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特開2024-180481チャイルドシート及びその側面衝撃保護機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180481
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】チャイルドシート及びその側面衝撃保護機構
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/42 20060101AFI20241219BHJP
   B60N 2/28 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B60N2/42
B60N2/28
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024177325
(22)【出願日】2024-10-09
(62)【分割の表示】P 2022577733の分割
【原出願日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】202010571212.0
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520144059
【氏名又は名称】バンビーノ プレツィオーソ スウィツァーランド アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Bambino Prezioso Switzerland AG
【住所又は居所原語表記】Beim Bahnhof 5, 6312 Steinhausen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】モ・シャオロン
(57)【要約】
【課題】簡単な構造を有し、迅速かつ便利に折り畳むことができるが、側面衝撃事故時に自動車に乗っている子供を即時保護を提供することができる側面衝撃保護機構を提供すること。
【解決手段】側面衝撃保護機構10は、チャイルドシート100の側面部21に回動可能に連結された側面衝撃保護ケース11と、側面衝撃保護ケース11内に移動可能に設置され、側面部21に着脱可能に係止される係止端121を有する係止部12とを含む。係止端121は、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあり側面衝撃力を受けたとき、側面部21に完全に係止され、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあり側面衝撃力を受けていないとき、側面部21に部分的に係止される。側面衝撃保護ケース11は、側面部21に対して回動するよう押され、展開状態から折り畳み状態に切り替え、側面部21に対する係止端121の係止を解除することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面衝撃保護機構であって、
側面衝撃保護ケースと、係止凹部と、係止部とを含み、
前記側面衝撃保護ケースは、展開状態を有し、
前記係止部は、前記側面衝撃保護ケース内に移動可能に設置され、前記係止凹部と取り外し可能に係合される係止端を有し、
前記側面衝撃保護ケースは、前記係止端が前記係止凹部に係止されることによって展開状態に保持され、
前記側面衝撃保護ケースが展開状態にあり、且つ、前記係止部が側面衝撃力を受けていないときに、前記係止凹部と前記係止端との係止深さが第1の係止深さであり、
前記側面衝撃保護ケースが展開状態にあり、且つ、前記係止部が側面衝撃力を受けたときに、前記係止凹部と前記係止端との係止深さが第2の係止深さであり、
前記第2の係止深さは、前記第1の係止深さよりも深く、最大の係止深さである
ことを特徴とする側面衝撃保護機構。
【請求項2】
前記係止部は、前記側面衝撃保護ケース内にスライド可能に設置される
ことを特徴とする請求項1に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項3】
前記係止部の前記係止端から離れる端部は、作動端であり、前記作動端は、前記側面衝撃保護ケースから露出しており、
前記作動端は、前記側面衝撃保護ケースが展開状態にあり且つ前記係止部が側面衝撃力を受けたときに、前記側面衝撃保護ケースと阻止して協働する
ことを特徴とする請求項1に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項4】
前記係止部は、前記側面衝撃保護ケースが展開状態にあるときに、前記係止凹部に位置合わせして設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項5】
前記係止凹部は、溝孔の構造であり、
前記係止深さは、前記係止端が前記係止凹部に進入する深さである
ことを特徴とする請求項1に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項6】
前記係止凹部と前記係止端との係止深さが第1の係止深さである場合、前記係止端は、前記係止凹部の溝底部と間隔を開けて設けられ、
前記係止凹部と前記係止端との係止深さが第2の係止深さである場合、前記係止端は、前記係止凹部の溝底部と当接している
ことを特徴とする請求項5に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項7】
前記係止端の先端には、傾斜構造が設けられており、前記傾斜構造は、前記側面衝撃保護ケースが展開状態にあり、かつ前記係止部が側面衝撃力を受けていないときに、前記係止凹部の開口部の側壁と位置合わせされる
ことを特徴とする請求項5に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項8】
前記側面衝撃保護ケースに取り付けられ、前記係止部に連結される位置決めアセンブリをさらに含み、
前記位置決めアセンブリは、前記側面衝撃保護ケースが展開状態にあり、且つ、前記係止部が側面衝撃力を受けていないときに、前記係止部を前記側面衝撃保護ケースに常に保持し、前記係止端と前記係止凹部との前記係止深さを前記第1の係止深さに常に保持している
ことを特徴とする請求項1に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項9】
前記位置決めアセンブリは、前記係止端と前記係止凹部との前記係止深さが前記第2の係止深さである場合、前記係止端が前記側面衝撃保護ケースから延び出すように駆動する傾向を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項10】
前記位置決めアセンブリは、取付部と、前記取付部の端部に位置する弾性部とを含み、
前記弾性部は、前記取付部に対して弾性的に配置され、前記取付部は、前記側面衝撃保護ケースに取り付けられ、前記弾性部は、前記係止部に締まりばめ方式で取り付けられる
ことを特徴とする請求項8に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項11】
前記係止部には、連結通孔が設けられ、前記弾性部は、前記連結通孔の内壁面に押圧される
ことを特徴とする請求項10に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項12】
前記側面衝撃保護ケース内には、位置決め柱が設けられ、前記位置決め柱は、前記連結通孔に挿入され、且つ連結通孔を貫通する
ことを特徴とする請求項11に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項13】
前記位置決めアセンブリは、2つの前記弾性部を含み、
前記取付部は、2つの前記弾性部の間に位置し、
前記位置決めアセンブリは、文字「m」のように配置される弾性部材である
ことを特徴とする請求項10に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項14】
前記係止凹部と前記係止端との係止深さが第1の係止深さである場合、前記係止端は、前記係止部の移動方向に沿って前記係止凹部と間隔を開けて設けられ、
前記係止凹部と前記係止端との係止深さが第2の係止深さである場合、前記係止端は、前記係止部の移動方向に沿って前記係止凹部と当接している
ことを特徴とする請求項10に記載の側面衝撃保護機構。
【請求項15】
チャイルドシートであって、
シートと、ベースと、側面衝撃保護機構と、含み、
前記側面衝撃保護機構は、請求項1~14のいずれか1項に記載のものであり、
前記シートは、前記ベースに取り付けられ、
前記側面衝撃保護機構の側面衝撃保護ケースは、前記シートまたは前記ベースの側面部に回動可能に連結される
ことを特徴とするチャイルドシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベビー用品の分野に関し、特に、チャイルドシート及びその側面衝撃保護機構に関する。
【背景技術】
【0002】
チャイルドシートは、主に自動車に乗っている子供の安全を保護するために自動車に使用される。現在、チャイルドシートが広く適用されている。日常生活において、自動車事故時に側面衝撃が発生することが多い。自動車に乗っている子供を側面衝撃事故時の側面衝撃力から保護するために、チャイルドシートの側面部に取り付けられる様々な側面衝撃保護機構が開発されている。
【0003】
現在利用可能な側面衝撃保護機構は、一般的に、係止解除操作手段と、係止装置と、側面衝撃保護ケースとを含む。従来の側面衝撃保護ケースは、使用状態において、チャイルドシートの側面部から側方に延在し、使用されていない時に、チャイルドシートの側面部に平らに取り付けられている。従来の側面衝撃保護ケースが使用状態にあるとき、係止解除操作手段を操作して係止装置の係止解除を制御することができ、これにより、側方に延在する従来の側面衝撃保護ケースを折り畳むことができる。上記従来の側面衝撃保護機構は、構造が複雑であるため、不使用時に効率よく折り畳むことが困難である。
【0004】
したがって、構造が簡単で、容易かつ迅速に折り畳むことができる改良された側面衝撃保護機構と、上記の改良された側面衝撃保護機構が取り付けられたチャイルドシートとを提供することによって、上記の課題を解決することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、簡単な構造を有し、迅速かつ便利に折り畳むことができるが、側面衝撃事故時に自動車に乗っている子供を即時保護を提供することができる側面衝撃保護機構を提供することである。
【0006】
本開示の他の目的は、簡単な構造を有し、不使用時には迅速かつ便利に折り畳むことができるが、側面衝撃事故時に自動車に乗っている子供を即時保護を提供することができる側面衝撃保護機構を有するチャイルドシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示に係る側面衝撃保護機構は、側面衝撃事故時にチャイルドシートに加えられる側面衝撃力を緩衝するためにチャイルドシートに設けられる。このために、側面衝撃保護機構は、側面衝撃保護ケースと、係止部とを含む。側面衝撃保護ケースは、チャイルドシートの側面部に回動可能に連結され、側面衝撃保護ケースが側面部に平らに当接する折り畳み状態と、側面衝撃保護ケースが側面部から離れる展開状態との間で切り替え可能である。側面衝撃保護ケースは、係止部が側面部に係止されるによって展開状態に保持される。係止部は、側面衝撃保護ケース内に移動可能に設置され、側面部に取り外し可能に係合される係止端を有し、係止端は、側面衝撃保護ケースが展開状態にあり、且つ側面衝撃力を受けたとき、側面部に完全に係止され、係止端は、側面衝撃保護ケースが展開状態にあるが、側面衝撃力を受けていないとき、側面部に部分的に係止される。後者の場合には、側面衝撃保護ケースが展開状態から折り畳み状態に切り替えるように側面部に対して回動するように押されるときに、係止端が側面部に対する部分的な係止から解除されることができる。
【0008】
従来技術と比較すると、本開示の係止端は、側面衝撃保護ケースが展開状態にあり、且つ側面衝撃力を受けたとき、側面部に完全に係止されるので、側面衝撃保護ケースは展開状態に安定して保持されることができ、側面衝撃事故時に、使用者への即時保護を提供し、安全な使用を確保することができる。一方、側面衝撃保護ケースが展開状態にあるが側面衝撃力を受けていないとき、係止端は側面部に部分的にのみ係止されているので、この場合、操作者は、係止解除手段を操作する必要なく、側面部に対して側面衝撃保護ケースを手動で回動させるように押すだけで、係止端の部分的な係止を側面部から完全に解除することができ、これにより、側面衝撃保護ケースを折り畳む速度が効果的に増加し、側面衝撃保護ケースの便利で迅速な折り畳み手順が容易になる。また、側面衝撃保護機構は、操作者の操作を必要とする係止解除手段を含まないので、側面衝撃保護機構の構造を効果的に最適化して簡略化することができる。
【0009】
好ましくは、本開示の係止部は、側面衝撃保護ケース内にスライド可能に設置される。
【0010】
好ましくは、本開示において、係止部の係止端から離れる端部は作動端であり、作動端は側面衝撃保護ケースから露出している。
【0011】
好ましくは、本開示に係る作動端は、略円弧状の外端面を有する。
【0012】
好ましくは、本開示の側面衝撃保護機構は、チャイルドシートに固定的に取り付けられる固定部をさらに含む。固定部は、係止端と取り外し可能に係合するための係止凹部を含み、係止端の側面部への係止は、係止端と係止凹部との係合によって実現される。
【0013】
好ましくは、本開示において、係止部は、側面衝撃保護ケースが展開状態にあるときに係止凹部と位置合わせされる。
【0014】
好ましくは、本開示に係る係止端の先端には、傾斜構造が設けられており、傾斜構造は、側面衝撃保護ケースが展開状態にあり、且つ側面衝撃力を受けていないときに、係止凹部の開口部の周りの内周壁と位置合わせされる。
【0015】
好ましくは、本開示における係止凹部はスロットである。
【0016】
好ましくは、本開示によれば、作動端と側面衝撃保護ケースとの間の締まりばめは、側面衝撃保護ケースが展開状態にあり、且つ側面衝撃力を受けたときに生じる。
【0017】
好ましくは、本開示の側面衝撃保護ケースの内部は、スライド通路を形成し、係止部は、スライド通路内にスライド可能に設置される。
【0018】
好ましくは、本開示において、スライド通路は、階段状に配置される第一通路部と第二通路部とを含み、第二通路部の口径は、第一通路部の口径よりも大きい。第二通路部は、作動端が第二通路部内に配置された状態で側面衝撃保護ケースを貫通する。
【0019】
好ましくは、本開示の係止部は、側面衝撃保護ケースの長手方向の延在方向と同じ方向に沿ってスライド可能に配置されている。
【0020】
好ましくは、本開示の側面衝撃保護機構は、側面衝撃保護ケースに取り付けられ、係止部に連結される位置決めアセンブリをさらに含む。位置決めアセンブリは、側面衝撃保護ケースが展開状態にあり、且つ側面衝撃力も受けていないときに、係止部を側面衝撃保護ケース内の所定の位置に常に保持し、係止端は、側面部に対して部分的に係止される状態に常に維持される。
【0021】
好ましくは、本開示の位置決めアセンブリは、係止端が側面部に完全に係止されるときに、係止部を側面衝撃保護ケースから延出させるように駆動する傾向を有する。
【0022】
好ましくは、本開示の位置決めアセンブリは、取付部と、取付部の端部に位置する弾性部とを含む。弾性部は、取付部に対して弾性的に配置され、取付部は、側面衝撃保護ケースに取り付けられ、弾性部は、係止部に締まりばめ方式で取り付けられる。
【0023】
好ましくは、本開示の係止部には、連結通孔が設けられ、弾性部は連結通孔の内壁面に押圧される。
【0024】
好ましくは、本開示の側面衝撃保護ケース内には、位置決め柱が設けられ、位置決め柱は、連結通孔に挿入され、且つ連結通孔を貫通する。
【0025】
好ましくは、本開示の位置決めアセンブリは、文字「m」のように配置される弾性部材である。
【0026】
好ましくは、本開示の側面衝撃保護ケースは、側面部と平坦に接触するための接触面と、接触面の反対側に位置する内向きに延在する凹状押圧面とを有する。
【0027】
上記の目的を達成するために、本開示に係るチャイルドシートは、シートと、ベースと、上記の側面衝撃保護機構とを含む。シートはベースの上部に取り付けられ、側面衝撃保護ケースはシートまたはベースの側面部に回動可能に連結される。
【0028】
従来技術と比較すると、本開示に係るチャイルドシートは、上述した側面衝撃保護機構を備えているので、側面衝撃事故時に、展開状態にある側面衝撃保護ケースの係止端が側面部に完全に係止され、側面衝撃保護ケースを展開状態に安定して保持することができ、側面衝撃事故時に、側面衝撃保護機構が自動車に乗っている子供を即時保護することができ、側面衝撃保護機構の安全な使用を確保することができる。また、展開状態にある側面衝撃保護ケースの係止端は、側面衝撃がないときに側面部に完全に係止されていないので、側面衝撃保護ケースを側面部に対して手動で回動させるように押すことで係止端を側面部に対する部分的な係止から完全に解除することができ、係止解除手段を操作する必要がないので、側面衝撃保護機構を折り畳む速度が効果的に増加し、側面衝撃保護機構の便利で迅速な折り畳み手順が容易になる。さらに、本開示の側面衝撃保護機構は、操作者の操作を必要とする係止解除手段を含まないので、側面衝撃保護機構の構造を効果的に最適化して簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本開示に係る側面衝撃保護機構を有するチャイルドシートの斜視構造図であり、側面衝撃保護機構の側面衝撃保護ケースが展開状態にある。
図2図2は、図1のチャイルドシートを別の角度から見た斜視構造図である。
図3図3は、本開示に係るチャイルドシートの側面衝撃保護ケースが折り畳まれた状態を示す斜視構造図である。
図4図4は、図2のA‐A線に沿った断面図とその部分拡大図を含む。
図5図5は、図4の側面衝撃保護ケースが回転させるように押された状態を示す断面図である。
図6図6は、チャイルドシートが側面衝撃力を受けたときに、図4の側面衝撃保護機構の係止部が側面衝撃保護ケース内に後退し、係止部の係止端が所定位置に完全に係止された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の目的、特徴及び効果の理解を容易にするために、本開示を詳細に説明するための好ましい実施形態及び添付の図面が提供される。本開示は、他の実施形態において実施または適用されることができ、本開示の趣旨から逸脱することなく、記載された実施形態における多くの変更及び修正が実行されることができ、好ましい実施形態は例示的なものに過ぎず、本開示を何ら限定することを意図していないことも理解されたい。
【0031】
図1図3に示すように、本開示に係るチャイルドシート100は、側面衝撃保護機構10と、シート20と、ベース30とを含む。シート20はベース30の上部に取り付けられる。側面衝撃保護機構10は側面衝撃保護ケース11(詳細は後述する)を含み、側面衝撃保護ケース11は、シート20の側面部21に回動可能に連結される。好ましくは、側面衝撃保護機構10は、チャイルドシート100に座っている子供に完全な緩衝保護を提供するように、シート20の2つの側面部21のそれぞれに設けられるが、これに限定されない。側面衝撃保護ケース11は、側面部21に平らに当接する折り畳み状態(図3参照)と、側面部21から離れるように回動される展開状態(図1及び図2参照)との間に切り替え可能である。チャイルドシート100の使用時には、側面衝撃保護ケース11は、折り畳み状態から展開状態に回動される。側面衝撃保護ケース11が展開状態にあるチャイルドシート100が、側面衝撃事故中に側面衝撃力を受けると、該側面衝撃力は、チャイルドシート100に座っている子供の代わりに、最初に側面衝撃保護機構10に作用し、次いで、側面衝撃力は、シート20またはベース30を通して効果的に外部に導出され、緩衝され、チャイルドシート100内の子供に良好な保護を提供する。チャイルドシート100の不使用時には、側面衝撃保護ケース11を回動させて折り畳み状態にすることで、側面衝撃保護ケース11を側面部21に平らに当接させることができ、その占有空間を小さくしてチャイルドシート100の収納を便利にすることができる。実際の使用ニーズに応じて、側面衝撃保護ケース11をベース30で側面部21に回動可能に連結することもでき、これにより、側面衝撃保護機構10を異なる取付環境に適応させ、より適切な保護を提供することができる。本開示のチャイルドシート100は、現在利用可能な安全シート構造を採用することができ、ここでは繰り返し説明しない。もちろん、側面衝撃保護機構10は、上述したチャイルドシート100に適用されることに加えて、特に特定の用途に限定されることなく、実際のニーズに応じて他の種類のベビーキャリアやチャイルドキャリアにも適用することができる。次に、図1図6を参照して、側面衝撃保護機構10をより詳細に説明する。
【0032】
まず、図4図6を参照すると、側面衝撃保護機構10は、上述した側面衝撃保護ケース11に加えて、係止部12をさらに含む。側面衝撃保護ケース11は、係止部12が側面部21に係止されることにより、展開状態に保持される。係止部12は、側面衝撃保護ケース11内に移動可能に設置され、側面部21に取り外し可能に係合される係止端121を含む。係止端121は、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあり、且つ側面衝撃力を受けたとき、側面部21に完全に係止される。側面衝撃保護ケース11が展開状態にあるが、側面衝撃力を受けていないとき、係止端121は側面部21に部分的に係止される。後者の場合、側面衝撃保護ケース11は、側面部21に対して回動するように押され、係止端121を側面部21に対する部分的な係止から解除することができ、これにより、側面衝撃保護ケース11は、展開状態から折り畳み状態に切り替えることができる。すなわち、係止端121は、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあり、且つ側面衝撃力を受けたときに、側面部21に完全に係止され、これにより、側面衝撃保護ケース11は展開状態に安定して保持される。このように構成された側面衝撃保護機構10は、側面衝撃事故が発生すると、即時保護機能を発揮するので、安全な使用を確保することができる。さらに、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあるが側面衝撃力を受けていないとき、係止端121は、側面部21に完全に係止されることではなく、側面部21に部分的にのみ係止されているので、係止解除手段を操作する必要なく、側面衝撃保護ケース11を手動で回動させる押すことで、係止端121を側面部21に対する部分的な係止から完全に解除することができ、これにより、側面衝撃保護機構10の折り畳み速度が効果的に増加し、側面衝撃保護機構10の折り畳みがより容易かつ迅速になる。また、本開示の側面衝撃保護機構10は、操作を必要とする係止解除手段を備えていないので、本体構造がより簡素化され最適化されている。なお、ここで使用される「側面衝撃力」という用語は、チャイルドシート100の側面に加えられ、係止部12に正面衝撃を生じる衝撃力を意味する。具体的には、係止部12は、側面衝撃保護ケース11内にスライド可能に設置され、側面衝撃事故の際に側面衝撃力に対応して側面部21に迅速に係止するように都合よく移動することができる。より具体的には、係止部12の係止端121から離れる端部に側面衝撃保護ケース11から露出する作動端122が形成される。側面衝撃事故にチャイルドシート100が側面衝撃力を受けたとき、係止部12の作動端122は、側面衝撃を受けた車体と接触する第一部分である。この時点で、係止部12は、作動端122において直ちに軸方向に押されて側面衝撃保護ケース11内に後退し、これにより、係止端121が側面部21に完全に係止され、側面衝撃に対応して側面衝撃保護ケース11全体が直ちに展開状態に係止されて、安全な使用が十分に確保される。
【0033】
図4図6に示すように、係止部12は、側面衝撃保護ケース11の長手方向の延在方向と同じ方向に沿ってスライド可能に配置されている。図6に示すように、側面衝撃事故に側面衝撃保護機構10が側面衝撃力を受けると、該側面衝撃力は、係止部12に係止部12がスライド可能な方向に沿って作用する押圧力F2を形成する。これにより、係止部12が側面衝撃保護ケース11内に後退し、側面部21に迅速に係止される。係止部12に対して異なる方向から来る可能性のある側面衝撃力に対応することができるように、係止部12の作動端122は、略円弧状の外端面を有する。もちろん、実際の使用ニーズに応じて、作動端122の外端面は、平坦な端面であってもよいし、不規則な曲面であってもよく、特に限定されない。好ましくは、側面衝撃保護ケース11は、側面部21と平坦に接触するための接触面112と、接触面112の反対側に位置する内向きに延在する凹状押圧面113とを有する。側面衝撃保護ケース11が折り畳み状態にあるとき、接触面112は側面部21に平坦に当接され、チャイルドシート100の構造がよりコンパクトになる。展開された側面衝撃保護ケース11を折り畳み状態に回動させる際には、操作者が掌を凹状押圧面113に押すことで、側面衝撃保護ケース11を容易に回動させることができる。
【0034】
図1図2図4及び図6を参照すると、本開示の側面衝撃保護機構10は、チャイルドシート100に固定的に取り付けられる固定部13をさらに含む。固定部13は、係止端121と着脱可能に係合するための係止凹部131を含み、係止端121の側面部21への係止は、係止端121と係止凹部131との係合によって実現される。固定部は独立した部材であり、係止端121が固定部13の係止凹部131と係合することによって側面部21に係止されるので、固定部13は、側面部21がその構造に悪影響を及ぼすことを防止する機能を提供する。好ましくは、係止端121は、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあり、側面衝撃力を受けていないとき、係止凹部131内に3mmの深さまでしか延在しないので、係止端121が係止凹部131から容易に取り外し可能である。本開示は、特に上記の条件に限定されるものではないことを理解されたい。実際の使用ニーズに応じて、係止端121は、係止凹部131内により深く延在する(例えば5mm)ように、または係止凹部131内により浅く延在する(例えば2mm)ように構成され得る。具体的には、係止部12は、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあるときに係止凹部131と位置合わせされるので、係止部12は、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあるときに係止凹部131と迅速に位置合わせされて係合されることができる。例えば、係止凹部131は、スロットであってもよいが、これに限定されず、また、係止部12は、プレートまたはシャフトであってもよいが、これに限定されない。より具体的には、係止端121の先端には、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあり、且つ側面衝撃力を受けていないときに、係止凹部131の開口部の周りの内周壁と位置合わせされる傾斜構造1211が設けられている。側面衝撃保護ケース11が回動されるとき、係止端121の傾斜構造1211は、係止凹部131の開口部の周りの内周壁に対してスライド可能に押圧され、係止端121が係止凹部131に対する部分的な係止からスムーズに解除され、したがって、係止部12を迅速に係止解除することが可能となる。係止端121の先端の傾斜構造1211の長さは、好ましくは1.5mmであるが、これに限定されるものではない。実際の使用ニーズに応じて、傾斜構造1211は、係止端121の先端に形成された丸みを帯びたエッジ構造であってもよい。
【0035】
図4図6を参照すると、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあり、且つ側面衝撃力を受けたとき、作動端122と側面衝撃保護ケース11との間の締まり嵌めが生じ、係止部12が側面衝撃保護ケース11内に完全に後退してその正常な機能を失うことを阻止する。具体的には、側面衝撃保護ケース11の内部は、係止部12がスライドするスライド通路111が形成される。係止部12は、側面衝撃保護ケース11内で揺れるリスクなしにスライド通路111内に位置し、係止部12が側面衝撃保護ケース11内で安定かつ円滑にスライドすることが保証される。より具体的には、スライド通路111は、階段状に配置される第一通路部1111と第二通路部1112とを含む。第二通路部1112の口径は、第一通路部1111の口径よりも大きい。第二通路部1112は、係止部12の作動端122が第二通路部1112内に設置された状態で、側面衝撃保護ケース11を貫通する。側面衝撃保護ケース11が側面衝撃力を受けたときに、作動端122が第二通路部1112の内壁面に押圧される。すなわち、側面衝撃事故時には、第二通路部1112の内壁面によって、作動端122が側面衝撃保護ケース11内に完全に後退し、正常な機能を失うことが阻止される。
【0036】
図4図6に示すように、本開示の側面衝撃保護機構10は、側面衝撃保護ケース11に取り付けられ、係止部12に連結された位置決めアセンブリ14をさらに含む。位置決めアセンブリ14は、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあり、且つ側面衝撃力を受けていないとき、係止部12を側面衝撃保護ケース11内の所定の位置に常に保持し、これにより、係止端121は、側面部21に対して部分的に係止される状態で常に保持される。したがって、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあり、側面衝撃力を受けていないとき、係止部12は、常に係止凹部131に部分的に係止され、これにより、係止部12は、側面衝撃保護ケース11によって係止凹部131との係合を迅速に解除することができ、側面衝撃保護ケース11が回動するように回動可能に押されるたびに、側面衝撃保護ケース11を展開状態から折り畳み状態に変更することができる。具体的には、位置決めアセンブリ14は、係止端121が側面部21に完全に係止されるときに、係止部12を側面衝撃保護ケース11から延出させるように駆動する傾向を有する。すなわち、位置決めアセンブリ14は、側面衝撃後、次回の使用を便利にするために、毎回、係止部12を側面衝撃保護ケース11から延出する位置に復元またはリセットするように機能する。より具体的には、位置決めアセンブリ14は、取付部141と、取付部141の端部に位置する弾性部142とを含む。弾性部142は、取付部141に対して弾性的に配置され、取付部141は、側面衝撃保護ケース11に取り付けられ、弾性部142は、締まりばめ方式で係止部12に取り付けられる。位置決めアセンブリ14は、構造が簡単であり、取り付けが容易である。実際の使用ニーズに応じて、位置決めアセンブリ14は、係止部12の位置決め及びリセットを同様に実現するための、他の従来から知られているばねであってもよい。好ましくは、これに限定されるものではないが、取付部141が側面衝撃保護ケース11にスナップされることにより、位置決めアセンブリ14は、側面衝撃保護ケース11にしっかりと取り付けられ、側面衝撃保護ケース11から容易に着脱され得る。弾性部142と係止部12との間に締まりばめが形成された状態で弾性部142を係止部12に取り付けることを容易にするために、係止部12には連結通孔123が設けられ、弾性部142は連結通孔123の内壁面に弾性的に押圧される。しかしながら、本開示は特にこれに限定されるものではない。実際の使用ニーズに応じて、弾性部142は、別の方法で係止部12上に直接取り付けられ、係止部12の位置決め及びリセットを同様に実現することができる。例えば、位置決めアセンブリ14は、2つの弾性部142を含み、文字「m」のように配置された弾性部材であってもよい。代わりに、実際の使用ニーズに応じて、位置決めアセンブリ14は、特にこれに限定されることなく、N字型または波状であってもよい。係止部12が側面衝撃保護ケース11から完全に外れることを防止するために、側面衝撃保護ケース11内には、連結通孔123に挿入され、且つ連結通孔123を貫通する位置決め柱114が設けられる。
【0037】
以下、図1図6を参照して、本開示のチャイルドシート100の動作原理を説明する。側面衝撃保護ケース11を折り畳む必要がある場合には、操作者が側面衝撃保護ケース11を図4の矢印F1で示す方向に押すだけでよい。側面衝撃保護ケース11は、最初に展開状態にあり、係止部12の係止端121は、係止凹部131に部分的にのみ係合されているので、方向F1に押された側面衝撃保護ケース11は、図5に示された矢印Bによって示される方向に回転し、係止部12をそれとともに回転させる。係止凹部131の開口部の内周壁に押圧する係止端121の傾斜構造1211は、係止端121を係止凹部131との部分的な係合から解除するように、係止部12を外向きに強制的に延在させる。これにより、図2に示すように展開状態にある側面衝撃保護ケース11を回動させた後、図3に示すように折り畳み状態に切り替えることができる。
【0038】
一方、側面衝撃保護ケース11を引き出して使用したい場合には、操作者が側面衝撃保護ケース11を折り畳み状態から展開状態に回動させるだけでよい。側面衝撃保護ケース11が回転されるとき、位置決めアセンブリ14は変形され、係止端121が固定部13に対して常に押圧するように、係止部12を固定部13に向かって常に駆動する傾向を有する。側面衝撃保護ケース11が展開状態に切り替えられると、係止部12は係止凹部131に位置合わせされ、固定部13によってブロックされなくなり、位置決めアセンブリ14は変形から弾性的に回復され、係止端121を係止凹部131内に押し込む。係止部12は、位置決めアセンブリ14によって所定の位置に位置決めされるので、係止端121は、係止凹部131と常に部分的に係合し、これにより側面衝撃保護ケース11を展開状態に保持し、チャイルドシート100に加えられる側面衝撃力を緩衝する。
【0039】
図6に示すように、チャイルドシート100が矢印F2で示す方向に側面衝撃力を受けたとき、側面衝撃保護ケース11から突出する係止部12の作動端122は、側面衝撃力を受ける第一部分である。その結果、係止部12が側面衝撃保護ケース11内に押し込まれ、係止端121が係止凹部131内に完全に延在し、側面衝撃保護ケース11を展開状態に係止して保持する。側面衝撃保護ケース11は、側面衝撃事故時に車体がチャイルドシート100に与える側面衝撃力を緩衝する役割を果たすので、チャイルドシート100の安全な使用を確保することができる。
【0040】
なお、上述したように、側面衝撃保護ケース11を押すことは、側面衝撃保護ケース11を回動させるために側面衝撃保護ケース11に押圧力を付与することを意味する;そして、押圧力は、側面衝撃保護ケース11の長手方向の延在方向と直交する方向に作用する。
【0041】
本開示の側面衝撃保護機構10は、現在利用可能な技術的手段と比較して、側面衝撃保護ケース11と、係止部12とを含む。側面衝撃保護ケース11は、係止部12がチャイルドシート100の側面部21に係止されることにより、展開状態に保持される。係止部12は、側面衝撃保護ケース11内にスライド可能に設置され、側面部21に取り外し可能に係合される係止端121を含む。係止端121は、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあり、且つ側面衝撃力を受けたとき、側面部21に完全に係止される。一方、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあるが、側面衝撃力を受けていないとき、係止端121は側面部21に部分的に係止される。後者の場合、側面衝撃保護ケース11が側面部21に対して回動するように押されると、係止端121は側面衝撃保護ケース11の回動によって側面部21に対する部分的な係止を解除し、側面衝撃保護ケース11を展開状態から折り畳み状態に確実に切り替えることができる。係止端121は、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあり、且つ側面衝撃力を受けたときに、側面部21に完全に係止されるので、側面衝撃保護ケース11を展開状態に安定して保持することができる。これにより、側面衝撃保護機構10は、側面衝撃が発生すると、緩衝効果を迅速に提供し、安全な使用を確保することができることを意味する。一方、側面衝撃保護ケース11が展開状態にあるが側面衝撃力を受けていないとき、係止端121が側面部21に部分的にのみ係止されているので、係止解除手段を操作する必要なく、側面衝撃保護ケース11を手動で回動させるように押すことで、係止端121を側面部21に対する部分的な係止から完全に解除することができる。これにより、側面衝撃保護機構10の折り畳み速度を効果的に向上させることができ、側面衝撃保護機構10の折り畳みをより容易かつ迅速に行うことができる。さらに、本開示の側面衝撃保護機構10は、操作者の操作を必要とする係止解除手段を含まないので、側面衝撃保護機構10は、効果的に最適化され簡略化された構造を有することができる。
【0042】
本開示の側面衝撃保護機構10が設けられたチャイルドシート100も、側面衝撃保護機構10と同じ技術的効果を有することが理解できる。
【0043】
本開示は、特定の実施形態を用いて説明されてきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正及び変形を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 側面衝撃保護機構
11 側面衝撃保護ケース
12 係止部
13 固定部
14 アセンブリ
20 シート
21 側面部
30 ベース
100 チャイルドシート
111 スライド通路
112 接触面
113 凹状押圧面
114 柱
121 係止端
122 作動端
123 連結通孔
131 係止凹部
141 取付部
142 弾性部
1111 第一通路部
1112 第二通路部
1211 傾斜構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6