(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180290
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電気機器の端子構造
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20241219BHJP
H01R 4/58 20060101ALI20241219BHJP
H01R 4/34 20060101ALI20241219BHJP
H01R 9/22 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H02K5/22
H01R4/58 C
H01R4/34
H01R9/22
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024072590
(22)【出願日】2024-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2023099461
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004303
【氏名又は名称】弁理士法人三協国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 学
【テーマコード(参考)】
5E012
5E086
5H605
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E086CC46
5E086LL06
5E086LL17
5H605AA00
5H605BB05
5H605CC06
5H605EC07
5H605EC08
5H605GG06
(57)【要約】
【課題】筐体内に外部機器との電気接続のための複数の端子を備えながら、筐体のサイズを小型化することができる電気機器の端子構造を提供する。
【解決手段】電力変換装置100は、バスバー152~154とケース101とを備える。ケース101は、工具挿通用開口部101cを有する。バスバー152~154の各接続部152a,153a,154aは、接続用のボルトを通す通し孔152b,153b,154bを有する。接続部152a,153a,154aは、左右方向の一方側から見る場合に、各法線Ax152,Ax153,Ax154が工具挿通用開口部101cを箇所P12~P14を通り通過する。上下方向における法線Ax152と接合部152aの接合面との交点と法線Ax153と接合部153aの接合面との交点との間の距離をL7とするとき、箇所P12と箇所P13との間の距離L11は、距離L7よりも短い。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣り合う第1端子および第2端子を少なくとも含み、それぞれが外部機器と電気接続されるとともに、所定の基準面から当該基準面に直交する方向に延びるように配設された接続部を有する複数の端子と、
前記複数の端子を収容するとともに、前記複数の端子への電気接続のための工具が挿通可能な工具挿通用開口部を外壁の一部領域に有する筐体と、
を備え、
前記複数の端子におけるそれぞれの前記接続部は、平面である接続面と、前記電気接続のためのボルトが挿通される通し孔と、を有し、
前記第1端子の前記接続部における前記通し孔の径方向中心を通るとともに、前記第1端子の前記接続部における前記接続面の法線方向に延びる第1法線と、前記第2端子の前記接続部における前記通し孔の径方向中心を通るとともに、前記第2端子の前記接続部における前記接続面の法線方向に延びる第2法線と、を引く場合に、
前記基準面に直交する方向から見るときに、当該第1端子の前記接続部と前記第2端子の前記接続部とは、前記第1法線が前記工具挿通用開口部を通過する箇所と、前記第2法線が前記工具挿通用開口部を通過する箇所との間の距離が、前記第1端子の前記接続部における前記接続面と前記第1法線とが交差する箇所と、前記第2端子の前記接続部における前記接続面と前記第2法線とが交差する箇所との間の距離よりも短くなるように配設されている、
電気機器の端子構造。
【請求項2】
前記第1端子の前記接続部の前記接続面に沿う第1仮想面と、前記第2端子の前記接続部の前記接続面に沿う第2仮想面と、を仮定し、
前記第1仮想面と前記第1法線とが交差する箇所から前記外壁の一部領域までの最短距離を第1距離、前記第2仮想面と前記第2法線とが交差する箇所から前記外壁の一部領域までの最短距離を第2距離とする場合に、
前記第1仮想面と前記第2仮想面とが交差するとともに、前記第1仮想面と前記第2仮想面との交線に対して直交する方向に前記基準面が規定され、
前記第1端子の前記接続部と前記第2端子の前記接続部とは、前記第1仮想面と前記第2仮想面とが鈍角をもって交差し、且つ、前記基準面に直交する方向から見る場合に、前記第1法線と前記第2法線とが前記工具挿通用開口部を通過するとともに、前記第1距離および前記第2距離の内の短い方の距離の半分となる位置に対して、前記第1端子および前記第2端子の各接続部が配置されたのとは反対側で前記第1法線と前記第2法線とが交差するように配設されている、
請求項1に記載の電気機器の端子構造。
【請求項3】
前記第1端子の前記接続部と前記第2端子の前記接続部とは、前記基準面に直交する方向から見る場合に、前記第1法線と前記第2法線とが前記筐体の外方で交差するように配設されている、
請求項2に記載の電気機器の端子構造。
【請求項4】
前記複数の端子は、隣り合う前記接続部同士の隙間が絶縁距離以上となるように配設されている、
請求項2に記載の電気機器の端子構造。
【請求項5】
前記基準面内における。前記第1距離および前記第2距離が規定される方向に対して直交する方向において、前記工具挿通用開口部は、当該工具挿通用開口部の開口長さが、前記複数の端子における前記接続部の配列長さよりも短くなるように形成されている、
請求項2に記載の電気機器の端子構造。
【請求項6】
前記電気機器は、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置であり、
前記外部機器は、3相交流電力の供給を受けて回転する3相交流モータであり、
前記複数の端子は、前記3相交流モータへの電力供給路中に配されるとともに、前記第1端子および前記第2端子と、前記第2端子の前記接続部に隣り合うように前記接続部が配設された第3端子とで構成されており、
前記第3端子の前記接続部の前記接続面に沿う第3仮想面と、前記第3端子の前記接続部における前記通し孔の径方向中心を通るとともに、前記第3端子の前記接続部における前記接続面の法線方向に延びる第3法線とを引き、
前記第3仮想面と前記第3法線とが交差する箇所から前記外壁の一部領域までの最短距離を第3距離とする場合に、
前記第3端子の前記接続部は、前記第2仮想面と前記第3仮想面とが鈍角をもって交差し、且つ、前記基準面に直交する方向から見る場合に、前記第2法線と前記第3法線とが前記工具挿通用開口部を通過するとともに、前記第2距離および前記第3距離の内の短い方の距離の半分となる位置に対して、前記第2端子および前記第3端子の各接続部が配置されたのとは反対側で法線同士が交差するように配設されている、
請求項2から請求項5の何れかに記載の電気機器の端子構造。
【請求項7】
前記第2端子の前記接続部と前記第3端子の前記接続部とは、前記基準面に直交する方向から見る場合に、前記第2法線と前記第3法線とが前記筐体の外方で交差するように配設されている、
請求項6に記載の電気機器の端子構造。
【請求項8】
前記基準面に直交する方向から見る場合に、前記工具挿通用開口部における前記第1法線が通過する箇所と前記第2法線が通過する箇所とを結ぶ方向を第1方向とし、前記基準面上における前記第1方向に直交する方向を第2方向とする場合に、
前記第1端子の前記接続部における前記通し孔の径方向中心を通るとともに、前記第2方向に延びる第1仮想線と、前記第2端子の前記接続部における前記通し孔の径方向中心を通るとともに、前記第2方向に延びる第2仮想線とを引くとき、前記第1法線が前記工具挿通用開口部を通過する箇所、および前記第2法線が前記工具挿通用開口部を通過する箇所は、前記第1方向における前記第1仮想線と前記第2仮想線との間の領域に位置する、
請求項1に記載の電気機器の端子構造。
【請求項9】
前記モータは、車両のパワートレインルームに搭載された、前記車両の走行用のモータであるとともに、外殻としてのモータハウジングを有し、
前記パワートレインルームには、前記モータに隣接して配置されるとともに、外殻としてのアクスルハウジングを有する変速機が搭載されており、
前記筐体は、前記モータハウジングおよび前記アクスルハウジングの少なくとも一方のハウジング上で、前記工具挿通用開口部が前記車両において想定される衝突荷重の入力方向側を向くように配設されているとともに、当該筐体の前記入力方向側の端部が前記モータハウジングまたは前記アクスルハウジングと面一あるいはそれよりも前記入力方向とは反対側に位置するように配設されている、
請求項5に記載の電気機器の端子構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の端子構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、モータを走行用の駆動源として備える車両が増加している。このような車両では、モータに電力供給するための高電圧バッテリを搭載している。また、車両には、バッテリから供給された直流電力を交流電力に変換するための電力変換装置も搭載されている。
【0003】
電力変換装置とモータやバッテリとは、電力変換装置の端子に対してモータやバッテリから延びる配線を接続することにより、互いの間の電力供給路が形成される。特許文献1,2には、電力変換装置とモータとの接続構造が開示されている。
【0004】
特許文献1には、モータハウジングの上に電力変換装置が載置され、電力変換装置の配線がコネクタアセンブリを介してモータ配線に接続されてなる構成が開示されている。特許文献1のコネクタアセンブリは、モータハウジングの周面に沿って配設された3つの端子を有する。
【0005】
特許文献2には、モータのステータおよびロータを収容するハウジングに電力変換装置も収容されてなる構成が開示されている。特許文献2のハウジングには、電力変換装置が収容される側に大開口が設けられている。この開口は、ハウジング内に電力変換装置を収容するとともに、モータの端子に電力変換装置の配線を接続する際の工具挿通のために用いられる。ハウジングの大開口は、カバーによって塞がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2022-519384号公報
【特許文献2】特開2021-52499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1には、電力変換装置およびモータから延びる配線や、コネクタアセンブリを覆うケースや蓋については明示されていないが、配線等に外部から物が接触するのを避けるためにケース等で覆われることになる。この場合に、
図15に示すように、コネクタアセンブリの各端子902~904は、モータハウジング900の外周面に沿うように配設されているため、各端子902~904を覆うケース905に大きな開口部905aおよび蓋906を備える必要がある。即ち、各端子902~904にモータの配線を接続しようとする場合には、工具910を用いてボルトBLTで互いを締結することが考えられる。この場合に、各端子902~904は、モータハウジング900の周面に沿って配設されているので、接続部902a,903a,904aに沿う仮想面L902,L903,L904を引く場合に、隣り合う仮想面L902,L903,L904同士のなす角度は180°よりも大きくなる。このため、各仮想面L902,L903,L904に対して直交するとともに、締結孔902b,903b,904bの中心を通る中心線が、ケース905の内方から開口部905aの側に向けて放射状に発散することとなる。よって、各端子902~904にモータの配線を接続する際の開口部905aを大きくとっておくことが必要となってしまう。
【0008】
上記のように工具を挿通するために大きな開口部905aが必要となる場合には、ケース905および蓋906のサイズが大きなものとすることが必要となる。このような点は、電力変換装置をはじめとする種々の電気機器の占有スペースを小さくしたい、との潜在的な要求に反するものとなってしまう。
【0009】
なお、上記では、車両における電力変換装置を電気機器の一例としたが、他の電気機器においても同様の問題が指摘される。
【0010】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、筐体内に外部機器との電気接続のための複数の端子を備えながら、筐体のサイズを小型化することができる電気機器の端子構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る電気機器の端子構造は、複数の端子と、筐体と、を構成要素として備える。前記複数の端子は、隣り合う第1端子および第2端子を少なくとも含み、それぞれが外部機器と電気接続されるとともに、所定の基準面から当該基準面に直交する方向に延びるように配設された接続部を有する。前記筐体は、前記複数の端子を収容するとともに、前記複数の端子への電気接続のための工具が挿通可能な工具挿通用開口部を外壁の一部領域に有する。
【0012】
本態様に係る電気機器の端子構造において、前記複数の端子におけるそれぞれの前記接続部は、平面である接続面と、前記電気接続のためのボルトが挿通される通し孔と、を有する。ここで、次のような第1法線および第2法線を仮定する。前記第1法線は、前記第1端子の前記接続部における前記通し孔の径方向中心を通るとともに、前記第1端子の前記接続部における前記接続面の法線方向に延びる仮想線である。前記第2法線は、前記第2端子の前記接続部における前記通し孔の径方向中心を通るとともに、前記第2端子の前記接続部における前記接続面の法線方向に延びる仮想線である。
【0013】
上記の場合において、前記基準面に直交する方向から見るときに、当該第1端子の前記接続部と前記第2端子の前記接続部とは、前記第1法線が前記工具挿通用開口部を通過する箇所と、前記第2法線が前記工具挿通用開口部を通過する箇所との間の距離が、前記第1端子の前記接続部における前記接続面と前記第1法線とが交差する箇所と、前記第2端子の前記接続部における前記接続面と前記第2法線とが交差する箇所との間の距離よりも短くなるように配設されている。
【0014】
上記態様に係る電気機器の端子構造では、第1法線および第2法線がそれぞれ工具挿通用開口部を通過する箇所同士の距離の方が、第1端子および第2端子のそれぞれの接続面と対応する各法線(第1法線、第2法線)との交差箇所同士の距離よりも短くなるように、第1端子の接続部および第2端子の接続部が配設されている。これより、上記態様に係る電気機器の端子構造では、
図15のように外方に向けて放射状に拡散するような場合に比べて、筐体における工具挿通用開口部のサイズを小型化することができ、筐体のサイズの小型化を図ることができる。
【0015】
上記態様に係る電気機器の端子構造において、次のような第1仮想面および第2仮想面を仮定する。前記第1仮想面は、前記第1端子の前記接続部の前記接続面に沿う仮想面である。前記第2仮想面は、前記第2端子の前記接続部の前記接続面に沿う仮想面である。ここで、前記第1仮想面と前記第1法線とが交差する箇所から前記外壁の一部領域までの最短距離を第1距離、前記第2仮想面と前記第2法線とが交差する箇所から前記外壁の一部領域までの最短距離を第2距離とする。
【0016】
上記の場合において、前記第1仮想面と前記第2仮想面とが交差するとともに、前記第1仮想面と前記第2仮想面との交線に対して直交する方向に前記基準面が規定されてもよい。また、前記第1端子の前記接続部と前記第2端子の前記接続部とは、前記第1仮想面と前記第2仮想面とが鈍角をもって交差し、且つ、前記基準面に直交する方向から見る場合に、前記第1法線と前記第2法線とが前記工具挿通用開口部を通過するように配設されてもよい。さらに、前記第1端子の前記接続部と前記第2端子の前記接続部とは、前記第1距離および前記第2距離の内の短い方の距離の半分となる位置に対して、前記第1端子および前記第2端子の各接続部が配置されたのとは反対側で前記第1法線と前記第2法線とが交差するように配設されてもよい。
【0017】
上記態様に係る電気機器の端子構造では、第1端子の接続部(第1接続部)と第2端子の接続部(第2接続部)とが、互いの接続面に沿う仮想面(第1仮想面、第2仮想面)同士が鈍角をもって交差するように配設されているので、仮想面同士が平行となるように全ての端子の接続部が配設されている場合に比べて、第1接続部および第2接続部の少なくとも一方を傾けた分だけ複数の端子の接続部が占有する空間を小さくすることができる。よって、上記態様に係る電気機器の端子構造では、複数の端子を収容する筐体のサイズを小型化するのにさらに有効である。
【0018】
また、上記態様に係る電気機器の端子構造では、基準面に直交する方向から見る場合に、第1接続部と第2接続部とが、互いの法線同士が上記半分の位置に対して、前記第1端子および前記第2端子の各接続部が配置されたのとは反対側で交差するように配設されているので、複数の端子の接続部の全ての法線が互いに平行な場合や、
図15のように外方に向けて放射状に拡散するような場合に比べて、筐体における工具挿通用開口部のサイズを小型化することができる。このため、筐体のサイズの小型化を図るのにさらに有効である。
【0019】
上記態様に係る電気機器の端子構造において、前記第1端子の前記接続部と前記第2端子の前記接続部とは、前記基準面に直交する方向から見る場合に、前記第1法線と前記第2法線とが前記筐体の外方で交差するように配設されてもよい。
【0020】
上記態様に係る電気機器の端子構造では、基準面に直交する方向から見る場合の第1法線と第2法線との交点が筐体の外方(工具挿通用開口部よりも外方)に位置するので、交点が筐体の内方に位置する場合よりも、第1端子および第2端子と工具挿通用開口部との間の距離を短くしながら、筐体における工具挿通用開口部のサイズを小型化することができる。
【0021】
上記態様に係る電気機器の端子構造において、前記複数の端子は、隣り合う前記接続部同士の隙間が絶縁距離以上となるように配設されてもよい。
【0022】
上記態様に係る電気機器の端子構造では、隣り合う接続部同士の隙間が絶縁距離以上に設定されているので、接続部同士の間にリブなどの絶縁体を介挿させなくてもよい。このため、第1仮想面と第2仮想面とが工具挿通用開口部側から見て窪んだ鈍角に交差していても各接続部まで工具を容易に挿通することができるとともに、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0023】
上記態様に係る電気機器の端子構造において、前記基準面内における。前記第1距離および前記第2距離が規定される方向に対して直交する方向において、前記工具挿通用開口部は、当該工具挿通用開口部の開口長さが、前記複数の端子における前記接続部の配列長さよりも短くなるように形成されてもよい。
【0024】
上記態様に係る電気機器の端子構造では、筐体における工具挿通用開口部の開口長さが、同じ方向(上記第1距離および第2距離が規定される方向に対して直交する方向)での複数の端子における接続部の配列長さよりも短くなるように設定されているので、狭小な領域に工具を挿通させるための開口部を設けることができる。よって、電気機器の外形サイズを小さく抑えるのに有効である。
【0025】
上記態様に係る電気機器の端子構造において、前記電気機器は、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置であってもよく、前記外部機器は、3相交流電力の供給を受けて回転する3相交流モータであってもよい。この場合に、前記複数の端子は、前記3相交流モータへの電力供給路中に配されるとともに、前記第1端子および前記第2端子と、前記第2端子の前記接続部に隣り合うように前記接続部が配設された第3端子とで構成されてもよい。また、次のような第3仮想面および第3法線を想定する。前記第3仮想面は、前記第3端子の前記接続部の前記接続面に沿う仮想面である。前記第3法線は、前記第3端子の前記接続部における前記通し孔の径方向中心を通るとともに、前記第3端子の前記接続部における前記接続面の法線方向に延びる仮想線である。ここで、前記第3仮想面と前記第3法線とが交差する箇所から前記外壁の一部領域までの最短距離を第3距離とする。
【0026】
上記の場合において、前記第3端子の前記接続部は、前記第2仮想面と前記第3仮想面とが鈍角をもって交差し、且つ、前記基準面に直交する方向から見る場合に、前記第2法線と前記第3法線とが前記工具挿通用開口部を通過するように配設されてよい。また、前記第3端子の前記接続部は、前記第2距離および前記第3距離の内の短い方の距離の半分となる位置に対して、前記第2端子および前記第3端子の各接続部が配置されたのとは反対側で法線同士が交差するように配設されてよい。
【0027】
上記態様に係る電気機器の端子構造では、当該電気機器の例として電力変換装置が適用され、外部機器の例として3相交流モータが適用される。そして、この場合において、第3端子についても接続部が第2接続部に対して上記のような形態で配設されている。よって、3つの接続部が筐体内に収容された場合においても、筐体の外形サイズの小型化を図ることができる。
【0028】
上記態様に係る電気機器の端子構造において、前記第2端子の前記接続部と前記第3端子の前記接続部とは、前記基準面に直交する方向から見る場合に、前記第2法線と前記第3法線とが前記筐体の外方で交差する姿勢で配設されてもよい。
【0029】
上記態様に係る電気機器の端子構造では、基準面に直交する方向から見る場合の第2法線と第3法線との交点が筐体の外方(工具挿通用開口部よりも外方)に位置するので、交点が筐体の内方に位置する場合よりも、第3端子と工具挿通用開口部との間の距離を短くしながら、工具挿通用開口部のサイズを小型化することができる。
【0030】
上記態様に係る電気機器の端子構造において、前記基準面に直交する方向から見る場合に、前記工具挿通用開口部における前記第1法線が通過する箇所と前記第2法線が通過する箇所とを結ぶ方向を第1方向とし、前記基準面内における前記第1方向に直交する方向を第2方向とする。また、次のような第1仮想線および第2仮想線を仮定する。前記第1仮想線は、前記第1端子の前記接続部における前記通し孔の径方向中心を通るとともに、前記第2方向に延びる仮想線である。前記第2仮想線は、前記第2端子の前記接続部における前記通し孔の径方向中心を通るとともに、前記第2方向に延びる仮想線である。
【0031】
上記の場合において、前記第1法線が前記工具挿通用開口部を通過する箇所、および前記第2法線が前記工具挿通用開口部を通過する箇所は、前記第1方向における前記第1仮想線と前記第2仮想線との間の領域に位置してよい。
【0032】
上記態様に係る電気機器の端子構造では、第1法線および第2法線のそれぞれが工具挿通用開口部を通過する箇所が、第1方向における第1仮想線と第2仮想線との間の領域に位置するように、第1端子および第2端子の各接続部が配設されている。よって、上記態様に係る電気機器の端子構造では、
図15のように外方に向けて放射状に拡散するような場合に比べて、筐体における工具挿通用開口部のサイズを小型化することができ、筐体のサイズについても小型化を図ることができる。
【0033】
上記態様に係る電気機器の端子構造において、前記モータは、車両のパワートレインルームに搭載された、前記車両の走行用のモータであるとともに、外殻としてのモータハウジングを有してもよい。また、前記パワートレインルームには、前記モータに隣接して配置されるとともに、外殻としてのアクスルハウジングを有する変速機が搭載されてもよい。この場合に、前記筐体は、前記モータハウジングおよび前記アクスルハウジングの少なくとも一方のハウジング上で、前記工具挿通用開口部が前記車両において想定される衝突荷重の入力方向側を向くように配設されているとともに、当該筐体の前記入力方向側の端部が前記モータハウジングまたは前記アクスルハウジングと面一あるいはそれよりも前記入力方向とは反対側に位置するように配設されてもよい。
【0034】
上記態様に係る電気機器の端子構造では、当該電気機器である電力変換装置が車両のパワートレインルームに搭載されているとともに、工具挿通用開口部が車両に対する想定される荷重の入力方向を向くように電力変換装置が配置されている。また、電力変換装置の筐体は、上記入力方向の端部がモータハウジングまたはアクスルハウジングに対して面一かあるいはそれよりも後退した位置となるように配置されている。
【0035】
よって、上記態様に係る電気機器の端子構造では、仮に車両に対して衝突荷重が入力された場合にも、電力変換装置に対して集中的に荷重が入力されることがなく、高い安全性を確保することができる。
【発明の効果】
【0036】
上記の各態様に係る電気機器の端子構造では、筐体内に外部機器との電気接続のための複数の端子を備えながら、筐体のサイズを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電気機器の端子構造が適用された車両の構成を示す模式図である。
【
図2】電力変換装置の配置形態を示す正面図である。
【
図3】電力変換装置の配置形態を示す側面図である。
【
図4】電力変換装置の外観構成を示す平面図である。
【
図5】ACコネクタ部における内部構成を示す斜視図である。
【
図6】ACコネクタ部における内部構成を示す展開斜視図である。
【
図7】
図5および
図6のVII―VII線断面を示す断面図であって、ACバスバーにおける各バスバーの接続部の配設形態を示す断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る電気機器の端子構造における、ACコネクタ部の内部構成を示す斜視図である。
【
図9】
図8のIX-IX線断面を示す断面図であって、各バスバーの接続部の配設構造を示す断面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る電気機器の端子構造における、ACコネクタ部の内部構成を示す斜視図である。
【
図11】
図10のXI-XI線断面を示す断面図であって、各バスバーの接続部の配設構造を示す断面図である。
【
図12】第1の実施例における接続部の配置形態を示す模式図である。
【
図13】第2の実施例における接続部の配置形態を示す模式図である。
【
図14】比較例に係るACコネクタ部での各バスバーの接続部の配設形態を示す断面図である。
【
図15】従来技術に係る電気機器における、各バスバーの接続部の配設構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明を例示的に示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0039】
[第1実施形態]
1.車両Vの構成
本発明の第1実施形態に係る電気機器の端子構造が適用された車両Vの構成について、
図1を用いて説明する。なお、以下では、車両Vの前後方向を単に「前後方向」と記載し、車両Vの左右方向(車幅方向)を単に「左右方向」と記載し、車両Vの上下方向を単に「上下方向」と記載する。
【0040】
図1に示すように、車両Vは、パワートレインPTと、電力変換装置100と、高電圧バッテリ200と、低電圧バッテリ300とが搭載されている。
【0041】
車両Vは、所謂、ハイブリッド電気自動車(HEV)であり、車両Vには、走行用の駆動源、つまり車両V(車輪W)の駆動源としてそれぞれ機能するエンジンEとモータMとが搭載されている。パワートレインPTは、エンジンEとモータMとを含む。パワートレインPTは、エンジンEおよびモータMに加えて、変速機TMおよびデファレンシャルギアDFを備える。
【0042】
モータMは、3相交流電力の供給を受けて回転する3相交流モータであって、出力軸と、出力軸の周囲に配された永久磁石を有するロータと、ロータの外周に配設され、複数のティースのそれぞれにコイルが巻回されてなるステータとを備える。複数のコイルは、U相のコイル、V相のコイル、およびW相のコイルで構成され、各相のコイルに対して互いに異なる電流が供給される。
【0043】
変速機TMは、モータMに接続されており、モータMから入力された回転を変速して出力する。デファレンシャルギアDFは、変速機TMから出力された回転をドライブシャフトS等を介して車輪Wに伝達する。
【0044】
本実施形態では、一例としてパラレル式のハイブリッド電気自動車を車両Vとし、モータMのみの駆動力による走行、モータMとエンジンEの双方の駆動力による走行、およびエンジンEのみの駆動力による走行が可能である。なお、車両Vは減速回生が可能であり、モータMは車両Vの減速時に車輪Wからの伝達力によって発電する。
【0045】
高電圧バッテリ200は、モータMとの間で電力の授受を行うバッテリである。モータMが走行用の駆動源として駆動する場合、高電圧バッテリ200はモータMに給電する。一方、車両Vの減速時にモータMが発電機として駆動する場合、高電圧バッテリ200はモータMによって生成された電力を蓄電する。
【0046】
電力変換装置100は、高電圧バッテリ200からの直流電力を交流電力に変換してモータMに供給する。具体的に、電力変換装置100は、直流電力を3相交流電力に変換する。
【0047】
また、電力変換装置100は、車両Vの減速時にモータMが発電機として駆動する場合、モータMにより生成された交流電力を直流電力に変換して高電圧バッテリ200に供給する。
【0048】
低電圧バッテリ300は、車両Vの各部に設けられた電装品に給電するためのバッテリである。低電圧バッテリ300は、高電圧バッテリ200よりも公称電圧が低いバッテリである。
【0049】
なお、高電圧バッテリ200は、例えば、公称電圧が24V以上のリチウムイオンバッテリやニッケル水素バッテリであるのに対して、低電圧バッテリ300は、例えば、公称電圧が12V、あるいは24Vの鉛バッテリやリチウムイオンバッテリである。
【0050】
本実施形態では、パワートレインPT、電力変換装置100、および低電圧バッテリ300は、車両Vの前部に区画されたパワートレインルームR1内に収容されている。高電圧バッテリ200は、パワートレインルームR1の後方に区画された車室R2の床下などに搭載されている。
【0051】
なお、車両Vには、モータMおよびエンジンEを含むパワートレインPTを統括的に制御するコントローラであるPCM(パワートレイン・コントロール・モジュール)400も搭載されている。
【0052】
2.電力変換装置100の配置
パワートレインルームR1内における電力変換装置100の配置について、
図2および
図3を用いて説明する。
図2は、電力変換装置100およびその周辺機器を車両Vの前方側から見た正面図である。
図3は、電力変換装置100とモータMとを車両Vの左方から見た側面図である。
【0053】
図2に示すように、パワートレインルームR1において、エンジンE、モータM、変速機TMの順に右方から配置されている。エンジンEは、エンジン下部501と、エンジン下部501の上方に配されたエンジン上部502とを有する。モータMは、エンジンEのエンジン下部501に対して左方に隣接して配置されている。
【0054】
モータMは、外殻として第1モータハウジング511と第2モータハウジング521とを有する。第1モータハウジング511はエンジン下部501の左側外面に接合され、第2モータハウジング521は第1モータハウジング511の左側に隙間なく接続されている。
【0055】
変速機TMは、外殻としてアクスルハウジング531を有する。アクスルハウジング531は、右方から左方へと向けて断面サイズが漸減する台錐形状を有する。
【0056】
電力変換装置100は、車両Vの左右方向において、第2モータハウジング521の上方からアクスルハウジング531の上方にかけての部分に配置されている。
図3に示すように、モータMおよび電力変換装置100を左方から見た場合に、当該電力変換装置100のケース(筐体)101の下面101dは、一部が第2モータハウジング521に当接し、残部が第2モータハウジング521から上方に離間している。
【0057】
電力変換装置100は、車両Vの前後方向における前部にACコネクタ部150を有する。ACコネクタ部150は、モータMとの接続のためのバスバー(端子)が内蔵されており、電力変換装置100の他の部分よりもケース101の下面101dが下方に位置するように形成されている。なお、ケース101の前方側には、蓋155が取り付けられている。蓋155は、ケース101の前部に設けられた工具挿通用開口部を塞ぐ。工具挿通用開口部については、後述する。
【0058】
ここで、モータMにおける第1モータハウジング511の前端部511aに当接し、上下方向に延びる仮想面Lを仮定する場合に、電力変換装置100におけるACコネクタ部150の前端部150a(蓋155の前面)は、仮想面Lに合致するか、仮想面Lよりも後方側に位置する。
【0059】
なお、ケース101は、上方が開口されたケース本体101aと、ケース本体101aの開口を塞ぐケース蓋101bとを備える。そして、ケース101の上面101eからは、上方に向けてPCMコネクタ141が突出されている。PCM400(
図1を参照。)は、PCMコネクタ141を介して電力変換装置100に接続される。
【0060】
3.電力変換装置100の構成
電力変換装置100の構成について、
図4を用いて説明する。
図4は、電力変換装置100を車両Vの上方から平面視した平面図である。
【0061】
図4に示すように、電力変換装置100は、ケース101におけるケース本体101aの内部に収容された、DCコネクタ部110、ノイズ除去部120、平滑部130、パワーモジュール部140、およびACコネクタ部150を有する。DCコネクタ部110、ノイズ除去部120、平滑部130、パワーモジュール部140、およびACコネクタ部150は、車両Vの前後方向における後方側から前方側へと順に配設されている。
【0062】
ここで、ACコネクタ部150は、左右方向における中心線CL2が、電力変換装置100におけるACコネクタ部150を除く他の部分の中心線CL1に対して右方にオフセット配置されている(矢印A1)。即ち、
図2に示したように、ACコネクタ部150は、その右側外面150bがモータMの第1モータハウジング511に対して隙間なく当接されるように、中心線CL2が右方にオフセット配置されている。
【0063】
DCコネクタ部110は、高電圧バッテリ200との接続に供される複数の端子を有する。ノイズ除去部120は、電力変換装置100からの高周波成分のノイズの漏洩を防止するための機能部であって、例えば、フェライトコアを含み構成されている。ノイズ除去部120は、DCコネクタ部110と平滑部130との間の電力流通路中に挿設されている。
【0064】
平滑部130は、直流電力を平滑化する機能部であって、平滑コンデンサ(一例として、フィルムコンデンサ)を含み構成されている。平滑部130は、ノイズ除去部120とパワーモジュール部140との間の電力流通路中に挿設されている。
【0065】
パワーモジュール部140は、複数のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を有するモジュール本体と、モジュール本体に接続され、モジュール本体におけるIGBT等を電気的に制御する制御回路基板とを有する。PCMコネクタ141は、制御回路基板に接続されている。そして、制御回路基板に形成された制御部は、PCM400からの指令を受けてモジュール本体のIGBTを含む回路を制御して、直流電力と交流電力の変換量などを変更する。
【0066】
なお、パワーモジュール部140において、モジュール本体のIGBTは、パワー半導体であって、U相、V相、W相のそれぞれに対応するように設けられている。
【0067】
ここで、本実施形態では、モジュール本体が複数のIGBTを有することとしているが、パワーモジュールはIGBTに限定されるものではない。例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等、既知のパワーモジュールを採用することも可能である。
【0068】
パワーモジュール部140のモジュール本体は、平滑部130とACコネクタ部150との間の電力流通路中に挿設されている。
【0069】
ACコネクタ部150は、モータMとの電気接続に供される配線(バスバー)を有する。電力変換装置100は、ACコネクタ部150を介してモータMに向けて交流電力を送出する。また、車両Vの減速時にモータMが発電機として機能する場合に、電力変換装置100は、ACコネクタ部150を介してモータMから交流電力を受け入れる。
【0070】
モータMに対して走行のための交流電力を供給する場合には、高電圧バッテリ200から出力された直流電力が、DCコネクタ部110を介してノイズ除去部120に入力され、ノイズ除去部120で高周波成分のノイズ除去がなされる。ノイズ除去部120を通過した直流電力は、平滑部130で平滑化され、パワーモジュール部140へと送出される。
【0071】
パワーモジュール部140では、PCM400からの指令に従って、3相交流電力へと変換される。そして、変換された3相交流電力は、ACコネクタ部150を介してモータMへと送出される。
【0072】
逆に、車両Vの減速時にモータMが発電機として機能する場合には、モータMで生成された3相交流電力がACコネクタ部150を介してパワーモジュール部140へと入力される。そして、入力された交流電力は、パワーモジュール部140で直流電力へと変換される。変換後の直流電力は、平滑部130、ノイズ除去部120、およびDCコネクタ部110を介して高電圧バッテリ200に送出される。これにより、高電圧バッテリ200が充電される。
【0073】
なお、電力変換装置100と高電圧バッテリ200との間の電力流通路中には、DC-DCコンバータが挿設されている。
【0074】
4.ACコネクタ部150の内部構成
ACコネクタ部150における内部構成について、
図5から
図7を用いて説明する。
図5は、ACコネクタ部150における内部構成を示す斜視図であり、
図6は、その展開斜視図である。また、
図7は、バスバー152~154の接続部152a,153a,154aの配置形態と、ケース101とを示す模式断面図である。
【0075】
図5および
図6に示すように、ACコネクタ部150は、ACバスバー151を有する。ACバスバー151は、U相バスバー(第1端子)152と、V相バスバー(第2端子)153と、W相バスバー(第3端子)154との組み合わせで構成されている。各バスバー152~154は、金属板材を用いて形成された端子であって、その端部に接続部152a,153a,154aを有する。
図6に示すように、各接続部152a,153a,154aには、ボルトBLTの挿通を許す通し孔152b,153b,154bが設けられている。
【0076】
U相バスバー152、V相バスバー153、およびW相バスバー154のそれぞれは、端子台600のコネクタ部601におけるU相配線602、V相配線603、およびW相配線604にボルトBLTで接続される。
【0077】
端子台600は、板状のベース部621と、ベース部621の一方の主面から突設された突状部622とを備える。端子台600の突状部622は、電力変換装置100のケース101に開けられた窓部から内方に挿入される。
【0078】
U相配線602、V相配線603、およびW相配線604は、互いの間に絶縁距離をあけた状態で突状部622の一方の主面上に配線されている。そして、各配線602~604の先端部分には、ボルトBLTの挿通を許す通し孔が開けられているとともに、突状部622の各対応部分にはボルトBLTが螺合する締結孔(雌ネジ孔)602a,603a,604aが形成されている。
【0079】
なお、端子台600には、モータMのモータコイルから延びるモータ側配線611も接続されている。モータ側配線611は、突状部622のU相配線602に電気接続されたU相接続配線612と、突状部622のV相配線603に電気接続されたV相接続配線613と、突状部622のW相配線604に電気接続されたW相接続配線614と、の組み合わせで構成されている。
【0080】
次に、
図7に示すように、各バスバー152~154における接続部152a,153a,154aを車両Vの左方から側面視する場合に、接続部152a,153a,154aは、同一平面上に位置しない。具体的に、
図5および
図7に示すように、接続部152aの接続面に沿う仮想面(第1仮想面)L152、接続部153aの接続面に沿う仮想面(第2仮想面)L153、および接続部154aの接続面に沿う仮想面(第3仮想面)L154をそれぞれ仮定する。
【0081】
ここで、接続部152a,153a,154aの各接続面は、
図7に示す側方から見た断面を基準面としたとき、
図7の紙面に直交する奥行き方向に延びるとともに、蓋155側を向く平面である。
【0082】
図5および
図7に示すように、仮想面L152と仮想面L153とは交線IL1で交差し、仮想面L153と仮想面L154とは交線IL2で交差する。上記の基準面は、交線IL1,IL2に対して直交する面である。
【0083】
なお、基準面については、第1および第2の両接続部と工具挿通用開口部を通り、第1および第2の両接続部の接続面と直交するのであれば、
図7に示す側方から見た断面に限らず任意の向きに設定することが可能である。
【0084】
図7に示すように、仮想面L152と仮想面L153とは角度θ1をもって交差し、仮想面L153と仮想面L154とは角度θ2をもって交差するように各接続部152a,153a,154aが配設されている。そして、角度θ1および角度θ2は、ともに鈍角(90°を超え、180°未満の角度)である。
【0085】
また、接続部152aの上記接続面の法線であって、通し孔(ボルトBLTが挿通する孔)152bの中心を通る法線(第1法線)Ax152、接続部153aの上記接続面の法線であって、通し孔(ボルトBLTが挿通する孔)153bの中心を通る法線(第2法線)Ax153、接続部154aの上記接続面の法線であって、通し孔(ボルトBLTが挿通する孔)154bの中心を通る法線(第3法線)Ax154をそれぞれ引く。この場合に、法線Ax152,Ax153,Ax154は、ケース101に対して前方側の外方で交差する(交点P1)。なお、電力変換装置100のケース101は、バスバー152~154などを収容するケース本体101aと、ケース本体101aの上方の開口を塞ぐケース蓋101bと、ケース本体101aの前方に設けられた工具挿通用開口部101cを塞ぐ蓋155とを有する。ケース本体101aの工具挿通用開口部101cは、ケース本体101aにおける外壁の一部領域に設けられており、接続部152a,153a,154aを端子台600の配線602~604(
図5,6を参照。)に接続するためにボルトBLTを締結する工具を挿入するための開口部である。
【0086】
また、法線Ax152,Ax153,Ax154は、点(箇所)P12,P13,P14でケース本体101aの工具挿通用開口部101cを通過する。なお、箇所P12,P13,P14は、工具挿通用開口部101cにおけるケース本体101aの外側面に沿う開口面に配される。
【0087】
また、接続部152aと接続部153aとは、間に隙間G1が空くように配されており、接続部153aと接続部154aとは、間に隙間G2が空くように配されている。隙間G1,G2は、絶縁距離を確保しつつ、最小となる距離に設定されている。
【0088】
ここで、仮想面L152と法線Ax152の交点と、仮想面L153と法線Ax153の交点との間の距離は、L7である。また、仮想面L153と法線Ax153の交点と、仮想面L154と法線Ax154の交点との間の距離は、L8である。距離L7,L8は、接続部152aと接続部153aとの間、および接続部153aと接続部154aとの間に絶縁距離を確保しつつ、最小の距離に収まるように設定されている。
【0089】
また、接続部152a,153a,154aは、上下方向において、箇所P12と箇所P13との間の距離L11は距離L7よりも短くなり、箇所P13と箇所P14との間の距離L12は距離L8よりも短くなるように配設されている。
【0090】
なお、本実施形態では、法線Ax152が工具挿通用開口部101cを通過する箇所P12と、工具挿通用開口部101cの上縁との間の隙間寸法がL5であり、法線Ax154が工具挿通用開口部101cを通過する箇所P14と、工具挿通用開口部101cの下縁との間の隙間寸法がL6である。距離L5,L6は、接続部152a,153a,154aに端子台600の配線602~604(
図6などを参照。)を接続するためのボルトBLTを締結する工具の挿通を許しつつ、工具挿通用開口部101cのサイズ(本実施形態では、高さ寸法)L1を最小に抑えることができるように設定されている。
【0091】
さらに、工具挿通用開口部101cに最も近い接続部(本実施形態では、接続部152aと接続部154a)について、仮想面L152と法線Ax152との交点および仮想面L154と法線Ax154との交点を通り、工具挿通用開口部101cに平行な仮想面VL1を仮定する。そして、工具挿通用開口部101cが設けられたケース本体101aの外壁における外側面から仮想面VL1までの最短距離をL9とする。さらに、距離L9の半分(1/2×L9)の箇所を通り、工具挿通用開口部101cに平行な仮想面VL2を仮定する。この場合に、交点P1は、仮想面VL2に対して接続部152a,154aが配置されたのとは反対側に配置されている。
【0092】
5.効果
本実施形態に係る電力変換装置100では、U相バスバー152の法線(第1法線)Ax152とV相バスバー153の法線(第2法線)がそれぞれ工具挿通用開口部101cを通過する点(箇所)P12,P13同士の距離L11の方が、U相バスバー152における法線Ax152と接続面との交差箇所とV相バスバー153における法線Ax153と接続面との交差箇所との距離L7よりも短くなるように、U相バスバー152の接続部152aおよびV相バスバー153の接続部153aが配設されている。
【0093】
また、電力変換装置100では、V相バスバー153の法線(第2法線)Ax153とW相バスバー154の法線(第3法線)がそれぞれ工具挿通用開口部101cを通過する点(箇所)P13,P14同士の距離L12の方が、V相バスバー153における法線ax153と接続面との交差箇所とW相バスバー154における法線Ax154と接続面との交差箇所との距離L8よりも短くなるように、V相バスバー153の接続部153aおよびW相バスバー154の接続部154aが配設されている。
【0094】
よって、電力変換装置100では、
図15のように外方に向けて放射状に拡散するような場合に比べて、ケース101における工具挿通用開口部101cのサイズ(特に、本実施形態では、上下方向のサイズ)を小型化することができ、ケース101自体のサイズの小型化を図ることができる。
【0095】
また、本実施形態に係る電力変換装置100では、U相バスバー152の接続部152aとV相バスバー153の接続部153aとが、互いの接続面に沿う仮想面L152,L153同士が鈍角(角度θ1)をもって交差するように配設されているので、仮想面同士が平行となるように全てのバスバーの接続部が配設されている場合に比べて、V相バスバー153の接続部153aに対してU相バスバー152の接続部152aおよびW相バスバー154の接続部154aをそれぞれ相対的に傾けた分だけ3つのバスバー152~154の接続部152a,153a,154aが占有する空間(
図7の高さ寸法L4)を小さくすることができる。即ち、
図14に示す比較例のように、3つのバスバー952~954の各接続部952a,953a,954aが同一仮想面L951上に位置するように配した場合には、接続部952a,953a,954a同士の隙間を同じとする場合に、3つのバスバー952,953,954が占有する空間(
図14の高さ寸法L94)が高さ寸法L4よりも大きくなってしまう。
【0096】
これに対して、本実施形態に係る電力変換装置100では、V相バスバー153の接続部153aに対してU相バスバー152の接続部152aおよびW相バスバー154の接続部154aをそれぞれ相対的に傾けた分だけ3つのバスバー152~154の接続部152a,153a,154aが占有する空間(
図7の高さ寸法L4)を小さくすることができる。
【0097】
よって、本実施形態に係る電力変換装置100では、3つのバスバー152~154を収容するケース101のサイズを小型化することができる。
【0098】
また、電力変換装置100では、法線Ax152,Ax153,Ax154がケース本体101aの工具挿通用開口部101cを通過してケース101の外方の点P1で(工具挿通用開口部101cの外方で)交差するように配設されているので、
図14に示す比較例のように、3本の法線Ax952,Ax953,Ax954が互いに平行な場合や、
図15のように外方に向けて放射状に拡散するような場合に比べて、ケース本体101aにおける工具挿通用開口部101cのサイズ(高さ寸法)L1を小型化することができる。このため、蓋155のサイズ(高さ寸法)L2、およびケース101のサイズ(高さ寸法)L3の小型化を図ることができる。
【0099】
また、電力変換装置100では、隣り合う接続部152a,153a,154a同士の隙間G1,G2が絶縁距離以上に設定されているので、接続部152a,153a,154a同士の間にリブなどの絶縁体を介挿させなくてもよい。このため、仮想面L152,L153,L154が窪んだ鈍角に交差していても各接続部152a,153a,154aまで工具を容易に挿通することができるとともに、製造コストの上昇を抑制することができる。なお、隣り合う接続部152a,153a,154a同士の隙間G1,G2を絶縁距離以上の最小距離とすれば、電力変換装置100の外形サイズの小型化を図るのに優位となる。
【0100】
また、
図7に示すように、電力変換装置100では、ケース本体101aにおける工具挿通用開口部101cのサイズ(高さ寸法)L1が、3つのバスバー152~154における接続部152a,153a,154aの上下方向での配列に係る高さ寸法L4よりも短くなるように設定されているので、狭小な領域に工具を挿通させるための工具挿通用開口部101cを設けることができる。よって、電力変換装置100における蓋155のサイズ(高さ寸法)L2やケース101のサイズ(高さ寸法)L3を小さく抑えるのにさらに優位である。
【0101】
なお、
図14に示す比較例では、接続部952a,953a,954aの接続面(蓋955側を向く平面)が同一の仮想面L951に沿って配列されているので、接続部952a,953a,954aの上下方向での配列高さ(高さ寸法)L94が、本実施形態の配列に係る高さ寸法L4よりも長くなってしまう。また、比較例では、法線Ax952,Ax953,Ax954が互いに平行となるように接続部952a,953a,954aが配されているので、ケース本体951aの工具挿通用開口部951cのサイズ(高さ寸法)L91が本実施形態での寸法L1よりも長くせざるを得ず、蓋955やケース本体951aとケース蓋951bとで構成されるケース951のサイズ(高さ寸法)L93も本実施形態よりも大きくすることが必要となる。
【0102】
なお、
図14における法線Ax952と工具挿通用開口部951cの上縁との間の隙間寸法L95や、法線Ax954と工具挿通用開口部951cの下縁との間の隙間寸法L96を、仮に
図7に示す距離L5や距離L6と同じとした場合にも、法線Ax952、Ax954が本実施形態のように傾斜していない分だけ、工具挿通用開口部951cのサイズ(高さ寸法)L91、蓋955のサイズ(高さ寸法)L92、およびケース951のサイズ(高さ寸法)L93が
図7に示す本実施形態よりも大きなものとすることが必要となる。
【0103】
本実施形態では、電力変換装置100が車両VのパワートレインルームR1に搭載されているとともに、
図3等に示すように、ケース本体101aの工具挿通用開口部101cが車両Vにおける前方(車両Vに対して想定される荷重の入力方向)を向くように配置されている。また、電力変換装置100のケース101は、車両Vの前後方向における端部(ACコネクタ部150の前端部150a)が第1モータハウジング511の前端部511aに対して面一となるように配置されている。よって、電力変換装置100では、仮に車両Vに対して前方から衝突荷重が入力された場合にも、電力変換装置100に対して集中的に荷重が入力されることがなく、高い安全性を確保することができる。
【0104】
なお、本実施形態では、電力変換装置100におけるケース101の前端部150aを第1モータハウジング511の前端部511aに対して(
図3の仮想面Lに対して)面一となるように配置したが、電力変換装置100におけるケース101の前端部150aを第1モータハウジング511の前端部511aよりも後方に位置するように配置することにより、より高い安全性を確保することができる。
【0105】
以上のように、本実施形態に係る電力変換装置100では、ケース101内に外部機器としてもモータMとの電気接続のための3つのバスバー152~154を備えながら、ケース101の外形サイズを小型化することができる。
【0106】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る電力変換装置160について、
図8および
図9を用いて説明する。なお、本実施形態に係る電力変換装置160も電気機器の一例であり、ACコネクタ部250におけるACバスバー251を構成する各バスバー(配線)252~254の、接続部252a,253a,254aの配置が上記第1実施形態と相違するのみであって、他の構成は上記第1実施形態と同じである。このため、
図8および
図9では、バスバー252~254における接続部252a,253a,254aとその周辺部分を抜き出して図示している。また、以下では、上記第1実施形態と重複する部分の説明については省略する。
【0107】
図8に示すように、本実施形態に係る電力変換装置160のACコネクタ部250は、ACバスバー251を有する。ACバスバー251は、U相バスバー(端子)252と、V相バスバー(端子)253と、W相バスバー(端子)254との組み合わせで構成されている。各バスバー252~254も、金属材料を用いて形成された端子であって、端部に接続部252a,253a,254aを有する。
図8に示すように、各バスバー252~254は、ボルトBLTを用いて接続部252a,253a,254aで端子台630のコネクタ部631における配線632~634に接続される。
図9に示すように、各接続部252a,253a,254aには、ボルトBLTの挿通を許す通し孔252b,253b,254bが設けられている。
【0108】
なお、端子台630には、モータMのモータコイルから延びるモータ側配線641(接続配線642~644)も接続されている。
【0109】
図9に示すように、各バスバー252~254の接続部252a,253a,254aを車両Vの左方から側面視する場合に、接続部252aと接続部253aとは同一平面上に位置せず、接続部253aと接続部254aとは同一平面上に位置する。具体的に、
図8および
図9に示すように、接続部252aの接続面に沿う仮想面(第1仮想面)L252と、接続部253aおよび接続部254aの接続面に沿う仮想面(第2仮想面)L253をそれぞれ仮定する。
【0110】
なお、接続部252a,253a,254aの各接続面は、上記第1実施形態と同様に、
図9に示す側方から見た断面を基準面としたとき、
図9の紙面に直交する奥行き方向に延びるとともに、蓋255側を向く平面である。
【0111】
図8および
図9に示すように、仮想面L252と仮想面L253とは交線IL3で交差する。上記の基準面は、交線IL3に対して直交する面である。
【0112】
なお、基準面については、上記第1実施形態と同様に、第1および第2の両接続部と工具挿通用開口部を通り、第1および第2の両接続部の接続面と直交するのであれば、
図9に示す側方から見た断面に限らず任意の向きに設定することが可能である。
【0113】
図9に示すように、仮想面L252と仮想面L253とは角度θ21をもって交差するように接続部252aと接続部253aとが配設されている。角度θ21は、鈍角(90°を超え、180°未満の角度)である。
【0114】
一方、接続部254aの接続面(工具挿通用開口部201c側を向く平面)は、仮想面L253に沿うように配設されている。即ち、本実施形態において、接続部253aの接続面と接続部254aの接続面とは、1つの仮想面L253に沿うように配設されている。
【0115】
接続部252aの上記接続面の法線であって、通し孔252bの中心を通る法線(第1法線)Ax252、接続部253aの上記接続面の法線であって、通し孔253bの中心を通る法線(第2法線)Ax253、接続部254aの上記接続面の法線であって、通し孔254bの中心を通る法線(第3法線)Ax254をそれぞれ引く。この場合に、法線Ax252と法線Ax253とは、ケース201に対して前方側の外方で交差する(交点P2)。
【0116】
一方、接続部253aと接続部254aとは、法線Ax253と法線Ax254とが略平行となるように配設されている。
【0117】
なお、電力変換装置160のケース201も、上部に開口部を有し、バスバー252~254などを収容するケース本体201aと、ケース本体201aの開口部を塞ぐケース蓋201bとを有する。そして、ケース本体201aの前方側における外壁の一部領域には、接続部252a,253a,254aを端子台600の配線602~604(
図5,6を参照。)に接続するためにボルトBLTを締結する工具を挿入するための工具挿通用開口部201cが形成されている。さらに、電力変換装置160は、工具挿通用開口部201cを塞ぐ蓋255も備える。
【0118】
法線Ax252,Ax253,Ax254は、点(箇所)P22,P23,P24でケース本体201aの工具挿通用開口部201cを通過する。なお、点P22,P23,P24は、工具挿通用開口部201cにおけるケース本体201aの外側面に沿う開口面に配される。
【0119】
接続部252aと接続部253aとは、間に隙間G3が空くように配されており、接続部253aと接続部254aとは、間に隙間G4が空くように配されている。隙間G3,G4は、絶縁距離を確保しつつ、最小となる距離に設定されている。ここで、仮想面L252と法線Ax252の交点と、仮想面L253と法線Ax253の交点との距離は、L27である。また、仮想面L253と法線Ax253の交点と、仮想面L253と法線Ax254の交点との距離は、L28である。距離L27,L28は、接続部252aと接続部253aとの間、および接続部253aと接続部254aとの間に絶縁距離を確保しつつ、最小の距離となるように設定されている。
【0120】
また、接続部252aおよび接続部253aは、上下方向における点P22と点P23との間の距離L35は距離L27よりも短くなるように配設されている。
【0121】
なお、本実施形態では、法線Ax252が工具挿通用開口部201cを通過する点(箇所)P22と、工具挿通用開口部201cの上縁との距離(隙間寸法)がL25であり、法線Ax254が工具挿通用開口部201cを通過する点(箇所)P24と、工具挿通用開口部201cの下縁との間の距離(隙間寸法)がL26である。距離L25,L26は、接続部252a,253a,254aに端子台600の配線602~604(
図6を参照。)を接続するためのボルトBLTを締結する工具の挿通を許しつつ、工具挿通用開口部201cのサイズ(高さ寸法)L21を最小に抑えることができるように設定されている。
【0122】
さらに、工具挿通用開口部201cに最も近い接続部(本実施形態では、接続部252a)について、仮想面L252と法線Ax252との交点(基準面と交線IL3との交点)を通り、工具挿通用開口部201cに平行な仮想面VL3を仮定する。そして、工具挿通用開口部201cが設けられたケース本体201aの外壁における外側面から仮想面VL3までの最短距離をL29とする。さらに、距離L29の半分(1/2×L29)の箇所を通り、工具挿通用開口部201cに平行な仮想面VL4を仮定する。この場合に、交点P2は、仮想面VL4に対して接続部252aが配置されたのとは反対側に配置されている。
【0123】
本実施形態に係る電力変換装置160でも、U相バスバー252の接続部252aとV相バスバー253の接続部253aとが、互いの接続面に沿う仮想面L252,L253同士が鈍角(角度θ21)をもって交差するように配設されているので、仮想面同士が平行となるように全てのバスバーの接続部が配設されている比較例(
図14を参照。)に比べて、V相バスバー253の接続部253aに対してU相バスバー252の接続部252aを相対的に傾けた分だけ3つのバスバー252~254の接続部252a,253a,254aが占有する空間(
図9の高さ寸法L24)を小さくすることができる。即ち、
図14に示す比較例のように、3つのバスバー952~954の各接続部952a,953a,954aが同一仮想面L951上に位置するように配した場合には、接続部952a,953a,954a同士の隙間を同じとする場合に、3つのバスバー952,L953,L954が占有する空間(
図14の高さ寸法L94)が寸法L24よりも大きくなってしまう。
【0124】
これに対して、本実施形態に係る電力変換装置160では、V相バスバー253の接続部253aに対してU相バスバー252の接続部252aを相対的に傾けた分だけ3つのバスバー252~254の接続部252a,253a,254aが占有する空間(
図9の高さ寸法L24)を小さくすることができる。
【0125】
また、電力変換装置160では、法線Ax252,Ax253が蓋255の工具挿通用開口部201cを通過してケース201の外方の点P2で(工具挿通用開口部201cの外方で)交差するように配設されているので、
図14に示す比較例のように、3本の法線Ax952,Ax953,Ax954が互いに平行な場合や、
図15のように外方に向けて放射状に拡散するような場合に比べて、ケース本体201aにおける工具挿通用開口部201cのサイズ(高さ寸法L21)を小型化することができる。このため、工具挿通用開口部201cを塞ぐ蓋255のサイズ(高さ寸法L22)の小型化や、ケース本体201aとケース蓋201bとの組み合わせで構成されるケース201のサイズ(高さ寸法)L23を小型化することができる。
【0126】
また、電力変換装置160でも、隣り合う接続部252a,253a,254a同士の隙間G3,G4が絶縁距離以上に設定されているので、上記第1実施形態と同じ効果を得ることができる。なお、本実施形態においても、隣り合う接続部252a,253a,254a同士の隙間G3,G4を絶縁距離以上の最小距離とすれば、電力変換装置160の外形サイズの小型化を図るのに優位となる。
【0127】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る電力変換装置170について、
図10および
図11を用いて説明する。なお、本実施形態に係る電力変換装置170も電気機器の一例であり、バスバー(配線)352,353における接続部352a,353aの配置が上記第1実施形態および上記第2実施形態と相違するのみであって、他の構成は上記第1実施形態および上記第2実施形態と同じである。このため、
図11では、バスバー352,353における接続部352a,353aとその周辺部分を抜き出して図示している。また、以下では、上記第1実施形態や上記第2実施形態と重複する部分の説明については省略する。
【0128】
図10に示すように、本実施形態に係る電力変換装置170は、ACコネクタ部350がACバスバー351を有する。ACバスバー351は、2つのバスバー352,353で構成されている。。即ち、本実施形態に係る電力変換装置170は、単相2線式で外部機器(モータなど)に対して交流電力の入出力を行う。そして、バスバー352,353の内の一方が電圧線であり、他方が中性線である。各バスバー352,353も、金属材料を用いて形成された端子であって、端部に接続部352a,353aを有する。
【0129】
図10および
図11に示すように、各バスバー352,353は、ボルトBLTを用いて接続部352a,353aで端子台650のコネクタ部651における配線652,653に接続される。各接続部352a,353aには、ボルトBLTの挿通を許す通し孔352b,353bが設けられている。
【0130】
本実施形態に係る電力変換装置170において、バスバー352,353の接続部352a,353aを車両Vの左方から側面視する場合に、接続部352aと接続部353aとは同一平面上に位置しない。具体的に、
図10および
図11に示すように、接続部352aの接続面に沿う仮想面(第1仮想面)L352と、接続部353aの接続面に沿う仮想面(第2仮想面)L353とをそれぞれ仮定する。
【0131】
ここで、接続部352a,353aの各接続面は、
図11に示す側方から見た断面を基準面としたとき、
図11の紙面に直交する奥行き方向に延びるとともに、蓋355側を向く平面である。
【0132】
図10および
図11に示すように、仮想面L352と仮想面L353とは交線IL4で交差する。上記の基準面は、交線IL4に対して直交する面である。
【0133】
なお、基準面については、第1および第2の両接続部と工具挿通用開口部を通り、第1および第2の両接続部の接続面と直交するのであれば、
図11に示す側方から見た断面に限らず任意の向きに設定することが可能である。
【0134】
また、仮想面L352と仮想面L353とは角度θ31をもって交差するように接続部352aと接続部353aとが配設されている。仮想面L352と仮想面L353とがなす角度θ31は、上記第1実施形態や上記第2実施形態と同様に鈍角(90°を超え、180°未満の角度)である。
【0135】
また、接続部352aの上記接続面の法線であって、通し孔352bの中心を通る法線(第1法線)Ax352、接続部353aの上記接続面の法線であって、通し孔353bの中心を通る法線(第2法線)Ax353をそれぞれ引く。この場合に、法線Ax352と法線Ax353とは、ケース本体301aに設けられた工具挿通用開口部301cよりもケース301の内側の点P3で交差する。
【0136】
電力変換装置170のケース301も、上方に開口部を有し、バスバー352,353などを収容するケース本体301aと、ケース本体301aの開口部を塞ぐケース蓋301bとを有する。そして、ケース本体301aの前方側における外壁の一部領域には、接続部352a,353aを端子台650の配線652,653(
図10を参照。)に接続するためにボルトBLTを締結する工具を挿入するための工具挿通用開口部301cが形成されている。
【0137】
法線Ax352,Ax353は、点(箇所)P5,P6でケース本体301aの工具挿通用開口部301cを通過する。なお、点P5,P6は、工具挿通用開口部301cにおけるケース本体301aの外側面に沿う開口面に配される。
【0138】
接続部352aと接続部353aとは、間に隙間G5が空くように配されている。隙間G5は、絶縁距離を確保しつつ、最小となる距離に設定されている。
【0139】
工具挿通用開口部301cに最も近い接続部(本実施形態では、接続部352aと接続部353a)について、仮想面L352と法線Ax352との交点および仮想面L353と法線Ax353との交点を通り、工具挿通用開口部301cに平行な仮想面VL5を仮定する。そして、工具挿通用開口部301cが設けられたケース本体301aの外壁における外側面から仮想面VL5までの最短距離をL39とする。さらに、距離L39の半分(1/2×L39)の箇所を通り、工具挿通用開口部301cに平行な仮想面VL6を仮定する。この場合に、交点P3は、仮想面VL6に対して接続部352a,353aが配置された側とは反対側に配置されている。
【0140】
また、本実施形態に係る電力変換装置170でも、バスバー352の接続部352aとバスバー353の接続部353aとが、互いの接続面に沿う仮想面L352,L353同士が鈍角(角度θ31)をもって交差するように配設されているので、仮想面同士が平行となるように全てのバスバーの接続部が配設されている比較例(
図14を参照。)に比べて、バスバー353の接続部353aに対してバスバー352の接続部352aを相対的に傾けた分だけバスバー352,353の接続部352a,353aが占有する空間(
図11における高さL34)を小さくすることができる。
【0141】
また、電力変換装置170では、法線Ax352,Ax353が工具挿通用開口部301cよりもケース本体301aの内側の点(箇所)P3で交差するように配設されているが、
図14に示す比較例のように、3本の法線Ax952,Ax953,Ax954が互いに平行な場合や、
図15のように外方に向けて放射状に拡散するような場合に比べて、ケース本体301aにおける工具挿通用開口部301cのサイズ(高さ寸法)L31を小型化することができる。これは、次のような理由による。
【0142】
図11に示すように、法線Ax352が工具挿通用開口部301cを通過する箇所を点P4とし、法線Ax353が工具挿通用開口部301cを通過する箇所を点P5とする。また、接続部352aの通し孔352bの中心を通り、水平方向(第2方向)に延びる仮想線(第1仮想線)L354と、接続部353aの通し孔353bの中心を通り水平方向(第2方向)に延びる仮想線(第2仮想線)L355とを引く。この場合に、上下方向(第1方向)において、点(箇所)P4,P5がともに仮想線L354と仮想線L355との間の領域に位置するように、点P3および点(箇所)P4,P5が設定されている。
【0143】
接続部352.353は、上下方向における箇所P4と箇所P5との間の距離L52が、仮想線L354と仮想線L355との間の距離(接続部352aの接続面と法線Ax352との交点と接続部353aの接続面と法線Ax353との交点との間の距離)L51よりも短くなるように配設されている。
【0144】
以上のように点(箇所)P3が設定されることにより、上記第1実施形態および上記第2実施形態とは異なり、法線Ax352と法線Ax353との交点(交差する箇所)P3がケース本体301aの内方に位置していても、工具挿通用開口部301cのサイズ(高さ寸法)L31を、工具の挿通を許しながら最小限のサイズに留めることができる。これより、工具挿通用開口部301cを塞ぐ蓋355のサイズ(高さ寸法)L32の小型化や、ケース本体301aとケース蓋301bとの組み合わせにより構成されるケース301のサイズ(本実施形態では、高さ寸法)L33を小型化することができる。
【0145】
また、電力変換装置170でも、接続部352a,353a同士の隙間G5が絶縁距離以上に設定されているので、上記第1実施形態や上記第2実施形態と同じ効果を得ることができる。なお、本実施形態においても、接続部352a,353a同士の隙間G5を絶縁距離以上の最小距離とすれば、電力変換装置170のけるケース301の外形サイズの小型化を図るのに優位となる。
【0146】
[接続部の配設形態についてのまとめ]
接続部の配設形態について、
図12および
図13を用いて説明する。なお、
図12および
図13では、ACバスバーが2つのバスバー452,453,462,463を含む形態を一例としているが、上記第1実施形態や上記第2実施形態と同様に3つ以上のバスバーを備える構成とすることも可能である。
【0147】
1.第1の実施例
図12に示すように、第1の実施例では、ACコネクタ部が2つのバスバー452,453を有する。バスバー452,453は、それぞれ端部に接続部452a,453aを有する。接続部452a,453aは、端子台のコネクタ部に接続するための部分であって、ボルトの挿通を許す通し孔452b,453bを有する。
【0148】
バスバー452,453は、ケース401内に収容されている。ケース401は、バスバー452,453の各接続部452a,453aに端子台のコネクタ部を接続する際にボルト締結用の工具が挿通する開口部(工具挿通用開口部)401cを有する。
【0149】
ここで、本実施例においても、
図12の紙面が基準面として規定される。即ち、接続部452aの接続面(工具挿通用開口部401c側を向く面)に沿う仮想線と、接続部453aの接続面(工具挿通用開口部401c側を向く面)に沿う仮想面とを仮定し、両仮想線が交差する交線に対して直交する面(
図12の紙面)が基準面である。
【0150】
本実施例では、一方の接続部453aがもう一方の接続部452aよりも工具挿通用開口部401cから遠い位置に配置されている。
【0151】
通し孔452bの径方向中心を通り、接続部452aの接続面に対して直交する法線Ax452を引き、通し孔453bの径方向中心を通り、接続部453aの接続面に対して直交する法線Ax453を引く。この場合に、法線Ax452と法線Ax453とは、点(箇所)P45,P46を通り工具挿通用開口部401cを通過し、ケース401の外方で互いに交差する(交点P44)。なお、本実施例においても、上記の各箇所P45,P46は、工具挿通用開口部401cにおけるケース401の外側面401fに沿う開口面に位置する点である。
【0152】
さらに、工具挿通用開口部401cに近い側の接続部453aについて、当該接続部453aの接続面に沿う仮想面と法線Ax453との交点P41を通り、工具挿通用開口部401cに平行な仮想面VL41を仮定する。そして、工具挿通用開口部401cが設けられたケース401の外壁における外側面401fから仮想面VL41までの最短距離をL44とし、距離L44の半分(1/2×L44)の箇所を通り、工具挿通用開口部401cに平行な仮想面VL42を仮定する。また、仮想面VL41と法線Ax452との交点を点P43とし、接続部452aの接続面に沿う仮想面と法線Ax452との交点を点P42とする。
【0153】
本実施例では、工具挿通用開口部401cに対して、接続部452aの方が接続部453aよりも遠い位置に配置されているため、点P42は点P43よりも遠い位置に配置される。
【0154】
図12に示す基準面上において、点P44と点P43と点P41とで規定される三角形と、点P44と点P45と点P46とで規定される三角形とは相似形の関係を有する。また、工具挿通用開口部401cに沿う方向での点P41と点P43との間の距離をL43、点P45と点P46との間の距離をL42とする場合に、本実施例では、L43>L42の関係を満たす。
【0155】
従って、本実施例の配置形態を適用することにより、工具挿通用開口部401cのサイズL41は、
図14に示す法線Ax952,Ax953,Ax954が平行な場合の工具挿通用開口部951cのサイズL93よりも小さなサイズにすることができる。換言すると、本実施例では、点P44と仮想面VL41との距離L45が、仮想面VL41と仮想面VL42との距離(1/2×L44)よりも長いという関係、即ち、工具挿通用開口部401cの開口面と仮想面VL41との距離L44の半分(1/2×L44)となる位置を通る仮想面VL42に対して接続部452a,453aが配された側とは反対側で両法線Ax452,Ax453が交差するという関係が成立するように、接続部452a,453aを配設することで、工具挿通用開口部401cのサイズL41を
図14に示す比較例の場合よりも小さく抑えることができる。
【0156】
2.第2の実施例
図13に示すように、第2の実施例では、ACコネクタ部が2つのバスバー462,463を有する。バスバー462,463は、それぞれ端部に接続部462a,463aを有する。接続部462a,463aは、端子台のコネクタ部に接続するための部分であって、ボルトの挿通を許す通し孔462b,463bを有する。
【0157】
バスバー462,463は、ケース402内に収容されている。ケース402は、バスバー462,463の各接続部462a,463aに端子台のコネクタ部を接続する際にボルト締結用の工具が挿通する開口部(工具挿通用開口部)402cを有する。
【0158】
ここで、本実施例においても、
図13の紙面が基準面として規定される。即ち、接続部462aの接続面(工具挿通用開口部402c側を向く面)に沿う仮想線と、接続部463aの接続面(工具挿通用開口部402c側を向く面)に沿う仮想面とを仮定し、両仮想線が交差する交線に対して直交する面(
図13の紙面)が基準面である。
【0159】
本実施例では、一方の接続部463aがもう一方の接続部462aよりも工具挿通用開口部402cから遠い位置に配置されている。
【0160】
通し孔462bの径方向中心を通り、接続部462aの接続面に対して直交する法線Ax462を引き、通し孔463bの径方向中心を通り、接続部463aの接続面に対して直交する法線Ax463を引く。この場合に、法線Ax462と法線Ax463とは、箇所P55,P56を通り工具挿通用開口部401cを通過する。また、法線Ax462と法線Ax463とは、ケース402の内方で互いに交差する(交点P54)。なお、本実施例においても、上記の各箇所P55,P56は、工具挿通用開口部402cにおけるケース402の外側面402fに沿う開口面に位置する点である。
【0161】
さらに、工具挿通用開口部402cに近い側の接続部463aについて、当該接続部463aの接続面に沿う仮想面と法線Ax463との交点P51を通り、工具挿通用開口部402cに平行な仮想面VL43を仮定する。そして、工具挿通用開口部402cが設けられたケース402の外壁における外側面402fから仮想面VL43までの最短距離をL49とし、距離L49の半分(1/2×L49)の箇所を通り、工具挿通用開口部402cに平行な仮想面VL44を仮定する。また、仮想面VL43と法線Ax462との交点を点P53とし、接続部462aの接続面に沿う仮想面と法線Ax462との交点を点P52とする。
【0162】
本実施例では、工具挿通用開口部402cに対して、接続部462aの方が接続部463aよりも遠い位置に配置されているため、点P52は点P53よりも遠い位置に配置される。
【0163】
図13に示す基準面上において、点P54と点P53と点P51とで規定される三角形と、点P54と点P56と点P55とで規定される三角形とは相似形の関係を有する。また、工具挿通用開口部402cに沿う方向での点P51と点P53との間の距離をL48、点P55と点P56との間の距離をL47とする場合に、本実施例では、L48>L47の関係を満たす。
【0164】
従って、本実施例の配置形態を適用することにより、工具挿通用開口部402cのサイズL46は、
図14に示す法線Ax952,Ax953,Ax954が平行な場合の工具挿通用開口部951cのサイズL93よりも小さなサイズにすることができる。換言すると、本実施例では、点P54と仮想面VL43との距離L50が、仮想面VL43と仮想面VL44との距離(1/2×L49)よりも長いという関係、即ち、工具挿通用開口部402cの開口面と仮想面VL43との距離L49の半分(1/2×L49)となる位置を通る仮想面VL44に対して接続部462a,463aが配された側とは反対側で両法線Ax462,Ax463が交差するという関係が成立するように、接続部462a,463aを配設することで、工具挿通用開口部402cのサイズL46を
図14に示す比較例の場合よりも小さく抑えることができる。
【0165】
[その他の変形例]
上記第1実施形態から上記第3実施形態では、電気機器の一例として電力変換装置100,160,170を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、本発明に係る端子構造を、配電盤、DC-DCコンバータ、ACトランス、モータなどに適用することも可能である。
【0166】
また、電気機器として電力変換装置を採用する場合においても、車両に搭載される場合だけでなく、産業機器などで用いられる電力変換装置に本発明の端子構造を適用することも可能である。
【0167】
上記第1実施形態から上記第3実施形態および上記第1および第2の実施例では、配線の一例としてバスバー152~154,252~254,352,353,452,453,462,463を採用することとしたが、本発明は、配線の種類に関してこれに限定を受けるものではない。例えば、ワイヤーハーネスでもよい。この場合には、ワイヤーハーネスに対して接続部として平面形状の接続面を有する端子を接合することで本発明に係る端子構造を適用することが可能である。
【0168】
上記第1実施形態から上記第3実施形態では、接続部152a,153a,154a,252a,253a,254a,352a,353a同士の間に絶縁体が介在せず、隙間G1~G5が絶縁距離以上であることとしたが、本発明では、これに原愛知を受けない。例えば、隣り合う接続部同士の間にリブなどの絶縁体を介在させ、接続部同士の直線で結ぶ隙間の距離を絶縁距離未満とすることも可能である。
【0169】
上記第1実施形態から上記第3実施形態では、ケース101,201,301のケース本体101a,201a,301aに工具挿通用開口部101c,201c,301cを設けることとしたが、本発明は、ケース蓋に工具挿通用開口部を設けることも可能である。
【0170】
また、工具挿通用開口部は、窓状の孔だけでなく、ケース本体やケース蓋などにおける端辺から凹入するように形成された開口部を採用することも可能である。
【0171】
上記第1実施形態から上記第3実施形態では、ケース101,201,301の内方に2つあるいは3つの接続部152a,153a,154a,252a,253a,254a,352a,353aを備える構成を採用したが、本発明では、4つ以上の接続部がケース内に収容された構成を採用することも可能である。
【0172】
上記第1実施形態および上記第2実施形態では、3つの接続部152a,153a,154a,252a,253a,254aが車両Vの上下方向に並ぶように配された構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、複数の端子の接続部が左右方向に分散して配されていてもよい。また、複数の端子の接続部が上下方向および左右方向の2方向や、前後方向および左右方向の2方向、さらには上下方向および前後方向および左右方向の3方向に分散して配されていてもよい。この場合には、複数の接続部が筐体内で二次元配置あるいは三次元配置されることとなる。
【符号の説明】
【0173】
100,160,170 電力変換装置(電気機器)
101,201,301,401,402 ケース(筐体)
101c,201c,301c,401c,402c 工具挿通用開口部
150,250,350 ACコネクタ部
151,251,351 ACバスバー
152,252 U相バスバー(端子)
152a,252a 接続部
153,253 V相バスバー(端子)
153a,253a 接続部
154,254 W相バスバー(端子)
154a,254a 接続部
155,255,355 蓋
352,353,452,453,462,463 バスバー(端子)
352a,353a,552a,453a,462a,463a 接続部