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特開2024-180299映像処理方法、及び映像処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180299
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】映像処理方法、及び映像処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/74 20060101AFI20241219BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20241219BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241219BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20241219BHJP
   H04N 9/31 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H04N9/74 A
G03B21/14 E
G09G5/00 550C
G09G5/02 B
G09G5/00 555D
H04N9/31 820
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024076219
(22)【出願日】2024-05-09
(31)【優先権主張番号】P 2023099103
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】林 賢悟
(72)【発明者】
【氏名】島崎 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】杉山 典三
【テーマコード(参考)】
2K203
5C060
5C066
5C182
【Fターム(参考)】
2K203FA82
2K203FA93
2K203FB03
2K203GB43
2K203GB62
2K203GB69
2K203KA56
2K203MA23
5C060GA01
5C060GB02
5C060JA13
5C060JA18
5C066AA03
5C066AA15
5C066CA13
5C066EA13
5C066EB01
5C066ED01
5C066KD01
5C066KD06
5C182AA04
5C182AB02
5C182AB08
5C182AC03
5C182BA01
5C182BA14
5C182BA26
5C182BB04
5C182BB05
5C182BC22
5C182BC25
5C182BC26
5C182CA21
5C182CA36
5C182CB52
5C182DA02
5C182DA53
(57)【要約】
【課題】複数の映像出力装置からそれぞれ出力される複数の映像の色の調整を行いやすくすること。
【解決手段】映像処理方法では、複数の映像出力装置1がそれぞれ出力する複数の映像を含む一の映像を撮像装置で撮像して得られる撮像情報を取得し(S201)、撮像情報に基づいて、1以上の映像出力装置1が出力する映像の色を調整するための第1調整値を算出し(S202)、複数の映像のそれぞれの色を測定することで得られる複数の色情報を取得し(S203)、複数の色情報及び第1調整値に基づいて、1以上の映像出力装置1が出力する映像の色を調整するための第2調整値を算出し(S205)、第1調整値を1以上の映像出力装置1に適用することで得られる第1映像、及び第2調整値を1以上の映像出力装置1に適用することで得られる第2映像のいずれか一方を、一の映像として複数の映像出力装置1に出力させる(S206)。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の映像出力装置がそれぞれ出力する複数の映像を一の映像として撮像装置で撮像して得られる画像を含む撮像情報を取得し、
前記撮像情報に基づいて、前記複数の映像出力装置のうちの1以上の映像出力装置の各々が出力する映像の色を調整するための第1調整値を算出し、
前記複数の映像のそれぞれの色を測定することで得られる複数の色情報を取得し、
前記複数の色情報及び前記第1調整値に基づいて、前記1以上の映像出力装置の各々が出力する映像の色を調整するための第2調整値を算出し、
前記第1調整値を前記1以上の映像出力装置に適用することで得られる第1映像、及び前記第2調整値を前記1以上の映像出力装置に適用することで得られる第2映像のいずれか一方を、前記一の映像として前記複数の映像出力装置に出力させる、
映像処理方法。
【請求項2】
ユーザによる入力に応じて、前記第1映像及び前記第2映像のいずれか一方を、前記一の映像として前記複数の映像出力装置に出力させる、
請求項1に記載の映像処理方法。
【請求項3】
前記複数の色情報の各々は、対応する映像出力装置が出力する光のスペクトルを示す分光情報である、
請求項1又は2に記載の映像処理方法。
【請求項4】
前記複数の色情報の各々は、対応する映像出力装置が出力する光のスペクトルを基に表色系を用いて算出した表色値である、
請求項1又は2に記載の映像処理方法。
【請求項5】
前記第2調整値を算出する処理では、前記複数の色情報の差分に基づくオフセット値を算出し、算出した前記オフセット値及び前記第1調整値に基づいて、前記第2調整値を算出する、
請求項1又は2に記載の映像処理方法。
【請求項6】
前記複数の色情報を取得する処理では、前記複数の映像出力装置がそれぞれ有する複数の記憶部から前記複数の色情報を取得する、
請求項1又は2に記載の映像処理方法。
【請求項7】
前記複数の色情報を取得する処理では、ネットワークを介してサーバ装置から前記複数の色情報を取得する、
請求項1又は2に記載の映像処理方法。
【請求項8】
前記第2映像を前記一の映像として前記複数の映像出力装置に出力させ、かつ、前記第1映像をネットワークを介して配信される配信映像として出力させる、
請求項1又は2に記載の映像処理方法。
【請求項9】
前記第1調整値は、前記複数の映像がいずれも同じ映像である場合に、前記撮像装置で撮像された画像において前記複数の映像のそれぞれの色が近づくように調整するための値であり、
前記第2調整値は、前記複数の映像がいずれも同じ映像である場合に、前記一の映像を直視した際に前記複数の映像のそれぞれの色が近づくように調整するための値である、
請求項1又は2に記載の映像処理方法。
【請求項10】
複数の映像出力装置がそれぞれ出力する複数の映像を含む一の映像を撮像装置で撮像して得られる画像を含む撮像情報を取得する第1取得部と、
前記複数の映像のそれぞれの色を測定することで得られる複数の色情報を取得する第2取得部と、
処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記第1取得部が取得した前記撮像情報に基づいて、前記複数の映像出力装置のうちの1以上の映像出力装置の各々が出力する映像の色を調整するための第1調整値を算出し、
前記第2取得部が取得した前記複数の色情報及び前記第1調整値に基づいて、前記1以上の映像出力装置の各々が出力する映像の色を調整するための第2調整値を算出し、
前記第1調整値を前記1以上の映像出力装置に適用することで得られる第1映像、及び前記第2調整値を前記1以上の映像出力装置に適用することで得られる第2映像のいずれか一方を、前記一の映像として前記複数の映像出力装置に出力させる、
映像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像処理方法、及び映像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プロジェクタが開示されている。このプロジェクタは、測定部と、補正パラメータ生成部と、を備えている。測定部は、RGB表色系を構成する複数の色、及びXYZ表色系のZ値を測定する。補正パラメータ生成部は、測定部が測定したRGB表色系の色の測定値をXYZ表色系の色に変換した第1測定値と、測定部が測定したXYZ表色系の第2測定値とに基づき補正パラメータを生成する。測定部は、RGB表色系の色光の波長域において、青色光のスペクトル特性に対応した透過率特性を有する光学フィルターを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-34741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、複数の映像出力装置からそれぞれ出力される複数の映像の色の調整を行いやすい映像処理方法等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る映像処理方法では、複数の映像出力装置がそれぞれ出力する複数の映像を一の映像として撮像装置で撮像して得られる画像を含む撮像情報を取得する。前記映像処理方法では、前記撮像情報に基づいて、前記複数の映像出力装置のうちの1以上の映像出力装置の各々が出力する映像の色を調整するための第1調整値を算出する。前記映像処理方法では、前記複数の映像のそれぞれの色を測定することで得られる複数の色情報を取得する。前記映像処理方法では、前記複数の色情報及び前記第1調整値に基づいて、前記1以上の映像出力装置の各々が出力する映像の色を調整するための第2調整値を算出する。前記映像処理方法では、前記第1調整値を前記1以上の映像出力装置に適用することで得られる第1映像、及び前記第2調整値を前記1以上の映像出力装置に適用することで得られる第2映像のいずれか一方を、前記一の映像として前記複数の映像出力装置に出力させる。
【発明の効果】
【0006】
本開示は、複数の映像出力装置からそれぞれ出力される複数の映像の色の調整を行いやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、比較例の映像処理方法の概要の説明図である。
図2図2は、分光感度特性の説明図である。
図3図3は、比較例の映像処理方法の課題の説明図である。
図4図4は、実施の形態に係る映像処理システムを含む全体構成を示す概要図である。
図5図5は、実施の形態に係る投写装置における分光情報の測定の説明図である。
図6図6は、実施の形態に係る投写装置における分光情報の測定例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態に係る映像処理システムの動作例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施の形態に係る映像処理システムのユーザインタフェースの一例を示す図である。
図9図9は、実施の形態に係る映像処理システムのユーザインタフェースの他の一例を示す図である。
図10図10は、実施の形態の第1変形例に係る映像処理システムを含む全体構成を示す概要図である。
図11図11は、実施の形態の第2変形例に係る映像処理システムを含む全体構成を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.本開示の基礎となった知見]
まず、発明者らの着眼点が下記に説明される。
【0009】
従来、複数の投写装置(プロジェクタ)によりスクリーン等の表示面に投写された複数の映像を一の映像として、撮像装置により当該一の映像を撮像し、撮像画像を用いて当該一の映像の色の調整を行う映像処理方法(以下、「比較例の映像処理方法」と称する)が知られている。
【0010】
図1は、比較例の映像処理方法の概要の説明図である。比較例の映像処理方法では、図1に示すように、複数の映像出力装置1(ここでは、第1投写装置1A及び第2投写装置1B)それぞれからスクリーン3の表示面30に映像を投写することで、一の映像を表示面30に投写させている。つまり、第1投写装置1Aは、一の映像のうちの左半分の映像を表示面30の左半分の領域に投写し、第2投写装置1Bは、一の映像のうちの右半分の映像を表示面30の右半分の領域に投写している。そして、撮像装置2は、表示面30に投写された一の映像を撮像する。
【0011】
比較例の映像処理方法では、撮像装置2により撮像して得られた撮像画像に基づいて、第1投写装置1Aにより投写された映像の色と、第2投写装置1Bにより投写された映像の色とを調整する。具体的には、例えば同じテストパターンを第1投写装置1A及び第2投写装置1Bそれぞれから表示面30に投写し、表示面30を撮像装置2により撮像する。そして、撮像画像のうち第1投写装置1Aから投写されたテストパターンに対応する領域(ここでは、撮像画像の左半分の領域)のRGB値と、第2投写装置1Bから投写されたテストパターンに対応する領域(ここでは、撮像画像の右半分の領域)のRGB値とが同じになるように、第1投写装置1A及び第2投写装置1Bの少なくとも一方の出力する映像に対して色補正を行う。
【0012】
このように、比較例の映像処理方法では、上述のように色補正を行うことで、撮像画像において第1投写装置1Aが投写する映像に対応する領域の色と、第2投写装置1Bが投写する映像に対応する領域の色とが概ね同じになる。そして、上述のように色補正を行うことで、基本的には、人が表示面30を直視した場合(言い換えれば、一の映像を直視した場合)に、第1投写装置1Aが投写する映像の色と、第2投写装置1Bが投写する映像の色とが概ね同じになる。
【0013】
ここで、比較例の映像処理方法では、第1投写装置1Aの出力する光の分光特性と、第2投写装置1Bの出力する光の分光特性とが同じである場合に、上述のような色補正が可能である。しかしながら、比較例の映像処理方法では、第1投写装置1Aの出力する光の分光特性と、第2投写装置1Bの出力する光の分光特性とが互いに異なる場合に、上述のような色補正が難しい、という課題がある。例えば、第1投写装置1Aと第2投写装置1Bとで機種が互いに異なる場合、第1投写装置1Aと第2投写装置1Bとで出力する光の分光特性が互いに異なり得る。また、第1投写装置1Aと第2投写装置1Bとが同じ機種である場合も、例えば製造時のばらつき等により、第1投写装置1Aと第2投写装置1Bとで出力する光の分光特性が互いに異なり得る。
【0014】
以下、上記の課題について説明する。図2は、分光感度特性の説明図である。図2の(a)は、人の目の分光感度特性の一例を示す図であり、図2の(b)は、撮像装置2が備えるイメージセンサの分光感度特性の一例を示す図である。ここで、人の目の分光感度特性は、例えば国際照明委員会(Commission internationale de l'eclairage:CIE)により定められた標準分光視感効率関数である。
【0015】
図2において、縦軸は相対感度を、横軸は波長を表している。また、図2において、破線はS錐体(青色)に対応する分光感度特性を、実線はM錐体(緑色)に対応する分光感度特性を、点線はL錐体(赤色)に対応する分光感度特性を表している。図2に示すように、人の目の分光感度特性と、撮像装置2のイメージセンサの分光感度特性とは、互いに異なっている。
【0016】
図3は、比較例の映像処理方法の課題の説明図である。図3において、上の行は、撮像装置2により撮像された撮像画像において第1投写装置1Aが投写する映像に対応する領域の色と、第2投写装置1Bが投写する映像に対応する領域の色と、を表している。また、図3において、下の行は、人が表示面30を直視した場合における第1投写装置1Aが投写する映像の色と、第2投写装置1Bが投写する映像の色と、を表している。なお、図3においては、ハッチングの種類の違いにより色の違いを表している。
【0017】
ここで、映像の色は、映像出力装置(投写装置)1が出力する光のスペクトルと、当該光を受ける人の目の分光感度特性又はイメージセンサの分光感度特性とに基づいて定まる。そして、複数の投写装置1(ここでは、第1投写装置1A及び第2投写装置1B)の各々が出力する光のスペクトルが互いに異なる場合でも、比較例の映像処理方法では、図3の上の行に示すように、撮像画像においては、第1投写装置1Aが投写する映像に対応する領域の色と、第2投写装置1Bが投写する映像に対応する領域の色とが概ね同じになる。一方、比較例の映像処理方法では、図3の下の行に示すように、人が表示面30を直視した場合における第1投写装置1Aが投写する映像の色と、第2投写装置1Bが投写する映像の色とが互いに異なってしまう。
【0018】
したがって、比較例の映像処理方法では、撮像画像では一の映像の色が均一に見えるのに対して、表示面30を目視すると一の映像の色が左半分の領域と右半分の領域とで互いに異なってしまう。比較例の映像処理方法では、この現象を低減するために、青色光のスペクトル特性に対応した透過率特性を有する光学フィルタを備えた撮像装置2を用いているが、緑色光及び赤色光については対策を行っていない。また、上記の光学フィルタが特殊な光学フィルタであることから、一般的な撮像装置を用いることができないという課題もある。このように、比較例の映像処理方法では、複数の映像出力装置(投写装置)1からそれぞれ出力される複数の映像の色の調整を行いにくい場合がある、という課題がある。
【0019】
以上を鑑み、発明者らは本開示を創作するに至った。
【0020】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0021】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0022】
(実施の形態)
[2.構成]
[2-1.全体構成]
まず、実施の形態に係る映像処理システム100を含む全体構成について説明する。図4は、実施の形態に係る映像処理システム100を含む全体構成を示す概要図である。映像処理システム100は、複数の映像出力装置1がそれぞれ出力する複数の映像の色を調整するシステムである。実施の形態では、映像処理システム100は、複数の映像出力装置1と、撮像装置2と、スクリーン3と共に用いられる。実施の形態では、複数の映像出力装置1は、いずれも投写装置である。以下では、特に断りのない限り、「映像出力装置1」を「投写装置1」と称する。また、実施の形態では、複数の投写装置1は、第1投写装置1A及び第2投写装置1Bである。
【0023】
投写装置1は、プロジェクタ機能を有する装置であって、再生装置(図示せず)から送信される映像信号に含まれる映像データに基づいて、スクリーン3の表示面30に映像を投写する。なお、投写装置1は、スクリーン3の表示面30に映像を投写する態様に限らず、例えば壁面等のスクリーン以外の構造物の一面を表示面30として映像を投写する態様であってもよい。
【0024】
再生装置は、例えばDVD(Digital Versatile Disc。登録商標)又はBD(Blu-ray(登録商標) Disc)等の光学メディアに記録された映像を再生する機能を有する装置である。なお、再生装置は、例えばHDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置に記録された映像を再生する機能を有する装置であってもよい。
【0025】
実施の形態では、表示面30には、複数の投写装置1がそれぞれ出力する複数の映像からなる一の映像が投写される。具体的には、第1投写装置1Aは、当該一の映像のうちの左半分の映像を表示面30の左半分の領域に投写する。また、第2投写装置1Bは、当該一の映像のうちの右半分の映像を表示面30の右半分の領域に投写する。これにより、表示面30には、第1投写装置1Aから投写される映像と、第2投写装置1Bから投写される映像とを合成した一の映像が投写される。
【0026】
投写装置1は、投写部101と、出力部102と、入力部103と、記憶部104と、を備えている。
【0027】
投写部101は、再生装置から送信される映像信号に従って、表示面30に映像を投写する。実施の形態では、投写部101は、入力部103に入力された補正データに従って出力する映像の色補正を行い、色補正された映像を表示面30に投写する。詳しくは後述するが、入力部103に入力される補正データは、第1調整値及び第2調整値のいずれか一方である。したがって、投写部101は、第1調整値を用いて色補正された映像、及び第2調整値を用いて色補正された映像のいずれか一方を表示面30に投写する。
【0028】
出力部102は、映像処理システム100と通信するための通信インタフェースである。出力部102は、色情報として分光情報を出力する。分光情報は、投写装置(映像出力装置)1が出力する光のスペクトルを示す情報である。実施の形態では、分光情報は、投写装置1が出力する光の分光スペクトルの測定値を含む。分光情報は、記憶部104に記憶されている。したがって、出力部102は、記憶部104から分光情報を読み出し、読み出した分光情報を色情報として映像処理システム100へ出力する。なお、出力部102と映像処理システム100との間の通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0029】
入力部103は、映像処理システム100と通信するための通信インタフェースである。入力部103には、映像処理システム100から出力される補正データが入力される。入力部103に入力された補正データは、投写部101が出力する映像の色補正に用いられる。ここで、入力部103に入力される補正データの内容は、投写装置1ごとに異なり得る。また、入力部103には、補正データが入力されない場合もある。この場合、当該入力部103を備えた投写装置1は、色補正を行わずに映像を表示面30に投写する。なお、入力部103と映像処理システム100との間の通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。また、出力部102及び入力部103は、1つの通信インタフェースで実現されてもよい。
【0030】
記憶部104は、例えば半導体メモリ等であって、投写装置1が動作する際に参照する各種パラメータを記憶する。実施の形態では、記憶部104は、上記各種パラメータの他に、更に色情報として分光情報を記憶する。
【0031】
撮像装置2は、カメラ機能を有する装置であって、表示面30に投写された映像を撮像する。実施の形態では、撮像装置2は、投写装置1とは別の装置であるが、投写装置1に内蔵されていてもよい。例えば、撮像装置2は、第1投写装置1A及び第2投写装置1Bのいずれか一方に内蔵されていてもよい。
【0032】
撮像装置2は、撮像部21と、出力部22と、を備えている。
【0033】
撮像部21は、イメージセンサを有しており、表示面30に投写されている映像を撮像する。実施の形態では、撮像部21は、映像処理システム100からの撮像開始のコマンドを受けると、表示面30に投写されている映像を撮像する。ここで、撮像部21が撮像する映像は、表示面30全体に投写されている一の映像(つまり、複数の投写装置1それぞれが表示面30に投写する複数の映像)である。
【0034】
出力部22は、映像処理システム100と通信するための通信インタフェースである。出力部22は、撮像部21で撮像された画像を含む撮像情報を映像処理システム100へ出力する。なお、出力部22と映像処理システム100との間の通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0035】
[2-2.映像処理システム]
次に、映像処理システム100の構成について詳細に説明する。映像処理システム100は、例えばデスクトップ型又はラップトップ型のパーソナルコンピュータ等の情報端末であって、例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークを介して各投写装置1及び撮像装置2との間で通信することにより、各投写装置1及び撮像装置2を制御する。各投写装置1及び撮像装置2と映像処理システム100との間の通信は、例えばHTTP(Hypertext Transfer Protocol)、FTP(File Transfer Protocol)、又はTCP(Transmission Control Protocol)等の既知のネットワークプロトコルに従って行われる。
【0036】
実施の形態では、映像処理システム100は、汎用の情報端末に映像処理システム100に専用のソフトウェアをインストールすることで実現される。なお、映像処理システム100は、汎用の情報端末に限らず、映像処理システム100に専用の情報端末であってもよい。また、情報端末は、パーソナルコンピュータに限らず、例えばスマートフォン又はタブレット端末等によって実現されてもよい。
【0037】
映像処理システム100は、第1取得部11と、第2取得部12と、処理部13と、出力部14と、記憶部15と、を備えている。第1取得部11、第2取得部12、処理部13、及び出力部14は、それぞれ専用の回路により実現されてもよいし、プロセッサがメモリに記憶されている対応するコンピュータプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0038】
第1取得部11は、撮像装置2と通信するための通信インタフェースである。第1取得部11は、撮像装置2から出力される撮像情報を取得する。ここで、撮像情報は、複数の投写装置(映像出力装置)1がそれぞれ出力する複数の映像を一の映像として撮像装置2で撮像して得られる画像を含む情報である。言い換えれば、撮像情報は、表示面30に投写された一の映像を撮像装置2で撮像することで得られる画像を含む情報である。
【0039】
第2取得部12は、複数の投写装置(映像出力装置)1の各々と通信するための通信インタフェースである。第2取得部12は、複数の投写装置1それぞれから出力される複数の色情報を取得する。複数の色情報は、複数の映像のそれぞれの色を測定することで得られる情報である。実施の形態では、複数の色情報の各々は、対応する投写装置1が出力する光のスペクトルを示す分光情報である。具体的には、複数の色情報は、第1投写装置1Aが出力する光を分光測定器4(後述する)で測定することで得られる分光スペクトルの測定値を含む第1投写装置1Aの色情報と、第2投写装置1Bが出力する光を分光測定器4で測定することで得られる分光スペクトルの測定値を含む第2投写装置1Bの色情報と、を含む。なお、色情報は、分光スペクトルの測定値に限られず、分光スペクトルの測定値を基に適宜の表色系で算出した表色値等、投写装置1が出力する映像の色を示す情報であればよい。すなわち、複数の色情報の各々は、対応する投写装置(映像出力装置)1が出力する光のスペクトルを基に表色系を用いて算出した表色値であってもよい。ここで、表色系としては、XYZ表色系(CIE1931標準表色系)やL*u*v*表色系(CIE1976Luv色空間)、L*a*b*表色系(CIE1976Lab色空間)、マンセル表色系等であっても良いが、これらに限られるものではない。
【0040】
処理部13は、複数の投写装置1がそれぞれ出力する複数の映像の色を調整する処理を実行する機能を有する。実施の形態では、処理部13は、以下に列挙する3つの処理を実行する。
【0041】
第1に、処理部13は、第1取得部11が取得した撮像情報に基づいて、第1調整値を算出する処理を実行する。第1調整値は、複数の投写装置(映像出力装置)1のうちの1以上の投写装置1の各々が出力する映像の色を調整するための値である。第1調整値は、第1投写装置1Aが出力する映像の色のみを調整するための値であってもよいし、第2投写装置1Bが出力する映像の色のみを調整するための値であってもよい。また、第1調整値は、第1投写装置1Aが出力する映像の色、及び第2投写装置1Bが出力する映像の色の両方を調整するための値であってもよい。
【0042】
実施の形態では、処理部13は、撮像装置2で撮像した画像のうち、第1投写装置1Aが投写した映像に対応する領域のRGB値の代表値と、第2投写装置1Bが投写した映像に対応する領域のRGB値の代表値と、をそれぞれ算出する。ここで、撮像装置2が撮像する画像は、例えば表示面30全体にわたって均一なパターンを含むテストパターンである。また、代表値は、例えば平均値、中央値、又は最頻値等である。そして、処理部13は、算出した各投写装置1A,1BのRGBの代表値の差分を第1調整値として算出する。なお、ここでは、第1調整値は、いずれか1つの投写装置1が出力する映像の色を調整するための値として算出される。
【0043】
第2に、処理部13は、第2取得部12が取得した複数の色情報及び第1調整値に基づいて、第2調整値を算出する処理を実行する。第2調整値は、1以上の投写装置(映像出力装置)1の各々が出力する映像の色を調整するための値であり、第1調整値とは異なる値である。第2調整値は、第1調整値と同様に、第1投写装置1Aが出力する映像の色のみを調整するための値であってもよいし、第2投写装置1Bが出力する映像の色のみを調整するための値であってもよい。また、第2調整値は、第1投写装置1Aが出力する映像の色、及び第2投写装置1Bが出力する映像の色の両方を調整するための値であってもよい。
【0044】
実施の形態では、処理部13は、複数の色情報の差分に基づくオフセット値を算出し、算出したオフセット値及び第1調整値に基づいて、第2調整値を算出する。具体的には、処理部13は、色情報(ここでは、投写装置1が出力する光の分光スペクトルの測定値)と人の目の分光感度特性とを積算した値と、色情報と撮像装置2のイメージセンサの分光感度特性とを積算した値との差分であるオフセット値を、投写装置1ごとに算出する。そして、処理部13は、算出した投写装置1ごとのオフセット値を第1調整値に加算することにより、第2調整値を算出する。
【0045】
第3に、処理部13は、第1映像及び第2映像のいずれか一方を、一の映像として複数の投写装置(映像出力装置)1に出力させる処理を実行する。
【0046】
第1映像は、第1調整値を1以上の投写装置1に適用することで得られる映像である。第1映像を複数の投写装置1に出力させる場合、処理部13は、第1調整値を補正データとして、出力部14から各投写装置1へ出力させる。1以上の投写装置1の各々は、入力部103に入力された第1調整値を用いて、出力する映像の色補正を行う。これにより、表示面30に投写される複数の映像(一の映像)は、第1調整値により色補正された映像となる。
【0047】
第2映像は、第2調整値を1以上の投写装置1に適用することで得られる映像である。第2映像を複数の投写装置1に出力させる場合、処理部13は、第2調整値を補正データとして、出力部14から各投写装置1へ出力させる。1以上の投写装置1の各々は、入力部103に入力された第2調整値を用いて、出力する映像の色補正を行う。これにより、表示面30に投写される複数の映像(一の映像)は、第2調整値により色補正された映像となる。
【0048】
ここで、第1映像は、各投写装置1が同じ映像を表示面30に投写した場合に、撮像装置2で撮像した画像において一の映像の全体にわたって色が概ね同じとなる映像である。つまり、第1調整値は、複数の映像がいずれも同じ映像である場合に、撮像装置2で撮像された画像において複数の映像のそれぞれの色が近づくように調整するための値である、と言える。
【0049】
また、第2映像は、各投写装置1が同じ映像を表示面30に投写した場合に、人が表示面30を直視した際に一の映像の全体にわたって色が概ね同じとなる映像である。つまり、第2調整値は、複数の映像がいずれも同じ映像である場合に、一の映像を直視した際に複数の映像のそれぞれの色が近づくように調整するための値である、と言える。
【0050】
出力部14は、複数の投写装置(映像出力装置)1の各々と通信するための通信インタフェースである。出力部14は、処理部13が算出した第1調整値及び第2調整値のいずれか一方を、補正データとして1以上の投写装置1へ出力する。実施の形態では、出力部14は、第1投写装置1A及び第2投写装置1Bの各々に補正データを出力する。
【0051】
記憶部15は、例えば半導体メモリ等であって、映像処理システム100が動作する際に参照する各種パラメータを記憶する。実施の形態では、記憶部15は、上記各種パラメータの他に、分光情報を投写装置1ごとに記憶する。また、記憶部15は、処理部13で算出した第1調整値及び第2調整値を記憶する。
【0052】
[3.動作]
以下、実施の形態に係る映像処理システム100の動作、つまり実施の形態に係る映像処理方法について説明する。
【0053】
[3-1.色情報の測定]
まず、投写装置(映像出力装置)1における色情報(ここでは、分光情報)の測定について説明する。実施の形態では、分光情報の測定は、投写装置1を工場から出荷する際に実行されるが、測定の時期は特に限定されず、映像処理システム100にて分光情報を取得する時点より前の時点で実行されればよい。例えば、投写装置1の出荷後に定期的に分光情報を測定して、記憶部104に記憶している内容を更新する運用としてもよい。
【0054】
図5は、実施の形態に係る投写装置1における分光情報の測定の説明図である。図5に示すように、投写装置1における分光情報の測定には、分光測定器4が用いられる。分光測定器4は、測定部41と、出力部42と、を備えている。
【0055】
測定部41は、投写装置1から投写されてスクリーン3の表示面30で反射する光の電磁波スペクトルを測定する。実施の形態では、測定部41は、表示面30で反射する光の電磁波スペクトルを測定することにより、投写装置1が出力する光の分光スペクトルの測定値を分光情報として測定する。
【0056】
出力部42は、投写装置1との間で通信するための通信インタフェースである。出力部42は、測定部41で測定された分光情報を投写装置1へ出力する。なお、出力部42と投写装置1との間の通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0057】
図6は、実施の形態に係る投写装置1における分光情報の測定例を示すフローチャートである。以下に示す分光情報の測定は、投写装置1ごとに実行される。
【0058】
まず、投写装置1の投写部101は、スクリーン3の表示面30にテストパターンを投写する(S101)。ここでは、投写部101は、R(赤色)チャネル用のテストパターン、G(緑色)チャネル用のテストパターン、及びB(青色)チャネル用のテストパターンの計3種類のテストパターンを順に表示面30に投写する。例えば、投写部101は、まずRチャネル用のテストパターンを表示面30に投写する。
【0059】
次に、分光測定器4の測定部41は、表示面30で反射する光の電磁波スペクトルを測定することにより、当該光の分光スペクトルの測定値を分光情報として測定する。そして、分光測定器4の出力部42は、測定部41で測定された分光情報を投写装置1へ出力する。これにより、投写装置1は、分光情報を取得し(S102)、取得した分光情報を記憶部104に記憶する。
【0060】
ここで、全てのテストパターンを表示面30に投写していない場合(S103:No)、次のテストパターンについてステップS101,S102を繰り返す。例えば、Rチャネル用のテストパターンについて分光情報を測定した後は、Gチャネル用のテストパターンについての分光情報の測定、Bチャネル用のテストパターンについての分光情報の測定を順次実行する。そして、全てのテストパターンを表示面30に投写した場合(S103:Yes)、分光情報の測定を終了する。
【0061】
なお、表示面30に投写するテストパターンは、例えばW(白色)チャネル用のテストパターンのみであってもよい。
【0062】
[3-2.映像処理システムの動作]
次に、実施の形態に係る映像処理システム100の動作(つまり、映像処理方法)について説明する。図7は、実施の形態に係る映像処理システム100の動作例を示すフローチャートである。
【0063】
まず、各投写装置1の投写部101は、スクリーン3の表示面30にテストパターンを投写する。次に、撮像装置2の撮像部21は、表示面30に投写されている映像を撮像する。そして、撮像装置2の出力部22は、撮像部21で撮像された画像を含む撮像情報を映像処理システム100へ出力する。これにより、映像処理システム100の第1取得部11は、撮像情報を取得する(S201)。
【0064】
次に、映像処理システム100の処理部13は、第1取得部11が取得した撮像情報に基づいて、第1調整値を算出する(S202)。そして、各投写装置1の出力部102は、記憶部104から分光情報を読み出し、読み出した分光情報を映像処理システム100へ出力する。これにより、映像処理システム100の第2取得部12は、各投写装置1から分光情報を取得する(S203)。なお、各投写装置1の出力部102による分光情報の出力は、例えば映像処理システム100の処理部13が各投写装置1に対して要求することにより、実行される。
【0065】
次に、映像処理システム100の処理部13は、第2取得部12が複数の投写装置1それぞれから取得した複数の分光情報の差分に基づくオフセット値を算出する(S204)。そして、処理部13は、算出したオフセット値及び第1調整値に基づいて、第2調整値を算出する(S205)。
【0066】
そして、映像処理システム100の処理部13は、第1映像及び第2映像のいずれか一方を、一の映像として複数の投写装置1に出力させる(S206)。実施の形態では、処理部13は、ユーザによる入力に応じて、第1映像及び第2映像のいずれか一方を、一の映像として複数の投写装置1に出力させる。以下、ユーザによる入力について説明する。
【0067】
図8は、実施の形態に係る映像処理システム100のユーザインタフェースの一例を示す図である。このユーザインタフェースは、例えば映像処理システム100が備えるディスプレイ、又は映像処理システム100に接続されたディスプレイに表示される。図8に示す例では、ディスプレイには、第1映像を示す画像と、第2映像を示す画像と、が表示される。第1映像を示す画像は、更に第1投写装置1Aが投写する映像に対応する画像と、第2投写装置1Bが投写する映像に対応する画像と、を含む。第2映像を示す画像は、更に第1投写装置1Aが投写する映像に対応する画像と、第2投写装置1Bが投写する映像に対応する画像と、を含む。
【0068】
なお、図8においては、ハッチングの種類の違いにより色の違いを表している。第2映像を示す画像において、第1投写装置1Aが投写する映像に対応する画像と、第2投写装置1Bが投写する映像に対応する画像とで色が互いに異なっているが、これは撮像装置2で撮像した画像での色であり、ユーザが表示面30を直視した場合、表示面30においてこれらの画像の色は概ね同じとなる。
【0069】
ユーザは、ディスプレイに表示された第1映像を示す画像及び第2映像を示す画像を確認することで、第1映像及び第2映像のいずれを複数の投写装置1に出力させるかを選択する入力を行う。例えば、ユーザは、撮像装置2で撮像した画像において均一な色となるように調整された映像を所望する場合、第1映像を選択する入力を行う。また、例えば、ユーザは、ユーザが表示面30を直視した場合に均一な色となるように調整された映像を所望する場合、第2映像を選択する入力を行う。
【0070】
ところで、実施の形態に係る映像処理システム100では、ユーザは、第1映像及び第2映像のいずれか一方を選択するだけでなく、更に詳細な色補正を行うことが可能である。図9は、実施の形態に係る映像処理システム100のユーザインタフェースの他の一例を示す図である。このユーザインタフェースは、例えばユーザが詳細な色補正を行う場合に、映像処理システム100が備えるディスプレイ、又は映像処理システム100に接続されたディスプレイに表示される。
【0071】
図9に示す例では、ディスプレイにCIE xy色度図が表示される。xy色度図において、実線の三角形は色補正の目標とする色域を、点線は第1投写装置1Aが投写する光の色域を、破線は第2投写装置1Bが投写する光の色域を表している。ユーザは、実線の三角形の位置を調整することで、第1映像及び第2映像とは異なる映像を複数の投写装置1に出力させることも可能である。
【0072】
[4.利点等]
以下、実施の形態に係る映像処理システム100(映像処理方法)の利点について説明する。上述のように、実施の形態に係る映像処理システム100では、第1調整値を用いて色補正された第1映像と、第2調整値を用いて色補正された第2映像と、のいずれか一方を一の映像として複数の投写装置(映像出力装置)1に出力させることが可能である。このため、実施の形態に係る映像処理システム100では、複数の投写装置1それぞれで出力する光の分光特性が互いに異なる場合に、撮像装置2で撮像された画像において均一な色となるように補正された映像を表示面30に投写させたり、人が表示面30を直視した場合に均一な色となるように補正された映像を表示面30に投写させたりすることが可能である。したがって、実施の形態に係る映像処理システム100では、複数の投写装置(映像出力装置)1からそれぞれ出力される複数の映像の色の調整を行いやすい、という利点がある。
【0073】
また、実施の形態に係る映像処理システム100では、第2取得部12が複数の色情報(ここでは、分光情報)を取得する場合に、複数の投写装置1がそれぞれ有する複数の記憶部104から複数の分光情報を取得している。このため、実施の形態に係る映像処理システム100では、事前に各投写装置1の記憶部104に分光情報を記憶させておけば、複数の映像の色の調整を行う際に分光情報を測定せずに済む、という利点がある。そして、分光情報を測定する際には、分光測定器4等の比較的高価で調達しにくい機器が必要となるが、ユーザがこのような機器を準備しなくてもよいので、複数の映像の色の調整を行いやすくなる、という利点がある。
【0074】
[5.その他の実施の形態]
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0075】
[5-1.第1変形例]
図10は、実施の形態の第1変形例に係る映像処理システム100を含む全体構成を示す概要図である。図10に示すように、第1変形例では、映像処理システム100が各投写装置1から複数の色情報(ここでは、分光情報)を取得するのではなく、例えばインターネット等のネットワークN1を介してサーバ装置5から複数の分光情報を取得している点で、実施の形態に係る映像処理システム100と相違する。
【0076】
第1変形例では、上述の[3-1.色情報の測定]において、投写装置1ではなく、サーバ装置5に測定した分光情報を記憶させる。サーバ装置5は、投写装置1ごとに、投写装置1の識別子と測定した分光情報とを紐づけて記憶する。したがって、第1変形例では、映像処理システム100の第2取得部12は、ネットワークN1を介してサーバ装置5との間で通信することにより、サーバ装置5から複数の分光情報を取得することができる。
【0077】
[5-2.第2変形例]
図11は、実施の形態の第2変形例に係る映像処理システム100を含む全体構成を示す概要図である。図11に示すように、第2変形例では、映像出力装置1が投写装置ではなく、ディスプレイである点で、実施の形態に係る映像処理システム100と相違する。
【0078】
第2変形例では、複数のディスプレイ1(ここでは、第1ディスプレイ1α及び第2ディスプレイ1β)がそれぞれ映像を出力することで、一の映像を出力している。つまり、第1ディスプレイ1αは、一の映像のうちの左半分の映像を出力し、第2ディスプレイ1βは、一の映像のうちの右半分の映像を出力している。そして、撮像装置2は、これらディスプレイ1から出力された一の映像を撮像する。
【0079】
第2変形例でも、実施の形態と同様に、映像処理システム100は、第1調整値を用いて色補正された第1映像と、第2調整値を用いて色補正された第2映像と、のいずれか一方を一の映像として複数のディスプレイ1に出力させることが可能である。
【0080】
[5-3.その他の変形例]
例えば、上記実施の形態において、映像処理システム100の処理部13は、算出したオフセット値が閾値よりも小さい場合、第1映像を複数の映像出力装置1に出力させてもよい。オフセット値が十分に小さい場合、第1調整値及び第2調整値は概ね同じとなり、第1映像及び第2映像も概ね同じとなるからである。
【0081】
また、上記実施の形態では、映像処理システム100の処理部13は、ユーザの入力に応じて第1映像及び第2映像のいずれか一方を複数の映像出力装置1から出力させているが、これに限られない。例えば、映像処理システム100の処理部13は、ユーザの入力に依らず、予め設定された条件に従って第1映像及び第2映像のいずれか一方を複数の映像出力装置1から出力させてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態において、映像処理システム100の処理部13は、第2映像を一の映像として複数の映像出力装置1に出力させ、かつ、第1映像をネットワークN1を介して配信される配信映像として出力させてもよい。この態様では、ユーザが一の映像を直視した際には第2映像が出力されており、ユーザがディスプレイ等を介して配信映像を見た際には第1映像が出力されているので、いずれにおいても適切に補正された映像を見ることができる、という利点がある。
【0083】
また、上記実施の形態では、複数の映像出力装置1は2台であるが、これに限られず、複数の映像出力装置1は、3台以上であってもよい。
【0084】
また、上記実施の形態では、映像処理システム100は、単一の装置によって実現されているが、これに限られない。例えば、映像処理システム100は、複数の装置によって実現されてもよい。つまり、映像処理システム100が備える複数の構成要素は、2以上の装置に分散されていてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0087】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0088】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0089】
また、本開示は、上記実施の形態の映像処理システム等のコンピュータによって実行される映像処理方法として実現されてもよい。本開示は、このような映像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム(コンピュータプログラムプロダクト)として実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0090】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0091】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る映像処理方法では、複数の映像出力装置1がそれぞれ出力する複数の映像を一の映像として撮像装置2で撮像して得られる画像を含む撮像情報を取得する。また、この映像処理方法では、撮像情報に基づいて、複数の映像出力装置1のうちの1以上の映像出力装置1の各々が出力する映像の色を調整するための第1調整値を算出する。また、この映像処理方法では、複数の映像のそれぞれの色を測定することで得られる複数の色情報を取得する。また、この映像処理方法では、複数の色情報及び第1調整値に基づいて、1以上の映像出力装置1の各々が出力する映像の色を調整するための第2調整値を算出する。また、この映像処理方法では、第1調整値を1以上の映像出力装置1に適用することで得られる第1映像、及び第2調整値を1以上の映像出力装置1に適用することで得られる第2映像のいずれか一方を、一の映像として複数の映像出力装置1に出力させる。
【0092】
このような映像処理方法では、第1調整値を用いて色補正された第1映像と、第2調整値を用いて色補正された第2映像と、のいずれか一方を一の映像として複数の映像出力装置1に出力させるので、複数の映像出力装置1からそれぞれ出力される複数の映像の色の調整を行いやすい、という利点がある。
【0093】
また、例えば、第2の態様に係る映像処理方法では、第1の態様において、ユーザによる入力に応じて、第1映像及び第2映像のいずれか一方を、一の映像として複数の映像出力装置1に出力させる。
【0094】
このような映像処理方法では、第1映像及び第2映像のいずれを出力させるかをユーザが選択することができるので、ユーザの好みに応じた映像を出力させやすい、という利点がある。
【0095】
また、例えば、第3の態様に係る映像処理方法では、第1又は第2の態様において、複数の色情報の各々は、対応する映像出力装置1が出力する光のスペクトルを示す分光情報である。
【0096】
このような映像処理方法では、分光情報を用いて複数の映像の色の調整を行うことで、撮像装置2で撮像して得られる撮像画像からでは判別しにくい色差についても補正しやすくなる、という利点がある。
【0097】
また、例えば、第4の態様に係る映像処理方法では、第1又は第2の態様において、複数の色情報の各々は、対応する映像出力装置1が出力する光のスペクトルを基に表色系を用いて算出した表色値である。
【0098】
このような映像処理方法では、表色値を用いて複数の映像の色の調整を行うことで、撮像装置2で撮像して得られる撮像画像からでは判別しにくい色差についても補正しやすくなる、という利点がある。
【0099】
また、例えば、第5の態様に係る映像処理方法では、第1~第4のいずれか1つの態様において、第2調整値を算出する処理では、複数の色情報の差分に基づくオフセット値を算出し、算出したオフセット値及び第1調整値に基づいて、第2調整値を算出する。
【0100】
このような映像処理方法では、複数の色情報の差分を考慮して複数の映像の色の調整を行うので、複数の映像出力装置1からそれぞれ出力される複数の映像の色の調整を精度良く行いやすい、という利点がある。
【0101】
また、例えば、第6の態様に係る映像処理方法では、第1~第5のいずれか1つの態様において、複数の色情報を取得する処理では、複数の映像出力装置1がそれぞれ有する複数の記憶部104から複数の色情報を取得する。
【0102】
このような映像処理方法では、事前に各映像出力装置1の記憶部104に色情報を記憶させておけば、複数の映像の色の調整を行う際に色情報を測定せずに済む、という利点がある。
【0103】
また、例えば、第7の態様に係る映像処理方法では、第1~第5のいずれか1つの態様において、複数の色情報を取得する処理では、ネットワークN1を介してサーバ装置5から複数の色情報を取得する。
【0104】
このような映像処理方法では、事前にサーバ装置5に複数の色情報を記憶させておけば、複数の映像の色の調整を行う際に色情報を測定せずに済む、という利点がある。
【0105】
また、例えば、第8の態様に係る映像処理方法では、第1~第7のいずれか1つの態様において、第2映像を一の映像として複数の映像出力装置1に出力させ、かつ、第1映像をネットワークN1を介して配信される配信映像として出力させる。
【0106】
このような映像処理方法では、ユーザが一の映像を直視した際には第2映像が出力されており、ユーザがディスプレイ等を介して配信映像を見た際には第1映像が出力されているので、いずれにおいても適切に補正された映像を見ることができる、という利点がある。
【0107】
また、例えば、第9の態様に係る映像処理方法では、第1~第8のいずれか1つの態様において、第1調整値は、複数の映像がいずれも同じ映像である場合に、撮像装置2で撮像された画像において複数の映像のそれぞれの色が近づくように調整するための値である。第2調整値は、複数の映像がいずれも同じ映像である場合に、複数の映像を直視した際に複数の映像のそれぞれの色が近づくように調整するための値である。
【0108】
このような映像処理方法では、第1映像を出力させる場合であれば、撮像装置(撮像装置2の他、一般的なカメラを含む)で撮像された画像を見た際に一の映像の色が均一に見えやすく、第2映像を出力させる場合であれば、一の映像を直視した際に一の映像の色が均一に見えやすくなる、という利点がある。
【0109】
また、例えば、第10の態様に係る映像処理システム100は、第1取得部11と、第2取得部12と、処理部13と、を備える。第1取得部11は、複数の映像出力装置1がそれぞれ出力する複数の映像を一の映像として撮像装置2で撮像して得られる画像を含む撮像情報を取得する。第2取得部12は、複数の映像のそれぞれの色を測定することで得られる複数の色情報を取得する。処理部13は、第1取得部11が取得した撮像情報に基づいて、複数の映像出力装置1のうちの1以上の映像出力装置1の各々が出力する映像の色を調整するための第1調整値を算出する。また、処理部13は、第2取得部12が取得した複数の色情報及び第1調整値に基づいて、1以上の映像出力装置1の各々が出力する映像の色を調整するための第2調整値を算出する。また、処理部13は、第1調整値を1以上の映像出力装置1に適用することで得られる第1映像、及び第2調整値を1以上の映像出力装置1に適用することで得られる第2映像のいずれか一方を、一の映像として複数の映像出力装置1に出力させる。
【0110】
このような映像処理システム100は、第1調整値を用いて色補正された第1映像と、第2調整値を用いて色補正された第2映像と、のいずれか一方を一の映像として複数の映像出力装置1に出力させるので、複数の映像出力装置1からそれぞれ出力される複数の映像の色の調整を行いやすい、という利点がある。
【符号の説明】
【0111】
1 映像出力装置(投写装置、ディスプレイ)
100 映像処理システム
101 投写部
102 出力部
103 入力部
104 記憶部
11 第1取得部
12 第2取得部
13 処理部
14 出力部
15 記憶部
1A 第1投写装置
1B 第2投写装置
1α 第1ディスプレイ
1β 第2ディスプレイ
2 撮像装置
21 撮像部
22 出力部
3 スクリーン
30 表示面
4 分光測定器
41 測定部
42 出力部
5 サーバ装置
N1 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11