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特開2024-180324硝酸含有廃液の処理方法および硝酸分解用触媒
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  • 特開-硝酸含有廃液の処理方法および硝酸分解用触媒 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180324
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】硝酸含有廃液の処理方法および硝酸分解用触媒
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/70 20230101AFI20241219BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20241219BHJP
   C02F 1/74 20230101ALI20241219BHJP
   B01F 23/2375 20220101ALI20241219BHJP
【FI】
C02F1/70 Z
B01J23/89 M
C02F1/74 B
B01F23/2375
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024093926
(22)【出願日】2024-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2023098685
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100160864
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 政治
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 光章
(72)【発明者】
【氏名】村口 良
【テーマコード(参考)】
4D050
4G035
4G169
【Fターム(参考)】
4D050AA13
4D050AB14
4D050AB15
4D050AB16
4D050AB35
4D050AB36
4D050AB37
4D050BA04
4D050BA09
4D050BA12
4D050BA14
4D050BB01
4D050BC04
4D050BD02
4D050CA07
4D050CA15
4D050CA16
4D050CA20
4G035AB04
4G169AA02
4G169BA08B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BD04B
(57)【要約】
【課題】高濃度の硝酸性窒素を触媒と還元剤を用いて分解した際に、過還元で生じたアンモニアと、使用した還元剤のうち未反応の還元剤は、同一触媒を用いて酸化分解条件で分解することができる、硝酸性窒素を分解可能な処理方法の提供。
【解決手段】次の各工程を含んでなる硝酸含有廃液の処理方法。工程1:平均粒子径が1~30nmであって金属ナノ粒子が担体に担持している還元用触媒を、硝酸含有廃液に添加し、処理液Iを得る工程。工程2:前記処理液Iの温度を5~90℃に調整し、更に前記処理液Iに含まれる硝酸量の1.0倍以上のモル量の還元剤を添加し、処理液IIを得る工程。工程3:前記処理液IIを温度5~90℃で30分~24時間加温し、硝酸分解反応を進めて処理液IIIを得る工程。工程4:前記処理液IIIを温度20~90℃で酸素又は大気にてバブリングし、更にpHを5.0~8.0に調整して、処理液IVを得る工程。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の各工程を含んでなる硝酸含有廃液の処理方法。
工程1:平均粒子径が1~30nmであってPdとCuとを含む金属ナノ粒子が担体に担持している還元用触媒を、硝酸含有廃液(pH5.0以上8.0以下)に添加し、処理液Iを得る工程。
工程2:前工程に続いて、前記処理液Iの温度を5~90℃に調整し、更に前記処理液Iに含まれる硝酸量の1.0倍以上のモル量の還元剤を添加し、処理液IIを得る工程。
工程3:前工程に続いて、前記処理液IIを温度5~90℃で30分~24時間加温し、硝酸分解反応を進めて処理液IIIを得る工程。
工程4:前工程に続いて、前記処理液IIIを温度20~90℃で酸素又は大気にてバブリングし、更にpHを5.0~8.0に調整して、処理液IVを得る工程。
【請求項2】
前記工程4が、前記処理液IIIを温度20~90℃で、酸素又は大気にてバブリングすることにより、副生アンモニアの除去と、前記還元用触媒による副生アンモニアの酸化分解及び残存還元剤の分解の促進と、を行う工程である、請求項1記載の硝酸含有廃液の処理方法。
【請求項3】
前記工程1~工程3を不活性ガス雰囲気下で行う、請求項1又は請求項2記載の硝酸含有廃液の処理方法。
【請求項4】
内部において液体が貯留していない部位に気体を導入できる導入ライン1と、内部において貯留している液体内に気体を導入できる導入ライン2と、攪拌装置と、内部の圧力が大気圧の1.05倍以上になると開になる機能を有するブリーザー弁を備えるブリーザーバルブと、を有する密閉槽を用意し、
前記密閉槽の内部にて前記還元用触媒を前記硝酸含有廃液に添加して前記工程1を行い、
前記導入ライン2から前記酸素又は前記大気を導入する前記工程4を行い、
前記工程1~工程3において、前記導入ライン1および前記導入ライン2から継続して不活性ガスを導入する、
請求項1または2に記載の硝酸含有廃液の処理方法。
【請求項5】
前記工程4におけるバブリングが、ナノバブルを発生させて行われる、請求項1又は請求項2記載の硝酸含有廃液の処理方法。
【請求項6】
前記工程4におけるバブリングが、平均気泡径が50~500nmであるナノバブルを105個/mL~1.0×1011個/mLの範囲で発生させて行われる、請求項1又は請求項2記載の硝酸含有廃液の処理方法。
【請求項7】
平均粒子径が1~30nmである金属ナノ粒子が担体に担持している還元用触媒であって、更に下記1)~3)の特徴を有する還元用触媒。
1)前記金属ナノ粒子は、PdとCuとを含み、Pd/(Pd+Cu)×100の質量比率が2~98%の範囲で、更に炭素を、C/(Pd+Cu)×100の質量比率で0.1~5%含むものであること。
2)前記還元用触媒における前記金属ナノ粒子の含有割合が0.1~5質量%であること。
3)前記還元用触媒は、平均粒子径が10μm~5cm、比表面積が50~3000m2/gの範囲であること。
【請求項8】
前記還元用触媒が更に下記4)の特徴を有してなる請求項7記載の還元用触媒。
4)前記還元用触媒に担持した前記金属ナノ粒子の画像解析による粒子径分布において、粒子径が小さい方から累積頻度10%粒子径をD10とし、累積頻度50%粒子径をD50とし累積頻度90%粒子径をD90としたとき下記式(1)で表される条件を満たすこと。
式(1):0.9≦[(D10+D90)/2]/D50≦2.3
【請求項9】
前記還元用触媒が更に下記5)の特徴を有してなる請求項7又は請求項8記載の還元用触媒。
5)前記還元用触媒において、全ての方向において隣りに存在する金属ナノ粒子と1nm以上離れている金属ナノ粒子の割合m{m=(s/t)×100}の平均値Mの値の範囲が50~100%の範囲であること。
(ここで、電子顕微鏡写真[30万倍]における10000nm2の範囲(100nm四方)内に存在する金属ナノ粒子の個数をt、電子顕微鏡写真[30万倍]における全ての方向において隣に存在する金属ナノ粒子と最短距離が1nm以上離れている金属ナノ粒子の個数をs、電子顕微鏡写真[30万倍]における全ての方向において隣に存在する金属ナノ粒子と最短距離が1nm以上離れている金属ナノ粒子の割合をm[%]、前記還元用触媒において無作為に選んだ50箇所についてmを求め、それらの個数平均値M[%]を求めた。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硝酸含有廃液の処理方法および硝酸分解用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
硝酸性窒素は、湖沼等の富栄養化や人体への健康被害をもたらすため、工業排水等から除去する必要がある。硝酸性窒素を排水等から除去する方法として、還元剤と触媒との存在下で還元分解を行う化学的処理方法が知られている。例えば、銅とパラジウムを含む金属微粒子が無機担体またはカーボン担体に担持された触媒が用いられている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1では、処理水中で触媒が沈降しないように、小さい担体を用いること、比表面積の大きいカーボンを担体として用いることが開示されている。さらに、繰り返して使用できるように、無機担体(粒子径5~200nm、比表面積10~300m2/g)に、銅とパラジウムを含む金属微粒子(平均一次粒子径1~9nm)を担持することが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0003】
また、高活性で高寿命の触媒を実現するために、面状領域を持つ金属粒子を活性炭に担持することが知られている(例えば、特許文献3を参照)。この特許文献3では、金属粒子としてPd-Cu粒子が例示され、炭素を含有する担体としてフェノール樹脂系活性炭が例示されている。
【0004】
硝酸含有廃液から硝酸性窒素を除去する方法としては、硝酸含有廃液に活性汚泥を適用する処理方法が知られている。この様な処理方法として例えば、特許文献4には、硝酸性窒素の濃度が5,000mg/L以上である排水に対して、嫌気性微生物を含む活性汚泥を用いて生物処理を行ない、硝酸性窒素の濃度が1,000mg/L以下の処理水を得る、排水の処理方法を開示している。しかしながら硝酸含有廃液に活性汚泥を適用する処理方法においては、硝酸含有廃液中の硝酸性窒素濃度の低下に数日ないし数日以上の時間を要することが知られている。また、その他の問題点として、活性汚泥中の細菌の作用を利用するため、途中で処理を止めることができないこと、活性汚泥は廃液処理に適用した後の異臭発生や廃棄の問題等が指摘されている。
【0005】
硝酸含有廃液から硝酸性窒素を除去する方法として、電気分解の作用を利用する方法も知られている。例えば、特許文献6には、排水を電気分解し発生する酸素及び水素を用いて排水中の窒素化合物及びリン化合物を酸化そして還元し排水中の窒素及びリンを効率よく除去することを目的とした処理システムの発明が開示されている。硝酸含有廃液から硝酸性窒素を除去する方法として電気分解の作用を利用した場合、高濃度硝酸を含む廃液の処理は容易ではなく、処理に時間を要するため、エネルギーコストの問題も看過できないといわれている。
【0006】
硝酸含有廃液から硝酸性窒素を除去する方法として、還元法で硝酸を分解する方法も知られている。例えば特許文献7には、スポンジ銅触媒の破砕や粉化を効果的に防止して、効率的に硝酸性窒素を処理することができる硝酸性窒素含有排水の処理方法及びそのスポンジ銅触媒を用い、排水に含まれる硝酸性窒素を還元処理する硝酸性窒素含有排水の処理方法の発明が開示されている。触媒による硝酸性窒素の分解処理は、硝酸性窒素廃液と触媒と還元剤を混合し、加熱条件下で還元反応を行い。硝酸を亜硝酸から窒素へと分解し、窒素として大気放出させて処理する方法である。このような反応であるため、微生物分解のような汚泥も発生せず、比較的クリーンな処理法であるが、還元反応により分解され生成した、亜硝酸や窒素が、さらに還元され、過還元反応してアンモニアを生成し、河川等に放流できない問題や、使用する還元剤の種類によっては未反応の還元剤が廃液中に残りBODやCOD値を上げ河川等に放流できない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-097983号公報
【特許文献2】特開2015-192925号公報
【特許文献3】特開2010-089032号公報
【特許文献4】特開2020―189284号公報
【特許文献5】特開2006―239506号公報
【特許文献6】特開2005―138091号公報
【特許文献7】特開2012―148219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、高濃度の硝酸性窒素を触媒と還元剤を用いて分解した際に、過還元で生じたアンモニアと、使用した還元剤のうちの未反応分(還元剤)を、硝酸性窒素の分解に用いた触媒と同一の触媒を用いて酸化分解条件で分解することができる、硝酸性窒素を分解可能な処理方法を提供することを目的とする。また、処理後の廃液を、河川に放出可能な水準とすることができる硝酸性窒素を分解可能な処理方法の提供を目的とする。
また、活性汚泥等を必要とすることなく、硝酸性窒素を分解可能な処理方法の提供を目的とする。反応も早く短時間で高濃度でも硝酸性窒素を分解可能な処理方法の提供を目的とする。また、硝酸性窒素を分解可能な処理方法に好適な触媒の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)~(9)である。
(1)次の各工程を含んでなる硝酸含有廃液の処理方法。
工程1:平均粒子径が1~30nmであってPdとCuとを含む金属ナノ粒子が担体に担持している還元用触媒を、硝酸含有廃液(pH5.0以上8.0以下)に添加し、処理液Iを得る工程。
工程2:前工程に続いて、前記処理液Iの温度を5~90℃に調整し、更に前記処理液Iに含まれる硝酸量の1.0倍以上のモル量の還元剤を添加し、処理液IIを得る工程。
工程3:前工程に続いて、前記処理液IIを温度5~90℃で30分~24時間加温し、硝酸分解反応を進めて処理液IIIを得る工程。
工程4:前工程に続いて、前記処理液IIIを温度20~90℃で酸素又は大気にてバブリングし、更にpHを5.0~8.0に調整して、処理液IVを得る工程。
(2)前記工程4が、前記処理液IIIを温度20~90℃で、酸素又は大気にてバブリングすることにより、副生アンモニアの除去と、前記還元用触媒による副生アンモニアの酸化分解及び残存還元剤の分解の促進と、を行う工程である、上記(1)記載の硝酸含有廃液の処理方法。
(3)前記工程1~工程3を不活性ガス雰囲気下で行う、上記(1)又は(2)記載の硝酸含有廃液の処理方法。
(4)内部において液体が貯留していない部位に気体を導入できる導入ライン1と、内部において貯留している液体内に気体を導入できる導入ライン2と、攪拌装置と、内部の圧力が大気圧の1.05倍以上になると開になる機能を有するブリーザー弁を備えるブリーザーバルブと、を有する密閉槽を用意し、
前記密閉槽の内部にて前記還元用触媒を前記硝酸含有廃液に添加して前記工程1を行い、
前記導入ライン2から前記酸素又は前記大気を導入する前記工程4を行い、
前記工程1~工程3において、前記導入ライン1および前記導入ライン2から継続して不活性ガスを導入する、
上記(1)~(3)のいずれかに記載の硝酸含有廃液の処理方法。
(5)前記工程4におけるバブリングが、ナノバブルを発生させて行われる、上記(1)~(4)のいずれかに記載の硝酸含有廃液の処理方法。
(6)前記工程4におけるバブリングが、平均気泡径が50~500nmであるナノバブルを105個/mL~1.0×1011個/mLの範囲で発生させて行われる、上記(1)~(5)のいずれかに記載の硝酸含有廃液の処理方法。
(7)平均粒子径が1~30nmである金属ナノ粒子が担体に担持している還元用触媒であって、更に下記1)~3)の特徴を有する還元用触媒。
1)前記金属ナノ粒子は、PdとCuとを含み、Pd/(Pd+Cu)×100の質量比率が2~98%の範囲で、更に炭素を、C/(Pd+Cu)×100の質量比率で0.1~5%含むものであること。
2)前記還元用触媒における前記金属ナノ粒子の含有割合が0.1~5質量%であること。
3)前記還元用触媒は、平均粒子径が10μm~5cm、比表面積が50~3000m2/gの範囲であること。
(8)前記還元用触媒が更に下記4)の特徴を有してなる上記(7)記載の還元用触媒。
4)前記還元用触媒に担持した前記金属ナノ粒子の画像解析による粒子径分布において、粒子径が小さい方から累積頻度10%粒子径をD10とし、累積頻度50%粒子径をD50とし累積頻度90%粒子径をD90としたとき下記式(1)で表される条件を満たすこと。
式(1):0.9≦[(D10+D90)/2]/D50≦2.3
(9)前記還元用触媒が更に下記5)の特徴を有してなる上記(7)又は(8)記載の還元用触媒。
5)前記還元用触媒において、全ての方向において隣りに存在する金属ナノ粒子と1nm以上離れている金属ナノ粒子の割合m{m=(s/t)×100}の平均値Mの値の範囲が50~100%の範囲であること。
(ここで、電子顕微鏡写真[30万倍]における10000nm2の範囲(100nm四方)内に存在する金属ナノ粒子の個数をt、電子顕微鏡写真[30万倍]における全ての方向において隣に存在する金属ナノ粒子と最短距離が1nm以上離れている金属ナノ粒子の個数をs、電子顕微鏡写真[30万倍]における全ての方向において隣に存在する金属ナノ粒子と最短距離が1nm以上離れている金属ナノ粒子の割合をm[%]、前記還元用触媒において無作為に選んだ50箇所についてmを求め、それらの個数平均値M[%]を求めた。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の硝酸含有廃液の処理方法では、硝酸含有廃液に含まれる高濃度の硝酸性窒素を還元用触媒と還元剤を用いて分解し、硝酸性窒素の分解過程での過還元で生じたアンモニアと、使用した還元剤のうち未反応の還元剤を、新たな処理剤等を添加することなく、当初投入した還元用触媒により、酸化分解条件で分解することが可能であり、工程上、効率的に処理できかつ、汚泥等の副生成物の発生のない点でたいへん有利であり、処理後の廃液は、河川あるいは下水等に放出可能な水準とすることができる。
また、本発明の還元用触媒は、本発明の硝酸含有廃液の処理方法に適用して、硝酸性窒素の分解、過還元で生じたアンモニアの分解及び還元剤の分解に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】密閉タンクの構造の一例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明について説明する。
本発明の硝酸含有廃液の処理方法は、硝酸を多量に含む硝酸含有廃液から硝酸性窒素を迅速に分解/除去できる処理方法に関するものである。
ここで硝酸含有廃液の硝酸濃度は、格別に制限されるものではないが、例えば、硝酸濃度500,000ppmレベルなどを挙げることができる。
また、廃液については、食品製造工程からの廃液、化学薬品製造工程からの廃液、機械製造工程からの廃液などを挙げることができるが、液状の廃液であれば格別に制限されるものではない。
本発明の硝酸含有廃液の処理方法は、次の工程1~4を含む。
工程1:平均粒子径が1~30nmであってPdとCuとを含む金属ナノ粒子が担体に担持している還元用触媒を、硝酸含有廃液(pH5.0以上8.0以下)に添加し、処理液Iを得る工程。
工程2:前工程に続いて、前記処理液Iの温度を5~90℃に調整し、更に前記処理液Iに含まれる硝酸量の1.0倍以上のモル量の還元剤を添加し、処理液IIを得る工程。
工程3:前工程に続いて、前記処理液IIを温度5~90℃で30分~24時間加温し、硝酸分解反応を進めて処理液IIIを得る工程。
工程4:前工程に続いて、前記処理液IIIを温度20~90℃で酸素又は大気にてバブリングして、更にpHを5.0~8.0に調整して、処理液IVを得る工程。
【0013】
<工程1>
工程1では硝酸含有廃液(pH5.0以上8.0以下)に、PdとCuとを含む金属ナノ粒子(平均粒子径1~30nm)が担体に担持している還元用触媒を添加する。なお、以下、本明細書において、特に断りのない限り、「廃液」は硝酸含有廃液を意味する。
【0014】
[硝酸含有廃液とその硝酸濃度]
硝酸含有廃液における硝酸濃度は前記のとおり格別に制限されるものではないが、硝酸濃度500,000ppm以下であることが好ましい。なお、廃液の組成に応じて前処理を実施して構わない。このような前処理の例としては、濁度低下物質の除去、CODあるいはBOD成分の除去を挙げることができる。ここで濁度低下物質としては、例えば、無機酸化物や水酸化物のゲル状物などを挙げることができる。また、COD成分としては、有機樹脂や有機溶剤、油脂、糖類などを、BOD成分としては有機樹脂や有機溶剤、油脂、糖類などが挙げられる。
濁度低下物質の除去は、例えば、カチオン性ないしアニオン性の高分子を添加し凝集させ、遠心沈降やフィルタープレス等の手段により行うことができる。COD成分あるいはBOD成分の除去は、微生物による分解や過酸化水素や過マンガン酸カリウム等の強酸化剤での分解もしくは、オゾンや紫外線を用いた分解等の方法で行うことができる。
【0015】
[硝酸含有廃液への還元用触媒添加]
硝酸含有廃液に還元用触媒を添加する前の硝酸含有廃液のpHは、pH5.0~8.0の範囲が好ましい。硝酸含有廃液のpHが5.0未満であると金属ナノ粒子が溶解する場合がある。硝酸含有廃液のpHが8.0を超える場合、硝酸含有廃液の分解後にpH13.0を超えるような高いpHとなり易く、その後の取り扱いが困難になる場合があるので望ましくない。なお、硝酸含有廃液には必要に応じて、pH調整剤を添加してpH調整を行って構わない。
通常は、硝酸含有廃液(pH5.0~8.0)を密閉槽(密閉タンク)へ入れ、そこへ還元用触媒を添加することが好ましい。密閉タンク(密閉槽)は、気体をタンク内の液が入っていない空隙に入れる導入ライン1と、気体をタンク内の液内に入れる導入ライン2と、ブリーザーバルブを有し、圧力が大気圧の1.05倍以上になるとブリーザー弁が開になる機能を有する密閉タンクであることが望ましい。このような密閉タンクであれば、密閉タンク内の気相及び液相内の溶存酸素や酸素濃度の制御を行うことができる。そのため硝酸を分解する際の還元反応が均一に進行しやすく、副反応による副生成物の発生が生じにくく、硝酸分解反応の反応速度低下を生じにくい。なお、該密閉タンクが撹拌機及び温度調整可能なジャケットを備えていても構わない。
【0016】
前記のとおり、硝酸含有廃液(pH5.0~8.0)を前記密閉タンクに投入し、続いて還元用触媒を投入することが好ましい。廃液の投入は、ナノバブル発生装置と接続して、窒素や水素のナノバブルを廃液内に発生させ投入してもよい。ナノバブルが存在すると工程3での硝酸分解速度が速くなる場合がある。ナノバブルは、平均気泡径が40~500nmのものであることが好ましく、硝酸含有廃液内に105個/mL以上存在することが好ましい。この場合、硝酸分解速度の向上、有機系不純分の分解を促進する傾向がある。
ここでナノバブルに分解される有機物としては、有機系の不純物、雑菌、浮遊菌などを挙げることができる。ナノバブルの平均気泡径が40nm未満の場合は、硝酸分解速度の向上、有機系不純分の分解効果が乏しい傾向がある。また、平均気泡径が500nmを超える場合は、ナノバブルの寿命が短く実用的でない問題が生じやすくなる。ナノバブルの平均気泡径は、より好ましくは50~500nmの範囲が推奨される。
廃液中のナノバブルの個数の下限は、硝酸分解反応に支障ない限り格別に制限されるものではないが、1.0×105個/mL以上がより好ましく、1.0×108個/mL以上が更に好ましい。その上限は特に制限はないが、1.0×1011個/mLが好ましく、5.0×1010個/mLがより好ましく、1.0×1010個/mLが更に好ましい。
前記ナノバブルに含まれる気体の種類は格別に制限されるものではないが、通常は、窒素、水素及びこれらの混合ガスが使用される。
【0017】
[還元用触媒]
本発明における還元用触媒としては、金属ナノ粒子(平均粒子径1~30nm)が担体に担持している還元用触媒であって、更に下記特徴を有する還元用触媒を使用することができる。
1)前記金属ナノ粒子は、PdとCuとを含み、Pd/(Pd+Cu)×100の質量比率が2~98%の範囲で、更に炭素を、C/(Pd+Cu)×100の質量比率で0.1~5%含むものであること。
2)前記還元用触媒における前記金属ナノ粒子の含有割合が0.1~5質量%であること。
3)前記還元用触媒は、平均粒子径が10μm~5cm、比表面積が50~3000m2/gの範囲であること。
【0018】
還元用触媒の詳細については、改めて後記した。
【0019】
硝酸含有廃液および還元用触媒の合計質量に対する、還元用触媒に担持する金属ナノ粒子の質量の比が0.01g/kg~10g/kgであることが好ましい。
0.01g/kg未満の場合、触媒量が少なく反応自体が進行しない場合がある。10g/kgを超えると反応が早くなり、液温の上昇速度が高まる場合がある。
【0020】
硝酸含有廃液に還元用触媒を添加した後の硝酸含有廃液の液温は格別に制限されるものではないが、例えば、温度5~90℃の範囲が好ましい。
【0021】
本明細書では、工程1で、pH5.0~8.0の範囲に調整された硝酸含有廃液であって前記還元用触媒を含むものを「処理液I」ともいう。
【0022】
硝酸含有廃液への還元用触媒添加後、触媒と廃液の接触を均一にする目的で攪拌することが望ましい。攪拌機の回転数としては、例えば、5~500rpmの範囲が好ましい。
【0023】
また、硝酸分解反応を均一に進める目的で不活性ガスを注入することが好ましい。不活性ガスの注入は気体をタンク内の液が入っていない空隙に入れる導入ライン1と、気体をタンク内の液内に入れる導入ライン2より注入する。注入後のタンク内圧力が大気圧の1.05倍となり、ブリーザーバルブが、開いたら不活性ガスの注入は停止してもよく、硝酸含有廃液中の硝酸濃度が高濃度であれば工程1、工程2および工程3を通じて継続することが望ましい。
【0024】
前記不活性ガスの種類は、還元反応を阻害するものでなければ特に限定するものではないが、好ましくは窒素、アルゴン、水素が好ましい。特に水素は還元性もあり、還元剤としても使用できる。しかしながら発火、爆発などの危険もあるので、安全上、窒素やアルゴンと混合して爆発限界外濃度にして使用することが好ましい。本明細書では、窒素やアルゴンと混合した水素ガスを「希釈水素」ともいう。
【0025】
不活性ガスの気体導入速度はタンクサイズ等によって異なるが、タンクサイズの0.1倍~1倍の流量にすることが好ましい。例えば1Lサイズであれば0.1~1L/minであることが好ましい。0.1倍未満であるとタンク内の酸素を除去するのに時間がかかる。1倍以上であると導入ライン2より入る気体と液との混合により液が激しく揺れるため分解反応が進みにくい場合がある。
【0026】
前記不活性ガスの気体圧力は前記記載の流量を得られれば特に限定されないが、例えば、0.2~1MPaが好ましい。
【0027】
<工程2>
工程2では、工程1に続いて、処理液Iの温度を5~90℃に調整し、更に処理液Iに含まれる硝酸量の1.0倍以上のモル量の還元剤を添加する。
【0028】
最初に処理液I(還元用触媒を含むpH5.0~8.0の硝酸含有廃液)の温度を5~90℃の範囲に調整する。この温度範囲であれば、硝酸を速いスピードで分解できるので望ましい。処理液Iの温度が5℃未満の場合、硝酸は分解可能であるが、生産性が低い点や、固化により分解できない状態となる等の問題がある。前記温度が90℃を超えると、熱による触媒の劣化が生じる傾向が強まり、望ましくない。処理液Iの温度は好適には10~80℃の範囲が推奨される。
ここで使用する還元剤は、硝酸を還元し亜硝酸とし、その後窒素へ還元しする目的で使用される。
【0029】
還元剤の種類は、還元作用があれば特に限定されないが、水素、ヒドラジン、ギ酸、クエン酸、タンニン酸、水素化ホウ素ナトリウム、メタノール、エタノールを挙げることができる。還元剤の種類は、硝酸含有廃液の処理後に河川等に排出するのであれば、排水規制に含まれる金属を含まないものが好ましい。排水規制には、BODやCODの規制もあるが、有機系の還元剤やヒドラジンは、本発明の処理工程4で酸化分解を行うので好適である。
【0030】
還元剤の使用量は、硝酸含廃液に含まれる硝酸量の1.0倍以上のモル量の還元剤を添加する。係る添加量が1.0倍以上であれば、(理論上還元は進む最低量)であり、好ましい。通常は、1.0倍~50倍の範囲で使用することが推奨される。
還元剤の添加方法については、還元剤をそのまま廃液に添加する方法や、純水等で希釈して添加する方法、これらを一気に添加や逐次添加する等の方法をとることが好ましい。
なお、工程1に引き続いて、不活性ガスを注入することが好ましい。ここで、不活性ガスの気体の種類、気体の導入速度及び気体の圧力については、工程1の場合と同様である。
また、工程2を通じて、攪拌を継続することが望ましい。攪拌時の攪拌機の回転数としては5~500rpmの範囲が推奨される。
【0031】
本明細書では、工程2で処理液Iに更に還元剤を加えたものを「処理液II」ともいう。
【0032】
<工程3>
工程3では、工程2に続いて、処理液IIを温度5~90℃で30分~24時間加温し、硝酸分解反応を進行させる。
工程2に引き続いて硝酸分解反応を進行させるため、処理液IIの温度は5~90℃の範囲が好ましい。この温度範囲であれば、硝酸を速い速度で分解できるため望ましい。処理液IIの温度が5℃未満の場合は硝酸は分解可能であるが、生産性が低い点や、固化により分解できない状態となる点で支障があり、該温度が90℃を超えると、熱による触媒の劣化が生じる傾向が強まり、望ましくない。
処理液IIの温度は好適には10~80℃の範囲が推奨される。
【0033】
前記硝酸分解反応(還元反応)は、前記温度範囲で30分~24時間行うことが好ましい。工程3での硝酸分解反応の所要時間が30分~24時間であれば、硝酸分解が完了できるので好ましい。硝酸分解反応の所要時間が30分未満の場合は、反応時間が短いため、硝酸が分解されていない場合がある、24時間を超える場合は実用性が低下する。
また、工程3を通じて、攪拌を継続することが望ましい。攪拌時の攪拌機の回転数としては5~500rpmの範囲が推奨される。
【0034】
なお、工程1、工程2に引き続いて、不活性ガスを注入することが好ましい。ここで不活性ガスの気体の種類、気体の導入速度及び気体の圧力については、工程1の場合と同様である。
【0035】
このような工程3によって、処理液IIIを得る。
【0036】
<工程4>
工程4では、工程3に続いて、処理液IIIを温度20~90℃で酸素又は大気にてバブリングする。工程4では、過還元により生成したアンモニアをバブリングにより気化させ、更にバブリングによっては気化しきれなかったアンモニアと、残存した還元剤を還元用触媒で酸化分解させ、アンモニア及び残存した還元剤が除去された廃液(硝酸、アンモニア及び還元剤が充分に除去されてなる廃液)を得ることができる。そして、更にpHを5.0~8.0に調整して、例えば、河川への放出も可能な処理液IVとすることができる。
【0037】
バブリングに用いる気体はアンモニアを酸化させて窒素にする目的及び還元剤を分解して無害化する目的で酸素及び/又は空気が好ましい。バブリングは前記気体をタンク内の液内に入れる導入ライン2から廃液中に導入する。ここでバブリング気体流量はタンクサイズの0.1倍/min~1倍/minの流量の範囲が均一な酸化分解を行ううえで好ましい。バブリング気体流量が0.1倍/min未満の場合、酸化分解が生じないことやアンモニアが気化されない場合があるので望ましくない。バブリング気体流量が1.0倍/minを超えるとアンモニアの気化や還元剤の酸化分解の効率がそれ以上は上昇しなくなる。
【0038】
バブリングによりアンモニア除去及び還元用触媒による還元剤の酸化分解を行っている時の処理液IIIの温度は20~90℃の範囲が好ましい。20℃未満の場合、アンモニアが廃液中に残存しやすく、還元剤の酸化分解も進みにくい。90℃を超える場合は、還元触媒が劣化することがあり望ましくない。処理液IIIの温度は好適には30~60℃の範囲が推奨される。
【0039】
バブリングにより酸化分解せずに気化したアンモニアは大気拡散させるかあるいは吸収塔を設けて回収することが好ましい。
【0040】
バブリング時には、攪拌を継続することが反応を均一に行うためには望ましい。攪拌時の攪拌機の回転数としては5~500rpmの範囲が推奨される。
【0041】
このような工程4は、処理液IIIを温度20~90℃で、酸素又は大気にてバブリングすることにより、副生アンモニアの除去と、前記還元用触媒による副生アンモニアの酸化分解及び残存還元剤の分解の促進と、それに続いて処理液IIIのpH調整(pH5.0~8.0)を行って、処理液IVを得る工程であることが好ましい。
【0042】
処理液IV(pH5.0~8.0)は下水や海への放流が可能である。pH調整剤は、排水規制にかからない調整剤が好ましく、塩酸や硫酸などの鉱酸が好ましい。pH調整を行う際の温度は、10~40℃が好ましい。
pH調整剤の量はpHメーターを用いて、pH5.0~8.0の範囲となる量のpH調剤を添加する。
【0043】
pH調整時は、攪拌を継続することがpHを正確に調整するうえで望ましい。攪拌時の攪拌機の回転数としては5~500rpmの範囲が推奨される。
【0044】
本発明の硝酸含有廃液の処理方法の好適な態様について説明する。
[本発明の好適な態様]
本発明の硝酸含有廃液の処理方法は、内部において液体が貯留していない部位に気体を導入できる導入ライン1と、内部において貯留している液体内に気体を導入できる導入ライン2と、攪拌装置と、内部の圧力が大気圧の1.05倍以上になると開になる機能を有するブリーザー弁を備えるブリーザーバルブと、を有する密閉槽を用意し、前記密閉槽の内部にて前記還元用触媒を前記硝酸含有廃液に添加して前記工程1を行い、前記導入ライン2から前記酸素又は前記大気を導入する前記工程4を行い、前記工程1~工程3において、前記導入ライン1および前記導入ライン2から継続して不活性ガスを導入する方法であることが好ましい。
【0045】
[密閉槽(密閉タンク)]
密閉タンクの形状は、特に限定されないが、円柱型が好ましい。低面がフラットよりも曲率があるほうが好ましい。角状な場合は、底の周辺部に触媒が滞留し液との混合が悪く硝酸分解が進まない場合がある。密閉タンクの構造の一例を図1に示す。
【0046】
[攪拌装置、撹拌羽根形状]
特に限定されないが、平面パドル羽根、傾斜パドル羽根、プロペラ羽根、ファウドラー羽根、ディスクタービン羽根、ヘリカルリボン羽根、スクリュー羽根、等が好ましい。タンクサイズが大きい場合は羽根を複数段つけることが好ましい。タンク底が曲率な場合は、ファウドラー羽根が好ましい。また市販の攪拌羽としては、EKATO社製のCONBIJETやPHASEJETも好適に使用できる。中でも同社GASJETを組み合わせれば、容器内の陰圧になりバブリング以上の気泡を効率的に発生でき工程3、工程4を効率的にできる。
【0047】
[バッフル]
密閉タンク内での攪拌時に乱流を発生させて攪拌効率を向上させる目的で密閉タンク内にバッフル(邪魔板)を付けることも好ましい。バッフルの形状はタンクの形状やサイズで異なるが、板状のもの(板バッフル)や円柱状のもの(棒バッフル)を複数つけることが好ましい。バッフルを付けることで、工程3、工程4のスピードを向上させる効果が期待できる。なお、前記板バッフルは密閉タンクの底部内側に垂直に設けられる。棒バッフルは密閉タンク上方から棒状の部材を縦方向に吊り下げるように設けられる。
【0048】
[密閉タンクの材質]
密閉槽タンクの材質は、腐食性の低い材質であれば特に限定されないが、SUS系、プラスチック、FRP、フッ素樹脂等が好ましい。SUS系においては、SUS304系や腐食性の高いSUS316系、が好ましい。特にSUS304Lや316Lが耐腐食性が高いため好ましい。一方、反応後のpHが高アルカリになることがあるので、ガラス等のアルカリで溶解する材質は好ましくない。
【0049】
[バブリング用ノズル]
バブリング用ノズルは、導入ライン2において、気体を排出する出口に配置される。
バブリングのノズル形状は、気体を泡状にできれば、特に制限されないが、ストレート、多孔状が好ましい。特に多孔状のものは気泡を小さくできるので好ましい。孔のサイズは、タンクサイズによって異なるが、直径が0.1mm~1cmが好適である。このようなノズル形状のノズルを用いれば、工程3、工程4を効率的に行うことができる。
【0050】
[温度調節機能]
工程2以降で温度調整する必要があり、廃液温度を上昇、下降できれば特に限定されない。熱源としては、電気、蒸気等が好ましく、冷却する場合は、水、不凍液等を冷却してタンク外部を冷却すればよい。蒸気や、水等で温調制御する場合はタンク周辺にこれらを流すジャケットつけることが好ましく、ジャケットのサイズは、目的の温度にできるようにタンクサイズや材質から熱力学的に計算して目的範囲制御できれば特に制限はない。
【0051】
[気体導入ライン(気相側と液相側)]
気体導入ラインは気相と液相側にあれば良い。すなわち、密閉槽内における液体が貯留していない部位に気体を導入できる導入ライン1と、密閉槽内において貯留している液体内に気体を導入できる導入ライン2を有する。
導入ライン2は密閉槽内の貯留している液体(硝酸含有廃液またはそれに他を添加した液体等)内にその先端部が浸漬されており、導入ライン2におけるその先端部から気体が液体内へ排出される。密閉槽内における液体の上部は気体が存在しており、この気体が存在する部位に、導入ライン1から導入された気体が排出される。
【0052】
[ブリーザーバルブ]
ブリーザーバルブは、タンク内の圧力が目的の圧力(大気圧の1.05倍)以上になった場合にバルブが、開になれば良く、市販のブリーザーバルブを用いれば特に制限されない。
【0053】
[還元剤添加ライン(ラインミキシング、逐次添加、シャワー添加)]
還元剤添加ラインは特に制限されないが、還元剤が局所的に入らないほうが好ましい。一気に添加してもよいが、水等で希釈しながらラインミキシングでの導入、逐次添加、シャワー添加が好ましい。
【0054】
[ナノバブル発生装置]
硝酸含有廃液をタンクに入れる際にナノバブル発生装置を通すことが好ましい。ナノバブル発生装置は市販のナノバブル発生装置を用いれば特に制限されない。
【0055】
[還元用触媒]
前述の本発明の硝酸含有廃液の処理方法では、以下に説明する本発明の還元用触媒を用いることが好ましい。
【0056】
本発明の還元用触媒は、金属ナノ粒子(平均粒子径1~30nm)が担体に担持している還元用触媒であって、更に下記特徴1)~3)を有する還元用触媒である。
1)前記金属ナノ粒子は、PdとCuとを含み、Pd/(Pd+Cu)×100の質量比率が2~98%の範囲で、更に炭素を、C/(Pd+Cu)×100の質量比率で0.1~5%含むものであること。
2)前記還元用触媒における前記金属ナノ粒子の含有割合が0.1~5質量%であること。
3)前記還元用触媒は、平均粒子径が10μm~5cm、比表面積が50~3000m2/gの範囲であること。
本発明の還元用触媒は、硝酸の還元による分解と、過還元により生じたアンモニアの分解と、使用を終えた還元剤の分解に寄与する。
【0057】
金属ナノ粒子は、主としてPdおよびCuからなる粒子であるPd-Cuナノ粒子(平均粒子径1~30nm)が好ましい。該Pd-Cuナノ粒子の平均粒子径1nm未満のものを調製することは困難である。平均粒子径30nm超えると、硝酸の分解特性が低下する。
なお、Pd-Cuナノ粒子はPdとCuとの合計含有率が75質量%以上であるものを意味するものとする。この合計含有率は85質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
【0058】
さらに還元用触媒がPd-Cuナノ粒子を有さない場合、例えばPd塩や硝酸塩あるいは水酸化物等の場合は、硝酸の還元速度(特に低温での還元速度)が遅く好ましくない。
【0059】
金属ナノ粒子のPd/(Pd+Cu)×100の質量比率は、2~98%範囲が好ましい。2%未満だと硝酸から亜硝酸への分解性が低くなる場合がある。98%を超えると、硝酸の分解性が低くなる場合がある。特に好ましくは10~90%であり、この範囲であれば、硝酸分解特性に優れ、加還元で生じたアンモニアの生成量を低く抑えられる。
なお、金属ナノ粒子に含まれるPdおよびCuの含有量は、後述する実施例と同様、ICPを用いて測定するものとする。
本発明の還元用触媒において、担体に担持したPd-Cuナノ粒子は、PdおよびCuのそれぞれのナノ粒子が共存する場合であってもよく、PdとCuとの複合物、ないしPdとCuとの合金からなるナノ粒子であってもよい。合金が含まれると、硝酸分解特性により優れ、アンモニア生成量低も低く好ましい。他方、Pdナノ粒子単独で担体に担持した場合は硝酸分解が進まない場合があり、Cuナノ粒子単独で担体に担持した場合は、硝酸分解は硝酸が亜硝酸に分解される段階までは進行するものの、亜硝酸が分解して窒素となるまでは進行しない。また、担体にPdイオンとCuイオンの両方を処理した場合、硝酸分解は進行するものの、触媒活性が低く、実用的な分解速度を得ることが困難である。
【0060】
金属ナノ粒子に対する分散剤は、C(カーボン)を含むものが好ましい。中でもヒドロキシ酸が好ましい。本発明においては、金属ナノ粒子に含まれるカーボン量(質量)を、下記のように金属ナノ粒子の量(質量)に対する比(%)として求めた。
C成分の比(%)=([C質量]/[Pd質量+Cu質量])×100
金属ナノ粒子におけるカーボン量の分析方法については後記した。前記C成分は金属ナノ粒子に含まれるPd質量とCu質量との合計質量に対し、0.01~15%の範囲が好ましい。
前記C成分の比が0.01%未満だと金属ナノ粒子の分散安定性が低く、担体への担持時に凝集を引き起こし易くなる。そのため触媒活性の低下や、寿命が短い場合がある。15%を超えるとナノ粒子の分散安定性が高すぎて、担持時に粒子に付着できない場合や、粒子に付着しても保護コロイド的な機能を有し、再度水に入れた場合、再分散を生じ担体から脱着する場合がある。前記C成分の比の範囲は0.03~12%の範囲が望ましく、0.1~5%の範囲がより望ましい。
Pd-Cu以外に含まれていてもよい他の元素としては、周期表の第4周期~第15周期の元素が好ましく、さらに好ましくはFe、Ni、Sn、Mo、Znが好ましい。このような元素があれば分解性が向上する場合がある。
【0061】
本発明の還元用触媒は、更に下記4)の特徴を有していることが好ましい。
4)前記還元用触媒に担持した前記金属ナノ粒子の画像解析による粒子径分布(個数基準)において、粒子径が小さい方から累積頻度10%粒子径をD10とし、累積頻度50%粒子径をD50とし、累積頻度90%粒子径をD90としたとき、下記式(1)で表される条件を満たすこと。
式(1):0.9≦[(D10+D90)/2]/D50≦2.3
[(D10+D90)/2]/D50の値は、粒度分布のシャープさを示すものであり、この値が0.9以上2.3以下の範囲にある場合、金属ナノ粒子の粒度分布が均一であり、良好な触媒活性を示し望ましい。
[(D10+D90)/2]/D50の値が0.9未満の場合は、小粒子が多く、硝酸分解時に粒子同士が凝集したり融着して触媒活性を低下させる場合があり好ましくない。
同値が2.3を超える場合は、大粒子が多く、硝酸分解効率が低くなる点で好ましくない。
[(D10+D90)/2]/D50の値の範囲としてより好適には1.0以上2.2以下の範囲が推奨される。
【0062】
本発明の還元用触媒は、更に下記5)の特徴を有してなるものが好ましい。
5)前記還元用触媒において、全ての方向において隣りに存在する金属ナノ粒子と1nm以上離れている金属ナノ粒子の割合m{m=(s/t)×100}の平均値Mの値の範囲が50~100%の範囲であること。
ここで、電子顕微鏡写真[30万倍]における10000nm2の範囲(100nm四方)内に存在する金属ナノ粒子の個数をt、電子顕微鏡写真[30万倍]における全ての方向において隣に存在する金属ナノ粒子と最短距離が1nm以上離れている金属ナノ粒子の個数をs、電子顕微鏡写真[30万倍]における全ての方向において隣に存在する金属ナノ粒子と最短距離が1nm以上離れている金属ナノ粒子の割合をm[%]、前記還元用触媒において無作為に選んだ50箇所についてmを求め、それらの個数平均値M[%]を求めた。
前記還元用触媒において、全ての方向において隣りに存在する金属ナノ粒子と1nm以上離れている金属ナノ粒子の割合m{m=(s/t)×100}の平均値Mの値は、還元用触媒の金属ナノ粒子が単分散で担持されていることを表す指標であり、平均値Mの値が50~100%の範囲である場合、金属ナノ粒子同士が凝集して担持されている頻度が少なく、硝酸分解特性の高い触媒が得られるので望ましい。平均値Mの値が50%未満の場合、金属ナノ粒子同士の凝集頻度が高く、硝酸分解特性が低くなったり、使用時に金属ナノ粒子が担体から脱着するなどの問題がある。前記平均値Mの値はより好適には60~100%の範囲が推奨される。
【0063】
[触媒担体]
次に、触媒担体について説明する。触媒担体は、金属ナノ粒子(Pd-Cuナノ粒子を含む)を担持させる担体として使用する。硝酸分解反応中に金属ナノ粒子同士が硝酸分解反応で生じる熱によって凝集したり、粒子成長したりするため、触媒の寿命が短くなる。
担体は、有機担体としては、グラファイト、活性炭等が好ましく、無機担体としては、チタニア、ジルコニア、アルミナ等が好ましい。中でも活性炭は、比表面積も大きく、耐酸性、耐アルカリ性にも優れるため、特に好ましい。活性炭は、炭素、酸素、水素、カルシウムなどからなる多孔質物質であり、また、化学的若しくは熱等による物理的な処理を行った多孔質物質である。活性炭の原料は、ヤシ殻、竹、木、バカス等の天然由来のモノやフェノール樹脂等の石油由来のものを使用できる。中でもフェノール樹脂は原料純度が高いため活性炭の純度が高く、硝酸分解反応時に不純分による触媒毒が生じにくく特に好ましい。
【0064】
担体の平均粒子径は10μm~50mmであり、30μm~30mmが好ましい。平均粒子径がこの範囲であると、金属ナノ粒子を単分散に担持でき高活性な触媒を得ることができる。10μm未満であると、表面積は大きい方向になるため金属ナノ粒子を単分散に担持可能であるが、硝酸分解反応後に廃液と使用後の触媒を分離できずに繰り返し利用が難しい場合がある。50mmを超えると、硝酸分解反応後に廃液と使用後の触媒を分離は容易であるが、表面積は小さい方向であるため金属ナノ粒子が凝集して担持される場合がある。そのため硝酸分解反応時に、金属ナノ粒子同士が、粒子成長したり、触媒同志の衝突により金属ナノ粒子の脱落が生じ触媒寿命が短くなる。
【0065】
担体の細孔容積は0.4~1.0mL/gが好ましい。この範囲であると金属ナノ粒子を単分散に担持可能であり、硝酸分解反応時に金属ナノ粒子同士の粒子成長が生じにくく触媒寿命が長くなる。細孔容積が0.4mL/g未満だと金属ナノ粒子が凝集して担持される場合がある。そのため硝酸分解反応時に金属ナノ粒子同士が、粒子成長したり、触媒同志の衝突により金属ナノ粒子の脱落が生じ触媒寿命が短くなる。1.0mL/gを超えると金属ナノ粒子を単分散に担持可能であり触媒寿命が長い触媒が得られるが、活性炭が嵩高いため、硝酸分解反応後に廃液と使用後の触媒を分離が困難であり、繰り返し使用できない場合がある。
【0066】
担体の比表面積は50~3000m2/gが好ましい。この範囲であると金属ナノ粒子を単分散に担持可能であり、硝酸分解反応時に金属ナノ粒子同士の粒子成長が生じにくく触媒寿命が長くなる。比表面積が50m2/g未満であると金属ナノ粒子が凝集して担持される場合がある。そのため硝酸分解反応時に、金属ナノ粒子同士が粒子成長したり、触媒同志の衝突により金属ナノ粒子の脱落が生じ触媒寿命が短くなる場合がある。
【0067】
担体の充填密度は0.4~0.8g/mLが好ましい。この範囲であると酸分解反応時の触媒の体積が好適であり廃液使用後の触媒の分離が容易で繰り返し使用し易い。0.4g/mL未満だと触媒の嵩が高いため、酸分解反応後の触媒の分離が難しい場合がある。0.8g/mLを超えると、密度が大きいため硝酸性窒素廃液内で触媒の混合性が悪く触媒活性が低くなる場合がある。
【0068】
担体の短径/長径比は1.0~20が好ましい。この範囲であると、金属ナノ粒子を担持させる時も単分散担持しやすく、硝酸分散反応時も触媒粒子同士が衝突しても割れにくい。20を超えると担体は不定形や角状となるため、硝酸分散反応時も触媒粒子同士が衝突した際に割れやすくなる。
【0069】
担体の圧縮強度は10gf/mm2以上であることが好ましい。この範囲であると、金属ナノ粒子担持時や硝酸分解反応時に粒子が割れず、硝酸分解廃液と触媒の分離もよく触媒寿命の長い触媒を得ることができる。
【0070】
次に、本発明の還元用触媒について説明する。
本発明の還元用触媒は、前記触媒担体に金属ナノ粒子を担持させたものである。金属ナノ粒子の担持量は0.1~5%であることが好ましい。0.1%未満は本発明の還元用触媒を多く使用する必要あり反応の間に多量に入れないといけないなど生産性の問題がある。5%を超えると担持分散性が悪く担体からナノ粒子が脱落し凝集する。その結果、活性が低くなる。
触媒担持は、従来公知の方法でもよく、含浸法や担体と水を懸濁して、細孔内の空気を脱気して、金属ナノ粒子を担持させる真空脱気法が好ましい。このような担持は、担体表面だけでなく、細孔内部まで金属ナノ粒子を単分散で担持でき、触媒活性の向上や寿命向上する場合がある。また、予め担体に金属イオン(PdイオンとCuイオン)を処理し、続いて金属ナノ粒子を作用させることにより、イオン的な相互作用で担持させてもよい。その場合、担持力が高くなるため金属ナノ粒子が単分散で維持され高活性を維持することができる。
【0071】
本発明の還元用触媒の平均粒子径が10μm~5cmであり、40μm~30mmが好ましい。平均粒子径がこの範囲であると、工程1~工程4を効率よく進めることができる。10μm未満であると、工程4終了後に廃液と使用後の触媒を分離できずに繰り返し利用が難しい場合がある。5cmを超えると、工程4終了後の廃液と使用後の触媒を分離は容易であるが、工程2~4の攪拌中に触媒同志の衝突により金属ナノ粒子の脱落が生じ触媒寿命が短くなる。
【0072】
本発明の還元用触媒の細孔容積は0.4~1.0mL/gが好ましい。この範囲であると工程1~工程4を効率よく進めることができるとともに触媒寿命も長くなる。細孔容積が0.4mL/g未満だと触媒中の金属ナノ粒子が凝集して担持される場合があるため、工程3~工程4の硝酸分解反応及び酸化分解反応の際に時に金属ナノ粒子同士が、粒子成長したり、触媒同志の衝突により金属ナノ粒子の脱落が生じ触媒寿命が短くなる。1.0mL/gを超えると触媒の嵩高いため、硝酸分解反応後に廃液と使用後の触媒を分離が困難であり、繰り返し使用できない場合がある。
【0073】
本発明の還元用触媒の比表面積は50~3000m2/gが好ましい。この範囲であると工程1~工程4を効率よく進めることができるとともに触媒寿命も長くなる。比表面積が50m2/g未満であると金属ナノ粒子が凝集して担持される場合があるため工程3~工程4の硝酸分解反応及び酸化分解反応の際に時に金属ナノ粒子同士が、粒子成長し触媒寿命が短くなる場合がある。
なお、本発明の還元用触媒の比表面積は、後述する実施例と同様、BET法によって測定するものとする。
【0074】
本発明の還元用触媒の充填密度は0.4~0.8g/mLが好ましい。この範囲であると工程1~工程4を効率よく進めることができる。0.4g/mL未満だと触媒の嵩が高いため、工程2~工程4を効率よく進められない場合がある。0.8g/mLを超えると、密度が大きいため工程3中の攪拌でも触媒の混合性が悪く触媒活性が低くなる場合がある。
【0075】
本発明の還元用触媒の短径/長径比は1.0~20が好ましい。この範囲であると工程1~工程4を効率よく進めることができる。20を超えると担体は不定形や角状となるため、硝酸分散反応時も触媒粒子同士が衝突した際に割れやすくなる。
【0076】
本発明の還元用触媒の圧縮強度は10gf/mm2以上であることが好ましい。この範囲であると、この範囲であると、の範囲であると工程1~工程4を効率よく進めることができる。
【実施例0077】
実施例及び比較例における担体(活性炭)、金属ナノ粒子、還元用触媒の各物性を以下の方法で測定ないし評価し、その結果を表に記した。
【0078】
(1)金属ナノ粒子の平均粒子径
走査型電子顕微鏡(倍率20万倍)を用いて、金属ナノ粒子分散液(固形分濃度0.001質量%)について、同一視野内に100個以上の金属ナノ粒子を含む画像又は写真にて、無作為に選んだ金属ナノ粒子100個について、それぞれの最大径を測定し、それらの個数平均値を求め、その値を金属ナノ粒子の平均粒子径[nm]とした。
なお、以下の実施例および比較例では、走査型電子顕微鏡として、超高分解能電界放出型走査電子顕微鏡S-5500((株)日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた(以下の各種測定における走査型電子顕微鏡も同様)。
また、還元用触媒表面に担持した金属ナノ粒子の平均粒子径は、還元用触媒を用い、金属ナノ粒子分散液の場合と同様に、同一視野内に100個以上の金属ナノ粒子を含む画像又は写真にて、無作為に選んだ金属ナノ粒子100個について、それぞれの最大径を測定し、それらの個数平均値を求め、その値を金属ナノ粒子の平均粒子径[nm]とすることができる。
【0079】
(2)担体の平均粒子径
走査型電子顕微鏡(倍率10倍~20万倍)を用いて、担体について、同一視野内に100個以上の担体粒子を含む画像又は写真にて、無作為に選んだ担体粒子100個について、それぞれの最大径を測定し、それらの個数平均値を求め、その値を担体粒子の平均粒子径[μm]とした。
また、担体粒子に金属ナノ粒子が担持してなる還元用触媒の平均粒子径は、同一視野内に100個以上の還元用触媒を含む画像又は写真にて、無作為に選んだ還元用触媒100個について、それぞれの最大径を測定し、それらの個数平均値を求め、その値を担体粒子の平均粒子径[μm]とした。
【0080】
(3)平均細孔径
担体粒子または還元触媒について電気炉によって300℃1時間処理した後、ポロシメータ(カンタクローム社製PM33GT-17)を用いて水銀圧入法で平均細孔径を測定した。
【0081】
(4)細孔容積
担体粒子または還元触媒を電気炉によって300℃1時間処理した後、ポロシメータ(カンタクローム社製PM33GT-17)を用いて水銀圧入法で細孔容積を測定した。
【0082】
(5)比表面積
担体粒子または還元触媒を電気炉によって300℃1時間処理した後、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM model-1220)を用いてBET法で比表面積を測定した。
【0083】
(6)充填密度
担体粒子または還元触媒を電気炉によって300℃1時間処理した後、100mLのメスシリンダーに充填した。この時の重量を測定して充填密度(1mL当たりの充填重量)を算出した。
【0084】
(7)圧縮破壊強度
微小圧縮試験機(島津製作所社製MCT-W500)を用いて、圧縮強度を測定した。
具体的には、試料(担体粒子または還元触媒)を圧縮して負荷(荷重)を与え、試料が破壊した際の荷重を測定した。この測定を5個の試料について行い、平均値を圧縮破壊強度とした。
【0085】
(8)金属ナノ粒子の組成
金属ナノ粒子分散液をEXAFS(RIGAKU社製R-XAM Looper)で分析した。その結果、Pd-Cu合金が含まれることを確認した。
また、還元用触媒について同様に測定することができる。
【0086】
(9)Pd成分の割合
金属ナノ粒子分散液を61質量%の硝酸水溶液により溶解し、純水で希釈した。ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置(セイコー電子工業社製SPS1200A)によって溶液中のPd、Cu元素の質量を測定した。得られた結果よりPd質量/[Pd質量+Cu質量]×100を計算し、Pd成分の割合(質量比率)[%]を求めた。
また、還元用触媒におけるPd成分の割合を求める場合は、還元用触媒の水分散液を硝酸で溶解し、担体成分を除去し、金属ナノ粒子分散液の場合と同様に測定することができる。
なお、金属ナノ粒子分散液(Pd-Cuナノ粒子分散液)における金属ナノ粒子に含まれるPdとCuの合計含有率は、上記のようにしてICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置によって測定して求めたPd元素の質量%とCu元素の質量%との合計を意味するものとする。
【0087】
(10)金属ナノ粒子中のカーボン量
金属ナノ粒子分散液を105℃で乾燥させ、酸化タングステンを助剤として添加した。これを高周波焼成して金属ナノ粒子中のカーボンをCO2とし、その量を測定した。このCO2量からから表面処理剤のカーボン量[C質量]を定量した。得られた結果より([C質量]/[Pd質量+Cu質量])×100[%]を計算し、Pd-Cu質量に対するカーボン質量[C質量]の割合(質量比)[%]を計算した。なお、[Pd質量+Cu質量]は上述の(9)で得られた値である。カーボン量は担持時の分散度に影響を与え、多い方が分散度、寿命に効果がある。
【0088】
(11)還元用触媒の金属ナノ粒子担持量
試料(還元用触媒)を600℃で焼成した後、アルカリ溶融剤で溶融した。これを28質量%の塩酸水溶液で溶解し、純水で希釈した。ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置(セイコー電子工業社製SPS1200A)を用いて還元用触媒に含まれる金属元素の含有割合[質量%]を測定した。仮に、Pd,Cu成分以外の金属が含まれている場合には、その金属を含めないで担持量を算出する。
【0089】
(12)金属ナノ粒子の担持状態
走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S-5500)で試料(触媒)の写真を撮影(倍率30万倍)し、得られた写真投影図から、10000nm2の範囲(100nm四方)内に存在する金属ナノ粒子の個数(t)、全ての方向において隣に存在する金属ナノ粒子と1nm以上離れている金属ナノ粒子の個数(s)を測定し、全ての方向において隣に存在する金属ナノ粒子と1nm以上離れている金属ナノ粒子の割合m{m=(s/t)×100}を求めた。この測定を還元用触媒の50箇所について行い、その平均値M[%]を求めた。
【0090】
(13)[(D10+D90)/2]/D50
次のようにして還元用触媒の[(D10+D90)/2]/D50を求めた。
金属ナノ粒子が溶媒に分散した分散液(以下では「金属ナノ粒子分散液」ともいう)の電子顕微鏡写真(倍率20万倍、同一視野内に250個以上の金属ナノ粒子を含む)を撮影し、得られた撮像内にて無作為に選んだ250個の粒子の各々について、その一次粒子の径が最も長い個所にて長さを測定し、累積粒子径度数分布図を作成し、粒子径が小さい方から累積頻度10%粒子径をD10とし、累積頻度50%粒子径をD50とし、累積頻度90%粒子径をD90とした。
そして、この結果を用いて[(D10+D90)/2]/D50の値を算出した。
得られた値を還元用触媒における[(D10+D90)/2]/D50とみなす。
【0091】
(14)硝酸分解率等の測定
工程1で用いる硝酸含有廃液、工程3で得られた処理液III、工程4で得られた処理液IVに含まれる硝酸イオン濃度、亜硝酸イオン濃度、アンモニアイオン濃度、還元剤としてのヒドラジン濃度、還元剤としてのギ酸濃度について以下の方法で測定した。
【0092】
《硝酸イオン等の濃度測定》
硝酸イオン、亜硝酸イオンの濃度を分光光度法で測定し算出した。本発明においては、日本分光株式会社製の分光光度計V-750を使用した。
【0093】
《硝酸分解率》
[((初期硝酸イオン濃度-反応終了後硝酸イオン濃度)/初期硝酸イオン濃度)×100(mol%)]を硝酸分解率とした。
【0094】
《アンモニアイオン濃度の測定》
アンモニアは液体クロマトグラフによりNH3量を測定した。これをNH3生成量とした。
大気中のアンモニアはテトラーバックに補足してアンモニア検知管で測定した。
【0095】
《ヒドラジン濃度の測定》
ヒドラジンの分析は、JIS B 8224-2005に従って実施した。具体的には、各工程終了後の溶液からサンプルを10g採取し、水を加えて100mlとし、続いて炭酸ナトリウム2gとデンプン溶液1mlを加えて軽く撹拌し混合溶液を調製する。この混合溶液にヨウ素溶液(25mmol/L)で滴定を行い、青くなった点を終点とし、消費したヨウ素溶液量からヒドラジン量を求める。
【0096】
《ギ酸濃度の測定》
高速液体クロマトグラフによりギ酸量を測定し、ギ酸濃度を算出した。
具体的には、工程終了後の溶液からサンプルを10g採取し、純水を加えて100mlとし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)[日本ダイオネクス(株)製、ICS-1100]にてギ酸含有量を求め、ギ酸濃度を算定した。
【0097】
[実施例1]
(Pd-Cuナノ粒子分散液の調製)
クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)300gに還元剤として硫酸第一鉄125gを溶解させた。
この溶液350gに、硝酸パラジウム(II)水溶液(濃度20質量%)40gを室温で添加し、次いで硝酸銅(II)水溶液(濃度20質量%)を10g添加した。
この溶液を充分に混合して、Pd-Cuナノ粒子の分散液を調製した。その後、遠心分離により回収された固形物に純水100gを加え、さらに、還元剤を除去するために、クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)を100g添加して1時間攪拌し、溶液とした。
この溶液から遠心分離によって回収された固形物に、純水100gを加えて攪拌した。さらに、この分散液に両性イオン交換樹脂SMNUPBを添加して不純分を除去した。イオン交換樹脂を分離した後、遠心分離(10000G-30分)によって粗大粒子を除去し、Pd-Cuナノ粒子分散液を得た。得られたPd-Cuナノ粒子分散液Pd-Cu金属換算濃度が3質量%であった。
このPd-Cuナノ粒子分散液に含まれるPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100が)80質量%、Pd-Cuナノ粒子の平均粒子径が3nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が3.0質量%であった。
【0098】
(Pd-Cuナノ粒子担持触媒(還元用触媒-1)の調製)
Pd-Cuナノ粒子担持触媒化には、担体として、フェノール樹脂由来の炭素を原料とした活性炭「太閤A100FB活性炭」(フタムラ化学社製)を使用した。活性炭の物性を表1に示す。
この活性炭99gを、前記「Pd-Cuナノ粒子分散液の調製」で得たPd-Cuナノ粒子分散液(Pd-Cu換算濃度:3質量%)34gに添加し、ロータリーエバポレーターに投入し、50℃で減圧乾燥させた。
この乾燥品を窒素雰囲気中にて、温度105℃で24時間乾燥させることにより、活性炭にPd-Cuナノ粒子が担持された触媒(還元用触媒-1)を得た。
還元用触媒-1に担持したPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100が)80質量%、同じく担持したPd-Cuナノ粒子の平均粒子径が3nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が3.0質量%であった。
還元用触媒-1の物性を表1に示す。
【0099】
(硝酸含有廃液の処理)
本実施例による還元用触媒-1および図1に示した構造の密閉タンクを用いて以下の硝酸性窒素の分解プロセスにて分解特性を評価した。その処理条件等を表2、結果を表3に示す。
【0100】
なお、実施例1およびその他の実施例および比較例において用いた密閉タンクの構造の詳細は、次の通りである。
・タンク体積:2m3
・タンク形状:円柱
・タンク底面の曲率:曲率あり
・攪拌羽の形状:ファウドラー(実施例9においてはConbijet/Gasjet)
・攪拌羽の段数:2
・バッフルの有無:有
・タンクの材質:SUS316L
・バブリングノズルの形状:多孔
・バブリングノズルの数:4
・温度調整の熱源:温水
・気体導入ライン:ストレート
・ブリーザーバルブの有無:有
・還元剤の添加ライン:シャワー
・ナノバブル発生装置:あり
【0101】
(工程1)
密閉タンク(容量2m3 撹拌機及び温度調整可能なジャケット付き(温水・冷水))に、更に内部において液体が貯留していない部位に気体を導入できる導入ライン1と、内部において貯留している液体内に気体を導入できる導入ライン2と、攪拌装置と、内部の圧力が大気圧の1.05倍以上になると開になる機能を有するブリーザー弁を備えるブリーザーバルブと、を有するもの用意し、硝酸ナトリウム溶液(硝酸イオン濃度5,000ppm)1,000kgを該密閉タンクに投入した。
続いて、硝酸ナトリウム溶液に対し、0.1NのNaOHを攪拌しながら徐々に添加し、硝酸ナトリウム溶液のpHを7.0に調整した。続いて、前記調製した還元用触媒-1を金属ナノ粒子換算(金属質量/(硝酸含有廃液+還元用触媒))で0.5g/kgとなるように添加した。
その後、導入ライン1および導入ライン2から窒素を50L/minで入れたところ、ブリーザーバルブが開になった。尚、窒素は、以降の工程2、工程3まで継続して50L/minで入れ続けた。なお、工程1での撹拌装置における攪拌速度は60rpmとした。
この時点における密閉タンク内の液体が、処理液Iに相当する。
【0102】
(工程2)
その後、50℃の温水をジャケット内に循環させ、処理液Iの温度を40℃に温調した。続いて、処理液Iに含まれる硝酸量の3倍のモル量の還元剤(ヒドラジン)を30分かけて添加および攪拌(攪拌速度60rpm)した。
この時点における密閉タンク内の液体は、処理液IIに相当する。
【0103】
(工程3)
前工程に続いて、処理液IIの温度を40℃で維持し、3時間攪拌(攪拌速度60rpm)を行った。
この時点における密閉タンク内の液体は、処理液IIIに相当する。
【0104】
(工程4)
その後、導入ライン1および導入ライン2を閉じ、窒素の導入を停止し、ついで、導入ライン2を開き、空気を50L/minの条件で導入し、処理液IIIをバブリングさせた。その時の処理液IIIの液温度は、ジャケット内の温水にて40℃に維持した。その際、工程3までに生成したアンモニアの一部は分解され、窒素となり大気に拡散し、分解されなかったアンモニアは大気中に拡散し、併せて、未使用のヒドラジンは分解された。
その後、ジャケット内に10℃の冷水を入れて温度を20℃とした後、導入ライン2を閉じ1.0Nの硫酸を用いてpHを7.0に調整した。
この時点における密閉タンク内の液体は、処理液IVに相当する。
【0105】
[実施例2]
実施例1では工程2において処理液Iの温度を40℃に温調したが、実施例2では8℃に調整した。
また、実施例1では工程3において処理液IIの温度を40℃で維持し、3時間撹拌したが、実施例2では8℃に維持し、6時間撹拌した。
これら以外は実施例1と同様にして実施例2を行った。
【0106】
[実施例3]
実施例1では工程2において、50℃の温水をジャケット内に循環させて処理液Iの温度を40℃に温調したが、実施例3では90℃の温水をジャケット内に循環させ、87℃に調整した。
また、実施例1では工程3において処理液IIの温度を40℃で維持し、3時間撹拌したが、実施例3では87℃に維持し、1時間撹拌した。
これら以外は実施例1と同様にして実施例3を行った。
【0107】
[実施例4]
ナノバブル発生装置を起動した。そして、工程1において、ナノバブル発生装置を接続した硝酸含有廃液投入ラインを通じて、硝酸含有廃液を密閉タンクへ投入した。ナノバブルの気体の種類、ナノバブルの平均気泡径、ナノバブル発生含有量は表2に示す通りである。
また、実施例1では工程3において処理液IIの温度を3時間撹拌したが、実施例4では1時間撹拌した。
さらに、工程3において導入ライン1および導入ライン2から窒素を導入を中止した。
それ以外は実施例1と同様にして、実施例4を行った。
【0108】
[実施例5]
図1ではナノバブル発生装置が硝酸含有液投入ラインにつながっているが、ナノバブル発生装置と硝酸含有液投入ラインとを取り外した。そして、密閉タンク内の液体内へ直接ナノバブルを発生させるためのラインを設置し、それをナノバブル発生装置へつないだ。
そして、工程4において処理液IIIをバブリングさせると同時に、処理液III内にナノバブルを発生させた。ナノバブルの気体の種類、ナノバブルの平均気泡径、ナノバブル発生含有量は表2に示す通りである。
【0109】
[実施例6]
(Pd-Cuナノ粒子分散液の調製)
クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)300gに還元剤として硫酸第一鉄125gを溶解させた。
この溶液350gに、硝酸パラジウム(II)水溶液(濃度20質量%)30gを室温で添加し、次いで硝酸銅(II)水溶液(濃度20質量%)を70g添加した。
この溶液を充分に混合して、Pd-Cuナノ粒子の分散液を調製した。その後、遠心分離により回収された固形物に純水100gを加え、さらに、還元剤を除去するために、クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)を100g添加して1時間攪拌し、溶液とした。
この溶液から遠心分離によって回収された固形物に、純水100gを加えて攪拌した。さらに、この分散液に両性イオン交換樹脂SMNUPBを添加して不純分を除去した。イオン交換樹脂を分離した後、遠心分離(10000G-30分)によって粗大粒子を除去し、Pd-Cuナノ粒子分散液を得た。得られたPd-Cuナノ粒子分散液のPd-Cu金属換算濃度が3質量%であった。
このPd-Cuナノ粒子分散液に含まれるPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100が)60質量%、Pd-Cuナノ粒子の平均粒子径が25nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が2.0質量%であった。
【0110】
(Pd-Cuナノ粒子担持触媒(還元用触媒-6)の調製)
Pd-Cuナノ粒子担持触媒化には、担体として、フェノール樹脂由来の炭素を原料とした活性炭「太閤A100FB活性炭」(フタムラ化学社製)を使用した。活性炭の物性を表1に示す。
この活性炭99gを、前記「Pd-Cuナノ粒子分散液の調製」で得たPd-Cuナノ粒子分散液(Pd-Cu換算濃度:3質量%)34gに添加し、ロータリーエバポレーターに投入し、50℃で減圧乾燥させた。
この乾燥品を窒素雰囲気中にて、温度105℃で24時間乾燥させることにより、活性炭にPd-Cuが担持された触媒(還元用触媒-6)を得た。
還元用触媒-6に担持したPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100が)60質量%、同じく担持したPd-Cuナノ粒子の平均粒子径が25nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が2.0質量%であった。
還元用触媒-6の活性炭の物性を表1に示す。
【0111】
(硝酸含有廃液の処理)
実施例1の硝酸含有廃液の処理で使用した「還元用触媒-1」に代えて、「還元用触媒-6」を用いたことの他は実施例1と同様にして硝酸含有廃液の処理を行った。
【0112】
[実施例7]
(Pd-Cuナノ粒子分散液の調製)
実施例7ではPd-Cuナノ粒子分散液の調製を、図1に示した密閉タンク内にて行った。
クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)300gに還元剤として硫酸第一鉄125gを溶解させた。
この溶液350gに、硝酸パラジウム(II)水溶液(濃度20質量%)40gを室温で添加し、次いで硝酸銅(II)水溶液(濃度20質量%)を10g添加した。
この溶液を充分に混合して、Pd-Cuナノ粒子の分散液を調製した。
そして、実施例5の場合のように、密閉タンク内の液体内へ直接ナノバブルを発生させるためのラインを設置し、それをナノバブル発生装置へつなぎ、Pd-Cuナノ粒子分散液内にナノバブルを発生させた。ナノバブルの気体の種類は窒素であり、ナノバブルの平均気泡径70nm、溶液中のナノバブル含有量は2.4億個/mLであった。
その後、遠心分離により回収された固形物に純水100gを加え、さらに、還元剤を除去するために、クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)を100g添加して1時間攪拌し、溶液とした。
この溶液から遠心分離によって回収された固形物に、純水100gを加えて攪拌した。さらに、この分散液に両性イオン交換樹脂SMNUPBを添加して不純分を除去した。イオン交換樹脂を分離した後、遠心分離(10000G-30分)によって粗大粒子を除去し、Pd-Cuナノ粒子分散液を得た。得られたPd-Cuナノ粒子分散液のPd-Cu金属換算濃度が3質量%であった。
このPd-Cuナノ粒子分散液に含まれるPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100が)80質量%、Pd-Cuナノ粒子の平均粒子径が3nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が3.0質量%であった。
【0113】
(Pd-Cuナノ粒子担持触媒(還元用触媒-7)の調製)
Pd-Cuナノ粒子担持触媒化には、担体として、フェノール樹脂由来の炭素を原料とした活性炭「太閤A100FB活性炭」(フタムラ化学社製)を使用した。活性炭の物性を表1に示す。
この活性炭99gを、前記「Pd-Cuナノ粒子分散液の調製」で得たPd-Cuナノ粒子分散液(Pd-Cu換算濃度:3質量%)34gに添加し、ロータリーエバポレーターに投入し、50℃で減圧乾燥させた。
この乾燥品を窒素雰囲気中にて、温度105℃で24時間乾燥させることにより、活性炭にPd-Cuが担持された触媒(還元用触媒-7)を得た。
還元用触媒-7に担持したPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100が)80質量%、同じく担持したPd-Cuナノ粒子の平均粒子径が2nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が3.0質量%であった。
還元用触媒-7の活性炭の物性を表1に示す。
【0114】
(硝酸含有廃液の処理)
実施例1の硝酸含有廃液の処理で使用した「還元用触媒-1」に代えて、「還元用触媒-7」を用いた。
【0115】
さらに、実施例1では工程3において処理液IIを3時間撹拌したが、実施例7では2時間撹拌した。
そして、これら以外は実施例1と同様として、実施例7を行った。
【0116】
[実施例8]
実施例1では工程1において導入ライン1および導入ライン2から窒素を50L/minで導入し、以降の工程2、工程3まで継続して50L/min入れ続けたが、実施例8では窒素の代わりにアルゴンを用いた。なお、導入ライン1および導入ライン2からアルゴンを導入したところ、実施例1と同様、ブリーザーバルブが開になった。
また、実施例1では工程2において処理液Iに含まれる硝酸量の3倍のモル量の還元剤(ヒドラジン)を添加したが、実施例8では2.5倍のモル量の還元剤(ヒドラジン)を添加した。
また、実施例1では工程3において処理液IIを3時間撹拌したが、実施例8では2時間撹拌した。
そして、これら以外は実施例1と同様として、実施例8を行った。
【0117】
[実施例9]
実施例1では工程1において導入ライン1および導入ライン2から窒素を50L/minで導入し、以降の工程2、工程3まで継続して50L/min入れ続けたが、実施例9では窒素の代わりに水素および窒素を2:98(体積比)で含む混合ガスを用いた。その際、工程2までは、50L/minで入れ続けたが、工程3は100L/minで入れ続けた。なお、導入ライン1および導入ライン2からこの混合ガスを導入したところ、実施例1と同様、ブリーザーバルブが開になった。
また、実施例1では工程2において処理液Iに含まれる硝酸量の3倍のモル量の還元剤(ヒドラジン)を添加したが、実施例9は還元剤としてヒドラジンは用いなかった。前述の混合ガス中の水素が還元剤としての役割を果たす。
そして、これら以外は実施例1と同様として、実施例9を行った。
【0118】
[実施例10]
(Pd-Cuナノ粒子分散液の調製 C成分0.05%)
クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)300gに還元剤として硫酸第一鉄125gを溶解させた。
この溶液350gに、硝酸パラジウム(II)水溶液(濃度20質量%)40gを室温で添加し、次いで硝酸銅(II)水溶液(濃度20質量%)を10g添加した。
この溶液を充分に混合して、Pd-Cuナノ粒子の分散液を調製した。その後、遠心分離により回収された固形物に純水100gを加え、さらに、還元剤を除去するために、クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)を100g添加して1時間攪拌し、溶液とした。
この溶液から遠心分離によって回収された固形物に、純水100gを加えて攪拌した。さらに、この分散液に両性イオン交換樹脂SMNUPBを添加して不純分を除去した。イオン交換樹脂を分離した後、さらに陰イオン交換樹脂を添加して、クエン酸除去を行い、イオン交換樹脂の分離を行った。その後、遠心分離(10000G-30分)によって粗大粒子を除去し、Pd-Cuナノ粒子分散液を得た。得られたPd-Cuナノ粒子分散液は、Pd-Cu金属換算濃度が3質量%であった。
このPd-Cuナノ粒子分散液に含まれるPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100が)80質量%、Pd-Cuナノ粒子の平均粒子径が3nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が0.05質量%であった。
【0119】
(Pd-Cuナノ粒子担持触媒(還元用触媒-10)の調製)
Pd-Cuナノ粒子担持触媒化には、担体として、フェノール樹脂由来の炭素を原料とした活性炭「太閤A100FB活性炭」(フタムラ化学社製)を使用した。活性炭の物性を表1に示す。
この活性炭99gを、前記「Pd-Cuナノ粒子分散液の調製」で得たPd-Cuナノ粒子分散液(Pd-Cu換算濃度:3質量%)34gに添加し、ロータリーエバポレーターに投入し、50℃で減圧乾燥させた。
この乾燥品を窒素雰囲気中にて、温度105℃で24時間乾燥させることにより、活性炭にPd-Cuが担持された触媒(還元用触媒-10)を得た。
還元用触媒-10に担持したPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100が)80質量%、同じく担持したPd-Cuナノ粒子の平均粒子径が3nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が0.05質量%であった。
還元用触媒-10の活性炭の物性を表1に示す。
【0120】
(硝酸含有廃液の処理)
実施例1の硝酸含有廃液の処理で使用した「還元用触媒-1」に代えて、「還元用触媒-10」を用いた。
また、実施例1では工程2において処理液Iの温度を40℃に温調したが、実施例10では8℃に調整した。
また、実施例1では工程3において処理液IIの温度を40℃で維持し、3時間撹拌したが、実施例10では40℃に維持し、6時間撹拌した。
これら以外は実施例1と同様にして、実施例10の硝酸含有廃液の処理を行った。
【0121】
[実施例11]
(Pd-Cuナノ粒子分散液の調製 C成分10%)
クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)300gに還元剤として硫酸第一鉄125gを溶解させた。
この溶液350gに、硝酸パラジウム(II)水溶液(濃度20質量%)40gを室温で添加し、次いで硝酸銅(II)水溶液(濃度20質量%)を10g添加した。
この溶液を充分に混合して、Pd-Cuナノ粒子の分散液を調製した。その後、遠心分離により回収された固形物に純水100gを加え、さらに、還元剤を除去するために、クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)を100g添加して1時間攪拌し、溶液とした。
この溶液から遠心分離によって回収された固形物に、純水100gを加えて攪拌した。その後、遠心分離(10000G-30分)によって粗大粒子を除去し、Pd-Cuナノ粒子分散液を得た。得られたPd-Cuナノ粒子分散液は、Pd-Cu金属換算濃度が3質量%であった。
このPd-Cuナノ粒子分散液に含まれるPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100が)80質量%、Pd-Cuナノ粒子の平均粒子径が3nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が10.0質量%であった。
【0122】
(Pd-Cuナノ粒子担持触媒(還元用触媒-11)の調製)
Pd-Cuナノ粒子担持触媒化には、担体として、フェノール樹脂由来の炭素を原料とした活性炭「太閤A100FB活性炭」(フタムラ化学社製)を使用した。活性炭の物性を表1に示す。
この活性炭99gを、前記「Pd-Cuナノ粒子分散液の調製」で得たPd-Cuナノ粒子分散液(Pd-Cu換算濃度:3質量%)34gに添加し、ロータリーエバポレーターに投入し、50℃で減圧乾燥させた。
この乾燥品を窒素雰囲気中にて、温度105℃で24時間乾燥させることにより、活性炭にPd-Cuが担持された触媒(還元用触媒-11)を得た。
還元用触媒-11に担持したPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100が)80質量%、同じく担持したPd-Cuナノ粒子の平均粒子径が3nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が10.0質量%であった。
還元用触媒-11の活性炭の物性を表1に示す。
【0123】
(硝酸含有廃液の処理)
実施例1の硝酸含有廃液の処理で使用した「還元用触媒-1」に代えて、「還元用触媒-11」を用いた。
また、実施例1では工程2において処理液Iの温度を40℃に温調したが、実施例11では8℃に調整した。
また、実施例1では工程3において処理液IIの温度を40℃で維持し、3時間撹拌したが、実施例11では40℃に維持し、9時間撹拌した。
これら以外は実施例1と同様にして、実施例11の硝酸含有廃液の処理を行った。
【0124】
[実施例12]
実施例1では工程1での撹拌装置における撹拌速度は60rpmとしたが、実施例12では10rpmとした。
また、実施例1では工程2において処理液Iに含まれる硝酸量の3倍のモル量の還元剤(ヒドラジン)を30分かけて添加および攪拌する際、攪拌速度を60rpmとしたが、実施例12では撹拌速度を10rpmとした。
また、実施例1では工程3において処理液IIの温度を40℃で維持し、3時間、60rpmの撹拌速度で撹拌したが、実施例12では40℃に維持し、12時間、10rpmの撹拌速度で撹拌した。
これら以外は実施例1と同様にして実施例12を行った。
【0125】
[実施例13]
(Pd-Cuナノ粒子分散液の調製)
クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度20質量%)200gに還元剤として硫酸第一鉄125gを溶解させた。
この溶液350gに、硝酸パラジウム(II)水溶液(濃度20質量%)40gを室温で添加し、次いで硝酸銅(II)水溶液(濃度20質量%)を10g添加した。
この溶液を充分に混合して、Pd-Cuナノ粒子の分散液を調製した。その後、遠心分離により回収された固形物に純水100gを加え、さらに、還元剤を除去するために、クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)を100g添加して1時間攪拌し、溶液とした。
この溶液から遠心分離によって回収された固形物に、純水100gを加えて攪拌した。さらに、この分散液に両性イオン交換樹脂SMNUPBを添加して不純分を除去した。イオン交換樹脂を分離した後、遠心分離(10000G-30分)によって粗大粒子を除去し、Pd-Cuナノ粒子分散液を得た。得られたPd-Cuナノ粒子分散液は、Pd-Cu金属換算濃度が3質量%であった。
この溶液の金属粒子中のPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して80質量%、Pd-Cuナノ粒子の平均粒子径が5nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率が3.0質量%であった。
このPd-Cuナノ粒子分散液に含まれるPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100が)80質量%、Pd-Cuナノ粒子の平均粒子径が5nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が3.0質量%であった。
【0126】
実施例1記載のPd-Cuナノ粒子分散液の代わりに前記本実施例13のPd-Cuナノ粒子分散液を用いた以外は実施例1と同様にしてPd-Cu粒子が担持された触媒(還元用触媒-13)を得た。
還元用触媒-13に担持したPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100)が80質量%、同じく担持したPd-Cuナノ粒子の平均粒子径が5nm、同Pd-Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100)が3.0質量%であった。
【0127】
(硝酸含有廃液の処理)
実施例1の硝酸含有廃液の処理で使用した「還元用触媒-1」に代えて、「還元用触媒-13」を用いた。
また、実施例1では工程3において処理液IIの温度を40℃で維持し、3時間撹拌したが、実施例13では40℃に維持し、12時間撹拌した。
これら以外は実施例1と同様にして、実施例13の硝酸含有廃液の処理を行った。
【0128】
[実施例14]
実施例1では工程2において還元剤にヒドラジンを用いたが、実施例14では3倍のモル量のギ酸を用いた。
これ以外は実施例1と同様にして実施例14を行った。
【0129】
[比較例1]
実施例1の硝酸含有廃液の処理において、Pd-Cuナノ粒子担持触媒「還元用触媒-1」に代えて、下記PdイオンとCuイオンによって処理された触媒「還元用触媒-ヒ5」を用いた以外は実施例1と同様にして硝酸含有廃液の処理を行った。
【0130】
(PdイオンとCuイオンが処理された触媒(還元用触媒―ヒ5)の調製)
触媒化には、担体として、実施例1と同様に「太閤A100FB活性炭」(フタムラ化学社製)を使用した。この活性炭99gと、硝酸パラジウム(II)水溶液(濃度20質量%)10gを室温で添加し、次いで硝酸銅(II)水溶液(濃度20質量%)を3.8g添加し、ロータリーエバポレーターに投入し、50℃で減圧乾燥させた。
この乾燥品を窒素雰囲気中にて、温度105℃で24時間乾燥させることにより、活性炭にPdイオン及びCuイオンが担持された還元用触媒-ヒ5を得た。
【0131】
[比較例2]
実施例1の硝酸含有廃液の処理において、Pd-Cuナノ粒子担持触媒「還元用触媒-1」に代えて、Cuナノ粒子担持触媒「還元用触媒-ヒ6」(特徴を表4に記す)を用いた以外は実施例1と同様にして硝酸含有廃液の処理を行った。
【0132】
(Cuナノ粒子分散液の調製)
クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)300gに還元剤として硫酸第一鉄125gを溶解させた。
この溶液350gに硝酸銅(II)水溶液(濃度20質量%)を40g添加した。
この溶液を充分に混合して、Cu粒子の分散液を調製した。その後、遠心分離により回収された固形物に純水100gを加え、さらに、還元剤を除去するために、クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)を100g添加して1時間攪拌し、溶液とした。
この溶液から遠心分離によって回収された固形物に、純水100gを加えて攪拌した。さらに、この分散液に両性イオン交換樹脂SMNUPBを添加して不純分を除去した。イオン交換樹脂を分離した後、遠心分離(10000G-30分)によって粗大粒子を除去し、Cuナノ粒子分散液を得た。得られたCuナノ粒子分散液のCu金属換算濃度が3質量%であった。
このCuナノ粒子分散液に含まれるPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100)が0%、Cuナノ粒子の平均粒子径20nm、同Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100が)2.0質量%であった。
【0133】
(Cuナノ粒子担持触媒(還元用触媒-ヒ6)の調製)
Pdナノ粒子分散液の代わりに前記本比較例のCuナノ粒子分散液を用いた以外は実施例1と同様にしてCu粒子が担持された触媒(還元用触媒-ヒ6)を得た。
【0134】
[比較例3]
実施例1の硝酸含有廃液の処理において、Pd-Cuナノ粒子担持触媒「還元用触媒-1」に代えて、Pdナノ粒子担持触媒「還元用触媒-ヒ7」(特徴を表4に記す)を用いた以外は実施例1と同様にして硝酸含有廃液の処理を行った。
【0135】
(Pdナノ粒子分散液の調製)
クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)300gに還元剤として硫酸第一鉄125gを溶解させた。
この溶液350gに、硝酸パラジウム(II)水溶液(濃度20質量%)40gを室温で添加した。
この溶液を充分に混合して、Pd粒子の分散液を調製した。その後、遠心分離により回収された固形物に純水100gを加え、さらに、還元剤を除去するために、クエン酸三ナトリウム水溶液(濃度30質量%)を100g添加して1時間攪拌し、溶液とした。
この溶液から遠心分離によって回収された固形物に、純水100gを加えて攪拌した。さらに、この分散液に両性イオン交換樹脂SMNUPBを添加して不純分を除去した。イオン交換樹脂を分離した後、遠心分離(10000G-30分)によって粗大粒子を除去し、Pdナノ粒子分散液を得た。得られたPdナノ粒子分散液のPd金属換算濃度が3質量%であった。
このPdナノ粒子分散液に含まれるPd-Cuナノ粒子におけるPd成分率は「Pd成分とCu成分の和」に対して(つまりPd/(Pd+Cu)×100)が100%、Pdナノ粒子の平均粒子径2nm、同Cuナノ粒子のカーボン(C)含有率(つまりC/(Pd+Cu)×100が)5.5質量%であった。
【0136】
(Pdナノ粒子担持触媒(還元用触媒-ヒ7)の調製)
Pd-Cuナノ粒子分散液の代わりに前記本比較例のPdナノ粒子分散液を用いた以外は実施例1と同様にしてPd粒子が担持された触媒(還元用触媒-ヒ7)を得た。
【0137】
[比較例4]
実施例1で使用したタンク内に、脱窒菌(Pseudomonas属の細菌、約1000000個/L)と栄養分としてメタノール10kgと硝酸ナトリウム溶液(硝酸イオン濃度5,000ppm)1,000kgを該密閉タンクに投入した。その後、32℃の温水をジャケット内に循環させ、硝酸ナトリウム溶液の温度を30℃に温調し、攪拌速度60rpmで撹拌した。ついで、液内に入れる導入ラインBより3時間ごとに10分間窒素と空気のバブリングを交互に行い硝酸分解を行った。その際24時間ごとに硝酸濃度、亜硝酸濃度、アンモニア濃度を測定した。その際24時間後の硝酸濃度は1500ppm、亜硝酸濃度100ppm、アンモニア濃度は100ppmであり、すべてが0ppmになったのは120時間後であった。120時間後に攪拌を停止し24時間静置し汚泥の有無を確認したところ、汚泥が沈降していることを確認した。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】
【0140】
【表3】
【0141】
【表4】
【0142】
【表5】
【0143】
【表6】
図1