(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180375
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】生分解性樹脂組成物、生分解性原糸及び生分解性不織布
(51)【国際特許分類】
C08G 63/181 20060101AFI20241219BHJP
C08G 63/78 20060101ALI20241219BHJP
D01F 6/62 20060101ALI20241219BHJP
D01F 6/84 20060101ALI20241219BHJP
D04H 3/009 20120101ALI20241219BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20241219BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
C08G63/181 ZBP
C08G63/78
D01F6/62 306A
D01F6/84 301B
D01F6/84 301G
D04H3/009
D04H3/16
C08G63/181
C08L101/16
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024097065
(22)【出願日】2024-06-14
(31)【優先権主張番号】10-2023-0077655
(32)【優先日】2023-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0117457
(32)【優先日】2023-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0117458
(32)【優先日】2023-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522066333
【氏名又は名称】エスケー リーヴィオ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK leaveo Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】102, Jeongja-ro, Jangan-gu, Suwon-si, Gyeonggi-do 16338, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンドン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キョンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、フン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、キョンファン
(72)【発明者】
【氏名】ビョン、ジュンス
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヘリ
【テーマコード(参考)】
4J029
4J200
4L035
4L047
【Fターム(参考)】
4J029AA03
4J029AB01
4J029AC02
4J029AC03
4J029AD01
4J029AD10
4J029AE02
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029BA07
4J029BA08
4J029BA10
4J029CA01
4J029CA02
4J029CA03
4J029CA04
4J029CA05
4J029CA06
4J029CB03A
4J029CB04A
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029CB10A
4J029CC05A
4J029CC06A
4J029CD03
4J029CF08
4J029GA13
4J029GA14
4J029HA01
4J029HB01
4J029HB03A
4J029KB13
4J200AA02
4J200AA10
4J200BA19
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4J200EA07
4L035AA05
4L035BB31
4L035FF05
4L035GG01
4L035HH10
4L047AA26
4L047AB03
4L047AB07
4L047BA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】強度及び伸び率が向上して、優れた紡糸能を有し、環境にやさしい生分解性樹脂組成物とその製造方法、及びこれによって製造された生分解性成形品を提供する。
【解決手段】ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含む第1の生分解性樹脂を含み、下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下である、生分解性樹脂組成物:
[測定方法]
1)生分解性樹脂組成物について、190℃及び2.16kgの条件下で第1のメルトインデックスを測定し、250℃及び2.16kgの条件下で第2のメルトインデックスを測定する。
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(式1において、第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含む第1の生分解性樹脂を含み、
下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下である、
生分解性樹脂組成物:
[測定方法]
1)前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で、第1のメルトインデックスを測定し、前記生分解性樹脂組成物を250℃及び2.16kgの条件下で、第2のメルトインデックスを測定する。
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(上記式1において、前記第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【請求項2】
ジオール及び芳香族ジカルボン酸を含む第1の原料組成物を第1エステル化反応させて、第1の予備重合体を製造する段階と、
前記第1の予備重合体と脂肪族ジカルボン酸を含む第2の原料組成物を第2エステル化反応させて、第2の予備重合体を製造する段階と、
前記第2の予備重合体を縮重合して、生分解性樹脂組成物を製造する段階と、
を含み、
前記生分解性樹脂組成物は、下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下である、
生分解性樹脂組成物の製造方法:
[測定方法]
1)前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で、第1のメルトインデックスを測定し、前記生分解性樹脂組成物を250℃及び2.16kgの条件下で、第2のメルトインデックスを測定する。
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(上記式1において、前記第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【請求項3】
前記縮重合した第2の予備重合体の190℃での固有粘度は、0.9dl/g~2.0dl/gである、
請求項2に記載の生分解性樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含む第1の生分解性樹脂を含む生分解性樹脂組成物を含み、
前記生分解性樹脂組成物は、下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下である、生分解性成形品:
[測定方法]
1)前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で、第1のメルトインデックスを測定し、前記生分解性樹脂組成物を250℃及び2.16kgの条件下で、第2のメルトインデックスを測定する。
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(上記式1において、前記第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【請求項5】
第1の生分解性樹脂を含む生分解性樹脂組成物を含み、
前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含み、
前記生分解性樹脂組成物は、結晶化温度が70℃~130℃である、
生分解性原糸。
【請求項6】
前記生分解性樹脂組成物は、第2の生分解性樹脂を含み、
前記第2の生分解性樹脂は、ポリブチレンサクシネート、ポリラクト酸、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート-アジペート、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート、ポリヒドロキシブチレート-バレラート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート-co-ブチレンサクシネートテレフタレート、及びポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレートからなる群から選択される1つ以上を含むものである、
請求項5に記載の生分解性原糸。
【請求項7】
前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に、鎖延長剤を1,000ppm~5,000ppmで含むものである、
請求項5に記載の生分解性原糸。
【請求項8】
前記生分解性樹脂組成物の溶融温度と前記結晶化温度との差は、40℃~75℃である、
請求項5に記載の生分解性原糸。
【請求項9】
生分解性樹脂組成物を紡糸して、生分解性原糸を製造する段階と、
前記生分解性原糸を冷却する段階と、
前記冷却した生分解性原糸を結合して、生分解性原糸ウェブを形成する段階と、
を含み、
前記生分解性樹脂組成物は、第1の生分解性樹脂を含み、前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含み、前記生分解性樹脂組成物の結晶化温度が70℃~130℃である、
生分解性不織布の製造方法。
【請求項10】
平均直径が10μm~100μmである生分解性原糸を含み、
前記生分解性原糸は、第1の生分解性樹脂を含む生分解性樹脂組成物を含み、
前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含み、
前記生分解性樹脂組成物は、結晶化温度が70℃~130℃である、
生分解性不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性樹脂組成物とその製造方法、及びこれによって製造された生分解性成形品に関する。
【0002】
また、本発明は、生分解性不織布の製造方法、生分解性原糸、及びこれを含む生分解性不織布に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、環境問題に対する恐れが増えつつあり、様々な生活用品、特に、使い捨て製品の処理問題に対する解決方案が求められている。具体的には、石油系高分子材料は、安値であり、かつ、加工性などの特性に優れ、フィルム、纎維、包装材、瓶、容器などのような様々な製品を製造することに広く用いられているが、使用された製品の寿命が尽きたとき、焼却処理時は、有害な物質が排出されて、自然に分解し切れるためには、種類によっては数百年がかかるという短所を持っている。
【0004】
これらの石油系高分子材料の限界を克服するために、相対的に短期間内に分解される生分解性樹脂に対する研究が活発に行われている。生分解性樹脂としては、ポリ乳酸(poly lactic acid,PLA)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(polybutyleneadipate terephthalate,PBAT)、ポリブチレンサクシネート(polybutylene succinate,PBS)などが代替導入されている。
【0005】
特に、不織布は、様々な製品に使用され得る材料であって、環境にやさしい不織布を製造するためのニーズが増大している。但し、不織布を製造するために、生分解性樹脂を用いて纎維を製造する場合、纎維が切断しやすいか、ビーズ(bead)が形成される問題が発生した。また、生分解性樹脂を原料に使用する場合、纎維を連続して製造する工程を具現し難く、製造された纎維の厚さが増加するか均一性が低下して、品質が低下する問題が発生した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、強度及び伸び率が向上して、優れた紡糸能(Spinning ability)を有し、環境にやさしい生分解性樹脂組成物とその製造方法、及びこれによって製造された生分解性成形品を提供する。
【0007】
また、本発明は、強度及び伸び率が向上して、優れた紡糸能(Spinning ability)を有し、環境にやさしい生分解性不織布の製造方法、生分解性原糸、及びこれを含む生分解性不織布を提供する。
【0008】
また、実施例は、向上した機械的特性を有し、向上した生分解性を有する原糸、及びこれに含まれる生分解性樹脂組成物を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による生分解性樹脂組成物は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含む第1の生分解性樹脂を含み、下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下である。
【0010】
[測定方法]
1)前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で、第1のメルトインデックスを測定し、前記生分解性樹脂組成物を250℃及び2.16kgの条件下で、第2のメルトインデックスを測定する。
【0011】
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
【0012】
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(上記式1において、前記第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【0013】
本発明の一実施例において、前記第1の生分解性樹脂の重量平均分子量は、70,000g/mol~90,000g/molであってもよい。
【0014】
本発明の一実施例において、前記第1の生分解性樹脂の数平均分子量は、33,000g/mol~40,000g/molであってもよい。
【0015】
本発明の一実施例において、前記第1の生分解性樹脂の多分散指数は、2.0~2.5であってもよい。
【0016】
本発明の一実施例において、前記生分解性樹脂組成物は、下記の関係式1を満たすことができる。
【0017】
[関係式1]
MI=0.625T-105.35
【0018】
上記関係式1において、前記MIは、メルトインデックスを意味し、前記Tは、190℃~250℃である。
【0019】
本発明による生分解性樹脂組成物の製造方法は、ジオール及び芳香族ジカルボン酸を含む第1の原料組成物を第1エステル化反応させて、第1の予備重合体を製造する段階と、前記第1の予備重合体と脂肪族ジカルボン酸を含む第2の原料組成物を第2エステル化反応させて、第2の予備重合体を製造する段階と、前記第2の予備重合体を縮重合して、生分解性樹脂組成物を製造する段階と、を含み、前記生分解性樹脂組成物は、下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下である。
【0020】
[測定方法]
1)前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で、第1のメルトインデックスを測定し、前記生分解性樹脂組成物を250℃及び2.16kgの条件下で、第2のメルトインデックスを測定する。
【0021】
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
【0022】
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(上記式1において、前記第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【0023】
本発明の一実施例において、前記生分解性樹脂組成物を製造する段階は、攪拌機における前記第2の予備重合体を280分~320分間縮重合することができる。
【0024】
本発明の一実施例において、前記攪拌機におけるAmpere値は、110超~150未満であってもよい。
【0025】
本発明の一実施例において、前記縮重合した第2の予備重合体の190℃での固有粘度は、0.9dl/g~2.0dl/gであってもよい。
【0026】
本発明による生分解性成形品は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含む第1の生分解性樹脂を含む生分解性樹脂組成物を含み、前記生分解性樹脂組成物は、下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下である。
【0027】
[測定方法]
1)前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で、第1のメルトインデックスを測定し、前記生分解性樹脂組成物を250℃及び2.16kgの条件下で、第2のメルトインデックスを測定する。
【0028】
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
【0029】
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(上記式1において、前記第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【0030】
本発明による生分解性不織布の製造方法は、生分解性樹脂組成物を紡糸して、生分解性原糸を製造する段階と、前記生分解性原糸を冷却する段階と、前記冷却した生分解性原糸を結合して、生分解性原糸ウェブを形成する段階と、を含み、前記生分解性樹脂組成物は、第1の生分解性樹脂を含み、前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含み、前記生分解性樹脂組成物の結晶化温度が70℃~130℃である。
【0031】
本発明の一実施例において、前記生分解性不織布の製造方法は、ニードルパンチ、スパンレース、ステッチボンド、カレンダリング、及びエアスルーボンドのうち少なくとも1つ以上の工程によって、前記生分解性原糸ウェブを結合する段階を更に含んでいてもよい。
【0032】
本発明による生分解性原糸は、第1の生分解性樹脂を含む生分解性樹脂組成物を含み、前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含み、前記生分解性樹脂組成物は、結晶化温度が70℃~130℃である。
【0033】
本発明の一実施例において、前記生分解性樹脂組成物は、第2の生分解性樹脂を含み、前記第2の生分解性樹脂は、ポリブチレンサクシネート、ポリラクト酸、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート-アジペート、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート、ポリヒドロキシブチレート-バレラート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート-co-ブチレンサクシネートテレフタレート、及びポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレートからなる群から選択される1つ以上を含んでいてもよい。
【0034】
本発明の一実施例において、前記第1の生分解性樹脂及び前記第2の生分解性樹脂の重量比は、5:95~50:50であってもよい。
【0035】
本発明の一実施例において、前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に、鎖延長剤を1,000ppm~5,000ppmで含んでいてもよい。
【0036】
本発明の一実施例において、前記生分解性原糸は、引張強度が1.0g/de~3.0g/deであり、伸び率が35%~200%であってもよい。
【0037】
本発明の一実施例において、前記生分解性原糸は、平均直径が10μm~100μmであってもよい。
【0038】
本発明の一実施例において、前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で測定したメルトインデックスは、6g/10min~10g/10minであってもよい。
【0039】
本発明の一実施例において、前記生分解性樹脂組成物の溶融温度と前記結晶化温度との差は、40℃~75℃であってもよい。
【0040】
本発明による生分解性不織布は、平均直径が10μm~100μmである生分解性原糸を含み、前記生分解性原糸は、第1の生分解性樹脂を含む生分解性樹脂組成物を含み、前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含み、前記生分解性樹脂組成物は、結晶化温度が70℃~130℃である。
【0041】
実施例による生分解性原糸は、第1の生分解性樹脂を含む第1の生分解性樹脂組成物を含み、前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含み、前記第1の生分解性樹脂組成物は、190℃で、6g/10分~15g/10分のメルトインデックスを有し、40℃~85℃の結晶化温度を有していてもよい。
【0042】
一実施例による生分解性原糸は、第2の生分解性樹脂組成物を含み、延びる形状を有するコア部と、前記第1の生分解性樹脂組成物を含み、前記コア部の外周面を囲むシース部と、を含むフィラメントを含んでいてもよい。
【0043】
一実施例による生分解性原糸において、第2の生分解性樹脂組成物を更に含み、前記第2の生分解性樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネート、ポリラクト酸、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート-アジペート、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート、ポリヒドロキシブチレート-バレラート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレートからなる群から少なくとも1つ以上を含んでいてもよい。
【0044】
一実施例による生分解性原糸において、前記第1の生分解性樹脂組成物は、45℃~80℃の結晶化温度を有していてもよい。
【0045】
一実施例による生分解性原糸において、前記第1の生分解性樹脂組成物は、190℃で、6g/10分~35g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。
【0046】
一実施例による生分解性原糸において、前記第1の生分解性樹脂組成物における下記の数1で表されるメルトインデックス降下(MID)は、0.4g/10分・℃~1.5g/10分・℃であってもよい。
【0047】
[数1]
MID=(MI2-MI1)/(T2-T1)
【0048】
前記T1は、190℃であり、前記T2は、250℃であり、
前記MI1は、前記第1の生分解性樹脂組成物が前記T1の温度であるとき、メルトインデックスであり、
前記MI2は、前記第1の生分解性樹脂組成物が前記T2の温度であるとき、メルトインデックスである。
【0049】
一実施例による生分解性原糸において、引張強度は、1.5gf/デニール~6gf/デニールであり、破断伸び率は、20%~200%であってもよい。
【0050】
実施例による生分解性樹脂組成物は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含む生分解性樹脂を含み、190℃で、メルトインデックスが6g/10分~15g/10分であり、結晶化温度が40℃~85℃であってもよい。
【0051】
一実施例による生分解性樹脂組成物において、結晶化温度調節剤を更に含んでいてもよい。
【0052】
一実施例による生分解性樹脂組成物において、前記生分解性樹脂の末端基の含有量は、20eq/ton~60eq/ton未満であってもよい。
【0053】
一実施例による生分解性樹脂組成物において、下記の数1で表されるメルトインデックス降下(MID)は、0.4g/10分・℃~1.5g/10分・℃であってもよい。
【0054】
[数1]
MID=(MI2-MI1)/(T2-T1)
【0055】
前記T1は、190℃であり、前記T2は、250℃であり、前記MI1は、前記第1の生分解性樹脂組成物が前記T1の温度であるとき、メルトインデックスであり、前記MI2は、前記第1の生分解性樹脂組成物が前記T2の温度であるとき、メルトインデックスである。
【0056】
一実施例による生分解性樹脂組成物において、前記生分解性樹脂の数平均分子量は、20000g/mol~35000g/molであってもよい。
【0057】
一実施例による生分解性樹脂組成物において、230℃で、20g/10分~90g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。
【0058】
一実施例による生分解性樹脂組成物において、250℃で、40g/10分~120g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。
【0059】
実施例による生分解性纎維集合体は、生分解性原糸を含み、前記生分解性原糸は、第1の生分解性樹脂を含む第1の生分解性樹脂組成物を含み、前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含み、前記第1の生分解性樹脂組成物は、190℃で、6g/10分~15g/10分のメルトインデックスを有し、40℃~85℃の結晶化温度を有していてもよい。
【0060】
一実施例による生分解性纎維集合体において、前記第1の生分解性樹脂組成物の下記の数1で表されるメルトインデックス降下(MID)は、0.4g/10分・℃~1.5g/10分・℃であってもよい。
【0061】
[数1]
MID=(MI2-MI1)/(T2-T1)
【0062】
前記T1は、190℃であり、前記T2は、250℃であり、前記MI1は、前記第1の生分解性樹脂組成物が前記T1の温度であるとき、メルトインデックスであり、前記MI2は、前記第1の生分解性樹脂組成物が前記T2の温度であるとき、メルトインデックスである。
【0063】
一実施例による生分解性纎維複合体において、前記第1の生分解性樹脂の数平均分子量は、20000g/mol~35000g/molであってもよい。
【0064】
一実施例による生分解性纎維複合体において、前記第1の生分解性樹脂組成物は、230℃で、20g/10分~90g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。
【0065】
一実施例による生分解性纎維複合体において、前記第1の生分解性樹脂組成物は、250℃で、40g/10分~120g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。
【0066】
一実施例による生分解性纎維複合体において、前記生分解性樹脂の末端基の含有量は、20eq/ton~60eq/ton未満であってもよい。
【発明の効果】
【0067】
本発明による生分解性樹脂組成物とその製造方法、及びこれによって製造された生分解性成形品の生分解性樹脂を含むことで、前記生分解性成形品の寿命が尽きたとき、自然に生分解が可能であり、焼却が必要である、或いは有害な物質が排出されない効果がある。
【0068】
また、本発明による生分解性樹脂組成物は、溶融紡糸温度の範囲で特定の範囲のメルトインデックスを満たすことにより、紡糸工程中で生分解性樹脂組成物の吐出量が均一であり、優れた紡糸能を有していてもよい。これにより、前記生分解性樹脂組成物から製造される生分解性不織布の原糸は、切断せず、原糸の直径が均一であり、強度及び伸び率に優れる効果がある。
【0069】
また、本発明による生分解性樹脂組成物は、特定の範囲の結晶化温度を有することにより、紡糸工程中で生分解性樹脂組成物の吐出量が均一であり、優れた紡糸能を有していてもよい。これにより、前記生分解性樹脂組成物から製造される生分解性不織布の原糸は、切断せず、直径の均一な短繊維または長繊維を含んでいてもよく、引張強度及び伸び率に優れる効果がある。
【0070】
また、実施例による生分解性樹脂組成物は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含む第1の生分解性樹脂を含む前記第1の生分解性樹脂組成物を含んでいてもよい。
【0071】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、前記第1の生分解性樹脂を含むため、紡糸に好適な特性を有していてもよい。
【0072】
特に、前記第1の生分解性樹脂組成物は、適宜な結晶化温度を有していてもよい。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物は、容易に紡糸して、生分解性原糸を製造することができる。
【0073】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、適宜なメルトインデックスを有していてもよい。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物は、容易に紡糸して、生分解性原糸を製造することができる。
【0074】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、適宜なメルトインデックス降下を有していてもよい。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物は、容易に紡糸して、生分解性原糸を製造することができる。
【0075】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、適宜なカルボキシ基の末端基の個数を有していてもよい。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物は、容易に紡糸して、生分解性原糸を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】実施例による生分解性樹脂組成物を製造する装置を概略的に示した図である。
【
図2】実施例による生分解性原糸を示した図である。
【
図3】実施例による生分解性原糸の一断面を示した図である。
【
図4】他の実施例による生分解性原糸を示した図である。
【
図5】実施例による生分解性原糸を製造するための装置を示した図である。
【
図6】実施例による紡糸ブロックの一断面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本明細書または出願に開示の実施例に関する構造的または機能的説明は、単に本発明の技術的思想による実施例を説明するための目的で例示されたものであり、本発明の技術的思想による実施例は、本明細書または出願に開示の実施例のほか、様々な形態に実施することができ、本発明の技術的思想が本明細書または出願に説明された実施例に限定されるものであるとは解釈されない。
【0078】
また、本明細書または出願にある構成要素を「含む」とするとき、これは特に逆の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素を更に含んでいてもよいことを意味する。また、本明細書または出願に記載の構成要素の物性値、寸法などを示す数値の範囲は、いずれも特に記載がない限り、いずれも「約」という用語に修飾されると理解しなければならない。また、本明細書または出願における「ppm」は、重量基準を意味する。
【0079】
本発明による生分解性樹脂組成物は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含む第1の生分解性樹脂を含み、下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値は、45g/10min以下である。
【0080】
[測定方法]
1)前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で、第1のメルトインデックスを測定し、前記生分解性樹脂組成物を250℃及び2.16kgの条件下で、第2のメルトインデックスを測定する。
【0081】
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
【0082】
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(上記式1において、前記第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【0083】
本発明による生分解性樹脂組成物は、第1の生分解性樹脂を含む。前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含む。
【0084】
前記第1の生分解性樹脂は、ジオール残基、芳香族ジカルボン酸残基及び脂肪族ジカルボン酸残基を含んでいてもよい。前記ジオール残基は、前記ジオールから由来し、前記芳香族ジカルボン酸残基は、前記芳香族ジカルボン酸から由来し、前記脂肪族ジカルボン酸残基は、前記脂肪族ジカルボン酸から由来するものであってもよい。前記第1の生分解性樹脂は、ジオール成分、芳香族ジカルボン酸成分及び脂肪族ジカルボン酸成分を含んでいてもよい。前記ジオール成分は、前記ジオールから由来し、前記芳香族ジカルボン酸成分は、前記芳香族ジカルボン酸から由来し、前記脂肪族ジカルボン酸成分は、前記脂肪族ジカルボン酸から由来するものであってもよい。
【0085】
本明細書または出願における前記ジオール残基は、ジオールと表現することができる。本明細書または出願における前記ジカルボン酸残基は、ジカルボン酸と表現することができる。本明細書または出願における前記残基は、成分と表現することができる。
【0086】
前記ジオールは、脂肪族ジオールであってもよい。前記ジオールは、バイオ由来のジオールであってもよい。前記ジオールは、エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-イソブチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,4-ジメチル-2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、及び1,12-オクタデカンジオール、またはこれらの誘導体からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0087】
前記ジオールは、1,4-ブタンジオール、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、またはこれらの誘導体からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0088】
前記ジオールは、1,4-ブタンジオール、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、またはこれらの誘導体からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0089】
前記ジオールは、1,4-ブタンジオールまたはその誘導体を含んでいてもよい。
【0090】
前記芳香族ジカルボン酸は、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4'-ジフェニルジカルボン酸、4,4'-ジフェニルエーテルジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、またはこれらの誘導体からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0091】
前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、2,6-ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、またはこれらの誘導体からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0092】
前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、ジメチルテレフタレート、またはこれらの誘導体を含んでいてもよい。
【0093】
前記脂肪族ジカルボン酸は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、またはこれらの誘導体からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0094】
前記脂肪族ジカルボン酸は、アジピン酸、サクシン酸、セバシン酸、またはこれらの誘導体からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0095】
前記脂肪族ジカルボン酸は、アジピン酸またはその誘導体を含んでいてもよい。
【0096】
前記第1の生分解性樹脂において、前記ジオールを含む全体ジオール残基:前記芳香族ジカルボン酸及び前記脂肪族ジカルボン酸を含む全体ジカルボン酸残基のモル比は、約1:0.9~約1:1.1であってもよい。全体ジオール残基:前記全体ジカルボン酸残基のモル比は、約1:0.95~約1:1.05であってもよい。
【0097】
前記第1の生分解性樹脂において、前記芳香族ジカルボン酸残基:前記脂肪族ジカルボン酸残基のモル比は、約3:7~約7:3であってもよい。前記第1の生分解性樹脂において、前記芳香族ジカルボン酸残基:前記脂肪族ジカルボン酸残基のモル比は、約3.3:6.7~約6.7:3.3であってもよい。前記第1の生分解性樹脂において、前記芳香族ジカルボン酸残基:前記脂肪族ジカルボン酸残基のモル比は、約4:6~約6:4であってもよい。前記第1の生分解性樹脂において、前記芳香族ジカルボン酸残基:前記脂肪族ジカルボン酸残基のモル比は、約4.2:5.8~約5:5であってもよい。
【0098】
前記第1の生分解性樹脂は、全体ジオールを基準に約90モル%以上の含量で、1,4-ブタンジオールから由来するジオール残基を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂は、全体ジオールを基準に約95モル%以上の含量で、1,4-ブタンジオールから由来するジオール残基を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂は、全体ジオールを基準に約98モル%以上の含量で、1,4-ブタンジオールから由来するジオール残基を含んでいてもよい。
【0099】
前記第1の生分解性樹脂は、全体ジカルボン酸を基準に約30モル%~約70モル%の含量で、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートから由来する芳香族ジカルボン酸残基を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂は、全体ジカルボン酸を基準に約35モル%~約65モル%の含量で、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートから由来する芳香族ジカルボン酸残基を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂は、全体ジカルボン酸を基準に約40モル%~約60モル%の含量で、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートから由来するジカルボン酸残基を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂は、全体ジカルボン酸を基準に約43モル%~約53モル%の含量で、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートから由来する芳香族ジカルボン酸残基を含んでいてもよい。
【0100】
前記第1の生分解性樹脂は、全体ジカルボン酸を基準に約30モル%~約70モル%の含量で、アジピン酸から由来する脂肪族ジカルボン酸残基を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂は、全体ジカルボン酸を基準に約35モル%~約65モル%の含量で、アジピン酸から由来する脂肪族ジカルボン酸残基を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂は、全体ジカルボン酸を基準に約40モル%~約60モル%の含量で、アジピン酸から由来する脂肪族ジカルボン酸残基を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂は、全体ジカルボン酸を基準に約47モル%~約57モル%の含量で、アジピン酸から由来する脂肪族ジカルボン酸残基を含んでいてもよい。
【0101】
前記第1の生分解性樹脂の数平均分子量は、30,000g/mol~50,000g/mol、31,000g/mol~50,000g/mol、32,000g/mol~50,000g/mol、33,000g/mol~50,000g/mol、33,000g/mol~45,000g/mol、33,000g/mol~42,000g/mol、または33,000g/mol~40,000g/molであってもよい。
【0102】
前記第1の生分解性樹脂の重量平均分子量は、60,000g/mol~100,000g/mol、60,000g/mol~95,000g/mol、60,000g/mol~93,000g/mol、63,000g/mol~93,000g/mol、65,000g/mol~93,000g/mol、または70,000g/mol~90,000g/molであってもよい。
【0103】
前記第1の生分解性樹脂の多分散指数は、1.5~3.0、1.8~3.0、2.0~2.8、2.0~2.7、2.0~2.6、または2.0~2.5であってもよい。
【0104】
上記範囲を満たす場合、紡糸能(Spinning ability)に優れ、引張強度が向上し得る。
【0105】
前記第1の生分解性樹脂の数平均分子量、重量平均分子量及び多分散指数は、下記の測定条件によって測定することができる。
【0106】
本発明による生分解性樹脂組成物は、メルトインデックス(Melt Index)を有していてもよい。本発明による生分解性樹脂組成物は、下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下である。
【0107】
[測定方法]
1)前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で、第1のメルトインデックスを測定し、前記生分解性樹脂組成物を250℃及び2.16kgの条件下で、第2のメルトインデックスを測定する。
【0108】
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
【0109】
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(上記式1において、前記第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【0110】
前記生分解性樹脂組成物が、上記測定方法によるメルトインデックスの変化値を有するということは、前記生分解性樹脂組成物が紡糸して、生分解性原糸に製造され得る溶融紡糸温度を意味するとともに、前記生分解性原糸の短絡が防止され、適宜な結晶化速度により、前記生分解性原糸の間の合糸が発生することが抑制され、引張強度及び伸び率が向上できる指標としての意味を有していてもよい。
【0111】
また、前記第1のメルトインデックスの最小値は、前記生分解性樹脂組成物が前記生分解性原糸に製造され得る紡糸能(Spinning ability)の指標としての意味を有していてもよい。
【0112】
前記生分解性樹脂組成物は、前記測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下、42g/10min以下、40g/10min以下、20g/10min以上~40g/10min以下、25g/10min以上~40g/10min以下、または30g/10min以上~40g/10min以下であってもよい。
【0113】
前記生分解性樹脂組成物は、約190℃の温度で、約2.16kgの重りを用いて押さえた後の10分間の吐出量が6g/10min~25g/10min、6g/10min~20g/10min、8g/10min~20g/10min、10g/10min~20g/10min、または10g/10min~15g/10minであってもよい。
【0114】
前記生分解性樹脂組成物は、約230℃の温度で、約2.16kgの重りを用いて押さえた後の10分間の吐出量が20g/10min~70g/10min、25g/10min~70g/10min、25g/10min~50g/10min、25g/10min~40g/10min、または30g/10min~40g/10minであってもよい。
【0115】
前記生分解性樹脂組成物は、約250℃の温度で、約2.16kgの重りを用いて押さえた後の10分間の吐出量が30g/10min~100g/10min、30g/10min~90g/10min、30g/10min~70g/10min、40g/10min~70g/10min、または40g/10min~60g/10minであってもよい。
【0116】
上記範囲を満たす場合、紡糸工程中で生分解性樹脂組成物の吐出量が均一であり、優れた紡糸能を有していてもよく、前記生分解性樹脂組成物から製造される生分解性不織布の原糸は、切断せず、引張強度及び伸び率が向上し得る。
【0117】
前記生分解性樹脂組成物は、無機フィラーを含んでいてもよい。前記無機フィラーは、前記生分解性樹脂100重量部を基準に、約10重量部未満、約8重量部未満または約6重量部未満で前記生分解性樹脂組成物に含まれていてもよい。
【0118】
好ましくは、前記無機フィラーは、二酸化チタン(TiO2)を含んでいてもよい。前記二酸化チタンは、前記生分解性樹脂組成物が紡糸する場合、紡糸した前記生分解性樹脂組成物の間の接着力を減少させることができ、均一なナノサイズの纎維状が形成され得、生分解性不織布のビーズの形成を抑制することができる。
【0119】
前記二酸化チタンは、ほとんど光沢のないFD(Full Dull)TiO2、及び少し光沢のあるSD(Semi Dull)TiO2のうち少なくとも1つ以上を使用することができる。光沢の強いBright TiO2は、使用しない方が好ましい。前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に前記FD TiO2は、3,000ppm以上、5,000ppm以上、10,000ppm以上、20,000ppm以上、または5,000ppm~30,000ppmの含量で含まれていてもよい。
【0120】
前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に前記SD TiO2は、3,000ppm以上、3,500ppm以上、4,000ppm以上、5,000ppm以上、または3,000ppm~6,000ppmの含量で含まれていてもよい。
【0121】
前記生分解性樹脂組成物の最大荷重は、2kgf~5kgf、2.5kgf~5kgf、3kgf~5kgf、または4kgf~4.8kgfであってもよい。
【0122】
前記生分解性樹脂組成物の降伏強度は、0.5Mpa~8Mpa、0.5Mpa~7Mpa、1Mpa~7Mpa、1.2Mpa~7Mpa、または1.2Mpa~5.4Mpaであってもよい。
【0123】
前記生分解性樹脂組成物の延伸率は、300%~700%、350%~700%、400%~700%、450%~700%、または500%~700%であってもよい。
【0124】
前記生分解性樹脂組成物の最大荷重、降伏強度及び延伸率は、前記生分解性樹脂組成物の粘着性を示す指標であってもよい。前記生分解性樹脂組成物の最大荷重、降伏強度及び延伸率は、前記生分解性樹脂組成物に含まれた二酸化チタンの含量範囲によって異なってくる。上記範囲を満たす場合、紡糸した前記生分解性樹脂組成物の間の接着力を減少させることができ、均一なナノサイズの纎維相が形成され得、生分解性不織布のビーズの形成を抑制することができる。
【0125】
前記生分解性樹脂組成物の最大荷重、降伏強度及び延伸率は、下記のような方法で測定することができる。
【0126】
前記生分解性樹脂組成物で製造された300μm厚の試片を2枚重ねた後、約3.7kgの荷重を負荷して、130℃で、30分間加圧して接着した後、100mm/minの引張速度によって測定することができる。
【0127】
前記生分解性樹脂組成物は、下記の関係式1を満たすことができる。
【0128】
[関係式1]
MI=0.625T-105.35
【0129】
上記関係式1において、前記MIは、メルトインデックスを意味し、前記Tは、190℃~250℃である。
【0130】
上記関係式1において、前記0.6225は、190℃~250℃の温度範囲における前記生分解性樹脂組成物のメルトインデックスの増加率を意味し得る。
【0131】
上記関係式1を満たす場合、紡糸工程によって短繊維及び/または長繊維状の生分解性原糸を製造し、前記短繊維及び/または長繊維から引張強度及び伸び率の向上した生分解性不織布を製造することができる。
【0132】
本発明による生分解性樹脂組成物の製造方法は、ジオール及び芳香族ジカルボン酸を含む第1の原料組成物を第1エステル化反応させて、第1の予備重合体を製造する段階と、前記第1の予備重合体と脂肪族ジカルボン酸を含む第2の原料組成物を第2エステル化反応させて、第2の予備重合体を製造する段階と、前記第2の予備重合体を縮重合して、生分解性樹脂組成物を製造する段階と、を含み、前記生分解性樹脂組成物は、下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下である。
【0133】
[測定方法]
1)前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で、第1のメルトインデックスを測定し、前記生分解性樹脂組成物を250℃及び2.16kgの条件下で、第2のメルトインデックスを測定する。
【0134】
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
【0135】
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(上記式1において、前記第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【0136】
図1は、第1実施例による生分解性樹脂組成物を製造する装置を概略的に示した図である。
図1を参照すると、前記装置は、スラリー攪拌機100、エステル化反応部200、縮重合反応部300、後処理部400、第1回収部510、及び第2回収部520を含んでいてもよい。
【0137】
本発明による製造方法は、ジオール及び芳香族ジカルボン酸を含む第1の原料組成物を第1エステル化反応させて、第1の予備重合体を製造する段階を含む。
【0138】
上記段階は、ジオール及び前記芳香族ジカルボン酸を含むスラリーを製造する段階を含んでいてもよい。
【0139】
上記段階は、前記ジオールと前記芳香族ジカルボン酸とを混合して処理する段階を含んでいてもよい。すなわち、上記段階は、前記第1エステル化反応前の前処理段階であり、前記ジオールと前記芳香族ジカルボン酸とを混合して、これらをスラリー化する段階であってもよい。このとき、前記ジオールは、バイオマス(biomas)基盤のジオール成分を含んでいてもよい。
【0140】
前記ジオール及び前記芳香族ジカルボン酸は、前記スラリー攪拌機100に投入して攪拌され、前記スラリーを製造することができる。
【0141】
前記ジオールと芳香族ジカルボン酸とを混合して前処理しスラリー化することにより、ジオール及び芳香族ジカルボン酸を均一に反応することができるだけでなく、前記第1エステル化反応の速度を早くして行うのに効果的であるため、反応効率性を高めることができる。特に、テレフタル酸のように、芳香族ジカルボン酸が完全な結晶性を有し、粉末(powder)状である場合、前記ジオールに対する溶解度が非常に低くて、均質反応が起こりにくくなり得る。よって、前記スラリー化する前処理過程は、本発明による生分解性不織布の優れた物性を具現するのに非常に重要な働きをすることができる。
【0142】
前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸である場合、前記テレフタル酸は、完全な結晶性を有しており、縁融点なしに常圧で、300℃付近で昇華する白色結晶であって、前記ジオールに対する溶解度が非常に低くて、均質反応が起こりにくくなり得る。よって、前記第1エステル化反応前に前処理過程を行う場合、テレフタル酸の固体マトリックス内でジオールと反応するため表面積を増加させて、均一な反応を誘導することができる。
【0143】
また、前記芳香族ジカルボン酸がジメチルテレフタル酸である場合、前記前処理過程によって、前記ジメチルテレフタル酸を約142℃~170℃で溶融状態に作り、前記ジオールと反応させることができるため、前記第1エステル化反応速度をさらに早い、かつ、効率良く行うことができる。
【0144】
一方、前記スラリーを製造する前処理段階において、前記芳香族ジカルボン酸の粒子サイズ、粒度分布、前処理反応条件などによって、前記生分解性樹脂組成物の構造及び物性が異なってくる。
【0145】
例えば、前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸を含んでいてもよい。前記テレフタル酸は、粒子サイズ分布(PSD)における粒度分析器Microtrac S3500によって測定された平均粒径(D50)が10μm~400μmであり、前記平均粒径(D50)に対する標準偏差(Standard Deviation)が100以下であってもよい。前記標準偏差は、分散の平方根を意味する。前記テレフタル酸の平均粒径(D50)は、20μm~200μm、30μm~180μmまたは50μm~150μmであってもよい。前記テレフタル酸の平均粒径(D50)が上記範囲を満たす場合、ジオールに対する溶解度の向上及び反応速度の側面からさらに有利であり得る。
【0146】
前記前処理工程では、前記ジオールと前記芳香族ジカルボン酸とを混合して、前記スラリー攪拌機100(タンク)に投入することができる。
【0147】
例えば、前記スラリー攪拌機100は、最下部がアンカー(anchor)型であり、攪拌機(agitator)までの高さが20mm以上であってもよい。また、2個以上の回転羽根を具備したものが効率良い攪拌効果を達成するのにさらに有利であり得る。
【0148】
例えば、前記スラリー攪拌機100は、前記攪拌機までの高さが20mm以上、つまり、反応機と前記攪拌機の最下部との間がほぼ付いていてもよく、この場合、沈殿のないスラリーを得ることができる。仮に前記攪拌機の模様、形態及び回転羽根が上記条件を満していない場合、ジオールと芳香族ジカルボン酸とが初期混合されるとき、前記芳香族ジカルボン酸が底に沈降し得、この場合、相分離が起こり得る。
【0149】
前記スラリーを製造する前処理工程は、前記ジオールと前記芳香族ジカルボン酸とを混合して、約30℃~約100℃で、約50rpm~約200rpmで、10分以上または10分~200分間攪拌する段階を含んでいてもよい。
【0150】
前記ジオールは、前述と同様の特徴を有していてもよい。
【0151】
前記ジオールは、一度に投入されるか、分割して投入されていてもよい。例えば、前記ジオールは、芳香族ジカルボン酸との混合時と、脂肪族ジカルボン酸との混合時とに分けて投入されていてもよい。
【0152】
前記芳香族ジカルボン酸は、前述と同様の特徴を有していてもよい。
【0153】
前記スラリーを製造する前処理段階において、前記ジオール及び前記芳香族ジカルボン酸のモル比は、約0.8:1~約1.2:1であってもよい。前記スラリーを製造する前処理段階において、前記ジオール及び前記芳香族ジカルボン酸のモル比は、約0.9:1~約1.1:1であってもよい。
【0154】
前記ジオールが前記芳香族ジカルボン酸よりもさらに多量に投入されると、前記芳香族ジカルボン酸は、容易に分散することができる。
【0155】
前記スラリーには、前記ナノセルロース及び前記金属塩のうち少なくとも1つ以上が添加されていてもよい。
【0156】
前記ナノセルロースは、投入される前に、ビーズミルによって前処理されるか、超音波によって前処理されてもよい。具体的には、前記ナノセルロースは、水分散されたナノセルロースがビーズミル前処理されるか、超音波前処理されたものであってもよい。
【0157】
前記ナノセルロースは、イオン結合した金属を含むため、水に対する分散性が非常に高くてもよい。また、前記ビーズミル前処理、前記超音波前処理によって、前記ナノセルロースの分散度が非常に高い水分散液が得られる。前記ナノセルロース水分散液における前記ナノセルロースの含量は、約1重量%~約50重量%であってもよい。
【0158】
本発明による製造方法は、前記第1の予備重合体と脂肪族ジカルボン酸を含む第2の原料組成物を第2エステル化反応させて、第2の予備重合体を製造する段階を含む。
【0159】
上記段階は、前記スラリー及び前記脂肪族ジカルボン酸をエステル化反応させて、第2の予備重合体を製造する段階を含んでいてもよい。
【0160】
前記スラリー及び前記脂肪族ジカルボン酸は、前記エステル反応部200で反応することができる。
【0161】
前記第2エステル化反応において、前記スラリーを用いることによって、反応時間を短縮することができる。例えば、前記前処理段階で得たスラリーは、前記第2エステル反応の反応時間の1.5倍以上を短縮することができる。
【0162】
前記第2エステル化反応は、少なくとも2回以上行うことができる。前記第2エステル化反応によって縮重合工程に投入される第2の予備重合体を製造することができる。
【0163】
前記第1エステル化反応後、前記エステル化反応部200に、前記脂肪族ジカルボン酸及び前記ジオールの混合物が投入されて、前記第1エステル化反応後の第1の予備重合体と共に、第2エステル化反応を行うことができる。
【0164】
前記第1エステル化反応は、250℃以下で、1.25時間~4時間行うことができる。具体的には、前記第1エステル化反応は、180℃~250℃、185℃~240℃または200℃~240℃で、副産物である水が理論的に95%に到逹するまで、常圧または減圧で行うことができる。例えば、前記第1エステル化反応は、1.25時間~4時間、1.25時間~3.5時間または2.5時間~3時間行うことができるものの、これに限定されるものではない。
【0165】
前記第2エステル化反応は、約250℃以下で、0.25時間~3.5時間行うことができる。具体的には、前記第2エステル化反応は、180℃~250℃、185℃~240℃または200℃~240℃で、副産物である水が理論的に 95%に到逹するまで、常圧または減圧で行うことができる。例えば、前記第2エステル化反応は、0.5時間~3時間、1時間~2.5時間または1.5時間~2.5時間行うことができるものの、これに限定されるものではない。
【0166】
前記エステル反応が前記第1エステル反応と、前記第2エステル反応とに分けて行われる場合、全体のエステル反応は、精密に制御することができる。これによって、前記エステル反応が分けて行われる場合、前記エステル反応の反応安全性及び反応均一性が向上し得る。
【0167】
前記第2エステル化反応によって、前記第2の予備重合体を形成することができる。
【0168】
前記第2の予備重合体の数平均分子量は、約500g/mol~約10,000g/molであってもよい。例えば、前記第2の予備重合体の数平均分子量は、約500g/mol~約8,500g/mol、約500g/mol~約8,000g/mol、約500g/mol~約7,000g/mol、約500g/mol~約5,000g/mol、または約800g/mol~約3,000g/molであってもよい。前記第2の予備重合体の数平均分子量が上記範囲を満たすことにより、縮重合反応における重合体の分子量を効率良く増加させることができる。前記数平均分子量は、前述した測定方法と同じ方法により測定することができる。
【0169】
前記第2エステル化反応では、チタン系触媒及び/またはゲルマニウム系触媒を使用することができる。具体的には、前記スラリーに前記チタン系触媒及び/またはゲルマニウム系触媒が添加されて、前記第2エステル化反応を行うことができる。
【0170】
また、前記第1エステル化反応前に、前記スラリーに前記チタン系触媒及び/または前記ゲルマニウム系触媒が添加されて、前記第1の予備重合体に前記ゲルマニウム系触媒がさらに添加されていてもよい。
【0171】
上記段階では、熱安定剤が投入されていてもよい。
【0172】
前記熱安定剤は、前記第1エステル化反応前に、前記スラリーと共に投入されていてもよい。前記熱安定剤は、前記第1エステル化反応中に、前記エステル化反応部200に投入されていてもよい。前記熱安定剤は、前記第1エステル化反応後に、前記エステル反応生成物に投入されていてもよい。また、前記熱安定剤は、前記脂肪族ジカルボン酸と共に投入されていてもよい。また、前記熱安定剤は、前記第1エステル化反応後且つ前記第2エステル化反応前に、前記エステル化反応部200に投入されていてもよい。
【0173】
前記熱安定剤は、酸化防止機能を有する酸化防止剤であってもよい。前記熱安定剤は、リン系熱安定剤であってもよい。前記熱安定剤は、テトラエチレンペンタミンなどのアミン系高温熱安定剤、トリエチルホスホノアセテート、リン酸(phosphoric acid)、亜リン酸(phosphorous acid)、ポリリン酸(polyphosphric acid)、トリメチルホスフェート(trimethyl phosphate:TMP)、トリエチルホスフェート(triethyl phosphate)、トリメチルホスフィン(trimethyl phosphine)、またはトリフェニルホスフィン(triphenyl phosphine)などからなる群から少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0174】
前記熱安定剤の含量は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸の総重量を基準に3,000ppm以下であってもよい。具体的には、前記熱安定剤の含量は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸の総重量を基準に10ppm~3,000ppm、20ppm~2,000ppm、20ppm~1,500ppm、または20ppm~1,000ppmであってもよい。前記熱安定剤の含量が上記範囲を満たすことにより、反応過程中で高温によるポリマーの劣化を制御することができ、ポリマーの末端基を減らして、カラー(color)を改善させることができる。
【0175】
本発明による製造方法は、前記第2の予備重合体を縮重合する段階を含む。
【0176】
前記第2の予備重合体を製造した後、前記第2の予備重合体の反応物としてシリカ、カリウムまたはマグネシウムのような添加剤、及びコバルトアセテートのような色補正剤からなる群から選択された1種以上が添加されていてもよい。前記第2の予備重合体と共に前記縮重合反応部300に投入されていてもよい。これによって、前記添加剤及び/または前記色補正剤は、前記生分解性樹脂に均一に分散することができる。
【0177】
前記第2の予備重合体を製造した後、前記第2の予備重合体と無機フィラーとを混合することができる。
【0178】
前記無機フィラーは、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、タルク粉、ベントナイト、カオリン、白亜粉末、炭酸カルシウム、黒鉛、石膏、電気伝導性カーボンブラック、塩化カルシウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化カリウム、ドロマイト、二酸化珪素、珪灰石、二酸化チタン、珪酸塩、雲母、ガラス繊維、または鉱物性纎維などからなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0179】
レーザー回折法によって得た前記無機フィラーの粒径分布における累積(D50)は、約100μm以下、約85μm以下、約70μm以下、約50μm以下、約25μm以下、約10μm以下、約5μm以下、約3μm以下、または約1μm以下であってもよい。
【0180】
また、前記無機フィラーの比表面積は、約100m2/g以上であってもよい。例えば、前記無機フィラーの比表面積は、約100m2/g以上、約105m2/g以上または約110m2/g以上であってもよい。
【0181】
前記無機フィラーは、二酸化チタン(TiO2)を含んでいてもよい。前記二酸化チタンは、前記生分解性樹脂組成物が紡糸する場合、紡糸した前記生分解性樹脂組成物の間の接着力を減少させることができ、均一なナノサイズの纎維状が形成され得、生分解性不織布のビーズの形成を抑制することができる。
【0182】
前記二酸化チタンは、ほとんど光沢のないFD(Full Dull)TiO2と、少し光沢のあるSD(Semi Dull)TiO2のうち少なくとも1つ以上を使用することができる。光沢の強いBright TiO2は、使用しない方が好ましい。前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に前記FD TiO2は、3,000ppm以上、5,000ppm以上、10,000ppm以上、20,000ppm以上、または5,000ppm~30,000ppmの含量で含まれていてもよい。
【0183】
前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に前記SD TiO2は、3,000ppm以上、3,500ppm以上、4,000ppm以上、5,000ppm以上、または3,000ppm~6,000ppmの含量で含まれていてもよい。
【0184】
前記第1回収部510は、前記エステル化反応部200から水などのような反応副産物を回収することができる。前記第1回収部510は、前記エステル化反応部200に真空圧力を印加するか、還流を行って、前記エステル化反応で発生する副産物を回収することができる。
【0185】
前記第2の予備重合体は、前記縮重合反応部300に投入されていてもよい。前記縮重合反応部300は、攪拌機(Agitator)であってもよい。
【0186】
前記攪拌機における前記第2の予備重合体は、200分~400分、300分~350分、280分~320分、または290分~310分間の縮重合が行われてもよい。
【0187】
前記攪拌機におけるAmpere値は、110超~150未満、120以上~150未満、130以上~150未満、または135以上~145以下であってもよい。
【0188】
前記Ampere値は、前記攪拌機にかかる負荷を示す指標であってもよい。前記第2の予備重合体の重合度が増加するほど、前記Ampere値が増加し得る。
【0189】
前記縮重合した第2の予備重合体の190℃での固有粘度は、0.9dl/g~2.0dl/g、0.95dl/g~2.0dl/g、0.95dl/g~1.9dl/g、0.95dl/g~1.8dl/g、または0.95dl/g~1.7dl/gであってもよい。前記固有粘度は、前記縮重合した第2の予備重合体の粘性を示す指標であってもよい。
【0190】
上記範囲を満たす場合、紡糸工程によって短繊維及び/または長繊維で製造される数メルトインデックスを有する生分解性樹脂を製造し、円滑な紡糸工程によって前記生分解性樹脂から生分解性不織布を製造することができる。
【0191】
前記縮重合反応は、約180℃~約280℃且つ約10torr以下で行うことができる。前記縮重合反応は、約190℃~約270℃、約210℃~約260℃または約230℃~約255℃で行うことができ、約0.9torr以下、約0.7torr以下、約0.2torr~約10torr、約0.3torr~約0.9torr、または約0.4torr~約0.6torrで行うことができる。
【0192】
前記縮重合反応は、1次縮重合及び2次縮重合を含んでいてもよい。
【0193】
前記1次縮重合は、約260℃以下、約250℃以下、約215℃~約250℃、約215℃~約245℃、または約230℃~約245℃で、約1torr~約200torr、約2torr~約100torr、約4torr~約50torr、約5torr~約45torr、または約8torr~約32torrで行うことができる。
【0194】
また、前記2次縮重合は、約220℃~約265℃、約230℃~約260℃、または約235℃~約255℃で、約1torr以下、約0.8torr以下、約0.6torr以下、約0.1torr~約1torr、約0.3torr~約0.8torr、または約0.4torr~約0.6torrで行うことができる。
【0195】
前記縮重合によって製造された第1の生分解性樹脂の数平均分子量は、30,000g/mol~50,000g/mol、31,000g/mol~50,000g/mol、32,000g/mol~50,000g/mol、33,000g/mol~50,000g/mol、33,000g/mol~45,000g/mol、33,000g/mol~42,000g/mol、または33,000g/mol~40,000g/molであってもよい。
【0196】
前記縮重合によって製造された第1の生分解性樹脂の重量平均分子量は、60,000g/mol~100,000g/mol、60,000g/mol~95,000g/mol、60,000g/mol~93,000g/mol、63,000g/mol~93,000g/mol、65,000g/mol~93,000g/mol、または70,000g/mol~90,000g/molであってもよい。
【0197】
前記縮重合によって製造された第1の生分解性樹脂の多分散指数は、1.5~3.0、1.8~3.0、2.0~2.8、2.0~2.7、2.0~2.6、または2.0~2.5であってもよい。
【0198】
上記範囲を満たす場合、紡糸能(Spinning ability)に優れ、引張強度が向上し得る。
【0199】
前記第1の生分解性樹脂の数平均分子量、重量平均分子量及び多分散指数は、前述した測定条件と同じ方法により測定することができる。
【0200】
前記縮重合によって製造された生分解性樹脂組成物は、下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下である。
【0201】
[測定方法]
1)前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で、第1のメルトインデックスを測定し、前記生分解性樹脂組成物を250℃及び2.16kgの条件下で、第2のメルトインデックスを測定する。
【0202】
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
【0203】
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(上記式1において、前記第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【0204】
前記生分解性樹脂組成物のメルトインデックスは、前述した前記生分解性樹脂組成物のメルトインデックスと同じ意味を示すことができる。
【0205】
上記範囲を満たす場合、紡糸工程中で生分解性樹脂組成物の吐出量は、均一であり、優れた紡糸能を有していてもよく、前記生分解性樹脂組成物から製造される生分解性不織布の原糸は、切断せず、引張強度及び伸び率が向上し得る。
【0206】
前記第2回収部520は、前記縮重合反応部300から水などのような反応副産物を回収することができる。前記第2回収部520は、前記縮重合反応部300に真空圧力を印加して、前記縮重合反応で発生する副産物を回収することができる。
【0207】
前記第2回収部520は、前記縮重合反応部300の内部に約0.1torr~約1torrの真空圧力を印加することができる。前記第2回収部520は、前記縮重合反応部300の内部に約0.1torr~約0.9torrの真空圧力を印加することができる。
【0208】
本発明による製造方法は、前記第1の生分解性樹脂からペレット(pellet)を製造する段階を含んでいてもよい。
【0209】
具体的には、前記第1の生分解性樹脂を約15℃以下、約10℃以下または約6℃以下に冷却した後、前記冷却した第1の生分解性樹脂をカットして、ペレットに製造することができる。
【0210】
前記カット段階は、当業界で用いられるペレットカッターであれば制限なく用いて行うことができ、ペレットは、様々な形を有していてもよい。前記ペレットのカット方法では、アンダーウォーター(underwater)カット法、またはストランド(strand)カット法を用いることができる。
【0211】
前記ペレットは、さらなる後処理工程を経ることができる。前記ペレットは、前記後処理部400に投入されて、上記後処理工程を行うことができる。
【0212】
上記後処理工程は、前記後処理部400内で行うことができる。前記後処理部400内に前記ペレットが投入されていてもよい。その後、前記後処理部400は、前記投入したペレットを摩擦熱によって溶融させて、再押出することができる。すなわち、前記後処理部400は、二軸押出機などのような押出機を含んでいてもよい。
【0213】
上記後処理工程の温度は、約230℃~約270℃であってもよい。上記後処理工程の温度は、約230℃~約260℃であってもよい。上記後処理工程の温度は、約240℃~約265℃であってもよい。上記後処理工程の温度は、約240℃~約260℃であってもよい。
【0214】
上記後処理工程時間は、約30秒~約3分であってもよい。上記後処理工程時間は、約50秒~約2分であってもよい。上記後処理工程時間は、約1分~約2分であってもよい。
【0215】
その後、前記押出機によって押出した樹脂は、冷却してカットされ、後処理されたペレットに加工することができる。すなわち、前記押出機から押出した樹脂は、上述したカット段階を通じてペレットに再加工することができる。
【0216】
前記ペレットが製造された後、前記第1の生分解性樹脂は、前記異種の第2の生分解性樹脂とコンパウンドすることができる。
【0217】
前記コンパウンド工程は、下記のとおりである。前記第1の生分解性樹脂及び前記異種の第2の生分解性樹脂は、前記無機フィラー、前記熱安定剤、前記金属塩、または前記その他添加剤のうち少なくとも1つ以上と混合して、押出機に投入されていてもよい。前記混合した生分解性樹脂組成物は、前記押出機内で約180℃~約260℃の温度に溶融して、互いに混合することができる。その後、前記溶融混合した生分解性樹脂組成物は、押出し、冷却し、カットされ、再ペレット化し得る。これらの過程によって、前記異種の第2の生分解性樹脂と複合化することができる。
【0218】
本発明による生分解性成形品は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含む第1の生分解性樹脂を含む生分解性樹脂組成物を含み、前記生分解性樹脂組成物は、下記の測定方法によるメルトインデックスの変化値が45g/10min以下である。
【0219】
[測定方法]
1)前記生分解性樹脂組成物を190℃及び2.16kgの条件下で、第1のメルトインデックスを測定し、前記生分解性樹脂組成物を250℃及び2.16kgの条件下で、第2のメルトインデックスを測定する。
【0220】
2)下記の式1によってメルトインデックスの変化値が算出される。
【0221】
[式1]
メルトインデックスの変化値=第2のメルトインデックス-第1のメルトインデックス
(上記式1において、前記第1のメルトインデックスは、6g/10min以上である。)
【0222】
前記第1の生分解性樹脂は、前述した第1の生分解性樹脂と同一のものであってもよい。
【0223】
本発明による生分解性成形品は、生分解性不織布であってもよい。前記生分解性不織布は、前記生分解性樹脂組成物を含み、前記生分解性樹脂組成物は、前記第1の生分解性樹脂と互いに異なる異種の第2の生分解性樹脂を含んでいてもよい。前記異種の第2の生分解性樹脂は、ポリラクト酸を含んでいてもよい。
【0224】
前記ポリラクト酸は、ステレオコンプレックス結晶を有する高融点のポリラクト酸であってもよい。また、前記ポリラクト酸は、ポリL-ラクト酸とポリD-ラクト酸とが溶液混合または溶融混合して形成されていてもよい。
【0225】
前記ポリラクト酸は、下記の化1で表される単位を含んでいてもよい。
【0226】
【0227】
前記ポリラクト酸は、L-ラクト酸単位及び/またはD-ラクト酸単位を含む重合体であってもよい。前記ポリラクト酸は、ポリL-ラクト酸及び/またはポリD-ラクト酸を含んでいてもよい。
【0228】
前記ポリL-ラクト酸は、L-ラクト酸単位を主に含む重合体であってもよい。前記ポリL-ラクト酸は、約90モル%~約100モル%、約95モル%~約100モル%、または約97モル%~約100モル%の含量でL-ラクト酸単位を含んでいてもよい。前記ポリL-ラクト酸は、D-ラクト酸単位及び/またはラクト酸以外の単位を含んでいてもよい。前記ポリL-ラクト酸は、前記D-ラクト酸単位及び/またはラクト酸以外の単位を約0モル%~約10モル%、約0モル%~約5モル%、または約0モル%~約3モル%の含量で含んでいてもよい。
【0229】
前記ポリD-ラクト酸は、D-ラクト酸単位を主に含む重合体であってもよい。前記ポリD-ラクト酸は、約90モル%~約100モル%、約95モル%~約100モル%または約97モル%~約100モル%の含量で、前記D-ラクト酸単位を含んでいてもよい。前記ポリD-ラクト酸は、前記L-ラクト酸単位及び/またはラクト酸以外の単位を含んでいてもよい。前記ポリD-ラクト酸は、前記L-ラクト酸単位及び/またはラクト酸以外の単位を約0モル%~約10モル%、約0モル%~約5モル%または約0モル%~約3モル%の含量で含んでいてもよい。
【0230】
前記ラクト酸以外の単位は、2個以上のエステル結合で形成可能な官能基を有するジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどから由来する単位、及びこれらの様々な構成成分からなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネートなどから由来する単位であってもよい。
【0231】
前記ジカルボン酸では、例えば、サクシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられる。前記多価アルコールでは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの脂肪族多価アルコールなど、或いはビスフェノールにエチレンオキシドを付加したものなどの芳香族多価アルコールなどが挙げられる。
【0232】
前記ヒドロキシカルボン酸では、グリコール酸、ヒドロキシブチル酸などが挙げられる。ラクトンでは、例えば、グリコリド、ε-カプロラクトングリコリド、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、δ-ブチロラクトン、β-またはγ-ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ-バレロラクトンなどが挙げられる。
【0233】
【0234】
前記ポリラクト酸の融点は、約100℃~約240℃であってもよい。前記ポリラクト酸の融点は、約120℃~約220℃であってもよい。前記ポリラクト酸の融点は、約140℃~約200℃であってもよい。前記ポリラクト酸の融点は、約140℃~約180℃であってもよい。
【0235】
前記ポリラクト酸の結晶化温度(Tc)は、約50℃~約80℃であってもよい。前記ポリラクト酸の結晶化温度(Tc)は、約55℃~約75℃であってもよい。
【0236】
前記ポリラクト酸のガラス転移温度(Tg)は、約20℃~約80℃であってもよい。前記ポリラクト酸のガラス転移温度は、約30℃~約70℃であってもよい。前記ポリラクト酸のガラス転移温度は、約40℃~約65℃であってもよい。前記融点及び前記ガラス転移温度は、ASTM D-3417に準拠して示差走査熱量計(DSC)によって測定することができる。
【0237】
前記ポリラクト酸は、上記のような範囲で、融点及びガラス転移温度を有することにより、本発明による生分解性成形品は、向上した機械的物性を有していてもよい。
【0238】
前記異種の第2の生分解性樹脂は、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート-アジペート、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート、ポリヒドロキシブチレート-バレラート、ポリカプロラクトン、及びポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレートからなる群から選択される1つ以上を更に含んでいてもよい。
【0239】
前記生分解性樹脂組成物は、伸び率向上剤を含んでいてもよい。
【0240】
前記伸び率向上剤は、パラフィンオイル、ナフテンオイルまたはアロマティックオイルなどのようなオイル、或いはジブチルアジペート、ジエチルヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、またはジイソプロピルアジペートなどのようなアジペートが挙げられる。前記伸び率向上剤は、前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に、約10ppm~約10,000ppmの含量で含まれていてもよい。前記伸び率向上剤は、前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に、約100ppm~約10,000ppmの含量で含まれていてもよい。上記範囲を満たす場合、生分解性成形品の機械的物性が向上し得る。
【0241】
前記生分解性樹脂組成物は、金属塩を含んでいてもよい。
【0242】
前記金属塩は、前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に、約0.1ppm~約1,000ppmの含量で含まれていてもよい。前記金属塩は、前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に、約1ppm~約500ppmの含量で含まれていてもよい。前記金属塩は、前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に、約1ppm~約100ppmの含量で含まれていてもよい。前記金属塩は、前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に、約1ppm~約50ppmの含量で含まれていてもよい。上記範囲を満たす場合、生分解性成形品の生分解速度を適宜調節することができる。前記金属塩は、窒酸塩、硫酸塩、塩酸塩、またはカルボン酸塩などからなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。前記金属塩は、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、銅塩、鉄塩、アルミニウム塩、または銀塩などからなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。前記金属塩は、マグネシウムアセテート、カルシウムアセテート、カリウムアセテート、窒酸銅、窒酸銀、または窒酸ナトリウムなどからなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0243】
前記生分解性樹脂組成物は、鎖延長剤を含んでいてもよい。
【0244】
前記鎖延長剤は、イソシアネートを含んでいてもよい。前記鎖延長剤は、1官能性イソシアネートまたは多官能性イソシアネートからなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。前記鎖延長剤は、トリレン2,4-ジイソシアネート、トリレン2,6-ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4'-ジイソシアネート、及び2,4'-ジイソシアネート、ナフタレン1,5-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びメチレンビス(4-イソシアネートシクロヘキサン)からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。前記鎖延長剤は、トリイソシアネートを含んでいてもよい。前記鎖延長剤は、トリ(4-イソシアネートフェニル)メタンを含んでいてもよい。
【0245】
前記鎖延長剤は、前記第1の生分解性樹脂に化学的に結合していてもよい。前記鎖延長剤は、前記第1の生分解性樹脂に含まれた高分子と化学的に結合していてもよい。前記鎖延長剤は、前記第1の生分解性樹脂に含まれた高分子の末端に結合していてもよい。また、前記鎖延長剤は、前記第1の生分解性樹脂に含まれた3個の高分子の末端に結合していてもよい。
【0246】
前記鎖延長剤は、前記生分解性樹脂組成物に全体組成物を基準に、約0.1重量%~約10重量%の含量で含まれていてもよい。前記鎖延長剤は、前記生分解性樹脂組成物に全体組成物を基準に、約1重量%~約8重量%の含量で含まれていてもよい。前記鎖延長剤は、前記生分解性樹脂組成物に全体組成物を基準に、約2重量%~約7重量%の含量で含まれていてもよい。上記範囲を満たす場合、生分解性成形品は、適宜な生分解性を有していてもよい。
【0247】
前記鎖延長剤は、前記生分解性樹脂組成物に含まれた末端カルボン基または未反応カルボン基とも反応することができる。これによって、前記生分解性樹脂組成物は、低い酸価を有していてもよい。
【0248】
前記鎖延長剤は、前記第1の生分解性樹脂に含まれた高分子をカップリングさせて、前記生分解性樹脂組成物が含む高い分子量のポリマーの割合を高めることができる。これによって、生分解性成形品の機械的特性が向上し得る。
【0249】
前記生分解性樹脂組成物は、可塑剤を含んでいてもよい。
【0250】
前記可塑剤は、加工性または製造される生分解性成形品の柔軟性を付与することができる。前記可塑剤は、グリセロール、アクリレート、グリセリン、グリセロールモノステアレート(GMS)、ソルビトール、またはこれらの混合物であってもよい。前記可塑剤の含量は、前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に、2.0重量%未満、1.8重量%以下、1.6重量%以下、1.4重量%以下、1.2重量%以下、または1.0重量%以下であってもよい。上記範囲を満たす場合、前記生分解性樹脂組成物から製造される生分解性成形品の柔軟性が付与され得、使用者は、一般的な使用期間内にある程度の耐可塑性を維持することができる。
【0251】
本発明による生分解性不織布の製造方法は、生分解性樹脂組成物を紡糸して、生分解性原糸を製造する段階と、前記生分解性原糸を冷却する段階と、前記冷却した生分解性原糸を結合して、生分解性原糸ウェブを形成する段階と、を含み、前記生分解性樹脂組成物は、第1の生分解性樹脂を含み、前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含み、前記生分解性樹脂組成物の結晶化温度が70℃~130℃である。
【0252】
本発明による生分解性不織布の製造方法は、生分解性樹脂組成物を紡糸して、生分解性原糸を製造する段階を含む。
【0253】
前記生分解性樹脂組成物は、前記第1の生分解性樹脂を含む。前記第1の生分解性樹脂は、前述した前記第1の生分解性樹脂と同一のものであってもよい。
【0254】
前記生分解性樹脂組成物は、第2の生分解性樹脂を更に含んでいてもよい。
【0255】
前記第2の生分解性樹脂は、ポリブチレンサクシネート、ポリラクト酸、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート-アジペート、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート、ポリヒドロキシブチレート-バレラート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート-co-ブチレンサクシネートテレフタレート、及びポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレートからなる群から選択される1つ以上を含んでいてもよい。
【0256】
前記第1の生分解性樹脂及び前記第2の生分解性樹脂の重量比は、1:99~30:70、2:98~30:70、3:97~30:70、4:96~30:70、または5:95~30:70であってもよい。上記範囲を満たす場合、紡糸工程中で生分解性樹脂組成物の優れた紡糸能を有していてもよく、製造される生分解性不織布原糸の引張強度及び伸び率が向上し得る。
【0257】
前記第2の生分解性樹脂は、ポリラクト酸を含んでいてもよい。前記ポリラクト酸は、前述したポリラクト酸と同一のものであってもよい。
【0258】
前記生分解性樹脂組成物は、無機フィラーを含んでいてもよい。前記無機フィラーは、前述した無機フィラーと同一のものであってもよい。
【0259】
前記生分解性樹脂組成物は、鎖延長剤を含んでいてもよい。前記鎖延長剤は、前述した鎖延長剤と同一のものであってもよい。
【0260】
前記生分解性樹脂組成物の全体重量を基準に、前記鎖延長剤は、1,000ppm~5,000ppm、1,000ppm~4,500ppm、1,000ppm~4,000ppm、1,500ppm~4,000ppm、1,500ppm~3,500ppm、または2,000ppm~3,500ppmで含まれていてもよい。上記範囲を満たす場合、生分解性不織布は、適宜な生分解性を有していてもよい。
【0261】
前記鎖延長剤は、イソシアネートを含んでいてもよい。前記鎖延長剤は、1官能性イソシアネートまたは多価能性イソシアネートからなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。前記鎖延長剤は、トリレン2,4-ジイソシアネート、トリレン2,6-ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4'-ジイソシアネート、及び2,4'-ジイソシアネート、ナフタレン1,5-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びメチレンビス(4-イソシアネートシクロヘキサン)からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。前記鎖延長剤は、トリイソシアネートを含んでいてもよい。前記鎖延長剤は、トリ(4-イソシアネートフェニル)メタンを含んでいてもよい。前記鎖延長剤は、前記第1の生分解性樹脂及び/または第2の生分解性樹脂に化学的に結合していてもよい。前記鎖延長剤は、前記第1の生分解性樹脂及び/または第2の生分解性樹脂に含まれた高分子と化学的に結合していてもよい。前記鎖延長剤は、前記第1の生分解性樹脂及び/または第2の生分解性樹脂に含まれた高分子の末端に結合していてもよい。また、前記鎖延長剤は、前記第1の生分解性樹脂及び/または第2の生分解性樹脂に含まれた3個の高分子の末端に結合していてもよい。前記鎖延長剤は、前記生分解性樹脂組成物に含まれた末端カルボン基または未反応カルボン基とも反応することができる。これによって、前記生分解性樹脂組成物は、低い酸価を有していてもよい。また、前記鎖延長剤は、前記第1の生分解性樹脂及び/または第2の生分解性樹脂に含まれた高分子をカップリングさせて、前記生分解性樹脂組成物が含む高い分子量のポリマーの割合を高めることができる。これによって、生分解性不織布の機械的特性が向上し得る。
【0262】
前記生分解性樹脂組成物は、添加剤を含んでいてもよい。
【0263】
前記添加剤は、伸び率向上剤を含んでいてもよい。前記添加剤は、金属塩を含んでいてもよい。前記添加剤は、熱安定剤を含んでいてもよい。前記伸び率向上剤、金属塩、熱安定剤は、前述した伸び率向上剤、金属塩、熱安定剤と同一のものであってもよい。
【0264】
前記生分解性樹脂組成物は、補強材を含んでいてもよい。
【0265】
前記補強材は、前記生分解性樹脂組成物、及びこれによって製造される生分解性不織布の機械的物性を向上させることができる。また、前記補強材は、紫外線による生分解性不織布の変形特性を調節することができる。また、前記補強材は、生分解性不織布の生分解性を調節することができる。
【0266】
前記補強材は、バイオマスから由来する繊維であってもよい。前記補強材は、有機物質からなる纎維であってもよい。前記補強材は、ナノセルロースであってもよい。
【0267】
前記ナノセルロースは、ナノ結晶セルロース、セルロースナノファイバー、マイクロフィブリル化セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、ペンチルセルロース、ヘキシルセルロース、またはシクロヘキシルセルロースからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0268】
前記ナノセルロースは、イオン結合した金属を含んでいてもよい。前記ナノ結晶セルロースは、ナトリウム元素、カルボキシレートナトリウム塩などを含んでいてもよい。また、前記ナノ結晶セルロースは、硫酸塩(sulphate)を含んでいてもよい。前記ナノ結晶セルロースは、セルロース硫酸水素ナトリウム(Cellulose hydrogen sulphate sodium salt)であってもよい。
【0269】
前記ナノセルロースは、下記の化2で表される。
【0270】
【0271】
上記化2において、前記xは、15~35であり、前記yは、1~10であってもよい。前記ナノセルロースは、約200m2/g~約600m2/gの比表面積を有していてもよい。前記ナノセルロースは、約300m2/g~約500m2/gの比表面積を有していてもよい。前記ナノセルロースの重量平均分子量は、約10,000g/mol~約40,000g/molであってもよい。前記ナノ結晶セルロースの重量平均分子量は、約11,000g/mol~約35,000g/molであってもよい。
【0272】
前記ナノセルロースの平均直径は、約0.5nm~約10nmであってもよい。前記ナノセルロースの平均直径は、約1nm~約8nmであってもよい。前記ナノセルロースの平均直径は、約1.5nm~約7nmであってもよい。
【0273】
前記ナノセルロースの平均長さは、約20nm~約200nmであってもよい。前記ナノセルロースの平均長さは、約30nm~約180nmであってもよい。前記ナノセルロースの平均長さは、約35nm~約150nmであってもよい。前記ナノセルロースの直径及び長さが上記範囲を満たすことにより、生分解性樹脂組成物、これを用いて得た生分解性不織布の物性をさらに向上させることができる。前記ナノセルロースの直径及び長さは、水に分散した状態で、原子力間顕微鏡(atomic force microscopy)によって測定することができる。
【0274】
前記ナノセルロースの硫酸塩の含量は、前記ナノ結晶セルロースの全体を基準に、約0.6重量%~約1.2重量%であってもよい。前記ナノ結晶セルロースの硫酸塩の含量は、前記ナノセルロースの全体を基準に、約0.75重量%~約1.1重量%であってもよい。
【0275】
前記ナノセルロースのpHは、5~7であってもよい。前記ナノセルロースのpHは、6~7であってもよい。
【0276】
前記ナノセルロースのゼータ電位は、約-25mV~約-50mVであってもよい。前記ナノセルロースのゼータ電位は、約-30mV~約-45mVであってもよい。
【0277】
前記ナノセルロースは、前記生分解性樹脂組成物100重量部を基準に、約0.1重量部~約2重量部の含量で含まれていてもよい。前記ナノセルロースは、前記生分解性樹脂組成物100重量部を基準に、約0.3重量部~約1.5重量部の含量で含まれていてもよい。前記ナノセルロースは、前記生分解性樹脂組成物 100重量部を基準に、約0.5重量部~約1.2重量部の含量で含まれていてもよい。前記ナノセルロースは、前記生分解性樹脂組成物100重量部を基準に、約0.6重量部~約1重量部の含量で含まれていてもよい。
【0278】
前記ナノセルロースは、上記のような特徴を有するため、前記生分解性樹脂組成物に均一に分散することができる。前記ナノセルロースは、上記のような特徴を有するため、前記生分解性樹脂組成物から製造された生分解性不織布の機械的物性を向上させることができる。前記ナノセルロースは、上記のような特徴を有するため、前記生分解性樹脂組成物から製造された生分解性不織布が適宜な耐UV特性を有していてもよい。前記ナノセルロースは、上記のような特徴を有するため、前記生分解性樹脂組成物から製造された生分解性不織布が適宜な生分解速度を有していてもよい。
【0279】
前記生分解性樹脂組成物は、可塑剤を含んでいてもよい。前記可塑剤は、前述した可塑剤と同一のものであってもよい。
【0280】
前記生分解性樹脂組成物は、前記第1の生分解性樹脂及び第2の生分解性樹脂のほか、異種の生分解性樹脂を含んでいてもよい。
【0281】
前記異種の生分解性樹脂は、ポリブチレンアゼレートテレフタレート(PBAzT)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンセバケートテレフタレート(PBSeT)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、及びポリヒドロキシアルカノエート(PHA)からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0282】
前記異種の生分解性樹脂は、前記第1,2生分解性樹脂100重量部を基準に、約10重量部~約100重量部の含量で含まれていてもよい。前記異種の生分解性樹脂は、前記第1,2の生分解性樹脂100重量部を基準に、約10重量部~約60重量部の含量で含まれていてもよい。前記異種の生分解性樹脂は、前記第1,2の生分解性樹脂100重量部を基準に、約20重量部~約50重量部の含量で含まれていてもよい。上記範囲を満たす場合、前記生分解性樹脂の機械的、光学的及び化学的物性を補完して、前記生分解性樹脂組成物から製造された生分解性不織布は、適宜な耐UV特性及び適宜な生分解速度を有していてもよい。
【0283】
より具体的には、
図1は、第2実施例による生分解性樹脂組成物を製造する装置を概略的に示したものである。
図1を参照すると、前記装置は、スラリー攪拌機100、エステル化反応部200、縮重合反応部300、後処理部400、第1回収部510、及び第2回収部520を含んでいてもよい。
【0284】
前記生分解性樹脂組成物を製造する段階は、前記ジオール及び前記芳香族ジカルボン酸を含むスラリーを製造する段階を含んでいてもよい。前記スラリーを製造する段階は、前述したスラリーを製造する段階と同じ工程で実施することができる。
【0285】
上記段階は、前記スラリー及び前記脂肪族ジカルボン酸をエステル化反応させて、予備重合体を製造する段階を含んでいてもよい。前記予備重合体を製造する段階は、前述した第1の予備重合体及び第2の予備重合体を製造する段階と同じ工程で実施することができる。
【0286】
前記エステル化反応によって、予備重合体を形成することができる。
【0287】
前記予備重合体の数平均分子量は、約500g/mol~約10,000g/molであってもよい。例えば、前記予備重合体の数平均分子量は、約500g/mol~約8,500g/mol、約500g/mol~約8,000g/mol、約500g/mol~約7,000g/mol、約500g/mol~約5,000g/mol、または約800g/mol~約3,000g/molであってもよい。前記予備重合体の数平均分子量が上記範囲を満たすことにより、縮重合反応における重合体の分子量を効率良く増加させることができる。
【0288】
前記数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。具体的には、ゲル透過クロマトグラフィーによって出たデータは、Mn、Mw、Mpなどのような様々な項目があるが、このうち数平均分子量(Mn)を基準として分子量を測定することができる。
【0289】
前記補強材、前記ポリカーボネートジオール、前記ポリエーテルポリオール、前記金属塩などは、前記エステル化反応前に、前記スラリーと共に投入されていてもよい。前記補強材、前記ポリカーボネートジオール、前記ポリエーテルポリオール、前記金属塩などは、前記エステル化反応中に前記エステル化反応部200に投入されていてもよい。前記補強材、前記ポリカーボネートジオール、前記ポリエーテルポリオール、前記金属塩などは、前記エステル化反応後に、前記エステル反応生成物に投入されていてもよい。また、前記補強材、前記ポリカーボネートジオール、前記ポリエーテルポリオール、前記金属塩などは、前記脂肪族ジカルボン酸と共に投入されていてもよい。また、前記補強材、前記ポリカーボネートジオール、前記ポリエーテルポリオール、前記金属塩などは、前記第1エステル反応後及び前記第2エステル反応前に、前記エステル化反応部200に投入されていてもよい。前記エステル化反応に前記補強材、前記金属塩が投入されるため、前記補強材、前記金属塩は、前記生分解性樹脂内に均一に分散することができる。前記補強材は、前述した特徴を有していてもよい。特に、前記補強材として前記ナノセルロースを使用することができる。
【0290】
前記エステル化反応にチタン系触媒及び/またはゲルマニウム系触媒を使用することができる。具体的には、前記スラリーに前記チタン系触媒及び/またはゲルマニウム系触媒が添加されて、前記エステル化反応が行われてもよい。
【0291】
前記第1エステル化反応前に、前記スラリーに前記チタン系触媒及び/または前記ゲルマニウム系触媒が添加され、前記第1エステル化反応の生成物に前記チタン系触媒及び/または前記ゲルマニウム系触媒がさらに添加されていてもよい。
【0292】
前記触媒の含量は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸の総重量を基準に、約100ppm~2,000ppmであってもよい。例えば、約100ppm~約1,600ppm、約150ppm~約1,400ppm、約200ppm~約1,200ppm、または約250ppm~約1,100ppmのチタン系触媒またはゲルマニウム系触媒を含んでいてもよい。触媒の含量が上記範囲を満たすことにより、物性をさらに向上させることができる。
【0293】
前記熱安定剤は、前記エステル化反応前に、前記スラリーと共に投入されていてもよい。前記熱安定剤は、前述した熱安定剤と同一のものであってもよい。
【0294】
前記エステル化反応の終了後、シリカ、カリウムまたはマグネシウムのような添加剤、及びコバルトアセテートのような色補正剤からなる群から選択された1種以上が、前記エステル化反応生成物にさらに添加されていてもよい。
【0295】
すなわち、エステル化反応の終了後、前記添加剤及び/または色補正剤が投入されて安定化した後、縮重合反応が行われてもよい。前記添加剤及び/または前記色補正剤が前記エステル化反応の終了後、添加されて、前記予備重合体と共に前記縮重合反応部300に投入されていてもよい。
【0296】
前記エステル化反応の終了後、前記無機フィラーが前記エステル化反応生成物に添加されていてもよい。すなわち、前記エステル化反応の終了後、前記無機フィラーが投入されて安定化した後、前記縮重合反応が行われてもよい。前記無機フィラーの特徴は、前述したとおりである。前記無機フィラーは、前記予備重合体と共に前記縮重合反応部300に投入されて、前記縮重合工程が行われてもよい。これによって、前記無機フィラーは、前記生分解性樹脂に均一に分散することができる。
【0297】
上記段階は、前記予備重合体を縮重合反応させる段階を含んでいてもよい。前記縮重合反応させる段階は、前述した縮重合反応段階と同じ工程によって実施することができる。
【0298】
前記縮重合反応前に、前記予備重合体にチタン系触媒またはゲルマニウム系触媒がさらに添加されていてもよい。また、前記縮重合反応前に、前記予備重合体にシリカ、カリウムまたはマグネシウムのような添加剤;トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスフィン、リン酸、亜リン酸、またはテトラエチレンペンタミンなどのアミン系安定化剤;及びアンチモニトリオキサイド、三酸化アンチモンまたはテトラブチルチタネートのような重合触媒からなる群から選択された1種以上をさらに投入することができる。
【0299】
前記重合体の数平均分子量は、約40,000g/mol以上であってもよい。例えば、前記重合体の数平均分子量は、約43,000g/mol以上、約45,000g/mol以上または約50,000g/mol~約70,000g/molであってもよい。前記重合体の数平均分子量が上記範囲を満たすことにより、物性、耐衝撃性、耐久性、及び成形性をさらに向上させることができる。
【0300】
前記第2回収部520は、前記縮重合反応部300から水などのような反応副産物を回収することができる。前記第2回収部520は、前述した第2回収部520と同一のものであってもよい。
【0301】
前記重合体に前記鎖延長剤が投入されていてもよい。前記重合体及び前記鎖延長剤は、均一に混合して、約200℃~約260℃の温度で、約1分~約15分間維持することができる。
【0302】
上記段階は、前記重合体からペレット(pellet)を製造する段階を含んでいてもよい。具体的には、前記重合体を約15℃以下、約10℃以下または約6℃以下に冷却した後、前記冷却した重合体をカットしてペレットに製造することができる。前記カット段階は、当業界で使用されるペレットカッターであれば制限なく用いて行うことができ、ペレットは、様々な形態を有していてもよい。前記ペレットのカット方法では、アンダーウォーター(underwater)カット法またはストランド(strand)カット法を用いることができる。前記ペレットは、さらなる後処理工程を経ることができる。前記ペレットは、前記後処理部400に投入されて、上記後処理工程が行われてもよい。上記後処理工程は、前記後処理部400内で行われてもよい。前記後処理部400内に前記ペレットが投入されていてもよい。その後、前記後処理部400は、前記投入されたペレットを摩擦熱によって溶融させて再押出することができる。すなわち、前記後処理部400は、二軸押出機などのような押出機を含んでいてもよい。上記後処理工程の温度は、約230℃~約270℃であってもよい。上記後処理工程の温度は、約230℃~約260℃であってもよい。上記後処理工程の温度は、約240℃~約265℃であってもよい。上記後処理工程の温度は、約240℃~約260℃であってもよい。上記後処理工程時間は、約30秒~約3分であってもよい。上記後処理工程時間は、約50秒~約2分であってもよい。上記後処理工程時間は、約1分~約2分であってもよい。その後、前記押出機によって押出した樹脂は、冷却してカットされ、後処理されたペレットに加工することができる。すなわち、前記押出機から押出した樹脂は、前述したカット段階を通じて、ペレットに再加工することができる。前記ペレットの結晶化度は、上記後処理工程で向上し得る。また、前記ペレットに含まれた残留物の含量は、上記後処理工程で調節することができる。特に、前記ペレットに含まれたオリゴマーの含量は、上記後処理工程によって調節することができる。前記ペレットに含まれた残留溶媒の含量は、上記後処理工程によって調節することができる。
【0303】
これによって、上記後処理工程は、前記生分解性樹脂組成物の機械的物性、生分解度、耐UV特性、光学的特性、または耐加水分解性を適宜調節することができる。
【0304】
前記ペレットが製造された後、前記第1の生分解性樹脂及び/または第2の生分解性樹脂は、前記異種の生分解性樹脂とコンパウンドすることができる。また、前記添加剤は、前記異種の生分解性樹脂とコンパウンドすることができる。
【0305】
前記製造された生分解性樹脂組成物は、紡糸工程によって生分解性原糸に製造することができる。
【0306】
前記紡糸工程は、前記生分解性樹脂組成物が溶融して、紡糸ブロックに投入される工程が含まれていてもよい。前記紡糸ブロックでは、押出機から溶融した前記生分解性樹脂組成物がノズルから紡糸し得る。前記紡糸ブロックによって、前記生分解性樹脂組成物のフィラメントを形成することができる。前記フィラメントは、冷却によって固化及び結晶化して、未延伸生分解性原糸に製造することができる。
【0307】
前記ノズルは、複数個であってもよい。前記ノズルの個数は、2fila~30fila、10fila~30filaまたは18fila~30filaであってもよい。前記複数個のノズルによって、前記生分解性樹脂組成物から複数個の前記フィラメントを製造することができる。約220℃での前記ノズルの圧力は、80kg/cm2~120kg/cm2、90kg/cm2~120kg/cm2、90kg/cm2~110kg/cm2、または95kg/cm2~105kg/cm2であってもよい。前記紡糸ブロックでの紡糸温度は、180℃~250℃、190℃~250℃、190℃~240℃、または190℃~230℃であってもよい。
【0308】
前記紡糸工程における前記生分解性樹脂組成物は、特定の範囲のメルトインデックスを有していてもよい。
【0309】
具体的には、前記生分解性樹脂組成物は、約190℃の温度で、約2.16kgの重りを用いて押さえた後の10分間の吐出量が1g/10min~25g/10min、2g/10min~25g/10min、3g/10min~25g/10min、4g/10min~25g/10min、5g/10min~25g/10min、5g/10min~20g/10min、5g/10min~15g/10min、5g/10min~10g/10min、または6g/10min~10g/10minであってもよい。
【0310】
前記生分解性樹脂組成物は、約230℃の温度で、約2.16kgの重りを用いて押さえた後の10分間の吐出量が15g/10min~70g/10min、18g/10min~70g/10min、20g/10min~70g/10min、22g/10min~70g/10min、22g/10min~50g/10min、22g/10min~40g/10min、または25g/10min~40g/10minであってもよい。
【0311】
前記生分解性樹脂組成物は、約250℃の温度で、約2.16kgの重りを用いて押さえた後の10分間の吐出量が20g/10min~100g/10min、25g/10min~100g/10min、30g/10min~100g/10min、30g/10min~90g/10min、30g/10min~70g/10min、30g/10min~60g/10min、または30g/10min~50g/10minであってもよい。
【0312】
上記範囲を満たす場合、紡糸工程中で生分解性樹脂組成物の吐出量が均一であり、優れた紡糸能を有していてもよく、前記生分解性樹脂組成物から製造される生分解性不織布の原糸は、切断せず、引張強度及び伸び率が向上し得る。
【0313】
本発明による生分解性不織布の製造方法は、前記生分解性原糸を冷却する段階を含む。
【0314】
前記生分解性原糸は、前記生分解性樹脂組成物から製造された未延伸生分解性原糸であってもよい。
【0315】
前記冷却は、約1℃~15℃、1℃~13℃、2℃~13℃、または5℃~13℃で実施することができる。前記冷却は、焼入れチャンバで実施することができる。前記焼入れチャンバの長さは、約1m~5m、約1m~4m、約1 m~3m、または約1m~2mであってもよい。
【0316】
上記範囲を満たす場合、隣接した未延伸生分解性原糸同士に互いに融着する現象を抑制することができる。
【0317】
本発明による生分解性不織布の製造方法は、冷却した前記生分解性原糸を延伸する段階を更に含んでいてもよい。
【0318】
前記延伸工程によって、未延伸生分解性原糸に対し1.1倍~3倍、1.2倍~3倍、1.2倍~2.7倍、1.2倍~2.6倍、または1.2倍~2.5倍に延伸した生分解性原糸を製造することができる。
【0319】
必要に応じて、前記延伸した生分解性原糸は、適宜な温度で熱処理することができる。
【0320】
前記延伸した生分解性原糸は、巻き取ることができる。前記延伸した生分解性原糸は、巻取機によって巻き取ることができる。前記巻取機の巻取速度は、300m/min~3,000m/min、300m/min~2,500m/min、400m/min~2,500m/min、500m/min~2,500m/min、または250m/min~2,000m/minであってもよい。上記範囲を満たす場合、前記生分解性原糸が互いに融着するか切断する現象を抑制することができる。
【0321】
前記製造された生分解性原糸は、第1の生分解性樹脂を含む生分解性樹脂組成物を含み、前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含み、前記生分解性樹脂組成物は、結晶化温度が70℃~130℃である。前記結晶化温度は、不規則的であった物質の構造が、分子及び/または原子間の引力によって、その配列が規則的に変化して結晶化が起こる温度を意味する。前記結晶化温度は、前記生分解性樹脂組成物の分子量及びメルトインデックスによって異なってくる。前記分子量及びメルトインデックスは、分子量の増加に係る鎖延長剤、結晶核剤としての働きをすることができる無機フィラー、補強剤、添加剤などの物質を含むか否か、並びに含量の割合によって異なってくる。
【0322】
前記結晶化温度は、前記生分解性樹脂組成物の結晶化速度に関連し得る。前記結晶化温度が低いほど、前記生分解性樹脂組成物が押出する工程温度との差が大きくなるところ、前記生分解性樹脂組成物が結晶化する速度が遅くなり得る。逆に、前記結晶化温度が高いほど、前記生分解性樹脂組成物が押出する工程温度との差が小さくなるところ、前記生分解性樹脂組成物が結晶化する速度は早くなり得る。このように、前記生分解性樹脂組成物から生分解性原糸が連続して製造されるためには、前記生分解性樹脂組成物の結晶化温度が重要な指標であってもよい。
【0323】
前記生分解性樹脂組成物が上記範囲の結晶化温度を有することにより、前記生分解性原糸の製造工程において、前記生分解性樹脂組成物が押出し得、早く結晶化することができる。これにより、製造される生分解性原糸の短絡が防止されて、適宜な結晶化速度によって前記生分解性原糸の間の合糸が発生することが抑制され、引張強度及び伸び率が向上し得る。
【0324】
前記結晶化温度は、ASTM D3417に基づいて測定することができる。具体的には、前記結晶化温度は、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter,DSC)を用いて10℃/minの速度で、40℃から200℃まで昇温した後、5分間等温(isothermal)して、1次熱履歴除去過程を行った後、10℃/minの速度で、200℃から-50℃まで冷却させて、5分間等温し、2次冷却過程を行って測定することができる。
【0325】
前記生分解性樹脂組成物は、結晶化温度が70℃~130℃、75℃~130℃、80℃~130℃、85℃~130℃、90℃~130℃,95℃~130℃、95℃~120℃、または95℃~110℃であってもよい。上記範囲を満たす場合、前記生分解性樹脂組成物から製造される生分解性不織布の原糸は、切断せず、直径の均一な短繊維または長繊維を含んでいてもよく、引張強度及び伸び率が向上し得る。
【0326】
前記生分解性樹脂組成物は、溶融温度を有していてもよい。前記生分解性樹脂組成物は、溶融温度が120℃~200℃、130℃~200℃、150℃~200℃、または150℃~190℃であってもよい。上記範囲を満たす場合、前記生分解性樹脂組成物から製造される生分解性不織布の引張強度及び伸び率が向上し得る。
【0327】
前記溶融温度は、前述した結晶化温度の測定方法により測定することができる。
【0328】
前記生分解性樹脂組成物の溶融温度と前記結晶化温度との差は、30℃~90℃、30℃~85℃、35℃~80℃、または40℃~75℃であってもよい。前記生分解性樹脂組成物の溶融温度と前記結晶化温度との差は、前記生分解性樹脂組成物の結晶化速度を示す指標を意味し得る。上記範囲を満たす場合、前記生分解性樹脂組成物に優れた紡糸能が確保されるとともに、製造される生分解性原糸の間の合糸が発生することを抑制することができる。
【0329】
前記生分解性樹脂組成物の最大荷重は、2kgf~5kgf、2.5kgf~5kgf、3kgf~5kgf、または4kgf~4.8kgfであってもよい。
【0330】
前記生分解性樹脂組成物の降伏強度は、0.5Mpa~8Mpa、0.5Mpa~7Mpa、1Mpa~7Mpa、1.2Mpa~7Mpa、または1.2Mpa~5.4Mpaであってもよい。
【0331】
前記生分解性樹脂組成物の延伸率は、300%~700%、350%~700%、400%~700%、450%~700%、または500%~700%であってもよい。
【0332】
前記生分解性樹脂組成物の最大荷重、降伏強度及び延伸率は、前記生分解性樹脂組成物の粘着性を示す指標であってもよい。前記生分解性樹脂組成物の最大荷重、降伏強度及び延伸率は、前記生分解性樹脂組成物に含まれた二酸化チタンの含量範囲によって異なってくる。上記範囲を満たす場合、紡糸した前記生分解性樹脂組成物の間の接着力を減少させることができ、均一なナノサイズの纎維相が形成され得、生分解性不織布のビーズの形成を抑制することができる。
【0333】
前記生分解性樹脂組成物の最大荷重、降伏強度及び延伸率は、下記のような方法で測定することができる。
【0334】
前記生分解性樹脂組成物で製造された300μm厚の試片を2枚重ねた後、約3.7kgの荷重を負荷して、130℃で、30分間加圧して接着した後、100mm/minの引張速度によって測定することができる。
【0335】
前記生分解性原糸は、引張強度が0.5g/de~5.0g/de、0.5g/de~5.0g/de、0.5g/de~5.0g/de、0.5g/de~5.0g/de、または1.0g/de~3.0g/deであってもよい。前記生分解性原糸は、伸び率が20%~400%、20%~300%、25%~300%、25%~250%、30%~250%、または35%~200%であってもよい。前記生分解性原糸は、引張強度が1.0g/de~3.0g/deであり、伸び率が35%~200%であってもよい。上記範囲を満たす場合、前記生分解性原糸が互いに容易に圧着して、生分解性不織布に容易に適用することができ、前記生分解性不織布の機械的強度が向上し得る。
【0336】
前記生分解性原糸は、平均直径が1μm~500μm、1μm~400μm、1μm~300μm、1μm~200μm、または10μm~100μmであってもよい。上記範囲を満たす場合、前記生分解性原糸を含む生分解性不織布は、軽量性を有し、強度に優れ、高い表面積及び多孔性を有するところ、吸湿性を要求される製品にも適用することができる。
【0337】
本発明による生分解性不織布の製造方法は、前記冷却した生分解性原糸を結合して、生分解性原糸ウェブを形成する段階を含む。
【0338】
前記生分解性原糸を結合する方法は、梳綿(Carding)、エアレイド(Air laid)、ウォーターサスペンション(Water suspension)、またはスパンボンド(Spun bond)工程によるものであってもよい。
【0339】
前記梳綿工程は、複数個の歯車を含む装置によって、前記生分解性原糸がコレクタ(collector)上に積層して、生分解性原糸ウェブに形成される工程を意味し得る。
【0340】
前記エアレイド工程は、空気の流れで動く装置によって、前記生分解性原糸がコレクタ(collector)上に配列して、生分解性原糸ウェブに形成される工程を意味し得る。
【0341】
前記ウォーターサスペンション工程は、前記生分解性原糸が水中で分散して、ワイヤスクリーン(wire screen)または穿孔したドラム上に移送された後、移送された前記生分解性原糸の残留水分を吸入、加圧、乾燥して、生分解性原糸ウェブに形成される工程を意味し得る。
【0342】
前記スパンボンド工程は、前記生分解性原糸がコレクタ(collector)上でベンチュリウェブ(Venturi webb)に形成された後、生分解性原糸ウェブに形成される工程を意味し得る。
【0343】
本発明による生分解性不織布の製造方法は、ニードルパンチ、スパンレース、ステッチボンド、カレンダリング、及びエアスルーボンドのうち少なくとも1つ以上の工程によって、前記生分解性原糸ウェブを結合する段階を更に含んでいてもよい。
【0344】
上記工程によって前記生分解性原糸ウェブの間の結合力が強化し得、引張強度及び伸び率が向上し得、生分解性不織布の毛羽が発生することを防止することができる。
【0345】
前記ニードルパンチ(Needle punch)工程は、針で前記生分解性原糸ウェブを貫通させて、前記生分解性原糸が前記針のバーブ(barb)によって互いに絡む工程を意味し得る。
【0346】
前記スパンレース(Spun lace)工程は、一方では、高圧水流を噴射しながら、他方では、前記高圧水流を吸収する工程によって、前記生分解性原糸ウェブを結合させる工程を意味し得る。
【0347】
前記ステッチボンド(Stitch bond)工程は、前記生分解性原糸ウェブが縫糸(sewing thread)及び針によって結合させる工程を意味し得る。
【0348】
前記カレンダリング(Calendaring)工程は、前記生分解性原糸ウェブを加圧した後、熱融着する工程を意味し得る。
【0349】
前記エアスルーボンド(Air through bonding)工程は、高温の熱風によって前記生分解性原糸ウェブを結合させる工程を意味し得る。
【0350】
上記工程によって生分解性不織布を製造することができる。前記生分解性不織布は、平均直径が10μm~100μmの生分解性原糸を含み、前記生分解性原糸は、第1の生分解性樹脂を含む生分解性樹脂組成物を含み、前記第1の生分解性樹脂は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含み、前記生分解性樹脂組成物は、結晶化温度が70℃~130℃である。
【0351】
前記生分解性原糸、第1の生分解性樹脂及び生分解性樹脂組成物は、前述した生分解性原糸、第1の生分解性樹脂及び生分解性樹脂組成物と同一のものであってもよい。
【0352】
前記生分解性不織布は、1μm~500μm、1μm~400μm、1μm~300μm、1μm~200μm、または10μm~100μmの平均直径を有する原糸を含む。上記直径範囲を有する原糸を含む生分解性不織布は、軽量性を有し、強度に優れ、高い表面積及び多孔性を有するところ、吸湿性を要求される製品にも適用することができる。
【0353】
前記生分解性樹脂組成物は、溶融状態での電気抵抗が1MΩ~15MΩ、1MΩ~14MΩ、1MΩ~13MΩ、1MΩ~12MΩ、1MΩ~11MΩ、1MΩ~10MΩ、2MΩ~10MΩ、または3MΩ~10MΩであってもよい。上記範囲を満たす場合、生分解性不織布は、軽量性を有し、高い表面積及び多孔性を有するところ、吸湿性を要求される製品にも適用することができる。
【0354】
前記生分解性不織布は、加工されたものであってもよい。前記生分解性不織布は、静電気防止剤によって静電気防止処理されたものであってもよい。前記生分解性不織布は、疎水性物質によって撥水処理されたものであってもよい。前記生分解性不織布は、抗菌物質によって抗菌処理されたものであってもよい。
【0355】
前記生分解性不織布は、エンボス処理されたものであってもよい。前記生分解性不織布は、プリントされたものであってもよい。前記生分解性不織布は、適用される物品に好適な厚さ及び大きさでエンボス処理されるかプリントされるものであってもよい。
【0356】
図2は、一実施例によるフィラメントを示した図である。
図3は、一実施例によるフィラメントの一断面を示した図である。
図4は、他の実施例によるフィラメントを示した図である。
図5は、一実施例による生分解性原糸を製造するための装置を示した図である。
図6は、一実施例による紡糸ブロックの一断面を示した図である。
【0357】
図1及び
図2に示されたように、前記フィラメント10は、コア部12とシース部13とを含んでいてもよい。
【0358】
前記コア部12は、一方向に延びる形状を有していてもよい。前記コア部12は、前記一方向に継続して延びる円筒状を有していてもよい。
【0359】
前記シース部13は、前記コア部12の周りを囲む。前記シース部13は、前記コア部12の外周面に配置されていてもよい。前記シース部13は、前記コア部12の外周面に密着していてもよい。前記シース部13は、前記コア部12の外周面を全体的に覆うことができる。
【0360】
前記コア部12の直径(D)は、約1μm~約100μm、約5μm~約50μm、約10μm~約100μm、約20μm~約100μm、または約1μm~約30μmであってもよい。
【0361】
前記シース部13の厚さ(T)は、約0.5μm~約50μm、約2.5μm~約25μm、約0.5μm~約5μm、約2.5μm~約50μm、約0.5μm~約2.5μm、または5μm~約30μmであってもよい。
【0362】
これとは異なり、
図3に示されたように、前記フィラメント11は、前記コア-スキン構造を有していなくてもよい。前記フィラメント11は、単一構造を有していてもよい。前記フィラメント11は、境界の区分がない単一ワイヤ構造を有していてもよい。すなわち、前記フィラメント11は、中心部分及び外郭部分の境界がなくてもよい。
【0363】
前記フィラメントは、生分解性樹脂組成物を含む。すなわち、実施例による生分解性原糸は、生分解性樹脂組成物を含む。
【0364】
前記フィラメントは、前記第1の生分解性樹脂組成物と第2の生分解性樹脂組成物とを含んでいてもよい。
【0365】
前記コア部は、前記第2の生分解性樹脂組成物を含み、前記シース部は、前記第1の生分解性樹脂組成物を含んでいてもよい。前記コア部は、前記第2の生分解性樹脂組成物を主成分に含み、前記シース部は、前記第1の生分解性樹脂組成物を主成分に含んでいてもよい。前記コア部は、前記第2の生分解性樹脂組成物からなり、前記シース部は、前記第1の生分解性樹脂組成物からなってもよい。
【0366】
前記第1の生分解性樹脂組成物及び前記第2の生分解性樹脂組成物は、互いに異なる物性を有していてもよい。例えば、前記第1の生分解性樹脂組成物は、前記第2の生分解性樹脂組成物よりもさらに多い粘着性(tacky)を有していてもよい。前記第2の生分解性樹脂組成物は、前記第1の生分解性樹脂組成物よりもさらに大きい機械的強度を有していてもよい。また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、前記第2の生分解性樹脂組成物よりもさらに柔軟なものであってもよい。また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、前記第2の生分解性樹脂組成物よりもさらに低い結晶性を有していてもよい。
【0367】
これによって、前記フィラメント11は、向上した機械的強度を有し、かつ、向上した接合性を有していてもよい。また、前記フィラメント11は、向上した機械的強度を有し、かつ、向上した柔軟性を有していてもよい。
【0368】
前記第1の生分解性樹脂組成物及び前記第2の生分解性樹脂組成物に関する詳細な特徴は、前記の説明を参照することができる。
【0369】
これとは異なり、前記コア部は、前記第1の生分解性樹脂組成物を含み、前記シース部は、前記第2の生分解性樹脂組成物を含んでいてもよい。前記コア部は、前記第1の生分解性樹脂組成物を主成分に含み、前記シース部は、前記第2の生分解性樹脂組成物を主成分に含んでいてもよい。前記コア部は、前記第1の生分解性樹脂組成物からなり、前記シース部は、前記第2の生分解性樹脂組成物からなってもよい。
【0370】
これとは異なり、前記コア部は、非生分解性樹脂組成物を含み、前記シース部は、前記第1の生分解性樹脂組成物及び/または前記第2の生分解性樹脂組成物を含んでいてもよい。
【0371】
これとは異なり、前記コア部は、前記第1の生分解性樹脂組成物及び/または前記第2の生分解性樹脂組成物を含み、前記シース部は、前記非生分解性樹脂組成物を含んでいてもよい。
【0372】
前記非生分解性樹脂組成物は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、またはポリウレタンからなるグループから少なくとも1つ以上含んでいてもよい。
【0373】
前記コア部は、前記第1の生分解性樹脂組成物及び前記第2の生分解性樹脂組成物を含んでいてもよい。前記シース部は、前記第1の生分解性樹脂組成物及び前記第2の生分解性樹脂組成物を含んでいてもよい。前記コア部は、前記第2の生分解性樹脂組成物を含み、前記シース部は、前記第1の生分解性樹脂組成物と前記第2の生分解性樹脂組成物との混合物を含んでいてもよい。
【0374】
実施例による生分解性原糸は、前記第1の生分解性樹脂組成物と前記第2の生分解性樹脂組成物との混合物を含んでいてもよい。実施例による生分解性原糸は、前記第1の生分解性樹脂組成物の約100重量部を基準に、前記第2の生分解性樹脂組成物を約50重量部~約300重量部の含量で含んでいてもよい。
【0375】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、前記第1の生分解性樹脂を含む。前記第1の生分解性樹脂組成物は、前記第1の生分解性樹脂を単独で含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、全体重量を基準に約50wt%~約99.9wt%の含量で、前記第1の生分解性樹脂を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、全体重量を基準に、約70wt%~約99.9wt%の含量で、前記第1の生分解性樹脂を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、全体重量を基準に、約90wt%~約99.9wt%の含量で、前記第1の生分解性樹脂を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、全体重量を基準に、約95wt%~約99.9wt%の含量で、前記第1の生分解性樹脂を含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、前記第1の生分解性樹脂及び追加添加剤などを含んでいてもよい。
【0376】
前記第1の生分解性樹脂は、分岐剤を更に含んでいてもよい。前記分岐剤は、3価以上のアルコール及び/または3価以上のカルボン酸を含んでいてもよい。前記分岐剤は、前記ジオール、前記芳香族ジカルボン酸及び前記脂肪族ジカルボン酸と反応することができる。これによって、前記分岐剤は、前記第1の生分解性樹脂に分子構造の一部として含まれていてもよい。
【0377】
前記3価以上のアルコールは、グリセロール、ペンタエリトリトールまたはトリメチロールプロパンからなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0378】
前記3価以上のカルボン酸は、メタントリカルボン酸(methane tricarboxylic acid)、エタントリカルボン酸(ethanetricarboxylic acid)、クエン酸(citric acid)、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸(benzene-1,3,5-tricarboxylic acid)5-スルホ-1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(5-sulfo-1,2,4-benzenetricarboxylic acid)、エタン-1,1,2,2-テトラカルボン酸(ethane-1,1,2,2-tetracarboxylic acid)、プロパン-1,1,2,3-テトラカルボン酸(propane-1,1,2,3-tetracarboxylic acid)、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸(butane-1,2,3,4-tetracarboxylic acid)、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸(cyclopentane-1,2,3,4-tetracarboxylic acid)、またはベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸(benzene-1,2,4,5-tetracarboxylic acid)からなるグループから少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0379】
前記分岐剤は、前記第1の生分解性樹脂の全体を基準に、約0.1wt%~約5wt%の含量で、前記第1の生分解性樹脂に含まれていてもよい。前記分岐剤は、前記第1の生分解性樹脂の全体を基準に、約0.1wt%~約3wt%の含量で、前記第1の生分解性樹脂に含まれていてもよい。前記分岐剤は、前記第1の生分解性樹脂の全体を基準に、約0.1wt%~約1wt%の含量で、前記第1の生分解性樹脂に含まれていてもよい。
【0380】
前記第1の生分解性樹脂は、前記分岐剤を上記範囲で含むため、前記第1の生分解性樹脂組成物は、適宜な機械的特性及び適宜な生分解性を有していてもよい。
【0381】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、前記生分解性樹脂を全体の組成物重量を基準に、約30wt%以上の含量で、約50wt%以上の含量で、約70wt%以上の含量で、約80wt%以上の含量で、約90wt%以上の含量で、約95wt%以上の含量で、または約99wt%以上の含量で含んでいてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物における前記生分解性樹脂の最大含量は、全体の組成物重量を基準に約100wt%であってもよい。
【0382】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、結晶化温度調節剤を更に含んでいてもよい。前記結晶化温度調節剤は、前記第1の生分解性樹脂組成物の結晶化温度を調節することができる。前記結晶化温度調節剤は、前記第1の生分解性樹脂組成物、及びこれによって製造されるフィルムまたは成形品の機械的物性を向上させる補強材であってもよい。また、前記結晶化温度調節剤は、前記第1の生分解性樹脂組成物の紫外線による変形特性を調節することができる。また、前記結晶化温度調節剤は、前記第1の生分解性樹脂組成物の加水分解特性を調節することができる。また、前記結晶化温度調節剤は、実施例による第1の生分解性樹脂の生分解性を調節することができる。
【0383】
前記結晶化温度調節剤は、バイオマスから由来する繊維であってもよい。前記結晶化温度調節剤は、有機物質からなる纎維であってもよい。すなわち、前記結晶化温度調節剤は、纎維系結晶化温度調節剤であってもよい。前記纎維系結晶化温度調節剤は、ナノセルロースであってもよい。
【0384】
前記ナノセルロースは、ナノ結晶セルロース、セルロースナノファイバー、マイクロフィブリル化セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセテート、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、ペンチルセルロース、ヘキシルセルロース、またはシクロヘキシルセルロースからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0385】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、耐加水分解剤を更に含んでいてもよい。
【0386】
前記耐加水分解剤は、シラン、シラザンまたはシロキサンなどのようなシリコン系化合物から少なくとも1つ以上を選択することができる。
【0387】
前記耐加水分解剤は、アルコキシシランを含んでいてもよい。前記耐加水分解剤は、トリメトキシシラン及び/またはトリエトキシシランを含んでいてもよい。前記耐加水分解剤は、エポキシ基を含むアルコキシシランを含んでいてもよい。前記耐加水分解剤は、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane)、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(3-Glycidoxypropyl methyldimethoxysilane)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-Glycidoxypropyl trimethoxysilane)、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(3-Glycidoxypropyl methyldiethoxysilane)、または3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(3-Glycidoxypropyl triethoxysilane)からなるグループから少なくとも1つ以上を含んでいてもよい。
【0388】
前記耐加水分解剤は、前記第1の生分解性樹脂組成物に約1ppm~約10000ppmの含量で、約1ppm~約1000ppmの含量で、約5ppm~500ppmの含量で、または約10ppm~300ppmの含量で含まれていてもよい。
【0389】
前記耐加水分解剤は、前記第1の生分解性樹脂に結合していてもよい。前記耐加水分解剤は、前記第1の生分解性樹脂に化学的に結合していてもよい。前記耐加水分解剤は、前記第1の生分解性樹脂に含まれた高分子と化学的に結合していてもよい。前記耐加水分解剤は、前記第1の生分解性樹脂に含まれた高分子を互いにカップリングすることができる。
【0390】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、上記のような範囲で前記耐加水分解剤を含むため、適宜な耐加水分解特性を有していてもよい。特に、実施例による第1の生分解性樹脂は、上記のような範囲で前記耐加水分解剤を含むため、適宜な初期加水分解特性を有し、かつ、向上した生分解性を有していてもよい。
【0391】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、下記のような方法により生分解度を測定することができる。
【0392】
前記生分解度を測定するために、上記実施例による生分解性樹脂組成物は、堆肥と混合して、温度60℃、湿度90%で、生分解加速化テストが実施された。一定期間が経過後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、前記第1の生分解性樹脂組成物の数平均分子量が測定された。初期数平均分子量と一定期間の生分解後、数平均分子量の差を初期数平均分子量で除した値に前記生分解度が算出された。
【0393】
前記生分解度は、下記の数2で表される。
【0394】
【0395】
ここで、前記第1の生分解性樹脂組成物は、堆肥と混合して、温度60℃、湿度90%で、一定期間、生分解加速化テストを経る。生分解加速化テストが行われる前、第1の生分解性樹脂組成物の初期数平均分子量、及び一定期間、生分解加速化テストを経た第1の生分解性樹脂組成物の生分解後の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0396】
前記生分解度は、初期数平均分子量と一定期間の生分解後、数平均分子量の差を初期数平均分子量で除した値に算出された。
【0397】
また、前記堆肥は、約40wt%の豚糞、約15wt%の鶏糞、約37wt%の大鋸屑、約5wt%のゼオライト、及び約3wt%の微生物製剤を含んでいてもよい。
【0398】
また、前記堆肥の製造元は、テフンF&Gであり、前記堆肥の製品名は、ジセン土(副産物肥料1等級堆肥)であってもよい。
【0399】
また、前記生分解度が測定されるとき、前記第1の生分解性樹脂組成物は、約300μm厚を有するシートに製造される。その後、前記製造されたシートが約30mm×30mmサイズに切断して、フレークが製造される。前記フレークが前記堆肥と混合して、前記生分解加速化テストが行われてもよい。
【0400】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、1週後の生分解度は、約40%~約70%、約45%~約65%、約47%~約63%、または約49%~約62%であってもよい。
【0401】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、2週後の生分解度は、約50%~約70%または約55%~約68%であってもよい。
【0402】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、3週後の生分解度は、約63%~約75%または約63%~約73%であってもよい。
【0403】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、4週後の生分解度は、約73%~約85%または約75%~約82%であってもよい。
【0404】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、6週後の生分解度は、約80%~約90%または約82%~約88%であってもよい。
【0405】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、9週後の生分解度は、約85%超、約87%超、約88%超、約89%超、または約90%超であってもよい。
【0406】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、下記のような方法により加水分解度を測定することができる。
【0407】
前記加水分解度が測定されるために、上記実施例による生分解性樹脂組成物は、80℃の水(100%RH)に浸漬した後、加水分解度加速化テストが実施される。一定期間が経過後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、前記第1の生分解性樹脂組成物の数平均分子量が測定された。初期数平均分子量と一定期間の加水分解後、数平均分子量の差を初期数平均分子量で除した値に前記加水分解度を算出した。
【0408】
前記加水分解度は、下記の数3で表される。
【0409】
【0410】
ここで、前記第1の生分解性樹脂組成物は、80℃の水に浸漬した後、一定期間の加水分解加速化テストを経る。加水分解加速化テストが行われる前、第1の生分解性樹脂組成物の初期数平均分子量、及び一定期間の加水分解加速化テストを経た第1の生分解性樹脂組成物の加水分解後の数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0411】
前記加水分解度は、初期数平均分子量と一定期間、加水分解後の数平均分子量の差を初期数平均分子量で除した値に算出された。
【0412】
また、前記加水分解度が測定されるとき、前記第1の生分解性樹脂組成物は、約300μm厚を有するシートに製造される。その後、前記製造されたシートが約30mm×30mmサイズに切断して、フレークが製造される。前記フレークが前記温水に浸漬して、前記加水分解加速化テストが行われてもよい。
【0413】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、1週後の加水分解度は、約40%~約65%または約45%~約63%であってもよい。
【0414】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、2週後の加水分解度は、約80%~約93%または約85%~約92%であってもよい。
【0415】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、3週後の加水分解度は、約90%~約97%または約91%~約96%であってもよい。
【0416】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、4週後の加水分解度は、約92%~約99%または約93%~約97%であってもよい。
【0417】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、6週後の加水分解度は、約94%超または約95%超であってもよい。
【0418】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、9週後の加水分解度は、約95%超または約96%超であってもよい。
【0419】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、上記のような範囲で加水分解度及び加水分解度の増加率を有するため、前記第1の生分解性樹脂組成物は、日常生活の領域では、適当な耐久性を有し、かつ、廃棄時、容易に加水分解し得る。すなわち、前記第1の生分解性樹脂組成物は、適宜な範囲で加水分解度及び加水分解度の増加率を有するため、原糸などに適宜な期間で使用されるとき、十分な耐加水分解性を有していてもよい。また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、土壌内だけでなく、川または海などに廃棄するときも、十分な時間が経って、加水分解及び生分解などによって容易に分解することができる。
【0420】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物の酸価は、約0.01mgKOH/g~約3mgKOH/g、約0.1mgKOH/g~約2.5mgKOH/g、または約0.1mgKOH/g~約2.3mgKOH/gであってもよい。
【0421】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、上記の範囲のような酸価を有するため、上記のような加水分解度特性及び生分解度特性を有していてもよい。
【0422】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、表面張力、水接触角、ジヨードメタン接触角、表面自由エネルギー(surface free energy)、分散度(disperse)、及び極性度を有していてもよい。
【0423】
前記表面張力、前記水接触角、前記ジヨードメタン接触角、前記表面自由エネルギー(surface free energy)、前記分散度(disperse)、及び前記極性度は、前記ポリエステルシートの表面で測定することができる。
【0424】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、上記表面張力は、約30dyne~約55dyneであってもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物において、前記表面張力は、約35dyne~約50dyneであってもよい。
【0425】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、前記水接触角は、約60゜~約90゜、約65゜~約85゜または約67゜~約80゜であってもよい。
【0426】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、前記ジヨードメタン接触角は、約20゜~約40゜または約20゜~約35゜であってもよい。
【0427】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、前記表面自由エネルギーは、約40mN/m~約60mN/mまたは約42mN/m~約55mN/mであってもよい。
【0428】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、前記分散度は、約35mN/m~約55mN/mまたは約40mN/m~約50mN/mであってもよい。
【0429】
前記第1の生分解性樹脂組成物において、前記極性度は、約2mN/m~約8mN/mまたは約3mN/m~約7mN/mであってもよい。
【0430】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、前記第1の生分解性樹脂、前記オリゴマー、前記結晶化温度調節剤、前記鎖延長剤、前記金属塩、前記耐加水分解剤、及び前記熱安定剤などの組成、並びに前記エステル化反応、前記縮重合反応、前記鎖延長反応、及び前記熱処理反応などの工程によって、前記表面張力、前記水接触角、前記ジヨードメタン接触角、前記表面自由エネルギー(surface free energy)、前記分散度(disperse)、及び前記極性度は、上記のような範囲を有していてもよい。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物は、適宜な加水分解度及び適宜な生分解度を有していてもよい。
【0431】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、上記のような表面特性を有するため、実施例による生分解性原糸は、不織布などで製造されて、外部から水分などを容易に吸収することができる。
【0432】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、約50℃~約90℃の結晶化温度、約45℃~約90℃の結晶化温度、約50℃~約80℃の結晶化温度、約40℃~約80℃の結晶化温度、約50℃~約75℃の結晶化温度、または約55℃~約75℃の結晶化温度を有していてもよい。
【0433】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、約50℃~約130℃の結晶化温度、約45℃~約130℃の結晶化温度、約50℃~約120℃の結晶化温度、約50℃~約115℃の結晶化温度、または約55℃~約110℃の結晶化温度を有していてもよい。
【0434】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、結晶化温度が90℃~130℃、95℃~130℃、95℃~120℃、または95℃~110℃であってもよい。上記範囲を満たす場合、前記第1の生分解性樹脂組成物から製造される生分解性不織布の原糸は、切断せず、直径の均一な短繊維または長繊維を含んでいてもよく、引張強度及び伸び率が向上し得る。
【0435】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、溶融温度を有していてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、溶融温度が120℃~200℃、130℃~200℃、150℃~200℃、または150℃~190℃であってもよい。上記範囲を満たす場合、前記第1の生分解性樹脂組成物から製造される生分解性不織布の引張強度及び伸び率が向上し得る。
【0436】
前記溶融温度は、前述した結晶化温度の測定方法により測定することができる。
【0437】
前記第1の生分解性樹脂組成物の溶融温度と前記結晶化温度との差は、30℃~90℃、30℃~85℃、35℃~80℃、または40℃~75℃であってもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物の溶融温度と前記結晶化温度との差は、前記第1の生分解性樹脂組成物の結晶化速度を示す指標を意味し得る。上記範囲を満たす場合、前記第1の生分解性樹脂組成物の優れた紡糸能が確保されるとともに、製造される生分解性原糸の間の合糸が発生することを抑制することができる。
【0438】
前記結晶化温度は、示差走査熱量計(DSC)によって測定することができる。前記第1の生分解性樹脂組成物は、約10℃/minの速度で、40℃から180℃まで昇温した後、10℃/minの速度で、-50℃まで冷却させる過程で、前記結晶化温度(℃)を前記示差走査熱量計によって測定することができる。
【0439】
前記結晶化温度は、ASTM D3417に準拠して測定することができる。具体的には、前記結晶化温度は、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter,DSC)を用いて、10℃/minの速度で、40℃から200℃まで昇温した後、5分間等温(isothermal)して、1次熱履歴除去過程を行った後、10℃/minの速度で、200℃から-50℃まで冷却させて、5分間等温し、2次冷却過程を行って測定することができる。
【0440】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、上記のような範囲で結晶化温度を有するため、原糸製造工程で、容易に押出して、早く結晶化することができる。これによって、実施例による生分解性原糸は、容易に製造することができる。
【0441】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、メルトインデックスを有していてもよい。
【0442】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、約190℃の温度で、約4g/10分~約40g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、約190℃の温度で、約5g/10分~約35g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、約190℃の温度で、約6g/10分~約30g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。
【0443】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、約230℃の温度で、約16g/10分~約80g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、約230℃の温度で、約17g/10分~約75g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、約230℃の温度で、約18g/10分~約70g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、約230℃の温度で、約20g/10分~約90g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。
【0444】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、約250℃の温度で、約40g/10分~約120g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、約250℃の温度で、約25g/10分~約110g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、約250℃の温度で、約40g/10分~約110g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、約250℃の温度で、約40g/10分~約100g/10分のメルトインデックス(melt index)を有していてもよい。
【0445】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、上記のような範囲でメルトインデックスを有するため、向上した紡糸工程性を有していてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物は、上記のような範囲でメルトインデックスを有するため、向上した紡糸工程で、固まり現象または切断現象を防止することができる。
【0446】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、メルトインデックス降下(melt index decrease,MID)を有していてもよい。前記メルトインデックス降下は、下記の数3により算出することができる。
【0447】
[数3]
MID=(MI2-MI1)/(T2-T1)
【0448】
前記T1は、190℃であり、前記T2は、250℃であり、前記MI1は、前記第1の生分解性樹脂組成物が前記T1の温度であるとき、メルトインデックスであり、前記MI2は、前記第1の生分解性樹脂組成物が前記T2の温度であるとき、メルトインデックスである。
【0449】
前記第1の生分解性樹脂組成物のメルトインデックス降下は、約0.4g/10分・℃~約1.5g/10分・℃であってもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物のメルトインデックス降下は、約0.3g/10分・℃~約1.5g/10分・℃であってもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物のメルトインデックス降下は、約0.5g/10分・℃~約1.4g/10分・℃であってもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物のメルトインデックス降下は、約0.6g/10分・℃~約1.3g/10分・℃であってもよい。
【0450】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、上記のような範囲でメルトインデックス降下を有するため、高温では、容易に紡糸し、低温では、適宜な機械的強度を有していてもよい。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物は、原糸の製造において、向上した工程性を具現することができる。
【0451】
前記第2の生分解性樹脂組成物は、前記第2の生分解性樹脂を含んでいてもよい。
【0452】
図5及び
図6に示されたように、実施例による生分解性原糸は、次のような方法により製造することができる。
【0453】
図5は、実施例による生分解性原糸が製造されるための複合紡糸機を示した図である。
【0454】
前記複合紡糸機は、2台の押出機21を用いて、前記第1の生分解性樹脂組成物及び前記第2の生分解性樹脂組成物をそれぞれ溶融させることができる。前記溶融した第1の生分解性樹脂組成物及び第2の生分解性樹脂組成物は、定量ポンプ22を介して適宜な量だけ吐出することができる。前記吐出量が調節されることによって、前記第1の生分解性樹脂組成物及び前記2生分解性樹脂組成物の成分比を調節することができる。
【0455】
前記定量ポンプ22を介して、前記吐出された第1の生分解性樹脂組成物及び第2の生分解性樹脂組成物は、紡糸ブロック23に供給され、
図6に示されたように、前記紡糸ブロック23は、前記第1の生分解性樹脂組成物及び前記第2の生分解性樹脂組成物を紡糸して、前記フィラメントを製造することができる。
【0456】
図6に示されたように、前記紡糸ブロック23は、前記押出機21から溶融した第1の生分解性樹脂組成物42及び第2の生分解性樹脂組成物41を分配板37を介してノズルで紡糸して、前記フィラメントを形成することができる。
【0457】
より詳細は、分配板37の内部流路へ前記第2の生分解性樹脂組成物41が流れ、前記分配板37の外側流路を通じて、前記第1の生分解性樹脂組成物42が流れてもよい。前記第1の生分解性樹脂組成物42は、前記第2の生分解性樹脂組成物41を囲み、かつ、前記紡糸口32を介して前記コア部及び前記シース部を含むフィラメントが紡糸し得る。前記紡糸ブロック23は、ボディ部36を含み、前記紡糸口32は、前記ボディ部36の下部に形成されていてもよい。
【0458】
これとは異なり、前記分配板を省略することができる。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物と前記第2の生分解性樹脂組成物とが互いに混合したフィラメントは、前記紡糸口を介して紡糸することができる。
【0459】
図6では、一本のフィラメントが示されているが、前記紡糸ブロックは、所望の数のフィラメントが得られるため、多数個の放出口を含んでいてもよい。前記紡糸したフィラメントは、冷却槽25で固化及び結晶化が行われてもよい。
【0460】
前記紡糸ブロック23の紡糸口32と前記冷却槽25との間に空冷区間が具備されていてもよい。前記空冷区間の長さは、約0.5cm~100cmであってもよい。前記空冷区間の長さは、約1cm~約30cmであってもよい。
【0461】
固化したフィラメントによって未延伸原糸が製造される。前記未延伸原糸は、延伸装置26によって延伸し、巻取機27によって巻き取ることができる。前記延伸した原糸は、適宜な温度で熱処理することができる。前記未延伸原糸は、約1.5倍~約6倍に延伸することができる。
【0462】
前記紡糸ブロックでの押出温度は、約180℃~約250℃であってもよい。前記紡糸ブロックでの紡糸速度は、約1000m/min~約2000m/minであってもよい。前記フィラメントの紡糸太さは、約2デニール~約10デニールであってもよい。
【0463】
実施例による生分解性原糸は、約1.5gf/デニール~6gf/デニールの引張強度を有していてもよい。実施例による生分解性原糸は、約1.5gf/デニール~5gf/デニールの引張強度を有していてもよい。実施例による生分解性原糸は、約1.5gf/デニール~4gf/デニールの引張強度を有していてもよい。
【0464】
実施例による生分解性原糸は、約20%~約200%の破断伸び率を有していてもよい。実施例による生分解性原糸は、約30%~約200%の破断伸び率を有していてもよい。実施例による生分解性原糸は、約40%~約200%の破断伸び率を有していてもよい。
【0465】
実施例による生分解性原糸の引張強度及び破断伸び率は、ASTM D903によって測定することができる。
【0466】
実施例による生分解性樹脂組成物は、ジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を含む第1の生分解性樹脂を含む、前記第1の生分解性樹脂組成物を含んでいてもよい。
【0467】
前記第1の生分解性樹脂組成物は、前記第1の生分解性樹脂を含むため、紡糸に好適な特性を有していてもよい。
【0468】
特に、前記第1の生分解性樹脂組成物は、適宜な結晶化温度を有していてもよい。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物は、容易に紡糸して、生分解性原糸を製造することができる。
【0469】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、適宜なメルトインデックスを有していてもよい。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物は、容易に紡糸して、生分解性原糸を製造することができる。
【0470】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、適宜なメルトインデックス降下を有していてもよい。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物は、容易に紡糸して、生分解性原糸を製造することができる。
【0471】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、適宜なカルボン基の末端基の個数を有していてもよい。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物は、容易に紡糸して、生分解性原糸を製造することができる。
【0472】
すなわち、前記第1の生分解性樹脂組成物は、上記のような結晶化温度、メルトインデックス及びメルトインデックス降下を有するため、微細な孔を通じて容易に押出することができる。また、分解性樹脂組成物は、上記のような結晶化温度、メルトインデックス及びメルトインデックス降下を有するため、押出工程後、冷却工程で早く結晶化して、メルトインデックスが上昇し得る。これによって、前記第1の生分解性樹脂組成物は、向上した原糸製造工程性を有していてもよい。
【0473】
また、前記第1の生分解性樹脂組成物は、上記のような結晶化温度を有するため、適宜な熱及び圧力によって容易に圧着し得る。これによって、実施例による生分解性原糸の表面に前記第1の生分解性樹脂組成物が含まれていてもよい。これによって、実施例による生分解性原糸は、互いに容易に圧着して、不織布または織物などに容易に適用することができる。
【0474】
以下では、実施例及び比較例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。但し、次の実施例及び比較例は、本発明をより詳説するための例示であり、本発明が次の実施例及び比較例によって限定されるものではない。
【0475】
第1実施例
製造例
<前処理したナノセルロースの製造>
約1μm~約50μmの粒子サイズを有する乾燥粉末(dry powder)状のセルロースナノクリスタル(NVC-100、製造社:Celluforce)を1重量%で水に分散させた後、チップ(tip)型の超音波分散機を用いて20,000J/sの出力で、2分間超音波処理し、前処理したナノセルロースを製造した。
【0476】
<PBAT樹脂の製造>
PBAT樹脂#1の製造
-第1段階:前処理してスラリーを得る段階
無触媒状態で、上記製造例による前処理したナノセルロース、1,4-ブタンジオール(1,4-BDO)及びテレフタル酸(TPA)を混合して、スラリータンク(スラリータンクの最下部は、アンカー(anchor)型、攪拌機(agitator)までの高さ40mm、3個の回転羽根が具備される)に投入した。このとき、前記1,4-ブタンジオール(1,4-BDO)及びテレフタル酸(TPA)のモル(mol)比は、1.4:1であり、前記テレフタル酸(TPA)のD50は、130μmであった。前記スラリータンクに投入された混合物を60℃で、100rpmで1時間攪拌して前処理し、相分離なしにスラリーを得た。
【0477】
-第2段階:予備重合体を得る段階
前記第1段階で得たスラリーを供給ラインを介して反応機に投入し、前記反応機に前記スラリーの全体重量を基準に、チタン系触媒であるテトラブチルチタネート(Dupont,Tyzor TnBT製品)を250ppm投入した後、220℃及び常圧で、副産物である水が95%排出されるまで約1時間30分間、1次エステル化反応を行った。
【0478】
前記1次エステル化反応生成物にジオール成分の全体モル数を基準に、1,4-ブタンジオール(1,4-BDO)を53mol%投入し、ジカルボン酸成分の全体モル数を基準に、アジピン酸(AA)を53mol%投入し、ジオール成分及びジカルボン酸成分の全体重量を基準に、チタン系触媒であるテトラブチルチタネート(Dupont,Tyzor TnBT製品)を200ppm投入した。その後、220℃及び常圧で、副産物である水が95%排出されるまで約2時間30分間、2次エステル化反応を行って、5,500g/molの数平均分子量を有する予備重合体を製造した。
【0479】
-第3段階:縮重合反応させる段階
前記第2段階で製造した予備重合体の全体重量を基準に、チタン系触媒であるテトラブチルチタネート(Dupont,Tyzor TnBT製品)を150ppm及びトリエチレンホスフェート安定剤を500ppm投入した後、約10分間安定化させた。その後、前記240℃に昇温した後、0.5torrで、2時間縮重合反応を行って、34,000g/molの数平均分子量を有する重合体を製造した。その後、前記重合体を5℃に冷却しており、ペレットカッターでカットして、PBAT樹脂#1ペレットを得た。
【0480】
PBAT樹脂#2~#5の製造
下記の表1に示した成分及び含量と、下記の表2に示した1次、2次エステル化反応温度及び時間、並びに縮重合反応温度及び時間を除いては、上記PBAT樹脂#1の製造工程と同じ工程によって、PBAT樹脂#2~#5のペレットを製造した。
【0481】
【0482】
【0483】
<生分解性樹脂組成物の製造>
生分解性樹脂組成物#1の製造
下記の表3に示した成分及び含量で原料組成物を準備した。その後、前記原料組成物を2軸スクリューを装備した押出成形機(Toyo Seiki Seisaku-sho,Ltd.)製品Tダイ押出成形装置(φ20mm、L/D=25)に投入しており、160℃の温度で混練してペレット化した生分解性樹脂組成物#1を製造した。
【0484】
生分解性樹脂組成物#2~#7の製造
下記の表3に示した成分及び含量を除いては、前記生分解性樹脂組成物#1の製造工程と同じ工程によって生分解性樹脂組成物#2~#7を製造した。
【0485】
【0486】
実施例1-1
前記生分解性樹脂組成物#1が溶融して、紡糸ブロックに投入された。その後、下記の表4に示した紡糸条件によって前記生分解性樹脂組成物#1から生分解性原糸が製造された。その後、前記生分解性原糸は、キャリアフィルムに繰り出して熱圧着し、生分解性不織布が製造された。
【0487】
実施例1-2~1-5及び比較例1-1~1-2
下記の表4に示した生分解性樹脂組成物の種類及び工程条件を除いては、上記実施例1-1と同じ工程によって生分解性不織布が製造された。
【0488】
【0489】
第1実験例
実験例1-1-結晶化温度(Tc)及び溶融温度(Tm)
前記生分解性樹脂組成物#1~#7のそれぞれに対して、ASTM D3417に準拠して結晶化温度及び溶融温度を測定した。具体的には、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter, DSC)を用いて10℃/minの速度で、40℃から200℃まで昇温した後、5分間等温(isothermal)して、1次熱履歴除去過程を行い、10℃/minの速度で、200℃から-50℃まで冷却させて5分間等温し、2次冷却過程を行った。上記過程によって、結晶化温度及び溶融温度が確認されており、その結果を下記の表5に示した。
【0490】
実験例1-2-平均直径
上記実施例1-1~1-5及び比較例1-1~1-2で製造されたそれぞれの生分解性不織布原糸の平均直径を電子顕微鏡(SEM)で測定し、その結果を下記の表5に示した。
【0491】
実験例1-3-流れ性
前記生分解性樹脂組成物#1~#7のそれぞれに対して、前記紡糸ブロックから吐出する流れ性を下記の基準に評価し、その結果を下記の表5に示した。
-適合:紡糸ブロックから吐出する量が均一
-不適合:紡糸ブロックから吐出する量が不均一
【0492】
実験例1-4-工程性
上記実施例1-1~1-5及び比較例1-1~1-2で製造されたそれぞれの生分解性不織布原糸に対して、下記の基準に工程性を評価し、その結果を下記の表5に示した。
-○:原糸が切断せず、1,000m超えて生産される
-△:原糸が1,000m内で切断
-×:糸切して紡糸工程が行われていない
【0493】
実験例1-5-形態
上記実施例1-1~1-5及び比較例1-1~1-2で製造されたそれぞれの生分解性不織布原糸の形態を電子顕微鏡(SEM)で測定して、下記の基準に工程性を評価しており、その結果を下記の表5に示した。
-○:連続した纎維状、ビーズが存在していない
-×:ビーズ及び纎維状が混在する
【0494】
実験例1-6-引張強度及び伸び率
上記実施例1-1~1-5及び比較例1-1~1-2で製造されたそれぞれの生分解性不織布原糸に対して、20℃の温度及び65%の湿度の条件下で、Instron社の引張試験機を用いて引張強度及び伸び率を測定した。このとき、前記生分解性原糸の長さは、20cmであり、初荷重の約1.0cN/tex下で、前記生分解性原糸を把持した後、分当たり100%の伸長速度で移動クランプを設定しており、前記生分解性原糸を破断時まで伸びながら、前記生分解性原糸の引張強度及び伸び率を5回測定した後、その平均値を下記の表5に示した。
【0495】
実験例1-7-生分解度
前記生分解性樹脂組成物#1~#7のそれぞれは、300μm厚及び30mm×30mmのフレークに製造されており、前記ゲル透過クロマトグラフィーを用いて前記フレークの初期数平均分子量が測定された。
【0496】
その後、前記それぞれのフレークは、下記の堆肥条件、温度60℃及び湿度90%で、63日間配置した後、数平均分子量が測定された。前記初期数平均分子量と前記63日後の数平均分子量との差値に対して、前記初期数平均分子量で除した値を生分解度に算出し、その結果を下記の表5に示した。
-製造元:テフンF&G
-製品名:ジセン土(副産物肥料1等級堆肥)
-堆肥構成成分:豚糞40重量%、鶏糞15重量%、大鋸屑37重量%、ゼオライト5重量%、微生物製剤3重量%
【0497】
実験例1-8-メルトインデックス
前記生分解性樹脂組成物#1~#7のそれぞれを190℃温度、230℃温度及び250℃温度の条件で、2.16kgの重りを用いて押さえた後、10分間の吐出量を測定し、その結果を下記の表5に示した。
【0498】
【0499】
上記表5から確認できるように、実施例1-1~1-5の生分解性樹脂組成物は、比較例1-1~1-2の生分解性樹脂組成物に対し特定の範囲の結晶化温度を満たすことにより、紡糸工程中で生分解性樹脂組成物の吐出量が均一であり、優れた紡糸能を有することが確認できた。また、実施例1-1~1-5の生分解性樹脂組成物から製造される生分解性不織布原糸は、切断せず、直径の均一な短繊維または長繊維を含んでいてもよく、引張強度及び伸び率に優れることが確認できた。
【0500】
第2実施例
製造例
<前処理したナノセルロースの製造>
約1μm~約50μmの粒子サイズを有する乾燥粉末(dry powder)状のセルロースナノクリスタル(NVC-100、製造社:Celluforce)を1重量%で水に分散させた後、チップ(tip)型の超音波分散機を用いて20,000J/sの出力で、2分間超音波処理し、前処理したナノセルロースを製造した。
【0501】
<生分解性樹脂組成物の製造>
製造例1
-第1段階:前処理してスラリーを得る段階
無触媒状態で、上記製造例に従う前処理したナノセルロース、1,4-ブタンジオール(1,4-BDO)及びテレフタル酸(TPA)を混合して、スラリータンク(スラリータンクの最下部は、アンカー(anchor)型、攪拌機(agitator)までの高さ40mm、3個の回転羽根が具備される)に投入した。このとき、前記1,4-ブタンジオール(1,4-BDO)及びテレフタル酸(TPA)のモル(mol)比は、1.4:1であり、前記テレフタル酸(TPA)のD50は、130μmであった。前記スラリータンクに投入された混合物を60℃で、100rpmで、1時間攪拌して前処理しており、相分離なしにスラリーを得た。
【0502】
-第2段階:予備重合体を得る段階
前記第1段階で得たスラリーを供給ラインを介して反応機に投入し、前記反応機に前記スラリーの全体重量を基準に、チタン系触媒であるテトラブチルチタネート(Dupont,Tyzor TnBT製品)を250ppm投入した後、220℃及び常圧で、副産物である水が95%排出されるまで約1時間30分間、1次エステル化反応を行って、第1の予備重合体を製造した。
【0503】
前記第1の予備重合体にジオール成分の全体モル数を基準に、1,4-ブタンジオール(1,4-BDO)を53mol%投入し、ジカルボン酸成分の全体モル数を基準に、アジピン酸(AA)を53mol%投入し、ジオール成分及びジカルボン酸成分の全体重量を基準に、チタン系触媒であるテトラブチルチタネート(Dupont,Tyzor TnBT製品)を200ppm投入した。その後、220℃及び常圧で、副産物である水が95%排出されるまで約2時間30分間、2次エステル化反応を行って、5,500g/molの数平均分子量を有する第2の予備重合体を製造した。
【0504】
-第3段階:縮重合反応させる段階
攪拌機に前記第2の予備重合体の全体重量を基準に、チタン系触媒であるテトラブチルチタネート(Dupont,Tyzor TnBT製品)を150ppm及びトリエチレンホスフェート安定剤を500ppm投入した後、約10分間安定化させた。その後、前記攪拌機を240℃に昇温した後、0.5torrの条件下で攪拌しながら縮重合反応を実施した。前記攪拌機におけるAmpere値が140であるときまで前記縮重合反応を実施しており、このとき、前記縮重合した第2の予備重合体の190℃での固有粘度は、1.6dl/gであった。前記縮重合反応時間は、300分間実施されており、34,000g/molの数平均分子量を有する重合体を製造した。前記数平均分子量は、下記の実験例2に従う測定方法により測定された。
【0505】
その後、前記重合体を5℃に冷却しており、ペレットカッターでカットして、生分解性樹脂組成物を得た。
【0506】
2.製造例2~5及び比較製造例1~2
下記の表6に示した成分及び含量、並びに下記の表7に示した攪拌条件、縮重合反応温度及び時間を除いては、上記製造例1の製造工程と同じ工程によって生分解性樹脂組成物を製造した。
【0507】
【0508】
【0509】
実施例2-1
上記製造例1による生分解性樹脂組成物及びポリラクト酸(ネイチャーワークス社、4032D)は、230℃の温度条件で、ノズルを介して溶融紡糸した。このとき、前記生分解性樹脂組成物及びポリラクト酸の重量比は、3:7であった。その後、約23℃の冷却槽で冷却した後、生分解性原糸に製造された。また、前記冷却した生分解性原糸を結合して、約0.5mm厚の生分解性不織布に製造された。
【0510】
実施例2-2~2-5
上記製造例1による生分解性樹脂組成物を使用する代わりに、上記製造例2~5による生分解性樹脂組成物をそれぞれ使用し、下記の表8記載の温度条件で溶融紡糸したことを除いては、実施例2-1と同じ工程によって生分解性原糸及び生分解性不織布が製造された。
【0511】
比較例2-1~2-2
上記製造例1による生分解性樹脂組成物を使用する代わりに、前記比較製造例1~2による生分解性樹脂組成物をそれぞれ使用し、下記の表8記載の温度条件で溶融紡糸したことを除いては、実施例2-1と同じ工程によって生分解性原糸及び生分解性不織布が製造された。
【0512】
比較例2-3
前記比較製造例2-1による生分解性樹脂組成物は、約240℃で溶融した後、ノズルを介して紡糸した。但し、紡糸工程で製造される生分解性原糸が糸切することによって、生分解性不織布に製造することができなかった。
【0513】
第2実験例
実験例2-1-メルトインデックス
上記製造例1~5及び比較製造例1~3で製造されたそれぞれの生分解性樹脂組成物を190℃の温度及び250℃の温度の条件で、2.16kgの重りを用いて押さえた後、10分間の吐出量を測定し、その結果を下記の表8に示した。
【0514】
実験例2-2-数平均分子量、重量平均分子量及び多分散指数
上記製造例1~5及び比較製造例1~3で製造されたそれぞれの生分解性樹脂組成物に対して、下記の測定条件で数平均分子量、重量平均分子量及び多分散酸指数を測定し、その結果を下記の表8に示した。
【0515】
実験例2-3-生分解度
上記製造例1~5及び比較製造例1~3で製造された生分解性樹脂組成物のそれぞれは、300μm厚及び30mm×30mmのフレークに製造されており、前記実験例2-2と同じ条件下で、前記フレークの初期数平均分子量が測定された。
【0516】
その後、前記それぞれのフレークは、下記の堆肥条件、温度60℃及び湿度90%で63日間配置した後、数平均分子量が測定された。前記初期数平均分子量と前記63日後の数平均分子量との差値に対して、前記初期数平均分子量で除した値を生分解度に算出しており、その結果を下記の表8に示した。
-製造元:テフンF&G
-製品名:ジセン土(副産物肥料1等級堆肥)
-堆肥構成成分:豚糞40重量%、鶏糞15重量%、大鋸屑37重量%、ゼオライト5重量%、微生物製剤3重量%
【0517】
実験例2-4-引張強度及び伸び率
上記実施例2-1~2-5及び比較例2-1~2-3のそれぞれの生分解性原糸に対して、20℃の温度及び65%の湿度の条件下で、Instron社の引張試験機を用いて引張強度及び伸び率を測定した。このとき、前記生分解性原糸の長さは、20cmであり、初荷重の約1.0cN/tex下で、前記生分解性原糸を把持した後、分当たり100%の伸び速度で移動クランプを設定しており、前記生分解性原糸を破断時まで伸びながら、前記生分解性原糸の引張強度及び伸び率を5回測定した後、その平均値を下記の表8に示した。
【0518】
実験例2-5-工程性
上記実施例2-1~2-5及び比較例2-1~2-3のそれぞれの生分解性原糸に対して、下記の基準に工程性を評価し、その結果を下記の表8に示した。
-○:生分解性原糸が切断せず、1,000m超えて生産される
-△:生分解性原糸が1,000m内で切断
-×:糸切して紡糸作業が行われていない
【0519】
実験例2-6-原糸の均一性
上記実施例2-1~2-5及び比較例2-1~2-3のそれぞれの生分解性原糸に対して、下記の基準に原糸均一性を評価しており、その結果を下記の表8に示した。
-○:生分解性原糸が連続した纎維状を示し、合糸が発生していない。
-△:生分解性原糸が連続した纎維状を示すものの、合糸が一部発生している。
-×:生分解性原糸が合糸して、マイクロンリボンが形成されている。
【0520】
実験例2-7-不織布の形態
上記実施例2-1~2-5及び比較例2-1~2-3で製造されたそれぞれの生分解性不織布の形態を維持するか否かを下記の基準に評価しており、その結果を下記の表8に示した。
-○:不織布の形が維持されている。
-×:不織布の形が維持されていない。
【0521】
【0522】
上記表8から確認できるように、実施例2-1~2-5の生分解性樹脂組成物は、比較例2-1~2-3の生分解性樹脂組成物に対し溶融紡糸温度の範囲で、特定の範囲のメルトインデックスを満たすことにより、紡糸工程中で生分解性樹脂組成物の吐出量が均一であり、優れた紡糸能を有することが確認できた。また、実施例2-1~2-5の生分解性樹脂組成物から製造される生分解性不織布原糸は、均一であり、切断せず、強度及び伸び率に優れることが確認できた。
【0523】
製造例3-1
前処理したセルロースナノクリスタルの製造
約1μm~約50μmの粒子サイズを有する乾燥粉末(dry powder)状のセルロースナノクリスタル(NVC-100、製造社:Celluforce)を1重量%で水に分散させた後、チップ(tip)型の超音波分散機を用いて20000J/sの出力で、1分間超音波処理し、前処理したナノセルロースを製造した。
【0524】
生分解性ポリエステル樹脂の製造
第1段階:前処理してスラリーを得る段階
表1に示したように、前処理したナノセルロース、1,4-ブタンジオール(1,4-BDO)、及びテレフタル酸(TPA)のモル比(1,4-BDO:TPA)1.4:1で混合して、無触媒状態で、スラリータンク(スラリータンクの最下部は、アンカー(anchor)型、攪拌機(agitator)までの高さ40mm、3個の回転羽根が具備される)に投入した。このとき、前記テレフタル酸(TPA)のD50は、100μmであった。前記ナノセルロースの含量は、投入される全体原料を基準にwt%であった。
【0525】
次に、前記混合物を60℃で、100rpmで、1時間攪拌して前処理し、相分離なしにスラリーを得た。
【0526】
第2段階:予備重合体を得る段階
前記第1段階で得たスラリーを供給ラインを介して反応機に投入し、ここにチタン系触媒であるテトラブチルチタネート(Dupont,Tyzor TnBT製品)を250ppm投入した後、220℃及び常圧で、副産物である水が95%排出されるまで約1時間30分間、1次エステル化反応を行った。
【0527】
前記反応生成物にジオール総モル数を基準に、1,4-ブタンジオール(1,4-BDO)を52モル%、ジカルボン酸成分の総モル数を基準にアジピン酸(AA)を40モル%、及びチタン系触媒であるテトラブチルチタネート(Dupont,Tyzor TnBT製品)をジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸の総重量を基準に200ppm投入した後、210℃及び常圧で、副産物である水が95%排出されるまで約2時間10分間、2次エステル化反応を行って、5500g/molの数平均分子量を有する予備重合体を製造した。
【0528】
第3段階:縮重合反応させる段階
前記第2段階で得た予備重合体にジオール、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸の総重量を基準に、チタン系触媒であるテトラブチルチタネート(Dupont,Tyzor TnBT製品)を150ppm、及びトリエチレンホスフェート安定剤を500ppm入れて、約10分間安定化した。その後、前記反応混合物を240℃に昇温した後、0.5torrで、5時間縮重合反応を行って、25000g/molの数平均分子量を有する重合体を製造した。これを5℃に冷却した後、ペレットカッターでカットして、生分解性ポリエステル樹脂組成物が製造された。
【0529】
製造例3-2~3-5
下記の表9~表11の条件で、生分解性ポリエステル樹脂組成物が製造された。他の工程条件は、製造例3-1を参照した。
【0530】
実施例3-1
生分解性ポリエステル原糸の製造
製造例3-1で製造された生分解性ポリエステル樹脂組成物及びポリラクト酸(ネイチャーワークス社、4032D)を使用して、生分解性ポリエステル原糸が製造された。前記ポリラクト酸は、第1押出機における約240℃の温度に溶融して、分配板の内側に投入された。前記生分解性ポリエステル樹脂組成物は、第2押出機で約240℃の温度に溶融して、分配板の外側に投入された。その後、紡糸ブロックのノズルを介して、前記ポリラクト酸の周りを前記生分解性ポリエステル樹脂組成物が囲むフィラメントが吐出した。このとき、前記紡糸ブロックの温度は、約220℃であった。また、前記紡糸ブロックに供給される前記ポリラクト酸及び前記生分解性ポリエステル樹脂組成物の重量比は、約2:1であった。また、前記紡糸ブロックのノズルの個数は、19個であった。前記紡糸したフィラメントは、約23℃の冷却槽で冷却して、約100℃の温度で約3倍延伸し、巻き取られた。これによって、実施例による生分解性原糸が製造された。
【0531】
実施例3-2~3-5及び比較例3-1~3-3
下記の表12の条件で、生分解性ポリエステル原糸が製造された。実施例3-5では、製造例3-1及びポリラクト酸の混合物が使用されている。他の工程条件は、実施例3-1を参照した。
【0532】
【0533】
【0534】
【0535】
【0536】
実験例
評価例3-1:結晶化温度
示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter,DSC)を用いて10℃/minの速度で、40℃から180℃まで昇温した後、5分間等温(isothermal)して、1次熱履歴除去過程を行っており、10℃/minの速度で、180℃から-50℃まで冷却させて5分間等温し、2次冷却過程を行った。2次冷却過程で結晶化温度(Tc)が確認された。
【0537】
実験例3-2:メルトインデックス
ASTM D1238に準拠して190℃、220℃及び250の温度で、約2.16kgの荷重下で測定された生分解性ポリエステル樹脂のメルトインデックス(g/10min)を測定した。具体的な条件は、下記のとおりである。
機器名:Melt Flow Index(WL1400、ウィズラップ)
【0538】
実験例3-3:カルボン基の末端基の濃度
生分解性ポリエステル樹脂1gをo-クレゾール20mlに完全に溶解させた後、クロロホルム50mlに希釈して、指示薬を入れた状態で、水酸化ナトリウム/メタノール溶液で滴定して測定した。
【0539】
実験例3-4:分子量
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、実施例及び比較例の生分解性樹脂組成物の数平均分子量が測定された。
【0540】
実験例3-5:引張強度及び破断伸度
実施例及び比較例で製造された生分解性原糸は、ASTM D903によって引張強度及び破断伸び率が測定されている。
【0541】
実験例3-6:生分解度
実施例及び比較例で製造された生分解性原糸に対して、KS M3100-1に準拠して二酸化炭素の発生量を測定して、生分解度を測定した。具体的には、堆肥工場で製造された堆肥のみある接種源容器を準備し、前記堆肥に前記堆肥の乾燥重量の5重量%のフィルムを投入した試験容器を準備した。その後、温度58±2℃、関数率50%及び酸素濃度6%以上の条件で180日間培養して、各容器で発生する二酸化炭素を捕集し、これをフェノールフタレイン水溶液に滴定することによって、各容器で発生する二酸化炭素の発生量を測定した。測定された二酸化炭素の発生量に下記の式3によって生分解度を計算した。
【0542】
【0543】
実験例3-7:工程性
実施例及び比較例で製造された生分解性原糸の工程性は、下記のように評価されている。
生分解性原糸が切断せず、1000m超えて生産される:良好(O)
生分解性原糸が1000m内で切断:不良(X)
【0544】
実験例3-8:融着性
実施例及び比較例で製造された生分解性原糸の融着性は、約80℃の温度で、約1MPaの圧力を約10秒間加えるとき、前記生分解性原糸の間の融着有無が目視観察された。
全般的に融着している:良好(O)
融着していない:不良(X)
【0545】
【0546】
【0547】
【0548】
上記表13~表15に記載したように、実施例による生分解性原糸は、向上した機械的物性及び生分解度を有し、向上した工程性及び融着性を有する。
【産業上の利用可能性】
【0549】
実施例は、生分解性不織布の製造方法、生分解性原糸、及びこれを含む生分解性不織布に適用することができる。また、実施例は、生分解性樹脂組成物とその製造方法、及びこれによって製造された生分解性成形品に適用することができる。