(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180296
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】再使用可能な複合硬化システム
(51)【国際特許分類】
B29C 43/12 20060101AFI20241219BHJP
B29C 70/44 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B29C43/12
B29C70/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024075154
(22)【出願日】2024-05-07
(31)【優先権主張番号】18/336,779
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523043898
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ケネス-キュー・ルイ
【テーマコード(参考)】
4F204
4F205
【Fターム(参考)】
4F204AA36
4F204AC03
4F204AD16
4F204AG07
4F204AH31
4F204AJ08
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4F205AJ08
4F205HA09
4F205HA22
4F205HA33
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HK03
4F205HK04
4F205HK05
4F205HK31
(57)【要約】
【課題】本発明は再使用可能な複合硬化システムを提供する。
【解決手段】再使用可能な複合硬化システムであって、再使用可能なブラダと、再使用可能なブラダにシーリングされた端部取付具であって、再使用可能なブラダの内部と連通する通路と、端部取付具内に固定され、通路と連通する空気圧コネクタの第1の半体とを含む端部取付具と、硬化ツールの支持面から延伸し、硬化ツールの下面又は側面のうちの一方を通って出る通気チャネルと、通気チャネル内に固定された空気圧コネクタの第2の半体とを有する硬化ツールとを備え、空気圧コネクタの第1の半体が、空気圧コネクタの第2の半体を硬化ツール内に保持したまま、かつ空気圧コネクタの第1の半体を端部取付具内に保持したまま、空気圧コネクタの第2の半体から外すことが可能である、再使用可能な複合硬化システム。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)であって、
再使用可能なブラダ(208、302、506、604)と、
前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)にシーリングされた端部取付具(210、304、504、606)であって、前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)の内部(224、303)と連通する通路(222、306、622)と、前記端部取付具(210、304、504、606)内に固定され、前記通路(222、306、622)と連通する空気圧コネクタ(228、311、627)の第1の半体(226、310、628)とを含む端部取付具(210、304、504、606)と、
硬化ツール(211、316、502、608)であって、前記硬化ツール(211、316、502、608)の支持面(214、318、632)から延伸し、前記硬化ツール(211、316、502、608)の下面(216、320、634)又は側面(218又は220、636又は638)のうちの一方を通って出る通気チャネル(212、314、624)と、前記通気チャネル(212、314、624)内に固定された前記空気圧コネクタ(228、311、627)の第2の半体(230、312、626)とを有する硬化ツール(211、316、502、608)と、
を備え、
前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第1の半体(226、310、628)が、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第2の半体(230、312、626)を前記硬化ツール(211、316、502、608)内に保持したまま、かつ前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第1の半体(226、310、628)を前記端部取付具(210、304、504、606)内に保持したまま、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第2の半体(230、312、626)から外すことが可能である、再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項2】
前記端部取付具(210、304、504、606)が、金属材料(242)で形成されている、請求項1に記載の再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項3】
前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第1の半体(226、310、628)及び前記第2の半体(230、312、626)のうちの一方が雌型クイックコネクタであり、前記第1の半体(226、310、628)及び前記第2の半体(230、312、626)のうちの他方が雄型クイックコネクタである、請求項1に記載の再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項4】
前記通路(222、306、622)は、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第1の半体(226、310、628)に対して垂直に延伸する、請求項1に記載の再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項5】
前記硬化ツール(211、316、502、608)にシーリングされ、前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)及び前記端部取付具(210、304、504、606)を完全に覆う再使用可能な真空バッグ(248、610)を更に備える、
請求項1に記載の再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項6】
前記通路(222、306、622)、空気圧コネクタ(228、311、627)、及び通気チャネル(212、314、624)が、前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)の内部(224、303)が外圧(238)を受けることを可能にする圧力通路(236、621)を画定する、請求項1に記載の再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項7】
前記端部取付具(210、304、504、606)が、前記端部取付具(210、304、504、606)の下面を通って延伸するねじ穴(232、308、630)を備え、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第1の半体(226、310、628)が、前記ねじ穴(232、308、630)内に固定される、請求項1に記載の再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項8】
再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)であって、
オートクレーブ硬化中に複合部品(204)の内部空隙部(206)に圧力を加える再使用可能なブラダ(208、302、506、604)と、
前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)にシーリングされた端部取付具(210、304、504、606)であって、前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)の内部(224、303)と連通する通路(222、306、622)と、前記通路(222、306、622)と連通し、前記端部取付具(210、304、504、606)内に固定された空気圧コネクタ(228、311、627)の第1の半体(226、310、628)とを含み、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第1の半体(226、310、628)が、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第1の半体(226、310、628)を前記端部取付具(210、304、504、606)内に保持したまま、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の第2の半体(230、312、626)から外すことが可能である、端部取付具(210、304、504、606)と、
前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)及び前記端部取付具(210、304、504、606)の上にシーリングされた再使用可能な真空バッグ(248、610)であって、再使用可能なブラダ(208、302、506、604)によって加えられる圧力が、再使用可能な真空バッグ(248、610)の下での圧力よりも大きい、再使用可能な真空バッグ(248、610)とを備える、再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項9】
硬化ツール(211、316、502、608)の支持面(214、318、632)から前記硬化ツール(211、316、502、608)の外部まで通気チャネル(212、314、624)を有する硬化ツール(211、316、502、608)であって、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第2の半体(230、312、626)が前記通気チャネル(212、314、624)内に固定され、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第1の半体(226、310、628)が、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第2の半体(230、312、626)を前記硬化ツール(211、316、502、608)内に保持したまま、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第2の半体(230、312、626)から外すことが可能である、硬化ツール(211、316、502、608)を更に備える、
請求項8に記載の再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項10】
前記空気圧コネクタ(228、311、627)が、クイックコネクタである、請求項8に記載の再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項11】
前記端部取付具(210、304、504、606)が、前記端部取付具(210、304、504、606)の下面を通って延伸するねじ穴(232、308、630)を備え、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第1の半体(226、310、628)が、前記ねじ穴(232、308、630)内に固定される、請求項8に記載の再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項12】
前記端部取付具(210、304、504、606)が、金属材料(242)で形成されている、請求項8に記載の再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項13】
前記通路(222、306、622)が、前記空気圧コネクタ(228、311、627)の前記第1の半体(226、310、628)に対して垂直に延伸する、請求項8に記載の再使用可能な複合硬化システム(202、300、501、601)。
【請求項14】
複合材料(252又は254、618又は620)を硬化させる方法(700)であって、
再使用可能なブラダ(208、302、506、604)にシーリングされた端部取付具(210、304、504、606)内に固定された空気圧コネクタ(228、311、627)の第1の半体(226、310、628)が、硬化ツール(211、316、502、608)内に固定された空気圧コネクタ(228、311、627)の第2の半体(230、312、626)に接続するように、再使用可能なブラダ(208、302、506、604)を前記硬化ツール(211、316、502、608)に向かって降下させるステップ(702)であって、前記空気圧コネクタ(228、311、627)が、前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)の内部(224、303)に外圧(238)を提供するための圧力通路(236、621)を形成する、ステップと、
前記硬化ツール(211、316、502、608)及び前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)上に支持された前記複合材料(252又は254、618又は620)に熱及び圧力を加えること(704)によって内部空隙部(206)を有する複合部品(204)を形成するために、前記複合材料(252又は254、618又は620)を硬化させるステップと、を含む方法(700)。
【請求項15】
再使用可能な真空バッグ(248、610)を前記硬化ツール(211、316、502、608)に、かつ前記端部取付具(210、304、504、606)及び前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)の上にシーリングするステップ(716)を更に含む、請求項14に記載の方法(700)。
【請求項16】
前記圧力通路(236、621)によって前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)の内部(224、303)を外圧(238)にさらすことによって前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)を加圧するステップ(718)を更に含む、請求項14に記載の方法(700)。
【請求項17】
前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)の周りに前記複合材料(252又は254、618又は620)を巻き付けるステップ(706)を更に含み、
前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)を降下させるステップ(708)が、前記複合材料(252又は254、618又は620)及び再使用可能なブラダ(208、302、506、604)を前記硬化ツール(211、316、502、608)上に配置するステップを含む、請求項14に記載の方法(700)。
【請求項18】
前記複合材料(252又は254、618又は620)を前記硬化ツール(211、316、502、608)上に配置するステップ(710)を更に含み、
前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)を前記硬化ツール(211、316、502、608)に向かって降下させるステップ(712)が、前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)を前記硬化ツール(211、316、502、608)上の前記複合材料(252又は254、618又は620)上に位置決めするステップを含む、
請求項14に記載の方法(700)。
【請求項19】
前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)を前記硬化ツール(211、316、502、608)に向かって下降させた後に、前記複合材料(252又は254、618又は620)を前記硬化ツール(211、316、502、608)上の前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)上に加えるステップ(714)を更に含む、請求項14に記載の方法(700)。
【請求項20】
前記複合部品(204)の前記内部空隙部(206)から前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)を取り外すステップ(720)と、
第2の複合部品を形成するために前記再使用可能なブラダ(208、302、506、604)及び前記硬化ツール(211、316、502、608)を使用して第2の複合材料を硬化させるステップ(722)とを更に含む、
請求項14に記載の方法(700)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複合樹脂部品を製造するための方法及び装置に関し、より詳細には、複合部品を硬化させる際に使用される再使用可能な複合硬化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合樹脂部品は、硬化サイクル中に部品に熱及び圧力を加えるオートクレーブ内で硬化させることができる。いくつかの部品形状は、膨張式ブラダなどのツールが空隙部内に配置されない限り、オートクレーブ圧力下で部品を崩壊させる可能性がある内部空隙部を含む。このような膨張式ブラダは、部品に加えられたオートクレーブ圧力に反作用するように硬化プロセス中に膨張することができる。典型的には、これらの膨張式ブラダは、真空バッグを通してオートクレーブ圧力までそれらを通気することによって加圧される。
【0003】
真空バッグを通して通気するには、望ましくない時間がかかり、シール及び使い捨て真空バッグから廃棄物が発生する可能性がある追加のシーリングが必要である。加えて、真空バッグを通して適切に通気することができないと、再使用可能なブラダが加圧されず、結果として得られる複合部品の品質に望ましくない影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
したがって、上述した問題の少なくともいくつか及び他の可能性のある問題を考慮に入れた方法及び装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、再使用可能な複合硬化システムを提供する。再使用可能な複合硬化システムは、再使用可能なブラダと、再使用可能なブラダにシーリングされた端部取付具と、硬化ツールの支持面から延伸し、硬化ツールの下面又は側面のうちの一方を通って出る通気チャネルを有する硬化ツールとを備える。端部取付具は、再使用可能なブラダの内部と連通する通路と、端部取付具内に固定され、通路と連通する空気圧コネクタの第1の半体とを含む。硬化ツールは、通気チャネル内に固定された空気圧コネクタの第2の半体を有する。空気圧コネクタの第1の半体は、空気圧コネクタの第2の半体を硬化ツール内に保持したまま、かつ空気圧コネクタの第1の半体を端部取付具内に保持したまま、空気圧コネクタの第2の半体から外すことが可能である。
【0006】
本開示の別の実施形態は、再使用可能な複合硬化システムを提供する。再使用可能な複合硬化システムは、オートクレーブ硬化中に複合部品の内部空隙部に圧力を加える再使用可能なブラダと、再使用可能なブラダにシーリングされた端部取付具であって、再使用可能なブラダの内部と連通する通路と、通路と連通し、端部取付具内に固定された空気圧コネクタの第1の半体とを含む端部取付具と、再使用可能なブラダ及び端部取付具の上にシーリングされた再使用可能な真空バッグとを備える。空気圧コネクタの第1の半体は、空気圧コネクタの第1の半体を端部取付具内に保持したまま、空気圧コネクタの第2の半体から外すことが可能である。
【0007】
本開示の別の実施形態は、複合材料を硬化させる方法を提供する。再使用可能なブラダは、再使用可能なブラダにシーリングされた端部取付具内に固定された空気圧コネクタの第1の半体が、硬化ツール内に固定された空気圧コネクタの第2の半体に接続するように、硬化ツールに向かって降下され、空気圧コネクタは、再使用可能なブラダの内部に外圧を提供するための圧力通路を形成する。内部空隙部を有する複合部品を形成するように複合材料を硬化させるために、硬化ツール及び再使用可能なブラダ上に支持された複合材料に熱及び圧力が加えられる。
【0008】
特徴及び機能は、本開示の様々な実施形態において単独で達成することが可能であり、また、以下の説明及び図面を参照するとさらなる詳細を理解することができるさらなる他の実施形態において組み合わせることもできる。
【0009】
例示的な実施形態の特性と考えられる新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、例示的な実施形態並びにその好ましい使用モード、さらなる目的、及び特徴は、添付の図面と併せて読む際に、本開示の例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】例示的な実施形態による製造環境のブロックダイヤグラム図である。
【
図3】例示的な実施形態による、いくつかの部分が仮想線である再使用可能な複合硬化システムの等角図である。
【
図4】例示的な実施形態による、いくつかの部分が仮想線である再使用可能な複合硬化システムの分解断面図である。
【
図5】例示的な実施形態による、硬化のために複合材料を支持している再使用可能な複合硬化システムの等角図である。
【
図6】例示的な実施形態による、複合材料の硬化中の再使用可能な複合硬化システムの断面図である。
【
図7】例示的な実施形態による、複合材料を硬化させる方法のフローチャートである。
【
図8】例示的な実施形態による、ブロックダイヤグラムの形態の航空機の製造及び保守点検方法の図である。
【
図9】例示的な実施形態が実装され得るブロックダイヤグラムの形態の航空機の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、例示的な実施形態による航空機の図が示されている
図1を参照する。航空機100は、本体106に取り付けられた翼102及び翼104を有する。航空機100は、翼102に取り付けられたエンジン108と、翼104に取り付けられたエンジン110とを含む。
【0012】
本体106は尾部セクション112を有する。水平安定板114、水平安定板116、及び垂直安定板118は、本体106の尾部セクション112に取り付けられている。
【0013】
航空機100は、例示的な例の再使用可能な複合硬化システムを使用して形成された複合部品を有することができる航空機の一例である。例えば、翼102、翼104、又は本体106のうちの少なくとも1つは、例示的な例の再使用可能な複合硬化システムを使用して硬化された外皮及び補剛材を有することができる。
【0014】
ここで、例示的な実施形態による製造環境のブロックダイヤグラム図が示されている
図2を参照する。再使用可能な複合硬化システム202は、
図1の航空機100の構成要素を硬化させるために使用することができる。再使用可能な複合硬化システム202は、内部空隙部206を有する複合部品204を形成するために製造環境200内で使用される。
【0015】
再使用可能な複合硬化システム202は、再使用可能なブラダ208と、再使用可能なブラダ208にシーリングされた端部取付具210と、硬化ツール211の支持面214から延伸し、硬化ツール211の下面216又は側面218若しくは側面220のような側面のうちの一方を通って出る通気チャネル212を有する硬化ツール211とを備える。端部取付具210は、再使用可能なブラダ208の内部224と連通する通路222と、端部取付具210内に固定され、通路222と連通する空気圧コネクタ228の第1の半体226とを含む。空気圧コネクタ228の第2の半体230は、通気チャネル212内に固定される。空気圧コネクタ228の第1の半体226は、空気圧コネクタ228の第2の半体230を硬化ツール211内に保持したまま、かつ空気圧コネクタ228の第1の半体226を端部取付具210内に保持したまま、空気圧コネクタ228の第2の半体230から外すことが可能である。
【0016】
第1の半体226は、任意の望ましいタイプの空気圧コネクタ半体の形態をとる。いくつかの例示的な例では、空気圧コネクタ228はクイックコネクタである。これらの例示的な例では、第1の半体226は、雄型クイックコネクタ又は雌型クイックコネクタのどちらか一方とすることができる。
【0017】
第2の半体230は、任意の望ましいタイプの空気圧コネクタ半体の形態をとる。いくつかの例示的な例では、空気圧コネクタ228はクイックコネクタである。これらの例示的な例では、第2の半体230は、雄型クイックコネクタ又は雌型クイックコネクタのどちらか一方とすることができる。いくつかの例示的な例では、空気圧コネクタ228の第1の半体226及び第2の半体230のうちの一方は雌型クイックコネクタであり、第1の半体226及び第2の半体230のうちの他方は雄型クイックコネクタである。
【0018】
図示のように、端部取付具210は、端部取付具210の下面234を貫通して延伸するねじ穴232を備える。ねじ穴232は、端部取付具210の厚さを通って延伸していない。ねじ穴232は通路222内で終端する。空気圧コネクタ228の第1の半体226は、ねじ穴232内に固定される。いくつかの例示的な例では、第1の半体226は、硬化作業中及び硬化作業間に端部取付具210内に固定されたままである。
【0019】
通路222は、空気圧コネクタ228の第1の半体226に空気圧的に接続するように端部取付具210内に延伸する。いくつかの例示的な例では、通路222は、空気圧コネクタ228の第1の半体226に対して垂直に延伸する。いくつかの例示的な例では、通路222は、端部取付具210の長手方向軸に平行に延伸する。いくつかの例示的な例では、通路222は、ねじ穴232に対して垂直に延伸する。
【0020】
圧力通路236は、加圧のために再使用可能なブラダ208の内部224へのアクセスを提供する。いくつかの例示的な例では、通路222、空気圧コネクタ228、及び通気チャネル212は、再使用可能なブラダの内部が外圧238を受けることを可能にする圧力通路236を画定する。
【0021】
端部取付具210は、材料239で形成される。材料239は、オートクレーブ240の熱及び圧力に耐えるように構成された任意の望ましい材料とすることができる。端部取付具210は、複合硬化中に高温及び高圧にさらされたときにその形状を維持するように構成された任意の望ましい材料で形成される。いくつかの例示的な例では、端部取付具210は金属材料242で形成される。
【0022】
オートクレーブ240内での硬化に耐える材料特性244を有する材料239が選択される。端部取付具210と空気圧コネクタ228との間の漏れを低減又は防止するために、空気圧的にシーリングされたままである材料特性244を有する材料239が選択される。再使用可能なブラダ208にシーリングすることができる材料特性244を有する材料239が選択される。
【0023】
端部取付具210を再使用可能なブラダ208に固定するために、シール材246が再使用可能なブラダ208と端部取付具210との間に塗布される。材料239は、シール材246を使用して再使用可能なブラダ208にシーリングするように選択することができる。
【0024】
いくつかの例示的な例では、材料239は、端部取付具210を形成するように機械加工される。例えば、端部取付具210にとって望ましい形状に金属材料を機械加工することができる。いくつかの例示的な例では、端部取付具210用の材料239を印刷又はモールド成形することができる。
【0025】
再使用可能な複合硬化システム202は、硬化ツール211にシーリングされ、再使用可能なブラダ208及び端部取付具210を完全に覆う再使用可能な真空バッグ248を備える。再使用可能な真空バッグ248は、シール250を使用して硬化ツール211にシーリングされる。シール250は、再使用可能な真空バッグ248の周囲を取り囲む。シール250は、再使用可能な真空バッグ248と硬化ツール211との間に密閉容積を形成する。再使用可能な真空バッグ248と硬化ツール211との間の密封容積は、真空チャンバ256と呼ぶことができる。シール250は、任意の望ましい使い捨て又は再使用可能な形態をとることができる。
【0026】
再使用可能な真空バッグ248を硬化ツール211にシーリングした後、内部空隙部206を有する複合部品204を形成するように、複合材料252及び複合材料254を硬化させることができる。複合材料252は、空気圧コネクタ228を使用して端部取付具210を硬化ツール211に接続する前に、硬化ツール211に加えられる。支持面214は平坦に見えるが、支持面214は任意の望ましい幾何学的形状を有することができる。いくつかの例示的な例では、支持面214がほぼ平面であるとき、複合材料252を複合外皮になるように硬化させることができる。いくつかの例示的な例では、支持面214がトラフ又は他の幾何学的特徴を有する場合、内部空隙部206を有する補剛材を形成するように、複合材料252を硬化させることができる。
【0027】
硬化ツール211の設計に応じて、複合外皮又は複合補剛材のいずれかを形成するように、複合材料254を硬化させることができる。再使用可能なブラダ208は、オートクレーブ硬化中に複合部品204の内部空隙部206に圧力を加えるように構成される。再使用可能なブラダ208によって加えられる圧力は、再使用可能な真空バッグ248の下での圧力よりも大きい。硬化ツール211及び再使用可能なブラダ208の幾何学的形状は、内部空隙部206を有する任意の望ましい設計を有する複合部品204を形成するように修正することができる。
【0028】
再使用可能な複合硬化システム202及び使用方法は、複合硬化のための再使用可能な真空バッグ248の使用を可能にする。例示的な例は、高速製造を可能にする。再使用可能な真空バッグ248を使用することにより、真空バッグをシーリングする時間が短縮される。再使用可能なブラダ208の内部224を加圧するために圧力通路236を使用することにより、再使用可能な真空バッグ248の使用が可能になる。例示的な例は、複合硬化の持続可能性を高める。例示的な例は、端部取付具210及び硬化ツール211に空気圧コネクタ228を設ける。再使用可能なブラダ208を硬化ツール211に適用するとき、空気圧コネクタ228は割り出しし、迅速に接続する。再使用可能なブラダ208に加圧を提供するための空気圧コネクタ228の使用は、再使用可能な真空バッグ248を硬化ツール211にシーリングするための準備時間の短縮、コストの削減、又はより少ない使い捨てリソースを使用することによる持続可能性の向上のうちの少なくとも一方を提供することができる。
【0029】
空気圧コネクタ228は、再使用可能なブラダ208と硬化ツール211との間の接続を迅速に、追加のツーリングなしで提供する。空気圧コネクタ228はまた、硬化ツール211に対する再使用可能なブラダ208の割り出しを提供することができる。
【0030】
図2の製造環境200の図は、例示的な実施形態が実装され得る方法に対する物理的又は構造的な制限を示すことを意味するものではない。図示の構成要素に加えて、又は図示の構成要素の代わりに他の構成要素が使用されてもよい。いくつかの構成要素は不要であり得る。また、ブロックは、いくつかの機能的構成要素を示すために示されている。これらのブロックのうちの1つ又は複数は、例示的な実施形態で実装されるときに異なるブロックに組み合わされてもよいし、分割されてもよいし、又は組み合わされてから分割されてもよい。
【0031】
例えば、いくつかの例示的な例では、再使用可能な真空バッグ248を硬化ツール211にシールするのに、単一のシールであるシール250の代わりに、複数のシールを使用することができる。いくつかの例示的な例では、シール250はインターロッキングシールの第1の部分であり、インターロッキングシールの第2の部分(図示せず)は再使用可能な真空バッグ248に接続される。
【0032】
ここで
図3を参照すると、例示的な実施形態による、いくつかの部分が仮想線である再使用可能な複合硬化システムの等角図が示されている。再使用可能な複合硬化システム300は、
図2の再使用可能な複合硬化システム202の物理的実装形態である。
【0033】
再使用可能な複合硬化システム300は、再使用可能なブラダ302と、再使用可能なブラダ302にシーリングされた端部取付具304と、硬化ツール316の支持面318から延伸し、硬化ツール316の下面320を通って出る通気チャネル314を有する硬化ツール316とを備える。端部取付具304は、再使用可能なブラダ302の内部303と連通する通路306を備える。端部取付具304は、端部取付具304内に固定され、通路306と連通する空気圧コネクタ311の第1の半体310を更に備える。この例示的な例では、空気圧コネクタ311の第1の半体310は、ねじ穴308内に固定される。ねじ穴308は、通路306と連通する。
【0034】
空気圧コネクタ311の第2の半体312は、通気チャネル314内に固定される。空気圧コネクタ311の第1の半体310は、空気圧コネクタ311の第2の半体312を硬化ツール316内に保持したまま、かつ空気圧コネクタ311の第1の半体310を端部取付具304内に保持したまま、空気圧コネクタ311の第2の半体312から外すことが可能である。
【0035】
この例示的な例では、空気圧コネクタ311の第1の半体310は、雌型クイックコネクタである。空気圧コネクタ311の第1の半体310は、任意の望ましい形態をとることができる。いくつかの他の例示的な例では、空気圧コネクタ311の第1の半体310は雄型コネクタである。いくつかの他の例示的な例では、空気圧コネクタ311の第1の半体310は図示のものとは異なる雌型コネクタの設計を有することができる。
【0036】
この例示的な例では、空気圧コネクタ311の第2の半体312は、雄型クイックコネクタである。空気圧コネクタ311の第2の半体312は、任意の望ましい形態をとることができる。いくつかの他の例示的な例では、空気圧コネクタ311の第2の半体312は雌型コネクタである。いくつかの他の例示的な例では、空気圧コネクタ311の第2の半体312は図示のものとは異なる雄型コネクタの設計を有することができる。
【0037】
複合材料の硬化中に再使用可能なブラダ302の内部303に外圧を加えるために、空気圧コネクタ311の第1の半体310は、空気圧コネクタ311の第2の半体312に接続される。第1の半体310を第2の半体312に接続することにより、圧力通路が形成される。圧力通路は、通路306、ねじ穴308、空気圧コネクタ311の第1の半体310、空気圧コネクタ311の第2の半体312、及び通気チャネル314によって形成される。
【0038】
図3の再使用可能な複合硬化システム300の図は、例示的な実施形態が実装され得る方法に対する物理的又は構造的な制限を示すことを意味するものではない。再使用可能なブラダ302及び端部取付具304は台形断面を有するが、再使用可能なブラダ302及び端部取付具304は、任意の望ましい形状を有することができる。加えて、硬化ツール316が、平坦な形成面318を有するものとして示されているが、他の例示的な例では、硬化ツール316にトラフが存在してもよい。再使用可能なブラダ302が、硬化ツール316の上に置かれているように示されているが、他の例示的な例では、再使用可能なブラダ302は、硬化ツール316のトラフ内の複合材料の上に配置することができる。
【0039】
ここで
図4を参照すると、例示的な実施形態による、いくつかの部分が仮想線である再使用可能な複合硬化システムの分解断面図が示されている。ビュー400は、
図3の再使用可能な複合硬化システム300の分解断面図である。ビュー400では、空気圧コネクタ311の第1の半体310は、ねじ穴308をよりよく見せるために、ねじ穴308から取り出されている。位置決め及び作業中、空気圧コネクタ311の第1の半体310は、ねじ穴308内に固定されたままである。
【0040】
ビュー400では、空気圧コネクタ311の第2の半体312は、通気チャネル314をよりよく見せるために、通気チャネル314から取り出されている。位置決め及び作業中、空気圧コネクタ311の第2の半体312は、通気チャネル314内に固定されたままである。
【0041】
図示のように、再使用可能なブラダ302は、端部取付具304の外面402にシールされている。図示のように、再使用可能なブラダ302が端部取付具304の外面402にシールされることによって、端部取付具304の一部分が再使用可能なブラダ302の内部303内に延伸する。
【0042】
ここで
図5を参照すると、例示的な実施形態による、硬化のために複合材料を支持している再使用可能な複合硬化システムの等角図が示されている。ビュー500は、硬化のための複合材料を支持する再使用可能な複合硬化システム501の等角図である。再使用可能な複合硬化システム501は、硬化ツール502と、端部取付具504に接続された再使用可能なブラダ506とを備える。この例示的な例では、複合材料508は硬化ツール502によって支持されている。複合材料508は、複合外皮の形態をとる。複合材料510は、再使用可能なブラダ506によって支持されている。複合材料510は、内部空隙部を有する補剛材を形成する。
【0043】
ここで
図6を参照すると、例示的な実施形態による、複合材料の硬化中の再使用可能な複合硬化システムの断面図が示されている。ビュー600は、複合材料の硬化中の再使用可能な複合硬化システム601の断面図である。ビュー600では、オートクレーブ602は、複合材料618及び複合材料620を硬化させるために使用される。再使用可能な複合硬化システム601は、端部取付具606にシーリングされた再使用可能なブラダ604と、硬化ツール608とを備える。再使用可能なブラダ604は、複合材料620を支持している。硬化ツール608は、複合材料618を支持している。
【0044】
端部取付具606は、再使用可能なブラダ604の内部の加圧を可能にするように、硬化ツール608と接合される。再使用可能な真空バッグ610は、シール614及びシール616によって硬化ツール608にシーリングされる。再使用可能なブラダ604は、再使用可能な真空バッグ610を通って通気することなく、オートクレーブ602内の圧力612によって加圧される。再使用可能なブラダ604は、圧力通路621を通ってオートクレーブ602内の圧力612によって加圧される。圧力通路621は、再使用可能なブラダ604の内部が圧力612を受けることを可能にする。
【0045】
圧力通路621は、通路622、空気圧コネクタ627、及び通気チャネル624によって画定される。通気チャネル624は、硬化ツール608を通って延伸する。空気圧コネクタ627の第2の半体626は、通気チャネル624内に固定される。空気圧コネクタ627の第1の半体628は、ねじ穴630内に固定される。通路622は、再使用可能なブラダ604と平行に端部取付具606内に延伸する。通路622は、端部取付具606内のねじ穴630に接続する。通路622は、空気圧コネクタ627の第1の半体628に対して垂直である。図示のように、空気圧コネクタ627の第1の半体628は雌型コネクタであり、空気圧コネクタ627の第2の半体626は雄型コネクタである。
【0046】
通気チャネル624が、支持面632を通って下面634まで延伸するように示されているが、他の例示的な例では、通気チャネルは、圧力612が再使用可能なブラダ604の内部にアクセスすることを可能にするように、側面636又は側面638を通って延伸することができる。いくつかの例示的な例では、圧力612は、圧力612が再使用可能な真空バッグ610と硬化ツール608との間に形成された真空チャンバの外側にあるので、外圧と呼ばれる。
【0047】
ここで
図7を参照すると、例示的な実施形態による、複合材料を硬化させる方法のフローチャートが示されている。方法700は、
図1の航空機100の構成要素を形成するために使用することができる。方法700は、
図2の再使用可能な複合硬化システム202を使用して実行することができる。方法700は、
図3及び
図4の再使用可能な複合硬化システム300を使用して実行することができる。方法700は、
図5の再使用可能な複合硬化システム501を使用して実行することができる。方法700は、
図6の再使用可能な複合硬化システム601を使用して実行することができる。
【0048】
方法700は、再使用可能なブラダにシーリングされた端部取付具内に固定された空気圧コネクタの第1の半体が硬化ツール内に固定された空気圧コネクタの第2の半体に接続するように、再使用可能なブラダを硬化ツールに向かって降下させ、空気圧コネクタは、再使用可能なブラダの内部に外圧を提供するための圧力通路を形成する(操作702)。空気圧コネクタの第1の半体は、再使用可能なブラダを降下させる前に端部取付具内に固定される。いくつかの例示的な例では、方法700は、再使用可能なブラダを降下させる前に、端部取付具内に空気圧コネクタの第1の半体を固定する。端部取付具は、再使用可能なブラダを降下させる前に再使用可能なブラダにシーリングされる。いくつかの例示的な例では、方法700は、端部取付具を再使用可能なブラダにシーリングする。結果として、端部取付具及び空気圧コネクタの第1の半体を有する再使用可能なブラダは、単一の構成要素として硬化ツールに向かって降下される。空気圧コネクタの第2の半体は、再使用可能なブラダを硬化ツールに向かって降下させる前に硬化ツールに固定される。いくつかの例示的な例では、方法700は、再使用可能なブラダを降下させる前に、硬化ツールに空気圧コネクタの第2の半体を固定する。再使用可能なブラダを硬化ツールに向かって降下させることにより、空気圧コネクタの第1の半体は、空気圧コネクタの第2の半体に接続する。いくつかの例示的な例では、空気圧コネクタはクイックコネクタである。
【0049】
方法700は、硬化ツール及び再使用可能なブラダ上に支持された複合材料に熱及び圧力を加えることによって、内部空隙部を有する複合部品を形成するように複合材料を硬化させる(操作704)。
【0050】
いくつかの例示的な例では、方法700は、再使用可能なブラダの周りに複合材料を巻き付ける(操作706)。いくつかの例示的な例では、再使用可能なブラダは、結果として得られる複合部品の内部空隙部を形成する。いくつかの例示的な例では、再使用可能なブラダを降下させることは、複合材料及び再使用可能なブラダを硬化ツール上に配置することを含む(操作708)。
【0051】
いくつかの例示的な例では、方法700は、硬化ツール上に複合材料を配置する(操作710)。いくつかの例示的な例では、硬化ツール上に配置された複合材料は、得られる複合部品内の複合外皮である。いくつかの例示的な例では、硬化ツール上に配置された複合材料は、得られる複合部品内の補剛材を形成するように、トラフ内に配置される。いくつかの例示的な例では、再使用可能なブラダを硬化ツールに向かって降下させることは、硬化ツール上の複合材料上に再使用可能なブラダを位置決めすることを含む(操作712)。
【0052】
いくつかの例示的な例では、方法700は、再使用可能なブラダを硬化ツールに向かって降下させた後、硬化ツール上の再使用可能なブラダの上に複合材料を加える(操作714)。いくつかの例示的な例では、再使用可能なブラダの上に加えられた複合材料は、得られる複合部品内の複合外皮を形成する。
【0053】
いくつかの例示的な例では、方法700は、再使用可能な真空バッグを硬化ツールに、かつ端部取付具及び再使用可能なブラダの上にシーリングする(操作716)。再使用可能なブラダを加圧するための通気口は、再使用可能な真空バッグ内に配置されない。再使用可能な真空バッグをシーリングすることにより、再使用可能な真空バッグと硬化ツールとの間に真空チャンバが形成される。硬化されることになる複合材料は、真空チャンバ内に位置決めされる。
【0054】
いくつかの例示的な例では、方法700は、圧力通路によってブラダの内部を外圧にさらすことによって再使用可能なブラダを加圧する(操作718)。外圧は、真空チャンバの外側にある圧力である。再使用可能な複合硬化システムがオートクレーブ内に存在するとき、外圧はオートクレーブ内の圧力である。他の例示的な例では、再使用可能なブラダの内部に圧力を加えるために、ポンプ又は他の圧力源などの圧力供給源が硬化ツールに接続される。
【0055】
いくつかの例示的な例では、方法700は、複合部品の内部空隙部から再使用可能なブラダを取り外す(操作720)。いくつかの例示的な例では、方法700は、第2の複合部品を形成するために再使用可能なブラダ及び硬化ツールを使用して第2の複合材料を硬化させる(操作722)。これらの例示的な例では、複合部品の内部空隙部から取り外された後、再使用可能なブラダ及び硬化ツールは、複合部品を硬化させるために繰り返し使用される。
【0056】
本明細書で使用される「のうちの少なくとも1つ(at least one of)」という語句は、アイテムのリストと共に使用されるとき、列挙されたアイテムのうちの1つ又は複数の様々な組合せが使用されてもよいが、必要とされ得るのはリスト内の各アイテムのうちの1つのみであることを意味する。例えば、「アイテムA、アイテムB、又はアイテムCのうちの少なくとも1つ」は、アイテムA、アイテムA及びアイテムB、又はアイテムBを含み得るが、これらに限定されない。また、この例は、アイテムA、アイテムB、及びアイテムC又はアイテムB及びアイテムCを含み得る。もちろん、これらのアイテムの任意の組合せがあってもよい。他の例では、「のうちの少なくとも1つ」は、例えば、2つのアイテムA、1つのアイテムB、及び10個のアイテムC、4つのアイテムB及び7つのアイテムC、又は他の適切な組合せであり得るが、これらに限定されない。アイテムは、特定のオブジェクト、物、又はカテゴリであってもよい。言い換えれば、「のうちの少なくとも1つ」は、リストからのアイテムの任意の組合せ及び複数のアイテムが使用され得るが、リスト内のアイテムのすべてが必要なわけではないことを意味する。
【0057】
本明細書で使用される「複数の(a number of)」は、アイテムに関して使用されるとき、1つ又は複数のアイテムを意味する。
【0058】
図示の様々な実施形態におけるフローチャート及びブロックダイヤグラムは、例示的な実施形態における装置及び方法のいくつかの可能な実施態様のアーキテクチャ、機能性、及び操作を示している。これに関して、フローチャート又はブロックダイヤグラムにおける各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、又は操作若しくはステップの一部分のうちの少なくとも1つを表し得る。
【0059】
例示的な実施形態のいくつかの代替的な実施態様では、ブロックに記載されている機能又は複数の機能は、図に記載されている順序から外れて実行されてもよい。例えば、いくつかのケースでは、連続して示されている2つのブロックは、関連する機能性に応じて、ほぼ同時に実行されてもよいし、場合によっては逆の順序で実行されてもよい。また、フローチャート又はブロックダイヤグラムの図示のブロックに加えて、他のブロックが追加されてもよい。いくつかのブロックは任意選択であってもよい。例えば、操作706~操作722は任意選択であってもよい。
【0060】
本開示の例示的な実施形態は、
図8に示すような航空機の製造及び保守点検方法800並びに
図9に示すような航空機900に関連して説明され得る。まず
図8を参照すると、例示的な実施形態による、ブロックダイヤグラムの形態の航空機の製造及び保守点検方法の図が示されている。製造前段階では、航空機の製造及び保守点検方法800は、
図9の航空機900の仕様及び設計802並びに材料調達804を含み得る。
【0061】
製造中に、航空機900の構成要素及び部分組立品の製造806並びにシステム統合808が行われる。その後、航空機900は、就航812のために認証及び搬送810がなされ得る。客先による就航812中に、航空機900は、改修、再構成、改造、又は他の整備及び保守点検を含み得る定期的な整備及び保守点検814が予定される。
【0062】
航空機の製造及び保守点検方法800の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータによって実行又は遂行されてもよい。これらの例では、オペレータは客先であってもよい。この説明のために、システムインテグレータは、任意の数の航空機の製造業者及び主要システム下請け業者を含んでもよいが、これらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請け業者、及び供給業者を含んでもよいが、これらに限定されず、オペレータは、航空会社、リース会社、軍隊、及び保守点検業者などであってもよい。
【0063】
ここで
図9を参照すると、例示的な実施形態が実装され得るブロックダイヤグラムの形態の航空機の図が示されている。この例では、航空機900は、
図8の航空機の製造及び保守点検方法800によって製造され、複数のシステム904及び内部906と共に機体902を含み得る。システム904の例は、推進システム908、電気システム910、油圧システム912、及び環境システム914のうちの1つ又は複数を含む。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。
【0064】
本明細書で具体化されている装置及び方法は、航空機の製造及び保守点検方法800の諸段階のうちの少なくとも1つの間中に用いられ得る。
図8の構成要素及び部分組立品の製造806、システム統合808、就航812、又は整備及び保守点検814のうちの少なくとも1つの間中、1つ又は複数の例示的な実施形態が製造又は使用され得る。
【0065】
例示的な例は、複合硬化のための再使用可能な真空バッグの使用を可能にする再使用可能な複合硬化システム及び方法を提供する。例示的な例は、真空バッグをシーリングする時間を短縮することによって、複合硬化の高速製造を可能にする。例示的な例は、複合硬化の持続可能性を高める。例示的な例は、再使用可能なブラダ及び硬化ツール内の空気圧コネクタを提供する。再使用可能なブラダを硬化ツールに適用するとき、空気圧コネクタは割り出しし、迅速に接続する。
【0066】
例示的な例は、速度及び持続可能性を改善し、時間を節約し、プロセスの堅牢性を高める再使用可能な真空バッグの使用を可能にする。空気圧コネクタ間の接続は粘着テープよりも堅牢である。例示的な例は、再使用可能なブラダ上に金属製端部取付具を利用する。いくつかの例示的な例では、硬化ツールは、貫通孔通気チャネルを備える。いくつかの例示的な例では、貫通孔通気チャネルは、単純な機械加工によって作成することができる。
【0067】
硬化ツールの通気チャネルと端部取付具のねじ穴にクイックディスコネクトが取り付けられる。ねじ穴は、端部取付具内に部分的に延伸する。ねじ穴は、ねじ穴から離れるように延伸する通路に空気圧的に接続する。
【0068】
異なる例示的な実施形態の説明は、例示及び説明のために提示されたものであり、網羅的であること又は開示された形態の実施形態に限定されることを意図するものではない。当業者には多くの修正及び変形は明らかであろう。更に、異なる例示的な実施形態は、他の例示的な実施形態と比較して異なる特徴を提供し得る。選択された実施形態又は複数の実施形態は、実施形態の原理、実際の適用を最もよく説明するために、及び、考えられる特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な実施形態の開示を他の当業者が理解できるようにするために選択され説明されている。
【符号の説明】
【0069】
300 再使用可能な複合硬化システム
302 再使用可能なブラダ
303 内部
304 端部取付具
306 通路
308 ねじ穴
310 第1の半体
311 空気圧コネクタ
312 第2の半体
314 通気チャネル
316 硬化ツール
318 支持面(平坦な形成面)
320 下面
501 再使用可能な複合硬化システム
502 硬化ツール
504 端部取付具
506 再使用可能なブラダ
508,510 複合材料
601 再使用可能な複合硬化システム
602 オートクレーブ
604 再使用可能なブラダ
606 端部取付具
608 硬化ツール
610 再使用可能な真空バッグ
612 圧力
614,616 シール
618,620 複合材料
621 圧力通路
622 通路
624 通気チャネル
626 第2の半体
627 空気圧コネクタ
628 第1の半体
630 ねじ穴
【外国語明細書】