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特開2024-180372紫外線吸収組成物、紫外線吸収樹脂、及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180372
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】紫外線吸収組成物、紫外線吸収樹脂、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20241219BHJP
   C09D 127/12 20060101ALI20241219BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20241219BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20241219BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20241219BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C09K3/00 104Z
C09D127/12
C09D7/63
C09D175/04
C09K3/00 104C
C08L27/12
C08K5/29
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096971
(22)【出願日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】112122742
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516210676
【氏名又は名称】白金科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】成 詩宋
(72)【発明者】
【氏名】段 宏翰
(72)【発明者】
【氏名】朱 柏勳
(72)【発明者】
【氏名】張 家誠
(72)【発明者】
【氏名】陳 冠諭
(72)【発明者】
【氏名】張 仕琳
【テーマコード(参考)】
4J002
4J038
【Fターム(参考)】
4J002BD131
4J002BD141
4J002BD151
4J002BE041
4J002ER007
4J002EU076
4J002EU176
4J002EU186
4J002FD056
4J002FD147
4J002GH02
4J002HA08
4J038CD091
4J038DG191
4J038DG262
4J038GA12
4J038JB34
4J038KA03
4J038KA06
4J038PB07
4J038PB09
(57)【要約】
【課題】紫外線を効率よく吸収し、優れた可視光透過率を有し、安定性も高い、特定の組成を有する紫外線吸収樹脂の提供。
【解決手段】本開示は、紫外線吸収組成物の全重量に対して、35~45wt%のフルオロカーボン樹脂、5~25wt%のイソシアネート硬化剤、1~5wt%の紫外線吸収劑、及び残部の溶媒を含む紫外線吸収組成物を提供する。本開示は、さらに紫外線吸収樹脂、それを含む紫外線吸収構造、及びその製造方法を提供する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記紫外線吸収組成物の全重量に対して、35~45wt%のフルオロカーボン樹脂、5~25wt%のイソシアネート硬化剤、1~5wt%の紫外線吸収劑、及び残部の溶媒を含む、紫外線吸収組成物。
【請求項2】
前記フルオロカーボン樹脂は、式1で示されるフッ化エチレン繰り返し単位を含む、請求項1に記載の紫外線吸収組成物
[式中、X、X、X、及びXは、それぞれ独立して水素、フッ素、置換又は非置換のC-C12アルキル基、置換又は非置換のC-C12シクロアルキル基、置換又は非置換のC-C12アリール基であり、nは任意の正の整数であり、且つ、前記X、X、X、及びXの少なくとも1つはフッ素またはフッ素で置換された基である。]
【請求項3】
前記イソシアネート硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、上記ジイソシアネートの三量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエントリイソシアネート、リジントリイソシアネートからなる群の少なくとも1つである、請求項1に記載の紫外線吸収組成物。
【請求項4】
前記紫外線吸収劑は、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾドリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ケトン系化合物、サリチル酸誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1に記載の紫外線吸収組成物。
【請求項5】
前記イソシアネート硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)であり、前記紫外線吸収劑は、ベンゾドリアゾール系化合物であり、及び前記溶媒は、キシレンとブタノンとの混合溶媒である、請求項1に記載の紫外線吸収組成物。
【請求項6】
0.01wt%~2wt%の光安定剤をさらに含み、且つ前記イソシアネート硬化剤は、トルエンジイソシアネート(TDI)であり、前記紫外線吸収劑は、ベンゾドリアゾール系化合物であり、前記溶媒は、キシレンである、請求項1に記載の紫外線吸収組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の紫外線吸収組成物からなる紫外線吸収樹脂であって、フルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤、及び紫外線吸収劑を含み、前記紫外線吸収樹脂の波長が430~680nmの光線に対する平均透過率は85%以上であり、波長が380~410nmの光線に対する最大光透過率は1%以下であり、且つ、平均透過率は1%以下である、紫外線吸収樹脂。
【請求項8】
85℃及び85%湿度で500時間の高温高湿で試験後、波長が430~680nmの光線に対する平均透過率は85%以上であり、波長が380~410nmの光線に対する最大光透過率は1%以下であり、且つ、平均透過率は1%以下である、請求項7に記載の紫外線吸収樹脂。
【請求項9】
85℃及び85%湿度で1000時間の高温高湿試験後、波長が430~680nmの光線に対する平均透過率は85%以上であり、波長が380~410nmの光線に対する最大光透過率は1%以下であり、且つ、平均透過率は1%以下である、請求項7に記載の紫外線吸収樹脂。
【請求項10】
複数層の紫外線吸収樹脂層を含み、各前記紫外線吸収樹脂層は、請求項7に記載の紫外線吸収樹脂を含み、且つ、各層の前記紫外線吸収樹脂の前記イソシアネート硬化剤は互いに異なる、紫外線吸収構造。
【請求項11】
第一紫外線吸収樹脂層及び第二紫外線吸収樹脂層を含み、前記第一紫外線吸収樹脂層における前記イソシアネート硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)であり、前記第二紫外線吸収樹脂層における前記イソシアネート硬化剤は、トルエンジイソシアネート(TDI)である、請求項10に記載の紫外線吸収構造。
【請求項12】
厚みは2~200μmである、請求項10に記載の紫外線吸収構造。
【請求項13】
請求項1に記載の紫外線吸収組成物を基材の表面上に塗布する工程と、
前記紫外線吸収組成物を硬化させることで、紫外線吸収樹脂を得る工程とを含む、紫外線吸収樹脂の製造方法。
【請求項14】
前記紫外線吸収樹脂に紫外線吸収組成物を塗布と硬化を繰り返すことで、複数の紫外線吸収樹脂層を形成する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記塗布と硬化を繰り返す紫外線吸収組成物におけるイソシアネート硬化剤は、前記基材の表面上に塗布される紫外線吸収組成物におけるイソシアネート硬化剤とは異なる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記塗布は、スピンコーティング、ディッピングコーティング、キャストコーティング、プレーコーティング、ビーズコーティング、バーコーティング、ドクターナイフコーティングまたはスリットコーティングである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記硬化が100~150℃の温度で10~60分間行う、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特定の樹脂組成物から形成され、フルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤、紫外線吸収劑を含む紫外線吸収樹脂に関し、且つ、複数の紫外線吸収樹脂層を含む紫外線吸収構造にも関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線への長期暴露は装置に悪影響を及ぼすため、センサ素子、パソコン、通信製品、消費者向け電子製品、及び自動車用製品等装置には、通常、紫外線をカットできる素子、例えば、光学装置に広く用いられている紫外線フィルターが設けられる。光学装置におけ紫外線フィルターには、一般に紫外線に対して顕著なカット効果があり、可視光に対して良好な透過率を示すことが要求される。
【0003】
紫外線フィルターのフィルター効果は、使用時間の経過とともに悪化する可能性があり、基材にてその中の紫外線吸収剤を保護し、紫外線耐性・安定性を向上させる必要がある。公知技術には、エポキシ樹脂とアクリル樹脂を主な樹脂層として使用することで、その中の紫外線吸収剤を保護することが報告されている。しかし、試験により、この紫外線フィルターは、1000時間の紫外線耐性試験を通過できず、その性能を向上させる必要がある。一方、それらの樹脂を使用する場合、プロセス温度が高いため、塗布による成膜の場合では、基材も高温に耐える必要があり、基材の選択性が制限され、市場に広げて応用することができない。
【発明の概要】
【0004】
上記の問題に対して、本開示は、例えば乾燥、硬化等の処理を経て紫外線吸収樹脂を形成できる紫外線吸収組成物を提供し、紫外線吸収組成物は、保護機能を有するフルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤、紫外線吸収劑、及び溶媒を含む。
【0005】
本開示の紫外線吸収組成物において、紫外線吸収組成物の全重量に対して、フルオロカーボン樹脂は35~45wt%であり、イソシアネート硬化剤は5~25wt%であり、紫外線吸収劑は1~5wt%であり、溶媒は残部である。
【0006】
一つの実施態様において、フルオロカーボン樹脂は、式1で示されるフッ化エチレン繰り返し単位を含み、
式中、X、X、X、及びXは、それぞれ独立して水素、フッ素、置換又は非置換のC-C12アルキル基、置換又は非置換のC-C12シクロアルキル基、置換又は非置換のC-C12アリール基であり、nは、任意の正の整数であり、前記X、X、X、及びXのうちの少なくとも1つは、フッ素またはフッ素で置換された基である。
【0007】
一つの実施態様において、フルオロカーボン樹脂は、フッ化エチレン繰り返し単位とは異なる第二繰り返し単位をさらに含む。
【0008】
一つの実施態様において、イソシアネート硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、上記ジイソシアネートの三量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエントリイソシアネート、リジントリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1つである。
【0009】
一つの実施態様において、紫外線吸収劑は、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾドリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ケトン系化合物、サリチル酸誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つである。
【0010】
一つの実施態様において、紫外線吸収組成物は、溶剤をさらに含む。もう一つの実施態様において、紫外線吸収組成物は、光安定剤をさらに含む。
【0011】
一つの実施態様において、紫外線吸収組成物は、フルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、紫外線吸収劑としてのベンゾドリアゾール系化合物、並びに溶媒としてのキシレン及びブタノンを含む。
【0012】
一つの実施態様において、紫外線吸収組成物は、0.01wt%~2wt%の光安定剤、フルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤としてのトルエンジイソシアネート(TDI)、紫外線吸収劑としてのベンゾドリアゾール系化合物、及び溶媒としてのキシレンを含む。
【0013】
さらに、本開示は、本開示に記載の紫外線吸収組成物からなる紫外線吸収樹脂を提供する。
【0014】
一つの実施態様において、紫外線吸収樹脂は、フルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤、及び紫外線吸収劑を含む。
【0015】
一つの実施態様において、紫外線吸収樹脂のフルオロカーボン樹脂は、式1で示されるフッ化エチレン繰り返し単位を含み、
式中、X、X、X、及びXは、それぞれ独立して水素、フッ素、置換又は非置換のC-C12アルキル基、置換又は非置換のC-C12シクロアルキル基、置換又は非置換のC-C12アリール基であり、nは、任意の正の整数であり、前記X、X、X、及びXのうちの少なくとも1つは、フッ素またはフッ素で置換された基である。
【0016】
一つの実施態様において、紫外線吸収樹脂のイソシアネート硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、上記ジイソシアネートの三量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエントリイソシアネート、リジントリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1つである。
【0017】
一つの実施態様において、紫外線吸収樹脂の波長が430~680nmの光線に対する平均透過率は85%以上であり、及び波長が380~410nmの光線に対する最大光透過率は1%以下であり、且つ、平均透過率は1%以下である。
【0018】
一つの実施態様において、紫外線吸収樹脂は、85℃及び85%湿度で500時間の高温高湿試験後、波長が430~680nmの光線に対する平均透過率は85%以上であり、及び波長が380~410nmの光線に対する最大光透過率は1%以下であり、且つ、平均透過率は1%以下である。
【0019】
一つの実施態様において、紫外線吸収樹脂は、85℃及び85%湿度で1000時間の高温高湿試験した後、波長が430~680nmの光線に対する平均透過率は85%以上であり、及び波長が380~410nmの光線に対する最大光透過率は1%以下であり、且つ、平均透過率は1%以下である。
【0020】
さらに、本開示は、複数層の紫外線吸収樹脂層を含む紫外線吸収構造を提供し、各紫外線吸収樹脂層は、本開示に記載される紫外線吸収樹脂を含有し、各層の紫外線吸収樹脂のイソシアネート硬化剤は互いに異なる。
【0021】
一つの実施態様において、紫外線吸収構造の各紫外線吸収樹脂層は、本開示に記載される紫外線吸収組成物から製造される。
【0022】
一つの実施態様において、紫外線吸収構造は、二つの紫外線吸収樹脂層を含み、第一紫外線吸収樹脂層のイソシアネート硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)であり、且つ、第二紫外線吸収樹脂層におけるイソシアネート硬化剤は、トルエンジイソシアネート(TDI)である。
【0023】
一つの実施態様において、紫外線吸収構造の各紫外線吸収樹脂層は、1~100μmの厚みを有する。もう一つの実施態様において、紫外線吸収構造は、2~200μmの厚さを有する。
【0024】
本開示は、本明細書に記載の紫外線吸収組成物を基材の表面上に塗布する工程と、当該紫外線吸収組成物を硬化させることで、紫外線吸収樹脂を得る工程を含む紫外線吸収樹脂の製造方法も提供する。
【0025】
一つの実施態様において、紫外線吸収樹脂の製造方法は、紫外線吸収樹脂層に紫外線吸収組成物を塗布と硬化を繰り返すことで、複数の紫外線吸収樹脂層を形成する工程をさらに含み。
【0026】
一つの実施態様において、塗布と硬化を繰り返す紫外線吸収組成物におけるイソシアネート硬化剤は、前記基材の表面上に塗布される紫外線吸収組成物のイソシアネート硬化剤とは異なる。
【0027】
一つの実施態様において、基材は、ガラスまたはトリアセチルセルロースフィルムである。
【0028】
一つの実施態様において、塗布は、スピンコーティング、ディッピングコーティング、キャストコーティング、プレーコーティング、ビーズコーティング、バーコーティング、ドクターナイフコーティングまたはスリットコーティングである。
【0029】
一つの実施態様において、硬化は、100~150℃の温度で10~60分間行う。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A図1Aは、本開示の紫外線吸収樹脂を含む最終製品の構造模式図である。
図1B図1Bは、本開示の紫外線吸収樹脂(紫外線吸収構造)を含むもう1つの最終製品の構造模式図である。
図2図2は、各種のベース樹脂はQUV-A(Q-Lab ultraviolet accelerated)紫外線照射装置で照射した後の光沢保持(gloss retention)率である。
図3A図3Aは、各種のイソシアネート硬化剤を含有する紫外線吸収樹脂の紫外線耐性試験における透過率曲線図である。HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート、IPDI:イソホロンジイソシアネート、XDI:キシレンジイソシアネート、TDI:トルエンジイソシアネート。T:紫外線照射0時間、T240:紫外線照射240時間。
図3B図3Bは、各種のイソシアネート硬化剤を含有する紫外線吸収樹脂の高温高湿(high temperature high humidity、HTHHを略記する)耐候性試験における透過率曲線図である。HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート、IPDI:イソホロンジイソシアネート、XDI:キシレンジイソシアネート、TDI:トルエンジイソシアネート。T:紫外線照射0時間、T500:紫外線照射500時間。
図4A図4Aは、実施例1、実施例2及び比較例3の紫外線吸収樹脂の紫外線耐性試験における透過率曲線図である。T:紫外線照射0時間、T240:紫外線照射240時間、T1000:紫外線照射1000時間。
図4B図4Bは、実施例1、実施例2及び比較例3の紫外線吸収樹脂の高温高湿耐候性試験における透過率曲線図である。T:紫外線照射0時間、T500:紫外線照射500時間。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、特定の具体的な実施例により本開示の実施態様を説明するが、当業者は、本明細書に記載の内容から本開示の範囲及び効果を容易に理解できる。
【0032】
予め知っておくべきことについて、本明細書に添付の図面に示す構造、比例、サイズ等は、いずれも明細書の記載内容に合わせて、当業者に理解や閲覧させるためのものであり、本発明の実施可能の限定条件を限定するためのものではなく、技術上では実質的な意味を有せず、任意の構造の修飾、比例関係の変更又はサイズの調整は、本発明が奏する効果及び達成できる目的に影響を与えない限り、本発明に開示された技術内容でカバーできる範囲内に入る。また、本明細書に使用の「上」、「第一」、「第二」等の用語は、記載を明確にするためのものであり、本発明の実施可能の範囲を限定するためのものではなく、その相対的関係の変更又は調整は、技術内容を実質的に変更しない限り、本発明の実施可能の範囲と見なされる。
【0033】
本明細書において、特定の要件を「含む」、「含有する」、または「有する」と記載する場合、特に説明のない限り、他の要素、組成成分、構造、領域、部位、装置、システム、工程または連接関係などの要件を含んでもよく、これらの他の要素を排除するではない。
【0034】
本明細書において、特に明記しない限り、本明細書に記載の単数形の「1つ」及び「当該」というのは、複数形も含み、また、本明細書に記載の「または」と「及び/または」は、交換可能に使用される。
【0035】
本明細書に記載の数値範囲は、包括的であり、組み合わせることができ、本明細書に列挙された範囲内に入る任意の数値は、最大値または最小値としてサブ範囲などを導き出すことができる。例えば、「5~25」の数値範囲には、端点5と端点25との間の任意のサブ範囲が含まれると理解されるべき、例えば、5~15、10~25、10~15…等のサブ範囲である。また、数値が本明細書に記載される各範囲内(例えば、最大値と最小値との間)にある場合、本開示の範囲内に含まれるとみなされる。
【0036】
本開示の第一態樣は、フルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤、紫外線吸収劑、及び溶媒を含む紫外線吸収組成物である。
【0037】
前記フルオロカーボン樹脂は、主にベース樹脂をとし、その中の紫外線吸収劑を保護する。例示的なフルオロカーボン樹脂は、フッ化エチレン繰り返し単位、例えば、モノフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンを含むが、これらに限定されるものではない。一方、フッ化エチレン繰り返し単位は、フッ素原子で置換された以外、他の基で置換されてもよく、または修飾、グラフト等をされてもよく、多様化された側鎖を有する。例えば、フッ化エチレンの水素原子はアルキル基で置換されて側鎖を有し、フッ化エチレン繰り返し単位がフッ素化プロピレン繰り返し単位、フッ素化ブテン繰り返し単位、フッ素化スチレン繰り返し単位等となる。

【0038】
一つの実施態様において、前記フルオロカーボン樹脂は、式1で示されるフッ化エチレン繰り返し単位を含み、
式中、X、X、X、及びXは、それぞれ独立して水素、フッ素、置換又は非置換のC-C12アルキル基、置換又は非置換のC-C12シクロアルキル基、置換又は非置換のC-C12アリール基であり、nは、任意の正の整数であり、X、X、X、及びXのうちの少なくとも1つは、フッ素かフッ素で置換された基である。
【0039】
前記C-C12アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基であり、前記C-C12シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基であり、前記C-C12アリール基は、例えば、フェニル基、フェニル基、ナフチル基である。前記置換は、例えば、水素原子がフッ素、C-C12アルキル基、C-C12シクロアルキル基、C-C12アリール基等の置換基で置換される。
【0040】
一つの実施態様において、フルオロカーボン樹脂は、フッ化エチレン繰り返し単位とは異なる第二繰り返し単位をさらに含む。
【0041】
一つの実施例において、フルオロカーボン樹脂は、ポリフルオロエチレン(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、パーフルオロアルコキシ重合体(PFA)またはフッ化エチレンプロピレン(FEP)である。
【0042】
一つの実施例において、第二繰り返し単位は、アルキルビニルエーテルの繰り返し単位である。さらにもう一つの実施例において、フルオロカーボン樹脂は、ペルフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)型フルオロカーボン樹脂であり、式1におけるX、X、及びXはフッ素、Xは置換又は非置換のC-C12アルキル基、置換又は非置換のC-C12シクロアルキル基、置換又は非置換のC-C12アリール基であり、且つ、アルキルビニルエーテルの繰り返し単位は-[CHR-CHOR]-であり、R及びRは水素、置換又は非置換のC-C12アルキル基、置換又は非置換のC-C12シクロアルキル基である。
【0043】
前記イソシアネート硬化剤は、本開示において、紫外線吸収組成物を硬化させる機能に加え、得られる紫外線吸収樹脂に耐光、及び耐高温高湿を付与する機能も役立たつ。前記イソシアネート硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、上記ジイソシアネートの三量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエントリイソシアネート、リジントリイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1つを使用できる。一つの実施例において、前記イソシアネート硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である。もう一つの実施例において、前記イソシアネート硬化剤は、トルエンジイソシアネート(TDI)である。
【0044】
前記紫外線吸収劑は、本開示において主に波長が380~410nmの光線を吸収し、紫外線の光エネルギーを熱エネルギーまたは他の非破壊性の長い波長に変換できることにより、装置を効果的に保護して紫外線の干渉及び損傷を回避する。適用の装置は、例えば、センサ素子、パソコン、通信製品、消費者向け電子製品、及び自動車用製品、ならびに長時間紫外線に長期間曝露される装置である。前記紫外線吸収劑は、アゾメチン系化合物、インドール系化合物、ベンゾドリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ケトン系化合物、サリチル酸誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1つを使用できる。一つの実施態様において、前記紫外線吸収劑は、ベンゾドリアゾール系化合物である。
【0045】
一つの実施態様において、本開示の紫外線吸収組成物は、主に本開示の紫外線吸収組成物の紫外線による光酸化分解の領域を補修し、前記紫外線吸収劑を補助する、光安定剤をさらに含むことができる。前記光安定剤は、ヒンダードアミン光安定剤(hindered amine light stabilizers、HALS)を使用でき、具体的には、単一分子型ヒンダードアミン光安定剤、ポリマー型ヒンダードアミン光安定剤または低アルカリ性型ヒンダードアミン光安定剤、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン誘導体を使用できる。
【0046】
本開示において、紫外線吸収組成物の全重量に対して、フルオロカーボン樹脂は35~45wt%であり、イソシアネート硬化剤は5~25wt%であり、紫外線吸収劑は1~5wt%であり、残部は溶剤である。一つの実施態様において、前記フルオロカーボン樹脂の重量は、35~45wt%であり、35wt%、36wt%、37wt%、38wt%、39wt%、40wt%、41wt%、42wt%、43wt%、44wt%及び/または45wt%を含むが、これらに限定されるものではない。一つの実施態様において、前記イソシアネート硬化剤の重量は、5~25wt%であり、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%、11wt%、12wt%、13wt%、14wt%、15wt%、16wt%、17wt%、18wt%、19wt%、20wt%、21wt%、22wt%、23wt%、24wt%及び/または25wt%を含むが、これらに限定されるものではない。一つの実施態様において、前記紫外線吸収劑の重量は、1~5wt%であり、1wt%、1.5wt%、2wt%、2.5wt%、3wt%、3.5wt%、4wt%、4.5wt%及び/または5wt%を含むが、これらに限定されるものではない。
【0047】
一つの実施態様において、紫外線吸収組成物の溶媒は限定されず、公知の溶媒を選択でき、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、スルホラン等を含むが、これらに限定されるものではない。具体的には、前記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等である。前記ケトン類としては、例えば、アセトン、ブタノン等である。前記エステル類としては、例えば、ギ酸アルキル、酢酸アルキル、プロピオン酸アルキル、ブタン酸アルキル、乳酸アルキル、アルコキシ乙酸アルキル、3-アルコキシプロピオン酸アルキル、2-アルコキシプロピオン酸アルキル、2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル、アセトン酸アルキル、アセト酢酸アルキル、2-オキソブタン酸アルキル等である。前記エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。前記ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等である。前記芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等である。一つの実施態様において、前記溶媒は、キシレンとブタノンとの混合溶媒である。もう一つの実施態様において、前記溶媒は、キシレンである。
【0048】
一つの実施態様において、本開示の紫外線吸収組成物における溶媒の重量は、限定されないが、例として、紫外線吸収組成物の全重量に対して、溶媒の重量は、25~59wt%であり、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、59wt%を含むが、これらに限定されるものではない。前記溶媒は、単一の溶媒または混合溶媒であってもよい。一つの実施態様において、溶媒は混合溶媒であり、第一溶媒、及び第二溶媒を含み、第一溶媒は15~25wt%であり、15wt%、16wt%、17wt%、18wt%、19wt%、20wt%、21wt%、22wt%、23wt%、24wt%及び/または25wt%を含むが、これらに限定されるものではなく、第二溶媒は、20~25wt%であり、20wt%、21wt%、22wt%、23wt%、24wt%及び/または25wt%を含むが、これらに限定されるものではない。もう一つの実施例において、溶媒は単一の溶媒であり、且つ、重量は、40~45wt%であり、40wt%、41wt%、42wt%、43wt%、44wt%及び/または45wt%を含むが、これらに限定されるものではない。
【0049】
一つの実施態様において、本開示の紫外線吸収組成物は、フルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、紫外線吸収劑としてのベンゾドリアゾール系化合物、及び溶媒としてのキシレンとブタノンを含む。もう一つの実施例において、本開示の紫外線吸収組成物は、フルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤としてのトルエンジイソシアネート(TDI)、紫外線吸収劑としてのベンゾドリアゾール系化合物、及び溶媒としてのキシレンを含む。
【0050】
一つの実施態様において、本開示の紫外線吸収組成物は、分散液の形態であることができ、紫外線吸収劑が紫外線吸収組成物中に均一に分散し、凝集による紫外線カット効果、ヘイズの悪化を避ける。
【0051】
本開示の第二態樣は、本開示に記載される紫外線吸収組成物から形成され得る紫外線吸収樹脂である。具体的には、紫外線吸収樹脂は、フルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤、及び紫外線吸収劑を含む。ここで、紫外線吸収樹脂のフルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤、及び紫外線吸収劑の種類は、本明細書の第一態樣に記載されたものである。
【0052】
一つの実施態様において、本開示の紫外線吸収樹脂は、本明細書の第一態樣の紫外線吸収組成物により得られ、例えば、前記紫外線吸収組成物を乾燥して硬化させることにより、前記紫外線吸収樹脂を得る。
【0053】
一つの実施例において、本開示の紫外線吸収樹脂は、フルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤としてのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、及びベンゾドリアゾール系紫外線吸収劑を含む。もう一つの実施例において、本開示の紫外線吸収樹脂は、フルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤としてのトルエンジイソシアネート(TDI)、及びベンゾドリアゾール系紫外線吸収劑を含む。
【0054】
一つの実施態様において、紫外線吸収樹脂の430~680nm入射光の波長範囲の光線に対する平均透過率は85%以上であり、例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であり、波長が380~410nmの光線に対する最大光透過率は1%以下であり、例えば、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%であり、且つ、平均透過率は、1%以下であり、例えば、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%である。
【0055】
一つの実施態様において、紫外線吸収樹脂は、85℃及び85%湿度で500時間の高温高湿試験した後、波長が430~680nmの光線に対する平均透過率は、85%以上であり、例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であり、波長が380~410nmの光線に対する最大光透過率は、1%以下であり、例えば、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%であり、且つ、平均透過率は1%以下であり、例えば、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%である。
【0056】
一つの実施態様において、紫外線吸収樹脂は、85℃及び85%湿度で1000時間の高温高湿試験した後、波長が430~680nmの光線に対する平均透過率は、85%以上であり、例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%であり、波長が380~410nmの光線に対する最大光透過率は1%以下であり、例えば、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%であり、且つ、平均透過率は、1%以下であり、例えば、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%である。
【0057】
本開示の第三態樣は、複数層の紫外線吸収樹脂層を含む紫外線吸収構造であり、各前記紫外線吸収樹脂層は、本開示第二態樣に記載の紫外線吸収樹脂層を含む。一つの実施態様において、各層の紫外線吸収樹脂におけるイソシアネート硬化剤は、互いに異なる。
【0058】
一つの実施態様において、複数層は、例えば、2層、3層、4層またはそれ以上である。一つの実施例において、複数層は2層である。さらにもう一つの実施例において、複数層は2層であり、且つ第一紫外線吸収樹脂層におけるイソシアネート硬化剤は、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)であり、第二紫外線吸収樹脂層におけるイソシアネート硬化剤は、トルエンジイソシアネート(TDI)である。
【0059】
一つの実施態様において、紫外線吸収構造における各紫外線吸収樹脂層の厚みは、1~100μmであり、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μmを含むが、これらに限定されるものではない。一つの実施態様において、紫外線吸収構造の厚みは、2~200μmであり、2μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μm、160μm、170μm、180μm、190μm及び/または200μmを含むが、これらに限定されるものではない。
【0060】
本開示の第四態樣は、本明細書に記載の紫外線吸収組成物を基材の表面上に塗布する工程と、紫外線吸収組成物を硬化させることにより、紫外線吸収樹脂を得る工程とを含む、紫外線吸収樹脂の製造方法である。図1Aに示すように、紫外線吸収組成物を基材10の表面上に塗布し、紫外線吸収組成物成を硬化させて紫外線吸収樹脂20になり、最終に紫外線吸収樹脂を含む最終製品1を得る。
【0061】
一つの実施態様において、本開示の製造方法は、さらにフルオロカーボン樹脂、イソシアネート硬化剤、紫外線吸収劑及び溶媒を混合して組成物を形成する工程を含む。ここで、各材料の種類、及び使用量は、本明細書に記載されるものである。
【0062】
前記塗布は、基材の表面上に組成物を均一に塗布できる塗布方法であれば制限されず、本開示の範囲に含まれる。一つの実施態様において、塗布は、スピンコーティング、ディッピングコーティング、キャストコーティング、プレーコーティング、ビーズコーティング、バーコーティング、ドクターナイフコーティングまたはスリットコーティングである。
【0063】
前記基材は、塗布され得る表面を有する任意の物品であれば制限されず、本開示の範囲に含まれ、半製品、最終製品も含む。一つの実施態様において、基材は、玻璃、トリアセチルセルロース(triacetate cellulose、TAC)フィルム、例えば、PETのプラスチックフィルムである。
【0064】
前記硬化は、組成物を硬化させできる方法であれば制限されず、本開示の範囲に含まれる。一つの実施態様において、硬化は、熱硬化、光硬化(例えば、紫外線硬化)等である。一つの実施態様において、硬化は100~150℃温度で10~60分間行い、前記硬化温度は、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃を含むが、これらに限定されるものではなく、前記硬化時間は、10、15、20、30、40、50、60分を含むが、これらに限定されるものではない。
【0065】
一つの実施態様において、本開示の製造方法は、紫外線吸収樹脂層に紫外線吸収組成物を塗布と硬化を繰り返すことで、複数の紫外線吸収樹脂層を形成する工程をさらに含む。図1Bに示すように、紫外線吸収組成物を基材10の表面上に塗布し、紫外線吸収組成物を硬化して第一紫外線吸収樹脂層21になり、次に、同一または異なる紫外線吸収組成物を使用して上記工程を繰り返し、第二紫外線吸収樹脂層22を得て、最終に二層の紫外線吸収樹脂層21、22を含む最終製品を得る。
【0066】
一つの実施態様において、塗布と硬化を繰り返す紫外線吸収組成物におけるイソシアネート硬化剤は、基材の表面上に塗布される紫外線吸収組成物におけるイソシアネート硬化剤とは異なる。
【実施例0067】
本開示は、下記の具体的な実施例及び比較例を参照し、さらに詳しく説明するが、これらの具体的な実施例及び比較例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0068】
樹脂の選択
それぞれフッ化ビニルエーテル(FEVE)、ポリエステル型ポリウレタン、アクリルウレタン、シロキサン樹脂を樹脂塗層とし、QUV-A紫外線照射装置で測定し、各樹脂塗層は紫外線を長時間照射した後の光沢保持(gloss retention)率は、図2に示す。図2の結果から分かるように、樹脂塗層の紫外線に対する耐性は、高い順にそれぞれFEVE>シロキサン樹脂>アクリルウレタン>ポリエステル型ポリウレタンであることが分かる。FEVE型フルオロカーボン樹脂塗層の紫外線に対する耐性は、その構造にフッ素-炭素結合を有するため最も優れているが、理論に拘束されるものではない。
【0069】
実施例1-紫外線吸収樹脂
40~50wt%のFEVE型フルオロカーボン樹脂(例えば、DS302シリーズ樹脂、宜進テクノロジーから購入し、Lumiflonシリーズ樹脂、旭生テクノロジーから購入し、New Gamet-FEVEシリーズ樹脂、徳亜樹脂から購入した)、15~21%のHDI、1~5%のベンゾドリアゾール系紫外線吸収劑(Eversorbシリーズ染料、永光科学から購入した)、15~20%のキシレン、及び20~25%のブタノンを混合し、紫外線吸収組成物を形成した。次に、紫外線吸収組成物をガラス上にスピンコート法により形成し、120℃の温度で30分間焼成して硬化させて、紫外線吸収樹脂を得た。
【0070】
実施例2~4-紫外線吸収樹脂
実施例1に基づいて、紫外線吸収組成物におけるHDIをIPDI、XDI、及びTDIにそれぞれ置き換えて、紫外線吸収樹脂を製造した。即ち、実施例1~4は、それぞれHDI硬化劑、IPDI硬化劑、XDI硬化劑、及びTDI硬化劑を使用する。
【0071】
上記実施例1~4の紫外線吸収樹脂を紫外線耐性試験を行うことにより、異なる硬化劑の影響を評価した。紫外線耐性試験は、紫外線照射0及び240時間で行った(UV波長:420nm、照射強度2.4W/M)。試験後、各紫外線吸収樹脂の透過率曲線図は、図3Aに示す。図3Aによれば、HDI硬化劑を用いた実施例1は、紫外線に対する耐性が最も優れている。紫外線に対する耐性は、高い順にそれぞれ実施例1(HDI硬化劑)>実施例4(TDI硬化劑)>実施例3(XDI硬化劑)>実施例2(IPDI硬化劑)である。
【0072】
上記実施例の1~4の紫外線吸収樹脂を高温高湿環境で紫外線耐性試験を行うことにより、異なる硬化剤の影響を評価した。ここの紫外線耐性試験は、紫外線照射0及び500時間で行った(UV波長:420nm、照射強度2.4W/M)。試験後の各紫外線吸収樹脂の透過率曲線図を図3Bに示す。図3Bによれば、TDI硬化劑を用いた実施例4は、高温高湿環境で紫外線に対して高い耐性を発揮し、その耐候性が最もが最も優れ、保護効果を高めることができる。また、高温高湿環境で紫外線に対して耐性を発揮すること(耐候性)は、高い順にそれぞれ実施例4(TDI硬化劑)>実施例2(IPDI硬化劑)>実施例3(XDI硬化劑)>実施例1(HDI硬化劑)である。
【0073】
実際の応用において、紫外線耐性、耐性に基づき、かつ必要に応じて、紫外線吸収樹脂層を選択しまたは組み合わせて使用することができる。
【0074】
比較例1
実施例1に基づいて、紫外線吸収組成物におけるフルオロカーボン樹脂をアクリル樹脂に置き換えて、紫外線吸収樹脂を製造した。
【0075】
上記実施例1、実施例4、及び比較例1の紫外線吸収樹脂を紫外線耐性試験を行い、異なるフルオロカーボン樹脂の影響を評価した。紫外線耐性試験は、紫外線照射0、240、及び1000時間で行った(UV波長:420nm、照射強度2.4W/M)。試験後の各紫外線吸収樹脂の透過率曲線図を図4Aに示す。図4Aによれば、実施例1及び実施例4の紫外線吸収樹脂は、いずれも1000時間の紫外線耐性試験に合格した。しかし、比較例1の紫外線吸収樹脂は、紫外線照射240時間をした後、大幅に劣化し、波長が380~410nmの光線に対する透過率が高すぎるため、要件を満たすことができず、アクリル樹脂を用いた比較例1は紫外線耐性に劣るだけであることを示す。
【0076】
上記実施例1、実施例4及び比較例1の紫外線吸収樹脂を、高温高湿環境で紫外線耐性試験を行い、異なるフルオロカーボン樹脂の影響を評価する。ここでの紫外線耐性試験は、紫外線照射0及び500時間で行った(UV波長:420nm、照射強度2.4W/M)。試験後の各紫外線吸収樹脂の透過率曲線図は、図4Bに示す。図4Bによれば、実施例1、実施例4及び比較例1の紫外線吸収樹脂は、高温高湿環境においても、優れた紫外線耐性を示し、即ち、優れた耐候性を有する。
【0077】
上記各実施態様及び具体的な実施例は本開示を限定するものではなく、挙げられる各技術的特徴または解決手段は、互いに組み合わせることができ、本開示は他の異なる実施態様によって実現又は応用することもでき、本明細書に記載の詳細も異なる観点及び応用に基づき、本開示の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形または修飾が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1:紫外線吸収樹脂を含む最終製品
10:基材
20:紫外線吸収樹脂
21:第一紫外線吸収樹脂層
22:第二紫外線吸収樹脂層
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B