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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180422
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】異物除去方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/06 20060101AFI20241219BHJP
   B03D 3/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B29B9/06
B03D3/00
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024175921
(22)【出願日】2024-10-07
(62)【分割の表示】P 2021118418の分割
【原出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 光弘
(72)【発明者】
【氏名】牛尾 剛
(57)【要約】
【課題】造粒システムにおいて、使用する液体を節約する。
【解決手段】造粒システムは、タンク7を備える。そして、このタンク7には、開閉バルブ510を備える第1排水ライン500aと、第1排水ライン500aよりも高い位置に設けられた第2排水ライン500bとが接続されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、異物除去方法:
(a)装置の運転状態で実施される第1工程;および
(b)前記装置の運転停止状態で実施される第2工程、
ここで、前記第1工程は、以下の工程を含む:
(a1)タンクから前記装置に液体を供給する工程;
(a2)前記タンクに接続された第1排水ラインに設けられた開閉バルブを開く工程;
(a3)前記装置から異物を含む前記液体を前記タンクに還流する工程;および
(a4)前記第1排水ラインに前記異物を含む前記液体を排出する工程、
ここで、前記第2工程は、以下の工程を含む:
(b1)前記第1排水ラインに設けられた前記開閉バルブを閉じる工程;
(b2)前記タンクから前記液体を前記装置に供給せずに前記タンクに還流する工程;
(b3)前記装置からの前記異物を含む前記液体も前記タンクに還流する工程;および
(b4)前記タンクから前記第1排水ラインよりも高い位置にある第2排水ラインに前記異物を含む前記液体を排出する工程。
【請求項2】
請求項1に記載の異物除去方法において、
前記異物は、樹脂屑である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造粒システム、造粒システム用タンク、異物除去技術およびペレットの製造技術に関し、例えば、使用する液体を節約可能な造粒システム、造粒システム用タンク、異物除去技術およびペレットの製造技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第3751014号公報(特許文献1)には、水中カッティング装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3751014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ペレットを製造する造粒システムでは、液体が充填された密閉室で製造されたペレットを循環する液体で密閉室から搬送することが行われる。
【0005】
ここで、上述した造粒システムでは、特に、ペレットに悪影響を与えることを防止するために、液体として塩素を除去した脱塩水を使用することが多い。
【0006】
この点に関し、脱塩水は、一般的な工業用水に比べて高価である。また、液体を使用した造粒システムがよく設置される中東地域の砂漠地帯においては、水は貴重な資源であり、脱塩水の使用は、最小限に抑えることが望まれている。すなわち、造粒システムにおいては、使用する液体(水)を節約することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態における造粒システムは、造粒システム用タンクを備える。そして、この造粒システム用タンクには、開閉バルブを備える第1排水ラインと、第1排水ラインよりも高い位置に設けられた第2排水ラインとが接続されている。
【0008】
一実施の形態における異物除去方法は、装置の運転状態で実施される第1工程と、装置の運転停止状態で実施される第2工程を備える。そして、第1工程では、開閉バルブを開いて、タンクから開閉バルブを備える第1排水ラインに異物を含む液体を排出する。一方、第2工程では、第1排水ラインに備わる開閉バルブを閉じて、タンクから第1排水ラインよりも高い位置にある第2排水ラインに異物を含む液体を排出する。
【0009】
一実施の形態におけるペレット製造方法において、造粒機の運転状態で実施される第1工程は、開閉バルブを開いて、タンクから開閉バルブを備える第1排水ラインに液体を排出する工程を含む。一方、造粒機の運転停止状態で実施される第2工程は、第1排水ラインに備わる開閉バルブを閉じて、タンクから第1排水ラインよりも高い位置にある第2排水ラインに液体を排出する工程を含む。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、使用する液体を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】造粒システムの模式的な構成を示す図である。
図2】樹脂切断装置の模式的な構成を示す図である。
図3】ダイスの模式的な構成例を示す平面図である。
図4】カッタヘッドの模式的な構成例を示す平面図である。
図5】関連技術におけるタンクにおける液体の流れを説明する図である。
図6】関連技術におけるタンクにおける液体の流れを説明する図である。
図7】実施の形態におけるタンクの模式的な構成を示す図である。
図8】タンクと排水ラインとの接続構成を模式的に示す図である。
図9】タンクにおける液体の流れを説明する図である。
図10】タンクにおける液体の流れを説明する図である。
図11】異物除去方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0013】
<造粒システム>
図1は、造粒システム100の模式的な構成を示す図である。
【0014】
造粒システム100は、押出機1および樹脂切断装置2を含む造粒機10と、配管部4と、ポンプ5と、三方弁5aと、脱水機6と、タンク7と、遠心脱水乾燥機8と、振動篩9とを有している。
【0015】
押出機1は、回転するスクリュによって樹脂原料20を混練して、混練された樹脂を樹脂切断装置2のダイスに設けられた複数のノズルから押し出すように構成されている。
【0016】
樹脂切断装置2は、ダイスに設けられた複数のノズルから押し出された溶融状態の樹脂を複数のカッタ刃で切断してペレットを製造するように構成されている。
【0017】
配管部4は、例えば、塩素を除去した水である脱塩水に代表される液体を流す流路として機能する。この配管部4には、タンク7から造粒機10に液体を供給するための供給用配管部4aと、造粒機10からペレットと液体の混合物を排出するための排出用配管部4bと、脱水機6で分離された液体をタンク7に還流するための還流配管部4cと、遠心脱水乾燥機8で分離された液体をタンク7に還流するための還流配管部4dと、三方弁5aによって液体をタンク7に戻すためのバイパス配管部4eと、タンク7に液体を供給する液体供給用配管部4fが含まれている。
【0018】
ポンプ5は、配管部4を流れる液体を循環させる機能を有する。また、三方弁5aは、供給用配管部4aに設けられており、切換制御部5bによって、タンク7から造粒機10に液体を流す流路とタンク7からバイパス配管部4eを介して再びタンク7に液体を還流する流路とを切り換えることが可能に構成されている。
【0019】
タンク7は、液体を貯蔵する貯蔵槽であり、脱水機6は、ペレットを液体から分離する機能を有するとともに、遠心脱水乾燥機8は、さらに、ペレットを乾燥させる機能を有する。振動篩9は、ペレットをサイズ別に分別するように構成されている。
【0020】
このように構成されている造粒システム100は、以下に示すように動作する。すなわち、まず、押出機1に樹脂原料20を供給する。すると、押出機1に供給された樹脂原料20は、スクリュによって混練された後、溶融状態の樹脂は、ダイスに設けられた複数のノズルから押し出される。押し出された樹脂は、樹脂切断装置2に設けられている複数のカッタ刃で切断される。この樹脂の切断は、液体が流れている密閉室の内部で行われる。これにより、溶融状態の樹脂は、所定のサイズのペレット30に切断された後、液体で冷却されて固化する。このようにして、押出機1と樹脂切断装置2を含む造粒機10によって、固化したペレット30が製造される。
【0021】
このとき、配管部4とポンプ5によって、タンク7と密閉室の間を液体が循環している。すなわち、タンク7から供給用配管部4aを介して密閉室に液体が供給される一方、密閉室で生成されたペレット30と液体との混合物であるスラリー3は、排出用配管部4bを通って脱水機6に運ばれる。脱水機6では、ペレット30と液体とが分離され、液体は、還流配管部4cを通ってタンク7に還流する。一方、少量の液体とペレット30の混合物であるスラリー3は、遠心脱水乾燥機8に運ばれる。遠心脱水乾燥機8では、ペレット30に付着した少量の液体が分離される。そして、遠心脱水乾燥機8で少量の液体から分離されて乾燥したペレット30は、振動篩9に運ばれるとともに、遠心脱水乾燥機8で分離された少量の液体は、還流配管部4dを通ってタンク7に還流する。その後、振動篩9では、ペレット30がサイズ別に分別される。
【0022】
以上のようにして、造粒システム100によってペレット30を製造することができる。
【0023】
<樹脂切断装置の基本構成>
続いて、造粒システム100の構成要素となる樹脂切断装置2の構成を説明する。
【0024】
図2は、樹脂切断装置2の模式的な構成を示す図である。
【0025】
図2において、樹脂切断装置2は、ダイス50と、カッタヘッド51と、回転軸52と、モータ53と、スリーブ54と、ハウジング55と、密閉室60と、流入口60aと、流出口60bを有している。
【0026】
ダイス50は、樹脂を混練して押し出す押出機の樹脂吐出側に設けられており、このダイス50には、複数のノズルが設けられている。これらの複数のノズルのそれぞれからは、押出機から押し出された樹脂が吐出されるようになっている。
【0027】
カッタヘッド51は、ダイス50に押し付けられるように配置され、このカッタヘッド51には、複数のカッタ刃が設けられている。これらの複数のカッタ刃は、ダイス50に設けられている複数のノズルから吐出される樹脂をペレットに切断する機能を有する。
【0028】
また、カッタヘッド51には、回転軸52が取り付けられており、この回転軸52には、モータ53が取り付けられている。この結果、カッタヘッド51は、モータ53によって回転する回転軸52に取り付けられていることになるため、回転可能に構成されている。
【0029】
回転軸52の周囲には、回転軸52の軸方向に摺動可能なスリーブ54が設けられており、このスリーブ54の外側には、ハウジング55が設けられている。ここで、回転軸52は、スリーブ54に対して回転可能である一方、回転軸52の軸方向のスリーブ54に対する相対移動はできないように構成されている。すなわち、回転軸52とスリーブ54は、回転軸52の軸方向には一体的に移動するように構成されている。このスリーブ54は、ハウジング55に対して回転軸52の軸方向に相対移動が可能なように構成される。
【0030】
密閉室60は、カッタヘッド51と接する密閉空間を構成する。この密閉室60には、例えば、脱塩水などの液体を流入させる流入口60aと、密閉室60から液体およびペレットを流出させる流出口が設けられている。
【0031】
<<ダイスの構成例>>
図3は、ダイス50の模式的な構成例を示す平面図である。
【0032】
図3において、ダイス50は、例えば、平面形状が略円形形状をしており、複数のノズル50aを有している。この複数のノズル50aのそれぞれからは、押出機で混練されて溶融した樹脂が吐出するようになっている。
【0033】
<<カッタヘッドの構成例>>
図4は、カッタヘッド51の模式的な構成例を示す平面図である。
【0034】
図4において、カッタヘッド51は、例えば、平面形状が略円形形状をしており、このカッタヘッド51には、複数のカッタ刃51aが設けられている。これらの複数のカッタ刃51aのそれぞれは、平面形状が略矩形形状をしている。
【0035】
カッタヘッド51は、ダイス50に押し付けられながら回転するように構成されており、これによって、カッタヘッド51に設けられた複数のカッタ刃51aで、ダイス50に設けられた複数のノズル50aから吐出する樹脂を切断するようになっている。
【0036】
<カッタ刃押付力を制御する必要性>
ここで、カッタヘッド51に設けられた複数のカッタ刃をダイス50に押し付けるカッタ刃押付力は、適切な一定値に制御する必要がある。なぜなら、カッタ刃をダイス50に押し付けると、カッタ刃は摩耗することから、カッタ刃をダイスに押し付けるカッタ刃押付力が大きすぎるとカッタ刃の摩耗量が増大する一方、カッタ刃押付力が小さいと、カッタ刃がダイスから離れてしまい、樹脂をペレットに正常に切断できなくなる切断トラブルの発生原因となるからである。したがって、樹脂切断装置2は、カッタ刃押付力を一定に制御するための構成を有している。以下では、この構成について説明する。
【0037】
<カッタ刃押付力を制御する構成>
図2において、樹脂切断装置2は、制御部70と、回転軸前進力発生部80と、回転軸後退力発生部90を有している。
【0038】
回転軸前進力発生部80は、回転軸52に回転軸前進力Ffを発生させるように構成されている。例えば、回転軸前進力発生部80は、第1空隙室に注入する圧力媒体の圧力によって、回転軸前進力を発生するように構成されている。具体的に、第1空隙室の受圧面積と圧力媒体による圧力との積が回転軸前進力Ffとなる。この回転軸前進力Ffとは、回転軸52(スリーブ54)をダイス50に近づける方向の力であり、回転軸前進力発生部80で発生される力である。
【0039】
回転軸後退力発生部90は、回転軸52に回転軸後退力Fbを発生させるように構成されている。例えば、回転軸後退力発生部90は、第2空隙室に注入する圧力媒体の圧力によって、回転軸後退力を発生するように構成されている。具体的に、第2空隙室の受圧面積と圧力媒体による圧力との積が回転軸後退力Fbとなる。回転軸前進力Ffとは、回転軸52(スリーブ54)をダイス50から遠ざける方向の力であり、回転軸後退力発生部90で発生される力である。
【0040】
制御部70は、複数のカッタ刃をダイス50に押し付けるカッタ刃押付力を制御するように構成されており、例えば、以下の関係式で表されるカッタ刃押付力が一定となるように制御するように構成されている。具体的に、カッタ刃押付力をFとし、回転軸前進力をFfとし、複数のカッタ刃の回転によって発生するカッタ刃推進力であって、回転軸の回転数に応じて大きさが変化するカッタ刃推進力をFsとし、回転軸後退力をFbとし、密閉室に充填されている流体の流体圧に起因する後退力をFwとし、回転軸の前進あるいは後退に起因する摺動抵抗力をFrとした場合、カッタ刃押付力Fは、F=Ff+Fs-Fb-Fw±Frで表される。制御部70は、このように表されるカッタ刃押付力Fが一定になるように制御するように構成されている。
【0041】
<樹脂切断装置の基本動作>
樹脂切断装置2は、このように構成されており、以下に、その動作について図2を参照しながら説明することにする。樹脂切断装置2の動作は、制御部70によってカッタ刃押付力Fを制御しながら行われる。
【0042】
まず、押出機で混練された樹脂は、溶融状態で、ダイス50に設けられた複数のノズルから密閉室60に吐出される。吐出された溶融状態の樹脂は、モータ53により回転する回転軸52に取り付けられて高速回転するカッタヘッド51に設けられた複数のカッタ刃で切断される。そして、切断された樹脂は、密閉室60の流入口60aから流れ込む液体で冷却されて固化することにより、ペレットが生成される。このとき、密閉室60に流れ込んだ液体は、密閉室60の流出口60bから流出することから、生成されたペレットも流出口60bから排出される。排出された液体とペレットの混合物であるスラリーは、例えば、図1に示すように、排出用配管部4bを通って脱水機6に運ばれる。その後の動作は、図1に示す造粒システムの動作で説明した通りである。以上のようにして、樹脂切断装置2では、溶融状態の樹脂を切断することにより、固化したペレットを製造できる。
【0043】
<節水の必要性>
上述したように、造粒システム100では、液体を循環させており、ペレットに悪影響を及ぼすことを抑制するとともに、例えば、ステンレスからなる配管部4の腐食を防止する観点から、液体として、塩素を除去した脱塩水が使用されることが多い。
【0044】
ここで、脱塩水は、一般的な工業用水よりも高価である。したがって、造粒システム100で使用する脱塩水の無駄を省くことが望ましい。すなわち、造粒システム100において、節水するための工夫が望まれている。この点に関し、本発明者は、造粒システム100で無駄となる液体の排出を減少させるために、タンク7の構成に着目している。
【0045】
<関連技術の説明>
以下では、関連技術におけるタンク7aに存在する改善の余地について説明する。
【0046】
本明細書でいう「関連技術」とは、公知技術ではないが、本発明者が見出した課題を有する技術であって、本願発明の前提となる技術である。
【0047】
図5は、関連技術におけるタンク7aの模式的な構成を示す図である。
【0048】
図5において、タンク7aは、供給用配管部4aと接続されており、この供給用配管部4aは、三方弁5aを介して、図5では図示されていない造粒機と接続されている。すなわち、タンク7aは、三方弁5aが設けられた供給用配管部4aを介して造粒機と接続されている。そして、三方弁5aには、バイパス配管部4eが接続されており、このバイパス配管部4eは、タンク7aと接続されている。
【0049】
また、図5に示すように、タンク7aは、図示しない脱水機と接続された還流配管部4cと接続されているとともに、図示しない遠心脱水乾燥機と接続された還流配管部4dと接続されている。さらに、タンク7aは、液体をタンク7aに供給する液体供給用配管部4fとも接続されている。そして、タンク7aは、液体を排出するための排水ライン300と接続されている。このようにして、タンク7aが構成されている。
【0050】
続いて、タンク7aに着目して、造粒機の運転状態における液体200の流れを説明する。図5において、造粒機の運転状態では、三方弁5aによって、タンク7aは、供給用配管部4aを介して造粒機と接続されている。したがって、タンク7aに貯蔵されている液体200は、例えば、図示しないポンプによって、供給用配管部4aを通って造粒機に供給される。そして、造粒機に供給された液体200は、造粒機で製造されたペレットと混合された状態で造粒機から排出用配管部に排出される。そして、排出用配管部から排出された液体200は、脱水機でペレットと分離された後、還流配管部4cを通ってタンク7aに戻る。さらに、脱水機で分離されたペレットに付着している少量の液体200は、遠心脱水乾燥機で分離された後、還流配管部4dを通ってタンク7aに戻る。
【0051】
ここで、脱水機で分離されてタンク7aに戻った液体200や遠心脱水乾燥機で分離されてタンク7aに戻った液体200には、樹脂屑が混入している。このことから、樹脂屑をタンク7aから排出するため、タンク7aには、常に、液体供給用配管部4fから新たな少量の液体200が供給される。この結果、図5に示すように、タンク7aに貯蔵された液体200の一部は、液体200の表面に浮いている樹脂屑とともに排水ライン300から排出される。これにより、タンク7aから樹脂屑を除去することができる。
【0052】
次に、造粒機の運転を停止した際における液体200の流れを説明する。図6において、造粒機の運転を停止すると、タンク7aからバイパス配管部4eを介してタンク7aに液体200が還流されるように、三方弁5aが切り換えられる。この結果、タンク7aには、バイパス配管部4eを通ってタンク7aに戻る液体200と、還流配管部4cおよび還流配管部4dのそれぞれを通ってタンク7aに戻る液体200とによって、一時的にタンク7aには多量の液体200が流入することになる。この一時的にタンク7aに流入した多量の液体200は、排水ライン300から外部に排出される。
【0053】
すなわち、関連技術におけるタンク7aでは、造粒機の運転を停止して三方弁5aを切り換えることによって、多量の液体200が還流することになるが、この還流した多量の液体200の大部分は、排水ライン300から造粒システムの外部に排出される。このことは、関連技術におけるタンク7aの構成では、多量の液体200を無駄に廃棄していることを意味する。このように、関連技術には、無駄となる液体200のタンク7aからの排出を減少させて節水を図る観点から改善の余地が存在する。
【0054】
そこで、本実施の形態では、関連技術に存在する改善の余地を克服するための工夫を施している。以下では、この工夫を施した本実施の形態における技術的思想を説明する。
【0055】
<タンクの構成>
図7は、本実施の形態におけるタンク7の模式的な構成を示す図である。
【0056】
図7において、タンク7は、造粒システム用タンクであり、造粒システムで使用される液体(例えば、脱塩水)を貯蔵可能に構成されている。このタンク7は、第1接続部位400aと第2接続部位400bを有している。このとき、第1接続部位400aは、開閉バルブを備える第1排水ラインと接続可能に構成されている。一方、第2接続部位400bは、第2排水ラインと接続可能に構成されており、第2接続部位400bの位置(高さ)は、第1接続部位400aの位置(高さ)よりも高い。
【0057】
具体的に、図8は、タンク7と排水ラインとの接続構成を模式的に示す図である。
【0058】
図8に示すように、タンク7の第1接続部位400aは、第1排水ライン500aと接続されており、第1排水ライン500aには、開閉バルブ510が設けられている。この開閉バルブ510は、開閉制御部520によって、バルブの開け閉めが制御される。一方、図8に示すように、タンク7の第2接続部位400bは、第2排水ライン500bと接続されている。ここで、例えば、第2排水ライン500bの排出容量は、第1排水ライン500aの排出容量よりも大きくなっている。このようにして、タンク7が構成されている。
【0059】
<タンクにおける液体の流れ>
次に、タンク7に着目して、造粒機の運転状態における液体200の流れを説明する。図9において、造粒機の運転状態では、三方弁5aによって、タンク7は、供給用配管部4aを介して造粒機と接続されている。したがって、タンク7に貯蔵されている液体200は、例えば、図示しないポンプによって、供給用配管部4aを通って造粒機に供給される。そして、造粒機に供給された液体200は、造粒機で製造されたペレットと混合された状態で造粒機から排出用配管部に排出される。そして、排出用配管部から排出された液体200は、脱水機でペレットと分離された後、還流配管部4cを通ってタンク7に戻る。さらに、脱水機で分離されたペレットに付着している少量の液体200は、遠心脱水乾燥機で分離された後、還流配管部4dを通ってタンク7に戻る。
【0060】
ここで、脱水機で分離されてタンク7に戻った液体200や遠心脱水乾燥機で分離されてタンク7に戻った液体200には、樹脂屑が混入している。このことから、樹脂屑をタンク7から排出するため、タンク7には、常に、液体供給用配管部4fから新たな少量の液体200が供給される。そして、造粒機の運転状態では、第1排水ライン500aに設けられている開閉バルブ510は、開閉制御部520によって開かれている。この結果、図9に示すように、タンク7に貯蔵された液体200の一部は、液体200の表面に浮いている樹脂屑とともに、開閉バルブ510が開いている第1排水ライン500aから排出される。これにより、タンク7から樹脂屑を除去することができる。
【0061】
続いて、タンク7に着目して、造粒機の運転を停止した際における液体200の流れを説明する。図10において、造粒機の運転を停止すると、タンク7からバイパス配管部4eを介してタンク7に再び液体200が還流されるように、三方弁5aが切り換えられる。この結果、タンク7には、バイパス配管部4eを通ってタンク7に戻る液体200と、還流配管部4cおよび還流配管部4dのそれぞれを通ってタンク7に戻る液体200とによって、一時的にタンク7には多量の液体200が流入することになる。
【0062】
ここで、造粒機の運転を停止した際には、開閉制御部520によって、第1排水ライン500aに設けられている開閉バルブ510が閉じられる。この結果、図10に示すように、一時的にタンク7に流入した多量の液体200は、第1排水ライン500aから外部に排出されることなく、タンク7に貯蔵される。そして、タンク7の水位が第1排水ライン500aよりも高い位置にある第2排水ライン500bにまで達すると、第2排水ライン500bから外部に液体200が排出される。
【0063】
<実施の形態における特徴>
続いて、本実施の形態における特徴点について説明する。
【0064】
本実施の形態における特徴点は、例えば、図7に示すように、タンク7に第1接続部位400aと、第1接続部位400aよりも高い位置にある第2接続部位400bを設けることを前提として、図8に示すように、第1接続部位400aに、開閉バルブ510が設けられた第1排水ライン500aを接続するとともに、第2接続部位400bに第2排水ライン500bを接続する点にある。
【0065】
これにより、例えば、図9に示すように、造粒機の運転状態では、第1排水ライン500aに設けられている開閉バルブ510が開閉制御部520によって開かれており、タンク7に貯蔵された液体200の一部は、液体200の表面に浮いている樹脂屑とともに、開閉バルブ510が開いている第1排水ライン500aから排出される。
【0066】
一方、例えば、図10に示すように、造粒機の運転停止状態に移行した直後には、一時的にタンク7には多量の液体200が流入することになる。このとき、開閉制御部520によって、第1排水ライン500aに設けられている開閉バルブ510が閉じられる結果、一時的にタンク7に流入した多量の液体200は、第1排水ライン500aから外部に排出されることなく、タンク7に貯蔵される。そして、タンク7の水位が第1排水ライン500aよりも高い位置にある第2排水ライン500bにまで達すると、水位超えた液体200だけが第2排水ライン500bから外部に排出される。このようにして、一時的にタンク7に流入した多量の液体200のほとんどを外部に排出することなく、タンク7に貯蔵できる。具体的には、図10の「斜線」で示す量の液体200が外部に排出されることなく、タンク7に貯蔵される。このようにして、本実施の形態によれば、貴重な液体200(脱塩水)を無駄に排出することなく、次の造粒機の立ち上げに使用できる。この結果、造粒システム100における液体200の使用量を節約することができる。
【0067】
例えば、造粒システム100を構成するプラントのサイズや配管設計にもよるが、造粒機の運転状態では、10m程度の液体(脱塩水)が造粒システム100の内部を循環しており、タンク7は、充分に余裕をもった貯蔵容量(例えば、40m程度)を有する。
【0068】
一例として、造粒機の運転中において、例えば、図9に示すように、液体200が第1排水ライン500aまで満たされているとする。そして、造粒機の運転を停止した直後には、造粒システム100の内部を循環していた10m程度の一部の液体200がタンク7に戻る。このとき、本実施の形態では、造粒機の運転を停止したタイミングで第1排水ライン500aに設けられている開閉バルブ510を開閉制御部520によって閉じることから、図10に示すように、第2排水ライン500bに流れ出る水位までタンク7内に液体200を貯蔵することができる。例えば、循環している10mの液体200の内の50%がタンク7に戻ると仮定すると、節水量は最大で5m程度となる。
【0069】
なお、造粒機の運転停止状態に移行した直後、一時的にタンク7に流入した多量の液体200のうち、タンク7に貯蔵できる液体200の量を多くする観点からは、第1排水ライン500aの位置(高さ)と第2排水ライン500bの位置(高さ)が離れていることが望ましい。この場合、例えば、図10に示す「斜線」の液体200が増加することになり、このことは、一時的にタンク7に流入した多量の液体200のうち、タンク7に貯蔵できる液体200の量が多くなることを意味するからである。
【0070】
また、第2排水ライン500bの排出容量は、第1排水ライン500aの排出容量よりも多いことが望ましい。なぜなら、図9に示す造粒機の運転状態において、第1排水ライン500aの排出容量が少なければ、タンク7から樹脂屑を除去するために使用される液体200の量を節約することができるからである。一方、第2排水ライン500bは、一時的にタンク7に流入する液体200の量が多すぎた場合、排出容量が小さいと、余剰の液体200を排出しきれずにタンク7から液体200が溢れてしまう。このため、タンク7から液体200が溢れてしまうことを抑制する観点から、第2排水ライン500bの排出容量は、できるだけ多いことが望ましいのである。
【0071】
以上のことから、本実施の形態における特徴点によれば、貴重な液体200(脱塩水)を無駄に排出することなく、造粒システム100における液体200の使用量を節約することができる。つまり、本実施の形態における特徴点は、関連技術では得ることのできない液体200の節約を図ることができるという顕著な効果を得ることができる点で非常に大きな技術的意義を有しているといえる。
【0072】
<応用例>
上述した実施の形態では、液体200の節約を実現するための技術的思想を造粒システム100に適用する例について説明したが、これに限らず、この技術的思想は、液体を使用して異物を除去する異物除去技術に幅広く適用することができる。すなわち、造粒システム100では、異物として樹脂屑を取り挙げたが、樹脂屑に限らない幅広い種類の異物を液体から除去する異物除去技術にも、実施の形態における技術的思想は適用可能である。
【0073】
例えば、図11は、実施の形態における技術的思想を取り入れた異物除去方法の流れを示すフローチャートである。図11において、まず、装置が運転状態にあるとする。実施の形態と同様に、タンクには、第1排水ラインと第2排水ラインとが接続されている。
【0074】
そして、例えば、ポンプを使用して、タンクから装置に液体を供給する(S101)。次に、第1排水ラインには、開閉バルブが設けられており、この開閉バルブが閉じている場合(S102)、開閉制御部によって、この開閉バルブを開く(S103)。このとき、開閉バルブは液体の水面が第1排水ラインの位置付近まで低下した段階で開くことが望ましい。なぜなら、液体の水面が第1排水ラインの位置付近まで低下する前に開閉バルブを開くと、第1排水ラインから無駄に液体を排出してしまうことになるからである。
【0075】
ここで、装置に供給された液体には、装置での処理によって異物が混入することを前提とし、装置から異物を含む液体がタンクに還流する(S104)。その後、タンクに還流した異物を含む液体は、第2排水ラインよりも低い位置にある第1排水ラインから排出される。このようにして、タンクに混入した異物は、第1排水ラインから排出することができる(S105)。
【0076】
続いて、装置の運転を継続する場合は(S106)、ステップS101に戻る。そして、開閉バルブは既に開いているので(S102)、ステップS104に移行する。一方、装置が運転停止に移行する場合(S106)、開閉制御部によって、第1排水ラインに設けられている開閉バルブが閉められる(S107)。その後、タンクから液体を装置に供給せずに、再びタンクに還流する(S108)。このとき、既に装置から排出されている異物を含む液体もタンクに還流する(S109)。
【0077】
この結果、タンクには、一時的に多量の液体が流入する。ここで、タンクに接続されている第1排水ラインに設けられている開閉バルブが閉じているため、流入した液体は、第1排水ラインから排出されることなく、タンクに貯蔵されていく。そして、タンクの水位が第1排水ラインよりも高い位置にある第2排水ラインまで達すると、タンクから第2排水ラインに異物を含む液体が排出される(S110)。このようにして、応用例である異物除去方法を実施することができる。
【0078】
この応用例においても、装置の運転停止直後、一時的にタンクに流入した多量の液体のほとんどを外部に排出することなく、タンクに貯蔵できる。したがって、応用例においても、貴重な液体を無駄に排出することなく、液体の使用量を節約することができる。
【0079】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0080】
1 押出機
2 樹脂切断装置
3 スラリー
4 配管部
4a 供給用配管部
4b 排出用配管部
4c 還流配管部
4d 還流配管部
4e バイパス配管部
4f 液体供給用配管部
5 ポンプ
5a 三方弁
5b 切換制御部
6 脱水機
7 タンク
7a タンク
8 遠心脱水乾燥機
9 振動篩
10 造粒機
20 樹脂原料
30 ペレット
50 ダイス
50a ノズル
51 カッタヘッド
51a カッタ刃
52 回転軸
53 モータ
54 スリーブ
55 ハウジング
60 密閉室
60a 流入口
60b 流出口
70 制御部
80 回転軸前進力発生部
90 回転軸後退力発生部
100 造粒システム
200 液体
300 排水ライン
400a 第1接続部位
400b 第2接続部位
500a 第1排水ライン
500b 第2排水ライン
510 開閉バルブ
520 開閉制御部
図1
図2
図3
図4
図5
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図11