(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180257
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】粉砕器具
(51)【国際特許分類】
A47J 42/24 20060101AFI20241219BHJP
A47J 42/34 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A47J42/24
A47J42/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216853
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2023099507
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】392031790
【氏名又は名称】株式会社小泉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】中島 のりみ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恭弘
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊博
(57)【要約】
【課題】手で持って振ることで粉末にすることができ、コンパクトな粉砕器具の提供を目的とする。
【解決手段】容器体と、前記容器体内に投入する球体とを有し、前記容器体の中に前記球体と原材料とを投入し、手で振ることで前記原材料が粉末になることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体と、前記容器体内に投入する球体とを有し、
前記容器体の中に前記球体と原材料とを投入し、手で振ることで前記原材料が粉末になることを特徴とする粉砕器具。
【請求項2】
前記容器体は内部に前記球体が移動する移動部と前記球体が突き当たる粉砕部とを有していることを特徴とする請求項1記載の粉砕器具。
【請求項3】
前記移動部は球体が移動する筒状部になっていて、当該筒状部の内側と前記球体の間の隙間から粉末が移動するものであることを特徴とする請求項2記載の粉砕器具。
【請求項4】
前記球体は、1つであることを特徴とする請求項3記載の粉砕器具。
【請求項5】
前記容器体は、第1容器と第2容器とを突き合せ嵌合するものであり、第1容器又は/及び第2容器の突き合せ嵌合部にマグネットを有し、
前記マグネットの磁力により突き合せ嵌合されていることを特徴とする請求項1記載の粉砕器具。
【請求項6】
前記マグネットは複数であり、前記第1容器と第2容器との回転時にラッチ機能を有することを特徴とする請求項5記載の粉砕器具。
【請求項7】
前記容器体の粉砕部に補助マグネットを有し、前記球体が鉄材からなることを特徴とする請求項3記載の粉砕器具。
【請求項8】
前記粉砕部は粉末が通過する小孔を有し、前記小孔の外側に第3容器を有していることを特徴とする請求項3記載の粉砕器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば、焙煎したコーヒー豆、茶葉あるいは穀物等の各種食材や調味材料を粉砕して粉末にするための粉砕器具に関し、特に手で振って楽しみながら粉末にすることができる粉砕器具に係る。
【背景技術】
【0002】
例えば、焙煎したコーヒー豆はコーヒーミル等にて直前に挽いた方が新鮮で美味しいコーヒーが得られる。
また、お茶の場合も茶葉を挽いて粉末にしたものが知られている。
さらには、各種粉末にした粉末食品や調味料も知られている。
【0003】
これらのミルには回転刃によるカッター方式、ついて粉にする臼、回転式石臼等が知られている。
特許文献1には、ポット部に数多くのボールを投入したボールミル装置が開示されているが、装置が大がかりで複雑である。
特許文献2には、気流式粉砕機を用いた焙煎豆微粉末を開示するが、これも複雑な構造で大型になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-169734号公報
【特許文献2】特開2008-72901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、手で持って振ることで粉末にすることができ、コンパクトな粉砕器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粉砕器具は、容器体と、前記容器体内に投入する球体とを有し、前記容器体の中に前記球体と原材料とを投入し、手で振ることで前記原材料が粉末になることを特徴とする。
【0007】
容器体内にコーヒー豆、茶葉、穀物、さらには調味材料等の原材料と球体とを投入し、手で持って上下あるいは左右に強く振るようにシェイクすると容器体の内部で、球体と容器体の内壁との間にて原材料が打ち砕かれることで粉末になる。
【0008】
容器体を手で持って強く振ることで球体が容器体内部で移動し、臼のように原材料を砕くことになるので、容器体及び球体は硬い材質で製作されているのが好ましい。
したがって、容器体の材質としてセラミック、金属等が例として挙げられるが、加工しやすい点では金属製が好ましい。
例えば銅合金、鋼、アルミニウム等である。
球体としては硬くて重いものが良く、石材や金属製が好ましく、金属としては比重の大きい鉄材が例として挙げられる。
【0009】
容器体に投入する球体の数は原材料に合せて1つでも2つ以上の複数でもよいが、焙煎したコーヒー豆等を挽いてコーヒーにする場合等には、球体の取り出しや扱いが容易で粉末の分離がしやすい点で、前記球体は1つであり、前記容器体は内部に前記球体が移動する移動部と前記球体が突き当たる粉砕部とを有していてもよい。
この場合に、移動部は筒状に形成した筒状部になっていて、前記球体が移動する筒状部の内側と前記球体の間の隙間から粉末が移動するものであってもよい。
【0010】
本発明において、前記容器体は、第1容器と第2容器とを突き合せ嵌合するものであり、第1容器又は/及び第2容器の突き合せ嵌合部にマグネットを有し、前記マグネットの磁力により突き合せ嵌合されていてもよい。
このようにすると、第1容器と第2容器とが、その突き合せる嵌合部に有するマグネットの磁力にて嵌合保持され、第1容器と第2容器の嵌合部を相対的に少し廻し、マグネットの位置をずらすだけで簡単に第1容器と第2容器とを分離させることができる。
第1容器と第2容器のうち一方が鉄製等の弱磁性材であれば、その他方の容器側にマグネットを設けてもよい。
【0011】
また、第1容器と第2容器の嵌合部が円形状の開口部を有し、この開口部にリング形状の突き合せ部を形成した場合には、この突き合せ部に同心円状に複数のマグネットを配置することができる。
この場合に複数のマグネットの配置方法により、嵌合力をいろいろ設定することもできる。
複数のマグネットを有することで、第1容器と第2容器を廻す際に、マグネットの位置が合うごとにラッチ感触が得られるラッチ機能が生じる。
例えば、第1容器と第2容器の相互の突き合せ部の一方にN極、他方にS極が対応するように設けると、一方の容器のN極と他方の容器のS極が一致すると、強く磁着し、相互の容器を回動させ、N極とS極の位置がずれると、第1容器と第2容器との相互の磁着力が小さくなり、簡単に2つの容器を分離させることができる。
【0012】
複数のマグネットを同心円状に配置する場合には、周廻りに等間隔にすると、相互のマグネットの位置が重なるように一致すると強く磁着するが、複数のマグネットの周廻りの配置角度に差をつけると、第1容器と第2容器の嵌合角度により磁着力が変化したり、逆に相互の反発力が出現するようにすることもできる。
【0013】
本発明においては、前記容器体の粉砕部に補助マグネットを有し、前記球体が鉄材からなるようにしてもよい。
このようにすると、容器体内を鉄材からなる鉄球が移動し、粉砕部に突き当たる力や、逆に粉砕部から鉄球が離れる際の力を、この補助マグネットの磁力により調整することができる。
補助マグネットは容器体の内側でも外側でもよく、また、予め補助マグネットを組み込んでも、後から取り付けるようにしてもよい。
【0014】
本発明において、前記粉砕部は粉末が通過する小孔を有し、前記小孔の外側に第3容器を有するようにしてもよい。
このようにすると、粉砕された粉末が第3容器に移動及び貯留されるので、第3容器を容器体から取り外したり、さらには第3容器に開閉自在の蓋部を設けることで、粉末を取り出したり、例えば粉末が調味料である場合には、そのまま振りかけるように使用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る粉砕器具は、容器体の中に原材料と球体とを投入し、手で持ってシェイクすることで粉末が得られるので、必要な分量だけの量を粉末にすることができる。
粉砕器具を手で持ってシェイクする動作を楽しむことができ、その時に生じる音を楽しむこともできる。
さらに具体的に説明すると、粉砕器具は手で自由に振ることができるので、垂直方法あるいは水平方向等の自由な方向に振ることのみならず、振る強さやタイミング等を含めてその音を聞きながらフレキシブルに粉砕できる。
これにより、いろいろな要素を加えて試行錯誤しながら、好みの粒径分布の粉末を得る楽しみができる。
また、粉砕の程度により、その音が変化するので、この音の変化を楽しむこともできる。
従来のミルでは粉末が高温になり、風味が低下する原因になっていた。
これに対して本発明は、容器体の材質として金属材を用いると、熱伝導性に優れるので、原材料を粉砕する際に発生する熱を表面積の大きい容器体が吸収し、さらに放熱性にも優れている。
その為、発熱による粉末への影響を抑え、例えばコーヒー豆の場合に風味が保たれる。
また、原材料が固形の調味材料であれば、粉末状の調味料にして使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は本発明に係る粉砕器具の外観斜視図を示し、(b)は第1容器から第2容器を外した状態を示す。
【
図2】(a)は粉砕器具の平面図、正面図を示し、(b)は平面図及び断面図を示す。
【
図3】(a)は第1容器に球体を入れる状態、(b)は原材料(コーヒー豆)を投入し、第2容器を第1容器に取り付ける状態を示す。
【
図4】(a)は球体が第2容器の内側頂部に突き当たる状態、(b)は球体が落下した状態、(c)は粉末になった状態を示す。
【
図6】容器の嵌合部にマグネットを配置した例を示し、(a)は2つ、(b)は4つ、(c)は間隔に差を設けた例を示す。
【
図7】(a),(b)は補助マグネットを設けた例を示す。
【
図9】第1容器及び第2容器の内径を大きくし、球体が上下に移動するとともに左右にも動く例を示す。
【
図10】容器体を全体として、丸みのある断面楕円形状にした例を示す。
【
図11】第1容器体を筒状にし、第2容器を蓋形状にした例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る粉砕器具の構造例を以下、図に基づいて説明する。
図1に示すように粉砕器具100は、第1容器11と第2容器12とからなる容器体10と中に投入する球体20から構成されている。
【0018】
本実施例では第1容器11と第2容器12を真鍮(黄銅合金)で製作した例となっている。
第1容器11の開口部側に凸部11aを形成し、第2容器12の開口部側に凹部12aを形成することで相互に嵌合する例になっているが、凸部11a側におねじ部、凹部側にめねじ部を形成し、螺合するようにしてもよい。
また、外形は第1容器11と第2容器12とを対称形にし、上面12d、下面11dに平坦部を形成することで、上面12d又は下面11dの一方を下端にして自立できるようにした例となっている。
第1容器11、第2容器12の内部には球体20が移動する移動部11b、12bを有する。
図2(b)に示すように第1容器11及び第2容器12は内部の球体20の移動部11b、12bを筒状の筒状部に形成し、それぞれ内側の底部側にシェイクの際に球体20が打ち当たる粉砕部11c、12cを有している。
本実施例では、球体20を鉄鋳物で製作した。
【0019】
図3(a)、(b)に示すように第1容器11の中に球体20とコーヒー豆等の原材料1を投入し、第2容器12で蓋をし、
図4(a)~(c)に示すように上下に強くシェイクする。
この際に容器体10を両手で保持し、上下、左右に強くシェイクすると、球体21が容器体の内側で筒状部からなる移動部11b、12bを移動し、上下の粉砕部11c、12cにて原材料を潰すように動く。
球体20が上下の粉砕部11c、12cに突き当たる際に音が鳴るので、これを楽しむことができる。
したがって、いわば楽器として楽しむこともできる。
【0020】
本実施例では
図4に示すように、コーヒー豆が粉砕され粉末になると容器体10の筒状の移動部11b、12bと球体20との隙間から通過するように、球体20の外径D
1と筒状部の内径D
2とを設定した例になっている。
この外径D
1と内径D
2との設定により、粉砕される粉末の粒度を調整できる。
なお、第1容器11と第2容器12の両方に原材料1を投入してもよい。
また、
図5に示した実施例2のように、球体20を筒状部の軸方向に長いラクビーボールのような楕円形にしたり、側部に平坦部21を設けることで球体20が回転することなく、筒状部に沿って移動するようにしてもよい。
これにより、球体20が原材料1に打ち当たる面を一定にし、その表面に凹凸を設けることもできる。
また、
図8に示すように上下の粉砕部11c,12cの一方又は両方に粉末2が通過できる複数の小孔11g、及びそれを塞ぐ蓋を設けることで、粉砕後にそのまま粉砕した粉末を取り出せるようにすることもできる。
図8の例では、粉砕部11cに設けた小孔11gの外側に第3容器13を着脱自在に設けた例になっている。
【0021】
原材料にコーヒー豆を用いて粉末のコーヒーにした場合には、それぞれシェイクを楽しみながら挽きたてのコーヒーを味わうことができる。
【0022】
図6には、第1容器11と第2容器12との相互に嵌合される円形状の開口部にリング形状の突き合せ部11g,12gを形成し、このリング形状の平坦面からなる突き合せ部11g,12gに複数のマグネット11e,12eを同心円状に等間隔に配置した例である。
図6(a)は、第1容器11側に、例えばN極からなる2つのマグネット11e,11eを対向して設け、第2容器12側にS極からなる2つのマグネット12e,12eを180°対向して設けた例である。
このようにすると、第1容器11と第2容器を嵌合する際にマグネット11e,12eとが一致する位置で強く相互に磁力で磁着し、ラッチ機能が生じる。
また、相互に廻すように位置をずらすと簡単に第1容器11から第2容器12を取り外すことができる。
【0023】
図6(b)は、4つのマグネットを同心円90°の等間隔に配置した例である。
このようにすると4つのマグネットの位置が重なると、より強く磁着嵌合される。
図6(c)は等間隔に配置した4つのマグネット11e,12eの他に配置角度を10~30°他よりずらしたマグネット11f,12fを対応させて設けた例である。
このようにすると、第1容器11と第2容器との嵌合角度を変えることにより対応するマグネットの位置のずれにより、磁着力を変化させることができる。
この場合に対応するマグネット11f,12fは、同極でも異極でもよい。
【0024】
図7は、粉砕部11c,12cに補助マグネット31,32を設けた例を示す。
図7(a)は粉砕部の内側に補助マグネット31を設けた例であり、
図7(b)は粉砕部の外側に補助マグネット32を設けた例を示す。
この補助マグネットは、予め容器に取り付けてあってもよく、また着脱自在にし、必要に応じて取り付けることができるようにし、その磁力を調整してもよい。
このようにし、球体20を鉄材からなる鉄球とすることで、粉砕部に球体20が突き当たる力や粉砕部から球体20が離れる力を調整することができる。
【0025】
図9には、第1容器11,第2容器12の内径を球体20の外径の2~3倍大きい移動部11b,12bとした例である。
全体として、高さよりも横幅が大きい円筒状になっている。
この場合に球体20は、上下の粉砕部11c,12cに当たる動きの他に左右方向に回転しながら、あるいは横方向にも移動できるので球体20による食材の粉砕が均一になる。
図10は、外形の上面及び下面を曲面状にした丸型であり、断面楕円形状にした例である。
図11は、移動部11bを第1容器11側に細長く形成し、第2容器12を蓋形状にした例を示し、また、容器体10の上面,下面全体を平坦面あるいは緩やかな凹面形状にした例となっている。
上面,下面が凹面形状になっていると、その部分を指で押さえるように上下に振る際に、力を入れやすい。
また、筒状の形状であれば載置しておくこともでき、場所をとらずに取り出しやすく、上下に振りやすい。
この実施例はアルミニウム合金で製作した。
【符号の説明】
【0026】
1 原材料
10 容器体
11 第1容器
11b 移動部
12 第2容器
12b 移動部
20 球体
100 粉砕器具