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特開2024-180350半導体装置、及び半導体装置の作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180350
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】半導体装置、及び半導体装置の作製方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20241219BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20241219BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20241219BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241219BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241219BHJP
   H10K 59/121 20230101ALI20241219BHJP
   H10K 71/20 20230101ALI20241219BHJP
   H10K 71/40 20230101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L29/78 619A
H01L29/78 626A
G02F1/1368
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/00 338
H10K59/121 213
H10K71/20
H10K71/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096062
(22)【出願日】2024-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2023099244
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】神長 正美
(72)【発明者】
【氏名】土橋 正佳
(72)【発明者】
【氏名】肥塚 純一
【テーマコード(参考)】
2H192
3K107
5C094
5F110
5G435
【Fターム(参考)】
2H192AA24
2H192CB03
2H192CB37
2H192CC02
2H192CC42
2H192EA74
2H192HA64
2H192HA90
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC21
3K107CC33
3K107CC35
3K107EE04
3K107FF15
3K107GG28
5C094AA05
5C094AA15
5C094AA21
5C094AA31
5C094BA03
5C094BA23
5C094BA27
5C094BA43
5C094CA19
5C094DA15
5C094DB04
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB02
5C094FB15
5C094GB10
5C094HA01
5C094HA06
5C094HA07
5C094HA08
5C094JA08
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5F110CC09
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5F110EE05
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5F110EE24
5F110EE30
5F110EE42
5F110EE43
5F110EE44
5F110EE45
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5F110FF03
5F110FF04
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5F110FF29
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5F110GG03
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5F110QQ19
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5G435KK05
5G435LL03
5G435LL04
5G435LL07
5G435LL08
5G435LL14
5G435LL19
(57)【要約】
【課題】微細化と高い信頼性を兼ね備えたトランジスタを提供する。
【解決手段】半導体装置はトランジスタと第1の絶縁層を有する。トランジスタは、第1乃至第3の導電層、半導体層、第2の絶縁層を有する。第1の絶縁層は、第1の層と、当該第1の層上の第2の層を有する。第1の絶縁層は第1の導電層上に位置し、第1の導電層に達する第1の開口を有する。第2の導電層は第2の層上に位置する。半導体層は第1の導電層及び第2の導電層と接し、第1の開口の内側における第1の層の側面と接する。第2の絶縁層は第1の開口内において半導体層を覆い、第3の導電層は第1の開口内において第2の絶縁層を覆う。第1の絶縁層は第1の開口とは異なる位置に第2の開口を有する。第2の開口の内側において第2の絶縁層は第1の層と接する。第1の層は酸化物絶縁膜を含み、第2の層は酸素バリア性を有する絶縁膜を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタと、第1の絶縁層と、を有し、
前記トランジスタは、第1の導電層、第2の導電層、第3の導電層、半導体層、及び第2の絶縁層を有し、
前記第1の絶縁層は、第1の層と、当該第1の層上の第2の層と、を有し、
前記第1の絶縁層は、前記第1の導電層上に位置し、且つ前記第1の導電層に達する第1の開口を有し、
前記第2の導電層は、前記第2の層上に位置し、
前記半導体層は、前記第1の導電層と接する部分と、前記第2の導電層と接する部分と、前記第1の開口の内側における前記第1の層の側面と接する部分と、を有し、
前記第2の絶縁層は、前記第1の開口内において前記半導体層を覆い、
前記第3の導電層は、前記第1の開口内において前記第2の絶縁層を覆い、
前記第1の絶縁層は、前記第1の開口とは異なる位置に第2の開口を有し、
前記第2の開口の内側において、前記第2の絶縁層は前記第1の層と接する部分を有し、
前記第1の層は、酸化物絶縁膜を含み、
前記第2の層は、酸素バリア性を有する絶縁膜を含む、
半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の開口は、平面視において前記第2の導電層とは重ならない位置に設けられる、
半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2の開口は、前記第3の導電層と重なる部分を有する、
半導体装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記第2の開口は、前記第1の導電層と重なる部分を有する、
半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記第2の開口は、前記第2の層を貫通し、前記第1の層に達する、
半導体装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1の層は、前記第2の開口と重なる凹部を有し、
前記第2の開口の内側において、前記第2の絶縁層は、前記第1の層の凹部の表面と接する、
半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記第2の開口は、前記第2の層及び前記第1の層を貫通し、
前記第2の開口の内側において、前記第2の絶縁層は、前記第1の絶縁層の側面と接する、
半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記第1の絶縁層は、前記第1の層よりも下に第3の層を有し、
前記第2の開口は、前記第2の層及び前記第1の層を貫通し、且つ前記第3の層に達する、
半導体装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
前記第1の絶縁層は、前記第1の層よりも下に第3の層を有し、
前記第2の開口は、前記第2の層、前記第1の層、及び前記第3の層を貫通する、
半導体装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記第1の層は、酸化シリコンを含み、
前記第2の層は、窒化シリコン、または酸化アルミニウムを含む、
半導体装置。
【請求項11】
請求項1において、
平面視において、前記第1の開口と前記第2の開口との最短距離は、0.1μm以上100μm以下である、
半導体装置。
【請求項12】
第1の導電層上に、第1の層と、第2の層とを形成し
前記第2の層上に第2の導電層を形成し、
前記第1の層と前記第2の層に、前記第1の導電層に達する第1の開口と、前記第1の開口と離隔した位置に第2の開口と、を形成し、
前記第1の開口及び前記第2の開口を覆い、且つ、前記第1の導電層及び前記第2の導電層のそれぞれと接する半導体膜を形成した後に加熱処理を行い、
前記半導体膜の一部をエッチングして、前記第2の開口を露出させ、
前記半導体膜及び前記第2の開口を覆う絶縁層を形成し、
前記絶縁層上に、前記半導体層と重なる第3の導電層を形成し、
前記第1の層は、酸化物絶縁膜を含み、
前記第2の層は、酸素バリア性を有する絶縁膜を含む、
半導体装置の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、及びその作製方法に関する。本発明の一態様は、トランジスタ、及びその作製方法に関する。本発明の一態様は、半導体装置を備える表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
トランジスタの微細化が求められている。例えば表示装置においては、画素に用いられるトランジスタの占有面積が小さいほど、画素のサイズを縮小できるため高精細化が可能となる。また、単位面積あたりに配置することのできるトランジスタを増やせるため、画素のサイズを大きくすることなく、画素内に多くのトランジスタを配置することができ、例えば補正機能などを画素に組み込むことができる。
【0004】
近年、ディスプレイパネルの高精細化が進められている。高精細なディスプレイパネルが要求される機器として、タブレット端末、スマートフォン、腕時計型端末のほか、例えば仮想現実(VR:Virtual Reality)、または拡張現実(AR:Augmented Reality)向けの機器が、近年盛んに開発されている。高精細なディスプレイパネルには、有機EL(Electro Luminescence)素子、または発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光素子が主に用いられている。
【0005】
特許文献1には、有機ELデバイス(有機EL素子ともいう)を用いた、高精細な表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016/038508号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
トランジスタは、微細化に加えて高い信頼性が望まれる。特に表示装置の画素にトランジスタを適用する場合では、トランジスタの電気特性の変動が、画素ごとの色、明るさなどのばらつきに大きく影響を及ぼす場合がある。特にVR向けの機器の場合、このような表示不良により没入感が低下してしまう恐れがある。
【0008】
本発明の一態様は、微細化が可能なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、高密度にトランジスタを配置可能な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、電気特性が良好なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、大きな電流を流すことのできるトランジスタを提供することを課題の一とする。または、チャネル長の極めて小さなトランジスタを提供することを課題の一とする。または、占有面積の小さなトランジスタを提供することを課題の一とする。または、微細化と高い信頼性を兼ね備えたトランジスタを提供することを課題の一とする。または、高精細化が容易な表示装置を提供することを課題の一とする。または、信頼性の高いトランジスタ、半導体装置、または表示装置を提供することを課題の一とする。
【0009】
本発明の一態様は、新規な構成を有する半導体装置、表示装置、または電子機器を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、先行技術の問題点の少なくとも一を、少なくとも軽減することを課題の一とする。
【0010】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、トランジスタと第1の絶縁層とを有する半導体装置である。トランジスタは、第1の導電層、第2の導電層、第3の導電層、半導体層、及び第2の絶縁層を有する。第1の絶縁層は、第1の層と、当該第1の層上の第2の層とを有する。第1の絶縁層は、第1の導電層上に位置し、且つ第1の導電層に達する第1の開口を有する。第2の導電層は第2の層上に位置する。半導体層は、第1の導電層と接する部分と、第2の導電層と接する部分と、第1の開口の内側における第1の層の側面と接する部分とを有する。第2の絶縁層は、第1の開口内において半導体層を覆い、第3の導電層は、第1の開口内において第2の絶縁層を覆う。第1の絶縁層は、第1の開口とは異なる位置に第2の開口を有する。第2の開口の内側において、第2の絶縁層は第1の層と接する部分を有する。第1の層は酸化物絶縁膜を含み、第2の層は酸素バリア性を有する絶縁膜を含む。
【0012】
また、上記において、第2の開口は、平面視において第2の導電層とは重ならない位置に設けられることが好ましい。このとき、第2の開口は、第3の導電層と重なる部分を有することが好ましい。また、第2の開口は、第1の導電層と重なる部分を有することが好ましい。
【0013】
また、上記いずれかにおいて、第2の開口は、第2の層を貫通し、第1の層に達することが好ましい。このとき、第1の層は、第2の開口と重なる凹部を有することが好ましい。さらに第2の開口の内側において、第2の絶縁層は第1の層の凹部の表面と接することが好ましい。
【0014】
また、上記いずれかにおいて、第2の開口は、第2の層及び第1の層を貫通することが好ましい。さらに、第2の開口の内側において、第2の絶縁層は第1の絶縁層の側面と接することが好ましい。
【0015】
また、上記いずれかにおいて、第1の絶縁層は、第1の層よりも下に第3の層を有することが好ましい。さらに第2の開口は、第2の層及び第1の層を貫通し、且つ第3の層に達することが好ましい。
【0016】
また、上記いずれかにおいて、第1の絶縁層は、第1の層よりも下に第3の層を有することが好ましい。さらに第2の開口は、第2の層、第1の層、及び第3の層を貫通することが好ましい。
【0017】
また、上記において、第1の層は酸化シリコンを含み、第2の層は窒化シリコン、または酸化アルミニウムを含むことが好ましい。
【0018】
また、上記において、平面視における第1の開口と第2の開口との最短距離は、0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0019】
また、本発明の他の一態様は、以下の工程を含む半導体装置の作製方法である。すなわち、第1の導電層上に第1の層と第2の層とを形成し、第2の層上に第2の導電層を形成し、第1の層と第2の層に第1の導電層に達する第1の開口と、第1の開口と離隔した位置に第2の開口とを形成し、第1の開口及び第2の開口を覆い、且つ、第1の導電層及び第2の導電層のそれぞれと接する半導体膜を形成した後に加熱処理を行い、半導体膜の一部をエッチングして第2の開口を露出させ、半導体膜及び第2の開口を覆う絶縁層を形成し、絶縁層上に半導体層と重なる第3の導電層を形成する。ここで、第1の層は酸化物絶縁膜を含み、第2の層は酸素バリア性を有する絶縁膜を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、微細化が可能なトランジスタを提供できる。または、高密度にトランジスタを配置可能な半導体装置を提供できる。または、電気特性が良好なトランジスタを提供できる。または、大きな電流を流すことのできるトランジスタを提供できる。または、チャネル長の極めて小さなトランジスタを提供できる。または、占有面積の小さなトランジスタを提供できる。または、微細化と高い信頼性を兼ね備えたトランジスタを提供できる。または、高精細化が容易な表示装置を提供できる。または、信頼性の高いトランジスタ、半導体装置、または表示装置を提供できる。
【0021】
本発明の一態様によれば、新規な構成を有する半導体装置、表示装置、または電子機器を提供できる。本発明の一態様によれば、先行技術の問題点の少なくとも一を、少なくとも軽減できる。
【0022】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1(A)乃至図1(C)は、半導体装置の構成例である。
図2図2(A)及び図2(B)は、半導体装置の構成例である。
図3図3(A)乃至図3(C)は、半導体装置の構成例である。
図4図4(A)乃至図4(C)は、半導体装置の構成例である。
図5図5(A1)乃至図5(D2)は、半導体装置の構成例である。
図6図6(A)及び図6(B)は、半導体装置の構成例である。
図7図7(A)乃至図7(C)は、半導体装置の構成例である。
図8図8(A)乃至図8(C)は、半導体装置の構成例である。
図9図9(A)乃至図9(C)は、半導体装置の作製方法を説明する図である。
図10図10(A)乃至図10(C)は、半導体装置の作製方法を説明する図である。
図11図11は、表示装置の構成例である。
図12図12は、表示装置の構成例である。
図13図13は、表示装置の構成例である。
図14図14は、表示装置の構成例である。
図15図15は、表示装置の構成例である。
図16図16(A)乃至図16(F)は、表示装置の作製方法を説明する図である。
図17図17(A)乃至図17(D)は、電子機器の構成例である。
図18図18(A)乃至図18(F)は、電子機器の構成例である。
図19図19(A)乃至図19(G)は、電子機器の構成例である。
図20図20(A)は光学顕微鏡像であり、図20(B)は断面STEM像である。
図21図21は、トランジスタの電気特性の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0025】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチングパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0026】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0027】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0028】
また、「ソース」と「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合、または回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」と「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0029】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極または配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、コイル、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
【0030】
なお、本明細書等において「上面形状が概略一致」とは、積層した層と層との間で少なくとも輪郭の一部が重なることをいう。例えば、上層と下層とが、同一のマスクパターン、または一部が同一のマスクパターンにより加工された場合を含む。ただし、厳密には輪郭が重なり合わず、上層が下層の内側に位置すること、または上層が下層の外側に位置することもあり、この場合も「上面形状が概略一致」という場合がある。
【0031】
なお、本明細書等において、ある構成要素の上面形状とは、その平面視における当該構成要素の輪郭形状のことを言う。また平面視とは、当該構成要素の被形成面、または当該構成要素が形成される支持体(例えば基板)の表面の法線方向から見ることを言う。
【0032】
なお、以下では「上」、「下」などの向きを示す表現は、基本的には図面の向きと合わせて用いるものとする。しかしながら、説明を容易にするためなどの目的で、明細書中の「上」または「下」が意味する向きが、図面とは一致しない場合がある。一例としては、積層体等の積層順(または形成順)などを説明する場合に、図面において当該積層体が設けられる側の面(被形成面、支持面、接着面、平坦面など)が当該積層体よりも上側に位置していても、被形成面側を下、積層体側を上、などと表現する場合がある。
【0033】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「絶縁層」という用語は、「絶縁膜」という用語に相互に交換することが可能な場合がある。
【0034】
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
【0035】
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
【0036】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタ、及びその作製方法例について説明する。
【0037】
本発明の一態様のトランジスタは、半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極、第1の電極、及び第2の電極を有する。第1の電極は、ソース電極及びドレイン電極の一方として機能し、第2の電極は、その他方として機能する。
【0038】
第2の電極は、第1の電極よりも上方に設けられる。第1の電極と第2の電極との間には、層間絶縁層(スペーサともいう)として機能する絶縁層が設けられる。スペーサには、第1の電極に達する開口が設けられており、半導体層は、第1の電極、第2の電極、及び絶縁層の開口内の側壁(側面ともいう)に接して設けられている。そして、開口内に位置する半導体層を覆ってゲート絶縁層とゲート電極が設けられている。
【0039】
上記のような構成のトランジスタは、ソース電極とドレイン電極とが異なる高さに位置しているため、半導体を流れる電流は高さ方向に流れることとなる。すなわち、チャネル長方向が高さ方向(縦方向)の成分を有するということができるため、本発明の一態様のトランジスタは、VFET(Vertical Field Effect Transistor)、縦型トランジスタ、縦型チャネルトランジスタ、などとも呼ぶことができる。トランジスタは、ソース電極、半導体、及びドレイン電極を、それぞれ重ねて設けることが可能となるため、半導体を平面上に配置した、いわゆるプレーナ型のトランジスタ(横型トランジスタ、LFET(Lateral FET)などとも呼ぶことができる)と比較して、占有面積を大幅に縮小することができる。
【0040】
上述した縦型トランジスタを表示装置に適用することで、従来の横型トランジスタを適用した表示装置と比較して、トランジスタの占有面積を縮小することができるため、画素の縮小、開口率の向上などが可能となる。また画素の面積を増やすことなく、画素に配置することのできるトランジスタの数を増やせるため、画素の多機能化を実現することもできる。これにより、従来よりも精細度の高い表示装置、信頼性の高い表示装置、消費電力の低い表示装置などを実現することができる。
【0041】
半導体層には、半導体特性を示す金属酸化物(酸化物半導体)を適用することが好ましい。酸化物半導体はアモルファスシリコンよりも高い移動度を示し、且つ、結晶性シリコン(多結晶シリコンまたは単結晶シリコン)よりも生産性に優れるといった特徴を有するため、酸化物半導体を用いることで、低コストで高性能な表示装置を実現することができる。
【0042】
半導体層の、スペーサとして機能する絶縁層と接する部分に、チャネル形成領域が設けられる。電気特性が良好なトランジスタとするためには、半導体層の当該チャネル形成領域における酸素欠損が、十分に低減されていることが好ましい。そこで、スペーサとして機能する絶縁層として、加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。これにより、トランジスタの作製工程中の熱により絶縁層から放出された酸素が半導体層に供給され、半導体層のチャネル形成領域中の酸素欠損を低減することができる。これにより、ノーマリオフの良好な電気特性を実現することができる。
【0043】
さらに、当該絶縁層は、加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜と、その上の酸素に対してバリア性を有するバリア絶縁膜と、の積層構造を有することが好ましい。これにより、酸化物絶縁膜に含まれる酸素が、工程中の熱によりその上面から外部に放出され、半導体層への酸素の供給が不十分となることを防ぐことができる。
【0044】
絶縁層に含まれる酸素が多いほど、半導体層に多く酸素を供給できる。一方、絶縁層に含まれる酸素が多すぎると、半導体層と絶縁層との間に存在する過剰な酸素により、却ってトランジスタの信頼性を損なう場合がある。より具体的には、半導体層と絶縁層との界面に電荷が溜まることで、トランジスタの電気特性の変動が生じてしまう場合がある。そのため、絶縁層に含まれる酸素の量を適切なものとすることが好ましい。
【0045】
そこで、絶縁層には、トランジスタが設けられる開口の周辺に、工程中に絶縁層から酸素を外部に放出するための脱気部を設ける。より具体的には、絶縁層が有するバリア絶縁膜の一部に開口を設ける。これにより、絶縁層が有する酸化物絶縁膜中の酸素の一部は、工程中の熱などにより脱気部から外部に放出されるため、酸化物絶縁膜中の酸素の量を適切なものとすることができ、半導体層に適切な量の酸素を供給しつつ、過剰な酸素が半導体層と絶縁層の界面に留まることを防ぐことができる。これにより、電気特性が良好で、且つ信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0046】
以下では、より具体的な例について図面を参照して説明する。
【0047】
[構成例]
図1(A)に、トランジスタ10及びその周辺の構成についての平面図を示す。図1(B)、(C)にはそれぞれ図1(A)中の切断線A-B、C-Dに対応する断面概略図を示している。なお図1(A)では、一部の構成要素(絶縁層など)を省略している。
【0048】
トランジスタ10は、基板11上に設けられる絶縁層12上に設けられる。絶縁層12は、下地絶縁層として機能する。トランジスタ10は、半導体層21と、一部がゲート絶縁層として機能する絶縁層22と、一部がゲート電極として機能する導電層23と、一部がソース電極及びドレイン電極の一方として機能する導電層24と、一部がその他方として機能する導電層25と、を有する。
【0049】
絶縁層12上に導電層24が設けられ、導電層24上に絶縁層41が設けられる。絶縁層41上には導電層25が設けられる。絶縁層41は、導電層24に達する開口20を有する。またここでは、導電層25にも、開口20と重なる開口が設けられている例を示している。なお、導電層25は必ずしも開口を有する必要はなく、絶縁層41上であって開口20の近傍に設けることができる。
【0050】
絶縁層41は、導電層24と導電層25とを絶縁するスペーサとして機能する。絶縁層41は、絶縁層12側から絶縁層41a、絶縁層41b、及び絶縁層41cの3層が積層された構成を有する。導電層24の上面は絶縁層41aと接する。導電層25は絶縁層41c上に設けられる。絶縁層41a、絶縁層41b、及び絶縁層41cは、それぞれ絶縁膜とも呼ぶことができる。
【0051】
半導体層21は、開口20内及びその近傍において、導電層25の上面と接する部分、導電層25の側面と接する部分、絶縁層41cの側面と接する部分、絶縁層41bの側面と接する部分、絶縁層41aの側面と接する部分、及び導電層24の上面と接する部分を有する。
【0052】
絶縁層22は、絶縁層41、導電層25、半導体層21、及び導電層24を覆って設けられる。開口20内に着目すると、絶縁層22は、半導体層21の凹状の上面に沿って設けられる。
【0053】
また、導電層23は絶縁層22を覆って設けられる。開口20内に着目すると、導電層23は絶縁層22の凹状の上面に沿って設けられている。
【0054】
また、絶縁層41は、開口20とは異なる位置に、開口15aと、開口15bと、を有する。開口15aは、平面視において導電層23と重なる領域を有する。開口15bは、平面視において、導電層23、導電層24、及び導電層25のいずれとも重ならない領域に設けられる。
【0055】
開口15a及び開口15bは、それぞれ絶縁層41a、絶縁層41b、及び絶縁層41cを貫通し、絶縁層12に達するように設けられている。開口15a及び開口15bのそれぞれの内側において、絶縁層22は絶縁層41a、絶縁層41b、及び絶縁層41cのそれぞれの側面、及び絶縁層12の上面に接して設けられている。また、導電層23は、開口15aの内側に位置する部分を有する。
【0056】
図2(A)には、トランジスタ10およびその周辺の構成についての斜視概略図を示している。図2(A)では、開口15a及び開口15bの輪郭を破線で示している。さらに図2(B)には、図2(A)における絶縁層22及び導電層23を省略し、絶縁層41の輪郭を破線で示した斜視概略図を示している。図2(A)に示すように、導電層23の一部は開口15aの窪みに落ち込んだ部分を有している。
【0057】
トランジスタ10のチャネル長は、絶縁層41の厚さによって精密に制御することが可能となるため、プレーナ型のトランジスタと比較して、チャネル長のばらつきを極めて小さくできる。さらには、絶縁層41を薄くすることで、極めてチャネル長の短いトランジスタも作製することができる。例えばチャネル長が2μm以下、1μm以下、500nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下、50nm以下、30nm以下、または20nm以下であって、5nm以上、7nm以上、または10nm以上のトランジスタを作製することができる。そのため、従来のフラットパネルディスプレイの量産用の露光装置(例えば最小線幅2μmまたは1.5μm程度)では実現できなかった、極めて小さいチャネル長のトランジスタを実現することができる。また、最先端のLSI技術で用いられる極めて高額な露光装置を用いることなく、チャネル長が10nm未満のトランジスタを実現することもできる。
【0058】
半導体層21には様々な半導体材料を用いることができるが、特に金属酸化物を含む酸化物半導体を用いることが好ましい。適切な条件で形成された酸化物半導体を用いることで、高いオン電流と極めて低いオフ電流を兼ね備えたトランジスタを低コストで実現することができる。以下では特に断りのない場合、半導体層21に酸化物半導体を用いた場合の好適な構成例について説明する。
【0059】
導電層24及び導電層25は、それぞれ上面に半導体層21が接する構成となる。そのため半導体層21に酸化物半導体を用いた場合、半導体層21となる半導体膜の成膜工程またはその後にかかる熱の影響などにより導電層24及び導電層25の表面近傍が酸化し、半導体層21との間に絶縁性の酸化物膜が形成され、接触抵抗が増大してしまう恐れがある。そこで、導電層24及び導電層25の少なくとも最上部には導電性の酸化物を含む酸化物導電体を用いることが好ましい。これにより、導電層24及び導電層25の表面の酸化による接触抵抗の上昇を防止することができる。導電層24及び導電層25は、酸化物層、金属酸化物層、または酸化物導電体層などとも呼ぶことができる。
【0060】
導電層24の一部は、ソース配線及びドレイン配線の一方として用いることができる。また導電層25の一部は、ソース配線及びドレイン配線の他方として用いることができる。このように、導電層24及び導電層25の一方または双方を配線として用いる場合、電気抵抗が低いことが好ましい。そのため、金属、合金、またはこれらの窒化物など、酸化物導電体と比較して導電性の高い材料を用いることが好ましい。特に、導電層24及び導電層25の一方または双方を当該導電性の高い材料の層を含む積層構造とし、少なくとも最上部には上述した酸化物導電体を用いることが好ましい。
【0061】
トランジスタ10は、ゲート配線として機能する導電層23と、ソース配線またはドレイン配線として機能する導電層24の交差部に設けられる。そのため、占有面積を極めて小さくすることができる。
【0062】
半導体層21は、絶縁層41bの開口20内の内壁と接して設けられる。絶縁層41bには酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。特に、加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。さらに、絶縁層41b上に酸素に対するバリア性(酸素バリア性)を有する絶縁層41cを設けることが好ましい。例えば、絶縁層41cとして、絶縁層41bよりも酸素を拡散しにくい(酸素の拡散係数の小さい)膜を用いることが好ましい。これにより、絶縁層41bに含まれる酸素の多くが外部に拡散し、半導体層21に供給する酸素が不足してしまうことを防ぐことができる。さらに、絶縁層41bを、酸素バリア性を有する絶縁層41a及び絶縁層41cで挟み込む構造とすることが好ましい。これにより、絶縁層41bに含まれる酸素は、絶縁層41a、絶縁層41c、及び半導体層21に囲まれた領域に閉じ込めることが可能で、絶縁層41b中の酸素が工程中に脱離し、減少することを防ぐことができるため、より効率的に半導体層21に酸素を供給することができる。
【0063】
加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜としては、代表的には酸化シリコン膜、または酸化窒化シリコン膜が挙げられる。
【0064】
酸素バリア性を有する絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、ハフニウムアルミネート、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ガリウム、ガリウム-亜鉛酸化物などの酸化物、窒化物または酸窒化物を用いることが好ましい。特に窒化シリコン及び酸化アルミニウムは低コストで高い酸素バリア性を示す膜とすることができるため好ましい。
【0065】
半導体層21のうち、絶縁層41bと接する部分は酸素欠損が低減された領域であり、i型の領域と言える。一方、絶縁層41bと接しない部分はキャリアを多く含むn型の領域とすることが好ましい。例えば、半導体層21の絶縁層41bと接する部分をチャネル形成領域、それよりも外側の領域を低抵抗領域(ソース領域、またはドレイン領域ともいう)と呼ぶことができる。
【0066】
絶縁層41に設けられた開口15a及び開口15bは、平面視において開口20と所定の距離だけ離れた位置に設けられている。開口15a及び開口15bを設けることにより、絶縁層41b中に含まれる過剰な酸素を工程中に外部に放出することができる。なお、ここでは開口15a及び開口15bが、絶縁層41を貫通し絶縁層12に達する例を示したが、これに限られない。開口15a及び開口15bは、絶縁層41のうち少なくとも絶縁層41cに設けられていればよい。
【0067】
開口15a及び開口15bは、絶縁層41bに含まれる過剰な酸素を工程中の熱などにより外部に放出し、絶縁層41bに含まれる酸素の量を適切なものとする機能を有する。図1(A)及び(B)には、平面視における開口15aと開口20の最短距離、及び開口15bと開口20の最短距離を、それぞれ距離dとして矢印で示している。開口15aと開口20の距離dと、開口15bと開口20との距離dは、概略等しいことが好ましい。これにより、半導体層21近傍における絶縁層41bに含まれる酸素の量が不均一になることを抑制できる。
【0068】
開口15a及び開口15bと、開口20との距離dは、絶縁層41bを拡散する酸素の拡散長(拡散距離)よりも短くすることが好ましい。これにより、半導体層21近傍の絶縁層41bに含まれる過剰な酸素を、開口15a及び開口15bを介して外部に放出することができる。酸素の拡散長は、絶縁層41bにおける酸素に対する拡散係数と、工程中における熱処理の温度と、処理時間に依存する。そのため、適切な量の酸素が外部に放出されるように、絶縁層41bの膜質と、作製工程にかかる熱処理の温度およびその処理時間に応じて、開口20から適切な距離dだけ離れた位置に開口15a及び開口15bを配置することができる。
【0069】
また、ある薄膜の所定の元素に対する拡散係数は、薄膜の成膜方法だけでなく、成膜条件によっても大きく異なる場合がある。例えば、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法で酸化シリコン膜を成膜する際、酸素の拡散係数は、堆積性ガス(例えばシランガス)の流量と、成膜電力の比に依存する傾向がある。シランガスの流量Sに対する成膜電力Pの比(P/S)が小さいほど、拡散係数の大きい膜を得ることができる。この拡散係数の違いは、例えばウェットエッチング速度の違いとして確認することができる。
【0070】
このように、開口15a及び開口15bと開口20との間の距離dは、絶縁層41bの膜質と、トランジスタの作製工程に応じて適切な距離とすることができるが、例えば最小加工寸法以上100μm以下、例えば0.1μm以上100μm以下、好ましくは0.1μm以上50μm以下、より好ましくは0.1μm以上30μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上20μm以下とすることができる。なお、最小加工寸法を0.1μm未満とすることができる場合には、距離dは10nm以上50nm以下、または10nm以上30nm以下にまで小さくすることもできる。
【0071】
ここで、トランジスタ10のチャネル長、チャネル幅などについて説明する。
【0072】
トランジスタ10のチャネル長Lは、図1(C)に示すように、半導体層21の導電層24と接する部分と導電層25と接する部分とを最短距離でつなぐ経路上であって、絶縁層41と接する部分の長さということができる。なお、絶縁層41bと接する部分以外(すなわち、それぞれ絶縁層41a及び絶縁層41bと接する部分)が低抵抗であるとみなせる場合には、絶縁層41bと接する部分の長さとすることもできる。絶縁層41の開口20の側壁の角度(θ)が90度未満のとき、すなわち絶縁層41がテーパ形状を有するとき、チャネル長Lは絶縁層41(または絶縁層41b)の厚さよりも大きくすることができる。
【0073】
また、トランジスタ10のチャネル幅W(図示しない)は、開口20の形状に依存する。開口20の輪郭が直径Rの円であるとき、チャネル幅Wは、開口20の円周(すなわち、=π×R)とみなすことができる。ここで、絶縁層41の開口20の側壁の角度θが90度からずれる場合には、高さに応じて開口20の周長が異なる。その場合には、開口20の径が最も小さい高さ(ここでは、下端)の周長をチャネル幅Wとみなすことができる。なお、開口20の上端の高さ、または中央の高さにおける周長を、チャネル幅Wとみなすこともできる。
【0074】
平面視における開口20の形状は、代表的には円形とすることができる。ただし、開口20の形状は円形に限られず、様々な形状とすることができる。例えば、円形の他、楕円形、角の丸い四角形などとすることができる。また、正三角形、正方形、正五角形をはじめとした正多角形、正多角形以外の多角形とすることもできる。また、星形多角形などの、少なくとも一つの内角が180度を超える多角形である、凹多角形とすると、チャネル幅を大きくできる。そのほか、角の丸い多角形、直線と曲線とを組み合わせた閉曲線などとすることができる。
【0075】
半導体層21及び絶縁層22は、絶縁層41の開口20の内壁に沿って形成されるため、成膜方法によっては、この部分の厚さが薄くなる場合がある。例えばスパッタリング法、またはプラズマCVD法などの成膜方法では、基板面に対して平行な面に成膜される膜と比較して、基板面に対して傾斜している面又は垂直な面に成膜される膜が薄くなる傾向がある。一方、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法または熱CVD法などの成膜方法では、被形成面の角度に寄らず厚さの均一な膜を成膜することができる。例えば、絶縁層41の開口20の側壁の角度θが75度以上、80度以上、または85度以上の場合には、ALD法を用いて半導体層21及び絶縁層22を形成することが好ましい。
【0076】
[構成要素について]
〈基板〉
トランジスタを形成する基板11としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板、または導電体基板を用いることができる。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムを材料とした半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウム、窒化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などを用いることもできる。さらには、絶縁体基板に導電層または半導体層が設けられた基板、半導体基板に導電層または絶縁層が設けられた基板、導電体基板に半導体層または絶縁層が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いることもできる。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子(トランジスタを含む)、発光素子、記憶素子などがある。
【0077】
〈半導体層〉
半導体層21は、金属酸化物(酸化物半導体)を有することが好ましい。
【0078】
半導体層21に用いることができる金属酸化物として、例えば、In酸化物、Ga酸化物、及びZn酸化物が挙げられる。金属酸化物は、少なくともIn、Zn、Sn、またはAlを含むことが好ましく、InまたはZnを含むことがより好ましい。
【0079】
また、金属酸化物は、Inと、元素Mと、Znと、の中から選ばれる二または三を有することが好ましい。例えば、In-M-Zn酸化物、In-M酸化物、またはM-Zn酸化物を用いることができる。なお、元素Mは、酸素との結合エネルギーが高い金属元素又は半金属元素であり、例えば、酸素との結合エネルギーがインジウムよりも高い金属元素又は半金属元素である。元素Mは、Al、Ga、Sn、Y、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Mo、Hf、Ta、W、La、Ce、Nd、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Ge、及びSbなどが挙げられる。金属酸化物は、上記元素のいずれか一または複数を含むことが好ましく、特に、Al、Ga、Y、及びSnから選ばれた一または複数を含むことが好ましい。ここで、本明細書等において、「金属元素」には半金属元素が含まれることがある。
【0080】
In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。金属酸化物中のインジウムの原子数比を大きくすることで、トランジスタのオン電流、または電界効果移動度などを高めることができる。例えば、In-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Znの比がそれぞれ1:1:1、1:1:1.2、2:1:3、3:1:2、4:2:3、4:2:4.1、5:1:3、及び5:1:6ならびにこれらの近傍の組成等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。
【0081】
また、In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比未満とすることもできる。金属酸化物中のMの原子数比を大きくすることで、酸素欠損の生成を抑制することができる。例えば、In-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Znの比がそれぞれ1:3:2、1:3:3、及び1:3:4、ならびにこれらの近傍の組成等が挙げられる。
【0082】
半導体層21は、例えば、In酸化物、In-Zn酸化物、In-Ga酸化物、In-Sn酸化物、In-Ti酸化物、In-W酸化物、In-Ga-Al酸化物、In-Ga-Sn酸化物、In-Ga-Zn酸化物、In-Sn-Zn酸化物、In-Al-Zn酸化物、In-Ti-Zn酸化物、In-W-Zn酸化物、In-Ga-Sn-Zn酸化物、In-Ga-Al-Zn酸化物などを用いることができる。また、Inを含まない酸化物として、Ga酸化物、Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、Ga-Sn酸化物、Al-Zn酸化物、Al-Sn酸化物などを用いることもできる。酸化インジウムのようにZnを有さない材料とすることで、LSIの製造プロセスとの親和性が高まるため好ましい。一方で、Znを含む材料とすることで、結晶性を高くしやすいため好ましい。
【0083】
なお、金属酸化物は、インジウムに代えて、又は、インジウムに加えて、原子数の比較的大きい金属元素を有することもできる。金属元素の軌道の重なりが大きいほど、金属酸化物におけるキャリア伝導は大きくなる傾向があるため、金属酸化物が原子数の大きい金属元素を含むことで、トランジスタの電界効果移動度を高めることができる場合がある。例えば、第5周期に属する金属元素、及び第6周期に属する金属元素の一または複数を用いることができる。具体的には、Y、Zr、Ag、Cd、Sn、Sb、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Euなどが挙げられる。
【0084】
また、金属酸化物は、非金属元素の一または複数を有することもできる。金属酸化物が非金属元素を有することで、トランジスタの電界効果移動度を高めることができる場合がある。例えば、C、N、P、S、Se、F、Cl、Br、Hなどが挙げられる。
【0085】
金属酸化物の形成は、スパッタリング法、または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法を好適に用いることができる。スパッタリング法は不純物濃度を低減できるため好ましい。またALD法は被覆性に優れるため好ましい。なお、金属酸化物をスパッタリング法で形成する場合、成膜後の金属酸化物の組成はターゲットの組成と異なる場合がある。特に亜鉛は、成膜後の金属酸化物における含有率が、ターゲットと比較して50%程度にまで減少する場合がある。
【0086】
本明細書等において、金属酸化物のある金属元素の含有率とは、金属酸化物に含まれる金属元素の原子数の総数に対する、その元素の原子数の割合をいう。例えば金属酸化物が金属元素X、金属元素Y、金属元素Zを含み、当該金属酸化物に含まれる金属元素X、金属元素Y、金属元素Zのそれぞれの原子数をA、A、Aとしたとき、金属元素Xの含有率は、A/(A+A+A)で示すことができる。また、金属酸化物中の金属元素X、金属元素Y、金属元素Zのそれぞれの原子数の比(原子数比)が、B:B:Bで示されるとき、金属元素Xの含有率は、B/(B+B+B)で示すことができる。
【0087】
例えば、Inを含む金属酸化物の場合、Inの含有率を高くすることにより、オン電流の大きいトランジスタを実現することができる。
【0088】
半導体層21にGaを含まない、またはGaの含有率の低い金属酸化物を用いることにより、正バイアス印加に対する信頼性が高いトランジスタとすることができる。つまり、PBTS(Positive Bias Temperature Stress)試験でのしきい値電圧の変動量が小さいトランジスタとすることができる。また、Gaを含む金属酸化物を用いる場合は、Inの含有率よりも、Gaの含有率を低くすることが好ましい。これにより、高移動度で且つ信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0089】
一方、Gaの含有率を高くすることにより、光に対する信頼性の高いトランジスタとすることができる。つまり、NBTIS(Negative Bias Temperature Illumination Stress)試験でのしきい値電圧の変動量が小さいトランジスタとすることができる。具体的には、Gaの原子数比がInの原子数比以上である金属酸化物はバンドギャップがより大きくなり、トランジスタのNBTIS試験でのしきい値電圧の変動量を小さくすることができる。
【0090】
また、亜鉛の含有率を高くすることにより、結晶性の高い金属酸化物となり、金属酸化物中の不純物の拡散を抑制できる。したがって、トランジスタの電気特性の変動が抑制され、信頼性を高めることができる。
【0091】
半導体層21は、2以上の金属酸化物を有する積層構造とすることもできる。半導体層21が有する2以上の金属酸化物は、組成が互いに同じ、または概略同じにすることもできる。組成が同じ金属酸化物の積層構造とすることで、例えば、同じスパッタリングターゲットを用いて形成できるため、製造コストを削減できる。なお、異なる組成の金属酸化物を2以上積層した積層構造とすることもできる。また、ALD法を用いることで、組成が厚さ方向に連続的に異なる金属酸化物を形成することもできる。これにより、決まった組成の膜を用いる場合と比較して設計の選択の幅が広がるだけでなく、組成の異なる2層の間に生じる界面準位などの生成を防ぐことができるため、電気特性及び信頼性を高めることができる。
【0092】
半導体層21を2層構造とする場合、二層目、すなわちゲート電極に近い側に一層目よりも高移動度の材料(導電性の高い材料)を用いることが好ましい。これによりノーマリオフであり、且つオン電流の大きいトランジスタとすることができる。そのため低い消費電力と高い性能を両立することができる。または、一層目、すなわちソース電極及びドレイン電極と接する側に、二層目よりも高移動度の材料を用いることもできる。これにより半導体層21とソース電極またはドレイン電極との接触抵抗を小さくできるため、寄生抵抗が低減され、オン電流の大きいトランジスタとすることができる。
【0093】
また、半導体層21を3層構造とする場合、二層目に一層目及び三層目よりも高移動度の材料を用いることが好ましい。これにより、オン電流が高く、且つ信頼性の高いトランジスタを実現できる。
【0094】
導電性の向上に寄与する元素、例えばインジウムの含有率が高いほど、移動度および導電性が向上する。高移動度の材料の一例としては、例えばIn:Ga:Zn=4:3:2、In:Zn=1:1、In:Zn=2:1、In:Zn=4:1、In:Sn:Zn=40:1:10、In:Sn:Zn=20:1:10、In:Sn=95:5、In:Sn=90:10、及びその近傍の原子数比である材料が挙げられる。一方、上述した材料と比較して移動度の低い材料としては、例えばIn:Ga:Znの比が1:3:2、1:3:4、2:2:1、1:1:1、1:1:2、及びその近傍の原子数比の材料が挙げられる。
【0095】
半導体層21は、結晶性を有する金属酸化物層を用いることが好ましい。例えば、CAAC(c-axis aligned crystal)構造、多結晶構造、微結晶(nc:nano-crystal)構造等を有する金属酸化物層を用いることができる。結晶性を有する金属酸化物層を半導体層21に用いることにより、半導体層21中の欠陥準位密度を低減でき、信頼性の高い半導体装置を実現できる。
【0096】
半導体層21に用いる金属酸化物層の結晶性が高いほど、半導体層21中の欠陥準位密度を低減できる。一方、結晶性の低い金属酸化物層を用いることで、大きな電流を流すことができるトランジスタを実現することができる。
【0097】
酸化物半導体を用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと記す)は、非晶質シリコンを用いたトランジスタと比較して電界効果移動度が極めて高い。また、OSトランジスタは、オフ状態におけるソース-ドレイン間のリーク電流(以下、オフ電流ともいう)が著しく小さく、当該トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。また、OSトランジスタを適用することで、半導体装置の消費電力を低減することができる。
【0098】
本発明の一態様である半導体装置は、例えば、表示装置に適用することができる。表示装置の画素回路に含まれる発光デバイスの発光輝度を高くする場合、発光デバイスに流す電流量を大きくする必要がある。そのためには、画素回路に含まれている駆動トランジスタのソース-ドレイン間電圧を高くする必要がある。OSトランジスタは、シリコンを用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタと記す)と比較して、ソース-ドレイン間において耐圧が高いため、OSトランジスタのソース-ドレイン間には高い電圧を印加することができる。したがって、画素回路に含まれる駆動トランジスタをOSトランジスタとすることで、発光デバイスに流れる電流量を大きくし、発光デバイスの発光輝度を高くすることができる。
【0099】
トランジスタが飽和領域で動作する場合において、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも、ゲート-ソース間電圧の変化に対して、ソース-ドレイン間電流の変化を小さくすることができる。このため、画素回路に含まれる駆動トランジスタにOSトランジスタを適用することで、発光デバイスに流れる電流量を細かく制御することができる。このため、画素回路における階調数を多くすることができる。また、発光デバイスの電気特性(例えば抵抗)の変動、または電気特性のばらつきが生じたとしても、安定した電流を流すことができる。
【0100】
上記のとおり、画素回路に含まれる駆動トランジスタにOSトランジスタを用いることで、「黒浮きの抑制」、「発光輝度の上昇」、「多階調化」、「発光デバイスの製造ばらつきの影響の抑制」などを図ることができる。
【0101】
OSトランジスタは、放射線照射による電気特性の変動が小さい、つまり放射線に対する耐性が高いため、放射線が入射しうる環境においても好適に用いることができる。OSトランジスタは、放射線に対する信頼性が高いともいえる。例えば、X線のフラットパネルディテクタの画素回路に、OSトランジスタを好適に用いることができる。また、OSトランジスタは、宇宙空間で使用する半導体装置に好適に用いることができる。放射線として、電磁放射線(例えば、X線、及びガンマ線)、及び粒子放射線(例えば、アルファ線、ベータ線、陽子線、及び中性子線)が挙げられる。
【0102】
なお、半導体層21に用いることができる半導体材料は、酸化物半導体に限定されない。例えば、単体元素よりなる半導体、または化合物半導体を用いることができる。単体元素よりなる半導体としては、Si(単結晶、多結晶、微結晶、及び非晶質を含む)またはGeなどが挙げられる。化合物半導体として、例えば、GaAs、SiGeが挙げられる。化合物半導体として、有機半導体、窒化物半導体、または酸化物半導体等が挙げられる。なお、これらの半導体材料に、ドーパントとして不純物を含むこともできる。
【0103】
または、半導体層21は、層状の結晶構造を有する材料を用いることもできる。層状の結晶構造を有する材料は、層の面内における電気伝導性が高い。そのため、このような層状の結晶構造を有する材料をチャネル形成領域に用いることで、オン電流の大きいトランジスタを提供することができる。例えば、グラフェン、シリセン、カルコゲン化物などが挙げられる。カルコゲン化物としては、Mo、W、Hf、またはZrなどの遷移元素のカルコゲナイドが挙げられる。このときカルコゲン元素としては、S、Se、Teなどの16族元素が挙げられる。
【0104】
半導体層21に用いる半導体材料の結晶性は特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(多結晶半導体、微結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いることもできる。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0105】
〈ゲート絶縁層〉
絶縁層22はトランジスタのゲート絶縁層として機能し、容量素子の誘電層としても用いることができる。半導体層21に酸化物半導体を用いた場合、絶縁層22の少なくとも半導体層21と接する膜には、酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、及びGa-Zn酸化物の一または複数を用いることができる。このほか、絶縁層22として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜を用いることもできる。また、絶縁層22は積層構造を有することもできるし、例えば酸化物絶縁膜と窒化物絶縁膜とをそれぞれ1以上有する積層構造とすることもできる。
【0106】
なお、本明細書等において、酸化窒化物は窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指す。窒化酸化物は酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
【0107】
また、絶縁層22は、high-k材料からなる絶縁材料を積層して用いることが好ましく、比誘電率が高い(high-k)材料と、当該high-k材料より絶縁耐力が大きい材料との積層構造を用いることが好ましい。例えば、絶縁層22として、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムの順番で積層された絶縁膜(ZAZともいう)を用いることができる。また、例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムの順番で積層された絶縁膜(ZAZAともいう)を用いることができる。また、例えば、ハフニウムジルコニウム酸化物、酸化アルミニウム、ハフニウムジルコニウム酸化物、酸化アルミニウムの順番で積層された絶縁膜を用いることができる。酸化アルミニウムのような、比較的絶縁耐力が大きい絶縁体を積層して用いることで、絶縁耐力が向上し、容量素子の静電破壊を抑制できる。
【0108】
また、絶縁層22として、強誘電性を示す材料を用いることもできる。強誘電性を示す材料としては、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、HfZrO(Xは0よりも大きい実数とする)などの金属酸化物が挙げられる。
【0109】
〈導電層〉
導電層24及び導電層25は半導体層21と接する。ここで、半導体層21として酸化物半導体を用いた場合、導電層24または導電層25の半導体層21と接する部分に例えばアルミニウムなどの酸化されやすい金属を用いると、導電層24または導電層25と半導体層21との間に絶縁性の酸化物(例えば酸化アルミニウム)が形成され、これらの導通を妨げる恐れがある。そのため、導電層24及び導電層25の少なくとも半導体層21と接する部分には、酸化されにくい導電性材料、酸化されても電気抵抗が低く保たれる導電性材料、または酸化物導電性材料を用いることが好ましい。
【0110】
導電層24及び導電層25としては、例えばチタン、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、ルテニウム、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。これらは、酸化されにくい導電性材料、または、酸化されても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
【0111】
または、酸化インジウム、酸化亜鉛、In-Sn酸化物、In-Zn酸化物、In-W酸化物、In-W-Zn酸化物、In-Ti酸化物、In-Ti-Sn酸化物、In-Sn-Si酸化物、Ga-Zn酸化物などの導電性酸化物を用いることができる。特にインジウムを含む導電性酸化物は、導電性が高いため好ましい。または、上記半導体層21に適用できるIn-Ga-Zn酸化物などの酸化物材料も、キャリア濃度を高めることで導電層として用いることができる。
【0112】
例えば、導電層24及び導電層25として、上記導電性酸化物膜の単層構造、窒化チタン膜とタングステン膜と窒化チタン膜を順に積層した三層構造、タングステン膜上にルテニウム膜または酸化ルテニウム膜を積層した二層構造、上記導電性酸化物膜上にルテニウム膜または酸化ルテニウム膜を積層した二層構造、ルテニウム膜または酸化ルテニウム膜上に上記導電性酸化物膜を積層した二層構造などを用いることができる。なお、ルテニウムはエッチングしにくい材料であるため、用いる場合には薄いほど好ましく、例えば0.1nm以上2nm以下の厚さで用いることが好ましい。
【0113】
導電層23はゲート電極として機能し、様々な導電性材料を用いることができる。導電層23としては、例えばAl、Cr、Cu、Ag、Pt、Ta、Ni、Ti、Mo、W、Hf、V、Nb、Mn、Mg、Zr、Be、In、Ru、Ir、Sr、Laなどから選ばれた金属元素、当該金属元素を成分とする合金を用いることが好ましい。また、上記金属または合金の窒化物、もしくは上記金属または合金の酸化物を用いることもできる。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いることもできる。
【0114】
また導電層23には、上記導電層24及び導電層25に用いることができる、窒化物、及び酸化物を適用することもできる。
【0115】
導電層23、導電層24及び導電層25は、配線としても機能するため、低抵抗な導電性材料を積層して用いることが好ましい。例えば、導電層24及び導電層25のそれぞれの下層には、上述した導電層23に用いることのできる低抵抗な導電性材料を用いることもできる。
【0116】
〈絶縁層〉
絶縁層41bは層間絶縁膜として用いることができる。例えば、スパッタリング法、またはプラズマCVD法などの成膜方法で形成することが好ましい。特に、スパッタリング法を用いると、成膜ガスに水素ガスを用いなくてよいため、水素の含有量の極めて少ない膜とすることができる。そのため、半導体層21に水素が供給されることを抑制し、トランジスタ10の電気特性の安定化を図ることができる。
【0117】
絶縁層41bは、半導体層21のチャネル形成領域と接するため、酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。特に、加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。絶縁層41bとしては、上記ゲート絶縁層に用いることのできる酸化物絶縁膜を適用することができる。
【0118】
また、絶縁層41bは層間絶縁層として機能するため、他の絶縁層と比較して、高い成膜レートでの成膜が可能な成膜方法を用いることが好ましい。例えば、絶縁層41として、プラズマCVD法を用いて形成したTEOS(Tetra-Ethyl-Ortho-Silicate、化学式:Si(OC)膜を用いることもできる。これにより、生産性を向上させることができる。
【0119】
絶縁層41a及び絶縁層41cは、絶縁層41bよりも酸素を透過しにくい、すなわち酸素バリア性を有する材料を用いることが好ましい。絶縁層41a及び絶縁層41bには、上記酸素バリア性を有する絶縁膜を用いることができる。特に、窒化シリコンまたは酸化アルミニウムを用いることが好ましい。
【0120】
また、絶縁層41a及び絶縁層41cのいずれか一方と、絶縁層41bとに同じ元素を含む絶縁膜(例えば酸化シリコン)を用いることもできる。この場合には、絶縁層41bよりも密度の高い絶縁膜、例えばエッチング速度の遅い絶縁膜を用いることができる。
【0121】
絶縁層41a及び絶縁層41cは、水素が拡散しにくい膜を用いることが好ましい。水素が拡散しにくい絶縁層41a及び絶縁層41cで絶縁層41bの上下を挟むことで、半導体層21と接する絶縁層41bに外部から水素が混入することを防ぐことができる。
【0122】
特に窒化シリコン及び、窒化酸化シリコンは自身からの不純物(例えば、水及び水素)の放出が少なく、酸素及び水素が透過しにくい特徴を有するため、絶縁層41a及び絶縁層41cとして好適に用いることができる。
【0123】
絶縁層12は、下地絶縁層、または層間絶縁層として機能する。絶縁層12としては、上記絶縁層41bに用いることのできる絶縁材料、または、上記絶縁層41a及び絶縁層41cに用いることのできる絶縁材料を、適宜用いることができる。
【0124】
以上が、構成要素についての説明である。
【0125】
[開口の構成例]
図1(A)では、平面視における開口15a及び開口15bが、横長の形状である場合を示したが、開口15a及び開口15bの形状はこれに限られない。以下では、上記とは異なる例について説明する。
【0126】
図3(A)には、開口15a及び開口15bが、平面視において円形の形状を有する場合の例である。開口15a及び開口15bは、それぞれ開口20と概略同じ直径の円形である。ここで、図1(A)では、開口15aが、導電層23と重ならない部分を有するのに対し、図3(A)では、平面視において、開口15aが導電層23の内側に位置している。
【0127】
図3(B)は、4つの開口を有する場合の例である。図3(B)には、2つの開口15aと、2つの開口15bを有する。2つの開口15aはそれぞれ一部が導電層23と重なっている。このように、開口の数を増やすことでより効率的に絶縁層41bからの酸素の放出をすることができる。例えば、酸素を脱離させるための加熱処理を行う場合には、その処理時間を短縮できる、または処理温度を低減できるといった効果を奏する。
【0128】
図3(C)は、図1(A)で例示した開口15a及び開口15bを湾曲させたような形状とした場合の例である。図3(C)に示す開口15a及び開口15bは、それぞれ輪郭の一部に、開口20からの最短距離が等距離である部分を有する。例えば開口20が円形である場合、開口20の中心を中心とした同心円(破線で示す)と、開口15a及び開口15bの輪郭の一部とが重なる部分を有する。このように、開口15a及び開口15bにおいて、開口20からの最短距離が等距離である領域が広いほど、効率的に絶縁層41bからの酸素を放出することができる。
【0129】
上記では、導電層23と重なる開口15aを有する例を示したが、導電層24と重なる開口を有する構成とすることもできる。図4(A)には、導電層23と重なる部分と、導電層24と重なる部分と、を有する開口15が設けられている例を示している。ここでは、開口15の輪郭の一部が、開口20の中心を中心とした同心円(破線で示す)と重なる例を示している。このように、開口15が開口20を周囲180度以上にわたって囲む構成とすることで、極めて効率的に絶縁層41bからの酸素を放出することができる。
【0130】
図4(B)、(C)には、それぞれ断面概略図を示している。図4(C)に示すように、開口15と導電層24とが重なる領域では、絶縁層22の一部が開口15を介して導電層24の上面と接している。
【0131】
なお、ここで示した開口15、開口15a、及び開口15bの配置方法は一例であり、平面視において導電層25と重ならない領域であれば、様々な位置に配置することができる。また、当該開口の数も限られず、トランジスタ1つに対して設ける開口の数は1つ、3つ、または5つ以上にすることもできる。また、当該開口は2つ以上のトランジスタが共有することもできる。例えば2つのトランジスタに対して1つ以上の開口を設ける、3つのトランジスタに対して1つ以上の開口を設ける、などとすることができる。
【0132】
[開口の断面形状]
続いて、上記開口15a、開口15bまたは開口15における、上記とは異なる断面形状の例について説明する。なお、上述のように開口は1つ以上であればよいため、以下ではこれらを区別することなく、開口15として説明する。
【0133】
図5(A1)には、開口15とその周辺における断面概略図を示す。また、図5(A2)には、導電層24と重なる場合の例を示している。
【0134】
図5(A1)、(A2)では、開口15は、絶縁層41のうち絶縁層41c及び絶縁層41bを貫通し、絶縁層41aに達する場合の例を示している。また開口15内において絶縁層22の一部が絶縁層41aの上面に接して設けられている。このような構成とすることで、開口15を形成するためのエッチングの際に、絶縁層41aをエッチングストッパーとして機能させることができるため、エッチングの制御性を高めることができる。
【0135】
図5(B1)、(B2)では、開口15は、絶縁層41のうち絶縁層41cと、絶縁層41bの途中まで設けられている。すなわち、絶縁層41bは、開口15と重なる部分に凹部が設けられている。
【0136】
また、図5(C1)、(C2)では、開口15は、絶縁層41のうち絶縁層41cにのみ設けられている。
【0137】
このように、開口15は、絶縁層41のうち少なくとも絶縁層41cに設けられていればよく、開口15の内側において絶縁層41bと絶縁層22とが接する構成とすればよい。開口15の深さが深いほど、開口15内における絶縁層41bの表面積が大きくなるため、効率的に絶縁層41bから酸素を放出することができる。
【0138】
また、図5(D1)、(D2)には、開口15が絶縁層41c、絶縁層41b、及び絶縁層41aを貫通し、絶縁層41aの被形成面を構成する層の途中にまで達している例である。図5(D1)では絶縁層12の開口15と重なる部分に凹部が設けられ、その凹部を絶縁層22が覆っている。また図5(D2)では導電層24の開口15と重なる部分に凹部が設けられ、その凹部を絶縁層22が覆っている。このように、開口15が絶縁層41aを貫通する場合には、絶縁層41aのエッチングの条件によっては、その被形成面を成す絶縁層12、または導電層24の一部がエッチングされてしまう場合がある。
【0139】
[変形例]
以下では、上記とは一部の構成が異なる例について説明する。なお以下では、上記と重複する部分についてはこれを参照し、繰り返しの説明を省略する。
【0140】
〔変形例1〕
図6(A)、(B)では、開口15が絶縁層41だけでなく絶縁層22を貫通するように設けられている。開口15のうち、導電層23と重ならない領域では、絶縁層22、絶縁層41c、絶縁層41b、及び絶縁層41aの側面に接して絶縁層44が設けられている。開口15のうち、導電層23及び導電層24のいずれにも重ならない領域では、図6(A)に示すように、絶縁層12の上面と絶縁層44とが接している。また開口15のうち、導電層24と重なる領域では、図6(B)に示すように、導電層24の上面と絶縁層44とが接している。
【0141】
また、開口15のうち、導電層23と重なる領域では、絶縁層22、絶縁層41c、絶縁層41b、及び絶縁層41aの側面、並びに絶縁層12の上面に接して導電層23が設けられている。
【0142】
このような構成は、開口20と開口15とを異なる工程で形成することで実現できる。より具体的には、絶縁層22を形成した後であって、導電層23を形成するよりも前に、絶縁層22及び絶縁層41に開口15を形成する。なお、開口15と導電層23とが重なる領域を設けない場合には、導電層23を形成した後であって、絶縁層44を形成するよりも前に、導電層23とは重ならない部分に開口15を設けることもできる。
【0143】
〔変形例2〕
図7(A)、(B)、(C)では、開口15が絶縁層41だけでなく、絶縁層44及び絶縁層22も貫通するように設けられている例である。このとき、開口15は、導電層23、導電層24、及び導電層25のいずれにも重ならない領域に設けることが好ましい。なお、絶縁層44上にさらに絶縁層を設ける場合には、開口15が導電層24と重なる位置に設けることもできる。
【0144】
〔変形例3〕
以下では、バックゲートとして機能する導電層を有する例について説明する。
【0145】
図8(A)に示す構成は、主に導電層26及び絶縁層27を有する点で、上記構成例と相違している。
【0146】
導電層26は、第2のゲート電極(またはバックゲート電極)として機能する。また絶縁層27は導電層26と半導体層21との間に位置し、第2のゲート絶縁層(またはバックゲート絶縁層)として機能する。導電層26には、固定電位、または任意の信号を与えることができる。導電層26を設け、導電層26に適当な電位を与えることによりトランジスタのしきい値電圧を制御することができる。さらに、半導体層21のバックチャネル側の電位を固定することができるため、電気特性のばらつきを減らすことができる。また、導電層26は導電層24、導電層25、または導電層23のいずれか一つと同一の電位または信号が与えられることもできる。
【0147】
ここでは、絶縁層41が、絶縁層41a、絶縁層41b1、絶縁層41b2、絶縁層41cの4層構造を有する例を示している。導電層26は絶縁層41b1と絶縁層41b2の間に設けられている。
【0148】
開口20において、絶縁層27は、絶縁層41a、絶縁層41b1、導電層26、絶縁層41b2、絶縁層41c、及び導電層25の側面に接して設けられている。また開口15においては、絶縁層27は絶縁層41a、絶縁層41b1、導電層26、絶縁層41b2、及び絶縁層41cに接して設けられている。また絶縁層27は、導電層25の開口20側の側面だけでなく、反対側の側面にも接して設けられている。
【0149】
絶縁層27は、例えば開口20及び開口15を形成した後に、被覆性の高い成膜方法により、当該開口を覆う絶縁膜を成膜したのちに、異方性のエッチングを行うことで形成することができる。絶縁層27は、サイドウォール絶縁膜とも呼ぶことができる。
【0150】
図8(A)の右側に示す開口15は、導電層26を貫通するように設けられている。なお、図8(B)に示すように、導電層26と重なる部分には開口15を配置しない構成とすることもできる。
【0151】
また、図8(C)には、導電層23及び絶縁層22を設けない場合の例を示している。このとき、導電層26がゲート電極として機能し、絶縁層27がゲート絶縁層として機能する。また保護層として機能する絶縁層44は、開口20内において半導体層21の上面及び側面に接して設けられている。また絶縁層44は、開口15内において、絶縁層27、及び絶縁層12と接して設けられている。
【0152】
図8(C)に示す例では、ゲート電極として機能する導電層26が半導体層21の周囲を囲う構成であるため、GAA(Gate All Around)構造とも呼ぶことができる。一方、図1等で示した構成は、半導体層21がゲート電極として機能する導電層23の周囲を囲う構成であるため、CAA(Channel All Around)構造とも呼ぶことができる。
【0153】
[作製方法例]
続いて、本発明の一態様の半導体装置の作製方法について説明する。ここでは、図1で例示した構成について説明する。
【0154】
なお、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成することができる。
【0155】
また、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法により形成することができる。
【0156】
スパッタリング法にはスパッタリング用電源に高周波電源を用いるRFスパッタリング法、直流電源を用いるDCスパッタリング法、さらにパルス的に電極に印加する電圧を変化させるパルスDCスパッタリング法がある。RFスパッタリング法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、DCスパッタリング法は主に金属導電膜を成膜する場合に用いられる。また、パルスDCスパッタリング法は、主に、酸化物、窒化物、炭化物などの化合物をリアクティブスパッタリング法で成膜する際に用いられる。
【0157】
CVD法は、プラズマを利用するプラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0158】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能である。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0159】
ALD法としては、プリカーサ及びリアクタントの反応を熱エネルギーのみで行う熱ALD法、プラズマ励起されたリアクタントを用いるPEALD法などを用いることができる。
【0160】
CVD法およびALD法はスパッタリング法とは異なり、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
【0161】
CVD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。例えば、CVD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送または圧力調整に掛かる時間を要さない分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
【0162】
ALD法では、異なる複数種のプリカーサを同時に導入することで任意の組成の膜を成膜することができる。または、異なる複数種のプリカーサを導入する場合、各プリカーサのサイクル数を制御することで任意の組成の膜を成膜することができる。またCVD法と同様に、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。
【0163】
また、半導体装置を構成する薄膜を加工する際には、フォトリソグラフィ法等を用いることができる。それ以外に、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工することもできる。また、メタルマスクなどの遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を直接形成することもできる。
【0164】
フォトリソグラフィ法としては、代表的には以下の2つの方法がある。一つは、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法である。もう一つは、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法である。
【0165】
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線、KrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行うこともできる。また、露光に用いる光として、極端紫外(EUV:Extreme Ultra-Violet)光、X線を用いることもできる。また、露光に用いる光に代えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
【0166】
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。ウェットエッチング法は、主に等方性のエッチングに適している。一方、ドライエッチング法は、エッチング装置及びエッチング条件により、等方性のエッチング、および異方性のエッチングの両方を実施することができる。
【0167】
図9(A)乃至図10(C)は、以下で説明する半導体装置の作製方法における、各工程における断面図である。
【0168】
まず、基板11を準備し、基板11上に絶縁層12を形成する。
【0169】
基板11としては、少なくとも後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する基板を用いることができる。基板として、絶縁性基板を用いる場合には、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、有機樹脂基板などを用いることができる。また、シリコン、または炭化シリコンなどを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム、窒化ガリウム等の化合物半導体基板、SOI基板などの半導体基板を用いることができる。
【0170】
絶縁層12としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層12の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いることができる。絶縁層12の被形成面が平坦でない場合には、絶縁層12の成膜後に絶縁層12の上面が平坦となるように平坦化処理を行うこともできる。
【0171】
続いて、絶縁層12上に導電膜を成膜し、当該導電膜上にレジストマスクを形成して、導電膜の不要な部分をエッチングにより除去することで、導電層24を形成する。導電層24となる導電膜としては、スパッタリング法、CVD法、ALD法などの成膜方法を用いることができる。
【0172】
続いて、導電層24及び絶縁層12上に、絶縁層41a、絶縁層41b、及び絶縁層41cを形成する。絶縁層41a、絶縁層41b、及び絶縁層41cはそれぞれスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いることができる。ここで、絶縁層41bは、絶縁層41a及び絶縁層41cとは組成または構成元素の異なる絶縁膜を用いることが好ましい。
【0173】
また、絶縁層41a、絶縁層41b、及び絶縁層41cの厚さがトランジスタのチャネル長に影響するため、絶縁層41a、絶縁層41b、及び絶縁層41cのそれぞれの厚さにばらつきが生じないようにすることが重要である。
【0174】
絶縁層41bは、後に半導体層21が接する膜であるため、加熱により酸素が放出される程度に酸素を多く含み、且つ、水素の含有量の少ない酸化物膜を用いることが好ましい。絶縁層41bは、PECVD法、スパッタリング法、ALD法などの成膜方法により成膜できるが、特にスパッタリング法により成膜することが好ましい。特に、成膜ガスに水素が含まれるガスを用いず、且つ、酸素を含むガスを用いて成膜することにより、水素含有量が極めて少なく、且つ、酸素を過剰に含む絶縁層41bを成膜することができる。このように、絶縁層41bを成膜することで、絶縁層41bから半導体層21のチャネル形成領域に酸素を供給し、酸素欠損の低減を図ることができる。
【0175】
また、絶縁層41bの成膜後であって、絶縁層41cの成膜前に、絶縁層41bに酸素を供給する処理を行うこともできる。絶縁層41bに酸素を供給する方法としては、酸素雰囲気下における加熱処理、酸素雰囲気下におけるプラズマ処理などが挙げられる。また、絶縁層41b上に、スパッタリング法により酸素雰囲気下で酸化物膜を成膜することで酸素を供給することもできる。その後、当該酸化物膜を除去することもできる。また、イオン注入法、イオンドーピング法、またはプラズマイマージョンイオンインプランテーション法などにより、酸素(酸素ラジカル、酸素原子、または酸素イオンのいずれかを含む)を供給することもできる。
【0176】
続いて、絶縁層41c上に導電膜25fを成膜する(図9(A))。導電膜25fはスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などの成膜方法により成膜できる。
【0177】
続いて、導電膜25f、絶縁層41c、絶縁層41b、及び絶縁層41aに、導電層24に達する開口20、並びに絶縁層12に達する開口15a及び開口15bを形成する(図9(B))。
【0178】
絶縁層41c、絶縁層41b、及び絶縁層41aに、開口20、開口15a、及び開口15bを形成する際、導電膜25fをハードマスクに用いることもできる。このとき、まずレジストマスクを用いて導電膜25fに開口を形成する。その後、導電膜25fをマスクとして、絶縁層41c、絶縁層41b、及び絶縁層41aを順にエッチングして、開口20、開口15a、及び開口15bを形成することができる。なお、レジストマスクは導電膜25fのエッチング後に除去することもできるし、絶縁層41c、絶縁層41b、及び絶縁層41aのエッチング中に除去することもできるし、開口20、開口15a、及び開口15bの形成後に除去することもできる。
【0179】
導電膜25f、絶縁層41c、絶縁層41b、及び絶縁層41aのエッチングは、それぞれドライエッチングを用いることで、微細な開口20、開口15a、及び開口15bを形成することができる。なおこれに限られず、ウェットエッチングとドライエッチングとを組み合わせることもできるし、ウェットエッチングにより加工することもできる。
【0180】
開口20の側壁は、導電層24の上面に対して垂直に近い形状にすると、開口20の面積を小さくできるため好ましい。このような構成とすることで、占有面積の小さなトランジスタを作製することができる。または、開口20の側壁をテーパ形状とすることもできる。テーパ形状とすることで、開口20の内部に形成する膜の被覆性を高めることができる。なお開口15a、15bも同様である。
【0181】
開口20の最大幅(平面視において開口20が円形である場合は最大径)は、できるだけ微細であることが好ましい。例えば、開口20の最大幅は、2μm以下、1μm以下、500nm以下、300nm以下、150nm以下、100nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、又は20nm以下であって、5nm以上であることが好ましい。特に、開口20を極めて微細に加工するには、EUV光などの短波長の光、または電子ビームを用いたリソグラフィー法を用いることが好ましい。
【0182】
ここでは、開口20と、開口15a及び開口15bとを同一工程により同時に形成する。これにより、作製工程を簡略化することができる。なおこのとき、開口20と開口15a及び15bとで、底部に位置する層が異なる。そのため、絶縁層41(より具体的には絶縁層41c)のエッチングの条件によっては、開口20の底部に位置する導電層24、開口15a及び15bの底部に位置する絶縁層12のいずれか一方、または双方は、その上部の一部がエッチングされる場合がある。
【0183】
なお、開口15a及び開口15bと、開口20とを、別々の工程で形成することもできる。これにより、図5で例示した各種開口15と、開口20とを作り分けることができる。
【0184】
続いて、加熱処理を行うこともできる。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行うことができる。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、窒素ガスと酸素ガスの混合雰囲気で加熱処理をする場合、酸素ガスを20%程度にすることが好ましい。また、加熱処理は減圧状態で行うこともできる。または、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行うこともできる。以上のような加熱処理を行うことで、半導体層となる酸化物半導体膜の成膜前に、絶縁層41などに含まれる、水、水素などの不純物を低減できる。
【0185】
また、上記加熱処理で用いるガスは、高純度化されていることが好ましい。例えば、上記加熱処理で用いるガスに含まれる水分量が1ppb以下、好ましくは0.1ppb以下、より好ましくは0.05ppb以下にする。高純度化されたガスを用いて加熱処理を行うことで、絶縁層41などに水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
【0186】
続いて、導電膜25f、絶縁層41c、開口20、開口15a、開口15b等を覆って半導体層21となる半導体膜21fを成膜する(図9(C))。
【0187】
半導体膜21fとしては、酸化物半導体膜を用いることができる。当該酸化物半導体膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いることができる。開口20の側壁がテーパ形状を有する場合には、スパッタリング法を用いて酸化物半導体膜を成膜することができる。また、開口20の側壁が基板11上面に対して概略垂直、または逆テーパ形状である場合には、当該酸化物半導体膜の成膜は、被覆性が良好な成膜方法を用いることが好ましく、CVD法またはALD法などを用いることがより好ましい。例えば、当該酸化物半導体膜として、In-Ga-Zn酸化物を成膜することができる。
【0188】
また、酸化物半導体膜の成膜中、または成膜後に、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うことで、当該酸化物半導体膜中の不純物濃度を低減させる処理を行うこともできる。なお、不純物としては、特に、水素、及び炭素が挙げられる。また、マイクロ波処理を行うことで、酸化物半導体膜の結晶性を高めることができる場合がある。ここで、マイクロ波処理とは、例えばマイクロ波を用いて高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いた処理のことを指す。
【0189】
また、半導体層21を積層構造とする場合、各層の成膜方法は同じとすることもできるし、異ならせることもできる。例えば、半導体層21を2層の積層構造とする場合、酸化物半導体膜の下層をスパッタリング法で成膜し、酸化物半導体膜の上層をALD法で成膜することもできる。スパッタリング法を用いて成膜された酸化物半導体膜は結晶性を有しやすい。そこで、結晶性を有する酸化物半導体膜を酸化物半導体膜の下層として設けることで、酸化物半導体膜の上層の結晶性を高めることができる。また、スパッタリング法で成膜した酸化物半導体膜の下層にピンホールまたは段切れなどが形成されたとしても、それらと重畳する部分を、被覆性の良好なALD法で成膜した酸化物半導体膜の上層で塞ぐことができる。
【0190】
半導体膜は、例えば金属酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが好ましい。
【0191】
半導体膜は、可能な限り欠陥の少ない緻密な膜とすることが好ましい。また、半導体膜は、可能な限り水素、水などの不純物が低減され、高純度な膜であることが好ましい。特に、半導体膜として、結晶性を有する金属酸化物膜を用いることが好ましい。
【0192】
また、金属酸化物膜を成膜する際に、酸素ガスと、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)とを混合させることもできる。なお、金属酸化物膜を成膜する際の成膜ガス全体に占める酸素ガスの割合(以下、酸素流量比ともいう)が高いほど、金属酸化物膜の結晶性を高めることができ、信頼性の高いトランジスタを実現できる。一方、酸素流量比が低いほど、金属酸化物膜の結晶性が低くなり、オン電流が高められたトランジスタとすることができる。
【0193】
金属酸化物膜を成膜する際、基板温度が高いほど、結晶性が高く、緻密な金属酸化物膜とすることができる。一方、基板温度が低いほど、結晶性が低く、電気伝導性の高い金属酸化物膜とすることができる。
【0194】
金属酸化物膜の成膜条件としては、基板温度を室温以上250℃以下、好ましくは室温以上200℃以下、より好ましくは基板温度を室温以上140℃以下とすることができる。例えば基板温度を、室温以上140℃未満とすると、生産性が高くなり好ましい。また、基板温度を室温とする、または意図的に加熱しない状態で、金属酸化物膜を成膜することにより、結晶性を低くすることができる。
【0195】
ALD法を用いる場合、熱ALD(Atomic Layer Deposition)法、またはPEALD(Plasma Enhanced ALD)等の成膜方法を用いることが好ましい。熱ALD法は極めて高い段差被覆性を示すため好ましい。またPEALD法は、高い段差被覆性を示すことに加え低温成膜が可能であるため好ましい。
【0196】
例えば、半導体層21に金属酸化物を用いる場合、構成する金属元素を含むプリカーサと、酸化剤と、を用いてALD法により成膜することができる。
【0197】
例えば、In-Ga-Zn酸化物を成膜する場合には、インジウムを含むプリカーサ、ガリウムを含むプリカーサ、および亜鉛を含むプリカーサの、3つのプリカーサを用いることができる。または、インジウムを含むプリカーサと、ガリウム及び亜鉛を含むプリカーサの2つのプリカーサを用いることもできる。
【0198】
インジウムを含むプリカーサとして、トリエチルインジウム、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン酸)インジウム、シクロペンタジエニルインジウム、塩化インジウム(III)、(3-(ジメチルアミノ)プロピル)ジメチルインジウムなどを用いることができる。
【0199】
また、ガリウムを含むプリカーサとして、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリス(ジメチルアミド)ガリウム(III)、ガリウム(III)アセチルアセトナート、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン酸)ガリウム、ジメチルクロロガリウム、ジエチルクロロガリウム、塩化ガリウム(III)などを用いることができる。
【0200】
また、亜鉛を含むプリカーサとして、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン酸)亜鉛、塩化亜鉛などを用いることができる。
【0201】
酸化剤としては、例えば、オゾン、酸素、水などを用いることができる。
【0202】
得られる膜の組成を制御する方法としては、原料ガスの流量比、原料ガスを流す時間、原料ガスを流す順番などを調整することが挙げられる。また、これらを調整することで、組成が連続して変化する膜を成膜することもできる。また、組成の異なる2以上の膜を連続して成膜することも可能となる。
【0203】
続いて、加熱処理を行うことにより、絶縁層41bから半導体膜21fに酸素を供給することができる。また、加熱処理により、半導体膜21f中の水素、及び半導体膜21fの表面に吸着した水などを除去することができる。加熱処理の方法としては、上記記載を参照することができる。
【0204】
続いて、半導体膜21fの不要な部分をエッチングにより除去することで、半導体層21を形成する。続いて、導電膜25fの不要な部分をエッチングにより除去することで、導電層25を形成する(図10(A))。ここでは、半導体層21と導電層25とを同一のフォトマスクを用いて加工した場合の例を示している。これにより、作製工程が簡略化できるため好ましい。なお、半導体層21と導電層25とを別々のフォトマスクを用いて加工することもできる。
【0205】
半導体層21の形成後、開口15a、15bのそれぞれの側壁が露出した状態となる。より具体的には、少なくとも絶縁層41bの一部が露出した状態となる。この状態で、加熱処理を行うことより、開口15a、15bから外部に、絶縁層41b中の過剰な酸素16を放出することができる。なお、これより後に行われる高温下の処理(例えば成膜工程)等がある場合には、その処理中にも絶縁層41bから酸素を放出できるため、ここでの加熱処理を省略することもできる。例えば、高温下の処理としては、後の絶縁層22の成膜工程、絶縁層44の成膜工程などが挙げられる。
【0206】
加熱処理は、貴ガス、または窒素を含む雰囲気で行うことができる。または、超乾燥空気(CDA:Clean Dry Air)雰囲気で加熱することもできる。また、酸素を含む雰囲気とし、雰囲気中の酸素分圧を制御することで、絶縁層41bからの酸素の脱離量を制御することができる。なお、上記加熱処理の雰囲気に水素、水などができるだけ含まれないことが好ましい。該加熱処理は、電気炉、RTA(Rapid Thermal Anneal)装置などを用いることができる。RTA装置を用いることで、加熱処理時間を短縮することができる。電気炉を用いることで、用いるガスの分圧の制御が容易となる。
【0207】
加熱処理の温度と時間は、絶縁層41bの膜質、開口20と開口15aまたは15bとの距離、脱離させる酸素の量などに応じて、設定することができる。処理温度及び処理時間に比例して、絶縁層41bから脱離する酸素の総量は増大する。
【0208】
例えば、電気炉を用いて、雰囲気を超乾燥空気雰囲気下とした場合、処理時間(昇温時間及び降温時間を除いた時間)は30分以上8時間以下、より好ましくは45分以上4時間以下、さらに好ましくは50分以上2時間以下、代表的には1時間以下とすることが好ましい。処理温度は100℃以上550℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下、より好ましくは250℃以上450℃以下で行うことが好ましい。
【0209】
続いて、半導体層21、導電層25、絶縁層41、絶縁層12などを覆って、絶縁層22を形成する。絶縁層22の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いることができる。
【0210】
絶縁層22は、開口20内おける半導体層21の側面に、出来るだけ均一な厚さで設けることが好ましい。そのため被覆性に極めて優れた成膜方法であるCVD法またはALD法により、絶縁層22を形成することが特に好ましい。なお、開口20の側壁がテーパ形状である場合には、絶縁層22を、スパッタリング法などの成膜方法を用いて成膜することができる。
【0211】
絶縁層22の形成後、絶縁層41bから酸素を脱離させるための加熱処理を行うこともできる。これにより、絶縁層41bから絶縁層22を介して過剰な酸素を外部に放出させることができる。
【0212】
続いて、絶縁層22を覆って導電膜を成膜し、不要な部分をエッチングにより除去することにより、導電層23を形成する(図10(B))。
【0213】
以上の工程により、トランジスタ10を作製することができる。
【0214】
その後、導電層23及び絶縁層22を覆って、絶縁層44を形成する(図10(C))。絶縁層44は、絶縁層41aまたは絶縁層41bと同様の方法により形成することができる。
【0215】
絶縁層44の形成後、絶縁層41bから酸素を脱離させるための加熱処理を行うこともできる。これにより、絶縁層41bから絶縁層22及び絶縁層44を介して過剰な酸素を外部に放出させることができる。
【0216】
絶縁層41bから酸素を脱離させるための加熱処理は、半導体層21の形成後であればどのタイミングで行うこともできる。また加熱処理は1度に限られず、複数回行うこともできる。また、半導体層21の形成後に行われる高温下の処理(例えば成膜工程など)がある場合には、当該加熱処理と兼ねることができる場合もある。
【0217】
以上が、作製方法例についての説明である。
【0218】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせることができる。
【0219】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置が適用された表示装置について図面を参照して説明する。
【0220】
本実施の形態の表示装置は、高解像度の表示装置または大型な表示装置とすることができる。したがって、本実施の形態の表示装置は、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、及び、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、及び、音響再生装置の表示部に用いることができる。
【0221】
また、本実施の形態の表示装置は、高精細な表示装置とすることができる。したがって、本実施の形態の表示装置は、例えば、腕時計型、及び、ブレスレット型などの情報端末機(ウェアラブル機器)の表示部、並びに、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などのVR向け機器、及び、メガネ型のAR向け機器などの頭部に装着可能なウェアラブル機器の表示部に用いることができる。
【0222】
本発明の一態様の半導体装置は、表示装置、または、当該表示装置を有するモジュールに用いることができる。当該表示装置を有するモジュールとしては、当該表示装置にフレキシブルプリント回路基板(Flexible printed circuit、以下、FPCと記す)もしくはTCP(Tape Carrier Package)等のコネクターが取り付けられたモジュール、COG(Chip On Glass)方式もしくはCOF(Chip On Film)方式等により集積回路(IC)が実装されたモジュール等が挙げられる。
【0223】
図11に、表示装置100Aの斜視図を示す。
【0224】
表示装置100Aは、基板152と基板151とが貼り合わされた構成を有する。図11では、基板152を破線で示している。
【0225】
表示装置100Aは、表示部162、接続部140、回路部164、配線165等を有する。図11では表示装置100AにIC173及びFPC172が実装されている例を示している。そのため、図11に示す構成は、表示装置100Aと、ICと、FPCと、を有する表示モジュールということもできる。
【0226】
接続部140は、表示部162の外側に設けられる。接続部140は、表示部162の一辺または複数の辺に沿って設けることができる。接続部140は、単数にすることもできるし、複数にすることもできる。図11では、表示部162の四辺を囲むように接続部140が設けられている例を示す。接続部140では、表示素子の共通電極と、導電層とが電気的に接続されており、共通電極に電位を供給することができる。
【0227】
回路部164は、例えば走査線駆動回路(ゲートドライバともいう)を有する。また、回路部164は、走査線駆動回路及び信号線駆動回路(ソースドライバともいう)の双方を有することもできる。
【0228】
配線165は、表示部162及び回路部164に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC172を介して外部から配線165に入力される、またはIC173から配線165に入力される。
【0229】
図11では、COG方式またはCOF方式等により、基板151にIC173が設けられている例を示す。IC173には、例えば、走査線駆動回路及び信号線駆動回路のうち一方または双方を有するICを適用できる。なお、表示装置100A及び表示モジュールは、ICを設けない構成とすることもできる。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装することもできる。
【0230】
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示装置100Aの表示部162及び回路部164の一方または双方に適用することができる。また、本発明の一態様の半導体装置は、IC173に適用することもできる。
【0231】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を表示装置の画素回路に適用する場合、画素回路の占有面積を縮小することができ、高精細の表示装置とすることができる。また、例えば、本発明の一態様の半導体装置を表示装置の駆動回路(例えば、ゲート線駆動回路及びソース線駆動回路の一方または双方)に適用する場合、駆動回路の占有面積を縮小することができ、狭額縁の表示装置とすることができる。また、本発明の一態様の半導体装置は、電気特性が良好であるため、表示装置に用いることで表示装置の信頼性を高めることができる。
【0232】
表示部162は、表示装置100Aにおける画像を表示する領域であり、周期的に配列された複数の画素210を有する。図11には、1つの画素210の拡大図を示している。
【0233】
本実施の形態の表示装置における画素の配列に特に限定はなく、様々な方法を適用することができる。画素の配列としては、例えば、ストライプ配列、Sストライプ配列、マトリクス配列、デルタ配列、ベイヤー配列、ペンタイル配列などが挙げられる。
【0234】
図11に示す画素210は、赤色の光を呈する副画素210R、緑色の光を呈する副画素210G、及び、青色の光を呈する副画素210Bを有する。
【0235】
表示素子としては、様々な素子を用いることができ、例えば、液晶素子及び発光素子が挙げられる。その他、シャッター方式または光干渉方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、または電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示素子などを用いることもできる。また、光源と、量子ドット材料による色変換技術と、を用いたQLED(Quantum-dot LED)を用いることもできる。
【0236】
液晶素子としては、例えば、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、及び、半透過型の液晶素子が挙げられる。
【0237】
発光素子としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic LED)、半導体レーザなどの、自発光型の発光素子が挙げられる。LEDとして、例えば、ミニLED、マイクロLEDなどを用いることができる。
【0238】
発光素子が有する発光物質としては、例えば、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、及び、無機化合物(量子ドット材料等)が挙げられる。
【0239】
発光素子の発光色は、赤外、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、黄、または白などとすることができる。また、発光素子にマイクロキャビティ構造を付与することにより色純度を高めることができる。
【0240】
発光素子が有する一対の電極のうち、一方の電極は陽極として機能し、他方の電極は陰極として機能する。なお、本発明の一態様の表示装置は、発光素子が形成されている基板とは反対方向に光を射出する上面射出型(トップエミッション型)、発光素子が形成されている基板側に光を射出する下面射出型(ボトムエミッション型)、両面に光を射出する両面射出型(デュアルエミッション型)のいずれとすることもできる。
【0241】
図12に、表示装置100Aの、FPC172を含む領域の一部、回路部164の一部、表示部162の一部、接続部140の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0242】
図12に示す表示装置100Aは、基板151と基板152の間に、トランジスタ205D、205R、205G、205B、発光素子130R、130G、130B等を有する。発光素子130Rは、赤色の光を呈する副画素210Rが有する表示素子であり、発光素子130Gは、緑色の光を呈する副画素210Gが有する表示素子であり、発光素子130Bは、青色の光を呈する副画素210Bが有する表示素子である。
【0243】
表示装置100Aには、SBS(Side By Side)構造が適用されている。SBS構造は、発光素子ごとに材料及び構成を最適化することができるため、材料及び構成の選択の自由度が高まり、輝度の向上及び信頼性の向上を図ることが容易となる。
【0244】
また、表示装置100Aは、トップエミッション型である。トップエミッション型は、トランジスタ等を発光素子の発光領域と重ねて配置できるため、ボトムエミッション型に比べて画素の開口率を高めることができる。
【0245】
トランジスタ205D、205R、205G、205Bは、いずれも基板151上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の工程により作製することができる。
【0246】
基板151上には絶縁層110が設けられ、トランジスタ205D、205R、205G、205Bは、それぞれ絶縁層110に設けられた開口部に設けられている。絶縁層110は基板151側から絶縁層110a、110b、110cが積層された構成を有する。
【0247】
本実施の形態では、トランジスタ205D、205R、205G、205Bには、半導体に酸化物半導体が適用され、寄生容量が低減された、本発明の一態様のトランジスタを用いる例を示す。例えばトランジスタ205R、205G、及び205Bは、発光素子に流れる電流を制御するための、駆動トランジスタとして機能する。回路部164に設けられたトランジスタ205Dは、駆動回路の一部を構成するトランジスタである。
【0248】
具体的には、トランジスタ205D、205R、205G、205Bは、それぞれ、ゲートとして機能する導電層104、ゲート絶縁層として機能する絶縁層106、それぞれソース電極またはドレイン電極の一方として機能する導電層109、その他方として機能する導電層107、半導体層108などを有する。導電層109及び導電層107は、半導体層108と接する。また、導電層107と接する導電層112aと、導電層109と接する導電層112bが設けられる。導電層112a及び導電層112bは、それぞれ導電層107及び導電層109よりも低抵抗な導電性材料を含み、配線として機能する。ここでは、同一の膜を加工して得られる複数の層に、同じハッチングパターンを付している。
【0249】
このように、表示装置100Aは、表示部162及び回路部164の双方に、本発明の一態様のトランジスタを有する。表示部162に本発明の一態様のトランジスタを用いることで、画素サイズを縮小でき、高精細化を図ることができる。また、回路部164に本発明の一態様のトランジスタを用いることで、回路部164の占有面積を小さくでき、狭額縁化を図ることができる。また表示部162及び回路部164の一方又は双方に本発明の一態様のトランジスタを用いることで、配線の負荷を低減できるため、高速動作が可能な表示装置、大型の表示装置、または解像度の高い(画素数の多い)表示装置を実現できる。本発明の一態様のトランジスタについては、先の実施の形態の記載を参照できる。
【0250】
さらに、トランジスタ205D、205R、205G、205Bのそれぞれの近傍には、開口部206が設けられている。開口部206には、絶縁層110を貫通し、導電層107に達する開口が設けられている。さらに開口部206を覆って絶縁層106及び絶縁層218が設けられている。開口部206において、絶縁層110bの側面は絶縁層106と接している。これにより、トランジスタ205D、205R、205G、205Bの信頼性を高めることができる。
【0251】
なお、本実施の形態の表示装置が有するトランジスタは、本発明の一態様のトランジスタのみに限定されない。例えば、本発明の一態様のトランジスタと、他の構造のトランジスタと、を組み合わせて有することもできる。
【0252】
本実施の形態の表示装置は、例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタのいずれか一以上を有することもできる。本実施の形態の表示装置が有するトランジスタは、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれとすることもできる。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートを設けることもできる。
【0253】
本実施の形態の表示装置は、シリコンをチャネル形成領域に用いたトランジスタ(Siトランジスタ)を有することもできる。シリコンとしては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン等が挙げられる。特に、半導体層にLTPSを有するトランジスタ(以下、LTPSトランジスタともいう)を用いることができる。LTPSトランジスタは、電界効果移動度が高く、周波数特性が良好である。また、非晶質シリコンは、大面積のガラス基板上に均一に成膜することができるため、半導体層に非晶質シリコンを有するトランジスタは生産性に優れる。
【0254】
また、本実施の形態の表示装置は、In-Ga-Zn酸化物(IGZOとも表記する)に代表される酸化物半導体(OS:Oxide Semiconductor)をチャネル形成領域に用いたトランジスタ(OSトランジスタ)を有することもできる。例えば、チャネルが形成される半導体にシリコンを用いたトランジスタと、酸化物半導体を用いたトランジスタとが混在した表示装置とすることもできる。
【0255】
回路部164が有するトランジスタと、表示部162が有するトランジスタは、同じ構造とすることもできるし、異なる構造にすることもできる。回路部164が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じにすることもできるし、2種類以上にすることもできる。同様に、表示部162が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じにすることもできるし、2種類以上にすることもできる。
【0256】
表示部162が有するトランジスタの全てをOSトランジスタとすることもできるし、表示部162が有するトランジスタの全てをSiトランジスタとすることもできるし、表示部162が有するトランジスタの一部をOSトランジスタとし、残りをSiトランジスタとすることもできる。
【0257】
例えば、表示部162にLTPSトランジスタとOSトランジスタとの双方を用いることで、消費電力が低く、駆動能力の高い表示装置を実現することができる。また、LTPSトランジスタと、OSトランジスタとを、組み合わせる構成をLTPOと呼称する場合がある。なお、より好適な例としては、配線間の導通、非導通を制御するためのスイッチとして機能するトランジスタ等にOSトランジスタを適用し、電流を制御するトランジスタ等にLTPSトランジスタを適用する構成が挙げられる。
【0258】
例えば、表示部162が有するトランジスタの一は、発光素子に流れる電流を制御するためのトランジスタとして機能し、駆動トランジスタとも呼ぶことができる。駆動トランジスタのソース及びドレインの一方は、発光素子の画素電極と電気的に接続される。
【0259】
一方、表示部162が有するトランジスタの他の一は、画素の選択、非選択を制御するためのスイッチとして機能し、選択トランジスタとも呼ぶことができる。選択トランジスタのゲートはゲート線と電気的に接続され、ソース及びドレインの一方は、ソース線(信号線)と電気的に接続される。選択トランジスタには、OSトランジスタを適用することが好ましい。これにより、フレーム周波数を著しく低く(例えば1fps以下)しても、画素の階調を維持することができるため、静止画を表示する際にドライバを停止することで、消費電力を低減することができる。
【0260】
トランジスタ205D、205R、205G、205Bを覆うように、絶縁層218が設けられ、絶縁層218上に絶縁層235が設けられている。
【0261】
絶縁層218は、トランジスタの保護層として機能することが好ましい。絶縁層218には、水及び水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層218をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0262】
絶縁層218は、1層以上の無機絶縁膜を有することが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜が挙げられる。これらの無機絶縁膜の具体例は、前述の通りである。
【0263】
絶縁層235は、平坦化層としての機能を有することが好ましく、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。また、絶縁層235を、有機絶縁膜と、無機絶縁膜との積層構造にすることもできる。絶縁層235の最表層は、エッチング保護層としての機能を有することが好ましい。これにより、画素電極111R、111G、111Bなどの加工時に、絶縁層235に凹部が形成されることを抑制することができる。または、絶縁層235には、画素電極111R、111G、111Bなどの加工時に、凹部が設けられる構成とすることもできる。
【0264】
絶縁層235上に、発光素子130R、130G、130Bが設けられている。
【0265】
発光素子130Rは、絶縁層235上の画素電極111Rと、画素電極111R上のEL層113Rと、EL層113R上の共通電極115と、を有する。図12に示す発光素子130Rは、赤色の光(R)を発する。EL層113Rは、赤色の光を発する発光層を有する。
【0266】
同様に、発光素子130Gは、画素電極111G、EL層113G、及び共通電極115を有する。発光素子130Gは緑色の光(G)を発し、EL層113Gは緑色の光を発する発光層を有する。
【0267】
同様に、発光素子130Bは、画素電極111B、EL層113B、及び共通電極115を有する。発光素子130Bは青色の光(B)を発し、EL層113Bは青色の光を発する発光層を有する。
【0268】
なお、図12では、EL層113R、113G、113Bを全て同じ厚さのように示すが、これに限られない。EL層113R、113G、113Bのそれぞれは膜厚が異なる構成とすることもできる。例えば、EL層113R、113G、113Bの膜厚を、それぞれの発する光を強める光路長に対応して設定することが好ましい。これにより、マイクロキャビティ構造を実現し、各発光素子から射出される光の色純度を高めることができる。
【0269】
画素電極111Rは、絶縁層106、絶縁層218、及び絶縁層235に設けられた開口を介して、トランジスタ205Rが有する導電層112bと電気的に接続されている。同様に、画素電極111Gは、トランジスタ205Gが有する導電層112bと電気的に接続され、画素電極111Bは、トランジスタ205Bが有する導電層112bと電気的に接続されている。
【0270】
画素電極111R、111G、111Bのそれぞれの端部は、絶縁層237によって覆われている。絶縁層237は、隔壁(土手、バンク、スペーサともいう)として機能する。絶縁層237は、無機絶縁材料及び有機絶縁材料の一方または双方を用いて、単層構造または積層構造で設けることができる。絶縁層237には、例えば、絶縁層218に用いることができる材料及び絶縁層235に用いることができる材料を適用できる。絶縁層237により、画素電極と共通電極とを電気的に絶縁することができる。また、絶縁層237により、隣接する発光素子同士を電気的に絶縁することができる。
【0271】
共通電極115は、発光素子130R、130G、130Bに共通して設けられる一続きの膜である。複数の発光素子が共通して有する共通電極115は、接続部140に設けられた導電層123と電気的に接続される。導電層123には、画素電極111R、111G、111Bと同じ材料及び同じ工程で形成された導電層を用いることが好ましい。
【0272】
本発明の一態様の表示装置において、画素電極と共通電極のうち、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0273】
また、光を取り出さない側の電極にも可視光を透過する導電膜を用いることもできる。この場合、反射層と、EL層との間に当該電極を配置することが好ましい。つまり、EL層の発光は、当該反射層によって反射されて、表示装置から取り出される構成とすることもできる。
【0274】
発光素子の一対の電極を形成する材料としては、金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを適宜用いることができる。当該材料としては、具体的には、アルミニウム、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ガリウム、亜鉛、インジウム、スズ、モリブデン、タンタル、タングステン、パラジウム、金、白金、銀、イットリウム、ネオジムなどの金属、及びこれらを適宜組み合わせて含む合金が挙げられる。また、当該材料としては、インジウムスズ酸化物(In-Sn酸化物、ITOともいう)、In-Si-Sn酸化物(ITSOともいう)、インジウム亜鉛酸化物(In-Zn酸化物)、及びIn-W-Zn酸化物などを挙げることができる。また、当該材料としては、アルミニウム、ニッケル、及びランタンの合金(Al-Ni-La)等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、並びに、銀とマグネシウムの合金(Mg-Ag)、及び、銀とパラジウムと銅の合金(Ag-Pd-Cu、APCとも記す)等の銀を含む合金が挙げられる。その他、当該材料としては、上記例示のない元素周期表の第1族または第2族に属する元素(例えば、リチウム、セシウム、カルシウム、ストロンチウム)、ユウロピウム、イッテルビウムなどの希土類金属及びこれらを適宜組み合わせて含む合金、グラフェン等が挙げられる。
【0275】
発光素子には、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光素子が有する一対の電極の一方は、可視光に対する透過性及び反射性を有する電極(半透過・半反射電極)であることが好ましく、他方は、可視光に対する反射性を有する電極(反射電極)であることが好ましい。発光素子がマイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、発光素子から射出される光を強めることができる。
【0276】
透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光素子の透明電極には、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。半透過・半反射電極の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。
【0277】
EL層113R、113G、113Bは、それぞれ、島状に設けられている。図12では、隣り合うEL層113Rの端部とEL層113Gの端部とが重なっており、隣り合うEL層113Gの端部とEL層113Bの端部とが重なっており、隣り合うEL層113Rの端部とEL層113Bの端部とが重なっている。ファインメタルマスクを用いて島状のEL層を成膜する場合、図12に示すように、隣り合うEL層の端部同士が重なることがあるが、これに限られない。つまり、隣り合うEL層同士は重ならず、互いに離隔される構成とすることもできる。また、表示装置において、隣り合うEL層同士が重なっている部分と、隣り合うEL層同士が重ならず離隔されている部分と、の双方が存在する構成とすることもできる。
【0278】
EL層113R、113G、113Bは、それぞれ、少なくとも発光層を有する。発光層は、1種または複数種の発光物質を有する。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、または赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0279】
発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、及び量子ドット材料などが挙げられる。
【0280】
発光層は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有することもできる。1種または複数種の有機化合物としては、正孔輸送性の高い物質(正孔輸送性材料)及び電子輸送性の高い物質(電子輸送性材料)の一方または双方を用いることができる。また、1種または複数種の有機化合物として、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質、バイポーラ性材料ともいう)、またはTADF材料を用いることもできる。
【0281】
発光層は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み合わせである正孔輸送性材料及び電子輸送性材料と、を有することが好ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。この構成により、発光素子の高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現できる。
【0282】
EL層は、発光層の他に、正孔注入性の高い物質を含む層(正孔注入層)、正孔輸送性材料を含む層(正孔輸送層)、電子ブロック性の高い物質を含む層(電子ブロック層)、電子注入性の高い物質を含む層(電子注入層)、電子輸送性材料を含む層(電子輸送層)、及び、正孔ブロック性の高い物質を含む層(正孔ブロック層)のうち一つまたは複数を有することができる。その他、EL層は、バイポーラ性材料及びTADF材料の一方または双方を含むこともできる。
【0283】
発光素子には低分子化合物及び高分子化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含むこともできる。発光素子を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0284】
発光素子には、シングル構造(発光ユニットを1つだけ有する構造)を適用することもできるし、タンデム構造(発光ユニットを複数有する構造)を適用することもできる。発光ユニットは、少なくとも1層の発光層を有する。タンデム構造は、複数の発光ユニットが電荷発生層を介して直列に接続された構成である。電荷発生層は、一対の電極間に電圧を印加したときに、2つの発光ユニットの一方に電子を注入し、他方に正孔を注入する機能を有する。タンデム構造とすることで、高輝度発光が可能な発光素子とすることができる。また、タンデム構造は、シングル構造と比べて、同じ輝度を得るために必要な電流を低減できるため、信頼性を高めることができる。なお、タンデム構造をスタック構造と呼ぶこともできる。
【0285】
図12において、タンデム構造の発光素子を用いる場合、EL層113Rは、赤色の光を発する発光ユニットを複数有する構造であり、EL層113Gは、緑色の光を発する発光ユニットを複数有する構造であり、EL層113Bは、青色の光を発する発光ユニットを複数有する構造であると好ましい。
【0286】
発光素子130R、130G、130B上には保護層131が設けられている。保護層131と基板152は接着層142を介して接着されている。基板152には、遮光層117が設けられている。発光素子の封止には、例えば、固体封止構造または中空封止構造が適用できる。図12では、基板152と基板151との間の空間が、接着層142で充填されており、固体封止構造が適用されている。または、当該空間を不活性ガス(窒素またはアルゴンなど)で充填し、中空封止構造を適用することもできる。このとき、接着層142は、発光素子と重ならないように設けることもできる。また、当該空間を、枠状に設けられた接着層142とは異なる樹脂で充填することもできる。
【0287】
保護層131は、少なくとも表示部162に設けられており、表示部162全体を覆うように設けられていることが好ましい。発光素子130R、130G、130B上に保護層131を設けることで、発光素子の信頼性を高めることができる。保護層131は、表示部162だけでなく、接続部140及び回路部164を覆うように設けられていることが好ましい。また、保護層131は、表示装置100Aの端部にまで設けられていることが好ましい。一方で、接続部204には、FPC172と導電層166とを電気的に接続させるため、保護層131が設けられていない部分が生じる。
【0288】
保護層131は単層構造とすることもできるし、2層以上の積層構造とすることもできる。また、保護層131の導電性は問わない。保護層131としては、絶縁膜、半導体膜、及び、導電膜の少なくとも一種を用いることができる。保護層131が無機膜を有することで、共通電極115の酸化を防止する、発光素子に不純物(水分及び酸素等)が入り込むことを抑制する、等、発光素子の劣化を抑制し、表示装置の信頼性を高めることができる。保護層131には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜を用いることができる。これらの無機絶縁膜の具体例は、前述の通りである。特に、保護層131は、窒化絶縁膜または窒化酸化絶縁膜を有することが好ましく、窒化絶縁膜を有することがより好ましい。
【0289】
また、保護層131には、ITO、In-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、Al-Zn酸化物、またはIGZO等を含む無機膜を用いることもできる。当該無機膜は、高抵抗であることが好ましく、具体的には、共通電極115よりも高抵抗であることが好ましい。当該無機膜は、さらに窒素を含むこともできる。
【0290】
発光素子の発光を、保護層131を介して取り出す場合、保護層131は、可視光に対する透過性が高いことが好ましい。例えば、ITO、IGZO、及び、酸化アルミニウムは、それぞれ、可視光に対する透過性が高い無機材料であるため、好ましい。
【0291】
保護層131としては、例えば、酸化アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上の窒化シリコン膜と、の積層構造、または、酸化アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜上のIGZO膜と、の積層構造を用いることができる。当該積層構造を用いることで、不純物(水及び酸素等)がEL層側に入り込むことを抑制できる。
【0292】
さらに、保護層131は、有機膜を有することもできる。例えば、保護層131は、有機膜と無機膜の双方を有することもできる。保護層131に用いることができる有機膜としては、例えば、絶縁層235に用いることができる有機絶縁膜などが挙げられる。
【0293】
基板151の、基板152が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が、導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。配線165は、導電層112bと同一の導電膜を加工して得られた導電層の単層構造である例を示す。導電層166は、画素電極111R、111G、111Bと同一の導電膜を加工して得られた導電層の単層構造である例を示す。接続部204の上面では、導電層166が露出している。これにより、接続部204とFPC172とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0294】
表示装置100Aは、トップエミッション型である。発光素子が発する光は、基板152側に射出される。基板152には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。画素電極111R、111G、111Bは可視光を反射する材料を含み、対向電極(共通電極115)は可視光を透過する材料を含む。
【0295】
基板152の基板151側の面には、遮光層117を設けることが好ましい。遮光層117は、隣り合う発光素子の間、接続部140、及び、回路部164などに設けることができる。
【0296】
また、基板152の基板151側の面、または、保護層131上に、カラーフィルタなどの着色層を設けることもできる。発光素子に重ねてカラーフィルタを設けると、画素から射出される光の色純度を高めることができる。
【0297】
また、基板152の外側(基板151とは反対側の面)には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、例えば、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルムが挙げられる。また、基板152の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等の表面保護層を配置することもできる。例えば、表面保護層として、ガラス層またはシリカ層(SiO層)を設けることで、表面汚染及び傷の発生を抑制することができ、好ましい。また、表面保護層としては、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、酸化アルミニウム(AlO)、ポリエステル系材料、またはポリカーボネート系材料などを用いることもできる。なお、表面保護層には、可視光に対する透過率が高い材料を用いることが好ましい。また、表面保護層には、硬度が高い材料を用いることが好ましい。
【0298】
基板151及び基板152としては、それぞれ、ガラス、石英、セラミックス、サファイア、樹脂、金属、合金、半導体などを用いることができる。発光素子からの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。基板151及び基板152に可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高め、フレキシブルディスプレイを実現することができる。また、基板151及び基板152の少なくとも一方として偏光板を用いることもできる。
【0299】
基板151及び基板152としては、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。基板151及び基板152の少なくとも一方に、可撓性を有する程度の厚さのガラスを用いることもできる。
【0300】
なお、表示装置に円偏光板を重ねる場合、表示装置が有する基板には、光学等方性の高い基板を用いることが好ましい。光学等方性が高い基板は、複屈折が小さい(複屈折量が小さい、ともいえる)。光学等方性が高いフィルムとしては、トリアセチルセルロース(TAC、セルローストリアセテートともいう)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、シクロオレフィンコポリマー(COC)フィルム、及びアクリルフィルム等が挙げられる。
【0301】
接着層142としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラール)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いることもできる。また、接着シート等を用いることもできる。
【0302】
接続層242としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0303】
[表示装置100B]
図13に示す表示装置100Bは、各色の副画素に共通のEL層113を有する発光素子と、着色層(カラーフィルタなど)と、が用いられている点、ボトムエミッション型の表示装置である点などで、表示装置100Aと主に異なる。なお、以降の表示装置の説明では、先に説明した表示装置と同様の部分については説明を省略することがある。
【0304】
発光素子が発する光は、基板151側に射出される。基板151には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。一方、基板152に用いる材料の透光性は問わない。
【0305】
図13に示す表示装置100Bは、基板151と基板152の間に、トランジスタ205D、205R、205G、205B(図示しない)、発光素子130R、130G、130B、赤色の光を透過する着色層132R、緑色の光を透過する着色層132G、及び、青色の光を透過する着色層132B等を有する。
【0306】
発光素子130Rは、画素電極111Rと、画素電極111R上のEL層113と、EL層113上の共通電極115と、を有する。発光素子130Rの発光は、着色層132Rを介して表示装置100Bの外部に赤色の光として取り出される。
【0307】
発光素子130Gは、画素電極111Gと、画素電極111G上のEL層113と、EL層113上の共通電極115と、を有する。発光素子130Gの発光は、着色層132Gを介して表示装置100Bの外部に緑色の光として取り出される。
【0308】
発光素子130Bは、画素電極111Bと、画素電極111B上のEL層113と、EL層113上の共通電極115と、を有する。発光素子130Bの発光は、着色層132Bを介して表示装置100Bの外部に青色の光として取り出される。
【0309】
発光素子130R、130G、130Bは、EL層113と、共通電極115と、をそれぞれ共有して有する。各色の副画素に共通のEL層113を設ける構成は、各色の副画素にそれぞれ異なるEL層を設ける構成に比べて、作製工程数の削減が可能である。
【0310】
例えば、図13に示す発光素子130R、130G、130Bは、白色の光を発する。発光素子130R、130G、130Bが発する白色の光が、着色層132R、132G、132Bを透過することで、所望の色の光を得ることができる。
【0311】
基板151とトランジスタとの間には、遮光層117を形成することが好ましい。図13では、基板151上に遮光層117が設けられ、遮光層117上に絶縁層153が設けられ、絶縁層153上にトランジスタ205D、トランジスタ205R、トランジスタ205G、及びトランジスタ205B(図示しない)などが設けられている例を示す。また、絶縁層218上に、着色層132R、着色層132G、及び着色層132Bが設けられ、着色層132R、着色層132G、及び着色層132B上に絶縁層235が設けられている。
【0312】
画素電極111R、111G、111Bには、それぞれ、可視光に対する透過性が高い材料を用いる。共通電極115には可視光を反射する材料を用いることが好ましい。ボトムエミッション型の表示装置では、共通電極115に抵抗の低い金属等を用いることができるため、共通電極115の抵抗に起因する電圧降下が生じることを抑制でき、高い表示品位を実現できる。
【0313】
本発明の一態様のトランジスタは微細化が可能であり、占有面積を小さくできるため、ボトムエミッション構造の表示装置において、画素の開口率を高めること、または、画素のサイズを小さくすることができる。
【0314】
発光素子130R、130G、130Bにマイクロキャビティが適用されている場合には、それぞれEL層113が呈する白色光のうち、所定の波長の光が強められた光を発する。ここでは、このようにマイクロキャビティが適用されている発光素子であっても、白色の光を発するEL層が適用された場合には、白色の光を発する発光素子と呼ぶこととする。
【0315】
白色の光を発する発光素子は、2つ以上の発光層を含むことが好ましい。2つの発光層を用いて白色発光を得る場合、2つの発光層の発光色が補色の関係となるような発光層を選択する。例えば、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する構成を得ることができる。また、3つ以上の発光層を用いて白色発光を得る場合、3つ以上の発光層の発光色が合わさることで、発光素子全体として白色発光する構成を用いることができる。
【0316】
EL層113は、例えば、青色の光を発する発光物質を有する発光層、及び、青色よりも長波長の可視光を発する発光物質を有する発光層を有することが好ましい。EL層113は、例えば、黄色の光を発する発光層、及び、青色の光を発する発光層を有することが好ましい。または、EL層113は、例えば、赤色の光を発する発光層、緑色の光を発する発光層、及び、青色の光を発する発光層を有することが好ましい。
【0317】
白色の光を発する発光素子には、タンデム構造を用いることが好ましい。具体的には、黄色の光を発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットとを有する2段タンデム構造、赤色と緑色の光を発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットとを有する2段タンデム構造、青色の光を発する発光ユニットと、黄色、黄緑色、または緑色の光を発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットとをこの順で有する3段タンデム構造、または、青色の光を発する発光ユニットと、黄色、黄緑色、または緑色の光と、赤色の光とを発する発光ユニットと、青色の光を発する発光ユニットと、をこの順で有する3段タンデム構造などを適用することができる。例えば、発光ユニットの積層数と色の順番としては、陽極側から、B、Yの2段構造、Bと発光ユニットXとの2段構造、B、Y、Bの3段構造、B、X、Bの3段構造が挙げられ、発光ユニットXにおける発光層の積層数と色の順番としては、陽極側から、R、Yの2層構造、R、Gの2層構造、G、Rの2層構造、G、R、Gの3層構造、または、R、G、Rの3層構造などとすることができる。また、2つの発光層の間に他の層が設けられる構成とすることもできる。
【0318】
または、例えば、図13に示す発光素子130R、130G、130Bは、青色の光を発する構成としすることもできる。このとき、EL層113は、青色の光を発する発光層を1層以上有する。青色の光を呈する副画素210Bにおいては、発光素子130Bが発する青色の光を取り出すことができる。また、赤色の光を呈する副画素210R及び緑色の光を呈する副画素210Gにおいては、発光素子130Rまたは発光素子130Gと、基板151との間に、色変換層を設けることで、発光素子130Rまたは130Gが発する青色の光をより長波長の光に変換し、赤色または緑色の光を取り出すことができる。さらに、発光素子130Rの発光の光路上には、色変換層と基板151との間に着色層132Rを設け、発光素子130Gの発光の光路上には、色変換層と基板151との間に着色層132Gを設けることが好ましい。発光素子が発する光の一部は、色変換層で変換されずにそのまま透過してしまうことがある。色変換層を透過した光を、着色層を介して取り出すことで、所望の色の光以外を着色層で吸収し、副画素が呈する光の色純度を高めることができる。
【0319】
[表示装置100C]
図14に示す表示装置100Cは、MML(メタルマスクレス)構造が適用された表示装置の一例である。つまり、表示装置100Cは、ファインメタルマスクを用いずに作製された発光素子を有する。なお、基板151から絶縁層235までの積層構造、及び保護層131から基板152までの積層構造は、表示装置100Aと同様のため、説明を省略する。
【0320】
図14において、絶縁層235上に、発光素子130R、130G、130Bが設けられている。
【0321】
発光素子130Rは、絶縁層235上の導電層124Rと、導電層124R上の導電層126Rと、導電層126R上の層133Rと、層133R上の共通層114と、共通層114上の共通電極115と、を有する。図14に示す発光素子130Rは、赤色の光(R)を発する。層133Rは、赤色の光を発する発光層を有する。発光素子130Rにおいて、層133R、及び、共通層114をまとめてEL層と呼ぶことができる。また、導電層124R及び導電層126Rのうち一方または双方を画素電極と呼ぶことができる。
【0322】
同様に発光素子130Gは、絶縁層235上の導電層124Gと、導電層124G上の導電層126Gと、導電層126G上の層133Gと、層133G上の共通層114と、共通層114上の共通電極115と、を有する。図14に示す発光素子130Gは、緑色の光(G)を発する。層133Gは、緑色の光を発する発光層を有する。
【0323】
同様に発光素子130Bは、絶縁層235上の導電層124Bと、導電層124B上の導電層126Bと、導電層126B上の層133Bと、層133B上の共通層114と、共通層114上の共通電極115と、を有する。図14に示す発光素子130Bは、青色の光(B)を発する。層133Bは、青色の光を発する発光層を有する。
【0324】
本明細書等では、発光素子が有するEL層のうち、発光素子ごとに島状に設けられた層を層133B、層133G、または層133Rと示し、複数の発光素子が共有して有する層を共通層114と示す。なお、本明細書等において、共通層114を含めず、層133R、層133G、及び層133Bを指して、島状のEL層、島状に形成されたEL層などと呼ぶ場合もある。
【0325】
層133R、層133G、及び層133Bは、互いに離隔されている。EL層を発光素子ごとに島状に設けることで、隣接する発光素子間のリーク電流を抑制することができる。これにより、意図しない発光に起因したクロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。
【0326】
なお、図14では、層133R、133G、133Bを全て同じ膜厚で示すが、これに限られない。層133R、133G、133Bのそれぞれの膜厚が異なる構成とすることもできる。
【0327】
導電層124Rは、絶縁層106、絶縁層218、及び絶縁層235に設けられた開口を介して、トランジスタ205Rが有する導電層112bと電気的に接続されている。同様に、導電層124Gは、トランジスタ205Gが有する導電層112bと電気的に接続され、導電層124Bは、トランジスタ205Bが有する導電層112bと電気的に接続されている。
【0328】
導電層124R、124G、124Bには、絶縁層235に設けられた開口を覆うように形成される。導電層124R、124G、124Bの凹部には、それぞれ、層128が埋め込まれている。
【0329】
層128は、導電層124R、124G、124Bの凹部を平坦化する機能を有する。導電層124R、124G、124B及び層128上には、導電層124R、124G、124Bと電気的に接続される導電層126R、126G、126Bが設けられている。したがって、導電層124R、124G、124Bの凹部と重なる領域も発光領域として使用でき、画素の開口率を高めることができる。導電層124R及び導電層126Rに反射電極として機能する導電層を用いることが好ましい。
【0330】
層128は、絶縁層とすることもできるし、導電層とすることもできる。層128には、各種無機絶縁材料、有機絶縁材料、及び導電材料を適宜用いることができる。特に、層128は、絶縁材料を用いて形成されることが好ましく、有機絶縁材料を用いて形成されることが特に好ましい。層128には、例えば前述の絶縁層237に用いることができる有機絶縁材料を適用することができる。
【0331】
図14では、層128の上面が平坦部を有する例を示すが、層128の形状は、特に限定されない。層128の上面は、凸曲面、凹曲面、及び平面の少なくとも一つを有することができる。
【0332】
また、層128の上面の高さと、導電層124Rの上面の高さと、は、一致または概略一致することもできるし、互いに異ならせることもできる。例えば、層128の上面の高さは、導電層124Rの上面の高さより低くすることもできるし、高くすることもできる。
【0333】
導電層126Rの端部は、導電層124Rの端部と揃うこともできるし、導電層124Rの端部の側面を覆うこともできる。導電層124R及び導電層126Rのそれぞれの端部は、テーパ形状を有することが好ましい。具体的には、導電層124R及び導電層126Rのそれぞれの端部はテーパ角90°未満のテーパ形状を有することが好ましい。画素電極の端部がテーパ形状を有する場合、画素電極の側面に沿って設けられる層133Rは傾斜した部分を有する。画素電極の側面をテーパ形状とすることで、画素電極の側面に沿って設けられるEL層の被覆性を良好にすることができる。
【0334】
導電層124G、126G、及び、導電層124B、126Bについては、導電層124R、126Rと同様であるため詳細な説明は省略する。
【0335】
導電層126Rの上面及び側面は、層133Rによって覆われている。同様に、導電層126Gの上面及び側面は、層133Gによって覆われており、導電層126Bの上面及び側面は、層133Bによって覆われている。したがって、導電層126R、126G、126Bが設けられている領域全体を、発光素子130R、130G、130Bの発光領域として用いることができるため、画素の開口率を高めることができる。
【0336】
層133R、層133G、及び層133Bそれぞれの上面の一部及び側面は、絶縁層125、127によって覆われている。層133R、層133G、層133B、及び、絶縁層125、127上に、共通層114が設けられ、共通層114上に共通電極115が設けられている。共通層114及び共通電極115は、それぞれ、複数の発光素子に共通して設けられるひと続きの膜である。
【0337】
図14において、導電層126Rと層133Rとの間には、図12等に示す絶縁層237が設けられていない。つまり、表示装置100Cには、画素電極に接し、かつ、画素電極の上面端部を覆う絶縁層(隔壁、バンク、スペーサなどともいう)が設けられていない。そのため、隣り合う発光素子の間隔を極めて狭くすることができる。したがって、高精細、または、高解像度の表示装置とすることができる。また、当該絶縁層を形成するためのマスクも不要となり、表示装置の製造コストを削減することができる。
【0338】
前述の通り、層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層を有する。層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層と、発光層上のキャリア輸送層(電子輸送層または正孔輸送層)と、を有することが好ましい。または、層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層と、発光層上のキャリアブロック層(正孔ブロック層または電子ブロック層)と、を有することが好ましい。または、層133R、層133G、及び層133Bは、それぞれ、発光層と、発光層上のキャリアブロック層と、キャリアブロック層上のキャリア輸送層と、を有することが好ましい。層133R、層133G、及び層133Bの表面は、表示装置の作製工程中に露出するため、キャリア輸送層及びキャリアブロック層の一方または双方を発光層上に設けることで、発光層が最表面に露出することを抑制し、発光層が受けるダメージを低減することができる。これにより、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0339】
共通層114は、例えば電子注入層、または正孔注入層を有する。または、共通層114は、電子輸送層と電子注入層とを積層することもできるし、正孔輸送層と正孔注入層とを積層することもできる。共通層114は、発光素子130R、130G、130Bで共有されている。
【0340】
層133R、層133G、及び層133Bのそれぞれの側面は、絶縁層125によって覆われている。絶縁層127は、絶縁層125を介して、層133R、層133G、及び層133Bのそれぞれの側面を覆っている。
【0341】
層133R、層133G、及び層133Bの側面(さらには、上面の一部)が、絶縁層125及び絶縁層127の少なくとも一方によって覆われていることで、共通層114(または共通電極115)が、画素電極、及び、層133R、133G、133Bの側面と接することを抑制し、発光素子のショートを抑制することができる。これにより、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0342】
絶縁層125は、層133R、層133G、及び層133Bのそれぞれの側面と接することが好ましい。絶縁層125が層133R、層133G、及び層133Bと接する構成とすることで、層133R、層133G、及び層133Bの膜剥がれを防止でき、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0343】
絶縁層127は、絶縁層125の凹部を充填するように、絶縁層125上に設けられる。絶縁層127は、絶縁層125の側面の少なくとも一部を覆うことが好ましい。
【0344】
絶縁層125及び絶縁層127を設けることで、隣り合う島状の層の間を埋めることができるため、島状の層上に設ける層(例えばキャリア注入層、及び共通電極など)の被形成面の高低差の大きな凹凸を低減し、より平坦にすることができる。したがって、キャリア注入層及び共通電極などの被覆性を高めることができる。
【0345】
共通層114及び共通電極115は、層133R、層133G、層133B、絶縁層125、及び絶縁層127上に設けられる。絶縁層125及び絶縁層127を設ける前の段階では、画素電極及び島状のEL層が設けられる領域と、画素電極及び島状のEL層が設けられない領域(発光素子間の領域)と、に起因する段差が生じている。本発明の一態様の表示装置は、絶縁層125及び絶縁層127を有することで当該段差を平坦化させることができ、共通層114及び共通電極115の被覆性を向上させることができる。したがって、段切れによる接続不良を抑制することができる。また、段差によって共通電極115が局所的に薄膜化して電気抵抗が上昇することを抑制することができる。
【0346】
絶縁層127の上面は平坦性の高い形状を有することが好ましい。絶縁層127の上面は、平面、凸曲面、及び、凹曲面のうち、少なくとも一つを有することもできる。例えば、絶縁層127の上面は、平坦性の高い、滑らかな凸曲面形状を有することが好ましい。
【0347】
絶縁層125は、無機材料を有する絶縁層とすることができる。絶縁層125には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜等の無機絶縁膜を用いることができる。これらの無機絶縁膜の具体例は、前述の通りである。絶縁層125は単層構造とすることもできるし、積層構造とすることもできる。特に、酸化アルミニウムは、エッチングにおいて、EL層との選択比が高く、絶縁層127の形成において、EL層を保護する機能を有するため、好ましい。特にALD法により形成した酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、または酸化シリコン膜等の無機絶縁膜を絶縁層125に適用することで、ピンホールが少なく、EL層を保護する機能に優れた絶縁層125を形成することができる。また、絶縁層125は、ALD法により形成した膜と、スパッタリング法により形成した膜と、の積層構造とすることもできる。絶縁層125は、例えば、ALD法によって形成された酸化アルミニウム膜と、スパッタリング法によって形成された窒化シリコン膜と、の積層構造とすることもできる。
【0348】
絶縁層125は、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア絶縁層としての機能を有することが好ましい。また、絶縁層125は、水及び酸素の少なくとも一方の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。また、絶縁層125は、水及び酸素の少なくとも一方を捕獲、または固着する(ゲッタリングともいう)機能を有することが好ましい。
【0349】
なお、本明細書等において、バリア絶縁層とは、バリア性を有する絶縁層のことを示す。また、本明細書等において、バリア性とは、対応する物質の拡散を抑制する機能(透過性が低いともいう)とする。または、対応する物質を、捕獲、または固着する(ゲッタリングともいう)機能とする。
【0350】
絶縁層125が、バリア絶縁層としての機能、またはゲッタリング機能を有することで、外部から各発光素子に拡散しうる不純物(代表的には、水及び酸素の少なくとも一方)の侵入を抑制することが可能な構成となる。当該構成とすることで、信頼性の高い発光素子、さらには、信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0351】
また、絶縁層125は、不純物濃度が低いことが好ましい。これにより、絶縁層125からEL層に不純物が混入し、EL層が劣化することを抑制することができる。また、絶縁層125において、不純物濃度を低くすることで、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア性を高めることができる。例えば、絶縁層125は、水素濃度及び炭素濃度の一方、好ましくは双方が十分に低いことが望ましい。
【0352】
絶縁層125上に設けられる絶縁層127は、隣接する発光素子間に形成された絶縁層125の高低差の大きな凹凸を平坦化する機能を有する。換言すると、絶縁層127を有することで共通電極115を形成する面の平坦性を向上させる効果を奏する。
【0353】
絶縁層127としては、有機材料を有する絶縁層を好適に用いることができる。有機材料としては、感光性の有機樹脂を用いることが好ましく、例えば、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物を用いることが好ましい。なお、本明細書などにおいて、アクリル樹脂とは、ポリメタクリル酸エステル、またはメタクリル樹脂だけを指すものではなく、広義のアクリル系ポリマー全体を指す場合がある。
【0354】
また、絶縁層127として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等を用いることもできる。また、絶縁層127として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、またはアルコール可溶性のポリアミド樹脂等の有機材料を用いることもできる。また、感光性の有機樹脂としてはフォトレジストを用いることもできる。感光性の有機樹脂として、ポジ型の材料及びネガ型の材料のどちらを用いることもできる。
【0355】
絶縁層127には可視光を吸収する材料を用いることもできる。絶縁層127が発光素子からの発光を吸収することで、発光素子から絶縁層127を介して隣接する発光素子に光が漏れること(迷光)を抑制することができる。これにより、表示装置の表示品位を高めることができる。また、表示装置に偏光板を用いなくても、表示品位を高めることができるため、表示装置の軽量化及び薄型化を図ることができる。
【0356】
可視光を吸収する材料としては、黒色などの顔料を含む材料、染料を含む材料、光吸収性を有する樹脂材料(例えばポリイミドなど)、及び、カラーフィルタに用いることのできる樹脂材料(カラーフィルタ材料)が挙げられる。特に、2色、または3色以上のカラーフィルタ材料を積層または混合した樹脂材料を用いると、可視光の遮蔽効果を高めることができるため好ましい。特に3色以上のカラーフィルタ材料を混合させることで、黒色または黒色近傍の樹脂層とすることが可能となる。
【0357】
[表示装置100D]
上記では、表示素子に発光素子を適用した場合の例を示したが、以下では、表示素子に液晶素子を適用した液晶表示装置について説明する。
【0358】
表示装置が有する液晶素子としては、様々な構成の素子を用いることができる。代表的には、VA(Vertical Alignment)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、またはIPS(In-Plane-Switching)モード等が適用された透過型の液晶素子を用いることができる。また、液晶素子としては透過型だけでなく、反射型または半透過型の液晶素子を用いることもできる。また表示装置は、ノーマリーブラック型の液晶表示装置であることが好ましい。
【0359】
例えばVAモードとしては、MVA(Multi-Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モードなどを用いることができる。
【0360】
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えばVAモード、FFSモード、IPSモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、ゲストホストモード等が適用された液晶素子を用いることができる。
【0361】
ここで、液晶表示装置は、偏光と液晶の光学的変調作用を利用して、光の透過または非透過を制御する表示装置である。液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。液晶素子に用いることのできる液晶としては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶などを用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相などを示す。また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いることもできるし、適用するモードまたは設計に応じて最適な液晶材料を用いることができる。
【0362】
図15に示す表示装置100Dは、FFSモードの液晶表示装置である。
【0363】
基板151と基板152とは、接着層144によって貼り合わされている。また、基板151、基板152、及び接着層144に囲まれた領域に、液晶262が封止されている。基板152の外側の面には偏光板260aが位置し、基板151の外側の面には、偏光板260bが位置している。また、図示しないが、偏光板260aよりも外側、または偏光板260bよりも外側に、バックライトを設けることができる。
【0364】
基板151には、トランジスタ205D、205R、205G、205B(図示しない)、接続部204、スペーサ224などが設けられている。トランジスタ205R、205Gが有する導電層112bは、液晶素子60の画素電極111と電気的に接続されている。
【0365】
基板152には、着色層132R、132G、遮光層117、絶縁層225などが設けられている。
【0366】
表示部162が有する副画素は、トランジスタと、液晶素子60と、着色層と、を有する。例えば、赤色の光を呈する副画素は、トランジスタ205Rと、液晶素子60と、赤色の光を透過する着色層132Rと、を有する。また、緑色の光を呈する副画素は、トランジスタ205Gと、液晶素子60と、緑色の光を透過する着色層132Gと、を有する。図示しないが、青色の光を呈する副画素は、同様に、トランジスタと、液晶素子60と、青色の光を透過する着色層と、を有する。
【0367】
液晶素子60は、共通電極115、画素電極111、及び液晶262を有する。絶縁層218上に共通電極115が設けられ、共通電極115上に、絶縁層214が設けられている。また、絶縁層214上に画素電極111が設けられている。
【0368】
画素電極111及び共通電極115は可視光を透過する。つまり、液晶素子60は、透過型の液晶素子とすることができる。例えばバックライトを基板151側に配置した場合、偏光板260bにより偏光されたバックライトからの光は、基板151、液晶素子60、及び、基板152を透過し偏光板260aに達する。このとき、画素電極111と共通電極115との間に与える電圧によって液晶262の配向を制御し、光の光学変調を制御することができる。すなわち、偏光板260aを介して射出される光の強度を制御することができる。また入射される光は着色層によって特定の波長領域以外の光が吸収されることにより、取り出される光は例えば赤色を呈する光となる。
【0369】
ここで、偏光板260aとして直線偏光板を用いることもできるが、円偏光板を用いることもできる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長位相差板を積層したものを用いることができる。偏光板260aに円偏光板を用いることで、外光反射を抑制することができる。
【0370】
なお、偏光板260aとして円偏光板を用いた場合、偏光板260bにも円偏光板を用いることもできるし、通常の直線偏光板を用いることもできる。偏光板260a、偏光板260bに適用する偏光板の種類に応じて、液晶素子60に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整することで、所望のコントラストを実現することができる。
【0371】
基板151の端部に近い領域には、接続部204が設けられている。接続部204では、配線165が導電層166及び接続層242を介してFPC172と電気的に接続されている。配線165は、絶縁層110に設けられた開口を介して、配線165と接続されている。図15に示す構成では、配線165は、導電層112a及び導電層107と同一の材料、同一の工程で形成する例を示し、導電層166は、導電層112bと同一の材料、同一の工程で形成する例を示す。
【0372】
画素電極111は、平面視において櫛歯状の形状、またはスリットが設けられた形状を有する。また、画素電極111は共通電極115と重ねて配置されている。また着色層と重なる領域において、共通電極115上に画素電極111が配置されていない部分を有する。
【0373】
なお、液晶素子60において、画素電極111と共通電極115との双方を、櫛歯状の上面形状とすることもできる。一方で、表示装置100Dに示すように、液晶素子60において、画素電極111と共通電極115のうち、一方のみを櫛歯状の上面形状とすることで、画素電極111と共通電極115とが部分的に重なる構成となる。これにより、画素電極111と共通電極115との間の容量を保持容量として用いることができ、容量素子を別途設ける必要がなく、表示装置の開口率を高めることができる。
【0374】
基板152側において、着色層132R、132G、遮光層117を覆って絶縁層225が設けられている。絶縁層225は、着色層132R、132G等に含まれる成分が、液晶262に拡散することを防ぐオーバーコートとして機能する。また絶縁層225は、平坦化膜としての機能を有することもできる。絶縁層225は、透光性を有する有機樹脂を用いて形成することができる。
【0375】
なお、画素電極111、絶縁層214、絶縁層225等において、液晶262と接する面には、液晶262の配向を制御するための配向膜が設けられる構成とすることもできる。
【0376】
以上が表示装置の構成例についての説明である。
【0377】
[表示装置の作製方法例]
以下では、MML(メタルマスクレス)構造が適用された表示装置の作製方法について説明する。ここでは、ファインメタルマスクを用いずに発光素子を作製する工程について詳述する。図16には、各工程における、表示部162が有する3つの発光素子と接続部140との断面図を示す。
【0378】
発光素子の作製には、蒸着法などの真空プロセス、及び、スピンコート法、インクジェット法などの溶液プロセスを用いることができる。蒸着法としては、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、分子線蒸着法、真空蒸着法などの物理蒸着法(PVD法)、及び、化学蒸着法(CVD法)等が挙げられる。特にEL層に含まれる機能層(正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロック層、発光層、電子ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層など)については、蒸着法(真空蒸着法等)、塗布法(ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法等)、印刷法(インクジェット法、スクリーン(孔版印刷)法、オフセット(平版印刷)法、フレキソ(凸版印刷)法、グラビア法、または、マイクロコンタクト法等)などの方法により形成することができる。
【0379】
以下で説明する表示装置の作製方法で作製される島状の層(発光層を含む層)は、ファインメタルマスクを用いて形成されるのではなく、発光層を一面に成膜した後、フォトリソグラフィ法を用いて加工することで形成される。したがって、これまで実現が困難であった高精細な表示装置または高開口率の表示装置を実現することができる。さらに、発光層を各色で作り分けることができるため、極めて鮮やかでコントラストが高く、表示品位の高い表示装置を実現できる。また、発光層上に犠牲層を設けることで、表示装置の作製工程中に発光層が受けるダメージを低減し、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0380】
例えば、表示装置が、青色の光を発する発光素子、緑色の光を発する発光素子、及び赤色の光を発する発光素子の3種類で構成される場合、発光層の成膜、及び、フォトリソグラフィによる加工を3回繰り返すことで、3種類の島状の発光層を形成することができる。
【0381】
まず、トランジスタ205R、205G、205B等(図示しない)が設けられた基板151上に、画素電極111R、111G、111B、及び導電層123を形成する。(図16(A))。
【0382】
画素電極となる導電膜の形成には、例えば、スパッタリング法または真空蒸着法を用いることができる。当該導電膜上にフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成した後、当該導電膜を加工することにより、画素電極111R、111G、111B、及び導電層123を形成することができる。当該導電膜の加工には、ウェットエッチング法及びドライエッチング法の一方または双方を用いることができる。
【0383】
続いて、後に層133Bとなる膜133Bfを、画素電極111R、111G、111B上に形成する(図16(A))。膜133Bf(後の層133B)は、青色の光を発する発光層を含む。
【0384】
なお、本実施の形態では、まず、青色の光を発する発光素子が有する島状のEL層を形成した後、他の色の光を発する発光素子が有する島状のEL層を形成する例を示す。
【0385】
島状のEL層を形成する工程において、形成順が2番目以降の色の発光素子における画素電極は、先の工程によりダメージを受けることがある。これにより、2番目以降に形成した色の発光素子の駆動電圧は高くなることがある。
【0386】
そこで、本発明の一態様の表示装置を作製する際には、最も短波長の光を発する発光素子(例えば、青色の発光素子)の島状のEL層から作製することが好ましい。例えば、島状のEL層の作製順を、青色、緑色、赤色の順、または、青色、赤色、緑色の順にすることが好ましい。
【0387】
これにより、青色の発光素子において画素電極とEL層の界面の状態を良好に保ち、青色の発光素子の駆動電圧が高くなることを抑制できる。また、青色の発光素子の寿命を長くし、信頼性を高めることができる。なお、赤色及び緑色の発光素子は、青色の発光素子に比べて、駆動電圧の上昇等の影響が小さいため、表示装置全体として、駆動電圧を低くでき、信頼性を高くすることができる。
【0388】
なお、島状のEL層の作製順は上記に限定されず、例えば、赤色、緑色、青色の順とすることもできる。
【0389】
図16(A)に示すように、導電層123上には、膜133Bfを形成していない。例えば、エリアマスクを用いることで、膜133Bfを所望の領域にのみ成膜することができる。エリアマスクを用いた成膜工程と、レジストマスクを用いた加工工程と、を採用することで、比較的簡単なプロセスにて発光素子を作製することができる。
【0390】
膜133Bfに含まれる化合物の耐熱温度は、それぞれ、100℃以上180℃以下であることが好ましく、120℃以上180℃以下が好ましく、140℃以上180℃以下がより好ましい。これにより、発光素子の信頼性を高めることができる。また、表示装置の作製工程において許容される温度の上限を高めることができる。したがって、表示装置に用いる材料及び形成方法の選択の幅を広げることができ、歩留まりの向上及び信頼性の向上が可能となる。
【0391】
耐熱温度としては、例えば、ガラス転移点、軟化点、融点、熱分解温度、及び、5%重量減少温度のうちいずれかの温度、好ましくはこれらのうち最も低い温度とすることができる。
【0392】
膜133Bfは、例えば、蒸着法、具体的には真空蒸着法により形成することができる。また、膜133Bfは、転写法、印刷法、インクジェット法、または塗布法等の方法で形成することもできる。
【0393】
続いて、膜133Bf上、及び導電層123上に、犠牲層118Bを形成する(図16(A))。犠牲層118Bとなる膜上にフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成した後、当該膜を加工することにより、犠牲層118Bを形成することができる。
【0394】
膜133Bf上に犠牲層118Bを設けることで、表示装置の作製工程中に膜133Bfが受けるダメージを低減し、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0395】
犠牲層118Bは、画素電極111R、111G、111Bのそれぞれの端部を覆うように設けることが好ましい。これにより、後の工程で形成される層133Bの端部は、画素電極111Bの端部よりも外側に位置することとなる。画素電極111Bの上面全体を発光領域として用いることが可能となるため、画素の開口率を高くすることができる。また、層133Bの端部は、層133B形成後の工程で、ダメージを受ける可能性があるため、画素電極111Bの端部よりも外側に位置する、つまり、発光領域として用いないことが好ましい。これにより、発光素子の特性のばらつきを抑制することができ、信頼性を高めることができる。
【0396】
また、層133Bが画素電極111Bの上面及び側面を覆うことにより、層133B形成後の各工程を、画素電極111Bが露出していない状態で行うことができる。画素電極111Bの端部が露出していると、エッチング工程などにおいて腐食が生じる場合がある。画素電極111Bの腐食を抑制することで、発光素子の歩留まり及び特性を向上させることができる。
【0397】
また、犠牲層118Bを、導電層123と重なる位置にも設けることが好ましい。これにより、導電層123が表示装置の作製工程中にダメージを受けることを抑制できる。
【0398】
犠牲層118Bには、膜133Bfの加工条件に対する耐性の高い膜、具体的には、膜133Bfとのエッチングの選択比を大きくできる膜を用いる。
【0399】
犠牲層118Bは、膜133Bfに含まれる各化合物の耐熱温度よりも低い温度で形成する。犠牲層118Bを形成する際の基板温度としては、それぞれ、代表的には、200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
【0400】
膜133Bfに含まれる化合物の耐熱温度が高いと、犠牲層118Bの成膜温度を高くでき好ましい。例えば、犠牲層118Bを形成する際の基板温度を100℃以上、120℃以上、または140℃以上とすることもできる。無機絶縁膜は、成膜温度が高いほど緻密でバリア性の高い膜とすることができる。したがって、このような温度で犠牲層を成膜することで、膜133Bfが受けるダメージをより低減でき、発光素子の信頼性を高めることができる。
【0401】
なお、膜133Bf上に形成する他の各層(例えば絶縁膜125f)の成膜温度についても、上記と同様のことがいえる。
【0402】
犠牲層118Bの形成には、例えば、スパッタリング法、ALD法(熱ALD法、PEALD法を含む)、CVD法、真空蒸着法を用いることができる。また、前述の湿式の成膜方法を用いて形成することもできる。
【0403】
犠牲層118B(犠牲層118Bが積層構造の場合は、膜133Bfに接して設けられる層)は、膜133Bfへのダメージが少ない形成方法を用いて形成されることが好ましい。例えば、スパッタリング法よりも、ALD法または真空蒸着法を用いることが好ましい。
【0404】
犠牲層118Bは、ウェットエッチング法またはドライエッチング法により加工することができる。犠牲層118Bの加工は、異方性エッチングにより行うことが好ましい。
【0405】
ウェットエッチング法を用いることで、ドライエッチング法を用いる場合に比べて、犠牲層118Bの加工時に、膜133Bfに加わるダメージを低減することができる。ウェットエッチング法を用いる場合、例えば、現像液、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液、希フッ酸、シュウ酸、リン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの2以上を含む混合溶液等を用いることが好ましい。また、ウェットエッチング法を用いる場合、水、リン酸、希フッ酸、及び硝酸を含む混酸系薬液を用いることもできる。なお、ウェットエッチング処理に用いる薬液は、アルカリ性とすることもできるし、酸性とすることもできる。
【0406】
犠牲層118Bとしては、例えば、金属膜、合金膜、金属酸化物膜、半導体膜、無機絶縁膜、及び、有機絶縁膜のうち一種または複数種を用いることができる。
【0407】
犠牲層118Bには、例えば、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、チタン、アルミニウム、イットリウム、ジルコニウム、及びタンタル等の金属材料、または該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
【0408】
犠牲層118Bには、In-Ga-Zn酸化物、酸化インジウム、In-Zn酸化物、In-Sn酸化物、インジウムチタン酸化物(In-Ti酸化物)、インジウムスズ亜鉛酸化物(In-Sn-Zn酸化物)、インジウムチタン亜鉛酸化物(In-Ti-Zn酸化物)、インジウムガリウムスズ亜鉛酸化物(In-Ga-Sn-Zn酸化物)、シリコンを含むインジウムスズ酸化物等の金属酸化物を用いることができる。
【0409】
なお、上記ガリウムに代えて元素M(Mは、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムから選ばれた一種または複数種)を用いることもできる。
【0410】
例えば、半導体の製造プロセスと親和性の高い材料として、シリコンまたはゲルマニウムなどの半導体材料を用いることができる。または、上記半導体材料の酸化物または窒化物を用いることができる。または、炭素などの非金属材料、またはその化合物を用いることができる。または、チタン、タンタル、タングステン、クロム、アルミニウムなどの金属、またはこれらの一以上を含む合金が挙げられる。または、酸化チタンもしくは酸化クロムなどの上記金属を含む酸化物、または窒化チタン、窒化クロム、もしくは窒化タンタルなどの窒化物を用いることができる。
【0411】
また、犠牲層118Bとして、保護層131に用いることができる各種無機絶縁膜を用いることができる。特に、酸化絶縁膜は、窒化絶縁膜に比べて膜133Bfとの密着性が高く好ましい。例えば、犠牲層118Bには、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化シリコン等の無機絶縁材料を用いることができる。犠牲層118Bとして、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成することができる。ALD法を用いることで、下地(特に膜133Bf)へのダメージを低減できるため好ましい。
【0412】
例えば、犠牲層118Bとして、ALD法を用いて形成した無機絶縁膜(例えば、酸化アルミニウム膜)と、スパッタリング法を用いて形成した無機膜(例えば、In-Ga-Zn酸化物膜、シリコン膜、またはタングステン膜)と、の積層構造を用いることができる。
【0413】
なお、犠牲層118Bと、後に形成する絶縁層125との双方に、同じ無機絶縁膜を用いることができる。例えば、犠牲層118Bと絶縁層125との双方に、ALD法を用いて形成した酸化アルミニウム膜を用いることができる。ここで、犠牲層118Bと、絶縁層125とで、同じ成膜条件を適用することもできるし、互いに異なる成膜条件を適用することもできる。例えば、犠牲層118Bを、絶縁層125と同様の条件で成膜することで、犠牲層118Bを、水及び酸素の少なくとも一方に対するバリア性の高い絶縁層とすることができる。一方で、犠牲層118Bは後の工程で大部分または全部を除去する層であるため、加工が容易であることが好ましい。そのため、犠牲層118Bは、絶縁層125と比べて、成膜時の基板温度が低い条件で成膜することが好ましい。
【0414】
犠牲層118Bに、有機材料を用いることもできる。例えば、有機材料として、少なくとも膜133Bfの最上部に位置する膜に対して化学的に安定な溶媒に溶解しうる材料を用いることもできる。特に、水またはアルコールに溶解する材料を好適に用いることができる。このような材料の成膜の際には、水またはアルコール等の溶媒に溶解させた状態で、湿式の成膜方法で塗布した後に、溶媒を蒸発させるための加熱処理を行うことが好ましい。このとき、減圧雰囲気下での加熱処理を行うことで、低温且つ短時間で溶媒を除去できるため、膜133Bfへの熱的なダメージを低減することができ、好ましい。
【0415】
犠牲層118Bには、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、アルコール可溶性のポリアミド樹脂、または、パーフルオロポリマーなどのフッ素樹脂等の有機樹脂を用いることもできる。
【0416】
例えば、犠牲層118Bとして、蒸着法または上記湿式の成膜方法のいずれかを用いて形成した有機膜(例えば、PVA膜)と、スパッタリング法を用いて形成した無機膜(例えば、窒化シリコン膜)と、の積層構造を用いることができる。
【0417】
なお、本発明の一態様の表示装置には、犠牲膜の一部が犠牲層として残存する場合がある。
【0418】
続いて、犠牲層118Bをハードマスクに用いて、膜133Bfを加工して、層133Bを形成する(図16(B))。
【0419】
これにより、図16(B)に示すように、画素電極111B上に、層133B、及び、犠牲層118Bの積層構造が残存する。また、画素電極111R及び画素電極111Gは露出する。また、接続部140に相当する領域では、導電層123上に犠牲層118Bが残存する。
【0420】
膜133Bfの加工は、異方性エッチングにより行うことが好ましい。特に、異方性のドライエッチングが好ましい。または、ウェットエッチングを用いることもできる。
【0421】
その後、膜133Bfの形成工程、犠牲層118Bの形成工程、及び、層133Bの形成工程と同様の工程を、少なくとも発光物質を変えて、2回繰り返すことで、画素電極111R上に、層133R、及び、犠牲層118Rの積層構造を形成し、画素電極111G上に、層133G、及び、犠牲層118Gの積層構造を形成する(図16(C))。具体的には、層133Rは、赤色の光を発する発光層を含むように形成し、層133Gは、緑色の光を発する発光層を含むように形成する。犠牲層118R、118Gには、犠牲層118Bに用いることができる材料を適用することができ、いずれも同一の材料を用いることもできるし、互いに異なる材料を用いることもできる。
【0422】
なお、層133B、層133G、層133Rの側面は、それぞれ、被形成面に対して垂直または概略垂直であることが好ましい。例えば、被形成面と、これらの側面との成す角度を、60度以上90度以下とすることが好ましい。
【0423】
上記のように、フォトリソグラフィ法を用いて形成した層133B、層133G、及び層133Rのうち隣接する2つの間の距離は、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下、または、1μm以下にまで狭めることができる。ここで、当該距離とは、例えば、層133B、層133G、及び層133Rのうち、隣接する2つの対向する端部の間の距離で規定することができる。このように、島状のEL層の間の距離を狭めることで、高い精細度と、大きな開口率を有する表示装置を提供することができる。
【0424】
続いて、画素電極、層133B、層133G、層133R、犠牲層118B、犠牲層118G、及び犠牲層118Rを覆うように、後に絶縁層125となる絶縁膜125fを形成し、絶縁膜125f上に絶縁層127を形成する(図16(D))。
【0425】
絶縁膜125fとしては、3nm以上、5nm以上、または、10nm以上、かつ、200nm以下、150nm以下、100nm以下、または、50nm以下の厚さの絶縁膜を形成することが好ましい。
【0426】
絶縁膜125fは、例えば、ALD法を用いて形成することが好ましい。ALD法を用いることで、成膜ダメージを小さくすることができ、また、被覆性の高い膜を成膜可能なため好ましい。絶縁膜125fとしては、例えば、ALD法を用いて、酸化アルミニウム膜を形成することが好ましい。
【0427】
そのほか、絶縁膜125fは、ALD法よりも成膜速度が速いスパッタリング法、CVD法、または、プラズマCVD法を用いて形成することもできる。これにより、信頼性の高い表示装置を生産性高く作製することができる。
【0428】
絶縁層127となる絶縁膜は、例えば、アクリル樹脂を含む感光性の樹脂組成物を用いて、前述の湿式の成膜方法(例えばスピンコート)で形成することが好ましい。成膜後には、加熱処理(プリベークともいう)を行うことで、当該絶縁膜中に含まれる溶媒を除去することが好ましい。続いて、可視光線または紫外線を当該絶縁膜の一部に照射し、絶縁膜の一部を感光させる。続いて、現像を行って、絶縁膜の露光させた領域を除去する。続いて、加熱処理(ポストベークともいう)を行う。これにより、図16(D)に示す絶縁層127を形成できる。なお、絶縁層127の形状は図16(D)に示す形状に限定されない。例えば、絶縁層127の上面は、凸曲面、凹曲面、及び平面のうち一つまたは複数を有することができる。また、絶縁層127は、絶縁層125、犠牲層118B、犠牲層118G、及び、犠牲層118Rのうち少なくとも一つの端部の側面を覆った構成とすることもできる。
【0429】
続いて、図16(E)に示すように、絶縁層127をマスクとして、エッチング処理を行って、絶縁膜125f、及び、犠牲層118B、118G、118Rの一部を除去する。これにより、犠牲層118B、118G、118Rそれぞれに開口が形成され、層133B、層133G、層133R、及び導電層123の上面が露出する。なお、絶縁層127及び絶縁層125と重なる位置に犠牲層118B、118G、118Rの一部が残存することがある(犠牲層119B、119G、119R参照)。
【0430】
エッチング処理は、ドライエッチングまたはウェットエッチングによって行うことができる。なお、絶縁膜125fを、犠牲層118B、118G、118Rと同様の材料を用いて成膜していた場合、エッチング処理を一括で行うことができるため、好ましい。
【0431】
上記のように、絶縁層127、絶縁層125、犠牲層118B、犠牲層118G、及び、犠牲層118Rを設けることにより、各発光素子間において、共通層114及び共通電極115に、分断された箇所に起因する接続不良、及び局所的に膜厚が薄い箇所に起因する電気抵抗の上昇が発生することを抑制できる。これにより、本発明の一態様の表示装置は、表示品位を向上させることができる。
【0432】
続いて、絶縁層127、層133B、層133G、及び、層133R上に、共通層114、共通電極115をこの順で形成する(図16(F))。
【0433】
共通層114は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0434】
共通電極115の形成には、例えば、スパッタリング法または真空蒸着法を用いることができる。または、蒸着法で形成した膜と、スパッタリング法で形成した膜を積層させることもできる。
【0435】
以上のように、本発明の一態様の表示装置の作製方法では、島状の層133B、島状の層133G、及び島状の層133Rは、ファインメタルマスクを用いて形成されるのではなく、膜を一面に成膜した後に加工することで形成されるため、島状の層を均一の厚さで形成することができる。そして、高精細な表示装置または高開口率の表示装置を実現することができる。また、精細度または開口率が高く、副画素間の距離が極めて短くても、隣接する副画素において、層133B、層133G、及び、層133Rが互いに接することを抑制できる。したがって、副画素間にリーク電流が発生することを抑制することができる。これにより、意図しない発光に起因したクロストークを防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。
【0436】
また、隣り合う島状のEL層の間に、端部にテーパ形状を有する絶縁層127を設けることで、共通電極115の形成時に段切れが生じることを抑制し、また、共通電極115に局所的に膜厚が薄い箇所が形成されることを防ぐことができる。これにより、共通層114及び共通電極115において、分断された箇所に起因する接続不良、及び局所的に膜厚が薄い箇所に起因する電気抵抗の上昇が発生することを抑制できる。したがって、本発明の一態様の表示装置は、高精細化と高い表示品位の両立が可能となる。
【0437】
以上が、表示装置の作製方法例についての説明である。
【0438】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0439】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図17乃至図19を用いて説明する。
【0440】
本実施の形態の電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を有する。本発明の一態様の表示装置は、高精細化及び高解像度化が容易である。したがって、様々な電子機器の表示部に用いることができる。
【0441】
また、本発明の一態様の半導体装置は、電子機器の表示部以外に適用することもできる。例えば、電子機器の制御部等に、本発明の一態様の半導体装置を用いることで、低消費電力化が可能となり好ましい。
【0442】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0443】
特に、本発明の一態様の表示装置は、精細度を高めることが可能なため、比較的小さな表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。このような電子機器としては、例えば、腕時計型及びブレスレット型の情報端末機(ウェアラブル機器)、並びに、ヘッドマウントディスプレイなどのVR向け機器、メガネ型のAR向け機器、及び、MR向け機器など、頭部に装着可能なウェアラブル機器等が挙げられる。
【0444】
本発明の一態様の表示装置は、HD(画素数1280×720)、FHD(画素数1920×1080)、WQHD(画素数2560×1440)、WQXGA(画素数2560×1600)、4K(画素数3840×2160)、8K(画素数7680×4320)といった極めて高い解像度を有していることが好ましい。特に4K、8K、またはそれ以上の解像度とすることが好ましい。また、本発明の一態様の表示装置における画素密度(精細度)は、100ppi以上が好ましく、300ppi以上が好ましく、500ppi以上がより好ましく、1000ppi以上がより好ましく、2000ppi以上がより好ましく、3000ppi以上がより好ましく、5000ppi以上がより好ましく、7000ppi以上がさらに好ましい。このように高い解像度及び高い精細度の一方または双方を有する表示装置を用いることで、臨場感及び奥行き感などをより高めることが可能となる。また、本発明の一態様の表示装置の画面比率(アスペクト比)については、特に限定はない。例えば、表示装置は、1:1(正方形)、4:3、16:9、16:10など様々な画面比率に対応することができる。
【0445】
本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)を有することもできる。
【0446】
本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0447】
図17(A)乃至図17(D)を用いて、頭部に装着可能なウェアラブル機器の一例を説明する。これらウェアラブル機器は、ARのコンテンツを表示する機能、VRのコンテンツを表示する機能、SRのコンテンツを表示する機能、MRのコンテンツを表示する機能のうち少なくとも一つを有する。電子機器が、AR、VR、SR、及びMRなどの少なくとも一つのコンテンツを表示する機能を有することで、使用者の没入感を高めることが可能となる。
【0448】
図17(A)に示す電子機器700A、及び、図17(B)に示す電子機器700Bは、それぞれ、一対の表示パネル751と、一対の筐体721と、通信部(図示しない)と、一対の装着部723と、制御部(図示しない)と、撮像部(図示しない)と、一対の光学部材753と、フレーム757と、一対の鼻パッド758と、を有する。
【0449】
表示パネル751には、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。したがって極めて精細度の高い表示が可能な電子機器とすることができる。
【0450】
電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、光学部材753の表示領域756に、表示パネル751で表示した画像を投影することができる。光学部材753は透光性を有するため、使用者は光学部材753を通して視認される透過像に重ねて、表示領域に表示された画像を見ることができる。したがって、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、AR表示が可能な電子機器である。
【0451】
電子機器700A、及び、電子機器700Bには、撮像部として、前方を撮像することのできるカメラが設けられる構成とすることもできる。また、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、ジャイロセンサなどの加速度センサを備えることで、使用者の頭部の向きを検知して、その向きに応じた画像を表示領域756に表示することもできる。
【0452】
通信部は無線通信機を有し、当該無線通信機により映像信号等を供給することができる。なお、無線通信機に代えて、または無線通信機に加えて、映像信号及び電源電位が供給されるケーブルを接続可能なコネクターを備えることもできる。
【0453】
電子機器700A、及び、電子機器700Bには、バッテリが設けられており、無線及び有線の一方または双方によって充電することができる。
【0454】
筐体721には、タッチセンサモジュールが設けられる構成とすることもできる。タッチセンサモジュールは、筐体721の外側の面がタッチされることを検出する機能を有する。タッチセンサモジュールにより、使用者のタップ操作またはスライド操作などを検出し、様々な処理を実行することができる。例えば、タップ操作によって動画の一時停止または再開などの処理を実行することが可能となり、スライド操作により、早送りまたは早戻しの処理を実行することなどが可能となる。また、2つの筐体721のそれぞれにタッチセンサモジュールを設けることで、操作の幅を広げることができる。
【0455】
タッチセンサモジュールとしては、様々なタッチセンサを適用することができる。例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式、光学方式等、種々の方式を採用することができる。特に、静電容量方式または光学方式のセンサを、タッチセンサモジュールに適用することが好ましい。
【0456】
光学方式のタッチセンサを用いる場合には、受光素子として、光電変換素子を用いることができる。光電変換素子の活性層には、無機半導体及び有機半導体の一方または双方を用いることができる。
【0457】
図17(C)に示す電子機器800A、及び、図17(D)に示す電子機器800Bは、それぞれ、一対の表示部820と、筐体821と、通信部822と、一対の装着部823と、制御部824と、一対の撮像部825と、一対のレンズ832と、を有する。
【0458】
表示部820には、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。したがって極めて精細度の高い表示が可能な電子機器とすることができる。これにより、使用者に高い没入感を感じさせることができる。
【0459】
表示部820は、筐体821の内部の、レンズ832を通して視認できる位置に設けられる。また、一対の表示部820に異なる画像を表示させることで、視差を用いた3次元表示を行うこともできる。
【0460】
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、VR向けの電子機器ということができる。電子機器800Aまたは電子機器800Bを装着した使用者は、レンズ832を通して、表示部820に表示される画像を視認することができる。
【0461】
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、レンズ832及び表示部820が、使用者の目の位置に応じて最適な位置となるように、これらの左右の位置を調整可能な機構を有していることが好ましい。また、レンズ832と表示部820との距離を変えることで、ピントを調整する機構を有していることが好ましい。
【0462】
装着部823により、使用者は電子機器800Aまたは電子機器800Bを頭部に装着することができる。なお、図17(C)などにおいては、メガネのつる(テンプルともいう)のような形状として例示しているがこれに限定されない。装着部823は、使用者が装着できればよく、例えば、ヘルメット型またはバンド型の形状とすることもできる。
【0463】
撮像部825は、外部の情報を取得する機能を有する。撮像部825が取得したデータは、表示部820に出力することができる。撮像部825には、イメージセンサを用いることができる。また、望遠、広角などの複数の画角に対応可能なように複数のカメラを設けることもできる。
【0464】
なお、ここでは撮像部825を有する例を示したが、対象物の距離を測定することのできる測距センサ(以下、検知部ともよぶ)を設けることができる。すなわち、撮像部825は、検知部の一態様である。検知部としては、例えばイメージセンサ、または、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)などの距離画像センサを用いることができる。カメラによって得られた画像と、距離画像センサによって得られた画像とを用いることにより、より多くの情報を取得し、より高精度なジェスチャー操作を可能とすることができる。
【0465】
電子機器800Aは、骨伝導イヤフォンとして機能する振動機構を有することもできる。例えば、表示部820、筐体821、及び装着部823のいずれか一または複数に、当該振動機構を有する構成を適用することができる。これにより、別途、ヘッドフォン、イヤフォン、またはスピーカなどの音響機器を必要とせず、電子機器800Aを装着しただけで映像と音声を楽しむことができる。
【0466】
電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、入力端子を有することもできる。入力端子には映像出力機器等からの映像信号、及び、電子機器内に設けられるバッテリを充電するための電力等を供給するケーブルを接続することができる。
【0467】
本発明の一態様の電子機器は、イヤフォン750と無線通信を行う機能を有することもできる。イヤフォン750は、通信部(図示しない)を有し、無線通信機能を有する。イヤフォン750は、無線通信機能により、電子機器から情報(例えば音声データ)を受信することができる。例えば、図17(A)に示す電子機器700Aは、無線通信機能によって、イヤフォン750に情報を送信する機能を有する。また、例えば、図17(C)に示す電子機器800Aは、無線通信機能によって、イヤフォン750に情報を送信する機能を有する。
【0468】
電子機器がイヤフォン部を有することもできる。図17(B)に示す電子機器700Bは、イヤフォン部727を有する。例えば、イヤフォン部727と制御部とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤフォン部727と制御部とをつなぐ配線の一部は、筐体721または装着部723の内部に配置されることもできる。
【0469】
同様に、図17(D)に示す電子機器800Bは、イヤフォン部827を有する。例えば、イヤフォン部827と制御部824とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤフォン部827と制御部824とをつなぐ配線の一部は、筐体821または装着部823の内部に配置されることもできる。また、イヤフォン部827と装着部823とがマグネットを有することもできる。これにより、イヤフォン部827を装着部823に磁力によって固定することができ、収納が容易となり好ましい。
【0470】
なお、電子機器は、イヤフォンまたはヘッドフォンなどを接続することができる音声出力端子を有することもできる。また、電子機器は、音声入力端子及び音声入力機構の一方または双方を有することもできる。音声入力機構としては、例えば、マイクなどの集音装置を用いることができる。電子機器が音声入力機構を有することで、電子機器に、いわゆるヘッドセットとしての機能を付与することもできる。
【0471】
このように、本発明の一態様の電子機器としては、メガネ型(電子機器700A、及び、電子機器700Bなど)と、ゴーグル型(電子機器800A、及び、電子機器800Bなど)と、のどちらも好適である。
【0472】
本発明の一態様の電子機器は、有線または無線によって、イヤフォンに情報を送信することができる。
【0473】
図18(A)に示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0474】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0475】
表示部6502に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0476】
図18(B)は、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0477】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0478】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0479】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0480】
表示パネル6511には本発明の一態様の表示装置を適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0481】
図18(C)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0482】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0483】
図18(C)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチ、及び、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備える構成とすることもできるし、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作することもできる。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有することもできる。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0484】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間など)の情報通信を行うことも可能である。
【0485】
図18(D)に、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0486】
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0487】
図18(E)及び図18(F)に、デジタルサイネージの一例を示す。
【0488】
図18(E)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0489】
図18(F)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0490】
図18(E)及び図18(F)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0491】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0492】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0493】
図18(E)及び図18(F)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、使用者が所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0494】
デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数の使用者が同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0495】
図19(A)乃至図19(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0496】
図19(A)乃至図19(G)において、表示部9001に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
【0497】
図19(A)乃至図19(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有することもできる。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画または動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有することもできる。
【0498】
図19(A)乃至図19(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0499】
図19(A)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けることもできる。また、携帯情報端末9101は、文字及び画像情報をその複数の面に表示することができる。図19(A)では3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールまたはSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、電波強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示することもできる。
【0500】
図19(B)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0501】
図19(C)は、タブレット端末9103を示す斜視図である。タブレット端末9103は、一例として、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等の種々のアプリケーションの実行が可能である。タブレット端末9103は、筐体9000の正面に表示部9001、カメラ9002、マイクロフォン9008、スピーカ9003を有し、筐体9000の左側面には操作用のボタンとしての操作キー9005、底面には接続端子9006を有する。
【0502】
図19(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチ(登録商標)として用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うこと、及び、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行うこともできる。
【0503】
図19(E)乃至図19(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図19(E)は携帯情報端末9201を展開した状態、図19(G)は折り畳んだ状態、図19(F)は図19(E)と図19(G)の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0504】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【実施例0505】
以下では、本発明の一態様のトランジスタを作製し、その断面観察と、電気特性及び信頼性を評価した結果について説明する。
【0506】
本実施例では、実施の形態1の図1で例示したトランジスタについて、上記で例示した作製方法に基づいて作製した。
【0507】
絶縁層12にはプラズマCVD法により形成した厚さ約30nmの窒化シリコン膜を用いた。導電層24にはそれぞれスパッタリング法により形成した厚さ約10nmのITSO膜、厚さ約300nmの銅膜、及び厚さ約100nmのITSO膜の積層膜を用いた。絶縁層41には、それぞれプラズマCVD法により形成した厚さ約100nmの窒化シリコン膜、厚さ約500nmの酸化窒化シリコン膜、及び厚さ約150nmの窒化シリコン膜の積層膜を用いた。導電層25にはスパッタリング法により形成した厚さ約100nmのITSO膜を用いた。絶縁層41に絶縁層12に達する開口(開口20、開口15a、15b)を形成したのち、半導体層21としてスパッタリング法により厚さ約35nmのIn-Ga-Zn酸化物膜を形成し、続いて電気炉を用いて超乾燥雰囲気下にて、350℃、1時間の加熱処理を行った。その後、半導体層21を加工した。絶縁層22には、プラズマCVD法により基板温度を350℃として形成した厚さ約50nmの酸化窒化シリコン膜を用いた。導電層23にはそれぞれスパッタリング法により形成した厚さ約50nmのチタン膜、厚さ約200nmのアルミニウム膜、及び厚さ約50nmのチタン膜の積層膜を用いた。絶縁層44には、プラズマCVD法により基板温度を350℃として形成した厚さ約300nmの酸化窒化シリコン膜を用いた。絶縁層44を形成した後、電気炉を用いて超乾燥雰囲気下にて、300℃、1時間の加熱処理を行った。
【0508】
以上のようにして、トランジスタを作製した。
【0509】
図20(A)に、作製したトランジスタ及びその周辺の光学顕微鏡像を示す。中央に開口20が位置し、その左右両側にそれぞれ開口15a、開口15bが位置している。開口15aの一部は導電層23と重なっている。開口20の直径は約2μmであった。
【0510】
図20(B)には、図20(A)中の一点鎖線に対応する断面STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)像を示す。開口20の側壁から、開口15bの側壁までの距離(絶縁層41の幅)は、約1.3μmであった。
【0511】
図21に、トランジスタのId-Vg特性を示す。縦軸はソース-ドレイン間電流(Id)を対数軸で示し、横軸はソース-ゲート間電圧(Vg)を示している。図21には、ソース-ドレイン間電圧(Vd)が1Vの場合と10Vの場合の特性を示している。図21に示すように、ノーマリオフの良好な電気特性を示すことが確認できた。
【0512】
また、上記トランジスタについて、PBTS試験を行った。ストレス電圧(Vg)は10V、温度を60℃とし、試験時間を1時間とした。その結果、初期のしきい値電圧が0.49Vであったのに対し、しきい値電圧の変動量は約0.20Vと、極めて良好な信頼性を示すことが確認できた。
【0513】
本実施例によれば、本発明の一態様のトランジスタは、良好な電気特性と良好な信頼性を示すことが確認できた。
【符号の説明】
【0514】
10:トランジスタ、11:基板、12:絶縁層、15:開口、15a:開口、15b:開口、16:酸素、20:開口、21:半導体層、21f:半導体膜、22:絶縁層、23:導電層、24:導電層、25:導電層、25f:導電膜、26:導電層、27:絶縁層、41:絶縁層、41a:絶縁層、41b:絶縁層、41c:絶縁層、44:絶縁層
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