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特開2024-1804505-HT2Bアゴニストの形成を阻害するための製剤およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180450
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】5-HT2Bアゴニストの形成を阻害するための製剤およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20241219BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/36 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/137
A61K31/05
A61K31/36
A61K31/551
A61K31/19
A61P25/00
A61P25/08
A61P3/04
A61P43/00 111
A61P43/00 121
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024176867
(22)【出願日】2024-10-09
(62)【分割の表示】P 2022146769の分割
【原出願日】2017-08-02
(31)【優先権主張番号】62/379,183
(32)【優先日】2016-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/515,383
(32)【優先日】2017-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515314845
【氏名又は名称】ゾゲニクス インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ファー スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ボイド ブルックス
(57)【要約】
【課題】フェンフルラミンに応答する疾患および状態を処置するためにフェンフルラミンを使用する方法であって、フェンフルラミンの治療有効レベルを維持しながら有害代謝産物に対する患者の曝露を減少させる方法および組成物を提供する。
【解決手段】薬物の組み合わせおよびそれらの使用が開示される。第1の薬物が、第2の薬物と組み合わせて投与される。フェンフルラミンなどの第1の薬物は、公知の有害副作用を有するノルフェンフルラミンなどの、5-HT2Bアゴニストを含む代謝産物の形成を特徴とする。第2の薬物は、代謝産物の形成を下方調節することで第1の薬物をより安全にする、カンナビジオールなどのCYP阻害剤の形態である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薬物の代謝を阻害するための製剤の使用であって、該第1の薬物が、有害作用を有する代謝産物の形成を特徴とし、
該製剤が、第1の薬物とCYP450酵素阻害剤の形態の第2の薬物とを含み、
それにより、CYP450酵素阻害剤が、第1の薬物の代謝産物の形成を下方調節する、前記使用。
【請求項2】
第1の薬物が、5-HT受容体に作用することを特徴とし、かつ5-HT2B受容体に作用する公知の有害作用を有する代謝産物の形成をさらに特徴とし;
CYP450酵素阻害剤が代謝産物の形成を下方調節する、
請求項1記載の使用。
【請求項3】
神経疾患を有すると診断された患者において発作を予防し、減少させ、または寛解させるための、請求項1記載の使用。
【請求項4】
患者が難治性てんかんの一形態を有すると診断されている、請求項3記載の使用。
【請求項5】
難治性てんかんの一形態が、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、ドーゼ(Doose)症候群、およびウエスト症候群からなる群より選択される、請求項4記載の使用。
【請求項6】
対象において食欲を抑制するための、請求項1記載の使用。
【請求項7】
第1の薬物がフェンフルラミンであり、有害代謝産物がノルフェンフルラミンである、請求項1~6のいずれか一項記載の使用。
【請求項8】
CYP450阻害剤が、CYP1A2阻害剤、CYP2B6阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C19阻害剤、CYP2D6阻害剤、およびCYP3A4阻害剤からなる群より選択される、請求項1~7のいずれか一項記載の使用。
【請求項9】
CYP450阻害剤が、スチリペントール、クロバザム、およびカンナビジオールからなる群より選択される、請求項1~8のいずれか一項記載の使用。
【請求項10】
CYP阻害剤がカンナビジオールである、請求項1~9のいずれか一項記載の使用。
【請求項11】
製剤が、アセタゾラミド、バルベキサクロン、ベクラミド、ブリバラセタム、ブプロプリオン、シナカルセト、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ジバルプロエクス、エスリカルバゼピン酢酸エステル、エタジオン、エトトイン、フェルバメート、ガバペンチン、ラコサミド、ロラゼパム、メフェニトイン、メタゾラミド、メトスクシミド、メチルフェノバルビタール、ミダゾラム、ニメタゼパム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、パラメタジオン、ペランパネル、ピラセタム、フェナセミド、フェネトライド、フェンスクシミド、フェニトイン、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナマイド、セレクトラセタム(selectracetam)、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、スルチアム、テマゼパム、チアガビン、トピラマート、トリメタジオン、バルノクタミド、バルプロミド、ビガバトリン、ゾニサミド、およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される併用治療剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項記載の使用。
【請求項12】
フェンフルラミンの治療量を減少させるための製剤の使用であって、該製剤が、
フェンフルラミン、および
カンナビジオールを含み、
それにより、フェンフルラミンが、処置中の徴候について患者を処置する際に必要な治療量よりも少なくとも20%少ない量で使用される、前記使用。
【請求項13】
投与されるフェンフルラミンの量が、処置中の徴候について患者を処置する際に必要な治療量よりも少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%少ない、請求項12記載の使用。
【請求項14】
処置中の徴候が食欲抑制である、請求項13記載の使用。
【請求項15】
処置中の徴候が、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、およびドーゼ症候群からなる群より選択される難治性てんかんである、請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般的には薬化学分野に関し、より具体的には、5-HT2B受容体に作用する代謝産物の形成を阻害することで有害副作用を減少させる薬物の組み合わせ、より具体的にはフェンフルラミンとノルフェンフルラミンの形成を阻害する薬物との組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
難治性てんかんに対して有効な抗てんかん薬を同定するための創薬は、大変な難題である。根本的な病因は様々であり、よく理解されていない。多くの抗てんかん薬(「AED」)は無効であるか、または症状を悪化させることから禁忌でさえある。それらの作用機序は、しばしば複雑であり得、しばしば特徴づけが完了していない。したがって、新薬の有効性を予測することは、機能することが知られている薬物に構造的に関連する新薬であっても困難である。さらなる困難は、臨床試験に登録されている患者が、しばしば、発作を解消しないが患者を相対的に安定な状態に維持する複数の薬物で処置中であるということにある。患者の状態が悪化し、重症でしばしば生命を脅かす症状が再発するというリスクがあることから、患者の処置を変更する余地は厳しく制限されている。
【0003】
それにもかかわらず、ブレイクスルーが起きている。重要なものとしてはフェンフルラミンがあり、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、ドーゼ(Doose)症候群、およびウエスト症候群を含む難治性てんかんを処置する上で非常に有効であることがわかっている。ドラベ症候群、または乳児重症ミオクロニーてんかんは、稀な悪性のてんかん症候群である。この種類のてんかんは、過去に健常であった子どもにおいて早期発症を示し、大部分の従来のAEDに対して難治性である。同様に、レノックス・ガストー症候群、ドーゼ症候群、およびウエスト症候群はすべて、従来の処置薬に対して同様に難治性である重症疾患である。フェンフルラミン以前に、これらの状態のいずれかに対する確実に有効な処置オプションはほとんどなく、長期間完全に発作を解消することができるものはなかった。
【0004】
3-トリフルオロメチル-N-エチルアンフェタミンとしても知られるフェンフルラミンは、2つの鏡像異性体デクスフェンフルラミンおよびレボフェンフルラミンのラセミ混合物である。フェンフルラミンが発作を減少させる機序は、完全には理解されていないが、フェンフルラミンは、気分、食欲、および他の機能を制御する神経伝達物質であるセロトニンのレベルを増加させる。フェンフルラミンは、セロトニンの放出を、当該神経伝達物質の小胞貯蔵を妨害し、かつセロトニントランスポーター機能を逆転させることで引き起こす。また、5HT受容体、特に5HT1D、5HT2A、5HT2C、および5HT7に直接作用することが知られている。5HT2B受容体に対する有意なアゴニスト作用を示さない。
【0005】
フェンフルラミンは、腎排泄によって、かつ肝内のチトクロムP450酵素、主にCYP1A2、CYP2B6、およびCYP2D6によるノルフェンフルラミンへの肝代謝を通じて、血漿から排除されるが、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP3A4もフェンフルラミンクリアランスに寄与する。図7A参照。そのような代謝は、以下に示す、ノルフェンフルラミンなどの脱エチル化ノルフェンフルラミン代謝産物を産生するCYP450酵素によるN-エチル基の開裂を含む。
【0006】
フェンフルラミンは、当初Pondimin、Ponderax、およびAdifaxという商品名で食欲低下剤として販売されたが、心線維症として知られる状態を含む、心臓弁膜症および肺高血圧症の報告後、1997年に米国市場から撤去された。続いて世界中の他の市場から撤去された。フェンフルラミンで見られる特有の弁膜異常は、弁尖(leaflet)および腱索の肥厚である。
【0007】
この現象を説明するために使用される1つの機序には、増殖を制御することに役立つと考えられる心臓弁セロトニン受容体が関与する。5-HT2B受容体はヒト心臓弁中に豊富である。フェンフルラミンおよびその活性代謝産物ノルフェンフルラミンがセロトニン受容体を刺激し、ノルフェンフルラミンが特に強力な5-HT2Bアゴニストであることから、このことが、フェンフルラミンを使用した患者に見られた弁膜異常を生じさせた可能性がある。この弁膜異常が、5-HT2B受容体に作用する他の薬物を使用した患者においても生じたという事実が、この考えを裏づけている。
【0008】
より一般的に言えば、多くの高有効性薬は、フェンフルラミンと同様に、中毒作用を示す活性代謝産物による著しいリスクに関連する。それらのリスクの本質および重大性は、治療剤としての薬物の実行可能性、およびその販売可能性に強く影響するものであり、安全性の懸念により撤去された高有効性薬の多くの例が存在する。
【0009】
したがって、フェンフルラミンに応答する疾患および状態を処置するためにフェンフルラミンを使用する方法であって、フェンフルラミンの治療有効レベルを維持しながら有害代謝産物に対する患者の曝露を減少させる方法が、当技術分野において必要とされている。また、難治性小児てんかん症候群の安全かつ有効な新規処置薬も、当技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
患者を処置するために使用されている薬物の有害代謝産物に対する該患者の曝露を減少させるための組成物および方法が、本明細書において提供される。例えば、本開示は、5-HT2B受容体により媒介される潜在的に有害な活性を示す薬物代謝産物に対する曝露を減少させるための方法および組成物を提供する。
【0011】
一局面では、本開示は、1つまたは複数の有害代謝産物に代謝される薬物で処置中の対象において有害代謝産物の産生を阻害する方法であって、該薬物が1つまたは複数の代謝阻害剤と同時投与される方法を提供する。
【0012】
一態様では、薬物はフェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩であり、カンナビジオールなどの代謝阻害剤と同時投与される。
【0013】
別の態様では、フェンフルラミンなどの薬物は、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、およびCYP3A4からなる群より選択される1つまたは複数の代謝酵素の阻害剤より選択される1つまたは複数の代謝阻害剤と同時投与される。
【0014】
本局面の別の態様では、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩は、スチリペントール、クロバザム、およびカンナビジオールを含む群より選択される1つまたは複数の剤と同時投与される。
【0015】
別の例示的な態様では、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩はスチリペントールと、またはカンナビジオールと、またはクロバザムと同時投与される。
【0016】
別の例示的な態様では、フェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩はカンナビジオールおよびスチリペントールと、またはカンナビジオールおよびクロバザムと、またはスチリペントールおよびクロバザムと同時投与される。
【0017】
1つの例示的な態様では、フェンフルラミン有効剤はスチリペントール、カンナビジオール、およびクロバザムのすべてと同時投与される。
【0018】
別の局面では、本開示は、対象にフェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩を有効量の1つまたは複数の代謝阻害剤との組み合わせで同時投与することで、てんかんまたは関連神経疾患を処置する方法を提供する。
【0019】
別の態様では、関連神経疾患はドラベ症候群であり、またはレノックス・ガストー症候群であり、またはドーゼ症候群であり、またはウエスト症候群である。
【0020】
別の局面では、本開示は、対象にフェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩を有効量の1つまたは複数の代謝阻害剤との組み合わせで同時投与することで、対象において食欲を抑制する方法を提供する。
【0021】
本方法の実施における使用のための薬学的組成物も提供される。
【0022】
本発明の一局面は、第1の薬物の代謝の阻害における使用のための製剤であって、第1の薬物が、有害作用を有する代謝産物の形成を特徴とし、
該製剤が、第1の薬物とCYP450酵素阻害剤の形態の第2の薬物とを含み、
それにより、CYP450酵素阻害剤が、第1の薬物の代謝産物の形成を下方調節する、製剤である。
【0023】
本発明の別の局面は、患者の処置における使用のための製剤であって、
5-HT受容体に作用することを特徴とし、かつ5-HT2B受容体に作用する公知の有害作用を有する代謝産物の形成をさらに特徴とする、第1の薬物; および
CYP450酵素阻害剤の形態の第2の薬物を含み、
それにより、CYP阻害剤が第1の薬物の代謝産物の形成を下方調節する、製剤である。
【0024】
本発明の別の局面は、神経疾患を有すると診断された患者における発作の予防、減少、または寛解における使用のための製剤であって、
5-HT受容体に作用することを特徴とし、かつ、5-HT2B受容体に作用する公知の有害作用を有する代謝産物の形成を特徴とする、第1の薬物; および
CYP阻害剤の形態の第2の薬物を含み、
それにより、CYP阻害剤が第1の薬物の代謝産物の形成を下方調節する、製剤である。
【0025】
本発明の別の局面は、患者が難治性てんかんの一形態を有すると診断されている、先に記載の使用のための製剤である。
【0026】
本発明の別の局面は、難治性てんかんの一形態が、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、ドーゼ症候群、およびウエスト症候群からなる群より選択される、先に記載の使用のための製剤である。
【0027】
本発明の一局面は、患者における食欲の抑制における使用のための製剤であって、
5-HT受容体に作用することを特徴とし、かつ、5-HT2B受容体に作用する公知の有害作用を有する代謝産物の形成を特徴とする、第1の薬物; および
CYP阻害剤の形態の第2の薬物を含み、
それにより、CYP阻害剤が第1の薬物の代謝産物の形成を下方調節する、製剤である。
【0028】
本発明の別の局面は、第1の薬物がフェンフルラミンであり、有害代謝産物がノルフェンフルラミンである、先に記載の使用のための製剤である。
【0029】
本発明の別の局面は、1つまたは複数の代謝阻害剤がCYP450阻害剤である、先に記載の使用のための製剤である。
【0030】
本発明の別の局面は、CYP450阻害剤が、CYP1A2阻害剤、CYP2B6阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C19阻害剤、CYP2D6阻害剤、およびCYP3A4阻害剤からなる群より選択される、先に記載の使用のための製剤である。
【0031】
本発明の別の局面は、1つまたは複数の代謝阻害剤がスチリペントール、クロバザム、およびカンナビジオールからなる群より選択される、先に記載の使用のための製剤である。
【0032】
本発明の別の局面は、CYP阻害剤がカンナビジオールである、先に記載の使用のための製剤である。
【0033】
本発明の別の局面は、対象に有効量のアセタゾラミド、バルベキサクロン、ベクラミド、ブリバラセタム、ブプロプリオン、シナカルセト、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ジバルプロエクス、エスリカルバゼピン酢酸エステル、エタジオン、エトトイン、フェルバメート、ガバペンチン、ラコサミド、ロラゼパム、メフェニトイン、メタゾラミド、メトスクシミド、メチルフェノバルビタール、ミダゾラム、ニメタゼパム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、パラメタジオン、ペランパネル、ピラセタム、フェナセミド、フェネトライド、フェンスクシミド、フェニトイン、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナマイド、セレクトラセタム(selectracetam)、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、スルチアム、テマゼパム、チアガビン、トピラマート、トリメタジオン、バルノクタミド、バルプロミド、ビガバトリン、ゾニサミド、およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される併用治療剤を同時投与することをさらに含む、先に記載の使用のための製剤である。
【0034】
本発明の一局面は、ノルフェンフルラミンの形成を特徴とするフェンフルラミンの代謝の阻害における使用のための製剤であって、
フェンフルラミンおよびCYP450酵素阻害剤を含み、
それにより、CYP450酵素阻害剤がノルフェンフルラミンの形成を下方調節する、製剤である。
【0035】
本発明の別の局面は、患者が難治性てんかんの一形態を有すると診断されている、先に記載の使用のための製剤である。
【0036】
本発明の別の局面は、難治性てんかんの一形態が、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、ドーゼ症候群、およびウエスト症候群からなる群より選択される、先に記載の使用のための製剤である。
【0037】
本発明の一局面は、患者における食欲の抑制における使用のための製剤であって、
治療有効量のフェンフルラミン; および
CYP阻害剤を含み、
それにより、CYP阻害剤がノルフェンフルラミンの形成を下方調節する、製剤である。
【0038】
本発明の別の局面は、CYP阻害剤がCYP450阻害剤である、先に記載の使用のための製剤である。
【0039】
本発明の別の局面は、CYP450阻害剤が、CYP1A2阻害剤、CYP2B6阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C19阻害剤、CYP2D6阻害剤、およびCYP3A4阻害剤からなる群より選択される、先に記載の使用のための製剤である。
【0040】
本発明の別の局面は、阻害剤がスチリペントール、クロバザム、およびカンナビジオールからなる群より選択される、先に記載の使用のための製剤である。
【0041】
本発明の別の局面は、CYP阻害剤がカンナビジオールである、先に記載の使用のための製剤である。
【0042】
本発明の別の局面は、有効量のアセタゾラミド、バルベキサクロン、ベクラミド、ブリバラセタム、ブプロプリオン、シナカルセト、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ジバルプロエクス、エスリカルバゼピン酢酸エステル、エタジオン、エトトイン、フェルバメート、ガバペンチン、ラコサミド、ロラゼパム、メフェニトイン、メタゾラミド、メトスクシミド、メチルフェノバルビタール、ミダゾラム、ニメタゼパム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、パラメタジオン、ペランパネル、ピラセタム、フェナセミド、フェネトライド、フェンスクシミド、フェニトイン、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナマイド、セレクトラセタム、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、スルチアム、テマゼパム、チアガビン、トピラマート、トリメタジオン、バルノクタミド、バルプロミド、ビガバトリン、ゾニサミド、およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択されるさらなる剤をさらに含む、先に記載の使用のための製剤である。
【0043】
本発明の一局面は、フェンフルラミンの治療量の減少における使用のための製剤であって、
フェンフルラミン、および
カンナビジオールを含み、
それにより、フェンフルラミンが、処置中の徴候について患者を処置する際に必要な治療量よりも少なくとも20%少ない量で使用される、製剤である。
【0044】
本発明の別の局面は、使用されるフェンフルラミンの量が少なくとも30%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0045】
本発明の別の局面は、使用されるフェンフルラミンの量が少なくとも40%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0046】
本発明の別の局面は、使用されるフェンフルラミンの量が少なくとも50%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0047】
本発明の別の局面は、使用されるフェンフルラミンの量が少なくとも60%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0048】
本発明の別の局面は、使用されるフェンフルラミンの量が少なくとも70%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0049】
本発明の別の局面は、投与されるフェンフルラミンの量が少なくとも80%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0050】
本発明の別の局面は、投与されるフェンフルラミンの量が少なくとも90%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0051】
本発明の別の局面は、処置中の徴候が食欲抑制である、先に記載の使用のための製剤である。
【0052】
本発明の別の局面は、処置中の徴候が難治性てんかんである、先に記載の使用のための製剤である。
【0053】
本発明の別の局面は、難治性てんかんがドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、およびドーゼ症候群からなる群より選択される、先に記載の使用のための製剤である。
【0054】
本発明の一局面は、第1の薬物の治療量の減少における使用のための製剤であって、
第1の薬物、および
CYP450酵素阻害剤である第2の薬物を含み、
それにより、第1の薬物が、処置中の徴候について使用される際に必要な治療量よりも少なくとも20%少ない量で投与される、製剤である。
【0055】
本発明の別の局面は、使用される第1の薬物の量が少なくとも30%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0056】
本発明の別の局面は、使用される第1の薬物の量が少なくとも40%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0057】
本発明の別の局面は、使用される第1の薬物の量が少なくとも50%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0058】
本発明の別の局面は、使用される第1の薬物の量が少なくとも60%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0059】
本発明の別の局面は、使用される第1の薬物の量が少なくとも70%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0060】
本発明の別の局面は、使用される第1の薬物の量が少なくとも80%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0061】
本発明の別の局面は、使用される第1の薬物の量が少なくとも90%少ない、先に記載の使用のための製剤である。
【0062】
本発明の別の局面は、第1の薬物がフェンフルラミンであり、処置中の徴候が食欲抑制である、先に記載の使用のための製剤である。
【0063】
本発明の別の局面は、CYP450酵素阻害剤がカンナビジオールであり、処置中の徴候が難治性てんかんである、先に記載の使用のための製剤である。
【0064】
本発明の別の局面は、難治性てんかんがドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、およびドーゼ症候群からなる群より選択される、先に記載の使用のための製剤である。
【0065】
本発明のこれらのおよび他の目的、利点、および特徴は、以下にさらに完全に記載される、フェンフルラミンまたはその薬学的に同等の塩を1つまたは複数の代謝阻害剤と同時投与することで、てんかんまたは神経状態を処置することに関する詳細を読めば、当業者には明らかになるであろう。
[本発明1001]
第1の薬物の代謝を阻害するための製剤の使用であって、該第1の薬物が、有害作用を有する代謝産物の形成を特徴とし、
該製剤が、第1の薬物とCYP450酵素阻害剤の形態の第2の薬物とを含み、
それにより、CYP450酵素阻害剤が、第1の薬物の代謝産物の形成を下方調節する、前記使用。
[本発明1002]
第1の薬物が、5-HT受容体に作用することを特徴とし、かつ5-HT2B受容体に作用する公知の有害作用を有する代謝産物の形成をさらに特徴とし;
CYP450酵素阻害剤が代謝産物の形成を下方調節する、
本発明1001の使用。
[本発明1003]
神経疾患を有すると診断された患者において発作を予防し、減少させ、または寛解させるための、本発明1001の使用。
[本発明1004]
患者が難治性てんかんの一形態を有すると診断されている、本発明1003の使用。
[本発明1005]
難治性てんかんの一形態が、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、ドーゼ(Doose)症候群、およびウエスト症候群からなる群より選択される、本発明1004の使用。
[本発明1006]
対象において食欲を抑制するための、本発明1001の使用。
[本発明1007]
第1の薬物がフェンフルラミンであり、有害代謝産物がノルフェンフルラミンである、本発明1001~1006のいずれかの使用。
[本発明1008]
CYP450阻害剤が、CYP1A2阻害剤、CYP2B6阻害剤、CYP2C9阻害剤、CYP2C19阻害剤、CYP2D6阻害剤、およびCYP3A4阻害剤からなる群より選択される、本発明1001~1007のいずれかの使用。
[本発明1009]
CYP450阻害剤が、スチリペントール、クロバザム、およびカンナビジオールからなる群より選択される、本発明1001~1008のいずれかの使用。
[本発明1010]
CYP阻害剤がカンナビジオールである、本発明1001~1009のいずれかの使用。
[本発明1011]
製剤が、アセタゾラミド、バルベキサクロン、ベクラミド、ブリバラセタム、ブプロプリオン、シナカルセト、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ジバルプロエクス、エスリカルバゼピン酢酸エステル、エタジオン、エトトイン、フェルバメート、ガバペンチン、ラコサミド、ロラゼパム、メフェニトイン、メタゾラミド、メトスクシミド、メチルフェノバルビタール、ミダゾラム、ニメタゼパム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、パラメタジオン、ペランパネル、ピラセタム、フェナセミド、フェネトライド、フェンスクシミド、フェニトイン、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナマイド、セレクトラセタム(selectracetam)、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、スルチアム、テマゼパム、チアガビン、トピラマート、トリメタジオン、バルノクタミド、バルプロミド、ビガバトリン、ゾニサミド、およびその薬学的に許容される塩からなる群より選択される併用治療剤をさらに含む、本発明1001~1010のいずれかの使用。
[本発明1012]
フェンフルラミンの治療量を減少させるための製剤の使用であって、該製剤が、
フェンフルラミン、および
カンナビジオールを含み、
それにより、フェンフルラミンが、処置中の徴候について患者を処置する際に必要な治療量よりも少なくとも20%少ない量で使用される、前記使用。
[本発明1013]
投与されるフェンフルラミンの量が、処置中の徴候について患者を処置する際に必要な治療量よりも少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%少ない、本発明1012の使用。
[本発明1014]
処置中の徴候が食欲抑制である、本発明1013の使用。
[本発明1015]
処置中の徴候が、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、およびドーゼ症候群からなる群より選択される難治性てんかんである、本発明1013の方法。
【図面の簡単な説明】
【0066】
本発明は、以下の詳細な説明が添付図面と併せて読まれる際に最もよく理解されよう。一般的慣行により、図面の様々な特徴が原寸比例ではないことが強調されよう。逆に、わかりやすくするために、様々な特徴の寸法を随意で拡大または縮小している。図面には以下の図が含まれる。
【0067】
図1】実施例1に詳述される臨床試験中の3つの各試験期間にわたる評価および血漿試料採取を詳述する、表形式の流れ図である。
図2】実施例1に記載の健常対象におけるフェンフルラミンおよびノルフェンフルラミンの血漿レベルに対するフェンフルラミンとスチリペントール、バルプロエート、およびクロバザムとの同時投与の影響を示す2本の棒グラフからなる。
図3】実施例2に記載の薬物-薬物相互作用の生理学的薬物動態(PBPK DDI)モデルの開発を図示する流れ図である。
図4】実施例2に記載の薬物-薬物相互作用の生理学的薬物動態(PBPK DDI)モデルの模式図である。
図5A】以下の薬物が単独または組み合わせで投与された患者における分析物の血漿レベルの変化を示す時間経過グラフである: フェンフルラミン(0.8mg/kg)、スチリペントール(2500mg)、クロバザム(20mg)、またはバルプロ酸(25mg/kg~最大1500mg)。図5Aは、フェンフルラミン0.8mg/kgで処置された対象における血漿フェンフルラミンおよびノルフェンフルラミンの変化の時間経過グラフである。図5Aおよび図5Bの両方において、実施例1の試験による観測データ点が、実施例2に記載のPBPK DDIモデルを実行することで生成されたフェンフルラミンおよびノルフェンフルラミンの予測曝露レベルを表す曲線の上に重ね合わせられている。
図5B】以下の薬物が単独または組み合わせで投与された患者における分析物の血漿レベルの変化を示す時間経過グラフである: フェンフルラミン(0.8mg/kg)、スチリペントール(2500mg)、クロバザム(20mg)、またはバルプロ酸(25mg/kg~最大1500mg)。図5Bは、フェンフルラミン0.8mgとスチリペントール3500mg、クロバザム20mg、およびバルプロ酸25mg/kg(~最大1500mg)との組み合わせで処置された対象におけるフェンフルラミンおよびノルフェンフルラミンの観測血漿レベルの変化を示す時間経過グラフである。図5Aおよび図5Bの両方において、実施例1の試験による観測データ点が、実施例2に記載のPBPK DDIモデルを実行することで生成されたフェンフルラミンおよびノルフェンフルラミンの予測曝露レベルを表す曲線の上に重ね合わせられている。
図5C】以下の薬物が単独または組み合わせで投与された患者における分析物の血漿レベルの変化を示す時間経過グラフである: フェンフルラミン(0.8mg/kg)、スチリペントール(2500mg)、クロバザム(20mg)、またはバルプロ酸(25mg/kg~最大1500mg)。図5Cは、クロバザムが単独またはフェンフルラミンとの組み合わせで与えられた対象におけるクロバザムの観測血漿レベルの変化を示す時間経過グラフである。図5C図5D、および図5Eのすべてにおいて、実施例1の試験による観測データ点が、実施例2に記載のPBPK DDIモデルにより生成されたクロバザム、スチリペントール、またはバルプロ酸の予測レベルをそれぞれ表す曲線の上に重ね合わせられている。
図5D】以下の薬物が単独または組み合わせで投与された患者における分析物の血漿レベルの変化を示す時間経過グラフである: フェンフルラミン(0.8mg/kg)、スチリペントール(2500mg)、クロバザム(20mg)、またはバルプロ酸(25mg/kg~最大1500mg)。図5Dは、スチリペントールが単独またはフェンフルラミンとの組み合わせで与えられた対象におけるスチリペントールの観測血漿レベルの変化を示す時間経過グラフである。図5C図5D、および図5Eのすべてにおいて、実施例1の試験による観測データ点が、実施例2に記載のPBPK DDIモデルにより生成されたクロバザム、スチリペントール、またはバルプロ酸の予測レベルをそれぞれ表す曲線の上に重ね合わせられている。
図5E】以下の薬物が単独または組み合わせで投与された患者における分析物の血漿レベルの変化を示す時間経過グラフである: フェンフルラミン(0.8mg/kg)、スチリペントール(2500mg)、クロバザム(20mg)、またはバルプロ酸(25mg/kg~最大1500mg)。図5Eは、バルプロ酸が単独またはフェンフルラミンとの組み合わせで与えられた対象におけるバルプロ酸の観測血漿レベルの変化を示す時間経過グラフである。図5C図5D、および図5Eのすべてにおいて、実施例1の試験による観測データ点が、実施例2に記載のPBPK DDIモデルにより生成されたクロバザム、スチリペントール、またはバルプロ酸の予測レベルをそれぞれ表す曲線の上に重ね合わせられている。
図6】スチリペントール、バルプロ酸、およびクロバザムの血漿レベルに対するフェンフルラミンとスチリペントール、バルプロ酸、およびクロバザムとの同時投与の観測された影響(STP/VPA/CLB AUC0-72に対する変化%)を、実施例2に記載のPBPK DDIモデルにより予測された各薬物に対する影響と比較する。
図7】チャート7A、7B、7C、7D、7E、および7Fからなり、各チャートは、腎排泄および肝代謝の両方を考慮した、特定のCYP450酵素のクリアランス値を示し、文献報告、およびヒト肝ミクロソームを使用したインキュベーション試験に基づく、クリアランス全体に対する相対的寄与を示す。クリアランス値を以下のように段階づける: 空白は寄与なしを示し、+は最小限の寄与を示し、++は部分的な寄与を示す。阻害値および誘導値は、文献報告、およびインビトロ試験結果から得られたデータ、ならびに本発明者らが提供したFDAの基礎的および機構的な静的モデルに基づく、酵素活性に対する剤の相対強度を反映している。阻害値および誘導値を以下のように段階づける: 空白は効果なしを示し、1は弱い効果を示し、2は強い効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
定義
本明細書において使用される「対象」という用語は哺乳動物を意味する。例示的な哺乳動物としてはヒト、飼育動物(例えばイヌ、ネコなど)、家畜(例えばウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、または実験動物(例えばサル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)が挙げられるがそれに限定されない。特定の態様では、対象はヒトである。
【0069】
本明細書において使用される「処置」、「処置すること」などの用語は、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味する。この効果は、疾患もしくはその症状を完全もしくは部分的に予防するという点で予防的であってもよく、かつ/または、疾患および/もしくは該疾患に起因しうる有害作用の部分治癒もしくは完全治癒という点で治療的であってもよい。本明細書において使用される「処置すること」、「処置」、「治療的」、または「治療」という用語は、疾患または状態の完全な治癒または解消を必ずしも意味せず、潜在的に有害な薬物代謝産物の形成を阻害することを含む。疾患または状態のあらゆる望まれない徴候または症状のあらゆる程度のあらゆる軽減が、処置および/または治療と見なされうる。さらに、処置は、患者の全体的な幸福感または外見を悪化させうる行為を含みうる。本明細書において使用される「処置」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患のあらゆる処置を網羅するものであり、(a) 疾患に罹患しやすい可能性があるが疾患を有するとはまだ診断されていない対象において疾患の発生を予防すること; (b) 疾患を阻害する、すなわち疾患の発生を停止させること; および(c) 疾患を軽減すること、すなわち疾患の退行を引き起こすことを含む。
【0070】
本明細書において使用されるpKaという用語は、酸の酸解離定数(Ka)の負の対数(p)を意味し、また、等濃度の酸およびその共役塩基形態が溶液中に存在するpH値に等しい。
【0071】
本明細書において使用される「フェンフルラミン有効剤」という用語は、少なくとも部分的にフェンフルラミンの機能的等価物である剤を意味する。いくつかの場合では、フェンフルラミン有効剤はフェンフルラミンそれ自体、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの場合では、フェンフルラミン有効剤はフェンフルラミンの構造誘導体である。「構造誘導体」とは、類似の化合物から化学反応により誘導される化合物を意味する。いくつかの場合では、フェンフルラミン有効剤はフェンフルラミンの構造類似体、すなわち、既存の方法を使用して合成されたまたは合成可能であったか否かにかかわらず、1個の原子または原子群が別の原子または原子群で置き換えられる際に別の化合物から理論上は生じうる化合物である。いくつかの場合では、フェンフルラミン有効剤は、1個または複数の原子が重水素、15N、および13Cなどの同位体で置き換えられたフェンフルラミンの構造類似体でありうる。
【0072】
本明細書において使用される「代謝酵素」という用語は、化学修飾によってであれ、立体構造変化によってであれ、別の化学種との非共有結合的会合によってであれ、分子を別の分子に変換する、任意の酵素または生化学的経路を意味する。代謝酵素の作用により得られる分子を「代謝産物」と呼ぶ。多くの代謝酵素および代謝酵素系が当技術分野において公知であり、肝臓中に見られるチトクロムP450またはCYP450酵素系、およびサイトゾル中に見られるグルクロノシルトランスフェラーゼが挙げられるがそれに限定されない。
【0073】
本明細書において使用される「フェンフルラミン代謝酵素」という用語は、フェンフルラミンまたはフェンフルラミン類似体基質にインビボで作用してノルフェンフルラミンまたは脱アルキル化ノルフェンフルラミン型代謝産物を産生する任意の内在酵素を意味する。当該代謝酵素の任意の好都合な阻害剤を本方法および組成物において利用することで、フェンフルラミン有効剤の代謝を遮断することができる。
【0074】
本明細書において使用される「望まれない代謝産物」、「望ましくない代謝産物」などの用語は、任意の理由で望まれていない代謝産物を意味する。「有害代謝産物」とは、1つまたは複数の有害作用に関連する代謝産物のことである。有害代謝産物の実例としては、5HT-2B受容体を活性化しかつ心臓弁肥厚に関連する、ノルフェンフルラミンなどの脱アルキル化フェンフルラミン代謝産物がある。一般に、有害代謝産物は、あらゆる数の経路によって作用しうるし、あらゆる数の有害作用に関連しうる。
【0075】
本明細書において使用される「クリアランス」とは、身体から分子を排除するプロセスを意味するものであり、分子をその代謝産物に変換する生化学的経路、および腎クリアランスが挙げられるがそれに限定されない。
【0076】
発明の詳細な説明
本方法および組成物を説明する前に、本発明が、記載される特定の方法および組成物に限定されず、したがって変形が当然ありうるということを理解されたい。また、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることから、本明細書において使用される用語法が、特定の態様のみを記述するためのものであり、限定的であるようには意図されていないということも理解されたい。
【0077】
値の範囲が示される場合、該範囲の上限と下限との間の、文脈上別途明らかな断りがない限りは下限の単位の10分の1単位までの各介在値も具体的に開示されるということを理解されたい。記載範囲内の任意の記載値または介在値と、記載範囲内の任意の他の記載値または介在値との間の、より小さい範囲がそれぞれ本発明内に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は独立して、該範囲に包含されても該範囲から除外されてもよく、より小さい範囲に一方の限界が含まれるか、いずれの限界も含まれないか、またはいずれの限界も含まれる各範囲も、前記範囲におけるいずれかの限界が特に除外されることを前提として、本発明内に包含される。前記範囲が一方または両方の限界を含む場合、含まれる一方または両方の限界を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0078】
別途定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施および試験に使用することができるが、いくつかの潜在的なおよび好ましい方法および材料をここに記載する。本明細書において言及されるすべての公報は、該公報がそれに関して引用される方法および/または材料を開示および説明するために、参照により本明細書に組み入れられる。矛盾がある場合、組み込まれる公報の任意の開示に本開示が優先するということが理解されよう。
【0079】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」が、文脈上別途明らかな断りがない限り、複数の参照対象を含むということに留意しなければならない。したがって、例えば、「1つの化合物(a compound)」に対する言及は、複数の当該化合物を含み、「その方法(the method)」に対する言及は、当業者に公知の1つまたは複数の方法およびその等価物に対する言及を含む。
【0080】
本明細書において言及される公報は、本出願の出願日より前のそれらの開示に関してのみ提示される。本明細書における何物も、本発明が先行発明による当該公報に先行する資格がないことの承認として解釈されるべきではない。さらに、示される公開日は実際の公開日と異なることがあり、実際の公開日は独立して確認する必要がありうる。
【0081】
概観
本発明の背後にある基礎概念は、公知の利点を示す第1の薬物が有害作用を有する代謝産物に代謝される特定の薬物の組み合わせを使用する製剤および処置方法であって、第1の薬物が、有害作用を有する代謝産物への第1の薬物の代謝を阻害する第2の薬物と共に投与される、製剤および処置方法を提供することにある。
【0082】
本発明は、有害作用を有する代謝産物を有する特定の第1の薬物が特定の第2の薬物と同時投与される際に、毒性代謝産物に対する患者の曝露が減少する一方で、第1の薬物に対する曝露が治療レベル内にとどまるという、驚くべき発見に基づく。1つの例示的な組み合わせでは、第1の薬物はフェンフルラミン有効剤であり、第2の薬物はカンナビジオールである。フェンフルラミンがカンナビジオールとの組み合わせで投与される際に、ノルフェンフルラミンの形成は下方調節され、一方、フェンフルラミンの血漿中濃度は治療レベル内に維持される。フェンフルラミンおよびカンナビジオールを含む多剤組み合わせに加えて、他の態様も想定され、本明細書に開示される。
【0083】
薬物の組み合わせの全体的な目的は、ある範囲の異なる疾患および状態について、第1の薬物の代謝産物の有害副作用を回避しながら第1の薬物を使用して患者を処置することを可能にすることにある。さらなる目的は、第2の薬物が第1の薬物の治療有効性を向上させる、併用治療薬を提供することにある。さらなる目的は、第2の薬物が、第1の薬物により与えられる治療効果以外の治療上の利点を与える、併用治療薬を提供することにある。
【0084】
本発明により提供されかつ本明細書に開示される方法および多剤組み合わせは、第1の薬物のみを使用する方法および組成物に比べて患者安全性が改善されるという利点を示すという点で、先行技術に対する改善を示す。さらに、本発明により提供される方法および組成物の特定の態様は、単剤治療薬として投与される場合のより高用量の第1の薬物により与えられる有効性と同等の有効性を維持しながら、第1の薬物の投与量を減少させる。さらに、本発明により提供される方法および組み合わせの特定の態様は、単剤治療薬として投与される場合のより低用量の第1の薬物に関連する安全性リスクを増加させることなく、第1の薬物の投与量を増加させる。さらに、本発明により提供される方法および組成物の特定の態様は、第1の薬物のみを使用する方法および組成物に比べて改善された有効性を示す。最後に、本発明により提供される方法および組成物の特定の態様は、第1の薬物の治療効果とは別の治療効果を示す。
【0085】
多剤組み合わせ
本開示により提供される本発明の局面は、公知の治療上の利点を示し、かつ有害作用を有する代謝産物に代謝される、第1の薬物が、代謝産物の形成を阻害する第2の薬物と共に投与される、多剤組み合わせを含む。
【0086】
本発明の多剤組み合わせにおいて有用な治療剤としては、フェンフルラミンおよびその薬学的に許容される塩を含むがそれに限定されないフェンフルラミン有効剤が挙げられる。フェンフルラミン構造類似体を含むがそれに限定されない他の治療剤も想定される。
【0087】
上記で言及したように、また理論に拘束されるものではないが、フェンフルラミンは、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、およびCYP3A4を含むがそれに限定されないチトクロムP450酵素によってノルフェンフルラミンに代謝される。上記で言及したように、また理論に拘束されるものではないが、ノルフェンフルラミンは5HT2Bアゴニストであり、おそらく、該薬物に関連する心臓および肺の有害副作用の原因である。それらの作用は、フェンフルラミンを、フェンフルラミンのノルフェンフルラミンへの代謝を阻害し、ノルフェンフルラミンの産生を下方調節する、選択された第2の薬物との組み合わせで投与することで、減少または解消可能である。最終結果は、フェンフルラミンを治療レベル内に維持しながらノルフェンフルラミンに対する患者の曝露を有意に減少させるように、フェンフルラミン:ノルフェンフルラミンのAUC0-72値の比を増加させるものである。それらの化合物の全体的クリアランスにおける特定の酵素の寄与を図7Aおよび図7Bに示す。
【0088】
したがって、一局面では、本開示は、フェンフルラミンが、1つまたは複数のCYP450酵素によるフェンフルラミンのノルフェンフルラミンへの代謝を阻害する第2の薬物と同時投与される、多剤組み合わせを提供する。様々な態様では、第2の薬物はCYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、およびCYP3A4のうち1つまたは複数の阻害剤である。様々な態様では、第2の薬物はCYP1A2阻害剤である。様々な態様では、第2の薬物はCYP2B6阻害剤である。様々な態様では、第2の薬物はCYP2C9阻害剤である。様々な態様では、第2の薬物はCYP2C19阻害剤である。様々な態様では、第2の薬物はCYP2D6阻害剤である。様々な態様では、第2の薬物はCYP3A4阻害剤である。
【0089】
多種多様な抗てんかん薬が代謝経路の阻害剤および誘導剤となる。選択された剤の効果を図7C図7Fに示す。ドラベ症候群を処置するために最もよく使用される抗てんかん薬としては、スチリペントールおよびクロバザムがある。スチリペントールは、強力にCYP1A2およびCYP3A4を阻害し、そこまで強力ではないがCYP2C9およびCYP2C19も阻害する。欧州医薬品庁の欧州公共評価報告書(European public assessment report)のスチリペントールに関する報告(2009年7月1日に初公開)、Tran et al., Clin Pharmacol Ther. 1997 Nov;62(5):490-504およびMoreland et al., Drug Metab Dispos. 1986 Nov-Dec;14(6):654-62に基づく、図7Cを参照。クロバザムは弱いCYP3A4誘導剤である。経口用Onfi(クロバザム)錠に関するFDA承認のラベル文書(2011年10月21日)を参照。さらに、クロバザムが強力にCYP2D6を阻害するという証拠が存在する。図7D参照。
【0090】
実施例1では、フェンフルラミンと抗てんかん薬スチリペントール、クロバザム、およびバルプロエートとの間の薬物-薬物相互作用を健常ボランティアにおいて試験した臨床試験が記載されている。結果は、フェンフルラミンをこれら3つの薬物と同時投与したことで、ノルフェンフルラミンに対する患者の曝露が約30%減少し、一方でフェンフルラミン曝露が1.67倍に増加したことを示す。図2参照。これらの結果は、フェンフルラミンを代謝阻害剤と同時投与することで、フェンフルラミンを通常範囲内に維持しながらノルフェンフルラミンに対する患者の曝露を有意に減少させることができることを示す。
【0091】
したがって、本開示は、フェンフルラミンがスチリペントール、クロバザム、およびバルプロエートと共に投与される、多剤組み合わせを提供する。
【0092】
実施例2では、フェンフルラミンとスチリペントール、クロバザム、およびバルプロエートとの間の薬物-薬物相互作用を定量化するための生理学的薬物動態(「PBPK」)モデルの開発および修正が記載されている。図3および図4参照。モデルシミュレーションによる結果は、フェンフルラミンをスチリペントールのみ、クロバザムのみ、ならびにスチリペントールおよびクロバザムの両方と同時投与することで、ノルフェンフルラミンに対する患者の曝露が有意に減少することを示す。図6参照。
【0093】
したがって、本開示は、フェンフルラミンがスチリペントール、クロバザム、ならびにスチリペントールおよびクロバザムの組み合わせより選択される第2の剤と共に投与される、多剤組み合わせを提供する。1つの例示的な態様では、多剤組み合わせは、スチリペントールと同時投与されるフェンフルラミンを含む。1つの例示的な態様では、多剤組み合わせは、クロバザムと同時投与されるフェンフルラミンを含む。1つの例示的な態様では、多剤組み合わせは、スチリペントールおよびクロバザムと同時投与されるフェンフルラミンを含む。
【0094】
最近、カンナビジオールは、いくつかのCYP450酵素に対して阻害効果を発揮することが示された。CYP1A2(時間依存的効果)、CYP2B6、およびCYP3A4の強力な阻害剤であり、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6に対しても同様に阻害効果を示す。図7F参照。
【0095】
実施例3では、フェンフルラミンを、単独または他の薬物との組み合わせでのカンナビジオールと同時投与することによる、それらの薬物が同時投与された患者におけるフェンフルラミンおよびノルフェンフルラミン曝露に対する影響をシミュレートするための能力を実現するための、実施例2に記載のPBPKモデルの精密化が詳述されている。このモデルは、該モデルにより予測されるフェンフルラミンおよびノルフェンフルラミン曝露の変化を、健常ボランティアにおいて観測される変化と比較することで修正される。
【0096】
したがって、本開示は、フェンフルラミンである第1の薬物がカンナビジオールである第2の薬物と同時投与される、多剤組み合わせを提供する。
【0097】
本明細書に開示される多剤組み合わせは、第1の薬物および第2の薬物以外にも、1つまたは複数のさらなる薬物をさらに含みうる。第3の薬物またはそれ以上の薬物は、第2の薬物と同じもしくは異なる代謝酵素もしくは経路によって第1の薬物(治療剤)由来の有害代謝産物の形成をさらに阻害する代謝阻害剤、または、例えば第1の薬物の有効性を向上させるかもしくはさらなる治療上の利点を示すことで治療上の利点をさらに示す剤、または、代謝阻害剤でありかつさらなる治療上の利点を示す剤でありうる。この点で関心対象となる薬物としてはアセタゾラミド、バルベキサクロン、ベクラミド、ブリバラセタム、ブプロプリオン、シナカルセト、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ジバルプロエクス、エスリカルバゼピン酢酸エステル、エタジオン、エトトイン、フェルバメート、ガバペンチン、ラコサミド、ロラゼパム、メフェニトイン、メタゾラミド、メトスクシミド、メチルフェノバルビタール、ミダゾラム、ニメタゼパム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、パラメタジオン、ペランパネル、ピラセタム、フェナセミド、フェネトライド、フェンスクシミド、フェニトイン、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、レチガビン、ルフィナマイド、セレクトラセタム、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、スルチアム、テマゼパム、チアガビン、トピラマート、トリメタジオン、バルノクタミド、バルプロミド、ビガバトリン、ゾニサミド、およびその薬学的に許容される塩が挙げられるがそれに限定されない。
【0098】
方法
本開示は、公知の利点を示す第1の薬物が有害作用を有する代謝産物に代謝され、第1の薬物が、代謝産物の形成を阻害する第2の薬物と共に投与される、方法を提供する。本発明を実施する上で有用な薬物の例は先に記載されている。
【0099】
一局面では、本開示は、例えばフェンフルラミン有効剤(本明細書中でさらに詳細に説明する)により処置可能な疾患または状態に罹患している宿主の処置のために、必要とする対象にフェンフルラミン有効剤を投与する方法を提供する。本方法のさらなる局面では、フェンフルラミン有効剤が、ノルフェンフルラミンの形成を阻害する第2の薬物との組み合わせで対象に投与される。
【0100】
一局面では、本明細書において提供される多剤組み合わせを使用することで、疾患もしくは障害に罹患しているかもしくはそう診断された患者、または、処置を必要とする症状を経験している患者、例えば、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、ドーゼ症候群、およびウエスト症候群を含むがそれに限定されない小児てんかん性脳症を有すると診断された患者、または小児難治性発作を経験している患者、またはてんかん患者の予期せぬ突然死(SUDEP)に罹患しやすい患者、またはアルツハイマー病および肥満を有すると診断された患者を処置することができる。一局面では、本明細書において提供される多剤組み合わせを使用することで、該疾患または障害に関連する症状を処置し、その頻度および/もしくは重症度を減少させ、またはそれを寛解させることができる。
【0101】
「~との組み合わせで」または「~と併せて」とは、フェンフルラミン有効剤と同時から約1時間以上、例えば約2時間以上、約3時間以上、約4時間以上、約5時間以上、約6時間以上、約7時間以上、約8時間以上、約9時間以上、約10時間以上、約11時間以上、または約12時間以上、約13時間以上、約14時間以上、約15時間、約16時間以上、約17時間以上、約18時間以上、約19時間以上、約20時間以上、約21時間以上、約22時間以上、約23時間以上、または約24時間以上前または後までのどこかで、ある量の代謝酵素阻害剤が投与されることを意味する。すなわち、特定の態様では、フェンフルラミン有効剤および代謝酵素阻害剤は順次投与され、例えば、フェンフルラミン有効剤は代謝酵素阻害剤の前または後に投与される。他の態様では、フェンフルラミン有効剤および代謝酵素阻害剤は同時投与され、例えば、フェンフルラミン有効剤および代謝酵素阻害剤は、2つの別々の製剤として同時に投与されるか、または1つの製剤に組み合わせられて対象に投与される。先に説明したように、またはその任意の有効な変形で、フェンフルラミン有効剤および代謝酵素阻害剤が順次投与されるか同時投与されるかにかかわらず、本発明においては、これらの剤は一緒にまたは組み合わせで投与されるものと見なされる。2つの剤の投与経路は変動しうるものであり、代表的な投与経路を以下でさらに詳細に説明する。
【0102】
本発明の態様では、代謝酵素阻害剤のどの代謝酵素阻害量を使用してもよい。特定の代謝阻害剤の投与量は、一般に特定の範囲内にあるが、患者の年齢、体重、CYP2C19代謝活性、ならびに肝障害の存在および程度を含むがそれに限定されない要因に従って変動しうる。そのような用量は、望ましくない副作用を生じさせる代謝酵素阻害剤の一日量よりも少ない。
【0103】
したがって、カンナビジオールでは、約0.5mg/kg/日~約25mg/kg/日、例えば約0.5mg未満/kg/日、約0.6mg/kg/日、約0.7mg/kg/日、約0.75mg/kg/日、約0.8mg/kg/日、約0.9mg/kg/日、約1mg/kg/日、約2mg/kg/日、約3mg/kg/日、約4mg/kg/日、約5mg/kg/日、約6mg/kg/日、約7mg/kg/日、約8mg/kg/日、約9mg/kg/日、約10mg/kg/日、約1mg/kg/日、約12mg/kg/日、約13mg/kg/日、約14mg/kg/日、約15mg/kg/日、約16mg/kg/日、約17mg/kg/日、約18mg/kg/日、約19mg/kg/日、約20mg/kg/日、約21mg/kg/日、約22mg/kg/日、約23mg/kg/日、約24mg/kg/日~約25mg/kg/日の用量を使用することができる。
【0104】
クロバザムでは、投与量はFDAガイドラインに準拠し、出発投与量、用量滴定、および最大投与量は患者の体重、耐容性、および応答に依存する。したがって、クロバザムでは、約5mg/日~約40mg/日、例えば約5mg/日、約7.5mg/日、約10mg/日、約12.5mg/日、約15mg/日、約17.5mg/日、約20mg/日、約22.5mg/日、約25mg/日、約27.5mg/日、約30mg/日、約32.5mg/日、約35mg/日、約37.5mg/日~約40mg/日の用量を使用することができる。
【0105】
スチリペントールでは、投与量はFDAガイドラインに準拠し、出発投与量、用量滴定、および最大投与量は患者の年齢、耐容性、および応答に依存する。したがって、スチリペントールでは、約20mg/kg/日~約50mg/kg/日、例えば約20mg/kg/日、21mg/kg/日、約22mg/kg/日、約23mg/kg/日、約24mg/kg/日、約25mg/kg/日、約26mg/kg/日、約27mg/kg/日、約28mg/kg/日、約29mg/kg/日、約30mg/kg/日、約31mg/kg/日、約32mg/kg/日、約33mg/kg/日、約34mg/kg/日、約35mg/kg/日、約36mg/kg/日、約37mg/kg/日、約38mg/kg/日、約39mg/kg/日、約40mg/kg/日、約41mg/kg/日、約42mg/kg/日、約43mg/kg/日、約44mg/kg/日、約45mg/kg/日、約46mg/kg/日、約47mg/kg/日、約48mg/kg/日、約49mg/kg/日~約50mg/kg/日の用量を使用することができる。
【0106】
上記に示すように、代謝酵素阻害剤の投与量は、患者の体重に基づいてもよく、阻害剤に応じて変動する量に予め設定されてもよく、例えば、マイクログラム/日、mg/日、もしくはg/日で表されるか、またはそれよりも高頻度もしくは低頻度で投与される用量として表される。一般に、フェンフルラミン有効剤の代謝を阻害する上で有効な最小量を患者に使用すべきである。
【0107】
一般に、公知の阻害剤は推奨投与量を有する。それらの推奨投与量はPhysician's Desk Reference(PDR)の最新版またはhttp://emedicine.medscape.com/内に示されており、いずれも、任意の阻害剤に関して具体的に、それらの阻害薬について推奨される投与量に関してさらに具体的に、参照により本明細書に組み入れられる。
【0108】
本発明に関しては、阻害剤を、推奨投与量で使用してもよく、推奨投与量の約1/100倍~約100倍、もしくは約1/10倍~約10倍、もしくは約1/5倍~約5倍、もしくは約1/2倍~約2倍の範囲、またはそれらの範囲内の任意の1/10単位量で使用してもよい。いくつかの場合では、フェンフルラミンに対する患者の曝露が治療範囲内にとどまる一方で、それと共に投与される併用治療剤の投与量が、推奨レベルを超えず、かつ/または併用治療剤に関連することが知られている望まれない副作用を最小化もしくは防止するように、フェンフルラミンの投与量を併用治療剤の投与量に対して確定することができる。例えば、フェンフルラミンの投与量を、フェンフルラミン対併用治療剤のモル比または重量比に基づいて計算することができる。フェンフルラミンの投与量を、フェンフルラミンが併用治療剤と共に投与される際に治療レベルの範囲内の患者の曝露を実現する最小量に設定することができる。フェンフルラミンの投与量を、FDAにより設定された限界、または1つもしくは複数の重大有害作用を患者が経験するリスクを増加させる限界を超えない、ノルフェンフルラミンに対する患者の曝露を実現する、最大投与量に設定することができる。
【0109】
本発明に関しては、フェンフルラミンを、併用治療剤の非存在下で投与されるフェンフルラミンについて推奨される投与量で使用してもよく、推奨投与量の約1/100倍~約100倍、もしくは約10倍~約100倍、もしくは約1/10倍~約10倍、もしくは約1/5倍~約5倍、もしくは約1/2倍~約2倍の範囲、またはそれらの範囲内の任意の1/10単位量で使用してもよい。
【0110】
別の言い方でより具体的に言えば、フェンフルラミンを患者の処置において使用することができる。例えば、フェンフルラミンを、てんかんの一形態、例えばドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、ドーゼ症候群、または他の難治性てんかんを有する患者の処置において使用することができ、食欲抑制において使用することもできる。しかし、フェンフルラミンが使用される任意の状況において、カンナビジオールなどの酵素阻害剤との組み合わせで使用することで、治療上有効な結果を得るために必要なフェンフルラミンの用量を減少させ、また、重要なことに、フェンフルラミンによる有害副作用を減少させることができる。
【0111】
フェンフルラミンの治療有効量は、カンナビジオールと併用される際に減少する。所望の治療効果を得るために必要な全治療量の減少は約40%±5%と予想される。しかし、フェンフルラミンがカンナビジオールと併用される場合、減少は10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上でありうる(各±5%)。
【0112】
患者をフェンフルラミンおよびカンナビジオールの組み合わせで処置するというこの発見によって、フェンフルラミンの用量を劇的に減少させることが可能になり、したがって、有害作用なしで広範な徴候について広範な患者をフェンフルラミンで処置することが可能になる。この特定の組み合わせに関して、カンナビジオールが含まれることで、患者が曝露されるノルフェンフルラミン(フェンフルラミンの代謝産物である)の量を減少させ、それにより副作用を減少させることが可能になる。
【0113】
薬学的製剤
薬学的製剤も提供される。本明細書において使用される、薬学的製剤とは、薬学的に許容される媒体中に存在する1つまたは複数の化合物(単独で、または1つもしくは複数のさらなる有効剤の存在下で)を含む組成物を意味する。「薬学的に許容される」という用語は、ヒトなどの動物における使用に関して、連邦政府もしくは州政府の規制当局に承認されているかまたは米国薬局方もしくは他の一般に認知されている薬局方のリストに挙げられていることを意味する。「媒体」という用語は、哺乳動物への投与用に本発明の化合物がそれと共に製剤化される希釈剤、補助剤、賦形剤、または担体を意味する。
【0114】
賦形剤の選択は、有効成分によって、また、組成物を投与するために使用される特定の方法によって部分的に確定される。したがって、本発明の薬学的組成物の多種多様な好適な製剤が存在する。
【0115】
一局面では、本開示は、有効剤がフェンフルラミン有効剤、すなわちフェンフルラミンまたはその薬学的に許容される塩である、薬学的製剤を提供する。本発明の方法において使用されるフェンフルラミン有効剤の剤形は、フェンフルラミン有効剤と1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、担体、補助剤などとを薬学的製剤化分野における当業者に公知の様式で組み合わせることで調製可能である。本発明の方法において使用される代謝酵素阻害剤の剤形は、酵素阻害剤と1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、担体、補助剤などとを薬学的製剤化の分野における当業者に公知の様式で組み合わせることで調製可能である。いくつかの場合では、フェンフルラミン有効剤の剤形および代謝酵素阻害剤の剤形は1つの組成物中で組み合わせられる。
【0116】
例えば、フェンフルラミン有効剤および/または代謝酵素阻害剤を従来の薬学的に許容される担体および賦形剤(すなわち媒体)と混合し、水溶液剤、油剤、油性または水性乳剤、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ剤、カシェ剤、スプリンクル剤などの形態で使用することができる。そのような薬学的組成物は、特定の態様では約0.1重量%~約90重量%のフェンフルラミン有効剤および/または代謝酵素阻害剤を、より一般的には約1重量%~約30重量%のフェンフルラミン有効剤および/または代謝酵素阻害剤を含む。薬学的組成物は、フェンフルラミン有効剤またはフェンフルラミン剤と同時投与される薬物に適した一般的な担体および賦形剤を含むことができ、一般的な担体および賦形剤としては、水溶性薬物での使用に好適な担体、例えばコーンスターチまたはゼラチン、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、結晶セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギン酸、ならびに、水に難溶性または不溶性の薬物での使用に好適な担体および賦形剤、例えば有機溶媒、ポリマーなどが挙げられる。本発明の製剤において一般的に使用される崩壊剤としてはクロスカルメロース、結晶セルロース、コーンスターチ、デンプングリコール酸ナトリウム、およびアルギン酸が挙げられる。
【0117】
本明細書に開示される多剤組み合わせの特定の製剤は液体剤形である。液剤は溶液剤、乳剤、コロイド剤、または懸濁液剤、例えば経口溶液剤、経口乳剤、または経口シロップ剤でありうる。例示的な態様では、経口溶液剤、経口乳剤、経口コロイド剤、または経口シロップ剤は、ミリグラム量の目盛り付きのピペットを備えたビンに含まれており、所与の溶液量で得られる。液体剤形により、溶液剤を小さな子どものために調節することが可能になり、溶液剤は0.1mLから50mLまでのどこか、および10分の1ミリリットル単位の任意の量で投与可能であり、したがって0.1、0.2、0.3、0.4mLなどで投与可能である。
【0118】
一般に、液体組成物は、懸濁化剤、保存料、界面活性剤、湿潤剤、香味料、または着色料入りの、好適な液体担体、例えばエタノール、グリセリン、ソルビトール、非水性溶媒、例えばポリエチレングリコール、油、または水中の、フェンフルラミン有効剤および/もしくは代謝酵素阻害剤、または薬学的に許容される塩の懸濁液、懸濁液、または溶液からなる。あるいは、液体製剤を再構成用粉末から調製することもできる。
【0119】
本発明の特定の製剤は固体剤形である。
【0120】
本発明の特定の製剤は経皮パッチ剤の形態である。
【実施例0121】
以下の実施例は、どのようにして本発明を実行および使用するかの完全な開示および説明を当業者に示すために記載されるものであり、本発明者らがその発明と見なすものの範囲を限定するように意図されているわけではなく、以下の実験が実行されたすべてのまたは唯一の実験であることを表すように意図されているわけでもない。使用した数(例えば量、温度など)について正確さを確保するよう努めたが、いくつかの実験上の誤差および偏差を考慮すべきである。別途指示がない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはその近傍である。
【0122】
実施例1
薬物-薬物相互作用試験: フェンフルラミンおよびノルフェンフルラミンの血漿レベルに対するフェンフルラミンとスチリペントール、クロバザム、およびバルプロエートとの同時投与の効果
フェンフルラミン代謝ならびに結果的なフェンフルラミンおよびその代謝産物ノルフェンフルラミンの血漿レベルに対する3薬物レジメンの同時投与の効果を、健常ボランティアを使用する臨床試験において評価した。暫定結果を以下に報告する。
【0123】
A. 試験の目的および設計
フェンフルラミンとスチリペントール、クロバザム、およびバルプロエートからなる3薬物カクテルとの同時投与の効果を調査するために、無作為オープンラベル単一用量3方向クロスオーバー試験を設計した。無作為に割り当てられた6つの異なる処置順序に従って、それぞれ個々に投与される3つの処置レジメンで各患者を順次処置した。
【0124】
B. 対象の選択
対象を、既存のボランティアのプールからまたは直接の宣伝を通じて募集した。投与前3ヶ月以内に試験に参加した応募者を潜在的参加者のプールから除外した。直前12ヶ月の全病歴を各対象のかかりつけ医から得て評価した。次に患者を以下に示す選択基準および除外基準に従って評価した。試験参加者に選ばれた人物は、参加前に、それらの基準に対する適合性を再評価および確認するためのスクリーニング外来を経た。
【0125】
1. 選択基準
1. 健常男性。
2. 妊娠中ではなく、授乳中ではない健常女性。
3. 18~50歳。
4. スクリーニング時に肥満度指数が19.0~31.0kg/mg2以下の範囲で最小体重50.0kg。範囲外である場合、調査者は臨床的に有意ではないと見なす。
5. 医学的に健常であって、調査者の意見によれば試験参加を妨げるであろう臨床的に重大な状態、例えば重大な腎障害、内分泌障害、心障害、精神障害、胃腸障害、肺障害、または代謝障害を有さない。対象は肝機能障害を有さないはずである。
6. 臨床検査プロファイルにおいて、正常範囲外の肝機能検査値を含む、調査者の意見によれば試験参加を妨げるであろう臨床的に重大な異常を示さない。
7. 少なくとも3ヶ月間非喫煙者であり(これは電子タバコおよびニコチン代替品を含む)、スクリーニングおよび入院時の一酸化炭素呼気検査で検査陰性(10ppm未満)である。
8. 適切な避妊法を使用することに同意しなければならない。
9. 出産可能ではない女性対象は外科的に生殖不能(例えば、対象の病歴により確定される卵管閉塞術、子宮摘出術、両側卵管摘出術)であるか、または先天的に生殖不能であるか、または閉経後少なくとも2年でなければならない。出産可能な女性は適切な避妊法を使用しなければならない。
10. すべての試験評価を完了させるために十分に英語を話し、読み、理解することができる。
11. 対象は自発的に書面によるインフォームドコンセントを提出しなければならない。
12. 対象は、調査者の意見によれば、試験手順を完了させることができなければならない。
13. 試験に関する要件および制限に従う意思がなければならない。
【0126】
上記リストの選択基準2および7を入院時/投与前に再評価する。
【0127】
2. 除外基準
1. 妊娠中または授乳中である出産可能な女性。
2. 妊娠中のパートナーを有する男性対象。
3. 制御不能な血圧(BP)を示す。すなわち、対象がスクリーニングまたは入院時に仰臥位収縮期BP 160mmHg超もしくは90mmHg未満および/または仰臥位拡張期BP 100mmHg超もしくは40mmHg未満を示す。
4. 室内空気下で酸素飽和度92%未満を示す。
5. フェンフルラミン、スチリペントール、クロバザム、またはバルプロ酸に対する過敏性または特異体質反応を示す。
【0128】
C. 評価
試験手順の概観を、図1に示す試験の流れ図の表に示す。
【0129】
D. 結果
薬物-薬物(DDI)試験の暫定結果を図2に示す。AUC0-72値を、フェンフルラミンおよびノルフェンフルラミンの血漿レベルに基づいて計算した。曝露の影響を、フェンフルラミンのみを受け取った患者について確定されたAUC0-72値に対する、併用処置薬を受け取った患者について確定されたAUC0-72値の比として表す。それらの結果は、フェンフルラミンがスチリペントール、クロバザム、およびバルプロ酸の組み合わせと同時投与される際に、フェンフルラミンに対する患者の曝露が1.66倍に増加し、ノルフェンフルラミン曝露が0.59倍に減少したことを示す。
【0130】
実施例2
薬物-薬物相互作用を予測するための生理学的薬物動態(「PBPK」)モデルの開発および修正
潜在的な薬物-薬物相互作用(DDI)を定量化しかつフェンフルラミン(FEN)の臨床試験のための用量合理化を促進することができる、生理学的薬物動態(PBPK)モデルを開発し、修正した後、1つまたは複数の抗てんかん薬(AED)、具体的にはスチリペントール(STP)、バルプロ酸(VPA)、およびクロバザム(CLB)を同時投与することの影響を予測するために使用した。
【0131】
A. モデル開発
図3および図4参照。同時投与薬のPBPKモデルを、文献による公開PBPKモデルを精密化することで開発し、フェンフルラミンのモデルを、分子の基礎特性(非結合分画、pKaなど)を使用して新規に開発した。シミュレートされた各時点でのシミュレートされた代謝酵素効率を、当該時点での肝臓中の同時投与薬濃度に従って調節することで、薬物相互作用を明らかにした。PBPKモデルは、血流、組織量、糸球体濾過率、CYP成熟、肝固有クリアランス、およびバイオアベイラビリティなどの年齢依存因子を明らかにした。各モデルは10個の灌流制限組織で構成された。
【0132】
FENおよびその代謝産物ノルフェンフルラミン(norFEN)の組織対血漿係数を、LogP、pKa、およびfupなどの物理化学特性およびインビトロ特性を積分することで計算した。Xenobiotica (2013) 43:839を参照。FENが腎排泄および肝代謝により排除され、肝固有クリアランス(CLint)の76%がnorFENに変換された。Arch Int Pharmacodyn Ther, (1982) 258:15およびJ Pharmacy Pharmacol (1967) 19:49Sを参照。
【0133】
STP PBPKモデルを、STPが肝代謝のみによって排除される公開PBPKモデルの精密化により開発した。Pharm Res (2015) 32:144を参照。精密化は、腎クリアランスの二次排除経路をシステムに組み込むことを包含した。CLBモデルおよびVPA PBPKモデルの両方を、既に公開されたモデルの精密化により開発した。Pharm Res (2015) 32:144およびEur J Pharm Sci (2014) 63:45を参照。
【0134】
薬物-薬物相互作用に関して、FEN排除に対するスチリペントールおよびクロバザムの阻害効果を、CYP1A2、CYP3A4、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP2D6媒介肝代謝を可逆的に阻害することで、同時投与薬の肝臓中濃度に基づいて記述した。モデル開発をBerkeley Madonna(v 8.3.18)で行った。
【0135】
併用時のFENの肝固有クリアランス(CLint, DDI)を下記式として計算することができる:
式中、fm,otherはfm,CYP3A4およびfm,CYP2C19を含む。
【0136】
B. モデル修正
このモデルを、上記実施例1に記載の試験において観測されたフェンフルラミンおよびノルフェンフルラミン曝露の変化を、該モデルにより予測された効果と比較することで修正した。図5A図5Eは、フェンフルラミン、ノルフェンフルラミン、スチリペントール、クロバザム、およびバルプロ酸の血漿レベルの予測された変化が、健常ボランティアにおいて観測された変化とよく一致していることを示し、これにより該モデルの堅牢性が実証される。
【0137】
C. フェンフルラミンおよびノルフェンフルラミンの血漿レベルに対するフェンフルラミンとクロバザムおよびスチリペントールのうち一方または両方との同時投与の予測された効果
PBPK DDIモデルを使用してフェンフルラミンとスチリペントールおよびクロバザムのうち一方または両方との同時投与の影響を予測した。結果を図6に示す。
【0138】
実施例3
フェンフルラミン曝露に対するカンナビジオールの効果を含むPBPKモデルの外挿および精密化
実施例2に記載のように開発されたモデルを、フェンフルラミンおよびノルフェンフルラミン曝露に対するFENと単独または他の薬物との組み合わせでのカンナビジオール(CBD)との同時投与の影響をシミュレートする能力を示すようにさらに精密化する。特に、実施例2に記載のモデルを、フェンフルラミンを代謝する代謝酵素、すなわちCYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、およびCYP3A4に対するカンナビジオールの阻害効果、ならびにCYP1A2に対するCBDの阻害効果の時間依存性を明らかにするように修正する。
【0139】
実施例4
フェンフルラミン曝露に対するカンナビジオールの効果を含むPBPKモデルの外挿および精密化
フェンフルラミン代謝ならびに結果的なフェンフルラミンおよびその代謝産物ノルフェンフルラミンの血漿レベルに対する、フェンフルラミンおよびカンナビジオールを含む2薬物レジメンの同時投与の効果を、スチリペントールおよびクロバザムをカンナビジオールに置き換え、それぞれ用量10mg/日および25mg/日で投与することを除けば実施例1に記載のプロトコルに従って、健常ボランティアを使用する臨床試験において評価する。フェンフルラミンを受け取る患者に0.2mg/kg/日または0.8mg/kg/日を投与する。
【0140】
上記は、単に本発明の原理を説明するものである。当業者が、本明細書には明確に記載または提示されていないが本発明の原理を具現化するものであって本発明の真意および範囲内に含まれる、様々な構成を考案することができるということが認識されよう。さらに、本明細書に記載のすべての例および条件表現は、本発明の原理、および当技術分野の進歩に対して本発明者らが提供する概念を読者が理解することに役立つように主に意図されており、具体的に記載される当該の例および条件に限定されるものではないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、局面、および態様、ならびにその具体例を記述する本明細書中のすべての記載は、その構造的等価物および機能的等価物の両方を包含するように意図されている。さらに、当該等価物は、現在公知の等価物および将来開発される等価物の両方、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を果たすように開発される任意の要素を含むように意図されている。したがって、本発明の範囲は、本明細書に提示および記載される例示的態様に限定されるようには意図されていない。むしろ、本発明の範囲および真意は添付の特許請求の範囲により具現化される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薬物の代謝を阻害するための製剤の使用であって、該第1の薬物が、有害作用を有する代謝産物の形成を特徴とし、
該製剤が、第1の薬物とCYP450酵素阻害剤の形態の第2の薬物とを含み、
それにより、CYP450酵素阻害剤が、第1の薬物の代謝産物の形成を下方調節する、前記使用。