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特開2024-180364バルーンカテーテルのための位置追跡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180364
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】バルーンカテーテルのための位置追跡
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20241219BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20241219BHJP
   A61B 5/06 20060101ALI20241219BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20241219BHJP
   A61M 25/095 20060101ALI20241219BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B5/287 300
A61B5/287
A61B5/06
A61M25/10
A61M25/095
A61B18/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024096536
(22)【出願日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】63/521,206
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】メイル・バル-タル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・オサドチー
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C160KK03
4C160KK47
4C267AA07
4C267BB02
4C267BB27
4C267BB42
4C267BB52
4C267BB62
4C267CC08
4C267CC19
4C267EE01
4C267HH11
(57)【要約】
【課題】カテーテルを位置追跡すること。
【解決手段】システムは、二次カテーテル及び一次カテーテルと、プロセッサとを含む。一次カテーテルは、患者の器官に挿入するためのシャフトと、シャフトの遠位端に配置された第1の位置センサと、シャフトの遠位端に結合された拡張可能アセンブリであって、アセンブリを介した二次カテーテルの遠位方向への通過を可能にする中空チャネルを備える、拡張可能アセンブリと、二次カテーテルの遠位端に沿って配置された複数の第2の位置センサであって、遠位端に沿ったそれぞれの複数の位置を指示するように構成されている、複数の第2の位置センサとを含む。プロセッサは、位置の指示を受信し、二次カテーテルの遠位端の既知の機械的特性のモデルを位置に適用して、アセンブリの内側の二次カテーテルの曲げプロファイルを計算し、計算された曲げプロファイルに基づいて、シャフトの遠位端に対するアセンブリの配向を推定する、ように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
二次カテーテルと、
一次カテーテルであって、
患者の器官に挿入するためのシャフトと、
前記シャフトの遠位端に配置された第1の位置センサと、
前記シャフトの前記遠位端に結合された拡張可能アセンブリであって、前記拡張可能アセンブリは、前記拡張可能アセンブリを介した前記二次カテーテルの遠位方向への通過を可能にする中空チャネルを備える、拡張可能アセンブリと、
前記二次カテーテルの遠位端に沿って配置された複数の第2の位置センサであって、前記二次カテーテルの前記遠位端に沿ったそれぞれの複数の位置を指示するように構成されている、複数の第2の位置センサと、を備える、一次カテーテルと、
プロセッサであって、
前記複数の位置の前記指示を受信し、
前記二次カテーテルの前記遠位端の既知の機械的特性のモデルを前記複数の位置に適用して、前記拡張可能アセンブリの内側の前記二次カテーテルの曲げプロファイルを計算し、
前記計算された曲げプロファイルに基づいて、前記シャフトの前記遠位端に対する前記拡張可能アセンブリの配向を推定する、ように構成されている、プロセッサと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記二次カテーテルの前記遠位端の遠位部分は、前記中空チャネルを出ると、予め成形されたラッソー形態を回復するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記位置センサのうちの1つ以上は、前記二次カテーテルの前記遠位端上に配置される磁気位置センサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記拡張可能アセンブリは拡張可能なバルーンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記二次カテーテルの既知の機械的特性の前記モデルは、(i)前記二次カテーテルの複数のセクションと、(ii)前記セクションの各々の長さと、(iii)先行するセクションに対する前記セクションの各々の相対回転を定義する回転行列と、(iv)前記二次カテーテル上の前記複数の位置と、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記二次カテーテルの少なくとも1つのセクションが前記拡張可能アセンブリの直線状剛性チャネルの内側に位置すると仮定することによって、前記二次カテーテルの前記遠位端の既知の機械的特性の前記モデルを適用するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記拡張可能アセンブリの前記配向をユーザに表示するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
方法であって、
患者の器官への挿入のためのシャフトの遠位端に配置された第1の位置センサから、及び二次カテーテルの遠位端に沿って配置された複数の第2の位置センサから、複数の位置の指示を受信することであって、前記シャフトの前記遠位端は、拡張可能アセンブリに結合され、前記拡張可能アセンブリは、前記拡張可能アセンブリを介した前記二次カテーテルの遠位方向への通過を可能にする中空チャネルを備える、ことと、
前記二次カテーテルの前記遠位端の既知の機械的特性のモデルを前記複数の位置に適用して、前記拡張可能アセンブリの内側の前記二次カテーテルの曲げプロファイルを計算することと、
前記計算された曲げプロファイルに基づいて、前記シャフトの前記遠位端に対する前記拡張可能アセンブリの配向を推定することと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記二次カテーテルの前記遠位端の遠位部分は、前記中空チャネルを出ると、予め成形されたラッソー形態を回復するように構成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記位置センサのうちの1つ以上は、前記二次カテーテルの前記遠位端上に配置される磁気位置センサである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記拡張可能アセンブリは拡張可能なバルーンである、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記二次カテーテルの既知の機械的特性の前記モデルは、(i)前記二次カテーテルの複数のセクションと、(ii)前記セクションの各々の長さと、(iii)先行するセクションに対する前記セクションの各々の相対回転を定義する回転行列と、(iv)前記二次カテーテル上の前記複数の位置と、を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記二次カテーテルの前記遠位端の既知の機械的特性の前記モデルを適用することは、前記二次カテーテルの少なくとも1つのセクションが前記拡張可能アセンブリの直線状剛性チャネルの内側に位置すると仮定することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記拡張可能アセンブリの前記配向をユーザに表示することを含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2023年6月15出願の米国特許仮出願第63/521,206号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、侵襲性医療用カテーテルに関し、具体的には、心臓カテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルなどの侵襲的な医療用プローブの形状のモデリングが、特許文献で以前に提案されている。例えば、米国特許第8,478,379号は、被験者の身体の内部でプローブの長さに沿って設けられた複数の点の、それぞれの見かけの座標を示す入力を受け取ることと、体内のプローブによってとられ得る形状に関するコスト関数を計算するために、プローブの既知の機械的特性のモデルを、見かけの座標に適用することと、を含むプローブ可視化方法を記載している。形状は、その費用関数に反応して選ばれ、プローブの長さに沿った点の訂正された座標が形状に基づいて生成される。次に、訂正された座標を使用してプローブの描写が表示される。
【0004】
別の例として、米国特許第8,478,383号は、被験者の身体の内部でプローブの長さに沿って設けられた複数の点の、それぞれの見かけ位置を示す入力を受け取ることと、体内のプローブによって想定され得る形状に関する第1のコスト関数を最小化するために、プローブの既知の機械的特性のモデルを、それぞれの見かけ位置に適用することとを含む方法を説明する。この方法は、最小化された第1の費用関数に応答して、ある形状を選択し、その形状に応答して、見かけ位置の初期座標を決定することと、見かけ位置と初期座標との差に関する第2の費用関数を最小化することと、最小化された第2の費用関数に基づいて、プローブの全長に沿った点の修正座標を生成することとを更に含む。
【0005】
以下の本開示の実施例の詳細な説明を図面と併せ読むことで、本開示のより完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の実施例による、電気生理学的(electrophysiology、EP)マッピング及びアブレーションを行うカテーテルベースのシステムの概略的な描画図である。
図2A】本開示の実施例による、2つの展開状態における、図1の一次カテーテルと、一次カテーテルを通って延在する二次カテーテルとの概略図である。
図2B】本開示の実施例による、2つの展開状態における、図1の一次カテーテルと、一次カテーテルを通って延在する二次カテーテルとの概略図である。
図3】本開示の一例による、図2のような二次カテーテルのモデル形状の概略図である。
図4】本開示の実施例による、二次カテーテルが展開されるときに図1のバルーンカテーテルを位置追跡及び可視化する方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
概要
本明細書に説明される本開示の実施例は、心臓の内側の心臓カテーテル等の器官の空洞内で、バルーン又はバスケットアセンブリ等の拡張可能アセンブリを備える一次カテーテルを位置追跡する(例えば、可視化する)手段を提供する。この一次カテーテルは、シャフトの遠位端に固定された拡張可能アセンブリを有する中空シャフトを有する。三軸センサ(TAS)などの第1の位置センサが、シャフトの遠位端に取り付けられて、遠位端の位置及び配向を示す。二次カテーテルは、拡張可能アセンブリを通って延在し、拡張可能アセンブリに対して移動してもよい。一次カテーテル
【0008】
一次カテーテルは、バルーンアセンブリ等の拡張可能な遠位端アセンブリを含む。二次カテーテルの以下に詳述される例は、ラッソー形状カテーテルである。ラッソー形状カテーテルは、拡張可能なバルーンアセンブリを通して遠位に同軸に前進させられる。
【0009】
医師は、二次カテーテルを用いて拡張可能アセンブリを操作してもよい。二次カテーテルは、治療又は診断のために、拡張可能アセンブリを所望の位置に誘導するのに役立つ。二次カテーテル(「ガイドカテーテル」とも呼ばれる)は、拡張可能アセンブリよりも可撓性が高く、かさばらない。これにより、心腔内での操作がより容易かつ安全になる。
【0010】
所望の位置(例えば、肺静脈の心門)が見つかると、拡張可能アセンブリは、その位置に向けられることができる。その位置及び/又は配向を追跡するために、二次カテーテルは、典型的には、その遠位端に複数の第2の位置センサ、例えば、磁気ベースのセンサである3つの単軸センサ(SAS)を含む。典型的には、二次カテーテルは、複数の電極を更に含む。いくつかの実施例では、二次カテーテルの遠位端は、湾曲しており、例えば、その拡張形状においてラッソー形状である。
【0011】
拡張可能アセンブリは、所望の位置の近傍で展開及び拡張される。電極の位置を追跡できることが重要であり、それにより、医師は、アブレーションがどこで発生するか、又は組織上のどこでEP信号が捕捉されるかを決定することができる。しかしながら、医師が拡張可能アセンブリを心臓組織に対して押圧すると、拡張可能アセンブリは偏向し得る。バルーン上の電極の位置は、偏向を伴わないそれらの位置と比較して、偏向に起因して有意に異なり得る。アセンブリが組織に押し付けられるとき、拡張可能アセンブリ上の電極の位置決めは、したがって、シャフトの遠位端上のTASから推測することができない。これは、シャフトの遠位端におけるTASが、シャフトに対するバルーンの偏向に関するいかなる情報も提供しないためである。
【0012】
開示される実施例は、拡張可能アセンブリの偏向を追跡するために、二次カテーテル上の位置センサを使用する。開示される追跡技術は更に、一次カテーテルの一部の機械的特性をモデル化すること、及び拡張可能アセンブリの配向を推定するためにモデルを解くために位置信号を使用することに基づく。
【0013】
開示される技術は、医療処置により(例えば、医師が拡張可能アセンブリを操作することにより)、かつ拍動する心臓の動きにより、二次カテーテルの形状が時間と共に変化するにつれて、二次カテーテルの形状をユーザに対して可視化する。シャフトに対する拡張可能アセンブリの偏向は、二次カテーテルの形状に基づいて決定される。
【0014】
いくつかの例では、器官内部のシャフトの遠位端に結合された拡張可能アセンブリを位置追跡する技術が提供される。追跡及び可視化は、拡張可能アセンブリがシャフトに対して屈曲し得る間に提供される。非固定位置センサ(一次カテーテルのモデル化された部分に固定されない)を使用するために、前述の米国特許第8,478,379号で提供されるカテーテル力学アルゴリズムを拡張するモデルが提供され、したがって、非固定位置センサは、一次カテーテルに対して摺動することができる。センサは、二次カテーテルに固定される。
【0015】
バルーン内の剛性チューブの内側の二次カテーテルセクションは、チューブの比較的小さい直径に対してほぼ直線のままであることが予想される。これは、機械モデルにおけるこのセクションの剛性特性を増加させることによってモデル化される。剛性特性は、このセクションを曲げるときにコスト関数がどれだけ増加するかを決定する。高い剛性は、高いコスト関数値をもたらし、したがって、コスト最小化の後、このセクションはほぼ直線のままである傾向がある。モデルが二次カテーテルをチューブ内で曲げることを可能にする程度は、二次カテーテルに対するチューブの相対直径によって定義される。
【0016】
いくつかの例では、3つのSASを含むラッソーカテーテルのモデルが提供される。近位磁気ベースの位置センサ(例えば、(TAS))は、ラッソーカテーテルが摺動するシャフトの遠位端に取り付けられる。完全に展開された形態において、ラッソーは、ほぼ直線状の近位ベース部分と、ラッソー形状を形成する湾曲した遠位部分とを有する。ラッソーベース部分がTASセンサのそばをスライドするとき、開示されたモデルのコスト関数の、米国特許第8,478,379号に規定されているような3つの自由パラメータ(決定されるべき)は、二次カテーテルの位置、配向、及び形状、並びに何らかの所定の位置に対するTASセンサの位置を表す。具体的には、米国特許第8,478,379号におけるパラメータに加えて、新しい自由パラメータである、TASを越えて遠位に摺動される二次カテーテルの部分の長さは、ある所定の位置(例えば、SAS位置のうちの1つ)に対するTASセンサの変位を表す。コスト関数は、全ての自由パラメータに関して最小化され、全てのセンサ測定値及びカテーテルの機械的特性に最も良く適合する二次カテーテル二次カテーテルの位置、配向及び形状を与える。
【0017】
カテーテル力学アルゴリズムフレームワークを使用して、二次カテーテル(一例では、二次カテーテルはラッソーカテーテルである)上の測定位置間を補間して、その形状を得る。バルーンを通って延在する二次カテーテルの推定された形状及び二次カテーテル上に取り付けられた位置センサの位置は、バルーン偏向がないという仮定の下で動作する代わりに、バルーン配向及び/又は偏向を推定及び/又は予測するために使用されてもよい。特に、SAS及びTASセンサに基づいてラッソー二次カテーテル形状を推定した後、プロセッサは、バルーンの位置及び配向を推定する。この目的のために、プロセッサは、ラッソー二次カテーテルがバルーンの中心遠位縁を通して延在するという事実と共に、バルーンの基部におけるTASセンサの既知の位置を使用する。
【0018】
SASの少なくとも1つが拡張可能アセンブリの内側の中空チャネルの内側にあるように、ラッソーが拡張可能アセンブリを通って部分的にのみ延在する場合、ラッソー二次カテーテル二次カテーテルの補間された部分がアセンブリの内側に少なくとも1つのSASを含むので、推定は更により正確である。
【0019】
システムの説明
図1は、本開示の実施例による、カテーテルベースの電気生理学的(EP)マッピング及びアブレーションシステム10の概略的な描画図である。
【0020】
システム10は、医師24によって、患者の血管系を通して心臓12の腔又は血管構造内へ経皮的に挿入される、複数のカテーテルを含む。
【0021】
典型的には、送達シース28カテーテルは、心臓12の所望の位置の近くの左心房又は右心房内へと挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シース28に挿入して、所望の位置に到達させることができる。挿入図45では、シャフト22を使用してシース28を介して心臓12の左心房46に挿入されたバルーンカテーテル14が示されている。
【0022】
複数のカテーテルは、心内電位図(intracardiac electrogram、IEGM)の検知、並びに/又は検知及びアブレーションの両方専用のカテーテルと、撮像カテーテルと、を含み得る。IEGMを感知し、かつ電気的アブレーションを実行するように構成された例示的なバルーンカテーテル14が本明細書に示されている。挿入図45に更に見られるように、医師24は、カテーテル14のシャフト22上に嵌合された拡張可能(例えば、バルーン)アセンブリ44を心臓壁と接触させて、肺静脈の心門47等の心臓12内の標的部位をアブレーションする。
【0023】
挿入図45に見られるように、ラッソーカテーテルの予め成形された形態をとったセクションを有する二次カテーテル二次カテーテル40は、拡張可能アセンブリ44の内側の中空チャネル(図2に示されるチャネル)を介してバルーンに遠位方向に通される。二次カテーテル二次カテーテルは、肺静脈の心門47にバルーンを誘導し位置決めするために使用される。加えて、二次カテーテル二次カテーテルの渦巻き部分は、心門の近傍の肺静脈の壁の周りのIEGMを取得するために、その上に配置された複数の感知電極(図示せず)を備える。
【0024】
挿入図65に見られるように、バルーンカテーテル14は、拡張可能アセンブリ44の周囲上に分配され、IEGM信号を検知してアブレーションを実行するように構成された、1つの、好ましくは複数の電極26を含む、例示的なカテーテルである。カテーテル14は、加えて、(i)拡張可能アセンブリ44の遠位に前進させられると、ラッソーカテーテルの事前形状をとるように構成され、概ね湾曲したベース部分(血液プール内では直線であり得る)及びラッソー渦巻き部分を有する、二次カテーテル二次カテーテル40と、(ii)二次カテーテル二次カテーテル40の遠位端上に配置される3つの磁気位置センサ128と、(iii)シャフト22の遠位端41の位置を追跡するため、及びシャフト22の遠位端の配向を追跡するために、拡張可能アセンブリ44の近傍でシャフト22の遠位端41上に配置される近位位置センサ29とを含む。
【0025】
更に図2に説明されている磁気ベースの位置センサ29及び128は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の磁気コイル32を含む位置パッド25と共に動作してもよい。磁気ベースの位置検知技術の詳細は、米国特許第5,5391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、同第6,892,091号に記載されている。
【0026】
システム10は、患者23の皮膚と接触して、位置パッド25の位置基準、並びに電極26のインピーダンスベースの追跡機能を確立するように位置決めされた、1つ以上の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に向けられ、電極皮膚パッチ38において検知され、それにより、各電極の場所を電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンスベースの位置追跡技術の詳細は、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載されている。
【0027】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)と、を表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含み得、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続され得る。
【0028】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部の1つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合された、アブレーションエネルギー発生器50を含み得る。アブレーションエネルギー発生器50によって生成されるエネルギーとしては、不可逆エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)をもたらすために使用され得るような単極性又は双極高性電圧DCパルスを含む、高周波(radiofrequency、RF)エネルギー若しくはパルス場アブレーション(pulsed-field ablation、PFA)エネルギー、又はそれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0029】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電力供給源と、システム10の動作を制御するためのワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテルと、位置パッド25と、体表面ECG電極18と、電極パッチ38と、アブレーションエネルギー発生器50と、レコーダ11と、を含み得る。任意選択で、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテル位置のリアルタイム計算を実施し、ECG計算を実行するための処理能力を追加的に含む。
【0030】
ワークステーション55は、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ57又は記憶装置を有するプロセッサ56ユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択で、(i)心内膜解剖学的構造を三次元(three-dimension、3D)でモデル化して、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイデバイス27上に表示するようにレンダリングすること、(ii)記録された電位図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20に重ね合わせられた代表的な視覚的表示又は画像で、ディスプレイデバイス27上に表示すること、(iii)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイムの位置及び配向を表示すること、及び(iv)アブレーションエネルギーが印加された位置などの関心部位をディスプレイデバイス27上に表示すること、を含む、複数の機能を提供し得る。システム10の要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.、31A Technology Drive,Irvine,CA,92618から入手可能なCARTO(商標)3システムとして入手可能である。
【0031】
スライドラッソー二次カテーテル二次カテーテルを有する位置追跡バルーンカテーテル
上述したように、一次カテーテルの一例はバルーンカテーテルである。二次カテーテルの一例は、ラッソー形状カテーテルである。上述したように、ラッソー形状カテーテルは、拡張可能なバルーンアセンブリを通って同軸状に延在する。
【0032】
上述したように、開示された技術の目的は、拡張可能アセンブリのそのシャフトに対する配向(又は偏向)を追跡することである。2つの例を説明する。
1.二次カテーテルに取り付けられた少なくとも1つのSASが拡張可能アセンブリ内にあるときを検出し、次いで、シャフトの配向(TASから分かる)とSASの配向とを比較することによって配向を決定する。
2.SASがアセンブリの外側にあるとき、全ての3つのSASの重心とTASの3D位置との間に仮想線を引き、その線の配向をTASの配向と比較することによって拡張可能アセンブリの配向を決定する。
【0033】
図2A及び2Bは、本開示の実施例による、2つの展開状態における、図1の一次カテーテル14と、一次カテーテル14を通って延在する二次カテーテル40との概略図である。
【0034】
一次カテーテル14は拡張可能なバルーンアセンブリ44を含み、二次カテーテル40はラッソー形状カテーテル40である。バルーンアセンブリ44に力が加えられていない状態でのバルーンアセンブリ44の配向は、長手方向軸62によって与えられ、長手方向軸62は、シャフト22の遠位端部41に平行な配向として定義される。したがって、軸62の配向はTAS29から分かる。見られるように、実際には、バルーン44は、軸62から外れて、例えば、シャフト22の遠位端41のそれに対して偏向された配向64に沿って偏向及び配向されてもよい。
【0035】
図2Aでは、二次カテーテル二次カテーテル40は、シャフト22を介して部分的に、例えば、二次カテーテル二次カテーテルが依然として拡張可能アセンブリ44の中空チャネル217の内側に完全にある点までのみ前進させられているのが見られる。図2Bでは、二次カテーテル二次カテーテル40は、シャフト22を介して完全に前進させられ、その結果、二次カテーテル二次カテーテル40の遠位端は、拡張可能なバルーンアセンブリ44の遠位に完全に展開され、その予め成形されたラッソー形態を回復している。
【0036】
カテーテル14は、バルーンカテーテルのシャフト22上に配置されたTAS29を含む。TAS29を使用して、プロセッサ56は、シャフトの遠位端の位置及び配向を3次元(3D)で追跡する。特に、TAS29からの信号を使用して、プロセッサ56は、位置パッド25によって定義される3D座標系における長手方向軸62の配向を決定することができる。
【0037】
バルーンカテーテルは、更に、バルーンの軸を通って取り付けられたラッソー二次カテーテルを含む。任意選択的に、ラッソーカテーテル82は、心腔内の電気生理学的(EP)信号を捕捉するために使用され得る1つ以上の電極を含む。ラッソーマッピングカテーテルは、例えば、ラッソーに取り付けられた電極129の位置を追跡するための3つのSAS128を含む(例えば、本出願の譲受人に譲渡された米国特許出願公開第2021/0001084号に記載されているように)。
【0038】
図2Aでは、二次カテーテル二次カテーテル40が部分的にのみ前進させられるとき、SASセンサ128は、依然として拡張可能アセンブリ44内の中空チャネル217の内側にある。プロセッサ56がSAS出力信号から偏向配向64を推定し、その後、シャフト22の遠位端に対する(例えば、配向62に対する)バルーン44の配向64を推論するためには、1つのSASが中空チャネル217の内側にあれば十分である。
【0039】
図示のように、偏向は、剛性チャネル217に沿った長手方向軸線にほぼ平行な配向64として概略的に示されている。図2Aの例では、二次カテーテル二次カテーテル40は、ほぼ直線的である。1つ以上のSASは、剛性チャネル217の既知の長さと比較したSAS位置とTAS29との間の推定距離に基づいて、バルーンの内側にあることが知られている。バルーン偏向の量は、TAS29及びSAS128からの読み取り値を使用して、剛性チャネル217の内側の二次カテーテル二次カテーテル40の偏向から推論される。
【0040】
図2Bでは、バルーン44の内側にある二次カテーテル二次カテーテル40のセクション80は、決定される偏向配向64に沿って直線である。典型的に湾曲した遠位セクション82は、バルーンの遠位先端部(例えば、球形を有するバルーンの遠位極)65と、ラッソーの中心点の推定平均位置66との間に位置する。位置66及び位置66における配向68(すなわち、配向58)は、ラッソー構成で展開されたときにSAS128によって提供される信号から推定される。
【0041】
配向64は、TAS29及びSASセンサ128の各々からの出力に基づいて二次カテーテル全体に適用される、以下の図3を使用して説明されるモデルを使用して推論される。SASes128の位置の重心66が推定される。
【0042】
バルーンカテーテル配向のモデル
図3は、本開示の一例による、図2等の二次カテーテルのモデル360形状の概略図である。モデル360において、点E、E、E及びEは、点M、M、M及びMの測定位置に基づいて位置センサの計算された位置を表す。Mデータ点は、二次カテーテルに固定されていないTAS29からのものであり、データ点M~Mは、SAS128からのものである。モデルが克服しなければならない任意の位置測定(例えば、1mm)に対する固有の精度制限がある。したがって、モデルは、シャフトに固定されていると仮定される点E1、E2、及びE3(測定値から推測される)を計算し、一方、点E0はシャフト上を摺動することができる。摺動の量はSとして表され、この例では、固定点E3までの(シャフト上の)距離を表す。本開示の一例によるコスト関数は、点EとMとの間の最良の一致を見つけるために使用される。モデル630は、回転(曲げ及びねじれ)を可能にする接合部368及び370で連結された直線状の剛体セクション362、364、及び366を含む。セクション362の位置は位置行列xによって記述され、セクション62の配向は行列oによって与えられる。
【0043】
配向行列oは、セクション362の局所的基準フレームであり、その{(x)の上の曲折アクセント}及び
【0044】
【数1】
軸は、セクション362に垂直であり、{(z)の上の曲折アクセント}軸は、セクション362に沿って向いている。セクション364は、セクション362の末端部から(すなわち、接続接合部368を介して)開始し、その配向は行列oによって与えられる。セクション366は、セクション364の末端部から(すなわち、接続接合部370を介して)開始し、その配向は行列oによって与えられる。行列o、o、及びoは、一次カテーテルの実際の状態(すなわち、形状)を記述し、外力は、一次カテーテルをその自由状態(すなわち、外力が一次カテーテルに印加されていない)から逸脱させる。モデル形状360は3つのセクションを含むが、別のモデル形状は、3つ未満又は4つ以上のセクションを備えてもよい。
【0045】
図2を参照すると、位置ベクトルx及び配向行列oは、それぞれTAS29及び配向62に関連する。位置ベクトルx及び配向行列oは、SAS128信号から計算された平均位置66及び配向68にそれぞれ関連する。位置ベクトルx及び配向行列o測定値は存在せず、以下の関連する式において0に重み付けされる。
【0046】
その形状に影響を及ぼす二次カテーテルの物理的特性は、パラメータ{N,L,G(d),P,及びS}によって定義され、式中、
N:セクション数。
:セクション長(等しい必要はない)、0≦k<N。
(d):偏向可能な一次カテーテルの偏向パラメータdの関数としての回転行列(又は予め成形された一次カテーテルのための定数行列)、1≦k<N。この行列は、外力が印加されていないとき(すなわち、一次カテーテルの自由形状)の、セクションkとセクション(k-1)との間の相対回転を表す。
:位置センサのリスト、例えば、セクションk上のSASであり、0≦k<Nである。各位置トランスデューサは、セクション開始からのその距離、そのタイプ(例えば、ACL電極、SAS又はTAS磁気センサ)によって表される。各セクションのリストには、ゼロ個を含めて任意の個数の位置トランスデューサが含まれ得る。
S:固定点からスライドセンサまでのシャフト上の距離
【0047】
二次カテーテルの物理的特性は、パラメータ{A,B}によって記述され、これらのパラメータは、それぞれ、曲げ及びねじれに対するセクションkとセクション(k-1)との間の接合部の抵抗(例えば、こわさ又は剛性)を表す。
【0048】
医師が患者内でカテーテルを移動させると、プロセッサは、規則的な間隔でセンサから位置信号を受信する。位置センサに基づく位置の各測定値について、プロセッサは、対応する位置測定値を生成し、位置測定値は、位置ベクトル(全てのタイプのトランスデューサ)、単軸センサ(SAS)及び/又は完全配向(TAS)を含むことができる。測定値パラメータとしては以下のものが挙げられる。
:位置測定。
or:配向測定。
【0049】
プロセッサは、コスト関数を適用して、一次カテーテルモデルと受信された位置データとの間の一致の品質を計算する。この適合は、モデルによる最小コストで一次カテーテルの形状を定義し、順に、位置トランスデューサの位置と対応する二次カテーテルの長さに沿った点の修正座標を与える。プロセッサによって決定されるような二次カテーテル状態は、その位置及び形状並びにその偏向値を記述する。状態は変数{x,r,d}によって与えられ、
:第1のセクションの開始点の位置(すなわち、図3中)。
:0<k<Nの場合は、セクションk-1に対するセクションkの配向、及びk=0の場合、第1のセクションの全体的な配向、
【0050】
【数2】
d:偏向パラメータの値(偏向可能な一次カテーテルの場合)。これらの値は、二次カテーテルの位置及び形状に影響しないが、コスト関数の計算に影響し、したがって二次カテーテル力学アルゴリズムの結果に影響する。
【0051】
プロセッサは、コスト関数の最小値(すなわち、最良の一致)を達成する最小コスト一次カテーテル状態を見つけるために、最小化アルゴリズムをコスト関数に適用する。
【0052】
コスト関数は、固有エネルギー、位置誤差、及び配向誤差の3つの部分を有する。最初に、プロセッサは、固有エネルギースコアを計算し、二次カテーテルの自由形状からのずれ(又は、偏向可能な一次カテーテルについては、偏向変数によりパラメータ化された一群の自由形状)を表す。接合部368及び370については、実際の相対配向と現在の偏向との間の配向差は、以下の式で計算される。
【0053】
【数3】
【0054】
プロセッサはこの配向の差を、曲げ及び捩り角度に変換する。
{α,β}=角度(dr) (2)
【0055】
プロセッサは、一次カテーテルモデルパラメータ{A,B}を使用して固有エネルギースコアを計算する。
【0056】
【数4】
【0057】
プロセッサは、位置誤差スコアを計算し、それは、一次カテーテルモデル及びプローブ状態により与えられる位置トランスデューサの場所と、実際の測定値との間の位置誤差を表す。プロセッサは、一次カテーテルモデル及び状態に従う位置センサの位置をEとして示し、対応する測定値をMとして示し、重み付けされた位置誤差を以下のように計算する。
【0058】
【数5】
ここで、Pは位置トランスデューサの数であり、wはアルゴリズムが実行されるときに調整される重みである。
【0059】
プロセッサは、配向誤差スコアを計算し、それは、一次カテーテルモデル及びプローブ状態により与えられる位置センサの位置と、受信された実際の測定値との間の配向誤差を表す。モデルによって表される、二次カテーテルに沿った様々な点の配向は、モデルの接合部(位置ではなく)で突然変化する不連続関数である。モデルに従って関連する全ての位置センサ
【0060】
【数6】
の配向を計算した後、プロセッサは、測定された配向
【0061】
【数7】
に対する角度差を計算する。
【0062】
【数8】
及び総加重配向誤差:
【0063】
【数9】
【0064】
次に、プロセッサは、3つの部分(すなわち、固有エネルギー、位置誤差、及び配向誤差)の重み付き組み合わせとしてコスト関数を計算する。
Cost(x,r,d)=λintint+λpospos+λoror (7)
【0065】
値{λint,λpos,λor}は、位置誤差及び配向誤差に対する、二次カテーテルの自由形状からのずれの相対重要度を表す。
【0066】
上述したように、プロセッサは、一次カテーテルモデルと受信された実際の測定値との間の最良の一致を達成するために、一次カテーテル状態変数に関して、関数コスト{x,r,d}を最小化する。最小化は、任意の好適な数値的方法により行うことができる。本開示の一例では、プロセッサは、Broyden-Fletcher-Goldfarb-Shanno(BFGS)最小化アルゴリズムを使用する。
【0067】
コスト関数最小化に反復アルゴリズムを使用し(すなわち、各アルゴリズムの反復により解の推定値が改善する)、二次カテーテルの位置及び形状が測定値間でゆっくりと変化するため、各一連の測定に対し、通常は、コスト関数最小化アルゴリズムの反復適用回数が1回のみで十分であることを、発明者らは見出した。
【0068】
バルーンカテーテル用の改良された位置追跡方法
図4は、本開示の実施例による、二次カテーテル40が展開されるときに図1のバルーン44カテーテル14を位置追跡及び可視化する方法を概略的に示すフローチャートである。医師は、シースを介して拡張可能アセンブリ44を患者の心腔内に挿入し、拡張可能アセンブリをその中で拡張させることによって、臨床処置を開始する。アルゴリズムは、提示された例によれば、モジュールロード工程402において、プロセッサ56にプレロードされた一次カテーテル偏向モジュールから始まるプロセスを実行する。典型的には、偏向モジュールは、マッピング及びアブレーションシステムの共通メニューにおいて利用可能である。
【0069】
次いで、プロセッサ56は、位置データ受信工程404において、一次カテーテル14及び二次カテーテル40のそれぞれの位置センサ29及び128から関連測定データを受信することができる。
【0070】
カテーテル位置決め工程406で、医師が、カテーテルを操作して、バスケットアセンブリの遠位部分に装着された電極を組織としっかりと接触させて、標的組織(例えば、肺静脈の心門)をアブレーションする。この段階で、TAS29とSAS128との間の距離Sが知られているので、プロセッサ56は、SASが拡張可能アセンブリ44の内側にあるときと外側にあるときとを識別することができる。
【0071】
最後に、一次カテーテル可視化工程408において、最小コストの一次カテーテル状態を決定した後、プロセッサは、心腔のマップをディスプレイ27上に提示し、空洞内のバルーン44の位置及び配向を示す。
【0072】
図4に示されるフローチャートは、単に概念を明確にする目的で選択されたものである。本実施例はまた、組織に対するバルーン44の接触力を推定することなどの、アルゴリズムの追加的な工程も含み得る。この工程及び他の可能な工程は、より単純化されたフローチャートを提供するために、本明細書における開示内容から意図的に省略されている。
【実施例0073】
(実施例1)
システム(10)は、二次カテーテル(40)と、一次カテーテル(14)と、プロセッサ(56)とを含む。一次カテーテル(14)は、(i)患者の器官に挿入するためのシャフト(22)と、(ii)シャフトの遠位端に配置された第1の位置センサ(29)と、(iii)シャフト(22)の遠位端に結合された拡張可能アセンブリ(44)であって、拡張可能アセンブリ(44)を介した二次カテーテル(40)の遠位方向への通過を可能にする中空チャネル(217)を備える、拡張可能アセンブリ(44)と、(iv)二次カテーテル(40)の遠位端に沿って配置された複数の第2の位置センサ(128)であって、二次カテーテル(40)の遠位端に沿ったそれぞれの複数の位置を指示するように構成されている、複数の第2の位置センサ(128)とを含む。プロセッサ(560)は、(i)複数の位置の指示を受信し、(ii)二次カテーテル(40)の遠位端の既知の機械的特性のモデルを複数の位置に適用して、拡張可能アセンブリ(44)の内側の二次カテーテル(40)の曲げプロファイルを計算し、(iii)計算された曲げプロファイルに基づいて、シャフト(22)の遠位端に対する拡張可能アセンブリ(44)の配向を推定する、ように構成されている。
【0074】
(実施例2)
二次カテーテル(40)の遠位端の遠位部分は、中空チャネル(217)を出ると、予め成形されたラッソー形態を回復するように構成されている、実施例1に記載のシステム(10)。
【0075】
(実施例3)
位置センサ(128)のうちの1つ以上は、二次カテーテル(40)の遠位端上に配置される磁気位置センサである、請求項1に記載のシステム(10)。
【0076】
(実施例4)
拡張可能アセンブリ(44)は拡張可能なバルーンである、請求項1に記載のシステム(10)。
【0077】
(実施例5)
二次カテーテル(40)の既知の機械的特性のモデルは、(i)二次カテーテル(40)の複数のセクション(362,364,366)と、(ii)セクションの各々の長さと、(iii)先行するセクションに対するセクションの各々の相対回転を定義する回転行列と、(iv)二次カテーテル(40)上の複数の位置と、を備える、請求項1に記載のシステム(10)。
【0078】
(実施例6)
プロセッサ(56)は、二次カテーテル(40)の少なくとも1つのセクション(362)が拡張可能アセンブリ(44)の直線状剛性チャネル(217)の内側に位置すると仮定することによって、二次カテーテルの遠位端の既知の機械的特性のモデルを適用するように構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【0079】
(実施例7)
プロセッサ(56)は、拡張可能アセンブリ(44)の配向をユーザに表示するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム(10)。
【0080】
(実施例8)
方法は、患者の器官への挿入のためのシャフト(22)の遠位端に配置された第1の位置センサ(29)から、及び二次カテーテル(40)の遠位端に沿って配置された複数の第2の位置センサ(1280から、複数の位置の指示を受信することであって、シャフト(22)の遠位端は、拡張可能アセンブリ(44)に結合され、拡張可能アセンブリ(44)は、拡張可能アセンブリ(44)を介した二次カテーテル(40)の遠位方向への通過を可能にする中空チャネル(217)を備えることを含む。二次カテーテル(40)の遠位端の既知の機械的特性のモデルを複数の位置に適用して、拡張可能アセンブリ(44)の内側の二次カテーテル(40)の曲げプロファイルを計算する。計算された曲げプロファイルに基づいて、シャフト(22)の遠位端に対する拡張可能アセンブリ(44)の配向が推定される。
【0081】
本明細書に記載の実施例は、主に心臓診断用途に対処するものであるが、本明細書に記載の方法及びシステムは、他の医療用途にも使用することができる。
【0082】
上に記載される実施例は例として挙げたものであり、本開示は本明細書の上記で特に図示及び記載されるものに限定されない点が理解されよう。むしろ、本開示の範囲は、本明細書の上記した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者に着想されるであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0083】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
二次カテーテルと、
一次カテーテルであって、
患者の器官に挿入するためのシャフトと、
前記シャフトの遠位端に配置された第1の位置センサと、
前記シャフトの前記遠位端に結合された拡張可能アセンブリであって、前記拡張可能アセンブリは、前記拡張可能アセンブリを介した前記二次カテーテルの遠位方向への通過を可能にする中空チャネルを備える、拡張可能アセンブリと、
前記二次カテーテルの遠位端に沿って配置された複数の第2の位置センサであって、前記二次カテーテルの前記遠位端に沿ったそれぞれの複数の位置を指示するように構成されている、複数の第2の位置センサと、を備える、一次カテーテルと、
プロセッサであって、
前記複数の位置の前記指示を受信し、
前記二次カテーテルの前記遠位端の既知の機械的特性のモデルを前記複数の位置に適用して、前記拡張可能アセンブリの内側の前記二次カテーテルの曲げプロファイルを計算し、
前記計算された曲げプロファイルに基づいて、前記シャフトの前記遠位端に対する前記拡張可能アセンブリの配向を推定する、ように構成されている、プロセッサと、
を備える、システム。
(2) 前記二次カテーテルの前記遠位端の遠位部分は、前記中空チャネルを出ると、予め成形されたラッソー形態を回復するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記位置センサのうちの1つ以上は、前記二次カテーテルの前記遠位端上に配置される磁気位置センサである、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記拡張可能アセンブリ(expendable assembly)は拡張可能なバルーンである、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記二次カテーテルの既知の機械的特性の前記モデルは、(i)前記二次カテーテルの複数のセクションと、(ii)前記セクションの各々の長さと、(iii)先行するセクションに対する前記セクションの各々の相対回転を定義する回転行列と、(iv)前記二次カテーテル上の前記複数の位置と、を備える、実施態様1に記載のシステム。
【0084】
(6) 前記プロセッサは、前記二次カテーテルの少なくとも1つのセクションが前記拡張可能アセンブリの直線状剛性チャネルの内側に位置すると仮定することによって、前記二次カテーテルの前記遠位端の既知の機械的特性の前記モデルを適用するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記プロセッサは、前記拡張可能アセンブリの前記配向をユーザに表示するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(8) 方法であって、
患者の器官への挿入のためのシャフトの遠位端に配置された第1の位置センサから、及び二次カテーテルの遠位端に沿って配置された複数の第2の位置センサから、複数の位置の指示を受信することであって、前記シャフトの前記遠位端は、拡張可能アセンブリに結合され、前記拡張可能アセンブリは、前記拡張可能アセンブリを介した前記二次カテーテルの遠位方向への通過を可能にする中空チャネルを備える、ことと、
前記二次カテーテルの前記遠位端の既知の機械的特性のモデルを前記複数の位置に適用して、前記拡張可能アセンブリの内側の前記二次カテーテルの曲げプロファイルを計算することと、
前記計算された曲げプロファイルに基づいて、前記シャフトの前記遠位端に対する前記拡張可能アセンブリの配向を推定することと、
を含む、方法。
(9) 前記二次カテーテルの前記遠位端の遠位部分は、前記中空チャネルを出ると、予め成形されたラッソー形態を回復するように構成されている、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記位置センサのうちの1つ以上は、前記二次カテーテルの前記遠位端上に配置される磁気位置センサである、実施態様8に記載の方法。
【0085】
(11) 前記拡張可能アセンブリは拡張可能なバルーンである、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記二次カテーテルの既知の機械的特性の前記モデルは、(i)前記二次カテーテルの複数のセクションと、(ii)前記セクションの各々の長さと、(iii)先行するセクションに対する前記セクションの各々の相対回転を定義する回転行列と、(iv)前記二次カテーテル上の前記複数の位置と、を備える、実施態様8に記載の方法。
(13) 前記二次カテーテルの前記遠位端の既知の機械的特性の前記モデルを適用することは、前記二次カテーテルの少なくとも1つのセクションが前記拡張可能アセンブリの直線状剛性チャネルの内側に位置すると仮定することを含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記拡張可能アセンブリの前記配向をユーザに表示することを含む、実施態様8に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4
【外国語明細書】