(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180433
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】シート排出装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/38 20060101AFI20241219BHJP
B65H 31/10 20060101ALI20241219BHJP
B65H 29/70 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65H5/38
B65H31/10
B65H29/70
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024176349
(22)【出願日】2024-10-08
(62)【分割の表示】P 2020093912の分割
【原出願日】2020-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水口 浩平
(57)【要約】
【課題】シートのカールに起因する積載不良の発生を抑制する。
【解決手段】シート排出装置は、シートを挟持するニップ部を有し、前記ニップ部を介してシートを排出する排出手段(161)と、前記排出手段によって排出されたシートを支持するシート支持部(170)と、前記ニップ部から送り出されるシートの上面と対向するように設けられたガイド手段(200)と、を備える。ガイド手段は、シート排出方向におけるシートの後端が、前記ニップ部を通過した後に前記ニップ部の延長線(N)から上方に向かって離れるように移動することを規制する規制部(201a)を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを挟持するニップ部を有し、前記ニップ部を介してシートを排出する排出手段と、
前記排出手段によって排出されたシートを支持するシート支持部と、
前記ニップ部から送り出されるシートの上面と対向するように設けられたガイド手段と、を備え、
前記ガイド手段は、シート排出方向におけるシートの後端が、前記ニップ部を通過した後に前記ニップ部の延長線から上方に向かって離れるように移動することを規制する規制部を有する、
ことを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記ガイド手段は、前記排出手段が設けられている装置本体に対して着脱可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記ガイド手段は、前記ニップ部の延長線の上方に設けられた回動軸を中心に回動するフラグ部材であって、前記排出手段から送り出されるシートに接していない状態で前記ニップ部の延長線より下方に突出するフラグ部材をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記フラグ部材は、前記シート支持部に支持されているシートと当接し、前記シート支持部に支持されているシートの量に応じて回動するように構成され、
前記フラグ部材の回動角度に応じて検知信号が変化する検知部を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記フラグ部材を第1のフラグ部材として、
前記ガイド手段は、前記ニップ部の延長線の上方に設けられた回動軸を中心に回動する第2のフラグ部材であって、前記排出手段から送り出されるシートに接していない状態で、前記ニップ部の延長線より下方に突出する第2のフラグ部材をさらに有し、
前記第2のフラグ部材は、前記第1のフラグ部材より前記シート排出方向の上流で、前記排出手段から送り出されるシートに接触する、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記規制部の少なくとも一部は、前記シート排出方向に垂直なシート幅方向に見て、前記ニップ部の延長線と略平行に延びている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項7】
前記ガイド手段は、前記排出手段から送り出されるシートから電荷を除去する除電部材を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項8】
前記排出手段を第1の排出手段として、
前記第1の排出手段の上方でシートを排出する第2の排出手段をさらに備え、
前記ガイド手段は、前記第2の排出手段によって排出されたシートを支持する支持面を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項9】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段によって画像を形成されたシートを排出する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート排出装置と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記ガイド手段は、前記排出手段及び前記画像形成装置が設けられた装置本体に対して着脱可能であり、
前記ガイド手段を前記装置本体から取り外した状態において、前記装置本体に対して、前記排出手段によって排出されたシートに処理を施すシート処理装置を装着可能である、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成手段は、像担持体と、前記像担持体に形成されたトナー像をシートの画像面に転写する転写手段と、前記画像面に転写されたトナー像を加熱してシートに定着させる定着手段と、を有し、
前記シート排出装置は、前記画像面が下方を向いている姿勢でシートを排出する、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを排出するシート排出装置及びシートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、複合機等の画像形成装置において、画像形成されたシートは排出ローラ等によって装置外に排出され、排出トレイ等の積載部に積載される。特許文献1には、画像形成装置の本体上面に設けられたシート積載部の上方に、両面印刷時にシートを反転させるための反転パスが内部に形成されたガイド部材であって、上面にシートを積載可能なガイド部材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成後のシートは、画像形成機構の構成、画像形成動作の動作設定及び環境条件等によって、シート端部が上方に向かうように湾曲した状態(以下、上カールとする)となることがある。このような上カールは、排出トレイ等に排出されたシートの積載不良の原因となる場合がある。例えば、排出されたシートのシート排出方向における後端部が、排出ローラ対の下方の壁面にもたれかかった状態となることがある。また、先行して排出されたシートの後端部によってシートの排出経路が塞がれ、後続して排出されるシートの先端部と衝突することがある。
【0005】
そこで、本発明は、シートのカールに起因する積載不良の発生を抑制可能なシート排出装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、シートを挟持するニップ部を有し、前記ニップ部を介してシートを排出する排出手段と、前記排出手段によって排出されたシートを支持するシート支持部と、前記ニップ部から送り出されるシートの上面と対向するように設けられたガイド手段と、を備え、前記ガイド手段は、シート排出方向におけるシートの後端が、前記ニップ部を通過した後に前記ニップ部の延長線から上方に向かって離れるように移動することを規制する規制部を有する、ことを特徴とするシート排出装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートのカールに起因する積載不良の発生を抑制可能なシート排出装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】実施例1に係る排出部から延長ガイドユニットを取り外した状態の斜視図。
【
図6】延長ガイドユニット未装着状態の排出部の断面図。
【
図9】実施例1に係る画像形成装置に後処理装置を装着した状態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための例示的な形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
以下の説明において、画像形成装置が水平面に設置された状態における鉛直方向を「上下方向」とし、画像形成装置におけるシートの搬送方向に垂直な方向(画像形成時の主走査方向)を「シート幅方向」とする。
【実施例0011】
図1は実施例1に係る画像形成装置100の断面構成を表す概略図である。画像形成装置100は、記録材であるシートSに画像を形成する画像形成部140と、画像形成部140を収容する筐体である装置本体101と、を備えている。また、画像形成部140は、4色のトナー像を形成する画像形成ステーションY,M,C,Bkを中間転写ベルト145に沿って並べた中間転写タンデム方式の電子写真ユニットである。
【0012】
シートSは装置本体101の下部に組み込まれたシート給送装置が有するリフトアップ装置の上に積載されており、給送手段としての給送ユニット110により1枚ずつ給送される。給送ユニット110は、例えば、シートSを給送する給送ローラと、給送ローラに当接して配置され、シートSに摩擦力を作用させることで給送ローラによって給送されるシートSから他のシートSを分離する分離ローラと、を有するものが用いられる。なお、記録材であるシートSとしては、普通紙及び厚紙等の紙、プラスチックフィルム、布、コート紙のような表面処理が施されたシート材、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート材等、サイズ及び材質の異なる多様なシートを使用可能である。
【0013】
給送ユニット110から給送されるシートSは、斜行補正装置120によって斜行を補正されるとともに、画像形成部140によるトナー像形成プロセスに同期したタイミングで二次転写部130へ向けて搬送される。二次転写部130とは、中間転写ベルト145を挟んで略対向する二次転写内ローラ131及び二次転写外ローラ132の間に形成されるニップ部である。二次転写外ローラ132は、本実施例における転写手段である。
【0014】
以上説明した二次転写部130までのシートSの搬送プロセスに並行して、画像形成部140はトナー像形成プロセスを実行する。画像形成部140の各画像形成ステーションY,M,C,Bkは、ドラム状の像担持体(電子写真感光体)である感光ドラム141と、帯電ローラ等の帯電手段と、現像手段としての現像器143と、を備えている。また、露光装置142は4つの感光ドラム141の下方に配置されている。トナー像形成プロセスでは、帯電手段が感光ドラム141の表面を一様に帯電させ、露光装置142が画像形成すべき画像情報の信号に基づいて感光ドラム141を露光し、感光ドラム141の表面に静電潜像を書き込む。この静電潜像は、現像器143から供給されるトナーによって現像されて単色のトナー像となる。これにより、4つの感光ドラム141の表面にイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー像が形成される。
【0015】
中間転写ベルト145は、
図1における反時計回り方向に回転駆動される。4つの感光ドラム141に担持されるトナー像は、一次転写ローラ144によって順次、互いに重なるように中間転写ベルト145に一次転写される。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト145上に形成され、中間転写ベルト145に担持されて二次転写部130へと搬送される。そして、二次転写部130における加圧力及び静電バイアスにより、中間転写ベルト145からシートSにトナー像が二次転写される。
【0016】
二次転写部130を通過したシートSは定着手段としての定着器150へと搬送される。定着器150は、ローラ及び/又はベルトで構成される回転体対と、セラミックヒータ又はハロゲンランプ等の熱源と、を有している。図示した定着器150は、回転体対として、加熱部材としての定着ローラ151と、定着ローラ151に所定の加圧力で当接する加圧部材としての加圧ローラ152と、を有する。定着器150は、定着ローラ151及び加圧ローラ152の間のニップ部(定着ニップ)でシートSを挟持して搬送しながら、シートS上のトナー像に圧力及び熱を加える。これによりトナーが溶融し、定着ニップ通過後にトナーが固着することで、シートSに定着した画像が得られる。
【0017】
定着器150を通過したシートSは、第1切替フラップ153により、排出ローラ対161へ向かう経路又は反転ローラ対162へ向かう経路のいずれかに案内される。シートSの両面に画像形成を行う場合、第1面に画像形成されたシートSは第1切替フラップ153により反転ローラ対162に案内されて反転ローラ対162によって搬送される。搬送方向におけるシートSの後端が第2切替フラップ154を通過すると、反転ローラ対162がシートSの搬送方向を反転させ、シートSを両面搬送路180に送り込む。反転ローラ対162による反転動作中に装置本体101の外部に突出するシートSの部分は、反転ガイド171によって支持される。両面搬送路180を介して再び斜行補正装置120に到達したシートSは、斜行補正及びタイミング補正の後、二次転写部130及び定着器150を通過することで第2面に画像を形成される。
【0018】
シートSを排出する場合、定着器150から送り出されたシートSは第1切替フラップ153により排出ローラ対161に案内され、排出手段としての排出ローラ対161によって装置本体101の外部に排出される。排出ローラ対161が配置されている排出口の上部には後述の延長ガイドユニット200が取り付けられており、排出ローラ対161から排出されるシートSの挙動が延長ガイドユニット200によって規制される。以下、排出ローラ対161がシートSを排出するときのシートSの移動方向をシート排出方向B(
図1の左方向)とする。
【0019】
装置本体101の上部には本実施例のシート支持部としての排出トレイ170が設けられており、排出ローラ対161によって排出されるシートSは排出トレイ170に積載されていく。排出トレイ170の上面は、シート排出方向Bの下流に向かって上方に傾斜しており、排出トレイ170に積載されたシートSは、自重により、排出トレイ170の傾斜に沿ってシート排出方向Bの上流にスライドする。シート排出方向Bにおける排出トレイ170の上流側には、装置本体101の一部として上下方向に延びる整合面163aが設けられている。排出トレイ170の傾斜に沿ってスライドするシートSが、シート排出方向Bの後端において整合面163aと当接することで、排出トレイ170に積載されたシート束の位置が整合される。
【0020】
ところで、画像形成装置100は、装置本体101の上部に搭載された画像読取装置102を備えている。画像読取装置102は、原稿が載置される原稿台ガラスと、原稿台ガラスを介して原稿の画像を読み取るイメージセンサと、を備えている。また、画像読取装置102は、原稿トレイにセットされた原稿を1枚ずつ給送してイメージセンサによって画像を読み取らせるための自動原稿給送装置を備えている。本実施例の画像形成装置100は、上下方向における画像形成部140と画像読取装置102との間にシートSの胴内排出空間190が設けられた、いわゆる胴内排出型の構成である。胴内排出型の構成は、例えば排出トレイ170を装置本体101の側部に設けてシートの排出空間を装置本体101の側方に配置する構成に比べて、上方から見た画像形成装置100の占有面積を小さくできる利点がある。
【0021】
また、上述の画像形成部140は画像形成手段の一例であり、例えば感光体に形成したトナー像を中間転写体を介さずにシートに転写する直接転写方式の電子写真ユニットを用いてもよい。また、電子写真方式に限らず、例えばインクジェット方式の印刷ユニットやオフセット印刷機構を用いてもよい。
【0022】
(延長ガイドユニット)
延長ガイドユニット200の構成について説明する。
図2は本実施例の排出部160を示す斜視図である。
図3は延長ガイドユニット200を装置本体101から取り外した状態の排出部160と、延長ガイドユニット200とを示す斜視図である。
図4は排出部160の断面図である。
【0023】
図2に示すように、本実施例に係るシート排出装置としての排出部160は、排出ローラ対161、排出トレイ170及び延長ガイドユニット200を有している。排出ローラ対161は、装置本体101の開口部である排出口に配置されている。排出トレイ170は、装置本体101に支持され、胴内排出空間190(
図1)の底部に設けられている。延長ガイドユニット200は、排出口の近傍で装置本体101に対して着脱可能に装着されている。
【0024】
なお、装置本体101において排出ローラ対161が配置された排出口の上方には反転ローラ対162が配置された他の開口部が設けられている。また、延長ガイドユニット200の上方には、反転ガイド171が上方から見て延長ガイドユニット200と重なるように設けられている。
【0025】
図2及び
図3に示すように、延長ガイドユニット200は、ベース部材205と、ガイド部材201と、満載検知フラグ202と、後端押圧フラグ203と、除電ブラシ204と、を備えている。
【0026】
図2及び
図4に示すように、ガイド部材201は、排出ローラ対161から送り出されるシートSの上面に対向するガイド面201aを有しており、ベース部材205に固定されている。ガイド部材201は樹脂材料で形成され、ガイド面201aには、シート排出方向Bに沿った方向に延びる複数のリブ形状が設けられている。このガイド面201aのシート排出方向Bの長さは、排出ローラ対161によって排出される際に排出ローラ対161のニップ部からシートSが飛び出す距離が考慮されている。また、ガイド面201aのシート幅方向の長さは、画像形成装置100が画像形成可能な最大のシート幅(仕様上の最大シート幅)以上に設定されている。
【0027】
ガイド面201aは、好ましくはシート幅方向に見て排出ローラ対161のニップ線Nと略平行に延びるように配置される。本実施例の排出ローラ対161は、シート排出方向Bの下流に向かってやや上方にシートSを送り出す。そのため、ニップ線Nは水平方向に対して傾斜しており、ガイド面201aも略等しい角度で水平方向に対して傾斜している。また、ガイド部材201には、シート排出方向Bにおいてガイド面201aの上流側に連続した面として、シート幅方向に見て、ニップ線Nの上方側からニップ線Nに近づくようにガイド面201aに対して傾斜している傾斜面を有している。この傾斜面は、排出ローラ対161によって排出されたシートSの先端がガイド部材201に引っかかることを防ぐ作用がある。
【0028】
また、ガイド面201aは、ニップ線Nに十分近い位置に配置されることが望ましい。例えば、シート幅方向に見てガイド面201aとニップ線Nとの間の最短距離が10mm以下であると好ましく、5mm以下であるとより好ましい。
【0029】
なお、ニップ線Nとは、シート幅方向に見て、排出ローラ対161がシートSを挟持するニップ位置を通り、一方のローラの回転軸線と他方のローラの回転軸線とを結ぶ線分に対して垂直に交差する直線を指す。つまり、ニップ線Nは排出ローラ対161等の排出手段のニップ部の延長線を指す。排出ローラ対161が、一方のローラを構成する複数のコロ部材と他方のローラを構成する複数のコロ部材とがシート幅方向に互いに入り組んだ構成の場合、コロ部材の外周同士の2つの交点を結ぶ線分と回転軸線同士を結ぶ線分との交点をニップ位置とする。
【0030】
除電ブラシ204は、ガイド面201aに対してシート排出方向Bの下流側に設けられ、導電性の繊維又はシート片からなるブラシ形状がシート幅方向に並んだ部材である。除電ブラシ204は、ガイド面201aに対して下方側に突出しており、例えばシート幅方向に見てニップ線Nと交差するように配置されている。除電ブラシ204は、例えばベース部材205を介して装置本体101の金属枠体と接続されることで、接地電位に接続され、シートの電荷を除去する除電部材として機能する。
【0031】
満載検知フラグ202及び後端押圧フラグ203は、いずれも、ガイド部材201により回動可能に支持され、シート幅方向に延びる軸線を中心に回動する回動部材である。満載検知フラグ202及び後端押圧フラグ203の回動軸はニップ線Nの上方側に位置する。ガイド部材201のガイド面201aには、満載検知フラグ202及び後端押圧フラグ203が突出する切欠き部が設けられている。シートSに接していない状態の満載検知フラグ202及び後端押圧フラグ203の先端は、いずれもニップ線Nの下方側に突出しており、シートSに押圧されると上方側に回動する。
【0032】
満載検知フラグ202及び後端押圧フラグ203は、シート幅方向における排出ローラ対161の中央位置の付近であって、例えば、画像形成装置100が画像形成可能な最小のシート幅(仕様上の最小シート幅)の範囲内に設けられている。ただし、シート幅方向に満載検知フラグ202及び後端押圧フラグ203は互いに離れており、独立して回動可能である。また、満載検知フラグ202及び後端押圧フラグ203は、シートに接していない状態で、回動軸から遠ざかるにつれてシート排出方向Bの下流に向かうように、ニップ線Nに垂直な線に対して傾斜している。このような構成により、回動部材である満載検知フラグ202及び後端押圧フラグ203の干渉を避けつつ、シートSの先端がフラグに衝突した際の衝突音を低減することができる。
【0033】
満載検知フラグ202は、シート幅方向に延びる軸部の一端に、ガイド部材201から突出して、排出トレイ170に積載されたシートSの上面と接触する接触部202aを有し、軸部の他端に遮光部202bを有している。装置本体101には、遮光部202bによって遮光されるフォトインタラプタである満載検知センサ165が設けられている。検知部としての満載検知センサ165は、満載検知フラグ202の回動角度に応じて検知信号が切り替わるように構成されている。つまり、満載検知センサ165及び満載検知フラグ202は、排出トレイ170に所定高さ以上のシートSが積載されているか否かに応じて、満載検知センサ165のON/OFFが切り替わるように構成されている。画像形成装置100の制御部は、満載検知センサ165の検知信号に基づいて排出トレイ170の満載状態を検知すると、画像形成動作を中断すると共に、排出トレイ170からシートSを取り除くようにユーザに通知する。
【0034】
後端押圧フラグ203は、排出ローラ対161のニップを抜けたシートSの後端を下方に押圧してシートSの後端の排出トレイ170への落下を助ける機能を有する。後端押圧フラグ203は、自重により下方に付勢される構成としてもよく、ガイド部材201と後端押圧フラグ203との間に配置したバネによって下方に付勢される構成としてもよい。
【0035】
なお、満載検知フラグ202及び後端押圧フラグ203がシートSに接していない状態で、後端押圧フラグ203の先端203aはシート排出方向Bに関して満載検知センサ165の先端(接触部202a)よりも上流に位置する。後端押圧フラグ203は、より排出ローラ対161のニップに近い位置でシートSの後端を下方に押圧することが好ましいためである。また、後端押圧フラグ203の先端203aから排出トレイ170までの最小距離は、満載検知センサ165の先端(接触部202a)から排出トレイ170までの最小距離よりも小さく設定されている。これにより、満載検知センサ165の検知結果に基づく満載状態が検知される前に後端押圧フラグ203が排出トレイ170上のシートSと接触してしまい、新たに排出されるシートSの後端を適切に押圧できなくなることが避けられる。
【0036】
満載検知フラグ202は本実施例の第1のフラグ部材であり、後端押圧フラグ203は本実施例の第2のフラグ部材である。なお、満載検知フラグ202を省略し、延長ガイドユニット200に後端押圧フラグ203のみを配置する構成も可能である。
【0037】
図3に示すように、延長ガイドユニット200は、ベース部材205を装置本体101の装着部に対してシート幅方向にスライドさせることで装置本体101に対して着脱可能である。ベース部材205が装着部に保持された状態では、ガイド部材201の上下方向及びシート排出方向Bの移動が規制される。
【0038】
なお、満載検知フラグ202の遮光部202b近傍に、延長ガイドユニット200を
図3の左上方向に移動させて装置本体101に装着する際に遮光部202bが装置本体101と衝突することを防ぐガイド形状を設けておくと好適である。このガイド形状は、装置本体101と当接して、満載検知フラグ202が自重により垂れ下がった状態から所定角度だけ上方に回動するように構成されることで、遮光部202bが例えば装置本体101の角部101cと衝突することを防ぐ。満載検知センサ165は電気部品であるため、周囲の少なくとも一部は他の部材によって覆われている場合が多く、上述のガイド形状を設けることにより、遮光部202bと組み合わせる際の衝突を避けることができる。
【0039】
(後処理装置)
延長ガイドユニット200を取り外すことで、
図9に示すように、画像形成装置100の胴内排出空間190にはシート処理装置としての後処理装置40を装着可能となる。図示した例では、装置本体101から排出トレイ170及び反転ガイド171を取り外した状態で、後処理装置40が搭載される構成となっている。
【0040】
後処理装置40は、排出ローラ対161から排出される画像形成済みのシートSを受け入れて搬送する搬送路41と、搬送路41から排出されたシートSが一時的に積載される中間トレイ42と、を備える。また、後処理装置40は、中間トレイ42に積載された複数枚のシートSに綴じ処理を施すステイプラ43と、中間トレイ42から排出された成果物としてのシートSが積載される排出トレイ44と、を有している。ここではシートに処理を施す処理手段としてステイプラ43を例示したが、例えばシートに穴明けを行うパンチユニットや中折り処理を施す中折りユニットを備えた後処理装置40であってもよい。
【0041】
(シートの挙動)
次に、排出ローラ対161によって排出されるシートSの挙動について説明する。
図4及び
図6は排出部160の断面図であり、
図5は1枚目のシートSaの先端が排出ローラ対161のニップを通過した直後の様子、
図6は1枚目のシートSaの後端が排出ローラ対161のニップを通過した直後の様子を表す。なお、装置本体101において排出部160よりもシート搬送方向上流側の図示は省略されている。
【0042】
排出ローラ対161によるシートの排出動作を行う場合、定着器150(
図1)から送り出されたシートSaは、
図4に示すように排出下ガイド163及び排出上ガイド164によって形成される排出パスを介して排出ローラ対161のニップへ案内される。そして、排出ローラ対161により、胴内排出空間190にある排出トレイ170の上方に向けてシート排出方向Bに排出される。なお、排出下ガイド163は、上述の整合面163aと一体の部材として形成されている。
【0043】
上述したように、シートと接していない状態の後端押圧フラグ203及び満載検知フラグ202は、ニップ線Nの下方に突出している。そのため、排出ローラ対161のニップを抜けたシートSaの先端は、後端押圧フラグ203及び満載検知フラグ202を順次押しのけながら移動する。排出中のシートSaはこれらのフラグ部材により重力方向の力を受けるが、シートSaの剛性により、シートSaの後端が排出ローラ対161のニップを抜けるまでは、延長ガイドユニット200の付近でシートSaは概ねニップ線Nに沿って移動する。特に、本実施例では、排出ローラ対161のニップ近傍に、シート排出方向Bの下流から見てシートSaが波打った形状となるようにシートSaを湾曲させる腰付け部材が設けられており、シートSaの剛性が高められている。
【0044】
シートSaの先端が腰付け部材から遠ざかると、自重によりシートSaの先端は垂れ下がって排出トレイ170と接触する。そして、シートSaは、上方に凸なアーチ状の形状で、排出トレイ170と摺接しながら排出される。また、アーチ状となったシートSaの上面が延長ガイドユニット200の除電ブラシ204と摺接することで、シートSaの電荷が除去される。
【0045】
図5に示すように、シートSaの後端が排出ローラ対161のニップを抜けると、シートSaは排出トレイ170に向かって落下し始める。ここで、シートSaの後端が排出ローラ対161のニップを抜けた時点で、シートSaは排出ローラ対161や排出上ガイド164及び排出下ガイド163の拘束を受けない状態となる。そのため、画像形成後のシートSaが有するカールの傾向に従って、シートSaがカールしようとする。また、排出トレイ170に既に積載されているシートが存在しているとき、積載済みシートのカールの程度によっては、排出中のシートSaと積載済みシートとの摺擦による搬送抵抗が大きくなる場合がある。これらの理由により、シートSaの後端が排出ローラ対161のニップを抜けた直後に、ニップ線Nより上方に向かって動こうとする場合がある。
【0046】
しかし、本実施例では、排出ローラ対161が配置される排出口の上部に延長ガイドユニット200が装着され、ガイド部材201のガイド面201aによって上下方向におけるシートSaの後端の位置が規制されている。つまり、ガイド面201aは、シートの後端が、排出手段のニップ部を通過した後にニップ部の延長線から上方に向かって離れるように移動することを規制する規制部として機能する。そして、先行して排出されたシートSaに後続するシートSbが排出ローラ対161のニップに到達するまでに、通常、シートSaの後端はニップ線Nより下方に移動している。
【0047】
このようなガイド面201aを設ける利点について、延長ガイドユニット200を装着していない状態の排出部160におけるシートの挙動を用いて説明する。
図6、
図7、
図8は、いずれも延長ガイドユニット200を装着していない排出部160の断面図である。
図6~
図8に示す構成は、延長ガイドユニット200の未装着状態である他は実施例1と同様である。
【0048】
図6は1枚目のシートSaの後端が排出ローラ対161のニップを通過した直後の様子を表している。本構成例では延長ガイドユニット200が無いことから、排出ローラ対161のニップをシートSaの後端がぬけると、シートSaのカールの傾向に従って、図示したようにシートSaの後端はニップ線Nより上方に移動してしまう可能性がある。そして、シートSaは後端において排出上ガイド164にもたれかかったような姿勢となり、排出上ガイド164と摺擦しながら通常より時間をかけて落下する。
【0049】
このようにもたれた姿勢のシートSaは、
図7に示すように、後端が整合面163aにもたれかかって上方に湾曲した姿勢で積載された状態(後端もたれ)となる場合がある。また、排出上ガイド164にもたれたシートSaの落下が遅れることで、
図8に示すように、後続して排出されるシートSbの先端がもたれたシートSaと衝突し、排出トレイ170に積載されているシートの整列性を乱してしまう場合がある。
【0050】
これに対し、
図4及び
図5を用いて説明した本実施例の構成では、規制部を有するガイド手段としての延長ガイドユニット200を設けたことで、排出ローラ対161のニップを抜けたシートの後端が上方に移動することを規制している。これにより、カールしたシートを排出する場合であっても、後端もたれやシート同士の衝突のような積載不良の発生を抑制することができる。
【0051】
また、本実施例では、延長ガイドユニット200を装置本体101に対して着脱可能な構成としている。排出ローラ対161が排出トレイ170ではなく後処理装置40(
図9)にシートを受け渡す場合は後端もたれ等が発生しないため、ガイド面201aによってシートの後端の移動を規制する必要は少ない。一方、延長ガイドユニット200を取り外すことで、胴内排出空間190に後処理装置40を搭載して装置本体101の排出口と接続する装着動作をより容易に行うことができる。従って、例えば延長ガイドユニット200を装置本体101の一部として構成した場合に比べて、本実施例の構成はより汎用性に優れている。
【0052】
後端もたれやシート同士の衝突を避ける代替手段としては、排出ローラ対161によるシートの排出速度を大きくしたり、シートの排出間隔を広げたりすることが考えられるが、モータ駆動音の増大や画像形成装置の生産性低下が懸念される。これに対し、本実施例では、排出口の付近に延長ガイドユニット200を装着する簡易な構成により、後端もたれやシート同士の衝突を抑制することを可能としている。なお、上記の代替手段を本実施例の構成と組み合わせることも可能である。
【0053】
なお、本実施例では、シートの画像面が下方を向いた姿勢で排出ローラ対161がシートを排出する、いわゆるフェイスダウン排出の構成となっている。ただし、画像面とは、画像形成部140によりトナー像が形成されたシートの面(両面印刷の場合、2回目に画像形成される第2面)を指す。この構成では、定着器150において、シートが画像面の反対側から加圧部材に支持された状態で画像面側を加熱されるため、フェイスダウン排出の際にシートの上カールが生じやすい傾向がある。本実施例で説明した排出部160の構成は、このようなフェイスダウン排出の構成に好適に適用することができる。
【0054】
ただし、画像形成動作の動作設定(片面/両面の設定、シート間隔及び画像形成速度の設定等)、画像形成時の環境条件(温度及び湿度等)、画像形成に用いるシートの材質等により、画像形成後のシートのカールの傾向は変化する。また、画像形成部140のレイアウト(フェイスダウン排出となる配置か否か等)や、画像形成手段として用いる機構の特性等によってもカールの傾向が変化する。従って、本実施例の排出部160の構成は、上述した実施例の画像形成装置100に限らずに適用することができる。
実施例2について説明する。実施例1では排出ローラ対161から排出されるシートが基本的に排出トレイ170に積載される構成を説明したが、本実施例では、排出トレイ170の上方に第2の排出トレイが設けられている。そして、第2の排出トレイが実施例1の延長ガイドユニット200に類似した機能を有する点が、実施例1と異なっている。以下、実施例1と共通の符号を付したものは、実施例1と実質的に共通の構成及び作用を有するものとし、実施例1と異なる部分を中心に説明する。
第2の排出トレイ300は、上下方向において反転ローラ対162が設けられた装置本体101の開口部(第2排出口)と排出ローラ対161が設けられた開口部(第1排出口)との間において、装置本体101に着脱可能に装着されている。第2の排出トレイ300は、上方から見て第1の排出トレイ170と重なるように、装置本体101からシート排出方向Bの下流に延びている。従って、胴内排出空間190は、第1の排出トレイ170の上方で第2の排出トレイ300の下方の第1の排出空間191と、第2の排出トレイ300の上方で画像読取装置102の下方の第2の排出空間192とに分けられている。
また、本実施例の反転ローラ対162は、シートを反転させる反転動作だけでなく、シートを第2の排出トレイ300に排出する排出動作を行うことができる。つまり、排出ローラ対161は第1の排出手段として機能し、反転ローラ対162は第2の排出手段として機能する。なお、反転動作中に第2排出口から装置本体101の外側に飛び出すシートの部分は、第2の排出トレイ300によって支えられる。
本実施例では、上記のガイドリブ300aにより、排出ローラ対161がシートSを排出する場合に排出ローラ対161のニップを抜けたシートSの後端がニップ線Nの上方に移動することが規制される。つまり、ガイドリブ300aは本実施例の規制部として機能し、第2の排出トレイ300は本実施例のガイド手段として機能する。このため、実施例1と同様に、カールしたシートを排出する場合であっても、後端もたれやシート同士の衝突のような積載不良の発生を抑制することができる。
なお、本実施例ではシート後端の位置を規制するガイドリブ300aを第2の排出トレイ300の一部として形成する構成を示したが、他の部材(例えば実施例1の反転ガイド171の下面部)にガイドリブ300aを配置してもよい。また、ガイドリブ300aを第2の排出トレイ300とは別個に作成し、第2の排出トレイ300に対してネジ等で固定してもよい。また、規制部は複数のリブによって形成されるものに限らず、シート幅方向及びシート排出方向に広がる面形状であってもよい。このような面形状の規制部は、より多様なシートサイズに対応しやすい利点がある。
また、本実施例の第2の排出トレイ300に、実施例1と同様の満載検知フラグ202及び/又は後端押圧フラグ203を配置してもよい。これらのフラグ部材を設けることで、排出ローラ対161のニップを抜けたシートSの後端を下方に押圧して、後端もたれやシート同士の衝突のような積載不良の発生をさらに抑制することができる。