(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180412
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ロイシン誘導体、それを含む組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
A23L 33/18 20160101AFI20241219BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20241219BHJP
A61P 15/12 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20241219BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A23L33/18
A61K38/05
A61P15/12
A61K8/64
A61Q19/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024174999
(22)【出願日】2024-10-04
(62)【分割の表示】P 2023007521の分割
【原出願日】2017-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2016-0127792
(32)【優先日】2016-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0156535
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0061695
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514112488
【氏名又は名称】エルジー・エイチアンドエイチ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100195796
【弁理士】
【氏名又は名称】塩尻 一尋
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-ペ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミ-キョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン-キョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヘ-イン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スン-ヒョン・イム
(72)【発明者】
【氏名】チャン-イル・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ウン-ジョン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ラン・ソン
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、優れた皮膚改善効果、疲労改善効果、及び/または女性更年期症状の緩和効果を有する化粧料組成物、薬学的組成物、医薬外品組成物及び食品組成物を影響することである。
【解決手段】本発明によるグリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を有効成分として含む組成物は、皮膚弾力改善、皮膚保湿、皮膚老化防止、疲労改善、抗炎症、抗酸化及び/または女性更年期症状の緩和に優れた効果を奏する。本発明によるグリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を含む組成物は、皮膚に安全でありながらも、目的とする効果に優れた化粧品原料、薬学成分、医薬外品原料または機能性食品原料として使用でき、指標成分または有効成分として含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の更年期症状の治療、予防又は改善のための有効な量の下記化学式1及び/又は化学式2で表される化合物又はその塩を含む、女性の更年期症状の治療、予防又は改善剤。
【化1】
【請求項2】
女性の更年期症状は、顔面紅潮、発汗、神経質、鬱病、めまい症、疲労感、関節痛、筋肉痛、頭痛、胸騒ぎ、蟻走感、睡眠中発汗、睡眠障害、皮膚乾燥、膣乾燥症、膣萎縮、下部尿道萎縮、性交痛、膣炎、膀胱炎、排尿痛、急尿、集中障害、記憶力障害、不安、神経過敏、記憶力減退、皮膚乾燥、関節痛、骨粗鬆症、心臓病、高血圧、及び脳卒中からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の女性の更年期症状の治療、予防又は改善剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の女性の更年期症状の治療、予防又は改善剤を含む、食品組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の女性の更年期症状の治療、予防又は改善剤を含む、化粧料組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の女性の更年期症状の治療、予防又は改善剤を含む、薬学的組成物。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の女性の更年期症状の治療、予防又は改善剤を含む、医薬外品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロイシン誘導体、それを含む組成物及びその用途に関し、詳しくは、ロイシン誘導体の新規な化粧学的用途、薬学的用途、食品学的用途、及びロイシン誘導体を含む化粧料組成物、薬学的組成物、医薬外品組成物及び食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
老化は、生命現象であり、すべての生命体は生まれてから老化が始まる。衛生と保健環境の改善で人間の寿命は過去よりかなり延長され、高齢者人口の比率は着実に増加しつつある(カン・テジン、BioWave 2011、Vol.13、No.3(1))。老化は身体の全般にわたって起きるが、全般的な身体機能が低下し、また、心血管疾患、糖尿のような生活習慣病のように、臓器の生理的機能が低下する(チェ・ヒョンチョル、大韓皮膚科学会誌、1997;35:292-302)。
【0003】
皮膚は、身体の最外側で体内の水分、電解質、タンパク質の消失を防止すると共に、体温調節、皮膚の感覚機能、免疫機能など様々な役割を同時に果たす重要な器官である。
【0004】
皮膚も、他の器官と同様に、年をとっていくにつれて老化が進む。皮膚の老化は、内因性皮膚老化(intrinsic skin aging)と光老化(photoaging)とに区分でき、内因性皮膚老化は目視的な形態学的変化よりは機能的変化を特徴とする。慢性的な紫外線露出による光老化は、内因性老化と重畳し、全身的であるか又は避けられないものではないが、顕著な構造的、生理的変化をもたらす。老化した表皮では、皮膚しわの発生、障壁の消失、免疫異常などの固有の機能が喪失されるだけでなく、外観的に審美的な影響を及ぼす。皮膚の老化を止めることはできないが、皮膚の老化を予防して遅らせるための多様な試みが行われている。
【0005】
コラーゲンは、皮膚の線維芽細胞(fibroblast)で生成される主な基質タンパク質であって、細胞外間質に存在し、重要な機能としては皮膚の機械的堅固性、結合組織の抵抗力と組織の結合力、細胞接着の維持、細胞分割と分化(有機体の成長あるいは傷治癒の際)の誘導などが知られている。このようなコラーゲンは、年齢及び紫外線照射による光老化によって減少し、コラーゲンを分解するコラーゲナーゼ酵素活性によってコラーゲンの減少が促進される。これは皮膚のしわ形成と密接な連関があると知られている。
【0006】
また、エラスチンは、皮膚弾力に係わり、しわ生成に重要な皮膚の構成成分である。エラスチン分解酵素であるエラスターゼ(Elastase)の活性度の急激な増加は皮膚しわの生成要因の1つとして知られている。エラスターゼはエラスチンを分解する唯一の酵素であって、それを阻害することで皮膚しわを根本的に減少できると知られている。
【0007】
一方、コラーゲン及びエラスチン繊維は、真皮層内の水分保有に重要な役割をする基質タンパク質である。このような基質タンパク質が水分を吸着し、これらが形成する構造内部の水分保有力を高めて皮膚が適正水分を含む状態を維持できるようにして、それによって皮膚弾力の維持に関与すると知られている。
【0008】
また、皮膚の線維芽細胞で生成される弾性繊維(elastic fiber)は、コラーゲンと架橋結合して皮膚弾力に係わる、しわ生成に重要な皮膚の構成成分である。弾性繊維の欠乏及び分解は、皮膚しわの生成と弾力低下の主要要因の1つとして知られている。
【0009】
現在、しわ改善化粧料としては、レチノイド、アデノシン、動物胎盤由来タンパク質、クロレラ抽出物などが知られている。最も広く知られているレチノールは、コラーゲン合成を促進し、エラスターゼ酵素を阻害する物質であるが、不安定であって、皮膚への適用の際、刺激、発赤などの安全性の問題により使用量の制限がある。また、クロレラ抽出物などは、効果が殆どなく実質的な皮膚しわの改善効果が期待し難いと知られている。
【0010】
したがって、生体に安全であって、有効成分が皮膚に安全且つ安定的であり、何よりも、皮膚弾力の改善、保湿または抗老化の効果があると知られている物質より効果が優れた、皮膚弾力の改善、保湿、皮膚老化防止成分の開発が切実に求められている。
【0011】
一方、疲労は現代の社会で最も有り触れた疾患の1つであって、身体的な能力が低下した状態である(Uthayathas et al.、2007)。疲労は過度なストレス(Uthayathas et al.、2007)または免疫機能及び抗酸化体系の異常によって生じ得る(Cleare、2003)。疲労関連指標としては、血中尿素窒素(Blood Urea Nitrogen;BUN)、アラニンアミノ基転移酵素(Alanine Aminotransaminase;ALT)、乳酸脱水素酵素(Lactate Dehydrogenase;LDH)、グルコース(glucose)のような血液バイオマーカーがある(Klimas et al.、2012)。LDHとクレアチンキナーゼ(Creatine Kinase;CK)値は、一般に筋肉損傷に係わるマーカーとして知られている(Coombes and McNaughton、2000)。リンゴ酸脱水素酵素(Malate Dehydrogenase;MDH)も疲労の酸化的新陳代謝に係わっている(Callister et al.、2004)。また、酸化的ストレス経路と多様な炎症経路における免疫的な異常兆候の発生によって疲労が誘発される(Liu et al.、2000)。過度な運動の後、発生する活性酸素は、疲労をさらに加重させる(Powers et al.、1999)。このような活性酸素を減らすため、スーパーオキシドディスムターゼ(superoxide dismutase;SOD)とカタラーゼ(catalase)が生成される(Liu et al.、2000)。慢性疲労患者では一酸化窒素(Nitric oxide;NO)が増加し(Suarez et al.、2010)、炎症性サイトカインも疲労症状と関係がある(Liburt et al.、2010)。
【0012】
現在、疲労を治療するため、多くの研究が行われているが、未だ好適な方案は見つかっていない。
【0013】
疲労の原因は、体内に貯蔵されているエネルギー源の欠乏または利用不能、代謝作用による体内の炎症反応、抗酸化体系の異常、疲労物質の蓄積、体内の恒常性失調などに分けられるが、殆どが多くの要因の相乗作用によることが知られている。このような疲労を回復するためには、十分なエネルギー源の供給と休息、体内疲労物質の生成抑制及び除去などが求められるが、多忙な現代社会では十分に栄養を摂取し、休息をとることは容易ではなく、疲労回復のための機能性素材の開発が必要となっている。
【0014】
一方、女性の閉経(menopause)とは、遺伝的に決められた、生まれてから約50年という卵巣の寿命が尽きることで現れる月経の中断現象であって、生殖能力の消失を意味し、病的な現象ではなく生理的な変化である。現在、韓国女性の平均寿命は81.2歳(2011年、統計庁)であり、韓国産婦人科学会で規定した韓国女性の平均閉経年齢を50歳と仮定すれば、女性は一生の約1/3以上を女性ホルモンが枯渇した状態で生きていくことを意味する(薬学情報院、キム・ソンチョル)。
【0015】
女性が閉経になれば、女性ホルモンの分泌不均衡及び減少によって、血管系、筋骨格系、泌尿生殖器系及び脳神経など身体全般にわたって変化が起きる。すなわち、血管運動性症状と心理的症状である顔面紅潮、夜間発汗、睡眠障害、疲労感、鬱病、不安感、集中力障害、記憶障害、泌尿生殖系の萎縮による性交痛、頻尿、膠原質減少による皮膚弾力の消失、胸の垂れ、心血管及び筋骨格系症状、痴ほうなどの多様な疾患などが伴われる。更年期症状には個人差があるが、多くの症状を経験するほど、程度が酷いほど、そして期間が長くなるほど女性の生活の質が低下することが報告されているだけでなく、更年期症状は身体的な老化と共に慢性疾患に進行する可能性が高い。
【0016】
更年期症状の治療にはホルモン療法、薬物療法、運動療法、食事療法を適用できるが、医学的に広く用いられる女性ホルモン治療法は乳房癌などの発病危険を高め、長期間使用すれば、子宮癌、血栓血管疾患、胆嚢疾患、高血圧の発病を増加させる恐れがある。
そこで、人体に安全でありながらも、優れた治療効果が得られる治療法に対する研究が持続的に行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】チェ・ヒョンチョル、大韓皮膚科学会誌、1997;35:292-302
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上記問題点を解決して、副作用が少なく、人体に安全でありながらも、皮膚弾力の改善、保湿または皮膚老化の防止効果に優れた新たな活性成分、すなわち、活性成分のこのような有用な用途を提供することである。
【0019】
また、副作用が少なく、人体に安全でありながらも、疲労改善、炎症改善または抗酸化効果に優れた新たな活性成分、すなわち、活性成分のこのような有用な用途を提供することを課題とする。
【0020】
また、更年期症状の改善効果が優れた新たな活性成分、すなわち、活性成分のこのような有用な用途を提供することを課題とする。
【0021】
換言すれば、本発明が解決しようとする課題は、前記効能が優れた活性成分を含む組成物、さらに前記効能が優れた活性成分を有効成分または指標成分として含む組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するため、本発明は、グリシル‐L‐ロイシン(Glycyl‐L‐Leucine)ペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシン(L‐Leucylglycine)ペプチド;若しくはその塩を有効成分として含む皮膚弾力改善用、皮膚保湿用または皮膚老化防止用組成物、望ましくは化粧料組成物、薬学的組成物、医薬外品組成物または食品組成物(望ましくは、機能性食品組成物)を提供する。
【0023】
すなわち、本発明は、グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩の化粧料組成物、薬学的組成物、医薬外品組成物または食品組成物としての用途、並びに皮膚弾力改善用、皮膚保湿用または皮膚老化防止用という新たな用途を提供する。
【0024】
本発明は、グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を皮膚に処理して皮膚弾力改善、皮膚保湿、または皮膚老化を防止する方法を提供する。
【0025】
前記グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチドは、有効成分または指標成分であり得る。
【0026】
本発明者らは、皮膚改善に効果のあるペプチドまたはそれを含む天然素材を開発しようと鋭意研究した結果、グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/またはL‐ロイシルグリシンを有効成分として含む組成物が皮膚弾力改善、皮膚保湿、皮膚老化防止に効果があることを確認し、本発明の完成に至った。
【0027】
本発明者らは、グリシル‐L‐ロイシン及び/またはL‐ロイシルグリシン;若しくはその塩を有効成分として含む組成物が、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)合成促進、プロコラーゲン合成促進、エラスターゼ阻害活性により皮膚改善効果を奏することを実験的に確認した。
【0028】
本発明において、「皮膚弾力改善」とは、皮膚の垂れ又は伸びの程度を緩和させることを意味する。また、前記弾力とは、エラスチンとコラーゲンが十分存在する状態で、皮膚の弾力性を維持させることを意味する。
【0029】
本発明において、「皮膚保湿」とは、皮膚の水分感を増加させ、しっとりした状態を維持させることを意味する。皮膚保湿効果は皮膚しわの改善及び弾力増加にも役立つ。
【0030】
本発明において、「皮膚老化防止」とは、皮膚しわの発生、弾力低下などを予防し緩和させることを意味する。一例として、エラスターゼの活性を阻害させることで、皮膚老化を抑制することができる。
【0031】
本発明の他の実施態様において、本発明は、グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を有効成分として含む疲労改善、炎症改善または抗酸化用組成物、望ましくは健康機能食品組成物、化粧料組成物、薬学的組成物、または医薬外品組成物を提供する。
【0032】
すなわち、本発明は、グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩の健康機能食品組成物、化粧料組成物、薬学的組成物、または医薬外品組成物としての用途、並びに疲労改善、炎症改善または抗酸化用という新たな用途を提供する。
【0033】
本発明は、グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を処理して疲労改善、炎症改善または酸化防止方法を提供する。
【0034】
前記グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチドは、有効成分または指標成分であり得る。
【0035】
本発明者らは、グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩が、運動で疲労を誘発したマウスモデルで、筋肉内の乳酸及びクレアチンキナーゼ(CK)の蓄積を防止することを実験的に確認して疲労改善に効果があることを見つけ、本発明の完成に至った。また、前記グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩が脾臓細胞内の腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)、インターロイキン‐6(IL‐6)の分泌を減少させることを実験的に確認して炎症改善効果を確認し、血液内のスーパーオキシドディスムターゼの水準を高めることを実験的に確認して抗酸化効果を奏することを確認した。
【0036】
本明細書で用いられる用語「疲労改善」とは、累積した疲労を解消するか又は疲労症状を除去することを意味し、前記疲労とは、身体的または精神的な活動で細胞、筋肉、器官の力や敏感度が一時的に減退した状態を意味する。疲労を回復できなかった状態で精神及び肉体活動を続ければ、疲労が重なって過労や慢性疲労の状態になり、運動障害はもちろん健康障害にまでつながることがあり得る。このように過度な身体活動によって疲労が発生するが、疲労の生理学的機序は、限定されないが、ブドウ糖、グリコーゲンなどのエネルギー源が身体活動によって消耗されるためであり、運動によって消耗されるエネルギー源は、運動の強度が高いほど筋グリコーゲンが素早く消耗され、低い強度では相対的に少ないが、低い強度の運動でも時間が経過するほど消耗が増加して疲労の原因になる。また他の疲労の原因は、乳酸・二酸化炭素などの代謝の中間産物が体内に蓄積されることである。人体のエネルギー源として使用される炭水化物は、体内でグルコースに分解され、残った分はグリコーゲンの形態で肝や筋肉に貯蔵されてから必要によってエネルギー源として使用される。運動中グリコーゲンが分解されるとき、酸素が十分供給されれば、完全分解されて多量のエネルギーを生成し、運動を持続させるが、酸素の供給が不十分であれば、乳酸が生成されて蓄積される。乳酸が蓄積されれば、化学反応がうまく行われず、疲労の原因になる。本発明では、運動で疲労を誘発したマウスモデルで、筋肉内の乳酸及びクレアチンキナーゼ(CK)の蓄積防止を実験的に確認して、前記ペプチドの疲労改善効果を確認した。
【0037】
本明細書で用いられる用語「炎症改善」とは、炎症を抑制することだけでなく、発生した炎症を除去及び/または緩和することを意味する。ここで、炎症とは、ある刺激に対する生体組織の防御反応の1つであって、組織変質、循環障害と滲出、組織増殖の3種を併発する複雑な病変のことを言う。より具体的に、炎症は先天性免疫の一部であり、他の動物と同様に、人間の先天性免疫は病原体に特異的に存在する細胞表面のパターンを認識する。食細胞はそのような表面を持つ細胞を非自己と認識し、病原体を攻撃する。もし病源菌が身体の物理的障壁を破って侵入すれば、炎症反応が起きる。炎症反応は身体が多くの要因によって損傷されたとき、その損傷部位を回復、再生しようとする免疫学的防御機序であるが、過度であるか又は持続的に発生すれば、急性または慢性炎症疾患が誘発される。これは循環障害、多発性硬化症、パーキンソン病など疾患の病因にもなり得る。炎症は、ホルモン分泌、サイトカイン、C‐反応性タンパク質(C‐reactive protein、CRP)など体内多くの機序により発生し、係わる物質も非常に多い。そのうち、免疫細胞で分泌する多様なサイトカインは、免疫系を調節して、一部は炎症を誘発させることもある。したがって、細胞内サイトカインの発現量が炎症反応活性化の指標になる。本発明では、運動で疲労を誘発したマウスモデルで、脾臓細胞内の腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)、インターロイキン‐6(IL‐6)の分泌を減少させることを実験的に確認して、前記ペプチドの炎症改善効果を確認した。
【0038】
本明細書で用いられる用語「抗酸化」とは、酸化ストレスを抑制することを意味する。人間の生体では酸化ストレスを誘発する物質が発生することがある。体内エネルギー源として用いられた酸素が不完全に還元される場合、活性酸素が細胞質内に遊離される。このような活性酸素は周辺細胞を損傷させ、炎症進行による組織損傷をさらに誘発させ得る。このような活性酸素は正常な状況でも発生されるが、もし体内に抗酸化防御機序がなければ、人間の生命は維持できなくなる。したがって、人体には正常な酸化ストレスに対抗するための多様な形態の抗酸化防御体系が構築されている。しかし、正常水準を超える酸化ストレスが生じれば、身体は深刻な損傷を受けるため、酸化ストレスに対する対策が必要となる。抗酸化剤は天然又は合成物質であって、酸化ストレスを予防又は抑制する機能を果たす。これら物質の体内抗酸化力発揮効果を評価するため、体内抗酸化物質であるスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ(peroxidase)、グルタチオンペルオキシダーゼ(Glutathione Peroxidase;GPx)の含量を多くの方法で評価する。このような物質は主に活性酸素を除去する機能を果たす。本発明では、運動で疲労を誘発したマウスモデルで、血液内スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)水準を高めることを実験的に確認して、前記ペプチドの抗酸化効果を確認した。
【0039】
本発明のさらに他の実施態様において、本発明は、グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を有効成分として含む更年期症状の緩和、改善、または治療用組成物、望ましくは健康機能食品組成物、化粧料組成物、薬学的組成物、または医薬外品組成物を提供する。
【0040】
すなわち、本発明は、グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩の健康機能食品組成物、化粧料組成物、薬学的組成物、または医薬外品組成物としての用途、並びに更年期症状の緩和、改善または治療用という新たな用途を提供する。
【0041】
本発明は、グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を処理して更年期症状を緩和、改善または治療する方法を提供する。
【0042】
前記グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチドは、有効成分または指標成分であり得る。
【0043】
本発明において「更年期症状」とは、卵巣の老化などによるエストロゲン分泌の減少によって、閉経前後の女性に現れる症状及び疾患を総称する。「更年期症候群」または「閉経期症状」とも呼ばれる。更年期または閉経期症状には、例えば、顔面紅潮、発汗、神経質、鬱病、めまい症、疲労感、関節痛、筋肉痛、頭痛、胸騒ぎ、蟻走感、睡眠中発汗、睡眠障害、皮膚乾燥、膣乾燥症、膣萎縮、下部尿道萎縮、性交痛、膣炎、膀胱炎、排尿痛、急尿、集中障害、記憶力障害、不安、神経過敏、記憶力減退または骨粗鬆症などがあるが、これらに限定されない。また、心臓病、高血圧、脳卒中のような心血管系異常もある。
【0044】
本発明において「予防」とは、本発明の組成物を投与して目的とする症状を抑制するかまたは遅らせるすべての行為を意味する。
【0045】
本発明において「治療」とは、本発明の組成物を投与して目的とする症状または疾病を好転させるか又は治すすべての行為を意味する。
【0046】
本発明において「改善」とは、本発明の組成物を投与して目的とする症状を投与前より好転させるか又は好ましく変更させるすべての行為を意味する。
【0047】
本発明は、上記の問題点を解決し、本発明の目的を達成するために、下記化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩を含む組成物を提供する。
【0048】
下記化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物は、有効成分または指標成分であり得る。
【0049】
【0050】
前記化学式1で表される化合物は、分子式C8H16N2O3、分子量188.22を有し、グリシル‐L‐ロイシンと称される。グリシンとL‐ロイシンとの2種のアミノ酸から構成されたジペプチドであって、Gly‐LeuまたはGLと略称される。
【0051】
本発明は、前記グリシル‐L‐ロイシンの収得方法によって特に限定されず、天然物から由来するか、本発明が属する分野で公知の方法で化学的に合成するか、または、市販の物質を使用することができる。望ましくは、豚、牛、羊、馬などの哺乳類の胎盤から抽出した物質を使用でき、より望ましくは、豚の胎盤から抽出した物質を使用することができる。
【0052】
【0053】
前記化学式2で表される化合物は、分子式C8H16N2O3、分子量188.22を有し、L‐ロイシルグリシンと称される。L‐ロイシンとグリシンとの2種のアミノ酸から構成されたジペプチドであって、Leu‐GlyまたはLGと略称される。
【0054】
本発明は、前記L‐ロイシルグリシンの収得方法によって特に限定されず、天然物から由来するか、本発明が属する分野で公知の方法で化学的に合成するか、または、市販の物質を使用することができる。望ましくは、豚、牛、羊、馬などの哺乳類の胎盤から抽出した物質を使用でき、より望ましくは、豚の胎盤から抽出した物質を使用することができる。
【0055】
本発明による化粧料組成物、薬学的組成物、医薬外品組成物または食品組成物において、前記化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩の含量は、化粧料組成物、薬学的組成物、医薬外品組成物または食品組成物の総重量対比0.00000001~100重量%、すなわち前記化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物をそのまま摂取、適用することもできる。
【0056】
望ましくは、本発明において、前記有効成分が前記化学式1で表される化合物と化学式2で表される化合物との混合物である場合、それぞれの成分は1:0.05~20、望ましくは1:0.1~10の重量比で混合することができる。本発明者らは、それぞれの成分の効果とともに、上記の範囲に含まれる1:1の重量比で有効成分を混合して相乗した効果を実験的に確認した。
【0057】
本発明において、有効成分として使用される前記化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物は、塩の形態で使用することができる。このとき、本発明による組成物が食品である場合は、健康上問題がなく、本発明が目的とする効果を発揮する塩の形態で使用でき、化粧料組成物である場合は、化粧学的に許容可能な塩の形態で使用でき、薬学的、医薬外品組成物である場合は、薬学的に許容可能な塩の形態で使用することができる。前記化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物の塩は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物に酸(例えば、毒性がないか又は少ない有機酸または無機酸)または塩基などを付加して製造した塩である。
【0058】
前記塩は、これらに限定されることはないが、例えば、ナトリウム塩、サリチル酸塩、安息香酸塩、カルシウム塩、クエン酸塩、亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、アルミニウム塩、塩酸塩、過マンガン酸塩、カリウム塩、酢酸塩、臭素酸塩、窒酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、チオシアン酸塩、第一鉄塩、チオ硫酸塩、第二鉄塩、第二銅塩、乳酸塩、マグネシウム塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化物、亜鉛塩、沃素塩、コハク酸塩などが挙げられる。
【0059】
本発明の化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩は、水和物、エタノール和物などの形態を含む溶媒和された形態だけでなく、非溶媒和された形態で存在することもできる。本発明の化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩は、結晶形または無定形の形態で存在でき、このようなすべての物理的形態が本発明の範囲に含まれる。
【0060】
本発明は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩を有効成分として含む皮膚弾力改善用、皮膚保湿用または皮膚老化防止用食品組成物を提供する。
【0061】
本発明は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩を有効成分として含む疲労改善、炎症改善または抗酸化用食品組成物を提供する。
【0062】
本発明は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩を有効成分として含む更年期症状改善、予防または治療用食品組成物を提供する。望ましくは、前記食品組成物は、機能性食品であり得る。
【0063】
本明細書で用いられる用語「機能性食品」とは、前記化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物を飲料、茶類、香辛料、ガム、菓子類などの食品素材に添加するか、または、カプセル化、粉末化、懸濁液などで製造した食品であって、これを摂取する場合、健康上特定の効果をもたらすものを意味するが、一般薬品と違って食品を原料にするため、薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという長所がある。このようにして得られる本発明の機能性食品は、日常的に摂取することができるため、皮膚弾力の改善、皮膚保湿または皮膚老化の防止、疲労改善、炎症改善、抗酸化及び/または更年期症状の緩和、予防または治療に優れた効果を期待することができ、非常に有用である。
【0064】
前記化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩を食品添加物として使用する場合、前記化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩をそのまま添加するか、他の食品または食品成分とともに使用することができ、通常の方法によって適切に使用することができる。有効成分の混合量は、その使用目的(予防、健康または治療的処置)に応じて好適に決定することができる。一般に、食品または飲料の製造時には、本発明の組成物が原料に対して15重量部以下、望ましくは10重量部以下の量で添加される。しかし、健康及び衛生を目的とするかまたは健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記量が上記の範囲以下であり得、安全性の面で何ら問題もないため、上記の範囲以上の量で有効成分を使用することもできる。前記食品の種類に特に制限はない。前記物質を添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンデー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などが挙げられ、通常の意味での食品をすべて含む。
【0065】
食品が飲料である場合は、100mlを基準に1~30g、望ましくは3~20gの比率で含むことができる。また、前記組成物は、食品組成物に通常用いられて匂い、味、視覚などを向上可能な追加成分を含むことができる。例えば、ビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)などを含むことができる。また、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)などのミネラルを含むことができる。また、リシン、トリプトファン、システイン、バリンなどのアミノ酸を含むことができる。また、防腐剤(ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど)、殺菌剤(漂白粉と高度漂白粉、次亜塩素酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)など)、着色剤(タール色素など)、発色剤(亜窒酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムなど)、漂白剤(亜硫酸ナトリウム)、調味料(MSG(グルタミン酸ナトリウム)など)、甘味料(ズルチン、チクロ(cyclamate)、サッカリン、ナトリウムなど)、香料(バニリン、ラクトン類など)、膨張剤(ミョウバン、D‐酒石酸水素カリウムなど)、強化剤、乳化剤、増粘剤(糊料)、被膜剤、ガム基礎剤、泡抑制剤、溶剤、改良剤などの食品添加物(food additives)を添加することができる。前記添加物は食品の種類に応じて選別されて適切な量で使用される。このような添加物の比率は大して重要ではないが、本発明の組成物100重量部当り0.01~0.8重量部の範囲で選択されることが一般的である。
【0066】
本発明の食品は、当業界で通常使用される方法によって製造可能であり、製造時には当業界で通常添加する原料及び成分を添加して製造することができる。また、一般医薬品と違って食品を原料にするため、医薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという長所があり、携帯性に優れる。
【0067】
他の様態として、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその化粧学的に許容可能な塩を有効成分として含む皮膚弾力改善用、皮膚保湿用または皮膚老化防止用化粧料組成物を提供する。
【0068】
他の様態として、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩を有効成分として含む疲労改善、炎症改善または抗酸化用化粧料組成物を提供する。
【0069】
他の様態として、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩を有効成分として含む更年期症状改善、予防または治療用化粧料組成物を提供する。
【0070】
前記組成物を化粧料組成物の有効成分として含む化粧品は、一般的な乳化剤形及び可溶化剤形の形態で製造することができる。例えば、柔軟化粧水または栄養化粧水などのような化粧水、フェイシャルローション、ボディーローションなどのような乳液、栄養クリーム、水分クリーム、アイクリームなどのようなクリーム、エッセンス、化粧軟膏、スプレー、ゲル、パック、サンスクリーン、メーキャップベース、液体タイプ、固体タイプまたはスプレータイプなどのファンデーション、パウダー、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングオイルのようなメーキャップ除去剤、クレンジングフォーム、せっけん、ボディーウォッシュなどのような洗浄剤などの剤形が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
前記組成物を化粧品として製品化するとき、有効成分が短時間皮膚に留まるメーキャップ除去剤、洗浄剤などのようなウォッシュオフ(wash-off)タイプの化粧品の場合は、比較的高濃度の本発明の組成物を含むこともできる。一方、有効成分が長時間皮膚に留まる化粧水、乳液、クリーム、エッセンスなどのリーブオン(leave-on)タイプの化粧品の場合は、ウォッシュオフタイプの化粧品に比べて低濃度の本発明の組成物を含んでも良い。
【0072】
また、前記化粧品は、本発明の組成物に脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤及びゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤(foaming agent)、芳香剤、界面活性剤、水、イオン性または非イオン性乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤及びキレート化剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、必須オイル、染料、顔料、親水性または親油性活性剤、脂質小胞または化粧品に通常使用される任意の他の成分のような化粧品学分野で通常使用される補助剤をさらに含むことができる。
【0073】
また、本発明の化粧料組成物は、一般皮膚化粧料に配合される化粧学的に許容可能な担体を1種以上さらに含むことができる。
【0074】
本発明の化粧料組成物に含まれる化粧学的に許容可能な担体は、剤形によって多様である。本発明の剤形が軟膏、ペースト、クリームまたはゲルである場合は、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、澱粉、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛またはこれらの混合物を使用することができる。
【0075】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ポリアミドパウダーまたはこれらの混合物を使用でき、特にスプレーである場合は、ハイドロクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進剤をさらに含むことができる。
【0076】
本発明の剤形が溶液または乳濁液である場合は、担体成分として溶媒、溶解化剤、または乳濁化剤が使用され、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3‐ブチルグリコールオイルがあり、特に、綿実油、ピーナッツオイル、トウモロコシ胚種オイル、オリーブオイル、ひまし油及びごま油、グリセリン脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0077】
本発明の剤形が懸濁液である場合は、担体成分として水、エタノールまたはプロピレングリコールのような液相の希釈剤、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天またはトラガカントなどを使用することができる。
【0078】
本発明の剤形がせっけんである場合は、担体成分として脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸ヘミエステル塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオン酸塩、ラノリン誘導体、脂肪族アルコール、植物性油、グリセロール、糖などを使用することができる。
【0079】
他の様態として、本発明は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む皮膚弾力改善用、皮膚保湿用または皮膚老化防止用薬学的組成物を提供する。
【0080】
他の様態として、本発明は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩を有効成分として含む疲労改善、炎症改善または抗酸化用薬学的組成物を提供する。
【0081】
他の様態として、本発明は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその塩を有効成分として含む更年期症状改善、予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0082】
前記組成物は、溶液、ゲル、エマルション、懸濁液、マイクロエマルション、マイクロカプセル、リポソーム、クリーム、ローション、軟膏、エーロゾル、スプレー、ペースト及びパッチを含む群より選択されるいずれか1つの剤形を有し得る。
【0083】
本発明の薬学的組成物は、単一製剤でも使用でき、抗炎または抗酸化効果を有すると公認された薬物をさらに含んで複合製剤で製造して使用でき、薬学的に許容される担体または賦形剤を使用して製剤化することで、単位用量形態で製造されるか多用量容器内に入れて製造することができる。
【0084】
本明細書で用いられる用語「薬学的に許容可能な担体」とは、生物体を刺激せず、注入される化合物の生物学的活性及び特性を阻害しない担体または希釈剤を意味する。本発明で使用可能な前記担体の種類は、特に制限されず、当該技術分野で通常使われて薬学的に許容される担体であればいずれも使用することができる。前記担体の非制限的な例としては、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノールなどが挙げられる。これらは単独で使用するか、または、2種以上を混合して使用することができる。前記担体は非自然的担体(non-naturally occuring carrier)を含むことができる。
【0085】
また、必要に応じて、抗酸化剤、緩衝液及び/または静菌剤など他の通常の添加剤を添加して使用でき、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、潤滑剤などをさらに添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤などで製剤化して使用することができる。
【0086】
また、本発明の薬学的組成物は、薬学的に有効な量の化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその薬学的に許容可能な塩を含むことができる。本明細書で用いられる用語「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な治療効果/危険の比率で皮膚弾力の改善、皮膚保湿または皮膚老化防止の効果を誘導するに十分な量;または疲労改善、炎症改善または抗酸化効果を誘導するに十分な量;または更年期症状を緩和、改善または治療するに十分な量を意味し、一般に0.001~1000mg/kgの量、望ましくは0.005~200mg/kg、より望ましくは0.01~100mg/kgの量を一日1回~数回に分けて投与することができる。しかし、本発明の目的上、特定患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合に応じて、他の製剤の使用如何を含む具体的組成物、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食事、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、具体的組成物とともに使用されるか又は同時に使用される薬物などの多様な因子と医薬分野に周知された類似因子によって変化させて適用することが望ましい。
【0087】
他の様態として、本発明は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む皮膚弾力改善用、皮膚保湿用または皮膚老化防止用医薬外品組成物を提供する。
【0088】
他の様態として、本発明は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む疲労改善、炎症改善または抗酸化用医薬外品組成物を提供する。
【0089】
他の様態として、本発明は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む更年期症状緩和、改善または治療用医薬外品組成物を提供する。
【0090】
本明細書で用いられる用語「医薬外品」とは、人や動物の疾病を治療、軽減、処置または予防することを目的として使用される繊維、ゴム製品またはそれと類似なもの、人体への作用が弱いか又は直接作用せず、器具または機械でないもの及びそれと類似なもの、感染型予防のために殺菌、殺虫及びそれと類似な用途で使われる製剤のうち1つに該当する物品であって、人や動物の疾病を診断、治療、軽減、処置または予防することを目的として使用する物品のうち器具、機械または装置でないもの、及び人や動物の構造と機能に薬理学的影響を与えることを目的として使用される物品のうち器具、機械または装置でないものを除いた物品を意味する。また、前記医薬外品は、皮膚外用剤及び個人衛生用品を含むことができる。望ましくは、消毒清潔剤、シャワーフォーム、ガーグル剤、ウェットティッシュ、洗剤、せっけん、ハンドウォッシュ、または軟膏剤であり得るが、これらに制限されない。
【0091】
本発明による前記組成物を医薬外品添加物として使用する場合、前記組成物をそのまま添加するか、又は、他の医薬外品や医薬外品成分とともに使用でき、通常の方法によって適切に使用することができる。有効成分の混合量は使用目的に合わせて好適に決定することができる。
【0092】
また、本発明は、グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を指標成分として含む皮膚弾力改善、皮膚保湿、皮膚老化防止用組成物、望ましくは化粧料組成物、薬学的組成物、医薬外品組成物または食品組成物を提供する。
【0093】
他の様態として、本発明は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその薬学的に許容可能な塩を指標成分として含む疲労改善、炎症改善または抗酸化用医薬外品組成物を提供する。
【0094】
他の様態として、本発明は、化学式1で表される化合物及び/又は化学式2で表される化合物;若しくはその薬学的に許容可能な塩を指標成分として含む更年期症状緩和、改善または治療用医薬外品組成物を提供する。
【発明の効果】
【0095】
本発明によるグリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を有効成分として含む組成物は、皮膚弾力の改善、皮膚保湿、皮膚老化の防止に優れた効果を奏する。
【0096】
本発明によるグリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を含む組成物は、疲労改善、炎症改善または抗酸化に優れた効果を奏する。
【0097】
本発明によるグリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を含む組成物は、更年期症状の緩和に優れた効果を奏する。
【0098】
本発明によるグリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を含む組成物は、皮膚に安全でありながらも、皮膚状態の改善効果に優れた化粧品原料、薬学成分、医薬外品原料または食品原料として使用することができる。
【0099】
本発明によるグリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を含む組成物は、安全でありながらも、疲労改善、炎症改善または抗酸化効果に優れた化粧品原料、薬学成分、健康機能食品原料または飼料原料として使用することができる。
【0100】
本発明によるグリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチド;若しくはその塩を含む組成物は、安全でありながらも、更年期症状の緩和効果に優れた化粧品原料、薬学成分、健康機能食品原料または飼料原料として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【
図1】グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチドのヒアルロン酸合成促進効果を示したグラフである。
【
図2】グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチドのプロコラーゲン合成促進効果を示したグラフである。
【
図3】グリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/又はL‐ロイシルグリシンペプチドのエラスターゼ阻害活性を示したグラフである。
【
図4】本発明の実施例及び比較例による、過度なプロスタグランジンE2(PGE2)分泌の抑制による炎症改善及び疲労改善効果を示したグラフである。
【
図5】本発明の実施例及び比較例による、DPPH遊離基消去活性による抗酸化効果を示したグラフである。
【
図6】本発明の実施例及び比較例による、筋肉内乳酸の蓄積防止による疲労改善効果を示したグラフである。
【
図7】本発明の実施例及び比較例による、筋肉内クレアチンキナーゼ(CK)の蓄積防止による疲労改善効果を示したグラフである。
【
図8】本発明の実施例及び比較例による、血液内腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)の減少による炎症改善効果を示したグラフである。
【
図9】本発明の実施例及び比較例による、血液内インターロイキン‐6(IL‐6)の減少による炎症改善効果を示したグラフである。
【
図10】本発明の実施例及び比較例による、血液内スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の増加による抗酸化効果を示したグラフである。
【
図11】本発明の実施例及び比較例を処理して、エストロゲン受容体活性の増加如何を確認した実験結果である。グリシル‐L‐ロイシンペプチドとL‐ロイシルグリシンペプチドを共に処理したとき、エストロゲン受容体活性が大幅に増加したことを確認できた。このような結果から、本発明のグリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/またはL‐ロイシルグリシンペプチドが更年期疾患治療、改善、及び/または予防に効果的に利用できることが確認できた。
【
図12】本発明の実施例及び比較例を処理して、破骨細胞分化の抑制効果を確認した結果である。このような結果から、本発明のグリシル‐L‐ロイシンペプチド及び/またはL‐ロイシルグリシンペプチドが破骨細胞の分化を抑制し、閉経期後の骨粗鬆症の治療、改善、及び/または予防に効果的に利用できることが確認できた。
【発明を実施するための形態】
【0102】
以下、本発明の理解を助けるため、実施例などを挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は多くの他の形態に変形でき、本発明の範囲が下記実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供される。
【0103】
参照例1:グリシル‐L‐ロイシンペプチドの物質情報
【化3】
物質名:Glycyl‐L‐Leucine
CAS No.:869-19-2
分子式:C
8H
16N
2O
3
分子量:188.22
購入先:Bachem AG(Bubendorf、スイス)
【0104】
参照例2:L‐ロイシルグリシンペプチドの物質情報
【化4】
物質名:L‐Leucylglycine
CAS No.:686-50-0
分子式:C
8H
16N
2O
3
分子量:188.22
購入先:Bachem AG(Bubendorf、スイス)
【0105】
実験例1:ヒアルロン酸合成の促進効果
皮膚老化の進行とともに、皮膚の構造を支持する支柱の役割をする繊維組織からなるコラーゲンとエラスチンが硬化し、不溶性になる。細胞の間、及びコラーゲン、エラスチンなどの繊維質の間を満たしている物質を基質とする。基質は水分を保有する能力が非常に高いが、このような基質のうち代表的なものがヒアルロン酸とムコ多糖類(mucopolysaccharides)などである。ヒアルロン酸は、関節液と皮膚など細胞内組織に広く分布している多糖類である。N‐アセチルグルコサミンとグルクロン酸とが結合したヒアルロナンのポリマーであって、保湿性と粘性を持っている。老化の進行によってこのような物質が減少すれば、皮膚乾燥症が誘発され、皮膚の弾力が低下するようになる(キム・ユンボム、東医生理病理学会誌、2010;24(4):533~542)。
【0106】
本発明者らは、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドのヒアルロン酸合成効果を確認するため、正常ヒト表皮角化細胞(Normal human epidermal keratinocyte)を培養した後、試料を処理した。24時間後、培養された細胞の培地を収去した後、培養液から生成されたヒアルロン酸を、Hyaluronan DuoSet ELISA Kit(DY3614)を使用して測定し、タンパク質量で補正した。陽性対照群としてはレチノイン酸を使用した。何も処理していない対照群を100%にして、試験結果を
図1に示した。
【0107】
その結果、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドは、低濃度でもヒアルロン酸の生成を増加させることが確認でき、これは皮膚保湿に役立って皮膚の状態を改善できることを意味する。また、グリシル‐L‐ロイシンとL‐ロイシルグリシンとを共に処理したとき、単独で処理したときより、ヒアルロン酸の生成が増加することが確認できた。
【0108】
実験例2:プロコラーゲン(Procollagen)合成の促進効果
プロコラーゲンはコラーゲンの構成成分であって、線維芽細胞、骨芽細胞などで合成されて最終的にプロコラーゲンペプターゼによってコラーゲンに転換される。プロコラーゲンの増加は皮膚の結合力、弾力性と連関がある。
【0109】
グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドのプロコラーゲン合成促進効果を確認するため、ヒト皮膚線維芽細胞-新生児(Normal human primary dermal fibroblast-Neonatal)を培養した後、試料を処理した。24時間後、培養された細胞の培地を収去した後、Procollagen type I-C peptide(PIP)kitを使用してプロコラーゲン量を測定した。底に付着している細胞をDPBSで洗浄した後、1N NaOHに溶解してBCA Protein Assay Kitを使用して総タンパク質量を測定し、タンパク質当りプロコラーゲン合成量を求めた。陽性対照群としてはTGF-βを使用した。何も処理していない対照群を100%にして、試験結果を
図2に示した。
【0110】
その結果、グリシル‐L‐ロイシン及びL‐ロイシルグリシンペプチドはプロコラーゲン合成を増加させ、それによって皮膚弾力に役立つことが確認できた。また、グリシル‐L‐ロイシンとL‐ロイシルグリシンとを共に処理したとき、単独で処理したときより、プロコラーゲンの合成が増加することが確認できた。
【0111】
実験例3:エラスターゼ(Elastase)阻害活性
皮膚の真皮組織内では、コラーゲンとエラスチンとが網状構造を形成しながら皮膚の弾力を維持させるが、年齢、紫外線のような内外的ストレスによって弾力、潤沢が減少し、過多発現したエラスターゼによってエラスチンの網状構造が崩れることで、皮膚が垂れてしわができ、皮膚老化が進行するようになる。したがって、皮膚老化の主な原因の1つであって、エラスチンの分解酵素であるエラスターゼの活性を阻害させることで、皮膚老化を抑制することができる(イ・ジェウォン、韓国食品栄養学会誌、2008、21(2);143~147)。
【0112】
96ウェルに、試料と50mMトリス塩酸バッファー(pH 8.0)に溶解した1U/mlブタ膵臓由来エラスターゼ(Sigma、E1250)を添加した後、常温で30分反応させた。基質としてN‐スクシニル‐(L‐Ala)3‐p‐ニトロアニリドを添加した後、基質から生成されるp‐ニトロアニリドの生成量を410nmで測定した。何も処理していない対照群を基準にして、試験結果を
図3に示した。
【0113】
その結果、グリシル‐L‐ロイシンペプチド、L‐ロイシルグリシンペプチド及びグリシル‐L‐ロイシンペプチドとL‐ロイシルグリシンペプチドとの混合物(1:1)は、エラスターゼ活性を阻害させることが確認でき、皮膚老化の主な原因であるエラスターゼの活性を阻害させることで、皮膚老化を抑制できることが確認できた。
【0114】
実験例4:試験管実験
本発明者らは、グリシル‐L‐ロイシン及び/又はL‐ロイシルグリシンを含む組成物による疲労改善、炎症改善または抗酸化効果、女性更年期症状の改善効果の評価に先立って試験管実験を行った。グリシル‐L‐ロイシンまたはL‐ロイシルグリシンは、Bachem AG(Bubendorf、スイス)から提供された。下記表1に示したように、複合組成物を製造して実験に使用した。
【0115】
【0116】
実験例5:過度なプロスタグランジンE2(PGE2)分泌の抑制による炎症改善及び疲労改善効果
サイトカインは、炎症反応の際、単球(monocyte)、リンパ球(lymphocyte)、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(natural killer cell)、線維芽細胞(fibroblast)などで主に分泌するタンパク質であって、神経伝達物質のように細胞膜の受容体に作用するか、又は、ホルモンのように細胞内受容体に作用して細胞間に情報を伝達する役割をする。インターロイキン‐1β、‐2、‐6(IL‐1β、‐2、‐6)、IFN‐γ、TNF‐αで代表される炎症誘発サイトカインは、シクロオキシゲナーゼ‐2(COX‐2)を活性化させてプロスタグランジンE2(以下、PGE2)を増加させ、炎症細胞を活性化して炎症過程を誘導する(ソン・フリムなど、大韓精神薬物学会誌2013;24:5~10)。本発明者らは、プロスタグランジンE2(PGE2)分泌の抑制による抗炎効果を評価した。
【0117】
まず、プロスタグランジンE2(PGE2)を測定するため、マウス大食細胞RAW264.7マウスマクロファージ様細胞株(KCLB no 40071、韓国細胞株バンク、ソウル、韓国)を購入し、2.5×106cells/mlの細胞濃度で96ウェルマイクロプレートに100μlずつ分注した。培地は10%FBS(GibcoBRL、Grand Island、NY、米国)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Thermo Scientific Hyclone、Waltham、MA、米国)を添加したDMEM(GibcoBRL、Grand Island、NY、米国)培地を使用し、5%CO2、37℃の環境で培養した。前記RAW264.7細胞を分注した細胞培養液にリポ多糖類(LPS、Sigma、St.Louis、MO、米国)1μg/mlを処理して炎症を誘導し、前記実験例1によって処理した。その後、細胞を24時間培養し、900rpm、4℃で5分間遠心分離した後、細胞培養液を回収して培養液中に生産されたプロスタグランジンE2(PGE2)の分泌量を確認した。プロスタグランジンE2(PGE2)は商業的に入手可能なPGE2 ELISAキット(MyBioSource Co.、Ltd.、San Diego、CA、米国)を使用し、メーカの指針に従って測定した。
【0118】
その結果、
図4に示したように、LPSで炎症が誘発された大食細胞では、炎症が誘発されていない細胞よりプロスタグランジンE2(PGE2)が非常に増加したが、試料が処理された細胞で再び減少した。グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドを1μg/ml処理(実施例1、実施例3)したときより、10μg/mlをそれぞれ処理(実施例2、実施例4)したとき、プロスタグランジンE2(PGE2)の濃度が減少した。特に、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチド(実施例1~4)を単独で処理した細胞に比べて、複合組成物(実施例5、実施例6)を処理した細胞でプロスタグランジンE2(PGE2)の分泌量が減少したことが確認できた。
【0119】
このような実験例2の結果は、グリシル‐L‐ロイシン及び/又はL‐ロイシルグリシンを含む組成物が炎症が誘発された大食細胞で炎症を誘発させるプロスタグランジンE2(PGE2)の分泌を抑制することで効果的な抗炎効果を奏し、さらには疲労改善機能を発揮し得ることを示唆する。
【0120】
実験例6:DPPH遊離基消去活性による抗酸化効果
DPPH(2,2‐diphenyl‐1‐picrylhydrazyl)は紫色の安定した遊離基であって、抗酸化剤と反応すれば、水素を受けて還元され脱色される物質である。このような原理を利用して試料のDPPH遊離基消去活性を比べることで、これらの抗酸化能力を評価することができる。遊離基消去活性(%)が高いほど試料の抗酸化能が高いと解釈することができる。
【0121】
DPPH(1,1‐diphenyl‐2‐picryl‐hydrazyl)遊離基消去活性は、まず、DPPH 4mgをメタノール100mlに溶解してDPPH溶液を製造し、実験例1の組成物をエタノールに濃度毎に希釈した。複合組成物が含まれたエタノール1mlとDPPH溶液1mlとを十分混ぜた後、37℃で30分間静置し、516nmで吸光度を測定した。対照群としてはエタノールを使用した。
【0122】
DPPH遊離基消去活性法による抗酸化力は、次のような式で求めた。
【0123】
【0124】
その結果、
図5に示したように、試料を処理したとき、DPPH遊離基消去活性が増加した。グリシル‐L‐ロイシンペプチド又はL‐ロイシルグリシンペプチドを1μg/ml処理(実施例1、実施例3)したときより、10μg/mlをそれぞれ処理(実施例2、実施例4)したとき、DPPH遊離基消去活性が増加した。特に、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチド(実施例1~4)の単独試料に比べて、複合組成物(実施例5、実施例6)試料でDPPH遊離基消去活性が増加したことが確認できた。
【0125】
このような実験例3の結果は、グリシル‐L‐ロイシン及び/又はL‐ロイシルグリシンを含む組成物が酸化ストレスを抑制することで、効果的な抗酸化機能性素材として利用できることを示唆する。
【0126】
実験例7:動物実験
本発明者らは、動物実験のため、雄ICRマウス(4週齢)を大韓バイオリンク(大田、韓国)から購入した。実験動物を温度22±1℃、湿度55±10%に維持される飼育室で1ケージ当り5~10匹ずつ飼育した。Bachem AG(Bubendorf、スイス)から提供されたグリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドを蒸留水に溶かして使用した。対照群は蒸留水のみを経口投与し、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチド摂取群は経口投与用ゾンデ(sonde)を使用して21日間1日1回ずつ経口投与した。グループ毎に投与した組成物の種類及び濃度は下記表2のようである。グループ毎に各グループのマウスを週1回30分ずつ3週間運動させて疲労を誘発させた。運動速度は10分間10m/分、10分間16m/分、最後に10分間21m/分で運動させた。21日目は、最初5分間10m/分、その後3分毎に3m/分ずつ速度を上げながら30分間運動させ、犠牲させた後、分析に用いた。
【0127】
【0128】
実験例8:筋肉内乳酸の蓄積防止による疲労改善効果
細胞に酸素が十分供給される状況では、TCA回路が円滑に働くため、血中乳酸濃度が0.56~2mmol/Lの範囲で維持され、その以上には蓄積されない。しかし、解糖作用とTCA回路との代謝的連携が当量比で行われず、解糖作用が相対的に活発な状況、または、細胞で要求する酸素量より酸素供給が不足な状況では、筋肉内に乳酸が生成される。また、高強度運動時に酸素供給量が筋肉の酸素消耗量に及ばないと、筋肉組織の乳酸濃度が増加し、このとき生成された乳酸が血液に拡散して心臓及び肝で処理されるため、運動によって乳酸が蓄積されれば、体内酸性化が引き起こされて疲労を誘発させる。運動中には糖質代謝に関与するホスホリラーゼ活性が減少し、結果的に無酸素状態で運動エネルギーの供給源になるグルコースの新生が抑制される。本発明者らは多様な疲労改善効果の評価の中でも、疲労状態を示す筋肉内乳酸とクレアチンキナーゼ(CK)の蓄積抑制を確認した。
【0129】
その結果、
図6に示したように、疲労が誘発されたマウスモデルにおいて、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドを経口投与した場合(実施例7~10)、対照群(比較例2)に比べて筋肉内に蓄積される乳酸の濃度が有意に減ることが分かった。特に、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドを1mg/kg/日摂取(実施例7、実施例9)したときより、10mg/kgをそれぞれ摂取(実施例8、実施例10)したとき、乳酸の濃度が減少したことが確認できた。
【0130】
すなわち、疲労が誘発された個体において、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドの摂取が筋肉内乳酸の蓄積を減少させて疲労改善効果を奏することを確認した。
【0131】
実験例9:筋肉内クレアチンキナーゼ(CK)の蓄積防止による疲労改善効果
クレアチンキナーゼ(CK)は筋肉に多量存在する酵素であって、筋肉細胞が損傷するとき、血液に放出されてエネルギー源を生成する。クレアチンキナーゼ(CK)は運動中の筋肉細胞で、無酸素時のATP再合成(ADPとホスホクレアチン(phosphocreatine)からATPを合成する過程)に必要なクレアチンフォスフェート(creatine phosphate)を合成する役割をする。
【0132】
筋肉内のクレアチンキナーゼ(CK)を測定するため、実験例4と同様に、マウスの疲労を誘発させ、組成物を投与したグループ毎のマウスの筋肉組織を採取して分析に用いた。クレアチンキナーゼ(CK)は分析キット(Abcam、Cambridge、英国)を使用し、メーカの指針に従って測定した。
【0133】
その結果、
図7に示したように、疲労が誘発されたマウスモデルにおいて、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドを経口投与(実施例7~10)した場合、対照群(比較例2)に比べて筋肉内に蓄積されるクレアチンキナーゼ(CK)の濃度が有意に減ることが分かった。特に、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチド1mg/kg/日を摂取(実施例7、実施例9)したときより、それぞれ10mg/kgを摂取(実施例8、実施例10)したとき、クレアチンキナーゼ(CK)が減少することが確認できた。
【0134】
すなわち、疲労が誘発された個体において、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドの摂取が筋肉内クレアチンキナーゼ(CK)の蓄積を減少させて疲労改善効果を奏することを確認した。
【0135】
実験例10:血液内サイトカインの減少による炎症改善効果
サイトカインとしてはインターロイキン(interleukin、IL)、インターフェロン(interferon、IFN)、ケモカイン(chemokine)、腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor、TNF)、形質転換成長因子(transforming growth factor、TGF)などが代表的であって、そのうち炎症誘発(pro-inflammatory)サイトカインにはインターロイキン‐1β、‐2、‐6(IL‐1β、‐2、‐6)、IFN‐γ、TNF‐αなどがあり、抗炎(anti-inflammatory)サイトカインにはIL‐4、IL‐10、IL‐11、IL‐13、TGF‐βなどがある。本発明者らは、炎症改善効果評価の中でも炎症を誘発するタンパク質である腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)とインターロイキン‐6(IL‐6)の分泌抑制を確認した。
【0136】
まず、血液内腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)とインターロイキン‐6(IL‐6)を測定するため、実験例4と同様に疲労を誘発させ、組成物を投与したグループ毎のマウスの血液を採取した。採取した血液を常温で30分間放置した後、6000rpmで20分間遠心分離して血清を分離した。分離した血清は0.45μmシリンジフィルターで濾過して分析に用いた。腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)とインターロイキン‐6(IL‐6)は商業的に入手可能なTNF‐αとIL-6 ELISAキット(Thermo Scientific Co.、Waltham、MA、米国)を使用し、メーカの指針に従って測定した。
【0137】
その結果、
図8に示したように、疲労が誘発されたマウスモデルにおいて、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドを経口投与(実施例7~10)した場合、対照群(比較例2)に比べて血液内腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)の濃度が有意に減ることが分かった。特に、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチド1mg/kg/日を摂取(実施例7、実施例9)したときより、それぞれ10mg/kg/日を摂取(実施例8、実施例10)したとき、腫瘍壊死因子‐α(TNF‐α)が減少した。
【0138】
また、
図9に示されたように、疲労が誘発されたマウスモデルにおいて、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドを経口投与した場合、対照群(比較例2)に比べて血液内インターロイキン‐6(IL‐6)の濃度が有意に減ることが分かった。特に、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチド1mg/kgを摂取(実施例7、実施例9)したときより、それぞれ10mg/kgを摂取(実施例8、実施例10)したとき、インターロイキン‐6(IL‐6)が減少した。
すなわち、疲労が誘発された個体において、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドの摂取が血液内炎症性サイトカイン濃度を減少させて炎症改善効果を奏することを確認した。
【0139】
実験例11:血液内スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の増加による抗酸化効果
スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)はスーパーオキシド(superoxide)を酸素と過酸化水素(H2O2)とに転換させる反応を触媒する抗酸化酵素であって、血液の中から自由ラジカルを除去させる役割をする。血中のSODの増加は筋肉内の疲労感を減少させる。本発明者らは、抗酸化効果を評価するため、体内抗酸化機能を担当するスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の増加を確認した。
【0140】
血液内スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の水準を測定するため、実験例4と同様に疲労を誘発させ、組成物を投与したグループ毎のマウスから得た血清を分析に用いた。スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)は分析キット(Abcam、Cambridge、英国)を使用して、メーカの指針に従って測定した。
【0141】
その結果、
図10に示されたように、疲労が誘発されたマウスモデルにおいて、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドを経口投与(実施例7~10)した場合、対照群(比較例2)に比べて血液内スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の濃度が有意に増加することが分かった。特に、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチド1mg/kgを摂取(実施例7、実施例8)したときより、それぞれ10mg/kgを摂取(実施例8、実施例10)したとき、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)が増加した。
【0142】
すなわち、疲労が誘発された個体において、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドの摂取が血液内スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)の濃度を増加させて抗酸化効果を奏することを確認した。
【0143】
実験例12:エストロゲン受容体の活性評価
「更年期症状」とは、卵巣の老化などによってエストロゲンの分泌が減少し、閉経を前後に女性に起きる多くの症状のことである。
【0144】
化学式1及び2のジペプチド2種のエストロゲン受容体に対する活性を確認するため、エストロゲン応答配列(ERE;Estrogen Response Element)レポーターアッセイを行った。293T細胞を10%FBSが添加されたDMEM培地を使用して24ウェルプレートで24時間培養した後、ウェル当り5%チャコール処理済みFBS(フェノールレッド不含)500μlで培地を交換して、トランスフェクションを行った。ウェル当りERa 0.1μg、ERE 0.1μg、pRL-Tk 10ngのDNAをLipofectamine(登録商標)試薬(Thermo Fisher Scientific)を使用してトランスフェクションした。トランスフェクション4時間後、実験例1の組成物を処理し、陽性対照群として17β‐エストラジオール(E2)を1ppb(DMSO 0.5μl)、陰性対照群(control、ctrl)として同量のDMSO(0.5μl)を処理した。試料処理の24時間後、Dual-Luciferase(登録商標)レポーターアッセイシステム(Promega)を使用して発光程度を測定し、陰性対照群の測定値を基準(1.0)にした。該当測定値はホタルルシフェラーゼ数値をウミシイタケルシフェラーゼ数値に補正した。
【0145】
その結果、
図11に示したように、試料を処理したとき、エストロゲン受容体の活性が増加した。グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドを1μg/ml処理(実施例1、実施例3)したときより、10μg/mlをそれぞれ処理(実施例2、実施例4)したとき、エストロゲン受容体の活性が増加した。特に、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチド(実施例1~4)の単独試料に比べて、複合組成物(実施例5、実施例6)試料でエストロゲン受容体の活性が増加したことが確認できた。
【0146】
実験例13:破骨細胞分化の抑制効果
更年期になれば、卵巣から骨の代謝に重要な役割をする女性ホルモンが分泌されなくなるため、骨交替に変化が起きて、破骨細胞が破壊した部位を造骨細胞が再生するものの、完全ではなく、骨損失が起きるようになる。30代以後徐々に骨損失が起きるが、男性の場合は骨密度が徐々に低下して最大骨量の20~30%程度の損失が起きる。一方、女性は、50代、すなわち、更年期以後の10年程度で骨密度が急激に低下し、その後は緩やかに低下するため、男性より速く且つ酷く骨粗鬆症が進行するようになる。
【0147】
試験管内で、大食前駆細胞から特定サイトカインであるNF-κB活性化受容体リガンド(RANKL、RANK ligand)によって破骨細胞が生成でき、TRAP(Tartrate-Resistant Acid Phosphatase)染色すれば、RANKL処理をしていない対照群はRAW264.7細胞が球模様を維持したまま増殖し、TRAP染色でも陰性反応を見せて淡い茶色や黄土色を帯びる。一方、RANKLを処理した細胞では濃い暗褐色又は赤褐色に染色されたTRAP(+)多核細胞が観察される。
【0148】
NF-κB活性化受容体リガンド(RANKL)によって誘導される破骨細胞分化に対する化学式1及び2のジペプチド2種の影響を確認するため、上記実験例5で培養したRAW264.7細胞を実験に用いた。RAW264細胞を2.5×106cells/mlの細胞濃度で96ウェルマイクロプレートに100μlずつ分注した後、5時間培養して細胞がウェルに付着すれば、培地を除去し、10%FBSが添加されたα-MEM培地に破骨細胞分化因子であるRANKL 50ng/mLと実験例1の組成物とを混合した培養液を分注して7日間培養した。破骨細胞分化に及ぼす影響を評価するため、培養された細胞にTRAP染色を施し、赤色に染色された細胞を破骨細胞と見なしてその数を測定した。
【0149】
その結果、
図12に示したように、試料を処理したとき、破骨細胞分化が抑制された。グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチドを1μg/ml処理(実施例1、実施例3)したときより、10μg/mlをそれぞれ処理(実施例2、実施例4)したとき、破骨細胞が減少した。特に、グリシル‐L‐ロイシンペプチドまたはL‐ロイシルグリシンペプチド(実施例1~4)の単独試料に比べて、複合組成物(実施例5、実施例6)試料で破骨細胞の分化が抑制されたことが確認できた。
【0150】
このような実験例12、実験例13の結果は、グリシル‐L‐ロイシン及び/又はL‐ロイシルグリシンを含む組成物がエストロゲン受容体活性は増加させ、閉経期後の骨粗鬆症の誘発要因である破骨細胞分化の抑制を通じて、女性更年期症状に効果的に使用できることを示唆している。
【0151】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は、本発明の技術的思想や必須特徴を変更せず、本発明を他の具体的な形態で実施可能であることが理解できるであろう。また、上述された実施例は例示的なものであって、限定的なものではないことを理解せねばならない。さらに、本発明の範囲は、上述された詳細な説明より、後述される特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導出されるあらゆる変更または変形形態を含むことは言うまでもない。
【外国語明細書】