(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180331
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電気コネクタ、対向電気コネクタ、およびコネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20241219BHJP
H01R 13/627 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01R13/533 D
H01R13/627
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024094782
(22)【出願日】2024-06-12
(31)【優先権主張番号】23305964.1
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507017325
【氏名又は名称】コネクトゥール・エレクトリック・ドイチュ
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティエリ カサー
(72)【発明者】
【氏名】シモン ドゥレール
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン クエヴァ
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FA08
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB30
5E021FC36
5E021HA05
5E021HC09
5E087EE06
5E087FF04
5E087FF07
5E087QQ06
5E087RR15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】フレッチングをさらに抑制するコネクタ結合の解決策を提供する。
【解決手段】本発明は、電気コネクタであって、ハウジング(3)と、電気端子(5)とを備え、ハウジング(3)は、シェル(7)を少なくとも部分的に取り囲むコネクタロックデバイス(9)をさらに含み、コネクタロックデバイス(9)は、シェル(7)に摺動接触することにより、嵌合軸(M)に沿った、シェル(7)に対するコネクタロックデバイス(9)の移動を可能にし、コネクタロックデバイス(9)は、電気コネクタ(1)と対向電気コネクタ(101)とが結合された結合状態において、対向電気コネクタ(101)のラッチデバイス(109)とシェル(7)の突出部との形状嵌合接続を阻止するように構成されている、電気コネクタに関する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(3)と、電気端子(5)とを備える電気コネクタであって、
前記ハウジング(3)および前記電気端子(5)は、嵌合軸(M)に沿って、対向電気コネクタ(101)の相手側ハウジング(103)および相手側電気端子(105)に嵌合するように構成され、
前記ハウジング(3)は、前記電気端子(5)を少なくとも部分的に取り囲むシェル(7)を含み、
前記シェル(5)は、外向き面(17)に形成された突出部(19)であって、前記嵌合軸(M)に沿った、前記対向電気コネクタ(101)のフック状のラッチデバイス(109)との形状嵌合接続(F1)を可能にする突出部(19)を含み、
前記ハウジング(3)は、前記シェル(5)を少なくとも部分的に取り囲むコネクタロックデバイス(9)をさらに含み、
前記コネクタロックデバイス(9)は、前記シェル(5)に摺動接触することにより、前記嵌合軸(M)に沿った、前記シェル(5)に対する前記コネクタロックデバイス(9)の移動を可能にし、
前記コネクタロックデバイス(9)は、前記電気コネクタ(1)と前記対向電気コネクタ(101)とが結合された結合状態において、特に前記嵌合軸(M)に対して垂直な方向(P)に沿った、前記ラッチデバイス(109)と前記突出部(19)との前記形状嵌合接続(F1)を阻止するように構成されている、
電気コネクタ。
【請求項2】
前記シェル(5)の前記外向き面(17)に対向する、前記コネクタロックデバイス(9)の内向き面(35)が、前記シェル(5)の前記外向き面(17)と共に受入空間(31)を形成し、
前記受入空間(31)は、前記シェル(5)の前記突出部(19)の方を向く開口部(39)を有し、前記受入空間(31)は、前記結合状態で前記開口部(39)を通して前記ラッチデバイス(109)を少なくとも部分的に受け入れるように構成されている、
請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記コネクタロックデバイス(9)の前記内向き面(35)は、
前記シェル(5)の前記外向き面(17)に平行な第1の表面部分(43)と、前記第1の表面部分(43)に隣接する、前記受入空間(31)の前記開口部側の第2の表面部分(45)とを含み、
前記第2の表面部分(45)は、前記嵌合軸(M)に対して面取りされて、前記第2の表面部分(45)と前記シェル(5)の前記外向き面(17)との間の距離が、前記開口部(39)に向かって徐々に増加するようになっている、
請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
相手側ハウジング(103)と相手側電気端子(105)とを備える対向電気コネクタであって、
前記相手側ハウジング(103)および前記相手側電気端子(105)は、嵌合軸(M)に沿って、請求項1に記載の電気コネクタ(1)のハウジング(3)および電気端子(5)に嵌合するように構成され、
前記相手側ハウジング(103)は、前記相手側電気端子(105)を少なくとも部分的に取り囲む相手側シェル(107)を含み、
前記相手側ハウジング(103)は、好ましくはフック状のラッチデバイス(109)をさらに含み、前記ラッチデバイス(109)は、前記相手側シェル(107)の外向き面(117)に沿って延び、前記外向き面(117)から離隔し、
前記ラッチデバイス(109)は、前記嵌合軸(M)に平行に延びるランス(119)と、前記相手側シェル(107)の前記外向き面(113)に対向する前記ランス(119)の面(123)から前記相手側シェル(107)の前記外向き面(113)に向かって延びる嵌合突起(121)であって、前記嵌合軸(M)に沿った、前記電気コネクタ(1)の前記シェル(5)の前記突出部(19)との形状嵌合接続(F1)を可能にする嵌合突起(121)とを含み、
前記ラッチデバイス(109)の前記ランス(119)は、前記相手側シェル(107)に固定された1つの先端(129a)を有し、前記ランス(119)の第2の先端(129b)は、結合状態で、前記ランス(119)の前記第2の先端(129b)が、前記電気コネクタ(1)の前記コネクタロックデバイス(9)によって、特に前記嵌合軸(M)に対して垂直な方向(P)に沿ってブロックされるように、構成され配置されている、
対向電気コネクタ。
【請求項5】
前記ランス(119)は、前記相手側シェル(107)の相手側フランジ(127)に取り付けられたフランジ(125)から垂直に延びる、
請求項4に記載の対向電気コネクタ。
【請求項6】
ラッチデバイス(109)は、前記相手側シェル(107)の前記外面(113)に対向する前記ランス(119)の前記面(123)とは反対の外向き面(133)において前記第2の先端(129b)に形成された切欠き(131)をさらに含む、
請求項4に記載の対向電気コネクタ。
【請求項7】
コネクタアセンブリであって、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電気コネクタ(1)と、
請求項4から6のいずれか一項に記載の対向電気コネクタ(101)と
を備え、
前記電気コネクタ(1)は、前記対向電気コネクタ(101)に結合され、
前記電気コネクタ(1)の前記電気端子(5)は、特に前記嵌合軸(M)に対して垂直な平面で前記相手側電気端子(105)に当接し、
前記突出部(19)および前記嵌合突起(121)は、前記嵌合軸(M)に沿った、前記ラッチデバイス(109)と前記シェル(5)との形状嵌合接続(F1)を実現して、特に結合方向に逆らう切離しを防ぎ、
前記ランス(119)の前記第2の先端(129b)は、前記コネクタロックデバイス(9)によって、前記嵌合軸(M)に対して垂直な、前記電気コネクタ(1)の前記シェル(5)から離れる方向(P)にブロックされる、
コネクタアセンブリ。
【請求項8】
前記ラッチデバイス(109)の前記ランス(119)は、前記コネクタロックデバイス(9)によって、特に請求項2と組み合わせたときに、前記コネクタロックデバイス(9)の前記内向き面(35)によって、前記電気コネクタ(1)の前記シェル(5)側に曲げられる、
請求項7に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項9】
前記ラッチデバイス(109)と前記コネクタロックデバイス(9)との前記形状嵌合接続(F1)は、前記切欠き(131)と前記第2の表面部分(45)との係合(F2)によって実現される、
請求項3および6と組み合わせた請求項7または8に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項10】
前記コネクタアセンブリ(100)が外部デバイスに取り付けられるときに1つまたは複数の自由度を有するように、前記コネクタアセンブリ(100)を前記外部デバイス、特に乗り物デバイスに取り付けるためのラック(200)をさらに備え、
前記電気コネクタ(1)は、前記ラック(200)が前記シェル(5)のフランジ(21、23a、23b、23c)と前記コネクタロックデバイス(9)との間に部分的に延びるように前記ラック(200)の開口部に配置され、
前記ラック(200)は、前記シェル(5)に対して可動であり、前記コネクタロックデバイス(9)に摩擦係合および/またはポジティブ係合し、
前記ランス(119)は、前記コネクタロックデバイス(9)によって、前記嵌合軸(M)に沿った前記シェル(5)に対する前記ラック(200)の相対位置の所定の直線範囲(R)にわたって可動にブロックされたままである、
請求項7から9のいずれか一項に記載のコネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタ、対向電気コネクタ、およびそれらのコネクタアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタと対向電気コネクタとを組み合わせて電気的接続を確立する、コネクタシステムが知られている。しかしながら、ある用途において、例えば航空環境などの乗り物環境において、コネクタシステムの片側または両側の振動により、導電性の電気端子間の相対移動が生じ、フレッチングと呼ばれる端子インターフェースの劣化につながることがある。
【0003】
フレッチングを抑制するために、いくつかの解決策は、例えば、電気コネクタのうちの一方または両方の装着をばね緩衝することによって、振動を電気コネクタへの到達前に吸収し減衰させる接続を提案している。コネクタシステムのばね緩衝による装着は、振動の一部を減衰させまたは吸収し、振動の影響を部分的に緩和することができるが、電気端子間の一部の相対運動は依然として生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、フレッチングをさらに抑制するコネクタ結合の解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の電気コネクタによって実現される。本発明による電気コネクタは、ハウジングと、電気端子とを備え、ハウジングおよび電気端子は、嵌合軸に沿って、対向電気コネクタの相手側ハウジングおよび相手側電気端子に嵌合するように構成されている。電気コネクタのハウジングは、電気端子を少なくとも部分的に取り囲むシェルを含み、シェルは、外向き面に形成された突出部であって、嵌合軸に沿った、対向電気コネクタの、好ましくはフック状のラッチデバイスとの形状嵌合接続を可能にする突出部を含む。ハウジングは、シェルを少なくとも部分的に取り囲むコネクタロックデバイスをさらに含み、コネクタロックデバイスは、シェルに摺動接触することにより、嵌合軸に沿った、シェルに対するコネクタロックデバイスの移動を可能にし、コネクタロックデバイスは、電気コネクタと対向電気コネクタとが結合された結合状態において、特に嵌合軸に対して垂直な方向に沿った、ラッチデバイスと突出部との形状嵌合接続を阻止するように構成されている。
【0006】
コネクタロックデバイスが、シェルに摺動接触し、同時にシェルと対向電気コネクタのラッチデバイスとの形状嵌合接続を阻止するため、コネクタロックデバイスを使用して、振動を形状嵌合接続部に伝達することなく振動を吸収することができ、それにより、望ましくないフレッチングを抑制する。具体的には、嵌合軸に沿ったコネクタ間の形状嵌合接続に影響を与えることなく、コネクタロックデバイスが環境からの振動を受け取り、それに応じてシェルに沿って摺動するように、電気コネクタを環境において装着することができる。
【0007】
本発明の一態様において、シェルの外向き面に対向する、コネクタロックデバイスの内向き面が、シェルの外向き面と共に受入空間を形成することができ、受入空間は、シェルの突出部の方を向く開口部を有し、受入空間は、結合状態で開口部を通してラッチデバイスを少なくとも部分的に受け入れるように構成されている。
【0008】
受入空間がコネクタロックデバイスの表面とシェルの表面との間に形成されていることにより、コネクタが完全に結合されているときに、形状嵌合接続を解放させ得る、対向電気コネクタのラッチデバイスの、シェルから離れる望ましくない移動を阻止することができる。
【0009】
本発明の一態様において、コネクタロックデバイスの内向き面は、シェルの外向き面に平行な第1の表面部分と、第1の表面部分に隣接する、受入空間の開口部側の第2の表面部分とを含むことができ、第2の表面部分は、嵌合軸に対して面取りされて、第2の表面部分とシェルの外向き面との間の距離が、開口部に向かって徐々に増加するようになっている。
【0010】
コネクタと対向コネクタとの嵌合中、ロックデバイスの内向き面の面取りされた表面部分は、開口部を通して受け入れられたラッチデバイスの先端を案内し、先端をシェル側に曲げる。完全結合状態になると、ラッチデバイスは、第1の表面部分に接触する。第1の表面部分はシェルの外向き面に平行であるため、ロックデバイスは、ラッチデバイスを解放することなくシェルに沿って摺動することができる。
【0011】
本発明はまた、請求項4に記載の対向電気コネクタに関する。対向電気コネクタは、相手側ハウジングと相手側電気端子とを備え、相手側ハウジングおよび相手側電気端子は、嵌合軸に沿って、本発明の上記の態様のうちの1つによる電気コネクタのハウジングおよび電気端子に嵌合するように構成されている。対向電気コネクタの相手側ハウジングは、相手側電気端子を少なくとも部分的に取り囲む相手側シェルと、フック状のラッチデバイスとを含み、ラッチデバイスは、相手側シェルの外向き面に沿って延び、外向き面から離隔している。ラッチデバイスは、嵌合軸に平行に延びるランスと、相手側シェルの外向き面に対向するランスの面から相手側シェルの前記外向き面に向かって延びる嵌合突起であって、嵌合軸に沿った、電気コネクタのシェルの突出部との形状嵌合接続を可能にする嵌合突起とを含む。
ラッチデバイスのランスは、相手側シェルに固定された1つの先端を有し、ランスの第2の先端は、結合状態で、ランスの第2の先端が、電気コネクタのコネクタロックデバイスによって、特に嵌合軸に対して垂直な方向に沿ってブロックされるように、構成され配置されている。
【0012】
対向電気コネクタのこの構成は、本発明の電気コネクタの上記の態様に結合するのに特に適している。これは、コネクタロックデバイスがランスをブロックし、したがって、ラッチデバイスをシェルにロックし、ひいてはコネクタを対向電気コネクタにロックするからである。特に、コネクタが結合状態にある間に、嵌合軸に沿ったコネクタロックデバイスの摺動移動を妨げることなく、嵌合軸に対して垂直な方向に沿ってランスをブロックすることができる。
【0013】
本発明の一態様において、対向電気コネクタのランスは、相手側シェルの相手側フランジに取り付けられたフランジから垂直に延びることができる。この構成で、ラッチデバイスを、コネクタの相手側シェルから、外側から取り付けられたフランジへ移動させることができ、ラッチデバイスの弾性曲げが容易になる。加えて、ランスを設けるためにフランジを使用すると、相手側フランジを既に備えている標準化された対向電気コネクタを再利用することによって、本発明を実現することができる。
【0014】
本発明の一態様において、ラッチデバイスは、相手側シェルの外面に対向するランスの面とは反対の外向き面において第2の先端に形成された切欠きを含むことができる。切欠きにより、コネクタロックデバイスの内向き面、例えば、コネクタロックデバイスの内向き面の第1の平行な表面部分および第2の面取りされた表面部分の形状とのラッチデバイスの形状嵌合を容易にすることができる。
【0015】
本発明の一態様において、切欠きを、結合状態で切欠きの表面が第1の表面部分に係合するように構成することができ、および/または、結合状態で切欠きの表面がシェルの外向き面に平行であるように構成することができる。したがって、ランスとコネクタロックデバイスとの形状嵌合接続が向上する。
【0016】
本発明の目的はまた、請求項7に記載のコネクタアセンブリによって実現される。コネクタアセンブリは、本発明の電気コネクタの上記の態様のうちのいずれか1つによる電気コネクタと、本発明の対向電気コネクタの上記の態様のうちのいずれか1つによる対向電気コネクタとを備える。電気コネクタは、対向電気コネクタに結合され、電気コネクタの電気端子は、特に嵌合軸に対して垂直な平面で相手側電気端子に当接する。突出部および嵌合突起は、嵌合軸に沿った、ラッチデバイスとシェルとの形状嵌合接続を実現して、特に結合方向に逆らう切離しを防ぎ、ランスの第2の先端は、コネクタロックデバイスによって、嵌合軸に対して垂直な、電気コネクタのシェルから離れる方向にブロックされる。
【0017】
電気コネクタと対向電気コネクタとがこの構成で組み合わされると、コネクタロックデバイスによりラッチデバイスがシェルに形状嵌合でラッチするのを阻止することによって、電気コネクタの電気端子と対向電気コネクタの相手側端子との当接が、保護され維持される。具体的には、相手側電気端子に対する電気端子の移動が、端子の当接によって、嵌合軸Mに沿った一方向に阻止され、ラッチデバイスと突出部との形状嵌合接続によって、嵌合軸Mに沿った反対方向に阻止される。コネクタロックデバイスは、電気コネクタのシェルに沿った摺動接触において嵌合軸に沿った自由度を有するため、コネクタロックデバイスは、電気的接続を確実にしながら、例えば取付装置によって電気アセンブリ接続部に外部から誘発された振動を吸収することができる。このようにして、フレッチング腐食が抑制され、電気的接続の質が向上する。
【0018】
一態様において、ラッチデバイスのランスを、コネクタロックデバイスによって、電気コネクタのシェル側に曲げることができる。特に、ラッチデバイスのランスを、コネクタロックデバイスの内向き面によって、電気コネクタのシェル側に曲げることができる。ラッチデバイスをシェル側に曲げることによって、嵌合突起は、突出部に押し付けられ、嵌合軸に沿った形状嵌合接続がさらに強化される。
【0019】
一態様において、ラッチデバイスとコネクタロックデバイスとの形状嵌合接続は、切欠きと第2の表面部分との平面係合によって実現され得る。シェル面に対する第2の表面部分の平行形状と、切欠きの一致する平行形状とにより、形状嵌合接続が可能になり、この形状嵌合接続は、所定の位置にとどまるが、同時に、シェルに対する同時のロックデバイスの移動を可能にする。したがって、切欠きと第2の表面部分とのインターフェースにおける係合により、一方のコネクタアセンブリと、他方の外部環境および/または外部デバイスに接触するコネクタロックデバイスとの、嵌合軸に平行な平面に沿った相対移動を可能にすることができる。
【0020】
一態様において、コネクタアセンブリは、コネクタアセンブリが外部デバイスに取り付けられたときに1つまたは複数の自由度を有するように、コネクタアセンブリを外部デバイス、特に乗り物デバイスに取り付けるためのラックを備えることができ、電気コネクタは、ラックがシェルのフランジとコネクタロックデバイスとの間に部分的に延びるようにラックの開口部に配置され、ラックは、シェルに対して可動であり、コネクタロックデバイスに摩擦係合および/またはポジティブ係合し、ランスは、コネクタロックデバイスによって、嵌合軸に沿ったシェルに対するラックの相対位置の所定の直線範囲にわたって可動にブロックされたままである。
【0021】
ラックに振動が存在する状態で、電気コネクタのコネクタロックデバイスは、コネクタロックデバイスにポジティブ係合および/または摩擦係合するラックと共に振動する。しかしながら、これらの振動は、ランスのブロックを所定の位置に維持し、それにより形状嵌合接続も所定の位置に維持しながら、シェルに対するロックデバイスの可動性によって吸収される。したがって、振動は、電気端子間の相対移動を生じさせず、シェルと相手側シェルとの相対移動を生じさせない。
【0022】
本態様によれば、コネクタアセンブリは、ラック接続に適合することが有利である。実際には、電気コネクタを、モバイルコネクタとして構成し、ラックにおいて浮遊させて、すなわち、ラックに対して可動に取り付けることができる。
【0023】
本発明の上記の目的および利点ならびにさらなる目的および利点は、本発明の例示的な態様および実施形態の以下のより詳細な説明を十分に考慮することによって、より完全に理解され認識されよう。以下の説明は、添付図面と併せて理解される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】ラックを含む本発明の実施形態による電気コネクタと、本発明の実施形態による対向電気コネクタとを、分離した状態で示す斜視図である。
【
図2A】ラックのない、
図1の電気コネクタの斜視図である。
【
図3A】ラックを含む、
図1の電気コネクタの断面図である。
【
図3B】
図1の電気コネクタのコネクタロックデバイスの断面図である。
【
図4A】結合の第1の非嵌合状態における、
図1のコネクタの外周部の断面図である。
【
図4B】結合の第2の中間状態における、
図1のコネクタの外周部の断面図である。
【
図4C】結合の第3の結合状態における、
図1のコネクタの外周部の断面図である。
【
図5】結合状態における、
図1のコネクタおよびラックの断面図である。
【
図6A】第1の振動状態における、
図5の一部の拡大図である。
【
図6B】第2の振動状態における、
図5の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図中、異なる図で使用される同一の参照符号または参照数字は、説明において別段の指示のない限り、同一の要素に関連する。加えて、説明または記載される実施形態、代替形態、選択肢、変形形態、完全性、およびそれぞれの特徴を、それぞれ互いに独立して自由に組み合わせることができる。
【0026】
図1は、本発明の第1の実施形態による電気コネクタ1、および本発明の第2の実施形態による対向電気コネクタ101の、嵌合軸Mに沿った結合前の斜視図である。
【0027】
電気コネクタ1および対向電気コネクタ101は、後述するように、互いに結合されて電気的接続を確立するのに適している。結合状態で、電気コネクタ1と対向電気コネクタ101とは、本発明の第3の実施形態による
図5に示すコネクタアセンブリ100において組み立てられている。
【0028】
電気コネクタ1と対向電気コネクタ101とは、パワーコネクタ、特に、例えば50A以上の電流用に構成された高パワーコネクタであってよい。電気コネクタ1および対向電気コネクタ101を、電気の乗り物、特に電気航空機における電力用途のために構成することができる。対向電気コネクタ101は、乗り物のフレームに取り付けられた。固定側の不動ソケットコネクタであってよく、電気コネクタ1は、乗り物の外部デバイスに接続された、移動側の非固定プラグコネクタである。しかしながら、変形形態において、電気コネクタ1は固定側コネクタであってもよく、対向電気コネクタ101は移動側コネクタであってもよく、または両方が移動側コネクタであってもよい。電気コネクタ1および電気コネクタ101は、いずれも円筒形状であり、特に嵌合軸Mに沿って円筒形に形成されている。しかしながら、コネクタ1、101の形状は、これらに限定されず、本発明は、他の形状、例えば直方体形状を有するコネクタにも適用可能である。
【0029】
電気コネクタ1を外部デバイスに接続するために、電気コネクタ1は、コネクタ1が1つまたは複数の自由度を有するようにラック200に取り付けられ、これについては以下でさらに説明する。図示を容易にするために、ラック200は、ここでは、円形形状を有する平面ラック壁部により部分的にのみ図に示されているが、他の形状が可能である。
図3Aに関してさらに説明するように、電気コネクタ1のハウジング3は、コネクタ1のシェルの直径よりも大きい直径を有する一次ラック開口部に受け入れられ、コネクタ1は、ラック200に対して、直径の差によって決まる程度まで、嵌合軸Mに対して垂直な方向P、P’に可動になっている。任意選択でさらに、弾性デバイス211が、ハウジング3を一次ラック開口部の中央に配置し、および/または、嵌合軸Mに沿ったコネクタ1の摩擦嵌合を生じさせるのを助けることができる。
【0030】
電気コネクタ1は、ハウジング3と、電気端子5とを備える。対向電気コネクタ101は、相手側ハウジング103と相手側電気端子105とを備え、これらは、コネクタ1、101が嵌合軸Mに沿って嵌合したときに、嵌合軸Mに沿ってそれぞれ嵌合するように構成されている。相手側端子105は、
図1では見えないが、
図2Bに示されている。
【0031】
ここで説明する実施形態において、図示のコネクタ1および対向コネクタ101は、それぞれ1つの端子のみを備え、電気端子5および相手側電気端子105をそれぞれ備える。しかしながら、本発明は、コネクタごとに1つの電気端子のみを含むコネクタおよびコネクタアセンブリに限定されない。代わりに、本発明は、相互に嵌合するように構成された各コネクタに、より多くの数のそれぞれの電気端子、例えば2つ、3つ、または4つの電気端子を備えるコネクタにも適用可能である。
【0032】
以下で、
図2Aおよび
図2Bを参照しながら、電気コネクタ1および相手側電気コネクタ101について、より詳細に説明する。
図2Aは、
図1のラック200のない、電気コネクタ1のみの斜視図である。コネクタ1のハウジング3は、シェル7、コネクタロックデバイス9、絶縁インサート11、特に熱可塑性絶縁体、および内側ケーシング13を含む。シェル7は、内側ケーシング13を取り囲み、すなわち、シェル7は、嵌合軸Mに直交する平面で、内側ケーシング13の外周を囲む。具体的には、シェル7は、結合空間15が間に形成されるように内側ケーシング13を取り囲む。
【0033】
同様に、内側ケーシング13は、絶縁インサート11を取り囲む。絶縁インサート11は、内側ケーシング13に嵌め込まれ、内側ケーシング13はシェル7に嵌め込まれている。
図2Aは、電気端子5が、雄またはプラグ電気端子を受け入れるように構成された雌またはソケットコンタクト端子であり、電気端子5が、絶縁インサート11に嵌め込まれて、端子5が相手側端子を受け入れることができるようになっていることを示す。変形形態によれば、電気端子5は、雌電気端子を受け入れるように構成された雄コンタクト端子であってよい。
【0034】
コネクタロックデバイス9は、シェル7を取り囲み、すなわち、コネクタロックデバイス9は、嵌合軸Mに直交する平面で、シェル7の外周を囲む。しかしながら、本発明によれば、コネクタロックデバイス9は、シェル7に摺動接触し、嵌合軸Mに沿ってシェル7に対して可動であり、これについては、以下でさらに説明する。
【0035】
シェル7は、シェル7の外向き面17、すなわち、取り囲まれた電気端子5とは反対側の面に、突出部19を含む。具体的には、突出部19は、嵌合軸Mに対してシェル7の半径方向周囲に沿って形成され、外方に突出する。ここでは、突出部19は、
図1に示す、嵌合する対向電気コネクタ101の方を向く嵌合面において、嵌合軸Mに沿ったシェル7の遠位先端に形成されている。突出部19は、嵌合軸に沿った、対向電気コネクタ101のラッチデバイス109との形状嵌合接続を実現するように構成されている。
【0036】
シェル7は、
図1に示すラック200に電気コネクタ1を取り付けるためのフランジ21も含む。ここでは、フランジ21は、全周のフランジではなく、同じ位置であるが嵌合軸Mに対して異なる角度配置で嵌合軸Mに対して外方に突出する、3つのフランジ部23a、23b、23cを単に含む。例えば、ここでは、フランジ部23a、23b、23cは、3つの異なる方向から突出し、それぞれの方向が他の2つの方向に対して120°回転している。フランジ部23a、23b、23cは、シェル7の残りの部分と一体に形成されている。各フランジ部23a、23b、23cは、内部に形成され嵌合軸Mに平行に延びるそれぞれのボア25a、25bを含む。
【0037】
図2Bは、嵌合軸Mに沿った対向電気コネクタ101の断面図である。相手側ハウジング103は、相手側シェル107と、相手側絶縁インサート111、特に熱可塑性絶縁体とを含み、相手側絶縁インサート111は、ここでは、界面絶縁体111a、二次絶縁層111b、および端子ホルダ111cを含む。相手側シェル107は、相手側絶縁インサート111を取り囲み、すなわち、嵌合軸Mに直交する平面で、相手側絶縁インサート111の外周を囲む。具体的には、相手側シェル107は、相手側結合空間115が間に形成されるように、相手側絶縁インサート111を取り囲む。
【0038】
相手側絶縁インサート111は、相手側シェル107に嵌め込まれている。
図2Bは、相手側電気端子105が、雌コンタクト端子、例えば端子5に受け入れられるように構成された雄またはプラグコンタクト端子であることを示す。代替形態によれば、相手側電気端子105は、雄コンタクト端子を受け入れるように構成された雌コンタクト端子であってもよい。相手側電気端子105は、相手側絶縁インサート111に嵌め込まれて、電気コネクタ1と対向電気コネクタ101とが嵌合したときに、相手側電気端子105が端子5に挿入されるようになっている。相手側電気端子105の接触防止のために、端子絶縁デバイス105aが相手側電気端子105の遠位に取り付けられている。
【0039】
コネクタ1、101がそれぞれ複数の端子を保持する変形形態において、嵌合軸Mの周りの端子の回転位置は、コネクタ1、101のうちの一方または両方の回転自由度により変位し得る。コネクタ1の複数の端子とコネクタ101の複数の端子との間のこのような角度変位の場合、それにもかかわらず、絶縁インサート11と相手側絶縁インサート111との形状を適合させることによって、位置合わせを容易にすることができる。具体的には、相手側絶縁インサート111は、ハウジング3、103の嵌合中に絶縁インサート11を案内して、端子5、105の角度位置を再調整するように構成されていてよい。例えば、絶縁インサート11を、電気コネクタの端子の周りに円錐状に設けることができ、相手側絶縁インサート111を、対向電気コネクタの相手側端子の周りに逆円錐状に設けることができる。
【0040】
相手側ハウジング103は、ラッチデバイス109を含む。ラッチデバイス109は、フック状で、相手側シェル107の外向き面117、すなわち、相手側電気端子105とは反対側の面に沿って延びる。ラッチデバイス109は、ラッチデバイス109から離隔した外向き面117に沿って延び、ラッチデバイス109と外向き面117との間にラッチ空間113を設ける。
【0041】
ラッチデバイス109は、嵌合軸Mに平行に延びるランス119と、ランス119から突出する嵌合突起121とを含む。特に、嵌合突起121は、相手側シェル107の外向き面117に対向する面123から前記外向き面117に向かって延びる。
【0042】
相手側ハウジング103は、フランジ125をさらに含み、相手側シェル107は、相手側シェルフランジ127を含む。相手側シェルフランジ127は、嵌合軸Mに対して、周方向に半径方向外方に突出し、フランジ125は、相手側シェルフランジ127に取り付けられ、特に形状嵌合または摩擦嵌合する。フランジ125は、フランジ貫通孔125aを介したボルト接続によって相手側シェルフランジ127に取り付けられることが好ましい。
【0043】
ランス119は、フランジ125から垂直に延び、ランス119の第1の先端129aは、相手側シェル107に取り付けられたフランジ125に固定されている。第2の先端129bは、自由であり、第1の先端129aに対して弾性的に曲がることができる。ランス119はフランジ125から延び、第2の自由先端129bが、電気コネクタ1に嵌合するように構成された対向電気コネクタ101の側を向くようになっている。ラッチデバイス109は、ランス119の外向き面133において第1の先端129aと第2の先端129bとの間に形成された切欠き131をさらに含み、その機能について以下でさらに説明する。切欠き131は、嵌合突起121よりも第2の先端129bに近接して形成されている。
【0044】
図3Aは、ここでは
図1に示し
図1を参照して説明したラック200に取り付けられた、
図2Aに関して前述した電気コネクタ1の断面図である。
図3Aの断面図に見られるように、電気コネクタ1の、対向電気コネクタ101に嵌合するように構成された側を向く、シェル7の遠位先端47は、内方に面取りされて、電気コネクタ1が対向電気コネクタ101に結合されたときに、相手側シェル107を結合空間15に案内するのを容易にする。
【0045】
突出部19は、電気コネクタ1の、対向電気コネクタ101に嵌合するように構成された側を向く第2の面取り部27と、電気コネクタ1の、対向電気コネクタ101に嵌合するように構成された側とは反対を向く段部29とを含む。面取り部27は、電気コネクタ1が対向電気コネクタ101に結合されたときに、ラッチデバイス109の外方への弾性曲げを容易にするように構成されている。段部29は、ラッチデバイス109の嵌合突起121とのラッチを容易にするように構成されている。
【0046】
図3Aは、本実施形態において、内側ケーシング13とシェル7とが別個の部品であり、内側ケーシング13がシェル7に形状嵌合することを示す。具体的には、内側ケーシング13は、シェル7に挿入され受け入れられ、その後、保持リングまたはサークリップ13aによってシェル7に固定される。内側ケーシング13は、ここでは、ルーバコンタクトバンドとして知られる、打ち抜かれた金属ストリップ5aを備えるソケット端子として構成された端子5を保持する。金属ストリップ5aは、ストリップ5aに沿って平行なルーバ状コンタクトブリッジを有し、特に接点の数および接触圧力に関して電気的接続を向上させる。
【0047】
図1を参照して説明したように、電気コネクタ1は、フランジ部23a、23b、23cを含むフランジ21によってラック200に取り付けるように構成されている。
図3Aは、ここではラック壁部として示されるラック200の断面図である。ラック200は、電気コネクタ1のハウジング3、特にシェル7を受け入れるための1つの一次ラック開口部201を含む。ラック開口部201の直径D1は、シェル7の外向き面17の直径D2よりも大きく、特に少なくとも3%、好ましくは6%超大きい。したがって、電気コネクタ1のシェル7は、ラック開口部201に受け入れられ、ラック開口部201において可動であってよい。具体的には、電気コネクタ1は、ラック開口部201において、嵌合軸Mの周りで回転的に、嵌合軸Mに沿って並進的に、および/または、嵌合軸Mに対して垂直な少なくとも1つの方向Pに沿って並進的に可動であってよい。
【0048】
ラック200は取付孔203をさらに含み、取付孔203は、ラック開口部201を取り囲む位置、およびシェル列を取り囲むフランジ部23aのボア25aの位置に一致する位置にある。具体的には、電気コネクタ1が嵌合軸Mに沿ってラック開口部201の中央に位置合わせされたときに、取付孔203は、ボア25aに中央で位置合わせされる。加えて、取付孔203は、ボア25aの直径D3よりも小さい、特に少なくとも10%小さい直径D4を有する。
【0049】
電気コネクタ1は、ピン205によって、ここでは、フランジ部23a、23b、23cの数(
図3Aでは1つしか見えない)および対応する取付孔203の数に一致する3本のピンによってラック200に取り付けられている。ピン205は、ボア25aおよび取付孔203に挿入されて、電気コネクタ1のハウジング3のフランジ部23aが、ピン205に沿って、かつピン205の周りで可動になっている。ピン205は、第1の先端のピンヘッド205aと、第2の先端のねじ付部205bとを有し、ねじ付部205は、ねじナット207にねじ留めされるように構成されている。
【0050】
電気コネクタ1は、ラック200に取り付けられ、ラック200のラック壁部のみが、図面に示され、ハウジング3のフランジ21とハウジング3のコネクタロックデバイス9との間に配置されて延びる。
【0051】
第1の先端で、コイルばね209が、ピンヘッド205aに取り付けられ、フランジ21の背面21aに到達するまでピン205に巻き付けられている。コイルばね209は、予め負荷を加えられたまたは圧縮された状態で選択されピン205に配置され、ばね付勢により、ピンヘッド205aに対してフランジ21の背面21aに常に力を及ぼすようになっている。
【0052】
伸長により、コイルばね209は、フランジ21を嵌合軸Mに沿ってラック200に押し付け、係合インターフェースIを形成する。任意選択で、ばねまたはバンドなどの弾性デバイス211を、ピン205の位置の外周輪郭に沿って配置して、ハウジング3をラック開口部201の中央に配置し、ラック200をハウジング3に、具体的には、ラック開口部201に受け入れられたシェル7に嵌合軸Mに沿って摺動接触するコネクタロックデバイス9に、摩擦係合させることができる。変形形態において、異なるデバイスを使用して、コネクタロックデバイス9をラック200にポジティブ係合させることができる。コネクタロックデバイス9は、環状またはリング状で、前記シェル7の外向き面17に摺動接触するようにシェル7を取り囲んで配置されて、嵌合軸Mに沿ったシェル7に対する相対移動を可能にする。
具体的には、コネクタロックデバイス9は、シェル7を取り囲んで配置されて、受入空間31が、シェル7の外向き面17とコネクタロックデバイス9の内向き面35との間に形成されるようになっている。
【0053】
コネクタロックデバイス9は、
図3Bにおいて、別個により詳細に示されている。
図3Bは、嵌合軸Mと同一直線上の平面に沿った、コネクタロックデバイス9の断面切断図である。コネクタロックデバイス9の摺動部分33の最内面41によって画定された、リング状コネクタロックデバイス9の中央開口部37の直径D2’は、コネクタロックデバイス9とシェル7との摺動接触が可能であるように、直径D2に対して選択される。すなわち、直径D2’は、シェル7の外向き面17の直径D2に対応するか、または直径D2よりも0.1%~1%大きい。
【0054】
リング状コネクタロックデバイス9は、内向き面35、すなわち、リング状コネクタロックデバイス9の中央開口部37の方を向き、中央開口部37に配置されたシェル7の方を向く面を含む。内向き面35は、シェル7と共に受入空間31を形成するように構成され、受入空間31は、電気コネクタ1と対向電気コネクタ101とが結合されたときに、ラッチデバイス109を受け入れるための受入開口部39を突出部19側に有する。
【0055】
内向き面35は、第1の表面部分43と第2の表面部分45とを含む。第1の表面部分43は、嵌合軸Mに平行かつシェル7の外向き面17に平行である。第2の表面部分45は、受入開口部39側で第1の表面部分43に隣接する。第2の表面部分45は、嵌合軸Mに対して面取りされて、第2の表面部分45と嵌合軸Mおよびシェル7のさらに外向きの面17との間の距離が、受入開口部39に向かって徐々に増加するようになっている。第3の表面部分45aを、受入開口部39側で第2の表面部分43に隣接して設けることができ、第3の表面部分45aは、ランス119を受入空間31に固定し、ランス119の外方曲げを防ぐように構成されている。
【0056】
次に、
図4A、
図4B、および
図4Cを参照しながら、電気コネクタ1と対向電気コネクタ101との結合シーケンスについて説明する。
【0057】
図4Aは、結合の第1の非嵌合状態における、
図1の電気コネクタ1および対向電気コネクタ101の外周部の断面図である。電気コネクタ1と対向電気コネクタ101とは、ハウジング3と相手側ハウジング103とを結合することができるように、嵌合軸Mに沿って対向して位置合わせされている。具体的には、電気コネクタ1と対向電気コネクタ101とは、対向電気コネクタ101の相手側シェル107が結合空間15に挿入可能であり、同時に、インサートケーシング13が相手側結合空間115に挿入可能であるように位置合わせされている。
【0058】
挿入を容易にするために、本実施形態において、結合空間15および相手側結合空間115は、それぞれの対応部分、すなわち相手側シェル107およびインサートケーシング13よりも大きい寸法であり、例えば20%超大きい寸法である。加えて、シェル7の遠位先端47は、内方および外方に向かって面取りされ、ハウジング3、103の嵌合をさらに容易にする。例えば、このように挿入が容易であることにより、視覚的アクセスおよび/または手動アクセスなしでも、電気コネクタ1と対向電気コネクタ101とを結合することができ、これは、コネクタ1がラックの背面に取り付けられる一部の適用において当てはまることがある。
したがって、コネクタアセンブリ100は、視覚的アクセスおよび/または手動アクセスを必要とするコネクタアセンブリ、例えば手動の作動を必要とするコネクタアセンブリ、例えばねじ付部および/または回転締付けによる結合を使用するコネクタアセンブリよりも使いやすい。
【0059】
図4Bは、結合シーケンスの第2の中間状態における
図4Aの断面図である。この第2の状態で、電気コネクタ1と対向電気コネクタ101とは、さらに嵌合軸Mに沿って共に移動する。具体的には、電気コネクタ1は、
図4BにM1として示す方向に沿って対向電気コネクタ101側に移動し、シェル7はラッチ空間113に挿入され、相手側シェル107は結合空間15にさらに挿入されるようになっている。
【0060】
シェル7がラッチ空間113にさらに挿入されると、突出部19は嵌合突起121を通り過ぎる。電気コネクタ1と対向電気コネクタ101との相互の位置合わせに応じて、嵌合突起121は、突出部19の面取り部27に沿って滑ることができ、ランス119の第2の自由先端129bは、受入開口部39を通して、第2の表面部分45に当接するまで受入空間31に受け入れられる。例えばラック200を押し、次にインターフェースIを介してコネクタロックデバイス9を押すことによって、コネクタロックデバイス9が嵌合軸Mに平行な方向M1に押されると、先端129bは第2の表面部分45に当接する。したがって、先端129bは第2の表面部分45に沿って滑り、シェル7の外向き面17に向かって内方に弾性的に曲がる。
【0061】
図4Bにおいて、端子5、105は、
図5に示すように既に当接しており、
図4Cに関して説明する形状嵌合F1が確立されている。しかしながら、コネクタ1、101が確実には結合されていないため、結合シーケンスは完了していない。実際には、結合シーケンスが完了していなければランス119の弾性曲げは安定していないため、ランス119の弾性復元力は、コネクタ1、101を離れるように押し戻し、切り離す。
【0062】
図4Cは、結合の第3の結合状態における、
図4Aおよび
図4Bの斜視断面図である。
図4Cにおいて、ラック200と係合したコネクタロックデバイス9とは、嵌合軸Mに平行な方向M1に沿ってさらに移動しており、ランス119の先端129bは、面取りされた第2の表面部分45に沿ってさらに摺動している。したがって、先端129bは、シェル7の外向き面17に向かってさらに内方に弾性的に曲がり、嵌合突起119は、
図4Bに見られるものよりもさらに突出部19の後ろにラッチしている。
【0063】
具体的には、嵌合突起119は、突出部19の段部29に引っ掛かり、第1の形状嵌合接続F1を実現する。第1の形状嵌合接続F1は、対向電気コネクタ101のフック状のラッチデバイス109をシェル7にロックし、電気コネクタ1および対向電気コネクタ101による、嵌合軸Mに沿った分離する切離し移動を阻止する。
【0064】
図4Cはまた、先端129bが、第2の表面部分45を越えて、第2の表面部分45に隣接する、嵌合軸Mに平行に延びる第1の表面部分43に向かって摺動していることを示す。ランス119の外向き面133に形成された切欠き131は、第1の表面部分43に係合し、第2の形状嵌合接続F2が実現されるようになっている。具体的には、切欠き131は、平行な第1の表面部分43に対応する形状、すなわち、ランス119が内方に曲がったときにシェル7の面17に平行な平面を可能にする形状を有する。第2の形状嵌合接続F2は、電気コネクタ1のシェル7から離れる、嵌合軸Mに対して垂直な方向Pにおいて、第2の先端129bをブロックする。したがって、第2の形状嵌合接続F2は、曲がったランス119の静止位置への戻り、および第1の形状嵌合接続F1の解放を防ぐ。しかしながら、第2の形状嵌合接続F2は、コネクタロックデバイス9とシェル7との嵌合方向に沿った並進移動は妨げない。
【0065】
図5、
図6A、および
図6Bを考慮して、本発明および特に上記の例示的な実施形態の発明の利点についてさらに説明する。
図5は、
図4Cに部分的に示す結合状態で、ラック200に取り付けられ、対向電気コネクタ101に嵌合した電気コネクタ1の断面図である。したがって、
図5は、本発明の第3の実施形態によるコネクタアセンブリ100も示す。
【0066】
結合状態で、ハウジング3と相手側ハウジング103とは、電気端子5が相手側電気端子105に当接するように嵌合する。インサートケーシング13は、相手側結合空間115に受け入れられ、相手側シェル107は、結合空間15に受け入れられている。加えて、電気端子5、105は、係合面Eにおいて完全に接している。言い換えると、ラック200を嵌合方向M1に押すことによる結合により、電気端子5、105が係合面Eにおいて最初にかつ完全に互いに接するように、ハウジング3、103を嵌合させている。
【0067】
同時に、シェル7は、ラッチ空間113に受け入れられ、ラッチデバイス109は、受入空間31に受け入れられ、
図4Cを参照して説明した形状嵌合接続F1、F2がそれぞれ、シェル7とコネクタロックデバイス9とによって実現されるようになっている。特に、形状嵌合F1は、接した端子5、105の切離しを阻止し、特に嵌合軸Mに沿った相対運動を阻止する。したがって、長手方向振動によるフレッチングは不可能である。
【0068】
さらに、本実施形態において、圧縮されたコイルばね209は、フランジ21またはフランジ部23aを介して、嵌合方向M1および嵌合軸Mに平行な結合力F3をハウジング3に加え、振動の場合でも電気端子5、105を接した状態で維持する。
【0069】
コネクタアセンブリ100は、乗り物のフレームに取り付けられた対向電気コネクタ101と電気コネクタ1との間の振動運動の差を吸収することが有利である。これは、
図5の部分Cの拡大図である
図6Aおよび
図6Bに示されている。本発明によれば、電気コネクタ1は、結合状態で対向電気コネクタ101に結合したときに、対向電気コネクタ101と同じ周波数または運動で振動し、ラック200の振動による影響を受けない。
【0070】
実際には、
図3Aを参照して説明したように、電気コネクタ1は、ラック200に浮遊状態で取り付けられ、外部デバイスに取り付けるときでも1つまたは複数の自由度を維持する。例えば、
図1で、電気コネクタ1は、少なくとも3つの自由度、すなわち、嵌合軸Mに沿った1つの自由度および嵌合軸Mに対して垂直な方向の2つの自由度を有し、加えて、場合によっては回転自由度を有する。
【0071】
ラック200が嵌合軸Mに沿って長手方向に振動すると、ピン205とコネクタロックデバイス9とは、インターフェースIにおいてラック200にポジティブ係合および/または摩擦係合し、ラック200と共に移動する。ボア25aの直径D3がピン205の直径D4より大きいため、ピン205は、フランジ21を介して振動をシェル7に伝達しない。コネクタロックデバイス9は、外向き面17に摺動接触するため、振動をシェル7に伝達しない。したがって、端子5、105間に相対移動が生じることがなく、振動によるフレッチング腐食を抑制するまたは避けることができる。
【0072】
図6Aおよび
図6Bに見られるように、ラック200とシェルのフランジ21との間の距離J1が振動によって変化することがあるが、コネクタロックデバイス9がラック200と共に、嵌合軸Mに平行なインターフェースKにわたって切欠き131と第1の表面部分43との間で摺動するため、コネクタ1は、対向コネクタ101に堅固にロックされ結合されたままである。インターフェースKは、本実施形態では第1の表面部分43の長さに対応する所定の直線範囲Rにわたって延びる。したがって、形状嵌合接続F1、F2が確実になる。ランス119は、第1の表面部分43によって可動にブロックされたままである。すなわち、ランス119は、嵌合方向Mに対して垂直な方向Pにブロックされているが、所定の直線範囲Rにわたって可動である。
したがって、嵌合軸Mに沿った、シェル7に対するラック200の長手方向振動または相対位置変化が吸収され、端子インターフェースEにおけるフレッチング腐食が抑制される。
【外国語明細書】