(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180344
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムならびに方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20241219BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20241219BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61N5/10 Z
A61N5/10 M
A61B5/11 120
A61B5/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024095505
(22)【出願日】2024-06-13
(31)【優先権主張番号】23179272
(32)【優先日】2023-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】511180259
【氏名又は名称】ビジョン アールティ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524225707
【氏名又は名称】シェバ インパクト エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ギディオン マシュー ヘイル
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン ロナルド スミス
(72)【発明者】
【氏名】ツヴィ サイモン
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ ダビンスキー
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ストローブリッジ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C082
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB19
4C038VB28
4C038VB33
4C038VC05
4C082AJ13
4C082AP08
(57)【要約】
【課題】放射線治療システムで使用するためのハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムを提供する。
【解決手段】ハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムは、放射線治療中に患者の肺に連続陽圧を印加するように適合された陽圧ユニットと、患者の身体表面画像を連続的にまたは間隔を置いて捕捉するように構成された表面カメラシステムと、身体表面画像に基づいて、印加された連続陽圧に応答して患者の胸部および/または腹部の動きを連続的にまたは間隔を置いてモデル化するように構成された処理ユニットと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療システムで使用するためのハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムであって、
放射線治療中に患者の肺に連続陽圧を印加するように適合された陽圧ユニットと、
前記患者の身体表面画像を連続的に又は間隔を置いて捕捉するように構成された表面カメラシステムと、
前記身体表面画像に基づいて、印加された前記連続陽圧に応答して、前記患者の胸部及び/又は腹部の動きを連続的に又は間隔を置いてモデル化するように構成された処理ユニットと、を含む、ハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項2】
前記処理ユニットは、胸部及び/又は腹部の動きに変換可能な振幅メトリックを連続的に又は間隔を置いて抽出するように構成される、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項3】
前記処理ユニットは、前記患者の胸壁及び/又は腹部の高さを連続的に又は間隔を置いて抽出するように構成される、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項4】
前記処理ユニットは、6自由度(6DOF)で胸部および/または腹部の動きを連続的にまたは間隔を置いてモデル化するように構成される、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項5】
前記処理ユニットは、呼吸サイクル中の胸部及び/又は腹部の高さの動きの振幅の変化を抽出するように構成される、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項6】
前記処理ユニットは、前記患者の前記胸部及び/又は腹部の高さ、形状又は動きの逸脱を検出するように構成される、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項7】
前記処理ユニットは、前記身体表面画像に基づいて患者の動きと胸部及び/又は腹部の動きとを区別するように構成される、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項8】
前記身体表面画像に基づいて、前記連続陽圧を最適化して、前記患者の前記胸部及び/又は腹部の動きを最小化するように構成された制御ユニットを更に含む、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項9】
前記処理ユニットは、実質的にリアルタイムで前記患者の胸部及び/又は腹部の動きを連続的に又は間隔を置いてモデル化するように構成される、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項10】
前記身体表面画像に基づいて、前記連続陽圧を制御して、前記胸部及び/又は腹部の動きを所定の限度内に維持するように構成された制御ユニットを更に備える、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項11】
前記連続陽圧は、前記胸部及び/又は腹部の動きが前記所定の限度内になるまで徐々に増加される、請求項10に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項12】
前記陽圧ユニットは、空気ポンプユニットと流管とを備える、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項13】
前記空気ポンプユニットは、送風機を含む、請求項12に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項14】
前記身体表面画像に基づいて前記陽圧ユニットを制御するように構成された制御ユニットを更に備える、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項15】
前記制御ユニットは、前記陽圧ユニットによって提供される前記連続陽圧の調整のための信号を提供する、請求項14に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項16】
肺圧を測定するための圧力測定ユニットを更に備える、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項17】
前記処理ユニットは、測定された肺圧を予想される肺圧と比較するように構成され、前記処理ユニットは、前記測定された肺圧と前記予想される肺圧との間の不一致を、連続的にモデル化された前記胸部及び/又は腹部の動きに対して検証するように更に構成される、請求項16に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項18】
前記表面カメラシステムは、前記患者の立体身体表面画像を提供するように適合される、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項19】
前記処理ユニットは、前記立体身体表面画像を処理し、前記患者の前記胸部及び/又は腹部の表面のモデルを生成するように構成される、請求項18に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項20】
標的体積を照射するための放射線ビームを生成するように適合された、ゲート放射線ビーム発生器などの放射線ビーム発生器をさらに備える、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項21】
制御ユニットは、前記患者の前記胸部及び/又は腹部の予想される高さ、形状又は動きに対する前記患者の前記胸部及び/又は腹部の高さ、形状又は動きの逸脱、又は肺容積の変化によって引き起こされる表面の逸脱に応じて、前記放射線ビームの動作を中断するように構成される、請求項20に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項22】
制御ユニットは、前記放射線ビームを前記患者の前記胸部及び/又は腹部の抽出された高さ又は形状と同期させるように構成される、請求項20に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項23】
制御ユニットは、不一致が発生した場合に前記放射線ビームの動作を中断するように構成される、請求項20に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム。
【請求項24】
陽圧ユニットにリアルタイムフィードバックを提供するコンピュータ実装方法であって、
放射線治療中に患者の肺に印加される連続陽圧から連続陽圧データを取得するステップと、
表面カメラシステムを使用して、前記患者の身体表面画像を連続的に又は間隔を置いて捕捉するステップと、
前記身体表面画像に基づいて、印加された前記連続陽圧に応答して前記患者の胸部及び/又は腹部の動きを連続的に又は間隔を置いてモデル化するステップと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項25】
放射線治療中に患者の肺に前記連続陽圧を印加するステップを更に含む、請求項24に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項26】
前記連続陽圧を最適化して、前記患者の前記胸部及び/又は腹部の動きを最小化するステップ、及び/又は前記連続陽圧を制御して、前記胸部及び/又は腹部の動きを所定の限度内に維持するステップを更に含む、請求項24に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項27】
前記コンピュータ実装方法は、請求項1に記載のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムを使用して実行される、請求項24に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項28】
コンピュータ装置又はコンピュータシステムによって実行されると、前記コンピュータ装置又はコンピュータシステムに、請求項24に記載のコンピュータ実装方法を実行させる命令を有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線治療システムで使用するためのハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムに関する。本開示は、さらに、陽圧ユニットにリアルタイムフィードバックを提供するコンピュータ実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療は、一般に悪性細胞を制御または死滅させるための癌治療の一部として提供され、通常は線形加速器によって送達される電離放射線を使用する療法である。放射線治療は、身体の1つの領域に局在する場合、多くのタイプの癌において治癒性であり得る。放射線ビームの放射線は、健康な細胞と悪性細胞とを区別せず、従って、健康な細胞及び悪性細胞を損傷することがある。その結果、放射線ビームは、一般に、蓄積された放射エネルギーを悪性腫瘍に集中させ、周囲の健康な組織への放射エネルギーの蓄積を最小限に抑えるために、正確に構成され、悪性腫瘍の標的部位に向けられなければならない。
【0003】
照射中に動きを示す悪性腫瘍に治療用放射線ビームによって放射エネルギーを付与するための従来の手順は、照射プロセス全体を通してビーム断面内に悪性腫瘍が残るように十分に大きいビームを形成することを含むことができる。呼吸によって誘発される腫瘍の動きは、胸部の腫瘍の放射線治療にとって難題である。この課題に対処するための1つの戦略は、腫瘍の軌跡をモデル化し、治療中に患者が自由に呼吸することを可能にする内部標的体積(ITV)を作成することである。しかしながら、このアプローチは、他の運動管理戦略と比較して、放射線のアブレーション線量を受ける正常肺組織のより大きな体積に関連する。
【0004】
より最近では、持続的気道陽圧法(CPAP)が、放射線治療中の腫瘍の動きを低減するための代替戦略として研究されている。CPAPは、元々、閉塞性睡眠時無呼吸の治療などの他の目的のために、また、肺水腫などの状態で使用される挿管および他の侵襲的技法に対する非侵襲的代替として開発されたが、放射線治療中の腫瘍運動を低減するのに有効であることが示されている。それは、呼吸によって誘発される腫瘍の動きに対処するための他の技術と組み合わせて使用されてもよい。これは、動きが不適切な線量の堆積をもたらす胸部の腫瘍の重粒子放射線において特に強力な役割を有する。しかしながら、この技術にも関連する多くの課題がある。一例は、特定の患者のための最適なCPAP圧力を決定することであり、これは困難で時間のかかる作業である。不安はまた、呼吸パターンに大きな影響を及ぼすことがある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、放射線治療システムで使用するためのハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムであって、
放射線治療中に患者の肺に連続的な陽圧を印加するように適合された陽圧ユニット(PPU)と、
前記患者の身体表面画像を連続的に又は間隔を置いて捕捉するように構成された表面カメラシステムと、
前記身体表面画像に基づいて、印加された前記連続的な陽圧に応答して、前記患者の胸部及び/又は腹部の動きを連続的に又は間隔を置いてモデル化するように構成された処理ユニットと、を含む、ハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムに関する。
【0006】
本発明者らは、表面カメラシステムを使用して、患者の身体表面画像を連続的に又は間隔を置いて捕捉し、胸部及び/又は腹部の動きを連続的に又は間隔を置いてモデル化することによって、好ましくは、PPUへの実質的にリアルタイムのフィードバックを有するシステムが提供されることを認識した。これは、いくつかの利点および可能な用途を有する。特定の患者に対して最適なCPAP圧力を決定することは、困難で時間のかかる作業である。本開示のシステムは、放射線治療の前に、放射線治療室の外側でのCPAPトレーニングプロセスを可能にし、PPU、表面カメラシステム及び処理ユニットのみが必要とされる。
【0007】
放射線治療は、典型的には、計画又はシミュレーションプロセスを含む。シミュレーションは、シミュレーション室で実行されてもよく、これは、治療室と同じであってもよい。シミュレーションは、例えば、スキャン、患者の位置決め、及び放射線治療ビームとの位置合わせ、並びに完全な放射線治療セッションの準備を含むことができ、線量が計算され、標的及びリスク臓器のモデリングが実行される。本開示のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムは、放射線治療システムの一体部分として使用されてもよいが、放射線治療セッションに先立って、放射線治療室の外側で独立して使用されてもよい。
【0008】
患者の胸部及び/又は腹部の動きを連続的に又は間隔を置いてモデル化するように構成された表面カメラシステム及び処理ユニットは、シミュレーション及び治療の両方の間に同じ状態を達成するために、限られた1回換気量及び限られた胸壁及び/又は腹部の動きを有する安定した浅い呼吸パターンを確実に再現するように患者を訓練するために使用され得るシステムを提供する。システムは、CPAP圧力の小さな変化に敏感な胸壁/腹部の動きを表す信号を提供することができる。呼吸サイクル全体を通して胸部位置を維持するPPUの有効性は、ハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムによって決定することができる。好ましくは実質的にリアルタイムのフィードバック機構は、操作者が、胸部の動きが所定の制限内にある点に陽圧を調整することを可能にする。これは、一実施形態によれば、胸部の動きが所定の限度内になるまで、または圧力が所定の限度に達するまで、所定のランプ期間にわたって制御された方法で圧力を自動的に増加させることによって行われてもよい。
【0009】
このシステムは、不安のある患者の胸壁および腹部の動きの奇異で予測不可能な増加を検出し、監視するためにも使用され得る。ハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムのさらなる用途は、システムが、放射線ビームの同期のためのフィードバックを提供し、および/または患者の胸部および/または腹部の予期される高さ、形状、または移動に対する患者の胸部および/または腹部の高さ、形状、または移動の逸脱、もしくは肺容量の変化によって生じる表面の逸脱に応じて、放射線ビームの動作を中断する構成であってもよい。
【0010】
陽圧ユニットは、典型的には、空気ポンプユニットと、流管と、陽圧ユニットを制御するように構成された制御ユニットとを備えてもよい。陽圧ユニットは、充電式バッテリなどの電源と、直接的に又は更なるユニットを介して表面カメラシステムと通信するための無線通信ユニットとを更に備えてもよい。処理ユニットは、陽圧ユニット及び表面カメラシステムのいずれかに、又は追加のユニットに配置されてもよい。陽圧ユニットは、呼吸中に横隔膜の動きを平坦化して減少させ、肺および胸腔を拡張するように構成されてもよい。
【0011】
患者の身体表面画像を連続的に又は間隔を置いて捕捉するように構成された表面カメラシステムは、1つ又は複数の3次元カメラ及び/又は1つ又は複数の2次元カメラを含むことができる。処理ユニットは、カメラからの身体表面画像に基づいて、患者の胸部及び/又は腹部の動きを連続的に又は間隔を置いてモデル化するように構成されてもよい。Vision RTによって提供され、米国特許第7889906号、米国特許第7348974号、米国特許第8135201号、米国特許出願公開第2015/062303号、米国特許出願公開第2015/0265852号、米国特許出願公開第2020/0184625号、米国特許第10,441,818号、米国特許出願公開第2016/0256710号を含む、いくつかの以前の特許および特許出願に記載されているシステムを含む、表面カメラシステムとして使用することができるいくつかの可能な技術およびカメラシステムがあり、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
非限定的な例では、患者の表面の3次元モデルは、患者の少なくとも胸部および/または腹部領域のいくつかの立体ビデオ画像を利用して生成される。ビデオ画像は、胸部および/または腹部領域の3次元モデルを生成するように処理され、胸部および/または腹部領域の動きの変化を考慮するように迅速に更新される。
【0013】
患者の表面モデルをできるだけ迅速に更新できるようにするために、いくつかの技法を利用することができる。一実施形態では、個人の立体画像を取得するステップと、前記立体画像を利用して前記個人の表面モデルを生成するステップと、前記個人のさらなる立体画像を受信し、前記さらなる立体画像および前記個人の前記以前のモデルから前記個人のさらなるモデルを生成するステップとを含む画像処理方法が提供される。
【0014】
1つの非限定的な実施形態によれば、光のスペックルパターンが、患者の胸部および/または腹部領域の表面上に投影され、異なる視点から捕捉された患者の表面の対応する部分の識別を容易にする。患者の画像が取得され、画像を捕捉するカメラの相対的な位置を識別するデータと共に処理されて、患者の表面上の点に対応する多数の点の3D位置を識別する。表面カメラシステムの別の例は、患者の表面上に線又は格子パターン又は他の所定のパターンの形態で構造化光(例えば、レーザ光)を投影し、キャプチャされた画像内の投影パターンの出現に基づいて、監視されている患者上の表面のモデルを生成することによって、放射線治療を受けている患者の位置を監視する。患者の胸部及び/又は腹部領域の表面であり得る表面のモデルに基づいて、患者の胸部及び/又は腹部領域の動きを連続的にモデル化することができる。
【0015】
本開示は、さらに、陽圧ユニットにリアルタイムフィードバックを提供するコンピュータ実装方法であって、
放射線治療中に患者の肺に印加される連続的な陽圧から連続的な陽圧データを取得するステップと、
表面カメラシステムを使用して、前記患者の身体表面画像を連続的に、または間隔を置いて捕捉するステップと、
前記身体表面画像に基づいて、印加された前記連続的な陽圧に応答して前記患者の胸部及び/又は腹部の動きを連続的に又は間隔を置いてモデル化するステップと、を含む、方法に関する。
【0016】
当業者によって理解されるように、陽圧ユニットにリアルタイムフィードバックを提供する本開示のコンピュータ実装方法は、本開示のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムの任意の実施形態を使用して実行されてもよく、その逆も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明は、添付の図面を参照して以下に説明される。図面は、実施形態の例であり、本明細書に開示されるハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム、並びに陽圧ユニットにリアルタイムフィードバックを提供するコンピュータ実装方法に限定されない。
【0018】
【
図1】放射線治療システムで使用するための、本開示のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムの一実施形態である。
【
図2】陽圧ユニットにリアルタイムフィードバックを提供する本開示のコンピュータ実装方法の実施形態による方法のフローチャートである。
【
図3】表面カメラシステムの実施形態の正面斜視図である。
【
図4】本開示のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムの処理ユニットの実施形態の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、放射線治療システムで使用するためのハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムであって、
放射線治療中に患者の肺に連続的な陽圧を印加するように適合された陽圧ユニット(PPU)と、
前記患者の身体表面画像を連続的に捕捉するように構成された表面カメラシステムと、
前記身体表面画像に基づいて、印加された前記連続的な陽圧に応答して、前記患者の胸部及び/又は腹部の動きを連続的にモデル化するように構成された処理ユニットと、を含む、ハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムに関する。
【0020】
本開示のハイブリッド連続陽圧および表面撮像システムの実施形態の説明は、例として提供され、本発明の範囲を限定することを意図しない。記載された実施形態は、異なる特徴を含み、その全てが本発明の全ての実施形態において必ずしも必要とされるわけではない。いくつかの実施形態は、特徴の一部のみ、または特徴の可能な組み合わせを利用する。記載された本発明の実施形態の変形、および記載された実施形態に記載された特徴の異なる組み合わせを含む本発明の実施形態は、当業者には思い浮かぶであろう。
【0021】
患者の身体表面画像を連続的に捕捉するために表面カメラシステムを使用し、胸部及び/又は腹部の動きを連続的にモデル化することによって、PPUへのリアルタイムフィードバックを有するシステムが得られる。これは、いくつかの利点および可能な用途を有する。例えば、それは、携帯型PPUの使用を可能にする。特定の患者に対して最適なCPAP圧力を決定することは、困難で時間のかかる作業である。本開示のシステムは、放射線治療の前に、放射線治療室の外でCPAP訓練又は準備プロセスを可能にすることができ、PPU、表面カメラシステム及び処理ユニットのみが必要とされる。携帯型PPUは、CPAP訓練又は準備プロセスの後に使用し続けることができ、それにより、制御された呼吸が維持される。装置は、放射線治療室と第2の場所または室との間で運搬または運搬され得る。
【0022】
本発明者らは、患者の身体表面画像を連続的に捕捉するために表面カメラシステムを使用し、胸部及び/又は腹部の動きを連続的にモデル化することによって、好ましくは、PPUへの実質的にリアルタイムのフィードバックを有するシステムが提供されることを認識した。これは、いくつかの利点および可能な用途を有する。特定の患者に対して最適なCPAP圧力を決定することは、困難で時間のかかる作業である。本開示のシステムは、放射線治療の前に、放射線治療室の外側でのCPAPトレーニングプロセスを可能にし、PPU、表面カメラシステム及び処理ユニットのみが必要とされる。
【0023】
「連続的に」は、一連の画像を受信すること、および任意の適切なレートでモデル化することを含むように広く解釈されるものとする。この点に関して、一例として、所与のレートでの一連の静止画像が動画像の錯覚を生み出すことは周知である。これは、表面カメラシステムが、ある速度で患者の身体表面画像を捕捉するように構成され得るという意味で、本開示のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムおよび方法に変換されることができる。
【0024】
図1は、放射線治療システム(200)で使用するためのハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システム(100)の非限定的な例を示す。放射線治療システム(200)は、任意の適切な放射線治療システムであってもよく、典型的には、標的体積を照射するための放射線ビームを生成するように適合された線形粒子加速器を典型的には備える、ゲート放射線ビーム発生器などの放射線ビーム発生器を含んでもよい。ゲート放射線ビーム発生器は、典型的には、外部装置又はシステムである。放射線治療システムは、ビーム発生器を制御するためのコントローラをさらに備えてもよい。放射線治療システムは、従来の二次元ビームシステムであってもよいが、例えば、三次元ビームシステム、強度変調放射線治療IMRTシステム、又は体積変調アーク療法VMATシステム、又は陽子若しくは炭素イオンビームベースのシステムなどの重粒子ビームシステムであってもよい。
図1の例では、放射線ビーム210は、カウチ150上に位置決めされた患者300内の腫瘍であり得るターゲット320に向かって生成される。陽圧ユニット110は、放射線治療治療中に患者300の肺に持続的な陽圧を印加するように構成される。陽圧ユニット110は、空気ポンプユニット111と、フェイスマスク113を介して患者300の気道に接続された流管112とを備える。表面カメラシステム120は、患者300の身体表面画像、特に患者300の胸部及び/又は腹部領域310の表面画像を連続的に捕捉するように構成される。処理ユニット130は、表面カメラシステム120から取得された身体表面画像に基づいて、印加された連続的な陽圧に応答して、患者300の胸部及び/又は腹部の動きを連続的にモデル化するように構成される。制御ユニット140は、陽圧ユニット110及び/又は放射線治療システム200を制御するように構成される。
【0025】
処理ユニットは、胸部及び/又は腹部の動きに変換可能な振幅メトリックを連続的に抽出するように構成される。振幅メトリックは、患者の胸壁または腹部の高さの変化などの任意の適切なメトリックであってもよい。胸壁の高さは、患者の胸部表面に垂直な成分として理解され得る。高さは、
図1において「h」で示される。腹部の高さは、患者の腹部表面に垂直な成分として理解され得る。
【0026】
処理ユニットは、表面カメラシステムからの画像に基づいて、6自由度(6DOF)で胸部および/または腹部の動きを連続的にモデル化するように構成され得る。「6DOF」は、一般に、3次元空間における剛体の運動の自由度を指す。具体的には、身体は、3つの垂直軸における前方/後方(サージ)、上方/下方(ヒーブ)、左/右(スウェイ)の並進として、位置を自由に変化させ、しばしばヨー(垂直軸)、ピッチ(横軸)、およびロール(縦軸)と呼ばれる3つの垂直軸の周りの回転を通した配向の変化と組み合わされる。処理ユニットは、表面カメラシステムから取得された身体表面画像に基づいて、胸部および/または腹部の動きを連続的にモデル化するように構成されてもよい。
【0027】
一実施形態では、処理ユニットは、呼吸サイクル中の胸部高さ運動の振幅を連続的に抽出するように構成される。処理ユニットは、代替的に又は追加的に、患者の胸部及び/又は腹部の高さ、形状又は動きの逸脱を検出するように構成されてもよい。患者の胸部の高さ、形状、または動きの抽出は、胸部および/または腹部の動きのモデルから、例えば、6自由度(6DOF)で連続的にモデル化された胸部および/または腹部の動きから抽出され得る。
【0028】
一実施形態では、処理ユニットは、患者の動きと胸部及び/又は腹部の動きとを区別するように構成される。患者の胸部及び/又は腹部領域の表面であり得る表面のモデルに基づいて、又は例えば患者の他のモデル化された基準との比較に基づいて、システムは、一般的な患者の動きと局所的な胸部及び/又は腹部の動きとを区別し得る。処理ユニットは、患者のモデル化された胸部及び/又は腹部の動きに基づいて、患者の動きと胸部及び/又は腹部の動きとを区別するように構成されてもよい。処理ユニットは、身体表面画像に基づいて、患者の動きと胸部及び/又は腹部の動きとを区別するように構成され得る。
【0029】
表面カメラシステムからのフィードバックは、多くの用途で使用することができる。一実施形態では、制御ユニットは、患者の連続的にモデル化された胸部及び/又は腹部の動きに基づいて、患者の胸部及び/又は腹部の動きを最小化するように連続的な陽圧を最適化するように構成される。当業者には認識されるように、制御ユニット及び処理ユニットは、別個の装置として、又は1つのユニットとして提供されてもよい。制御ユニット及び処理ユニットは、表面撮像システム、放射線治療システム及び陽圧ユニットのようなシステムの他の部分のいずれかの一部を形成してもよい。制御ユニットは、身体表面画像に基づいて患者の胸部及び/又は腹部の動きを最小化するように連続陽圧を最適化するように構成されてもよい。制御ユニットは、患者のモデル化された胸部及び/又は腹部の動きに基づいて、患者の胸部及び/又は腹部の動きを最小化するように、連続的な陽圧を最適化するように構成されてもよい。
【0030】
ハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムは、実質的にリアルタイムで患者の胸部および/または腹部移動を連続的にモデル化するように構成されてもよい。これは、例えば、患者の身体表面画像、特に患者の胸部及び/又は腹部領域の身体表面画像を取得し、胸部及び/又は腹部の動きをモデル化するために患者の生理学的モデルにおいて身体表面画像を使用することによって行われることができる。身体表面画像は、したがって、患者の生理学的モデルを使用して、胸部および/または腹部体積のモデルに変換されてもよい。
【0031】
本開示のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムはさらに、連続陽圧を制御し、胸部および/または腹部移動を所定の限界内に維持するように構成される、制御ユニットを備えてもよい。したがって、監視フィードバック機構は、操作者が、胸部の動きが規定された限度内にあるか、または最小限に抑えられる点まで陽圧を調整することを可能にすることができる。監視フィードバック機構は、胸部の動きが規定された限度内にあるか、または最小限に抑えられる点まで、陽圧の自動調整を可能にし得る。これは、通常、セットアップ環境内で行われるが、過度の胸部の動きが治療室内で検出された場合、圧力は、これを補正するように調整されてもよい。一実施形態では、連続的な陽圧は、胸部及び/又は腹部の動きが所定の限度内になるまで徐々に増加される。例えば、一貫した胸部位置が達成されるか、または陽圧が所定の限界に達するまで、回避するために、陽圧は、規定されたランプ期間にわたって制御された様式で自動的に増加され得る。制御ユニットは、身体表面画像に基づいて、胸部及び/又は腹部の動きを所定の限度内に維持するように、連続的な陽圧を制御するように構成されてもよい。制御ユニットは、患者のモデル化された胸部及び/又は腹部の動きに基づいて、胸部及び/又は腹部の動きを所定の限度内に維持するように、連続的な陽圧を制御するように構成されてもよい。
【0032】
陽圧ユニットは、好ましくは、空気ポンプユニット及び流管を含む。空気ポンプユニットは、ブロワを備えてもよい。一実施形態では、陽圧ユニットは、圧力及び体積測定のための一体型アタッチメントを有するブロワに接続された気道と、ホースの取り付けのためのノズルとを備える。PPUは、陽圧ユニットを制御するように構成された制御ユニットを更に備えることができる。一実施形態では、制御ユニットは、陽圧ユニットによって提供される連続陽圧の調整のための信号を提供する。例えば、ブロワの速度は、微細な速度調整を可能にし、ファン速度に比例する信号を提供するパルス幅変調(PWM)によって制御されてもよい。陽圧ユニットを制御するための他の適切な方法が可能である。PPUは、圧力の変動を検出し、それに応じてファン速度を調整して所望の圧力を維持することができる。
【0033】
陽圧ユニットは、患者の気道に空気圧を印加して肺を拡張し、胸部を持ち上げ、放射線治療治療プロセス中の胸部の動きを最小限に抑えるように構成されてもよい。これは、胸部の位置を安定させ、同時に心臓を左乳房から遠ざけるという利点を提供する。これはまた、肺容積を増加させ、正常な肺組織を線量から離して再分布させ、肺における腫瘍の動きを減少させる。放射線治療の間、これは、意図しない肺および心臓線量を減少させるという利点を有する。
【0034】
陽圧ユニットは、患者の身体の胸部または腹部領域内の標的部位において手技を行い、手技中の呼吸運動による標的部位の移動を拘束するように構成されてもよい。陽圧ユニットは、放射線治療処置中および/またはその前に患者の肺に持続的気道陽圧を提供して、標的部位の動きを拘束し、胸腔および肺を拡張し、および/または胸腔内の臓器および組織を変位させて、それらを標的部位から遠ざけるように構成され得る。
【0035】
ハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムはさらに、肺圧を測定するための圧力測定ユニットを備えてもよい。処理ユニットは、測定された肺圧を予想される肺圧と比較するように構成され得る。処理ユニットは、測定された肺圧と、連続的にモデル化された胸部及び/又は腹部の動きに対する予想される肺圧との間の不一致を検証するように更に構成されてもよい。測定された圧力と予想される測定値との間に不一致がある場合、エラー状態がフラグ付けされ得る。これは、制御ユニットに信号で伝えられ、制御ユニットは、オペレータに通知することができる。同様に、ビームホールドは、放射線治療システムに信号で伝えられることができる。測定ユニットは、さらに、肺容量を測定するように、および/またはマスクの周囲から、またはマスクへの接続において、適合され得る。陽圧ユニットは、充電式バッテリなどの電源と、直接的に又は更なるユニットを介して表面カメラシステムと通信するための無線通信ユニットとを更に備えてもよい。PPUは、携帯型PPUであってもよい。
【0036】
本開示のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムは、個々の患者のための患者特有の圧力設定を記憶するように構成されてもよい。これは、呼吸パターンの再現性を可能にし得る。開示されるハイブリッド連続陽圧は、いくつかのパラメータを連続的に測定および/または監視してもよい。例えば、測定された圧力が所定の許容範囲外であるか、または一回換気量が所定の許容範囲を超える場合、エラー状態がフラグされ得る。ハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムは、例えば、PPUの圧力またはPPUからのエラー状態を間隔を置いてチェックする処理ユニット上で実行されるアプリケーションの形態のウォッチドッグを備えることができる。セットアップ室と治療室との間を移行するとき、ウォッチドッグは、事前設定された期間の間、無効にされ得る。
【0037】
CPAPは、呼吸中に横隔膜を平坦化し、その動きを低減し、肺および胸腔を拡張するように動作するように構成され得る。CPAPは、それによって、患者の呼吸による胸部および腹部領域の組織および臓器の動き、および結果として、照射中の放射線治療システムの標的の動きを緩和することができる。肺および胸腔の拡張は、再配置し、胸腔および腹部の器官間の間隔を増加させる傾向がある。患者の胸部および腹部領域における標的部位および他の器官および組織の動きの減少は、標的部位への医療デバイスまたは薬剤の送達を容易にし、そして医療デバイスまたは薬剤の送達から生じる標的部位の外側の組織への可能な側副損傷の減少に寄与する。肺および胸腔の拡張、ならびに結果として生じる胸部および腹部内の器官の再配置および間隔はまた、標的部位への医療デバイスまたは薬剤の送達、および医療デバイスまたは薬剤の送達から生じる標的部位の外側の組織への可能性のある副次的損傷の低減を促進し得る。
【0038】
患者の身体表面画像を連続的に捕捉するように構成された表面カメラシステムは、1つ以上の3次元カメラ及び/又は1つ以上の2次元カメラを備えてもよい。処理ユニットは、カメラからの身体表面画像に基づいて、患者の胸部及び/又は腹部の動きを連続的にモデル化するように構成されてもよい。Vision RTによって提供されるシステムを含む、表面カメラシステムとして使用され得るいくつかの可能な技法およびカメラシステムがある。
【0039】
表面カメラシステムは、非限定的な例によれば、患者の立体身体表面画像を提供するように適合され得る。これにより、患者の立体画像を取得して処理し、撮像された患者の表面上の点に対応する多数の点の3D位置を識別するデータを生成することができる。
【0040】
表面カメラシステムの実施形態の一例が
図3に示されている。
図3は、例示的な表面カメラシステム120の正面斜視図である。この例における表面カメラシステム120は、ヒンジ122を介してブラケット121に接続されたハウジング123を備える。ブラケット121は、表面カメラシステム120が治療室の天井の固定位置に取り付けられることを可能にし、一方、ヒンジ122は、表面カメラシステム120の向きがブラケット121に対して向けられることを可能にし、それにより、表面カメラシステム120は、カウチ150上の患者300を見るように配置されることができる。一対のレンズ125L/125Rが、表面カメラシステム120のハウジングの前面124の両端に取り付けられている。これらのレンズ125L/125Rは、ハウジング123内に収容されたCMOSアクティブピクセルセンサ又は電荷結合素子(図示せず)などの画像捕捉デバイス/カメラの前に位置決めすることができる。カメラ/画像検出器は、レンズ125L/125Rを介して患者300の画像を取り込むように、レンズ125L/125Rの背後に配置されることが好ましい。
【0041】
この例では、スペックルプロジェクタ126は、
図3に示される表面カメラシステム120の2つのレンズ125L/125Rの間のハウジング123の前面124の中央に設けられる。この例におけるスペックルプロジェクタ126は、患者300の画像が表面カメラシステム120内に取り付けられた2つの画像検出器によって取り込まれるときに、取り込まれた画像の対応する部分をより容易に区別することができるように、赤色光などの光の非反復スペックルパターンで患者300を照明するように構成される。そのために、スペックルプロジェクタは、LEDなどの光源と、ランダムなスペックルパターンが印刷されたフィルムとを備える。使用時には、光源からの光がフィルムを介して投射され、その結果、明るい領域と暗い領域とからなるパターンが患者300の表面に投射される。いくつかの監視システムでは、スペックルプロジェクタ126は、患者300の表面上に線または格子パターンの形態で構造化光(例えば、レーザ光)を投影するように配置されたプロジェクタと置き換えられ得る。
【0042】
図4は、処理ユニット130の一例の概略ブロック図である。処理ユニット130が表面カメラシステム120から受信した画像を処理するために、処理ユニット130は、ディスク上に提供されるソフトウェアによって、または通信ネットワークを介して電気信号をいくつかの機能モジュール131~135に受信することによって構成される。この例では、機能モジュール131~135は、表面カメラシステム120から受信した画像を処理するための3D位置決定モジュール131と、3D位置決定モジュール131によって生成されたデータを処理し、データを撮像されたコンピュータ表面の3Dワイヤメッシュモデルに変換するためのモデル生成モジュール132と、撮像された表面の3Dワイヤメッシュモデルを記憶するための生成モデル記憶装置133と、以前に生成された3Dワイヤメッシュモデルを記憶するためのターゲットモデル記憶装置134と、生成モデルをターゲットモデルとマッチングするために必要な回転および並進を決定するためのマッチングモジュール135とを備える。使用時に、表面カメラシステム120によって画像が取得されると、これらの画像は3D位置決定モジュール131によって処理される。この処理は、3D位置決定モジュール131が、患者300の表面上の画像の対における対応する点の3D位置を識別することを可能にする。例示的なシステムでは、これは、3D位置決定モジュール131が、表面カメラシステムによって取得された画像の対における対応する点を識別し、次いで、取得された画像の対における対応する点の相対位置と、表面カメラシステム120のための記憶されたカメラパラメータとに基づいて、それらの点の3D位置を決定することによって達成される。
【0043】
本開示のハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムは、表面カメラシステム120および処理ユニット130の上記の例に限定されない。表面撮像システムのさらなる例は、患者の上に配置され得る、例えば、患者の胸部および/または腹部表面上に配置され得るシートを備える。好ましくは、シートの少なくとも一部は着色されている。表面カメラシステムは、患者およびシートの画像を取得するように動作可能であってもよい。モデル生成モジュールは、表面カメラシステムによって取得された画像を処理して、画像に現れる患者の一部の表面のモデルを生成するように動作可能であってもよい。いくつかの実施形態では、システムは、光のパターンを患者に投影するように動作可能なプロジェクタをさらに備えてもよい。このような実施形態では、好ましくは、シートの着色部分は、投影パターンがシートに対応する画像の部分で容易に見えないように、プロジェクタによって投影された投影光のかなりの割合を吸収するように配置される。これは、投影された光の実質的な割合を吸収するように、シートの色を実質的に黒色にすることによって達成され得る。他の実施形態では、シートの色は、シートの表面上への光の投影が容易には見えないように、投影された光の波長に関連する色に対応するように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、シートは黒色に着色されてもよい。
【0044】
表面カメラシステムは、患者の立体身体表面画像を提供するように適合され得る。処理ユニットは、従って、立体身体表面画像を処理し、患者の胸部の表面のモデルを生成するように構成され得る。
【0045】
放射線治療システムは、従来の2次元ビームシステムであってもよいが、例えば、3次元ビームシステム、強度変調放射線治療(IMRT)システム、又は体積変調アーク治療(VMAT)システムであってもよい。放射線治療システムは、外部ビーム放射線治療システムであってもよい。医療用線形加速器を使用する従来の外部ビーム放射線治療を含む、利用可能な多くの技術が存在する。典型的には、治療は、治療前にシミュレートされる。シミュレーションの目的は、治療されるべきボリュームを正確に標的とするか又は位置特定することである。この技術は、十分に確立されており、一般に迅速で信頼性がある。課題は、一部の高線量治療が、標的腫瘍体積の近くにある健康な組織の放射線毒性能力によって制限され得ることである。他のタイプの放射線治療システムは、定位放射線照射、強度変調放射線治療、及び体積変調アーク治療である。本ハイブリッド連続陽圧及び表面撮像システムは、任意の特定のタイプの放射線治療システムに限定されない。放射線治療システムは、典型的には、標的体積を照射するための放射線ビームを生成するように適合された放射線ビーム生成器を含み得る。
【0046】
腫瘍の動きを追跡するために、蛍光透視法に基づくシステムなどのさらなるシステムを使用することが可能である。
【0047】
制御ユニットは、患者の胸部及び/又は腹部の抽出された高さ又は形状が、患者の胸部及び/又は腹部の予想される高さ又は形状に対して逸脱したときに、放射線ビームの動作を中断するように構成されてもよい。更なる実施形態において、制御ユニットは、放射線ビームを患者の胸部の抽出された高さ又は形状と同期させるように構成される。
【0048】
本開示は、さらに、陽圧ユニットにリアルタイムフィードバックを提供するコンピュータ実装方法であって、放射線治療中に患者の肺に印加される連続的な陽圧から連続的な陽圧データを取得するステップと、表面カメラシステムを使用して前記患者の身体表面画像を連続的に捕捉するステップと、前記身体表面画像に基づいて、印加された前記連続的な陽圧に応答して前記患者の胸部及び/又は腹部の動きを連続的にモデル化するステップと、を含む、方法に関する。
【0049】
図2は、陽圧ユニット(400)にリアルタイムフィードバックを提供する、本開示のコンピュータ実装方法の実施形態による方法のフローチャートを示す。この方法は、放射線治療中に患者の肺に印加される連続的な陽圧から連続的な陽圧データを取得するステップ(410)と、表面カメラシステムを使用して患者の身体表面画像を連続的に捕捉するステップ(420)と、身体表面画像に基づいて、印加された連続的な陽圧に応答して患者の胸部及び/又は腹部の動きを連続的にモデル化するステップ(430)とを含む。本方法は、放射線治療中に患者の肺に持続的な陽圧を印加するステップをさらに含むことができる。本方法は、患者の胸部及び/又は腹部の動きを最小化するために、及び/又は、胸部及び/又は腹部の動きを所定の限度内に維持するように連続的な陽圧を制御するために、連続的な陽圧を最適化するステップを更に含んでもよい。
【0050】
この方法は、命令を有するコンピュータプログラムとして実装されてもよく、この命令は、コンピューティングデバイスまたはコンピューティングシステムによって実行されると、コンピューティングデバイスまたはコンピューティングシステムに、陽圧ユニットにリアルタイムフィードバックを提供する方法を実行させる。非一時的記憶媒体は、命令が具現化されたコンピュータプログラム製品を含むことができ、コンピュータプログラム製品は、コンピューティングデバイスまたはシステムによって実行されると、コンピューティングデバイスまたはシステムに、陽圧ユニットにリアルタイムフィードバックを提供させる。
【外国語明細書】