスの駆動電流が低下し、キャリアのバランスの維持に有利であり、デバイスの効率が向上し、有機発光表示パネルの耐用年数が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下において、実施例の説明に用いられる図面について簡単に説明するが、当然ながら、以下に記載する図面は本発明の実施例の一部に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面から他の図面に想到し得る。
【
図1】本発明の実施例で提供される第1の有機発光表示パネルの断面構造模式図である。
【
図2】本発明の実施例で提供される第2の有機発光表示パネルの断面構造模式図である。
【
図3】本発明の実施例で提供される電荷生成層の断面構造模式図である。
【
図4】
図2の有機発光表示パネルが6つの量子井戸ユニットを含む場合の断面構造模式図である。
【
図5】本発明の実施例で提供される第3の有機発光表示パネルの断面構造模式図である。
【
図6】
図5の有機発光表示パネルが6つの量子井戸ユニットを含む場合の断面構造模式図である。
【
図7】本発明の実施例で提供される第4の有機発光表示パネルの断面構造模式図である。
【
図8】
図7の有機発光表示パネルが6つの量子井戸ユニットを含む場合の第1の断面構造模式図である。
【
図9】
図7の有機発光表示パネルが6つの量子井戸ユニットを含む場合の第2の断面構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確に、完全に説明し、当然ながら、説明される実施例は本発明の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく得られた他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。また、ここに記載の具体的な実施形態は本発明を説明、解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定する意図がないことを理解すべきである。本発明において、反対に説明しない限り、使用される方位詞、例えば、「上」、「下」は、通常、装置の実際に使用されている時又は動作状態での上下を指し、具体的には図面における図面方向を指すが、「内」、「外」は装置の輪郭に対するものである。
【0019】
図1を参照し、本発明の実施例は、アノード10、カソード30、及び電荷生成層40を含む有機発光表示パネルを提供する。前記カソード30は、前記アノード10と対向配置され、前記複数の量子井戸ユニット20は、前記アノード10と前記カソード30との間に積層して設けられ、各前記量子井戸ユニット20は発光層21及び前記発光層21の両側に設けられるバリア層22を含む。前記バリア層22は、キャリア(電子又は正孔)の量子井戸ユニット20における移動領域及びエネルギー範囲を制限するために用いられる。前記電荷生成層40は、前記複数の量子井戸ユニット20のうちの2つの隣接する前記量子井戸ユニット20の間に設けられ、前記電荷生成層40の一方側に位置する少なくとも一部の前記量子井戸ユニット20の前記発光層21に電子と正孔をそれぞれ注入すること、及び前記電荷生成層40の他方側に位置する少なくとも一部の前記量子井戸ユニット20の前記発光層21に正孔を注入することに用いられる。
【0020】
説明すべきことは、本発明の実施例における前記有機発光表示パネルの表示発光メカニズムを以下に述べる点である。
【0021】
前記アノード10に正電圧が印加され、前記カソード30に負電圧が印加され、印加電界の作用により、キャリア(正孔及び電子を含む)は前記カソード30及び前記アノード10から注入され、具体的には、正孔は、前記アノード10から注入されて一部の前記量子井戸ユニット20の前記発光層21に輸送され、電子は、前記カソード30から注入されて一部の前記量子井戸ユニット20の前記発光層21に輸送され、正孔と電子は前記発光層21内で複合して励起子が形成される。また、前記電荷生成層40に電圧が印加され、印加電界の作用により、電荷生成層40は、正孔と電子を分離し、正孔と電子を前記電荷生成層40から前記電荷生成層40の両側に位置する少なくとも一部の前記量子井戸ユニット20の前記発光層21に注入し、正孔と電子が出会うと、この発光層21内で複合して励起子が形成される。上記の形成された励起子が電界の作用により移動し、前記発光層21に対応する有機発光材料にエネルギーを伝達し、有機発光材料が光子を発生し、これにより前記有機発光表示パネルの表示発光を実現している。
【0022】
本発明の実施例は前記電荷生成層40を増設した設計を採用し、前記電荷生成層40は、少なくとも一部の前記量子井戸ユニット20の前記発光層21に正孔と電子をそれぞれ注入するために用いられる。このような設計に基づいて、前記アノード10及び前記カソード30から注入された正孔及び電子は各量子井戸ユニット20の発光層21に輸送する必要がないため、正孔と電子のトラップ輸送の難易度が低下し、デバイスの駆動電流が低下し、前記発光層21におけるキャリアのバランスの維持に有利であり、デバイスの効率及び前記有機発光表示パネルの耐用年数が向上する。
【0023】
本発明の実施例において、前記有機発光表示パネルは、トップエミッション型表示パネルであってもよく、又はボトムエミッション型表示パネルであってもよい。前記有機発光表示パネルがトップエミッション型表示パネルである場合、前記アノード10は反射電極であり、前記カソード30は透明電極である。前記有機発光表示パネルがボトムエミッション型表示パネルである場合、前記アノード10は透明電極であり、前記カソード30は反射電極である。選択的に、反射電極は、アルミニウム、金又は銀等であり得る金属を含んでもよい。透明電極は、ITO、IZO及びZnOのような光透過性金属酸化物で製造することができ、反射電極は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li及びCaのような金属で製造することができる。
【0024】
本発明の実施例において、前記発光層21の材料は有機発光材料を含み、前記発光層21は、青色発光層、緑色発光層、赤色発光層及び白色発光層のうちの少なくとも1つを含んでもよい。前記発光層21はホスト化合物及びドーパント材料を含み、通常のホスト材料の組み合わせや単一成分のホスト材料を使用することに比べて、上記の特定材料の組み合わせを使用することは、例えば、スペクトル、電圧、発光効率及び耐用年数等の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの総合性能を明らかに改善することができる。選択的に、本発明の実施例において、前記ホスト化合物はカルバゾール化合物を含んでもよく、前記ドーパント材料は金属錯体、有機錯体又は染料を含んでもよく、例えば、蛍光染料、リン光材料等の異なるドーパントを加えることにより、異なる色の発光を実現することができる。
【0025】
本発明の実施例において、隣接する2つの前記量子井戸ユニット20は1つの前記バリア層22を共有しており、即ち、隣接する2つの前記量子井戸ユニット20の前記発光層21の間には1つの前記バリア層22が設けられており、これはプロセスの削減に有利である。当然ながら、他の実施例において、隣接する2つの前記量子井戸ユニット20は1つの前記バリア層22を共有しなくてもよい。
【0026】
キャリアのアンバランスを回避するために、本発明の実施例において、前記バリア層22の材料は中性材料であり、選択的に、前記バリア層22の材料は、mCP(メチルシクロペンテノロン)材料、CBP(4,4-ジ(9-カルバゾール)ビフェニル)材料を含む。
【0027】
説明すべきことは、前記バリア層22の厚みが薄すぎると、電子、正孔及び励起子を発光層21内に制限するという役割を果たすことができず、前記バリア層22の厚みが厚すぎると、次の層の前記量子井戸ユニット20に電子及び正孔を輸送する能力が大幅に低下する点である。従って、本発明の実施例において、前記量子井戸ユニット20における前記バリア層22の厚みは、2nm以上20nm以下である。
【0028】
本発明の実施例において、各前記量子井戸ユニット20の前記バリア層22の厚みは同じであり、異なる前記量子井戸ユニット20の前記バリア層22の厚みも同じである。各前記量子井戸ユニット20の前記発光層21の厚みは同じであり、異なる前記量子井戸ユニット20の前記発光層21の厚みも同じである。当然ながら、他の実施例において、上記厚みは異なるように設計してもよい。
【0029】
本発明の実施例における前記複数の量子井戸ユニット20は積み重ねて積層構造を形成し、前記発光層21内の励起子を異なる領域にバランスよく効果的に分散することができ、一部のキャリアが前記量子井戸ユニット20の1つによって制限されていなくても、過剰のキャリアが次の層の前記量子井戸ユニット20によって捕獲して制限され、それにより複合発光を実現でき、デバイスの発光効率の向上に有利である。また、前記量子井戸ユニット20は前記発光層21の両側に設けられる前記バリア層22を含む。第1側面では、前記バリア層22は、発光層21から隣接する層へのエネルギーの拡散によるエネルギー損失を防止することができ、それによりエネルギーの十分な利用を保証する。第2側面では、前記バリア層22は、キャリアを前記発光層21内に効果的に制限することができ、それにより前記発光層21は注入されたキャリアを十分に利用することができ、励起子の利用率の向上に有利であり、単一キャリアの過剰や励起子濃度の過大等によるデバイスの劣化及び減衰を防止する。第3側面では、前記バリア層22は、リーク電流の発生を回避することができ、前記有機発光表示パネルの耐用年数の改善に有利である。
【0030】
本発明の実施例において、
図2を参照し、
図2と
図1の相違点は、前記複数の量子井戸ユニット20のうち、前記電荷生成層40に隣接し且つ前記アノード10に近接する前記量子井戸ユニット20が第1電子輸送層61を含み、前記複数の量子井戸ユニット20のうち、前記電荷生成層40に隣接し且つ前記カソード30に近接する前記量子井戸ユニット20が第1正孔輸送層51を含むことである。
【0031】
前記第1正孔輸送層51は前記電荷生成層40によって生成された正孔を輸送するために用いられ、前記第1電子輸送層61は前記電荷生成層40によって生成された電子を輸送するために用いられ、それにより前記電荷生成層40によって生成された正孔と電子がそれぞれ前記第1正孔輸送層51と前記第1電子輸送層61を迅速に通過して輸送できることを保証し、正孔と電子が前記電荷生成層40で複合して励起子を形成することを回避し、デバイスの発光効率の向上に有利であることが理解可能である。
【0032】
また、本発明の実施例において、前記第1正孔輸送層51及び前記第1電子輸送層61は前記バリア層22の作用を果たしているため、前記第1正孔輸送層51は、前記複数の量子井戸ユニット20のうち、前記電荷生成層40に隣接し且つ前記アノード10に近接する前記量子井戸ユニット20の前記バリア層22とすることができ、前記第1電子輸送層61は、前記複数の量子井戸ユニット20のうち、前記電荷生成層40に隣接し且つ前記カソード30に近接する前記量子井戸ユニット20の前記バリア層22とすることができる。ここで、前記第1正孔輸送層51及び前記第1電子輸送層61は、対応する前記量子井戸ユニット20の前記発光層21内の励起子が前記電荷生成層40に輸送されることによって、前記電荷生成層40での正孔及び電子が消光することを回避するために用いられ、これは前記電荷生成層40の安定性の向上に有利である。
【0033】
本発明の実施例において、前記第1正孔輸送層51は高い正孔移動率を有する材料を使用すべきであり、前記第1電子輸送層61は高い電子移動率を有する材料を使用すべきである。
【0034】
図3を参照し、本発明の実施例において、前記電荷生成層40は、積層して設けられたn型電荷生成層41及びp型電荷生成層42を含む。ここで、前記n型電荷生成層41は前記第1電子輸送層61と前記p型電荷生成層42との間に設けられ、前記p型電荷生成層42は前記n型電荷生成層41と前記第1正孔輸送層51との間に設けられる。前記電荷生成層40は、前記n型電荷生成層41と前記p型電荷生成層42の2つの単層のデバイスを重ね合わせた積層構造に喩えられ、同じ輝度で、2つの単層のデバイスが発光の輝度の半分ずつを占めることが理解可能であり、従って、駆動電流は本来の約半分に低減でき、これによりデバイスの駆動電流を効果的に低下させることができ、デバイスの発光効率を倍に向上させることができ、デバイスの耐用年数を大幅に延長させる。
【0035】
説明すべきことは、前記n型電荷生成層41が電子輸送傾向のN型ドーピング材料であり、前記p型電荷生成層42が正孔輸送傾向のP型ドーピング材料である点である。前記n型電荷生成層41と前記p型電荷生成層42とが共になると、PN接合を形成して双極子を生成し、電界の作用により、PN接合はP型輸送正孔とN型輸送電子を分離し、P型輸送正孔が前記カソード30に近接する側に輸送され、N型輸送電子が前記アノード10に近接する側に輸送される。
【0036】
本発明の実施例において、前記電荷生成層40の材料は、電荷生成能力の高い材料系を採用することができ、選択的に、前記p型電荷生成層42の材料は、NPB(N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-1,1’-ビフェニル-4-4’-ジアミン):MoO3(三酸化モリブデン)、m-MTDATA(4,4’,4’-トリ(N-3-メチルフェニル-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン):HAT-CN(11-ヘキサシアノ-1)、TCTA(4,4’,4’’-トリ(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン):WO3(三酸化タングステン)のうちの1つ又は複数の組み合わせを含む。前記n型電荷生成層41の材料は、Bepp2(ジ(2-ヒドロキシフェニルピリジン)ベリリウム):Yb(イッテルビウム)、PO-T2T(2,4,6-トリ[3-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]-1,3,5-トリアジン):LiBphen:Yb(イッテルビウム)、Bphen(1,10-フェナントロリン):CsCO3(炭酸セシウム)を含む。
【0037】
説明すべきことは、前記電荷生成層40の設置に基づいて、本発明の実施例が前記量子井戸ユニット20を多数設けることでデバイスの効率を改善することができ、実際の操作では、シミュレーション実験により前記量子井戸ユニット20の最適な数を決定することができる点である。具体的には、デバイスの電流効率及び駆動電圧により、前記量子井戸ユニット20の最適な数を決定する。発明者が行ったシミュレーションの結果から、前記量子井戸ユニット20の最適な数とデバイスの電流効率との間には放物線のような関係曲線があることがわかった。前記量子井戸ユニット20の最適な数は、デバイスの電流効率が最適な値にあり、且つ駆動電圧が顕著に増加していない状況に対応し、一般的には、駆動電圧の増加幅が2.5Vを超えないように設定される。
【0038】
2つの発光ユニットの発光効果が同様であることを保証するために、本発明の実施例において、前記量子井戸ユニット20の最適な数を偶数に設定し、換言すれば、前記複数の量子井戸ユニット20は偶数個の前記量子井戸ユニット20を含み、ここで、前記電荷生成層40の前記アノード10に近接する側に位置する前記量子井戸ユニット20の数と、前記電荷生成層40の前記カソード30に近接する側に位置する前記量子井戸ユニット20の数とが等しく、これにより前記電荷生成層40からその両側に注入されたキャリアの数が同じであることを保証することができる。
【0039】
選択的に、前記量子井戸の数は、2、4、6、8等であってもよく、具体的には実際の状況に応じて選択されるべきである。
【0040】
例えば、
図4を参照し、
図4の前記量子井戸ユニット20の数は6であり、即ち、前記有機発光表示パネルは6つの前記量子井戸ユニット20を含み、6つの前記量子井戸ユニット20は、前記アノード10と前記カソード30との間に設けられた第1量子井戸ユニットS1、第2量子井戸ユニットS2、第3量子井戸ユニットS3、第4量子井戸ユニットS4、第5量子井戸ユニットS5、及び第6量子井戸ユニットS6である。前記電荷生成層40は、前記第3量子井戸ユニットS3と前記第4量子井戸ユニットS4との間に設けられる。前記第1正孔輸送層51は前記第3量子井戸ユニットS3の前記バリア層22とすることができ、前記第1電子輸送層61は前記第4量子井戸ユニットS4の前記バリア層22である。
【0041】
さらには、前記有機発光表示パネルは、エレクトロルミネッセンスを行う際に2種類の励起子を発生する。1つは三重項励起子であり、もう1つは一重項励起子である。ここで、一重項励起子は一重項状態にあり、三重項励起子は三重項状態にある。前記量子井戸ユニット20の障壁は主に前記バリア層22のより高いエネルギー準位に由来し、より高い障壁はデバイスの駆動電圧の増加をもたらすため、正孔と電子の輸送も障壁の増加に伴って徐々にトラップされて、輸送がますます困難になり、最終的に量子井戸の数が最適な個数を超えるにつれて、電子と正孔とのバランスが崩れてしまう。電子と正孔を前記発光層21内に制限することを保証するために、本発明の実施例において、前記バリア層22中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位と前記発光層21中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きく、且つ、前記バリア層22中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位と前記発光層21中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きい。
【0042】
換言すれば、前記バリア層22中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位は前記発光層21中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位よりも大きく、且つ二者のエネルギー準位差が適切な範囲内に制御されることにより、前記バリア層22が電子と正孔を前記発光層21内に制限することができる。さらには、前記バリア層22中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位は前記発光層21中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位よりも大きく、且つ二者のエネルギー準位差が適切な範囲内に制御されることにより、前記バリア層22が電子と正孔を前記発光層21内に制限することができ、エネルギー損失を減少させ、デバイスの発光効率を向上させることができる。
【0043】
具体的には、前記バリア層22中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位範囲は2.5eV~6.0eVであり、前記発光層21中のホスト材料の三重項状態エネルギー準位間のエネルギー準位範囲は2.0eV~5.0eVである。前記バリア層22中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位範囲は2.5eV~6.0eVであり、前記発光層21中のホスト材料の一重項状態エネルギー準位間のエネルギー準位範囲は2.0eV~5.0eVである。
【0044】
さらには、前記バリア層22中のホスト材料の最高占有分子軌道エネルギー準位(HOMO)と前記発光層21中のホスト材料の最高占有分子軌道エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きく、且つ、前記バリア層22中のホスト材料の最低占有分子軌道エネルギー準位(LUMO)と前記発光層21中のホスト材料の最低占有分子軌道エネルギー準位との間のエネルギー準位差は0.2eVよりも大きく、それにより電子と正孔を前記発光層21内に制限することをさらに保証し、エネルギー損失を減少させ、デバイスの発光効率の向上に有利である。
【0045】
上記の説明に基づいて、本発明の実施例において、前記バリア層22は、前記発光層21に対してより高い一重項状態エネルギー準位、三重項状態エネルギー準位、LUMOエネルギー準位、及びHOMOエネルギー準位を有し、電子と正孔を前記発光層21内に制限することを保証することができ、エネルギー損失を減少させ、デバイスの発光効率の向上に有利である。
【0046】
当然ながら、前記有機発光表示パネルは、正孔注入層(図示せず)及び電子注入層(図示せず)をさらに含む。前記正孔注入層は、前記アノード10と複数の前記量子井戸ユニット20との間に設けられ、正孔の注入を促進するために用いられる。前記電子注入層は、前記アノード10と複数の前記量子井戸ユニット20との間に設けられ、電子の注入を促進するために用いられる。
図3に示すように、前記正孔注入層は前記アノード10と前記第1量子井戸ユニットS1との間に設けられ、前記電子注入層は前記カソード30と前記第6量子井戸ユニットS6との間に設けられる。
【0047】
前記有機発光表示パネルは、基板及び前記基板上に設けられる駆動回路層をさらに含み、前記駆動回路層は表示デバイスの発光を駆動するために用いられ、前記駆動回路層は前記基板と前記アノード10との間に位置し、前記駆動回路層はアクティブマトリクス駆動回路又はパッシブマトリクス駆動回路を含む。また、前記有機発光表示パネルは、画素定義層及びパッケージ層等の図示していない他の機能構造をさらに含む。
【0048】
さらには、
図5を参照し、
図5と
図2との相違点は以下のとおりである。前記有機発光表示パネルは、前記アノード10の前記カソード30に近接する側に設けられる第2正孔輸送層52を含む。前記複数の量子井戸ユニット20のうち、前記アノード10に隣接して設けられる前記量子井戸ユニット20の前記バリア層22は第3正孔輸送層53を含み、前記複数の量子井戸ユニット20のうち、前記カソード30に隣接して設けられる前記量子井戸ユニット20の前記バリア層22は第2電子輸送層62を含む。
【0049】
前記第2正孔輸送層52は、前記アノード10から注入された正孔を輸送する役割を果たし、前記第2電子輸送層62は、前記カソード30から注入された電子を輸送する役割を果たす。前記第3正孔輸送層53は、前記バリア層22の作用を果たすことができ、励起子を前記発光層21内に制限し、励起子のエネルギー伝達を阻止し、エネルギー損失を減少させるために用いられ、それにより有機発光デバイスの発光効率を向上させる。また、前記第3正孔輸送層53は、高いLUMOエネルギー準位及び正孔輸送特性を有し、電子が前記第3正孔輸送層53を通って輸送されるのを阻止することができる。前記第2電子輸送層62は、高いLUMOエネルギー準位及び電子輸送特性を有し、正孔が前記第2電子輸送層62を通って輸送されるのを阻止することができる。
【0050】
図6に示すように、前記第3正孔輸送層53は、前記第1量子井戸ユニットS1のバリア層22とすることができ、前記第2電子輸送層62は、前記第6量子井戸ユニットS6のバリア層22とすることができる。前記正孔注入層(図示せず)は、前記アノード10と前記第2正孔輸送層52との間に設けられ、前記電子注入層(図示せず)は、前記カソード30と前記第2電子輸送層62との間に設けられる。
【0051】
さらには、
図7を参照し、
図7と
図2との相違点は以下のとおりである。前記有機発光表示パネルは、前記第2電子輸送層62と積層して設けられた第3電子輸送層63をさらに含んでもよく、具体的には、前記第3電子輸送層63は、前記第2電子輸送層62の前記カソード30から離れた側に設けられるか、又は前記第2電子輸送層62と前記カソード30との間に設けられる。前記第2正孔輸送層52と前記第3正孔輸送層53が積層設置して形成された二層構造と同様に、前記第3電子輸送層63と前記第2電子輸送層62が積層して設けられて二層構造を形成し、これにより励起子の機能層へのエネルギー伝達を阻止し、且つ前記第2電子輸送層62又は前記第3電子輸送層63への正孔輸送を阻止することができる。
【0052】
図8を参照し、前記第3電子輸送層63が前記第2電子輸送層62の前記カソード30から離れた側に設けられる場合、前記第3電子輸送層63は前記第6量子井戸ユニットS6のバリア層22とする。
図9を参照し、前記第3電子輸送層63が前記第2電子輸送層62と前記カソード30との間に設けられる場合、前記第2電子輸送層62は、前記第6量子井戸ユニットS6のバリア層22とすることができる。
【0053】
本発明の実施例は、
アノード10を形成するステップS1と、
前記アノード10の一側に複数の量子井戸ユニット20を形成するステップS2と、
前記量子井戸ユニット20上に電荷生成層40を形成するステップS3と、
前記電荷生成層40上に複数の前記量子井戸ユニット20を形成するステップS4と、
前記量子井戸ユニット20上にカソード30を形成するステップS5と、を含む有機発光表示パネルの製造方法をさらに提供する。
【0054】
ここで、前記電荷生成層40は、前記複数の量子井戸ユニット20のうちの2つの隣接する前記量子井戸ユニット20の間に形成され、前記電荷生成層40の一方側に位置する少なくとも一部の前記量子井戸ユニット20の前記発光層21に電子を注入すること、及び前記電荷生成層40の他方側に位置する少なくとも一部の前記量子井戸ユニット20の前記発光層21に正孔を注入することに用いられる。
【0055】
具体的には、S1は、
基板を提供するステップS10と、
前記基板上に駆動回路層を形成するステップS20と、
前記駆動回路層上に前記アノード10を形成するステップS30と、をさらに含む。
【0056】
本発明の実施例は、プロセッサと、上記実施例における有機発光表示パネルと、を含む表示装置をさらに提供し、前記プロセッサは前記有機発光表示パネルの発光を駆動する駆動チップ等を含んでもよい。前記表示装置は、携帯電話、タブレットパソコン、電子リーダ、電子ディスプレイ、ノートパソコン、携帯電話、拡張現実(AR,augmented reality)/仮想現実(VR,virtual reality)デバイス、メディアプレーヤ、ウェアラブル機器、デジタルカメラ、カーナビゲーション等であってもよい。
【0057】
有益な効果は以下のとおりである。本発明で提供される有機発光表示パネル及び表示装置は、有機発光表示パネルが、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間に積層して設けられる複数の量子井戸ユニットを含み、各量子井戸ユニットが発光層及び発光層の両側に設けられるバリア層を含む。本発明は、複数の量子井戸ユニットのうちの2つの隣接する量子井戸ユニットの間に電荷生成層を設けることで、電荷生成層が印加電界の作用により電子と正孔を分離し、分離された電子が電荷生成層の一方側に位置する少なくとも一部の量子井戸ユニットの発光層に注入され、分離された正孔が電荷生成層の他方側に位置する少なくとも一部の量子井戸ユニットの発光層に注入され、正孔と電子が発光層内で複合して発光する。これにより、アノードとカソードにおける正孔と電子は各量子井戸ユニットの発光層に輸送する必要がないため、正孔と電子のトラップ輸送の難易度が低下し、デバイスの駆動電流が低下し、キャリアのバランスの維持に有利であり、デバイスの効率及び耐用年数が向上する。
【0058】
以上、本発明の実施例について詳細に説明した。本明細書は、具体的な例を用いて本発明の原理及び実施形態を説明している。以上の実施例の説明は、単に本発明の方法及びその中心概念の理解を助けるよう意図されたものである。さらに、当業者は、本発明の思想に基づいて、具体的な実施形態及び応用範囲に対して修正を加えることができる。要するに、本明細書の内容は、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
【符号の説明】
【0059】
10 アノード
20 量子井戸ユニット
21 発光層
22 バリア層
30 カソード
40 電荷生成層
41 n型電荷生成層
42 p型電荷生成層
51 第1正孔輸送層
52 第2正孔輸送層
53 第3正孔輸送層
61 第1電子輸送層
62 第2電子輸送層
63 第3電子輸送層
S1 第1量子井戸ユニット
S2 第2量子井戸ユニット
S3 第3量子井戸ユニット
S4 第4量子井戸ユニット
S5 第5量子井戸ユニット
S6 第6量子井戸ユニット