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特開2024-180353原料を分解するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180353
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】原料を分解するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20241219BHJP
   B01J 19/18 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B01J19/00 301D
B01J19/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096385
(22)【出願日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】63/521,493
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521251545
【氏名又は名称】エコナ パワー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー スコット コールマン
【テーマコード(参考)】
4G075
【Fターム(参考)】
4G075AA03
4G075AA62
4G075BA05
4G075BA06
4G075CA02
4G075CA57
4G075DA02
4G075EA05
4G075EB01
4G075ED13
(57)【要約】
【課題】原料を分解するための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】原料を反応チャンバ内に引き込むべく、当該反応チャンバの容積が増大される。前記原料と混合させるべく、前記反応チャンバ内にエネルギ流体が流される。前記エネルギ流体の前記原料との混合の結果として、エネルギが、前記エネルギ流体から前記原料へと移されて、前記原料を分解させて1または複数の反応生成物を形成させる。前記1または複数の反応生成物を前記反応チャンバから排出するべく、前記反応チャンバの前記容積が減少される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応チャンバ内で原料を分解する方法であって、
前記原料を前記反応チャンバ内に引き込むべく、前記反応チャンバの容積を増大させる工程と、
前記原料と混合させるべく、前記反応チャンバ内にエネルギ流体を流す工程と、
を備え、
前記エネルギ流体の前記原料との混合の結果として、エネルギが、前記エネルギ流体から前記原料へと移されて、前記原料を分解させて1または複数の反応生成物を形成させ、
当該方法は、
前記1または複数の反応生成物を前記反応チャンバから排出するべく、前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程
を更に備えたことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記原料を前記反応チャンバ内に引き込む工程は、1または複数の原料入口を介して前記原料を前記反応チャンバ内に引き込む工程を有し、
前記反応生成物を前記反応チャンバから排出する工程は、1または複数の生成物出口を介して前記反応生成物を前記反応チャンバから排出する工程を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1または複数の原料入口、及び、前記1または複数の生成物出口は、前記反応チャンバの共通の一端部に位置する
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記反応チャンバ内に前記エネルギ流体を流す工程は、
前記反応チャンバに接続された燃焼チャンバ内において、可燃性混合物を燃焼させて、1または複数の燃焼生成物を形成する工程と、
前記1または複数の燃焼生成物を前記反応チャンバ内に流す工程と、
を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記可燃性混合物を燃焼させる工程は、
前記可燃性混合物を形成するべく、1または複数の燃焼入口を介して1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流す工程と、
前記燃焼チャンバ内で前記可燃性混合物を燃焼させる工程と、
を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流す工程は、
前記1または複数の燃焼入口を介して前記1または複数の可燃性ガスを前記反応チャンバ内に引き込むべく、前記反応チャンバの前記容積を増大させる工程
を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程は、
前記1または複数の燃焼入口を閉じる工程と、
前記1または複数の燃焼入口を閉じた後に前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程と、
を有する
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流す工程は、燃料と酸化剤とを前記燃焼チャンバ内に流す工程を有する
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記酸化剤は、空気または純酸素を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記燃料は、前記原料の組成と同一の組成を有する
ことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流す前に、前記燃焼チャンバは以前の反応サイクルからのガスを含んでおり、
前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流す工程は、前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流すことの結果として、前記以前の反応サイクルからの前記ガスを前記燃焼チャンバから前記反応チャンバ内へと排出する工程を有する
ことを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記原料を前記反応チャンバ内に引き込む工程は、1または複数の原料入口を介して前記原料を前記反応チャンバ内に引き込む工程を有し、
前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程は、
前記1または複数の原料入口を閉じる工程と、
前記1または複数の原料入口を閉じた後に前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程と、
を有する
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程は、
前記1または複数の生成物出口を開放する工程と、
前記1または複数の生成物出口を開放した後に前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程と、
を有する
ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記原料の前記分解は、前記反応チャンバの前記容積が一定に保持される定容プロセスである
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記原料は、炭化水素を有する
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
反応チャンバと、
前記反応チャンバに接続された燃焼チャンバと、
原料が前記反応チャンバに入ることを許容するための1または複数の原料入口と、
1または複数の可燃性ガスが前記燃焼チャンバに入ることを許容するための1または複数の燃焼入口と、
反応生成物が前記反応チャンバから出ることを許容するための1または複数の生成物出口と、
前記反応チャンバの容積を制御するための駆動機構と、
前記燃焼チャンバ内の1または複数の点火器と、
回路を含むコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記駆動機構を制御して、前記反応チャンバの前記容積を増大させ、それによって前記1または複数の原料入口を介して前記原料を前記反応チャンバ内に引き込み、且つ、前記1または複数の燃焼入口を介して前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に引き込み、
前記1または複数の原料入口と前記1または複数の燃焼入口とを閉じ、
前記1または複数の点火器を制御して、前記1または複数の可燃性ガスを燃焼させ、それによって前記反応チャンバ内に流れて前記原料と混合する1または複数の燃焼生成物を形成し、当該1または複数の燃焼生成物の前記原料との混合の結果として、エネルギが、前記1または複数の燃焼生成物から前記原料へと移されて、前記原料を分解させて1または複数の反応生成物を形成させ、
前記駆動機構を制御して、前記反応チャンバの前記容積を減少させ、それによって前記1または複数の生成物出口を介して前記1または複数の反応生成物を前記反応チャンバから排出する
ように構成されている
ことを特徴とするシステム。
【請求項17】
前記1または複数の原料入口と前記1または複数の生成物入口とは、前記反応チャンバの共通の一端部に位置する
ことを特徴とする請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記駆動機構は、ピストンを有する
ことを特徴とする請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラは、更に、前記反応チャンバの前記容積が増大されるにつれて前記駆動機構が前記燃焼チャンバに到達する時、前記1または複数の燃焼入口を開放するように構成されている
ことを特徴とする請求項16乃至18のいずれかに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱分解に関しており、特に、原料を分解するための方法及びシステムに関している。
【背景技術】
【0002】
熱分解は、炭化水素等の原料ガスが、酸素無しで、その構成元素(炭化水素の場合には、炭素及び水素)に分解される、という方法である。当該分解は、原料ガスの元素の化学結合が破壊されるまで、原料ガスの温度を十分に上昇させることによって、引き起こされる。
【0003】
このような熱分解は、例えば原料ガスを高温の流体と熱接触させることによって、達成され得る。例えば、可燃性の燃料を燃焼させた結果として形成される燃焼生成物ガスが、原料ガスと混合され得る。十分に高い温度では、高温の流体と原料ガスとの混合、及び、高温の流体から原料ガスへの熱エネルギの伝達が、当該原料ガスを分解させるのに十分である。
【0004】
原料ガス反応器を作動させる時、一般に、反応チャンバ内に装填される原料がプラグフローを有することが望ましい。プラグフローは、以前の反応サイクルから生成された反応生成物ガスを反応チャンバの外へ移動させるのを支援し得る。プラグフローは、また、原料と以前の反応サイクルからの反応生成物との混合を最小化するのに役立ち得る。
【0005】
しかしながら、このようなプラグフローを実現することは、困難であって、一般には反応チャンバ内でフローストレートナーを使用することを要求する。従って、フローストレートナーは、反応チャンバ内で生成される高温に耐えることが可能である必要があり、更に、それらの小さな流路のために、炭素で詰まりやすいという傾向(問題)がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、反応チャンバ内で原料を分解する方法が提供され、当該方法は、前記原料を前記反応チャンバ内に引き込むべく、前記反応チャンバの容積を増大させる工程と、前記原料と混合させるべく、前記反応チャンバ内にエネルギ流体を流す工程と、を備え、前記エネルギ流体の前記原料との混合の結果として、エネルギが、前記エネルギ流体から前記原料へと移されて、前記原料を分解させて1または複数の反応生成物を形成させ、当該方法は、更に、前記1または複数の反応生成物を前記反応チャンバから排出するべく、前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程を備えることを特徴とする。
【0007】
前記原料を前記反応チャンバ内に引き込む工程は、1または複数の原料入口を介して前記原料を前記反応チャンバ内に引き込む工程を有し得る。前記反応生成物を前記反応チャンバから排出する工程は、1または複数の生成物出口を介して前記反応生成物を前記反応チャンバから排出する工程を有し得る。
【0008】
前記1または複数の原料入口、及び、前記1または複数の生成物出口は、前記反応チャンバの共通の一端部に位置し得る。
【0009】
前記反応チャンバ内に前記エネルギ流体を流す工程は、前記反応チャンバに接続された燃焼チャンバ内において、可燃性混合物を燃焼させて、1または複数の燃焼生成物を形成する工程と、前記1または複数の燃焼生成物を前記反応チャンバ内に流す工程と、を有し得る。
【0010】
前記可燃性混合物を燃焼させる工程は、前記可燃性混合物を形成するべく、1または複数の燃焼入口を介して1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流す工程と、前記燃焼チャンバ内で前記可燃性混合物を燃焼させる工程と、を有し得る。
【0011】
前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流す工程は、前記1または複数の燃焼入口を介して前記1または複数の可燃性ガスを前記反応チャンバ内に引き込むべく、前記反応チャンバの前記容積を増大させる工程を有し得る。
【0012】
前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程は、前記1または複数の燃焼入口を閉じる工程と、前記1または複数の燃焼入口を閉じた後に前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程と、を有し得る。
【0013】
前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流す工程は、燃料と酸化剤とを前記燃焼チャンバ内に流す工程を有し得る。
【0014】
前記酸化剤は、空気または純酸素を有し得る。
【0015】
前記燃料は、前記原料の組成と同一の組成を有し得る。
【0016】
前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流す前に、前記燃焼チャンバは以前の反応サイクルからのガスを含み得る。前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流す工程は、前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に流すことの結果として、前記以前の反応サイクルからの前記ガスを前記燃焼チャンバから前記反応チャンバ内へと排出する工程を有し得る。
【0017】
前記原料を前記反応チャンバ内に引き込む工程は、1または複数の原料入口を介して前記原料を前記反応チャンバ内に引き込む工程を有し得る。前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程は、前記1または複数の原料入口を閉じる工程と、前記1または複数の原料入口を閉じた後に前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程と、を有し得る。
【0018】
前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程は、前記1または複数の生成物出口を開放する工程と、前記1または複数の生成物出口を開放した後に前記反応チャンバの前記容積を減少させる工程と、を有し得る。
【0019】
前記原料の前記分解は、前記反応チャンバの前記容積が一定に保持される定容プロセスであり得る。
【0020】
前記原料は、炭化水素を有し得る。
【0021】
本開示の更なる態様によれば、システムが提供され、当該システムは、反応チャンバと、前記反応チャンバに接続された燃焼チャンバと、原料が前記反応チャンバに入ることを許容するための1または複数の原料入口と、1または複数の可燃性ガスが前記燃焼チャンバに入ることを許容するための1または複数の燃焼入口と、反応生成物が前記反応チャンバから出ることを許容するための1または複数の生成物出口と、前記反応チャンバの容積を制御するための駆動機構と、前記燃焼チャンバ内の1または複数の点火器と、回路を含むコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記駆動機構を制御して、前記反応チャンバの前記容積を増大させ、それによって前記1または複数の原料入口を介して前記原料を前記反応チャンバ内に引き込み、且つ、前記1または複数の燃焼入口を介して前記1または複数の可燃性ガスを前記燃焼チャンバ内に引き込むように、前記1または複数の原料入口と前記1または複数の燃焼入口とを閉じるように、前記1または複数の点火器を制御して、前記1または複数の可燃性ガスを燃焼させ、それによって前記反応チャンバ内に流れて前記原料と混合する1または複数の燃焼生成物を形成し、当該1または複数の燃焼生成物の前記原料との混合の結果として、エネルギが、前記1または複数の燃焼生成物から前記原料へと移されて、前記原料を分解させて1または複数の反応生成物を形成させるように、並びに、前記駆動機構を制御して、前記反応チャンバの前記容積を減少させ、それによって前記1または複数の生成物出口を介して前記1または複数の反応生成物を前記反応チャンバから排出するように、構成されていることを特徴とする。
【0022】
前記1または複数の原料入口と前記1または複数の生成物入口とは、前記反応チャンバの共通の一端部に位置し得る。
【0023】
前記駆動機構は、ピストンを有し得る。
【0024】
前記コントローラは、更に、前記反応チャンバの前記容積が増大されるにつれて前記駆動機構が前記燃焼チャンバに到達する時、前記1または複数の燃焼入口を開放するように構成され得る。
【0025】
この要旨は、必ずしも全ての態様の全範囲を記載するものではない。他の態様、特徴及び利点が、特定の実施形態についての以下の説明を参照する時、当業者に明らかになるであろう。
【0026】
次に、本開示の実施形態が、添付の図面を参照して、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本開示の一実施形態による、原料反応器の概略図である。
【0028】
図2図2は、本開示の一実施形態による、ローディング(装填)段階の開始時における図1の原料反応器の概略図である。
【0029】
図3図3は、本開示の一実施形態による、ローディング段階中の図1の原料反応器の概略図である。
【0030】
図4図4は、本開示の一実施形態による、燃焼段階中の図1の原料反応器の概略図である。
【0031】
図5図5は、本開示の一実施形態による、アンローディング(装填解除)段階中の図1の原料反応器の概略図である。
【0032】
図6図6は、本開示の一実施形態による、原料反応器の操作方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、反応チャンバ内で原料を分解するための新規な方法及びシステムを提供することを目的としている。本開示の様々な実施形態が以下に説明されるが、本開示はこれらの実施形態に限定されないで、これらの実施形態の変形が、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべき本開示の範囲内に十分に入ることができる。
【0034】
全体として、本開示の実施形態によって、反応チャンバ内で原料を分解する方法が説明される。原料を反応チャンバ内に引き込むべく、当該反応チャンバの容積が増大される。前記原料と混合させるべく、前記反応チャンバ内にエネルギ流体が流される。前記エネルギ流体の前記原料との混合の結果として、エネルギが、前記エネルギ流体から前記原料へと移されて、前記原料を分解させて1または複数の反応生成物を形成させる。その後、前記1または複数の反応生成物を前記反応チャンバから排出するべく、前記反応チャンバの前記容積が減少される。エネルギ流体は、原料と熱的に接触される時に当該原料の分解が引き起こされる(トリガ)ような十分な熱エネルギを有する任意の流体であり得る。
【0035】
幾つかの実施形態によれば、エネルギ流体は、燃料-酸化剤の混合物を燃焼させることによって、形成され得る。当該燃焼によって生成される燃焼生成物が、エネルギ流体を構成し得て、当該燃焼生成物は、原料と接触するように流入させられ得て、当該原料と混合させされ得る。
【0036】
図1乃至図5を参照すると、本開示の一実施形態による原料反応器の様々な動作段階が図示されている。全体として、図1乃至図5の各々において、原料反応器100は、反応チャンバ101を備える。反応チャンバ101は、原料111が反応チャンバ101に入ることを許容するための原料入口104と、反応生成物112が反応チャンバ101から出ることを許容するための生成物出口105と、に接続されている。原料入口104と生成物出口105との両方が、原料反応器100の共通の一端部に位置している。
【0037】
一対の燃焼チャンバ102a、102bが、1または複数の通路103a、103bを介して、反応チャンバ101に接続されている。他の実施形態によれば、より多くのまたはより少ない燃焼チャンバが反応チャンバ101に接続され得る。各燃焼チャンバ102a、102bは、可燃性ガス混合物が当該燃焼チャンバに入ることを許容するための燃焼入口107a、107bに接続されている。各燃焼チャンバ102a、102bは、更に、可燃性ガス混合物の燃焼を引き起こす(トリガ)ための点火器108a、108bを含む。往復運動ピストン106が、反応チャンバ101の有効容積を交互に増減させるように構成されている。
【0038】
幾つかの実施形態によれば、可燃性ガス混合物は、燃料(例えば、メタン等の炭化水素)と酸化剤(例えば、純酸素または空気)との混合物を有する。燃料は、原料と同一の組成を有し得る。燃料と酸化剤とは、予め混合された状態で燃焼チャンバ102a、102bに供給され得る、あるいは、燃料と酸化剤とは、それぞれの入口を介して燃焼チャンバ102a、102bに別箇に供給され得て、燃焼チャンバ102a、102b内で様々な適切な混合ストラテジーのいずれかを用いて(例えば、燃料及び酸化剤の入口の適切な位置決めによって)一緒に混合され得る。
【0039】
ローディング(装填)シーケンスの間(図2参照)、ピストン106は、反応チャンバ101の容積113がゼロに近くなるように位置決めされ、生成物出口105が閉じられ、原料入口104が開放される。次いで、ピストン106が、コントローラ(不図示)によって右側に移動され、それによって反応チャンバ101の容積113が増大し、原料ガス111が反応チャンバ101内に引き込まれる。反応チャンバ101に入る前に、原料は(例えば、熱交換器または何らかの他のヒータを使用することによって)予熱され得る。これが、原料の分解を引き起こす(トリガする)のに必要とされる燃焼生成物の温度の要件(以下で更に詳細に説明される)を低減し得る。
【0040】
ピストン106が燃焼チャンバ102a、102bに到達すると(図3参照)、燃焼入口107a、107bが開放され、可燃性ガスが燃焼チャンバ102a、102bに入ることが許容される。可燃性ガスが燃焼チャンバ102a、102b内に引き込まれる時、以前の反応サイクルからの燃焼生成物及び他のガスが、燃焼チャンバ102a、102bから押し出され、通路103a、103bを介して反応チャンバ101内に入る。
【0041】
ピストン106が反応チャンバ101の遠位端(すなわち、図4において視認されるように、原料入口104と生成物出口105とが位置している端とは反対側の反応チャンバ101の端)に到達すると、原料入口104及び燃焼入口107a、107bが閉じられる。次に、燃焼チャンバ102a、102b内の可燃性ガスが、点火器108a、108bによって点火される。結果として得られる高温高圧の燃焼生成物が、通路103a、103bを介して燃焼チャンバ102a、102bから流出して、反応チャンバ101内に注入され、当該燃焼生成物は原料111と混合して、原料111の分解を引き起こす(トリガする)。原料111の分解は、反応チャンバ101及び燃焼チャンバ102a、102bの密閉された性質のため、定容プロセスである。
【0042】
特に、熱エネルギが、燃焼生成物から原料111に移される。エネルギは、また、高温の加圧された燃焼生成物の反応チャンバ101への流入に応答した反応チャンバ101内の圧力上昇の結果として、原料111の動的圧縮を介しても高温の燃焼生成物から原料111に移される。ある時点を過ぎると、原料111の温度の上昇は、原料111の分解または熱分解を駆動(促進)するのに十分となる。例えばメタンの場合、分解は以下の反応式をとる。
CH4 + エネルギ → C + 2H2
所望の反応が完了すると、生成物出口105が開放され、ピストン106が左側に(すなわち、図5において視認され得るように、原料入口104及び生成物出口105が位置する方の反応チャンバ101の端に向かって)戻される。当該熱分解の結果として生成された反応生成物112が、生成物出口105を介して反応チャンバ101から押し出される。その後、当該サイクルが繰り返され得る。
【0043】
幾つかの実施形態によれば、反応生成物112の一部が、将来の反応サイクルのために反応チャンバ101にリサイクルされて戻され得る。メタン熱分解の場合、反応生成物112は、水素、窒素及び炭素のうちの1または複数を有し得て、不要な生成物は、主として、二酸化炭素、窒素及び水であり、リサイクルされるガス混合物は、主として、未反応の天然ガス、水素、窒素及び一酸化炭素を有する。
【0044】
図6を参照すると、本開示の一実施形態による、原料を分解する方法200のフロー図が図示されている。図6に記載される方法は、例えば図1乃至図5に示された原料反応器と組み合わせて使用され得る。
【0045】
ブロック202において、反応チャンバの生成物バルブが閉じられる。生成物バルブは、反応チャンバ内で生成された反応生成物が反応チャンバから流出することを許容する。
【0046】
ブロック204において、反応チャンバの原料バルブが開放される。原料バルブは、原料が反応チャンバ内に流入することを許容する。幾つかの実施形態によれば、ブロック204で実行される動作は、ブロック202で実行される動作に先行し得るし、あるいは、代替的に、これらは同時に発生し得る。
【0047】
ブロック206において、反応チャンバの容積は、例えばピストンまたは他の駆動機構を後退させることによって、増大される。反応チャンバの容積の増大は、開放された原料バルブを介して反応チャンバ内に原料を引き込む圧力差を生成する。ピストンの後退中に、燃焼チャンバの燃焼バルブが開放される。燃焼チャンバは、反応チャンバに流体連通している。燃焼バルブは、例えば空気/純酸素及び燃料(例えば、原料と同一組成を有するガス(例えば、リサイクル原料))の混合物のような可燃性ガスが、燃焼チャンバ内に流入することを許容する。燃焼バルブが開放されると、ピストンの継続する後退によってもたらされる圧力差が、開放された燃焼バルブを介して燃焼チャンバ内に可燃性ガスを引き込む。可燃性ガスが燃焼チャンバ内に引き込まれる時、以前の反応サイクルからの燃焼生成物及び他のガスが、燃焼チャンバから反応チャンバへと押し出される。
【0048】
ピストンが燃焼チャンバに到達する時に、燃焼バルブは開放され得る。ピストンが燃焼チャンバに到達する前に燃焼バルブが開放される場合、以前の反応サイクルからの燃焼ガス及び/または燃焼生成物が燃焼チャンバに入り得てピストンの後方側の反応チャンバに流入し得るので、これは有利であり得る(ピストンの後方側の圧力は、必ずしもピストンの前方側の圧力と同一ではない)。
【0049】
幾つかの実施形態によれば、燃焼バルブは、ブロック202及び/またはブロック204の動作と同時に、あるいは、これらの動作の前に、開放され得る。
【0050】
ブロック208において、原料バルブ及び燃焼バルブが閉じられる。
【0051】
ブロック210において、燃焼チャンバ内の可燃性ガス混合物は、例えば点火プラグのような点火器を起動(トリガ)することによって、燃焼される。可燃性ガス混合物の燃焼は、燃焼生成物を生成し、当該燃焼生成物は、圧力下で、反応チャンバ内に流入し、原料と混合し、当該原料を分解させて反応生成物を生成させる。
【0052】
ブロック212において、生成物バルブが開放される。
【0053】
ブロック214において、反応チャンバの容積が、例えばピストンを伸長することによって、減少される。これは、開放された生成物バルブを介して反応チャンバから反応生成物を押し出す圧力差を生成する。
【0054】
当該サイクルは、その後、ブロック202に戻ることによって、繰り返され得る。
【0055】
フローストレートナー/プラグフロー特性の必要性を排除することに加えて、本明細書に記載される往復運動設計は、幾つかの付加的な利点を提供する。例えば、原料入口及び生成物出口を反応器の同一の端部に配置することは、寄生熱損失を低減することによって、熱性能を改善し得る。これは、サイクルのローディング(装填)工程中の原料の有効温度を増大させ得て、このことは、原料の分解を引き起こすために必要とされる燃焼生成物の温度の要件を低下させるので、有用である。
【0056】
更に、移動ピストンは、反応チャンバの壁をこすり落とし得て(スクレープ)、多くの熱分解反応器で一般的な問題である炭素の付着や蓄積を排除し得る。
【0057】
更に、入口における原料の圧力が、生成物ガスの圧力に対して、相対的に低減され得る。これは、リサイクル用コンプレッサの必要性を低減または排除し得て、このことは、性能を大幅に改善し得て、資本コスト及び運転コストを低減し得る。
【0058】
反応器の様々なバルブの動作は、回路を有する適切なコントローラ(例えばマイクロプロセッサ)によって制御され得る。
【0059】
特許請求の範囲及び/または明細書において、「有する(comprising)」または「含む(including)」という用語と共に使用される場合、「a」または「an」という冠詞は、「1つ」を意味し得るが、文脈が他の態様を明確に指示しない限りにおいて、「1または複数」、「少なくとも1つ」及び「1、または、1より多い数」の意味とも整合する。同様に、「another」という語は、文脈が他の態様を明確に指示しない限りにおいて、少なくとも2番目の1つ、あるいは、それ以上、を意味し得る。
【0060】
本明細書で使用される場合、「結合される(coupled)」、「結合する(coupling)」または「接続される(connected)」という用語は、これらの用語が使用される文脈に依存して、幾つかの異なる意味を有し得る。例えば、本明細書で使用される場合、「結合される(coupled)」、「結合する(coupling)」または「接続される(connected)」という用語は、特定の文脈に依存して、2つの要素またはデバイスが、互いに直接的に接続されていること、または、機械的要素を介して1または複数の中間的な要素またはデバイスを介して互いに接続されていること、を示し得る。本明細書において、項目のリストと関連して使用される場合、「及び/または」という用語は、当該リストを構成する項目の任意の1または複数を意味する。本明細書における「及び/または」という用語は、項目のリストに関連して用いられる場合、当該リストを構成する項目の任意の1または複数を意味する。
【0061】
本明細書で使用される場合、「約〇〇(数値)」または「概ね〇〇(数値)」という言及や、ある数値に「実質的に」等しいという言及は、当該数値の+/-10%以内であることを意味する。
【0062】
「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ」、「X、YまたはZのうちの少なくとも1つ」、「X、Y及びZのうちの少なくとも1つまたは複数」、「X、Y及び/またはZのうちの少なくとも1つまたは複数」、あるいは、「X、Y及び/またはZのうちの少なくとも1つ」のような言語の使用は、単一の項目(例えば、Xだけ、Yだけ、または、Zだけ)及び複数の項目(例えば、{X及びY}、{X及びZ}、{Y及びZ}、または、{X、Y及びZ})の両方を含むことが意図されている。「少なくとも1つの」という語句および同様の語句は、各々の可能性ある項目が存在し得るが、各々の可能性ある項目が存在しなければならない、という要件を伴うことは意図されていない。
【0063】
本開示は、特定の実施形態に関連して説明されてきたが、本開示はこれらの実施形態に限定されず、これらの実施形態の変更、修正及び変形が本開示の範囲から逸脱することなく当業者によって実施され得ることが理解されるべきである。
【0064】
更に、本明細書で論じられる任意の態様または実施形態の任意の部分は、本明細書で論じられる任意の他の態様または実施形態の任意の部分と共に実装されまたは組み合わされ得ることが企図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6