(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180357
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】アップリンクマルチユーザ伝送のための無線フレームごとの局部発振器トリミング
(51)【国際特許分類】
H04B 1/40 20150101AFI20241219BHJP
H04L 27/26 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H04B1/40
H04L27/26 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024096473
(22)【出願日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】18/336,640
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507364997
【氏名又は名称】サイプレス セミコンダクター コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Cypress Semiconductor Corporation
【住所又は居所原語表記】198 Champion Court, San Jose, CA 95134, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アミット ショウ
(72)【発明者】
【氏名】ヌータン レディ アナプ― レディ
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011CA06
5K011DA07
5K011DA15
5K011EA01
5K011GA02
5K011GA04
5K011JA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、アップリンクマルチユーザ伝送のための無線フレームごとの局部発振器トリミングを提供する。
【解決手段】無線デバイスは、フロントエンドおよび第1の局部発振器(LO)を有する無線機と、無線機に結合された制御論理と、を含む。制御論理は、受信したトリガフレームから、マルチユーザ伝送モードで動作するアクセスポイントの第1のLOの第1のキャリア周波数と第2のLOの第2のキャリア周波数との間のキャリア周波数オフセット(CFO)を決定する。制御論理は、CFOに基づいて第1のLOのLOトリムをトリガし、閾値公差内で第1のキャリア周波数を第2のキャリア周波数に一致させるように調整する。次いで、無線機は、アクセスポイントに、トリミングされた第1のLOを使用してプロトコルデータユニットフレームを伝送するでき、プロトコルデータユニットフレームは、マルチユーザ伝送モードに関連付けられる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントエンドおよび第1の局部発振器(LO)を備える無線機と、
前記無線機に結合された制御論理を、
を備える無線デバイスであって、
前記制御論理は、
受信したトリガフレームから、マルチユーザ伝送モードで動作するアクセスポイントの前記第1のLOの第1のキャリア周波数と第2のLOの第2のキャリア周波数との間のキャリア周波数オフセット(CFO)を決定し、
前記CFOに基づいて、前記第1のLOのLOトリムをトリガし、閾値公差内で、前記第1のキャリア周波数を前記第2のキャリア周波数に一致させるように調整し、
前記無線機は、前記アクセスポイントに、トリミングされた第1のLOを使用してプロトコルデータユニットフレームを伝送し、前記プロトコルデータユニットフレームは、前記マルチユーザ伝送モードに関連付けられる、
無線デバイス。
【請求項2】
前記制御論理は、マイクロコントローラまたはハードウェアの少なくとも1つに実装され、前記制御論理は、1つまたは複数のアクセスポイントへの複数のプロトコルデータユニットフレームの伝送中に前記CFOに対する変化を検出したことに応答して、フレームごとに前記第1のLOの前記LOトリムを連続的にトリガする、
請求項1に記載の無線デバイス。
【請求項3】
前記制御論理は、さらに、
媒体アクセス制御レベルでのトリガフレーム受信およびコンテンツ検証後に前記CFOに基づいてLOトリム値を計算し、
前記第1のLOについてのデフォルト位相ロックループ(PLL)周波数を記憶し、
前記第1のLOがショートインターフェーススペース(SIFS)期間の終了前にセトリングするのに十分な時間内に前記第1のLOの前記LOトリムをトリガする、
請求項1に記載の無線デバイス。
【請求項4】
前記無線機は、前記第1のLOを含む高周波(RF)位相ロックループ(PLL)をさらに備え、前記制御論理は、さらに、
前記CFOに基づいて更新されたRF PLL周波数を計算し、
前記LOトリムに応答して、前記更新されたRF PLL周波数で動作するように前記RF PLLをトリガし、
前記プロトコルデータユニットフレームの伝送後、前記RF PLLをデフォルトRF PLL周波数で動作させる、
請求項1に記載の無線デバイス。
【請求項5】
前記無線機は、前記第1のLOを含む高周波(RF)位相ロックループ(PLL)をさらに備え、前記制御論理は、さらに、
前記CFOが閾値よりも大きいか否かを決定し、
前記CFOが前記閾値よりも大きくないことに応答して、デジタル事前補正を前記プロトコルデータユニットフレームに採用し、
前記CFOが前記閾値よりも大きいことに応答して、
前記CFOに基づいて更新されたRF PLL周波数を計算し、
前記LOトリムに応答して、前記更新されたRF PLL周波数で動作するように前記RF PLLをトリガする、
請求項1に記載の無線デバイス。
【請求項6】
前記制御論理は、さらに、
前記LOトリムが、前記アクセスポイントに伝送するときに目標残留周波数オフセット値を満たすには不十分であると決定し、
前記目標残留周波数オフセット値を満たすために必要なデジタル事前補正オフセットを計算し、
前記デジタル事前補正オフセットを使用して、前記プロトコルデータユニットフレームのデジタル処理を駆動する波形のデジタルアップコンバージョンを行う、
請求項1に記載の無線デバイス。
【請求項7】
前記制御論理は、前記第1のLOの前記第1のキャリア周波数を、前記第2のキャリア周波数に関連付けられる目標周波数の数ヘルツ以内に調整するように構成される、
請求項1に記載の無線デバイス。
【請求項8】
無線デバイスであって、
無線機であって、
高周波位相ロックループ(RF PLL)と、
前記RF PLLによって駆動される復調器に結合されたアナログ-デジタルコンバータ(ADC)と、
前記RF PLLによって駆動される変調器に結合されたデジタル-アナログコンバータ(DAC)と、
クロックを生成して前記ADCおよび前記DACを駆動するアナログフロントエンドPLLと、
前記RF PLLおよび前記アナログフロントエンドPLLに結合されたトリム論理であって、
受信したトリガフレームから、マルチユーザ伝送モードで動作するアクセスポイントの前記RF PLLの第1のキャリア周波数と局部発振器(LO)の第2のキャリア周波数との間のキャリア周波数オフセット(CFO)を決定し、
前記CFOに基づいて、前記RF PLLの第1のトリムをトリガし、閾値公差内で、前記第1のキャリア周波数を前記第2のキャリア周波数に一致させるように調整し、
前記CFOに基づいて、前記アナログフロントエンドPLLの第2のトリムをトリガし、前記閾値公差を満たすことをサポートする
トリム論理と、
を備え、
前記無線機は、前記アクセスポイントに、トリミングされたRF PLLを使用してプロトコルデータユニットフレームを伝送する、
無線デバイス。
【請求項9】
前記ADCおよび前記トリム論理に結合された受信(Rx)処理ハードウェアと、
前記DACに結合された伝送(Tx)処理ハードウェアと、
をさらに備える、
請求項8に記載の無線デバイス。
【請求項10】
前記トリム論理は、前記アクセスポイントへの複数のプロトコルデータユニットフレームの伝送中に前記キャリア周波数オフセットに対する変化を検出したことに応答して、前記RF PLLの前記第1のトリムおよび前記アナログフロントエンドPLLの前記第2のトリムを連続的にトリガする、
請求項8に記載の無線デバイス。
【請求項11】
前記トリム論理は、さらに、
媒体アクセス制御レベルでのトリガフレーム受信およびコンテンツ検証後に前記CFOに基づいてLOトリム値を計算し、
前記RF PLLについてのデフォルト位相ロックループ(PLL)周波数を記憶し、
前記RF PLLがショートインターフェーススペース(SIFS)期間の終了前にセトリングするのに十分な時間内に前記RF PLLの前記第1のトリムをトリガする、
請求項8に記載の無線デバイス。
【請求項12】
前記トリム論理は、さらに、
前記CFOに基づいて更新されたRF PLL周波数を計算し、
前記RF PLLの前記第1のトリムに応答して、前記更新されたRF PLL周波数で動作するように前記RF PLLをトリガし、
前記プロトコルデータユニットフレームの伝送後、前記RF PLLをデフォルトRF PLL周波数で動作させる、
請求項8に記載の無線デバイス。
【請求項13】
前記トリム論理は、さらに、
前記CFOが閾値よりも大きいか否かを決定し、
前記CFOが前記閾値よりも大きくないことに応答して、デジタル事前補正を前記プロトコルデータユニットフレームの生成に採用し、
前記CFOが前記閾値よりも大きいことに応答して、
前記キャリア周波数オフセットに基づいて更新されたRF PLL周波数を計算し、
前記RF PLLの前記第1のRF PLLに応答して、前記更新されたRF PLL周波数で動作するように前記RF PLLをトリガする、
請求項8に記載の無線デバイス。
【請求項14】
前記トリム論理は、さらに、
前記第1のトリムおよび前記第2のトリムが、前記アクセスポイントに伝送するときに目標残留周波数オフセット値を満たすには不十分であると決定し、
前記目標残留周波数オフセット値を満たすために必要なデジタル事前補正オフセットを計算し、
前記デジタル事前補正オフセットを使用して、前記プロトコルデータユニットフレームのデジタル処理を駆動する波形のデジタルアップコンバージョンを行う、
請求項8に記載の無線デバイス。
【請求項15】
第1の局部発振器(LO)を有する無線機に結合された制御論理によって、アクセスポイントから受信されたトリガフレームのプリアンブルが処理されたことを検出するステップであって、前記アクセスポイントは、マルチユーザ伝送モードで動作するステップと、
プリアンブル処理後の前記トリガフレームから導出された情報に基づいて、前記アクセスポイントの前記第1のLOの第1のキャリア周波数と第2のLOの第2のキャリア周波数との間のキャリア周波数オフセット(CFO)を推定するステップと、
前記CFOに基づいてLOトリム値を決定するステップと、
前記無線機が、前記アクセスポイントに、アップリンクプロトコルデータユニットフレームを伝送する前に、前記制御論理によって、前記LOトリム値を使用して、前記第1のLOの前記第1のキャリア周波数に対する調整を行うステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記方法は、1つまたは複数のアクセスポイントへの複数のアップリンクプロトコルデータユニットフレームの伝送中に前記CFOに対する変化を検出したことに応答して、フレームごとに前記第1のLOの前記LOトリム値を連続的に調整するステップをさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記LOトリム値を決定するステップは、前記第1のキャリア周波数が閾値公差内で前記第2のキャリア周波数に一致するように必要な前記第1のキャリア周波数のシフトを推定することを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、前記調整を行う前に、
フレームシーケンスチェックに合格したことを決定するステップと、
前記アクセスポイントからトリガフレームを受信するステップと、
前記トリガフレームのコンテンツ検証を実施するステップと、
をさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、
前記調整を行う前に、前記第1のLOについてのデフォルト位相ロックループ(PLL)周波数を記憶するステップと、
前記第1のLOがショートインターフェーススペース(SIFS)期間の終了前にセトリングするのに十分な時間内に前記第1のLOのLOトリムをトリガするステップと、
をさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、
前記調整を行った後、前記無線機に、前記アクセスポイントに、前記アップリンクプロトコルデータユニットフレームを伝送させるステップと、
前記アップリンクプロトコルデータユニットフレームの伝送後、デフォルト位相ロックループ(PLL)周波数を前記第1のLOに復元するステップと、
をさらに含む、
請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線デバイスに関し、より具体的には、アップリンクマルチユーザ伝送のための無線フレームごとの局部発振器トリミングに関する。
【背景技術】
【0002】
無線ローカルエリアネットワーク(LAN)技術は、無線デバイスが、ダウンリンク方向とアップリンク方向の両方において、非常に高いスループットかつ高い効率で通信し、マルチユーザ(MU)直交周波数分割多元接続(OFDMA)とマルチユーザ多入力多出力(MU-MIMO)の両方をサポートすることができる点まで進化した。これらのWi-Fi(商標)6技術の下でのアップリンク伝送におけるアクセスポイント(AP)または基地局(BS)は、厳しいレベルのタイミング同期、目標受信電力のための電力制御、および、複数の伝送デバイスからの高い信号品質を必要とするので、アップリンク方向におけるMU OFDMAおよびMU-MIMOに対するサポートは、(レガシー方法と比較して)伝送デバイスに厳しい要件を課している。これらの厳しいWi-Fi(商標)6要件には、帯域内歪み、例えば、誤差ベクトル振幅(EVM)、ならびに帯域外歪み、例えば、AP/BSに対する未使用トーンエラー(UTE)およびキャリア周波数オフセット(CFO)に関するものが挙げられる。これは、伝送デバイスから受信されたトリガベースの物理層プロトコルデータユニット(TB-PPDU)フレームからのキャリア漏れに厳しい要件を課す。Wi-Fi(商標)6に関連付けられる規格は、伝送デバイスがEVM、UTEおよびCFOに対するこれらの厳しい規格レベルを満たすために帯域内および帯域外歪みを事前補正しなければならないと述べているが、規格は、これがこのような伝送デバイスによって実際にどのように行われるべきかを教示していない。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】いくつかの実施形態による、例示的な無線通信システムのブロック図である。
【
図2】例示的な実施形態による、アップリンクMU伝送(MU-MIMOまたはOFDMA)におけるいくつかの無線デバイス(局)を示す簡略化されたグラフである。
【
図3】少なくとも1つの実施形態による、デジタル事前補正の機能を示すキャリア周波数プロットのセットを示す図である。
【
図4】少なくとも1つの実施形態による、伝送(Tx)局部発振器トリミング事前補正を示すキャリア周波数プロットのセットを示す図である。
【
図5】少なくともいくつかの実施形態による、トリガベースのLOトリム事前補正がショートインターフェーススペース(SIFS)期間内にどのように実施され得るかを示すタイミング図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、物理層(PHY)ハードウェアからの周波数推定を使用して算出を実施し、LOトリム事前補正をトリガするマイクロコントローラを有する無線デバイスのブロック図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、周波数推定を実施し、LOトリム事前補正をトリガするハードウェアを採用する無線デバイスのブロック図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、LOトリム事前補正とアナログフロントエンド(AFE)位相ロックループ(PLL)トリミングの両方を実施するハードウェアを採用する無線デバイスのブロック図である。
【
図9】さまざまな実施形態による、伝送デバイスにおいてLO事前補正を実施する方法の流れ図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、トリガフレームからの周波数推定に基づいてLOトリム事前補正またはデジタル事前補正のいずれかを実施する方法の流れ図である。
【
図11】さまざまな実施形態による、粗キャリア周波数補正のためのLOトリム事前補正および精密キャリア周波数補正のためのデジタル事前補正を実施する無線デバイスのブロック図である。
【
図12】さまざまな実施形態による、粗キャリア周波数補正のためのLOトリム事前補正および精密キャリア周波数補正のためのデジタル事前補正を実施する方法の流れ図である。
【
図13】少なくともいくつかの実施形態による、トリガベースのLOトリム事前補正がSIFS期間内にどのように実施され得るかを示すタイミング図であるが、LOトリムベースの周波数計算は、プリアンブル処理後に実施される。
【
図14】少なくともいくつかの実施形態による、LOトリムベースの周波数計算がプリアンブル処理後に実施される、SIFS期間内にLOトリム事前補正を実施するための例示的な方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の説明は、アップリンクマルチユーザ伝送のための無線フレームごとの局部発振器トリミングのさまざまな実施形態の良好な理解を提供するために、特定のシステム、デバイス、構成要素、方法などの例などの多数の具体的な詳細を記載する。無線LANデバイスは、世代とともに進化している。例えば、Wi-Fi(商標)規格の最初の2世代はシングルキャリアスペクトル拡散技法に基づいていたが、後の世代は基本変調技法としてより効率的なODFMを採用した。さらに後の世代は、例えば、冗長性および多重化として空間次元を使用して信頼性およびスループットを向上させるために、複数のアンテナ技術、例えば、MIMOに対するサポートを追加した。しかし、アクセス機構は、ユーザ間で媒体またはチャネルを共有するためのアクセス機構として、衝突回避を伴うキャリアセンス多重アクセス(CDMA-CA)およびランダムバックオフを使用してきた。これは、単一のユーザ(SU)のみがいつでも媒体またはチャネルを使用することができることを意味する。
【0005】
さらに最近の米国電気電子技術者協会(IEEE)802.11ac規格は、超高スループット(VHT)またはWi-Fi(商標)5とも呼ばれ、MU-MIMO技法を使用してダウンリンク方向のマルチユーザ(MU)能力に対するサポートを追加した。これにより、例えば、一緒に多重化されることによって、複数のユーザが一度に媒体を共有することが可能になっている。最近では、高効率(HE)またはWiFi6とも呼ばれるIEEE802.11ax規格は、OFDMAおよびMU-MIMO技法を使用してアップリンク方向とダウンリンク方向の両方においてマルチユーザ(MU)サポートを追加した。これらの最新の規格では、ダウンリンク側では、アクセスポイント(AP)または基地局(BS)のフレーム同期はデフォルトのポイントツーマルチポイント伝送であり、これは、例えば、AP/BSが、コンテンツが一般にさまざまなコンテンツを正しい無線デバイスに多重化することによって受信されるとき、コンテンツを個々の無線デバイスに送信するだけだからである。対照的に、アップリンク側では、AP/BSは、複数の無線デバイスからの伝送を受信するように構成され(マルチポイントツーポイント)、それによりAP/BSは、その後伝送される複数のデバイスからの複数のストリームを同時に受信したときに正しくコンテンツを受信する。これは、複数の無線デバイス間の同期を必要とする。
【0006】
前述したように、アップリンク伝送のための厳しいWi-Fi(商標)6要件には、帯域内歪み、例えば、誤差ベクトル振幅(EVM)、ならびに帯域外歪み、例えば、AP/BSに対する未使用トーンエラー(UTE)およびキャリア周波数オフセット(CFO)に関するものが挙げられる。これは、伝送デバイスから受信されたTB-PPDUフレームからのアクセスポイント内のキャリア漏れに厳しい要件を課す。Wi-Fi(商標)6に関連付けられる規格は、伝送デバイスがEVM、UTEおよびCFOに対するこれらの厳しい規格レベルを満たすために帯域内および帯域外歪みを事前補正しなければならないと述べているが、Wi-Fi(商標)6規格は、これが伝送デバイスによって実際にどのように行われるべきかを教示していない。より詳細に説明するように、現在のデジタル事前補正技法はキャリア漏れを改善する(例えば、低減する)が、最新のWi-Fi(商標)規格の下で現在必要とされているレベルまでは改善しない。
【0007】
キャリア漏れ低減への既知の手法に関するこれらおよび他の欠点を解決するために、本開示は、代わりに(または、デジタル事前補正を実施することに加えて)、伝送デバイスのキャリア周波数への局部発振器(LO)トリムを実施するように無線デバイスを構成および/または動作させることを記載する。これらの伝送無線デバイスの無線機の回路内でLOを直接調整することによって、それらのキャリア周波数はより大きな調整を受けることができ、EVM、UTEおよびCFOに対する厳しい規格レベルをより良好に満たすことができる。
【0008】
したがって、少なくともいくつかの実施形態では、例えば、高周波(RF)位相ロックループ(PLL)内で、またはRF PLLによって採用され得るような、第1のLOを有する無線機を採用する無線デバイスが開示される。例えば、RF PLLは、PLLの基準入力およびフィードバック電圧に従って電圧制御発振器(VCO)への入力電圧を変更することによって調整可能な周波数で動作するタイプのVCOを含むことができる。これらの実施形態では、無線デバイスは、AP/BSから受信されたトリガフレームから、マルチユーザ伝送モードで動作するアクセスポイントまたは基地局(APまたはBS)の第1のLOの第1のキャリア周波数と第2のLOの第2のキャリア周波数との間のキャリア周波数オフセット(CFO)を決定するために制御論理をさらに採用する。実施形態では、制御論理は、CFOに基づいて、第1のLOのLOトリムをトリガし、閾値公差内で、第1のキャリア周波数を第2のキャリア周波数に一致させるように調整する。これらの実施形態では、無線機は、AP/BSに、トリミングされた第1のLOを使用してプロトコルデータユニットフレーム(例えば、TB-PPDU)を伝送し、プロトコルデータユニットフレームは、マルチユーザ伝送モードに関連付けられる。
【0009】
さまざまな実施形態において、制御論理は、より詳細に説明するように、マイクロコントローラまたはハードウェアの少なくとも1つに実装される。少なくともいくつかの実施形態では、制御論理は、1つまたは複数のアクセスポイント(APまたはBS)への複数のプロトコルデータユニットフレームの伝送中にCFOに対する変化を検出したことに応答して、フレームごとに第1のLOのLOトリムを連続的にトリガする。追加の実施形態および実施態様の変形形態は、
図2~
図14を参照して詳細に説明される。
【0010】
本開示は、無線機回路がパケットごとに先行するトリガフレームから決定された推定CFOに基づいて動作するLO周波数を直接更新することによってキャリア周波数オフセット(CFO)を処理する能力を含む、いくつかの利点を含む。この手法はまた、残留キャリア漏れに対する要件を緩和し、UTE要件を満たすことができる。精密キャリア周波数調整のために実施されるデジタル事前補正と混合されて、無線(ワイヤレス)無線機内の直接LOトリムは、粗キャリア周波数調整を実施することができ、EVM、UTEおよびCFOに対する厳しい規格レベルを少なくとも満たすための広範囲の潜在的な周波数修正を可能にする。さらなる利点は、最新の無線技術および最近のIEEE規格の当業者には明らかであろう。
【0011】
図1は、いくつかの実施形態による、例示的な無線通信システム100のブロック図である。これらの実施形態では、無線通信システム100は、基地局および/またはアクセスポイント112~116(本明細書では互換的に参照することができる)と、無線デバイス118~132(例えば、無線局(STA)および他のそのような無線通信デバイス)と、ネットワークハードウェア構成要素134と、を含む。無線デバイス118~132は、ラップトップコンピュータ118もしくはタブレット126、携帯情報端末120および130、パーソナルコンピュータ124および132、ならびに/または携帯電話122および128を含み得る。伝送デバイスとして作用するときのそのような無線デバイスの一実施形態の詳細は、以下でより詳細に説明される。
【0012】
実施形態では、基地局(BS)またはアクセスポイント(AP)112~116は、ローカルエリアネットワーク接続136、138および140を介してネットワークハードウェア構成要素134に動作可能に結合される。ルータ、スイッチ、ブリッジ、モデム、システムコントローラなどであり得るネットワークハードウェア構成要素134は、通信システム100に対するワイドエリアネットワーク接続142を提供する。基地局またはアクセスポイント112~116の各々は、各それぞれの基地局またはアクセスポイントによって到達可能なエリア内の無線通信デバイスと通信するための関連するアンテナまたはアンテナアレイを有する。典型的には、無線デバイスは、通信システム100からサービスを受信するために、特定の基地局またはアクセスポイント112~116に登録する。直接接続(すなわち、ポイントツーポイント通信)の場合、無線通信デバイスは、割り当てられたチャネルを介して直接通信する。
【0013】
さまざまな無線デバイス118~132およびBSまたはAP112~116のいずれかは、無線デバイス118~132およびBSまたはAP112~116のうちの任意の他のデバイスとの通信をサポートするためのプロセッサおよび通信インターフェースを含むことができる。動作の一例では、デバイスのうちの1つ(例えば、無線デバイス118~132およびBSまたはAP112~116のうちの任意の1つ)内に実装されたプロセッサおよび通信インターフェースは、デバイスのうちの別の1つ(例えば、無線デバイス118~132およびBSまたはAP112~116のうちの任意の他の1つ)から受信された少なくとも1つの信号を処理し、かつ/またはデバイスのうちの別の1つに伝送される少なくとも1つの信号を生成するように構成される。
【0014】
図1の無線デバイス(例えば、無線デバイス118~132およびBSもしくはAP112~116)などの通信デバイス、または任意の他の通信デバイスおよび/もしくは無線通信デバイスへの一般的な言及は、簡潔にするために、本明細書では一般に「デバイス」という用語を使用して代替的に行われ得ることに留意されたい。さまざまなデバイス、無線デバイス118~132およびBSまたはAP112~116のうちの任意の1つのプロセッサおよび通信インターフェースは、さまざまなデバイス、無線デバイス118~132およびBSまたはAP112~116のうちの任意の他のデバイスとの通信をサポートするように構成され得る。そのような通信は、デバイス間において一方向または双方向であり得る。また、そのような通信は、ある時間ではデバイス間において一方向であり、別の時間ではそれらのデバイス間において双方向であり得るが、本明細書の実施形態は、一般に、MU OFDMAまたはMU-MIMOなどのマルチユーザ伝送モードで動作するBSまたはAP112~116に伝送する無線デバイスに焦点を当てている。
【0015】
動作の一例では、AP/BSデバイス116(BSまたはAP112~116のいずれかを表す)は、デバイス130および132から1つまたは複数の信号(例えば、OFDMAシンボル181)を受信するように構成された通信インターフェースおよびプロセッサを含む。OFDMAの例を考慮すると、デバイス130は、第1の少なくとも1つのサブキャリアを使用し、デバイス132は、第2の少なくとも1つのサブキャリアを使用する。一般に、サブキャリアの異なるサブセットは、異なるデバイスによる使用のために割り当てられる。このような割り当ては、異なるシンボルに対するおよび/または異なる時間における異なるデバイスに対して動的、適応的などであり得る。
【0016】
これらの実施形態では、AP/BSデバイス116は、少なくとも1つのサブキャリアの第1のセットで変調されたデバイス130からの第1のデータと、少なくとも1つのサブキャリアの第2のセットで変調されたデバイス132からの第2のデータと、を含む第1のOFDMAシンボルを受信する。AP/BSデバイス116は、第1のデバイス130からのデータを復号(または復調)するために第1のデータを処理する。AP/BSデバイス116はまた、第2のデバイス132からのデータを復号(または復調)するために第2のデータを処理する。他の場合/実施形態では、AP/BSデバイス116は、少なくとも1つのサブキャリアの第1のセットで変調されたデバイス130からの第1のデータと、少なくとも1つのサブキャリアの第1のセットで変調されたデバイス132からの第2のデータと、を含む第1のMU-MIMOシンボルを受信する。AP/BSデバイス116は、第1のデバイス130からのデータを復号(または復調)するために第1のデータを空間的に処理する。AP/BSデバイス116はまた、第2のデバイス132からのデータを復号(または復調)するために第2のデータを空間的に処理する。両方の場合において、第1のデバイス130および第2のデバイス132は、第1および第2のデバイス130および132がデータフレームに先行するトリガフレームに基づいて推定する、事前補正されたCFOとともにデータを送信する。第1および第2のデバイス130および132内のそのような能力は、一般に、CFO事前補正能力と呼ばれ得る。この実施形態および本明細書で提供される他の実施形態または例に関して、事前補正されたCFOが、AP/BSデバイス116とデバイス130および132と同様の別のデバイス(例えば、デバイス126または128)との間にゼロオフセットをもたらす場合があり得る。
【0017】
一般に、AP/BSデバイス116は、少なくとも1つのサブキャリアの同じセット内に含まれる別のデバイスからのデータを処理することによって動作する。そのようなデータとそのデータのコピーおよび/または反復のいくつかの異なる組み合わせは、さまざまな実施形態で使用することができる。他のデバイスがCFOを事前補正すると、上記のデバイス130および132と同様の他のデバイスは、そのデバイス間の通信を修正または適合させてAP/BSデバイス116と他のデバイスとの間に存在し得る任意のCFOを補償し、デバイス間の通信の効果的な通信、同期および改善された性能を保証する。
【0018】
図2は、例示的な実施形態による、アップリンクMU伝送(MU-MIMOまたはOFDMA)におけるいくつかの無線デバイス(局)を示す簡略化されたグラフである。例えば、局は、STA1~STA4とラベリングされ、これらは一般に、周波数ドメインおよび空間ドメイン内で動作する無線デバイス118~132のうちのいずれかを表し得る。OFDMAでは、例えば、チャネル帯域幅がさまざまなサイズのリソースユニット(RU)に分割される。RUのサイズは、最小の26サブキャリア(または2メガヘルツ(MHz))から996トーン(または77.8MHz)まで変化し得る。RUのサイズおよび場所は、20MHz、40MHz、80MHzチャネルおよび80+80または160MHzチャネルに対して定義される。
【0019】
さまざまな実施形態において、これらのRUは、データ情報を搬送し、サブキャリアの割り当ての大部分を形成するために使用されるデータサブキャリア、チャネル推定のための位相追跡に使用されるパイロットサブキャリア、チャネルの中心周波数における直流(DC)サブキャリアおよび隣接するRUからの干渉から保護するために帯域端で使用される保護帯域/ヌルサブキャリアに採用される。各局が必要とするデータ量に基づいて、異なるユーザへの伝送のために異なる数およびサイズのRUを割り当てることができる。実施形態では、AP/BSデバイス116は、RU割り当ておよび調整を担当する。例えば、ストリーミングビデオなどの多くのデータを必要とするアプリケーションには大きなRUを割り当てることができ、非常に少ないデータを必要とするアプリケーションには小さなRUを割り当てることができる。各RUは、異なる変調方式、符号化レートおよびレベルを使用することができ、RU割り当ては、フレームごとに異なり得る。
【0020】
実施形態では、OFDMAアップリンク伝送はダウンリンク動作よりも複雑であり、これは、アップリンク伝送では、トラフィックが複数の局からAP/BSデバイス116に同時に伝送されるからである。アップリンク伝送では、AP/BSデバイス116は、動作および伝送コーディネータとして作用する。まず、AP/BSデバイス116は、トリガフレーム210を次回の伝送に関与するすべての局(例えば、STA1、STA2、STA3、STA4)に送信する。これらの実施形態では、これらの局は、トリガフレームに応答してそれぞれのRUで同時に伝送を行い、例えば、アップリンク(UP)MU PPDUフレーム220を伝送する。UP MU PPDUフレーム220の受信に応答して、AP/BSデバイス116は、確認応答フレーム230をそれぞれの局に返信する。
【0021】
さまざまな実施形態において、トリガフレーム210に基づいて、各クライアント局は、この伝送に参加するためにそのタイミング、周波数および電力レベルを調節する。キャリア周波数の調節は、本開示において強調される特定の調整である。現在のIEEE規格では、OFDMA伝送に参加するクライアント局は、互いの400ナノ秒(ns)以内で伝送する必要がある。クライアントを同期させるために、AP/BSデバイス116は、トリガフレーム210を伝送する。このフレームは、各局に割り当てられたOFDMAサブキャリアのRUに関する情報を含む。それに応答して、参加クライアントは、IEEE802.11ax規格によって義務付けられているように、トリガフレームの終了後16マイクロ秒(μs)+/-400nsの指定された時間間隔ショートインターフレームスペース(SIFS)の後にアップリンク信号の伝送を開始する必要がある。このSIFS期間は将来変化する可能性があるため、正確な時間量は重要ではないが、変化することが予想されない非常に短い時間間隔であることを確認することが有益である。
【0022】
これらの実施形態では、例えば、前述した帯域内および帯域外歪みを同時に伝送するクライアント間のキャリア間干渉(ICI)を防止するために、伝送に参加する局はまた、キャリア周波数オフセット(CFO)を事前補償する。クライアント局は、AP/BSデバイス116から受信されたトリガフレーム210に基づいてそれらのキャリア周波数を調整する。IEEE802.11ax規格は、補償後の残留CFO誤差が350Hz未満であることを必要とする。ここでも、規格によって必要とされる正確な残留CFO誤差レベルは変化する可能性があり(より厳しくなる可能性がある)、ここでは、現在IEEE802.11ax規格において要件がどれほど厳しいかの例示としてのみ含まれる。
【0023】
図3は、少なくとも1つの実施形態による、デジタル事前補正の機能を示すキャリア周波数プロットのセットである。無線技術がより高い周波数に移行するにつれて、それらのより高い周波数で伝送することができるように、アップコンバージョンアーキテクチャに加えてより短いアンテナが採用される。そうするために、無線デバイスにおける無線機は、例えば、ベースバンド信号が局部発振器(LO)周波数によって乗算される回路を介して、ベースバンド周波数をキャリア周波数に変調する。しかし、LOが理想的でない場合、変調信号がAP/BSデバイス116のRx LOで復調されるときにキャリア漏れが発生する場合がある。
【0024】
特定の最新の無線デバイスは、デジタル補正技法を使用してキャリア周波数オフセットおよびキャリア漏れを処理する。キャリア周波数補正のためにデジタル技法を使用すると、伝送機でのキャリア漏れは、受信機(Rx)LO中心周波数と呼ばれるAP(またはBS)のキャリア周波数に対してオフセットになる。図式的にこれを表すために、
図3において、下の画像(A)は、DC RUのTxベースバンドスペクトルがデジタル事前補正の前にTx LOと位置合わせされることを示している。実施形態では、Tx LOは無線デバイス120の無線機内に位置し、これは無線デバイス118~132のいずれかの例示であるが、明確化および説明の容易さのために以下の説明の焦点として選択される。中央の画像(B)は、DC RUがベースバンド補正後にRx LOと位置合わせされることを示している。最後に、上の画像(C)はTx無線機出力を示しており、これはTx LO漏れがRx LO中心周波数と位置合わせされていないことを示す。
【0025】
実施形態では、DC RU(例えば、fRx-fTxのデルタ)内のTx LOとRx LOとの間のこの位置合わせの欠如は、Tx LO周波数におけるAP/BSデバイス116内のTx LO周波数のキャリア漏れを引き起こす。このキャリア漏れは、DCキャリアにまたがるRUに対するEVM(帯域内歪み)の劣化およびDCに近いRUに対するUTE(帯域外歪み)の劣化をもたらす。したがって、デジタル事前補正は、EVMおよびUTE要件を満たすことができるように、残留キャリア漏れの量に厳しい要件を課す。
【0026】
図4は、少なくとも1つの実施形態による、伝送(Tx)局部発振器トリミング事前補正を示すキャリア周波数プロットのセットである。デジタル事前補正手法の欠点を解決するために、
図4は、代わりにTx LO周波数(例えば、伝送キャリア周波数)のトリムを実施してCFOを補償した結果を示している。実施形態では、これは、先行するトリガフレームからの推定オフセットに基づいて無線デバイス120(例えば、無線デバイス118~132のうちのいずれか)の高周波(RF)回路のLO周波数を直接更新することによって実施される。これは、残留キャリア漏れに対する要件を緩和し、UTE(とりわけ)規格ベースの要件を満たすことができる。
【0027】
例えば、開示された実施形態では、無線デバイス120の制御論理は、受信したトリガフレーム210から、マルチユーザ伝送モードで動作するAP/BSデバイス116のTx LOの第1のキャリア周波数とRx LOの第2のキャリア周波数との間のキャリア周波数オフセット(CFO)を決定する。これらの実施形態では、制御論理は、CFOに基づいて、Tx LOのLOトリムをさらにトリガし、閾値公差内で、第1のキャリア周波数を第2のキャリア周波数に一致させるように調整する。この閾値公差は、関連するIEEE規格によって規定された低周波数であってもよく、例えば、一例で言及された350Hz以内であるが、450Hz、400Hz、300Hz、350Hz、250Hzなど、350Hz未満またはそれを超える残留CFOが想定される。さまざまな実施形態において、この直接LOトリム技法は、数Hzの粒度でLO周波数を制御し、無線機PLLが数百キロヘルツ(kHz)までのロックイン範囲(例えば、RF PLLが目標周波数に自動的にロックする)を有し、LOがトリミングされた周波数になるためのセトリング時間がSIFS期間内にある無線デバイス無線機のRF回路に依存し得る。したがって、いくつかの実施形態では、無線デバイス120の制御論理は、Tx LOのキャリア周波数を、(例えば、AP/BSデバイス116の)Rxキャリア周波数に関連付けられる目標周波数の数ヘルツ以内に調整するように構成される。
【0028】
図5は、少なくともいくつかの実施形態による、トリガベースのLOトリム事前補正がショートインターフェーススペース(SIFS)期間515内にどのように実施され得るかを示すタイミング
図500である。時間がタイミング
図500において左から右に移動することを理解すると、無線デバイス120に対する無線機はトリガフレーム510を受信し(Rx)、このトリガフレームから、無線デバイス120の制御論理は、CFO、例えば、無線デバイス120のTx LOとAP/BSデバイス116のRx LOとの間のキャリア周波数オフセットを決定することができる(例えば、f
Tx-f
Rx)。さまざまな実施形態において、無線機がトリガフレーム510を受信した後、無線機は、LOトリム算出540を実施する前に、物理層を通してトリガフレーム510を処理するための物理層(PHY)Rx待ち時間520、続いて媒体アクセス制御(MAC)処理遅延530を受ける。PHY Rx待ち時間520の終了時、CFO推定値が無線デバイス120の制御論理に利用可能になる。したがって、これらの実施形態では、MACレベルでのトリガフレーム受信およびコンテンツ検証は、PHY Rx待ち時間520およびMAC処理遅延530期間の間に実施される。
【0029】
これらの実施形態では、MAC処理遅延530の間、無線デバイス120の制御論理は、CFOを補償する(例えば、実質的に除去する)ために、Tx LO(またはTx LOを含むRF PLL)への信号としてLOトリム値を計算するが、これについては、後続の図を参照してより詳細に説明する。例えば、LOトリム540を決定した後などの特定の時間550において、MAC処理遅延530期間の後、制御論理は、例えば、Tx LOがSIFS期間515の終了前に(例えば、LOセトリング期間555中に)セトリングする(settle)のに十分な時間内に、Tx LOのトリムをトリガすることができる。したがって、TB-PPDUフレーム570を伝送(Tx)することができる前のPHY Tx待ち時間560を使用して、Tx LOのLOトリムをトリガする特定の時間550をスケジュールするためのほぼ最新の可能な瞬間を計算することができる。このようにして、Tx LOのトリムは、セトリングするための時間を有し、無線機がトリミングされたTx LOを使用してプロトコルデータユニットフレーム(例えば、TB-PPDUフレーム570)を伝送する前に、無線デバイス120のTxキャリア周波数のシフトを引き起こす。
【0030】
図6は、いくつかの実施形態による、PHYハードウェアからの周波数推定を使用して算出を実施し、LOトリム事前補正をトリガするマイクロコントローラを有する無線デバイス600のブロック図である。実施形態では、無線デバイス600は、無線デバイス118~132のいずれかである。いくつかの実施形態では、無線デバイス600は、プログラマブルプロセッサ602、メモリ606(例えば、不揮発性および/または揮発性メモリ)、アンテナ608、マイクロコントローラ610(例えば、制御論理)、Rx処理ハードウェア614AおよびTx処理ハードウェア614Bを含むハードウェア614、RF回路を含む無線機620、ならびに外部発振器650(例えば、外部結晶、またはXTAL)を含む。さまざまな実施形態において、無線機620は、デジタル-アナログコンバータ(DAC)622、復調器624A、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)626、変調器624B、局部発振器(LO)630(本明細書ではTx LOとも呼ばれる)およびアンテナ608に動作可能に結合された1つまたは複数のフロントエンドモジュールを有するフロントエンド(以下、FEM640)を含む。実施形態では、マイクロコントローラ610は、デジタル論理またはプログラムされたハードウェアで具現化され、ファームウェアなどのマイクロコードを実行する。
【0031】
これらの実施形態では、プログラマブルプロセッサ602は、命令(例えば、コンピュータコードおよび/またはファームウェア)を実行し、ハードウェア614の機能性のためのパラメータを駆動および提供する。実施形態では、ハードウェア614は無線機620に結合され、マイクロコントローラ610は無線機620のRx処理ハードウェア614AとLO630との間に結合される。いくつかの実施形態では、LO630は、例えば、RF回路のRF PLL内に実装される。いくつかの実施形態では、LO630は、無線機620のRF回路と統合され、抵抗-容量(またはR-C)発振器またはリアルタイムクロック(RTC)発振器のいずれかである。いくつかの実施形態では、LOトリムは、Tx LOキャリア周波数を調節するために、コンデンサバンク内のコンデンサおよび/または抵抗器バンク内の抵抗器の選択または選択解除をトリガする。
【0032】
開示された実施形態では、到来信号(例えば、トリガフレーム210を含む)は、アンテナ608およびFEM640によって捕捉され、復調器624A(例えば、復調器)に渡されて受信信号を復調し、ADC626を通ってRx処理ハードウェア614Aに渡される。実施形態では、この復調は、トリガフレーム210を含む元の情報伝達信号を抽出する。次いで、Rx処理ハードウェア614Aは、他の情報の中でもとりわけ、トリガフレーム210からCFOの推定値を取得するために復調信号を処理することができる。実施形態では、Rx処理ハードウェア614Aは、CFO情報をマイクロコントローラ610に提供する。これらの実施形態では、マイクロコントローラ610は、推定CFOを処理し、LO630(またはLO630を含むRF PLL)にキャリア周波数をシフトさせて推定CFOを補償させるLOトリム値を生成するようにプログラムされる。
【0033】
したがって、実施形態では、無線デバイス600の伝送側は、トリミングされたLOキャリア周波数で伝送を生成する。例えば、Tx処理ハードウェア614Bは、DACによってアナログ信号に変換される次回の伝送信号についての情報を処理する。これらの実施形態では、変調器624Bは、アナログ信号を変調し、変調アナログ信号を伝送のためにFEM640に提供する。いくつかの実施形態では、変調器624Bは、LO630からトリミングされた周波数を使用し、したがってFEM640およびアンテナ608から伝送されるTB-PPDUフレームは、トリミングされたLO630(例えば、トリミングされたTx LO)のシフトされたキャリア周波数に基づく。このようにして、(帯域内および帯域外歪みを引き起こす)キャリア漏れは、(AP/BSデバイス116の)Rx LOとTx LOとの間のCFOを補償するために無線デバイス600のTx LO(LO620)を事前補正することによって、より良好に対処される。
【0034】
さらに、いくつかの実施形態では、無線機620は、第1のLOを含む高周波(RF)位相ロックループ(PLL)を備える。これらの実施形態では、制御論理(例えば、この実施形態のマイクロコントローラ610)は、CFOに基づいて更新されたRF PLL周波数を計算し、LOトリムに応答して、更新されたRF PLL周波数で動作するようにRF PLLをトリガし、プロトコルデータユニットフレームの伝送後、RF PLLをデフォルトRF PLL周波数で動作させるように構成される。
【0035】
図7は、いくつかの実施形態による、周波数推定を実施し、LOトリム事前補正をトリガするハードウェアを採用する無線デバイス700のブロック図である。いくつかの実施形態では、
図6の無線デバイス600は、マイクロコントローラ610の代わりに、LOトリム算出ハードウェア710(個別のハードウェア構成要素、プログラムされたハードウェア構成要素、またはそれらの組み合わせとすることができる)が無線デバイス700上に設けられたハードウェア614内に含まれるように修正される。この実施形態では、LOトリム算出ハードウェア710は、Rx処理ハードウェア614Aから受信された推定CFOに基づいてLOトリム値を計算する。したがって、この実施形態では、LOトリム算出ハードウェア710は、LOトリム値をLO630(またはLO630を含むRF PLL)に提供し、Tx LOキャリア周波数をシフトさせて推定CFOを補償する。
【0036】
図8は、いくつかの実施形態による、LOトリム事前補正とアナログフロントエンド(AFE)位相ロックループ(PLL)トリミングの両方を実施するハードウェアを採用する無線デバイス800のブロック図である。実施形態では、
図8の無線デバイス800は、デバイスが別々にAFEおよびRFのためのクロックを生成するための異なるPLLを含む実施態様において、
図7の無線デバイス700上に拡張する。例えば、
図8の実施形態では、無線デバイス800の無線機820は、高周波(RF)位相ロックループ(PLL)またはRF PLL830(例えば、これは
図6~
図7からのLO630のようなLOを含むことができる)と、RF PLL830によって駆動される復調器624Aに結合されたADC826と、RF PLL830によって駆動される変調器624Bに結合されたDAC822と、ADC826およびDAC822を駆動するためのクロックを生成するように構成されたアナログフロントエンドPLL835(またはAFE PLL)と、を含む。実施形態では、受信(Rx)処理ハードウェア614Aは、ADC826およびトリム論理810に結合される。実施形態では、伝送(Tx)処理ハードウェア614BはDAC822に結合され、トリム論理810はAFE PLL835とRF PLL830の両方に結合される。
【0037】
これらの実施形態では、無線デバイス800のハードウェア814は、RF PLL830およびアナログフロントエンドPLL835に結合されたLOトリム論理810を含み、LOトリム論理810は、復調器624Aおよび変調器624BをクロックするRF PLL830からのAFE/DACクロック用の別々のPLLに対して無線機820におけるクロック機構を提供する。したがって、これらの実施形態では、LOトリム論理810は、別々にアナログフロントエンドPLL835とRF PLL830の両方をトリムし、無線機820におけるRF回路のキャリアとサンプリングクロックの両方の周波数調節のための能力を提供するように構成される。
【0038】
したがって、さまざまな実施形態において、LOトリム論理810は、受信したトリガフレームから、マルチユーザ伝送モードで動作するアクセスポイント(例えば、AP/BSデバイス116)のRF PLLの第1のキャリア周波数と局部発振器(LO)の第2のキャリア周波数との間のキャリア周波数オフセット(CFO)を決定するように構成される。これらの実施形態では、トリム論理810は、CFOに基づいて、RF PLL830の第1のトリムをさらにトリガし、閾値公差内で、第1のキャリア周波数を第2のキャリア周波数に一致させるように調整する。これらの実施形態では、LOトリム論理810は、CFOに基づいて、アナログフロントエンドPLL835の第2のトリムをさらにトリガし、キャリアとサンプリングクロックの両方が位置合わせされ、閾値公差を満たすことを確実にサポートする。したがって、無線機820は、アクセスポイント(例えば、AP/BSデバイス116)に、トリミングされたRF PLLを使用してプロトコルデータユニットフレームを伝送するように構成され得る。いくつかの実施形態では、LOトリム論理810は、アクセスポイントへの複数のプロトコルデータユニットフレームの伝送中にキャリア周波数オフセット(CFO)に対する変化を検出したことに応答して、RF PLL830の第1のトリムおよびアナログフロントエンドPLL835の第2のトリムを連続的にトリガする。
【0039】
図9は、さまざまな実施形態による、伝送デバイスにおいてLO事前補正を実施する方法900の流れ図である。方法900は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用論理、プログラマブル論理、マイクロコード、デバイスのハードウェア、集積回路など)、マイクロコントローラ(例えば、デジタル論理、プログラムされた論理、ファームウェア)、またはそれらの組み合わせを含むことができる処理論理によって実施することができる。いくつかの実施形態では、方法900は、無線デバイス600、700および/または800(
図6~
図8)のうちの1つの制御論理および/またはハードウェアによって実施される。いくつかの実施形態では、方法900は、TxフレームのTx処理を実施する前に実施されるこの制御論理および/またはハードウェア内のRx処理に関する。特定のシーケンスまたは順序で示されているが、特に明記しない限り、プロセスの順序は修正することができる。したがって、図示された実施形態は例としてのみ理解されるべきであり、図示されたプロセスは異なる順序で実施することができ、いくつかのプロセスは並列に実施することができる。加えて、さまざまな実施形態において、1つまたは複数のプロセスを省略することができる。したがって、すべての実施形態においてすべてのプロセスが必要とされるわけではない。他のプロセスフローも可能である。
【0040】
動作905において、処理論理は、変調信号におけるフレームの受信が終了したか否かを決定し、変調信号が完全に受信されたことを確認するまで待機し続ける。このフレームは、トリガフレームであってもなくてもよい。
【0041】
動作910において、処理論理は、受信した変調信号がフレームシーケンスチェック(FCS)に合格したか否かを決定する。FCSは、通信プロトコルにおいてフレームに追加される誤り検出符号として理解され得る。フレームは、ペイロードデータをソースから宛先に送信するために使用される。FCSに合格しなかった場合、方法900は終了し、そうではなくFCSに合格したとき、方法900は動作915に流れる。
【0042】
動作915において、処理論理は、トリガフレームがアクセスポイント、例えば、AP/BSデバイス116から受信されたか否かを決定する。例えば、動作905で受信されたフレームがトリガフレームとして検出されるか否かである。トリガフレームが受信されていない場合、動作920において、処理論理は、例えば、受信したフレームがトリガフレームではないため、Rxフレームを処理する。動作925において、処理論理は、任意選択で、応答フレーム(例えば、ACKフレーム)をAP/BSデバイス116に送信する。
【0043】
動作930において、トリガフレームが受信されたとの決定に応答して、処理論理は、媒体アクセス制御レベルでのトリガフレーム受信およびコンテンツ検証後のCFO推定値を使用してRF PLL周波数を計算し、媒体アクセス制御レベルでのトリガフレーム受信およびコンテンツ検証については、
図5を参照して詳細に説明されている。
【0044】
動作935において、処理論理は、CFO推定値に基づいて、RF PLL(またはTx LO)のトリムをトリガし、閾値公差内で、伝送無線デバイスの第1のキャリア周波数をAP/BSデバイス116の第2のキャリア周波数に一致させるように調整する。いくつかの実施形態では、動作935が実施される直前に、処理論理は、Tx LOについてのデフォルトPLL(またはLO)周波数を記憶し、それによりデフォルトPLL(またはLO)周波数は、後で動作945において復元することができる。さらに、RF PLL(またはTx LO)のトリムのトリガは、Tx LOがSIFS期間555の終了前にセトリングするのに十分な時間内に実施されてもよい。
【0045】
動作940において、処理論理は、アクセスポイント(例えば、AP/BSデバイス116)に、トリミングされた第1のLOを使用してプロトコルデータユニットフレーム(例えば、TB-PPDU)フレームを伝送する。実施形態では、プロトコルデータユニットフレームは、マルチユーザ伝送モードに関連付けられる。
【0046】
動作945において、処理論理は、RF PLL周波数、例えば、デフォルト周波数、またはTx LOトリムに先行して使用されていた周波数を復元し、例えば、動作915において別のトリガフレームを受信することに応答して、方法900を繰り返す前にRF回路のデフォルト状態で動作を可能にする。
【0047】
図10は、いくつかの実施形態による、トリガフレームからの周波数推定に基づいてLOトリム事前補正またはデジタル事前補正のいずれかを実施する方法1000の流れ図である。方法1000は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用論理、プログラマブル論理、マイクロコード、デバイスのハードウェア、集積回路など)、マイクロコントローラ(例えば、デジタル論理、プログラムされた論理、ファームウェア)、またはそれらの組み合わせを含むことができる処理論理によって実施することができる。いくつかの実施形態では、方法1000は、無線デバイス600、700および/または800(
図6~
図8)のうちの1つの制御論理および/またはハードウェアによって実施される。いくつかの実施形態では、方法1000は、TxフレームのTx処理を実施する前に実施されるこの制御論理および/またはハードウェア内のRx処理に関する。特定のシーケンスまたは順序で示されているが、特に明記しない限り、プロセスの順序は修正することができる。したがって、図示された実施形態は例としてのみ理解されるべきであり、図示されたプロセスは異なる順序で実施することができ、いくつかのプロセスは並列に実施することができる。加えて、さまざまな実施形態において、1つまたは複数のプロセスを省略することができる。したがって、すべての実施形態においてすべてのプロセスが必要とされるわけではない。他のプロセスフローも可能である。
【0048】
動作1005において、処理論理は、変調信号におけるフレームの受信が終了したか否かを決定し、変調信号が完全に受信されたことを確認するまで待機し続ける。このフレームは、トリガフレームであってもなくてもよい。
【0049】
動作1010において、処理論理は、受信した変調信号がフレームシーケンスチェック(FCS)に合格したか否かを決定する。FCSは、通信プロトコルにおいてフレームに追加される誤り検出符号として理解され得る。フレームは、ペイロードデータをソースから宛先に送信するために使用される。FCSに合格しなかった場合、方法1000は終了し、そうではなくFCSに合格したとき、方法1000は動作1015に流れる。
【0050】
動作1015において、処理論理は、トリガフレームがアクセスポイント、例えば、AP/BSデバイス116から受信されたか否かを決定する。トリガフレームが受信されていない場合、動作1020において、処理論理は、例えば、受信したフレームがトリガフレームではないため、Rxフレームを処理する。動作1025において、処理論理は、任意選択で、応答フレーム(例えば、ACKフレーム)をAP/BSデバイス116に送信する。
【0051】
動作1030において、処理論理は、CFO推定値が閾値よりも大きいか否かを決定する。CFOが閾値よりも大きくないことに応答して、動作1035において、処理論理は、デジタル事前補正を(動作1050において生じる)プロトコルデータユニットフレームの生成に採用する。トリガフレームが受信され(動作1015)、CFOが閾値よりも大きいこと(動作1030)に応答して、方法1000は動作1040に進む。
【0052】
動作1040において、処理論理は、媒体アクセス制御レベルでのトリガフレーム受信およびコンテンツ検証後のCFO推定値を使用してRF PLL周波数を計算し、媒体アクセス制御レベルでのトリガフレーム受信およびコンテンツ検証については、
図5を参照して詳細に説明されている。
【0053】
動作1045において、処理論理は、CFO推定値に基づいて、RF PLL(またはTx LO)のトリムをトリガし、閾値公差内で、伝送無線デバイスの第1のキャリア周波数をAP/BSデバイス116の第2のキャリア周波数に一致させるように調整する。いくつかの実施形態では、動作1045が実施される直前に、処理論理は、Tx LOについてのデフォルト位相ロックループ(PLL)周波数(またはデフォルトLO周波数)を記憶し、それによりデフォルトPLL(またはデフォルトLO)周波数は、後で動作1055において復元することができる。さらに、RF PLL(またはTx LO)のトリムのトリガは、Tx LOがSIFS期間555の終了前にセトリングするのに十分な時間内に実施されてもよい。
【0054】
動作1050において、処理論理は、アクセスポイント(例えば、AP/BSデバイス116)に、デジタル事前補正またはトリミングされた第1のLOのいずれかを使用してプロトコルデータユニットフレーム(例えば、TB-PPDU)フレームを伝送する。実施形態では、プロトコルデータユニットフレームは、マルチユーザ伝送モードに関連付けられる。
【0055】
動作1055において、処理論理は、RF PLL周波数、例えば、デフォルト周波数、またはTx LOトリムに先行して使用されていた周波数を復元し、例えば、動作1015において別のトリガフレームを受信することに応答して、方法1000を繰り返す前にRF回路のデフォルト状態で動作を可能にする。
【0056】
図11は、さまざまな実施形態による、粗キャリア周波数補正のためのLOトリム事前補正および精密キャリア周波数補正のためのデジタル事前補正を実施する無線デバイス1100のブロック図である。
図8の実施形態への拡張において、無線デバイス1100は、粗補正のためのLOトリムを通して、および精密補正のためのデジタルの両方で実施されるCFOへの事前補正を採用し、EVM、UTEおよびCFOに対する厳しい規格レベルを少なくとも満たすために、より広い範囲の潜在的な周波数修正を可能にする。例えば、この粗/精密事前補正手法は、無線機PLL精度が規格要件の仕様を満たすのに十分でない場合に実施され得る。
【0057】
図11を参照すると、無線デバイス1100は、ハードウェア1114であって、Rx処理ハードウェア614A、LO630(またはRF PLL)および同じくハードウェア1114に含まれるデジタル事前補正構成要素の間に結合された事前補正論理1110を含むハードウェア1114を含む。少なくともいくつかの実施形態では、事前補正論理1110は、LOトリム(
図8~
図10に従って計算される)が、AP/BSデバイス116に伝送するときに目標残留周波数オフセット値を満たすには不十分であると決定するように構成される。実施形態では、事前補正論理1110は、目標残留周波数オフセット値を満たすために必要なデジタル事前補正オフセットを計算し、デジタル事前補正オフセットを使用して、プロトコルデータユニットフレームのデジタル処理を駆動する波形のデジタルアップコンバージョンを行う。
【0058】
より具体的には、少なくともいくつかの実施形態では、デジタル事前補正構成要素は、デジタルフレーム(例えば、TB-PPDU)を生成する波形発生器1115と、デジタルアップコンバータ1116と、デジタルリサンプラ1117と、を含み、これらはストリングで共に結合され、デジタルリサンプラ1117はDAC822に結合される。これらの実施形態では、事前補正論理1110は、CFO推定値に基づいて、事前補正論理1110がLO630またはRF PLLを調整(トリミング)するために使用する粗LOトリム値(fcoarse)を決定するように構成される。その粗トリムがIEEE規格のキャリア漏れに関する厳しい要件を満たすのに十分ではない可能性があるため、事前補正論理1110は、デジタルアップコンバータ1116のデジタルアップコンバージョンおよび/またはデジタルリサンプラ1117のリサンプリングを更新するためのデジタルパラメータのセットを決定するように構成され得る。このようにして、事前補正論理1110は、無線機1120によって伝送されたプロトコルデータユニットフレームに組み込むためにDAC822を通して送信された信号に影響を与えるさらなる精密デジタル事前補正においてデジタル事前補正構成要素をトリガすることができる。
【0059】
図12は、さまざまな実施形態による、粗キャリア周波数補正のためのLOトリム事前補正および精密キャリア周波数補正のためのデジタル事前補正を実施する方法1200の流れ図である。方法1200は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用論理、プログラマブル論理、マイクロコード、デバイスのハードウェア、集積回路など)、マイクロコントローラ(例えば、デジタル論理、プログラムされた論理、ファームウェア)、またはそれらの組み合わせを含むことができる処理論理によって実施することができる。いくつかの実施形態では、方法1200は、制御論理および/またはハードウェア、例えば、
図11の事前補正論理1110によって実施される。いくつかの実施形態では、方法1200は、TxフレームのTx処理を実施する前に実施されるこの制御論理および/またはハードウェア内のRx処理に関する。特定のシーケンスまたは順序で示されているが、特に明記しない限り、プロセスの順序は修正することができる。したがって、図示された実施形態は例としてのみ理解されるべきであり、図示されたプロセスは異なる順序で実施することができ、いくつかのプロセスは並列に実施することができる。加えて、さまざまな実施形態において、1つまたは複数のプロセスを省略することができる。したがって、すべての実施形態においてすべてのプロセスが必要とされるわけではない。他のプロセスフローも可能である。
【0060】
動作1205において、処理論理は、変調信号におけるフレームの受信が終了したか否かを決定し、変調信号が完全に受信されたことを確認するまで待機し続ける。このフレームは、トリガフレームであってもなくてもよい。
【0061】
動作1210において、処理論理は、受信した変調信号がフレームシーケンスチェック(FCS)に合格したか否かを決定する。FCSは、通信プロトコルにおいてフレームに追加される誤り検出符号として理解され得る。フレームは、ペイロードデータをソースから宛先に送信するために使用される。FCSに合格しなかった場合、方法1200は終了し、そうではなくFCSに合格したとき、方法1200は動作1215に流れる。
【0062】
動作1215において、処理論理は、トリガフレームがアクセスポイント、例えば、AP/BSデバイス116から受信されたか否かを決定する。トリガフレームが受信されていない場合、動作1220において、処理論理は、例えば、受信したフレームがトリガフレームではないため、Rxフレームを処理する。動作1225において、処理論理は、任意選択で、応答フレーム(例えば、ACKフレーム)をAP/BSデバイス116に送信する。
【0063】
動作1230において、トリガフレームが受信されたとの決定に応答して、処理論理は、粗周波数を推定してCFO推定値を補償し、精密周波数を推定してCFO推定値をさらに補償する。
【0064】
動作1235において、処理論理は、媒体アクセス制御レベルでのトリガフレーム受信およびコンテンツ検証後の粗周波数推定値を使用してRF PLL周波数を計算し、かつ精密周波数推定値を使用してデジタル事前補正パラメータを計算し、媒体アクセス制御レベルでのトリガフレーム受信およびコンテンツ検証については、
図5を参照して詳細に説明されている。
【0065】
動作1240において、処理論理は、粗周波数推定値に基づいて、RF PLL(またはTx LO)のトリムをトリガし、第1の閾値公差内で、伝送無線デバイスの第1のキャリア周波数をAP/BSデバイス116の第2のキャリア周波数に一致させるように調整する。また、動作1240において、処理論理は、デジタル事前補正構成要素に、精密周波数推定値に関連付けられる伝送されたフレーム周波数をデジタル的に精密調節するためにデジタル事前補正パラメータをプログラムする。いくつかの実施形態では、動作1240が実施される直前に、処理論理は、Tx LOについてのデフォルトPLL(またはLO)周波数を記憶し、それによりデフォルトPLL(またはLO)周波数は、後で動作1250において復元することができる。さらに、RF PLL(またはTx LO)のトリムのトリガは、Tx LOがSIFS期間555の終了前にセトリングするのに十分な時間内に実施されてもよい。
【0066】
動作1245において、処理論理は、アクセスポイント(例えば、AP/BSデバイス116)に、粗推定値を使用するトリミングされた第1のLOおよび精密推定値を使用するデジタル事前補正を使用してプロトコルデータユニットフレーム(例えば、TB-PPDU)フレームを伝送する。実施形態では、プロトコルデータユニットフレームは、マルチユーザ伝送モードに関連付けられる。
【0067】
動作1250において、処理論理は、RF PLL周波数、例えば、デフォルト周波数、またはTx LOトリムおよびデジタル事前補正に先行して使用されていた周波数を復元し、例えば、動作1215において別のトリガフレームを受信することに応答して、方法1200を繰り返す前にRF回路のデフォルト状態で動作を可能にする。
【0068】
図13は、少なくともいくつかの実施形態による、トリガベースのLOトリム事前補正がSIFS時間内にどのように実施され得るかを示すタイミング
図1300であるが、LOトリムベースの周波数計算は、プリアンブル処理後に実施される。
図5の
図500への修正として、トリガフレーム210を受信(Rx)しながらはるかに早くLOトリム値を算出することは、CFO推定値に対する事前補正のタイミングを改善するのに役立ち、例えば、LOトリム算出540をトリガした後のLOに対するより多くのセトリング時間を可能にする。したがって、
図13の実施形態では、時間1340における無線デバイスの制御論理は、トリガフレームのプリアンブル処理後に利用可能なCFOの精密周波数推定値に基づいてLOトリム値を決定する。図示のように、LOトリム値がより早く算出されるので、LOトリム算出540はLOセトリング期間555から除去され、LOトリムのトリガ550をSIFS期間515中のより早い時点にすることが可能になる。
【0069】
図14は、少なくともいくつかの実施形態による、LOトリムベースの周波数計算がプリアンブル処理後に実施される、SIFS時間内にLOトリム事前補正を実施するための例示的な方法1400の流れ図である。方法1400は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用論理、プログラマブル論理、マイクロコード、デバイスのハードウェア、集積回路など)、マイクロコントローラ(例えば、デジタル論理、プログラムされた論理、ファームウェア)、またはそれらの組み合わせを含むことができる処理論理によって実施することができる。いくつかの実施形態では、方法1400は、無線デバイス600、700および/または800(
図6~
図8)のうちの1つの制御論理および/またはハードウェアによって実施される。いくつかの実施形態では、方法1400は、TxフレームのTx処理を実施する前に実施されるこの制御論理および/またはハードウェア内のRx処理に関する。特定のシーケンスまたは順序で示されているが、特に明記しない限り、プロセスの順序は修正することができる。したがって、図示された実施形態は例としてのみ理解されるべきであり、図示されたプロセスは異なる順序で実施することができ、いくつかのプロセスは並列に実施することができる。加えて、さまざまな実施形態において、1つまたは複数のプロセスを省略することができる。したがって、すべての実施形態においてすべてのプロセスが必要とされるわけではない。他のプロセスフローも可能である。
【0070】
動作1405において、処理論理は、アクセスポイント(例えば、AP/BSデバイス116)から受信されたフレームのプリアンブルが処理されたことを検出し、アクセスポイントは、マルチユーザ伝送モードで動作する。動作1405は、可能な限り早期にCFO関連情報を検出するために、アクセスポイントから受信された各フレームに対して実施され得るが、後にトリガフレームではないと決定された場合、方法1400は、例えば、再開することができる。
【0071】
動作1410において、処理論理は、プリアンブル処理後のトリガフレームから導出された情報に基づいて、アクセスポイントの第1のLOの第1のキャリア周波数と第2のLOの第2のキャリア周波数との間のキャリア周波数オフセット(CFO)を推定する。また、動作1410において、処理論理は、CFO推定値を使用してLO(またはRF PLL)トリム値を計算(または他の様態で決定)する。いくつかの実施形態では、LOトリム値を決定することは、第1のキャリア周波数が閾値公差内で第2のキャリア周波数に一致するように必要な第1のキャリア周波数のシフトを推定することを含む。
【0072】
動作1415において、処理論理は、変調信号におけるトリガフレームの受信が終了したか否かを決定し、変調信号が完全に受信されたことを確認するまで待機し続ける。
【0073】
動作1420において、処理論理は、受信した変調信号がフレームシーケンスチェック(FCS)に合格したか否かを決定する。FCSは、通信プロトコルにおいてフレームに追加される誤り検出符号として理解され得る。フレームは、ペイロードデータをソースから宛先に送信するために使用される。FCSに合格しなかった場合、方法1400は終了し、そうではなくFCSに合格したとき、方法1400は動作1425に流れる。
【0074】
動作1425において、処理論理は、トリガフレームがアクセスポイント、例えば、AP/BSデバイス116から受信されたか否かを決定する。例えば、動作1405を参照して処理されたフレームが実際にトリガフレームであったか否かである。トリガフレームが受信されていない場合、動作1430において、処理論理は、例えば、受信したフレームがトリガフレームではないため、Rxフレームを処理する。動作1435において、処理論理は、任意選択で、応答フレーム(例えば、ACKフレーム)をAP/BSデバイス116に送信する。
【0075】
動作1440において、処理論理は、LOトリム値を使用して、RF PLL(またはTx LO)のトリムをトリガし、閾値公差内で、伝送無線デバイスの第1のキャリア周波数をAP/BSデバイス116の第2のキャリア周波数に一致させるように調整する。
【0076】
動作1445において、処理論理は、アクセスポイント(例えば、AP/BSデバイス116)に、トリミングされた第1のLOを使用してプロトコルデータユニットフレーム(例えば、TB-PPDU)フレームを伝送する。実施形態では、プロトコルデータユニットフレームは、マルチユーザ伝送モードに関連付けられる。
【0077】
動作1450において、処理論理は、RF PLL周波数、例えば、デフォルト周波数、またはTx LOトリムに先行して使用されていた周波数を復元し、例えば、別のトリガフレームを受信することに応答して、方法1400を繰り返す前にRF回路のデフォルト状態で動作を可能にする。例えば、方法1400は、1つまたは複数のアクセスポイントへの複数のアップリンクプロトコルデータユニットフレームの伝送中にCFOに対する変化を検出したことに応答して、フレームごとに第1のLOのLOトリム値を連続的に調整することをさらに含むことができる。
【0078】
当業者には、少なくともいくつかの実施形態がこれらの具体的な詳細なしで実践され得ることが明らかであろう。他の場合では、本明細書に記載の主題を不必要に不明瞭にすることを回避するために、周知の構成要素、要素、もしくは方法は詳細に説明されないか、または単純なブロック図形式で提示されている。したがって、以下に記載される具体的な詳細は単なる例示である。特定の実施態様は、これらの例示的な詳細とは異なっていてもよく、依然として本実施形態の精神および範囲内にあると考えられる。
【0079】
「実施形態(an embodiment)」、「一実施形態(one embodiment)」、「例示的な実施形態(an example embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」および「さまざまな実施形態(various embodiments)」への説明における言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、ステップ、動作、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。さらに、本明細書のさまざまな箇所における「実施形態(an embodiment)」、「一実施形態(one embodiment)」、「例示的な実施形態(an example embodiment)」、「いくつかの実施形態(some embodiments)」および「さまざまな実施形態(various embodiments)」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。
【0080】
説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面への参照を含む。図面は、例示的な実施形態による例示を示す。本明細書では「例」とも呼ばれ得るこれらの実施形態は、当業者が本明細書に記載の特許請求される主題の実施形態を実践することを可能にするのに十分詳細に記載されている。実施形態は組み合わせることができ、他の実施形態を利用することができ、または特許請求される主題の範囲および精神から逸脱することなく、構造的、論理的および電気的変更を行うことができる。本明細書に記載の実施形態は、主題の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ当業者が主題を実践、作製および/または使用することを可能にすることを意図していることを理解されたい。
【0081】
説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面への参照を含む。図面は、例示的な実施形態による例示を示す。本明細書では「例」とも呼ばれ得るこれらの実施形態は、当業者が本明細書に記載の特許請求される主題の実施形態を実践することを可能にするのに十分詳細に記載されている。実施形態は組み合わせることができ、他の実施形態を利用することができ、または特許請求される主題の範囲および精神から逸脱することなく、構造的、論理的および電気的変更を行うことができる。本明細書に記載の実施形態は、主題の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ当業者が主題を実践、作製および/または使用することを可能にすることを意図していることを理解されたい。
【0082】
特定の実施形態は、例えば、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリなどの非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されたファームウェア命令によって実施することができる。これらの命令は、プロセッサ(例えば、CPU)またはその等価物(例えば、処理コア、処理エンジン、マイクロコントローラなど)を含む1つまたは複数のデバイスをプログラムおよび/または構成するために使用されてもよく、その結果、プロセッサまたはその等価物によって実行されると、命令は、デバイスに、本明細書に記載のUSB-C/PDモード遷移アーキテクチャのための記載された動作を実施させる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、限定はしないが、電磁記憶媒体、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブルメモリ(例えば、EPROMおよびEEPROM)、フラッシュメモリ、または情報を記憶するのに適した他の現在知られているもしくは後に開発される非一時的なタイプの媒体を含むことができる。
【0083】
本明細書における回路およびブロックの動作は特定の順序で示され説明されているが、いくつかの実施形態では、各回路/ブロックの動作の順序は、特定の動作が逆の順序で実施され得るように、または特定の動作が、少なくとも部分的に、他の動作と同時におよび/もしくは並列に実施され得るように変更され得る。他の実施形態では、別個の動作の命令またはサブ動作は、断続的および/または交互に実施されてもよい。
【0084】
上記の明細書では、本開示は、その特定の例示的な実施形態を参照して説明されている。しかし、添付の特許請求の範囲に記載した本開示の広い精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな修正および変更を行い得ることは明らかであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。
【外国語明細書】