(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180459
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】N-アシルジペプチド誘導体及び非イオン性脂質を含有する局所用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/64 20060101AFI20241219BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241219BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20241219BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20241219BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241219BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241219BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241219BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61K8/64
A61K8/37
A61K8/39
A61K8/34
A61Q19/08
A61K38/05
A61P17/00
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/12
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024177003
(22)【出願日】2024-10-09
(62)【分割の表示】P 2020107792の分割
【原出願日】2020-06-23
(31)【優先権主張番号】16/452,982
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524288931
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・スコット・バイレン
(72)【発明者】
【氏名】デリク・チュア
(72)【発明者】
【氏名】マリサ・デビータ・デュフォルト
(72)【発明者】
【氏名】アリソン・キーン・ラッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ヤン
(57)【要約】
【課題】局所用組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(i)0.1~1重量パーセントの、N-Ac-Val-Ala-NH2であって、式中、Acは、アセチルである、N-Ac-Val-Ala-NH2を有するN-アシルジペプチド誘導体又はその異性体若しくは塩と、(ii)ジラウリン酸グリセリル、ステアレス-10、及びグリセリンのうちの2種以上を含む非イオン性脂質相と、を含む、局所用組成物を提供する。組成物は、N-アシルジペプチド誘導体の皮膚への浸透を強化する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所用組成物であって、(i)0.1~1重量パーセントの、N-Ac-Val-Ala-NH2であって、式中、Acは、アセチルである、N-Ac-Val-Ala-NH2を有するN-アシルジペプチド誘導体又はその異性体若しくは塩と、(ii)ジラウリン酸グリセリル、ステアレス-10、及びグリセリンのうちの2種以上を含む非イオン性脂質と、を含む、局所用組成物。
【請求項2】
前記非イオン性脂質は、ジラウリン酸グリセリル、ステアレス-10、及びグリセリンを含む、請求項1に記載の局所用組成物。
【請求項3】
水をさらに含む、請求項1又は2に記載の局所用組成物。
【請求項4】
合計で1~7重量パーセントの、ジラウリン酸グリセリル、ステアレス-10、及びグリセリンを含む、請求項3に記載の局所用組成物。
【請求項5】
前記非イオン性脂質相は、1.0重量パーセントのジラウリン酸グリセリル、0.50重量パーセントのステアレス-10、及び0.50重量パーセントの、グリセリンを含み、
前記局所用組成物は水をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項6】
0.5重量パーセントの、前記N-アシルジペプチド誘導体又はその異性体若しくは塩を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項7】
グリコール酸をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の局所用組成物。
【請求項8】
1~8重量パーセントのグリコール酸を含む、請求項7に記載の局所用組成物。
【請求項9】
皮膚老化の徴候を処置する方法であって、皮膚老化の少なくとも1つの徴候を処置する必要のある皮膚に、請求項1~8のいずれか一項に記載の局所用組成物を局所的に塗布することを含む、方法。
【請求項10】
N-Ac-Val-Ala-NH2であって、式中、Acは、アセチルである、N-Ac-Val-Ala-NH2を有するN-アシルジペプチド誘導体又はその異性体若しくは塩の皮膚への浸透を増加させる方法であって、前記方法は、請求項1~8のいずれか一項に記載の局所用組成物で前記N-アシルジペプチド誘導体を皮膚に局所投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-アシルジペプチド誘導体と非イオン性脂質との組み合わせを含む局所用組成物を提供する。組成物は、ジペプチド誘導体の皮膚への浸透を強化する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第9,067,969号は、癌及び免疫疾病から皮膚系の状態及び疾病に及ぶ疾患及び疾病を処置するための様々なN-アシルジペプチド誘導体を開示している。‘969号特許は、特に、老化に関連する皮膚の変化を処置するための好ましい化合物としてバリン(Val)及びアラニン(Ala)を含有するN-アシルジペプチド誘導体のサブセットを開示している。‘969号特許は、局所用のものを含む、このための様々な投与経路を開示している。溶液、ゲル、ローション、クリーム、エマルションなどの局所用組成物が開示されており、このような組成物中のN-アシルジペプチド誘導体の量は、全組成物の0.001重量又は体積%~99.9重量又は体積パーセントの範囲であり得る。特許権者はまた、これらの組成物が、数百の他の剤の中でも、グリコール酸などのヒドロキシ酸を含む他の化粧剤又は薬剤を含有し得ることも開示している。
【0003】
‘969号特許のジペプチド誘導体は、アシル化によって修飾されたアミノ基などのアルカリ性ラジカルを含み、その結果、性質上もはや両性ではなくなり、したがって、皮膚により容易に浸透するが、皮膚浸透特性の改善は依然として望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人らは、今回、Val及びAlaを含有するN-アシルジペプチド誘導体の皮膚への浸透を増加させるための改善された組成物及び方法を見出した。具体的に言えば、出願人らは、特定の量の非イオン性脂質と組み合わせたとき、これらの化合物の浸透が驚くほど増加することを見出した。したがって、式R1-Val-Ala-R2のN-アシルジペプチド誘導体と非イオン性脂質との組み合わせを利用する新規組成物及び方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、局所用組成物であって、式:
R1-Val-Ala-R2
を有するN-アシルジペプチド誘導体又はその異性体若しくは塩であって、式中、Valは、バリンであり、Alaは、アラニンであり、R1は、最大19個の炭素原子を有するアシルラジカルであり、R2は、OR3、NHR4、又はNHNHR5であり、R3は、H、最大19個の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、又はアリールラジカルであり、R4及びR5は、それぞれ独立して、H、OH、最大19個の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アリール、又はアシルラジカルである、N-アシルジペプチド誘導体又はその異性体若しくは塩と、非イオン性脂質と、を含む、局所用組成物を提供する。
【0006】
本発明は、また、皮膚老化の徴候を処置する方法であって、皮膚老化の少なくとも1つの徴候を処置する必要のある皮膚に、局所用組成物を局所的に塗布することを含み、当該局所用組成物は、式:
R1-Val-Ala-R2
を有するN-アシルジペプチド誘導体又はその異性体若しくは塩であって、式中、Valは、バリンであり、Alaは、アラニンであり、R1は、最大19個の炭素原子を有するアシルラジカルであり、R2は、OR3、NHR4、又はNHNHR5であり、R3は、H、最大19個の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、又はアリールラジカルであり、R4及びR5は、それぞれ独立して、H、OH、最大19個の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アリール、又はアシルラジカルである、N-アシルジペプチド誘導体又はその異性体若しくは塩と、非イオン性脂質と、を含む、方法を提供する。
【0007】
本発明は、更に、式:
R1-Val-Ala-R2
を有するN-アシルジペプチド誘導体又はその異性体若しくは塩の皮膚への浸透を増加させる方法であって、式中、Valは、バリンであり、Alaは、アラニンであり、R1は、最大19個の炭素原子を有するアシルラジカルであり、R2は、OR3、NHR4、又はNHNHR5であり、R3は、H、最大19個の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、又はアリールラジカルであり、R4及びR5は、それぞれ独立して、H、OH、最大19個の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アリール、又はアシルラジカルであり、当該方法は、非イオン性脂質を含む局所用組成物で当該N-アシルジペプチド誘導体を皮膚に局所投与することを含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
特に断らない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味を有する。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
本明細書で使用するとき、「局所的に適用」とは、例えば、手、又は拭き取り用品、ローラー若しくはスプレーなどのアプリケータを使用することによって、外皮、頭皮又は毛髪に直接塗るか又は広げることを意味する。
【0010】
本明細書で使用するとき、「化粧用として許容可能な」とは、この用語が説明する成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激、アレルギー反応などなく、組織(例えば、皮膚又は毛髪)と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0011】
本発明で使用するとき、「化粧用として許容可能な活性剤」とは、皮膚又は毛髪への、美容的又は治療的な効果を有する化合物(合成又は天然)である。
【0012】
本発明の組成物は、皮膚老化の徴候を処置するのに好適である。本明細書で使用するとき、「皮膚老化の兆候」は、小じわ及び深いしわを含むしわの存在、弾力喪失、不均一な皮膚、シミ、皮膚の厚みの減少、及びコラーゲン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、エラスチン、又はフィブロネクチンを含む糖タンパク質の異常な合成又は合成の減少を含む。一実施形態では、老化の徴候は、しわ、小じわ、深いしわの存在、弾力喪失、及びコラーゲン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、エラスチン、又はフィブロネクチンを含む糖タンパク質の異常な合成又は合成の減少から選択される。
【0013】
本明細書で使用するとき、「処置」又は「処置する」とは、状態、疾患若しくは疾病、又はこれらの少なくとも1つの認識可能な症状の改善、予防、又は回復を意味する。一実施形態では、「処置」又は「処置する」とは、処置される被験体において又は当該被験体によって必ずしも認識可能ではない、処置される状態、疾患、又は疾病に関連する少なくとも1つの測定可能な身体的パラメータの改善、予防、又は回復を指す。別の実施形態では、「処置」又は「処置する」とは、身体的(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的(例えば、身体的パラメータの安定化)のいずれか又は両方において、状態、疾患又は疾病の進行を阻害する又は遅延させることを指す。別の実施形態では、「処置」又は「処置する」とは、状態、疾患又は疾病の発症を遅延させることを指す。
【0014】
特定の実施形態では、本発明の組成物は予防的手段として投与される。本明細書で使用するとき、「予防」又は「予防する」とは、所与の状態、疾患、又は疾病にかかるリスクを低下させることを指す。
【0015】
より広義には、本発明の組成物はまた、皮膚、爪、及び毛髪に関連する感染、乱れた又は無秩序な皮膚又は粘膜組織;口腔、膣、及び肛門の粘膜;角質化の妨害;炎症;内因性及び外因性の老化に関連する変化、並びに皮膚系に関連していてもよく、関連していなくてもよいその他のものを含むがこれらに限定されない、美容上の、皮膚科学的な、又は他の状態及び疾病を処置又は予防するために使用することもできる。所見としては、脂性肌;にきび;酒さ;老人性色素斑;しみのある皮膚;シミ;セルライト;皮膚瘤;皮膚炎;皮膚、爪、及び毛髪の感染;フケ;皮膚、爪、及び毛髪の乾燥又はたるみ;乾燥症;炎症又は湿疹;弾力線維症;ヘルペス;皮脂過多;過度に色素沈着した皮膚;魚鱗癬;角化症;黒子;黒皮症;斑状皮膚;須毛部仮性毛包炎;光老化及び光損傷;そう痒症;乾癬;皮膚のしわ;ストレッチマーク;皮膚、爪甲、及び毛髪の薄化;いぼ;深いしわ;口腔又は歯肉の疾患;刺激を受けた、炎症を起こした、赤い、不健康な、損傷した又は異常な粘膜、皮膚、毛髪、爪、鼻孔、外耳道、肛門、又は膣の状態;皮膚成分の破壊、合成欠損、又は修復;コラーゲン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、及びエラスチンの異常な合成又は合成の減少、並びに真皮におけるこのような成分のレベルの低下;不均一な皮膚色調;皮膚、爪、及び毛髪の不均一できめの粗い表面;皮膚、爪、及び毛髪の弾力性、弾力、及び回復性の喪失又は低減;ゆるみ;皮膚、爪、及び毛髪の潤滑性及び艶の欠如;もろく、裂けやすい爪及び毛髪;黄変皮膚;反応性、刺激性、又は毛細血管拡張性の皮膚;並びに光沢がなく、より老けてみえる皮膚、爪、及び毛髪が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、本発明の組成物は、皮膚、爪、及び毛髪の一般的なケアのために;皮膚のきめ及び毛穴、はがれやすさ及び赤みを改善するために;皮膚を柔らかく、滑らかで、フレッシュで、バランスのとれた、視覚的に透明感があり、均一な色調であり、かつより明るいものにするために;皮膚のふくよかさ及びふっくらさを増加させるために;並びに皮膚を白く、色を薄くするため、及び創傷治癒のため;脇の下、股、手のひら、又は身体の他の部分の発汗又は蒸泄を低減又は防止するために使用することができる。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「被験体」とは、本発明の組成物が投与されるか、又は投与された任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用するとき、用語「哺乳動物」とは、あらゆる哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、及びヒトが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい一実施形態では、被験体はヒトである。
【0017】
本発明で使用するとき、「しわ」は、細かい小じわ、細かいしわ、又は粗いしわを含む。しわの例としては、目の周囲の細かいしわ(例えば、「カラスの足跡」)、額及び頬のしわ、眉間のしわ、口の周囲の豊齢線が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本発明で使用するとき、「弾性の喪失」とは、たるみ、弛緩、及び緩んだ組織を含むが、これらに限定されない皮膚又は組織の弾性、又は構造的完全性の喪失を含む。弾性、又は組織の構造的完全性の喪失は、疾患、老化、ホルモン変化、機械的外傷、環境損傷、又は化粧料若しくは医薬品などの製品の組織への適用の結果を含むが、これらに限定されない、多数の要因の結果であり得る。
【0019】
本発明で使用するとき、「不均一な皮膚」とは、炎症後色素沈着過度などの色素沈着過度に分類され得る、びまん性又は斑点模様の色素沈着に関連する皮膚の状態を意味する。
【0020】
本発明で使用するとき、「シミ」とは、赤み又は紅斑に関連する皮膚の状態を意味する。
【0021】
本発明で使用するとき、「化粧用」とは、具体的には組織又は皮膚の外観に関する場合、身体的に美しい外観を保つ、回復させる、与える、装う、若しくは高める、又は美しさ又は若々しさが増すように見える美化物質、又は製剤を指す。
【0022】
本発明で使用するとき、「化粧用として有効な量」とは、皮膚老化の1つ以上の兆候を処置又は予防するのに十分であるが、重度の副作用を回避するために十分に低い量を意味する。化合物又は組成物の化粧用としての有効量は、処置する特定の状態、最終使用者の年齢及び健康状態、処置/防止する状態の重症度、処置の期間、他の処置の性質、使用する特定の化合物又は製品/組成物、利用する特定の化粧用として許容可能なキャリア、及び同様の要因によって変化する。
【0023】
特に指示がない限り、百分率又は濃度は、重量百分率又は重量濃度(即ち、%(W/W))を指す。特に明記しない限り、全ての範囲は、端点を含み、例えば、「4~9」は、端点の4及び9を含む。
【0024】
N-アシルジペプチド誘導体
組成物は、式:
R1-Val-Ala-R2
を有する1つ以上のN-アシルジペプチド誘導体又はその異性体若しくは塩であって、式中、Valは、バリンであり、Alaは、アラニンであり、R1は、最大19個の炭素原子を有するアシルラジカルであり、R2は、OR3、NHR4、又はNHNHR5であり、R3は、H、最大19個の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、又はアリールラジカルであり、R4及びR5は、それぞれ独立して、H、OH、最大19個の炭素原子を有するアルキル、アラルキル、アリール、又はアシルラジカルである、1つ以上のN-アシルジペプチド誘導体又はその異性体若しくは塩を含む。前述の混合物を使用してもよい。
【0025】
一実施形態では、ジペプチド誘導体は、N-Ac-Val-Ala-NH2、N-Ac-Val-Ala-OH、N-Ac-Val-Ala-NHOH、N-Pr-Val-Ala-NH2、及びN-Pr-Val-Ala-OHからなる群から選択され,式中、Acは、アセチルであり、Prは、プロパノイルである。
【0026】
別の実施形態では、ジペプチド誘導体は、N-Ac-Val-Ala-NH2であり、式中、Acは、アセチル(N-アシル-L-バリン-L-アラニンアミド)である。
【0027】
N-アシルジペプチド誘導体は、当該技術分野において既知の従来の合成方法によって作製することができる。
【0028】
組成物中のN-アシルジペプチド誘導体の量は、例えば、組成物の総重量に基づいて約0.001~約90重量パーセントの範囲であり得る。一実施形態では、組成物中のN-アシルジペプチド誘導体の量は、組成物中の総重量に基づいて約0.01~約2重量パーセントである。更なる実施形態では、組成物中のN-アシルジペプチド誘導体の量は、組成物中の総重量に基づいて約0.1~約1重量パーセントである。別の実施形態では、組成物中のN-アシルジペプチド誘導体の量は、組成物の総重量に基づいて約0.5重量パーセントである。
【0029】
一実施形態では、ジペプチド誘導体は、N-Ac-Val-Ala-NH2であり、組成物は、組成物の総重量に基づいて約0.1~約1、好ましくは約0.5重量パーセントのN-Ac-Val-Ala-NH2を含有する。
【0030】
グリコール酸
組成物は、グリコール酸も含有する。組成物中のグリコール酸の量は、組成物の総重量に基づいて約10重量パーセント以下である。
【0031】
一実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて約1~約8重量パーセントのグリコール酸を含有する。
【0032】
別の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて約1~約4重量パーセントのグリコール酸を含有する。
【0033】
グリコール酸は、様々な供給元、例えばDuPontから、70重量パーセントグリコール酸水溶液であるGLYPUREとして市販されている。
【0034】
他の化粧用として許容可能な活性剤
組成物は、1つ以上の他の化粧用として許容可能な活性剤を含有していてよい。
【0035】
化粧用として許容可能な活性剤としては、例えば、抗ニキビ剤、光沢調整剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光防護剤、酸化防止剤、角質溶解剤、界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギー増強剤、抗汗剤、皮膚収斂剤、デオドラント剤、安定剤、皮膚硬化防止剤、並びに毛髪及び/又は皮膚のコンディショニング用剤が挙げられる。
【0036】
組成物中の他の化粧用活性剤の量は、組成物の総重量に基づいて、組成物の約0.001重量%~約20重量%、例えば、組成物の約0.005重量%~約10重量%、例えば、組成物の約0.01重量%~約5重量パーセントの範囲であり得る。
【0037】
化粧用として許容可能な活性剤は、例えば、他のアルファヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、他のジペプチド、トリペプチド、過酸化ベンゾイル、D-パンテノールカロテノイド、パルミチン酸レチノール及びレチニルなどのレチノイド、セラミド、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、ラッカーゼなどの酵素、酵素阻害剤、ミネラル、エストロゲンなどのホルモン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド、2-ジメチルアミノエタノール、塩化銅などの銅塩、アルジレリン及びシンエイクなどのペプチド、銅を含有するもの、コエンザイムQ10、プロリンなどのアミノ酸、ビタミン、ラクトビオン酸、アセチルコエンザイムA、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、NADH及びFADH2などの電子輸送体、アロエベラ、ナツシロギク、オートミール、ディル、ブラックベリー、キリ、レモン、アスペン由来のものなどの天然抽出物、4-ヘキシルレゾルシノールなどのレゾルシノール、クルクミノイド、N-アセチルグルコサミンなどの糖アミン、並びにこれらの誘導体及び混合物から選択してよい。
【0038】
ビタミンの例としては、ビタミンA、ビタミンB群(例えば、ビタミンB3、ビタミンB5、及びビタミンB12)、ビタミンC、ビタミンK、及びアルファ、ベータ、ガンマ、若しくはデルタトコフェロールなどの様々な形態のビタミンE、又はこれらの混合物及び誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
他のヒドロキシ酸の例としては、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸及び酒石酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
酸化防止剤の例としては、水溶性酸化防止剤、例えば、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、二亜硫酸ナトリウム及びN-アシル-システイン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、レスベラトロール、ラクトフェリン、並びにアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル及びアスコルビルポリペプチド)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに好適な油溶性酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチニル)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)、トコトリエノール、及びユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に使用するのに好適な酸化防止剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド及びイソフラボノイドを含有する抽出物及びその誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)、レスベラトロールを含有する抽出物などが挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例には、ブドウ種、緑茶、松の樹皮、及びプロポリスが挙げられる。
【0041】
局所用組成物
本発明の組成物は、皮膚又は毛髪に局所的に塗布される。したがって、組成物は、化粧用として許容可能な局所用キャリアを更に含んでもよい。キャリアは、組成物の約25重量%~約99.99重量%(例えば、組成物の約80重量%~約99重量%)を構成し得る。本発明の好ましい実施形態では、化粧用として許容可能な局所用キャリアには水が含まれる。
【0042】
一実施形態では、キャリアは、ジラウリン酸グリセリル、ステアレス-10、及びグリセリンのうちの1つ以上を含む。
【0043】
組成物は、ローション、クリーム、ゲル、スティック、スプレー、軟膏、クレンジング液体洗浄剤及び固形バー、シャンプー及びヘアコンディショナー、ヘアフィクサー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、シェービングクリーム、拭き取り用品、パッチ、ヒドロゲル、フィルム形成製品、フェイシャルマスク及びスキンマスク、フィルム、並びにファンデーション及びマスカラなどのメークアップを含むが、これらに限定されない、多種多様な製品の種類へと作製されてもよい。これらの製品の種類としては、溶液、懸濁液、マイクロエマルション及びナノエマルションなどのエマルション、ゲル、固形物、及びリポソームが挙げられるが、これらに限定されない、種々の化粧用として許容可能な局所用キャリアを含有し得る。以下は、このようなキャリアの非限定例である。当業者によれば他のキャリアを配合することもできる。
【0044】
本発明に有用な組成物は溶液として配合することができる。溶液は、典型的には、水性又は有機溶媒(例えば、約50%~約99.99%又は約90%~約99%の化粧用として許容可能な水性又は有機溶媒)を含む。好適な有機溶媒の例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6-ヘキサントリオール、エタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
本発明に有用な組成物は、皮膚軟化剤を含む溶液として配合することができる。このような組成物は、好ましくは、約2%~約50%の皮膚軟化剤を含有する。本明細書で使用するとき、「皮膚軟化剤」とは、皮膚からの経皮水分喪失を防止することなどにより、乾燥状態の防止又は緩和のために使用する材料を指す。皮膚軟化剤の例としては、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、Pepe、Wenninger、及びMcEwen編、pp.2930~36(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Assoc,Washington,D.C.、第9版、2002年)(以後、「ICI Handbook」)に記載されているものなどが挙げられるが、これに限定されない。特に好適な皮膚軟化剤の例としては、植物油、鉱油、脂肪エステルなどが挙げられる。
【0046】
ローションはそのような溶液から作製され得る。ローションは、典型的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤と、約25%~約90%(例えば、約60%~約80%)の水と、を含有する。
【0047】
溶液から配合できる別の種類の製品はクリームである。クリームは、典型的には、約5%~約50%(例えば、約10%~約20%)の皮膚軟化剤と、約25%~約85%(例えば、約50%~約75%)の水と、を含有する。
【0048】
本発明の組成物は、水を含んでよいか、別の方法としては無水物であってよいか、又は、水を含まないが、有機及び/若しくはシリコーン溶媒、油、脂質、及びワックスを含む軟膏であってよい。軟膏は、動物又は植物油の単一塩基又は半固体の炭化水素を含有してもよい。軟膏は、約2%~約10%の皮膚軟化剤と、約0.1%~約2%の増粘剤と、を含有し得る。増粘剤の例としては、ICI Handbookのpp.2979~84に記載されているものが挙げられるが、これに限定されない。
【0049】
組成物は、エマルションとして配合されてもよい。局所用キャリアがエマルションである場合、約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の局所用キャリアが乳化剤を含有する。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であってもよい。乳化剤の例としては、ICI Handbookのpp.2962~71に記載されているものが挙げられるが、これに限定されない。
【0050】
ローション及びクリームを、エマルションとして配合することができる。典型的には、このようなローションは、0.5%~約5%の乳化剤を含有する。このようなクリームは、典型的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤と、約20%~約80%(例えば、30%~約70%)の水と、約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の乳化剤と、を含有する。
【0051】
水中油型及び油中水型の、ローション及びクリームのような単相エマルションのスキンケア製剤は、化粧品技術分野で周知であり、本発明に有用である。水中油中水型又は油中水中油型などの多相エマルション組成物もまた、本発明に有用である。一般に、そのような単相又は多相のエマルションは、必須成分として水、皮膚軟化剤、及び乳化剤を含有する。
【0052】
本発明の組成物は、ゲル(例えば、好適なゲル化剤を使用した水性、アルコール、アルコール/水、又は油ゲル)として配合することもできる。水性及び/又はアルコール性ゲル用の好適なゲル化剤には、天然ゴム、アクリル酸及びアクリレートのポリマー及びコポリマー、並びにセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)が挙げられるが、これらに限定されない。油(鉱油など)用の好適なゲル化剤としては、水素添加ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー及び水素添加エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。このようなゲルは、典型的には、約0.1重量%~5重量%のこのようなゲル化剤を含有する。
【0053】
本発明の組成物は、固形配合物(例えば、ワックス系スティック、固形石鹸組成物、パウダー、又はパウダーを含有する拭き取り用品)に配合することもできる。
【0054】
組成物は、上記の成分に加えて、皮膚及び毛髪において使用するための組成物で従来より使用されている広範な更なる油溶性材料及び/又は水溶性材料を、当該技術分野で確立された濃度で含有していてよい。
【0055】
様々なその他の材料も、当該技術分野において周知のように、本組成物中に存在してよい。これらは、保湿剤、pH調整剤、キレート剤(例えば、EDTA)、香料、染料、及び防腐剤(例えば、パラベン)を含む。
【0056】
本発明のこのような組成物を含有する組成物並びに配合物及び製品は、当業者に周知の方法を用いて調製することができる。
【0057】
一実施形態では、局所用組成物は、水相、油相、及び非イオン性脂質相から選択される少なくとも2つの相を含むエマルションを含む。
【0058】
水相は水を含有する。
【0059】
水相は、カルボマー又はその他の増粘剤、例えば、キサンタンゴム、カラギーナンゴム、ポリアクリレート13;ポリイソブテン;ポリソルベート20;ポリアクリレート13/ポリイソブチレン/ポリソルベート20ブレンド、ステアラルコニウムヘクトライトなど(これらの混合物を含む)の構造剤も含有し得る。
【0060】
好ましくは、組成物は増粘剤を含み、この増粘剤は、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーである。
【0061】
油相は、少なくとも1つの化粧用として許容可能な油を含有する。
【0062】
本明細書で使用するとき、「油」とは、ミセル凝集体を形成する、又はそれらの大きさを制限するために、分子間力を平衡するのに役立ち得る疎水性材料を意味する。油は、製品の塗布性、皮膚感触、及び疎水性活性成分(ビタミンD、E、K、及びAなどだがこれらに限定されない)の送達、並びに日焼け止めフィルタをもたらすように皮膚軟化剤成分としても機能する。
【0063】
組成物において有用な油としては、組成物の総重量に基づいて約20%~50%の範囲の様々な炭化水素系油、シリコーン、脂肪酸誘導体、グリセリド、植物油、植物油誘導体、アルキルエステル、ワックスエステル、蜜蝋誘導体、ステロール、及びリン脂質、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
好適な炭化水素油には、ワセリン、鉱油、微結晶ワックス、スクアレン、及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0065】
シリコーン油には、ジメチコーン、ジメチコノール、フェニルジメチコーン、及び環状ポリシロキサン、並びにこれらの組み合わせが含まれる。25℃で約0.5~約100,000センチストークスの粘度を有するシリコーン油も、組成物において有用であり得る。
【0066】
グリセリドには、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油及び誘導体、植物油及び誘導体、パーム油、ホホバ油、シアバター、ラノリン、並びにこれらの組み合わせが含まれる。
【0067】
アルキルエステル油には、脂肪酸のイソプロピルエステル及び長鎖脂肪酸のエステルが含まれるが、これらに限定されない。より好ましくは、以下のアルキルエステルが有用である:パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソヘキシル、オレイン酸デシル、イソノナン酸イソノニル、及びこれらの組み合わせ。
【0068】
非イオン性脂質相は、約3~約50個の炭素原子、好ましくは約10~約18個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖を有するグリセリルモノエステル;約5個の炭素原子~約25個の炭素原子、好ましくは約10個の炭素原子~約18個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖を有するグリセリルジエステル;アルコキシル化アルコール;アルコキシル化アルキルフェノール;アルコキシル化酸;アルコキシル化アミド;アルコキシル化糖誘導体;天然油又はワックスのアルコキシル化誘導体;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー;約10個の炭素原子~約18個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖を有するポリオキシエチレンエーテル脂肪酸;ステロイド;脂肪酸が約10個の炭素原子~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖であり、アルコールが1~10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖である、アルコールの脂肪酸エステル;及びこれらの組み合わせなどの1つ以上の非イオン性脂質を含み、ここで、アルコキシル化脂質はエチレンオキシド又はプロピレンオキシドでアルコキシル化されており、エチレンオキシドによるアルコキシル化が好ましい。
【0069】
好適なグリセリルモノエステルの例としては、カプリン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、グリセリルコケート、エルカ酸グリセリル、ヒドロキシステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ラノリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、グリセリルリノレート、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、グリセリルPABA、パルミチン酸グリセリル、リシノール酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、グリセリルチグリコレート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、ラウリン酸グリセリル及びミリスチン酸グリセリルが好ましい。
【0070】
好適なグリセリルジエステルの例としては、ジラウリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、グリセリルセスイオレエート、ステアリン酸乳酸グリセリル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、ジラウリン酸グリセリル及びジミリスチン酸グリセリルが好ましい。
【0071】
好適なポリオキシエチレン脂肪族エーテルの例としては、ポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、ラウリン酸又はジラウリン酸ポリオキシエチレン、ステアリン酸又はジステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンラウリル又はステアリルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、ポリオキシエチレン頭部は、約2~約100個の基の範囲である。好ましいポリオキシエチレン脂肪族エーテルとしては、約3~約10個のオキシエチレン単位を有するポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
【0072】
好適なステロイドの例としては、コレステロール、βシトステロール、ビサボロール、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
アルコールの好適な脂肪酸エステルの例としては、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪族イソプロピルn-ブチラート、イソプロピルn-ヘキサノエート、イソプロピルn-デカノエート、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシルが挙げられる。
【0074】
本発明の組成物において非イオン性脂質として有用な例示的なアルコキシル化アルコールは、以下の式:
R5--(OCH2CH2)y--OH
に示される構造を有し、式中、R5は、約6~約22個の炭素原子を有する分枝鎖又は非分枝鎖のアルキル基であり、yは、約4~約100、好ましくは約10~約100である。好ましいアルコキシル化アルコールは、R5がラウリル基であり、yが23の平均値を有する種であり、これはラウレス23として知られており、商品名「BRIJ 35」としてICI Americas,Inc.(Wilmington,Del)から入手可能である。
【0075】
別の代表的なアルコキシル化アルコールは、ラノリンアルコールのエトキシル化誘導体である。ラノリンアルコールは、ラノリンの加水分解から得られる有機アルコールの混合物である。ラノリンアルコールのエトキシル化誘導体の例はラネス10であり、これは、平均エトキシル化値が10であるラノリンアルコールのポリエチレングリコールエーテルである。
【0076】
別の例示的なアルコキシル化アルコールは、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、PPG-12-ブテス16である。この物質は、商品名「UCON Fluid 50-HB-660」としてAmerchol Corp.(Edison,N.J)から入手可能である。
【0077】
別の種類の非イオン性脂質としては、アルコキシル化アルキルフェノール、例えば、「ノノキシノール14」が挙げられ、商品名「MAKON 14」としてStepan Company(Northfield,Ill)から入手可能である。
【0078】
別の種類の非イオン性脂質は、アルコキシル化酸であり、これは、酸、大部分は通常脂肪酸のポリアルキレングリコールとのエステル、例えば、PEG-8ラウレートである。
【0079】
別の種類の非イオン性脂質としては、アルコキシル化アミド、例えば、PEG-6ココアミドが挙げられる。
【0080】
別の種類の非イオン性脂質としては、アルコキシル化糖誘導体、例えば、ポリソルベート20が挙げられ、これは、主に、約20モルのエチレンオキシドと縮合したモノエステルからなる、ソルビトールのラウリン酸エステルとソルビトール無水物との混合物である。この物質は、商品名「TWEEN20」としてICI Americas(Wilmington,Del)から入手可能である。
【0081】
本発明の組成物において有用なアルコキシル化糖誘導体の別の例は、PEG-20セスキステアリン酸メチルグルコースであり、これは、メチルグルコースとステアリン酸とのセスキエステルのポリエチレングリコールエーテルであり、平均20モルのエチレンオキシドを含有し、商品名「Glucamate SSE-20」としてAmerchol Corp.(Edison,N.J)から入手可能である。
【0082】
別の種類の非イオン性脂質としては、天然油及びワックスのアルコキシル化誘導体が挙げられる。この分類の物質の例としては、PEG-40ラノリン、PEG-40ヒマシ油、及びPEG-40硬化ヒマシ油が挙げられる。
【0083】
別の種類の非イオン性脂質としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、例えば、ポロキサマー101及びポロキサマー182が挙げられる。
【0084】
好ましい非イオン性脂質には、ポリオキシエチレン脂肪エーテル、グリセリルジエステル、及びこれらの混合物が含まれる。より好ましい非イオン性脂質としては、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル、ジラウリン酸グリセリル、グリセリルジミステート、ジステアリン酸グリセリル、並びにこれらの混合物が挙げられ、ここで、各エーテルは、約5~約10個のオキシエチレン単位を有する。
【0085】
皮膚刺激の低減が関心事項である実施形態では、親水性の頭部部分に多量の炭素原子を有する非イオン性脂質、又は代替えとして、疎水性脂肪酸鎖部分に多量の炭素原子を有する非イオン性脂質を使用することが好ましい。前者は、例えば、ポリオキシエチレン-10-ステアリルエーテルの頭部における炭素原子の量を、約10個の炭素原子から約15~20個の炭素原子に増加させることによって達成することができる。後者は、例えば、グリセリルジエステルの12炭素脂肪酸尾部における炭素原子の量を、約14個の炭素から約16個の炭素に増加させることによって達成することができる。
【0086】
本発明の組成物は、組成物の総重量に基づいて約1パーセント~約10パーセント、好ましくは約3パーセント~約7パーセントの非イオン性脂質を含む。
【0087】
好ましい実施形態では、非イオン性脂質相は、水、ジラウリン酸グリセリド、ステアレス10、及びグリセリンを含む。
【0088】
pH
一実施形態では、局所用組成物は低pHを有する。例えば、pHは、約4未満又は約3.3未満であってよい。しかしながら、組成物は低pHを有する必要はない。
【0089】
局所用組成物は、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、又はグルコノラクトンなどの緩衝剤を含んでいてよい。好ましくは、緩衝剤は乳酸である。
【0090】
典型的には、組成物は、約3~約12、又は約4~約8重量パーセントの緩衝剤を含有する。
【0091】
皮膚処置方法
本発明によれば、皮膚老化の徴候は、本明細書に記載のN-アシルジペプチド誘導体と、最大約10重量パーセントのグリコール酸とを含む局所用組成物を、皮膚老化の少なくとも1つの徴候を処置する必要のある皮膚に局所的に塗布することによって処置され得る。
【0092】
また、本発明によれば、N-アシルジペプチド誘導体の皮膚への浸透は、最大約10重量パーセントのグリコール酸も含む組成物でそれを局所投与することによって増加させることができる。
【0093】
一実施形態では、N-アシルジペプチド誘導体及び組成物の最大約10重量パーセントの量のグリコール酸を含む本発明による組成物は、グリコール酸を含有していないか又は10重量パーセントを超えるグリコール酸を含有しているが、その他の点では同じである組成物と比較して、N-アシルジペプチド誘導体の皮膚への累積送達を少なくとも約2倍、好ましくは約3倍、又は最大7倍増加させる。
【0094】
本発明を、以下の非限定的実施例によって更に説明する。以下の皮膚浸透法及び高性能液体クロマトグラフィー質量分析法(High-Performance Liquid Chromatography-Mass Spectrometry、HPLC-MS)法を使用した。
【0095】
皮膚浸透法
生体外皮膚透過実験は、経済協力開発機構(Organization for Economic Cooperation and Development、OECD)によって概説されている指針の下で実施した。
【0096】
分層ヒト死体皮膚標本を、公称厚さ300μmにダーマトームで採皮し、オキサシリンナトリウム及びゲンタマイシンで保存したRoswell Park Memorial Institute(RPMI)1640溶液中-80℃で保管した。試験ごとに約50~60個の皮膚サンプルを供給するために、1人のドナーから得られた皮膚のあるパッケージ全体(約1/4平方フィート)を、各皮膚浸透試験で使用した。使用準備が整ったら、皮膚を急速解凍し、脱イオン水中ですすいだ後、約2.25cm2の小片に切断し、これを静的縦型ガラスフランツ拡散セルに装着した。非閉塞ドナー区画は、0.79cm2の露出表面領域の上方に12mm延在する低ガラスキャップで構成されていた。レセプター区画は、微生物の増殖を遅延させる生理学的に適合する流体を提供するために、0.02%アジ化ナトリウムを含むダルベッコリン酸緩衝(pH7.4)生理食塩水4.5mLを含有していた。インビボ条件と同等の32℃の皮膚表面温度を得るために、各フランツ拡散セルを、ヒト体温(37℃)に設定したPierce Reacti-Therm(商標)Heating及びStirring Modules(Rockford,IL)のアルミニウムスロット内に配置した。リザーバ内容物の均質性を確保するために、レセプター溶液を、磁気撹拌棒を用いて約400rpmで撹拌した。
【0097】
バリア機能が損なわれていないことを保証するために、皮膚浸透測定の開始前に、トリチウム水(3H2O)スクリーニング手順を使用して皮膚完全性試験を実施した。皮膚浸透性が増大するであろう、解凍直後に完全に水和した皮膚上で皮膚浸透試験を実施するのとは対照的に、インビボにおける皮膚状態を模倣するために角質層を確実に部分的に水和するために、皮膚サンプルをフランツ拡散セル内で2時間平衡化した。150μLの適用量の3H20溶液(0.4μCi/mL)を各ドナー区画に添加し、続いて、綿棒を使用して5分間の接触時間後の皮膚表面から除去した。レセプター区画の内容物を適用の30分後に回収し、直ちに、37℃で維持された新たなレセプター溶液を再充填した。レセプターサンプルを、10mLのUltima Gold XR液体シンチレーションカクテルと混合し、Beckman LS6500液体シンチレーションカウンターにより1分間計数した。30分間の曝露期間後に2.0μL/cm2を超える3H2Oが透過していた皮膚サンプルは、皮膚浸透試験で使用するには不合格であるとし、代わりに、分析定量用のブランクマトリックスを提供するために、又は皮膚サンプルからの試験ジペプチド誘導体の抽出効率を評価するために、未処置の対照として使用した。皮膚完全性試験を通過した皮膚サンプルを、3H2O透過性に従って順位付けし、ジペプチド誘導体の皮膚浸透に対するよりロバストな処置効果の比較を可能にするために、皮膚透過性における固有の多様性を考慮して、無作為化された完備計画デザインに基づいて、各サンプルを処置群に割り当てた。フランツ拡散セルを数回洗浄して残留3Hを除去し、一晩平衡化させ、0.1%オレス-20を含有するレセプター溶液で朝に洗い流し、これをシンク条件を維持するための溶解性エンハンサーとして残りの皮膚透過性試験に使用した。
【0098】
内容物を十分に混合するために、半固体試験製剤を使用直前に、そして、必要に応じて適用レジメン全体にわたってボルテックスした。皮膚を綿棒で優しくたたくことによって、適用前に皮膚サンプル表面を乾燥させた後、指定処置を皮膚サンプルに適用した。処置ごとに最低4回反復試験を行った。全ての試験製剤について、5μLの試験製剤を、容積式ピペットで皮膚上に堆積させた。試験製剤で予め湿らせたガラス撹拌棒を使用して、露出した組織(0.79cm2)の全表面領域にわたって、製剤を均一に広げた。粘稠な適用量が皮膚表面上に残留し、ドナーチャンバの壁に沿っていないことを確実にするために注意を払った。展延手順中に添加/除去された試験製剤の量を、重量測定的に明らかにした。全てのサンプルについて回収時間を均一にするために、適用、皮膚表面洗浄、テープ剥離、及び表皮/真皮の皮膚の分取の48時間後に末端のレセプター区画のサンプリングを完了させるのに必要な時間に従って、適用間隔を空けた。
【0099】
適用後6、24、及び48時間目にレセプター流体の内容物を全て回収し、6及び24時間の回収後にレセプター区画に新たなレセプター溶液を補充した。48時間の曝露期間及び末端レセプター区画のサンプリング後、希釈剤及びDI水中5%オレス-20で構成される穏和な界面活性剤溶液で洗浄することによって、未吸収の製剤を除去した。洗浄溶液の300μLのアリコートを、容積式ピペットを用いて皮膚表面に適用し、ガラス撹拌棒で30秒間撹拌してインビボ洗浄手順を模倣し、次いで、プラスチック製ホールピペットを使用してドナー区画から1.5エッペンドルフチューブに移した。次いで、皮膚を、DI水の500μLのアリコートで2回すすぎ、これを、皮膚表面上においてガラス撹拌棒で30秒間撹拌し、界面活性剤洗浄液と同じチューブに回収した。ドナーチャンバを取り外し、1.5mLの2:1メタノール:水抽出溶媒ですすいて、48時間後に吸収されていなかった残留試験物品濃縮物を回収し、これを、別個の1.5エッペンドルフチューブにピペットで移した。皮膚表面洗浄で適切に除去されなかった潜在的に未吸収の適用量を除去するため、又は48時間後に落屑を介してインビボで除去される量を模倣するために、皮膚表面を約30分間空気乾燥させた後、角質層の上層をテープで剥離した。これを行うために、皮膚標本をガラスプレート上に置き、0.79cm2の処置された表面領域上にD100 D Squameテープを置き、製造元の指示に従ってD-Squameディスクアプリケータで15秒間、均一な圧力を印加した。テープをピンセットで取り外し、粘着性の側が内側に向いた状態で、ドナーチャンバすすぎ液を含むエッペンドルフチューブ内に入れ、その間、テープのストリップを抽出溶媒中に適切に確実に浸漬した。次いで、ピンセットを使用して真皮から表皮を慎重に剥がし、分離した皮膚サンプルを別個の2mLの短いバイアル瓶に入れた。2:1メタノール:水抽出溶媒1.5mLを、表皮及び真皮の皮膚サンプルを含むバイアルのそれぞれに添加した。室温において150rpmで24時間軌道振盪器上でサンプルを振盪することによって、皮膚表面洗浄液、テープストリップ、及び皮膚サンプル中のジペプチド誘導体濃縮物を抽出した。続いて、0.45μmの膜を含むシリンジフィルタを通してサンプルを濾過し、分析定量のために2mLのHPLCバイアル瓶に回収した。
【0100】
物質収支を計算するために、抽出溶媒(2:1メタノール:水)2mLを含有する1ドラムシェルバイアル瓶に5μLの適用量をピペットで入れることによって、各製剤中の全分析物含量を測定した(製剤当たり3回反復試験)。予め室温において150rpmで48時間軌道振盪器上でサンプルを振盪し、続いて、0.45μmの膜を含有するシリンジフィルタを通して濾過し、分析定量のために2mLのHPLCバイアル瓶に回収した。
【0101】
高性能液体クロマトグラフィー質量分析(HPLC-MS)法
高性能液体クロマトグラフィー質量分析(HPLC-MS)を使用して、皮膚浸透試験を使用して回収したテープストリップ(T)、表皮(E)、真皮(D)、洗浄液(W)、及びレセプター(R)中のN-アセチル-L-バリン-L-アラニンアミドの量を分析した。
【0102】
2-アセトアミド-N-(2-アミノ-2-オキソエチル)-3-メチルブタンアミド(Aurora Fine Chemicals LLC、純度>95%、バッチ番号A06.430.527_4)を内部標準(IS)として使用した。Agilent HPLC/MSDシステムを使用した、システムID番号:SK_1519。使用した移動相は、A:水(EMD、HPLCグレード、ロット番号:57256)中0.1%ギ酸(FA)(Sigma、試薬グレード(>95%)、ロット番号:SHBJ2924)、及びB:メタノール(EMD、HPLCグレード、ロット番号:25777)中0.1%FA(Sigma)及び2mMギ酸アンモニウム(Fluka、HPLCグレード、ロット番号:BCBQ4532V)であった。カラムは、Agilent製のZorbax Eclipse XDB-C18カラム(3.5μm、150×4.6mm ID、S/N:USWA016962)であり、40℃で使用した。表Xに示すように、二元勾配溶出を使用した。検出器は、表Yに概説されるパラメータを使用してプログラムした。
【0103】
【0104】
【0105】
N-アセチル-L-バリン-L-アラニンアミドの標準原液(1.0mg/mL)を以下のとおり調製した。約50gのN-アセチル-L-バリン-L-アラニンアミド参照標準を50mLのメスフラスコに入れ、30mLのMeOHを添加した。混合物を2分間超音波処理し、MeOHで印まで希釈し、十分に混合した。この後、標準原液を希釈剤(MeOH:水2:1、v/v)で連続希釈して、最終濃度0.1、0.2、0.5、2.0、及び5.0μg/mLの実用標準(W-STD)並びに最終濃度0.3、1.0、及び4.0μg/mLの実用品質管理標準(W-QC)を作製した。内部標準原液(1.0mg/mL)をMeOH中で調製し、続いて、希釈剤で希釈して、100ng/mLの濃度で内部実用溶液(W-IS)を作製した。
【0106】
較正標準を以下のとおり調製した。180μLの希釈剤を2.0mLのHPLCバイアル瓶に添加した。次に、20μLのW-STD溶液又は希釈剤(ブランク用)を添加し、次いで、800μLの100ng/mL内部標準実用溶液又は希釈剤(二重ブランク用)を添加し、1分間ボルテックスした。品質管理(QC)サンプルを以下のとおり調製した。180μLの表皮又は真皮又は洗浄液又はレセプターブランクマトリックスを2.0mLのHPLCバイアル瓶に添加し、20μLのW-QC溶液を添加した。800μLの100ng/mL内部標準実用溶液をHPLCバイアル瓶に添加し、1分間ボルテックスした。
【0107】
試験サンプルを以下のとおり調製した。200μLのサンプルを2.0mLのHPLCバイアル瓶に添加した。800μLの100ng/mL内部標準実用溶液を添加し、1分間ボルテックスした。得られた溶液を、必要に応じてMeOH:H2O(2:1、v/v)で希釈した。較正標準、QCサンプル、及び試験サンプルを、上記の条件を使用してHPLC-MS分析に供した。
【実施例0108】
皮膚透過法及びHPLC-MS法を使用して、N-Ac-Val-Ala-NH2を含有する一連の試験組成物をヒト皮膚サンプルへの浸透について試験した。組成物は、表1、2、及び3に示される成分を含有していた。成分の量は、組成物の総重量に基づいて重量パーセントで報告される。組成物A~Gは比較用であった。組成物1は、本発明によるものであった。
【0109】
N-Ac-Val-Ala-NH2は、Nanjing Pharmatechs Co.,Ltd.から入手した。これは粉末であった。
【0110】
グリコール酸は、水中70重量パーセント溶液(GLYPURE、DuPontから市販)の形態であった。
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
結果を表4に示す。
【0115】
【0116】
上記の結果は、N-アセチルバリルアラニルアミドとグリコール酸との組み合わせを含有する組成物1が、試験した全ての組成物のN-アセチルバリルアラニルアミドの中で最大の皮膚浸透をもたらしたことを示す。全ての他の組成物と比べて、組成物1によって有意に多い(p<0.01)累積量のジペプチド誘導体が皮膚に送達され、そして、全ての組成物の中で最も高い全体的生物学的利用可能量を提供し、組成物Eを除く全ての組成物と比較して生物学的利用可能量が有意に(p<0.05)高かった。例えば、組成物1は、組成物Bによってもたらされたものと比較して、皮膚に送達されたジペプチド誘導体の全生物学的利用可能量が約7倍であった。
【0117】
組成物Eは、組成物Bと比較して、皮膚に送達されたジペプチド誘導体の全生物学的利用可能量が4倍であることに留意してよく、これは、製剤中のジラウリン酸グリセリル、ステアレス-10、及びグリセリンのうちの1つ以上の存在も、ジペプチド誘導体の皮膚への送達を増加させることを示唆する。
【0118】
対照的に、N-アセチルバレリルアラニルアミド単独の適用量を増加させてもその皮膚浸透は増加しなかった。
これらの結果は、それぞれ1%、4%、及び8%のグリコール酸を含有する組成物2、3、及び4が、ほとんどのジペプチド誘導体を皮膚に送達したことを示す。これらの組成物はそれぞれ、0%グリコール酸を含有する同じ基本処方である組成物Hよりも皮膚に送達されたジペプチド誘導体の累積量が有意に(p<0.05)多く、皮膚におけるジペプチド誘導体の生物学的利用可能濃度が有意に高かった。例えば、組成物2~4は、組成物Hによって提供されたものと比較して、皮膚に送達されたジペプチド誘導体の全生物学的利用可能量が約3倍であった。
驚くべきことに、グリコール酸濃度を11重量%まで増加させる(組成物I)と、1%、4%、及び8%のグリコール酸組成物と比較して、ジペプチド誘導体の皮膚への送達が減少し、そして、1%及び4%のグリコール酸組成物と比較して、ジペプチド誘導体の皮膚への送達が有意に(p<0.05)減少した。例えば、組成物Iは、組成物2~3によって提供されたものと比較して、皮膚に送達されたジペプチド誘導体の全生物学的利用可能量が約2~3倍少なかった。
更に、それぞれ4重量%のグルコノラクトン及びマンデル酸を含有する組成物K及び組成物Lと比較して、4重量%のグリコール酸を含有する組成物3は、皮膚に送達されたジペプチド誘導体の生物学的利用可能量が2倍であった。
最後に、組成物Jの結果によって示されるように、単に基本処方(組成物H)におけるpH(組成物を含有するグリコール酸のpH)を3.8に調整しても、皮膚に送達されるジペプチド誘導体の濃度には影響を及ぼさなかった。