(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180319
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20241219BHJP
F24F 6/02 20060101ALI20241219BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F24F6/00 B
F24F6/00 E
F24F6/02 B
F24F13/08 A
F24F13/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092804
(22)【出願日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2023098182
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023176318
(32)【優先日】2023-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100137947
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 貴文
(72)【発明者】
【氏名】甲田 幸大
【テーマコード(参考)】
3L055
3L081
【Fターム(参考)】
3L055BC01
3L055CA04
3L055DA05
3L081AA01
3L081AB03
3L081BA01
3L081BB06
(57)【要約】
【課題】放出する蒸気の温度を適度に下げるとともに、吹出口から均一に蒸気を吹き出し可能な加湿器を提供する。
【解決手段】本発明の加湿器は、本体部と、蓋体と、を備える加湿器であって、前記本体部は、上面に開口部を有し、液体を貯留する加熱容器と、前記加熱容器を加熱する加熱部と、前記加熱容器及び前記加熱部を収容する筐体と、を有し、前記蓋体は、前記加熱容器の前記開口部を開閉可能に覆っており、前記加熱容器で前記液体が蒸発した蒸気を放出する貫通孔である蒸気孔と、前記蒸気孔の上側に配置され、前記蒸気を上側に放出する吹出口と、前記蒸気孔と前記吹出口との間に前記蒸気孔を覆うように配置され、前記蒸気孔から放出された前記蒸気を拡散させる拡散部材と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、蓋体と、を備える加湿器であって、
前記本体部は、
上面に開口部を有し、液体を貯留する加熱容器と、
前記加熱容器を加熱する加熱部と、
前記加熱容器及び前記加熱部を収容する筐体と、を有し、
前記蓋体は、前記加熱容器の前記開口部を開閉可能に覆っており、
前記加熱容器で前記液体が蒸発した蒸気を放出する貫通孔である蒸気孔と、
前記蒸気孔の上側に配置され、前記蒸気を上側に放出する吹出口と、
前記蒸気孔と前記吹出口との間に前記蒸気孔を覆うように配置され、前記蒸気孔から放出された前記蒸気を拡散させる拡散部材と、を有する、
加湿器。
【請求項2】
前記拡散部材は、前記蒸気孔側から前記吹出口側に貫通する複数の貫通孔を有し、
前記蒸気孔から蒸気が放出される方向の直線上には前記貫通孔を有さない、
請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記拡散部材は、前記蒸気孔に対向する面が上側に凸状または凹状の板状の部材である、
請求項1に記載の加湿器。
【請求項4】
前記加熱容器の周面の少なくとも一部及び底面を覆って設けられ、前記加熱容器の熱が外側に伝達しないよう遮蔽する遮熱容器と、
前記筐体の内側の底面である内底面と前記遮熱容器とを接続する接続部と、
前記筐体から前記遮熱容器に向かって突出した筐体突出部と、
前記遮熱容器の上端の外周に沿って環状に設けられ、前記遮熱容器から前記筐体に向かって突出した遮熱容器突出部と、をさらに備え、
前記接続部は、前記遮熱容器を下側に引っ張りつつ前記遮熱容器と接続されており、前記遮熱容器突出部が前記筐体突出部を下側に押圧しながら前記遮熱容器突出部と前記筐体突出部とが当接している、
請求項1に記載の加湿器。
【請求項5】
前記筐体の内周の面には、前記遮熱容器の外周面に当接するリブが形成されている、
請求項4に記載の加湿器。
【請求項6】
前記筐体内の前方側に配置された温湿度センサをさらに備え、
前記加熱容器は、前記筐体内の後方寄りに配置される、
請求項1に記載の加湿器。
【請求項7】
前記筐体は、
前方下側に設けられた、前記筐体の内側と外側とを接続する前方下開口と、
後方上側に設けられた、前記筐体の内側と外側とを接続する後方上開口と、を有し、
前記前方下開口と前記後方上開口とは前記筐体内の空間でつながっており、
前記温湿度センサは、前記前方下開口近傍に配置される、
請求項6に記載の加湿器。
【請求項8】
前記加熱容器は、使用者によって把持される取手を有し、前記本体部から取り出し可能であり、
前記蓋体は、ヒンジ部を介して前記筐体に着脱可能に接続され、前記ヒンジ部を軸として前記筐体に対して回動することで前記加熱容器の前記開口部を開閉する、
請求項1に記載の加湿器。
【請求項9】
前記拡散部材は、前記蒸気孔側から前記吹出口側に貫通する複数の貫通孔を有し、
複数の前記貫通孔のそれぞれは、前記蒸気孔よりも、前記蓋体を開閉する際に使用者により操作される蓋開閉取手から離れた位置に配置される、
請求項1に記載の加湿器。
【請求項10】
前記本体部に対して前記蓋体を回動可能に支持するヒンジ部と、
前記蓋体が閉じられた状態のときに、前記蓋体と前記加熱容器の前記開口部との接続部を密封するように設けられたパッキンと、を備え、
前記蓋体は、前記拡散部材を収容する蓋体凹部を有し、
前記蓋体は、前記ヒンジ部側の前記蓋体凹部の底部と側面下端部との少なくとも一方から前記ヒンジ部側の空間と仕切りながら前記加熱容器側に延びて前記パッキンの外周側部分に接続された導水孔部であって、前記蓋体が開けられるときに前記蓋体凹部に存在する液体を前記加熱容器に導く導水孔部を有する、
請求項1に記載の加湿器。
【請求項11】
前記導水孔部は、前記液体の出口となる前記加熱容器側に、前記蓋体凹部に存在する前記液体を前記加熱容器に向かって案内する導水ガイド部を含む、
請求項10に記載の加湿器。
【請求項12】
前記蓋体が開放位置にある状態において、前記導水ガイド部の先端は、前記ヒンジ部よりも前記加熱容器の中心側に位置する、
請求項11に記載の加湿器。
【請求項13】
前記蓋体は、水平方向に対して90°以上の開位置にある状態において、前記蓋体凹部に存在する液体が漏れ落ちないよう堰き止める堰部を有する、
請求項10に記載の加湿器。
【請求項14】
前記蓋体が開放位置にある状態において、前記拡散部材は、前記拡散部材の下端から前記堰部に向かって延びる拡散ガイド部を有する、
請求項13に記載の加湿器。
【請求項15】
前記蓋体は、前記吹出口を形成する複数の桟を有する吹出口部を有し、
複数の前記桟は、前記蓋体の回動軸方向に沿って延びる第1桟を含んでおり、
前記第1桟が延びる方向に対して垂直な面の前記第1桟の断面は、前記蓋体が閉位置にある状態において、下方向に向かって先細り形状である、
請求項1に記載の加湿器。
【請求項16】
前記第1桟が延びる方向に対して垂直な面の前記第1桟の断面は、前記蓋体の回動軸とは反対側に凹部を有する形状である、
請求項15に記載の加湿器。
【請求項17】
前記第1桟の前記凹部は、前記蓋体が開放位置にある状態において、鉛直方向下側に凹んだ状態となる、
請求項16に記載の加湿器。
【請求項18】
前記加熱容器の周面の少なくとも一部及び底面を覆って設けられ、前記加熱容器の熱が外側に伝達しないよう遮蔽する遮熱容器をさらに備える、
請求項1に記載の加湿器。
【請求項19】
前記加熱容器の周面の全体と前記遮熱容器との間に隙間を有する、
請求項18に記載の加湿器。
【請求項20】
前記蓋体が閉じられた状態のときに、前記蓋体と前記加熱容器の前記開口部との接続部を密封するように設けられたパッキンをさらに備え、
前記隙間は、前記蓋体が閉じられた状態のときに、前記パッキンにより前記加熱容器の位置が調整されることにより形成される、
請求項19に記載の加湿器。
【請求項21】
前記加熱容器の外面が黒色であり、
前記遮熱容器の内面が白色または灰色である、
請求項18に記載の加湿器。
【請求項22】
前記加熱部と前記加熱容器との両方に接触するように設けられた加熱板をさらに備える、
請求項18に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒータで水を加熱することで発生した蒸気によって配置された部屋を加湿するスチーム式加湿器(「加熱式加湿器」ともいう)が知られている。特許文献1に記載の加湿器は、液体を収容する内容器を備えた胴体と、蒸気孔を備えた蓋体と、加熱手段とを備え、内容器で発生した蒸気を噴出する蒸気噴出ノズルを有し、蒸気噴出ノズルの噴出方向に、噴出した蒸気を分散させる蒸気分散壁を有する。この蒸気分散壁は、蒸気噴出ノズルの噴出方向に対してほぼ直交する衝突壁で構成される。この構成により、蒸気噴出ノズルから噴出された蒸気が衝突壁(蒸気分散壁)に衝突して強制的に分散される。また、特許文献2にも、従来の加湿器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-270965号公報
【特許文献2】特開2010-270966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の加湿器では、蒸気噴出ノズルから噴出された蒸気は、衝突壁に衝突した後、蒸気孔カバーに形成された複数の蒸気孔のうち、衝突壁近傍の蒸気孔からほとんどが放出され、蒸気噴出ノズル近傍の蒸気孔からはあまり放出されない。すなわち、特許文献1に記載の加湿器は、蒸気を十分に拡散させて放出することができず、蒸気孔から蒸気を均一に放出するという点において不十分な点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を提供する。
【0006】
本発明の一態様の加湿器は、本体部と、蓋体と、を備える加湿器であって、
前記本体部は、
上面に開口部を有し、液体を貯留する加熱容器と、
前記加熱容器を加熱する加熱部と、
前記加熱容器及び前記加熱部を収容する筐体と、を有し、
前記蓋体は、前記加熱容器の前記開口部を開閉可能に覆っており、
前記加熱容器で前記液体が蒸発した蒸気を放出する貫通孔である蒸気孔と、
前記蒸気孔の上側に配置され、前記蒸気を上側に放出する吹出口と、
前記蒸気孔と前記吹出口との間に前記蒸気孔を覆うように配置され、前記蒸気孔から放出された前記蒸気を拡散させる拡散部材と、を有する。
【0007】
上記のような加湿器によれば、拡散部材を設けた構成にすることで、放出される蒸気を拡散部材で拡散させ、放出する蒸気の温度を下げると同時に、吹出口から蒸気を均等に放出させる構成にすることができる。
【0008】
上記加湿器において好ましくは、前記拡散部材は、前記蒸気孔側から前記吹出口側に貫通する複数の貫通孔を有し、
前記蒸気孔から蒸気が放出される方向の直線上には前記貫通孔を有さない。
【0009】
上記のような加湿器によれば、上記のような構成の拡散部材を設けることで、蒸気が直接加湿器の外側に放出されてしまうことを防止し、均一に拡散させた蒸気を放出させることができる。
【0010】
上記加湿器において好ましくは、前記拡散部材は、前記蒸気孔に対向する面が上側に凸状または凹状の板状の部材である。
【0011】
上記のような加湿器によれば、蒸気を拡散させやすい拡散部材を備えた構成となる。
【0012】
上記加湿器において好ましくは、前記加熱容器の周面及び底面を覆って設けられ、前記加熱容器の熱が外側に伝達しないよう遮蔽する遮熱容器と、
前記筐体の内側の底面である内底面と前記遮熱容器とを接続する接続部と、
前記筐体から前記遮熱容器に向かって突出した筐体突出部と、
前記遮熱容器の上端の外周に沿って環状に設けられ、前記遮熱容器から前記筐体に向かって突出した遮熱容器突出部と、をさらに備え、
前記接続部は、前記遮熱容器を下側に引っ張りつつ前記遮熱容器と接続されており、前記遮熱容器突出部が前記筐体突出部を下側に押圧しながら前記遮熱容器突出部と前記筐体突出部とが当接している。
【0013】
上記のような構成の加湿器では、遮熱容器の上端を筐体にねじ止めすることなく、筐体に連結して固定させることができる。そのため、筐体において、遮熱容器の周囲に、ねじ止めするためのスペースを確保する必要がなくなる。例えば、筐体が上側から見て四角形の場合には、四隅にねじ止め用のスペースを確保する余裕があるが、円筒状に形成するとこのようなスペースを確保しづらくなるため、上記の構成が特に有用となる。また、筐体と遮熱容器とを密接させて配置することができるため、筐体と遮熱容器の隙間から、筐体の内部空間に水が進入してしまうことを防止できる。
【0014】
上記加湿器において好ましくは、前記筐体の内周の面には、前記遮熱容器の外周面に当接するリブが形成されている。
【0015】
上記のような加湿器によれば、リブによって、鉛直方向に垂直な面方向である水平方向における遮熱容器の位置決めを行うことができる。そのため、接続部を設けるだけで、他のねじ止めを必要とすることなく、筐体を遮熱容器に固定することができる。
【0016】
上記加湿器において好ましくは、前記筐体内の前方側に配置された温湿度センサをさらに備え、
前記加熱容器は、前記筐体内の後方寄りに配置される。
【0017】
上記のような加湿器によれば、温湿度センサを熱源から離れた位置に配置可能となるため、より適切な温度及び湿度を測定可能となる。
【0018】
上記加湿器において好ましくは、前記筐体は、
前方下側に設けられた、前記筐体の内側と外側とを接続する前方下開口と、
後方上側に設けられた、前記筐体の内側と外側とを接続する後方上開口と、を有し、
前記前方下開口と前記後方上開口とは前記筐体内の空間でつながっており、
前記温湿度センサは、前記前方下開口近傍に配置される。
【0019】
上記のような加湿器によれば、加熱部の加熱により、筐体内に上昇気流が発生し、空気が前方下開口から後方上開口に向けて流れることとなる。そのため、前方下開口の近傍に温湿度センサを配置すると、外部環境に近い空気の温度及び湿度を測定可能となり、加湿器が配置された空間の温度及び湿度を精度よく測定できる。また、これらの開口は正面から見えづらくなるため、加湿器の外観を損ねることなく開口を形成することができる。
【0020】
上記加湿器において好ましくは、前記加熱容器は、使用者によって把持される取手を有し、前記本体部から取り出し可能であり、
前記蓋体は、ヒンジを介して前記筐体に着脱可能に接続され、前記ヒンジを軸として前記筐体に対して回動することで前記加熱容器の前記開口部を開閉する。
【0021】
上記のような加湿器によれば、蓋体を取り外して洗浄可能となるため、蓋体を清潔に保つことができる。また、加熱容器を取り外して給水、排水、及び洗浄できるため、さらに利便性を高めることができる。
【0022】
上記加湿器において好ましくは、前記拡散部材は、前記蒸気孔側から前記吹出口側に貫通する複数の貫通孔を有し、
複数の前記貫通孔のそれぞれは、前記蒸気孔よりも、前記蓋体を開閉する際に使用者により操作される蓋開閉取手から離れた位置に配置される。
【0023】
上記のような加湿器によれば、蒸気が出ている状態で使用者が蓋体を開けようとした場合であっても、使用者の手に蒸気が直接当たりづらい、より安全な構成にすることができる。
【0024】
上記加湿器において好ましくは、前記本体部に対して前記蓋体を回動可能に支持するヒンジ部と、
前記蓋体が閉じられた状態のときに、前記蓋体と前記加熱容器の前記開口部との接続部を密封するように設けられたパッキンと、を備え、
前記蓋体は、前記拡散部材を収容する蓋体凹部を有し、
前記蓋体は、前記ヒンジ部側の前記蓋体凹部の底部と側面下端部との少なくとも一方から前記ヒンジ部側の空間と仕切りながら前記加熱容器側に延びて前記パッキンの外周側部分に接続された導水孔部であって、前記蓋体が開けられるときに前記蓋体凹部に存在する液体を前記加熱容器に導く導水孔部を有する。
【0025】
上記のような加湿器によれば、蓋体の蓋体凹部に生成された結露水を、ヒンジ部を経由せずに導水孔部を介して加熱容器に導く構成となっている。このような構成により、加湿器では、蓋体を開ける際に結露水が周囲に飛散することを抑制できる。また、導水孔部がヒンジ部とは隔離された構成であるため、ヒンジ部から結露水が飛散することを防止できる。
【0026】
上記加湿器において好ましくは、前記導水孔部は、前記液体の出口となる前記加熱容器側に、前記蓋体凹部に存在する前記液体を前記加熱容器に向かって案内する導水ガイド部を含む。
【0027】
上記のような加湿器によれば、結露水を加熱容器の外部にこぼれることを抑制できる。
【0028】
上記加湿器において好ましくは、前記蓋体が開放位置にある状態において、前記導水ガイド部の先端は、前記ヒンジ部よりも前記加熱容器の中心側に位置する。
【0029】
上記のような加湿器によれば、蓋体が開放位置にあるときに、導水ガイド部に沿って落下してきた結露水が加湿器の外側に流出することを抑制できる。
【0030】
上記加湿器において好ましくは、前記蓋体は、水平方向に対して90°以上の開位置にある状態において、前記蓋体凹部に存在する液体が漏れ落ちないよう堰き止める堰部を有する。
【0031】
上記のような加湿器によれば、蓋体を開放した時に蓋体凹部に存在する結露水が加湿器の外部に流出することを抑制できる。
【0032】
上記加湿器において好ましくは、前記蓋体が開放位置にある状態において、前記拡散部材は、前記拡散部材の下端から前記堰部に向かって延びる拡散ガイド部を有する。
【0033】
上記のような加湿器によれば、蓋体を開放したときに拡散部材に付着している結露水を堰部に導くことができ、結露水が加湿器の外部に流出することを抑制できる。
【0034】
上記加湿器において好ましくは、前記蓋体は、前記吹出口を形成する複数の桟を有する吹出口部を有し、
複数の前記桟は、前記蓋体の回動軸方向に沿って延びる第1桟を含んでおり、
前記第1桟が延びる方向に対して垂直な面の前記第1桟の断面は、前記蓋体が閉位置にある状態において、下方向に向かって先細り形状である。
【0035】
上記加湿器において好ましくは、蓋体が閉位置にある状態と、蓋体の開角度が90°未満の状態のときに、第1桟に付着した結露水が蓋体凹部に落ちやすい構成となる。これにより、結露水が加湿器外に流出することを抑制できる。
【0036】
上記加湿器において好ましくは、前記第1桟が延びる方向に対して垂直な面の前記第1桟の断面は、前記蓋体の回動軸とは反対側に凹部を有する形状である。
【0037】
上記加湿器において好ましくは、蓋体の開角度が90°未満の状態のときに、桟に付着した結露水が蓋体凹部に落ちやすい構成となる。これにより、結露水が加湿器外に流出することを抑制できる。
【0038】
上記加湿器において好ましくは、前記第1桟の前記凹部は、前記蓋体が開放位置にある状態において、鉛直方向下側に凹んだ状態となる。
【0039】
上記加湿器において好ましくは、蓋体が開放位置にあるときに、凹部に結露水が溜まり、桟から結露水が外部に落ちることを抑制できる。
【0040】
上記加湿器において好ましくは、前記加熱容器の周面の少なくとも一部及び底面を覆って設けられ、前記加熱容器の熱が外側に伝達しないよう遮蔽する遮熱容器をさらに備える。
【0041】
上記のような加湿器によれば、遮熱容器を備えることで、遮熱容器の外側に熱が伝達することを抑制するだけでなく、加熱容器で水が沸騰する際に発生する泡に起因する音を遮蔽することができ、静音性を高めることができる。
【0042】
上記加湿器において好ましくは、前記加熱容器の周面の全体と前記遮熱容器との間に隙間を有する。
【0043】
上記のような加湿器によれば、高い遮音効果を有する構成にすることができる。
【0044】
上記加湿器において好ましくは、前記蓋体が閉じられた状態のときに、前記蓋体と前記加熱容器の前記開口部との接続部を密封するように設けられたパッキンをさらに備え、
前記隙間は、前記蓋体が閉じられた状態のときに、前記パッキンにより前記加熱容器の位置が調整されることにより形成される。
【0045】
上記のような加湿器によれば、パッキンによって加熱容器が適切に位置決めされるとともに、加熱容器と遮熱容器との間に、全周にわたって均等な隙間を形成することができる。
【0046】
上記加湿器において好ましくは、前記加熱容器の外面が黒色であり、前記遮熱容器の内面が白色または灰色である。
【0047】
上記のような加湿器によれば、加熱容器が熱を吸収しやすく、遮熱容器が加熱容器に向かって熱を反射しやすい構成となる。これにより、加熱容器を効率よく加熱可能な構成にすることができる。
【0048】
上記加湿器において好ましくは、前記加熱部と前記加熱容器との両方に接触するように設けられた加熱板をさらに備える。
【0049】
上記のような加湿器によれば、加熱部で発生した熱が加熱板を介して加熱容器に伝達されるため、加熱容器の温度上昇が緩やかになるとともに局所的な加熱が避けられ、蒸気の泡の発生を分散させるとともに抑制することができ、静音性を高めることができる。
【0050】
本発明の一態様の加湿器は、本体部と、蓋体と、を備える加湿器であって、
前記本体部は、
上面に開口部を有し、液体を貯留する加熱容器と、
前記加熱容器を加熱する加熱部と、
前記加熱容器及び前記加熱部を収容する筐体と、を有し、
前記蓋体は、前記加熱容器の前記開口部を開閉可能に覆っており、
前記加熱容器で前記液体が蒸発した蒸気を放出する貫通孔である蒸気孔と、
前記蒸気孔の上側に配置され、前記蒸気を上側に放出する吹出口と、を有し、
前記本体部に対して前記蓋体を回動可能に支持するヒンジ部と、
前記蓋体が閉じられた状態のときに、前記蓋体と前記加熱容器の前記開口部との接続部を密封するように設けられたパッキンと、を備え、
前記蓋体は、前記拡散部材を収容する蓋体凹部を有し、
前記蓋体は、前記ヒンジ部側の前記蓋体凹部の底部と側面下端部との少なくとも一方から前記ヒンジ部側の空間と仕切りながら前記加熱容器側に延びて前記パッキンの外周側部分に接続された導水孔部であって、前記蓋体が開けられるときに前記蓋体凹部に存在する液体を前記加熱容器に導く導水孔部を有する。
【0051】
本発明の一態様の加湿器は、本体部と、蓋体と、を備える加湿器であって、
前記本体部は、
上面に開口部を有し、液体を貯留する加熱容器と、
前記加熱容器を加熱する加熱部と、
前記加熱容器及び前記加熱部を収容する筐体と、を有し、
前記蓋体は、前記加熱容器の前記開口部を開閉可能に覆っており、
前記加熱容器で前記液体が蒸発した蒸気を放出する貫通孔である蒸気孔と、
前記蒸気孔の上側に配置され、前記蒸気を上側に放出する吹出口と、を有し、
前記蓋体は、前記吹出口を形成する複数の桟を有する吹出口部を有し、
複数の前記桟は、前記蓋体の回動軸方向に沿って延びる第1桟を含んでおり、
前記第1桟が延びる方向に対して垂直な面の前記第1桟の断面は、前記蓋体が閉位置にある状態において、下方向に向かって先細り形状である。
【0052】
本発明の一態様の加湿器は、本体部と、蓋体と、を備える加湿器であって、
前記本体部は、
上面に開口部を有し、液体を貯留する加熱容器と、
前記加熱容器を加熱する加熱部と、
前記加熱容器及び前記加熱部を収容する筐体と、を有し、
前記蓋体は、前記加熱容器の前記開口部を開閉可能に覆っており、
前記加熱容器で前記液体が蒸発した蒸気を放出する貫通孔である蒸気孔と、
前記蒸気孔の上側に配置され、前記蒸気を上側に放出する吹出口と、を有し、
前記加熱容器の周面の少なくとも一部及び底面を覆って設けられ、前記加熱容器の熱が外側に伝達しないよう遮蔽する遮熱容器をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1は、実施形態1の加湿器の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の加湿器において吹出口部を取り外した状態の斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の加湿器において吹出口部及び拡散部材を取り外した状態の斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態1の加湿器において蓋体を取り外した状態の斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の加湿器の断面図である。
【
図6】
図6は、実施形態1の加湿器の加熱容器の斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態1の加湿器の接続部近傍の断面図である。
【
図9】
図9は、筐体と遮熱容器との当接部分の拡大図である。
【
図12】
図12は、実施形態1の加湿器を下側から見た斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態1の加湿器を背面から見た図である。
【
図14】
図14は、実施形態1の加湿器の拡散部材の斜視図である。
【
図15】
図15は、実施形態1の加湿器の拡散部材を上側から見た平面図である。
【
図16】
図16は、実施形態1の変形例の加湿器の拡散部材の斜視図である。
【
図18】
図18は、実施形態2の加湿器において吹出口部を取り外した状態の斜視図である。
【
図19】
図19は、実施形態2の加湿器において吹出口部及び拡散部材を取り外した状態の斜視図である。
【
図20】
図20は、実施形態2の加湿器において吹出口部を取り外した状態を上側から見た平面図である。
【
図23】
図23は、実施形態2の加湿器の蓋体を開けた状態の断面図である。
【
図25】
図25は、実施形態2の加湿器の蓋体を開放位置まで開けた状態の断面図である。
【
図32】
図32は、実施形態1において加熱容器を取り出した状態の加湿器を上側から見た斜視図である。
【
図33】
図33は、実施形態1の加熱板22aを下側から見た斜視図である。
【
図34】
図34は、実施形態1の加熱板22aを上側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施形態1の加湿器について、図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する各実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
【0055】
本明細書では、加湿器1を鉛直方向に対して垂直な平面に載置しているものとして説明する。加湿器1において前方下開口27aが設けられた側を前面側といい、その逆側であって後方上開口27bが設けられた側を、背面側または後方側という。加湿器1の上下方向を高さ方向ということがある。
【0056】
[実施形態1]
[加湿器1の全体構成]
まず、本発明の実施形態1の加湿器1について説明する。本実施形態の加湿器1は、水を加熱して蒸発させることで発生した蒸気により、配置された空間を加湿する、いわゆる加熱式(スチーム式)の加湿器である。
【0057】
図1~
図4は、本実施形態の加湿器1の斜視図である。
図2は、吹出口部32を取り外した状態を示す。
図3は、吹出口部32及び拡散部材33を取り外した状態を示す。
図4は、蓋体3を取り外した状態を示す。
図5は、加湿器1の断面図である。これらの図に示されるように、加湿器1は、本体部2と、蓋体3とを備える。
【0058】
[本体部2]
本体部2は、加熱容器21、加熱部22、加熱板22a、筐体23、遮熱容器24、接続部25、及び温湿度センサ26等を備える。
【0059】
[加熱容器21]
図6は、加熱容器21を示す。
図4~
図6に示されるように、加熱容器21は、上面に開口部21aを有し、加湿に用いる液体を貯留可能に形成された容器である。加熱容器21に貯留された液体は、典型的には水であり、加熱板22aを介して加熱部22によって加熱されることで蒸発する。加湿に用いられる液体は、水に他の物質を混合した液体、または水以外の加湿に利用可能な液体であってもよい。加熱容器21は、効果的な加熱を促進するため、高い熱伝導率を有する材料で形成される。
【0060】
加熱容器21は、上面に開口部21aを有するように開放された円筒状の部分と、この円筒状部分の上端の接続部21dに接続された取手21bとを有する。取手21bは、円筒状部分の上端において、上面を形成する円の中心を通る直線上に設けられた2箇所の位置で、円筒状部分に接続される。加熱容器21は、使用者が取手21bを把持して上側に持ち上げることで、本体部2から取り出すことができる。取り出された加熱容器21には、使用者が水を補充した後に、再度本体部2に戻すことができる。なお、蓋体3を開いた状態であれば、加熱容器21を本体部2に取り付けた状態でも水を補充することができる。
【0061】
加熱容器21は、例えば内部が3層にコーティングされた金属材料で形成される。例えば、これらの3層はいずれも四フッ化エチレンを主材料とし、トップコートは塗膜厚が十数μm、ミドルコートは塗膜厚が十数μm、プライマーは塗膜厚十数μmである。これにより、加熱容器21内部の汚れを簡単に清掃することができる。
【0062】
加熱容器21の外面21iは黒色である。加熱容器21の外面21iの黒色は任意の方法で形成されてよいが、例えば、加熱容器21の外面21iに黒色の粉体塗装を施すことにより形成される。加熱容器21の全体を黒色にしてもよい。加熱容器21の外面21iの黒色は、熱を吸収しやすくすることを目的とするものであるため、当該黒色は黒色に近い色を含み、熱を吸収しやすい色であれば必ずしも黒色に限定されるものではない。
【0063】
[加熱部22]
図7は、
図5のA-Aにおける断面図である。
図32は、加熱容器21を取り出した状態の加湿器1を上側から見た斜視図である。
図33は、加熱部22及び加熱板22aを下側から見た斜視図である。
図5、
図7、
図32及び
図33に示されるように、加熱部22は加熱容器21の下側であって、遮熱容器24の上側に円環状に設けられ、加熱板22aを介して加熱容器21を加熱する。加熱部22は、電力の供給により発熱する。
【0064】
[加熱板22a]
図34は、加熱板22aを上側から見た斜視図である。加熱部22と加熱容器21との間には、加熱板22aが配置される。加熱板22aは、中央に円状の貫通孔を有する円環状で板状の部材であって、高い熱伝導率を有する金属等で形成される。加熱板22aは、加熱部22の外周面を覆いながら接触するように形成された、加熱接続部22bを含む。加熱板22aが加熱接続部22bを含むことで、加熱部22からの熱を効率的に加熱容器21に伝達できる。加熱板22aの中央の貫通孔には、サーミスタ23hが配置される。加熱板22aの上面は、中心に向かうにつれて上側に凸となるように湾曲している。すなわち、
図5等から判るように、加熱板22aの断面は、外側から中心に向かって高くなるように、上側に傾斜している。一方、加熱板22aに接触する加熱容器21の底面の外側の面は、加熱板22aの湾曲形状に沿うように、中心に向かうにつれて上側に凸となるように湾曲している。加熱板22aは加熱部22と加熱容器21との両方に面で接触しており、加熱部22で発生した熱を加熱容器21に伝達する。加熱部22及び加熱板22aは、本実施形態のような態様に限定されるものではなく、加熱容器21を加熱可能な構成であれば任意に変更してよい。
【0065】
図5に示されるように、加熱板22a及び加熱容器21の底面は、上側に凸状に湾曲した形状となっている。この形状により、加熱容器21を加熱板22aの中央に保持させやすくなる。なお、加熱部22と加熱板22aとは一体の構成としてもよい。
【0066】
[遮熱容器24]
遮熱容器24は、加熱容器21の周面及び底面を覆って設けられ、断熱性を有する材料で形成されており、加熱部22から加熱容器21に与えられる熱が外部に伝達しないように遮蔽する。本実施形態の遮熱容器24は、加熱容器21の上側の一部を除く周面及び底面の全体、すなわち略全体を覆うように設けられているが、加熱容器21の全体を覆うように設けられてもよい。遮熱容器24は、例えば金属で形成される。遮熱容器24は、加熱容器21より一回り大きい同形状であって、上面に開口を有する円筒状に形成される。遮熱容器24と加熱容器21との間には、1mm以上2mm以下の隙間24cが形成される(
図9参照)。すなわち、遮熱容器24の内周面を形成する円の直径は、加熱容器21の外周面を形成する円の直径よりも、2mm以上4mm以下だけ大きい。ただし、この隙間24c及び直径差は任意に変更してよい。筐体23内には、後述するように回路基板23d等が配置されるため、遮熱容器24は、これらの構成に加熱部22からの熱が伝わり不具合が発生することを防止する。
【0067】
遮熱容器24の上端には、上端の外周に沿って円環状に設けられ、遮熱容器24から外側に向かって突出する遮熱容器突出部24aを有する。遮熱容器24の外側には、遮熱容器24を覆うように筐体23が設けられているため、遮熱容器突出部24aは遮熱容器24から筐体23に向かって突出しているともいえる。遮熱容器突出部24aは、パッキン23cを介在して筐体突出部23aに載置される。
【0068】
遮熱容器24の内面24bは白色または灰色である。遮熱容器24は、鉄と炭素との合金であるスチールで形成され、内面24bの白色または灰色は任意の方法で形成される。例えば、遮熱容器24の内面24bの白色または灰色は、白色または灰色の粉体塗装を施すことにより形成される。遮熱容器24の全体を白色または灰色にしてもよい。遮熱容器24の内面24bの白色または灰色は、熱を反射しやすくすることを目的とするものである。そのため、灰色は白色に近いことが好ましい。また、白色は白色に近い色を含み、熱を反射しやすい色であれば白色に近い灰色以外の色であっても構わない。また、遮熱容器24の内面24bは、白色または灰色に代えて、鏡面であってもよい。
【0069】
上記のように、加湿器1では、遮熱容器24の内面24bが白色または灰色であり、加熱容器21の外面21iが黒色であるため、加熱容器21は熱を吸収しやすく、遮熱容器24は熱を反射しやすいため、加熱容器21が効率よく加熱される。
【0070】
[接続部25]
図8は、遮熱容器24と筐体23とを接続する接続部25の1つの近傍の拡大図である。接続部25は2つ設けられるが、ここではその1つについて説明する。
図5及び
図10に示されるように、遮熱容器24の底部には、2か所で90°に折り曲げられた板状の部材で形成された接続部25が設けられる。接続部25は、遮熱容器24の底面に溶接等により連結されて一体に形成されてもよいし、ねじまたはリベット等の接続部材を用いて遮熱容器24の底面に分離可能に形成されてもよい。また、接続部25は、遮熱容器24の側面に設けられてもよい。接続部25の下側部分は、筐体23の内側の底面にねじ25aを用いて連結される。すなわち、接続部25は、筐体23の内側である内底面と、遮熱容器24とを接続する。なお、接続部25の数は任意に変更してよいが、2つまたは3つが好ましい。
【0071】
[筐体23]
筐体23は、本体部2の外殻を形成し、加熱容器21、加熱部22、遮熱容器24、及び温湿度センサ26等を収容する。筐体23は、上側に開口を有する円筒状に形成され、この開口を覆うように蓋体3が設けられる。
【0072】
図9は、筐体23と遮熱容器24との当接部分等の拡大図である。
図9に示されるように、筐体23の内周の面には、内側、すなわち遮熱容器24に向かって突出する、筐体突出部23aを有する。筐体突出部23aは、円環状に連続して設けられてもよいし、このような円環状の一部を構成するように断続的な位置に設けられてもよい。筐体突出部23aの上には、パッキン23cを介して、遮熱容器突出部24aが載置される。
【0073】
図10は、
図5のB-Bにおける断面図である。
図9及び
図10に示されるように、筐体23の内周の面にはさらに、内側、すなわち遮熱容器24に向かって、遮熱容器24に当接するよう突出する、リブ23bを有する。
図9に示されるように、リブ23bは、周方向において等間隔に複数設けられ、遮熱容器24の外周面に当接する。
【0074】
ここで、遮熱容器24は上記のとおり金属等で形成されるが、円筒部分が絞り加工(プレス加工)によって形成された後、上端部に折り曲げ加工を施して遮熱容器突出部24aを形成する。そのため、円筒部分と遮熱容器突出部24aとを比較すると、円筒部分の方が寸法誤差が小さくなる。そのため、遮熱容器24の外周面に当接して支持する筐体23のリブ23bは、遮熱容器24の上端部に設けられる遮熱容器突出部24aではなく、円筒部分に当接するように設けられる。
【0075】
また、上記のとおり筐体23と遮熱容器24とは、互いの底部において、接続部25により接続される。この接続部25以外に、遮熱容器突出部24aにパッキン23cを介して筐体突出部23aが載置される箇所で、遮熱容器24と筐体23とが上下方向に当接する。ここで、接続部25は、筐体23に対して遮熱容器24を下側に引っ張りつつ遮熱容器を接続している。そのため、遮熱容器突出部24aと筐体突出部23aとの当接部分では、遮熱容器突出部24aが、パッキン23cを介して、筐体突出部23aを下側に押圧しながら筐体突出部23aに当接している。これより、遮熱容器突出部24aと筐体突出部23aとの当接位置は密接に当接し、遮熱容器24側から外側に水が漏れ出ることを防止している。
【0076】
図11は、
図5のC-Cにおける断面図である。筐体23、加熱容器21及び遮熱容器24はいずれも円筒状であるが、
図7、
図10、及び
図11の断面図に示されるように、筐体23に対して、加熱容器21及び遮熱容器24は、中央よりも後方寄りに配置される。このように配置されることで、筐体23の前方にはスペースに余裕が生じ、
図7に示すように温湿度センサ26を配置するスペースや、
図10に示すように回路基板23dを配置するスペースを確保できる。
【0077】
図5、
図12、及び
図13に示されるように、本体部2の底部、すなわち筐体23の底部には段差が形成され、内側に向かって凹んだ形状となっている。そのため、使用者は、この段差の部分を持って加湿器1を持ち運ぶことができる。
【0078】
[サーミスタ23h]
図5、
図32及び
図34に示されるように、筐体23内の、遮熱容器24の上にはサーミスタ23hが設けられる。サーミスタ23hの底部には巻きばね23iが配置されており(
図33参照)、サーミスタ23hは上側に付勢された状態で下側から加熱容器21の底部に当接する。サーミスタ23hは、加熱容器21の底部に接触して加熱容器21の温度を検知する。
【0079】
[ヒューズ23e]
筐体23内には、一定以上の高温になったときに溶解して外部から供給される電力を遮断するヒューズ23eが配置される。ヒューズ23eは、サーミスタ23hで検知される動作停止温度よりもさらに高温となったときに溶解して切断され、過加熱時に強制的に運転停止するための構成である。ヒューズ23eは、例えば
図5に示されるように、筐体内空間23gの任意の場所に配置される。
【0080】
[電源端子23f]
筐体23の背面側の下側には、家庭用電源に接続するための電源ケーブルを接続可能な、電源端子23fが設けられる(
図13参照)。電源端子23fは必須の構成ではなく、直接電源ケーブルが接続された構成としてもよい。
【0081】
[ヒンジ係合部28]
筐体23の背面側の上端には、ヒンジ軸36aに着脱可能に係合して、ヒンジ軸36aとともにヒンジ部36を形成するヒンジ係合部28が形成される。ヒンジ部36については後述するが、ヒンジ部36は本体部2に対して蓋体3を開閉可能にするように機能する。
【0082】
[前方下開口27a、後方上開口27b]
図12は、加湿器1を下側から見た斜視図である。
図5、
図7、及び
図12に示されるように、加湿器1の前方側の下側には、下側に向かって形成された開口である前方下開口27aが形成される。
【0083】
図13は、加湿器1を背面から見た図である。
図5、
図11、及び
図13に示されるように、加湿器1の後方側の上側には、後方に向かって形成された開口である後方上開口27bが形成される。
【0084】
後方上開口27bの幅は、その上に位置するヒンジ部36の幅よりも小さく形成される。これにより、ヒンジの側方から水が滴り落ちてきた場合であっても、後方上開口27bから筐体23内部に水が進入することを防止できる。
【0085】
図5に示されるように、筐体23には、外殻(外壁)と内側に配置される遮熱容器24との間に、筐体内空間23gが形成されており、上記の前方下開口27aと後方上開口27bとは、この筐体内空間23gでつながっている。筐体23内は、遮熱容器24が設けられているもののある程度温度が上昇し、これにより上昇気流が発生するため、前方下開口27aから後方上開口27bに向けた気流が発生する。これによって筐体23内では気体の入れ替え(換気)が行われ、温度上昇を抑制させることができる。
【0086】
[温湿度センサ26]
図5及び
図7に示されるように、温湿度センサ26は、筐体23の内部の前方側であって、前方下開口27aの近傍に配置される。温湿度センサ26は、周囲の気体の温度及び湿度を検知する。温湿度センサ26は、このように前方下開口27aの近傍に配置されることで、前方下開口27aから吸い込む気体の温度及び湿度を検知することができる。そのため、筐体23の内部に配置されながらも、加湿器1の周囲の空気の温度及び湿度を検知できる。
【0087】
なお、温湿度センサ26は、この位置ではなく他の位置に設けられてもよい。また、温度センサと湿度センサとが異なる位置に設けられてもよい。
【0088】
[回路基板23d]
図5、
図10、及び
図11に示されるように、回路基板23dは、筐体23内の前方であって、前方下開口27aの上側に設けられる。回路基板23dには、加湿器1を制御する制御部として機能する半導体集積回路、及び電子部品等が搭載される。回路基板23dは、操作部29a~29e及び表示部29f~29kに接続された操作基板29mに接続され、操作基板29mが検知した操作部29a~29eの操作に対応して、加湿器1の各部を制御する。また、回路基板23dは、操作基板29mを介して、表示部29f~29kの表示を制御する。
【0089】
回路基板23d、または操作基板29mには、加湿器1が転倒したことを検知可能な加速度センサ(図示省略)が配置される。加速度センサが、加湿器1が転倒したことを検知すると、回路基板23dまたは操作基板29mは加湿器1の運転を停止する。この転倒時の運転停止状態は、コンセントを抜き差しすることで通常状態に復帰し、加湿器1を再度動作させることができるようになる。なお、加速度センサは、加湿器1が転倒したことを検知可能な角速度センサに置き換えられてもよい。
【0090】
[操作部29a~29e]
図1~
図4に示されるように、筐体23の上面の前方側には操作部29a~29eが設けられる。操作部29aは、チャイルドロックのボタンとして機能する。操作部29aを操作すると、加湿器1は、チャイルドロックモードと通常モードとの間で動作モードが変化する。チャイルドロックモードでは、チャイルドロックボタンを押して通常モードにしない限り他の操作部29a~29dの操作を受け付けない。なお、チャイルドロックモードであっても、後述のように電源ボタンとして機能する操作部29eの操作は受け付けることができる。操作部29bは、タイマー設定のボタンとして機能する。操作部29bを操作すると、加湿器1の電源を自動的に停止するまでの時間を、例えば2時間、及び4時間のいずれかに設定できる。操作部29cは、湿度設定のボタンとして機能する。操作部29cを操作すると、目標とする湿度を、例えば50%、60%及び70%のいずれかに設定できる。操作部29dは、動作強度の設定のボタンとして機能する。操作部29dを操作すると、蒸気を放出する強度を、例えば、弱、中、及び強のいずれかに設定可能である。操作部29eは、電源のボタンとして機能する。操作部29eを操作すると、加湿器1の電源のオンとオフとを切替できる。
【0091】
[表示部29f~29k]
筐体23の上面の前方側であって、操作部29a~29eの近傍には、表示部29f~29kが設けられる。表示部29g~29kは、操作部29a~29eに隣接して配置され、表示部29fはこれらに近接して配置される。表示部29f~29kは、LED素子などで形成され、点灯または点滅することで使用者に視覚的に状態を通知する。表示部29f~29kは、液晶表示装置または有機EL表示装置などの、使用者に状態を通知可能な他の構成に置き換えてもよい。
【0092】
表示部29fは、加熱容器21の水量が減少し、給水が必要な状態であることを通知する。加熱容器21の水量が減少したことは、加熱容器21の水量が減少することに伴い、加熱容器21の温度が高くなったことをサーミスタ23hが検知したことに基づいて検知される。このようにすることで、水位センサまたは重量センサなどのセンサを追加することなく、水量が減少したことを検知できる。なお、図示しない水位センサ、または重量センサなどにより、水量が減少したことを検知してもよい。表示部29gは、チャイルドロックモードのボタンとして機能する操作部29aに隣接して配置され、チャイルドロックモードか通常モードかを表示する。表示部29hは、タイマー設定のボタンとして機能する操作部29bに隣接して配置され、タイマー設定の有無、及び設定されているタイマーの状態を表示する。表示部29iは、湿度設定のボタンとして機能する操作部29cに隣接して配置され、設定された目標とする湿度を表示する。表示部29jは、動作強度の設定のボタンとして機能する操作部29dに隣接して配置され、動作強度を表示する。表示部29kは、電源のボタンとして機能する操作部29eに隣接して配置され、電源がオンかオフかを表示する。
【0093】
図5に示されるように、操作部29a~29e、及び表示部29f~29kの下側には、操作基板29mが設けられる。操作基板29mは、操作部29a~29eに対する操作を検知するとともに、表示部29f~29kの表示を制御する。
【0094】
なお、これらの操作部29a~29e及び表示部29f~29kはあくまで一例であり、これら以外の操作部または表示部を有する構成としてもよいし、操作部29a~29e及び表示部29f~29kの一部を備えない構成としてもよい。
【0095】
[蓋体3]
蓋体3は、本体部2の上側に、加熱容器21の上側の開口部21aを開閉可能に覆うように設けられる。蓋体3は、蒸気孔31、吹出口部32、拡散部材33、蓋開閉取手35、及びヒンジ部36を含む。
【0096】
図3に示されるように、蓋体3の上面には、下側に向かって凹むように形成された蓋体凹部3aが設けられる。蓋体凹部3aの底部には、蒸気孔31及び安全弁34が設けられる。
【0097】
[蒸気孔31]
蒸気孔31は、蓋体3の下面と上面とを貫通するよう設けられた貫通孔であり、加熱容器21で加熱された水が蒸発して発生した蒸気を外側に放出する。蒸気孔31は、鉛直方向に蒸気を放出するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0098】
[吹出口部32]
図2に示されるように、吹出口部32は、蒸気孔31及び拡散部材33の上側に配置され、蒸気を上側に放出する複数の吹出口32aを有する。
図2に示されるように、吹出口部32は半円状で板状の部材であって、円弧の相似形状の円弧状で複数形成され周方向に延びる桟32bと、径方向に延びる桟32cとを有する。これらの桟32b及び32cの隙間が、吹出口32aとなる。
図3に示されるように、吹出口部32は、蓋体凹部3aの上端部に設けられた段差部3bに載置される。段差部3bは、蓋体凹部3aにおいて形成された段差であり、その下側よりもその上側で外形が大きくなることで形成されている。
【0099】
[拡散部材33]
図2及び
図5に示されるように、拡散部材33は、蒸気孔31と吹出口32aとの間に蒸気孔31を覆うように配置される。拡散部材33は、拡散部材33に向けて蒸気孔31から放出された蒸気が貫通孔の無い部分に当たって拡散されたうえで、蒸気を放出させるよう機能する。
【0100】
図14は、拡散部材33の斜視図である。
図15は、拡散部材33を上側から見た平面図である。
図14に示されるように、拡散部材33は、蒸気孔31から蒸気が放出される方向の直線上となる位置33bには貫通孔を有しておらず、蒸気孔31側から吹出口32a側に貫通するように形成された複数の貫通孔33aを有する。拡散部材33は、蒸気孔31に対向する面が上側に凸状の板状の部材である。具体的には、貫通孔33aは、上記の位置33bを中心として放射状に延びるような長孔として形成される。
図15に示されるように、貫通孔33aは、蒸気孔31から蒸気が放出される方向の直線上の位置33bに近い位置では長孔の幅が狭く(33a1)、位置33bから遠い位置では、位置33bに近い位置の長孔よりも幅が広くなる(33a2)。このような形状にすることで、蒸気孔31から蒸気が放出される方向の直線上の貫通孔33aが形成されていない箇所に蒸気が衝突して流れる方向を変え、貫通孔33aから上側に蒸気が放出される。このとき、蒸気の温度が下がり(例えば約10℃下がる)、吹出口32aから過度に高い温度の蒸気が放出されることを抑制できる。なお、位置33bは、典型的には蒸気孔31の直上である。貫通孔33aを長孔とすることで、長孔と同じ幅の径を有する円孔を複数並べるよりも水膜が生じにくく、水膜で孔が塞がれることを抑制できる。
【0101】
拡散部材33は、上下方向に延びた突出部の途中位置に凸部を有する係合部33cを有する。拡散部材33は、この係合部33cによって蓋体3に着脱可能に係合する。
【0102】
[安全弁34]
安全弁34は、蒸気孔31に隣接して設けられた貫通孔を塞ぐよう配置された、貫通孔の奥側に向かって突出する突起を有する蓋である。この貫通孔は、蒸気孔31と同様に加熱容器21の上側の領域まで貫通している。加熱容器21内に、蒸気孔31から放出される蒸気が許容量を超えて発生すると、この安全弁34が持ち上がり、蒸気孔31に加え、この貫通孔から蒸気が放出されることで、加熱容器21内に過剰な蒸気が充満してしまうことを防止する。
【0103】
[円錐台部材34a]
図5に示されるように、蓋体3は、転倒時に水漏れを防止するための水漏れ防止構造として、円錐台部材34aを有する。円錐台部材34aは、
図5に示されるように、上下方向の断面が、下辺よりも上辺が長い台形の円錐台の部材であり、ある程度の重さを有する金属で形成される。加湿器1が鉛直状態からある程度傾くと、円錐台部材34aが
図5の上側に移動し、円錐台部材34aの上に位置する蒸気孔31を覆って塞ぐ状態となり、加熱容器21から蓋体3の上側に向かって水が漏れてしまうことを防止する。
【0104】
[蓋開閉取手35]
蓋開閉取手35は、蓋体3の上面に使用者により操作可能に配置された取手状の構成であり、使用者により操作されることで、蓋体3と本体部2との連結がロックされた状態が解除される。使用者により蓋開閉取手35の前部が押し込まれると、本体部2に係合して蓋体3と本体部2とを連結する連結凸部35aが移動して蓋体3と本体部2との係合状態が解除され、蓋体3を開閉可能な状態となる。すなわち、使用者は、蓋開閉取手35の一部を把持して操作することで蓋体3を開閉できる。連結凸部35aはバネで前方向(連結凸部35aが本体部2に係合する方向)へ付勢されている。
【0105】
[ヒンジ部36]
ヒンジ部36は、蓋体3の背面側の下側と、本体部2の背面側の上側とに設けられ、本体部2に対して蓋体3を回動により開閉可能かつ着脱可能に支持する。具体的には蓋体3には細長い軸状のヒンジ軸36aが設けられ、本体部2には、このヒンジ軸36aと着脱可能に係合するヒンジ係合部28が設けられる。これにより、蓋体3は、ヒンジ部36を介して本体部2の筐体23に着脱可能に接続され、ヒンジ部36を回動軸として筐体23に対して回動することで加熱容器21の開口部21aを開閉することができる。ヒンジ係合部28は上下方向に移動可能であり、バネで上方向(ヒンジ軸36aと係合する方向)に付勢されている。
【0106】
[パッキン21e]
図9には、蓋体3が閉じられた状態の加熱容器21と蓋体3との接続部の断面が示されている。
図9及び
図5に示されるように、蓋体3は、蓋体3が閉じられたときに蓋体3と加熱容器21の開口部21aの縁部21fとの接続部を密封するように設けられたパッキン21eを有する。縁部21fは、加熱容器21の内側の上縁である。パッキン21eは、加熱容器21の縁部21fに密着するよう、円環状で可撓性を有するゴムで形成される。
【0107】
図9の断面図に示されるように、パッキン21eは、加熱器1の載置面に対して平行に延びる直線部21gと、直線部21gの外縁から下側かつ内側に向かって傾斜するように延びる傾斜部21hとを含む。これらの直線部21g及び傾斜部21hは円環状である。蓋体3が閉じられた状態のとき、パッキン21eの傾斜部21hの外側かつ下側の面は、加熱容器21の縁部21fに当接し、縁部21fに対して付勢しながら当接する。このとき、傾斜面21hと縁部21fとは全周にわたって斜めに当接し、加熱容器21は外側かつ下側に向かって均等な力で押圧される。これにより、加熱容器21は、その中心が遮熱容器24の中心となるように位置決めされるとともにその位置が安定する。また、加熱容器21と遮熱容器24との間には全周にわたって均等な隙間24cが形成される。
【0108】
[実施形態1の変形例]
本発明の加湿器は、上記実施形態の加湿器1の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。以下にその変形例を示すが、変形例はこれらに限定されない。加熱式の加湿器は既に周知の構成があり、ここではそれらの加湿器の具体的な構成を省略するが、本発明の特徴の一部を既存の加湿器に適用したものも本発明の一部である。
【0109】
拡散部材33は、本実施形態及び
図14に示すように上側に凸となる形状に限定されず、
図16に示されるように下側に凸となる形状の拡散部材33dを採用してもよい。ただし、貫通孔33aの設けられる位置は本実施形態の拡散部材33と同様として良い。また、拡散部材33は、上側または下側に凸となるような、階段状、円錐状、または円錐台状などであってもよい。
【0110】
拡散部材33に形成される長孔状の貫通孔33aは、蒸気孔31から蒸気が放出される方向の直線上の位置33bの近傍で小さく、この位置33bから遠くなるにつれて大きくなるような形状としてもよい。このような構成にすると、放出される蒸気をさらに均等に分散させることができる。
【0111】
本実施形態では、拡散部材33、及び吹出口部32の形状は、いずれも平面視で半円型であったがこれに限定されるものではなく、任意の形状として良い。
【0112】
加湿器1の形状は、円筒形に限定されるものではなく、多角形筒状、または円錐台状など任意の形状としてもよい。この場合、加湿器1の全体の形状に合わせて、蓋体3及び本体部2の各構成の形状が変化する。
【0113】
本実施形態では、吹出口部32とは別の構成として拡散部材33を設けたが、吹出口部32に拡散部材33と同様の機能を持たせ、拡散部材33を省略した構成としてもよい。このような構成であっても、拡散部材33を設けたのと同様の効果を得ることができる。
【0114】
[実施形態1及び変形例のまとめ]
以上のように、本実施形態及び変形例の加湿器1は、本体部2と蓋体3とを備える。本体部2は、加熱容器21と、加熱部22と、筐体23とを有する。加熱容器21は、上面に開口部21aを有し、水などの液体を貯留する。加熱部22は、加熱容器21を加熱する。筐体23は、加熱容器21及び加熱部22を収容する。蓋体3は、加熱容器21の開口部21aを開閉可能に覆っており、蒸気孔31と、吹出口32aと、拡散部材33とを有する。蒸気孔31は、加熱容器21で水などの液体が蒸発した蒸気を放出する貫通孔である。吹出口32aは、蒸気孔31の上側に配置され、蒸気を上側に放出する。拡散部材33は、蒸気孔31と吹出口32aとの間に蒸気孔31を覆うように配置され、蒸気孔31から放出された蒸気を拡散させる。
【0115】
このような構成の加湿器1では、拡散部材33を設けた構成にすることで、放出される蒸気を拡散部材33で拡散させ、放出する蒸気の温度を下げると同時に、吹出口32aから蒸気を均等に放出させる構成にすることができる。
【0116】
また、本実施形態及び変形例の加湿器1において、拡散部材33は、蒸気孔31側から吹出口32a側に貫通する複数の貫通孔33aを有し、蒸気孔31から蒸気が放出される方向の直線上には貫通孔33aを有さない。
【0117】
このような構成の加湿器1では、上記のような構成の拡散部材33を設けることで、蒸気が直接加湿器1の外側に放出されてしまうことを防止し、均一に拡散させた蒸気を放出させることができる。
【0118】
また、本実施形態及び変形例の加湿器1において、拡散部材33は、蒸気孔31に対向する面が、本実施形態のように上側に凸状、または変形例のように凹状の板状の部材である。
【0119】
このような構成の加湿器1では、蒸気を拡散させやすい拡散部材33を備えた構成となる。
【0120】
また、本実施形態及び変形例の加湿器1において、遮熱容器24、接続部25、筐体突出部23a、及び遮熱容器突出部24aをさらに備える構成とする。遮熱容器24は、加熱容器21の周面及び底面を覆って設けられ、加熱容器21の熱が外側に伝達しないよう遮蔽する。接続部25は、筐体23の内側の底面である内底面と遮熱容器24とを接続する。筐体突出部23aは、筐体23から遮熱容器24に向かって突出する。遮熱容器突出部24aは、遮熱容器24の上端の外周に沿って環状に設けられ、遮熱容器24から筐体23に向かって突出する。そして、接続部25は、遮熱容器24を下側に引っ張りつつ遮熱容器24と接続されており、遮熱容器突出部24aが筐体突出部23aを下側に押圧しながら遮熱容器突出部24aと筐体突出部23aとが当接している。
【0121】
このような構成の加湿器1では、遮熱容器24の上端を筐体23にねじ止めすることなく、筐体23に連結して固定させることができる。そのため、筐体23において、遮熱容器24の周囲に、ねじ止めするためのスペースを確保する必要がなくなる。例えば、筐体23が上側から見て四角形の場合には、四隅にねじ止め用のスペースを確保する余裕があるが、実施形態のように円筒状に形成するとこのようなスペースを確保しづらくなるため、上記の構成が特に有用となる。また、筐体23と遮熱容器24とを密接させて配置することができるため、筐体23と遮熱容器24の隙間から、筐体23の内部空間に水が進入してしまうことを防止できる。
【0122】
また、本実施形態及び変形例の加湿器1において、筐体23の内周の面には、遮熱容器24の外周面に当接するリブ23bが形成されている。
【0123】
このような構成の加湿器1では、リブ23bによって、鉛直方向に垂直な面方向である水平方向における遮熱容器24の位置決めを行うことができる。そのため、接続部25を設けるだけで、他のねじ止めを必要とすることなく、筐体23を遮熱容器24に固定することができる。
【0124】
また、本実施形態及び変形例の加湿器1において、筐体23内の前方側に配置された温湿度センサ26をさらに備え、加熱容器21は、筐体23内の後方寄りに配置される。
【0125】
このような構成の加湿器1では、温湿度センサ26を熱源から離れた位置に配置可能となるため、より適切な温度及び湿度を測定可能となる。
【0126】
また、本実施形態及び変形例の加湿器1において、筐体23は、前方下側に設けられた前方下開口27aと、後方上側に設けられた後方上開口27bとを有する。この前方下開口27aと後方上開口27bとは、筐体23内の空間でつながって、温湿度センサ26は、前方下開口27aの近傍に配置される。
【0127】
加湿器1では、加熱部22の加熱により、筐体23内に上昇気流が発生し、空気が前方下開口27aから後方上開口27bに向けて流れることとなる。そのため、前方下開口27aの近傍に温湿度センサ26を配置すると、外部環境に近い空気の温度及び湿度を測定可能となり、加湿器1が配置された空間の温度及び湿度を精度よく測定できる。また、これらの開口は正面から見えづらくなるため、加湿器1の外観を損ねることなく開口を形成することができる。
【0128】
また、本実施形態及び変形例の加湿器1において、加熱容器21は、使用者によって把持される取手21bを有し、本体部2から取り出し可能である。蓋体3は、ヒンジ部36を介して筐体23に着脱可能に接続され、ヒンジ部36を軸として筐体23に対して回動することで加熱容器21の開口部21aを開閉する。
【0129】
このような構成の加湿器1では、蓋体3を取り外して洗浄可能となるため、蓋体3を清潔に保つことができる。また、加熱容器21を取り外して給水、排水、及び洗浄できるため、さらに利便性を高めることができる。
【0130】
[実施形態1の別の特徴]
実施形態1及び変形例に記載の加湿器1は、上記の構成を有することで、以下に示すような課題を解決可能である。
【0131】
加熱部(ヒーター)で水を加熱して沸騰させることで発生した蒸気により加湿を行うスチーム式加湿器は、水が沸騰したときに水蒸気の泡が発生するが、特許文献1に記載の従来のスチーム式加湿器では、加熱釜の底から水蒸気の泡が発生する際に比較的大きな音が発生する課題があった。さらに、特許文献1に記載の加湿器は、比較的小さな径を有する蒸気噴出ノズルを経由して蒸気が噴出するため、蒸気の噴出音が大きいという課題があった。
【0132】
これに対して、加湿器1は、加熱容器21の周面の少なくとも一部及び底面を覆って設けられ、加熱容器21の熱が外側に伝達しないよう遮蔽する遮熱容器24を備える。このような遮熱容器24を備える構成とすることで、加湿器1は、遮熱容器24の外側に熱が伝達することを抑制するだけでなく、加熱容器21で水が沸騰する際に発生する泡に起因する音を遮蔽することができ、静音性を高められた構成となっている。
【0133】
また、加湿器1は、加熱容器21の周面の全体と遮熱容器24との間に隙間24cを有する構成であるため、加熱容器21で発生する音を効果的に遮蔽することができる。すなわち、高い遮音効果を有する加湿器1を提供できる。
【0134】
また、加湿器1は、蓋体3が閉じられた状態のときに蓋体3と加熱容器21の開口部21aとの接続部を密封するように設けられたパッキン21eをさらに備える。加熱容器21と遮熱容器24の間の隙間24cは、蓋体3が閉じられた状態のときに、パッキン21eにより加熱容器21の位置が調整されることにより形成される。このような構成にすることで、加熱容器21と遮熱容器24との間には、全周にわたって均等な隙間24cが形成される。
【0135】
また、加湿器1は、加熱容器21の外面21iが黒色であり、遮熱容器24の内面24bが白色または灰色である。そのため、加熱容器21は熱を吸収しやすく、遮熱容器24は加熱容器21に向かって熱を反射しやすい構成となる。これにより、加熱容器21を効率よく加熱可能な構成としている。
【0136】
また、加湿器1は、加熱部22と加熱容器21との両方に接触するように設けられた加熱板22aを備える。そのため、加熱部22で発生した熱は、広い面積で加熱容器21に接する加熱板22aを介して加熱容器21に伝達されることとなる。これにより、加熱容器21の温度上昇が緩やかになるとともに局所的な加熱が避けられ、蒸気の泡の発生を分散させるとともに抑制することができるので、加湿器1の静音性を高めることができる。
【0137】
[実施形態2]
次に、本発明の実施形態2の加湿器100について説明する。本実施形態の加湿器100は、実施形態1の加湿器1と比較して、主に蓋体103の構成が異なっている。以下では、実施形態2が実施形態1と異なる点である蓋体103を中心にその構成を説明し、実施形態1と共通の構成についてはその説明を省略する。
【0138】
[加湿器100の全体構成]
図17~19は、本実施形態の加湿器100の斜視図である。
図18は、吹出口部132を取り外した状態を示し、
図19は、さらに拡散部材133を取り外した状態を示す。
図21は、蓋体103が閉じられた状態の、加湿器100の断面図である。
図23は、蓋体103が開けられた状態の加湿器100の断面図である。より具体的には、
図23では、本体部2に対して蓋体103が、水平方向に沿った位置である閉位置から約50°開けられた状態である。
図25は、蓋体103が全開となる開放位置まで開けられた加湿器100の断面図である。蓋体103は、開放規制機構として機能する蓋体103の一部と本体部2の一部とが当接することで、この開放位置以上の回動が規制される。
図25では、本体部2に対して蓋体103が、水平方向に対して約125°の角度をなす状態になっている。これらの図に示されるように、加湿器100は、本体部2と、蓋体103とを備える。本体部2は、実施形態1の本体部2と概ね同様の構成である。
【0139】
[蓋体103]
図25等に示されるように、蓋体103は、本体部2の上側に、加熱容器21の上側の開口部21aを開閉可能に覆うように設けられる。
図18、
図19、及び
図21に示されるように、蓋体103の上面には、下側に向かって凹むように形成された蓋体凹部103aが設けられる。蓋体凹部103aは蓋体103の上面におけるヒンジ部36寄りに配置された、上側から見た平面視で略半円形の凹部である。蓋体凹部103aには、拡散部材133が収容される(
図18及び
図21等参照)。蓋体凹部103aのヒンジ部36側の側面には、堰部138が形成される(
図18及び
図19参照)。蓋体凹部103aには、結露によって生じた水(液体)である結露水が溜まる。
【0140】
[堰部138]
図18及び
図19に示されるように、堰部138は、蓋体凹部103aのヒンジ部36側の側面103gに設けられる。堰部138は、上面から見た平面視で蓋体凹部103aを形成する略半円を、この略半円を形成する直線部103e(
図18参照)に平行な直線で切り取った形状を有する。堰部138は板状の部材である。蓋体103の堰部138近傍の拡大図である
図27に示されるように、蓋体103が閉じられた状態において、堰部138の真下には後述の導水孔部137が位置する。
図25、及び
図25の拡大図である
図29に示されるように、堰部138は、蓋体103が、水平方向に対して90°以上の開位置にある状態において、鉛直方向下側に凹んだ凹状の水溜り機構となり、蓋体凹部103aに存在する水が漏れ落ちないよう堰き止める。
【0141】
[拡散部材133]
図28は、拡散部材133の斜視図である。
図28及び
図21に示されるように、拡散部材133は、実施形態1の拡散部材33とは異なり、下側に凸状に湾曲した板状の部材である。
図20は、吹出口部132を取り外した状態の加湿器100を、蓋体103の上側から見た平面図である。
図20及び
図28等に示されるように、拡散部材133は、実施形態1の拡散部材33と類似するが、上記のように下側に凸状に形成されている点を含むいくつかの点で拡散部材33と相違する。拡散部材133は、蓋体凹部103aの蒸気孔31と吹出口132aとの間の位置に、蒸気孔31を覆うように配置される。拡散部材133は、蒸気孔31側から吹出口132a側に貫通するように形成された複数の貫通孔133a(
図20及び
図28参照)を有する。拡散部材133は、蒸気孔31から放出された蒸気が貫通孔133aの無い部分に当たって拡散されたうえで、蒸気を放出させる。
【0142】
拡散部材133に形成された貫通孔133aは、
図20のような上面からみた平面視において、蓋開閉取手35に対して、蒸気孔31よりも離れた位置に配置される。より具体的には、蓋開閉取手35の蒸気孔31に最も近接した縁部から、当該縁部から最も離れた蒸気孔31の縁部までの距離D1よりも、上記の蓋開閉取手35の縁部から当該縁部に最も近い貫通孔133aの縁部までの距離D2の方が大きい(
図20参照)。貫通孔133aは、蒸気孔31の中心から放射状に延びた直線に沿って延びる長孔状に形成される。
【0143】
拡散部材133は、
図28及び
図20に示すように、中央部に溝133gを有する。拡散部材133は、
図25及び
図28に示すように、蓋体103が開放位置にある状態において、拡散部材133の下端133eから堰部138に向かって延びる拡散ガイド部133fを有する(
図25及び
図18参照)。拡散部材133上に発生した結露水は、この溝133gに溜まる。蓋体103が開状態になって拡散部材133が傾斜した状態になると、溜まった結露水が、この溝133gに沿って拡散ガイド部133fに向かって流れる。拡散ガイド部133fは、蓋体103が開状態のときに、拡散部材133に付着した結露により生じた結露水を堰部138に導く。
【0144】
[吹出口部132]
吹出口部132は、蒸気孔31及び拡散部材133の上側に配置され、蒸気を上側に放出する複数の吹出口132aを有する。
図17に示されるように、実施形態1の吹出口部32と同様に、吹出口部132は半円状で板状の部材であって、蓋体103の回動軸方向に沿って、湾曲しながら延びる桟132bと、桟132bと交差する方向に延びる桟132cとを有する。桟132b及び132cはそれぞれ複数形成される。桟132bは、吹出口部132の外縁に沿った円弧状ではなく、吹出口部132の外縁の径よりも大きな径を有する弧状に延びる。これらの桟132b及び132cの隙間が、吹出口132aとなる。
図18に示されるように、吹出口部132(
図17参照)は、蓋体凹部103aの上端部に設けられた段差部3bに載置される。吹出口部132は、半円状で板状の部分から外側に突出して形成された凸部132dを有する(
図17参照)。この凸部132dは、吹出口部132が蓋体103に載置されたとき、蓋体103に形成された凹部103c上に位置する(
図18及び
図19参照)。凹部103cは蓋体凹部103a内に突出する壁部103dを有する(
図18及び
図19参照)。壁部103dは、蓋体凹部103aを外部空間と遮蔽する。
【0145】
以下に説明するように、吹出口部132の桟132bの断面形状は、実施形態1の吹出口部32の桟32bの断面形状と異なる。
【0146】
図22は、
図21のDの位置における吹出口部132の拡大図である。
図24は、
図23のEの位置における吹出口部132の拡大図である。
図26は、
図25のFの位置における吹出口部132の拡大図である。
【0147】
桟132bは、
図22、
図24及び
図26に示すように、その延びる方向に対して垂直な断面において、丸みを帯びたL字状の形状を有する。これらの断面図に示されるように、蓋体103が閉位置にある状態において、桟132bの断面は、鉛直方向である下方向に向かって先細り形状である。換言すると、蓋体103が閉位置にある状態において、桟132bの断面は、鉛直方向である下方向に行くにしたがって狭まる形状である。
【0148】
桟132bの背面側の面132sは、蓋体103が閉位置にある状態のとき、鉛直方向、すなわち水平方向に対して90°をなす方向に延びる。桟132bの前面側の面132tは、蓋体103が閉位置にある状態のとき、水平方向に対して75°をなす方向に延びる。つまり、面132sと面132tとがなす角度は15°である。面132tの上側に位置する面132uは、蓋体103が閉位置にある状態のとき、下側に面して水平方向に延びる。蓋体103が閉位置にある状態のときに上側になる面132vは、上側に凸となるよう円弧状に丸みを帯びた形状である。
【0149】
桟132bがこのような形状であることにより、蓋体103が閉位置にあるとき、及び蓋体103が開けられたときの水平方向に対する角度である開角度が90°未満のとき、桟132bに付着した結露水が蓋体凹部103aに落ちやすくなる。
【0150】
また、桟132bは上記のような形状を有することで、前面側、すなわち回動軸となるヒンジ部36側が位置する側とは反対側に、凹部132wを有する形状となる。この凹部132wは、
図25及び
図26に示されるように、蓋体103が開放位置にある状態において、鉛直方向下側に凹んだ形状となる。桟132bがこのような形状であることで、蓋体103が開放位置にあるとき、凹部132wは、結露水が流れ落ちることを留める水溜り機構となる。また、結露水は面132t及び面132uに主に付着するため、この凹部132wの周辺に結露水が生じやすい。
【0151】
[導水孔部137]
図19に示すように、蓋体凹部103aの底部103fには、蒸気孔31及び安全弁34に加え、2つの導水孔部137が設けられる。導水孔部137は、蓋体凹部103aの底部103fとヒンジ部36側の側面103gの下端とを連結する位置から蓋体103内部を通って蓋体103の底面、すなわち加熱容器21の上側まで貫通する貫通孔として形成され、蓋体凹部103aと加熱容器21とを接続する。蓋体103が閉じられた状態において、導水孔部137の上側には、堰部138が設けられる。導水孔部137は、ヒンジ部36のある外側の空間と、より内側にある加熱容器21が配置された空間とを仕切りながら、加熱容器21の側に向かって壁状に延びて形成される。導水孔部137の内側、すなわち加熱容器21の中心に近い側には、蓋体103が閉じられたときに、蓋体103と加熱容器21の開口部21aとの接続部を密封するように設けられたパッキン121eが設けられる。このパッキン121eは、加熱容器21の開口部21aが形成された上端の縁部に密着するよう、円環状で可撓性を有するゴムで形成される。導水孔部137は、蓋体3が閉じられた状態で略鉛直方向に延びるよう形成されており、蓋体103が開けられるときに蓋体凹部103aに存在する水(液体)を加熱容器21に導く。より具体的には、導水孔部137は、水の出口となる加熱容器21側に、ヒンジ部36側、すなわち外側の壁面である導水ガイド部137aを含み、蓋体凹部103aの水は導水ガイド部137aによって加熱容器21に向かって案内される。
図23の拡大図である
図30に示した矢印137cは、このときの水の流れる経路を示す。
図31は、導水孔部137の水の出口となる加熱容器21側の導水ガイド部137a周辺の拡大図である。蓋体103が閉じられた状態で下端に位置する導水ガイド部137aの先端137bは、蓋体103が全開になった開放位置にある状態にある
図25の状態において、ヒンジ部36よりも加熱容器21の中心側に位置する。
【0152】
[実施形態2の特徴]
実施形態2に記載の加湿器100は、上記の構成を有することで、以下に示すような課題を解決可能である。
【0153】
特許文献1に記載の従来のスチーム式加湿器は、蓋体に、内容器で発生した蒸気を噴出する蒸気噴出ノズルと、蒸気噴出ノズルの噴出方向に対してほぼ直交する衝突壁とを備えた構成である。このスチーム式加湿器は、上記構成により、蒸気噴出ノズルから噴出した蒸気が衝突壁に衝突して分散される。
【0154】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来のスチーム式加湿器によれば、蒸気噴出ノズルから噴出した蒸気は、衝突壁に衝突した後、蒸気孔カバーに形成された複数の蒸気孔のうち、衝突壁付近の蒸気孔に偏って加湿器外に放出され、蒸気噴出ノズル付近の蒸気孔からはあまり放出されなかった。
【0155】
これに対して、加湿器100は、下側に凸となるよう湾曲した拡散部材133を採用しているため、湾曲形状に沿って蒸気が拡散されやすくなる。そのため、蒸気孔31から放出された蒸気を蓋体凹部103aで拡散させて温度を下げるとともに、吹出口132aから均一に吹き出す構成となる。
【0156】
加湿器100において、拡散部材133は、蒸気孔31側から吹出口132a側に貫通する複数の貫通孔133aを有し、複数の貫通孔133aのそれぞれは、蒸気孔31よりも、蓋体103を開閉する際に使用者により操作される蓋開閉取手35から離れた位置に配置される。
【0157】
このような構成を有することで、加湿器100では、蒸気が出ている状態で使用者が蓋体103を開けようとした場合であっても、使用者の手に蒸気が直接当たりづらい、より安全な構成となる。
【0158】
特許文献2に記載の従来の加湿器は、蓋体の開放時に蒸気流路に残留する結露水を内容器へ還流する溝状の還流通路を有するヒンジ部を備えた構成であった。この構成により、特許文献2に記載の加湿器では、蒸気流路に残留した結露水は、蓋体を開放する際に、ヒンジ部を通って内容器に還流されていた。
【0159】
しかしながら、特許文献2に記載の従来の加湿器では、蓋体を閉鎖位置に回動させて蒸気噴出ノズルから蒸気が噴出しているとき、ヒンジ部に結露水が発生し、蓋体を開放する際に、ヒンジ部から結露水が周囲に飛散することがあった。そこで、蓋体内の結露水を直接加熱容器に還流することにより、蓋体を開ける際に結露水が周囲に飛散することを抑制できる加湿器が求められる。
【0160】
これに対して、加湿器100では、蓋体103が導水孔部137を有する構成としている。導水孔部137は、ヒンジ部36側の蓋体凹部103aの、底部と側面下端部との少なくとも一方からヒンジ部36側の空間と仕切りながら加熱容器21側に延びてパッキン121eの外周側部分に接続されている。また、導水孔部137は、蓋体103が開けられるときに蓋体凹部103aに存在する液体を加熱容器21に導く構成となっている。
【0161】
このように、加湿器100は、蓋体103の蓋体凹部103aに生成された結露水を、ヒンジ部36を経由せずに導水孔部137を介して加熱容器21に導く構成となっている。このような構成により、加湿器100では、蓋体103を開ける際に結露水が周囲に飛散することを抑制できる。また、導水孔部137がヒンジ部36とは隔離された構成であるため、ヒンジ部36から結露水が飛散することがない。
【0162】
また、加湿器100は、加熱容器21の中心側の外縁部に、蓋体凹部103aに存在する水(液体)を加熱容器21に向かって案内する導水ガイド部137aを含む。
【0163】
このような導水ガイド部137aを有する構成により、加湿器100では、結露水が加熱容器21の外部にこぼれることを抑制できる。
【0164】
また、上記導水ガイド部137aの先端137bは、蓋体103が開放位置にある状態において、ヒンジ部36よりも加熱容器21の中心側に位置する。
【0165】
このような導水ガイド部137aを有する構成により、加湿器100では、蓋体103が開放位置にあるときに、導水ガイド部137aに沿って落下してきた結露水が加湿器100の外側に流出することを抑制できる。
【0166】
また、加湿器100では、蓋体103は、水平方向に対して90°以上の開位置にある状態において、蓋体凹部103aに存在する水(液体)が漏れ落ちないよう堰き止める堰部138を有する。
【0167】
このような堰部138を有する構成により、加湿器100は、蓋体103を開放した時に蓋体凹部103aに存在する結露水が加湿器100の外部に流出することを抑制できる。
【0168】
また、加湿器100では、拡散部材133は、蓋体103が開放位置にある状態において、拡散部材133の下端133eから堰部138に向かって延びる拡散ガイド部133fを有する。
【0169】
このような拡散ガイド部133fを有する構成により、蓋体103を開放したときに拡散部材133に付着している結露水を堰部138に導くことができ、結露水が加湿器100の外部に流出することを抑制できる。
【0170】
上記のように、特許文献2に記載の従来の加湿器は、蓋体の開放時に蒸気流路に残留する結露水を内容器へ還流する溝状の還流通路を有するヒンジ部を備えた構成であった。この構成により、特許文献2に記載の加湿器では、蒸気流路に残留した結露水は、蓋体を開放する際に、ヒンジ部を通って内容器に還流されていた。
【0171】
しかしながら、特許文献2に記載の従来の加湿器では、蓋体を閉鎖位置に回動させて蒸気噴出ノズルから蒸気が噴出しているとき、吹出口に結露水が発生し、蓋体を開放する際に、吹出口から結露水が周囲に飛散することがあった。そこで、蓋体を開ける際に吹出口から結露水が周囲に飛散することを抑制できる加湿器が求められる。
【0172】
これに対して、加湿器100では、吹出口部132が桟132bを有する構成としている。桟132bは、その延びる方向に対して垂直な面の断面が、蓋体が閉位置にある状態において、下方向に向かって先細り形状である。
【0173】
このような桟132bを有する加湿器100は、蓋体103が閉位置にある状態と、蓋体の開角度が90°未満の状態のときに、桟132bに付着した結露水が蓋体凹部103aに落ちやすい構成となる。
【0174】
また、加湿器100では、桟132bが延びる方向に対して垂直な面の桟132bの断面は、蓋体103の回動軸とは反対側に凹部132wを有する形状である。
【0175】
このように、桟132bに凹部132wを有する構成により、加湿器100では、蓋体103の開角度が90°未満の状態のときに、桟132bに付着した結露水が蓋体凹部103aに落ちやすい構成となる。
【0176】
また、加湿器100では、桟132bの凹部132wは、蓋体103が開放位置にある状態において、鉛直方向下側に凹んだ状態となる。
【0177】
このような構成により、加湿器100は、蓋体103が開放位置にあるときに、凹部132wに結露水が溜まり、桟132bから結露水が外部に落ちることを抑制できる。
【0178】
[実施形態2の変形例]
本実施形態の加湿器100は、上記の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、加湿器100は、実施形態1の加湿器1及びその変形例の構成と組み合わせてもよい。また、本実施形態の加湿器100は、以下のような変形例を適用してもよい。
【0179】
蓋体103の開放位置は、上記実施形態の位置に限定されるものではなく、任意に変更可能である。ただし、この場合において、蓋体103が開放位置にあるときの導水ガイド部137aの先端137bの位置などは、発明の趣旨から理解されるように、ヒンジ部36よりも加熱容器21の中心側に位置する構成とすることが好ましい。その他の構成についても、発明の趣旨から好適に変更されてよい。
【符号の説明】
【0180】
1、100…加湿器
2…本体部
21…加熱容器
21a…開口部
21b…取手
21c…底部
22…加熱部
22a…加熱板
23…筐体
23a…筐体突出部
23b…リブ
21e、23c…パッキン
23d…回路基板
23e…ヒューズ
23f…電源端子
23g…筐体内空間
23h…サーミスタ
24…遮熱容器
24a…遮熱容器突出部
25…接続部
25a…ねじ
26…温湿度センサ
27a…前方下開口
27b…後方上開口
28…ヒンジ係合部
29a~29e…操作部
29f~29k…表示部
29m…操作基板
3、103…蓋体
3a、103a…蓋体凹部
31…蒸気孔
32、132…吹出口部
32a、132a…吹出口
32b、32c、132b、132c…桟
33、33d、133…拡散部材
33a、133a…貫通孔
33c…係合部
34…安全弁
34a…円錐台部材
35…蓋開閉取手
35a…連結凸部
36…ヒンジ部
36a…ヒンジ軸
137…導水孔部
137a…導水ガイド部
138…堰部