(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180347
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】メカトロニクス式の駆動モジュール
(51)【国際特許分類】
B23B 31/28 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B23B31/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024095676
(22)【出願日】2024-06-13
(31)【優先権主張番号】23179337
(32)【優先日】2023-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596007164
【氏名又は名称】エスエムヴェー アウトブローク シュパンジステーメ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SMW-Autoblok Spannsysteme GmbH
【住所又は居所原語表記】Wiesentalstrasse 28, D-88074 Meckenbeuren, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エマヌエル ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】エックハート マウラー
【テーマコード(参考)】
3C032
【Fターム(参考)】
3C032KK16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】液圧式に作動するピストンの代替手段としてメカトロニクス式の駆動モジュールを提供する。
【解決手段】ピストン21と軸方向ユニット8とを設け、ピストンを軸方向ユニットに対して相対回動不能に、しかし長手方向では摺動可能に支承するのに対し、軸方向ユニットを回転可能に、しかし長手方向では不動にハウジング内に配置する。両要素はスライドガイドを介して互いに内外に係合し、スライドガイド内でガイドピンがガイドされており、かつスライドガイドが制御カムを有しており、制御カムが長手方向軸線の方向で傾斜している。電動モータにより引き起こされ得る軸方向ユニットの回転は、スライドガイド内の制御カムの形状と、ピストンの相対回動不能な支承とに基づいて、ピストン行程に変換される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モジュールであって、ハウジング(2)と、該ハウジング(2)に関して長手方向軸線(6)の方向で相対回動不能に、しかし長手方向では摺動可能に支承されている、特に緊締手段を押圧操作または引張操作するためのピストン(21)と、を含む駆動モジュールにおいて、
前記ピストン(21)が軸方向ユニット(8)により包囲されており、該軸方向ユニット(8)が、回転可能に、しかし前記長手方向軸線(6)の方向では不動に支承されており、前記軸方向ユニット(8)が回転方向(7)で電動モータにより操作されており、前記ピストン(21)と前記軸方向ユニット(8)との間にスライドガイド(10)が形成されており、該スライドガイド(10)内で、ピストン行程を引き起こすために、少なくとも1つのガイドピン(23)が前記長手方向軸線(6)の方向で傾斜した制御カムに沿ってガイドされていることを特徴とする、駆動モジュール。
【請求項2】
前記軸方向ユニット(8)が2つのカムディスク(9)を有しており、該2つのカムディスク(9)が一緒に前記スライドガイド(10)を形成しており、前記カムディスク(9)が、少なくとも1つの支持スリーブ(11)を介在させながら互いに相対回動不能に結合されていることを特徴とする、請求項1記載の駆動モジュール。
【請求項3】
前記スライドガイド(10)が、同様の複数のスライドガイド区分に分割されており、各スライドガイド区分内にそれぞれ1つのガイドピン(23)がガイドされていることを特徴とする、請求項1または2記載の駆動モジュール。
【請求項4】
3つのスライドガイド区分および3つのガイドピン(23)が、それぞれ120°の間隔で設けられていることを特徴とする、請求項3記載の駆動モジュール。
【請求項5】
前記軸方向ユニット(8)が、該軸方向ユニット(8)を取り囲むリングギア(18)と協働することを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項記載の駆動モジュール。
【請求項6】
前記リングギア(18)が、前記軸方向ユニット(8)上で可動に、しかし中心位置に関してばね弾性的に支承されていることを特徴とする、請求項5記載の駆動モジュール。
【請求項7】
少なくとも2つの支持スリーブ(11)が設けられており、前記支持スリーブ(11)と前記リングギア(18)との間に半径方向ガイドが形成されており、該半径方向ガイドでは、ガイドキー(19)がガイド溝(12)内でガイドされていることを特徴とする、請求項2から6までのいずれか1項記載の駆動モジュール。
【請求項8】
前記ガイド溝が少なくとも1つのトラフ状の拡幅部(13)を有しており、前記トラフ状の拡幅部(13)内に、力伝達のための連行体(20)が収容されていることを特徴とする、請求項7記載の駆動モジュール。
【請求項9】
前記連行体(20)が、両側で前記トラフ状の拡幅部(13)の端面側の端部に対して圧縮ばね(14)により支持されていることを特徴とする、請求項8記載の駆動モジュール。
【請求項10】
前記ハウジング(2)に電動モータ(15)が対応配置されており、該電動モータ(15)が、直接的に、または伝動装置(16)を介在させながら間接的に前記リングギアと協働することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の駆動モジュール。
【請求項11】
前記電動モータ(15)に、遊星歯車伝動装置および/または平歯車伝動装置が対応配置されていることを特徴とする、請求項10記載の駆動モジュール。
【請求項12】
前記電動モータ(15)に、力を制御するための、力センサにデータ接続されたマイクロコントローラが対応配置されていることを特徴とする、請求項10または11記載の駆動モジュール。
【請求項13】
前記リングギア(18)に、保持ブレーキ(17)、好適には無電流で制動する電気的な保持ブレーキ(17)が対応配置されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の駆動モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モジュールであって、ハウジングと、このハウジングに関して長手方向軸線の方向で相対回動不能に、しかし長手方向では摺動可能に支承されている、特に緊締手段を押圧操作または引張操作するためのピストンと、を含む駆動モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
操作のために操作力を必要とする様々な種類の緊締手段を工作機械において使用することは、既に以前から知られている。この操作力は、通常、液圧シリンダによって加えられる。液圧シリンダは、工作機械内に挿入され、かつ液圧シリンダのピストンは、引張力および押圧力を加えることを可能にするために緊締手段に結合されることができる。
【0003】
したがって、例えば旋盤の主軸台において作業空間の領域にパワークランプ、例えばコレットチャックまたはマンドレルチャックが取り付けられる。パワークランプの背後に、つまりパワークランプに緊締された工作物とは反対の側に液圧シリンダが続いており、液圧シリンダは、そのタイバーを介して力をパワークランプに伝達する。
【0004】
しかし、液圧用途にとって、通常は液圧油の供給が必要であるので、ホース導管を敷かなければならない。したがって、常に複数の媒体を用いて、通常は少なくとも電気エネルギおよび液圧を用いて作業しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この背景から、本発明の根底を成す課題は、従来技術のこれらの欠点を克服し、公知の液圧ピストンに対して同等の代替手段を成す駆動モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項1に記載の特徴を備えた駆動モジュールによって解決される。このような駆動モジュールの有意な構成は、続く従属請求項から看取することができる。
【0007】
その限りでは、駆動モジュールであって、ハウジングと、このハウジングに関して長手方向軸線の方向で相対回動不能に、しかし長手方向では摺動可能に支承されている、特に緊締手段を押圧操作または引張操作するためのピストンと、を含む駆動モジュールが規定されている。この駆動モジュールは、本発明によれば、ピストンが軸方向ユニットにより包囲されており、軸方向ユニットが、回転可能に、しかし長手方向軸線の方向では不動に支承されており、軸方向ユニットが回転方向で電動モータにより操作されており、ピストンと軸方向ユニットとの間にスライドガイドが形成されており、スライドガイド内で、ピストン行程を引き起こすために、少なくとも1つのガイドピンが長手方向軸線の方向で傾斜した制御カムに沿ってガイドされていることを特徴とする。
【0008】
つまり、本発明は、力を伝達するためのピストンが存在しており、ピストンは、液圧式ピストンにおけるものと同様の圧力を緊締手段に、あるいは本発明を制約なしに同様に使用することができる別の用途が所望されている限りその用途に、作用させることを規定する。このために、ピストンは、ピストンがハウジングまたは軸方向ユニットに対して回転することができず、専ら長手方向軸線の方向で、つまり例えば緊締手段、あるいは任意の別の用途のような接続された装置の方向に出されるか、または反対方向に引き抜かれ得るように支承されている。これは、例えばピストンに少なくとも1つのガイドピンが設けられており、このガイドピンが、軸方向ユニットのスライドガイド、つまりガイド溝内でガイドされていることによって行われる。
【0009】
運動学的な反転の意図において、少なくとも1つのガイドピンが軸方向ユニットに取り付けられていて、ピストンのスライドガイドまたはガイド溝内に係合していることが規定されていてもよい。しかし、以下では、最初に述べられた解決手段が話題になっている場合、このことは常に逆の配置形式にも適用され得る。
【0010】
さらに、軸方向ユニットは、専ら長手方向軸線を中心として回転させられるが、その長手方向軸線の方向または反対方向には摺動され得ない。したがって、軸方向ユニットの回転中に、少なくとも1つのガイドピンがスライドガイドに沿って運動する。スライドガイドが環状溝であるならば、ガイドピンに固定的に結合されているピストンは運動しないだろう。長手方向軸線に対して傾斜を有する制御カムを備えたスライドガイドの賦形に基づいて、ガイドピンは軸方向ユニットの回転中に制御カムの方向に押圧され、これによりガイドピンに結合されたピストンが摺動させられる。これは両方向で機能する。ピストン行程は、スライドガイドにおける、軸方向ユニットの回転中に進む経路上での制御カムの上昇に相当する。
【0011】
したがって、軸方向ユニットの純粋に電動モータによる駆動に基づいて、力伝達のために、専ら駆動モジュールへの電流供給だけが必要であり、別の媒体は不要である。
【0012】
具体的な構成では、このような駆動モジュールの軸方向ユニットは2つのカムディスクを有していてよく、2つのカムディスクは一緒にスライドガイドを形成しており、かつこの場合に少なくとも1つの支持スリーブを介在させながら互いに相対回動不能に結合されている。特に、カムディスクは、半径方向では単純な丸いディスクであってよく、これらのディスクは、長手方向でそれらの縁部に沿ってそれぞれ、スライドガイド通路の壁部を形成しているので、ガイドピンは、互いに対峙している壁部の間でガイドされており、軸方向ユニットの回転中に、長手方向軸線の方向に押圧される。
【0013】
さらに、スライドガイドは、同様の複数のスライドガイド区分に分割されていてよい。このような場合には、発生する力は、ピストンと軸方向ユニットとの周面にわたってより一様に分配され、これにより傾きが阻止される。ここで、各スライドガイド区分は、隣接しているスライドガイド区分と同様に延びているが、所定の角度だけずらされている。
【0014】
3つのガイドピンの使用が特に有利であると見なされるので、スライドガイドは、3つの同様のスライドガイド区分に分割されており、スライドガイド区分の各点は、120°の回転後に繰り返される。この場合、相応して、ガイドピンも互いに120°ずらされている。
【0015】
長手方向軸線を中心として軸方向ユニット自体を回転運動させるために、軸方向ユニットが、この軸方向ユニットを取り囲むリングギアと協働することが規定されていてよい。リングギアは、特に軸方向ユニットを緊密に包囲していてよく、これにより、リングギアに作用する力が軸方向ユニットに伝達される。単純な第1の構成では、これは、リングギアが軸方向ユニットに遊びなしに結合されている場合に直接行うことができる。したがって、リングギアに導入された各力が軸方向ユニットに直接伝達される。しかし、これは、例えばパワークランプにおいて駆動モジュールを使用する場合に、緊締力の形成は、パワークランプをさらに送ることなしでは不可能であるという欠点を有している。したがって、好適には、リングギアが、軸方向ユニット上で可動であるが、中心位置に関してばね弾性的に支承されている。上述した場合に、パワークランプが、例えば工作物が把持されるためにストッパ位置に達すると、引き続き力がリングギアに加えられてよく、この力は軸方向ユニットに対してリングギアのばね装置に導入される。したがって、工作物に力が加えられた場合に、ばね力に基づいてパワークランプが後緊締され、このためにリングギアを再度モータにより始動する必要はない。このシステムは、必要な場合に自動的に緊締されるので、工作物は常に確実に保持されている。
【0016】
リングギアの支承部の具体的な構成では、軸方向ユニットに少なくとも2つの支持スリーブが設けられており、支持スリーブとリングギアとの間に半径方向ガイドが形成されていてよく、この半径方向ガイドでは、ガイドキーがガイド溝内でガイドされている。これにより、軸方向ユニットに対するリングギアの運動時に、リングギアは紛失不能にガイドされている。リングギアおよび軸方向ユニットに溝を形成することも可能である。しかし、軸方向ユニットがいずれにせよ2つのカムディスクを含んでおり、これにより多層に構成されているので、支持スリーブが、ガイド溝を形成し、軸方向ユニットの一部であると好適である。
【0017】
ガイド溝は、さらにトラフ状の拡幅部を有していてよく、このトラフ状の拡幅部内に、力伝達のための連行体が収容されている。同様に、ガイド溝が軸方向ユニットに対応配置されている限り、このことは、連行体がリングギアに固く結合されていて、必要に応じてリングギアと一体的に形成されていることを意味する。連行体は、溝の拡幅部内に位置しており、別の利点によれば両側で、トラフ状の拡幅部の端面側の端部に対して圧縮ばねを用いて支持されていてよい。この圧縮ばねは、ピストンに例えば結合されたパワークランプの当接位置への到達後に、別のエネルギを吸収し、これによりパワークランプを工作物に対して後緊締することができる。
【0018】
リングギアを駆動するために、駆動モジュールにハウジング内で電動モータが対応配置されていてよく、電動モータは、直接的に、または伝動装置を介在させながら間接的にリングギアと協働する。特に有利には、電動モータに遊星歯車伝動装置が直接に対応配置されていてよく、これにより高いトルクの伝達が可能になる。この場合、平歯車伝動装置によって、リングギアへのトルクの伝達を行うことができる。
【0019】
さらに、電動モータに、力を制御するための、力センサにデータ接続されたマイクロコントローラが対応配置されていることが規定されていてよい。このような解決手段では、センサが、パワークランプによって実際に加えられる力を検出し、電動モータの駆動制御を対応して閉ループ制御する。
【0020】
電動モータのスイッチオフ後のリングギアの望ましくない運動を阻止するために、最終的にリングギアに、保持ブレーキ、好適には無電流で制動する電気的な保持ブレーキが対応配置されていてよい。この保持ブレーキは、特に上述の平歯車伝動装置を介してリングギアと協働することができる。
【0021】
以下に、上述の本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】メカトロニクス式の駆動モジュールを斜め上から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示した駆動モジュールを示す部分的な斜視断面図である。
【
図3】軸方向モジュールとリングギアとを備えた、
図2に示した駆動モジュールのピストンを側方から見た部分断面図である。
【
図4】支持スリーブおよびリングギアを備えた、
図3に示した軸方向モジュールのカムディスクを備えたピストンを示す部分的な斜視断面図である。
【
図5】リングギアとピストンとを備えた完全な軸方向モジュールを斜め上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は駆動モジュール1を示しており、この駆動モジュール1は、液圧ピストンに対する純粋に電気機械的な代替手段として設けられている。このために、駆動モジュール1はピストン21を有しており、ピストン21は、駆動モジュール1のハウジング2内にセンタリングされて収容されており、純粋に電気機械的に長手方向軸線6に沿ってハウジング2から出るように、かつハウジング2内へと摺動されることができる。この場合、駆動モジュール1は、機能的に、液圧ピストンに課される全ての要求を同様に満たすように構成されている。したがって、駆動モジュールは、ねじ締結部3を介して機械主軸に結合されてよく、これにより機械主軸において保持されることができる。センタリング縁部4は、接続すべき緊締手段に対して平面当付けされる働きをし、緊締手段自体は、ピストン接続部22を介してピストン21に結合されることができるので、緊締手段に、押圧および引張するように負荷を加えることができる。付加的に必要な電気エネルギを供給することだけが必要であるが、この電気エネルギは、機械主軸を介して供給することができる。
【0024】
図2は、ハウジングの構造を示している。本アセンブリは、円対称に構成されている。ピストン21と、このピストン21を包囲する軸方向ユニット8との周囲に配置された部分は三重に使用されているが、これはある程度調整可能である。伝動装置16および保持ブレーキ17を備えた3つの電動モータ15の代わりに、一方では軸方向ユニットへの力を増大させるために、他方では力の均一な入力を確実にするために、かつねじり力の発生を回避するために、より少ない電動モータまたはより多い電動モータを使用することもできる。
【0025】
ピストン21は、ピストンが相対回動不能に、しかし長手方向で摺動可能であるようにハウジング内に収容されるように、ハウジング2の内部に支承されている。本アセンブリは、具体的には、最大6mmまでのピストン行程のために適している。この行程を達成するために、電動モータ15は、伝動装置16を介在させてリングギア18に作用する。このリングギア18は、半径方向で可動の、しかし長手方向6では位置固定された軸方向ユニット8を取り囲んでいる。保持ブレーキ17の助けにより、電動モータ15の回転の終了後に、リングギア18が戻し力に基づいて再び反対方向に回転することを回避することができる。シール5を用いて、埃および汚れに対して密閉されたピストン21の支承が行われる。
【0026】
リングギア18が最終的に電動モータ15によって回転されると、この回転は軸方向ユニット8に伝達される。
図3は、軸方向ユニット8の回転に基づいて、ピストン行程が引き起こされることを示している。実質的に円柱形のピストン21は、その周面に複数のガイドピン23を有している。これらのガイドピン23には、より良好な支承のために、それぞれ1つの滑り軸受24が被せ嵌められている。軸方向ユニット8のカムディスク9は、互いに結合された環状ディスクであり、これらの環状ディスクは、その内側の縁部に互いに面した突出部を有しており、これらの突出部は、対応する制御カムを形成している。これによりカムディスク9は一緒に1つのスライドガイド10を形成しており、スライドガイドは、長手方向軸線6に対して傾斜している。このスライドガイドは、ピストン21の各ガイドピン23のために繰り返されており、つまり3つのガイドピン23が配置されている場合には、120°のずれで3回繰り返されている。ピストンがハウジング2に対して連れ回されることができないように働く回転防止部25によって、ガイドピン23は、回転方向7での軸方向ユニット8の回転に基づいて、スライドガイド10内で運動しなければならないようになっており、この場合、長手方向6での運動成分を有しており、これがピストン行程を引き起こす。回転防止部は溝として実現されており、ハウジング2に設けられた対応する対向部材を有している。溝と対向部材とは、ピストンが相対回動不能に、しかし長手方向では摺動可能に支承されたままであるように、キーを介して結合されている。
【0027】
図4には、さらに、ピストン21を取り囲むように配置された軸方向ユニット8のカムディスク9がどのように接合されているのかが示されている。これは、カムディスク9にねじ締結されている2つの支持スリーブ11によって行われる。支持スリーブ11はガイド溝12を空けており、このガイド溝12内で、リングギア18の対応するガイドキー19が半径方向で摺動可能にガイドされている。これにより、リングギア18は軸方向ユニット8に対して可動であるが、連行体20を有しており、この連行体20は、リングギア18にその内面において本実施形態ではやはり120°毎に、ガイドキー19を取り囲むように設けられている。
【0028】
連行体20は、この連行体に取り付けられたリングギア18と一緒に、
図5においてもう一度、完全な軸方向ユニット8およびピストン21と一緒に図示されている。連行体20は、ガイド溝12の拡幅部13内に位置しており、拡幅部13も同様に120°毎に設けられている。連行体20の両側には圧縮ばね14が配置されており、圧縮ばね14により、連行体20は、トラフ状の拡幅部13の端面側の端部に対して支持されており、これにより、ピストン21に場合によっては結合された緊締手段の当付けが達成された後に、およびその限りにおいて発生するピストン21の当接後に、リングギア18が引き続き回転した場合に付加的な緊締を発生させることができる。例えば、工作物の機械的な加工の結果として緊締手段の干渉が緩むと、圧縮ばね14内に貯えられた力に基づく後緊締が行われ、かつ電動モータ15の付加的な始動が後緊締のためには不要であり、それにもかかわらず工作物は確実に保持されている。
【0029】
したがって、前述したのは、従来技術の公知の欠点を克服し、公知の液圧ピストンの同等の代替手段を成す駆動モジュールである。
【符号の説明】
【0030】
1 駆動モジュール
2 ハウジング
3 ねじ締結部
4 センタリング縁部
5 シール
6 長手方向軸線
7 回転方向
8 軸方向ユニット
9 カムディスク
10 スライドガイド
11 支持スリーブ
12 ガイド溝
13 拡幅部
14 圧縮ばね
15 電動モータ
16 伝動装置
17 保持ブレーキ
18 リングギア
19 ガイドキー
20 連行体
21 ピストン
22 ピストン接続部
23 ガイドピン
24 滑り軸受
25 回転防止部
【外国語明細書】