(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180366
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】位置センサを備えたアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F16H 61/32 20060101AFI20241219BHJP
F16H 63/34 20060101ALI20241219BHJP
B60T 13/74 20060101ALI20241219BHJP
H02K 7/06 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
F16H61/32
F16H63/34
B60T13/74 H
H02K7/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024096638
(22)【出願日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】102023000012471
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】520088694
【氏名又は名称】マレッリ・ユーロプ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARELLI EUROPE S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルデッリ,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ピチョッティ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ムゾレジ,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】スタンツァーニ,ジョヴァンニ
(72)【発明者】
【氏名】マルズッロ,マウリツィオ
【テーマコード(参考)】
3D048
3J067
5H607
【Fターム(参考)】
3D048BB02
3D048CC49
3D048HH18
3D048HH58
3D048HH66
3D048HH68
3D048HH70
3D048RR11
3D048RR17
3J067AA21
3J067AB23
3J067DA41
3J067DB32
3J067FA05
3J067FA56
3J067FA84
3J067FB45
3J067FB83
3J067GA01
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB04
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE36
5H607EE52
5H607HH01
5H607HH09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動車のパーキングブレーキモジュールに適用されるアクチュエータに関する。
【解決手段】アクチュエータ(4)は、モータ手段(16)とパーキングブレーキの作動装置(20)とに動作可能に接続されたコントロールロッド(12)を少なくとも部分的に収容する本体(8)であって、前記モータ手段(16)は、少なくとも第1の位置(A)から第2の位置(B)までの動作ストロークに沿って前記コントロールロッドを移動させるように構成されている、本体と、前記コントロールロッドに直接かつ一体的に結合されたアンテナ(28)であって、前記本体の内部に配置されているアンテナと、プリント回路(36)上に配置され、前記本体の内部に収容され、前記コントロールロッドと前記アンテナとに面する位置センサ(32)であって、前記アンテナの存在および位置を検出するように構成された位置センサと、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ手段(16)とパーキングブレーキの作動装置(20)とに動作可能に接続されたコントロールロッド(12)を少なくとも部分的に収容する本体(8)であって、前記モータ手段(16)は、少なくとも第1の位置(A)から第2の位置(B)までの動作ストローク(24)に沿って前記コントロールロッド(12)を移動させるように構成されている、本体(8)と、
前記コントロールロッド(12)に直接かつ一体的に結合されたアンテナ(28)であって、前記本体(8)の内部に配置されているアンテナ(28)と、
プリント回路(36)上に配置され、前記本体(8)の内部に収容され、前記コントロールロッド(12)と前記アンテナ(28)とに面する位置センサ(32)であって、前記アンテナ(28)の存在および位置を検出するように構成された位置センサ(32)と、を備えている、
アクチュエータ。
【請求項2】
前記コントロールロッド(12)は、主延長軸(X-X)を有し、且つ、前記主延長軸(X-X)に平行な軸方向に沿って移動可能である、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記アンテナ(28)は、前記主延長軸(X-X)に対して軸対称である、
請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記アンテナ(28)は、前記コントロールロッド(12)と同軸上に配置されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記アンテナ(28)は、少なくとも部分的に金属からなり、前記コントロールロッド(12)と同軸のリングである、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記アンテナ(28)は、圧入及び/又は接着によって前記コントロールロッド(12)に固定されている、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記アンテナ(28)は、前記コントロールロッド(12)における雄ねじ(60)が設けられた部分にキー止めされて螺合されている、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記アンテナ(28)は、前記コントロールロッド(12)に直接結合された、Grifax型リングなどのリングである、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記リングは、溝(68)によって相互に分離された複数の放射状の歯(64)を備え、
前記複数の放射状の歯(64)には、前記コントロールロッド(12)の雄ねじ(60)に螺合されるように複数の円弧状の端縁(72)が設けられている、
請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記リングは、前記コントロールロッド(12)の主延長軸(X-X)に対して軸対称である、
請求項8または請求項9に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記リングは軸対称であり、
前記リングと前記コントロールロッド(12)との間には、特定の角度方向への方向付けがなされており、
前記特定の角度方向への方向付けは、前記コントロールロッド(12)上に形成された平坦部(29)と、前記リング上に形成された平坦な当接部(30)との形状結合によって得られる、
請求項8または請求項9に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記アンテナ(28)は、金属部(48)が設けられた円筒状の支持体(44)を備える、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記金属部(48)は、金属コーティング、接着、インターロック、アンダーカット、溶接、CVD、PVDなどによって適用された金属箔および/または金属コーティングを備える、
請求項12に記載のアクチュエータ。
【請求項14】
前記位置センサ(32)は、前記コントロールロッド(12)に平行なプリント回路(36)上に配置されている、
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項15】
前記アンテナ(28)は、前記コントロールロッド(12)の主延長軸(X-X)を中心とする円筒形状を有し、
前記アンテナ(28)の半径(R)は、前記位置センサ(32)からの距離またはギャップ(G)よりも大きい、
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項16】
前記位置センサ(32)は、前記動作ストローク(24)に沿って全長に亘って前記アンテナ(28)の位置を検出可能なような、大きさを有し且つ位置に配置されている、
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項17】
前記コントロールロッド(12)は、回転並進運動を行うように構成されている、
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項18】
前記アンテナ(28)は、前記モータ手段(16)と前記位置センサ(32)との間で前記本体(8)の内部に配置されている、
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項19】
前記アンテナ(28)は、前記コントロールロッド(12)における前記本体(8)内に収容された内側端部(52)に固定されており、
前記コントロールロッド(12)の前記内側端部(52)は、前記コントロールロッド(12)における前記作動装置(20)に係合する外側端部(56)とは反対側に位置し、該外側端部(56)と一体化されている、
請求項1から請求項18のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項20】
前記アンテナ(28)は、前記コントロールロッド(12)の主延長軸(X-X)に平行な軸方向厚さ(T)を有し、
前記アンテナ(28)の前記軸方向厚さ(T)は、前記位置センサ(32)からのギャップ(G)以上である、
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載のアクチュエータを備えている、
パーキングブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置センサを備えたリニアアクチュエータなどのアクチュエータに関し、特に、自動車のパーキングブレーキモジュールに適用されるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用パーキングブレーキモジュールは、(典型的には、リニア式であり、ロッドを備えた)少なくとも1つのアクチュエータと、関連する運動機構とを備える。該運動機構は、ギアボックスを「パーキング」位置に配置することでロック解除され得る。
【0003】
パーキング構成は、車両の安全要件、特に、車両の車載式故障診断(OBD)に準拠する必要がある。言い換えれば、車両の電子機器は、パーキング機能の起こり得る誤動作を常に検出し得る必要がある。
【0004】
従来技術の解決策は、パーキングモジュール構成の間接的な測定または推定を伴う。言い換えれば、公知の解決策は、リニアアクチュエータの動作の運動機構(例えば、そのような運動機構の歯車またはピニオン)上におけるセンサの使用を伴う。したがって、車載電子機器は、アクチュエータの位置を推定することしかできず、運動機構の角度位置をチェックすることによって起こり得る異常を検出するしかない。
【0005】
しかしながら、この種の間接的なチェックは完全に信頼性があるわけではなく、場合によっては、例えば、センサによって監視される運動機構の下流で故障が発生した場合など、起こり得る故障の誤った報告やタイミングを逃した報告につながる可能性がある。
【0006】
さらに、従来技術の解決策は、しばしば機械的に複雑であり、これにより製造コストが高くなりやすい。
【0007】
簡単に言えば、従来技術の解決策は、コストがかかるとともに、車両の車載式故障診断に準拠(OBD準拠)していないため必ずしも信頼性が高くない。
【発明の概要】
【0008】
そこで、従来技術に関する上述の欠点および制限を解決することが求められている。
【0009】
このような要求は、請求項1に記載のアクチュエータによって満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として示される本発明の好ましい実施形態についての以下の説明からより理解しやすくなるであろう。
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係るアクチュエータを組み立て形態において示す斜視図である。
【
図2】
図1のアクチュエータを分解された形態で示す斜視図である。
【
図3】
図1のアクチュエータを組み立て形態において示す断面図である。
【
図4】
図1のアクチュエータにおけるアンテナ及び位置センサを示す斜視図である。
【
図5】
図4のアンテナ及び位置センサを、
図4に示す矢印Vの方向ら見た側面図である。
【
図6】関連センサがある動作位置に位置する状態におけるアクチュエータの側面図である。
【
図7】関連センサがある動作位置に位置する状態におけるアクチュエータの平面図である。
【
図8】関連センサが異なる動作位置に位置するそれぞれの状態におけるアクチュエータの平面図である。
【
図9】関連センサがある動作位置に位置する状態におけるアクチュエータの側面図である。
【
図10】本発明の別の実施形態に係るアクチュエータにおけるアンテナ及び位置センサを示す斜視図である。
【
図11】
図10のアンテナ及び位置センサを示す一部破断側面図である。
【
図13】本発明の別の実施形態に係るアクチュエータにおけるアンテナ及び位置センサを示す斜視図である。
【
図14】
図13のアンテナ及び位置センサを示す一部破断側面図である。
【0012】
以下に説明される実施形態に共通する要素または要素の一部は、同じ参照符号で示される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述の各図において、参照符号4は、全体として、本発明に係る車両のパーキングブレーキモジュールに適用するためのアクチュエータを示している。
【0014】
アクチュエータ4は、コントロールロッド12を少なくとも部分的に収容可能な本体8を備える。コントロールロッド12は、モータ手段16と、パーキングブレーキ(図示せず)の作動装置20とに動作可能に接続されている。
【0015】
好ましくは、作動装置20は、自動車のパーキングブレーキに動作可能に接続されるが、これに限定されるわけではない。ただし、前述の適用例は、本発明の目的を果たすための例示に過ぎず、包括的ではない。
【0016】
本体8は、蓋26によって閉じられる収容室(収容容積)22を画定する。本発明の目的のために、本体8及び蓋26は、任意の形状及び大きさを有してもよい。さらに、本体8及び蓋26は、種々の材料(例えば、金属材料、プラスチック材料、及び、これらの組み合わせ)から作製され得る。
【0017】
前記モータ手段16は、少なくとも第1の位置Aから第2の位置Bまでの動作ストローク24(
図8参照)に沿ってコントロールロッド12を移動させるように構成されている。モータ手段16は、好ましくは電気モータ(例えば、DC電気モータ)である。
【0018】
本発明の目的のために、動作ストローク24は、必ずしも直線である必要はなく、曲線であってもよいし、破線を含んでもよいし、さらには、曲線区分と直線区分との交互の繰り返しであってもよいことに留意されたい。
【0019】
例えば、コントロールロッド12は、運動機構(例えば、ねじとナットのねじ式結合部、ギア、アイドラーなどを含む機構)を介して、モータ手段16に動作可能に接続されている。
【0020】
典型的に、前記コントロールロッド12には、並進運動または回転並進運動が提供される。回転並進運動は、例えば、ねじとナットのねじ式の接続によって得られる。
【0021】
アクチュエータ4は、コントロールロッド12と直接かつ一体的に結合され(関連付けられ)たアンテナ28を備える。アンテナ28は、本体8の内部、すなわち、収容室(収容容積)22の内部に配置されている。アンテナ28は、コントロールロッド12を動かすように構成された前記運動機構の構成要素(部品)自体またはモータ手段16自体の情報ではなく、コントロールロッド12の位置(すなわち、動作状態)に関する情報を直接提供し得る。換言すると、作動装置20と相互作用(係合)するコントロールロッド12の位置(すなわち、動作状態)に関する直接的なフィードバックを得ることが可能になる。このフィードバックは、モータ手段16から始まる作動の連鎖における下流側に位置する作動装置20の動作状態を明確に提供する。
【0022】
したがって、従来技術の解決策のような中間の運動機構の状態ではなく、作動装置20の動作状態に関する絶対的に信頼し得るフィードバックを得ることが可能になる。したがって、この構成から得られるフィードバックは、作動装置20における下流側に配置された装置の動作診断に不可欠であることは明らかである。
【0023】
アクチュエータ4は、例えばプリント回路(又は、プリント回路基板ホルダ)36上に配置された位置センサ32を更に備える。位置センサ32は、本体8の内部、すなわち前記収容室22内に収容され、コントロールロッド12とアンテナ28とに面している。位置センサ32は、アクティブ式であり、電源手段(図示せず)(通常は、DC電源手段)によって電力が供給される。
【0024】
位置センサ32は、前記アンテナ28の存在および位置を検出するように構成されている。図示のように、アンテナ28の存在および位置は、コントロールロッド12と直接かつ一体的に関連付けられる。
【0025】
考え得る実施形態によれば、位置センサ32は、例えば前記コントロールロッド12に対して平行に、プリント回路(又は、プリント回路基板ホルダ)36上に配置される。
【0026】
図8に示すように、前記位置センサ32の大きさ及び配置は、前記動作ストローク24に沿って全長に亘ってアンテナ28の位置を検出可能に構成されている。例えば、
図8には、アンテナ28が第1ストロークエンド位置(第1の位置A)及び第2ストロークエンド位置(第2の位置B)にあることがそれぞれ示されている。
【0027】
好ましくは、アンテナ28は、本体8の内部、すなわち、収容室22の内部において、モータ手段16と位置センサ32との間に配置される。これにより、アンテナ28は、コントロールロッド12に関連付けられたアンテナ28の位置だけでなく、その存在自体も常に且つ直ちに検出し得る。
【0028】
したがって、本システム(アクチュエータ4)は、完全に信頼性が高く、運動機構の下流におけるあらゆる異常、ひいては、動作および/または動作状態の監視が必要とされる作動装置20に直接影響を及ぼすあらゆる異常を直ちに検出可能である。
【0029】
ここでいう異常とは、アンテナ28が対応するコントロールロッド12から外れること(当該事象は、位置センサ32がアンテナ28自体の存在を感知しなくなることによって直ちに検出され得る)と、アンテナ28の位置が異常であること(ひいては、作動装置20の動作形態が不適切であること)との両方を意味する。
【0030】
好ましくは、アンテナ28は、本体8の内部、すなわち収容室22内に収容されたコントロールロッド12の内側端部52に固定されている。コントロールロッド12の内側端部52は、前記作動装置20と相互作用(係合)する外側端部56とは反対側にあり、外側端部56と一体化されている。
【0031】
考え得る実施形態によれば、アンテナ28は、干渉(嵌合)(圧入)および/または接着によってコントロールロッド12に固定されている。
【0032】
好ましくは、アンテナ28は、コントロールロッド12の雄ねじ60が設けられた部分にキー止めされる。これにより、アンテナ28を雄ねじ60の部分にねじ込むだけで、コントロールロッド12に対するアンテナ28の軸方向の位置を調整することが可能になる。
【0033】
また、雄ねじ60は、軸方向のアンダーカット(切れ込み)を形成する。すなわち、雄ねじ60は、コントロールロッド12に対するアンテナ28の軸方向の位置を固定する。この目的のために、特別なストッパが用いられてもよい。該ストッパは、(位置センサ32による作動装置20の位置ないし動作状態の読み取りエラーにつながり得る)アンテナ28とコントロールロッド12との間の相対的な軸方向移動を防止するように構成される。
【0034】
前述のように、コントロールロッド12は、任意の幾何学的形状および任意の相対的な作動動作を有し得る。
【0035】
好ましくは、コントロールロッド12は、主延長軸(軸心)X-Xを有し、前記主延長軸X-Xに平行な軸方向に沿って移動可能であるが、これに限定されるものではない。
【0036】
考えられ得る実施形態(
図1~
図9)によれば、前記アンテナ28は、前記主延長軸X-Xに対して軸対称である。
【0037】
好ましい実施形態によれば、前記アンテナ28は、コントロールロッド12と同軸に配置される。同軸の配置とは、アンテナ28をコントロールロッド12に固定するための少なくとも1つの部分(固定部27)がコントロールロッド12自体と同軸であることを意味する。
【0038】
好ましくは、前記アンテナ28は、少なくとも部分的に金属からなるリングであり、コントロールロッド12と同軸に配置される。好ましくは、アンテナ28は、一体的に作られた単一のリングであり、コントロールロッド12に同軸でキー止めされる。
【0039】
好ましくは、前記アンテナ28は、コントロールロッド12に直接結合され(関連付けられ)たGrifax(商標名)型のリングである。
【0040】
前記リング(例えば、Grifax(商標名)型のリング)は、好ましくは、溝68によって相互に分離された複数の放射状の歯64を備える。放射状の歯64には、好ましくは、円弧状の端縁72が設けられる。放射状の歯64は、コントロールロッド12の雄ねじ60に相互作用(係合)し、ねじ込まれる。
【0041】
図示のように、前記リングは、コントロールロッド12の主延長軸X-Xに対して軸対称であってもよい(
図1~
図9)。このような軸対称構成では、前記リングの角度方向(角度位置)は無関係である。
【0042】
また、
図10~
図15に示すように、例えばアンテナ28として非対称のリングが設けられてもよい。このような実施形態において、非対称のリングには、コントロールロッド12に対する明確な角度方向(角度位置)が存在する。このような特定の角度方向(角度位置)への方向付けは、例えば、コントロールロッド12とリングの固定部(固定位置)27との間の形状的な結合によって得られる。例えば、このような形状的な結合は、コントロールロッド12上に形成された平坦部29を備える。平坦部29は、リング上に設けられた平坦な当接部30に結合する。
【0043】
考えられ得る実施形態によれば、前記アンテナ28は、円筒状の支持体44を備える。支持体44には、金属部48が巻き付けられ、例えば接着によって、金属箔の形態で取り付けられている。前記金属箔(金属部48)は、様々な方法(例えば、PVD(物理蒸着)及び/又はCVD(化学蒸着))で得られる金属コーティングとして適用されてもよい。概して、金属部48は、任意の形状および厚さを有してもよく、例えば、接着、インターロック、アンダーカット、溶接、CVD、PVDなどによって、コントロールロッド12に適用され得る。
【0044】
概して、前記アンテナ28は、前記主延長軸X-Xを中心とした円筒形状を有し、その半径Rが位置センサ32からの距離(ギャップ)Gよりも大きいことが好ましい。
【0045】
アンテナ28が円筒形状であることは、コントロールロッド12の動作ストローク24(ひいては、コントロールロッド12に接続されたアンテナ28の動作ストローク24)が回転並進型である場合に特に有用である。実際、アンテナ28が軸対称であるため、動作ストローク24中におけるアンテナ28の実際の回転角度に基づいて位置センサ32が信頼性の低い読み取り値を取得するリスクが回避される。
【0046】
好ましくは、アンテナ28における、主延長軸X-Xに平行な軸方向厚さTは、位置センサ32からのギャップ(隙間)G以上である。このような寸法設定により、位置センサ32によるアンテナ28の正確な検出が常に保証される。
【0047】
上記の説明から分かるように、本発明によって、従来技術で提示された欠点が克服され得る。
【0048】
特に、本発明に係るリニアアクチュエータは、パーキング機構と相互作用(係合)する末端コンポーネント(末端部品)の位置を直接測定するため、特に信頼性が高い。
【0049】
したがって、従来技術の解決策のようにアクチュエータの形態が間接的に推定されるのではなく、パーキング機能を作動または解除する運動機構の最終コンポーネント(最終部品)の位置が直接測定される。
【0050】
さらに、関連するコントロールロッドからアンテナが外れると、アンテナに隣接した位置センサによって直ちにアンテナの外れが検出される。
【0051】
また、アクチュエータは、製造および組み立てが特に簡単で安価である。
【0052】
実際、アンテナは、コスト効率が高く、市場で容易に入手できる非常に単純な金属製の「グリファックス」リングを使用して作成することができる。
【0053】
組み立て工程も、特に簡単でコスト効率に優れている。なぜなら、「Grifax」型のリング、又は、一般的に円筒形のアンテナは、コントロールロッド上に速やかにキー止めされ得るためである。アンテナは、その幾何学的形状のおかげでコントロールロッドによって自動的に支持されるため、自立型である。実際、アンテナは、コントロールロッドに同軸に取り付けられているため、コントロールロッド自体に対して放射状(径方向)のアンダーカット(切り下げ)を形成し、これにより、アンテナが外れることが防止される。前述のように、破損または外れが発生した場合、アンテナは、コントロールロッドから離れ、コントロールロッドから離れるアンテナの動きが位置センサによって直ちに検出される。
【0054】
したがって、本発明に係る解決策は、従来技術の解決策とは異なり、完全に「OBD(車載式故障診断)準拠」している。
【0055】
さらに、コントロールロッドに直接嵌合されてねじ込まれたリングを使用することで、コントロールロッドに対するアンテナの軸方向の位置、ひいては、位置センサの異なる位置に対するアンテナの軸方向の位置を変更可能になる。換言すると、特別な部品を製造する必要なく、コントロールロッドに対するアンテナの軸方向の位置を変えるだけで、ストロークエンドの位置を変更することが可能になる。
【0056】
なお、当業者であれば、以上の解決策にいくつかの変更および変形を加え得る。
【0057】
本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0058】
4 アクチュエータ
8 本体
12 コントロールロッド
16 モータ手段
20 作動装置
22 収容室
24 動作ストローク
26 蓋
27 固定部(固定位置)
28 アンテナ
29 平坦部
30 当接部
32 位置センサ
36 プリント回路(プリント回路基板ホルダ)
44 円筒状の支持体
48 金属部
52 内側端部
56 外側端部
60 雄ねじ
64 放射状の歯
68 溝
72 端縁
A 第1の位置
B 第2の位置
R 半径
G ギャップ
T 軸方向厚さ
X-X 主延長軸
【外国語明細書】