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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180261
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G07F9/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003884
(22)【出願日】2024-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2023098524
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023188253
(32)【優先日】2023-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】特手 義信
(72)【発明者】
【氏名】山田 毅人
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044DC01
3E044DE01
3E044DE03
3E044DE10
(57)【要約】
【課題】商品の販売機会の逸失を防止すること。
【解決手段】商品の販売毎にその販売取引を1件明細データD1として所定の1件明細データ記憶領域21aに記憶し、かつ1件明細データ記憶領域21aに記憶した複数の1件明細データD1を上位機器100に送出することを条件として、送出済みの複数の1件明細データD1を1件明細データ記憶領域21aから削除する制御部20を備えた自動販売機10であって、制御部20は、1件明細データ記憶領域21aに記憶された1件明細データD1の量が予め決められた基準量を超えることを条件として、予め設定された集約方式にてその後の販売取引のデータの少なくとも一部を記憶させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の販売毎にその販売取引を1件明細データとして所定の記憶領域に記憶し、かつ前記記憶領域に記憶した複数の1件明細データを上位機器に送出することを条件として、送出済みの複数の1件明細データを前記記憶領域から削除する制御部を備えた自動販売機であって、
前記制御部は、前記記憶領域に記憶された1件明細データの量が予め決められた基準量を超えることを条件として、予め設定された集約方式にてその後の販売取引のデータの少なくとも一部を記憶させることを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
前記制御部は、前記集約方式にてその後の販売取引のデータの少なくとも一部を、前記記憶領域に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】
前記1件明細データは、割引情報を含み、
前記制御部は、前記1件明細データの前記割引情報を集計し、自身と通信可能な印字装置を通じて集計した割引情報を出力可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記制御部は、上位機器からの要求に応じて、前記1件明細データの任意の指定項目だけを集合させた指定データを記憶し、該指定データを前記上位機器に送出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記制御部は、前記指定データを前記記憶領域とは異なる他の記憶領域に記憶し、かつ該指定データを前記上位機器に送出して該他の記憶領域から送出済みの指定データを削除することを特徴とする請求項4に記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の販売する自動販売機において、商品の販売毎にその販売取引を1件明細データとして記憶させる自動販売機が特許文献1に提案されている。この1件明細データは、販売取引の年月日時分、商品コード、分類コード、販売価格、コラム番号、割引額、顧客ID等が含まれるものである。かかる自動販売機では、そのような1件明細データを販売の都度記憶していき、複数回蓄積された後に上位機器であるサーバに送出するようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-167331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に示した自動販売機では、サーバに送出した1件明細データは記憶領域から削除していくが、何らかの不具合によりサーバに送出できない場合、該記憶領域に1件明細データが蓄積されていく。その結果、蓄積された1件明細データにより記憶領域の記憶容量が満杯になってしまうと、上記自動販売機では商品の販売を停止していた。そのため、商品の販売機会を逸失するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、商品の販売機会の逸失を防止することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る自動販売機は、商品の販売毎にその販売取引を1件明細データとして所定の記憶領域に記憶し、かつ前記記憶領域に記憶した複数の1件明細データを上位機器に送出することを条件として、送出済みの複数の1件明細データを前記記憶領域から削除する制御部を備えた自動販売機であって、前記制御部は、前記記憶領域に記憶された1件明細データの量が予め決められた基準量を超えることを条件として、予め設定された集約方式にてその後の販売取引のデータの少なくとも一部を記憶させることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、前記集約方式にてその後の販売取引のデータの少なくとも一部を、前記記憶領域に記憶させることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記自動販売機において、前記1件明細データは、割引情報を含み、前記制御部は、前記1件明細データの前記割引情報を集計し、自身と通信可能な印字装置を通じて集計した割引情報を出力可能としたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、上位機器からの要求に応じて、前記1件明細データの任意の指定項目だけを集合させた指定データを記憶し、該指定データを前記上位機器に送出することを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記自動販売機において、前記制御部は、前記指定データを前記記憶領域とは異なる他の記憶領域に記憶し、かつ該指定データを前記上位機器に送出して該他の記憶領域から送出済みの指定データを削除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御部は、記憶領域に記憶された1件明細データの量が予め決められた基準量を超えることを条件として、予め設定された集約方式にてその後の販売取引のデータの少なくとも一部を記憶させるので、従来のように蓄積された1件明細データにより記憶領域の記憶容量が満杯になることで商品の販売を停止する必要がなく、商品の販売を継続して行うことができ、商品の販売機会の逸失を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態1である自動販売機の構成を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、1件明細データの一例を示す説明図である。
図3図3は、図1に示した制御部が実施する販売取引制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
図4図4は、所定の集約方式を示すもので、(a)はコラム別売上方式を示し、(b)は価格別売上方式を示す説明図である。
図5図5は、図1に示した制御部が所定のタイミングにて実施する通信制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
図6図6は、図1に示した制御部が実施する割引額集計制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
図7図7は、図1に示した制御部が実施する印字出力制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の実施の形態2である自動販売機の構成を模式的に示すブロック図である。
図9図9は、図8に示した制御部が実施する指定データ作成処理の処理内容を示すフローチャートである。
図10図10は、図8に示した制御部が所定のタイミングにて実施する通信制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1である自動販売機の構成を模式的に示すブロック図である。ここで例示する自動販売機10は、例えばペットボトルや缶等の容器に入れられた飲料等を商品として販売するものであり、通信部11、金銭処理部12、選択部13、冷熱部14、払出部15、印字装置16及び制御部20を備えて構成されている。
【0015】
通信部11は、例えばLTE(登録商標)等の通信方式により、図示せぬネットワークを介して管理サーバ等の上位機器100に接続する通信インタフェースである。金銭処理部12は、硬貨の入出金処理を行うコインメカニズムや、紙幣の入出金処理を行うビルバリデータ、並びに電子マネーによる決済を行う決済手段を備えて構成されており、各種の金銭処理を行うものである。
【0016】
選択部13は、複数の商品見本に対応して設けられた複数の商品選択ボタン等を備えて構成されており、商品を選択するためのものである。冷熱部14は、蒸発器等の冷却ユニットと、ヒータ等の加熱ユニットとを備えて構成されており、機内の商品を冷却、あるいは加熱するためのものである。
【0017】
払出部15は、選択部13を通じて商品が選択されるとともに金銭処理部12にて適正に金銭処理がなされたことを条件として、選択された商品を機内から払い出すものである。印字装置16は、例えばプリンタ等により構成されるもので、紙に印字するものである。
【0018】
制御部20は、通信部11、金銭処理部12、選択部13、冷熱部14、払出部15及び印字装置16に通信可能に接続されており、同様に通信可能に接続された記憶部21に記憶されたプログラムやデータにしたがって、自動販売機10の動作を統括的に制御するものである。この制御部20は、本実施の形態1に特徴的なものとして、販売取引処理部20a、通信制御処理部20b、割引額集計処理部20c及び印字出力処理部20dを備えている。
【0019】
尚、制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0020】
販売取引処理部20aは、後述する販売取引制御処理を実施するものである。この販売取引処理部20aの代表的な機能について説明する。かかる販売取引処理部20aは、商品の販売毎の販売取引について、1件明細データD1(図2参照)を作成し、記憶部21に設けられた専用の記憶領域、すなわち1件明細データ記憶領域21aに記憶させるものである。
【0021】
ここで1件明細データD1は、図2に示したように、1つの販売取引における、販売取引時間(販売取引の年月日時分)、販売種別、商品コード、分類コード、販売価格、コラム番号、割引額(割引情報)、顧客ID等が含まれるものである。尚、1件明細データD1に含まれる割引額は、上位機器100等からの指令により所定の期間に商品の割引販売が行われた場合の額である。
【0022】
通信制御処理部20bは、後述する通信制御処理を実施するものである。この通信制御処理部20bの代表的な機能について説明する。かかる通信制御処理部20bは、所定のタイミングで通信部11を通じて上位機器100と通信可能な状態になると、1件明細データ記憶領域21aから1件明細データD1を取得し、該上位機器100に対して取得した1件明細データD1を送出するものである。また通信制御処理部20bは、送出済みの1件明細データD1を1件明細データ記憶領域21aから削除するものである。
【0023】
割引額集計処理部20cは、後述する割引額集計制御処理を実施するものである。この割引額集計処理部20cの代表的な機能について説明する。かかる割引額集計処理部20cは、1件明細データ記憶領域21aから1件明細データD1を取得した場合に、取得した1件明細データD1に割引情報である割引額があるか否かを判断する。そして、割引額がある場合、割引額集計処理部20cは、コラム別や商品別の割引額の集計を行って記憶部21に記憶させるものである。
【0024】
印字出力処理部20dは、例えば上位機器100等から印字指令が与えられたことを条件として、記憶部21より1件明細データD1又は割引額の集計結果を読み出し、印字装置16に対して印字出力を与えるものである。
【0025】
図3は、図1に示した制御部20が実施する販売取引制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0026】
制御部20の販売取引処理部20aは、販売取引の有無を判断する(ステップS101)。販売取引がない場合(ステップS101:No)、販売取引処理部20aはかかる処理を繰り返す。
【0027】
一方、販売取引がある場合(ステップS101:Yes)、すなわち商品の販売が行われた場合、販売取引処理部20aは、1件明細データ記憶領域21aに記憶されている1件明細データ量が基準量以下であるか否かを判断する(ステップS102)。
【0028】
ここで判断に用いられる基準量は、1件明細データ記憶領域21aの記憶容量に対し、予め設定された所定の集約方式での記憶容量を減算したものである。つまり、基準量は、1件明細データ記憶領域21aにおいて、販売取引を1件明細データD1として記憶するか否かを判断する閾値である。
【0029】
上記ステップS102において1件明細データ量が基準量以下である場合(ステップS102:Yes)、販売取引処理部20aは、今回の販売取引について1件明細データD1を作成する(ステップS103)。
【0030】
そして、販売取引処理部20aは、作成した1件明細データD1を1件明細データ記憶領域21aに記憶し(ステップS104)、その後に手順をリターンさせて、今回の処理を終了する。
【0031】
一方、上記ステップS102において1件明細データ量が基準量を超える場合(ステップS102:Yes)、販売取引処理部20aは、事前に設定された所定の集約方式にて今回の販売取引の一部についてデータを作成する(ステップS105)。
【0032】
ここで、所定の集約方式として、図4の(a)に示すようなコラム別売上方式D2や、図4の(b)に示すような価格別売上方式D3等がある。これらの集約方式は、1件明細データD1に比べて記憶量が小さい。
【0033】
そして、販売取引処理部20aは、作成した集約データを1件明細データ記憶領域21aに記憶し(ステップS104)、その後に手順をリターンさせて、今回の処理を終了する。
【0034】
このように制御部20は、1件明細データ記憶領域21aに記憶された1件明細データ量が予め決められた基準量を超えることを条件として、予め設定された集約方式にてその後の販売取引のデータの少なくとも一部を記憶させるようにしている。
【0035】
図5は、図1に示した制御部20が所定のタイミングにて実施する通信制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0036】
制御部20の通信制御処理部20bは、通信部11を通じて上位機器100との通信が可能であるか否かを判断する(ステップS201)。上位機器100との通信が可能でない場合(ステップS201:No)、通信制御処理部20bはかかる処理を繰り返す。
【0037】
一方、上位機器100との通信が可能である場合(ステップS201:Yes)、通信制御処理部20bは、1件明細データ記憶領域21aから1件明細データD1等を取得する(ステップS202)。
【0038】
この1件明細データ記憶領域21aに1件明細データD1以外に所定の集約方式での販売取引のデータが記憶されている場合は、1件明細データD1とともに所定の集約方式における販売取引のデータも取得する。
【0039】
1件明細データ記憶領域21aから1件明細データD1等を取得した通信制御処理部20bは、通信部11を通じて、上位機器100に1件明細データD1等を送出し(ステップS203)、その送出完了待ちとなる(ステップS204)。尚、1件明細データD1等の送出においては、所定の集約方式での販売取引のデータが含まれている場合、当該集約方式でのデータについては、何らかの認識が可能な数字等付して送出することが好ましい。
【0040】
1件明細データD1等の送出が完了した場合(ステップS204:Yes)、通信制御処理部20bは、送出済みのデータ(1件目明細データや所定の集約方式での販売取引データ)を1件明細データ記憶領域21aから削除し(ステップS205)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0041】
図6は、図1に示した制御部20が実施する割引額集計制御処理の処理内容を示すフローチャートである。この割引額集計制御処理は、上述した販売取引制御処理において、1件明細データD1が作成されて1件明細データ記憶領域21aに記憶されるタイミングにて実施されるものである。
【0042】
制御部20の割引額集計処理部20cは、1件明細データ記憶領域21aから1件明細データD1を取得したか否かを判断する(ステップS301)。1件明細データ記憶領域21aから1件明細データD1を取得していない場合(ステップS301:No)、割引額集計処理部20cは、かかる判断処理を繰り返す。
【0043】
1件明細データ記憶領域21aから1件明細データD1を取得した場合(ステップS301:Yes)、割引額集計処理部20cは、1件明細データD1に割引情報である割引額があるか否かを判断する(ステップS302)。
【0044】
1件明細データD1に割引額がない場合(ステップS302:No)、割引額集計処理部20cは、後述する処理を実施することなく手順をリターンさせて、今回の処理を終了する。
【0045】
1件明細データD1に割引額がある場合(ステップS302:Yes)、割引額集計処理部20cは、割引額の集計を行い(ステップS303)、その割引額の集計結果を記憶部21に記憶し(ステップS304)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0046】
図7は、図1に示した制御部20が実施する印字出力制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0047】
制御部20は、上位機器100等から印字出力指令の有無を判断する(ステップS401)。印字出力指令がない場合(ステップS401:No)、制御部20はかかる判断処理を繰り返す。
【0048】
印字出力指令があった場合(ステップS401:Yes)、制御部20は、記憶部21より1件明細データD1又は割引額の集計結果を読み出す(ステップS402)。そして、制御部20は、印字装置16に対して印字出力を与え(ステップS403)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0049】
以上説明したように、本発明の実施の形態1である自動販売機10によれば、制御部20は、1件明細データ記憶領域21aに記憶された1件明細データ量が予め決められた基準量を超えることを条件として、予め設定された集約方式にてその後の販売取引のデータの少なくとも一部を記憶させるようにしているので、従来のように蓄積された1件明細データにより記憶領域の記憶容量が満杯になることで商品の販売を停止する必要がなく、商品の販売を継続して行うことができ、商品の販売機会の逸失を防止することができる。
【0050】
上記自動販売機10によれば、制御部20は、1件明細データD1の割引額をコラム別や商品別に集計し、印字装置16を通じて集計した割引額を出力可能としたので、所定の割引期間での割引額を把握させることができる。
【0051】
<実施の形態2>
図8は、本発明の実施の形態2である自動販売機の構成を模式的に示すブロック図である。尚、上述した実施の形態1である自動販売機10と同一の構成要素については同一の符号を付して重複した説明を適宜省略する。
【0052】
ここで例示する自動販売機10′は、例えばペットボトルや缶等の容器に入れられた飲料等を商品として販売するものであり、通信部11、金銭処理部12、選択部13、冷熱部14、払出部15、印字装置16及び制御部20′を備えて構成されている。
【0053】
制御部20′は、通信部11、金銭処理部12、選択部13、冷熱部14、払出部15及び印字装置16に通信可能に接続されており、同様に通信可能に接続された記憶部21′に記憶されたプログラムやデータにしたがって、自動販売機10′の動作を統括的に制御するものである。この制御部20′は、本実施の形態2に特徴的なものとして、販売取引処理部20a、通信制御処理部20b、割引額集計処理部20c、印字出力処理部20d及び指定データ作成処理部20eを備えている。
【0054】
尚、制御部20′は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現してもよい。
【0055】
指定データ作成処理部20eは、自動販売機10′の電源投入時における上位機器100との通信により、該上位機器100から要求された1件明細データD1の任意の指定項目だけを集合させた指定データを作成し、記憶部21′に設けられた指定データ記憶領域(他の記憶領域)21bに記憶させるものである。
【0056】
図9は、図8に示した制御部20′が実施する指定データ作成処理の処理内容を示すフローチャートである。尚、この指定データ作成処理は、上記販売取引制御処理と並行して行われてもよい。
【0057】
制御部20′の指定データ作成処理部20eは、販売取引の有無を判断する(ステップS501)。販売取引がない場合(ステップS501:No)、指定データ作成処理部20eはかかる処理を繰り返す。
【0058】
一方、販売取引がある場合(ステップS501:Yes)、すなわち商品の販売が行われた場合、指定データ作成処理部20eは、今回の販売取引について指定データを作成する(ステップS502)。そして、指定データ作成処理部20eは、作成した指定データを指定データ記憶領域21bに記憶し(ステップS503)、その後に手順をリターンさせて、今回の処理を終了する。
【0059】
このように、制御部20′は、商品の販売取引毎に指定データを作成して、記憶部21′の指定データ記憶領域21bに指定データを記憶させることになる。そして、通信制御処理部20bは、指定データが記憶された場合に、次のような通信制御処理を実施してもよい。
【0060】
図10は、図8に示した制御部20′が所定のタイミングにて実施する通信制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【0061】
制御部20′の通信制御処理部20bは、通信部11を通じて上位機器100との通信が可能であるか否かを判断する(ステップS601)。上位機器100との通信が可能でない場合(ステップS601:No)、通信制御処理部20bはかかる処理を繰り返す。
【0062】
一方、上位機器100との通信が可能である場合(ステップS601:Yes)、通信制御処理部20bは、指定データ記憶領域21bから指定データを取得する(ステップS602)。
【0063】
指定データ記憶領域21bから指定データを取得した通信制御処理部20bは、通信部11を通じて、上位機器100に指定データを送出し(ステップS603)、その送出完了待ちとなる(ステップS604)。
【0064】
指定データの送出が完了した場合(ステップS604:Yes)、通信制御処理部20bは、送出済みの指定データを指定データ記憶領域21bから削除し(ステップS605)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0065】
以上説明したように、本発明の実施の形態2である自動販売機10′によれば、制御部20′は、上位機器100からの要求に応じて、指定データを作成して指定データ記憶領域21bに記憶し、該指定データを上位機器100に送出して指定データ記憶領域21bから送出済みの指定データを削除するので、必ずしも1件明細データD1のすべての項目を必要としない上位機器100に対して、必要十分な項目だけを指定データとして送出することができ、結果的に通信データ量の削減を図ることができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施の形態1及び実施の形態2について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0067】
上述した実施の形態1等では、所定の集約方式として、コラム別売上方式D2や価格別売上方式D3を例示したが、本発明においては、これらの集約方式に限られず、顧客ID売上方式(顧客IDと売上数とのリスト方式)等の様々な集約方式を採用することができる。
【0068】
上述した実施の形態1等では、集約方式での販売取引のデータを1件明細データ記憶領域21aに記憶させていたが、本発明においては、集約方式の販売取引のデータは、当該1件明細データ記憶領域以外に記憶させてもよい。
【0069】
上述した実施の形態1等では、割引額集計制御処理は、販売取引制御処理において1件明細データD1が作成されて1件明細データ記憶領域21aに記憶されるタイミングにて実施されるものであったが、本発明においては、上位機器100からの指令や所定の入力操作により、所定のタイミングにて割引額集計制御処理を実施してもよい。
【0070】
上述した実施の形態1等では、印字出力制御処理は、上位機器100等からの印字出力指令により実施されていたが、本発明においては次のようにしてもよい。すなわち、上述した割引額集計制御処理において、取得した1件明細データD1から割引額がある場合に、割引額を集計してから印字出力を行ってもよい。
【0071】
上述した実施の形態2では、作成した指定データを指定データ記憶領域21bに記憶し、該指定データを上位機器100に送出して指定データ記憶領域21bから送出済みの指定データを削除していたが、本発明においては、指定データを任意の記憶領域に記憶させてもよいし、上位機器に送出後に指定データを削除しなくてもよい。
【0072】
上述した実施の形態1等で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0073】
10…自動販売機、11…通信部、12…金銭処理部、13…選択部、14…冷熱部、15…払出部、16…印字装置、20…制御部、20a…販売取引処理部、20b…通信制御処理部、20c…割引額集計処理部、20d…印字出力処理部、21…記憶部、21a…1件明細データ記憶領域、100…上位機器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10