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▶ アビオメド オイローパ ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180510
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】血液ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/135 20210101AFI20241219BHJP
   A61M 60/414 20210101ALN20241219BHJP
   A61M 60/857 20210101ALN20241219BHJP
   A61M 60/232 20210101ALN20241219BHJP
   A61M 60/237 20210101ALN20241219BHJP
   A61M 60/894 20210101ALN20241219BHJP
【FI】
A61M60/135
A61M60/414
A61M60/857
A61M60/232
A61M60/237
A61M60/894
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024177879
(22)【出願日】2024-10-10
(62)【分割の表示】P 2023092020の分割
【原出願日】2016-06-23
(31)【優先権主張番号】15173290.6
(32)【優先日】2015-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507116684
【氏名又は名称】アビオメド オイローパ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジース トルステン
(72)【発明者】
【氏名】アボウロースン ワリード
(57)【要約】
【課題】本発明は、血液の逆流を少なくとも低減することができるかまたは好適には予防することができる血液ポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】血液ポンプ1が、血流入口21および血流出口22を有するポンプケーシング2と、回転軸を中心として回転可能となるように上記ポンプケーシング2内に配置される羽根車3と、を備え、羽根車3が、血流入口21から血流出口22まで血液を運搬するようにサイズ決定および成形される羽根31を有する。血液ポンプ1が、上流側端部分41と、下流側端部分43と、上流側端部分41と下流側端部分43との間を延在する中間部分42と、を有する流出カニューレ4を備える。流出カニューレ4の上流側端部分41はポンプケーシング2に接続される。流出カニューレ4の中間部分42の少なくとも一部分がポンプケーシング2の外径より大きい外径を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプ(1;201;301)であって、
血流入口(21;221;321)および血流出口(22;222;322)を有するポンプケーシング(2;202;302)と、
前記血流入口(21;221;321)から前記血流出口(22;222;322)まで血液を運搬するために回転軸を中心として回転可能となるように前記ポンプケーシング(2;202;302)内に配置される羽根車(3;203;303)と、
上流側端部分(41;241;341)、下流側端部分(43;243;343)、および、前記上流側端部分(41;241;341)と前記下流側端部分(43;243;343)との間を延在する中間部分(42;242;343)を有する流出カニューレ(4;204;304)であって、前記流出カニューレ(4;204;304)の前記上流側端部分(41;241;341)が前記ポンプケーシング(2;202;302)に接続され、その結果、血液が前記ポンプケーシング(2;202;302)の前記血流出口(22;222;322)から、前記流出カニューレ(4;204;304)の前記中間部分(42;242;342)の中へと、また前記中間部分(42;242;342)を通って前記流出カニューレ(4;204;304)の前記下流側端部分(43;243;343)に向かって、運搬されるようになり、前記下流側端部分(43;243;343)が血流出口(44;244;344)を有し、血液が前記血流出口(44;244;344)を通って前記流出カニューレ(4;204;304)から外に出ることができ、前記血流出口(44;244;344)が前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の最も外側の円周を基準として少なくとも部分的に径方向内側に配置され、前記流出カニューレ(42;242;342)の前記中間部分(42;242;342)の少なくとも一部分が前記ポンプケーシング(2;202;302)の外径より大きい外径を有する、流出カニューレ(4;204;304)と
を備え、
少なくとも前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)が、前記血液ポンプ(1;201;301)の動作中に前記血液ポンプ(1;201;301)を配置するところの患者の血管(104;108)の内壁に接触するようにサイズ決定および成形され、それにより、前記血液ポンプ(1)の動作中に前記血管(104;108)を閉塞する、
ことを特徴とする血液ポンプ(1;201;301)。
【請求項2】
請求項1に記載の血液ポンプであって、前記血流出口(44;244;344)が前記下流側端部分(43;243;343)内に配置され、その結果、血液が少なくとも部分的に軸方向で前記流出カニューレ(4;204;304)から外に出ることができることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)の前記血流出口(44;244;344)の断面積が、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の最大断面積より小さく、前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)の前記血流出口(44;244;344)の断面積が、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の断面積よりも、少なくとも50%、好適には40%、より好適には30%、小さく、ならびに/あるいは、
前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)の前記血流出口(44;244;344)が、少なくとも2つの開口部、好適には3つの開口部、より好適には4つの開口部を備える、
ことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の直径が、前記ポンプケーシング(2;202;302)の直径の少なくとも1.5倍の大きさであり、好適には2倍の大きさであり、より好適には3倍の大きさであり、さらに好適には4倍の大きさであることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242)の最大径が約5mmから約2cmの間であり、好適には約1cmから約1.5cmの間であり、あるいは、前記流出カニューレの前記中間部分(342)の最大径が好適には約0.5mmから約5mmの間であり、より好適には2mmであることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242)の長手方向の長さが5cm未満であり、好適には3cm未満であり、あるいは、前記流出カニューレの前記中間部分(342)の長手方向の長さが約1mmから3mmの間であることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレ(4;204;304)が前記ポンプケーシング(2;202;302)の材料より柔らかい材料を含み、好適には、前記流出カニューレ(4;204;304)の前記材料が弾性を有することを特徴とする血液ポンプ。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記上流側端部分(41;241;341)および前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)のうちの少なくとも1つがテーパ状であることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記上流側端部分(41;241;341)の最小内径が前記ポンプケーシング(2;202;302)の外径に一致し、前記流出カニューレ(4;204;304)が前記ポンプケーシング(2;202;302)に密閉的に接続されることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記中間部分(42)の少なくとも一部分の周りに配置される支持構造(47;47’)を備え、好適には、前記支持構造(47;47’)が、実質的に円筒形のパッドおよび実質的に円錐形のパッドのうちの少なくとも1つであり、前記支持構造(47;47’)が好適には医薬用原料を含むことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、薬剤溶出デバイス(347)を備え、前記薬剤溶出デバイス(347)が医薬用原料を患者の標的領域に供給するように構成され、好適には、前記薬剤溶出デバイス(347)が前記流出カニューレ(304)の前記中間部分(342)を少なくとも部分的に囲み、より好適には、前記薬剤溶出デバイス(347)が実質的に円筒形のパッドおよび実質的に円錐形のパッドのうちの少なくとも1つであることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項12】
請求項11に記載の血液ポンプであって、前記薬剤溶出デバイス(347’)が、リザーバ(348)に医薬用原料を注入することおよびリザーバ(348)から医薬用原料を取り除くことのうちの少なくとも1つためのアクセス用の管腔(360)に接続されるリザーバ(348)を備えることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記血液ポンプ(1;301)が前記ポンプケーシング(2;302)から前記流出カニューレ(4;304)を通って延在するカテーテル(5;305)に接続され、あるいは、前記血液ポンプ(201)が、前記ポンプケーシング(202)から、前記流出カニューレ(204)から離れる方向に延在するカテーテル(205)に接続されることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記血液ポンプ(1;201;301)が、軸流血液ポンプ、遠心血液ポンプ、または、混合タイプの血液ポンプであり、ならびに/あるいは、前記血液ポンプが、患者の腎臓(105)から患者の下大静脈(103)に向かって血液を圧送するためにヒト患者の腎静脈(104)内に配置されるように構成されるか、または、ヒト患者の冠動脈(108)内に配置されるように構成されることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項15】
血液ポンプを使用して患者の血管内の血流をサポートするための方法であって、
前記血液ポンプ(1;201;301)が、血流入口(21;221;321)および血流出口(22;222;322)を有するポンプケーシング(2;202;302)と、前記血流入口(21;221;321)から前記血流出口(22;222;322)まで血液を運搬するために回転軸を中心として回転可能となるように前記ポンプケーシング(2;202;302)内に配置される羽根車(3;203;303)と、上流側端部分(41;241;341)、下流側端部分(43;243;343)、および、前記上流側端部分(41;241;341)と前記下流側端部分(43;243;343)との間を延在する中間部分(42;242;343)を有する流出カニューレ(4;204;304)であって、前記流出カニューレ(4;204;304)の前記上流側端部分(41;241;341)が前記ポンプケーシング(2;202;302)に接続され、その結果、血液が前記ポンプケーシング(2;202;302)の前記血流出口(22;222;322)から、前記流出カニューレ(4;204;304)の前記中間部分(42;242;342)の中へと、また前記中間部分(42;242;342)を通って前記流出カニューレ(4;204;304)の前記下流側端部分(43;243;343)に向かって、運搬されるようになり、前記下流側端部分(43;243;343)が血流出口(44;244;344)を有し、血液が前記血流出口(44;244;344)を通って前記流出カニューレ(4;204;304)から外に出ることができ、前記血流出口(44;244;344)が前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の最も外側の円周を基準として少なくとも部分的に径方向内側に配置され、前記流出カニューレ(4;204;304)の前記中間部分(42;242;342)の少なくとも一部分が前記ポンプケーシング(2;202;302)の外径より大きい外径を有する、流出カニューレ(4;204;304)と、を備え、
前記方法が、
前記血液ポンプが患者の血管内に配置されるときに、少なくとも前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)を患者の血管(104;108)の内壁に接触させるように、前記血液ポンプ(1;201;301)を動作させるステップであって、前記血液ポンプ(1;201;301)の動作中、前記血液ポンプ(1;201;301)が、前記血液ポンプ(1)の動作中に前記血管(104;108)を閉塞するように、配置される、ステップ
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記血液ポンプが患者の腎臓(105)から患者の下大静脈(103)に向かって血液を圧送するためにヒト患者の腎静脈(104)内に配置されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記血液ポンプがヒト患者の冠動脈(108)内に配置されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば腎静脈または冠動脈内などの、患者の血管(blood vessel)内の血流をサポートための血液ポンプおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軸流血液ポンプ(axial blood pump)、遠心血液ポンプ、または、軸方向の力および径方向の力の両方により血流を引き起こす混合タイプの血液ポンプなどの、様々な種類の血液ポンプが知られている。血液ポンプはカテーテルにより大動脈などの患者の血管内に挿入され得るかまたは胸腔内に配置され得る。腎臓での使用(renal use)のための血液ポンプも知られており、ここでは、腎不全を予防することを目的として患者の腎臓から下大静脈に向かう血流をサポートするために血液ポンプが患者の腎静脈内に配置される。血液ポンプは、通常、通路によって接続される血流入口および血流出口を有するポンプケーシングを備える。血流入口から血流出口までの通路に沿う血流を引き起こすために、羽根車がポンプケーシング内で回転可能に支持され、羽根車が血液を運搬するための羽根を装備する。
【0003】
血液ポンプの運搬方向の反対の方向への血液の逆流を回避することが望ましい。したがって、血管を閉塞するために血管の内壁に接触するバルーン、または、逆止弁のように機能する他の手段、などの、血液ポンプの領域内の血管を閉塞するための手段が、例えば、独国特許第19613565C1号または米国特許第5,163,910号から知られている。また、国際特許出願公開第2014/141284A2号で開示されるような、血管の内壁に接触するようにサイズ決定および成形される膨張可能なポンプケーシングを提供することも知られている。
【0004】
別の圧送デバイスが米国特許第5,163,910号で開示されており、これが、中心管腔を通して血液を圧送するようにポンプを作動させながら円周状のバルーンを膨らませることにより血管を閉塞することを目的として同時に使用されるポンプおよび閉塞性のバルーン(occlusive balloon)の組み合わせを有する。しかし、このようなデバイスは血管を閉塞して中心管腔を通して血液を強制的に供給することができるが、閉塞される血管に対して中央カテーテルのサイズが非常に小さく、したがって、重大な血液損傷を引き起こすことがないようにする場合、あるいは、深刻な血液損傷を原因として血栓を形成することのリスクがないようにする場合、限定された流量しかポンプにより供給され得ない。円周状のバルーンがデバイスの直径の全体のうちの大部分を占有することから、中心管腔のサイズが制限される。したがって、中心管腔にはほとんどスペースが残されない。これは、標的血管が小さくなるにつれてより明白となる。
【0005】
さらに、血液ポンプが独国特許出願公開第102004954714A1号および米国特許第6,533,716(B1)号から知られており、これが、ポンプケーシングに接続される流出カニューレを有し、それにより、血液が流出カニューレの中へとおよび流出カニューレを通るように、上流側端部分から下流側端部分まで圧送され、下流側端部において血液が血流出口を通って流出カニューレから外に出る。流出カニューレが上流側端部分と下流側端部分との間を延在する中間部分を有することができる。血液ポンプの流出カニューレは例えば大動脈弁を通るように配置され得、ポンプケーシングが左心室の内部に配置される。血液ポンプの部品が患者の血管の内壁に接触する場合、血管を傷つけることがないように気をつける必要がある。
【0006】
患者の血管(blood vessel)を治療するための他のデバイスが知られており、これは具体的には、狭窄症を発症している血管を拡張させるためのデバイス、あるいは、薬剤溶出デバイス、つまり、医薬用原料または治療剤を標的領域に供給するように構成されるデバイス、などである。これらの物質は、例えば、抗生物質、抗凝血物質、または、発育抑制物質であってよい。バルーンが血管内の標的領域のところに配備され得、血管の内壁に接触するように膨らませられ得、それにより医薬用原料を供給する。しかし、このようなバルーンデバイスは薬剤を患者の血管内の標的領域に効果的に供給することができるが、血管がバルーンによって塞がれる。したがって、薬剤溶出デバイスと血管との接触時間が30秒から60秒といったように短時間に制限される。これは、冠動脈の治療などの患者の心臓に関係する用途において特に、細心の注意を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、血液の逆流を少なくとも低減することができるかまたは好適には予防することができる血液ポンプを提供することであり、ここでは、血管を傷つけることなく患者の血管を閉塞することができる血液ポンプを提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的が、本発明に従い、独立請求項1の特徴を有する血液ポンプによって達成される。本発明の好適な実施形態および別の発展形態が、請求項1に従属する請求項に明記される。
【0009】
本発明によると、血液ポンプが、上流側端部分と、下流側端部分と、上流側端部分と下流側端部分との間を延在する中間部分と、を有する流出カニューレを備える。流出カニューレの上流側端部分がポンプケーシングに接続され、その結果、血液がポンプケーシングの血流出口から、流出カニューレの中間部分の中へと、また、その中間部分を通って流出カニューレの下流側端部分に向かって、運搬されるようになり、ここでは、下流側端部分が血流出口を有し、その血流出口を通って血液が流出カニューレから外に出ることができる。
【0010】
流出カニューレの中間部分の少なくとも一部分がポンプケーシングの外径より大きい外径を有する。したがって、流出カニューレに拡大した直径を提供することにより、血液ポンプを通過するような血液の逆流を回避するかまたは少なくとも低減することが可能となる。流出カニューレが閉塞デバイスとして機能することができ、その結果、追加の閉塞デバイスまたは遮断手段が必要なくなる。
【0011】
流出カニューレの中間部分が患者の血管の内壁に接触するようにサイズ決定および成形され得、血液ポンプの動作中は血液ポンプが患者の血管の中に配置され、それにより、血液ポンプの動作中に血管を閉塞する。特にはその中間部分のところで、血管を閉塞するように流出カニューレを使用することが有利であり、その理由は、血管の内壁に作用する力が、具体的には、例えば狭いリング形状の閉塞デバイスと比較すると、比較的大きい面積にわたって分布されるからである。血管を傷つけることが回避され得るかまたは少なくとも部分的に低減される。加えて、閉塞圧力が、ポンプ流出の動力学(pump outflow dynamics)により、または、流出アパーチャのサイズにより、調節され得る。このようにして、閉塞圧力が周囲の血圧を数ミリメートル水銀柱(mmHg)だけ上回るように調整され得る。好適には、閉塞圧力が周囲の血圧より0.67kPa~2.0kPa(5~15mmHg)だけ上回るような範囲内にある。
【0012】
血液ポンプの寸法は、血液ポンプの多様な用途に応じて適切に選択され得る。一実施形態では、流出カニューレの中間部分の直径がポンプケーシングの直径の少なくとも2倍の大きさであり、好適には3倍の大きさであり、より好適には4倍の大きさである。別の実施形態では、流出カニューレの中間部分の直径が、ポンプケーシングの直径の少なくとも1.1倍の大きさであってよく、好適には1.5倍の大きさであり、より好適には2倍の大きさである。流出カニューレの中間部分の直径と比較してポンプケーシングの直径が小さいことが、血管の内壁に対してポンプケーシングが接触するのを防止することを補助する。これは特には、ポンプの流入アパーチャを血管壁から分離することも補助する。局所的な血管虚脱およびポンプ内への吸込みの危険性が排除され得る。これは、特には、例えばカニューレがポンプケーシングよりも柔らかい材料で作られているような場合に、有利となり得、それにより、容器を傷つけるのを防止することが補助される。実際には、システムが吸引力の自己制限機能(self-limiting suction)を有する。吸引が起こり始めると、ポンプ圧が低下し、それによりカニューレが収縮し、血管全体が通常の圧力に戻る。流出カニューレの中間部分の直径、また具体的には、その最大径のところが、約5mmから約2cmの間であってよく、好適には約1cmから約1.5cmの間であってよい。例えば、約1cmの直径を有する可能性がある腎静脈内で血液ポンプが使用される場合、流出カニューレの中間部分が約1.1cmまたは1.3cmの直径を有することができ、それにより腎静脈の閉塞を実現する。別の実施形態では、特には、血液ポンプが冠動脈などの心臓血管内で使用される場合、流出カニューレの中間部分の直径、また具体的には、その最大径のところが、約0.5mmから5mmの間であってよく、好適には2mmであり、これは冠動脈内で使用されるのに適切なものである。
【0013】
流出カニューレの下流側端部分の血流出口が、流出カニューレの中間部分の最も外側の円周を基準として少なくとも部分的に径方向内側に配置される。例えば、下流側端部分が径方向内側にテーパ状になっていてよい。これが、少なくとも部分的に軸方向である血流を提供することを補助する。この構成の血流出口は、血管の内壁に対して流出カニューレが押圧されるときに血流出口が塞がれるのを防止する。血流出口が下流側端部分内に配置され得、その結果、血液が少なくとも部分的に軸方向で流出カニューレから外に出ることができる。
【0014】
実施形態では、流出カニューレの中間部分の長手方向の長さが5cm未満であってよく、好適には2cm未満であってよい。この長さは例えば腎静脈内で使用されるのに適切なものとなり得る。別法として、流出カニューレの中間部分の長手方向の長さが約1mmから3mmの間である。この長さは例えば冠動脈内で使用されるのに適切なものとなり得る。具体的には、流出カニューレの中間部分の長手方向の長さは、好適には血管を閉塞するためにそれぞれの血管に対して中間部分が接触するときに沿うところである流出カニューレの長さであってよい。
【0015】
好適な実施形態では、流出カニューレの下流側端部分の血流出口の断面積が流出カニューレの中間部分の断面積より小さく、具体的には、流出カニューレの中間部分の最大断面積より小さい。好適には、流出カニューレの下流側端部分の血流出口の断面積が、流出カニューレの中間部分の断面積よりも、少なくとも50%、好適には40%、より好適には30%、小さい。縮小される直径は、例えば、流出カニューレの血流出口内に少なくとも2つの開口部、好適には3つの開口部、より好適には4つの開口部を設けることにより、達成され得る。2つ以上の開口部が設けられる場合、すべての開口部の断面積が、一体に、流出カニューレの血流出口の断面積を形成する。流出カニューレの血流出口が、流出カニューレの中間部分の断面積より小さい断面積を有する5つ以上の開口部または1つの開口部を備えることができることも認識されよう。
【0016】
流出カニューレの中間部分の断面積と比較して縮小される流出カニューレの血流出口の断面積により、流出のネック部分を作る(necking)ことになり、したがって流出カニューレが充填されることになり、流出カニューレ内の圧力が増大することになる。それにより、流出カニューレの壁が、流出カニューレを配置しているところの血管の内壁に向かって径方向外側に付勢されることになる。流出カニューレが広がりまたはさらには膨張し、閉塞デバイスとして機能する。これはポンプの動作中に自動で起こる。血管を閉塞するためにポンプを膨張させるのに追加の膨張デバイスは必要ない。
【0017】
好適には、流出カニューレがポンプケーシングより柔らかい材料で作られる。流出カニューレの材料は、可撓性材料、弾性材料、膨張可能な材料、弾力性のある材料、または、柔軟性のある材料(compliant material)であってよい。このような材料は、血液ポンプを配置しているところ患者の血管を傷つけるのを低減する(reduce)。さらに、流出カニューレを広げるかまたは膨張させるのを可能にするためにおよび患者の血管の内壁に接触させるのを可能にするためには、柔らかい材料が有利である。材料は柔軟性を有さないもの(non-compliant)であってもよい。流出カニューレを異なるセクションにおいて異なる形で膨張させるのを例えば可能にするために、流出カニューレが異なる材料の組み合わせを有してもよい。例えば、材料は、径方向で柔軟性を有して軸方向で柔軟性を有さないようにまたはその逆となるようにするのを可能にする異方性の性質を有することができる。柔らかく柔軟性のあるカニューレはさらに、カニューレのサイズを適切な外径に合わせるのを補助する。カニューレの内部と周囲の血圧との間のわずかな圧力差のみによりカニューレの直径が調整されることになり、したがって、物理的にアンダーサイズである場合でもカニューレが周囲の血管壁に対して閉塞性を有するようになる。
【0018】
リング状のバルーン(ring balloon)の場合のように特には接触面積が最小であるような場合では、ポンプ振動およびその振動の伝達が、血管(blood vessel)を傷つけることの主原因である。本発明は、大きい接触面積により、および、固いバルーンのようには振動を伝達することができない柔らかいカニューレ壁(cannula wall)により、ポンプ振動からのより強い隔離を実現する。本発明では血管とデバイス内の閉塞要素との間の接触面積が増大することから、必要となる接触力が低減される。
【0019】
実施形態では、流出カニューレの上流側端部分および流出カニューレの下流側端部分のうちの少なくとも1つがテーパ状であるかまたは円錐形であり、つまり、流出カニューレの直径が上流側端部および下流側端部の一方または両方に向かって減少する。言い換えると、流出カニューレの直径がポンプケーシングから中間部分に向かって増大し、中間部分から下流側端部に向かって減少する。これにより、例えばカテーテルにより、患者の血管内で血液ポンプを配置することが改善され得、容易となり得る。ポンプケーシングは円筒形または概略円筒形であってよいか、あるいは、任意適切な他の形状を有してもよい。血管の内壁に対して流出カニューレが押圧されるときに血流出口を遮断するのを防止することを目的として、そこを通して血液を流出カニューレから外に出すことができるところの血流出口が軸方向において少なくとも部分的に開いているような形で、テーパ状または円錐形状の下流側端部分が設けられてもよい。
【0020】
ポンプケーシングおよび流出カニューレは個別に形成され得、ここでは、上流側端部分の最小内径が好適にはポンプケーシングの外径に一致し、その結果、流出カニューレがポンプケーシングに密閉的に接続されるようになる。ポンプケーシングと流出カニューレとの間では、液密の接続を実現するような任意適切な接続が可能であり、これは例えば、圧入接続、接着接続、溶接接続などである。ポンプケーシングおよび流出カニューレは同じ材料で形成されても異なる材料で形成されてもよい。ポンプケーシングおよび流出カニューレは別法として一体に形成されてもよい。
【0021】
血液ポンプの好適な実施形態では、流出カニューレの中間部分の少なくとも一部分の周りに配置されるパッドデバイス(padding device)などの支持構造が提供され得る。パッドデバイスは円周状のパッドであってよい。パッドが柔らかい材料で形成されてよいかまたは中空であってよい。後者の場合、パッドが流体で充填され得る。パッドは実質的に円筒形または円錐形であってよい。言い換えると、円周壁は平行であってよく、または、非平行であってもよく、その場合はパッドがテーパ状である。パッドがテーパ状である場合、その直径が好適には流れ方向に増大する。流出カニューレ内の血圧とは無関係であるその柔らかい特性により、パッドは、血管の閉塞を向上させるために、血液ポンプを配置しているところの血管の内壁の形状により良好に適合することができる。パッドは、パッドと血管壁との間の摩擦を軽減するゲル材料を注入されるかまたはゲル材料で被覆される特殊な材料を含むことができる。
【0022】
実施形態では、薬剤溶出デバイスが血液ポンプに含まれ得、この薬剤溶出デバイスが医薬用原料を患者の標的領域に供給するように構成される。実施形態では、支持構造が薬剤溶出デバイスまたは薬剤供給デバイスとして機能することができ、つまり、パッドデバイスとして形成され得る支持構造が医薬用原料すなわち薬物を含むことができる。薬剤溶出デバイスは少なくとも1つのパッドとして形成され、具体的には、1つの円周状のパッドまたは2つ以上の別個のパッドとして形成され得、これが医薬用原料を含む。パッドは、具体的にはパッドによって接触される患者の血管の内壁である、周辺組織に医薬用原料を供給するように構成される。
【0023】
実施形態では、パッドが開口部を有することができるか、または、薬物に透過性である壁を有することができる。パッドは連続的な材料(continuous material)または多孔性の材料を含むことができる。薬剤溶出デバイスが、医薬用原料で充填可能である少なくとも1つのリザーバを備えることができる。管状のアクセス手段(tubular access)などのアクセス用の管腔(access lumen)が、リザーバに薬剤を注入するためにまたはリザーバから薬剤を取り除くためにあるいはその両方のために設けられ得る。リザーバは、薬剤を受け取るための凹部を形成するために径方向外側の表面上が少なくとも部分的に開いていてよい。薬剤溶出パッドを設けることは、冠動脈などの心臓血管内などの、細心の注意を要する用途で特に有利である。
【0024】
血液ポンプが、具体的には、血液ポンプを患者の血管の中に挿入するためにおよびポンプのモータに電気を供給するために、カテーテルに接続され得る。カテーテルは、下流方向においてつまり流れ方向においてポンプケーシングから流出カニューレを通るようにさらには流出カニューレの下流側端部分内のアパーチャを通るように、具体的には血液ポンプの長手方向軸に沿って、延在してよい。用途によっては、カテーテルは別法としてポンプケーシングから反対方向に延在してもよく、言い換えると、カテーテルはポンプケーシングから上流方向につまり流れ方向に逆らって延在してもよい。この場合、誘導を目的として、延長部分が流出カニューレを通って延在して「J-tip」または「ピグテール」などの非外傷性の先端部(atraumatic tip)のところで終端してよい。いずれの場合も、血液ポンプは、軸流血液ポンプ、遠心血液ポンプまたは混合タイプの血液ポンプであってよい。
【0025】
有利には、上述の血液ポンプは、患者の腎臓から患者の下大静脈に向かって血液を圧送するために患者の腎徐脈内に配置されるように構成される腎臓ポンプ(renal pump)として使用され得る。この場合、流出カニューレが、約1cmから2cmの、好適には約0.75cmから1.5cmの範囲の外径を有することができる。しかし、血液ポンプはこの使用のみに限定されず、肝臓ポンプなどの任意の他の臓器ポンプとして使用されてもよく、あるいは、例えば患者の肺動脈または冠動脈のうちの1つの中で使用されてもよい。血液ポンプが冠動脈に適用される場合、流出カニューレの外径は約0.5mmから3mmの範囲内にあってよく、好適には約1.5mmである。
【0026】
上記の概要さらには好適な実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面と併せて読むことにより、より良く理解される。本開示を説明することを目的として図面を参照する。しかし、本開示の範囲は図面で開示される具体的な実施形態のみに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a】本発明による血液ポンプを示す断面図である。
図1b図1aの血液ポンプを示す斜視図である。
図2a図1aの血液ポンプのポンプケーシングを示す断面図である。
図2b図1aの血液ポンプのポンプケーシングを示す斜視図である。
図3図1aの血液ポンプを示す斜視図である。
図4a】流出カニューレの実施形態を示す断面図である。
図4b】流出カニューレの実施形態を示す斜視図である。
図5a】流出カニューレの別の実施形態を示す断面図である。
図5b】流出カニューレの別の実施形態を示す斜視図である。
図6a】患者の腎静脈内に配置される図1aの血液ポンプを示す図である。
図6b図6aの細部を示す拡大図である。
図7a】別の実施形態による血液ポンプを示す断面図である。
図7b図7aの血液ポンプを示す斜視図である。
図8a】別の実施形態による血液ポンプを示す断面図である。
図8b図8aの血液ポンプを示す斜視図である。
図9図8aの血液ポンプのポンプケーシングを示す斜視図である。
図10図8aの血液ポンプのポンプケーシングを示す別の斜視図である。
図11図8aの血液ポンプの羽根車を示す斜視図である。
図12】流出カニューレの実施形態を示す概略部分図である。
図13a】患者の冠動脈内に配置される図8aの血液ポンプを示す図である。
図13b図13aの細部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1aおよび1bを参照すると、本発明による血液ポンプ1が示されている。血液ポンプ1が、回転可能な羽根車3を備えるポンプケーシング2、および、ポンプケーシング2に接続される流出カニューレ4を備える。流出カニューレ4が、上流側端部分41と、下流側端部分43と、それらの間を延在する中間部分42とを有する。上流側端部分41および下流側端部分43が、患者の血管の中に血液ポンプ1を挿入するのを容易にするためにテーパ状になっていてよい。挿入中にカニューレ4がつぶれることになる。したがって、テーパ部分がポンプ1の流れパターンを向上させることができる。上流側端部分41のところにあるテーパ部分がポンプがより小さい血管内にそれ自体で入り込むのを可能にすることができる。ポンプケーシング2は円筒形であってよい。しかし、以下でより詳細に説明される本発明による血液ポンプ1の機能を実現する限りにおいて、他の適切なデザインおよび形状も可能であることが認識されよう。カテーテル5が、血液ポンプ1を患者の血管内に配備するためにおよび血液ポンプ1に電気エネルギーを供給するために、血液ポンプ1に接続される。羽根車3が回転すると、図6bで矢印によって示されるように、血液がポンプケーシング2を通って血液ポンプ1内に吸い込まれ、流出カニューレ4の中に入り、流出カニューレ4の下流側端部分43内の開口部44を通って血液ポンプ1から外に出る。
【0029】
図2aおよび2bが血液ポンプ1のポンプケーシング2を示す。ポンプケーシング2が血流入口21および血流出口22を有する。この実施形態では、血流入口21は、軟組織が血流入口21に入るのを防止するためのグリル(grill)などの保護構造24がその上に掛かっている軸方向の開口部である。ポンプケーシング2に軟組織が入るのを防止するための任意適切な他の手段が選ばれてよいことが認識されよう。血流出口22が、流れ方向である長手方向に沿って血流入口21から離間される径方向の開口部によって形成される。したがって、血液ポンプ1は混合タイプの血液ポンプとみなされてよく、ここでは、血流が軸方向成分および径方向成分を有する。しかし、血液ポンプが軸流血液ポンプまたは遠心血液ポンプとして形成されてもよい。図1aから分かるように、流出カニューレ4が、流出カニューレ4の中へのおよび流出カニューレ4を通る血流を引き起こすために血流出口22を流出カニューレ4の内部に配置するような形で、ポンプケーシング2に接続される。羽根車3がポンプケーシング2内に配置され、血流入口21から血流出口22まで血液を運搬するための羽根31を有する。羽根車3の回転は電気モータなどの駆動ユニット23によって引き起こされる。駆動ユニットは別法として血液ポンプの外部に設けられてもよく、その場合、カテーテル5の内部に位置する可撓性の駆動ケーブル(図示せず)を介して外部の駆動ユニットから羽根車まで回転が伝達される。図3が血液ポンプ1の斜視図であり、具体的には、血流のための開口部44およびカテーテル5を受け取るためのアパーチャ45を有する、流出カニューレ4の下流側端部分43を示している。開口部44が、一体に、中間部分42よりも小さい断面積を形成する。したがって、血液ポンプ1の動作中、圧力が流出カニューレ4内で増大し、その結果、流出カニューレ4が広がるか、またはさらには膨張し、つまり、膨らむ。流出カニューレ4の直径が比較的大きいことから、流出カニューレ4が患者の血管の内壁に接触させられることになり、それにより血管を密閉および閉塞し、それにより、血液が後ろ方向に流れるのを防止する。この実施形態では、4つの開口部44が示される。流出カニューレ4を広げるかまたは膨張させて、血液ポンプ1を配置しているところの血管の内壁に対して流出カニューレを押圧するのに十分な圧迫性鬱血を生じさせる限りにおいて、1つのみの開口部、2つまたは3つの開口部、あるいは、5つ以上の開口部が存在してもよいことが認識されよう。流出カニューレ4の内部と外部との間の圧力差は例えば約2.67kPa(20mmHg)であってよい。しかし、好適にはこの圧力差は2.0kPa(15mmHg)を超えない。
【0030】
流出カニューレ4の弁機能を向上させることを目的として、つまり、流出カニューレ4と患者の血管との間の密閉的接触を改善することを目的として、図4a、4bに示されるようにパッド47が設けられ得る。パッド47は流出カニューレ4の中間部分42の円周の周りに配置される。パッド47は柔らかい材料で作られ得るか、または、中空であって流体で充填されていてもよい。パッド47は、流出カニューレ4内の血圧とは無関係に、流出カニューレ4を患者の血管の形状により良好に適合させるのを可能にする。図4aおよび4bが、パッド47が実質的に円筒形である実施形態を示している。パッド47は、具体的には長手方向を基準として、中間部分42の全体にわたってまたはその一部分のみにわたって延在してよい。同様の実施形態が図5aおよび5bに示されており、これはパッドの形状を除いて上の実施形態と同じである。パッド47’がテーパ状またはくさび形状になっており、パッド47’の直径が流れ方向に増大している。この形状は、血液ポンプ1を配置しているところの血管の閉塞を向上させることができる。
【0031】
血液ポンプ1の適用が図6aおよび6bに示されている。血液ポンプ1が、患者の腎臓105から腎静脈104を通して下大静脈103に向かうように血液を圧送するための腎臓ポンプとして使用される。図6aは、患者の心臓100、大動脈101および上大静脈102をさらに示している。特に図6bから分かるように、血液ポンプ1が腎静脈104を完全に閉塞または遮断している。腎静脈の一般的な直径は約1cmである。したがって、流出カニューレ4の中間部分42の適切な直径は約1.1cmまたは1.5cmということになる。本発明による血液ポンプ1は腎臓105に向かう血液の逆流を防止することができ、したがってひいては、下大静脈103に向かって血液を効果的に圧送することができる。この治療は患者が左心室または右心室の機能不全を患うような事例において適用され得、このような機能不全では大静脈内の血圧が高くなる可能性があり、したがってひいては、腎臓から離れる血流が不足することで腎不全を発症させる可能性がある。血液ポンプ1がこの血流をサポートする。血液ポンプ1によって引き起こされる血流は例えば毎分約0.5リットルから2リットルの間であってよい。例えば肺動脈内といったように血液ポンプの他の適用も可能であることが認識されよう。
【0032】
例えば血液ポンプが腎動脈106または肺動脈107内に配置されるといったような他の用途では、逆の流れ構成が必要となる可能性がある。言い換えると、逆の流れ構成内の血液ポンプは、上で考察した実施形態とは反対の方向に血液を圧送する。上で考察した実施形態では血液がカテーテルに向かって圧送されるが、他の用途では、人体内でのアクセス可能性が制限されることを理由として、カテーテルから離れる方向に血液を圧送することが必要となる可能性がある。血液ポンプが患者の冠動脈内に配置される場合でも、逆の流れ構成が必要となる。
【0033】
図1aに類似するが図1aの血液ポンプとは反対の流れ方向を有する実施形態が図7aおよび7bに示される。血液ポンプ201が、ポンプケーシング202、および、ポンプケーシング202より大きい直径を有する流出カニューレ204を備える。羽根車203がポンプケーシング202内に配置され、羽根車203に磁気的に結合される電気モータなどの駆動ユニット223によって駆動される。ポンプケーシング202がカテーテル205に接続される。羽根車203が血流入口221から血流出口222まで血液を運搬して流出カニューレ204の中に入れる。血流入口221が流出カニューレ204に近接しており、その結果、流出カニューレ204の直径が大きいことが、血管の組織を血流入口221から離した状態で維持するのを補助する。
【0034】
上の実施形態と同様に、流出カニューレ204が、上流側端部分241、中間部分242および下流側端部分243を備える。下流側端部分243が開口部244を有し、上の実施形態に関連して説明したように、血液がこれらの開口部244を通って流出カニューレ204から外に出ることができる。カテーテル205が流出カニューレ204を通って延在しないことから、流出カニューレ204を通って延在して下流側端部分243内のアパーチャ245から外に出るカテーテル延長部分250が設けられており、これが患者の血管内への挿入中に血液ポンプ201を誘導することができる。J-tipまたはピグテールなどの非外傷性の先端部251がカテーテル延長部分250の端部のところに配置される。先端部251が血液ポンプ201の挿入中に患者の血管を傷つけるのを防止する。
【0035】
図8aから13bが血液ポンプ301の別の実施形態を示す。血液ポンプ301の構造は、流れ方向に関して、具体的には図7aおよび7bの実施形態である、上述の実施形態に類似する。しかし、血液ポンプ301は患者の冠動脈108内で使用されることを意図される(図13a、13bを参照)。したがって、その直径は例えば腎臓ポンプよりも小さく、例えば約2mmである。血液ポンプ301が、カテーテル305に接続されるポンプケーシング302を備える。回転可能な羽根車303がポンプケーシング302内に配置され、流出カニューレ304がポンプケーシング302に接続される。血液ポンプ301の直径が小さいことから、駆動ユニット(図示せず)が血液ポンプ301の外部に配置される。駆動ユニットの回転が、可撓性の駆動シャフト(図示せず)を介して、カテーテル305を通して羽根車303に伝達される。別法として、3mmから5mmの間の直径を有するポンプの場合、ダイレクトドライブモータが使用されてよく、ここでは、モータがポンプのすぐ後ろに位置する。この場合、可撓性の駆動シャフトは必要ない。羽根車303が回転すると、図13bで矢印によって示されるように、血液がポンプケーシング302を通って血液ポンプ301内に吸い込まれ、流出カニューレ304の中に入り、流出カニューレ304の下流側端部分343内の開口部344を通って血液ポンプ301から外に出る。
【0036】
流出カニューレ304が、上流側端部分341と、下流側端部分343と、それらの間を延在する中間部分342とを有する。上流側端部分341および下流側端部分343が、冠動脈などの患者の血管の中に血液ポンプ301を挿入するのを容易にするためにテーパ状になっていてよい。挿入中にカニューレ304がつぶれることになる。下流側端部分341のところにあるテーパ部分がポンプが小さい血管内にそれ自体で入り込むのを可能にすることができる。ポンプケーシング302は円筒形であってよい。しかし、血液ポンプ301の機能を実現する限りにおいて、他の適切なデザインおよび形状も可能であることが認識されよう。
【0037】
カテーテル305が流出カニューレ304を通って延在しないが、その入口端部のところで血液ポンプ301に接続される。したがって、流出カニューレ304を通って延在して下流側端部分343のところのアパーチャ345を通って流出カニューレ304から外に出るカテーテル延長部分350がポンプケーシング302に接続されており、それにより、血液ポンプ301の挿入中にカテーテル305により患者の血管を通して血液ポンプ301を誘導することができる。カテーテル延長部分350が、血管に刺さるなどして患者の血管を傷つけるのを防止することを目的として、J-tipまたはピグテールなどの非外傷性の先端部351を装備する。
【0038】
ポンプケーシング302が図9および10により詳細に示される。図9がポンプケーシング302の血流入口321の斜視図であるのに対して、図10がポンプケーシング302の血流出口322の斜視図である。ポンプケーシング302の中に組織を吸引するのを防止するために、グリル324などの保護構造が血流入口321の上に配置される。グリル324は湾曲形状を有することができる。しかし、血液ポンプ301の中に吸引されることから組織を保護するための任意の他の手段が設けられもよい。同様に、羽根車303の回転から流出カニューレ304または組織を保護するための、グリル326などの保護構造が血流出口322のところに設けられる。支柱325および327が、グリル324および326をそれぞれ支持するために入口321および出口322のところにそれぞれ設けられる。
【0039】
羽根車303が図11により詳細に示される。羽根車303は上記で説明したようにカテーテル305を通って延在する駆動シャフトに結合される。羽根331が羽根車シャフト332上に配置され、羽根331が羽根車シャフト332の回転時にポンプケーシングの血流入口321から血流出口322まで血液を運搬する。血流の乱流を低減するために、および、羽根車303およびカテーテル305に係合されてそれらをポンプケーシングの中心に配置するために、固定羽根333が羽根車303の上流側端部のところに設けられる。固定羽根333は、ポンプケーシング302の内径に、圧入されるか、溶接されるか、または、接着される。固定羽根333の中心部分が、羽根車シャフト332に係合される軸受として機能する。
【0040】
血液ポンプ301は圧送デバイスとして機能することに加えて、薬剤溶出デバイスとしても機能する。抗炎症薬、抗生物質、抗凝血物質または発育抑制物質などの薬物を適用することは、冠動脈の用途において非常に重要である。この目的のため、薬剤溶出パッド347などの薬剤溶出デバイスが流出カニューレ304上に配置される。流出カニューレ304は、薬剤溶出パッド347を血管の内壁の近くまで運ぶのに十分な大きさの直径を有する。好適には、薬剤溶出パッド347が血管壁に接触するかまたは血管壁に対して押圧される。具体的には、これは、上の実施形態に関連して説明したように流出カニューレ304を膨張させることにより達成され得、ここでは、流出カニューレ304がポンプケーシング302より大きい外径を有する。しかし、いくつかの実施形態では、流出カニューレ304がポンプケーシング302より大きい外径を有さなくてもよい。
【0041】
薬剤溶出パッド347は、薬剤を標的領域に供給するために任意適切なサイズおよび形状を有することができる。薬剤溶出パッド347は管状またはリング形状であってよく、あるいは、分離した個別的な部分を有してもよい。パッド347は連続的な材料または多孔性の材料で作られてよいか、あるいは、中空であり、薬剤を含む物質で充填されてもよい。したがって、パッド347の壁が、アパーチャを備えることができるか、または、薬剤溶出デバイスの壁に所望の量の薬剤を浸入させるのを可能にするために透過性であってもよい。薬剤溶出パッド347は流出カニューレ304上に配置されることから、内側の血管壁などの標的領域に接触させられ得る。図12に示されるような別の実施形態では、薬剤溶出デバイス347’が、リザーバ348に薬剤を注入するためのまたはリザーバ348から薬剤を取り除くための管状のアクセス手段360などのアクセス用の管腔に接続されるリザーバ348を備えることができる。リザーバ348は、血管の壁の方を向く表面のところで少なくとも部分的に開いている凹部として形成されてよい。リザーバ348が薬物を放出するための複数のアパーチャ349を有することができる。
【0042】
血液ポンプ301は、特には、図13aおよび13bに示されるように患者の冠動脈108内での用途のために設計される。血液ポンプ301は大動脈101を通して患者の心臓100に向かうように挿入されて冠動脈108のうちの1つの冠動脈の中に入る。この冠動脈108は狭窄症により遮断されている可能性があるものである。薬剤溶出パッド347により、薬剤が冠動脈108に効果的に供給され得る。液体ポンプ301により血流が確実に冠動脈108を通るようになることから、既知のバルーンデバイスの場合のように冠動脈108が遮断されることがない。したがって、所望の量の薬物を供給するのに十分な時間で、血液ポンプ301が冠動脈内で維持され得る。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
【手続補正書】
【提出日】2024-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプ(1;201;301)であって、
血流入口(21;221;321)および血流出口(22;222;322)を有するポンプケーシング(2;202;302)と、
前記血流入口(21;221;321)から前記血流出口(22;222;322)まで血液を運搬するために回転軸を中心として回転可能となるように前記ポンプケーシング(2;202;302)内に配置される羽根車(3;203;303)と、
上流側端部分(41;241;341)、下流側端部分(43;243;343)、および、前記上流側端部分(41;241;341)と前記下流側端部分(43;243;343)との間を延在する中間部分(42;242;343)を有する流出カニューレ(4;204;304)であって、前記流出カニューレ(4;204;304)の前記上流側端部分(41;241;341)が前記ポンプケーシング(2;202;302)に接続され、その結果、血液が前記ポンプケーシング(2;202;302)の前記血流出口(22;222;322)から、前記流出カニューレ(4;204;304)の前記中間部分(42;242;342)の中へと、また前記中間部分(42;242;342)を通って前記流出カニューレ(4;204;304)の前記下流側端部分(43;243;343)に向かって、運搬されるようになり、前記下流側端部分(43;243;343)が血流出口(44;244;344)を有し、血液が前記血流出口(44;244;344)を通って前記流出カニューレ(4;204;304)から外に出ることができ、前記血流出口(44;244;344)が前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の最も外側の円周を基準として少なくとも部分的に径方向内側に配置され、前記流出カニューレ(4;204;304)の前記中間部分(42;242;342)の少なくとも一部分が前記ポンプケーシング(2;202;302)の外径より大きい外径を有する、流出カニューレ(4;204;304)と
を備え、
前記流出カニューレ(4;204;304)の充填により、前記流出カニューレ(4;204;304)内の圧力が増大し、これにより、前記流出カニューレ(4;204;304)の壁が、前記流出カニューレを配置しているところの患者の血管の内壁に向かって径方向外側に付勢される
ことを特徴とする血液ポンプ(1;201;301)。
【請求項2】
請求項1に記載の血液ポンプであって、前記血流出口(44;244;344)が前記下流側端部分(43;243;343)内に配置され、その結果、血液が少なくとも部分的に軸方向で前記流出カニューレ(4;204;304)から外に出ることができることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)の前記血流出口(44;244;344)の開口面積が、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の最大断面積より小さことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の直径が、前記ポンプケーシング(2;202;302)の直径の少なくとも1.5倍の大きさであことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242)の最大径が約5mmから約2cmの間であり、あるいは、前記流出カニューレの前記中間部分(342)の最大径が約0.5mmから約5mmの間であことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242)の長手方向の長さが5cm未満であり、あるいは、前記流出カニューレの前記中間部分(342)の長手方向の長さが約1mmから3mmの間であることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレ(4;204;304)が前記ポンプケーシング(2;202;302)の材料より柔らかい材料を含ことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記上流側端部分(41;241;341)および前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)のうちの少なくとも1つがテーパ状であることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記上流側端部分(41;241;341)の最小内径が前記ポンプケーシング(2;202;302)の外径に一致し、前記流出カニューレ(4;204;304)が前記ポンプケーシング(2;202;302)に密閉的に接続されることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記流出カニューレの前記中間部分(42)の少なくとも一部分の周りに配置される支持構造(47;47’)を備えことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項11】
請求項1から9までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、薬剤溶出デバイス(347)を備え、前記薬剤溶出デバイス(347)が医薬用原料を患者の標的領域に供給するように構成されことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項12】
請求項11に記載の血液ポンプであって、前記薬剤溶出デバイス(347’)が、リザーバ(348)に医薬用原料を注入することおよびリザーバ(348)から医薬用原料を取り除くことのうちの少なくとも1つのためのアクセス用の管腔(360)に接続されるリザーバ(348)を備えることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記血液ポンプ(1;301)が前記ポンプケーシング(2;302)から前記流出カニューレ(4;304)を通って延在するカテーテル(5;305)に接続され、あるいは、前記血液ポンプ(201)が、前記ポンプケーシング(202)から、前記流出カニューレ(204)から離れる方向に延在するカテーテル(205)に接続されることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、前記血液ポンプ(1;201;301)が、軸流血液ポンプ、遠心血液ポンプ、または、混合タイプの血液ポンプであり、ならびに/あるいは、前記血液ポンプが、患者の腎臓(105)から患者の下大静脈(103)に向かって血液を圧送するためにヒト患者の腎静脈(104)内に配置されるように構成されるか、または、ヒト患者の冠動脈(108)内に配置されるように構成されることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、
少なくとも前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)が、前記血液ポンプ(1;201;301)の動作中に前記血液ポンプ(1;201;301)を配置するところの患者の血管(104;108)の内壁に接触するようにサイズ決定および成形され、それにより、前記血液ポンプ(1)の動作中に前記血管(104;108)を閉塞することを特徴とする血液ポンプ。
【請求項16】
請求項3に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)の前記血流出口(44;244;344)の前記開口面積が、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の断面積の50%より小さいことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項17】
請求項16に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)の前記血流出口(44;244;344)の前記開口面積が、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の断面積の40%より小さいことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項18】
請求項17に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)の前記血流出口(44;244;344)の前記開口面積が、前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の断面積の30%より小さいことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか1項に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)の前記血流出口(44;244;344)が、少なくとも2つの開口部を備えることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項20】
請求項19に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)の前記血流出口(44;244;344)が、3つの開口部を備えることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項21】
請求項20に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレの前記下流側端部分(43;243;343)の前記血流出口(44;244;344)が、4つの開口部を備えることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項22】
請求項4に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の前記直径が、前記ポンプケーシング(2;202;302)の前記直径の2倍の大きさであることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項23】
請求項22に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の前記直径が、前記ポンプケーシング(2;202;302)の前記直径の3倍の大きさであることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項24】
請求項23に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレの前記中間部分(42;242;342)の前記直径が、前記ポンプケーシング(2;202;302)の前記直径の4倍の大きさであることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項25】
請求項5に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレの前記中間部分(42;242)の前記最大径が約1cmから約1.5cmの間であり、あるいは、前記流出カニューレの前記中間部分(342)の前記最大径が約2mmであることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項26】
請求項6に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレの前記中間部分(42;242)の長手方向の長さが3cm未満であることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項27】
請求項7に記載の血液ポンプであって、
前記流出カニューレ(4;204;304)の前記材料が弾性を有することを特徴とする血液ポンプ。
【請求項28】
請求項10に記載の血液ポンプであって、
前記支持構造(47;47’)が、実質的に円筒形のパッドおよび実質的に円錐形のパッドのうちの少なくとも1つであることを特徴とする血液ポンプ。
【請求項29】
請求項28に記載の血液ポンプであって、
前記支持構造(47;47’)が医薬用原料を含むことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項30】
請求項11に記載の血液ポンプであって、
前記薬剤溶出デバイス(347)が前記流出カニューレ(304)の前記中間部分(342)を少なくとも部分的に囲むことを特徴とする血液ポンプ。
【請求項31】
請求項30に記載の血液ポンプであって、
前記薬剤溶出デバイス(347)が実質的に円筒形のパッドおよび実質的に円錐形のパッドのうちの少なくとも1つであることを特徴とする血液ポンプ。