IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジーの特許一覧

特開2024-180283廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法
<>
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図1
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図2
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図3
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図4
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図5
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図6
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図7
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図8
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図9
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図10
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図11
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図12
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図13
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図14
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図15
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図16
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図17
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図18
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図19
  • 特開-廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180283
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用した正極材の再生方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/54 20060101AFI20241219BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20241219BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20241219BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20241219BHJP
【FI】
H01M10/54
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/58
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066633
(22)【出願日】2024-04-17
(31)【優先権主張番号】10-2023-0077763
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】304039548
【氏名又は名称】コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】イ ミン ア
(72)【発明者】
【氏名】ホン ジ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン フン ギ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジン クァン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン キョン ユン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ウィ チャン
【テーマコード(参考)】
5H031
5H050
【Fターム(参考)】
5H031BB01
5H031BB02
5H031EE04
5H031RR01
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA12
5H050HA18
5H050HA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容易にリチウム組成が回復された再生正極材を収得する廃二次電池正極材の再生溶液、廃二次電池正極材を再生する方法及び再生溶液をリサイクルする方法を提供する。
【解決手段】廃二次電池正極材の再生溶液は、p-タイプレドックス分子、溶媒及びリチウム塩を含み、前記p-タイプレドックス分子の還元電位がリチウム対比(vs Li/Li)1.55V以上3.7V以下である。正極材の再生に使用された再生溶液はリチウムを含む還元性物質と混合し、レドックス分子を還元させ、濾過過程を経て再生させることで再び再生溶液で利用できるリサイクル方法において、リチウムを含む還元性物質は、LiCO、Li、LiO、LiO、LiO、LiSなどであってもよく、そのため、正極材の再生だけでなく、再生溶液もリサイクルでき、より高い経済性を確保できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p-タイプレドックス分子、溶媒及びリチウム塩を含み、
前記p-タイプレドックス分子の還元電位がリチウムの還元電位対比(vs Li/Li)1.55V以上3.7V以下である、廃二次電池正極材の再生溶液。
【請求項2】
前記p-タイプレドックス分子の還元電位がリチウムの還元電位対比(vs Li/Li)2.9V以上3.6V以下である、請求項1に記載の廃二次電池正極材の再生溶液。
【請求項3】
前記p-タイプレドックス分子はN、N’-置換フェナジン(N、N’-substituted Phenazine)、フェノキサジン(Phenoxazine)、フェニルアミン(Phenylamine)、フェノチアジン(Phenothiazine)、カルバゾール(Carbazole)、フェニルアミン(Phenylamine)、チアントレン(Thianthrene)、ジベンゾジオキシン(Dibenzodioxin)、ビオロゲン(Viologen)、ニトロキシドラジカル化合物(Nitroxide radicalCompound)、ポリアニリン(Polyaniline)、ポリチオフェン(Polythiophene)、ポリトリフェニルアミン(Polytriphenylamine)、ポリジフェニルアミン(Polydiphenylamine)及びフェロセン(Ferrocene)、マンガノセン(Manganocene)からなる群より選択された1つ以上の分子を含み、
前記分子は、炭素数1~5のアルキル基(-R)、ヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)、フェニル基(-Ph)、安息香酸塩基(-BzO)、アセチル基(-CHCO)、カルボキシル基(-COOH)及びベンゾイル基(-COC)のうちの1つ以上に置換される、請求項1に記載の廃二次電池正極材の再生溶液。
【請求項4】
前記溶媒は、環状エーテル系溶媒、線型エーテル系溶媒、カーボネート系(エステル系)溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルフォルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)及び水(HO)からなる群より選択された1つ以上を含む、請求項1に記載の廃二次電池正極材の再生溶液。
【請求項5】
前記環状エーテル系溶媒は、テトラヒドロピラン、ジオキソラン、メチルジオキソラン、ジメチルジオキソラン、ビニルジオキソラン、メトキシジオキソラン、エチルメチルジオキソラン、オキサン、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフラン、エトキシテトラヒドロフラン、エチルテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロピラン、ジメチルテトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ヘキサメチレンオキシド、フラン、ジヒドロフラン、ジメトキシベンゼン及びジメチルオキセタンからなる群より選択された1つ以上を含む、請求項4に記載の廃二次電池正極材の再生溶液。
【請求項6】
前記線型エーテル系溶媒は、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールtert-ブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、及びメトキシプロパンからなる群より選択された1つ以上を含む、請求項4に記載の廃二次電池正極材の再生溶液。
【請求項7】
前記カーボネート系溶媒は、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、sec-ブチルアセテート、t-ブチルアセテート、イソプロピルアセテート、イソブチルアセテート、ヘキシルアセテート、イソアミルアセテート、メチル酪酸、エチル酪酸、プロピル酪酸、乳酸メチル、乳酸エチル、フェニル乳酸メチル、プロピオン酸メチル、トリアセチン、エチルアセトアセテート、アジピン酸ジメチル、安息香酸ベンジル、及びギ酸エチルからなる群より選択された1つ以上を含む、請求項4に記載の廃二次電池正極材の再生溶液。
【請求項8】
前記リチウム塩は、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTf)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiOTF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ヘキサフルオロひ酸リチウム(LiAsF)、ジフルオロオキサラトホウ酸リチウム(LiDFOB)、リチウムビスオキサレートホウ酸(LiBOB)、塩化リチウム(LiCl)、硝酸リチウム(LiNO)、硫酸リチウム(LiSO)、及び酢酸リチウム(LiOAc)からなる群より選択された1つ以上を含む、請求項1に記載の廃二次電池正極材の再生溶液。
【請求項9】
前記正極材は、Li[NiCoMn]O、LiCoO、Li[NiCoAl]O、Li[NiCoMnAl]O、doped-Li[NiCoMn][M]O、LiMn、LiFePO、Li[FeMn]PO、及びLiNi0.5Mn1.5からなる群より選択された1つ以上を含む、請求項1に記載の廃二次電池正極材の再生溶液。
【請求項10】
リチウム塩とp-タイプレドックス分子を溶媒に溶解させて再生溶液を製造するステップ(S1)と、
前記溶液にリチウムが脱離された正極材を担持するステップ(S2)と、
担持された正極材を前記溶液から回収して洗浄するステップ(S3)と、
前記正極材を乾燥するステップ(S4)と、
を含み、
前記p-タイプレドックス分子の還元電位がリチウム対比(vs Li/Li)1.55V以上3.7V以下である、廃二次電池正極材の再生方法。
【請求項11】
前記リチウム塩は、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)のうちの1つ以上を含み、
前記p-タイプレドックス分子は、5、10-ジヒドロ-5、10-ジメチルフェナジン(DMPZ)、N、N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)、フェロセン(Ferrocene)及びマンガノセン(Manganocene)のうちの1つ以上を含み、
前記溶媒は、ジメトキシエタン(DME)、1、3-ジオキソラン(DOL)、2-メチルハイドロフラン(2meTHF)、アセトニトリル(ACN)、及びN、N-ジメチルフォルムアミド(DMF)のうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の廃二次電池正極材の再生方法。
【請求項12】
前記S2ステップは、常温及び常圧で0.25時間以上担持することを含む、請求項10に記載の廃二次電池正極材の再生方法。
【請求項13】
前記リチウムが脱離された正極材は、初期リチウム量の5%以上のリチウムが脱離されたものである、請求項10に記載の廃二次電池正極材の再生方法。
【請求項14】
前記再生溶液は、正極材のリチウム不足分に対比してそれぞれ1.5倍以上に該当するリチウム塩とp-タイプレドックス分子を含む再生溶液である、請求項10に記載の廃二次電池正極材の再生方法。
【請求項15】
前記S3ステップの洗浄は、再生溶液の溶媒と同じ溶媒を用いて洗浄する、請求項10に記載の廃二次電池正極材の再生方法。
【請求項16】
請求項1に記載の再生溶液で再生した、正極材。
【請求項17】
(a)請求項1に記載された再生溶液を活用して廃二次電池正極材を再生するステップと、
(b)活用された再生溶液をリチウムを含む還元性物質と混合するステップと、
を含み、
前記リチウムを含む還元性物質は、LiCO、Li、LiO、LiO、LiO、及びLiSからなる群より選択された1つ以上である、再生溶液の再活用方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、廃二次電池正極材の再生溶液及びそれを利用したリサイクル二次電池に関する。
【0002】
〔背景技術〕
リチウム二次電池は、高いエネルギー密度、軽量、高出力でありながら安定した放電特性、広範囲な温度における安定性などの長所があり、近来、小型家電や精密機器に広く使用されており、最近は中・大型リチウム二次電池に対してもその使容量が急増している状況である。
【0003】
リチウム二次電池の使容量が急増し、最近では大量の廃電池が発生するものと予想され、二次電池をリサイクルする技術についても大きく注目されている。特に、二次電池は、構成要素のうち埋蔵量が限界的で原料の価格が高い正極活物質を回収して再び使用できる正極素材を生成する技術が切実である。
【0004】
一方、すでに活用されている正極活物質リサイクル方法のうち、直接リサイクル(又は、正極再生)方法(direct recycling又はcathode regeneration)は、廃正極材の粒子形状を保持しながらも相対的に少ないエネルギーと単純な工程を介して活物質を再生することができ、廃電池から迅速に新しい正極材が得られるという長所がある。これまで報告された直接リサイクル方法には、固相反応法、水熱合成法、共晶塩合成法などがあるが、それぞれ高いコストを必要とする精密なリチウム組成の分析を要求したり、数百度の高い反応温度及び高圧条件を必要としたり、酸素のない不活性大気の雰囲気を必要とするなど、大量工程を実現することが難しく、コストが高くて商用化し難いという問題がある。
【0005】
ここで、本発明者は、上記のような従来の正極活物質リサイクル方法の問題を解決するために本発明を完成した。
【0006】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は上記のような問題を解決するために案出されたもので、リチウムが全て又は一部脱離した正極又は正極活物質を、常温及び常圧下で一定時間担持することで、長時間の後-熱処理工程、又は塩基、有害ガス、及びリチウム金属を使用しなくても容易にリチウム組成が回復された再生正極材を収得することのできる、廃二次電池正極材の再生溶液を提供することを目的とする。
【0007】
また、前記再生溶液を活用して廃二次電池正極材を再生する方法を提供したり、正極材を再生した後、使用済みの再生溶液をリチウムが含まれた還元性物質と単純混合することで、再生溶液をリサイクルする方法を提供することを目的とする。
【0008】
しかし、本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されない更なる課題は、下記の記載によって当技術分野の通常の知識を有する者にとって明確に理解できるものである。
【0009】
〔課題を解決するための手段〕
本発明の一実施形態によれば、p-タイプレドックス分子、溶媒、及びリチウム塩を含み、前記p-タイプレドックス分子の還元電位がリチウム対比(vs Li/Li)1.55V以上3.7V以下である廃二次電池正極材の再生溶液が提供される。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、リチウム塩とp-タイプレドックス分子を溶媒に溶解させて再生溶液を製造するステップ(S1)と、前記溶液にリチウムが脱離された正極材又は脱離された正極を担持するステップ(S2)と、担持された正極材を前記溶液から回収して洗浄するステップ(S3)と、前記正極材を乾燥するステップ(S4)とを含み、前記p-タイプレドックス分子の還元電位がリチウム対比(vs Li/Li)1.55V以上3.7V以下である廃二次電池正極材の再生方法が提供される。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、前記再生溶液に再生した正極材が提供される。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、(a)前記再生溶液を活用して廃二次電池正極材を再生するステップと、(b)活用された再生溶液をリチウムを含む還元性物質と混合するステップとを含み、前記リチウムを含む還元性物質は、LiCO、Li、LiO、LiO、LiO及びLiSからなる群より選択された1つ以上の再生溶液のリサイクル方法が提供される。
【0013】
〔発明の効果〕
本発明の一実施形態に係る再生溶液は、常温、常圧、乾燥大気下の一般的な環境で反応することなく安定的で、量産性が高く、廃正極のリチウム組成に関する情報がなくとも高い再現性に基づいて希望するリチウム組成の回復が可能であり、使用済みの再生溶液を後処理にリサイクルできるため、経済性が高いという長所がある。
【0014】
〔図面の簡単な説明〕
図1〕本発明の一実施形態に係る再生溶液とこれを利用した正極再生技術の模式図である。
【0015】
図2〕本発明の一実施形態に係る正極再生技術の原理を示す図である。
【0016】
図3〕本発明の一実施形態に係る正極再生技術において、正極リチウム回復反応の電気化学的な検出を示す図である。
【0017】
図4〕本発明の一実施形態に係る正極リチウム回復反応を介して正極材格子定数の回復を示す図である。
【0018】
図5〕本発明の一実施形態に係る正極リチウム回復反応を通した正極材ニッケル酸化水の回復を示す図である。
【0019】
図6〕リチウム塩濃度及びp-タイプレドックス分子の有無による再生正極電気化学的特性を評価した結果を示す図である。
【0020】
図7〕廃正極材リチウム組成による再生正極電気化学的特性を評価した結果を示す図である。
【0021】
図8〕廃正極材のリチウム組成(高度で脱離された状態)による再生正極電気化学的特性を評価した結果を示す図である。
【0022】
図9〕乾燥大気下における溶媒の種類に応じる再生正極電気化学的特性を評価した結果を示す図である。
【0023】
図10〕本発明の一実施形態に係る正極リチウム回復反応を介して再生した正極の寿命特性を評価した結果を示す図である。
【0024】
図11〕正極再生反応時間及び温度によるリチウム回復程度を分析した図である。
【0025】
図12〕本発明の一実施形態に係る正極リチウム回復反応を介して再生されたNMC811正極に対する寿命特性評価の結果を示した図面である。
【0026】
図13〕DPPD又はDBBをp-タイプレドックス分子で適用して酸化還元電圧を分析した結果を示す図である。
【0027】
図14〕DPPD又はDBBをp-タイプレドックス分子で適用してクーロン効率の変化を評価した結果を示す図である。
【0028】
図15〕LiPFを再生溶液のリチウム塩として適用してクーロン効率の変化を評価した結果を示す図である。
【0029】
図16〕本発明の一実施形態に係る再生溶液の使用後リサイクル工程模式図を示す図である。
【0030】
図17〕再生溶液の使用後リサイクル反応を検証した結果を示す図である。
【0031】
図18〕本発明の一実施形態に係る再生溶液を活用した廃正極材の再生と、その後の再生溶液のリサイクル、及びそれを活用した正極材の再生の循環環を示す図である。
【0032】
図19〕リサイクルされた再生溶液を用いて再生させたNMC622電極の寿命試験結果を示す図である。
【0033】
図20〕フェロセン基盤の再生溶液を様々な溶媒(ジオキソラン(1、3-dioxolane;DOL)、炭酸ジメチル(dimethylCarbonate;DMC)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-methylhydrofuran;2meTHF)、アセトニトリル(acetonitrile;ACN)、ジメチルホルムアミド(N、N-dimethylformamide;DMF))で製造し、これを活用して再生したNMC622電極の電気化学的特性を評価した結果を示す図である。
【0034】
〔発明を実施するための形態〕
以下、添付の図面を参照して実施形態について詳説する。しかし、本明細書で開示する特定の構造的又は機能的な説明は単に実施形態を説明するための目的として例示したものであり、実施形態は様々な異なる形態で実施され、本発明は本明細書で説明した実施形態に限定されるものではない。実施形態に対する全ての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれているものと理解されなければならない。
【0035】
実施形態で用いられる用語は、単に、説明を目的として使用されたものであり、限定しようとする意図として解釈されることはない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0036】
異なるように定義さがれない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0037】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく、同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略することにする。実施形態の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にするものと判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、p-タイプレドックス分子、溶媒及びリチウム塩を含み、前記p-タイプレドックス分子の還元電位がリチウム対比(vs Li/Li)1.55V以上3.7V以下である、廃二次電池正極材の再生溶液を提供する。
【0039】
リチウム塩のリチウムイオンと、p-タイプレドックス分子、そしてリチウムイオンが一部脱離した正極が互いに混合されれば、熱力学的な自発反応を介してレドックス分子は酸化し、正極活物質は還元され、リチウムイオンと電子がp-タイプレドックス分子から正極活物質に移動される。
【0040】
このような原理に基づいて、廃二次電池のリチウムイオンが脱離した正極材にリチウムが挿入され得る。
【0041】
一方、自発反応を起こすためのp-タイプレドックス分子は、i)中性状態で酸化されて正イオンの形態として存在すること、ii)酸化/還元電位は正極の一般的な充電開始電圧(NMCの場合、3.7V)よりも低いこと、iii)リチウムの過剰挿入による素材劣化を防止するために、これを誘発する還元電位(NMCの場合、Mn3+/Mn4+還元電位1.55V)よりも高いことが要求される。
【0042】
このようなp-タイプレドックス分子は、具体的に、還元電位が1.55V以上3.7V以下であってもよく、より好ましくは、2.9V以上3.6V以下であってもよい。一方、前記2.9Vよりも低い場合、大気に存在する酸素(~2.96V)と反応して大気下における取扱いが制限される。
【0043】
前記i)~iii)の条件を全て満足するp-タイプレドックス分子の種類として、N、N’-置換フェナジン(N、N’-substituted Phenazine)、フェノキサジン(Phenoxazine)、フェニルアミン(Phenylamine)、フェノチアジン(Phenothiazine)、カルバゾール(Carbazole)、フェニルアミン(Phenylamine)、チアントレン(Thianthrene)、ジベンゾジオキシン(Dibenzodioxin)、ビオロゲン(Viologen)、ニトロキシドラジカル化合物(Nitroxide radicalCompound)、ポリアニリン(Polyaniline)、ポリチオフェン(Polythiophene)、ポリトリフェニルアミン(Polytriphenylamine)、ポリジフェニルアミン(Polydiphenylamine)、フェロセン(Ferrocene)、マンガノセン(Manganocene)などの分子を含んでもよく、前記分子は、炭素数1~5のアルキル基(-R)、ヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH2)、フェニル基(-Ph)、安息香酸塩基(-BzO)、アセチル基(-CHCO)、カルボキシル基(-COOH)及びベンゾイル基(-COC)のうちの1つ以上に置換されてもよい。一方、そのうち、より具体的に、前記ニトロキシドラジカル化合物は、プロキシル(proxyl)、ニトロキシルベンゼン(nitroxylbenzene)、ニトロニルニトロキシル(nitronylnitroxyl)、2、2、6、6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(2、2、6、6-tetramethylpiperidinyloxyl(TEMPO))などが挙げられる。
【0044】
本発明の一実施形態において、好ましいp-タイプレドックス分子の種類として、中性状態で酸化されて正イオンの形態に存在し、約3.27~3.45Vで酸化/還元反応を起こす、5、10-ジヒドロ-5、10-ジメチルフェナジン(DMPZ)、N、N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)、フェロセン(Ferrocene)又はマンガノセン(Manganocene)に該当する。
【0045】
本発明の一実施形態に係る再生溶液に含まれる溶媒は、環状エーテル系溶媒、線型エーテル系溶媒、カーボネート系(エステル系)溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルフォルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、水(HO)などを含んでもよい。
【0046】
前記溶媒は、使用する正極作動電位で安定的で、リチウム塩とレドックス分子を溶解し、かつ副反応を起こさない溶媒に該当する。
【0047】
前記環状エーテル系溶媒の具体的な種類として、テトラヒドロピラン、ジオキソラン、メチルジオキソラン、ジメチルジオキソラン、ビニルジオキソラン、メトキシジオキソラン、エチルメチルジオキソラン、オキサン、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフラン、エトキシテトラヒドロフラン、エチルテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロピラン、ジメチルテトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ヘキサメチレンオキシド、フラン、ジヒドロフラン、ジメトキシベンゼン、ジメチルオキセタンなどを含んでもよい。
【0048】
前記線型エーテル系溶媒の具体的な種類として、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジメトキシプロパン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールtert-ブチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、メトキシプロパンなどを含んでもよい。
【0049】
前記カーボネート系溶媒の具体的な種類として、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、sec-ブチルアセテート、t-ブチルアセテート、イソプロピルアセテート、イソブチルアセテート、ヘキシルアセテート、イソアミルアセテート、メチル酪酸、エチル酪酸、プロピル酪酸、乳酸メチル、乳酸エチル、フェニル乳酸メチル、プロピオン酸メチル、トリアセチン、エチルアセトアセテート、アジピン酸ジメチル、安息香酸ベンジル、ギ酸エチルなどを含んでもよい。
【0050】
本発明の一実施形態に係る再生溶液に含まれるリチウム塩は、前記溶媒に溶解され、リチウムイオンが脱離された正極材にリチウムイオンを提供できる物質であれば、大きく制限されないが、具体的に、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、リチウムビスフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiTf)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiOTF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、ヘキサフルオロひ酸リチウム(LiAsF)、ジフルオロオキサラトホウ酸リチウム(LiDFOB)、リチウムビスオキサレートホウ酸(LiBOB)、塩化リチウム(LiCl)、硝酸リチウム(LiNO)、硫酸リチウム(LiSO)、酢酸リチウム(LiOAc)などを含んでもよく、より詳しく、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を含むリチウム塩を使用することが好ましい。
【0051】
本発明の一実施形態に係る再生溶液を介してリチウムイオンが挿入される正極材の種類として、Li[NiCoMn]O、LiCoO、Li[NiCoAl]O、Li[NiCoMnAl]O、doped-Li[NiCoMn][M]O、LiMn、LiFePO、Li[FeMn]PO、LiNi0.5Mn1.5などが挙げられ、具体的に、充電開始電圧が約3.7VであるLi[NiCoMn]O(NMC)、充電開始電圧が約3.9VであるLiCoO(LCO)、充電開始電圧が約3.6VであるLi[NiCoAl]O(NCA)、充電開始電圧が約3.4VであるLiFePO(LFP)などを含んでもよい。
【0052】
一方、本発明の一実施形態により、リチウム塩とp-タイプレドックス分子を溶媒に溶解させて再生溶液を製造するステップ(S1)と、前記溶液にリチウムが脱離された正極材又は脱離された正極を担持するステップ(S2)と、担持された正極材を前記溶液から回収して洗浄するステップ(S3)と、前記正極材を乾燥するステップ(S4)を含み、前記p-タイプレドックス分子の還元電位がリチウム対比(vs Li/Li)1.55V以上3.7V以下である、廃二次電池正極材の再生方法を提供する。
【0053】
前記再生方法において、使用されるリチウム塩、p-タイプレドックス分子及び溶媒は、上記で詳細に記述した廃二次電池正極材の再生溶液で記述した内容と実質的に同一であると見られ、好ましくは、前記リチウム塩は、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)及びヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)のうちの1つ以上を含み、前記p-タイプレドックス分子は、5、10-ジヒドロ-5、10-ジメチルフェナジン(DMPZ)、N、N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)、フェロセン(Ferrocene)及びマンガノセン(Manganocene)のうちの1つ以上を含み、前記溶媒は、ジメトキシエタン(DME)及びメチルテトラヒドロフランのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0054】
前記廃二次電池正極材の再生方法において、以下で詳細に記述した実施形態のように、1、2-ジメトキシエタン(DME)にリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)と5、10-ジヒドロ-5、10-ジメチルフェナジン(DMPZ)を溶解させて再生溶液を製造する場合、前記再生溶液にリチウムが脱離された正極材を担持したとき下記のような反応が発生し、そのため、リチウム組成が回復した再生正極材の収得が可能である。
【0055】
xDMPZ+xLi+xTFSI+Li1-y[NiCoMn]O→x(DMPZ-TFSI)+Li1-y+x[NiCoMn]O(0<x≦y)
一方、前記製造された再生溶液に正極材を担持するステップは、別途の熱処理、又は、塩基処理、有害ガス処理などの工程がなくとも、常温(約25℃)、常圧(約1atm)及び乾燥大気下で反応が起き、担持時間は0.25時間以上であってもよく、その上限は大きく制限されないものの、例えば、0.25時間以上10時間以下、0.5時間以上5時間以下であってもよい。
【0056】
本発明の一実施形態に係る正極材の再生方法は、別途のリチウム金属を使用せず、リチウム組成に対する定量なしにも溶液上に単純に担持することだけで容易かつ安定的に反応が生じ、過量のリチウムの挿入が生じることなく、p-タイプレドックス分子の酸化/還元電位に正極材の電位が到達するまでリチウムの挿入反応が生じる点から、量産性及び再現性が高いという長所がある。
【0057】
前記廃二次電池正極材の再生方法に使用される正極材は、リチウムが一部又は全て脱離された状態であるものであれば大きく制限されないが、一例として、正極材が有している初期リチウム量の約5%以上リチウムが脱離したものであってもよい。
【0058】
この場合、前記正極材と使用される再生溶液は、正極材のリチウム不足分に対比してそれぞれ1.5倍以上に該当するリチウム塩とp-タイプレドックス分子を含んでもよく、上限は大きく制限されないが、20倍以下、具体的には10倍以下であってもよく、より詳しくは3倍以上5倍以下などであってもよい。
【0059】
前記担持ステップを実施した後には、正極材を回収して洗浄する過程を経て、前記洗浄過程は、上記で再生溶液で使用された溶媒と同じ種類の溶媒を用いて実施することができる。そのため、再生した正極材に存在する残留リチウム塩と、DMPZなどのp-タイプレドックス分子を除去することができ、その後、乾燥過程を経て再生正極材を電極製造に使用することができる。
【0060】
一方、本発明の一実施形態により、正極材の再生に使用された再生溶液はリチウムを含む還元性物質と混合し、レドックス分子を還元させ、濾過過程を経て再生させることで再び再生溶液で利用できるリサイクル方法を提供する。
【0061】
ここで、使用されるリチウムを含む還元性物質は、LiCO、Li、LiO、LiO、LiO、LiSなどであってもよく、そのため、正極材の再生だけでなく、再生溶液もリサイクルでき、より高い経済性を確保できるという長所がある。
【0062】
以下、実施形態と比較例を介して本発明の構成及びそれによる効果をより詳細に説明する。しかし、本実施形態は、本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の範囲がこの実施形態に限定されることはない。
【0063】
[実施形態]
[1.製造例:再生溶液の製造]
1、2-ジメトキシエタン(DME)溶媒にリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)と5、10-ジヒドロ-5、10-ジメチルフェナジン(DMPZ)を溶解させ、再生溶液を製造した。
【0064】
[2.試験例1:正極リチウム回復反応の電気化学的な検出(図3)]
可逆容量の30%だけ充電されたNMC622電極をウォーキング電極に、白金をカウンタ電極に、そして、リチウムを基準電極にする3電極システムにおいて、LiTFSIだけ存在した電解質にDMPZを追加し、時間による電圧の変化を観察した(図3)。
【0065】
図3に示すように、LiTFSI電解質にDMPZを投入して21mM DMPZ、22.5mM LiTFSI溶液を作った直後溶液の色が急激に濃厚な緑色に変化した。ウォーキング電極の電圧もDMPZを投入した後、3.6V以上で3.17Vで急激に減少して収斂した。
【0066】
ウォーキング電極の開放回路電圧が収斂する3.17VはDMPZの酸化還元電圧に近似な値に、色の変化と収斂する電圧値を介してDMPZの酸化でNMC活物質にリチウムが挿入され、ウォーキング電極の電圧が低くなったことが確認された。
【0067】
[3.試験例2:正極リチウム回復反応を通した正極材格子定数及び正極材ニッケル酸化水の回復観察(図4及び図5)]
(1)正極材の格子定数の回復(図4
新しいNMC622電極、2回充電/放電した後、可逆容量の30%だけ充電したNMC622電極、30%を充電した後、常温アルゴン大気でリチウム不足分に対比して10倍の140mM DMPZ+LiTFSIの再生溶液に2時間の間に担持して再生させた電極のX-Ray Diffraction(XRD)分析を行った。
【0068】
図4に示すように、新しい電極の003ピークが18.64度の最も高い角度に位置し、30%充電の後より小さい角度に移動して18.49度でピークが発見され、再生後には新しい電極に類似の18.65度でピークが観察された。
【0069】
30%充電した電極の(003)ピーク位置が再生した後には、新しいNMC622電極と近似に回復されることにより、再生処理後に活物質にリチウムが挿入されて格子構造が回復されることで、リチウムの脱離に増加したc軸の格子定数が減少し、減少したa軸の格子定数が増加したことが分かる。
【0070】
(2)正極材ニッケル酸化水の回復(図5
Near-Edge X-ray Absorption Fine Structures(NEXAFS)分析を介して、サンプルごとのNMC811活物質に存在するニッケルの酸化水を比較することで、各サンプルごとの活物質のリチウムの組成差を分析した。
【0071】
新しいパウチセル(f-NMC)、劣化して20%だけ容量が減少したパウチセル(d-NMC)を電池分解前に放電し、完全放電状態のf-NMC-d、d-NMC-dを準備し、分離したそれぞれの正極を新しくコインセルを組立てた後充電し、充電状態のf-NMC-c、d-NMC-cを準備した。さらに、劣化したパウチセルで正極活物質を分離して常温乾燥大気でリチウム不足分に対比して3倍の140mM DMPZ+LiTFSIの再生溶液を介して2時間の間に担持して再生させてから再び電極で製造し(r-NMC)、その5種類サンプルのNEXAFSの分析結果を比較した。
【0072】
図5に示すように、857eVにおけるf-NCM及びr-NCMのニッケルのL3ピークは、正極内の高いリチウム含量及び低い(還元)ニッケル酸化水を示した。そして、858eVにおけるd-NCM-c及びf-NCM-cのニッケルのL3ピークは、正極内の高いリチウム含量及びコ(酸化された)ニッケル酸化水を示した。r-NCMのL3ピークがd-NCM-dよりも低いエネルギーであることを勘案すると、再生処理後の正極材内にリチウムが十分に入ってニッケルの酸化水が回復したことが分かる。
【0073】
[4.試験例3:リサイクル条件による再生正極電気化学的な特性評価試験(図6図10)]
(1)リチウム塩濃度及びp-タイプレドックス分子の有無による再生正極電気化学的な特性評価結果(図6
NMC622コインセルを2回充電/放電した後、可逆容量の30%だけ充電した後NMC622電極を分離した。その後、DMPZなしにLiTFSIだけ存在する溶液(0.14M LiTFSI)、DMPZが存在する再生溶液に常温アルゴン大気で正極を2時間の間に担持して再生させた。正極のリチウム不足分に対比してそれぞれ3倍(0.042M DMPZ+0.042M LiTFSI)、1.5倍に該当する量のDMPZを含む再生溶液(0.021M DMPZ+0.021M LiTFSI)を使用した。
【0074】
前記3つの条件で処理した各再生電極を正極として使用し、リチウム金属チップを16mm直径にパンチングして負極として使用し、セルガード(celgard)を分離膜として使用し、1M LiPF6 EC/DEC電解質を用いてCR2032タイプの電池を製造した。前記電池をプラス30℃の常温で充電上段電圧4.3V、放電下段電圧2.5Vの範囲で、0.1Cの電流密度で充電/放電を行ってリサイクルの有無によるクーロン効率の変化を評価した。
【0075】
図6に示すように、DMPZがない溶液に電極を担持した後、再組立時に130mAh g-1に減少した最初の充電容量を示したが(リチウムの挿入はないものと示される)、DMPZが存在する再生溶液に電極を担持した時は、リチウム不足分に対比してDMPZ量が3倍であるとき、100.5%、1.5倍であるとき100.4%だけの充電容量を回復しながら、リチウム不足分に対比してDMPZの量が多い場合には、リチウム不足分に対比してDMPZ量に関係なく充電容量が100%に近く回復したことが確認された。
【0076】
(1)不均質な廃正極材リチウム組成による再生正極電気化学的な特性評価結果(図7
3つのNMC622コインセルをそれぞれ2回充電/放電した後、可逆容量の15%、30%、45%だけ充電した後、NMC電極を分離した。NMC電極を分離した後、3つの電極を共に常温アルゴン大気で再生溶液(0.14M DMPZ+0.14M LiTFSI)に1時間の間に担持して再生させた。3つの正極のリチウム不足分の和に比べて10倍に該当する量の再生溶液を使用した。
【0077】
前記3つの条件で処理した各再生電極を正極として使用し、リチウム金属チップを16mm直径にパンチングして負極として使用し、セルガードを分離膜として使用し、1M LiPF EC/DEC電解質を用いてCR2032タイプの電池を製造した。前記電池をプラス30℃の常温で充電上段電圧4.3V、放電下段電圧2.5Vの範囲で0.1Cの電流密度で充電/放電を行って、リサイクルの有無によるクーロン効率の変化を評価した。
【0078】
図7に示すように、再生溶液に電極を同時に担持して再生させた後、可逆容量の15%、30%、45%だけ充電した電極がそれぞれ103%、106%、104%の再組立後に最初の充電容量を回復した。その結果、前記再生溶液が不均質なリチウム組成を有する廃正極材を再生可能であることが確認された。
【0079】
(3)廃正極材(高度で脱離された状態)リチウム組成による再生正極電気化学的な特性評価結果(図8
NMC622コインセルを2回充電/放電した後、可逆容量の90%だけ充電した後、NMC電極を分離した。NMC電極を分離した後、常温アルゴン大気で2時間の間に廃正極のリチウム不足分に対比してそれぞれ10倍に該当する量の再生溶液(0.14M DMPZ+0.14M LiTFSI)を再生するために使用した。
【0080】
前記条件で処理した再生電極を正極として使用し、リチウム金属チップを16mm直径にパンチングして負極として使用し、セルガードを分離膜として使用し、1M LiPF EC/DEC電解質を用いてCR2032タイプの電池を製造した。前記電池をプラス30℃の常温で充電上段電圧4.3V、放電下段電圧2.5Vの範囲で0.1Cの電流密度で充電/放電を行い、リサイクルの有無によるクーロン効率の変化を評価した。
【0081】
図8に示すように、再生溶液に電極を担持して再生処理した後、可逆容量の90%だけ充電した電極が103%を再組立した後最初の充電容量を示すことを介して、廃正極のリチウム不足分が大きい場合にも成功的に再生させ得ることが確認された。
【0082】
(4)乾燥大気下における溶媒の種類に応じる再生正極電気化学的な特性評価結果(図9
NMC622コインセルを2回充電/放電した後、可逆容量の30%だけ充電した後、NMC電極を分離した。NMC電極を分離した後、常温乾燥大気条件でDME又は2-meTHF溶媒を活用した再生溶液に2時間担持して再生させた。正極のリチウム不足分に対比してそれぞれ10倍に該当する量の再生溶液(0.14M DMPZ+0.14M LiTFSI)を使用した。
【0083】
前記2種類の溶媒条件で処理した各再生電極を正極として使用し、リチウム金属チップを16mm直径にパンチングして負極として使用し、セルガードを分離膜として使用し、1M LiPF EC/DEC電解質を用いてCR2032タイプの電池を製造した。前記電池をプラス30℃の常温で充電上段電圧4.3V、放電下段電圧2.5Vの範囲で0.1Cの電流密度で充電/放電を行い、リサイクルの有無によるクーロン効率の変化を評価した。
【0084】
乾燥大気でDME、2-meTHFの互いに異なる溶媒で再生させた電極がそれぞれ100%、103%の最初のクーロン効率を示し、乾燥大気に露出された状態で再生を行ったり、他の溶媒を活用した再生溶液を用いた場合にも成功的に活物質が再生することが確認された。
【0085】
(5)再生正極の寿命特性評価(図10
NMC622コインセルを2回充電/放電した後、可逆容量の30%だけ充電した後、NMC電極を分離して常温乾燥大気条件で2-meTHF溶媒を用いた再生溶液(0.14M DMPZ+0.14M LiTFSI)に2時間の間に担持して再生させた。前記再生溶液は、正極のリチウム不足分に対比して10倍に該当する量を使用した。さらに、再生過程の電極劣化有無を観察するために、DMPZのない0.14M LiTFSI溶液を用いて同じ条件で充電された電極を担持したサンプル(DMPZ-free)を準備した。
【0086】
前記条件で処理された各電極を正極として使用し、リチウム金属チップを16mm直径にパンチングして負極として使用し、セルガードを分離膜として使用し、1M LiPF EC/DEC電解質を用いてCR2032タイプの電池を製造した。前記電池をプラス30℃の常温で充電上段電圧4.3V、放電下段電圧2.5Vの範囲で0.1Cの電流密度で3サイクル、その後には0.5Cの電流密度で充電/放電を行い、リサイクルの有無による寿命特性変化を評価した。
【0087】
図10に示すように、乾燥大気条件で2-meTHF溶媒を活用して再生した電極が200サイクル以後85.9%の容量を保持し、DMPZなしに処理された電極の容量保持率86.3%と大きい差がないことが確認された。そのため、再生処理が正極の寿命に悪影響を及ぼさないことが確認された。
【0088】
[5.試験例4:正極再生反応時間によるリチウム回復程度分析(図11)]
NMC622コインセルを2回充電/放電した後、可逆容量の30%だけ充電した後、NMC電極を分離して常温アルゴン大気でDME基盤の0.042M DMPZ+0.042M LiTFSI再生溶液に担持する時間を相違にして担持時間による再生程度を比較した。0.25時間の間に担持した電極の場合、常温と50℃の2種類といった異なる温度で処理することで温度による再生程度を共に比較した。
【0089】
前記それぞれ時間条件で処理した電極を正極として使用し、リチウム金属チップを16mm直径にパンチングして負極として使用し、セルガードを分離膜として使用し、1M LiPF EC/DEC電解質を用いてCR2032タイプの電池を製造した。前記電池をプラス30℃の常温で充電上段電圧4.3V、放電下段電圧2.5Vの範囲で0.1Cの電流密度で充電/放電を行った。
【0090】
図11に示すように、電極を溶液に担持する時間が0.25時間から2時間まで増加しながらクーロン効率が100%に収斂し、1時間付近で飽和された。また、50℃で活物質を再生させた場合、15分で100%に近く飽和された充電容量の回復を介して温度を上げ、さらに迅速に再生できることが確認された。
【0091】
[6.試験例5:正極材種類に応じるレート性能(rate Capability)及び寿命特性評価の結果(図12)]
(イ)新しいパウチセルで回収したLiNi0.8Mn0.1Co0.1(NMC811)の正極粉末(pristine)、(ロ)容量が20%だけ減少したパウチセルで回収した正極粉末(degraded)、(ハ)該当正極を常温乾燥大気でリチウム不足分の3倍分量の再生溶液(0.14M DMPZ+0.14M LiTFSI)に2時間の間に担持し再生して取得した粉末(再生後)をNMP、PVDF、Super Pと混合し、合わせて3種類のNMC811の正極を製造した。
【0092】
NMC811電極を11.3mm直径にパンチングして正極として使用し、リチウム金属チップを16mmにパンチングして負極として使用し、セルガードを分離膜として使用し、1M LiPF EC/DEC電解質を用いてCR2032タイプの電池を製造した。前記電池をプラス30℃の常温で充電上段電圧4.3V、放電下段電圧3.0Vの範囲で0.1Cの電流密度で3サイクル以後0.5Cの電流密度で充電/放電を行い、リサイクルの有無による寿命特性を評価した。また、リサイクルの有無による律速特性の差を確認するために、0.1C、0.5C、1C、2C、3C、そして、再び0.5Cの順に律速を変化させながら律速特性を評価した。
【0093】
図12に示すように、劣化したNMC811の正極は、新しい正極に比べて最初の充電で18.1%だけ減少した159.1mAh g-1の容量を示し、再生の後に202.3mAh g-1に最初の充電容量が回復した。150サイクルの間に充電/放電後にも新しい正極と再生させた正極が容量保持率に差がなかった。
【0094】
また、リサイクル処理の有無に関わらず0.1C~3Cの電流密度の条件で同じ律速特性を示し、廃正極再生処理が正極材の種類に関係なく、NMC811にも適用可能であり、活物質の律速特性に影響を及ぼさないことが確認された。
【0095】
[7.試験例6:p-タイプレドックス分子種類に応じる試験(図13及び図14)]
(1)DPPD又はDBB適用による酸化還元電圧分析(図13
21mMのN、N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(DPPD)又は1、4-ジ-tert-ブチル-2、5-ジメトキシベンゼン(DBB)をp-タイプレドックス分子にし、21mMのLiTFSIをリチウム塩にする再生溶液のサイクリックボルタンメトリー(CV voltammetry)試験を介して各レドックス分子の酸化還元電圧を分析した。
【0096】
16pi直径のステンレス板を作動電極にし、直径16mmを有するようにパンチングされたリチウム金属チップを負極にし、セルガードを分離膜にするコインセルに30mLの再生溶液を電解質として投入した後、1mV s-1の速度で電圧を走査した。
【0097】
図13に示すように、DPPDは、3.45Vの還元電位を示すことで十分に低い還元電位を有し、リサイクル溶液のp-タイプレドックス分子で活用されたが、DBBの場合にはNMCの充電開始電圧である3.6Vよりも高い4.25Vの還元電位を有することによって、再生溶液のp-タイプレドックス分子で使用されることが不適であることが確認された。
【0098】
(2)DPPD又はDBB適用によるクーロン効率の変化評価(図14
NMC622コインセルを2回充電/放電した後、可逆容量の30%だけ充電した後、NMC電極を分離した。NMC電極を分離した後、(イ)DPPDを活用した再生溶液(0.14M DPPD+0.14M LiTFSI)、(ロ)DBBを活用した再生溶液(0.14M DBB+0.14M LiTFSI)に常温アルゴン大気で0.25時間の間に正極を担持して再生させた。正極のリチウム不足分に対比して10倍に該当する量の再生溶液を使用した。
【0099】
前記条件で処理した各電極を正極として使用し、リチウム金属チップを16mm直径にパンチングして負極として使用し、セルガードを分離膜として使用し、1M LiPF EC/DEC電解質を用いてCR2032タイプの電池を製造した。前記電池をプラス30℃の常温で充電上段電圧4.3V、放電下段電圧2.5Vの範囲で0.1Cの電流密度で充電/放電を行い、リサイクルの有無によるクーロン効率の変化を評価した。
【0100】
図14に示すように、DPPDを活用した溶液に電極を担持した後98.3%だけ回復した最初のクーロン効率を示したが(図14の上側グラフ)、DBBを活用した再生溶液に電極を担持したときは81.3%だけの最初の充電容量を示し(図14の下側グラフ)、これによって、適切な還元電位(3.45V)を有するDPPDは正極を再生させ得るが、十分に低くない還元電位(4.24V)を有するDBBでは活物質を再生させないことが確認された。
【0101】
[8.試験例7:リチウム塩種類に応じる正極再生試験(図15)]
NMC622コインセルを2回充電/放電した後、可逆容量の30%だけ充電した後NMC電極を分離した。NMC電極を分離した後、LiPFとDMPZを活用した再生溶液常温アルゴン大気で0.25時間の間に正極を担持して再生させた。正極のリチウム不足分に対比して10倍に該当する量の再生溶液(0.14M DMPZ+0.14M LiPF)を使用した。
【0102】
前記条件で処理した再生電極を正極として使用し、リチウム金属チップを16mm直径にパンチングして負極として使用し、セルガードを分離膜として使用し、1M LiPF EC/DEC電解質を用いてCR2032タイプの電池を製造した。前記電池をプラス30℃の常温で充電上段電圧4.3V、放電下段電圧2.5Vの範囲で0.1Cの電流密度で充電/放電を行い、リサイクルの有無によるクーロン効率の変化を評価した。
【0103】
図15に示すように、LiPFを活用した再生溶液を用いた場合にも、再組立した後の最初の充電容量が98.2%を示すことを通じて、LiTFSIではない他のリチウム塩を活用する場合にもNMC活物質を成功的に再生させ得ることが確認された。
【0104】
[9.験例8:再生溶液の使用後リサイクル反応検証試験(図17)]
UV-vis absorbance spectroscopyを介して新しい再生溶液、電極を再生させるために使用された溶液、そして、使用された溶液をLiを添加することで復元させた3種類の溶液を分析した。
【0105】
339nm付近のピークは酸化されていない中性のDMPZを示し、400-500nmと600-750nm付近のピークは酸化されたDMPZ+を示し、図17において、中性DMPZだけ存在していた新しい再生溶液が使用された後DMPZ+ピークが示され、Liを通した復元後には、DMPZ+ピークが再び消えるという点から、再生過程で酸化されたDMPZが復元過程で再び中性DMPZに還元されることが分かる。
【0106】
[10.試験例9:再生溶液のリサイクルを介して再生させたNMC622電極の寿命試験(図19)]
可逆容量の30%だけ脱リチウム化した電極をアルゴン大気下で2時間の間にリサイクルされた再生溶液に担持して再生させた(RY-NCM)。リサイクルされた再生溶液は、使用された再生溶液にLiを混合して収得した。さらに、再生溶液における電極劣化の有無を観察するために、DMPZのない0.14M LiTFSI溶液に同じ条件下で30%充電された電極を担持することで、サンプル(DMPZ-free)を準備した。
【0107】
使用された再生溶液を準備するために、NMC622コインセルを2回充電/放電した後、可逆容量の30%だけ充電した後、NMC電極を分離した。NMC電極を分離した後脱離された正極のリチウム不足分に対比して1.5倍に該当する量のDMPZとLiTFSIを含む再生溶液を用いて電極を再生させた後、リサイクル工程のために、使用した再生溶液を回収した。
【0108】
前記条件で再生した電極を正極として使用し、リチウム金属チップを16mmにパンチングして負極として使用し、セルガードを分離膜として使用し、1M LiPF EC/DEC電解質を用いてCR2032タイプの電池を製造した。前記電池をプラス30℃の常温で充電上段電圧4.3V、放電下段電圧2.5Vの範囲で0.1Cの電流密度で2サイクルした後、0.5Cの電流密度で充電/放電を行って溶液のリサイクルの有無による寿命特性を評価した。
【0109】
図19に示すように、復元させた再生溶液を用いて電極を再生させても組立後の最初の充電容量が102.7%だけ回復し、200サイクルした後85.3%の容量保持率を示し、リサイクルされた再生溶液を用いた再生により、寿命にも悪影響がないことが確認された。
【0110】
[11.試験例10:溶媒による再生正極電気化学的特性の評価(図20)]
(1)再生したNMC正極の製造
NMC622コインセルを2回充電/放電してから可逆容量の30%だけ充電した後、NMC電極を分離した。その後、30℃アルゴン大気で再生溶液(0.1M ferrocene+0.1M LiTFSI)に1時間の間に担持して再生させた。再生溶液の溶媒は、ジオキソラン(1、3-dioxolane)、炭酸ジメチル(dimethylCarbonate)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-methylhydrofuran)、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメチルホルムアミド(N、N-dimethylformamide)をそれぞれ使用した。ここで、NMC電極活物質のうち、リチウム不足分に対比して10倍に該当する量のDMPZ及びLiTFSIを含有する再生溶液を使用した。
【0111】
(2)クーロン効率の変化評価
電気角溶媒条件で再生した電極を正極として使用し、リチウム金属チップを16mm直径にパンチングして負極として使用し、セルガード2320を分離膜として使用し、1M LiPF EC/DEC電解質を用いてCR2032タイプの電池を製造した。前記電池をプラス30℃の常温で充電上段電圧4.3V、放電下段電圧2.5Vの範囲で0.1Cの電流密度で充電/放電を行い、リサイクルの有無によるクーロン効率の変化を評価し、その結果を図20に示した。
【0112】
(3)再生された電極を再組立した後、最初の充電容量評価
ジオキソラン(1、3-dioxolane)、炭酸ジメチル(dimethylCarbonate)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-methylhydrofuran)、アセトニトリル(acetonitrile)、ジメチルホルムアミド(N、N-dimethylformamide)の再生溶液を用いて再生させた電極は、それぞれ106.43%、108.80%、105.36%、101.00%、107.20%を再組立してから最初の充電容量を示し、様々な有機溶媒を用いてNMC電極を再生させ得ることが確認された。
【0113】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記に基づいて様々な技術的修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順に実行されたり、及び/又は説明された構成要素が説明された方法とは異なる形態に結合又は組み合せられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。
【0114】
従って、他の実現、他の実施形態、及び特許請求の範囲と均等なものなども後述する請求の範囲の範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
図1】本発明の一実施形態に係る再生溶液とこれを利用した正極再生技術の模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る正極再生技術の原理を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る正極再生技術において、正極リチウム回復反応の電気化学的な検出を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る正極リチウム回復反応を介して正極材格子定数の回復を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る正極リチウム回復反応を通した正極材ニッケル酸化水の回復を示す図である。
図6】リチウム塩濃度及びp-タイプレドックス分子の有無による再生正極電気化学的特性を評価した結果を示す図である。
図7】廃正極材リチウム組成による再生正極電気化学的特性を評価した結果を示す図である。
図8】廃正極材のリチウム組成(高度で脱離された状態)による再生正極電気化学的特性を評価した結果を示す図である。
図9】乾燥大気下における溶媒の種類に応じる再生正極電気化学的特性を評価した結果を示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係る正極リチウム回復反応を介して再生した正極の寿命特性を評価した結果を示す図である。
図11】正極再生反応時間及び温度によるリチウム回復程度を分析した図である。
図12】本発明の一実施形態に係る正極リチウム回復反応を介して再生されたNMC811正極に対する寿命特性評価の結果を示した図面である。
図13】DPPD又はDBBをp-タイプレドックス分子で適用して酸化還元電圧を分析した結果を示す図である。
図14】DPPD又はDBBをp-タイプレドックス分子で適用してクーロン効率の変化を評価した結果を示す図である。
図15】LiPFを再生溶液のリチウム塩として適用してクーロン効率の変化を評価した結果を示す図である。
図16】本発明の一実施形態に係る再生溶液の使用後リサイクル工程模式図を示す図である。
図17】再生溶液の使用後リサイクル反応を検証した結果を示す図である。
図18】本発明の一実施形態に係る再生溶液を活用した廃正極材の再生と、その後の再生溶液のリサイクル、及びそれを活用した正極材の再生の循環環を示す図である。
図19】リサイクルされた再生溶液を用いて再生させたNMC622電極の寿命試験結果を示す図である。
図20】フェロセン基盤の再生溶液を様々な溶媒(ジオキソラン(1、3-dioxolane;DOL)、炭酸ジメチル(dimethylCarbonate;DMC)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-methylhydrofuran;2meTHF)、アセトニトリル(acetonitrile;ACN)、ジメチルホルムアミド(N、N-dimethylformamide;DMF))で製造し、これを活用して再生したNMC622電極の電気化学的特性を評価した結果を示す図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20