(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180363
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】クッションおよび製造システム及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 69/02 20060101AFI20241219BHJP
B29C 48/05 20190101ALI20241219BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20241219BHJP
B29C 48/15 20190101ALI20241219BHJP
A47C 27/12 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B29C69/02
B29C48/05
B29C48/08
B29C48/15
A47C27/12 F
A47C27/12 B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024096492
(22)【出願日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】63/508,300
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PA202370560
(32)【優先日】2023-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】18/657,196
(32)【優先日】2024-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】599094510
【氏名又は名称】リア・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Lear Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】エリック レプケ
【テーマコード(参考)】
3B096
4F207
4F213
【Fターム(参考)】
3B096BA00
4F207AD05
4F207AD16
4F207AG03
4F207AG27
4F207AH51
4F207KA01
4F207KA17
4F207KB13
4F207KL64
4F207KL84
4F213AD17
4F213AG03
4F213AG26
4F213AG27
4F213AH51
4F213WA06
4F213WB13
4F213WK03
(57)【要約】
【課題】座席アセンブリに適用し得るクッション等の糸条メッシュ構造体、及びその製造システムおよび製造方法を提供する。
【解決手段】クッションは、糸条のセットを含み、前記糸条のセットの各部材は、前記糸条のセットの少なくとも1つの他の部材に結合され、第1の側面を画定する糸条メッシュ構造体と、前記第1の側面に配置され、前記糸条のセットの少なくともいくつかの部材に結合される層とを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸条のセットを含み、前記糸条のセットの各部材は、前記糸条のセットの少なくとも1つの他の部材に結合され、第1の側面を画定する糸条メッシュ構造体と、
前記第1の側面に配置され、前記糸条のセットの少なくともいくつかの部材に結合される層とを有することを特徴とするクッション。
【請求項2】
前記層は、第2の糸条のセットを含むことを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項3】
前記第2の糸条のセットの隣接する部材の間に間隙が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のクッション。
【請求項4】
前記第2の糸条のセットは連続していることを特徴とする請求項2に記載のクッション。
【請求項5】
前記層はフィルムを含むことを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項6】
前記フィルムは空気不透過性であることを特徴とする請求項5に記載のクッション。
【請求項7】
前記層は、前記第1の側面の一部に配置されることを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項8】
前記層は、前記第1の側面の縁部から延在することを特徴とする請求項7に記載のクッション。
【請求項9】
前記糸条メッシュ構造体は、側面のセットを含み、
前記第1の側面は、前記側面のセットの部材であり、前記層は、前記第1の側面に加えて前記側面のセットの少なくとも1つの部材上に設けられることを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項10】
前記層は空気不透過性であり、空気が前記糸条メッシュ構造体に出入りすることを可能にするポートが前記層に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項11】
前記糸条メッシュ構造体は側面のセットを含み、前記第1の側面は前記側面のセットの部材であり、前記層は前記側面のセットの全ての部材上に設けられていることを特徴とする請求項10に記載のクッション。
【請求項12】
糸条のセットを押し出すステップと、
糸条メッシュ構造体を形成するために、前記糸条のセットの各部材をループ形成し、前記糸条のセットの各部材を前記糸条のセットの少なくとも1つの他の部材に結合するステップと、
前記糸条メッシュ構造体を冷却して前記糸条メッシュ構造体の形状を設定するステップと、
前記糸条メッシュ構造体の第1の側面上に層を分配するステップと、
前記層を前記第1の側面に結合するステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記層を分配するステップは、前記層を溶融状態で分配するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記層を結合するステップの前に前記糸条メッシュ構造体を再加熱するステップをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記層は空気透過性であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記糸条メッシュ構造体及び前記層は、同じ材料で作られていることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記層は、前記糸条メッシュ構造体に結合する第2の糸条のセットを含み、前記第2の糸条のセットの部材は、前記糸条メッシュ構造体に接触していることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記糸条のセットを押し出すステップは、第1のツールを用いて前記糸条のセットを押し出すステップを含み、
前記層を分配するステップは、第2のツールを用いて前記層を分配するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記層を前記第1の側面に結合した後に、前記糸条メッシュ構造体を回転させるステップと、
前記層を、前記糸条メッシュ構造体の第2の側面上に分配し、前記層を前記第2の側面に結合するステップをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記層を前記第1の側面に結合した後に前記糸条メッシュ構造体を回転させ、前記層を前記糸条メッシュ構造体のさらなる側面に分配し結合し、それにより、前記糸条メッシュ構造体の周囲に空気不透過層を形成することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願63/508,300(出願日2023年6月15日)およびデンマーク特許出願番号PA202370560(出願日2023年11月3日)の利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
様々な実施形態は、クッションのような糸条メッシュ構造体、及び製造システムおよび製造方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】
図1は、座席アセンブリの一例の斜視図である。
【
図2】
図2は、糸条メッシュ構造体である座席アセンブリのクッションの例の斜視図である。
【
図3】
図3は、糸条メッシュ構造体を製造するための製造システムの一例の概略図である。
【
図4】
図4は、糸条メッシュ構造体上に層を分配する層分配サブシステムの例の概略図である。
【
図5】
図5は、糸条メッシュ構造体上に層を分配する層分配サブシステムの例の概略図である。
【
図6】
図6は、糸条メッシュ構造体に結合された層の例の拡大図である。
【
図7】
図7は、糸条メッシュ構造体を形成する方法の一例のフローチャートである。
【
図8】
図8は、糸条メッシュ構造体上に配置された、直線状の糸条を含む層の一例の平面図である。
【
図9】
図9は、糸条メッシュ構造体上に配置された、非直線状の糸条を含む層の一例の平面図である。
【
図10】
図10は、糸条メッシュ構造体上に配置された、連続糸条を含む層の一例の平面図である。
【
図11】
図11は、糸条メッシュ構造体上に配置された、フィルムを含む層の一例の斜視図である。
【
図12】
図12は、糸条メッシュ構造体上に配置された、糸条及びフィルムを含む層の一例の斜視図である。
【
図13】
図13は、糸条メッシュ構造体の複数の側面に配置された層の例の斜視図である。
【
図14】
図14は、糸条メッシュ構造体のすべての側面に配置された層および層に設けられたポートの例の斜視図である。
【
図15a】
図15aは、糸条メッシュ構造体を回転させることによって糸条メッシュ構造体の複数の側面に層を施す例を示す。
【
図15b】
図15bは、糸条メッシュ構造体を回転させることによって糸条メッシュ構造体の複数の側面に層を分配する例を示す。
【
図15c】
図15cは、糸条メッシュ構造体を回転させることによって糸条メッシュ構造体の複数の側面に層を分配する例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
詳細な説明
ここで実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。以下の詳細な説明では、説明される様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が述べられる。しかしながら、説明される様々な実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には明らかであろう。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、回路、およびネットワークは、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、詳細には説明されていない。
【0005】
開示された実施形態は単なる例示であり、様々な代替形態が可能であることを理解されたい。図面は必ずしも縮尺通りではない。いくつかの特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化され得る。したがって、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、本開示による実施形態を様々に使用するように当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0006】
「1つまたは複数」は、1つの要素によって実行される機能、複数の要素によって、たとえば分散方式で実行される機能、1つの要素によって実行されるいくつかの機能、いくつかの要素によって実行されるいくつかの機能、または上記の任意の組合せを含む。
【0007】
第1、第2などの用語は、いくつかの例では、本明細書では様々な要素を説明するために使用されるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことも理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、説明される様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の接触を第2の接触と称することができ、同様に、第2の接触を第1の接触と称し得る。第1のコンタクトと第2のコンタクトは共にコンタクトであるが、同じコンタクトではない。
【0008】
本明細書で説明される様々な実施形態の説明で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。様々な説明される実施形態および添付の特許請求の範囲の説明において使用されることであって、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むものとする。本明細書で使用される「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数のありとあらゆる可能な組み合わせを指し、包含することも理解されよう。用語「含む(includes)」、「含む(including)」、「備える(comprises)」、および/または「備える(comprising)」は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、数値、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、数値、ステップ、動作、要素、構成要素および/またはその集合の存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0009】
本明細書で使用される場合、用語「if」は、状況に応じて、「いつ」または「際して」または「決定に応答して」または「検出に応答して」を意味すると任意選択的に解釈される。同様に、「判定される場合」または「[記載された条件またはイベント]が検出される場合」という語句は、状況に応じて、「判定するとき」または「判定に応答して」または「[記載された条件またはイベント]を検出するとき」または「[記載された条件またはイベント]の検出に応答して」を意味すると任意選択的に解釈される。
【0010】
図1を参照すると、座席アセンブリ10の一例が示されている。いくつかの実施形態では、座席アセンブリ10は、自動車、トラック、バスなどの陸上車両用、または航空機もしくは船舶などの非陸上乗り物用などの乗り物座席アセンブリである。例えば、陸上車両用の座席アセンブリ10は、前列運転席または助手席、第2、第3、または他の後列座席として成形およびサイズ設定されてもよく、ベンチスタイル座席、バケット座席、または他の座席スタイルを含んでもよい。さらに、座席アセンブリ10は、非格納式座席であってもよいし、または車両床の空洞内に折り畳み可能かつ格納可能であり得る格納式座席であり得る。さらに、座席アセンブリ10は、家具などの非乗り物用途のために構成されてもよい。
【0011】
図1に示す構成では、座席アセンブリ10は、座席底部20及び座席後部22を含む。座席後部22は、座席アセンブリ10がオートバイシートまたは腰掛けとして構成されるときなど、いくつかの構成では省略され得ることが意図される。
【0012】
座席底部20は、着座乗員を受け入れ、着座した乗員の骨盤及び大腿部を支持するように構成されている。座席底部20は、座席底部フレーム30と、クッション32と、トリムカバー34とを備える。
【0013】
座席底部フレーム30は、クッション32を支持する構造体である。座席底部フレーム30は、1つまたは複数の構造部材を含み、金属合金、ポリマー材料、糸条強化ポリマー材料、またはそれらの組合せなど、任意の適切な材料で作製され得る。1つまたは複数の構成では、座席底部フレーム30は、クッション32が配置されるパネル、シートパン、サスペンションマット、またはサスペンションワイヤを含む。
【0014】
クッション32は、座席底部フレーム30上に配置されている。クッション32は、座席乗員を支持するとともに、座席乗員からの荷重力を座席底部フレーム30に分配するコンプライアント材料で形成されている。クッション32および関連する製造方法については、以下でより詳細に説明する。
【0015】
トリムカバー34は、クッション32の少なくとも一部を覆う。さらに、トリムカバー34は、座席後部22の1つ以上の目に見える外面を提供する。座席乗員は、座席アセンブリ10に着座したときにトリムカバー34上に配置される。トリムカバー34は、布地、皮革、合成皮革、ビニール、またはそれらの組み合わせ等の任意の好適な材料または複数の材料で作製される。トリムカバー34は、融着または縫合などによる任意の好適な方法で組み立てられる複数のトリムパネルを含んでもよい。トリムカバー34は、座席底部フレーム30、クッション32又はその両方に取り付けられる。例えば、トリムカバー34は、トリムカバー34の除去を阻止し、トリムカバー34を座席底部フレーム30、クッション32、または両方の輪郭に適合させるのに役立つように、座席底部フレーム30、クッション32、または両方に取り付けられるトリム取付特徴を含んでもよい。トリムカバー34をクッション32ではなく座席底部フレーム30に取り付けるために、異なるタイプのトリム取り付け機構を使用することができると考えられる。
【0016】
座席後部22は、着座乗員の背中を支持するように構成されている。座席後部22は、座席底部20に隣接して配置されている。例えば、座席後部22は、座席底部20の上方であって座席底部20の後側近傍に配置されてもよい。座席後部22は、座席底部20から離れる概ね上向き方向に延びる。いくつかの構成では、座席後部22は、座席底部20に取り付けられ、座席底部20に対して枢動可能であってもよい。他の構成では、座席後部22は座席底部20に取り付けられない。例えば、車両座席後部は、いくつかの第2列の座席アセンブリなどにおいて、車両本体の構造体に取り付けられ得る。座席後部22は、座席後部フレーム40と、クッション42と、トリムカバー44と、任意選択的にヘッドレスト46とを含む。
【0017】
座席後部フレーム40は、クッション42を支持する構造体である。座席後部フレーム40は、1つまたは複数の構造部材を含み、金属合金、ポリマー材料、糸条強化ポリマー材料、またはそれらの組合せなど、任意の適切な材料で作製され得る。1つまたは複数の構成では、座席後部フレーム40は、クッション42が配置されるパネル、パン、サスペンションマット、またはサスペンションワイヤを含む。また、座席後部フレーム40は、座席底部フレーム30と一体に形成されていてもよい。
【0018】
クッション42は、座席後部フレーム40上に配置されている。クッション42は、座席乗員を支持するとともに、座席乗員からの荷重を座席後部フレーム40に分配するコンプライアント材料で形成されている。クッション42は、座席底部20のクッション32と一体的に形成されてもよいし、座席底部20のクッション32とは別個に形成されてもよいと考えられる。クッション42および関連する製造方法については、以下でより詳細に説明する。
【0019】
トリムカバー44は、クッション42の少なくとも一部を覆う。さらに、トリムカバー44は、座席後部22の1つ以上の目に見える外面を提供する。座席乗員は、座席アセンブリ10に着座したときにトリムカバー44上に配置される。トリムカバー44は、布地、皮革、合成皮革、ビニール、またはそれらの組み合わせ等の任意の好適な材料または複数の材料で作製される。トリムカバー44は、融合または縫合等の任意の好適な様式で組み立てられる、複数のトリムパネルを含んでもよい。トリムカバー44は、座席後部フレーム40又はクッション42又はその両方に取り付けられる。例えば、トリムカバー44は、トリムカバー44の除去を阻止し、トリムカバー44を座席後部フレーム40、クッション42、または両方の輪郭に適合させるのに役立つように、座席後部フレーム40、クッション42、または両方に取り付けられるトリム取付特徴を含んでもよい。クッション42ではなく、座席後部フレーム40にトリムカバー44を取り付けるために、異なるタイプのトリム取り付け機構が採用され得ることが意図される。
【0020】
ヘッドレスト46は、設けられている場合、座席乗員の頭部を支持するように構成されている。ヘッドレスト46は、座席後部22の上部又は座席後部22の座席底部20とは反対側の端部に配置されている。ヘッドレスト46は、座席後部22に対して1つ以上の方向に移動可能であってもよいし、座席後部22と一体的に形成されてもよい。
【0021】
図2を参照すると、クッション50の一例が示されている。クッションは、参照の便宜上、参照番号50で全体的に指定される。クッション50の構造および説明は、座席底部20のクッション32、座席後部22のクッション42、またはその両方に適用可能であることを理解されたい。
【0022】
クッション50は、非発泡構成要素であるか、または少なくとも1つの非発泡構成要素を含む。非発泡成分は、主に糸条メッシュ構造体と呼ばれるが、メッシュクッション、メッシュ構造体、又は撚りメッシュと呼ばれることもある。
図2では、クッション50は、ウレタンまたはポリウレタン発泡体などの発泡体構成要素または発泡体材料を含まない非発泡体構成要素として示されている。しかしながら、クッション50は、非発泡体構成要素に加えて発泡体構成要素または発泡体材料も含んで、座席乗員に追加のクッション性または局所的なクッション性をもたらすことができると考えられる。例えば、発泡材料は、クッション50と、クッション50上、クッション50内、またはそれらの組み合わせに配置されるトリムカバー(例えば、トリムカバー34、44)との間に提供されてもよい。クッション50に提供される発泡材料の量を減らすこと、またはクッション50から発泡材料をなくすことは、重量を減らし、座席乗員の支持および快適さを改善することができる。
【0023】
クッション50は、発泡材料を含まないクッション50との関連で以下に記載される。これに関連して、クッション50は、ポリマー材料の糸条52から作製され、この糸条は、以下でより詳細に論じるように、ランダムにループ化されるか、屈曲されるか、カールされるか、または絡み合い、互いに結合される。糸条52の例を有するクッション50の拡大図を
図6に示す。糸条52は、樹脂または他の中間材料と間接的に結合されるのではなく、別の糸条52に結合される。
【0024】
ストランド又は糸とも呼ばれ得る糸条52は、任意の好適な材料又は複数の材料で製造される。いくつかの構成では、糸条52は、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリイミド系、ポリオレフィン系(例えば、ポリプロピレン系、ポリエチレン系など)、ポリスチレン系、またはそれらの組み合わせである熱可塑性樹脂等のポリマー材料または熱可塑性材料で作製される。一例として、ポリエチレン系糸条は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLPDE)から製造され得る。糸条材料は、発泡材料とは異なりリサイクル可能であり得るか、または発泡材料よりも容易にリサイクルされ得る。糸条52は強化糸条を含んでもよく、強化糸条は熱可塑性材料で作られなくてもよいことも意図される。
【0025】
構成によっては、糸条52は、単一の材料で作られたモノ糸条であってもよい。構成によっては、糸条52は複数の材料で作られる。例として、複数の材料から作製される糸条52は、第1の熱可塑性材料から作製されるコアと、コアを取り囲み、第1の熱可塑性材料とは異なる第2の熱可塑性材料から作製されるシースとを含んでもよい。クッション50は、モノ糸条と、モノ糸条ではない複数の材料で作られた糸条との組み合わせを含むことができると考えられる。
【0026】
ランダムにループ化、屈曲、ループ化、カール化、または絡み合った糸条52は、1つの糸条52が別の糸条52に接触するように共に結合し、それによって、糸条52間に開口部または空隙を有する軽量の空気透過性クッション(例えば、クッション32および/または42)またはメッシュ構造体をもたらす。クッションまたは糸条メッシュ構造体を製造する製造システム60の例も
図3に示されている。この例では、製造システム60は、材料供給部70と、押出機72と、漏斗74とを含む。製造システム60はまた、冷却タンク76および材料ハンドリングサブシステム78を含む。
【0027】
図3を参照すると、材料供給部70は、材料で作られた固体ビーズ、フレーク、顆粒、ペレット、または粉末などの押し出される材料ストックを保持する。いくつかの構成では、材料供給部70は、容器またはホッパーとして構成される。材料供給部70は、材料ストックを押出機72に供給する。
【0028】
第1のツールとも称され得る押出機72は、材料ストックを溶融し、材料ストックを糸条52のセットとして押し出す。押出機72は、任意の好適な構成を有し得る。いくつかの構成では、押出機72は、回転可能なスクリューおよび加熱要素を受容するバレルを含む。スクリューの回転は、バレルを通って材料を移動させ、スクリューが回転するときに発生する摩擦により材料を加熱するのを助ける。材料は、圧力が掛けられ
溶融状態でバレルを出て、押出機72の金型80に輸送される。
【0029】
金型プレートまたは押出金型とも呼ばれる金型80は、溶融材料が通過する複数の貫通孔または糸条形成開口部を有する。各貫通孔から1本の糸条52が押し出される。糸条52は、重力の下で金型80から漏斗74内に下向きに落下する。
【0030】
漏斗74は、糸条52を、糸条が曲がる、カールする、またはループする、および糸条52が少なくとも1つの他の糸条52に接触して結合している、よりコンパクトな配置に固結またはグループ化する。漏斗74は、漏斗入口と、漏斗入口よりも小さい漏斗出口とを有する。個々の分離された糸条52は漏斗入口に入る。糸条52は、曲がり、カールし、又はループし、それらが蓄積するにつれて接触する。糸条52は、漏斗74を通って漏斗出口に向かって移動する。糸条52のセットの各部材は、糸条52のセットの少なくとも1つの他の部材に結合されてもよい。糸条52間の開口部または空隙は、ある糸条52が別の糸条52と接触または結合しない他の位置に存在するが、結合は、接触点において糸条52間に形成される。絡み合って結合された糸条52は、漏斗74の漏斗出口を通過し、冷却タンク76に入る。参照の便宜上、結合された糸条52は糸条メッシュ構造体90と呼ばれる。
【0031】
冷却タンク76は、水または水と他の流体との混合物などの液体を保持する。冷却タンク76内の液体は、絡み合って結合された糸条52を支持するのに役立ち、あまり開いていない、またはあまり多孔性ではない配置にするような糸条52のさらなる圧密化または圧密化を制限して、糸条メッシュ構造体90の所望の多孔性および密度を維持する。したがって、液体は、糸条メッシュ構造体90をさらに構築するために、液体の表面または漏斗74内に隣接する糸条52の追加の屈曲、カール、またはループをもたらし得る、いくらかの浮力または抵抗を提供する。液体はまた、糸条52が液体中にあるときに糸条52を冷却する。例えば、液体は糸条52を外側から冷却して糸条52を凝固させ、糸条52がさらなる位置で結合するのを防止する。この時点で、糸条52は、比較的硬く、もはや可塑状態になく、したがって、概して、形状を維持し、再加熱されることなければ成形可能ではなく、また再成形可能ではない。
【0032】
材料ハンドリングサブシステム78は、冷却タンク76を通して糸条メッシュ構造体90を輸送する。材料ハンドリングサブシステム78は、糸条メッシュ構造体90を液体を通して液体から移動させるのに役立つ様々なローラおよびコンベヤを含む。いくつかの構成では、トラクタコンベヤ92が冷却タンク76内に設けられて、糸条メッシュ構造体90を漏斗74から引き離すのを助け、糸条52の浮力に対抗する。
【0033】
ローラ94等の1つ以上の他のローラは、糸条メッシュ構造体90を液体中に沈めた状態に保ち、冷却タンク76を通して糸条メッシュ構造体90を案内する。例えば、ローラ94は、糸条メッシュ構造体90を冷却タンク76の外側に配置されたコンベヤベルト96及びシェーカーテーブル98に向けて案内することができる。シェーカーテーブル98は、糸条メッシュ構造体90がコンベヤベルト96上にある間に糸条メッシュ構造体90を震動させて液体を除去する。代替として、またはそれに加えて、糸条メッシュ構造体90は、液体を除去するために圧搾されてもよく、液体を除去するために糸条メッシュ構造体90に向かって空気が吹き付けられてもよく、または両方であってもよい。また、糸条メッシュ構造体90は、濡れたまま吊るして乾燥させたり、または空気中で乾燥させることもできると考えられる。
【0034】
上述の製造システム60は、糸条押出が中断されないときに糸条メッシュ構造体90が連続構造体として形成される連続フロープロセスである。糸条メッシュ構造体90のさらなる処理は、冷却タンク76を出た後に提供され、糸条メッシュ構造体90を個々のクッション用の個々のピースまたはブランクに切断する。このような処理は、製造システム60の切断サブシステムによって行われる。切断サブシステムは、任意の適切なタイプであり得る。例えば、切断システムは、ブレード、ナイフ、ホットナイフ、のこぎり、流体ジェットなどを使用して、糸条メッシュ構造体90の糸条52をブランクに切断することができる。
【0035】
製造システム60はまた、層分配サブシステム100を含み、その例を
図4及び
図5に示す。層分配サブシステム100は、製造システム60の連続フロープロセスの一部であってもよく、冷却タンク76の下流、例えばシェーカーテーブル98の後に設けられてもよい。したがって、層分配サブシステム100は、糸条メッシュ構造体90が断片に切断される前に、糸条メッシュ構造体90上に材料を分配してもよい。いくつかの実施形態では、層分配サブシステム100は、切断サブシステムによって切断された糸条メッシュ構造体90の断片またはブランク上に材料を分配するように構成される。
【0036】
層分配サブシステム100は、糸条メッシュ構造体90の1つ以上の側面112上に材料の層110を分配する。層110は、任意の好適な材料(単数または複数)から作製され得る。いくつかの実施形態では、層110は、糸条メッシュ構造体90または糸条メッシュ構造体90の糸条52と同じ材料で作製される。層110及び糸条メッシュ構造体90に共通の材料又は同様の融点を有する異なる材料を使用することにより、糸条メッシュ構造体90への層110の結合が促進され得る。
【0037】
図6では、糸条メッシュ構造体90上に配置され、それに結合された層110を有する糸条メッシュ構造体90の一部分の拡大図が示されている。層110が糸条メッシュ構造体90の糸条52に接触する点における結合の例は、参照番号114で示される。
【0038】
層分配サブシステム100は、糸条メッシュ構造体90の糸条のセットを押し出す第1のツール即ち押出機72とは異なる第2のツール120を使用する。第2のツール120は、層110を分配する。いくつかの構成では、層分配サブシステム100は、前述の材料供給部70および押出機72と同様に、材料供給部130および押出機132を含む。層110は、溶融状態で分配されてもよい。いくつかの構成では、層分配サブシステム100は加熱装置136を含む。層分配サブシステム100は、漏斗および冷却タンクを省略してもよい。
【0039】
材料供給部130は、層110を形成する材料を保持する。いくつかの構成では、材料供給部130は、層110を形成するために押し出される材料、例えば、材料で作られた固体ビーズ、フレーク、顆粒、ペレットまたは粉末を保持する。他の構成では、材料供給部130は、層110を形成するために押し出されない材料を含むかまたは保持する。例えば、材料供給部130は、ロールから層110を分配してもよい。いくつかの実施形態では、層110は、ロールから糸条メッシュ構造体90上にフィルムを巻き戻すことによって分配される可撓性材料の予め製造されたフィルムまたは薄いシートである。そのような構成では、押出機132が省略され得ることが意図される。
【0040】
押出機132は、設けられている場合、材料ストックを溶融し、材料ストックを層110に押し出す。押出機132は、前述の押出機72と同様の構成を有してもよく、同様の様式で動作してもよい。押出機132によって分配される層110は、1つ以上の糸条、フィルム、または両方として構成され、その例は、以下でさらに詳細に論じられる。いくつかの構成では、押出機132は、溶融状態の材料を、溶融材料が通過する1つ以上の貫通孔または形成開口部を有する金型134に提供し、それによって、フィルムまたは糸条として層110を押出す。層110は、重力の下で糸条メッシュ構造体90上に下向きに落下する。
【0041】
いくつかの構成では、層分配サブシステム100および第2のツール120は静止しており、糸条メッシュ構造体90は層分配サブシステム100に対して移動する。例えば、糸条メッシュ構造体90は、糸条メッシュ構造体90を第2のツール120に対して移動させるコンベヤ上に配置されてもよい。
【0042】
いくつかの構成では、層分配サブシステム100および第2のツール120は、糸条メッシュ構造体90に対して移動する。例えば、第2のツール120は、糸条メッシュ構造体90に対して移動し、それによって、層110が、糸条メッシュ構造体90上の所望の場所または所望のパターンで分配されることを可能にし得る、可動プラットフォームまたはロボットマニピュレータ上に配置されてもよい。
【0043】
いくつかの構成では、層分配サブシステム100は、手持ち式または手動で操作される。例えば、第2のツール120は、ノズル140等の出口を通して層110を分配し得る、分配ガンまたは押出溶接機等の手持ち式デバイスであってもよい。材料供給部130は、第2のツール120に搭載されてもよく、または第2のツール120から遠隔に位置付けられてもよい。第2のツール120のノズル140は、層110が分配される糸条メッシュ構造体90の側面112の近くに配置されてもよい。第2のツール120上のスイッチまたはトリガは、第2のツール120を動作させ、ノズル140から層110を分配するように作動されてもよい。層110は、前述のように、1つ以上の糸条またはフィルムとして分配されてもよい。
【0044】
加熱装置136は、設けられている場合、糸条メッシュ構造体90を再加熱する熱エネルギーを提供する。糸条メッシュ構造体90の糸条52は、糸条52がループ状にされ結合されたときに予め加熱されているため、「再加熱」という用語が用いられる。加熱装置136は、任意の適切なタイプであり得る。例えば、加熱装置136は、糸条メッシュ構造体90に対して、空気等の加熱流体を吹き付けるか、または方向付けてもよく、電磁放射線を糸条メッシュ構造体90に方向付ける、などであってもよい。いくつかの構成では、加熱装置136は、層110が糸条メッシュ構造体90に結合される前に、糸条メッシュ構造体90を再加熱する。いくつかの構成では、加熱装置136は、糸条52の溶融温度に近づく温度、例えば溶融温度より5~50度C低い温度まで糸条52を加熱する。
【0045】
いくつかの構成では、加熱装置136は、押出機132の上流に配置され、糸条メッシュ構造体90上への層110の分配の直前またはそれと同時に、糸条メッシュ構造体90の糸条52を加熱する。いくつかの構成では、加熱装置136は、
図4に示されるように、層110を分配する第2のツール120とは離れている。他の構成では、加熱装置136は、
図5の第2のツール120を表す破線によって表されるように、第2のツール120を備える。加熱装置136は、隣接するノズルを通して層110及び加熱ガスを提供することができると考えられる。
【0046】
図7を参照すると、クッションを製造する方法の一例が示されている。クッションは、製造システム60を用いて製造される。
【0047】
ブロック200において、糸条メッシュ構造体90が形成される。糸条メッシュ構造体90は、糸条52を押出機72で押出し、糸条52を曲げ、カールさせ、またはループ状にすることによって形成され、これにより、各糸条52は、上述したように、少なくとも1つの他の糸条52に接触して結合する。
【0048】
ブロック202において、糸条メッシュ構造体90を冷却して、糸条メッシュ構造体90の形状を設定する。糸条メッシュ構造体90は、前述のように、冷却タンク76内の液体で冷却されてもよい。
【0049】
ブロック204において、層110は、糸条メッシュ構造体90上に分配される。層110は、前述のように、層分配サブシステム100によって分配される。層110は、層110が糸条メッシュ構造体90の1つ以上の糸条52に接触するように、糸条メッシュ構造体90の1つ以上の側面112上に分配される。
【0050】
ブロック206において、層110は、糸条メッシュ構造体90の糸条52のセットの少なくともいくつかの部材に結合する。例えば、層110は、糸条メッシュ構造体90の糸条52に接触し、熱を糸条52に伝達してもよい。その結果、伝達された熱は、糸条52を部分的に溶融し、接触点において糸条52に層110を接着または付着させる局所結合114を形成する。層110に接触しない糸条メッシュ構造体90の糸条52または糸条の領域は溶融されず、それによって、糸条メッシュ構造体90が、ある糸条52から別の糸条52に、またはある糸条52からそれ自体に新しい結合を生成することなく、その形状を維持または実質的に維持することを可能にする。
【0051】
ブロック208において、層110および糸条メッシュ構造体90が冷却される。層110および糸条メッシュ構造体90は、任意の好適な様式で冷却されてもよい。いくつかの構成では、層110および糸条メッシュ構造体90は、空気等のガスで冷却される。層110および糸条メッシュ構造体90は、水または水を含む混合物などの液体で冷却されてもよいことも意図される。層110及び糸条メッシュ構造体90を冷却すると、層110と糸条メッシュ構造体90との間の結合が凝固する。この時点で、層110および糸条52は、もはや塑性状態になく、したがって、概して、無負荷時に形状を維持し、再加熱されることなければ成形可能または再成形可能ではない。
【0052】
ここで、
図8~
図15cを参照して、層110の様々な例を説明する。これらの図では、糸条メッシュ構造体90は、簡素化のために平坦な側面を有する矩形ブロックとして描かれている。しかしながら、糸条メッシュ構造体90は、形が描かれたまたは湾曲した側面または側面の部分を有する非矩形構成を有してもよいことを理解されたい。突起、凹部、またはそれらの組み合わせは、1つ以上の側面を伴って提供されてもよい。凹部のいくつかの例は、ホール溝、スリット、堀などを含む。また、糸条メッシュ構造体90の側面112は、糸条メッシュ構造体90の共通の外側領域または外側境界に沿って配置される複数の糸条52の部分によって画定され、開口部または空隙は、ある糸条52が別の糸条52と接触しない場所で糸条52間の側面に沿って存在することも理解されたい。加えて、糸条メッシュ構造体90の側面は、これらの図では参照番号112で示されているが、明確にするために全ての側面に符号が付されているわけではない。
【0053】
図8~10を参照すると、1つ以上の糸条を含む層110の例が示されている。層110の糸条は、糸条メッシュ構造体90の糸条52のセットと区別するために、第2の糸条のセットと呼ばれる。
【0054】
図8では、層110は、直線状の構成を有する第2の糸条のセットを含む。間隙300は、第2の糸条のセットの隣接する部材間に設けられる。示される構成では、間隙300は、第2の糸条のセットの部材が互いに接触しないように、第2の糸条のセットの隣接する部材を分離する。第2の糸条のセットの部材は、1つ以上の離散点で第2の糸条のセットの少なくとも1つの他の部材と接触し得ることも意図される。そのような構成では、間隙は、第2の糸条のセットの隣接する部材の間に提供され、第2の糸条のセットの1つの部材は、第2の糸条のセットの隣接する部材に接触しない。
【0055】
図9では、層110は、非直線状の構成を有する第2の糸条のセットを含む。非直線状の構成は、層110が分配されるときに、層分配サブシステム100と糸条メッシュ構造体90との間の相対運動を採用することによって提供されてもよい。例えば、層分配サブシステム100は、糸条メッシュ構造体90に対して非直線状の経路に沿って移動してもよく、糸条メッシュ構造体90は、層分配サブシステム100に対して非直線状の経路または複数の軸に沿って移動してもよく、または、層分配サブシステム100および糸条メッシュ構造体90は、互いに対して異なる方向に移動して、非直線状の構成を有する第2の糸条のセットを提供してもよい。間隙300は、第2の糸条のセットの隣接する部材間に設けられる。示される構成では、間隙300は、糸条の第2のセットの部材が互いに接触しないように、第2の糸条のセットの隣接する部材を分離する。第2の糸条のセットの部材は、1つ以上の離散点で第2の糸条のセットの少なくとも1つの他の部材と接触し得ることも意図される。層110は、直線状および非直線状のセグメントを有する糸条、または直線状および非直線状の糸条の組み合わせを含み得ることが意図される。
【0056】
図10では、層110は、連続する第2の糸条のセットを含む。この構成では、第2の糸条のセットの各部材は、第2の糸条のセットの隣接する部材と連続的に接触している。そのような構成は、第2の糸条のセットの部材間に間隙を有さない層110を提供してもよい。その結果、層110は、空気不透過性であり得る。
図10では、直線状糸条を有する層110が描かれている。しかしながら、層110の糸条は、非直線状であってもよく、または1つ以上の構成において非直線状のセグメントを含んでもよいことが意図される。
【0057】
図11では、層110は、個々の糸条ではなくフィルム(例えば、薄い可撓性材料シート)を含む。いくつかの構成では、フィルムを含む層110は、例えばフィルムが1つ以上の細孔または開口部を有する場合など、空気透過性を有する。そのような構成は、空気が層110を通過することを可能にすることができ、これはクッションの換気を容易にすることができる。例えば、そのような構成は、加熱または冷却された空気が、負圧(すなわち、吸引)または正圧下で、糸条メッシュ構造体90および層110を通過することを可能にし、クッション上に配置される物体または乗員を加熱または冷却する、換気シートを提供してもよい。いくつかの構成では、フィルムを含む層110は、空気不透過性である。
図11では、層110は、糸条メッシュ構造体90の側面を完全に横断して延在し、それを覆うものとして図示されている。したがって、層110は、糸条メッシュ構造体90の1つの縁部310から別の縁部310まで延在する。いくつかの構成では、層110は、糸条メッシュ構造体90の側面の一部分上に配置され、それを横断して延在する。いくつかの構成では、層110は、糸条メッシュ構造体90の複数の側面または糸条メッシュ構造体90の複数の側面の部分にわたって延在する。
【0058】
図12において、層110は、フィルムおよび糸条を含む。層110のフィルムは、直線状に描かれており、フィルムが配置される糸条メッシュ構造体90の側面の縁部310から離間している。しかしながら、フィルムは、縁部から延在してもよく、異なる形状を備えてもよいことが意図される。層110の糸条は、
図9と同様の非直線状の構成で描かれている。しかしながら、層110の糸条は、直線状であってもよく、直線状の糸条と非直線状の糸条との組み合わせを含んでもよく、連続糸条を含んでもよく、層110のフィルムに接触するか又はそこから延びる糸条を含んでもよく、又はこれらの組み合わせを含んでもよいことが意図される。糸条メッシュ構造体90の側面の一部分、糸条メッシュ構造体90の側面全体、または糸条メッシュ構造体90の複数の側面上に配置されるフィルムとして層110を提供することは、製造日、ロット番号、部品番号等の製品特性を識別するためにバーコードまたは他の識別マーキングが印刷または適用され得る表面を提供してもよい。そのような識別マーキングは、糸条メッシュ構造体90の糸条52上に直接設けることが困難であり得る。
【0059】
図13では、層110は、糸条メッシュ構造体90の全ての側面ではなく、糸条メッシュ構造体90の複数の側面に配置される。糸条メッシュ構造体90は、側面のセットと呼ばれ得る複数の側面を有する。層110は、糸条メッシュ構造体90の側面のセットの2つの部材上に配置され、糸条メッシュ構造体90の縁部310にわたって延在するように示されている。縁部310に又は縁部310を覆って、層110を提供することは、糸条メッシュ構造体90の側面が交差する場所又は糸条メッシュ構造体90の異なる輪郭が接する場所でクッションを補強及び硬化させるのに役立ち得る。
【0060】
図14では、層110は、糸条メッシュ構造体90の全ての側面に配置される。したがって、層110は、糸条メッシュ構造体90を封入してもよい。いくつかの構成では、層110またはその一部は、空気不透過性である。層110が空気不透過性であるときなどのいくつかの構成では、少なくとも1つのポート320が層110に設けられる。ポート320は、空気が糸条メッシュ構造体90に出入りすることを可能にする。糸条メッシュ構造体90を封入する空気不透過層110を通るポート320を提供することにより、層110の内側の空気圧を周囲環境に対して変更することができる。例えば、空気は、ポート320を通して糸条メッシュ構造体90の中へ提供され、内圧を増加させ、またはクッションを膨張させてもよい。空気は、ポート320を介して糸条メッシュ構造体90を出て、内圧を減少させるか、またはクッションを収縮させることができる。圧力を減少させることは、層110が真空バッグとして作用することを可能にし、内部圧力は、糸条メッシュ構造体90に対して層110をよりしっかりと引っ張るために減少させられてもよく、これは、糸条メッシュ構造体90に対する層110の位置決めを維持するのに役立ち得、トリムカバー等の層110に取り付けられる構成要素の位置を維持するのに役立ち得る。ポート320は、所望の内圧が得られた後に内圧を維持するために閉鎖または封止され得る。
【0061】
層110は、複数の方法で糸条メッシュ構造体90の複数の側面に分配されてもよい。
【0062】
図15a~15cでは、糸条メッシュ構造体90を層分配サブシステム100に対して回転させることを含む、層110を分配する例が示されている。層分配サブシステム100の一部のみが、明確にするためにこれらの図に示されている。
【0063】
図15aでは、糸条メッシュ構造体90は、層110が糸条メッシュ構造体90の第1の側面に分配されている初期位置で示されている。層110は、層110が糸条メッシュ構造体90の糸条52に接触する糸条メッシュ構造体90の第1の側面に結合する。層110が分配されると、糸条メッシュ構造体90は、次いで、糸条メッシュ構造体90の第1の側面および随意に追加の側面に沿って層110を延在させるように、例えば軸330を中心として、回転させられる。これは、
図15aおよび
図15bを比較することによって最もよく理解される。
【0064】
図15bでは、糸条メッシュ構造体90は、
図15aに示す位置から軸330を中心に時計回りに90°回転して示されている。この回転は、糸条メッシュ構造体90が回転するにつれて層110が第1の側面の一部分に沿って延在し、次いで、第2の側面が、層分配サブシステム100によって分配されている場所と整合し、その下に位置付けられると、糸条メッシュ構造体90の第2の側面を横断して延在し始めることを可能にする。したがって、層110は、層110を第1の側面上に分配し、層110を糸条メッシュ構造体90の第1の側面に結合した後に、糸条メッシュ構造体90の追加の側面上に分配される。
【0065】
図15cでは、糸条メッシュ構造体90は、層110が糸条メッシュ構造体90の周りを包み、糸条メッシュ構造体90の第1の側面上に層110が分配された初期位置と交わるように、
図15aに示す位置から軸330を中心に反時計回りに360°回転して示されている。重なりが望ましくない場合、層110の分配を停止することができる。
【0066】
いくつかの構成では、層110が糸条メッシュ構造体90に結合した後、空気などの冷却流体を層110に吹き付けて、結合の凝固を促進し、糸条メッシュ構造体90が回転するときに層110の位置決めを維持するのを助けることができる。層110が分配される速度および糸条メッシュ構造体90が回転される速度は、層110に対して吹き付けられる冷却流体を使用することなく糸条メッシュ構造体90内の層110間の結合の凝固が充分に凝固することを可能にするために充分に遅くてもよいことも意図される。
【0067】
いくつかの構成では、糸条メッシュ構造体90は、糸条メッシュ構造体90の追加の側面に沿って層110を分配するように、別の軸の周りで回転させられてもよいことが意図される。例えば、長方形ブロックとして構成された糸条メッシュ構造体90を、軸330に垂直な軸の周りに回転させて、軸330が延在する糸条メッシュ構造体90の1つ以上の側面に沿って層110を分配することができる。
【0068】
項目1。糸条のセットを含む糸条メッシュ構造体と層とを有し、前記糸条のセットの各部材は、ループ状にされ、前記糸条のセットの少なくとも1つの他の部材と結合され、前記糸条メッシュ構造体は、第1の側面を画定し、前記層は、前記第1の側面上に配置され、前記糸条のセットの少なくともいくつかの部材に結合されているクッション。
【0069】
項目2。前記層は第2の糸条のセットを含む、項目1に記載のクッション。
【0070】
項目3。前記第2の糸条のセットの隣接する部材間に間隙が設けられている、項目2に記載のクッション。
【0071】
項目4。前記第2の糸条のセットは連続している、項目2に記載のクッション。
【0072】
項目5。前記層はフィルムを含む、項目1に記載のクッション。
【0073】
項目6。前記フィルムは空気不透過性である、項目5に記載のクッション。
【0074】
項目7。前記層が、前記第1の側面の一部分上に配置される、先行するいずれかの項目に記載のクッション。
【0075】
項目8。前記層は、前記第1の側面の縁部から延在する、項目7に記載のクッション。
【0076】
項目9。前記糸条メッシュ構造体は一組の側面を含む、先行するいずれかの項目に記載のクッションであって、前記第1の側面は、前記側面のセットの部材であり、前記層は、前記第1の側面に加えて前記側面のセットの少なくとも1つの部材上に設けられている。
【0077】
項目10。前記層が空気不透過性であり、空気が前記糸条メッシュ構造体に出入りすることを可能にするポートが前記層に設けられている、項目2、5、6のいずれか1つ、ならびに項目2、5、6のいずれか1つに従属する場合の項目7~9のいずれか1つに記載のクッション。
【0078】
項目11。前記糸条メッシュ構造体は側面のセットを備え、前記第1の面は前記側面のセットの部材であり、前記層は、前記側面のセットの全ての部材上に設けられている、項目10に記載のクッション。
【0079】
項目12。糸条のセットを押し出すステップと、糸条メッシュ構造体を形成するために、前記糸条のセットの各部材をループ形成し、前記糸条のセットの各部材を前記糸条のセットの少なくとも1つの他の部材に結合するステップと、前記糸条メッシュ構造体の形状を設定するために前記糸条メッシュ構造体を冷却するステップと、前記糸条メッシュ構造体の第1の側面上に層を分配するステップと、前記層を前記第1の側面に結合するステップとを含む方法。
【0080】
項目13。前記層を分配するステップは、前記層を溶融状態で分配するステップを含む、項目12に記載の方法。
【0081】
項目14。前記層を結合するステップの前に、前記糸条メッシュ構造体を再加熱するステップをさらに含む、項目12~13のいずれかに記載の方法。
【0082】
項目15。前記層は空気透過性である、項目12から14のいずれかに記載の方法。
【0083】
項目16。前記糸条メッシュ構造体および前記層は同じ材料で構成されている、項目12~15のいずれかに記載の方法。
【0084】
項目17。前記層は前記糸条メッシュ構造体に結合する第2の糸条のセットを含み、前記第2の糸条のセットの部材は前記糸条メッシュ構造体に接触している、項目12~16のいずれかに記載の方法。
【0085】
項目18。前記糸条のセットを押し出すステップは、第1のツールを用いて前記糸条のセットを押し出すステップを含み、前記層を分配するステップは、第2のツールを用いて前記層を分配するステップを含む、項目12から17のいずれかに記載の方法。
【0086】
項目19。前記層を前記第1の側面に結合した後に前記糸条メッシュ構造体を回転させるステップと、前記層を前記糸条メッシュ構造体の第2の側面上に分配し、前記層を前記糸条メッシュ構造体の第2の側面に結合するステップとをさらに含む、項目12から18のいずれかに記載の方法。
【0087】
項目20。前記層を前記第1の側面に結合した後に前記糸条メッシュ構造体を回転させるステップと、前記層を前記糸条メッシュ構造体のさらなる側面上に分配し、前記層を前記糸条メッシュ構造体の前記さらなる側面に結合し、それによって、前記糸条メッシュ構造体の周囲に空気不透過層を形成するステップとをさらに含む、項目12から19のいずれかに記載の方法。
【0088】
例示的な実施形態が上で説明されているが、これらの実施形態が本発明のすべての可能な形態を説明することは意図されていない。むしろ、本明細書で使用される用語は、限定ではなく説明の用語であり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得ることを理解されたい。さらに、様々な実施態様の特徴を組み合わせて、本発明のさらなる態様を形成することができる。
【外国語明細書】