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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180302
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】農用トラクターの油圧回路
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/32 20060101AFI20241219BHJP
   F15B 11/16 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A01B63/32
F15B11/16 B
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024080447
(22)【出願日】2024-05-16
(31)【優先権主張番号】10-2023-0076512
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2024-0047098
(32)【優先日】2024-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】509023012
【氏名又は名称】エル エス エムトロン リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS Mtron Ltd.
【住所又は居所原語表記】127, LS-ro, Dongan-gu, Anyang-si, Gyeonggi-do, 14119 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】アン、スンギ
(72)【発明者】
【氏名】パク、サンフン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、スファン
【テーマコード(参考)】
2B041
3H089
【Fターム(参考)】
2B041AA11
2B041AB05
2B041AC01
2B041AC11
2B041DC02
3H089AA73
3H089BB15
3H089BB17
3H089CC01
3H089CC11
3H089DA02
3H089DB08
3H089DB16
3H089DB33
3H089DB34
3H089DB43
3H089DB54
3H089EE36
3H089GG02
3H089JJ17
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】本発明は農用トラクターの油圧回路に関する。本発明による農用トラクターの油圧回路200は、油圧ポンプ210と水平制御バルブ230との間を連結するポンプライン291から分岐する分岐ライン295を含み、分岐ラインはポンプラインから分岐して昇降連結バルブ250に連結される。
【効果】本発明によれば、水平制御シリンダー220の作動が不要な場合、油圧ポンプから出力される流量の全部を分岐ラインを通して昇降制御シリンダーの作動に使用することができるので、油圧の浪費を防止する利点がある。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油を供給するための油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の水平度を調整する水平制御シリンダーと、
前記油圧ポンプと前記水平制御シリンダーとの間に配置され、前記水平制御シリンダーの作動を制御するための水平制御バルブと、
前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の高さを調整する昇降制御シリンダーの作動を制御するための昇降制御バルブと、
前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間に配置され、前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を連結するか又は遮断する昇降連結バルブと、
前記油圧ポンプ、前記水平制御シリンダー、前記水平制御バルブ、前記昇降制御バルブ、及び前記昇降連結バルブの間の流路を形成する基本油圧ラインと、を含み、
前記基本油圧ラインは、
前記油圧ポンプと前記水平制御バルブとの間を連結するポンプラインと、
前記ポンプラインから分岐して前記昇降連結バルブに連結される分岐ラインと、を含む、農用トラクターの油圧回路。
【請求項2】
前記昇降連結バルブは、前記油圧ポンプから出力される流量の一部によって開閉作動され、
前記昇降連結バルブは、閉鎖することによって前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を遮断し、開放することによって前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を連結する、請求項1に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項3】
前記基本油圧ラインを通して移動する流量から分離された流量によって前記昇降連結バルブを閉鎖するための油圧を形成するパイロット回路、をさらに含み、
前記昇降連結バルブは、前記分岐ラインを通して移動する流量から分離された流量によって前記昇降連結バルブを開放するための油圧を形成する圧力ラインを含む、請求項2に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項4】
前記昇降連結バルブは、前記パイロット回路の油圧によって前記昇降連結バルブを閉鎖する方向に移動するか、又は前記圧力ラインの油圧によって前記昇降連結バルブを開放する方向に移動する移動素子を含む、請求項3に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項5】
前記昇降連結バルブは、前記移動素子が前記昇降連結バルブを閉鎖する方向に移動するように弾性力を加えるスプリングをさらに含む、請求項4に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項6】
前記基本油圧ラインは、前記水平制御バルブを通過した流量が前記水平制御シリンダー側に移動するように配置される第1連結ライン及び第2連結ラインをさらに含み、
前記パイロット回路は、前記第1連結ライン又は前記第2連結ラインを通して移動する流量から分離された流量によって前記昇降連結バルブを閉鎖するための油圧を形成する、請求項4に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項7】
前記パイロット回路は、
前記第1連結ラインから分岐する第1パイロットラインと、
前記第2連結ラインから分岐する第2パイロットラインと、
前記第1パイロットライン又は前記第2パイロットラインから出る流量によって前記昇降連結バルブを閉鎖させる方向に前記移動素子に油圧を加える押圧ラインと、を含む、請求項6に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項8】
前記パイロット回路は、
前記第1パイロットライン上に設けられ、前記第1パイロットラインに入力される流量を制限する第1制限バルブと、
前記第2パイロットライン上に設けられ、前記第2パイロットラインに入力される流量を制限する第2制限バルブと、をさらに含む、請求項7に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項9】
前記パイロット回路は、
前記第1パイロットライン上に設けられ、前記第1パイロットラインに入力された流量が前記押圧ライン側にのみ移動するようにする第1チェックバルブと、
前記第2パイロットライン上に設けられ、前記第2パイロットラインに入力された流量が前記押圧ライン側にのみ移動するようにする第2チェックバルブと、をさらに含む、請求項7に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項10】
作動油を供給するための油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の水平度を調整する水平制御シリンダーと、
前記油圧ポンプと前記水平制御シリンダーとの間に配置され、前記水平制御シリンダーの作動を制御するための水平制御バルブと、
前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の高さを調整する昇降制御シリンダーの作動を制御するための昇降制御バルブと、
前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間に配置され、前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を連結するか又は遮断する昇降連結バルブと、
前記昇降連結バルブが前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を遮断するように前記昇降連結バルブを閉鎖させるために備えられるパイロット回路と、
前記油圧ポンプ、前記水平制御シリンダー、前記水平制御バルブ、前記昇降制御バルブ、前記昇降連結バルブ及び前記パイロット回路の間の流路を形成する基本油圧ラインと、を含み、
前記パイロット回路は、前記基本油圧ラインを通して移動する流量から分離された流量によって前記昇降連結バルブを閉鎖するための油圧を形成する、農用トラクターの油圧回路。
【請求項11】
前記昇降連結バルブは、前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を連結するように前記昇降連結バルブを開放するための油圧を形成する圧力ラインを含み、
前記圧力ラインは、前記基本油圧ラインから分離された流量によって前記昇降連結バルブを開放するための油圧を形成する、請求項10に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項12】
前記昇降連結バルブは、前記パイロット回路及び前記圧力ラインに形成された油圧によって開閉作動される、請求項11に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項13】
前記昇降連結バルブは、前記パイロット回路の油圧によって前記昇降連結バルブを閉鎖する方向に移動するか、又は前記圧力ラインの油圧によって前記昇降連結バルブを開放する方向に移動する移動素子を含む、請求項12に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項14】
前記昇降連結バルブは、前記移動素子が前記昇降連結バルブを閉鎖する方向に移動するように弾性力を加えるスプリングをさらに含む、請求項13に記載の農用トラクターの油圧回路。
【請求項15】
作動油を供給するための油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の水平度を調整する水平制御シリンダーと、
前記油圧ポンプと前記水平制御シリンダーとの間に配置され、前記水平制御シリンダーの作動を制御するための水平制御バルブと、
前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の高さを調整する昇降制御シリンダーの作動を制御するための昇降制御バルブと、
前記水平制御シリンダーが作動するうちには前記油圧ポンプから出力される流量が前記水平制御バルブに優先的に提供され、前記水平制御シリンダーの作動に使用されて残った流量が前記昇降制御バルブに提供されるように構成される昇降連結バルブと、を含む、農用トラクターの油圧回路。
【請求項16】
前記昇降連結バルブは、前記水平制御シリンダーの作動が停止しているうちには前記油圧ポンプからの出力される総流量が前記昇降制御バルブに提供されるように構成される、請求項15に記載の農用トラクターの油圧回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農用トラクターの油圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
農用トラクターは、耕作作業、肥料及び農薬の散布、収獲及び運搬などの多様な農作業を行うことができる。多様な作業を行うことができるように、農用トラクターは、多様な作業機を着脱することができるように設計される。
【0003】
作業機は、ロータリー、からすき、バックホー、ローダー及び収穫機などであり得る。
【0004】
一般的に、農作業は路面状態が一様でない環境で行われる。作業対象地の一様でない路面状態は、車体だけでなく、車体に結合された作業機の傾きを引き起こすことがある。
【0005】
車体の傾きによって作業機が傾いた状態で作業を行うと、作業対象地の平坦度が均一ではなくなる。作業対象地は水平な状態の作業機によって均一に平坦化する必要がある。したがって、作業機の水平制御は必ず必要である。
【0006】
一般的に、作業機の水平制御は油圧によってなされるように設計される。油圧は基本的に油圧ポンプによって発生し、油圧シリンダーを作動させる。そして、油圧シリンダーの作動によって作業機の水平度が調整される。
【0007】
油圧ポンプによって発生した油圧は作業機の高さ制御のためにも使用される。
【0008】
一例によれば、作業機の高さは作業機(からすき、ロータリーなど)が地面から打ち込まれた深さを意味する耕深であり得る。
【0009】
一例によれば、作業機の高さは、作業機が地面から上方に離隔した垂直距離を意味し得る。
【0010】
図1は作業機の水平及び高さ制御のために従来の農用トラクターに適用された油圧回路100を示す。
【0011】
図1の油圧回路100は、油圧ポンプ110と、水平制御シリンダー120と、水平制御バルブ130と、昇降制御バルブ140と、優先流量制御バルブ150と、を含む。
【0012】
油圧ポンプ110は、オイルタンクOT内の作動油を水平制御シリンダー120に供給する。
【0013】
水平制御シリンダー120は油圧ポンプ110から供給された流量によって作動する。水平制御シリンダー120の作動によって作業対象面に対する作業機の水平状態が調整される。
【0014】
油圧ポンプ110によって供給される作動油は、作業機の高さ制御のために備えられた昇降制御シリンダー(図示せず)を作動させることができる。昇降制御シリンダーは、油圧ポンプ110から出力される作動油の移動経路上で昇降制御バルブ140の後段に配置される。
【0015】
水平制御シリンダー120又は昇降制御シリンダーから排出された作動油はオイルタンクOTに回収できる。
【0016】
水平制御バルブ130は油圧ポンプ110と水平制御シリンダー120との間に配置される。水平制御バルブ130は、油圧ポンプ110から出力された作動油が水平制御シリンダー120に供給されるように流路を連結するか又は供給を遮断するように流路を閉鎖することができる。
【0017】
図1の油圧回路100で、水平制御バルブ130は内部流路が完全に開放するか又は閉鎖するように作動する。
【0018】
水平制御バルブ130の内部流路が開放すると、作動油が水平制御シリンダー120に供給できる。そして、水平制御バルブ130の内部流路が閉鎖すると、作動油が水平制御シリンダー120に供給できない。
【0019】
昇降制御バルブ140は油圧ポンプ110と昇降制御シリンダーとの間に配置される。昇降制御バルブ140は、油圧ポンプ110から出力された作動油が昇降制御シリンダーに供給されるように流路を連結するか又は供給を遮断するように流路を閉鎖することができる。
【0020】
作動油が昇降制御シリンダーに供給されると作業機の高さが調整され、作動油が昇降制御シリンダーに供給できなければ作業機の高さが維持される。
【0021】
優先流量制御バルブ150は、油圧ポンプ110から出力された作動油が水平制御バルブ130を通して水平制御シリンダー120に供給できるように流路を連結する。優先流量制御バルブ150は油圧ポンプ110と水平制御バルブ130との間に配置される。
【0022】
優先流量制御バルブ150は、油圧ポンプ110か出力された作動油が昇降制御バルブ140を通して昇降制御シリンダー(図示せず)に供給できるようにする流路を選択的に連結することができる。
【0023】
優先流量制御バルブ150は、設定の流量が水平制御バルブ130を通して水平制御シリンダー120に優先的に提供されるように設置される。
【0024】
水平制御シリンダー120への優先的な流量供給のために、優先流量制御バルブ150は、水平制御シリンダー120に行く流量を優先的に設定することができるように、オリフィスバルブとして構成される。この場合、優先流量制御バルブ150から水平制御シリンダー120に供給されて残った流量によって発生した油圧は油圧ポンプ110と昇降制御バルブ140との間の流路を開放させるように作用する。よって、油圧ポンプ110から出力された流量のうちで優先流量制御バルブ150を通過することができなかった残りの流量は昇降制御シリンダーの作動に使用できる。これについてより具体的に説明する。
【0025】
油圧ポンプ110から出力される流量の全部は優先流量制御バルブ150で設定された流量よりも少なくてもよい。すると、優先流量制御バルブ150は、油圧ポンプ110から出る流量の全部が水平制御バルブ130を通して水平制御シリンダー120に供給されるようにする状態に維持される。
【0026】
油圧ポンプ110から出力される流量の全部は優先流量制御バルブ150で設定された流量よりも多くてもよい。すると、油圧ポンプ110から出力された流量の全部のうちで設定の流量は優先流量制御バルブ150及び水平制御バルブ130を通して水平制御シリンダー120に供給される。残量は昇降制御バルブ140を通して昇降制御シリンダーに供給される。優先流量制御バルブ150は油圧ポンプ110から出力される流量の一部が昇降制御バルブ140を通して昇降制御シリンダーに供給されるようにする状態に転換される。よって、油圧回路100は、油圧ポンプ110から供給される流量を優先流量制御バルブ150で分岐して作業機の水平制御及び高さ制御を同時に実行するように作動する。
【0027】
水平制御シリンダー120の作動が不要なこともあり得る。この場合には、水平制御バルブ130が内部流路を閉鎖した状態を維持する。優先流量制御バルブ150を通過した流量は回収ライン194を通してオイルタンクOTに回収される。
【0028】
このように、従来の油圧回路100は、水平制御シリンダー120の作動有無と関係なく、設定の流量が水平制御バルブ130側に常に供給されるように優先流量制御バルブ150が設計されている。したがって、水平制御シリンダー120の作動が不要である場合には、水平制御バルブ130側に供給された流量の全部がオイルタンクOTに回収される。よって、その分だけの油圧の損失が不可避に発生した。
【0029】
水平制御バルブ130が閉鎖した場合でも、油圧ポンプ110から供給された流量のうちで設定の流量以下の流量は水平制御バルブ130側に優先的に供給される。ここで、水平制御バルブ130側に提供された流量は水平制御シリンダー120に供給されないので、オイルタンクOTに全部回収される。よって、優先流量制御バルブ150を通して水平制御バルブ130側に提供される流量による油圧は損失を避けることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2000-0060644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明は上述した問題点を解決するためのものであり、油圧回路内の油圧の使用の効率性を保障することができる技術に対する悩みから案出された。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明の第1形態による農用トラクターの油圧回路は、作動油を供給するための油圧ポンプと、前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の水平度を調整する水平制御シリンダーと、前記油圧ポンプと前記水平制御シリンダーとの間に配置され、前記水平制御シリンダーの作動を制御するための水平制御バルブと、前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の高さを調整する昇降制御シリンダーの作動を制御するための昇降制御バルブと、前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間に配置され、前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を連結するか又は遮断する昇降連結バルブと、前記油圧ポンプ、前記水平制御シリンダー、前記水平制御バルブ、前記昇降制御バルブ、及び前記昇降連結バルブの間の流路を形成する基本油圧ラインと、を含み、前記基本油圧ラインは、前記油圧ポンプと前記水平制御バルブとの間を連結するポンプラインと、前記ポンプラインから分岐して前記昇降連結バルブに連結される分岐ラインと、を含む。
【0033】
前記昇降連結バルブは、前記油圧ポンプから出力される流量の一部によって開閉作動され、前記昇降連結バルブは、閉鎖することによって前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を遮断し、開放することによって前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を連結することができる。
【0034】
前記基本油圧ラインを通して移動する流量から分離された流量によって前記昇降連結バルブを閉鎖するための油圧を形成するパイロット回路、をさらに含み、前記昇降連結バルブは、前記分岐ラインを通して移動する流量から分離された流量によって前記昇降連結バルブを開放するための油圧を形成する圧力ラインを含むことができる。
【0035】
前記昇降連結バルブは、前記パイロット回路の油圧によって前記昇降連結バルブを閉鎖する方向に移動するか、又は前記圧力ラインの油圧によって前記昇降連結バルブを開放する方向に移動する移動素子を含むことができる。
【0036】
前記昇降連結バルブは、前記移動素子が前記昇降連結バルブを閉鎖する方向に移動するように弾性力を加えるスプリングをさらに含むことができる。
【0037】
前記基本油圧ラインは、前記水平制御バルブを通過した流量が前記水平制御シリンダー側に移動するように配置される第1連結ライン及び第2連結ラインをさらに含み、前記パイロット回路は、前記第1連結ライン又は前記第2連結ラインを通して移動する流量から分離された流量によって前記昇降連結バルブを閉鎖するための油圧を形成することができる。
【0038】
前記パイロット回路は、前記第1連結ラインから分岐する第1パイロットラインと、前記第2連結ラインから分岐する第2パイロットラインと、前記第1パイロットライン又は前記第2パイロットラインから出る流量によって前記昇降連結バルブを閉鎖させる方向に前記移動素子に油圧を加える押圧ラインと、を含むことができる。
【0039】
前記パイロット回路は、前記第1パイロットライン上に設けられ、前記第1パイロットラインに入力される流量を制限する第1制限バルブと、前記第2パイロットライン上に設けられ、前記第2パイロットラインに入力される流量を制限する第2制限バルブと、をさらに含むことができる。
【0040】
前記パイロット回路は、前記第1パイロットライン上に設けられ、前記第1パイロットラインに入力された流量が前記押圧ライン側にのみ移動するようにする第1チェックバルブと、前記第2パイロットライン上に設けられ、前記第2パイロットラインに入力された流量が前記押圧ライン側にのみ移動するようにする第2チェックバルブと、をさらに含むことができる。
【0041】
本発明の第2形態による農用トラクターの油圧回路は、作動油を供給するための油圧ポンプと、前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の水平度を調整する水平制御シリンダーと、前記油圧ポンプと前記水平制御シリンダーとの間に配置され、前記水平制御シリンダーの作動を制御するための水平制御バルブと、前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の高さを調整する昇降制御シリンダーの作動を制御するための昇降制御バルブと、前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間に配置され、前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を連結するか又は遮断する昇降連結バルブと、前記昇降連結バルブが前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を遮断するように前記昇降連結バルブを閉鎖させるために備えられるパイロット回路と、前記油圧ポンプ、前記水平制御シリンダー、前記水平制御バルブ、前記昇降制御バルブ、前記昇降連結バルブ及び前記パイロット回路の間の流路を形成する基本油圧ラインと、を含み、前記パイロット回路は、前記基本油圧ラインを通して移動する流量から分離された流量によって前記昇降連結バルブを閉鎖するための油圧を形成する。
【0042】
前記昇降連結バルブは、前記油圧ポンプと前記昇降制御バルブとの間の流路を連結するように前記昇降連結バルブを開放するための油圧を形成する圧力ラインを含み、前記圧力ラインは、前記基本油圧ラインから分離された流量によって前記昇降連結バルブを開放するための油圧を形成することができる。
【0043】
前記昇降連結バルブは、前記パイロット回路及び前記圧力ラインに形成された油圧によって開閉作動され得る。
【0044】
前記昇降連結バルブは、前記パイロット回路の油圧によって前記昇降連結バルブを閉鎖する方向に移動するか、又は前記圧力ラインの油圧によって前記昇降連結バルブを開放する方向に移動する移動素子を含むことができる。
【0045】
前記昇降連結バルブは、前記移動素子が前記昇降連結バルブを閉鎖する方向に移動するように弾性力を加えるスプリングをさらに含むことができる。
【0046】
本発明の第3形態による農用トラクターの油圧回路は、作動油を供給するための油圧ポンプと、前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の水平度を調整する水平制御シリンダーと、前記油圧ポンプと前記水平制御シリンダーとの間に配置され、前記水平制御シリンダーの作動を制御するための水平制御バルブと、前記油圧ポンプから出力される流量を用いて、作業対象面に対する作業機の高さを調整する昇降制御シリンダーの作動を制御するための昇降制御バルブと、前記水平制御シリンダーが作動するうちには前記油圧ポンプから出力される流量が前記水平制御バルブに優先的に提供され、前記水平制御シリンダーの作動に使用されて残った流量が前記昇降制御バルブに提供されるように構成される昇降連結バルブと、を含む。
【0047】
前記昇降連結バルブは、前記水平制御シリンダーの作動が呈しているうちには前記油圧ポンプからの出力される総流量が前記昇降制御バルブに提供されるように構成され得る。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、次のような効果を導出することができる。
【0049】
第一、油圧ポンプから出力された流量の損失が最小化するので、油圧使用の効率性が高くなる。
【0050】
第二、水平制御バルブで多様な要求に応えて流量を適切に分配することができるので、作業機の水平及び高さ制御の精巧性及び制御に対する反応性が向上する。
【0051】
第三、パイロット回路によって昇降連結バルブの開閉を制御することにより、特別な電気的制御が不要でありながら油圧回路内の自体油圧によって昇降連結バルブが動作するので、その制御のための設計が簡単になる。
【0052】
第四、水平制御に使用されて残った流量を昇降制御に使用するから安定的な姿勢を迅速に維持することができるので、農用トラクターの安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】従来一般的に使用される農用トラクターの油圧回路を例示する図である。
図2】本発明の一実施例による農用トラクターの油圧回路が適用された農用トラクターの例示図である。
図3】本発明の一実施例に他の農用トラクターの油圧回路の構成図である。
図4図3の油圧回路に適用された水平制御バルブの作動状態を説明するための状態図である。
図5図3の油圧回路に適用された水平制御バルブの作動状態を説明するための状態図である。
図6図3の油圧回路に適用された水平制御バルブの作動状態を説明するための状態図である。
図7図3の油圧回路に適用された昇降連結バルブの作動状態を説明するための状態図である。
図8図3の油圧回路に適用された昇降連結バルブの作動状態を説明するための状態図である。
図9図3の油圧回路に適用された基本油圧ラインを説明するための参考図である。
図10図3の油圧回路に適用された水平制御シリンダー付近の作動を説明するための参考図である。
図11図3の油圧回路に適用された水平制御シリンダー付近の作動を説明するための参考図である。
図12図3の油圧回路に適用された水平制御バルブ付近の作動を説明するための参考図である。
図13図3の油圧回路に適用された水平制御バルブ付近の作動を説明するための参考図である。
図14図3の油圧回路に適用された水平制御バルブ付近の作動を説明するための参考図である。
図15図3の油圧回路に適用された昇降連結バルブ付近の作動を説明するための参考図である。
図16図3の油圧回路に適用された昇降連結バルブ付近の作動を説明するための参考図である。
図17図3の油圧回路に適用されたパイロットチェックバルブ回路付近の作動を説明するための参考図である。
図18図3の油圧回路に適用されたパイロットチェックバルブ回路付近の作動を説明するための参考図である。
図19】本発明による油圧回路の全体的な作動を説明するための参考図である。
図20】本発明による油圧回路の全体的な作動を説明するための参考図である。
図21】本発明による油圧回路の全体的な作動を説明するための参考図である。
図22】本発明による油圧回路の全体的な作動を説明するための参考図である。
図23】本発明による油圧回路の全体的な作動を説明するための参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明による好適な実施例を添付図面に基づいて説明し、説明の簡潔さのために周知の構成についての説明はなるべく省略するか又は簡潔にする。
【0055】
<農用トラクターについての概括的な説明>
図2は本発明の一実施例による農用トラクターの油圧回路200(以下、「油圧回路」という)が適用された農用トラクターATを例示する図である。
【0056】
図2を参照すると、本発明の一実施例による油圧回路200が適用された農用トラクターATは、油圧回路200と、センシング部300と、制御部400と、を含む。
【0057】
油圧回路200は農用トラクターATに連結された作業機の水平制御及び高さ制御のうちの少なくともどの一つを実行するための構成であり、これについての具体的な説明は後述する。
【0058】
センシング部300は、第1センシング部分310と、2センシング部分320と、を含むことができる。
【0059】
第1センシング部分310は、作業対象面を走行する農用トラクターATの勾配(例えば、ロール角)を感知するための構成である。
【0060】
第1センシング部分310は車体の勾配を感知するための少なくとも一つ以上のセンサーで構成され得る。
【0061】
第1センシング部分310は農用トラクターATの車体に設置されることが好ましい。
【0062】
第2センシング部分320は作業機の姿勢を感知するための構成である。
【0063】
第2センシング部分320は、作業機の姿勢を感知するための少なくとも一つ以上のセンサーで構成され得る。
【0064】
一例として、第2センシング部分320は作業機に設置され得る。
【0065】
また、他の例として、第2センシング部分320は、作業機を農用トラクターATに連結するための連結装置に設置され得る。この場合、第2センシング部分320は作業機の姿勢制御を行う油圧シリンダー(例えば、水平制御シリンダー及び昇降制御シリンダー)の動作をセンシングし、これにより油圧シリンダーに備えられたピストンロッドの作動程度を把握することができる。
【0066】
制御部400は、センシング部300で感知された感知情報に基づいて、後述する油圧回路200の作動を制御する。
【0067】
例えば、制御部400は、作業対象面の路面状態によって作業機の水平制御を実行するように油圧回路200の作動を制御することができる。
【0068】
制御部400は、持続的に得られる感知情報によって、油圧を提供する方向を決定しながら油圧回路200を制御する。もちろん、作業機が水平状態になると、油圧の提供は中止され、油圧シリンダーのピストンロッドは進退を止める。
【0069】
参考までに、油圧シリンダーの作動速度は時間当たりの提供される流量によって制御することができる。一例によれば、油圧シリンダーの作動制御は、速度プロファイルによって、早く供給するか遅く供給する比例制御技術によって具現できる。
【0070】
制御部400は、作業機の高さ制御を実行するように、油圧回路200の作動を制御することができる。
【0071】
上述した構成は、本発明の技術的特徴を説明するために、農用トラクターATの構成を手短に説明したものである。したがって、上述した構成の他にも、農用トラクターATの運行及び作業機の姿勢制御に要求される構成をさらに含むことができるというのは言うまでもない。
【0072】
<農用トラクターの油圧回路についての説明>
図3は本発明の一実施例による農用トラクターの油圧回路200(以下、「油圧回路」という)を示す図である。
【0073】
本実施例による油圧回路200は作業機の水平制御及び高さ制御に係わる。
【0074】
図3を参照すると、油圧回路200は、油圧ポンプ210と、水平制御シリンダー220と、水平制御バルブ230と、昇降制御バルブ240と、昇降連結バルブ250と、パイロット回路260と、パイロットチェックバルブ回路270と、オリフィスチェックバルブ回路280と、各構成間の流路を形成する基本油圧ライン290と、を含んでなる。
【0075】
油圧ポンプ210は作動油を供給するための構成である。
【0076】
作動油は油圧ポンプ210から出発して基本油圧ライン290を通して、究極にオイルタンクOTに回収される。
【0077】
オイルタンクOTに充填されている作動油は油圧ポンプ210から基本油圧ライン290を通して水平制御シリンダー220又は昇降制御シリンダーに供給された後、さらにオイルタンクOTに回収される。ここで、昇降制御シリンダーは作業機の高さ調整のために備えられる。よって、昇降制御シリンダーは昇降制御バルブ240の後段に配置される。
【0078】
水平制御シリンダー220は、油圧ポンプ210によって供給される作動油の流量によって、作業対象面に対する作業機の水平度を調整するための構成である。水平制御シリンダー220は油圧ポンプ210から出力される流量によって作動することにより、作業対象面に対する作業機の水平度を調整する。
【0079】
水平制御シリンダー220の作動程度は、後述する水平制御バルブ230を通して提供される流量によって可変することができる。
【0080】
水平制御シリンダー220に供給される作動油の総量が多ければ、水平制御シリンダー220に備えられたピストンロッド221の前進又は後退の程度が大きい。
【0081】
水平制御シリンダー220に供給される作動油の総量が少なければ、水平制御シリンダー220に備えられたピストンロッド221の前進又は後退の程度が小さい。
【0082】
水平制御バルブ230は油圧ポンプ210と水平制御シリンダー220との間に配置される。このような水平制御バルブ230は水平制御シリンダー220の作動可否及び作動方向を制御するために構成される。
【0083】
例えば、図4のように、水平制御バルブ230が油圧ポンプ210と水平制御シリンダー220との間で作動油の移動を遮断すると、水平制御シリンダー220は作動しなくなる。
【0084】
例えば、図5及び図6のように、水平制御バルブ230が油圧ポンプ210と水平制御シリンダー220との間で作動油の移動を許せば、水平制御シリンダー220が作動する。
【0085】
【0086】
水平制御バルブ230を通過した流量は水平制御シリンダー220のピストンロッド221を一方向に移動させるか又は他方向に移動させる。
【0087】
本発明の好ましい例示によれば、水平制御バルブ230は、外部から印加される電気的信号によって、水平制御シリンダー220に供給される作動油の単位時間当たりの通過する流量を調節することができる比例制御バルブとして具現できる。
【0088】
図1に示す従来の油圧回路100で使用された水平制御バルブ130としてはオン/オフバルブが適用された。よって、水平制御バルブ130は、固定流量を水平制御シリンダー120に提供することができた。これにより、作業機の重さ又は作業負荷、及び制御しようとする作動量に関係なく、水平制御シリンダー120は固定速度で作動するしかないから、作動の際に衝撃が発生するだけでなく精密な制御が不可であった。
【0089】
ところで、本発明が提案する油圧回路200は、水平制御バルブ230が単位時間当たりの流量の調節が可能な比例制御バルブによって具現できる。そして、比例制御バルブは、単位時間当たりの流量を調節することができるので、作動時の衝撃が減少することができ、より精密な制御が可能である。
【0090】
昇降制御バルブ240は油圧ポンプ210と昇降制御シリンダーとの間に配置される。より具体的には、昇降制御バルブ240は昇降連結バルブ250と昇降制御シリンダーとの間に配置される。油圧ポンプ210から出力された流量は昇降連結バルブ250及び昇降制御バルブ240を通して昇降制御シリンダーに供給できる。前述したように、昇降制御シリンダーは、油圧ポンプ210から供給される流量によって作業対象面に対する作業機の高さを調整するために備えられる。昇降制御バルブ240は、開放又は閉鎖することにより、昇降制御シリンダーの作動可否を制御するように構成される。昇降制御バルブ240によって昇降制御シリンダーの作動が制御される。
【0091】
昇降制御シリンダーは、昇降制御バルブ240を通して提供される流量によって、その作動程度が調節できる。昇降制御シリンダーの作動程度によって作業機が昇降し、作業機の高さが調整される。
【0092】
昇降連結バルブ250は油圧ポンプ210と昇降制御バルブ240との間に配置される。
【0093】
昇降連結バルブ250は、油圧ポンプ210から出力された流量が昇降制御バルブ240を通して昇降制御シリンダーに供給されるか又は供給されないように断続する。昇降連結バルブ250は、油圧ポンプ210と昇降制御バルブ240との間の流路を連結するか又は遮断することができる。
【0094】
昇降連結バルブ250は、水平制御バルブ230が閉鎖して水平制御シリンダー220の作動が停止しているうちには油圧ポンプ210から出力される総流量が昇降制御バルブ240に提供されるように構成される。昇降連結バルブ250は、水平制御シリンダー220が作動して水平制御シリンダー220によって水平制御されるうちには油圧ポンプ210から出力される流量が水平制御バルブ230に優先的に提供され、水平制御シリンダー220の作動に使用されて残った流量が昇降制御バルブ240に提供されるように構成される。これについては後で関連の部分でさらに説明する。
【0095】
一方、図7は昇降連結バルブ250の内部流路が開放した状態を示す。図7の状態では、油圧ポンプ210と昇降制御バルブ240との間の流路が開放する。よって、油圧ポンプ210から出力された作動油が昇降連結バルブ250を通過した後、昇降制御バルブ240を通して昇降制御シリンダーに供給できる。
【0096】
図8のように、昇降連結バルブ250の内部流路が閉鎖することもできる。すると、油圧ポンプ210と昇降制御バルブ240との間の流路が遮断される。図8の状態では、油圧ポンプ210から出力された作動油が昇降制御バルブ240に供給できない。昇降連結バルブ250の作動状態によって、油圧ポンプ210から出力された流量が昇降制御シリンダーに供給できるか又は供給できなくなる。昇降連結バルブ250は、作動状態によって、流量が昇降制御バルブ240及び昇降制御シリンダーに選択的に供給できるようにする。
【0097】
好適な例示によれば、昇降連結バルブ250は、油圧回路200を成す流路の油圧差によって作動することができるロジッグバルブとして具現できる。昇降連結バルブ250は、油圧ポンプ210から出力される流量の一部を用いて開閉作動するロジッグバルブであり得る。この場合、昇降連結バルブ250は油圧回路100内で自ら制御されるので、昇降連結バルブ250に対する別途の電気的又は機構的制御が不要である。
【0098】
昇降連結バルブ250は、移動素子251と、スプリング252と、を含むことができる。
【0099】
移動素子251は、その移動状態によって、昇降連結バルブ250の内部流路を開放させるか又は閉鎖させる。
【0100】
【0101】
昇降連結バルブ250は、圧力ラインPLを含むことができる。
【0102】
【0103】
昇降連結バルブ250は、スプリング252の他に、後述するパイロット回路260によっても内部流路を閉鎖させるようにする油圧を受ける。
【0104】
【0105】
図5のように、水平制御シリンダー220の一方向作動の際、第1パイロットライン261a、第1制限バルブ261b及び第1チェックバルブ261cは互いに組を成して第2油圧を発生させる。
【0106】
第1パイロットライン261aは、水平制御バルブ230と水平制御シリンダー220との間の一地点で基本油圧ライン290から分岐する。より具体的には、第1パイロットライン261aは水平制御バルブ230と後述するパイロットチェックバルブ回路270との間の一地点で基本油圧ライン290から分岐する。よって、水平制御バルブ230から水平制御シリンダー220側に行く流量の一部が第1パイロットライン261aに入力される。
【0107】
第1制限バルブ261bは第1パイロットライン261a上に設けられ、第1パイロットライン261aを通して流動する流量を制限する。第1制限バルブ261bは、水平制御バルブ230を通過してから水平制御シリンダー220に向かう流量から分離されて第1パイロットライン261aに入力される流量を制限する。第1制限バルブ261bはオリフィスバルブとして具現できる。
【0108】
第1チェックバルブ261cは第1パイロットライン261a上に設けられ、第1パイロットライン261aに入力された流量が押圧ライン263側にのみ移動するように機能する。
【0109】
図6のような水平制御シリンダー220の他方向作動の際、第2パイロットライン262a、第2制限バルブ262b及び第2チェックバルブ262cは互いに組を成して第2油圧を発生させる。
【0110】
第2パイロットライン262aは水平制御バルブ230と水平制御シリンダー220との間の一地点で基本油圧ライン290から分岐する。より具体的には、第2パイロットライン262aは水平制御バルブ230とパイロットチェックバルブ回路270との間の一地点で基本油圧ライン290から分岐する。よって、水平制御バルブ230から水平制御シリンダー220側に行く流量の一部が第2パイロットライン262aに入力される。
【0111】
第2制限バルブ262bは第2パイロットライン262a上に設けられ、第2パイロットライン262aを通して流動する流量を制限する。第2制限バルブ262bは、水平制御バルブ230を通過してから水平制御シリンダー220に向かう流量から分離されて第2パイロットライン262aに入力される流量を制限する。第2制限バルブ262bはオリフィスバルブとして具現できる。
【0112】
第2チェックバルブ262cは第2パイロットライン262a上に設けられ、第2パイロットライン262aに入力された流量が押圧ライン263側にのみ移動するように機能する。
【0113】
【0114】
【0115】
昇降連結バルブ250は、外力が作用しない状態で、スプリング252の弾性力によって閉鎖状態を維持する。よって、油圧ポンプ210から出力される流量は優先的に水平制御バルブ230に向かうように設定される。
【0116】
パイロットチェックバルブ回路270は、第1ラインチェックバルブ271と、第2ラインチェックバルブ272と、を含む。
【0117】
第1ラインチェックバルブ271及び第2ラインチェックバルブ272は、水平制御バルブ230から水平制御シリンダー220に行く流量は通過させるが、逆流は防止する。水平制御シリンダー220のピストンロッド221に結合された作業機の重量によるピストンロッド221の任意の移動は防止する。
【0118】
パイロットチェックバルブ回路270は、第1転換ラインTL1と、第2転換ラインTL2と、を含むことができる。第1転換ラインTL1及び第2転換ラインTL2は、水平制御シリンダー220から排出される流量がオイルタンクOTに回収できるように、第1ラインチェックバルブ271及び第2ラインチェックバルブ272を開放するように機能する。実施によっては、第1転換ラインTL1及び第2転換ラインTL2はパイロットチェックバルブ回路270と別個に形成されることもできる。
【0119】
オリフィスチェックバルブ回路280は、水平制御シリンダー220の作動の際、ピストンロッド221の移動速度を適切に制限するために備えられる。
【0120】
ピストンロッド221は作業機に連結される。作業機が上昇する方向にピストンロッド221が移動する場合には、作業機の重さを克服しなければならない。作業機が下降する方向にピストンロッド221が移動する場合には、作業機の重さによる急激な下降を制限しなければならない。したがって、オリフィスチェックバルブ回路280は、作業機が下降する方向にピストンロッド221が移動するとき、ピストンロッド221の移動速度を制限することができる位置に配置されなければならない。本実施例によるオリフィスチェックバルブ回路280は第1ラインチェックバルブ271と水平制御シリンダー220との間に配置される。
【0121】
オリフィスチェックバルブ回路280は、一方向バルブ281と、設定バルブ282と、を含む。
【0122】
一方向バルブ281は、パイロットチェックバルブ回路270から水平制御シリンダー220側に移動する流量のみを通過させる。一方向バルブ281はチェックバルブとして具現できる。
【0123】
設定バルブ282は一方向バルブ281の両端から分岐するバイパスラインBL上に設けられる。設定バルブ282は、単位時間当たり所定の流量のみを通過させる。設定バルブ282は、水平制御シリンダー220からパイロットチェックバルブ回路270側に移動する流量を通過させる。しかしながら、所定の流量のみが通過することができるから、ピストンロッド221の移動速度が制限され得る。設定バルブ282はオリフィスバルブとして具現できる。
【0124】
次に、図3及び概略図である図9を一緒に参照して基本油圧ライン290について説明する。
【0125】
基本油圧ライン290は、油圧ポンプ210と、水平制御シリンダー220と、水平制御バルブ230と、昇降制御バルブ240と、昇降連結バルブ250と、パイロット回路260と、パイロットチェックバルブ回路270と、オリフィスチェックバルブ回路280と、オイルタンクOTとの間に流路を形成する。
【0126】
基本油圧ライン290は、ポンプライン291と、第1連結ライン292aと、第2連結ライン292bと、第1作動ライン293aと、第2作動ライン293bと、回収ライン294と、分岐ライン295と、昇降ライン296と、を含む。
【0127】
ポンプライン291は、油圧ポンプ210と水平制御バルブ230との間を連結する。よって、油圧ポンプ210から出力される流量はポンプライン291を通して水平制御バルブ230に入力できる。
【0128】
第1連結ライン292aは、水平制御バルブ230を通過した流量が水平制御シリンダー220側に移動するように配置される。このために、第1連結ライン292aは水平制御バルブ230とパイロットチェックバルブ回路270との間を連結する。より具体的には、第1連結ライン292aは水平制御バルブ230と第1ラインチェックバルブ271との間を連結する。水平制御バルブ230から出力された流量は第1連結ライン292aを通して第1ラインチェックバルブ271に入力できる。
【0129】
第1連結ライン292aは2地点で分岐する。
【0130】
第1パイロットライン261aは第1連結ライン292aから分岐する。
【0131】
第1転換ラインTL1は第1連結ライン292aから分岐する。
【0132】
第2連結ライン292bは、水平制御バルブ230を通過した流量が水平制御シリンダー220側に移動できるように配置される。このために、第2連結ライン292bは水平制御バルブ230とパイロットチェックバルブ回路270との間を連結する。より具体的には、第2連結ライン292bは水平制御バルブ230と第2ラインチェックバルブ272との間を連結する。よって、水平制御バルブ230から出力された流量は第2連結ライン292bを通して第2ラインチェックバルブ272に入力できる。
【0133】
第2連結ライン292bは2地点で分岐する。
【0134】
第2パイロットライン262aは第2連結ライン292bから分岐する。
【0135】
第2転換ラインTL2は第2連結ライン292bから分岐する。
【0136】
【0137】
第1作動ライン293a上にオリフィスチェックバルブ回路280が設けられ得る。
【0138】
【0139】
第1作動ライン293a及び第2作動ライン293bは、水平制御シリンダー220から排出される流量がオイルタンクOTに向かう流路の一部を形成することもできる。
【0140】
水平制御バルブ230の動作状態によって、ポンプライン291は第1連結ライン292aと連結されるか又は第2連結ライン292bと連結され得る。ポンプライン291が第1連結ライン292aと連結される場合、ポンプライン291を通して出力された流量が第1連結ライン292a及び第1作動ライン293aを通して水平制御シリンダー220側に移動し、水平制御シリンダー220から排出された流量が第2連結ライン292b及び第2作動ライン293bを通してオイルタンクOT側に移動する。ポンプライン291が第2連結ライン292bと連結される場合、ポンプライン291を通して出力された流量が第2作動ライン293b及び第2連結ライン292bを通して水平制御シリンダー220側に移動し、水平制御シリンダー220から排出された流量が第1作動ライン293a及び第1連結ライン292aを通してオイルタンクOT側に移動する。
【0141】
回収ライン294は水平制御バルブ230とオイルタンクOTとの間を連結する。回収ライン294は、水平制御バルブ230の動作状態によって、第1連結ライン292aと連結されるか又は第2連結ライン292bと連結され得る。水平制御シリンダー220から排出された流量は第1連結ライン292a又は第2連結ライン292bを通して回収ライン294に移動した後、オイルタンクOTに回収され得る。
【0142】
分岐ライン295はポンプライン291から分岐して昇降連結バルブ250に連結される。分岐ライン295は油圧ポンプ210と水平制御バルブ230との間の一地点で基本油圧ライン290から分岐する。したがって、ポンプライン291に移動する流量の少なくとも一部が昇降連結バルブ250に入力できる。
【0143】
【0144】
昇降ライン296は昇降連結バルブ250と昇降制御バルブ240との間を連結する。昇降連結バルブ250から出力された流量は昇降制御バルブ240に入力された後、昇降制御シリンダーを動作させるのに使用される。
【0145】
次に、このような構成を有する油圧回路200の部分別作動特徴を説明した後、全体的な作動について説明する。
【0146】
<水平制御シリンダーの作動についての説明>
図10及び図11の抜純図を参照して水平制御シリンダー220付近の作動について説明する。
【0147】
水平制御シリンダー220は一方向作動又は他方向作動を実行することができる。一方向作動と他方向作動とは互いに反対の作動を意味するものと理解すれば充分であり、方向は定義によって変わり得る。
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
<水平制御バルブの作動状態についての説明>
図12図14の抜純図を参照して水平制御バルブ230付近の作動について説明する。
【0154】
水平制御バルブ230は制御部400の制御信号による電磁気力で作動することができる。水平制御バルブ230は3個の状態を有することができる。
【0155】
図12は第1状態を、図13は第2状態を、図14は第3状態をそれぞれ示す。図12図13及び図14はそれぞれ図4図5及び図6に対応する。
【0156】
第1状態では、ポンプライン291が第1連結ライン292a及び第2連結ライン292bの両者から分離されている。したがって、油圧ポンプ210から出力される流量は全部分岐ライン295に移動する。水平制御シリンダー220は元の状態を維持し、パイロット回路260も作動しなくなる。
【0157】
【0158】
【0159】
本実施例によれば、押圧ライン263が第1パイロットライン261a及び第2パイロットライン262aの両者に連結されなければならないので、結局第1パイロットライン261aと第2パイロットライン262aとは互いに連通するように具現できる。しかし、第1チェックバルブ261c及び第2チェックバルブ262cによって第1パイロットライン261aに入力された流量が第2パイロットライン262aに移るか又は第2パイロットライン262aに入力された流量が第1パイロットライン261aに移ることができない。第1パイロットライン261a又は第2パイロットライン262aに入力された流量は押圧ライン263で第2油圧を発生させるためにのみ使用される。
【0160】
<昇降連結バルブの作動についての説明>
図15及び図16の抜純図を参照して昇降連結バルブ250の作動について説明する。
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
移動素子251にスプリング252の弾性力、押圧ライン263の第2油圧、及び圧力ラインPLの第1油圧の全部が作用することができる。弾性力及び第2油圧の和、及び第1油圧のうちでどちらが大きいかによって移動素子251の移動方向が決定される。
【0165】
【0166】
【0167】
このような昇降連結バルブ250の作動は水平制御シリンダー220の優先的な作動ができるようにする。これについてより詳細に説明する。
【0168】
昇降制御シリンダーが作動するためには、昇降連結バルブ250が開放する必要がある。昇降連結バルブ250が開放するためには、第1油圧がスプリング252の弾性力及び第2油圧の和よりも大きくなければならない。水平制御バルブ230が閉鎖する第1場合又は水平制御シリンダー220の作動に使用されて残った流量が発生する第2場合、第1油圧が弾性力及び第2油圧の和よりも大きくなることができる。第1場合には総流量が昇降制御バルブ240を通過し、第2場合には余剰流量が昇降制御バルブ240を通過する。昇降制御バルブ240を通過した流量は昇降制御シリンダーの作動に使用できる。
【0169】
<パイロットチェックバルブ回路の作動についての説明>
図17及び図18の抜純図を参照してパイロットチェックバルブ回路270の作動について説明する。
【0170】
図13のような第2状態では、流量が第1連結ライン292aを通して第1ラインチェックバルブ271に入力される。図17のように、第1ラインチェックバルブ271は開放状態に転換される。第1連結ライン292aを通して移動する流量は第1ラインチェックバルブ271を通過して第1作動ライン293aを経た後、水平制御シリンダー220の第1領域S1に流入する。ここで、第1連結ライン292aから第1転換ラインTL1に分離された流量は第2ラインチェックバルブ272を多少開放させる油圧を発生させる。よって、水平制御シリンダー220の第2領域S2から排出される流量が第2作動ライン293b及び第2連結ライン292bを通してオイルタンクOTに回収できる。
【0171】
図14のような第3状態では、流量が第2連結ライン292bを通して第2ラインチェックバルブ272に入力される。図18のように、第2ラインチェックバルブ272は開放状態に転換される。第2連結ライン292bを通して移動する流量は第2ラインチェックバルブ272を通過して第2作動ライン293bを経た後、水平制御シリンダー220の第2領域S2に流入する。ここで、第2連結ライン292bから第2転換ラインTL2に分離された流量は第1ラインチェックバルブ271を多少開放させる油圧を発生させる。よって、水平制御シリンダー220の第1領域S1から排出される流量は第1作動ライン293a及び第1連結ライン292aを通してオイルタンクOTに回収できる。
【0172】
<油圧回路のすべての流量の流れについての説明>
1.第1状態での作動
図19は第1状態でのすべての流量の流れ(点線矢印参照)を示す。
【0173】
【0174】
第1状態では、油圧ポンプ210から出力された総流量は作業機を昇降させるためにのみ使用される。言い換えれば、第1状態では、油圧ポンプ210から出力された総流量が昇降制御シリンダーの作動にのみ使用される。
【0175】
2.第2状態での作動
図20及び図21は第2状態でのすべての流量の流れ(点線矢印参照)を示す。
【0176】
図13のような第2状態では、油圧ポンプ210から出力される流量が水平制御シリンダー220の一方向作動に使用される。
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
すなわち、油圧ポンプ210から出力された流量は水平制御シリンダー220を作動させるのに優先的に使用される。一方、油圧ポンプ210から出力される流量のうちで追加的に活用可能な余分の流量がある場合には、昇降制御シリンダーの作動にも使用される。
【0182】
このように、本発明の一例示によれば、水平制御シリンダー220による水平制御がなされるうちには、油圧ポンプ210から出力される流量は水平制御バルブ230に優先的に提供される。一方、水平制御シリンダー220の作動に使用されて残った流量があれば、当該余剰流量は昇降制御バルブ240に提供されて昇降制御シリンダーを作動させる。
【0183】
3.第3状態での作動
図22及び図23は第3状態でのすべての流量の流れ(点線矢印参照)を示す。
【0184】
図14のような第3状態では、油圧ポンプ210から出力される流量が水平制御シリンダー220の他方向作動に使用される。
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
このように、本発明による油圧回路100によれば、油圧ポンプ210から出力された流量は水平制御シリンダー220を作動させるのに優先的に使用される。一方、油圧ポンプ210から出力される流量のうちで追加的に活用可能な余分の流量がある場合には、昇降制御シリンダーの作動にも使用される。
【0190】
参考までに、油圧ポンプ210から水平制御シリンダー220の作動に必要な量よりも多い流量を出力する例を詳細に説明する。
【0191】
例えば、油圧ポンプ210から出力される流量を増加させることにより、水平制御シリンダー220の作動に必要な量よりも多い流量が油圧ポンプ210から出力できる。
【0192】
例えば、油圧ポンプ210から出力される流量が同一であっても、比例制御バルブとして備えられる水平制御バルブ230での流量通過量の程度を調節することにより、水平制御シリンダー220の作動に必要な量が減少する場合、水平制御シリンダー220の作動に必要な量よりも多い流量が油圧ポンプ210から出力できる。
【0193】
第2状態又は第3状態では、油圧ポンプ210から出力された流量が水平制御シリンダー220の作動に優先的に使用される。しかし、水平制御シリンダー220の作動に必要な流量よりも多い余分の流量は昇降制御シリンダーの作動に使用される。このように、第2状態又は第3状態では、水平制御シリンダー220のみが作動するか、又は水平制御シリンダー220及び昇降制御シリンダーが一緒に作動することができる。
【0194】
上述した実施例は本発明の好適な例を挙げて説明したものに過ぎず、多様な応用形態を有することができる。よって、本発明が前述した内容のみに限定されるものとして理解されてはいけない。したがって、本発明の権利範囲は別に開示する特許請求の範囲及びその均等範囲と理解されなければならない。
【符号の説明】
【0195】
200 農用トラクターの油圧回路
210 油圧ポンプ
220 水平制御シリンダー
230 水平制御バルブ
240 昇降制御バルブ
250 昇降連結バルブ
251 移動素子
252 スプリング
260 パイロット回路
261a 第1パイロットライン
262a 第2パイロットライン
261b 第1制限バルブ
262b 第2制限バルブ
261c 第1チェックバルブ
262c 第2チェックバルブ
290 基本油圧ライン
291 ポンプライン
295 分岐ライン
PL 圧力ライン
図1
図2
図3
図4
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