(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180396
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】不均一なストラットを備えた心臓弁フレームデザイン
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024158120
(22)【出願日】2024-09-12
(62)【分割の表示】P 2021547235の分割
【原出願日】2020-02-04
(31)【優先権主張番号】62/805,125
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ノーム・ニア
(72)【発明者】
【氏名】エレナ・シャーマン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ブキン
(72)【発明者】
【氏名】トメル・サール
(57)【要約】
【課題】不均一なストラットおよび/またはノードを含むインプラント可能な人工心臓弁組立体を提供する。
【解決手段】インプラント可能な人工弁組立体は、一実施形態によると、複数のストラットを含むフレーム組立体と、縫合糸によってフレーム組立体の内側に固定された人工弁と、を備える。縫合糸は、フレーム組立体の外側周辺部の最も外側の表面の内方にある。ある実施形態では、ストラットは、縫合糸が配され得る凹部を含む。他の実施形態では、ストラットは、縫合糸が通過する穴を有し得る。インプラント可能な人工弁組立体はまた、カテーテル内部で折り畳まれ得、そのため、フレーム組立体の周辺部の最も外側の表面は、カテーテルに触れるが、縫合糸は、カテーテルから離間されているか、または、フレームの外側表面と同一平面である。
【選択図】
図31
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の相互接続されたストラットを備える、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームを備え、各ストラットは、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長さと、を有し、各ストラットは、前記ストラットの前記長さに垂直な方向に互いから横方向にオフセットした複数の線形セグメントを備え、
各ストラットは、前記ストラットの一方または両方の長手方向縁部上に配され、前記ストラットの幅内に延びる、複数の凹部を備える、インプラント可能な人工器官。
【請求項2】
前記凹部は、1つまたは複数の縫合糸を保持し、前記1つまたは複数の縫合糸が前記ストラットの前記長さに沿ってスライドするのを防ぐように構成される、請求項1に記載の人工器官。
【請求項3】
各凹部は、前記ストラットの厚さにわたって半径方向に延びる、請求項1または2に記載の人工器官。
【請求項4】
各線形セグメントは、同一パターンの凹部を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の人工器官。
【請求項5】
各線形セグメントは、少なくとも第1および第2の凹部を備え、前記第1の凹部は、前記ストラットの第1の長手方向縁部上に位置し、前記第2の凹部は、前記ストラットの第2の長手方向縁部上に位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の人工器官。
【請求項6】
前記第1および第2の凹部は、前記ストラットの前記長さに沿って互いからオフセットされ、そのため、前記フレームが拡張した構成にあるとき、前記第1および第2の凹部は、前記ストラットの幅を横切って互いに整列される、請求項5に記載の人工器官。
【請求項7】
各線形セグメントは、1つまたは複数の中間セグメントを介して1つまたは複数の隣り合う線形セグメントに連結される、請求項1から6のいずれか一項に記載の人工器官。
【請求項8】
複数の相互接続されたストラットを備える、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームであって、各ストラットは、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長さと、を有し、各ストラットは、前記ストラットの1つまたは複数の長手方向縁部上に配され、前記ストラットの幅内に延びる、複数の凹部をさらに備える、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームと、
1つまたは複数の縫合糸を介して前記フレームに装着されたスカートと、を備え、
前記凹部は、前記1つまたは複数の縫合糸を保持し、前記1つまたは複数の縫合糸が前記ストラットの前記長さに沿ってスライドするのを防ぐ、人工弁。
【請求項9】
各凹部は、前記ストラットの厚さにわたって半径方向に延びる、請求項8に記載の人工弁。
【請求項10】
各ストラットは、前記ストラットの前記長さに垂直な方向に互いから横方向にオフセットした複数の線形セグメントを備え、各線形セグメントは、複数の凹部を備える、請求項8または9に記載の人工弁。
【請求項11】
前記1つまたは複数の縫合糸は、1つまたは複数の結び目を含む結び目構成を備える、請求項8から10のいずれか一項に記載の人工弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる、2019年2月13日出願の米国仮特許出願第62/805,125号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、インプラント可能なデバイスに関し、より詳細には、自己心臓弁輪などの循環系に植え込まれる弁補綴具(valve prosthetics)に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの心臓は、さまざまな弁膜疾患を被り得る。これらの弁膜疾患は、心臓の著しい機能不全を引き起こし、最終的に、人工弁による自己弁の置換を必要とし得る。いくつかの知られている人工弁、および、これらの人工弁をヒトに植え込む、いくつかの知られている方法がある。
【0004】
さまざまな外科技術が、罹患または損傷した弁を修復するのに使用され得る。弁置換手術では、損傷した弁尖が切除され、弁輪が、置換弁を受容するように形作られる。大動脈狭窄および他の心臓弁疾患により、何千人もの患者が、欠損した自己心臓弁がバイオプロテーゼの人工弁または機械的な人工弁によって置換される手術を、毎年受けている。欠損した弁を治療するための、別のそれほど極端でない方法は、修復または再建を通じたものであり、これは、典型的には石灰化が最小限の弁に使用される。
【0005】
弁が置換されるとき、人工弁の外科的なインプラントは、典型的には、開胸手術を必要とし、開胸手術中は、心臓が停止され、患者は、心肺バイパス術(「人工心肺」)を受ける。1つの一般的な外科処置では、罹患した自己弁尖が切除され、人工弁が弁輪において周囲組織に縫合される。ある推定によれば、80歳を超えた、大動脈狭窄を患う被験者のうちの50%超が、大動脈弁置換について手術を受けることができない。
【0006】
従来の開心術に関連する欠点により、経皮的な低侵襲性外科的アプローチが、熱心な注目を集めている。1つの経血管技術では、人工弁が、カテーテル法により、侵襲性がはるかに少ない処置で植え込まれるように構成される。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,993,394号、同5,411,522号、同6,730,118号、および同9,393,110号は、折り畳み可能な経カテーテル心臓弁を記載しており、これは、圧縮状態でカテーテルから経皮的に導入され、バルーンの膨張により、または自己拡張フレームもしくはステントの利用により、所望の位置において拡張され得る。
【0007】
経カテーテル心臓弁の重要なデザインパラメータは、圧縮されるか、折られるか、またはクリンプされた外形の直径である。クリンプされた外形の直径は、大腿動脈または静脈を通じて弁を前進させる医師の能力に直接影響を及ぼすので、重要である。さらに具体的には、より小さな外形は、より大きな患者集団の治療を可能にする。
【0008】
いくつかの経カテーテル心臓弁組立体は、折り畳み可能なステントまたはフレーム組立体に、柔らかい構成要素をステントまたはフレームに縫い付けるかまたは縫い合わせることにより固定された、人工弁を含む。縫合材料がほとんどの場合使用されるが、人工弁を折り畳み可能なステントまたはフレーム組立体に取り付けるための任意の適切な手段が使用され得る。米国特許第7,993,394号および同9,393,110号は、人工心臓弁が、複数の軸方向の(すなわち、垂直な)および斜めの、周方向のストラットおよび/またはノードに、ストラットおよび/またはノードの周りでかつ人工弁を通ってループを形成する縫合糸によって固定される、経カテーテル心臓弁組立体の実施形態を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,993,394号
【特許文献2】米国特許第5,411,522号
【特許文献3】米国特許第6,730,118号
【特許文献4】米国特許第9,393,110号
【特許文献5】米国特許出願公開第2018/0153689号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
不均一なストラットおよび/またはノードを含むインプラント可能な人工心臓弁組立体が開示される。
【0011】
ある開示された実施形態では、人工心臓弁組立体は、折り畳み可能かつ拡張可能なフレームまたはステントと、折り畳み可能かつ拡張可能なフレームまたはステント内部に固定された人工弁と、を備える。折り畳み可能かつ拡張可能なフレームまたはステントは、不均一なストラットで形成され得る。ある実施形態では、折り畳み可能かつ拡張可能なフレームまたはステントは、不均一なストラット、および人工弁の交連に取り付けられる交連取り付け窓で形成される。ある実施形態では、折り畳み可能かつ拡張可能なフレームまたはステントは、不均一なストラット、および人工弁の交連に取り付けられる取り付けポストで形成される。ある実施形態では、折り畳み可能かつ拡張可能なフレームまたはステント組立体は、ニチノール、または好ましくはニッケルコバルト合金で形成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、人工心臓弁は、Edwards Lifesciencesにより製造されたSapien 3弁の弁構成要素を有する。開示される発明は、このタイプまたは任意の他の適切なタイプの弁と共に使用され得る。
【0013】
ある実施形態では、弁は、弁組立体の第1の端部から第2の端部まで延びる複数の不均一なストラットを有する。ストラットのうちのいくつかは、第1の端部からまっすぐに(すなわち、軸方向に)延びることができ、ストラットのうちのいくつかは、斜めであるか、または軸方向に対して垂直に延びることができる。ストラットは、複数の部品とすることができ、または、1つの一体型の部品として形成され得る。ストラットは、矩形断面、丸みを帯びた断面、規則正しく成形された断面、不規則に成形された断面、または、ストラットの長さに沿って形状を変化させる断面を有し得る。ストラットは、編組またはクリンプされたワイヤで形成され得る。ストラットは、ノードと呼ばれる接合部において合流し得る。
【0014】
複数の不均一なストラットおよび/またはノードは、それらの長さに沿って同じかまたは異なる形状のくぼみを有し得る。これらのくぼみ内に配された縫合糸は、不均一なストラットによって形成された人工心臓弁フレームの最も外側の表面の内方にある。したがって、引っ込んだ縫合糸は、人工心臓弁組立体がカテーテル内で折り畳まれた際にカテーテルの内側表面に触れない。または、縫合糸は、人工弁フレームの最も外側の表面と同一平面となり得る。
【0015】
複数の不均一なストラットおよび/またはノードは、それらの長さに沿って通路を有し得る。これらの通路を通って配された縫合糸は、人工心臓フレームの周辺部の最も外側の表面の内方にあり、そのため、縫合糸は、カテーテルの内側表面に触れない。
【0016】
ある実施形態では、オプションの取り付けポストにおける穴の間のエリアは、引っ込んでおり、そのため、これらの穴を通って配された縫合糸は、人工心臓弁フレームの最も外側の表面の内方にある。
【0017】
代表的な実施形態では、インプラント可能な人工器官は、複数の相互接続されたストラットを備える、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームを備え得、各ストラットは、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部から第2の端部まで延びる長さと、を有する。各ストラットは、ストラットの1つまたは複数の長手方向縁部上に配され、ストラットの幅内に延びる、複数の凹部を備え得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、凹部は、1つまたは複数の縫合糸を保持し、1つまたは複数の縫合糸がストラットの長さに沿ってスライドするのを防ぐように構成される。いくつかの実施形態では、各凹部は、ストラットの厚さにわたって半径方向に延び得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、各ストラットは、ストラットの長さに垂直な方向に互いから横方向にオフセットした複数の線形セグメントを備え、各線形セグメントは、複数の凹部を備える。いくつかの実施形態では、各線形セグメントは、同一パターンの凹部を備え得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、各線形セグメントは、少なくとも第1および第2の凹部を備え得、第1の凹部は、ストラットの第1の長手方向縁部上に位置し、第2の凹部は、ストラットの第2の長手方向縁部上に位置する。いくつかの実施形態では、第1および第2の凹部は、ストラットの長さに沿って互いからオフセットされ得、それによって、フレームが拡張した構成にあるとき、第1および第2の凹部は、ストラットの幅を横切って互いに整列される。
【0021】
いくつかの実施形態では、凹部は、丸みを帯びた三角形の形状を有し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、凹部は、かがり縫い構成で縫合糸を保持するように構成され得る。他の実施形態では、凹部は、1つまたは複数の結び目を備える結び目構成で縫合糸を保持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数の凹部は、各長手方向縁部に沿って連続的に配され、正弦曲線を形成する。
【0023】
代表的な実施形態では、人工弁は、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームと、1つまたは複数の縫合糸を介してフレームに装着されたスカートと、を備え得る。フレームは、複数の相互接続されたストラットを備え得、各ストラットは、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部から第2の端部まで延びる長さと、を有する。各ストラットは、ストラットの1つまたは複数の長手方向縁部上に配され、ストラットの幅内に延びる、複数の凹部を備え得る。凹部は、1つまたは複数の縫合糸を保持し、1つまたは複数の縫合糸がストラットの長さに沿ってスライドするのを防ぐことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、各凹部は、ストラットの厚さにわたって半径方向に延び得る。いくつかの実施形態では、各ストラットは、ストラットの長さに垂直な方向に互いから横方向にオフセットした複数の線形セグメントを備え得、各線形セグメントは複数の凹部を備え得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、凹部は、丸みを帯びた三角形の形状を有し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の縫合糸は、かがり縫い構成を備え得る。いくつかの実施形態では、かがり縫い構成にあるとき、1つまたは複数の縫合糸のうちのある縫合糸は、スカートを通って、複数のストラットのうちのあるストラットの周りを延び、スカートを通って戻ることができる。
【0027】
他の実施形態では、1つまたは複数の縫合糸は、1つまたは複数の結び目を含む結び目構成を備え得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の結び目はそれぞれ、ストラットの幅の中央に位置付けられる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の結び目は、ストラットの半径方向内側表面上に位置付けられる。
【0028】
説明される実施形態のこれらの特徴および他の特徴は、添付図面を参照して進める、以下の詳細な説明から、さらに容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】先行技術の弁組立体の実施形態の斜視図である。
【
図2】先行技術の弁組立体の実施形態の斜視図である。
【
図2A】先行技術の弁組立体の実施形態の斜視図である。
【
図3】
図1によって例示された先行技術の弁組立体の拡大切り欠き図である。
【
図4】凹部を備えた不均一なストラットを有する心臓弁組立体の実施形態の拡大切り欠き図である。
【
図5】丸みを帯び、連続した螺旋状の凹部を備えた不均一なストラットの実施形態の側面図である。
【
図6】
図5の線6-6によって示される平面に沿った断面図である。
【
図7】
図4の線7-7によって示される平面に沿った断面図である。
【
図8】
図7によって例示される実施形態に類似した、不均一なストラットの実施形態の断面図であり、ここでは、ストラットは丸みを帯びた凹部を有する。
【
図9】
図7によって例示される実施形態に類似した、不均一なストラットの実施形態の断面図であり、ここでは、不均一なストラットは内側凹部および外側凹部を有する。
【
図10】
図4の線10-10によって示される平面に沿った断面図である。
【
図11】ストラットの周囲をそれぞれがたどる複数の凹部を備えた、不均一な、円形断面のストラットの実施形態の側面図である。
【
図12】線12-12によって示される平面に沿った断面図である。
【
図13】線13-13によって示される平面に沿った断面図である。
【
図14】ストラットの周囲をそれぞれがたどる複数の凹部を備えた、編組されたワイヤで形成された、不均一な、円形断面のストラットの実施形態の側面図である。
【
図15】線15-15によって示される平面に沿った断面図であり、緩く詰め込まれた個々のワイヤを示している。
【
図16】線16-16によって示される平面に沿った断面図であり、きつく詰め込まれた個々のワイヤを示している。
【
図17】弁および不均一なストラットの概略的表示を含む、拡張した心臓弁組立体の実施形態の断面図である。
【
図18】カテーテル内で折り畳まれた
図17の弁組立体の断面図である。
【
図19】不均一なストラットを通過する複数の穴を備えた、円形断面のストラットの実施形態の側面図である。
【
図20】
図19の線20-20によって示される平面に沿った断面図である。
【
図21】
図19の線21-21によって示される平面に沿った断面図である。
【
図22】ストラットを通過する複数の穴を備えた、中空の円形断面のストラットの実施形態の側面図である。
【
図23】
図22の線23-23によって示される平面に沿った断面図である。
【
図24】
図22の線24-24によって示される平面に沿った断面図である。
【
図25】弁と、穴を備えたストラットと、の概略表示を含む、拡張した心臓弁組立体の実施形態の断面図である。
【
図26】カテーテル内で折り畳まれた
図25の弁の断面図である。
【
図27B】内側スカートおよび弁尖を示す人工弁の実施形態の側面図である。
【
図28】人工弁のフレームのためのストラットの実施形態の部分側面図である。
【
図29】人工弁において使用され得るフレームの実施形態の部分斜視図である。
【
図30】人工弁のフレームのためのストラットの実施形態の部分側面図である。
【
図31】人工弁において使用され得るフレームの実施形態の部分斜視図である。
【
図32】人工弁のフレームのためのストラットの実施形態の部分側面図である。
【
図33】人工弁のフレームのためのストラットの実施形態の部分側面図である。
【
図34】人工弁のフレームのためのストラットの実施形態の部分側面図である。
【
図35】人工弁のフレームのためのストラットの実施形態の部分側面図である。
【
図36】スカートに連結された人工弁のフレームのためのストラットの実施形態の部分側面図である。
【
図37】反対側から示す、
図36のストラットの部分側面図である。
【
図38】人工弁のフレームのためのストラットの実施形態の部分側面図である。
【0030】
本明細書で使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈で別段明確な規定のない限り、1つ、または複数を指す。
【0031】
本明細書で使用される、用語「含む(includes)」は、「備える(comprises)」を意味する。例えば、AおよびBを含むかまたは備えるデバイスは、AおよびBを包含するが、オプションとして、C、またはAおよびB以外の他の構成要素を包含し得る。AもしくはBを含むかまたは備えるデバイスは、AもしくはB、またはAおよびBを、そしてオプションとして、Cなどの、1つまたは複数の他の構成要素を、包含し得る。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1、
図2A、および
図4を参照すると、本出願は、フレーム12を備えた、インプラント可能な人工器官10に関し、フレームは、弁構成要素をフレーム12に取り付けるのに使用される縫合糸17を内方にオフセットさせるように構成される。本出願で使用されるような用語「縫合糸」は、ポリマー材料(例えば、Ethibond縫合糸)、糸、ストランド、繊維、ワイヤ、他の巻くことのできる材料、有機および無機材料、または医学的応用に許容可能であり、弁組立体のさまざまな実施形態において使用される材料を一緒に接合するのに適切である、任意の他の材料を含むがこれらに制限されない。
【0033】
フレーム12は、広範な種々の形態をとることができる。本出願は、実施例として主に心臓弁を例示しているが、フレーム12は、ステント、ドッキングステーションなどのフレームとすることができる。縫合糸17は、広範な種々の構造体をフレーム12に取り付けることができる。例えば、縫合糸17は、弁構成要素、被覆材料、弁などをフレーム12に取り付けることができる。
図4に示すように、縫合糸17の内方のオフセットは、縫合糸と弁送達および/または再捕捉システムとの間の接触または相互作用を最小限に抑え、クリンプされた弁の全体的な外形をわずかに縮小させることができる。例示的な一実施形態では、縫合糸の最も外側の表面は、弁フレームの最も外側の表面と同一平面、または実質的に同一平面とすることができる。摩耗または摩損による縫合糸の損傷または破損が減少し、縫合糸による送達または再捕捉システムへの損傷(拡張可能なシースの先端部もしくは送達シリンダの先端部への損傷を含む)の可能性も減少する。送達または再捕捉システムを通過する際の弁における押す力または抵抗も、フレームの外径上での縫合糸の露出を最小限に抑えることによって、および、縫合糸と送達または再捕捉システムとの間の相互作用を最小限に抑えることによって、減少する。また、この結果、送達、再捕捉、および完全展開状態においてクリンプまたは拡張中に弁組立体における最大応力またはひずみを低減させる。
【0034】
本出願に記載される概念は、広範な種々の弁組立体と共に使用され得る。本出願により開示される概念を使用し得る多くの弁組立体のうちの3つが、参照により全体として本明細書に組み込まれる、米国特許第7,993,394号(
図1、
図2、および
図3参照)、米国特許第9,393,110号(
図2Aおよび
図3A参照)、ならびに米国特許出願公開第2018/0153689号(
図27A参照)によって開示されている。
【0035】
図1、
図2、および
図2Aを参照すると、米国特許第7,993,394号および同9,393,110号によって開示される人工弁10はそれぞれ、フレーム、またはステント12と、フレームによって支持される弁尖構造体14と、スカート16と、を備える。弁10は、典型的には自己大動脈弁の弁輪に植え込まれるが、心臓の他の自己弁に、または、身体のさまざまな他の管もしくは孔に植え込まれるように適応されてもよい。
【0036】
弁10はそれぞれ、「第1の」端部80および「第2の」端部82を有する。本出願の文脈では、用語「第1の」および「第2の」は、用語「流入」および「流出」それぞれと互換的に使用される。よって、例えば、
図1、
図2、および
図2Aに示される実施形態では、弁の第1の端部80は、その流入端部であり、弁の第2の端部82は、その流出端部である。
【0037】
弁10は、送達カテーテル上で身体内に導入されるための折り畳みもしくはクリンプ状態へと半径方向に折り畳み可能であり、かつ、弁を身体内の所望の場所(例えば、自己大動脈弁)に植え込むための拡張状態へと半径方向に拡張可能であるように構成される。フレーム12は、弁を、送達のためのより小さな外形にクリンプすること、およびバルーンなどの拡張デバイスを使用して弁を拡張させることを可能にする、拡張可能な材料で作られ得る。
図27Aに示すフレーム301など、機械的に拡張可能なフレームもまた企図される。フレームを形成するのに使用され得る、例示的な塑性的に拡張可能な材料が、以下に記載される。
【0038】
あるいは、弁10は、フレームがニチノールなどの自己拡張材料で作られる、いわゆる自己拡張弁とすることができる。自己拡張弁は、より小さな外形までクリンプされ、弁を覆うシースなどの拘束デバイスによりクリンプ状態で保持され得る。弁が標的部位またはその近くに位置付けられると、拘束デバイスは取り外されて、弁がその拡張された機能的サイズまで自己拡張することを可能にする。
【0039】
図1、
図2、
図2Aおよび
図3Aの実施例では、フレーム12は、複数の垂直なストラットおよび斜めのストラット40を備える、環状のステント様構造体である。本出願では、ストラットという用語は、垂直なストラット、斜めのストラット、取り付けポスト、交連窓、ならびに米国特許第7,993,394号および同9,393,110号、および米国特許出願公開第2018/0153689号により記載される任意の同様の構造体を包含する。ストラットは、フレーム12の任意の細長い部材または部分とすることができる。例示された実施例では、ストラットは、ノードまたは接続部分32において互いに接続される。フレーム12は、斜めのストラットおよび垂直なストラットで構成され得る、1つまたは複数の複合的な列を有し得る。
図1、
図2、
図2A、
図3A、および
図27により例示されるフレームのさらなる詳細は、米国特許第7,993,394号および同9,393,110号、ならびに米国特許出願公開第2018/0153689号で見ることができる。
【0040】
人工弁10は、葉状の弁構成を有し得る。弁10は、折り畳み可能な人工弁尖60を形成するために(交連タブとも呼ばれる)継ぎ目において互いに接続された可撓性の柔軟な材料片から形成され得る。弁10は、例えば、縫合糸17および/または可撓性コネクタ34(
図2A参照)を使用して、継ぎ目においてそれらのそれぞれのフレーム12に接続され得る。あるいは、弁10は、葉状型の弁ではなく、機械型の弁とすることができる。
【0041】
弁10は、生体物質、例えば、自然組織、心膜組織(例えば、ウシ、ブタもしくはウマの心膜)、採取された自然弁、または他の生体組織から作られ得る。あるいは、弁10は、当技術分野で周知である、生体適合性の合成材料(例えば、生体適合性ポリマー)から作られ得る。弁10は、直径がフレーム組立体に一致するよう、フレーム12の輪郭にフィットするように成形され得る。弁10を通る流れは、第1の端部80から第2の端部82に向かう方向に進む。
【0042】
弁尖60は、それらの隣り合う側面において互いに固定されて、弁尖構造体の交連84(弁尖が集まる縁部)を形成し得る。例えば、
図3に示すように、弁尖構造体14の交連84は、縫合糸を使用してストラット40に固定され得る。縫合糸17は、スカート材料16をフレームに取り付けるのにも使用され得る。
図2Aに示すような、別の実施例では、弁尖構造体14の交連84は、(
図3Aの)交連窓部分33またはフレーム内の他の取り付けエリアと整列され、(
図2Aに示す)可撓性コネクタ34を使用してこれに固定され得る。
【0043】
図3は、インプラント可能な人工弁10を拡大切り欠き図でさらに例示しており、この図では、スカート16が取り外されているが、スカート材料16および弁尖60をフレーム12に取り付けるのに使用される縫合糸17は残っている。
図3はまた、縫合糸17がフレーム組立体12のストラット40に巻き付けられ得る方法を例示している。縫合糸17は、弁尖構造体14および/またはスカート16の一部を通過して、それらをフレームに固定し得る。縫合糸17は、離間した取り付け穴を通ってループを作ることによって、交連84を垂直なストラットに固定する。
図1、
図2、および
図2Aに示す弁の構造のさらなる詳細は、米国特許第7,993,394号および同9,393,110号で見ることができる。
【0044】
フレームを形成するのに使用され得る適切な材料は、ステンレス鋼、ニッケル系合金(例えば、ニッケルコバルトクロム合金)、およびポリマー、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに制限されない。特定の実施形態では、フレーム12は、(ASTM F562-02の適用を受けている)UNS R30035と等価である、MP35NTM(SPS Technologiesの商品名)などのニッケルコバルトクロムモリブデン合金で作られ得る。MP35NTM/UNS R30035は、35重量%のニッケル、35重量%のコバルト、20重量%のクロム、および10重量%のモリブデンを備える。
【0045】
図1、
図2、および
図2Aを再び参照すると、内側スカート16は、PETなどの丈夫な耐引裂性材料を備え得るが、さまざまな他の合成または天然材料が使用され得る。内側スカート16の主な機能は、弁尖構造体14をフレーム12に固定するのを助けること、および弁尖の下方縁部より下でフレーム12の開放セルを通る血液の流れを遮断することにより弁と自己弁輪との間に良好なシールを形成するのを助けることである。
【0046】
次に
図4を参照すると、例示的な一実施形態では、不均一なストラット40により、取り付け用縫合糸17は、人工心臓弁10および/またはスカート16を折り畳み可能かつ拡張可能なフレーム12またはステントに固定することができ、そのため、縫合糸17は、人工弁組立体がインプラント部位への送達のために折り畳まれカテーテルに挿入されたとき、カテーテルの内側表面または内径から離れて引っ込んでいる。または、縫合糸17は、フレーム12の外側表面と同一平面とすることができる。人工心臓弁組立体は、以下に記載する発明の特徴に加えて、
図1、
図2、
図2A、
図3、
図3A、および
図27Aにおいて前述したものとは異なる弁およびフレーム構造体を組み込み得る。いくつかの実施形態では、発明の概念は、Edwards Lifesciencesにより製造されるSapien 3弁に適用され得る。開示される発明は、任意の他の弁、ステント、ドッキングステーション、またはフレーム様構造体を含む、任意の他のカテーテルインプラントデバイスと共に使用され得る。
【0047】
図4は、複数の、軸方向に延びるストラットおよび斜めのストラット40ならびにノード32を有する、人工心臓弁組立体30の一実施形態を例示する。ストラット40は、第1の端部80から第2の端部82まで延び、人工心臓弁組立体30の周辺部を形成する。例示された周辺部は、形状が円筒形であるが、他の形状が形成されてもよい。例えば、フレームの周辺部は、楕円形状であるか、腎臓形状であるか、または僧帽弁輪、肺動脈弁輪、もしくは三尖弁輪などの弁輪の形状に近似するように成形され得る。ストラット40により形成された周辺部は、半径方向に最も外側の表面41と、複数の凹部42および/または凹部43と、を有する。本出願では、半径方向は、第1の端部80から第2の端部82への移動の方向に垂直である。「半径方向内方」の物体は、「半径方向外方」の物体より、弁の中心に近い。
図4では、凹部42および43は、周辺部41の最も外側の表面の半径方向内方にあり、そのため、縫合糸17は、周辺部41の最も外側の表面を越えて半径方向に延びることなく、弁10をフレーム組立体12に固定し得る。例示的な一実施形態では、人工弁組立体30が送達のため折り畳まれてカテーテルに挿入されたとき、縫合糸17は、カテーテルの内側表面に触れない。別の例示的な実施形態では、縫合糸は、周辺部41の最も外側の表面と同一平面である。
【0048】
ストラット内の凹部により、手動または自動の製造/組立において固定用縫合糸17をより速くより正確に配置することもできる(例えば、適切な数の縫合糸を数えるか、フレームのストラットに沿って縫合糸を離間させるか、または、縫合糸の張力を適切に制御するのが容易になる)。さらに、凹部内の縫合糸17は、フレーム組立体内でもフレーム組立体に対して位置を変える可能性が低く、それは、摩滅および摩擦力が最小限に抑えられるためである(引っ込んだストラットでは、摩擦力は、縫合糸を所定の場所に固定する唯一の力ではなく、したがって、大きさがそれほど大きくなくてよい)。
【0049】
ある実施形態では、
図4を参照して前述された、ストラット40の断面は、矩形ではなく、丸みを帯びているか、円形であるか、多角形の形状を有するか、不規則な形状を有するか、または、ストラットの長さに沿って変化する形状を有する。ストラットの断面はまた、同じ形状のままであるが、ストラットの長さに沿って、または、人工心臓弁組立体の第1の端部80から第2の端部82に向かって、サイズを変化させることができる。
【0050】
さらに、
図4の凹部42は均等に離間して示されているが、他の実施形態の凹部は、不規則に離間されるか、または、種々のストラットで別様に離間され得る。ストラット40およびノード32は、凹部を収容するために、引っ込んでいない断面では、より厚くされてよい。凹部は、概して、より厚いストラットまたはノード内に配置されて、ストラットまたはノードの構造的完全性を確実にすることができる。
【0051】
図7を参照すると、
図4の線7-7に沿った凹部42の断面は、直角の角部71(
図7)を備えた矩形凹部を示す。他の実施形態では、凹部は、丸みを帯びているか、半円形であるか、角度があるか、多角形であるか、形状が不規則であるか、または変化する断面を有することができ、また、さまざまな角部の形状を有し得る。種々の断面を有する凹部を備えた実施形態の例は、
図6~
図9を参照して以下に記載される。
【0052】
凹部42は、
図4で分かるように、ストラット40の周辺部41の半径方向に最も外側の表面におけるくぼみである。さらなる実施形態では、凹部は、不均一なストラットの任意の表面におけるくぼみとすることができる。このような凹部は、ストラットの表面に沿った螺旋状の連続したくぼみ、ストラットの半径方向内方表面におけるくぼみ、ストラットの複数の側面上の複数のくぼみ、ストラットの周囲もしくは周辺の周りの連続したくぼみ、または他の構成を形成し得る。
【0053】
図5および
図6は、円形断面と、螺旋状の凹部42と、を備えたストラット40の実施形態を示す。例えば、
図5により例示されるストラットは、引っ込んでいない部分51を有する。この実施形態では、弁周辺部の最も外側の表面は、心臓弁組立体の中心から最も遠いストラット40の引っ込んでいない部分に沿った線である。螺旋状の経路を備えた凹部42は、引っ込んでいない部分51の半径方向内方にあり、そのため、凹部42内の固定用縫合糸17は、引っ込んでいない部分51の半径方向内方にくる。螺旋状の形状を備えた凹部42内の縫合糸17は、弁組立体の周辺部の最も外側の表面の半径方向内方にある。螺旋状の実施形態は、規則的な連続した螺旋状の凹部として
図5および
図6に例示されているが、螺旋状の凹部は、形状および間隔が中断されているか、または不規則であってよい。
【0054】
図6は、線6-6により示された平面に沿った不均一なストラット40の断面を示す。例示された凹部42は、丸みを帯びていない角部を備えた、丸みを帯びた凹部である。代替的な実施形態におけるこの凹部は、異なる角部構成、例えば丸みを帯びた角部および/または面取りされた角部を備えた、別の形状の断面を有し得る。
【0055】
図8は、
図7の図と類似の断面図である。
図8は、ストラット40が、丸みを帯びた角部を備えた、丸みを帯びた凹部を有し得ることを例示している。凹部は、フレーム12の周辺部41の最も外側の表面内にある。
図9は、
図7の図と類似の断面図である。
図9は、ストラット40が、
図7~
図9により例示された形状のうちのいずれかなどの、内側表面91および外側表面41の両方における凹部を有し得ることを例示している。
図9の実施形態では、ストラットは、丸みを帯びた角部81を備えた、丸みを帯びた凹部42を有する。凹部42は、ストラットの周囲の周りに延びることができ、または、2つの別個の凹部が、ストラットの両側に形成され得る。表面91は、ストラットの半径方向に最も内側の表面である。
【0056】
図10は、
図4の線10-10により示された平面に沿った、垂直なストラット40および縫合糸17の実施形態の断面図である。
図4および
図10により例示される実施例では、凹部43は、縫合糸17が通過する2つの穴110の間に延びる。凹部43は、直角の角部102を備えた矩形として例示されている。しかしながら、凹部は、任意の形状を有し得る。
図10に示すように、凹部43は、穴の間に延びていて凹部43内に配される縫合糸17が、周辺部41の半径方向に最も外側の表面の内方にあるか、またはこれと同一平面になることを可能にする。よって、縫合糸17は、カテーテルの内側表面に触れない(または、最小限の力で触れる)。
【0057】
図11~
図13は、不均一で、円形断面を有し、一体的に形成された、ストラット40の実施形態の側面図および断面図を示す。ストラットは、ストラットの周囲をそれぞれがたどる複数の凹部42を有する。ストラットの周囲または周辺をたどる凹部は、縫合糸17の配置をさらに容易にすることができる。
図12は、
図11の線12-12により示された平面に沿った、ストラット40の引っ込んでいない部分112の断面図である。
図13は、
図11の線13-13により示された平面に沿った、ストラット40の引っ込んだ部分111の断面図である。引っ込んでいない部分112の断面の直径は、引っ込んだ部分111の断面の直径より特に大きく、そのため、ストラット40の凹部42内の縫合糸17は、引っ込んでいない部分112の最も外側の表面の半径方向内方にあるか、またはこれと同一平面である。
【0058】
本明細書に記載されるようなストラットは、フレーム組立体の形成に適切な、前述した材料のいずれか(望ましくは、ニッケルコバルト系合金またはニチノール材料)で形成され得る。ここで開示される、ある実施形態では、各ストラットは、1つの部品で一体的に形成される。他の実施形態では、ストラットは、複数の部品で形成され得るか、または、複数のワイヤ、例えば、編組されたワイヤもしくは別様に束ねられたワイヤで形成され得る。
【0059】
図14~
図16は、不均一な円形断面を有する、ストラット40の実施形態の側面図および断面図であり、前記ストラット40は、ワイヤ143で形成されている。ワイヤ143は、編組されているか、または別様に束ねられていてよい。ストラット40は、ストラットの周囲をそれぞれがたどる複数の凹部141を有する。
図15は、
図14の線15-15により示された平面に沿った、ストラット40の引っ込んでいない部分142の断面図である。
図15では、個々のワイヤ143は、緩く詰め込まれて、より広い直径を形成する。
図16は、
図14の線16-16により示された平面に沿った、ストラット40の引っ込んだ部分141の断面図である。
図16では、個々のワイヤ143は、よりきつく詰め込まれて、より狭い直径を形成する。引っ込んでいない部分142の断面の直径は、引っ込んだ部分141の断面の直径より特に大きく、そのため、ストラット40の引っ込んだ部分141内の縫合糸17は、引っ込んでいない部分142の最も外側の表面の半径方向内方にあるか、または少なくともこれと同一平面である。
【0060】
あるいは、ストラットの実施形態は、編組されたワイヤを使用して形成され得、ワイヤの変化する直径が、詰め込み/編組の相対的な堅さの代わりに、ストラットの引っ込んだ部分および引っ込んでいない部分を形成する。このようなストラットの一部において、ワイヤは、より広い直径を有し、ストラットの引っ込んでいない部分を自然に形成し、このようなストラットの他の部分において、同じワイヤは、より狭い直径を有し、ストラットの引っ込んだ部分を自然に形成する。さらなる実施形態では、ワイヤ直径と、ワイヤの詰め込み/編組の堅さとの組み合わせが、引っ込んだ部分および引っ込んでいない部分を作り出すのに使用され得る。
【0061】
図17は、拡張した心臓弁組立体170の実施形態の概略的断面図である。弁組立体170は、(概略的に例示された)弁174と、フレーム組立体を形成する不均一なストラット40と、縫合糸17と、を含む。ストラットは、引っ込んだ部分171と、引っ込んでいない部分172と、を有する。縫合糸17は、弁174をストラット40に固定する。
図18は、カテーテル180内部で折り畳まれた形態の弁組立体170を例示している。カテーテル180の内側表面181は、ストラット40により形成された周辺部の最も外側の表面と同一平面である。縫合糸17は、縫合糸17が凹部42内に配されるので、カテーテル180の内側表面181に触れることなく、弁174をストラット40に固定する。
【0062】
本明細書に記載されるさらなる実施形態では、フレーム組立体を構成する、ストラット40(斜めのストラットおよび軸方向に延びるストラット)ならびにノード32は、穴を含み得、この穴を縫合糸17が通過して、弁または他の構造体をフレーム組立体に固定し得る。
図19は、円形断面を有するストラット40、およびストラット40を通過する複数の穴191の実施形態の側面図を示す。縫合糸17は、穴191を通過して弁をストラット40に固定することができ、そのため、縫合糸17は、ストラット40の半径方向に最も外側の表面194から内方にある(すなわち、穴の軸は、フレームの外側表面に概ね垂直ではなく、ストラット40から形成されたフレームの外側表面に概ね平行である)。
図20は、
図19の線20-20により示された平面に沿った、いかなる穴もないストラット40の一部の断面図である。この断面は中実であり、いかなる空きスペースもないが、中空であるか、または、別の非中実構成を有することができる。
図21は、
図19の線21-21により示された平面に沿った、穴を備えたストラット40の一部の断面図である。矢印Bは、
図21の断面の平面における周方向(すなわち、心臓弁組立体全体の周囲の周り)を示す。穴191は、第1の穴開口部192から第2の穴開口部193まで、もっぱら周方向に、ストラット40を直接通過する。したがって、縫合糸17は、フレームの外側周囲から離間する。
【0063】
代替的な実施形態では、ストラットは、周方向を厳密にたどらない穴を含み得る。穴は、周方向と実質的に一致する第1の穴開口部を有し、次に、半径方向と、より一致するか、または心臓弁組立体の第1の端部80もしくは第2の端部82に、より方向付けられるか、またはこれら2つの組み合わせとなるように、第1の穴開口部から角度を付けて配された第2の穴開口部を有し得る。穴は、角度のついた、もしくは丸みを帯びた曲がりをストラットの中間に形成し得るか、または、第1の穴開口部から第2の穴開口部までストラットを通って直線を形成し得る。さらなる実施形態では、穴は、ストラット40の穴191のように、ストラットに沿って均等に離間されない。穴を含む人工心臓弁組立体のすべての実施形態において、穴は、弁またはスカート16をストラット40に固定するために穴を通って配された縫合糸17が、ストラットにより形成されたフレームの周辺部の半径方向に最も外側の表面の内方にくるように、方向付けられる。
【0064】
本人工心臓弁のさらなる実施形態では、フレーム組立体を構成する不均一なストラットおよび/またはノードは、中空とすることができる。中空の不均一なストラットは、凹部、穴、または両方の特徴を有し得る。
図22は、ストラット40を通過する複数の穴221を備えた、中空の円形断面を有するストラット40の実施形態の側面図を示す。縫合糸17は、穴221を通過して弁および/またはスカート16をストラット40に固定することができ、そのため、縫合糸17は、ストラット40の半径方向に最も外側の表面224から内方にある(すなわち、穴の軸は、フレームの外側表面に概ね垂直ではなく、ストラット40から形成されたフレームの外側表面に概ね平行である)。
図23は、穴がない、線23-23により示された平面に沿った、中空のストラット40の一部の断面図である。通路225が、ストラットを通って延びる。
図24は、線24-24により示された平面に沿った、穴221と共に取られたストラット40の一部の断面図である。矢印Bは、(心臓弁組立体全体に関する)
図24の断面の平面における周方向を示す。穴221は、第1の穴開口部222から第2の穴開口部223まで、もっぱら周方向に、ストラット40を直接通過する。したがって、縫合糸は、外側周囲から離間する。
【0065】
図25は、概略的に例示された弁254と、フレームを形成するストラット40と、縫合糸17と、を含む、拡張した心臓弁組立体250の実施形態の断面図である。ストラット40は、概ね周方向にストラット40を通過する穴251を有する。縫合糸17は、弁254をストラット40に固定する。
図26は、カテーテル180内部で折り畳まれた形態の弁組立体250を例示している。カテーテル180の内側表面181は、ストラット40により形成された周辺部の半径方向に最も外側の表面と同一平面であり、かつこれと接触している。縫合糸17は、縫合糸17が穴251を通って配されるので、カテーテル180の内側表面181に触れることなく、弁254をストラット40に固定する。
【0066】
次に
図27~
図38を参照すると、前述した概念は、米国特許出願公開第2018/0153689号(
図27A参照)に開示された人工弁と共に使用され得る。
図27Aは、格子型パターンで配置された、複数の相互接続された格子ストラット303から形成されたフレーム301を有する人工心臓弁300の一実施形態を例示している。格子ストラット303は、斜めに位置付けられるか、または人工弁300の長手方向軸に対して角度をなしてオフセットされ、かつこの長手方向軸から半径方向にオフセットしたものとして示されている。いくつかの実施形態では、
図27Bに示すように、人工弁300は、以下でさらに詳細に説明するように、フレーム301に縫合された内側スカート330を含み得る。弁尖60は、縫合線332に沿ってスカート330に縫合され得る。
【0067】
再び
図27Aを参照すると、格子ストラット303は、互いに旋回可能に連結され得る。例示された実施形態では、例えば、フレーム301の流出端部305において、また流入端部307において、頂点304を形成するストラット303の端部分は、それぞれの開口部(不図示)を有し得る。ストラット303は、ストラットの両端部間でそれらの長さに沿って離間された開口306(
図28参照)を備えて形成され得る。開口306を通って延びるリベットまたはピンを備え得る、ファスナ310を介して、フレームの端部間でストラット303が互いに重なる場所に、それぞれのヒンジ308が形成され得る。
【0068】
各格子ストラット303は、複数のオフセットした線形部分またはセグメント312によって画定された、オフセットまたはジグザグパターンを有し得る。例示された実施形態における線形セグメント312は、互いに対して端部と端部とをつないで配置されており、隣り合う端部は、中間セグメント314によって互いに相互接続されている。ストラット303は、フレームの流入端部および流出端部に頂点304を形成する拡大端部分316を有し得る。各線形セグメント312は、ストラット303の全長に垂直な方向に、隣接する線形セグメント312からわずかに横方向にオフセットして、ジグザグパターンをストラットに提供する。中間セグメント314および端部分316はそれぞれ、ファスナ310を受容するために、その幾何学的中心にそれぞれの開口306を有し得る。
【0069】
次に
図28を参照すると、線形セグメント312は、中間セグメント314の、湾曲するかまたは丸みを帯びた縁部318間を延びる、少なくとも実質的に平坦または線形の対向する長手方向縁部312a、312bを含み得る。代替的な実施形態では、中間セグメント314の縁部318は、線形セグメント312の縁部312a、312bのそれぞれの端部間において角度をなして延びる、実質的に平坦または線形の縁部とすることができる。
【0070】
各線形セグメント312の幅W1は、セグメントの対向する縁部312a、312b間で測定される距離として定められる。各長手方向縁部312aは、隣接する線形セグメント312の隣接する長手方向縁部312aから横方向にオフセットされ得、各長手方向縁部312bは、隣接する線形セグメント312の隣接する長手方向縁部312bから横方向にオフセットされる。各中間セグメント314および端部分316の幅W2は、線形セグメント312の幅W1より広くすることができる。ストラットのさらなる詳細は、例えば、米国特許出願公開第2018/0153689号で見ることができる。
【0071】
図28~
図38は、矩形断面を備えた線形セグメント312を有するストラット303の実施形態を示す。
図28~
図38に示すように、各ストラット303は、長手方向縁部312a、312bに形成された複数の凹部320を備え得る。凹部320は、弁組立体をフレーム301に連結する1つまたは複数の縫合糸322が、ストラット303の長さに沿ってスライドするのを防ぐように構成され得る。凹部320は、ストラット303の長さに沿った任意の場所に位置付けられ得る。いくつかの実施形態では、各線形セグメント312は、複数の凹部320を備え得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、フレーム301の各ストラット303は、複数の凹部を備え得る。他の実施形態では、フレーム301のただ1つまたは複数の選択されたストラット303が、凹部を含む。
【0073】
前述したように、凹部は、ストラットの任意の表面におけるくぼみとすることができる。各凹部320は、ストラット303の幅W1内に延びるくぼみとすることができる。各凹部320は、ストラット303の厚さ全体にわたって半径方向に延び得る(ストラットの厚さは、幅W1に垂直な線に沿ってストラットの半径方向内側表面と半径方向外側表面との間で測定される)。例示された実施形態では、凹部は、丸みを帯びた三角形の形状を有するが、他の実施形態では、凹部は、任意の形状、例えば、正方形、矩形、円形、T字型、L字型、J字型などの形状、を有し得る。いくつかの実施形態では、凹部は、形状が不規則であってよい。凹部は、丸みを帯びていない角部、丸みを帯びた角部、および/または面取りされた角部を有し得る。例示された実施形態は、すべての凹部320が同じ形状を有するところを示しているが、他の実施形態では、凹部は、同じストラット内部または同じ線形セグメント内部で種々の形状を有し得る。
【0074】
例示された実施形態では、凹部320は、各線形セグメント312上において同じパターンで示されているが、他の実施形態では、各線形セグメント312は、異なるパターンの凹部320を備え得る。いくつかの実施形態では、線形セグメント312は、交互のパターンの凹部を有し得る。
【0075】
次に
図28を参照すると、特定の実施形態では、各線形セグメント312は、4つの凹部320を備え得る。凹部320は、対向する対320a、320bおよび320c、320dとして方向付けられ得、各対の1つの凹部は、線形セグメント312の各長手方向縁部312a、312b上に位置する。対向する対、例えば、凹部320aおよび凹部320bは、ストラット303の長さに沿って互いからわずかにオフセットされ得、そのため、対向する対は、フレーム301がその半径方向に拡張した構成にあり、ストラット303が斜めに位置付けられると、フレームの周囲に沿って互いに整列され得る。他の実施形態では、対向する対は、ストラットの幅を横切って互いに整列するように、配置され得る。例示された実施形態では、凹部の各対向する対は、それぞれの中間セグメント314に隣接して位置付けられる。例えば、凹部320aおよび320bは、中間セグメント314aに隣接して位置付けられ得、凹部320cおよび320dは、中間セグメント314bに隣接して位置付けられ得る。
【0076】
図30を参照すると、別の特定の実施形態では、各線形セグメント312は、対向する対320a、320bおよび320c、320dとして方向付けられた4つの凹部320を備え得、各対の1つの凹部が、線形セグメント312の各長手方向縁部312a、312b上に位置する。図示の通り、対向する対は、実質的に、線形セグメント312の長さの中心に位置付けられ得、そのため、対向する対は、中間セグメント314よりも、互いに近い。
【0077】
図32~
図33に示すように、いくつかの実施形態では、各ストラットは、「かがり縫い」構成で結ばれ得る縫合糸322を保持するように位置付けられた凹部を備える。例えば、各線形セグメント312は、かがり縫いで結ばれている縫合糸を受容するように位置付けられた2つ以上の凹部を備え得る。かがり縫いは、連続したランニングステッチである。いくつかの実施形態では、かがり縫いは、1つもしくは複数の弁尖(不図示)および/またはスカート(不図示)を通って、1つまたは複数のストラット303の周りを延びて、再び同じ方向に1つもしくは複数の弁尖および/またはスカートを通って延びることができる。かがり縫いは、ストラットの長さに沿って必要に応じて反復され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では(例えば、
図32参照)、各線形セグメント312は、線形セグメント312の対向する長手方向縁部312a、312bそれぞれに位置付けられた、2つの凹部320a、320bを備え得る。例示された実施形態では、凹部320aは、長手方向縁部312b上で中間セグメント314aに隣接して位置付けられ、凹部320bは、長手方向縁部312a上で中間セグメント314bに隣接して位置付けられる。他の実施形態では、凹部320は、線形セグメントに沿って、いずれかの長手方向縁部上の、任意の場所に位置付けられ得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、
図32に示すように、縫合糸は、中間セグメント314のうちの1つまたは複数の上にXを形成するように、結ばれ得る。
【0080】
次に
図33を参照すると、いくつかの実施形態では、各線形セグメント312は、線形セグメントの長さに沿って位置付けられた、対向する3対の凹部を備え得る。凹部320は、セグメント312の長さに沿って均等に離間され得、各凹部は、その対応する対から線形にオフセットされている。このような実施形態では、かがり縫いで結ばれた縫合糸322は、凹部320内部に保持され得る。例えば、単一の線形セグメント312に沿って、かがり縫いで進む縫合糸322は、1つもしくは複数の弁尖(不図示)および/またはスカート(不図示)を通過し、凹部320bによって保持され、ストラットの幅W1を横切って延び、凹部320aによって保持され、1つもしくは複数の弁尖および/またはスカートを通過し、凹部320dによって保持され、ストラットの幅W1を横切って延び、凹部320cによって保持され、1つもしくは複数の弁尖および/またはスカートを通過し、凹部320fによって保持され、ストラットの幅W1を横切って延び、凹部320eによって保持され得る。
【0081】
他の実施形態では、
図34および
図36~
図37に示すように、各ストラット303は、「結び目」構成で結ばれた縫合糸322を保持するように構成された凹部320を備え得る。結び目構成で結ばれた縫合糸は、1つまたは複数の結び目を含み得る。
図34に示すように、いくつかの実施形態では、各線形セグメント312は、結び目324を保持するように構成され得る。他の実施形態では、各線形セグメントは、2つ以上の結び目を保持するように構成された凹部を備え得る。いくつかの実施形態では、ストラットは、交互の線形セグメントが結び目を保持するように構成され得るよう、構成され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、凹部は、各結び目が線形セグメント312の幅の中心に位置するように位置付けられ得る。このように、結び目は、中間セグメント314と整列され得、そのため、想像線がストラット303の長さに沿って各中間セグメント314の開口306および各結び目324を通過し得る。したがって、結び目324は、ストラットの長さに沿って「固着経路」を形成し得る。これにより、弁尖60は固着経路に沿って取り付けられ、それによって、弁性能に影響を及ぼし得る、「ジグザグ」の弁尖形状の可能性を軽減する。いくつかの実施形態では、結び目は、ストラットの半径方向内側表面上に位置し得る。他の実施形態では、結び目は、ストラットの半径方向外側表面上に位置し得る。
【0083】
さらに他の実施形態では、
図35に示すように、複数の凹部320は、各線形セグメント312の各長手方向縁部312a、312bに沿って連続して位置付けられ得る。例えば、凹部320は、凹部320が線形セグメント312の各長手方向縁部312a、312bに沿って正弦曲線を形成するように、位置付けられ得る。例示された実施形態では、例示を容易にするため、凹部は、1つのセグメント312上にのみ示されているが、各線形セグメントが、各長手方向縁部に沿って連続して位置付けられた複数の凹部を備え得る。このような実施形態では、縫合糸322は、縫合処置中に凹部内部に位置付けられる必要はなく、それは、縫合糸が締められる際、縫合糸が自然に凹部に「落ちる」(例えば、引き込まれる)ためである。
【0084】
図36~
図38は、縫合糸322によりストラット303に縫合された内側スカート330を示す。特定の実施形態(例えば、
図27Bの実施形態)では、弁尖60は、フレームのストラット303に直接縫合されておらず、代わりに、スカート330に別個に縫合され得る。このようにして、弁尖60は、内側スカート330を介してフレーム内部に装着され、フレームに接続される。他の実施形態では、弁尖60は、図示のようにスカート330を、また弁尖60を通された、縫合糸322によってフレームのストラット303に接続され得る。
【0085】
前述した構成は、ストラットの長手方向縁部に沿った縫合糸のスライドを軽減することによって、人工弁の耐久性を高めるのを助け得る。凹部は、品質保証の時間をさらに短縮することができ、それは、縫合糸が選択された構成で結ばれたことをオペレータが見るのが容易になるためである。
【0086】
例示された実施形態の原理を例示し説明してきたが、実施形態が、そのような原理から逸脱せずに、配置および詳細を改変され得ることは明らかであろう。
【0087】
さらに、本開示の人工弁組立体は、断面が概ね円形で示されているが、これらの人工弁組立体は、D字形状、楕円形状、腎臓形状、任意の自己心臓弁の形状、または関連する、置換された自己弁の輪郭に適合するのに適切な任意の他の形状を有し得る。
【0088】
この説明の目的で、本開示の実施形態のある態様、利点、および新規な特徴が本明細書に記載されている。開示された方法、器具、およびシステムは、決して限定するものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独の、また互いにさまざまな組み合わせおよび部分的組み合わせにおける、さまざまな開示された実施形態のすべての新規かつ非自明な特徴および態様を対象としている。方法、器具、およびシステムは、任意の特定の態様もしくは特徴またはそれらの組み合わせに限定されず、開示された実施形態は、任意の1つもしくは複数の特定の利点が存在するかまたは問題が解決されることを必要としない。
【0089】
開示された実施形態のうちのいくつかの動作が、提示の便宜上、特定の順序で説明されたが、この説明の様式は、以下に記載する特定の言葉によって特定の順序が必要とされない限り、並べ替えを包含することを理解されたい。例えば、連続して記載された動作は、場合によっては、並べ替えられるか、または同時に実行され得る。さらに、単純にするため、添付図面は、開示された方法が他の方法と共に使用され得る、さまざまな方法を示さない場合がある。さらに、説明は、開示された方法を説明するために、「提供する」または「達成する」のような用語を使用する場合がある。これらの用語は、実行される実際の動作の高レベルな抽象的概念である。これらの用語に対応する実際の動作は、特定の実施態様に応じてさまざまであってよく、当業者によって容易に識別可能である。
【0090】
多くの可能な実施形態を考慮して、例示された実施形態は、本発明の実施例を含むに過ぎず、本発明の範囲を限定するものとして理解すべきではないことが認識されるであろう。むしろ、本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義される。したがって、この特許請求の範囲に収まるそのような実施形態すべてを、本発明として主張する。
【0091】
さらに、本発明では以下の例を含むことも好ましい。
[項1]
複数の相互接続されたストラットを備える、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームを備え、各ストラットは、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長さと、を有し、
各ストラットは、前記ストラットの1つまたは複数の長手方向縁部上に配され、前記ストラットの幅内に延びる、複数の凹部を備える、インプラント可能な人工器官。
[項2]
前記凹部を通って延びる1つまたは複数の縫合糸をさらに備え、前記凹部は、前記1つまたは複数の縫合糸を保持し、前記1つまたは複数の縫合糸が前記ストラットの前記長さに沿ってスライドするのを防ぐ、項1に記載の人工器官。
[項3]
各凹部は、前記ストラットの厚さにわたって半径方向に延びる、項1または2に記載の人工器官。
[項4]
各ストラットは、前記ストラットの前記長さに垂直な方向に互いから横方向にオフセットした複数の線形セグメントを備え、各線形セグメントは、複数の凹部を備える、項1から3のいずれか一項に記載の人工器官。
[項5]
各線形セグメントは、同一パターンの凹部を備える、項4に記載の人工器官。
[項6]
前記凹部は、丸みを帯びた三角形の形状を有する、項1から5のいずれか一項に記載の人工器官。
[項7]
前記凹部は、矩形の形状を有する、項1から5のいずれか一項に記載の人工器官。
[項8]
前記凹部は、J字型である、項1から5のいずれか一項に記載の人工器官。
[項9]
各線形セグメントは、少なくとも第1および第2の凹部を備え、前記第1の凹部は、前記ストラットの第1の長手方向縁部上に位置し、前記第2の凹部は、前記ストラットの第2の長手方向縁部上に位置する、項4から8のいずれか一項に記載の人工器官。
[項10]
前記第1および第2の凹部は、前記ストラットの前記長さに沿って互いからオフセットされ、そのため、前記フレームが拡張した構成にあるとき、前記第1および第2の凹部は、前記ストラットの幅を横切って互いに整列される、項9に記載の人工器官。
[項11]
各線形セグメントは、2組以上の対向する対として構成された4つ以上の凹部を備える、項4から10のいずれか一項に記載の人工器官。
[項12]
対向する対における各凹部は、前記ストラットの前記長さに沿って他方からわずかにオフセットされ得、そのため、前記凹部は、弁が拡張されたときに前記弁の周囲に沿って互いに整列される、項11に記載の人工器官。
[項13]
各線形セグメントは、1つまたは複数の中間セグメントを介して1つまたは複数の隣り合う線形セグメントに連結される、項4から12のいずれか一項に記載の人工器官。
[項14]
各中間セグメントは、対向する対の凹部を備え得、前記対向する対の第1の凹部は、第1の線形セグメント上に配され、前記対向する対の第2の凹部は、第2の線形セグメント上に配される、項13に記載の人工器官。
[項15]
前記1つまたは複数の縫合糸は、前記凹部を通って前記ストラットの周りを延びるかがり縫いを形成する、項2に記載の人工器官。
[項16]
前記人工器官は、1つまたは複数の弁尖を備え、前記かがり縫いは、第1の方向に1つまたは複数の弁尖を通って、それぞれのストラットの周りを延びて、再び前記第1の方向に前記1つまたは複数の弁尖を通って延びる、項15に記載の人工器官。
[項17]
前記1つまたは複数の縫合糸に形成された1つまたは複数の結び目は、前記凹部のうちの選択されたものにおいて保持される、項2に記載の人工器官。
[項18]
前記1つまたは複数の結び目は、対応するストラットの半径方向内側表面上に配される、項17に記載の人工器官。
[項19]
前記1つまたは複数の結び目は、前記対応するストラットの前記長さに沿って固着経路を形成し、それぞれの弁尖の尖縁部は、前記固着経路に連結される、項17または18に記載の人工器官。
[項20]
前記1つまたは複数の縫合糸は、前記中間セグメントのうちの1つまたは複数の上にX字形状で結ばれる、項2に記載の人工器官。
[項21]
前記複数の凹部は、各長手方向縁部に沿って連続的に配され、正弦曲線を形成する、項1から20のいずれか一項に記載の人工器官。
[項22]
複数の相互接続されたストラットを備える、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームであって、各ストラットは、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長さと、を有し、各ストラットは、前記ストラットの1つまたは複数の長手方向縁部上に配され、前記ストラットの幅内に延びる、複数の凹部をさらに備える、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームと、
1つまたは複数の縫合糸を介して前記フレームに装着されたスカートと、を備え、
前記凹部は、前記1つまたは複数の縫合糸を保持し、前記1つまたは複数の縫合糸が前記ストラットの前記長さに沿ってスライドするのを防ぐ、人工弁。
[項23]
各凹部は、前記ストラットの厚さにわたって半径方向に延びる、項22に記載の人工弁。
[項24]
各ストラットは、前記ストラットの前記長さに垂直な方向に互いから横方向にオフセットした複数の線形セグメントを備え、各線形セグメントは、複数の凹部を備える、項22または23に記載の人工弁。
[項25]
各線形セグメントは、同一パターンの凹部を備える、項24に記載の人工弁。
[項26]
前記凹部は、丸みを帯びた三角形の形状を有する、項22から25のいずれか一項に記載の人工弁。
[項27]
前記凹部は、矩形の形状を有する、項22から24のいずれか一項に記載の人工弁。
[項28]
前記凹部は、J字型である、項22から24のいずれか一項に記載の人工弁。
[項29]
各線形セグメントは、少なくとも第1および第2の凹部を備え、前記第1の凹部は、前記ストラットの第1の長手方向縁部上に位置し、前記第2の凹部は、前記ストラットの第2の長手方向縁部上に位置する、項24から28のいずれか一項に記載の人工弁。
[項30]
前記第1および第2の凹部は、前記ストラットの前記長さに沿って互いからオフセットされ、そのため、前記フレームが拡張した構成にあるとき、前記第1および第2の凹部は、前記ストラットの幅を横切って互いに整列される、項29に記載の人工弁。
[項31]
各線形セグメントは、断面において実質的に矩形の形状を有する、項24から30のいずれか一項に記載の人工弁。
[項32]
前記1つまたは複数の縫合糸は、かがり縫い構成を備える、項22から31のいずれか一項に記載の人工弁。
[項33]
前記かがり縫い構成にあるとき、前記1つまたは複数の縫合糸のうちのある縫合糸は、前記スカートを通って、前記複数のストラットのうちのあるストラットの周りを延び、再び前記スカートを通って延びる、項32に記載の人工弁。
[項34]
前記1つまたは複数の縫合糸は、1つまたは複数の結び目を含む結び目構成を備える、項22から33のいずれか一項に記載の人工弁。
[項35]
前記1つまたは複数の結び目はそれぞれ、前記ストラットの幅の中心に位置付けられる、項34に記載の人工弁。
[項36]
前記1つまたは複数の結び目は、前記ストラットの半径方向内側表面上に位置付けられる、項34に記載の人工弁。
[項37]
前記1つまたは複数の結び目は、対応する前記ストラットの前記長さに沿って固着経路を形成し、それぞれの弁尖の尖縁部は、前記固着経路に連結される、項35または36に記載の人工弁。
[項38]
複数の相互接続されたストラットを備える、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームを備え、各ストラットは、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長さと、を有し、
各ストラットは、前記ストラットの1つまたは複数の長手方向縁部上に配され、前記ストラットの幅内に延びる、複数の第1の凹部を備え、
各ストラットは、前記ストラットの半径方向外側表面および半径方向内側表面のうちの少なくとも1つに配され、前記ストラットの厚さ内に延びる、複数の第2の凹部を備える、インプラント可能な人工器官。
[項39]
各ストラットは、断面において実質的に矩形の形状を有する、項38に記載の人工器官。
[項40]
各第1の凹部は、丸みを帯びた三角形の形状を有する、項38または39に記載の人工器官。
[項41]
各第2の凹部は、矩形の形状を有する、項38から40のいずれか一項に記載の人工器官。
[項42]
各ストラットは、前記ストラットの前記長さに垂直な方向に互いから横方向にオフセットした複数の線形セグメントを備え、各線形セグメントは、複数の第1および第2の凹部を備える、項38から41のいずれか一項に記載の人工器官。
[項43]
各線形セグメントは、同一パターンの第1の凹部を備える、項42に記載の人工器官。
[項44]
前記第1の凹部は、対向する対として構成される、項38から43のいずれか一項に記載の人工器官。
[項45]
複数の相互接続されたストラットを備える、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームであって、各ストラットは、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長さと、を有し、各ストラットは、前記ストラットの1つまたは複数の長手方向縁部上に配され、前記ストラットの幅内に延びる、複数の凹部をさらに備える、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームと、
1つまたは複数の縫合糸によって前記フレーム内部に固定された弁状構造体と、を備え、
前記凹部は、前記1つまたは複数の縫合糸を保持し、前記1つまたは複数の縫合糸が前記ストラットの前記長さに沿ってスライドするのを防ぐ、人工弁。
[項46]
1つまたは複数のストラットは、前記ストラットを通って周方向に延びる穴を備え得る、項45に記載の人工弁。
[項47]
各ストラットは、前記ストラットの前記長さに垂直な方向に互いから横方向にオフセットした複数の線形セグメントを備え、各線形セグメントは、複数の凹部を備える、項45または46に記載の人工弁。
[項48]
前記凹部は、丸みを帯びた三角形の形状を有する、項45から47のいずれか一項に記載の人工弁。
[項49]
前記凹部は、矩形の形状を有する、項45から47のいずれか一項に記載の人工弁。
[項50]
各線形セグメントは、少なくとも第1および第2の凹部を備え、前記第1の凹部は、前記ストラットの第1の長手方向縁部上に位置し、前記第2の凹部は、前記ストラットの第2の長手方向縁部上に位置する、項47から49のいずれか一項に記載の人工弁。
[項51]
複数の相互接続されたストラットを備える、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームであって、各ストラットは、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部から前記第2の端部まで延びる長さと、前記長さに沿って延びる第1および第2の長手方向縁部と、を有する、半径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームと、
前記長手方向縁部の周方向内方に位置付けられた縫合糸によって前記フレーム内部に固定された弁状構造体と、を備える、人工弁。
[項52]
各縫合糸は、前記フレームの周辺部の最も外側の表面の半径方向内方にさらに位置付けられる、項51に記載の人工弁。
[項53]
各ストラットは、中空である、項51または52に記載の人工弁。
[項54]
各ストラットは、前記ストラットの前記長さに垂直な方向に互いから横方向にオフセットした複数の線形セグメントを備え、各線形セグメントは、前記線形セグメントの1つまたは複数の長手方向縁部に配された複数の凹部を備える、項51から53のいずれか一項に記載の人工弁。
[項55]
各線形セグメントは、少なくとも第1および第2の凹部を備え、前記第1の凹部は、前記ストラットの第1の長手方向縁部上に位置し、前記第2の凹部は、前記ストラットの第2の長手方向縁部上に位置する、項54に記載の人工弁。
[項56]
前記縫合糸は、前記ストラットの周りを延び、前記ストラットの1つまたは複数の長手方向縁部内の1つまたは複数の凹部内に配された、かがり縫いを形成する、項51から55のいずれか一項に記載の人工弁。
[項57]
前記弁状構造体は、1つまたは複数の弁尖を備え、前記かがり縫いは、第1の方向に1つまたは複数の弁尖を通って、それぞれのストラットの周りを延びて、再び前記第1の方向に前記1つまたは複数の弁尖を通って延びる、項56に記載の人工弁。
[項58]
前記縫合糸に形成された1つまたは複数の結び目は、前記凹部のうちの選択されたものにおいて保持される、項54に記載の人工弁。
[項59]
前記弁状構造体は、1つまたは複数の弁尖を備え、前記1つまたは複数の結び目は、対応する前記ストラットの前記長さに沿って固着経路を形成し、それぞれの弁尖の尖縁部は、前記固着経路に連結される、項58に記載の人工弁。
【符号の説明】
【0092】
10 人工器官
10 人工弁
12 フレーム
12 ステント
12 フレーム組立体
14 弁尖構造体
16 スカート
16 スカート材料
16 内側スカート
17 縫合糸
17 取り付け用縫合糸
17 固定用縫合糸
30 人工心臓弁組立体
30 人工弁組立体
32 ノード
32 接続部分
33 交連窓部分
34 可撓性コネクタ
40 ストラット
41 半径方向に最も外側の表面
41 周辺部
41 外側表面
42 凹部
43 凹部
51 引っ込んでいない部分
60 人工弁尖
71 角部
80 第1の端部
81 角部
82 第2の端部
84 交連
91 内側表面
102 角部
110 穴
111 引っ込んだ部分
112 引っ込んでいない部分
141 凹部
141 引っ込んだ部分
142 引っ込んでいない部分
143 ワイヤ
170 心臓弁組立体
171 引っ込んだ部分
172 引っ込んでいない部分
174 弁
180 カテーテル
181 内側表面
191 穴
192 第1の穴開口部
193 第2の穴開口部
194 半径方向に最も外側の表面
221 穴
222 第1の穴開口部
223 第2の穴開口部
224 半径方向に最も外側の表面
225 通路
250 心臓弁組立体
251 穴
254 弁
300 人工心臓弁
301 フレーム
303 格子ストラット
304 頂点
305 流出端部
306 開口
307 流入端部
308 ヒンジ
310 ファスナ
312 線形部分
312 線形セグメント
312a 長手方向縁部
312b 長手方向縁部
314 中間セグメント
314a 中間セグメント
314b 中間セグメント
316 拡大端部分
318 縁部
320 凹部
320a 凹部
320b 凹部
320c 凹部
320d 凹部
320e 凹部
320f 凹部
322 縫合糸
324 結び目
330 内側スカート
332 縫合線
W1 幅
W2 幅
【外国語明細書】