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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180320
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A47G9/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024092917
(22)【出願日】2024-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2023097444
(32)【優先日】2023-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523226044
【氏名又は名称】株式会社JIKUTSUI
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】大友 康輔
【テーマコード(参考)】
3B102
【Fターム(参考)】
3B102AA00
3B102AB07
3B102AC01
(57)【要約】
【課題】仰臥時の被験者を医学的に安定的に支持するための枕を提供する。
【解決手段】後側後頭支持室1-1、前側後頭支持室1-2と、頸支持室2とは左右方向の仕切布(マチ)によって区画される。被験者の仰臥時に被験者の後頭部の重みによって充填部材が前側後頭支持室1-1から仕切布6-2の開放端を介して後側後頭支持室1-2へ移動すると、前側後頭支持室1-1は薄くなり、その高さH2は被験者200の不存在時の5mm~25mmから0mm~20mmとなる。前側後頭支持室1-1のお椀形状によって被験者の後頭部を支持するようになっている。頸支持室2に充填される充填部材は枕の側面視で上方に向かってヒトの頸椎形状に沿って弾性樹脂一体構造体7によって形成され、前側後頭支持室1-1、後側後頭支持室1-2、右横寝支持室3、左横寝支持室4の充填部材は移動自在素材層9よりなる。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切布によって区分された後頭支持室及び該後頭支持室の前側に設けられた頸支持室を有する枕であって、
前記頸支持室は充填部材として該枕の側面視で上方に向かってヒト頸椎形状に沿った凸形状面を有する第1の弾性樹脂一体構造体を具備し、
前記後頭支持室は充填部材として移動自在素材層又は第2の弾性樹脂一体構造体を具備し、
前記第1の弾性樹脂一体構造体の高さは前記移動自在素材層の平均高さ又は前記第2の弾性樹脂一体構造体の高さより大きく
前記移動自在素材層の平均高さ又は前記第2の弾性樹脂一体構造体の高さはヒトの脊柱起立筋の厚さに応じて調整された枕。
【請求項2】
前記移動自在素材層の平均高さ又は前記第2の弾性樹脂一体構造体の高さは5mm~25mmである請求項1に記載の枕。
【請求項3】
前記第1の弾性樹脂一体構造体の高さは3cm~7cmである請求項1に記載の枕。
【請求項4】
前記第1、第2の弾性樹脂一体構造体はウレタンフォームを具備する請求項1に記載の枕。
【請求項5】
前記第2の弾性樹脂一体構造体の反発率は前記第1の弾性樹脂一体構造体の反発率より小さい請求項1に記載の枕。
【請求項6】
前記後頭支持室は少なくとも一端が開放された仕切布によって該枕の前後方向に2分割された前側後頭支持室及び後側後頭支持室を具備する請求項1に記載の枕。
【請求項7】
仕切布によって区分された後頭支持室及び該後頭支持室の前側に設けられた頸支持室を有する枕であって、
前記頸支持室は充填部材として該枕の側面視で上方に向かって凸形状を有する弾性樹脂一体構造体を具備し、
前記後頭支持室には充填部材は存在せずカバーのみである枕。
【請求項8】
前記凸形状の曲率半径は16cm~18cmである請求項1又は7に記載の枕。
【請求項9】
前記第1の弾性樹脂一体構造体の下に高さ補充用弾性樹脂一体構造体を設けた請求項1に記載の枕。
【請求項10】
前記第1の弾性樹脂一体構造体及び前記高さ補充用弾性樹脂一体構造体の合計高さは3cm~7cmである請求項9に記載の枕。
【請求項11】
前記弾性樹脂一体構造体の下に高さ補充用弾性樹脂一体構造体を設けた請求項7に記載の枕。
【請求項12】
前記弾性樹脂一体構造体及び前記高さ補充用弾性樹脂一体構造体の合計高さは3cm~7cmである請求項11に記載の枕。
【請求項13】
前記移動自在素材層の素材はビーズ、パイプ又は綿わたを具備する請求項1に記載の枕。
【請求項14】
前記第1の弾性樹脂一体構造体の上面に該第1の弾性樹脂一体構造体の反発率より小さい反発率を有しかつ該第1の弾性樹脂一体構造体より薄い第3の弾性樹脂一体構造体を具備する請求項1に記載の枕。
【請求項15】
前記弾性樹脂一体構造体の上面に該弾性樹脂一体構造体の反発率より小さく反発率を有しかつ該弾性樹脂一体構造体より薄い他の弾性樹脂一体構造体を具備する請求項7に記載の枕。
【請求項16】
前記第1の弾性樹脂一体構造体は上面視で上下左右方向に十字形をなしている請求項1に記載の枕。
【請求項17】
前記弾性樹脂一体構造体は上面視で上下左右方向に十字形をなしている請求項7に記載の枕。
【請求項18】
前記第1の弾性樹脂一体構造体は上面視で長方形をなしている請求項1に記載の枕。
【請求項19】
前記弾性樹脂一体構造体は上面視で長方形をなしている請求項7に記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は仰臥時の被験者を医学的に安定的に支持するための枕に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は従来の枕を示す(参照:特許文献1)。
【0003】
図10においては、枕100は被験者200の後頭部を支持する相対的に軟らかい凹状の後頭支持領域101及び被験者200の頸部を支持する相対的に硬い凸状の頸支持領域102よりなる。後頭支持領域101及び頸支持領域102を形成するために、低密度のたとえば羽毛よりなる低反発充填部材103及び高密度のたとえば羽毛よりなる高反発充填部材104を充填している。これにより、被験者200の仰臥時の寝姿勢を確保する。尚、201、202は被験者200の耳垂、肩峰である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3131886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図10に示す従来の枕は被験者200を医学的に安定的に支持することができないという課題がある。
【0006】
図11の(A)は被験者200の理想的な立位姿勢を示す正中矢状面図である。図11の(A)に示すように、被験者200の耳垂201、肩峰202、大転子202a、膝関節前部(膝蓋骨後面)202b及び腓骨外果の前方202cは重心線G上にあることが医学上好ましい。この場合、被験者200の後頭部203及び頸部204はS字状稜線をなし、特に、頸部204は7個の脛骨よりなる頸椎205(図11の(B)参照)に沿った所定曲率半径Rを有する円弧状曲線Cをなしている。この曲率半径Rは健全な成人男女であればほぼ一定たとえば17cmであることが知られている。
【0007】
図11の(B)は図11の(A)の被験者200の理想的な立位姿勢を枕に適用した場合の理想的な仰臥位を示す。図11の(B)に示すように、被験者200の頸部204は中心Oとする曲率半径R=17cmの円弧状曲線Cに沿っており、この結果、被験者200の後頭部203は低位置にある。仮に、被験者200の耳垂201及び肩峰202がほぼ図11の(A)の重心線Gに相当する水平線HL0上に位置するようにすると、本願発明者は被験者200の後頭部203とたとえばマットレスMとの間の距離ΔDは小さく、健全な成人男女であれば0mm~20mmであることを発見した。
【0008】
しかしながら、図10に示す従来の枕100においては、頸支持領域102は低反発充填部材103及び高反発充填部材104の組合せで形成されているので、円弧状曲線C’の曲率半径R’(>>R)は大きくなり、理想の曲率半径Rの円弧状曲線Cを確保できず、たとえ確保できても維持できない。また、後頭支持領域101の高さも大きいので、図11の距離ΔD=0~20mmを確保できず、被験者200の耳垂201は高くなり、被験者200の耳垂201及び肩峰202を結ぶ線HL’は大きく傾き、図11の(B)の水平線HL0とはならない。
【0009】
このように、図10に示す枕100は図11の(B)に示す理想的な仰臥位を確保できず、従って、医学上の安定した仰臥位を確保できないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明に係る枕は、仕切布によって区分された後頭支持室及び該後頭支持室の前側に設けられた頸支持室を有する枕であって、頸支持室は充填部材として該枕の側面視で上方に向かってヒト頸椎形状に沿った凸形状を有する第1の弾性樹脂一体構造体を具備し、後頭支持室は充填部材として移動自在素材層又は第2の弾性樹脂一体構造体を具備し、第1の弾性樹脂一体構造体の高さは移動自在素材層の平均高さ又は第2の弾性樹脂一体構造体の高さより大きく、移動自在素材層の平均高さ又は第2の弾性樹脂一体構造体の高さはヒトの脊柱起立筋の厚さに応じて調整されたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、頸支持室の凸形状によって被験者の健全な頸椎に適合できると共に、被験者の後頭部を低くでき、この結果、被験者の耳垂―肩峰の線を水平線に維持できる。従って、被験者の健全な仰臥位を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る枕の第1の実施の形態を示し、(A)は上面図、(B)は正面図である。
図2図1の枕の異なる方向から見た図であって、(A)は右側面図、(B)は左側面図である。
図3図1図2の頸支持室の充填部材としての弾性樹脂一体構造体を示し、(A)は斜視図、(B)は上面図である。
図4図1図2の頸支持室の高さ補充用弾性樹脂一体構造体を示し、(A)は斜視図、(B)は上面図である。
図5図3の弾性樹脂一体構造体の変更例を示し、(A)は斜視図、(B)は上面図である。
図6図4の高さ補充用弾性樹脂一体構造体の変更例を示し、(A)は斜視図、(B)は上面図である。
図7図1図2の枕の仰臥時の動作を説明するための断面図である。
図8】本発明に係る枕の第2の実施の形態を示す上面図である。
図9図8の枕の仰臥時の動作を説明するための断面図である。
図10】従来の枕を示す断面図である。
図11】課題を説明するための図であって、(A)は被験者の理想的な正中矢状面図、(B)は被験者の理想的な仰臥位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係る枕の第1の実施の形態を示し、(A)は上面図、(B)は正面図であり、図2図1の枕の異なる方向から見た図であって(A)は右側面図、(B)は左側面図である。尚、図1図2の上下左右前後方向は被験者から見た方向である。
【0014】
図1図2において、左右対称をなしている枕10は、後縁E1、前縁E2、右縁E3、左縁E4を有し、前側後頭支持室1-1、後側後頭支持室1-2と、前側後頭支持室1-1の前側に設けられた頸支持室2、前側後頭支持室1-1、
後側後頭支持室1-2及び頸支持室2の右側に設けられた右横寝支持室3と、前側後頭支持室1-1、後側後頭支持室1-2及び頸支持室2の左側に設けられた左横寝支持室4とによって構成される。
【0015】
前側後頭支持室1-1、後側後頭支持室1-2及び頸支持室2と、右横寝支持室3及び左横寝支持室4とは前後方向の仕切布(マチ)5-1、5-2によって区画されている。また、前側後頭支持室1-1と、後側後頭支持室1-2と、頸支持室2とは左右方向の仕切布(マチ)6-1によって区画される。さらに、前側後頭支持室1-1と、後側後頭支持室1-2とは左右方向の仕切布(マチ)6-2によって前後方向に2つに区画されるが、仕切布(マチ)6-2の一端又は両端は開放されている。従って、被験者の仰臥時に被験者の後頭部の重みによって充填部材が前側後頭支持室1-1から仕切布(マチ)6-2の開放端を介して後側後頭支持室1-2へ移動すると、前側後頭支持室1-1の中央部が薄くなると共に前側後頭支持室1-1の周囲部が立ち上がり、この結果、前側後頭支持室1-1がお椀形状となって被験者の後頭部を支持するようになっている。
【0016】
図1図2の頸支持室2に充填される充填部材は弾性可撓性樹脂一体構造体7たとえば反発率80%以上の高反発性ウレタンフォームによって形成され、その例は図3に示される。
【0017】
図3に示すごとく、頸支持室2の充填部材としての樹脂一体構造体7においては、高さH1はたとえば3cm~7cm、枕10の側面視で上方に向かって形成される凸形状面8の曲率半径Rはたとえば16~18cm、幅Wはたとえば20cmである。ヒトの頸椎形状に一致した曲率半径Rは被験者が青年男女であればほとんど変わらないが、弾性樹脂一体構造体7の高さH1は被験者によって変化し、たとえば4cm、5cm、6cm、7cm、…となることがある。その場合には、充填部材7の下側に図4に示す高さ補充用弾性樹脂一体構造体7aを1枚又は複数枚挿入すればよい。たとえば高さ補充用弾性樹脂一体構造体7aの高さΔHは1cmである。尚、高さ補充用弾性樹脂一体構造体7aも弾性樹脂一体構造体7と同一の弾性樹脂一体構造体よりなる。この場合、弾性樹脂一体構造体7、7aを合わせて高さH1たとえば3cm~7cmになるようにする。また、左右方向へ中央領域の長さL1はたとえば10cm、右中央領域の左右領域の長さL2はたとえば7cmであり、従って、弾性樹脂一体構造体7は上面視で十字形をなしており、これにより、脊柱の上側の胸椎を支持し易くなる。
【0018】
尚、図3においては、弾性樹脂一体構造体7は上面視で十字形をなしているが、製造し易くするために、図5に示すごとく、上面視で長さL、幅Wの長方形にしてもよい。この場合の高さ補充用弾性樹脂一体構造体7aも、図6に示すごとく、長さL、幅Wの長方形とする。
【0019】
図7図1図2の枕の仰臥時の動作を説明するための断面図である。
【0020】
図7において、前側後頭支持室1-1、後側後頭支持室1-2、右横寝支持室3、左横寝支持室4の充填部材は移動自在素材層9たとえばビーズ、パイプ、綿わた等よりなる。この場合、右横寝支持室3、左横寝支持室4の充填部材は比較的多く、前側後頭支持室1-1、後側後頭支持室1-2の充填部材の量は少ない量でよく、被験者200が不存在時の平均高さH2は5~25mmである。従って、被験者の仰臥時に被験者の後頭部203の重みによって充填部材が前側後頭支持室1-1から後側後頭支持室1-2に移動した際には、前側後頭支持室1-1の高さH2はできる限り小さくたとえば0mmより大きく20mm以下となるようにし、この場合、図11の(B)の距離ΔDと一致する。
【0021】
上述のH2=5mmより大きく25mm以下については、通常、被験者の後頭部には筋肉がほとんど皮膚分程度であり、他方、背中に脊柱起立筋という大きな筋肉があるので、H2は、脊柱起立筋の厚さdと後頭部の筋肉の厚さとの差に比例し、後頭部の筋肉の厚さを一定とすれば、
H2=α・d+β
但し、α、βは定数
で表せる。従って、H2は脊柱起立筋の厚さdのみに依存し、平均的には15mmである。たとえば、脊柱起立筋の厚さdが大きい程、H2は25mmに近づけ、脊柱起立筋の厚さdが小さい程、H2は5mmに近づける。尚、脊柱起立筋の厚さdは整体師、整形外科医等による触診で測定できる。
【0022】
図7に示すように、被験者200がマットレスM上の枕10を介して仰臥状態となると、枕の頸支持室2は弾性樹脂一体構造体7たとえば高反発ウレタンフォームの円弧状曲線Cによって頸椎205にしっかり適合する。これにより、頸椎205は頸支持室2の円弧状曲線Cによって安定的に維持される。また、同時に、移動自在素材層9の素材9aが枕10の前側後頭支持室1-1から仕切布6-2の開放端を介して後側後頭支持室1-2へ移動する。この結果、前側後頭支持室1-1は後頭部203の歪みによって薄くたとえばその高さH2は0mmより大きく20mm以下となり、他方、後側後頭支持室1-2は厚くなる。この結果、後頭部203は前側後頭支持室1-1、後側後頭支持室1-2及び頸支持室2によって包み込まれる。また、被験者200の耳垂201と肩峰202とを結ぶ線HL1はほぼ水平となる。この結果、被験者200の耳垂201、肩峰202、大転子202aを結ぶ線HL1は図11の(A)の重心線Gと一致することになり、従って、被験者200の姿勢は医学的に健全となる。
【0023】
すなわち、図7においては、被験者200が不存在から被験者200が存在して仰臥状態に変化しても、頸支持室2の高さH1は、
H1=3cm~7cm
とほとんど変化しないのに対し、前側後頭支持室1-1の高さH2は、後頭部203の重みによる凹みたとえば5mmを考慮すると、
H2=5mm~25mm→0mm<H2≦20mm
と変化して図11の(B)の距離ΔDと一致する。
【0024】
尚、図1において、仕切布6-2を削除し、前側後頭支持室1-1、後側後頭支持室1-2を1つの後頭支持室とすることもできる。この場合にも、後頭支持室の充填部材は移動自在素材9であり、たとえばビーズ、パイプ、綿わた等である。従って、この場合、仰臥時の動作も図7とほぼ同様となる。
【0025】
図8は本発明に係る枕の第2の実施の形態を示す上面図である。
【0026】
図8の枕10′においては、図1の前側後頭支持室1-1及び後側後頭支持室1-2の代わりに、後頭支持室1′を設け、後頭支持室1′の充填部材としては低反発率の弾性樹脂一体構造体11のたとえば80%未満の低反発率ウレタンフォームを用いる。弾性樹脂一体構造体9の被験者200の不存在時の高さH2′は5mm~25mmである。
【0027】
図9図8の枕の仰臥時の動作を説明するための断面図である。
【0028】
図9に示すように、被験者200がマットレスM上の枕10を介して仰臥状態となると、枕10′の頸支持室2は弾性樹脂一体構造体7たとえば高反発ウレタンフォームの円弧状曲線Cによって頸椎205にしっかり適合する。これにより、頸椎205は頸支持室2の円弧状曲線Cによって安定的に維持される。また、後頭支持室1′の後頭部203の重みによって薄くたとえばその高さH2′は0mm~20mmとなる。この結果、後頭部203は後頭支持室1′及び頸支持室2によって包み込まれる。また、被験者200の耳垂201と肩峰202とを結ぶ線HL2はほぼ水平となる。この結果、被験者200の耳垂201、肩峰202、大転子202aを結ぶ線HL2は図11の(A)の重心線G上と一致することになり、従って、被験者200の姿勢は医学的に健全となる。
【0029】
すなわち、図9においても、被験者200が不存在から被験者200が存在して仰臥状態に変化しても、頸支持室2の高さH1は
H1=3cm~7cm
とほとんど変化しないのに対し、後頭支持室1′の高さH2′は、後頭部203の重みによる凹みたとえば5mmを考慮すると、
H2′=5mm~25mm→0mm<H2′≦20mm
と変化して、図11の(B)の距離ΔDに一致する。
【0030】
尚、図9の実施の形態では、充填部材としての弾性樹脂一体構造体11を設けずにカバーのみとしてもよい。この場合には、被験者200の不存在、存在にかかわらず、H2′は0mmに近い値となる。
【0031】
また、上述の実施の形態において、弾性樹脂一体構造体7の上面に弾性樹脂一体構造体7の反発率より小さく薄い弾性樹脂一体構造体を設けることにより被験者200の仰臥時の心地よくすることもできる。
【0032】
また、被験者の頸部が所定曲率半径の円弧状曲線を有していない場合には、本発明の枕はこれを矯正するように作用する。また、医学上、仰臥位が適正でない場合にも矯正するように作用する。
【0033】
さらに、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲のいかなる変更にも適用し得る。
【符号の説明】
【0034】
10、10’:枕
1-1:前側後頭支持室
1-2:後側後頭支持室
1′:後頭支持室
2:頸支持室
3:右横寝支持室
4:左横寝支持室
5-1、5-2、6-1、6-2:仕切布
7:弾性樹脂一体構造体
7a:高さ補充用充填部材弾性樹脂一体構造体
8:凸形状面
9:移動自在素材層
9a:素材
11:弾性樹脂一体構造体
E1:後縁
E2:前縁
E3:右縁
E4:左縁
100:枕
101:後頭支持領域
102:頸支持領域
103:低反発充填部材
104:高反発充填部材
105:仕切布
200:被験者
201:耳垂
202:肩峰
203:後頭部
204:頸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11