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特開2024-180355加速された高解像度工業用放射線撮影
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180355
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】加速された高解像度工業用放射線撮影
(51)【国際特許分類】
   G06T 3/4069 20240101AFI20241219BHJP
   G01N 23/18 20180101ALI20241219BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20241219BHJP
   G01N 23/046 20180101ALI20241219BHJP
   G06T 7/55 20170101ALI20241219BHJP
【FI】
G06T3/4069
G01N23/18
G01N23/04
G01N23/046
G06T7/55
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096457
(22)【出願日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】63/521,159
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/656,760
(32)【優先日】2024-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス デターマン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ シュレヒト
(72)【発明者】
【氏名】エリック ファーリー
【テーマコード(参考)】
2G001
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA09
2G001HA07
2G001HA13
2G001HA14
5B057AA08
5B057CA08
5B057CA12
5B057CB08
5B057CB12
5B057CD02
5B057CD05
5B057CE08
5B057DA07
5B057DA16
5B057DB02
5B057DB03
5B057DB09
5L096AA06
5L096BA03
5L096BA06
5L096DA01
5L096EA14
5L096EA15
5L096FA69
(57)【要約】
【課題】工業用放射線撮影の提供。
【解決手段】例示的な工業用放射線撮影システムは、加速された高解像度放射線写真プロセスを使用して、高解像度2D放射線写真の生成を可能にする。加速された高解像度放射線写真プロセスは、1つ以上の低解像度2D放射線写真のピクセル(例えば、グレースケール)値を使用して、高解像度2D放射線写真の高解像度放射線写真ピクセルの第1の部分に対するピクセル値を設定する。高解像度放射線写真ピクセルの残りの部分は、第1の部分の分析に基づいて設定される。加速された高解像度放射線写真プロセスでは、キャプチャされる低解像度放射線写真が少なくて済み、したがって、時間を節約し、及び/又は、放射線撮影機上の摩耗及び破損が少なくなり、同時に高品質の高解像度2D放射線写真が提供されるため、加速された高解像度放射線写真プロセスは、より従来的なプロセスよりも高速である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械可読命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記機械可読命令は、処理回路部によって実行されると、
放射線エミッタにより放出されて放射線検出器により検出された放射線を使用して、サンプルの低解像度放射線写真をキャプチャすることであって、前記サンプルは、前記放射線の放射線経路内において前記放射線エミッタと前記放射線検出器との間に位置決めされる、低解像度放射線写真をキャプチャすることと、
前記低解像度放射線写真に基づいて前記サンプルの高解像度放射線写真を生成することであって、前記高解像度放射線写真は、前記低解像度放射線写真よりも多くのピクセルを含み、前記高解像度放射線写真は高解像度ピクセルを有し、前記高解像度放射線写真は、
前記低解像度放射線写真の低解像度ピクセル値に基づいて、前記高解像度ピクセルの第1の部分についての第1の高解像度ピクセル値を設定することと、
前記高解像度ピクセルの前記第1の部分についての前記第1の高解像度ピクセル値の分析を使用して、前記高解像度放射線写真の前記高解像度ピクセルの残りの部分についての残りの高解像度ピクセル値を設定することと、
によって生成される、高解像度放射線写真を生成することと、
を前記処理回路部に行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項2】
前記低解像度放射線写真は、前記放射線検出器が第1の検出器位置にありかつ前記サンプルが前記放射線エミッタ又は前記放射線検出器に対してサンプル配向にある間の前記サンプルの第1の低解像度放射線写真を含み、前記低解像度ピクセル値は、第1の低解像度ピクセル値を含み、前記非一時的コンピュータ可読媒体は、前記処理回路部によって実行されると、
前記放射線検出器が第2の検出器位置にありかつ前記サンプルが前記サンプル配向にある間の前記サンプルの第2の低解像度放射線写真をキャプチャすることであって、
前記高解像度ピクセルの前記第1の部分についての前記第1の高解像度ピクセル値は、前記第1の低解像度放射線写真の前記第1の低解像度ピクセル値と、前記第2の低解像度放射線写真の第2の低解像度ピクセル値とに基づいて設定される、
第2の低解像度放射線写真をキャプチャすること、
を前記処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項3】
前記放射線検出器は、複数の検出器ピクセルを含む検出器表面を含み、前記複数の検出器ピクセルの各検出器ピクセルは、第1の検出器軸に沿った検出器ピクセル幅と、前記第1の検出器軸に垂直な第2の検出器軸に沿った検出器ピクセル高さとによって定義される検出器ピクセルサイズを有し、前記第2の検出器位置は、前記第1の検出器位置から、前記第1の検出器軸に沿った第1の距離又は前記第2の検出器軸に沿った第2の距離だけオフセットされ、前記第1の距離は前記検出器ピクセル幅よりも小さく、又は前記第2の距離は前記検出器ピクセル高さよりも小さい、請求項2に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項4】
前記処理回路部によって実行されると、位置決めシステムを使用して、前記放射線検出器を前記第1の検出器位置から前記第2の検出器位置に移動させること、を前記処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む、請求項3に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項5】
前記処理回路部によって実行されると、前記高解像度放射線写真の視覚的表現をディスプレイスクリーン上に表示すること、を前記処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項6】
前記処理回路部によって実行されると、前記高解像度放射線写真の前記高解像度ピクセルに補正を適用すること、を前記処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記処理回路部によって実行されると、前記高解像度放射線写真及び1つ以上の追加の高解像度放射線写真を使用して3次元の高解像度放射線撮影ボリュームを構築すること、を前記処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む、請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項8】
工業用放射線撮影イメージングシステムであって、
放射線経路に沿って放射線を放出するように構成された放射線エミッタと、
前記放射線の前記放射線経路内に位置決めされた放射線検出器であって、前記放射線エミッタによって放出された前記放射線を検出するように構成された放射線検出器と、
前記放射線エミッタと前記放射線検出器との間に位置決めされたサンプル支持体であって、前記放射線の前記放射線経路内のサンプル位置においてサンプルを支持するように構成されたサンプル支持体と、
画像取得システムと、
を含み、前記画像取得システムは、
処理回路部と、
機械可読命令を含むメモリ回路部と、
を含み、前記前記機械可読命令は、前記処理回路部によって実行されると、
前記放射線検出器により検出された前記放射線を使用して前記サンプルの低解像度放射線写真をキャプチャすることと、
前記低解像度放射線写真に基づいて前記サンプルの高解像度放射線写真を生成することであって、前記高解像度放射線写真は、前記低解像度放射線写真よりも多くのピクセルを含み、前記高解像度放射線写真は高解像度ピクセルを有し、前記高解像度放射線写真は、
前記低解像度放射線写真の低解像度ピクセル値に基づいて、前記高解像度ピクセルの第1の部分についての第1の高解像度ピクセル値を設定することと、
前記高解像度ピクセルの前記第1の部分についての前記第1の高解像度ピクセル値の分析を使用して、前記高解像度放射線写真の前記高解像度ピクセルの残りの部分についての残りの高解像度ピクセル値を設定することと、
によって生成される、高解像度放射線写真を生成することと、
を前記処理回路部に行わせる、
システム。
【請求項9】
前記低解像度放射線写真は、前記放射線検出器が第1の検出器位置にありかつ前記サンプルが前記放射線エミッタ又は前記放射線検出器に対してサンプル配向にある間の前記サンプルの第1の低解像度放射線写真を含み、前記低解像度ピクセル値は、第1の低解像度ピクセル値を含み、前記メモリ回路部は、前記処理回路部によって実行されると、
前記放射線検出器が第2の検出器位置にありかつ前記サンプルが前記サンプル配向にある間の前記サンプルの第2の低解像度放射線写真をキャプチャすることであって、
前記高解像度ピクセルの前記第1の部分についての前記第1の高解像度ピクセル値は、前記第1の低解像度放射線写真の前記第1の低解像度ピクセル値と、前記第2の低解像度放射線写真の第2の低解像度ピクセル値とに基づいて設定される、
第2の低解像度放射線写真をキャプチャすること、
を前記処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記放射線検出器は、複数の検出器ピクセルを含む検出器表面を含み、前記複数の検出器ピクセルの各検出器ピクセルは、第1の検出器軸に沿った検出器ピクセル幅と、前記第1の検出器軸に垂直な第2の検出器軸に沿った検出器ピクセル高さとによって定義される検出器ピクセルサイズを有し、前記第2の検出器位置は、前記第1の検出器位置から、前記第1の検出器軸に沿った第1の距離又は前記第2の検出器軸に沿った第2の距離だけオフセットされ、前記第1の距離は前記検出器ピクセル幅よりも小さく、又は前記第2の距離は前記検出器ピクセル高さよりも小さい、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記放射線検出器を前記第1の検出器位置から前記第2の検出器位置に移動させるように構成された位置決めシステムを更に備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記画像取得システムは、前記高解像度放射線写真の視覚的表現を表示するように構成されたディスプレイスクリーンを更に備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記メモリ回路部は、前記処理回路部によって実行されると、前記高解像度放射線写真の前記高解像度ピクセルに補正を適用すること、を前記処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記メモリ回路部は、前記処理回路部によって実行されると、前記高解像度放射線写真及び1つ以上の追加の高解像度放射線写真を使用して3次元の高解像度放射線撮影ボリュームを構築すること、を前記処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
高解像度放射線写真の加速された生成の方法であって、
放射線エミッタにより放出されて放射線検出器により検出された放射線を使用して、サンプルの低解像度放射線写真をキャプチャすることであって、前記サンプルは、前記放射線の放射線経路内において前記放射線エミッタと前記放射線検出器との間に位置決めされる、低解像度放射線写真をキャプチャすることと、
処理回路部により、前記低解像度放射線写真に基づいて前記サンプルの高解像度放射線写真を生成することであって、前記高解像度放射線写真は、前記低解像度放射線写真よりも多くのピクセルを含み、前記高解像度放射線写真は高解像度ピクセルを有し、前記高解像度放射線写真は、
前記処理回路部により、前記低解像度放射線写真の低解像度ピクセル値に基づいて、前記高解像度ピクセルの第1の部分についての第1の高解像度ピクセル値を設定することと、
前記処理回路部により、前記高解像度ピクセルの前記第1の部分についての前記第1の高解像度ピクセル値の分析を使用して、前記高解像度放射線写真の前記高解像度ピクセルの残りの部分についての残りの高解像度ピクセル値を設定することと、
によって生成される、高解像度放射線写真を生成することと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記低解像度放射線写真は、前記放射線検出器が第1の検出器位置にありかつ前記サンプルが前記放射線エミッタ又は前記放射線検出器に対してサンプル配向にある間の前記サンプルの第1の低解像度放射線写真を含み、前記低解像度ピクセル値は、第1の低解像度ピクセル値を含み、前記方法は、
前記放射線検出器を使用して、前記放射線検出器が第2の検出器位置にありかつ前記サンプルが前記サンプル配向にある間の前記サンプルの第2の低解像度放射線写真をキャプチャすることであって、
前記高解像度ピクセルの前記第1の部分についての前記第1の高解像度ピクセル値は、前記第1の低解像度放射線写真の前記第1の低解像度ピクセル値と、前記第2の低解像度放射線写真の第2の低解像度ピクセル値とに基づいて設定される、
第2の低解像度放射線写真をキャプチャすること、
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記放射線検出器は、複数の検出器ピクセルを含む検出器表面を含み、前記複数の検出器ピクセルの各検出器ピクセルは、第1の検出器軸に沿った検出器ピクセル幅と、前記第1の検出器軸に垂直な第2の検出器軸に沿った検出器ピクセル高さとによって定義される検出器ピクセルサイズを有し、前記第2の検出器位置は、前記第1の検出器位置から、前記第1の検出器軸に沿った第1の距離又は前記第2の検出器軸に沿った第2の距離だけオフセットされ、前記第1の距離は前記検出器ピクセル幅よりも小さく、又は前記第2の距離は前記検出器ピクセル高さよりも小さい、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
位置決めシステムを使用して、前記放射線検出器を前記第1の検出器位置から前記第2の検出器位置に移動させること、を更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記処理回路部により、前記高解像度放射線写真の前記高解像度ピクセルに補正を適用することと、
前記高解像度放射線写真の視覚的表現をディスプレイスクリーン上に表示することと、
を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記処理回路部により、前記高解像度放射線写真及び1つ以上の追加の高解像度放射線写真を使用して3次元の高解像度放射線撮影ボリュームを構築すること、を更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2023年6月15日に出願された、「Accelerated Higher Resolution Industrial Radiography」と題する米国仮特許出願第63/521,159号の優先権及び利益を主張するものであり、その内容全体が引用することにより本開示の一部をなす。
【0002】
技術分野
本開示は、一般的に、工業用放射線撮影に関し、より具体的には、加速された高解像度工業用放射線撮影に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
工業用放射線撮影システムは、工業用途において使用される部品の2次元(2D)放射線撮影画像を取得するのに使用される。そのような工業用途は、例えば、航空宇宙用途、自動車用途、電子用途、医療用途、医薬品用途、軍事用途、及び/又は防衛用途を含むことができる。2D放射線撮影画像は、通常は人間の目で視認可能な場合もあるし視認可能でない場合もある亀裂、傷、及び/又は欠陥の有無について部品(複数の場合もある)を点検するために精査することができる。
【0004】
このようなシステムを、図面を参照して本出願の残りの部分で述べられる本開示と比較することによって、従来の手法及び伝統的な手法の限界及び不利な点が当業者に明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
簡単な概要
本開示は、実質的に複数の図面のうちの少なくとも1つに例示され及び/又はその図面に関連して説明されるとともに請求項でより完全に記述される、加速された高解像度工業用放射線撮影に関する。
【0006】
本開示のこれらの及び他の利点、態様、及び新規な特徴に加えて、本開示の図示した例の詳細な内容は、以下の説明及び図面からより十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の態様による工業用X線放射線撮影機の一例を示す図である。
【0008】
図2】本開示の態様による、図1の工業用X線放射線撮影機を有する例示的なX線放射線撮影システムを示すブロック図である。
【0009】
図3a】本開示の態様による、図2のX線放射線撮影システムの加速された高解像度放射線撮影プロセスの例示的な動作を示すフローチャートである。
図3b】本開示の態様による、図2のX線放射線撮影システムの加速された高解像度放射線撮影プロセスの例示的な動作を示すフローチャートである。
【0010】
図4】本開示の態様による、図1の工業用X線放射線撮影機のX線検出器108の例示的な検出器ピクセルグリッドを示す図である。
【0011】
図5a】本開示の態様による、例示的な放射線写真ピクセルグリッドを示す図である。
図5b】本開示の態様による、例示的な放射線写真ピクセルグリッドを示す図である。
【0012】
図6】本開示の態様による、図3の例示的なピクセルグリッドがどのようにして異なる検出器位置にサブピクセル未満だけシフトされ得るかを示す図である。
【0013】
図7】本開示の態様による、図1の工業用X線放射線撮影機のX線検出器108の異なる例示的な検出器位置を示す図である。
【0014】
図8a】本開示の態様による、図5bの高解像度2D放射線写真の高解像度放射線写真ピクセルの第1の部分のピクセル値を設定するために、図5aの異なる低解像度2D放射線写真の異なる低解像度放射線写真ピクセルがどのように組み合わされ得るかの例を示す図である。
図8b】本開示の態様による、図5bの高解像度2D放射線写真の高解像度放射線写真ピクセルの第1の部分のピクセル値を設定するために、図5aの異なる低解像度2D放射線写真の異なる低解像度放射線写真ピクセルがどのように組み合わされ得るかの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図は必ずしも縮尺通りではない。適切な場合、図において類似又は同一の構成要素を参照するために同一又は類似の参照符号が使用される。例えば、文字を利用した参照符号(例えば、低解像度2D放射線写真500a、高解像度2D放射線写真500b)は、文字を有しない同じ参照符号(例えば、2D放射線写真500)の実例を参照するものである。
【0016】
詳細な説明
本開示のいくつかの例は、加速されたサブピクセルサンプリングプロセスを使用して、通常よりも詳細な高解像度2D放射線写真を生成する工業用放射線撮影システムに関する。いくつかの例において、1つ以上の低解像度2D放射線写真からの低解像度放射線写真ピクセルのピクセル(例えば、グレースケール)値を使用して、高解像度2D放射線写真内の高解像度放射線写真ピクセルの第1の部分に対するピクセル値を設定する。次いで、高解像度放射線写真ピクセルの第1の部分からのピクセル値の分析に基づいて、高解像度ピクセルの残りの部分に対するピクセル値を設定することができる。低解像度2D放射線写真を使用して、高解像度ピクセルの全てではなく一部分のみを直接設定するこの技術は、いくつかの他のより従来的な技術と比較して、キャプチャする必要がある低解像度2D放射線写真が少なくて済み、それによって、時間を節約し、及び/又は摩耗及び破損が少なくなり、同時に高品質の高解像度2D放射線写真を提供することを意味する。3次元(3D)放射線撮影ボリューム、モデル、及び/又は画像を形成するために、複数の高解像度2D放射線写真が生成され、及び/又は組み合わされた場合、加速されたサブピクセルサンプリングプロセスを使用して節約された時間(及び/又は摩耗及び破損の低減)は、更により顕著となる。
【0017】
本開示のいくつかの例は、機械可読命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、機械可読命令は、処理回路部によって実行されると、放射線エミッタによって放出され、放射線検出器によって検出される放射線を使用して、サンプルの低解像度放射線写真をキャプチャすることであって、サンプルは、放射線の放射線経路内で放射線エミッタと放射線検出器との間に位置決めされることと、低解像度放射線写真に基づいて、サンプルの高解像度放射線写真を生成することであって、高解像度放射線写真は、低解像度放射線写真よりも多くのピクセルを含み、高解像度放射線写真は、高解像度ピクセルを有し、高解像度放射線写真は、低解像度放射線写真の低解像度ピクセル値に基づいて、高解像度ピクセルの第1の部分に対する第1の高解像度ピクセル値を設定し、高解像度ピクセルの第1の部分に対する第1の高解像度ピクセル値の分析を使用して、高解像度放射線写真の高解像度ピクセルの残りの部分に対する残りの高解像度ピクセル値を設定することによって生成されることとを処理回路部に行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体に関する。
【0018】
いくつかの例において、低解像度放射線写真は、放射線検出器が第1の検出器位置にあり、サンプルが放射線エミッタ又は放射線検出器に対してサンプル配向にある間のサンプルの第1の低解像度放射線写真を含み、低解像度ピクセル値は、第1の低解像度ピクセル値を含み、非一時的コンピュータ可読媒体は、処理回路部によって実行されると、放射線検出器が第2の検出器位置にあり、サンプルがサンプル配向にある間に、サンプルの第2の低解像度放射線写真をキャプチャすることであって、高解像度ピクセルの第1の部分に対する第1の高解像度ピクセル値は、第1の低解像度放射線写真の第1の低解像度ピクセル値と、第2の低解像度放射線写真の第2の低解像度ピクセル値とに基づいて設定されることを処理回路部に行わせる、機械可読命令を更に含む。
【0019】
いくつかの例において、放射線検出器は、複数の検出器ピクセルを含む検出器表面を含み、複数の検出器ピクセルの各検出器ピクセルは、第1の検出器軸に沿った検出器ピクセル幅と、第1の検出器軸に垂直な第2の検出器軸に沿った検出器ピクセル高さとによって定義される検出器ピクセルサイズを有し、第2の検出器位置は、第1の検出器位置から、第1の検出器軸に沿った第1の距離又は第2の検出器軸に沿った第2の距離だけオフセットされ、第1の距離は、検出器ピクセル幅よりも小さく、又は第2の距離は、検出器ピクセル高さよりも小さい。いくつかの例において、非一時的コンピュータ可読媒体は、処理回路部によって実行されると、位置決めシステムを使用して、放射線検出器を第1の検出器位置から第2の検出器位置に移動させることを処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む。いくつかの例において、非一時的コンピュータ可読媒体は、処理回路部によって実行されると、高解像度放射線写真の視覚的表現をディスプレイスクリーン上に表示することを処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む。
【0020】
いくつかの例において、非一時的コンピュータ可読媒体は、処理回路部によって実行されると、高解像度放射線写真の高解像度ピクセルに補正(改善、エンハンスメント)を適用することを処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む。いくつかの例において、非一時的コンピュータ可読媒体は、処理回路部によって実行されると、高解像度放射線写真及び1つ以上の追加の高解像度放射線写真を使用して3次元の高解像度放射線撮影ボリュームを構築することを処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む。
【0021】
本開示のいくつかの例は、工業用放射線撮影イメージングシステムであって、放射線経路に沿って放射線を放出するように構成された放射線エミッタと、放射線の放射線経路内に位置決めされた放射線検出器であって、放射線検出器は、放射線エミッタによって放出された放射線を検出するように構成される、放射線検出器と、放射線エミッタと放射線検出器との間に位置決めされたサンプル支持体であって、サンプル支持体は、放射線の放射線経路内のサンプル位置でサンプルを支持するように構成される、サンプル支持体と、画像取得システムとを備え、画像取得システムは、処理回路部と、機械可読命令を含むメモリ回路部とを備え、機械可読命令は、処理回路部によって実行されると、放射線検出器によって検出された放射線を使用してサンプルの低解像度放射線写真をキャプチャすることと、低解像度放射線写真に基づいて、サンプルの高解像度放射線写真を生成することであって、高解像度放射線写真は、低解像度放射線写真よりも多くのピクセルを含み、高解像度放射線写真は、高解像度ピクセルを有し、高解像度放射線写真は、低解像度放射線写真の低解像度ピクセル値に基づいて、高解像度ピクセルの第1の部分に対する第1の高解像度ピクセル値を設定し、高解像度ピクセルの第1の部分に対する第1の高解像度ピクセル値の分析を使用して、高解像度放射線写真の高解像度ピクセルの残りの部分に対する残りの高解像度ピクセル値を設定することによって生成されることとを処理回路部に行わせる、システムに関する。
【0022】
いくつかの例において、低解像度放射線写真は、放射線検出器が第1の検出器位置にあり、サンプルが放射線エミッタ又は放射線検出器に対してサンプル配向にある間のサンプルの第1の低解像度放射線写真を含み、低解像度ピクセル値は、第1の低解像度ピクセル値を含み、メモリ回路部は、処理回路部によって実行されると、放射線検出器が第2の検出器位置にあり、サンプルがサンプル配向にある間に、サンプルの第2の低解像度放射線写真をキャプチャすることであって、高解像度ピクセルの第1の部分に対する第1の高解像度ピクセル値は、第1の低解像度放射線写真の第1の低解像度ピクセル値と、第2の低解像度放射線写真の第2の低解像度ピクセル値とに基づいて設定されることを処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む。
【0023】
いくつかの例において、放射線検出器は、複数の検出器ピクセルを含む検出器表面を含み、複数の検出器ピクセルの各検出器ピクセルは、第1の検出器軸に沿った検出器ピクセル幅と、第1の検出器軸に垂直な第2の検出器軸に沿った検出器ピクセル高さとによって定義される検出器ピクセルサイズを有し、第2の検出器位置は、第1の検出器位置から、第1の検出器軸に沿った第1の距離又は第2の検出器軸に沿った第2の距離だけオフセットされ、第1の距離は、検出器ピクセル幅よりも小さく、又は第2の距離は、検出器ピクセル高さよりも小さい。
【0024】
いくつかの例において、システムは、放射線検出器を第1の検出器位置から第2の検出器位置に移動させるように構成された位置決めシステムを更に備える。いくつかの例において、画像取得システムは、高解像度放射線写真の視覚的表現を表示するように構成されたディスプレイスクリーンを更に備える。いくつかの例において、メモリ回路部は、処理回路部によって実行されると、高解像度放射線写真の高解像度ピクセルに補正を適用することを処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む。いくつかの例において、メモリ回路部は、処理回路部によって実行されると、高解像度放射線写真及び1つ以上の追加の高解像度放射線写真を使用して3次元の高解像度放射線撮影ボリュームを構築することを処理回路部に行わせる機械可読命令を更に含む。
【0025】
本開示のいくつかの例は、高解像度放射線写真の加速された生成の方法であって、方法は、放射線エミッタによって放出され、放射線検出器によって検出される放射線を使用して、サンプルの低解像度放射線写真をキャプチャすることであって、サンプルは、放射線の放射線経路内で放射線エミッタと放射線検出器との間に位置決めされることと、処理回路部を介して、低解像度放射線写真に基づいて、サンプルの高解像度放射線写真を生成することであって、高解像度放射線写真は、低解像度放射線写真よりも多くのピクセルを含み、高解像度放射線写真は、高解像度ピクセルを有し、高解像度放射線写真は、処理回路部を介して、低解像度放射線写真の低解像度ピクセル値に基づいて、高解像度ピクセルの第1の部分に対する第1の高解像度ピクセル値を設定し、処理回路部を介して、高解像度ピクセルの第1の部分に対する第1の高解像度ピクセル値の分析を使用して、高解像度放射線写真の高解像度ピクセルの残りの部分に対する残りの高解像度ピクセル値を設定することによって生成されることとを含む、方法に関する。
【0026】
いくつかの例において、低解像度放射線写真は、放射線検出器が第1の検出器位置にあり、サンプルが放射線エミッタ又は放射線検出器に対してサンプル配向にある間のサンプルの第1の低解像度放射線写真を含み、低解像度ピクセル値は、第1の低解像度ピクセル値を含み、方法は、放射線検出器が第2の検出器位置にあり、サンプルがサンプル配向にある間に、放射線検出器を使用してサンプルの第2の低解像度放射線写真をキャプチャすることであって、高解像度ピクセルの第1の部分に対する第1の高解像度ピクセル値は、第1の低解像度放射線写真の第1の低解像度ピクセル値と、第2の低解像度放射線写真の第2の低解像度ピクセル値とに基づいて設定されることを更に含む。
【0027】
いくつかの例において、放射線検出器は、複数の検出器ピクセルを含む検出器表面を含み、複数の検出器ピクセルの各検出器ピクセルは、第1の検出器軸に沿った検出器ピクセル幅と、第1の検出器軸に垂直な第2の検出器軸に沿った検出器ピクセル高さとによって定義される検出器ピクセルサイズを有し、第2の検出器位置は、第1の検出器位置から、第1の検出器軸に沿った第1の距離又は第2の検出器軸に沿った第2の距離だけオフセットされ、第1の距離は、検出器ピクセル幅よりも小さく、又は第2の距離は、検出器ピクセル高さよりも小さい。
【0028】
いくつかの例において、方法は、位置決めシステムを使用して、放射線検出器を第1の検出器位置から第2の検出器位置に移動させることを更に含む。いくつかの例において、方法は、処理回路部を介して、高解像度放射線写真の高解像度ピクセルに補正を適用することと、高解像度放射線写真の視覚的表現をディスプレイスクリーン上に表示することとを更に含む。いくつかの例において、方法は、処理回路部を介して、高解像度放射線写真及び1つ以上の追加の高解像度放射線写真を使用して、3次元の高解像度放射線撮影ボリュームを構築することを更に含む。
【0029】
図1は、一例示の工業用X線放射線撮影機100を示している。いくつかの例において、X線放射線撮影機100は、サンプル102に対して行われる非破壊検査(NDT:non-destructive testing)、デジタル放射線撮影(DR:digital radiography)スキャン、コンピュータ断層撮影(CT:computerized tomography)スキャン、及び/又は他の用途に使用することができる。いくつかの例において、サンプル102は、工業用部材及び/又は部材(例えば、エンジンキャスト、マイクロチップ、ボルト等)の組立体とすることができる。いくつかの例において、より微細且つより詳細でより高い解像度の放射線撮影(例えば、放射線撮影イメージング)プロセスが役立つことができるように、サンプル102は比較的小さなものとすることができる。簡単にするために主としてX線に関して論述されるが、いくつかの例において、本開示において論述される工業用X線放射線撮影機100は、他の波長における放射線(例えば、ガンマ線、中性子線等)を使用することもできる。
【0030】
図1の例において、X線放射線撮影機100は、X線エミッタ106からのX線放射線104を放射線経路105に沿って方向付ける。放出された放射線は、放射線経路105に沿って進み、サンプル102を通過し、その後、X線検出器108に衝突する(及び/又はX線検出器108によって検出される)。いくつかの例において、X線エミッタ106は、円錐形又は扇形のX線放射線を放出するように構成されたX線管を備えることができる。いくつかの例において、X線エミッタ106は、20キロ電子ボルト(keV:kiloelectron volt)~10メガ電子ボルト(meV:megaelectron volt)のエネルギー範囲内のX線放射線を放出することができる。
【0031】
いくつかの例において、X線検出器108に入射するX線放射線104に基づいて、2次元(2D)デジタル放射線写真(例えば、放射線撮影画像、X線画像等)を生成することができる。いくつかの例において、2D放射線写真は、X線検出器108自体によって生成することができる。いくつかの例において、2D放射線写真は、X線検出器108及び/又はX線放射線撮影機100と通信するコンピューティングシステム202(例えば、図2を参照)と組み合わされたX線検出器108によって生成することができる。
【0032】
いくつかの例において、X線検出器108(及び/又は関連付けられたコンピューティングシステム(複数の場合もある))によって生成された2D放射線写真を組み合わせて、3次元(3D)放射線撮影ボリューム及び/又は3D画像を形成することができる。いくつかの例においては、3Dボリューム/画像の2D画像スライスも形成することができる。「画像」及び/又は「放射線写真」という用語は、本開示では省略表現として使用されているが、「画像」及び/又は「放射線写真」は、代表データが1つ以上の適切な構成要素(例えば、ディスプレイスクリーン、グラフィック処理ユニット、X線検出器108等)によって視覚的にレンダリングされるまで、その代表データを含むことができることに留意されたい。
【0033】
いくつかの例において、X線検出器108は、フラットパネル検出器(FDA:flat panel detector)、線形ダイオードアレイ(LDA:linear diode array)、及び/又はレンズ結合型シンチレーション検出器を含むことができる。いくつかの例において、X線検出器108は、シンチレーションを介して間接的に画像を受信するように構成される蛍光透視検出システム及び/又はデジタル画像センサーを含むことができる。いくつかの例において、X線検出器108は、X線を直接受信してデジタル画像を生成するように構成されるセンサーパネル(例えば、電荷結合デバイス(CCD:charge coupled device)パネル、相補型金属酸化物半導体(CMOS:complementary metal-oxide-semiconductor)パネル等)を使用して実施することができる。いくつかの例において、X線検出器108は、X線を吸収して可視光光子を放出するシンチレーション層/スクリーンを備えることができ、可視光光子は、その後、シンチレーションスクリーンに結合されたソリッドステート検出器パネル(例えば、CMOS X線パネル及び/又はCCD X線パネル)によって検出される。
【0034】
いくつかの例において、X線検出器108(例えば、ソリッドステート検出器パネル)は、検出器ピクセル404(例えば、図4参照)を含むことができる。いくつかの例において、検出器ピクセル404は、シンチレーションスクリーンの部分に対応することができる。いくつかの例において、各検出器ピクセル404のサイズは、数十マイクロメートル~数百マイクロメートルの範囲に及ぶことができる。いくつかの例において、X線検出器108のピクセルサイズは、25マイクロメートル~250マイクロメートルの範囲内(例えば、200マイクロメートル)とすることができる。いくつかの例において、検出器ピクセル404は、X線検出器108上の検出器ピクセルグリッド402に配置することができる。
【0035】
図4は、複数の検出器ピクセル404から構成される検出器ピクセルグリッド402の例を示している。図示のように、各検出器ピクセル404は、ピクセル高さ(例えば、y軸における)及びピクセル幅(例えば、x軸における)によって決定されるピクセルサイズを有する。いくつかの例において、x軸は、検出器ポジショナ150の1つ以上のレール154に対してほぼ平行(例えば、1度~5度以内)であり得る(図1に関して以下で説明する)。いくつかの例において、y軸は、検出器ポジショナ150の1つ以上の支柱152に対してほぼ平行であり得る(図1に関して以下で説明する)。検出器ピクセル404は、図4の例において、等しいピクセル高さ及びピクセル幅を有する正方形として示されているが、いくつかの例において、検出器ピクセル404は、ピクセル幅に等しくないピクセル高さを有する矩形であり得る。便宜上、「ピクセル長」という用語は、以下の開示では、ピクセル高さ及び/又はピクセル幅のいずれか/両方を指すために使用され得る。
【0036】
いくつかの例において、2D放射線写真500aが生成されるとき、2D放射線写真500aは、放射線写真ピクセル504(例えば、図5a参照)の配置(例えば、放射線写真ピクセルグリッド502)を使用して表される。いくつかの例において、X線検出器108を使用してキャプチャされた各2D放射線写真500aは、X線検出器108が検出器ピクセル404を有するのと同じ数(及び/又は同じ配置)の放射線写真ピクセル504を有することができる。いくつかの例において、各放射線写真ピクセル504は、対応する検出器ピクセル404に近接するX線検出器108によって検出された放射線に基づいて設定される関連するピクセル(例えば、グレースケール)値を有することができる。コンピューティングシステム202及び/又はユーザインターフェース(UI)204(例えば、図2を参照)は、その後、放射線写真ピクセル504と同じ方法で同じ数のディスプレイスクリーンピクセルを適切に配置することによって、(それ自体のディスプレイスクリーンピクセルを有する)ディスプレイスクリーン上に2D放射線写真500aの視覚的表現(例えば、画像)を出力することができ、各ディスプレイスクリーンピクセルは、対応する放射線写真ピクセル504のピクセル値と同じである(及び/又は相関する、基づく等)ディスプレイスクリーンピクセル値を有する。
【0037】
図5aは、2D放射線写真500aの単純な例を示している。図5aの例において、2D放射線写真500aは、放射線写真ピクセルグリッド502aに配置された複数の放射線写真ピクセル504aによって表されている。図示のように、放射線写真ピクセルグリッド502aの所与の行(例えば、x軸に沿った)内の各放射線写真ピクセル504aは、グレーの同一陰影であり、それらの放射線写真ピクセル504aの共通ピクセル(例えば、グレースケール)値を示している。対照的に、(例えば、y軸に沿った)所与の列内の各放射線写真ピクセル504aは、その列内の他の全ての放射線写真ピクセル504aとは異なるグレーの陰影であり、その列内の各放射線写真ピクセル504aの異なるピクセル(例えば、グレースケール)値を示している。
【0038】
いくつかの例において、X線検出器108の各検出器ピクセル404のサイズは、X線検出器108(及び/又は関連するコンピューティングシステム202)によってキャプチャされた2D放射線写真500aの解像度、すなわち詳細における制限要因となる可能性がある。これは、サンプル102がX線検出器108の検出器ピクセル404のピクセルサイズよりも微細な(例えば、より小さい、より密度の高い等)特徴を含む場合に問題となる可能性がある。
【0039】
例えば、コンピュータマイクロチップは、検出器ピクセル404のサイズよりも小さい非常に微細な特徴を有することができる。各検出器ピクセル404(及び/又は対応する放射線写真ピクセル504a)は、1つのピクセル(例えば、グレースケール)値しか有することができないため、検出器ピクセル404のサイズよりも小さいスケールで(例えば、色及び/又はグレースケールにおいて)生じる粒状差が失われる可能性がある。そのような例において、サブピクセル(例えば、検出器ピクセル404よりも少ない/小さい)サンプリングを使用して、X線検出器108を使用してキャプチャされた低解像度2D放射線写真500aで可能であるよりも多くの詳細を表現する能力を有する高解像度放射線写真ピクセル504bを有する高解像度2D放射線写真500b(例えば、図5b参照)を構築することが有用であり得る。本開示で使用される場合、「サブピクセルサンプリング」は、X線検出器108の異なる検出器位置でキャプチャされる複数の低解像度2D放射線写真500aを使用して、高解像度2D放射線写真500bを構築するプロセスを指しており、各検出器位置は、サブピクセル(例えば、検出器ピクセル404のピクセル長未満)だけ、少なくとも1つの他の検出器位置(及び/又は全ての他の検出器位置)からオフセットされる。
【0040】
図5bは、高解像度2D放射線写真500bの例を示している。図5aの低解像度2D放射線写真500aと同様に、図5bの高解像度2D放射線写真500bは、放射線写真ピクセルグリッド502bに配置された複数の高解像度放射線写真ピクセル504bによって表されている。しかしながら、図5bの高解像度2D放射線写真500bは、図5aの低解像度2D放射線写真500a(及び/又は図4の検出器ピクセルグリッド402)よりも高いピクセル密度を有する。すなわち、図5bの高解像度2D放射線写真500bは、図5aの低解像度2D放射線写真500a(及び/又は図4の検出器ピクセルグリッド402)よりも多くの(かつ小さい)高解像度放射線写真ピクセル504bを有するものとして示されている。
【0041】
特に、図5bの高解像度2D放射線写真500bは、低解像度2D放射線写真500aが低解像度放射線写真ピクセル504aを有する(及び/又は検出器ピクセルグリッド402が検出器ピクセル404を有する)よりも4倍多くの高解像度放射線写真ピクセル504bを有するものとして示されている。いくつかの例において、高解像度放射線写真ピクセル504bの数は、低解像度放射線写真ピクセル504a(及び/又は検出器ピクセル404)の数の何らかの他の倍数(例えば、2倍、6倍、8倍、10倍等)であり得る。それにもかかわらず、両方の2D放射線写真500(及び図4の検出器ピクセルグリッド402)は、同じ総面積を占める(及び/又は表す)ものとして示されている。
【0042】
いくつかの例において、高解像度2D放射線写真500bのより高いピクセル密度により、低解像度2D放射線写真500aよりもサンプル102のより詳細な描写を可能にすることができる。これは、図5a及び図5bに示されており、両方の2D放射線写真500は、非常に明るい状態から非常に暗い状態への漸進的な進行を示しているが、高解像度2D放射線写真500bは、低解像度2D放射線写真500aよりも細かく、より漸進的な進行を示している。
【0043】
図1の例において、X線機械100は、検出器ポジショナ150と、サンプルポジショナ110と、エミッタ検出器ポジショナ160とを備える位置決めシステム199を含む。いくつかの例において、検出器ポジショナ150は、X線検出器108を(例えば、サブピクセルサンプリングのために)異なる検出器位置に移動させるように構成される。図示するように、検出器ポジショナ150は、2つの平行なレール154によって接続された2つの平行な支柱152を含む。図示するように、X線検出器108は、レール154上に保持される。いくつかの例において、X線検出器108は、1つ以上の中間支持体によってレール154上に保持することができる(及び/又はレール154に取り付けることができる)。
【0044】
いくつかの例において、検出器ポジショナ150は、X線検出器108をいずれかの支柱152に対してレール154に沿って接近移動及び/又は離遠移動させるように構成することができる。いくつかの例において、レール154は、支柱152に沿って及び/又は平行に(例えば、上方及び/又は下方に)移動するように構成することができ、それによって、支柱152に沿って及び/又は平行にX線検出器108も移動される。検出器ポジショナ150は、図1の例では簡単に示されているが、いくつかの例においては、「High-Resolution Computed Tomography」と題され、米国特許法第371条の日付が2015年9月30日である米国特許第9,459,217号に図示及び説明されているx並進ステージ18、y並進ステージ20、検出器設置フレーム26、及び/又はx/yステージ線形エンコーダー22/24と同様により複雑なものであり得る。この米国特許の全内容は、引用することによって本開示の一部をなす。
【0045】
いくつかの例においては、サンプル102をサンプルポジショナ110によって移動させることができる。図1の例において、サンプルポジショナ110は、X線エミッタ106と検出器108との間のX線放射線104の経路内にサンプル102を保持する。いくつかの例において、サンプルポジショナ110は、X線エミッタ106及び/又はX線検出器108に対してサンプル102を接近移動及び/又は離遠移動させるように構成することができ、それによって、幾何倍率(X線エミッタ106とX線検出器108との間の距離を、X線エミッタ106とサンプル102との間の距離によって除算したものとして定義される)を変化させることができる。いくつかの例において、サンプルポジショナ110は、サンプル102の所望の部分及び/又は配向がX線放射線104の経路内に位置するように、サンプル102を移動及び/又は回転させるように構成することができる。いくつかの例において、サンプルポジショナ110は、種々の配向において2D放射線写真500aを取得するために、X線エミッタ106及び/又はX線検出器108に対して種々の角度/配向にサンプル102を位置決めすることができる。これらの2D放射線写真500aは、その後、サンプル102の1つ以上の3次元(3D)画像を生成するのに使用することができる。
【0046】
図1の例において、サンプルポジショナ110は、サンプル102がその上に位置決めされる回転可能固定具112を含む。図示するように、回転可能固定具112は、円形プレートである。図示するように、回転可能固定具112は、モーター付きスピンドル116に取り付けられ、このスピンドルを通じて、回転可能固定具112は、スピンドル116によって規定される軸の周りを回転することができる。いくつかの例において、1つ以上の代替的及び/又は追加的な回転機構を設けることができる。
【0047】
図1の例において、回転可能固定具112は、支持構造物118によって支持される。いくつかの例において、支持構造物118は、回転可能固定具112(及び/又はサンプル102)をX線エミッタ106及び/又はX線検出器108に対して接近並進及び/又は離遠並進させるように構成することができる。いくつかの例において、支持構造物118は、並進(複数の場合もある)を与えるように構成される1つ以上のアクチュエータを含むことができる。
【0048】
1つの例示のサンプルポジショナ110が図1の例に示されているが、いくつかの例においては、異なるサンプルポジショナ110を使用することができる。例えば、ロボット物体ポジショナを使用して、サンプル102を並進及び/又は回転させることができる。同様に、回転可能固定具112は、図1の例では円形プレートとして示されているが、いくつかの例においては、例えば、制動具、留め具、把持具、及び/又は他の保持機構等の異なる固定具を代わりに含むことができる。いくつかの例においては、サンプル102が回転可能固定具112によって回転されるのではなく(又は回転されることに加えて)、X線エミッタ106及びX線検出器108を代わりにサンプル102の周りに回転させることができる(これは、例えば、サンプル102が扱いにくい場合に有用であり得る)。
【0049】
図1の例において、X線機械100は、エミッタ検出器ポジショナ160を更に含む。図1の例において、エミッタ検出器ポジショナ160は、回転可能なプラットフォームとして描写されている。いくつかの例において、エミッタ検出器ポジショナ160は、X線エミッタ106及びX線検出器108をサンプル102の周りで移動させるように構成される。図1の例において、エミッタ検出器ポジショナ160は、例えば、ガントリシステムを使用して実装されるときに起こり得るように、X線エミッタ106及びX線検出器108の上方に持ち上げられ、それに接続されて示されている。
【0050】
いくつかの例において、エミッタ検出器ポジショナ160は、上記に代えて、X線機100の床部に組み込まれたプラットフォーム、1つ以上のロボットムーバー、コンベヤ、及び/又は1つ以上の他の適切な手段を介する等の異なる実装を行うことができる。いくつかの例において、エミッタ検出器ポジショナ160は、異なる軸(例えば、水平軸、対角軸等)の周りを回転するように構成することができ、それに応じて、X線エミッタ106及び/又はX線検出器108は再位置決めされる。
【0051】
いくつかの例において、サンプルポジショナ110の1つ以上の部分(例えば、支持構造体118)は、エミッタ検出器ポジショナ160によってサンプル102の周りを移動するときにX線エミッタ106及びX線検出器108の使用(例えば、見通し線)を容易にするために変更及び/又は省略することができる。いくつかの例において、エミッタ検出器ポジショナ160は、X線エミッタ106及びX線検出器108をサンプル102の周りで移動させるときに、X線機械100の同じ幾何学的倍率を維持するように構成することができる。本開示の大部分は、加速された高解像度放射線写真プロセス300中にサンプル102を回転させることを論じているが、いくつかの例において、X線エミッタ106及びX線検出器108は、代わりに、上述したように、サンプル102の周りを回転することができる。
【0052】
図2は、例えば、図1に示すX線放射線撮影機100等のX線放射線撮影機100を含むX線放射線撮影システム200の一例を示している。図示するように、X線放射線撮影システム200は、コンピューティングシステム202、ユーザインターフェース(UI:user interface)204、及びリモートコンピューティングシステム299も含む。図2の例において、1つのX線放射線撮影機100、コンピューティングシステム202、UI204、及びリモートコンピューティングシステム299のみが示されているが、いくつかの例において、X線放射線撮影システム200は、複数のX線放射線撮影機100、コンピューティングシステム202、UI204、及び/又はリモートコンピューティングシステム299を備えることができる。
【0053】
図2の例において、X線放射線撮影機100は、エミッタ106、検出器108、及び位置決めシステム199(サンプルポジショナ110、検出器ポジショナ150及びエミッタ検出器ポジショナ160を含む)がハウジング199内に被包されている。図示のように、X線放射線撮影機100は、コンピューティングシステム(複数の場合もある)202及びUI(複数の場合もある)204に接続される及び/又はこれらと通信する。いくつかの例において、X線放射線撮影システム100は、リモートコンピューティングシステム(複数の場合もある)299と電気的通信することもできる。いくつかの例において、通信及び/又は接続は、電気的、電磁的、有線、及び/又は無線とすることができる。
【0054】
図2の例において、UI204は、1つ以上の入力デバイス206及び/又は出力デバイス208を備える。いくつかの例において、1つ以上の入力デバイス206は、1つ以上のタッチスクリーン、マウス、キーボード、ボタン、スイッチ、スライド、ノブ、マイクロフォン、ダイアル、及び/又は他の電気機械入力デバイスを含むことができる。いくつかの例において、1つ以上の出力デバイス208は、1つ以上のディスプレイスクリーン、スピーカー、ライト、触覚デバイス、及び/又は他のデバイスを含むことができる。いくつかの例において、ユーザは、UI(複数の場合もある)204を介して、X線放射線撮影機(複数の場合もある)100、コンピューティングシステム(複数の場合もある)202、及び/又はリモートコンピューティングシステム(複数の場合もある)299に入力を提供する、及び/又はそれらからの出力を受信することができる。
【0055】
いくつかの例において、UI(複数の場合もある)204は、コンピューティングシステム202の一部とすることができる。いくつかの例において、コンピューティングシステム202は、X線放射線撮影機(複数の場合もある)100の1つ以上のコントローラを実装することができる。いくつかの例において、コンピューティングシステム202は、UI(複数の場合もある)204とともに、X線放射線撮影システム200の画像取得システムを構成することができる。いくつかの例において、リモートコンピューティングシステム(複数の場合もある)299は、コンピューティングシステム202と同様又は同一とすることができる。
【0056】
図2の例において、コンピューティングシステム202は、X線放射線撮影機(複数の場合もある)100、UI(複数の場合もある)204、及びリモートコンピューティングシステム(複数の場合もある)299と(例えば、電気的)通信する。いくつかの例において、通信は、直接の通信(例えば、有線及び/又は無線媒体を介する)とすることもできるし、例えば、1つ以上の有線及び/又は無線ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク及び/又はワイドエリアネットワーク)等を介した間接的な通信とすることもできる。図示のように、コンピューティングシステム202は、共通の電気バスを介して互いに相互接続される処理回路部210と、メモリ回路部212と、通信回路部214とを備える。
【0057】
いくつかの例において、処理回路部210は、1つ以上のプロセッサを含むことができる。いくつかの例において、通信回路部214は、1つ以上の無線アダプター、無線カード、ケーブルアダプター、有線アダプター、無線周波数(RF)デバイス、無線通信デバイス、Bluetooth(登録商標)デバイス、IEEE 802.11準拠デバイス、WiFiデバイス、セルラーデバイス、GPSデバイス、イーサネットポート、ネットワークポート、ライトニングケーブルポート、ケーブルポート等を含むことができる。いくつかの例において、通信回路部214は、1つ以上の有線媒体及び/又はプロトコル(例えば、イーサネットケーブル(複数の場合もある)、ユニバーサルシリアルバスケーブル(複数の場合もある)等)、及び/又は無線媒体及び/又はプロトコル(例えば、近距離通信(NFC)、超高周波無線(一般にBluetooth(登録商標)として知られる)、IEEE 802.11x、Zigbee(登録商標)、HART、LTE、Z-Wave、WirelessHD、WiGig等)を介した通信を容易にするように構成することができる。
【0058】
図2の例において、メモリ回路212は、加速された高解像度放射線写真プロセス300を含み、及び/又はそれを記憶する。いくつかの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、メモリ回路212に記憶され、及び/又は処理回路210によって実行される、機械可読(及び/又はプロセッサ実行可能)命令によって実装することができる。いくつかの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、X線放射線撮影システム200のより大きいスキャン及び/又はイメージングプロセスの一部として実行することができる。以下の開示の一部は、特定の動作を実施する加速された高解像度放射線写真プロセス300を説明するが、これは、加速された高解像度放射線写真プロセス300の一部として動作(複数の場合もある)を実施するX線放射線撮影システム200の1つ以上の構成要素(例えば、処理回路部210、通信回路部214、UI204、放射線撮影機100等)の省略表現として理解されるべきである。
【0059】
いくつかの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、従来のサブピクセルサンプリングよりも速く1つ以上の高解像度2D放射線写真500bを生成するために、ピクセル分析とともにサブピクセルサンプリングを使用することができる。いくつかの従来のサブピクセルサンプリング例において、複数の低解像度2D放射線写真500aがキャプチャされ、低解像度2D放射線写真の低解像度放射線写真ピクセル504aが、全ての高解像度放射線写真ピクセル504bのピクセル値を設定するために使用されるが、加速された高解像度放射線写真プロセス300では、低解像度放射線写真ピクセル504aは、全てではなく、高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分に対するピクセル値を設定するためにのみ使用される。高解像度放射線写真ピクセル504bの残りの部分のピクセル値は、高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分のピクセル値の分析を使用して設定される。高解像度ピクセルのピクセル値の全てではなく一部分のみが低解像度2D放射線写真を使用して設定されるため、キャプチャする必要がある低解像度2D放射線写真500aが少なくて済み、それによって、時間を節約し、及び/又は放射線撮影機100の摩耗及び破損が少なくなり、同時に高品質の高解像度2D放射線写真が提供される。
【0060】
図3aは、加速された高解像度放射線写真プロセス300の例示的な動作を示すフローチャートである。図3aの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、ブロック302で始まる。ブロック302において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、加速された高解像度放射線写真プロセス300の間に使用され得る1つ以上のパラメータ値を特定する。
【0061】
いくつかの例において、パラメータ値は、サンプル102のタイプ/サイズ/幾何学的形状、サンプル102の開始位置/配向/倍率、サンプル102の目標総回転量(例えば、1度~360度(両端を含む))、サンプル102の目標回転増分(例えば、1度、5度等)、幾何学的倍率、目標高解像度、X線検出器108の解像度、X線検出器108の1つ以上の目標位置、X線検出器108の1つ以上の目標位置変化、X線検出器108の1つ以上の位置変化トリガー、1つ以上の目標分析、1つ以上のシフト修正技術、及び/又は他の関連情報に関する値を含むことができる。いくつかの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、例えば、UI204等を介して、パラメータ値のうちの1つ以上についてユーザに促すことができる。
【0062】
いくつかの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、(例えば、UI204を介して提供されない場合)パラメータ値のうちの1つ以上を自動的に特定することができる。例えば、サンプル102の目標総回転量が設定されないままである場合、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、デフォルトで360度にすることができる。いくつかの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、1つ以上の他のパラメータ値に基づいてパラメータ値のうちの1つ以上を自動的に特定することができる。例えば、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、メモリ回路212に記憶されたデータ構造(例えば、ルックアップテーブル、データベース)及び/又は動的アルゴリズム計算等を通じて、X線検出器108の解像度及び/又は目標の高解像度に基づいて、理想的な(及び/又はデフォルトの)幾何学的倍率値を特定することができる。
【0063】
図3aの例において、ブロック302の後、加速された高解像度放射線写真プロセス300はブロック304に進み、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、X線検出器108、X線エミッタ106、及び/又はサンプル102を(例えば、位置決めシステム199を介して)配置して、(例えば、X線検出器108及び/又はX線エミッタ106に対する)サンプル102の開始ビュー(例えば、配向、倍率、又は位置)を提示する。いくつかの例において、サンプル102の開始ビューは、ブロック302において入力及び/又は決定された1つ以上のパラメータ値に基づいて決定され得る。いくつかの例において、開始ビューは、サンプル102をX線検出器108(及び/又はX線エミッタ106)に対して特定の配向に配置する。
【0064】
ブロック302の後、加速された高解像度放射線写真プロセス300はブロック306に進み、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、X線検出器108を(例えば、位置決めシステム199を介して)第1の検出器位置に移動させる。いくつかの例において、第1の検出器位置は、ブロック302において入力及び/又は決定された1つ以上のパラメータ値に基づいて決定され得る。いくつかの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、X線検出器108の位置、及び/又はX線検出器108が適切に位置決めされたときを決定するために、放射線撮影機100の1つ以上のセンサー(例えば、位置センサー(複数の場合もある)、角度センサー(複数の場合もある)等)を使用することができる。
【0065】
ブロック306の後、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、ブロック308に進み、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、X線検出器108が第1の検出器位置にあり、サンプル102が開始ビューにある間に、X線検出器108に入射するX線放射線104に基づいて低解像度2D放射線写真500aをキャプチャする。いくつかの例において、サンプル102及び/又はX線検出器108は、低解像度2D放射線写真500aをキャプチャするときに(例えば、位置決めシステム199を介して)静止して保持される。いくつかの例において、低解像度2D放射線写真500aは、メモリ回路212に記憶することができる。
【0066】
図3aの例において、ブロック308の後、加速された高解像度放射線写真プロセス300はブロック310に進み、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、サンプル102が同じビューにある間にX線検出器108が別の検出器位置に移動されるべきか否かを判定する。いくつかの例において、この判定は、ブロック302において入力及び/又は決定された1つ以上のパラメータ値、及び/又はサンプル102が同じビューにある間にX線検出器108が以前に移動された回数(及び/又はブロック306~310が実行された回数)に基づいて行われ得る。
【0067】
いくつかの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、サンプル102が所与のビューにある間、1つの検出器位置のみを使用することができる。いくつかの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、サンプル102が所与のビューにある間に2つ以上の検出器位置を使用することができる。2つ以上の検出器位置が使用されるいくつかの例において、サンプル102が所与のビューにある間に加速された高解像度放射線写真プロセス300によって使用される各検出器位置は、サンプル102が所与のビューにある間に使用される各他の(又は少なくとも1つの他の)検出器位置から、検出器ピクセル404のピクセル長未満(例えば、x軸におけるピクセル幅及び/又はy軸におけるピクセル高さ未満)だけオフセットされてもよい。
【0068】
図6は、2つの検出器位置がどのようにして検出器ピクセル長未満だけ互いにオフセットされ得るかの例を示している。図6の例において、検出器ピクセル404の2つの異なる検出器ピクセルグリッド402が示されており、X線検出器108の2つの異なる位置を示している。検出器ピクセル404aの第1の検出器ピクセルグリッド402aは、実線を使用して描写されており、一方で、検出器ピクセル404bの第2の検出器ピクセルグリッド402bは、破線を使用して描写されている。図示のように、2つの異なる検出器ピクセルグリッド402は、ピクセル長未満だけ互いにオフセットされる。特に、検出器ピクセルグリッド402bの位置は、検出器ピクセルグリッド402aの位置から、正のx方向に検出器ピクセル404の半分、負のy方向に検出器ピクセルの半分だけオフセットされている(その結果、斜め方向のオフセットは検出器ピクセル404よりも小さくなる)。検出器ピクセル404のピクセル長未満のそのようなオフセットは、サブピクセルオフセットと称されることがある。検出器ピクセルグリッド402は、明確性及び説明の理由のために、対角線方向に相互からオフセットされるように示されているが、いくつかの例において、検出器ピクセルグリッド402は、x軸のみ、又はy軸のみにおいてオフセットされてもよい。
【0069】
図7は、サブピクセルだけ互いにオフセットされた4つの異なる検出器位置の例を示しており、該4つの位置は、I、II、III、及びIVである。図7の例において、より大きい点線の矩形は、全ての異なる検出器位置I、II、III、及びIVにわたるX線検出器108の外周(及び/又は動きの最大範囲)を表している。X線検出器108は、異なる検出器位置I、II、III、及びIVにおいて点線の矩形内に配置されたより小さい灰色の実線の矩形として示されている。図示のように、各検出器位置は、検出器ピクセル404未満だけ各他の検出器位置からオフセットされている。
【0070】
図7の例において、X線検出器108の第1の検出器位置(I)及び第2の検出器位置(II)は、図6の実線の検出器ピクセルグリッド402a及び点線の検出器ピクセルグリッド402bの位置に対応する。点線の外周内の位置に関して、X線検出器108は、第1の検出器位置(I)では左上にあり、第2の検出器位置(II)では右下にある。描写された第3の検出器位置(III)及び第4の検出器位置(IV)は、それぞれ、第1の検出器位置(I)及び第2の検出器位置(II)の近似鏡像位置である。点線の外周内の位置に関して、X線検出器108は、第3の検出器位置(III)では右上にあり、第4の検出器位置(IV)では左下にある。
【0071】
図3aの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、ブロック306に戻り、加速された高解像度放射線写真プロセス300が、X線検出器108がブロック310において異なる検出器位置に移動されるべきであると判定した場合、X線検出器108を次の検出器位置に移動させる。例えば、第1の検出器位置は、図7に示される検出器位置Iであってもよく、次の検出器位置は、検出器位置Iからサブピクセルだけオフセットされた図7に示される検出器位置IIであってもよい。次いで、ブロック308において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、上述したものと同様に、X線検出器108が新しい検出器位置にある間に別の低解像度2D放射線写真500aをキャプチャする。ブロック308の後、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、上述したように、ブロック310において、X線検出器108が異なる検出器位置に移動されるべきか否かを再び判定する。ブロック306~310は、ブロック310において、X線検出器108が異なる検出器位置に移動されるべきでないかどうかを加速された高解像度放射線写真プロセス300が判定するまで実行し続ける。
【0072】
いくつかの例において、サンプル102が所与のビューにある間に加速された高解像度放射線写真プロセス300によって使用される検出器位置の数は、高解像度2D放射線写真500b内の高解像度放射線写真ピクセル504bの数を低解像度2D放射線写真500a内の低解像度放射線写真ピクセル504aの数で除算したものよりも少ない場合がある。したがって、例えば、(例えば、図5a及び図5bに示すように)低解像度放射線写真ピクセル504aよりも4倍多くの高解像度放射線写真ピクセル504bが存在する場合、サンプル102が所与のビューにある間に加速された高解像度放射線写真プロセス300によって使用される検出器位置の数は、4未満であり得る。これは、X線検出器108が図7に示される4つの位置(I、II、III、IV)に移動され得るいくつかの従来のサブピクセルサンプリング例とは対照的である。
【0073】
加速された高解像度放射線写真プロセス300が、ブロック310において、X線検出器108が新しい検出器位置に移動されるべきではないと判定した場合、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、ブロック312に進み、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、(例えば、ブロック302において特定されたパラメータ(複数の場合もある)に基づいて)サンプル102の別のビュー(例えば、配向、倍率、又は位置)が要求されるか否かを判定する。例えば、(例えば、複数の高解像度2D放射線写真500bを使用して)高解像度3次元(3D)放射線撮影ボリューム、モデル、及び/又は画像が構築される場合、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、サンプル102が360度回転されるまで、サンプル102の別の配向が必要とされると判定することができる。対照的に、単一の高解像度2D放射線写真500bのみが所望される場合、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、サンプル102の別の配向の必要がないと判定することができる。別の例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、3D放射線撮影ボリュームが構築されない場合であっても、複数の高解像度2D放射線写真500bが所望される場合、サンプルの別の配向が要求されると判定することができる。別の例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、パラメータがサンプル102の異なる倍率又は位置(例えば、X線検出器108又はX線エミッタ106に対して)を要求すると判定することができる。
【0074】
図3aの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300が、サンプル102の別のビューが要求されると判定した場合、加速された高解像度放射線写真プロセス300はブロック314に進み、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、サンプル102を次のビューに配置するために、サンプル102及び/又はX線エミッタ106及びX線検出器108を(例えば、位置決めシステム199を介して)移動させる。いくつかの例において、サンプル102の次のビューは、サンプル102の現在のビュー及び/又はブロック302において特定されたパラメータのうちの1つ以上に基づいて決定され得る。例えば、パラメータ(複数の場合もある)は、サンプル102の配向の特定のシーケンス、又はサンプル102の配向を特定の回数だけ、又は最終目標配向若しくは回転度に達するまで変化させる増分回転度を特定することができる。いくつかの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、(例えば、X線エミッタ106及び/又はX線検出器108に対する)サンプル102のビューを決定するために、及び/又はサンプル102の次のビューがいつ達成されたかを判定するために、放射線撮影機100の1つ以上のセンサー(例えば、位置センサー(複数の場合もある)、角度センサー(複数の場合もある)等)を使用することができる。
【0075】
ブロック314の後、加速された高解像度放射線写真プロセス300はブロック306に戻り、加速された高解像度放射線写真プロセス300はX線検出器108を別の検出器位置に移動させる。いくつかの例において、この移動は、サブピクセル移動(例えば、X線検出器108を検出器位置IIから検出器位置Iに戻す、又は検出器位置IIから検出器位置III若しくはIVに移動させる)であってもよい。いくつかの例において、この移動はスキップされ得る(例えば、X線検出器108を検出器位置IIに維持する)。
【0076】
図3aの例において、ブロック310の検出器位置決定は内側ループを制御するものとして示されており、ブロック312のサンプルビュー決定は外側ループを制御するものとして示されているが、いくつかの例において、この構成は逆転してもよい。そのような逆転では、ブロック306と314とは実質的に位置を切り替えることができ、ブロック310と312とは実質的に位置を切り替えることができる。しかしながら、そのような逆転は、以下で説明するように、シフト修正をより困難にすることがある。
【0077】
図3aの例において、ブロック306~314は、加速された高解像度放射線写真プロセス300が、低解像度2D放射線写真500aがサンプル102の更なるビューにおいてキャプチャされる必要がないと判定するまで、反復し続ける。この判定が行われると、加速された高解像度放射線写真プロセス300はブロック316に進み、高解像度放射線写真プロセス300は、キャプチャされた低解像度2D放射線写真500aに対してシフト修正を実施する。
【0078】
シフト修正とは、X線検出器108上の放射線の焦点における意図しない及び/又は望ましくないシフトであって、熱効果等に起因して経時的に発生し得るシフトに対する修正を指す。いくつかの例において、焦点のこのシフトは、低解像度2D放射線写真500aのパースペクティブのシフトをもたらし得る。いくつかの例において、360度スキャンを実施するのに要する時間にわたって発生するシフトの程度は、360度スキャンの開始時及び終了時に撮影された2つの低解像度2D放射線写真500aの比較に基づいて測定することができ、両方の低解像度2D放射線写真500aについて、X線検出器108は同じ位置にあり、サンプル102は同じ配向にある(例えば、サンプル102の0度の回転及び360度の回転にある)。いくつかの例において、修正アクションは、シフトに基づいて決定され、シフトを補償するために360度スキャン中にキャプチャされた1つ以上の低解像度2D放射線写真500aに適用され得る。このシフト修正は、低解像度2D放射線写真500aの品質及び/又は一貫性を向上させることができる。シフト修正は完全な360度スキャン(及び/又はサンプル102の回転)を必要とするため、そのような完全な360度スキャン(及び/又はサンプル102の回転)が行われない場合には、ブロック316をスキップすることができる。
【0079】
従来の360度サブピクセルサンプリングスキャンは、シフト修正を利用することができない場合がある。これは、従来の360度サブピクセルサンプリングスキャン(例えば、3D再構成を伴う)では、X線検出器108は、完全な360度スキャン(及び/又はサンプル102の回転)が完了した後にのみ、第1の検出器位置(例えば、検出器位置I)から第2の検出器位置(例えば、検出器位置II)に移動されるためである。
さらに、焦点のシフトは、異なるスキャン(及び/又はサンプル102の360度の回転)の間に異なる可能性がある。したがって、シフトが、X線検出器108が第1の検出器位置(例えば、検出器位置I)にあるときに第1のフルスキャンの終わりに測定され、X線検出器108が第2の検出器位置(例えば、検出器位置II)にあるときに第2のフルスキャンの終わりに測定されたとしても、2つのスキャンの測定されたシフトは、著しく異なる可能性がある。したがって、決定された修正は著しく異なる可能性がある。低解像度2D放射線写真500aのそれぞれのセットに異なる修正を適用し、次いで、低解像度2D放射線写真500aの2つのセットをインターレースして、高解像度2D放射線写真500bを生成する場合、より低い画質、詳細の損失、より低い鮮明度、ぼけ、歪み、アーティファクト、及び/又は他の悪影響が生じる可能性がある。
【0080】
対照的に、図3aに示される例示的な加速された高解像度放射線写真プロセス300では、1回のみ360度スキャン(及び/又はサンプル102の回転)を実施すれば済む。X線検出器108の全ての異なる検出器位置は、1回の360度スキャン(及び/又はサンプル102の回転)中に達成することができる。
【0081】
したがって、例えば、検出器位置I及びIIは、サンプル102が0度及び360度の回転にあるときに使用されてもよい。そのような例において、シフトは、検出器位置I及び/又はIIについて0度及び360度で取得された低解像度2D放射線写真500aを比較することによって測定することができる。また、検出器位置I及びIIにおける低解像度放射線写真500aのキャプチャ間の時間差が最小になるため、測定されたシフト及び/又は決定された修正の差は最小になるはずである。実際に、いくつかの例において、時間を節約するために1つのシフトのみが測定され得る。それによって、シフト修正は、加速された高解像度放射線写真プロセス300において適用され得て、低解像度2D放射線写真500aの向上した品質及び/又は一貫性をもたらす。
【0082】
図3aの例において、低解像度2D放射線写真500aのシフト修正後、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、1つ以上の高解像度2D放射線写真500bを生成し、及び/又は加速された高解像度ピクセル設定プロセス350中に、ブロック350で、高解像度2D放射線写真(複数の場合もある)500bのピクセル値を設定する。いくつかの例において、高解像度放射線写真ピクセル504bのピクセル値は、ブロック308においてキャプチャされた低解像度2D放射線写真(複数の場合もある)500aの低解像度放射線写真ピクセル504aのピクセル値を使用して設定される。
【0083】
図3bは、加速された高解像度ピクセル設定プロセス350の例示的な動作を示すフローチャートである。図示のように、加速された高解像度ピクセル設定プロセス350は、ブロック352で開始し、加速された高解像度ピクセル設定プロセス350は、高解像度2D放射線写真500bを生成するサンプル102の特定のビューを特定する。いくつかの例において、この特定のビューは、最初に、低解像度2D放射線写真500aがキャプチャされたサンプル102の最も低い回転度(例えば、0度、1度等)であり得る。ブロック352において特定の配向を選択した後、加速された高解像度ピクセル設定プロセス350は、ブロック354において、その特定の配向について「空(エンプティ)」の高解像度2D放射線写真500b(例えば、設定されたピクセル値を有さない)を生成する。
【0084】
ブロック356において、加速された高解像度ピクセル設定プロセス350は、高解像度2D放射線写真500bの高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分に対するピクセル値を設定する。いくつかの例において、高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分は、高解像度2D放射線写真500b内の高解像度放射線写真ピクセル504bの総数よりも少ない高解像度放射線写真ピクセル504bを含むことができる。いくつかの例において、第1の部分内の高解像度放射線写真ピクセル504bの数は、高解像度2D放射線写真500b内の高解像度放射線写真ピクセル504bの総数を、低解像度2D放射線写真500a内の低解像度放射線写真ピクセル504aの総数で除算し、特定のビューについてブロック308においてキャプチャされた低解像度2D放射線写真500aの数を乗算したものに等しい。
【0085】
いくつかの例において、高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分に対するピクセル値は、サンプル102の特定のビューについてブロック308でキャプチャされた低解像度2D放射線写真(複数の場合もある)500aに基づいて設定される。特に、高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分に対するピクセル値は、サンプル102の特定のビューについてブロック308でキャプチャされた低解像度2D放射線写真(複数の場合もある)500aの低解像度放射線写真ピクセル504aのピクセル値に基づいて設定される。
【0086】
いくつかの例において、特定のビューについてブロック208でキャプチャされた各低解像度2D放射線写真(複数の場合もある)500aの各低解像度放射線写真ピクセル504aを使用して、低解像度放射線写真ピクセル504aと同じ領域内にある1つの高解像度放射線写真ピクセル504bのピクセル値を設定する。例えば、図5a及び図5bにおいて、低解像度2D放射線写真500aの左上隅の低解像度放射線写真ピクセル504aは、高解像度2D放射線写真500bの左上隅の4つの高解像度放射線写真ピクセル504bと同じ領域をカバーする。したがって、いくつかの例において、低解像度2D放射線写真500aの左上隅の低解像度放射線写真ピクセル504aを使用して、高解像度2D放射線写真500bの左上隅の4つの高解像度放射線写真ピクセル504bのうちの1つのピクセル値が設定される。
【0087】
いくつかの例において、低解像度2D放射線写真500aがキャプチャされるときのX線検出器108の検出器位置は、カバーされたエリア内の高解像度放射線写真ピクセル504bのうちのどれが設定されるかを判定することができる。例えば、X線検出器108が左上検出器位置Iにあるときにキャプチャされた低解像度2D放射線写真500aの左上隅の低解像度放射線写真ピクセル504aを使用して、高解像度2D放射線写真500b内の左上隅の高解像度放射線写真ピクセル504bを設定することができる。別の例として、X線検出器108が右下検出器位置IIにあるときにキャプチャされた低解像度2D放射線写真500aの左上隅の低解像度放射線写真ピクセル504aを使用して、高解像度2D放射線写真500b内の左上隅の高解像度放射線写真ピクセル504bに斜めに隣接する高解像度放射線写真ピクセル504bを設定することができる。
【0088】
検出器位置とピクセル位置との間のこの位置関係は、例えば図8aに示されている。図8aの例において、破線の矩形の左上の灰色の低解像度放射線写真ピクセル504aは、X線検出器108が左上の検出器位置Iにあるときにキャプチャされた低解像度2D放射線写真500aの左上隅の低解像度放射線写真ピクセル504aを表している。破線の矩形の右下の黒色の低解像度放射線写真ピクセル504aは、X線検出器108が右下の検出器位置IIにあるときにキャプチャされた低解像度2D放射線写真500aの左上隅の低解像度放射線写真ピクセル504aを表している。
【0089】
図8aの例において、左上の高解像度放射線写真ピクセル504bは、左上の低解像度放射線写真ピクセル504aと同じ灰色であり、左上の高解像度放射線写真ピクセル504bのピクセル(例えば、グレースケール)値が、左上の低解像度放射線写真ピクセル504aのピクセル値に従って(及び/又は同一に)設定されたことを示している。同様に、右下の高解像度放射線写真ピクセル504bは、右下の低解像度放射線写真ピクセル504aと同じ黒色であり、右下の高解像度放射線写真ピクセル504bのピクセル(例えば、グレースケール)値が、右下の低解像度放射線写真ピクセル504aのピクセル値に従って(及び/又は同一に)設定されたことを示している。
【0090】
いくつかの従来のサブピクセルサンプリングの例において、右上及び左下の高解像度放射線写真ピクセル504bは、X線検出器108が右上の検出器位置III及び左下の検出器位置IVにあるときにキャプチャされた低解像度2D放射線写真500aからの低解像度放射線写真ピクセル504aを使用して同様に設定される。しかし、図8aの例において、右上及び左下の高解像度放射線写真ピクセル504bは、それらが「空」であり、ピクセル値が設定されていないことを示すために、白色で示されている。従来のサブピクセルサンプリングでは、低解像度放射線写真ピクセル504aに基づいて、全ての高解像度放射線写真ピクセル504bに対するピクセル値を設定することができるが、これには、より多い低解像度2D放射線写真500aのキャプチャが必要となる。対照的に、高解像度放射線写真プロセス300(及び/又は加速された高解像度ピクセル設定プロセス350)は、高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分のピクセル値のみを設定する。低解像度放射線写真ピクセル504aに基づいて、高解像度放射線写真ピクセル504bの全てではなく、一部のみのピクセル値を設定するこの技術は、キャプチャする必要がある低解像度2D放射線写真500aが少なくて済み、それによって、かなりの時間を節約し、必要とするX線検出器108の移動が少なくなる(これにより、摩耗及び破損を節約することができる)ことを意味する。
【0091】
各高解像度放射線写真ピクセル504bに対するピクセル値を設定するのに必要とされるよりも少ない低解像度2D放射線写真500aがキャプチャされるため、ブロック356で高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分のピクセル値が設定された後に、設定されていない(及び/又は「空」の)高解像度放射線写真ピクセル504bの一部分が残る。この状況は、例えば、図8bに描写されており、ここでは、高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分(例えば、半分)が灰色又は黒色に着色され、それらのピクセル値が設定されたことを示しており、一方、高解像度放射線写真ピクセル504bの残りの部分(例えば、半分)は、ピクセル値がないことを表すために白色に着色されている。図3bの例において、高解像度放射線写真ピクセル504bの残りの部分のピクセル値は、ブロック358において、加速された高解像度ピクセル設定プロセス350によって設定される。
【0092】
いくつかの例において、加速された高解像度ピクセル設定プロセス350は、高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分のピクセル値の分析に基づいて、高解像度放射線写真ピクセル504bの残りの部分のピクセル値を設定する。いくつかの例において、分析は、近くの第1の部分、隣接する第1の部分、及び/又は周囲の第1の部分の高解像度放射線写真ピクセル504bの何らかの(例えば、双三次、線形、双一次、最近傍等の)補間を含み、及び/又は使用することができる。この文脈における隣接とは、x軸に沿って横方向に、y軸に沿って垂直方向に、及び/又はx軸とy軸を二分する対角軸に沿って対角方向に隣接している高解像度放射線写真ピクセル504bを指すことができる。
【0093】
いくつかの例において、分析は、人工知能機構を含み、及び/又は使用することができる。例えば、分析は、以前にキャプチャされた低解像度2D放射線写真500a及び/又は高解像度2D放射線写真500bのリポジトリ(例えば、メモリ回路部212に記憶されている)に対して訓練された及び/又はそれを使用する1つ以上のニューラルネットワーク、クラスタリングアルゴリズム、及び/又はパターンマッチング技術を含み、及び/又は使用することができる。
【0094】
高解像度2D放射線写真500bにおける詳細の品質及び/又は量は、高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分のピクセル値の何らかの分析を使用して残りの高解像度放射線写真ピクセル504bを設定することによって、依然として非常に高い、及び/又は少しだけ減少されることが、研究によって示されている。また、高解像度2D放射線写真500bの生成は、キャプチャする必要がある低解像度2D放射線写真500aが少なくて済むため、著しく高速である。加えて、より少ない低解像度2D放射線写真500aキャプチャは、(例えば、位置決めシステム199を介して)X線検出器108の移動が少なくて済み、これにより、摩耗及び破損を防ぐことができる。
【0095】
図3bの例において、加速された高解像度ピクセル設定プロセス350は、ブロック360において、高解像度2D放射線写真500bが生成されるべきサンプル102の別のビューが存在するかどうかを判定する。存在する場合、加速された高解像度ピクセル設定プロセス350は、ブロック352において次のビューに対して反復し、次いで、サンプル102のそのビューについて再びブロック354~358をループする。存在しない場合、加速された高解像度ピクセル設定プロセス350は終了し、加速された高解像度放射線写真プロセス300はブロック318に進む。
【0096】
図3aの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、ブロック318で加速された高解像度ピクセル設定プロセス350中に生成された高解像度2D放射線写真500bのうちの1つ以上を補正する。いくつかの例において、ブロック318における補正は、デコンボリューションを含み得る。いくつかの例において、補正は、上記で説明したものと同様の1つ以上の人工知能機構を含み、及び/又は使用することができる。ブロック306~314のループの終わりに実行されるものとして示されているが、いくつかの例において、ブロック316、350、及び/又は318は、ブロック306~310の各ループの後に実行され得る。
【0097】
ブロック318の後、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、ブロック320に進み、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、(そのように所望される及び/又は可能である場合)高解像度2D放射線写真500bを1つ以上の高解像度3Dボリュームにアセンブルする。いくつかの例において、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、(例えば、何らかのユーザ選択された又は記憶されたパラメータに基づいて)高解像度3Dボリューム(複数の場合もある)から高解像度2D放射線写真500bの1つ以上の特定のスライスを更に取得することができる。いくつかの例において、スライス(複数の場合もある)は、以前に生成及び/又は取得された任意の高解像度2D放射線写真500bとは異なり得る。
【0098】
図3aの例において、ブロック320の後、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、ブロック322に進み、高解像度3Dボリューム及び/又は高解像度2D放射線写真500bの1つ以上の(例えば、視覚的)表現が、UI204の出力デバイス(複数の場合もある)208を介してユーザに出力され得る、及び/又はメモリ回路部212に記憶され得る。ブロック322の後に、加速された高解像度放射線写真プロセス300は終了する。
【0099】
本開示で説明されるX線放射線撮影システム200は、加速された高解像度放射線写真プロセス300を使用して、高解像度2D放射線写真500bの生成を可能にする。特に、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、1つ以上の低解像度2D放射線写真500aのピクセル(例えば、グレースケール)値を使用して、高解像度2D放射線写真500bの高解像度放射線写真ピクセル504bの第1の部分に対するピクセル値を設定する。高解像度放射線写真ピクセル504bの残りの部分は、第1の部分の分析に基づいて設定される。加速された高解像度放射線写真プロセス300では、キャプチャされる低解像度放射線写真が少なくて済み、したがって、時間を節約し、及び/又は、放射線撮影機100上の摩耗及び破損が少なくなり、同時に高品質の高解像度2D放射線写真500bが提供されるため、加速された高解像度放射線写真プロセス300は、より多くの従来のプロセスよりも高速である。
【0100】
本方法及び/又はシステムは、ハードウェア、ソフトウェア、及び/又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実現することができる。本方法及び/又はシステムは、少なくとも1つのコンピューティングシステムにおいて集中的に、又はいくつかの相互接続されたコンピューティング及び/又はリモートコンピューティングシステムにわたって異なる要素が分散される分散方式で、実現することができる。本開示に記載した方法を実行するように適合された任意の種類のコンピューティングシステム又は他の装置が適している。ハードウェア及びソフトウェアの典型的な組み合わせは、汎用コンピューティングシステムを、ロードされ実行されるとコンピューティングシステムを本開示に記載した方法を実行するように制御するプログラム又は他のコードとともに、含むことができる。別の典型的な実施態様は、特定用途向け集積回路又はチップを含むことができる。いくつかの実施態様は、非一時的機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体(例えば、フラッシュドライブ、光ディスク、磁気記憶ディスク等)を含むことができ、そうした非一時的機械可読媒体は、機械によって実行可能な1つ以上の命令(例えば、コードのライン)を記憶し、それにより、機械に、本開示に記載したようなプロセスを実行させる。
【0101】
本方法及び/又はシステムを、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本方法及び/又はシステムの範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物に置き換えることができることを理解するであろう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本方法及び/又はシステムは、開示されている特定の実施態様に限定されないが、本方法及び/又はシステムは、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含むことが企図される。
【0102】
本開示において使用する場合、「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。
【0103】
本開示において利用する場合、「例えば」という用語は、1つ以上の非限定的な例、事例又は例証のリストを開始する。
【0104】
本開示において使用する場合、「連結される("coupled," "coupled to," and/or "coupled with")」という用語は、取付け、付着、接続、接合、締結、リンク、及び/又は別様の固定であるかを問わず、構造的及び/又は電気的接続を意味する。本開示において使用する場合、「取り付ける」という用語は、付着、連結、接続、接合、締結、リンク、及び/又は別様に固定することを意味する。本開示において使用する場合、「接続する」という用語は、取付け、付着、連結、接合、締結、リンク、及び/又は別様に固定することを意味する。
【0105】
本開示において使用する場合、「回路」及び「回路部」という用語は、物理的な電子構成要素(すなわち、ハードウェア)と、ハードウェアを構成することができ、ハードウェアが実行することができ、又は他の方法でハードウェアに関連付けることができる、任意のソフトウェア及び/又はファームウェア(「コード」)とを指す。本開示において使用する場合、例えば特定のプロセッサ及びメモリは、コードの第1の1つ以上のラインを実行しているとき、第1の「回路」を含むことができ、コードの第2の1つ以上のラインを実行しているとき、第2の「回路」を含むことができる。本開示において利用する場合、回路部は、或る機能を実施するために必要なハードウェア及び/又はコード(いずれかが必要である場合)を含む場合はいつでも、その機能の実施が(例えば、ユーザが構成可能な設定、工場トリム等により)無効にされる又は有効にされていないか否かに関わりなく、回路部はその機能を実行するように「動作可能」である及び/又は「構成される」。
【0106】
本開示において使用する場合、制御回路は、コントローラの一部又は全てを構成し、及び/又は溶接プロセス及び/又は電源及びワイヤ供給機等のデバイスを制御するのに使用される1つ以上の基板上に位置する、デジタル及び/又はアナログ回路部、ディスクリート及び/又は集積回路部、マイクロプロセッサ、DSP等、ソフトウェア、ハードウェア及び/又はファームウェアを含むことができる。
【0107】
本開示において使用する場合、「プロセッサ」という用語は、ハードウェアにおいて実装されようと、有形に具現化されたソフトウェアにおいて実装されようと、又はその両方で実装されようと、及びプログラム可能であろうとなかろうと、処理デバイス、装置、プログラム、回路、構成要素、システム、及びサブシステムを意味する。本開示において使用する場合、「プロセッサ」という用語は、限定ではないが、1つ以上のコンピューティングデバイス、配線で接続された回路、信号を変更するデバイス及びシステム、システムを制御するデバイス及び機械、中央処理装置、プログラム可能なデバイス及びシステム、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、システムオンチップ、個別の要素及び/又は回路を備えるシステム、ステートマシン、バーチャルマシン、データプロセッサ、処理設備、並びに上記の任意の組み合わせを含む。プロセッサは、例えば、任意のタイプの汎用マイクロプロセッサ若しくは汎用マイクロコントローラ、デジタル信号処理(DSP)プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィックス処理ユニット(GPU)、高度RISCマシン(ARM)コアを搭載した縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ等であり得る。プロセッサは、メモリデバイスに結合されてもよい、及び/又はメモリデバイスに統合されていてもよい。
【0108】
本開示において使用する場合、「メモリ」及び/又は「メモリデバイス」という用語は、プロセッサ及び/又は他のデジタルデバイスが用いるための情報を記憶するコンピュータハードウェア又は回路部を意味する。メモリ及び/又はメモリデバイスは、任意の好適なタイプのコンピュータメモリ又は任意の他のタイプの電子記憶装置媒体、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CDROM)、電気光学メモリ、光磁気メモリ、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、コンピュータ可読媒体等とすることができる。メモリとしては、例えば、非一時的メモリ、非一時的プロセッサ可読媒体、非一時的コンピュータ可読媒体、不揮発性メモリ、ダイナミックRAM(DRAM)、揮発性メモリ、強誘電体RAM(FRAM(登録商標))、先入れ先出し(FIFO)メモリ、後入れ先出し(LIFO)メモリ、スタックメモリ、不揮発性RAM(NVRAM)、スタティックRAM(SRAM)、キャッシュ、バッファ、半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ、フラッシュメモリ、フラッシュカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)カード、メモリカード、セキュアデジタルメモリカード、マイクロカード、ミニカード、拡張カード、スマートカード、メモリスティック、マルチメディアカード、ピクチャーカード、フラッシュストレージ、加入者識別モジュール(SIM)カード、ハードドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等を挙げることができる。メモリは、コード、命令、アプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア及び/又はデータを記憶するように構成することができ、プロセッサに対して外部、内部、又は両方とすることができる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b